説明

外観検査用投光装置

【課題】大型の基板に小型の照明光学系で照明光を照射して外観検査を行う。
【解決手段】観察系本体に支持したガラス基板へマクロ照明光を照射する照明系本体1を設置する。照明系本体1は、マクロ照明光源2からの照明光を第1反射ミラー3及び第2反射ミラー4で反射させ、フレネルレンズ5で集光させてガラス基板を照射する。照明系本体1は移動ユニット21の移動部24に設けた揺動軸31に揺動可能に支持させる。揺動ユニット30によって照明系本体1を揺動軸31回りに揺動させることで、ガラス基板に照射するマクロ照明光を揺動させる。移動ユニット21で照明系本体1を揺動軸31と共にその長手方向に移動させる。これによってガラス基板上の照明光を略直交する二方向に走査できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板等の検査対象である基板に光を照射して外観を検査する外観検査用投光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)といったフラットパネルディスプレイ(FPD)の分野では、画面の大型化や多面取りによるコスト削減といった要望に対応するために、フラットパネルディスプレイ製造工程において、ガラス基板の大型化が進む傾向にある。そのため、ガラス基板は一辺が2000mmを越えるような大型サイズのものが出現している。
フラットパネルディスプレイ製造工程で製造された大型のガラス基板に対しては、欠陥検査が行われており、この欠陥検査の一つの手法として観察者の目視で行うマクロ検査と呼ばれる外観検査が行われている。この外観検査では、ガラス基板に照明光を照射して反射する光を目視観察し、表面の傷や塵などの有無を検査する。
【0003】
この外観検査装置としては、検査するガラス基板を揺動ステージ上に保持し、この揺動ステージを観察者が目視観察し易い角度に傾斜させて目視観察する外観検査装置本体と、この外観検査装置本体の上部に設置され、ガラス基板の上方からマクロ照明光を照射する投光装置とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1の検査装置に用いられる投光装置は、光源を移動可能に設け、この光源から出射された照明光を所定の角度に固定された反射ミラーに向けて照射させることにより、光源を移動させることによって照明光をガラス基板上で走査できるようにしたものである。
また、特許文献2の検査装置に用いられる投光装置は、マクロ照明光源、反射ミラー及びフレネルレンズを照明箱に収納し、この照明箱をX−Yステージに搭載してX−Y方向の二次元に移動させることにより照明光をガラス基板上で走査できるようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−97864号公報
【特許文献2】WO03/102562A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、光源を移動させることにより検査対象のガラス基板の大型化に対してある程度対応することができるが、照明光を集光させるフレネルレンズは固定配置されているために、ガラス基板の大型化に従ってフレネルレンズを大型化しなければならず、その製造コストと重量が増大する欠点がある。しかも、フレネルレンズの大型化に限度があるため、光源を移動させるだけでは更に大型化されたガラス基板の検査を行うことは困難であった。
また、特許文献2では、フレネルレンズを水平面内で移動させる構造であるために、フレネルレンズを大型化する必要がなく大型のガラス基板の検査が可能であるが、大型ガラス基板に対応してフレネルレンズを含む照明箱をX−Yステージ上で広範囲に平行移動させる必要がある。このX−Yステージは、大型基板の全面に照明光を通過させる大きな開口を有するベースと、このベースにY方向に移動可能に設けられ細長い開口を有するYステージと、Yステージの開口に沿って照明箱をX方向に移動させるXステージとにより構成されるが、大型基板のサイズに比例してベースが大型化・重量化するという問題が生ずる。しかも、ガラス基板の大型化に従ってベースの開口が大きくなりYステージを移動させるためのボールネジが長くなるため、回転力によるたわみを防止するためにボールネジの外径を太くしなければならず、装置の大型化と重量化を招いてしまうという問題が生ずる。
【0005】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、大型の基板に対しても、比較的小型・軽量な構造で照明光を照射して外観検査を行うことが可能な外観検査用投光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による外観検査用投光装置は、光源からの光を反射させる反射ミラーと、該反射ミラーにて反射された光を集光するフレネルレンズとを有し、該フレネルレンズにて集光させた光を基板に照射して外観を検査する外観検査用投光装置であって、反射ミラー及びフレネルレンズをフレームユニットに一体に設けた照明系本体と、この照明系本体を懸架させて移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
本発明は、例えば大型の基板に照明光を照射して外観検査を行う場合、移動機構によって反射ミラーとフレネルレンズをフレームユニットに一体に設けた照明系本体を移動機構によって適宜距離移動させることで、基板上で照明光を広範囲にわたって照射でき、大型の基板であっても比較的小型の反射ミラーとフレネルレンズを用いて全体を照射して外観検査できる。また、移動機構によって移動させて反射ミラーとフレネルレンズを用いた投光を行うために基板が大型化しても外観検査用投光装置が大型化することはない。
なお、光源は反射ミラー及びフレネルレンズと共にフレームユニットに設けて移動するように構成してもよいし、フレームユニットとは別個に設けて固定配置してもよい。
【0007】
また、移動機構は、照明系本体を揺動軸に揺動可能に懸架するとともに、該照明系本体を一軸方向に走査し、この一軸方向と交差する方向に前記照明系本体を揺動させることが好ましい。
反射ミラーとフレネルレンズからなる照明光学系をフレームユニットで一体に保持した照明系本体を移動機構によって移動させたり揺動させることで基板上で照明光を広範囲にわたって照射でき、照明光がけられたり、ズレたりすることなく確実に基板に導いて走査させることができる。
【0008】
また、本発明による外観検査用投光装置は、光源からの光を反射させる反射ミラーと、反射ミラーにて反射された光を集光するフレネルレンズとを有し、フレネルレンズにて集光させた光を基板に照射して外観を検査する外観検査用投光装置であって、反射ミラーとフレネルレンズとをフレームユニットに一体に組み込んだ照明系本体と、照明系本体を複数連結して懸架する移動部と、移動部を一方向に移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、複数の照明系本体を連結して懸架する移動部を備えたことで照射領域が増大しており、更に移動部を移動機構によって一方向に移動させることで更に照射領域が増大することになり、1つの照明系本体では十分に照射できない大型の基板に対しても効率的に照射して外観検査を行うことができる。しかも、大型の基板に対して相対的に小型の反射ミラーとフレネルレンズからなる照明光学系を用いて基板の外観検査を効率的に行える。
【0009】
また、複数の照明系本体は、それぞれの照明系本体の各フレネルレンズが互いに内側を向くように連結されるとともに、各フレネルレンズにより収束された各照明光束が重なり合う傾斜角度に設定されることが好ましい。
複数の照明系本体は、各フレネルレンズが互いに内側を向く傾斜角度に設定されているから、基板に対する照明光の照射方向を互いに交差する方向に設定させることができて基板の広い範囲に亘って照射できて傷や塵、ムラ等の検査を容易に行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の外観検査用投光装置によれば、光源からの光を反射させる反射ミラーとフレネルレンズとを照明系本体によって一体に設けると共に移動機構で移動させることで、照明光を基板上で走査させることができ、比較的小型の反射ミラーとフレネルレンズを用い、広範囲に光を照射することができる。しかも、照明光学系が比較的小型・軽量な構造であるから、大型の基板に対しても照明光を移動させて走査して照射できて外観検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について図1乃至図5により説明する。
図1は第1実施形態による照明系本体を備えた外観検査用投光装置の要部斜視図、図2は図1に示す照明系本体の平面図、図3は照明系本体の側面図、図4は照明系本体の揺動ユニットを示す側面図、図5は外観検査用投光装置のスライド機構を示す要部平面図である。
【0012】
図1に示すように、この外観検査用投光装置の照明系本体1は、マクロ照明光源2と、このマクロ照明光源2から出射される照明光を内側に向けて折り返す小型の第1反射ミラー3と、この第1反射ミラー3で折り返された照明光を下方に折り返す大型の第2反射ミラー4と、この第2反射ミラー4で反射した照明光を収束させるフレネルレンズ5とからなる照明光学系を有する。この照明光学系を構成するマクロ照明光源2と第1反射ミラー3は、逆三角屋根構造の第1フレームユニット6に支持され、照明光学系を構成する第2反射ミラー4とフレネルレンズ5は、三角屋根構造の第2フレームユニット7により支持されている。
第2フレームユニット7は、矩形状のフレネルレンズ5を支持する4本のフレーム構造部材8a、8b、8c、8dを矩形状に連結したレンズ支持フレーム8と、このレンズ支持フレーム8両角部に2本のフレーム構造部材9a、9bと9c、9dを逆V字に連結し、この逆V字の頂点部をフレーム構造部材9eで連結する。これにより、第2フレームユニット7は、フレーム構造部材9a、9b、8bと、9c、9d、8dにより側面視三角形状とされ、その頂部同士をフレーム構造部材9eにより連結することによりレンズ支持フレーム8を底面とする三角屋根構造に形成される。
三角屋根の一方の側面を構成するフレーム構造部材9b、9d、9eの内側には、第2反射ミラー4が反射面を下に向けて支持される。
なお、レンズ支持フレーム8は、フレネルレンズ5と液晶散乱板を一体に組み込んだレンズフレームを利用することにより省略することができる。
【0013】
また、第2反射ミラー4が取り付けられる傾斜面と反対側のフレーム構造部材9a、9cには、マクロ照明光源2と第1反射ミラー3を取り付ける第1フレームユニット6が連結される。第1フレームユニット6は、三角屋根構造の第2フレームユニット7に比べて小さい逆三角屋根構造をなし、フレーム構造部材9a、9cの中央部より下方に配置されている。
第1フレームユニット6は、フレーム構造部材9a、9cの略中央部から水平方向に延在するフレーム構造部材10a、10bと、フレーム構造部材9a、9bの下端部から斜め上方へ延在してフレーム構造部材10a、10bの端部に連結されたフレーム構造部材10c、10dと、フレーム構造部材9a、9cにより側面視逆三角形状に構成される。
第1フレームユニット6を構成するフレーム構造部材10a、10b間には、間隔をあけて一対のフレーム構造部材10e、10fが連結され、これらフレーム構造部材10e、10fにマクロ照明光源2及び第1反射ミラー3が支持される。本実施の形態では、第1反射ミラー3の反射光路が第2反射ミラー4に向けて水平になるように第2反射ミラー4の中心の高さにあわせたが、フレーム構造部材10a、10bをフレーム構造部材9a、9cの中央部からさらに低い位置に取り付け、第1反射ミラー3を第2反射ミラー4の中心より下方に配置するようにしても良い。この第1反射ミラー3を下げることにより、マクロ光源板2側の光路をコンパクトに折り曲げることが可能になり、フレネルレンズ5の大型化にともなって焦点距離が長くなった場合にも容易に対応することができる。
【0014】
また、第1フレームユニット6を構成するフレーム構造部材10c、10dにより形成される矩形の対角線には、補強のための筋交いとしてフレーム構造部材10gが斜めに連結されている。そのため、第1フレームユニット6では、フレーム構造部材10d、8c、10gが三角形状に配置され、フレーム構造部材10c、10e、10gが側面視で三角形状に配置されている。
また、フレーム構造部材9b、9d、9e,8aにより構成される矩形の対角線には、第2反射ミラー4を平面に支持する目的と、補強のための筋交いとしてフレーム構造部材9fが斜めに連結されている。そのため、図2に示すように、第2フレームユニット7の一方の斜面では、フレーム構造部材9b、9e及び9fが三角形状に配置され、またフレーム構造部材9d、8a及び9fが三角形状に配置されている。
【0015】
上記構造の外観検査用投光装置1では、マクロ照明光源2は第1フレームユニット6のフレーム構造部材10e、10fの長手方向へ向けて略水平に支持され、第1反射ミラー3に向かってマクロ照明光(照明光)を照射する(図2参照)。第1反射ミラー3は、図2に示すマクロ照明光源2からのマクロ照明光の光軸Oに対して第2反射ミラー4側へ向けて水平方向に約45°傾けられており、マクロ照明光源2からの照明光を第2反射ミラー4へ向けて反射させる。
また、第2反射ミラー4は、例えば台形状(長方形でもよい)に形成され、図3に示すように下方のフレネルレンズ5へ向けて垂直方向に約45°傾けられて第2フレームユニット7に支持されている。第2反射ミラー4の下端は、レンズ支持フレーム8のフレーム構造部材8aに支持され、上端は第2フレームユニット7の三角屋根の頂部に位置するフレーム構造部材9eから突出して支持されている。第2反射ミラー4の一部を第2フレームユニット7から突出させることによって照明光の反射領域を大きく確保できる。なお、第2反射ミラー4の上端は、反射領域を確保できればフレーム構造部材9eから突出させなくてもよい。
【0016】
そして、第1反射ミラー3にて反射されたマクロ照明光を第2反射ミラー4によってフレネルレンズ5へ向けて反射させる。第2反射ミラー4によって反射されたマクロ照明光は、フレネルレンズ5によって集光されて収束光として下方へ照射される(図1,図3参照)。
この外視検査用投光装置は、図示しない外観検査装置の装置本体の上方に設置される。この外観検査装置本体内には、検査対象となるガラス基板Gを保持し、このガラス基板Gを検査員が目視観察し易い角度に傾斜させる揺動ステージが設置されている。フレネルレンズ5により集光された照明光は、下方に位置するガラス基板Gに照射され、検査員によってガラス基板Gの外観検査が目視にて行われる。
【0017】
次に図4及び図5に示すように、照明系本体1は移動ユニット21(移動機構)に支持されている。
この移動ユニット21は、矩形の開口部22aを形成した細長い長方形状の支持ベース部22と、この支持ベース22の上面側に開口部22aを跨いで設けられた、例えば略三角形の開口部24aを形成した略三角形状の移動部24とを備えている。移動部24は、支持ベース部22上の一対のガイドレール23、23に支持されて支持ベース部22の長手方向(図中、A方向)へ移動可能とされている。
支持ベース部22には、移動部24の移動方向に沿って、駆動モータ25によって回転させられるボールネジ26が配設されており、このボールネジ26が移動部24のブラケット27の雌ねじ部に螺合されている。移動ユニット21では、ボールネジ26が駆動モータ25によって回動されることで、移動部24がガイドレール23、23に沿ってA方向に移動する。
【0018】
この移動ユニット21を構成する移動部24の開口部24aには、その移動方向Aと平行に揺動軸31が支持されている。この揺動軸31には、図1乃至図3に示す照明系本体1が揺動可能に支持される。本実施の形態では、照明系本体1を構成する第2フレームユニット7の頂部に軸受け部32を溶接などにより固定し、この軸受け部32を揺動軸31に挿通することにより、照明系本体1を揺動可能に支持している。また、図4に示すように移動部24を構成する三角形の頂部24bの下面には揺動ユニット30が取り付けられている。揺動ユニット30は、揺動軸31に揺動可能に支持された照明系本体1の第1のフレームユニット6の一端と連結され、揺動軸31を揺動中心にして照明系本体1を矢印B方向に揺動させる。
この揺動ユニット30は、支持ベース部22の端部より突出する移動部24の頂点部24bの下面に支持部33が垂下されており、この支持部33と第1フレームユニット6との間を、例えばシリンダ34a内に駆動ロッド34bを伸縮自在に収納したエアー駆動式や電動駆動式の直動アクチュエータ34などの伸縮機構で連結することにより構成されている。
そして、直動アクチュエータ34のシリンダ34aの外装部分には、支持片34cが溶接などの接続手段により固定されている。この支持片34cは、照明系本体1の第1フレームユニット6に設けられた軸受け部36に回転可能に支持された連結軸37が挿通している。そのため、直動アクチュエータ34によって駆動ロッド34bを伸縮させると、照明系本体1は揺動軸31を回転中心にして駆動ロッド34bの伸縮量に応じて図示矢印B方向に揺動する。本実施の形態では、駆動ロッド34bの伸縮作用により支持部33と第1フレームユニット6との間隔を調整可能にするために、駆動ロッド34bを固定すると共に、直動アクチュエータ34が揺動できるように固定部34dを支持部33に揺動可能に支持した。
なお、直動アクチュエータ34、支持片34c、軸受け部36,連結軸37は照明系本体1を揺動軸31回りに揺動させる揺動ユニット30を構成する。
【0019】
本実施の形態による外観検査用投光装置は上述の構成を備えており、次にその作用を説明する。この外観検査用投光装置は、ガラス基板Gを保持する揺動ステージを備えた目視検査装置本体の上部に設置されたものである。
ガラス基板Gを目視検査装置本体の揺動ステージに保持した後、揺動ステージを観察者が目視検査し易い角度に立ち上げる。この状態で、外観検査用投光装置を用いてガラス基板G上に照明光を照射し、ガラス基板Gからの反射光よりガラス基板G上の傷や膜斑などの欠陥を目視で観察する。
まず、揺動ステージを目視観察し易い角度に立ち上げた状態で、照明系本体1の移動ユニット21の駆動モータ25を駆動させ、移動部24をガイドレール23、23に沿ってA方向に移動させることにより、照明系本体1をガラス基板Gの観察したい位置に移動させる。次に、照明系本体1では、マクロ照明光源2から照射された照明光が第1反射ミラー3、第2反射ミラー4で順次反射されてフレネルレンズ5を通過して集光させられて大型のガラス基板Gの一部を照射する。
【0020】
そして、揺動ユニット30の直動アクチュエータ34を駆動し、駆動ロッド34bを伸縮させて第1フレームユニット6及び第2フレームユニット7を上下に移動させる。これにより第1フレームユニット6、第2フレームユニット7を含む照明系本体1が揺動軸31を中心にして図示矢印B方向に揺動する。これにより、照明系本体1のマクロ照明光源2、第1反射ミラー3、第2反射ミラー4及びフレネルレンズ6は揺動軸31を中心としてB方向に揺動させられ、観察系本体に配置された検査用のガラス基板Gに対してマクロ照明光の照射領域をB方向に移動させることができる。
【0021】
さらに、移動ユニット21の駆動モータ25を駆動させて移動部24をガイドレール23、23に沿って移動させ、照明系本体1をガラス基板Gの任意の観察位置まで移動させる。照明系本体1を支持ベース22に沿ってA方向に所定距離だけ移動させた後に、再度、直動アクチュエータ34により照明系本体1を揺動軸31回りに揺動させて照明光をガラス基板G上でB方向に走査させ、これを繰り返す。
そのため、照明系本体1によるマクロ照明光を大型のガラス基板G上でA方向に所定距離移動させてはB方向に揺動させて照明光を略直交する二方向に順次走査させることで、マクロ照明光を大型のガラス基板Gの全面に亘って走査して観察できる。
なお、観察系本体に支持するガラス基板Gを照明系本体2に対して相対的に移動させる機構を設けても良く、このようにすると、さらなる広範囲な外観観察が可能となる。
【0022】
上述のように、本実施形態による外観検査用投光装置によれば、マクロ照明光源2から第1反射ミラー3にて反射されたマクロ照明光をさらに反射させる第2反射ミラー4とともにフレネルレンズ5を一体化した照明系本体1を揺動軸31に懸架させ揺動可能としたので、第2反射ミラー4とフレネルレンズ5を大型化しなくても広範囲にマクロ照明光を照射することができる。更に、照明系本体1を揺動方向(矢印B)と交差する方向(矢印A)に移動可能に設けることで、大型のガラス基板Gに対してマクロ照明光を全域に確実に照射して円滑に外観検査を行うことができる。しかもマクロ照明光源2、第1及び第2反射ミラー3、4、フレネルレンズ5を一体に揺動及び移動させるためにマクロ照明光がけられることなく効率的に照射できる。
【0023】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図6乃至図8により説明する。
なお、上記第1実施形態と同一の部分、部材は、同一符号を付して説明を省略する。
図6は第2実施形態による外観検査用投光装置を示す概略正面図、図7は外観検査用投光装置の移動ユニットを示す上面図、図8は外観検査用投光装置の照明系本体の背面図である。
図6に示すように、本実施形態による外観検査用投光装置41は第1実施形態に示す照明系本体1を二つ備えている。これら照明系本体1は、それぞれのレンズ支持フレーム6が対峙するフレーム構造材8d、8bがヒンジ42(連結回動部材)によって回動可能に連結されている。
【0024】
また、これら照明系本体1は、それぞれの第2フレームユニット7、7の軸受け部32、32が互いに間隔をあけて揺動軸31を挿通させている。またそれぞれの第1フレームユニット6,6に設けた軸受け部36、36が互いに間隔をあけて連結軸37を挿通させている。
そして、それぞれの照明系本体1、1は、そのフレネルレンズ5にて集光されるマクロ照明光の光束が重なるように互いに内側を向いて揺動軸31に懸架されている。それぞれの照明系本体1、1のマクロ照明光の光束が重なり合う位置Pに、検査対象であるガラス基板Gが配設され、外観検査が行われる。
【0025】
また図6乃至図8において、揺動軸31には、それぞれの照明系本体1、1の軸受け部32、32同士の間に、例えばエアシリンダなどからなる第一伸縮機構43が設けられている。この第一伸縮機構43によって、それぞれの照明系本体2の軸受け部32、32同士の間隔が変更可能とされている。また、第1フレームユニット6、6の軸受け部36,36同士の間に、例えばエアシリンダなどからなる第二伸縮機構45が設けられている。この第二伸縮機構45は第一伸縮機構43に連動して軸受け部36,36同士の間隔を変更させることができる。
そのため、第一伸縮機構43によって、それぞれの照明系本体1の軸受け部32、32同士の間隔が変えられると、第二伸縮機構45も連動して軸受け部36,36同士の間隔を調整するために、二つの照明系本体1、1がヒンジ42を中心に互いにC方向に回動する。これによって、各照明系本体1、1から照射されるマクロ照明光の向きと交差角度が変更され、マクロ照明光が互いに接近または離間する方向に回動する。
第一、第二伸縮機構43、45は二つの照明系本体1、1による照明光の角度調整手段を構成する。
【0026】
また、本第2実施形態による外観検査用投光装置41では、図7に示すように、第1実施形態と同様に各照明系本体1、1は軸受け部32、32を回動可能に支持する揺動軸31が、移動ユニット21の移動部24に支持されている。そして駆動モータ25を駆動させることで移動部24とともに照明系本体1、1をレール23、23に沿ってA方向に移動させることにより、観察系本体のガラス基板Gへのマクロ照明光の照射位置をA方向に移動して所望位置に設定できる。
また、図6乃至図8において、図4に示す第1実施形態と同様に、揺動ユニット30として、移動部24の頂点部24bには支持部33を介して直動アクチュエータ34が設けられており、シリンダ34aの外装部に支持片34cが接続されている。この支持片34cは、二つの照明系本体1、1の第1フレームユニット6、6に設けられた軸受け部36、36と共に連結軸37に回転可能に挿通されている。
そのため、直動アクチュエータ34によって駆動ロッド34bを伸縮させると、照明系本体1、1は揺動軸31回りにA方向に略直交するB方向に一体に揺動する(図1及び図4と同一に表れるために図は省略する)。
【0027】
従って、本実施形態による外観検査用投光装置41によれば、第1実施形態と同様に、移動ユニット21によって一対の照明系本体1、1を一体にA方向に移動させた任意の位置で、揺動ユニット30によってA方向に略直交するB方向にマクロ照明光を揺動できる。そのため、大型のガラス基板Gであっても小型の照明光学系をそれぞれ有する照明系本体1、1によりマクロ照明光を略直交する二方向に走査させることで、マクロ照明光を大型のガラス基板Gの全体に亘って走査し目視による観察を行える(図6及び図8参照)。
しかも、図6乃至図8に示すように、各照明系本体1、1は、揺動軸31に設けた第一伸縮機構43及び連結軸37に設けた第二伸縮機構45によって、それぞれの照明系本体1、1の軸受け部32、32同士、軸受け部36、36同士の間隔を調整することで、ヒンジ部42回りにそれぞれの照明系本体1、1をC方向に揺動でき、マクロ照明光のガラス基板Gに対する照射角度を変更できる。そのため、B方向の揺動・照射では検出できないガラス基板G上の傷や塵、ムラ等を異なる揺動方向の角度から照射することで確実に検出できる。
【0028】
上述のように本第2実施形態による外観検査用投光装置41によれば、小型の照明光学系を有する照明系本体1、1で大型のガラス基板Gを照射できると共に装置を小型・軽量化して低コストにできる等という上述した第1実施形態と同様の効果に加えて、二つの照明系本体1、1を連結したので、ガラス基板Gへのマクロ照明光の照射面積を大幅に大きくすることが可能になり、フレネルレンズ5及び第2反射ミラー4に小型のものを用いても大きなガラス基板Gの外観検査を効率的に行うことができる。
しかも、この外観検査用投光装置41によれば、二つの照明系本体1、1をヒンジ42によってB方向と略直交するC方向に互いに回動可能に連結したので、それぞれの照明系本体1、1からのガラス基板Gに対するマクロ照明光の照射角度を数度の微小角度に変更したり、微小角度範囲内で連続的に揺動させることにより、傷や塵、ムラ等の発見をさらに確実に行うことができるとともに、ガラス基板G上のパターンの回折光の確認を良好に行うことができ、外観検査のさらなる円滑化を図ることができる。
【0029】
なお、上記第2実施形態では、二つの照明系本体1を連結したが、互いに連結する照明系本体2は、二つに限定されない。
また上述の第1、第2実施形態では、各照明系本体1の照明光学系はマクロ照明光源2、第1反射ミラー3、第2反射ミラー4、フレネルレンズ5で構成したが、焦点距離の小さな小型のフレネルレンズ5を用いマクロ照明光源2から照明光を直接第2反射ミラー4に入射できれば第1反射ミラー3を省略することができる。
また、上述の第1、第2実施形態ではマクロ照明光源2を第1フレームユニット6に支持したが、第1フレームユニット6の外側に固定配置し、光ファイバーを介して第1反射ミラー3又は第2反射ミラー4に向けてマクロ照明光を照射させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態による外観検査用投光装置の照明系本体を示す要部斜視図である。
【図2】図1に示す照明系本体の平面図である。
【図3】図1に示す照明系本体の側面図である。
【図4】照明系本体の揺動ユニットを示す側面図である。
【図5】照明系本体の移動機構を示す要部上面図である。
【図6】第2実施形態による外観検査用投光装置を示す正面図である。
【図7】外観検査用投光装置の移動機構を示す要部上面図である。
【図8】外観検査用投光装置のヒンジ回りの回動機構を示す要部背面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 照明系本体
2 マクロ照明光源(光源)
3 第1反射ミラー(反射ミラー)
4 第2反射ミラー(反射ミラー)
5 フレネルレンズ
6 第1フレームユニット
7 第2フレームユニット
21 移動ユニット(移動機構)
24 移動部
30 揺動ユニット
31 揺動軸
41 外観検査用投光装置
42 ヒンジ(連結回転部材)
43 第一伸縮機構(角度調整手段)
45 第二伸縮機構(角度調整手段)
G ガラス基板(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を反射させる反射ミラーと、該反射ミラーにて反射された光を集光するフレネルレンズとを有し、該フレネルレンズにて集光させた光を基板に照射して外観を検査する外観検査用投光装置であって、
前記反射ミラー及びフレネルレンズをフレームユニットに一体に設けた照明系本体と、この照明系本体を懸架させて移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする外観検査用投光装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記照明系本体を揺動軸に揺動可能に懸架するとともに、該照明系本体を一軸方向に走査し、この一軸方向と交差する方向に前記照明系本体を揺動させることを特徴とする請求項1に記載の外観検査用投光装置。
【請求項3】
光源からの光を反射させる反射ミラーと、該反射ミラーにて反射された光を集光するフレネルレンズとを有し、該フレネルレンズにて集光させた光を基板に照射して外観を検査する外観検査用投光装置であって、
前記反射ミラーと前記フレネルレンズとをフレームユニットに一体に組み込んだ照明系本体と、
前記照明系本体を複数連結して懸架する移動部と、
前記移動部を一方向に移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする外観検査用投光装置。
【請求項4】
前記複数の照明系本体は、それぞれの照明系本体の各フレネルレンズが互いに内側を向くように連結されるとともに、前記各フレネルレンズにより収束された各照明光束が重なり合う傾斜角度に設定されることを特徴とする請求項3に記載の外観検査用投光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−164322(P2008−164322A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350983(P2006−350983)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】