説明

外観検査装置

【課題】 錠剤等の固形剤を吸引搬送しながら外観検査する外観検査装置において、機内に存する固形剤の粉末が機外に漏出しないようにする。
【解決手段】 機外の空気を機内に取り込む給気部17と、吸引搬送部4,9,12に接続されて、該吸引搬送部4,9,12に必要な吸引作用を生じさせ且つその吸気を機外へ排気する排気部21,22,23と、機内と機外の圧力差を計測する差圧計27と、該差圧計27の出力値を監視し、機外より機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値を保って負圧となるよう、給気部を制御する制御部28とを備え、機内を負圧に保つことにより、機内に存する固形剤の粉末が機外に漏出するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の固形剤を吸引搬送しながら外観検査する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固形剤の表面、裏面及び全側面を撮影して画像を取り込み、取り込んだ画像を画像処理して外観不良の有無を検出し、外観不良を有する不良品と外観不良を有さない良品とを分別回収する外観検査装置が知られている。この種の外観検査装置は、ホッパーに投入された複数の固形剤を一つ一つ切り出し、整列して搬送しながら外観検査する方式が一般的である。そのため、搬送経路上には、表面撮影用の撮像装置及びそのための光源部、裏面撮影用の撮像装置及びそのための光源部、側面撮影用の撮像装置及びその光源部、そして、良品・不良品の分別回収部が配置される。
【0003】
また、この種の外観検査装置は、固形剤を搬送面に吸着させて吸引搬送するようにしている。これは、固形剤の姿勢を安定化するばかりでなく、慣性力の影響で搬送経路から離脱することなく、固形剤を安定的に搬送するためである。吸引搬送の方法としては、ディスクやドラムの周面に固形剤を吸着させ、固形剤を曲線的に搬送する形態(特許文献1)や、ベルトの表面に固形剤を吸着させ、固形剤を直線的に搬送する形態(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−51873号公報
【特許文献2】特開2004−138429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、固形剤は、固形剤の原料である粉末や、固形剤から一部が微量に欠けて生じた粉末が僅かではあるが付着しているケースがある。そして、固形剤の中には、その粉末を吸引すると、健康なオペレータや検査者にとっては好ましくない成分のものがある。従って、そのような固形剤を取り扱う場合は、粉末が飛散して機外に漏出しないよう、細心の注意が必要である。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、機内に存する固形剤の粉末が機外に不用意に漏出しない外観検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る外観検査装置は、上記課題を解決すべく構成されたもので、錠剤等の固形剤を吸引搬送しながら外観検査する外観検査装置であって、機外の空気を機内に取り込む給気部と、固形剤を吸引搬送するための吸引搬送部に接続されて該吸引搬送部に必要な吸引作用を生じさせ且つその吸気を機外へ排気する排気部と、機内と機外の圧力差を計測する差圧計と、該差圧計の出力値を監視し、機外より機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値を保って負圧となるよう、給気部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、差圧が小さくなれば、給気部の駆動を弱め、逆に、差圧が大きくなれば、給気部の駆動を強めることにより、機外より機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値を保って負圧となるようにする。これにより、機内に存する固形剤の粉末は、機内に閉じ込められたままとなり、機外に漏出することはなくなる。
【0009】
また、別の本発明に係る外観検査装置は、錠剤等の固形剤を吸引搬送しながら外観検査する外観検査装置であって、機外の空気を機内に取り込む給気部と、固形剤を吸引搬送するための吸引搬送部に接続されて該吸引搬送部に必要な吸引作用を生じさせ且つその吸気を機外へ排気する排気部と、機内の圧力を計測する圧力計と、該圧力計の出力値を監視し、機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値の負圧となるよう、給気部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、機内の圧力(気圧)が高くなれば、給気部の駆動を弱め、逆に、機内の圧力(気圧)が低くなれば、給気部の駆動を強めることにより、機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値の負圧となるようにする。これにより、機内に存する固形剤の粉末は、機内に閉じ込められたままとなり、機外に漏出することはなくなる。
【0011】
また、本発明に係る外観検査装置は、排気部が、吸気中に含まれ得る固形剤の粉末を捕捉すべく、フィルタを備える構成を採用することができる。
【0012】
かかる構成によれば、排気部以外の箇所から機内に存する固形剤の粉末が機外に不用意に漏出することが無いのはもちろんであり、但し、排気部からは機内に存する固形剤の粉末が機外に排出され得るが、該粉末は、フィルタにより捕捉されて外部環境に放出されることはない。
【0013】
また、本発明に係る外観検査装置は、排気部における機外への排気経路上に、該排気経路を開閉する開閉手段が設けられる構成を採用することができる。
【0014】
かかる構成によれば、機内が負圧の状態で開閉手段を閉にしてから装置の電源を落としたり、装置の電源を入れて排気部が起動して機内が適度な負圧の状態となってから開閉手段を開とすることにより、装置の電源が入っていない状態(装置の電源が切れている状態)、又は、装置の電源が入ったが排気部がまだ十分に仕事をしていないために機内がまだ十分に負圧となっていない状態においても、機内に存する固形剤の粉末は、機内に閉じ込められたままとなり、機外に漏出することはない。
【0015】
また、本発明に係る外観検査装置は、機内を囲う装置筐体に、機内作業用の小窓が開閉自在に設けられる構成を採用することができる。
【0016】
かかる構成によれば、小窓を開放した上で、オペレータがその手を機外から小窓を通して機内に入れて、機内において所定の作業ができるようになっている。機内が負圧であるため、小窓を開放すると、機外の空気が小窓を介して機内に流入することとなるが、この流入量よりも排気部による機外への排気量の方が勝っているため、機内の負圧は適正に維持される。逆に言えば、装置の電源がONとなっている状態や装置運転中であっても、小窓を開放してオペレータは機内での作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明は、機内の圧力が負圧となるようにしているため、機内に存する錠剤の粉末が機外に不用意に漏出するのを好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一実施形態に係る外観検査装置の断面図を示す。
【図2】同外観検査装置の概念図を示す。
【図3】同外観検査装置による差圧制御の説明図を示す。
【図4】同外観検査装置による差圧制御のフローチャートを示す。
【図5】第二実施形態に係る外観検査装置の概念図を示す。
【図6】同外観検査装置における電源ON時及び電源OFF時のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る外観検査装置の実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
【0020】
<第一実施形態>
本実施形態に係る外観検査装置は、円形錠剤や異形錠剤(フットボール形、楕円形等)の錠剤を吸引搬送しながら外観検査するものであり、錠剤の四側面、表面及び裏面を撮影して画像を取り込み、取り込んだ画像を画像処理して、汚点検査(異物付着、汚点、傷等の有無)、形状検査(規定寸法外、割れ、変形等の有無)、欠け検査(エッジ欠け、割線欠け等の有無)、印刷検査(印刷かすれ、印刷にじみ、無印刷等の有無)、色検査(異色、変色、しみ、はがれ等の有無)といった外観不良の有無を検出し、外観不良を有する不良品と外観不良を有さない良品とを分別回収する。
【0021】
より詳しくは、図1に示す如く、本実施形態に係る外観検査装置は、ホッパ1に投入された錠剤を振動フィーダ2によって整流ターンテーブル3へ供給し、一列に整列した後、検査部へ受け渡し、検査部では、錠剤を吸引ディスク搬送方式からなるディスク搬送ユニット4によって円弧的に搬送することにより、第一の照明ユニット5を通過させ、そこで、第一の撮像装置(例えば、CCDラインセンサカメラ、以下、同様)6により、錠剤の一方側の二側面を撮像し、次に、第二の照明ユニット7を通過させ、そこで、第二の撮像装置8により、錠剤の他方側の二側面を撮像し、さらに、ディスク搬送ユニット4から受け渡されて錠剤を吸引ベルト搬送方式からなる第一のベルト搬送ユニット9によって直線的に搬送することにより、第三の照明ユニット10を通過させ、そこで、第三の撮像装置11により、錠剤の表面を撮像し、次に、第一のベルト搬送ユニット9から受け渡されて錠剤を吸引ベルト搬送方式からなる第二のベルト搬送ユニット12によって直線的に搬送することにより、第四の照明ユニット13を通過させ、そこで、第四の撮像装置14により、錠剤の裏面を撮像し、そして、撮像された映像を画像処理し、各個別判定をもとに良/不良の総合判定を行い、総合判定した錠剤を選別ユニット15で良品側と不良品側に自動選別する。
【0022】
図2は、本実施形態における特徴的な部分を表した図1の概念図である。本実施形態に係る外観検査装置は、以上の基本構成のほか、本実施形態における特徴的な部分として、機外の空気を機内に取り込む給気部と、機内の空気を機外へ排気する排気部を備える。
【0023】
給気部は、装置の筐体16上部に設置された給気ユニット17である。該給気ユニット17は、給気ファン18と、HEPAフィルタ19とからなる。給気ファン18は、インバータ制御とされ、機外から機内への給気量を調整可能となっている。HEPAフィルタ19は、主に直径1〜10μm以下のガラス繊維であって、繊維の充填率が10%程度であり、空隙が数10μmの大きさを持つ濾紙を用いて構成され、機内に存する錠剤の粉末が給気部を介して機外へ漏出するのを防止する。
【0024】
排気部は、機外に設置された外部集塵ユニット20である。該外部集塵ユニット20は、ディスク搬送ユニット4、第一のベルト搬送ユニット9及び第二のベルト搬送ユニット12のそれぞれ吸引搬送部に接続されて、これら吸引搬送部に必要な吸引作用を生じさせ、且つその吸気を機外へ排気する第一の排気部21と、第一〜第四の照明ユニット5,7,10,13のそれぞれ光源部を冷却すべく、該光源部によって暖められた光源部周辺の空気を吸引し、且つその吸気を機外へ排気する第二の排気部22と、機内に存する錠剤の粉末を機外に排出すべく、機内の空気を吸引し、且つその吸気を機外へ排気する第三の排気部23とからなる。
【0025】
第一〜第三の排気部21,22,23は、それぞれ、吸引ブロワ24と、HEPAフィルタ25とからなる。第一の排気部21の吸引ブロワ(搬送用吸引ブロワ)24は、インバータ制御とされ、機内から機外への排気量を調整可能となっている。一方、第二の排気部22の吸引ブロワ(光源冷却用吸引ブロワ)24及び第三の排気部23の吸引ブロワ(粉取用吸引ブロワ)24は、定量ブロワとされるが、前段に自動又は手動の流量調整弁を設けることにより、機内から機外への排気量を調整可能となっている。尚、機内と外部集塵ユニット20(の排気部21,22,23)を結ぶ各排気経路には、該排気経路を開閉するための開閉手段としての吸引ブロワバルブ26が設けられている。
【0026】
これら吸引ブロワ24,24,24は、筐体27に収容され、これら吸引ブロワ24,24,24により吸引した機内の空気は、筐体27に形成された排気口(図示せず)から外部へ排気される。そのため、吸引した機内の空気に含まれ得る錠剤の粉末が筐体27外へ漏出するのを防止すべく、筐体27内でそれぞれ吸引ブロワ24の前段にHEPAフィルタ25が設置される。尚、フィルタ交換は、バグインバグアウト方式とされる。
【0027】
ところで、機内とは、厳密に言えば、筐体16内の、気密に仕切られた空間の内部であり、具体的には、ディスク搬送ユニット4、第一のベルト搬送ユニット9及び第二のベルト搬送ユニット12のそれぞれ吸引搬送部、第一〜第四の照明ユニット5,7,10,13のそれぞれ光源部が収容される空間である。そして、本実施形態においては、機内の作業用として、開閉自在な小窓が設けられる。より詳しくは、筐体16は、機内を開放可能とするために、開閉扉(例えば、観音開き式)を有し、小窓は、この開閉扉に設けられる。装置の電源がONとなっている状態や装置運転中、オペレータは、開閉扉を開けるのではなく、小窓を開け、手をそこから機内に入れて機内の作業を行う。
【0028】
また、本実施形態に係る外観検査装置は、機内と機外の圧力差を計測する差圧計28と、機内の圧力(気圧)を計測する圧力計(気圧計)29と、差圧計28、圧力計29及び給気部(の給気ファン18)に電気信号的に接続される制御部30とをさらに備える。制御部30は、外観検査装置の上記した基本構成に対する制御部であるが、本実施形態における特徴的な部分としては、差圧計28の出力値を監視し、機外より機内の圧力が常に一定の範囲内を保って負圧となるよう、給気部(の給気ファン18の動作)を制御する。
【0029】
より詳しくは、差圧が小さくなる方向に作用するのは、給気部であり、差圧が大きくなる方向に作用するのは、排気部である。従って、差圧が大きくなれば、給気部の作用を強め、差圧が小さくなれば、排気部の作用を強めるとよい。但し、排気部(第一〜第三の排気部21,22,23)はそれぞれ役割を持っており、作用(吸引力)を変動させるのは好ましくない。従って、本実施形態では、排気部の作用(吸引力)は一定で、差圧の変化に応じて給気部の作用(給気量)を変化させるようにしている。即ち、差圧が小さくなれば、給気部の給気ファン18の駆動を弱め、さらに差圧が小さくなれば、給気ファン18の駆動を停止し、逆に、差圧が大きくなれば、給気ファン18の駆動を強める。
【0030】
本実施形態においては、制御部30は、図3に示す如く、差圧が第1の値(例えば、40Pa)よりも大きくなれば、給気部の給気ファン18をONにする一方、差圧が第2の値(例えば、35Pa)よりも小さくなれば、給気ファン18をOFFにすることにより、差圧を第1及び第2の値の範囲内を保つようにする。尚、差圧が第3の値(第2の値よりも小さな値、例えば、20Pa)よりも小さくなれば、それは機内の気密性が損なわれて機外の空気が機内へ入り込んでいるとして、オペレータに向けて警報を発するようにし、逆に、機内の圧力(機内圧)が第4の値(例えば、900Pa)よりも大きくなれば、それは排気部が故障しているかもしれないとして、オペレータに向けて警報を発するようにしている。以下に、図4を参照しつつ、具体的な制御方法を説明する。
【0031】
まず、装置の電源をONにすると、第一〜第三の排気部21,22,23の各吸引ブロワ24が起動する(S1)。これにより、a)ディスク搬送ユニット4、第一のベルト搬送ユニット9及び第二のベルト搬送ユニット12に必要な吸引作用が生じ、ディスク搬送ユニット4、第一のベルト搬送ユニット9及び第二のベルト搬送ユニット12による吸引搬送が可能となり、b)光源部が冷却され、c)機内に錠剤の粉末が存する場合、粉末が機外に排出され得る状態となり、d)また、これらに伴い、機内の空気が吸引されて機内の圧力が負圧となる。これ以降、上記した制御が開始される。
【0032】
まず、差圧が40Paよりも大きいか否かがチェックされる(S2)。そして、このS2がYESの場合は、差圧を小さくすべく、給気ファン18が駆動される(S3)。これが上限値の制御である。次に、S3の後、あるいはS2がNOの場合、差圧が35Paよりも小さいか否かがチェックされる(S4)。そして、このS4がYESの場合は、差圧を大きくすべく、給気ファン18が停止される(S5)。これが下限値の制御である。
【0033】
次に、S5の後、あるいはS4がNOの場合、差圧が20Paよりも小さいか否かがチェックされる(S6)。このS6がYESになるということは、機内の気密性が損なわれて機外の空気が機内へ入り込んでいるために差圧が上がらなくなっている状態である。従って、このまま放置しておくと、装置の電源をOFF(各吸引ブロワ24を停止)にすると、機内の空気(に含まれ得る錠剤の粉末)が機外に漏出(リーク)するおそれがある。そのため、S6がYESの場合は、オペレータに向けて警報が発されるようになっている(S7)。
【0034】
次に、S6がNOの場合、機内の圧力が900Paよりも大きいか否かがチェックされる(S8)。このS8がYESになるということは、給気ファン18が故障して機内に空気が送り込まれないために差圧が下がらなくなっている状態である。従って、S8がYESの場合は、オペレータに向けて警報が発されるようになっている(S9)。
【0035】
そして、S8がNOの場合は、そのままS2に復帰する。このようにして、装置の電源がONとなっている間は、S2,S4,S6,S8の各数値チェックが常に行われ、差圧に関する定常及び異常の運転が行われる。尚、S2,S4,S6,S8の順番は上記のものに限定されない。
【0036】
以上、本実施形態に係る外観検査装置によれば、機外より機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値を保って負圧となるようにしているため、錠剤を取り扱うことにより機内に存する錠剤の粉末が機外に不用意に漏出するのを好適に防止することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る外観検査装置によれば、排気部の作用(吸引力)は一定で、給気部の作用(給気量)を制御することにより、機内の負圧を調整する制御方法を採用するため、吸引搬送力が変化することはない。従って、搬送性能に影響を与えることなく、差圧制御が可能となる。
【0038】
また、本実施形態に係る外観検査装置によれば、排気部以外の箇所から機内に存する錠剤の粉末が機外に不用意に漏出することが無いのはもちろんであるが、排気部からは機内に存する錠剤の粉末が機外に排出され得る。しかしながら、本実施形態に係る外観検査装置によれば、吸気中に含まれ得る錠剤の粉末がHEPAフィルタ25により捕捉されて外部環境に放出されることはない。
【0039】
また、本実施形態に係る外観検査装置によれば、取り扱われる錠剤に近いところで(第一の排気部21により)負圧を発生させることとなるため、錠剤に付着している粉末は、機内に飛散しにくくなっている。従って、主として第一の排気部21により機内に存する錠剤の粉末を捕捉することができ、極めて効率的である。
【0040】
また、本実施形態に係る外観検査装置によれば、機内の作業を行う際、オペレータは、小窓を開け、この小窓を介して機内にアプローチするようになっているが、この小窓を開放することで差圧が下がらないよう、小窓を開けると給気ファン18の駆動が停止するようになっている。従って、小窓を開けて機内が開放されても、機内の負圧が維持され、機内に存する錠剤の粉末が小窓を介して機外に漏出することはない。
【0041】
<第二実施形態>
本実施形態に係る外観検査装置は、第一実施形態に係る外観検査装置の発展型である。本実施形態に係る外観検査装置が第一実施形態に係る外観検査装置と共通する部分は同一符号を付し、異なる点についてのみ、図5を参照しつつ、以下に説明する。
【0042】
機内と外部集塵ユニット20(の排気部21,22,23)を結ぶ各排気経路には、上述の如く、吸引ブロワバルブ26が設けられるほか、圧力スイッチ31が設けられる。また、検査室内に設置される外部集塵ユニット20(の排気部21,22,23)は、壁32を隔てて検査室外(の機械室)に設置される機械室ブロワユニット33(の筐体34に収容される機械室ブロワ35)と接続される。さらに、外部集塵ユニット20(の排気部21,22,23)と機械室ブロワユニット33(の機械室ブロワ35)を結ぶ排気経路には、機械室ブロワバルブ36が設けられる。
【0043】
かかる外観検査装置によれば、装置の電源ON時は、外部集塵ユニット20の吸引ブロワ24,24,24を適度に作動させ、吸引ブロワバルブ26,26,26よりも上流側の圧力(即ち、機内の圧力)が一定値以下の負圧となっていることを確認した上で、吸引ブロワバルブ26,26,26を開放するようになっている。また、装置の電源OFF時は、まず吸引ブロワバルブ26,26,26を閉にしてその後一定時間を置いてから吸引ブロワ24,24,24を停止するようになっている。以下に、図6を参照しつつ、具体的な制御方法を説明する。
【0044】
まず、装置の電源をONにすると、機械室ブロワ35が起動する(S10)。そして、機械室ブロワバルブ36が開となっている否かがチェックされ(S11)、これがYESの場合、吸引ブロワ24,24,24が起動する(S12)。次に、圧力計29によって計測された機内の圧力が十分に負圧になっているか否かがチェックされ(S13)、これがYESの場合、吸引ブロワバルブ26,26,26が開となる(S14)。そして、運転の待機状態(スタンバイ状態)に移行する。
【0045】
一方、装置の電源をOFFにすると、吸引ブロワバルブ26,26,26が閉となり(S20)、ディレーが1秒取り入れられ(S21)、その後、吸引ブロワ24,24,24が停止する(S22)。また、しかる後、機械室ブロワバルブ36が閉となり(S23)、ディレーが1秒取り入れられ(S24)、その後、機械室ブロワ35が停止する(S25)。
【0046】
このように、本実施形態に係る外観検査装置によれば、装置の電源をOFFにする際、機内の圧力が負圧を維持したまま、吸引ブロワバルブ26,26,26が閉じられるので、気密性を有する機内は、装置の電源がOFFになって排気が行われない状態でも、負圧が維持される。従って、装置の電源がOFFの間も、機内に存する錠剤の粉末が機外に不用意に漏出するのを好適に防止することができる。また、これは、装置の電源をONにする際も同様である。
【0047】
<その他の実施形態>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態においては、機外より機内の圧力が常に一定の範囲内を保って負圧となるよう、給気部(の給気ファン18の動作)を制御するようにしているが、これに限定されず、機外より機内の圧力が常に一定の値を保って負圧となるよう、給気部(の給気ファン18の動作)を制御するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、機内外の差圧により機内の負圧状態を監視するようにしているが、機内の圧力(気圧)を計測する圧力計(気圧計)を用いて、機内の圧力(気圧)による絶対値管理で機内の負圧状態を監視するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、排気部として、第一〜第三の排気部21,22,23を設けているが、第二及び第三の排気部22,23は必ずしも必須ではない。
【0051】
また、上記実施形態においては、給気部及び排気部にHEPAフィルタを用いているが、フィルタとしてはこれに限定されず、各種公知のフィルタを用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…ホッパ、2…振動フィーダ、3…整流ターンテーブル、4…ディスク搬送ユニット、5…第一の照明ユニット、6…第一の撮像装置、7…第二の照明ユニット、8…第二の撮像装置、9…第一のベルト搬送ユニット、10…第三の照明ユニット、11…第三の撮像装置、12…第二のベルト搬送ユニット、13…第四の照明ユニット、14…第四の撮像装置、15…選別ユニット、16…筐体、17…給気ユニット、18…給気ファン、19…フィルタ(HEPAフィルタ)、20…外部集塵ユニット、21…第一の排気部、22…第二の排気部、23…第三の排気部、24…吸引ブロワ、25…フィルタ(HEPAフィルタ)、26…吸引ブロワバルブ、27…筐体、28…差圧計、29…圧力計、30…制御部、31…圧力スイッチ、32…壁、33…機械室ブロワユニット、34…筐体、35…機械室ブロワ、36…機械室ブロワバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤等の固形剤を吸引搬送しながら外観検査する外観検査装置であって、機外の空気を機内に取り込む給気部と、固形剤を吸引搬送するための吸引搬送部に接続されて該吸引搬送部に必要な吸引作用を生じさせ且つその吸気を機外へ排気する排気部と、機内と機外の圧力差を計測する差圧計と、該差圧計の出力値を監視し、機外より機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値を保って負圧となるよう、給気部を制御する制御部とを備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
錠剤等の固形剤を吸引搬送しながら外観検査する外観検査装置であって、機外の空気を機内に取り込む給気部と、固形剤を吸引搬送するための吸引搬送部に接続されて該吸引搬送部に必要な吸引作用を生じさせ且つその吸気を機外へ排気する排気部と、機内の圧力を計測する圧力計と、該圧力計の出力値を監視し、機内の圧力が一定の範囲内又は一定の値の負圧となるよう、給気部を制御する制御部とを備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
排気部は、吸気中に含まれ得る固形剤の粉末を捕捉すべく、フィルタを備える請求項1又は2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
排気部における機外への排気経路上に、該排気経路を開閉する開閉手段が設けられる請求項1〜3の何れか1項に記載の外観検査装置。
【請求項5】
機内を囲う装置筐体に、機内作業用の小窓が開閉自在に設けられる請求項1〜4の何れか1項に記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−243439(P2010−243439A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94940(P2009−94940)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(305021292)第一実業ビスウィル株式会社 (23)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】