説明

外観検査装置およびその検査方法

【課題】
厚みの薄いモールド樹脂剥がれ等の欠陥を精度よく検出できる外観検査装置及びその検査方法を提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる外観検査装置100は、検査対象物(ワーク)10中の擬似的な凹レンズの焦点付近にフォーカスを合わせて撮像を行って画像データを得るカメラ1Aと、カメラ1Aとワーク10を結ぶ光軸に沿って照明光を測定対象物に照射する同軸照明3と、カメラ1Aで得られた画像データから輝点を検出して欠陥の有無を判定する剥がれ検査部7とを有している。カメラ1Aは、同軸照明3が照射した光がワーク10に反射されて生じた拡散光を、ワーク10内の欠陥による擬似的な凹レンズを介した虚像として撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の外観検査装置に関し、特に、透明樹脂で封止された半導体デバイスの欠陥を検査する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDなどの光ピックアップに使用する受光素子やチップ型LEDなどの光半導体デバイスは、半導体ペレットを透明樹脂でモールドして形成されている。これらのデバイスでは、光の受光面あるいは発光面にあたるモールド樹脂中に異物、キズ、気泡等の外観不良(欠陥)が生じるとデバイスの特性に大きく影響するため、これらの欠陥を検出するための外観検査が必須となっている。また、デジタルカメラや携帯電話端末において二次的なバッテリーとして利用されているハイパワーキャパシタなどの電子部品では、ラミネート張り付け封止工程が行われているが、このラミネート張り付け封止工程においても剥離・気泡といった欠陥が生じると、デバイス分離時に気泡破壊により内部媒体が外に染み出すといった問題が生じるため、欠陥を検出するための外観検査が必須となっている。
【0003】
光半導体デバイスのモールド樹脂等の透明材料に対する欠陥の検査では、従来からCCDカメラを用いた自動外観検査装置による検査が行われている。カメラ画像を利用した自動検査では、欠陥部を鮮明に撮像するための照明方法の工夫や、画像処技術の工夫で撮影画像のコントラストを補正して検査する方法等が行われている(例えば特許文献1乃至2を参照)。
【0004】
CCDカメラを用いた従来の外観検査の原理について、図6を用いて説明する。検査では、検査対象物である透明樹脂で封止された半導体パッケージ60に対して斜め方向から照明光64を照射する。このとき気泡や異物等の欠陥がなければ、入射した照明光64は、モールド樹脂62及び封止された半導体ペレット61の表面で反射されて反射光65となる。このとき、CCDカメラ67は、正反射された反射光65を検出しない位置に設置されており、反射光65を観測することはない。しかしながら、モールド樹脂62中に欠陥63がある場合には、欠陥63によって照明光64が乱反射される。欠陥63によって生じた乱反射光66はCCDカメラ67に入射するため、CCDカメラ67において乱反射光66による輝点が観測されることになる。したがって、CCDカメラ67で得られた画像データから輝点を検出することによって、欠陥の有無を検査することができる。
【特許文献1】特開2000−180136号公報
【特許文献2】特開2002−310939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した原理に基づいて検査を行う従来の外観検査装置は、モールド樹脂中の気泡や異物といった欠陥の検出に効果がある。しかしながら、ペレット表面でのモールド樹脂の剥がれ等の厚みが薄い(数μm程度)欠陥の場合には、欠陥の輪郭部で乱反射する領域が極めて少なくなるため、コントラストのよい輝点を得ることが極めて困難である。このため、従来の外観検査装置では剥がれ等の厚みが薄い欠陥の検出が困難であるという課題がある。
【0006】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、厚みの薄いモールド樹脂剥がれ等の欠陥を精度よく検出できる外観検査装置及びその検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる外観検査装置は、検査対象物中の擬似的な凹レンズの焦点付近にフォーカスを合わせて撮像を行って第1の画像データを得る第1の撮像手段と、前記第1の撮像手段と前記検査対象物を結ぶ光軸に沿って照明光を前記検査対象物に照射する第1の照明手段と、前記第1の画像データから輝点を検出して、前記検査対象物の欠陥の有無を判定する第1の判定手段とを有するものである。このような構成により、厚みの薄いモールド樹脂剥がれ等の欠陥を画像データ中の輝点として検出することができるため、これらの欠陥を精度よく検出することが可能となる。
【0008】
また、本発明にかかる外観検査装置は、検査対象物の撮像を行って第1の画像データを得る第1の撮像手段と、前記第1の撮像手段と前記検査対象物を結ぶ光軸に沿って照明光を前記検査対象物に照射する第1の照明手段と、前記第1の画像データから輝点を検出して欠陥の有無を判定する第1の判定手段とを有し、前記第1の撮像手段は、前記第1の照明手段が照射した光が前記検査対象物に反射されて生じた光を、前記検査対象物内の欠陥による擬似的な凹レンズを介した虚像として撮像することを特徴とするものである。
【0009】
また上述の外観検査装置は、検査対象物の撮像を行って第2の画像データを得る第2の撮像手段と、前記第2の撮像手段と検査対象物とを結ぶ光軸に対して斜め方向から、前記検査対象物に照明光を照射する第2の照明手段と、前記第2の画像データから輝点を検出して前記欠陥の有無を判定する第2の判定手段とをさらに有し、前記第2の撮像手段は、前記第2の照明手段が照射した光が前記検査対象物中の欠陥よって乱反射された光を撮像するものとして構成することは望ましい。このような構成により、モールド樹脂剥がれのような厚みの薄い欠陥の検出と、気泡・異物等の欠陥の検出を同一の装置を用いて行うことができるため、外観検査の作業効率を向上させることができる。
【0010】
なお、前記第1の撮像手段のフォーカス位置を変更することによって、前記第2の撮像手段を前記第1の撮像手段と共通のものとしてもよい。このような構成により、撮像手段の共通化による装置コストの低減化を図ることができ、さらに、撮像手段の柔軟なフォーカス調整が可能となるため、検査精度を向上することができる。
【0011】
他方、本発明にかかる外観検査方法は、検査対象物と撮像手段とを結ぶ光軸に対して平行又は略平行な第1の照明光を前記検査対象物に照射しながら、前記検査対象物中の擬似的な凹レンズの焦点付近にフォーカスを合わせて撮像を行って第1の画像データを得て、撮影された第1の画像データから輝点を検出して前記検査対象物の欠陥の有無を判定するものである。このような方法により、厚みの薄いモールド樹脂剥がれ等の欠陥を画像データ中の輝点として検出することができるため、これらの欠陥を精度よく検出することが可能となる。
【0012】
さらに上述の外観検査方法は、前記検査対象物と前記撮像手段とを結ぶ光軸に対して斜め方向から前記検査対象物に第2の照明光を照射しながら、前記検査対象物中の欠陥よって前記第2の照明光が乱反射された光を撮像して第2の画像データを得て、撮影された第2の画像データから輝点を検出して、前記検査対象物の欠陥の有無を判定するステップを加えて行うことが望ましい。このような方法により、モールド樹脂剥がれのような厚みの薄い欠陥の検出と、気泡・異物等の欠陥の検出を一連の検査で行うことができるため、外観検査の作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、厚みの薄い欠陥を精度よく検出できる外観検査装置及びその検査方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の実施の形態1.
図1に本実施の形態にかかる外観検査装置100の構成を示す。カメラ1Aはペレット表面でのモールド樹脂の剥がれのような厚みの薄い欠陥の検出に使用するカメラである。一方、カメラ1Bは、気泡、異物等の欠陥の検出に使用される。カメラ1A、1Bは共に、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサを撮像素子として有する、いわゆるデジタルカメラである。
【0015】
カメラ1Aで得られた撮像は、カメラ1Aが有するA/D変換部(図示せず)によってデジタル画像に変換された後、剥がれ検査部7に対して出力される。同様に、カメラ1Bで得られた撮像は、デジタル画像に変換された後、樹脂検査部8に対して出力される。なお、カメラ1Aとカメラ1Bは、ハーフミラー5Bを介して配置することにより、両カメラで検査対象物(ワーク)10を図の上方から撮影可能な構成としている。
【0016】
レンズ2Aは、カメラ1Aに取り付けられ、後述するように、フォーカス位置をワーク10からずらした位置に設定するためのレンズである。レンズ2Bは、カメラ1Bに取り付けられ、フォーカス位置をワーク10内の欠陥観察を行う位置に設定するためのレンズである。同軸照明3は、カメラ1Aとワーク10を結ぶ光軸に沿って、ワーク10に対して平行光を照射するための照明であり、カメラ1Aとワーク10を結ぶ光軸上にハーフミラー5Aを介して挿入される。斜方照明4は、ワーク10に対して斜め方向から光を照射するための照明である。同軸照明3及び斜方照明4としては、ON/OFF制御や光量切り替えといった照明制御を高速に実施でき、かつ長期間に渡って光量変動が小さく安定した照射が可能なLED照明であることが望ましい。また、撮像制御部6は、同軸照明3及び斜方照明4の点灯/消灯並びにカメラ1A及びカメラ1Bによる撮影を制御し、後述する剥がれ検査とそれ以外の欠陥検査に必要な撮影を順次実施を可能とするための制御部である。
【0017】
剥がれ検査部7は、カメラ1Aで得られた画像データに対して欠陥を抽出するための画像処理を施す機能部であり、ワーク10内でのペレットとモールド樹脂との剥がれによって生じる輝点を画像データから検出する輝点検出部7Aと、抽出された輝点の大きさから欠陥であることを判定する欠陥判定部7Bからなる。なお、剥がれ欠陥によって輝点が観察される原理及び具体的な観察方法については後述する。
【0018】
樹脂検査部8は、カメラ1Bで得られた画像データに対して欠陥を抽出するための画像処理を施す機能部であり、気泡、異物等による乱反射光によって生じる輝点を画像データから検出する輝点検出部8Aと、抽出された輝点の大きさから欠陥であることを判定する欠陥判定部8Bからなる。
【0019】
出力部9は、剥がれ検査部7及び樹脂検査部8から送られてきた検査結果をディスプレイ、プリンタ又は記憶装置等の出力先(図示せず)に出力する。
【0020】
次に、ワーク10内において、ペレットとモールド樹脂との間に剥がれが生じた場合に、その欠陥を観察する原理について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、輝点観察の原理を説明するために、ワーク10の断面を表した図である。図2(a)は、ペレット11と透明なモールド樹脂12との間に剥がれ欠陥が生じていない場合を示しており、図2(b)は、ペレット11とモールド樹脂12との間に剥がれ欠陥13が生じている場合を示している。
【0021】
剥がれ欠陥が生じていない図2(a)の場合には、同軸照明3によって図の上部から照射された平行光14はペレット11の表面で正反射され、反射光15はカメラ1Aの方向に戻ることになる。したがって、ペレット表面にフォーカス位置を調整してカメラ1Aによって撮影して得た画像データでは、ペレット表面を明瞭に観察することができる。また、フォーカス位置をペレット表面からずらした場合には、コントラストの低下した画像が得られるのみであり、画像データ上に輝点が生じることはない。
【0022】
一方、剥がれ欠陥13が生じている図2(b)の場合には、モールド樹脂12が剥がれ欠陥13との界面において凹レンズの役割を果たすために、上記の図2(a)の場合とは反射光の振る舞いが変化する。具体的には、同軸照明3によって照射された平行光14がモールド樹脂12を透過して剥がれ欠陥13に出射する際に、モールド樹脂12と剥がれ欠陥部13との屈折率差があるために、モールド樹脂12が凹レンズとして機能して光が拡散する。さらに、この拡散光が、ペレット11の表面で反射されて、モールド樹脂12を再び透過してカメラ1A側に戻ってくるが、最終的な反射光16は、図2(b)に示すような拡散光となる。
【0023】
本発明は、反射光16が凹レンズから出てくる拡散光であることに着目し、凹レンズを透過してくる拡散光の虚像は凹レンズの焦点位置17に相当する一点から出てくるように見えることを利用して、この焦点位置17付近にフォーカス位置を合わせるようカメラ1Aに備えたレンズ2Aを設定して撮影を行うこととした。このように、フォーカス位置を意図的にペレット11表面からずらし、凹レンズの焦点付近にフォーカスを合わせて撮影を行って、散乱された反射光16の虚像を輝度の高い輝点として観察することにより、剥がれ欠陥14が生じていることを検出できることになる。
【0024】
図3に、剥がれ欠陥が生じている場合に、カメラ1Aで得られる画像データを示す。図3(a)は、ワーク10を上部(カメラ1A側)から見た状態を示した図であり、図3(b)及び(c)は、撮影される画像データを示している。このうち図3(b)は、ペレット11表面にフォーカスを合わせて撮影した場合におけるペレット表面付近の画像データである。この場合には、ペレット表面の像31は鮮明に見えるものの、図に破線で囲んだ剥がれ欠陥32が生じていることの判別は困難である。
【0025】
一方、図3(c)は、モールド樹脂による凹レンズを想定した場合に、その凹レンズの焦点付近にフォーカスを合わせた場合に得られる画像データを示している。このとき、ペレット表面の像31は不鮮明となるが、上述した原理によって、剥がれ欠陥32の中心付近に鮮明な輝点33を観察することができる。
【0026】
この原理を応用した検査を実施することにより、斜方照明の乱反射光によって欠陥検出を行う従来の方法では検出が困難であった厚みの薄い剥がれ欠陥を検出することが可能となる。
【0027】
一方、斜方照明4を利用してカメラ1Bで撮影を行って、得られた画像データから輝点を抽出して欠陥検査を行う原理は、欠陥で乱反射された光によって生じる輝点を検出するものであり、背景技術で述べた従来の欠陥検査の方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0028】
続いて、外観検査装置100による検査フローを図4に従って説明する。まずステップS1では、撮像制御部6の指示により、同軸照明3を点灯し、斜方照明4を消灯した状態でカメラ1Aによる撮影を行う。撮影は、モールド樹脂12を凹レンズとみなした場合の焦点付近にフォーカスを合わせて行われる。なお、このフォーカス合わせは、モールド樹脂12の剥がれ欠陥の大きさ、形状を予測することによって、剥がれ欠陥によって生じる擬似的な凹レンズの曲率及び焦点位置を予め想定し、想定した焦点位置にフォーカスが合うようレンズ2Aを設定して行えばよい。さらに、撮影された画像データが剥がれ検査部7に出力される。
【0029】
次にステップS2では、カメラ1Aより送られてきた画像データから予め設定した閾値以上の輝度を持つ領域を抽出した画像(輝点抽出画像)を生成する処理を、輝点検出部7Aにおいて行う。なお、輝度の高い領域を抽出する処理は、従来の外観検査装置において行われている処理と同様の方法で行うことができる。例えば、画像データのコントラストを検知して一定の閾値を超える領域のみを輝点として抽出する、いわゆる2値化によって抽出することとすればよい。さらに、デジタルフィルタ処理によって画像を先鋭化した後に、上記の輝点抽出を行うこととしてもよい。
【0030】
続いてステップS3では、欠陥判定部7Bにおいて、輝点検出部7Aで作成された輝点抽出画像の中に、予め設定した大きさ以上の輝点があるか否かによって剥がれ欠陥の有無の判定を行う。ここで得られた検査結果は出力部9に出力される。
【0031】
ステップS4では、厚みの薄い剥がれ欠陥以外の欠陥を検出するために、同軸照明3を消灯し、斜方照明4のみを点灯して、カメラ1Bで撮影を行う。この撮影では、モールド樹脂12の厚さに対応した焦点深度を有する画像を得ることとしてもよいし、より正確に欠陥検出を行いたい場合には、焦点深度を浅くし、複数の焦点位置での撮影を行って、複数の画像データを得ることとしてもよい。この場合の焦点位置の調整は、撮像制御部6によってレンズ2Aを駆動させて焦点位置を移動させることにより容易に実施することができる。得られた画像データは、樹脂検査部8に出力される。
【0032】
ステップS5では、カメラ1Bより送られてきた画像データから輝点抽出画像を生成する処理を、輝点検出部8Aにおいて行う。なお、輝点抽出画像を生成する方法は、上述した輝点検出部7Aの処理と同様に行えばよい。
【0033】
ステップS6では、欠陥判定部8Bにおいて、輝点検出部8Aから送られた輝点抽出画像の中に予め設定した大きさ以上の輝点があるか否かによって欠陥の有無を判定する。ここで得られた検査結果は出力部9に出力される。
【0034】
最後にステップS7では、主力部9において、剥がれ検査部7及び樹脂検査部8から送られてきた検査結果をディスプレイ、プリンタ、記憶装置等の出力先に出力して検査を終了する。
【0035】
なお、上述した検査フローは一例であり、カメラ1Bでの撮影を先に行っても良いし、カメラ1A及び1Bでの撮影を行った後に、剥がれ検査部7及び樹脂検査部8の処理を実施することとしても、上述した検査フローと同様の欠陥検出が行えることは言うまでもない。
【0036】
発明の実施の形態2.
図5に本実施の形態にかかる外観検査装置200の構成を示す。発明の実施の形態1で説明した外観検査装置100では、厚みの薄い剥がれ欠陥を検出するためにワーク10からフォーカス位置をずらした撮影を行うカメラ1Aと、気泡等の欠陥を検出するためにワーク10にフォーカスを合わせた撮影を行うカメラ1Bの2台のカメラを用いた構成としていた。これに対して外観検査装置200は、カメラ1Aの高さを変更するためのZ軸ステージ51を備えている。Z軸ステージ51を操作することによってカメラ1Cの高さを変えてフォーカス位置を変更でき、1台のカメラ1Aのみで外観検査装置100と同等の検査を実施することができる。なお、その他の機能部は外観検査装置100の各部と同等の機能を有するため、図4において外観検査装置100と同一の番号を付与し、詳細な説明を省略する。
【0037】
外観検査装置200の検査フローは、基本的に図4に示した外観検査装置100のフローと同様である。図4を用いて説明したステップS4の撮影を、カメラ1Bに替えて、Z軸ステージ51を利用してカメラ1Aをワーク10にフォーカスが合う位置に移動して、カメラ1Aによって撮影を行う。これ以外の処理は、発明の実施の形態1で説明した検査フローと同様であるため説明を省略する。
【0038】
このような構成によって、1台のカメラ1Aで検査を行うことができるため、カメラ1Bを挿入するための光学系(ハーフミラー5B)を省略することができる。また、2つのフォーカス位置への移動のみならず、フォーカス位置を柔軟に変更できる利点がある。
【0039】
その他の実施の形態.
発明の実施の形態1に示した外観検査装置100のカメラ1AにZ軸ステージを備えることにより、通常は、2台のカメラによる撮影によって高速な検査を実施し、製品品種の変更等によって詳細なフォーカス調整が必要な場合にのみZ軸ステージを使ってカメラ位置を調整することによって、効率よく検査を実施することができる。
【0040】
また、上記のZ軸ステージによるカメラの移動に替えて、レンズ2Aにフォーカス位置を調整するための合焦用レンズを備えることとし、合焦用レンズの位置を移動させることによって、剥がれ欠陥検査用の撮影と気泡・異物等の検査用の撮影を、1台のカメラでフォーカス位置を変えて行うこととしてもよい。
【0041】
なお、上述した例では、透明なモールド樹脂で封止された半導体デバイスの欠陥検査について説明したが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、例えば、ラミネート形成された電子部品等の検査にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明にかかる外観検査装置100の構成図である。
【図2】本発明による欠陥検出の原理を説明するための反射光の振る舞いを示す図である。
【図3】本発明による欠陥検出の原理を説明するための画像データの概念図である。
【図4】本発明にかかる外観検査の検査フロー図である。
【図5】本発明にかかる外観検査装置200の構成図である。
【図6】従来の外観検査の原理を示す概念図である。
【符号の説明】
【0043】
100、200 外観検査装置
1A、1B カメラ
2A、2B レンズ
3 同軸照明
4 斜方照明
5A、5B ハーフミラー
6 撮像制御部
7 剥がれ検査部
8 樹脂検査部
9 出力部
10 検査対象物(ワーク)
51 Z軸ステージ
13 剥がれ欠陥
17 凹レンズ焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物中の擬似的な凹レンズの焦点付近にフォーカスを合わせて撮像を行って第1の画像データを得る第1の撮像手段と、
前記第1の撮像手段と前記検査対象物を結ぶ光軸に沿って照明光を前記検査対象物に照射する第1の照明手段と、
前記第1の画像データから輝点を検出して、前記検査対象物の欠陥の有無を判定する第1の判定手段と、
を有する外観検査装置。
【請求項2】
検査対象物の撮像を行って第1の画像データを得る第1の撮像手段と、
前記第1の撮像手段と前記検査対象物を結ぶ光軸に沿って照明光を前記検査対象物に照射する第1の照明手段と、
前記第1の画像データから輝点を検出して欠陥の有無を判定する第1の判定手段とを有し、
前記第1の撮像手段は、前記第1の照明手段が照射した光が前記検査対象物に反射されて生じた光を、前記検査対象物内の欠陥による擬似的な凹レンズを介した虚像として撮像することを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
検査対象物の撮像を行って第2の画像データを得る第2の撮像手段と、
前記第2の撮像手段と検査対象物とを結ぶ光軸に対して斜め方向から、前記検査対象物に照明光を照射する第2の照明手段と、
前記第2の画像データから輝点を検出して前記欠陥の有無を判定する第2の判定手段とをさらに有し、
前記第2の撮像手段は、前記第2の照明手段が照射した光が前記検査対象物中の欠陥よって乱反射された光を撮像する、請求項1又は2のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記第1の撮像手段のフォーカス位置を変更することによって、前記第2の撮像手段を前記第1の撮像手段と共通としたことを特徴とする、請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記検査対象物は透明性を有するモールド材で封止された半導体デバイスであり、前記欠陥は前記半導体デバイスにおけるペレットと前記モールド材との剥がれである、請求項1乃至4のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項6】
検査対象物と撮像手段とを結ぶ光軸に対して平行又は略平行な第1の照明光を前記検査対象物に照射しながら、前記検査対象物中の擬似的な凹レンズの焦点付近にフォーカスを合わせて撮像を行って第1の画像データを得て、
撮影された第1の画像データから輝点を検出して前記検査対象物の欠陥の有無を判定する透明性部材の外観検査方法。
【請求項7】
請求項6に記載の外観検査方法であって、さらに、
前記検査対象物と前記撮像手段とを結ぶ光軸に対して斜め方向から前記検査対象物に第2の照明光を照射しながら、前記検査対象物中の欠陥よって前記第2の照明光が乱反射された光を撮像して第2の画像データを得て、
撮影された第2の画像データから輝点を検出して、前記検査対象物の欠陥の有無を判定する透明性部材の外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3095(P2006−3095A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176674(P2004−176674)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(302000346)NEC化合物デバイス株式会社 (10)
【Fターム(参考)】