説明

外部のマイクロホンによるエンジン状態の検知

監視すべきガスタービンエンジン(10)の領域の外部に設置されたマイクロホン(22)を使用して、ガスタービンエンジン(10)の少なくとも1つのエンジン状態を検知する方法。方法は、可聴周波数に応答してマイクロホン(22)によって生成された信号を受信するステップ(44)と、エンジン状態を表す少なくとも1つの信号特性を決定するために信号を解析するステップ(46)と、マイクロホン(22)によって生成された信号に基づいてエンジン状態を検知するステップ(48)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ガスタービンエンジン状態の情報を監視することに関し、詳しくは、そのためにマイクロホンを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの運転中に様々な特性を監視するために使用されるガスタービンエンジン内に設置するセンサについては、地上の試験に使われるものであれ、飛行中の監視のために使用されるものであれ、多く文書化されている。このようなセンサは、典型的には、温度、圧力、構成要素の回転速度などを測定するのに使用され、また典型的には、ガスタービンエンジンのコア内で、選択された地点に設置される。このような侵入型センサは、エンジン設計に一体化して用いられなければならず、センサの存在が、実際には、センサが測定しているまさにその特性に影響を与えてしまうことがある。エンジンの外部にある非侵入型センサの方が、組立て、交換、監視などをするのには実用性が高く、対費用効果が高い。しかし、測定される特性の中には、エンジンケーシングより外側に取り付けられたセンサでは監視できないと考えられている特性も少なくない。
【0003】
したがって、外部に取り付けられたセンサを使用してガスタービンエンジンの特性を決定し、かつ/または状態の情報を検知する改善された方法を提供する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的の一つは、ガスタービンエンジンのエンジン状態の情報を検知するための改善された方法、およびその方法を実行するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、ガスタービンエンジンの少なくとも1つのエンジン状態を監視する方法において、監視すべきガスタービンエンジンの領域の可聴範囲内にマイクロホンを取り付けるステップであって、マイクロホンが領域から離間して配置される、取り付けステップと、ガスタービンエンジンの運転中にガスタービンエンジンを通る流体の流れによって発生する音声周波数に応答してマイクロホンが生成する信号を受信する受信ステップと、エンジン状態を表現する少なくとも1つの特性を識別するために信号を解析する解析ステップと、マイクロホンが生成する信号に主に基づいてエンジン状態を決定する決定ステップと、を含む方法を提示する。
【0006】
他の態様において、本発明は、ガスタービンエンジン内の圧縮機のサージを検知する方法であって、圧縮機の可聴範囲内に、圧縮機の主ガス流路と離間した関係でマイクロホンを取り付けるステップと、ガスタービンエンジンの運転中に圧縮機を通る流体の流れによって発生する可聴周波数に応答してマイクロホンが生成する信号を受信するステップと、
圧縮機のサージを表示する少なくとも1つの特性を決定するために信号を解析するステップと、マイクロホンが生成した信号に基づいて圧縮機のサージを検知するステップと、
を含む方法を提示する。
【0007】
他の態様において、本発明は、ガスタービンエンジン内の少なくとも1つの空力学的構成要素の空力学的特性を監視する非侵入型の方法であって、ガスタービンエンジンの運転中に空力学的構成要素を通って流れるガスの圧力脈動に対応する可聴周波数に応答して電気出力を生成するために、監視すべきガスタービンエンジンの領域からは離間されつつ、ガスタービンエンジン内の空力学的構成要素の可聴範囲内に配置されたマイクロホンを使用するステップであって、可聴周波数が空力学的構成要素のノイズシグナチュア(雑音識別特性)を規定する、マイクロフォン使用ステップと、ノイズシグナチュアの変化を監視するために電気出力の時間ベースの周波数解析を行うステップと、マイクロホンが生成した電気出力に基づいて異常な空力学的特性を検知するステップと、を含む方法を提示する。
【0008】
さらに他の態様において、本発明は、ガスタービンエンジンの少なくとも1つのエンジン状態の特性を検知するシステムであって、監視すべきガスタービンエンジンの領域から離間して配置されたマイクロホンと、ガスタービンエンジンの運転中にガスタービンエンジンを通って流れる流体の圧力脈動に対応するノイズシグナチュアを規定する可聴周波数に応答してマイクロホンが生成する電気信号を受信するように動作可能な信号処理装置であって、エンジン状態の特性を表示するノイズシグナチュアに主に基づいてエンジン状態の特性を検知するために電気信号を解析するように動作可能な信号処理装置と、を備えるシステムを提供する。
【0009】
本発明の上記および他の態様のさらなる詳細は、以下の詳細な説明および図面により明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示す、亜音速飛行において使用することが好ましい型式の典型的なガスタービンエンジン10は、概して、流体連通して直列に配置される、周囲の空気を吸い込んで推進させるファン12と、その空気を圧縮する多段圧縮機14と、圧縮空気を燃料と混合して点火し、高温燃焼ガスの環状流を生成する環状の逆流燃焼器16と、燃焼ガスからエネルギーを取り出すタービン部18と、を備える。
【0011】
多段圧縮機14は、第1の低圧圧縮機段13と、その下流に位置する高圧圧縮機段15と、を含む。このような多段圧縮機14と、逆流燃焼器16と、を有するガスタービンエンジン10に関して本発明を記述するが、本発明による方法は、例えば、軸流圧縮機のみまたは遠心圧縮機のみを有する別の型式のガスタービンエンジンについても、同様に使用され得ることを理解されたい。さらに、ガスタービンエンジンは、例えば、直流または「環状缶型」燃焼器を代替的に備えることもある。
【0012】
図2を参照すると、多段圧縮機14は、複数の軸流段17の各々がロータ19およびステータ21の対を有する低圧圧縮機13と、インペラ23の形態の遠心高圧圧縮機15と、から構成される。圧縮機14は、外部ケーシング20の内側に設置され、圧縮機14の内部にガス流路が画定されている。図2に概略的に示されるように、エンジン特性の検知システム25は、圧縮機のケーシング20の外側に設置された(すなわち、離間された)マイクロホン22と、接続配線24を介してマイクロホン22と電気的に接続された信号処理装置26と、を含む。したがって、マイクロホン22は、圧縮機14の少なくとも1つの回転段の可聴範囲内で、ケーシング20より外部に離間して配置され、圧縮機14の主ガス経路を通って流れる流体および/または圧縮機の回転構成要素によって発生される可聴周波数に応答して、電気出力信号を発生する。マイクロホン22によって拾われる可聴周波数は、流体が圧縮機の各段によって圧縮される際の流体の流れの圧力脈動に対応する。一般に、流体の圧力パルスは、軸ロータ19およびインペラ23などの圧縮機の各回転構成要素のブレード通過周波数で振動する。各構成要素は周波数が異なることにより、単一のマイクロホン22および単一の信号処理装置26が、同時に圧縮機の複数の構成要素について圧力脈動の検知および識別を可能にし、圧力脈動は、検知すべき選択されたエンジン状態の特性を表すノイズシグナチュア(雑音識別特性)を規定する。システム25は、信号処理装置26と情報通信する警報装置をさらに含むことが好ましい。この警報装置は、所与のエンジン状態の特性が存続、あるいは今にもその特性になりそうなことを示すことができる。次に、この情報は伝送され、電子エンジン制御システムによって受信される。情報を受信した制御システムは、受け取ったパラメータに基づいて、どんな応答つまり適切な処置を取るべきかを決めるために、論理を使用することができる。例えば圧縮機が失速した場合に対する処置は、圧縮機全体のサージの発生を防ぐために、エンジンを停止すること、または流れ特性を変更すること、を含み得る。
【0013】
信号処理装置26を使用してマイクロホン22からの出力信号の周波数解析を行うことにより、侵入型の内圧センサを必要とすることなく、ガスタービンエンジンの運転中に実時間で、圧縮機の各段に加わる空力学的負荷を決定し、監視することができる。図3に、一例として、三次元周波数解析プロット30を示す。プロット30は、軸流段と、遠心段と、を有する圧縮機に関して行われた周波数解析の結果であるが、このような解析は、ガスタービンエンジンの他の圧縮機の構成にも同等に使用することができる。周波数解析プロット30は、x軸31方向の周波数f(Hz)と、y軸33方向の時間(s)と、これらの軸に垂直なz軸35方向のマイクロホン出力信号によって表される圧力と、からなる。マイクロホンは、広範囲にわたって周波数を同時に拾って測定することができるので、ガスタービンエンジンの主ガス流路内の複数の地点において、流体の流れの圧力脈動を検知することができる。例えば、図3の例に示されるように、測定周波数解析プロット30は、第1の周波数で規定される、ガスタービン圧縮機部の軸流圧縮機ロータの第1の圧力脈動32と、これより若干高めの周波数で規定されるエンジンの遠心圧縮機段のインペラの第2の圧力脈動と、を含む。したがって、マイクロホン出力信号は、信号処理装置26によって解析され得る形態に処理された後、エンジン内の複数の地点における圧力脈動を同時に表示する。これにより、例えば、圧縮機のこれらの各段に加わる空力学的負荷など、圧縮機の各段に関連するいくつかの要因を決定することができる。したがって、こうした圧力脈動の変化を、操作者が測定データを監視することによって手動で検知することもできるし、信号処理装置26を含む制御ユニットによって自動で検知することもできる。監視された圧力脈動の変化により、検知が求められているエンジン状態を示すことができる。例えば、圧縮機の失速またはサージは、これらの状態を示す圧縮機の構成要素の測定された圧力脈動の変化を識別することにより検知することができる。圧縮機のサージおよびその検知の概念は、Jean Thomassin、Peter FicklschererおよびHenry Hongによる「Incipient Surge Detection In A Turbofan Gas Turbine Engine By The Use Of A State Observer To Track High Characteristic Frequencies」と題される論文に詳細に記載されており、この論文の内容は本願の参照となる。具体的には、圧縮機内で回転失速が始まると、その付近の圧縮機段のブレード通過周波数で振動している圧力パルスは、圧縮機段に加わる空力学的負荷が増加した結果として最初は増加し、続いて、失速した運動量の低い空気が圧縮機の内部を進むにつれて、著しく減少する傾向がある。したがって、外部に取り付けられたマイクロホンが、測定された圧力脈動にこのような変化を検知したとき、圧縮機のサージおよび/または失速を検知することができる。マイクロホンの出力が、このようなエンジン状態(すなわち、圧縮機のサージおよび/または失速)を検知するために使用される主要な測定特性であることが好ましい。マイクロホン出力のみを信号処理装置によって使用して、これらの状態を検知できることがさらに好ましい。これにより、圧縮機の受動的なサージマージンを高めることができ、流路内に設置される高速応答静圧トランスデューサ(fast response static pressure transducers)などの侵入型ないし複合型のセンサを追加する必要なく、エンジンケーシングより外側に取り付けられたマイクロホンによって、圧縮機のサージの開始の正確な予測を容易に検知することができる。
【0014】
図3をさらに参照すると、圧力脈動34に対応する遠心圧縮機のノイズシグナチュアが、この圧縮機段の失速およびそれに続くエンジンサージを示している。詳しく見ると、インペラノイズシグナチュア34は、地点36で急降下している。これは、インペラが失速したことを示す圧力の急降下を表している。対照的に、圧力脈動32に対応する軸ロータのノイズシグナチュアは、同時刻において比較的一定のままである。地点38で明示されるように、すべての周波数にわたって一様でない圧力分布により、時間の経過とともに空気が失速して、最終的に圧縮機にサージを起こしてしまう。したがって、外部に取り付けられた単独のマイクロホンを使用して、能動的にサージを制御し、初期のサージから保護することができる。これは、ガスタービンエンジンの稼働中に、運転しているガスタービンエンジンを監視するために使用してもよいし、ガスタービンエンジンの設計および開発の際に、所与の圧縮機の設計を最適化する手段として使用してもよい。稼働中に、圧縮機のサージの開始を検知するために使用する場合、このエンジン状態の開始を操作者つまりパイロットに警告し、かつ必要に応じてエンジンを完全に停止するように作動することができる電子エンジン制御システムと情報通信するように信号処理装置26を構成してもよい。このような電子制御システムは、圧縮機のサージを防止するように圧縮機内の流れの状態を変更することを可能にし得る。
【0015】
したがって、本発明において、エンジンケーシングの外部に取り付けられたマイクロホンによって生成される出力のみを使用して、圧縮機のサージなどのガスタービンエンジン状態を検知する。このように、内部に取り付けられたセンサやトランスデューサを必要とすることなく、複数のエンジン構成要素の空力学的負荷を同時に実時間で監視することが可能である。これにより、従来用いられていた内部プローブおよび内部センサを収容するエンジン設計の複雑さが低減して費用が著しく削減され、さらに、マイクロホンが外部に取り付けられたことで、比較的簡単に交換、修理、または調整できるようになる。
【0016】
図4は、少なくとも1つのエンジン状態またはエンジン状態の特性を監視または検知する本発明のエンジン状態を監視する方法40に含まれる基礎ステップを示す。詳しくは、第1のステップは、監視すべきガスタービンエンジンの所与の領域の外側にマイクロホンを取り付けることを含む。これは、エンジンより外側にある外部ケーシングの外側に、あるいは、外部ケーシングの内側ではあっても、例えば、圧縮機を通る主ガス流路などの監視領域の外部に、マイクロホンを取り付けることを含み得る。しかし、好ましくはエンジンの外部にマイクロホンを取り付けることにより、マイクロホンへのアクセスを容易にし、さらに、エンジンによって発生される可聴周波数の受信を改善するために、あるいはマイクロホンをまったく他の位置に動かして別のエンジン構成要素を監視するためにも、マイクロホンを簡単に動かせるようになる。これは、特定の内部構成またはエンジン型式によらず、種々のエンジンについてマイクロホンの取り付けを可能にし、例えば設計面および開発面におけるプロトタイプのエンジンの場合には一時的に取り付けることができ、通常の稼働をさせるためのエンジンに設置する場合には、永久的に取り付けることもできる。マイクロホンが設置され、信号処理装置および/または他の電子システム制御装置に接続された後、マイクロホンは、エンジンによって発生される音声周波数に応答して電気信号を生成させることができる。次に、第2のステップ44で、マイクロホンによって生成した信号を受信する。マイクロホン22からの出力信号を受信した後、次のステップ46で、例えば信号処理装置26が信号を解析する。これは、例えば、周波数解析のために構成された形態に信号を処理すること、および信号の時間ベースの周波数解析を行うこと、を含み得る。さらに、周波数解析は、所与の圧力脈動シグナチュアを識別することができるように、処理された出力信号から複数の構成要素の内圧の脈動を測定することができる。したがって、この解析は、監視されるおよび/または検知すべき選択されたエンジン状態を示すことができるこの圧力脈動シグナチュアの変化を検知することを含み得る。最後の主要なステップ48で、マイクロホン信号の解析のみに基づいて、選択されたエンジン状態、状況の指標または特性を決定する。より詳しくは、選択されたエンジン状態は、そのエンジン状態より以前または同時に発生すると知られている圧力脈動の周波数測定値の特定の変化を検知することなどにより、解析ステップ46の結果に基づいて決定される。
【0017】
上記の説明は例示的なものであり、当業者であれば、開示した本発明の範囲から逸脱することなく、説明した実施例にいくつかの変更がなされ得ることを理解されるであろう。例えば、マイクロホンは、ガスタービンエンジンの外部ケーシングの外側に取り付けられることが好ましいが、監視領域の外側(例えば、主ガス流路など)であっても、外部ケーシングの内側にマイクロホンを位置づけることがなおも可能である。さらに、単一のマイクロホンで、同時に複数の構成要素を監視することも可能であるが、エンジンの複数の離れた領域を同時に監視するために、2つ以上のマイクロホンを使用してもよい。この場合、信号処理装置は、使用するマイクロホンの数に対応する複数の入力信号を受信し、かつ要求に応じて各信号を同時に解析し、一度に2つ以上のエンジン状態を独立して検知することができる。他のエンジン状態、状況、調子、および/または障害(例えば、ガス流漏れ、流体管内の流れの状態、周囲のシュラウド内のロータのブレードチップ摩擦、回転構成要素の異物損傷、ポンプの調子およびキャビテーション、ならびに配管または構成要素のフレッチングなど)を監視して検知するためにも、単一のマイクロホンの信号から検知されるエンジンノイズシグナチュアの変化を使用することができる。当業者であれば、本開示を参照することにより、本発明の範囲を逸脱することなく、さらに他の修正がなされ得ることを理解されるであろう。例えば、検知すべきエンジン状態が圧縮機の失速である場合は、所与の構成要素の周波数で、具体的には、圧力の増加およびそれに続く著しい減少の形態で、測定した圧力脈動シグナチュアの独特の変化を識別することである。このようなエンジン状態の単独の検知と同様に、ある程度の圧力振幅の測定も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ガスタービンエンジンの概略的な断面図。
【図2】本発明による外部に取り付けられたマイクロホンを有するガスタービンエンジン圧縮機部の断面図。
【図3】ガスタービンエンジン圧縮機部の状況を監視するのに使用されるマイクロホン出力の時間ベースの周波数解析を示すグラフ。
【図4】本発明の一実施例によるマイクロホンを使用したエンジン状態を決定する方法を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンの少なくとも1つのエンジン状態を監視する方法において、
監視すべき前記ガスタービンエンジンの領域に対する可聴範囲内にマイクロホンを取り付けるステップであって、前記マイクロホンが前記領域から離間して配置される、取り付けステップと、
前記ガスタービンエンジンの運転中に前記ガスタービンエンジンを通る流体の流れによって発生する音声周波数に応答して前記マイクロホンが生成する信号を受信する受信ステップと、
前記エンジン状態を表現する少なくとも1つの特性を識別するために前記信号を解析する解析ステップと、
前記マイクロホンが生成する前記信号に主に基づいて前記エンジン状態を決定する決定ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記解析ステップが、周波数解析のために構成された形態となるように前記信号を処理することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号の時間ベースの周波数解析を行うことをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記音声周波数が、前記流体の流れの内部圧力の脈動に相当し、前記解析ステップが、前記ガスタービンエンジンの選択された回転構成要素が生成する圧力脈動シグナチュアを識別することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記回転構成要素が、独特の圧力脈動シグナチュアを生成する圧縮機であり、前記エンジン状態が、前記圧縮機の失速であり、前記圧縮機の失速を決定する前記決定ステップが、前記独特の圧力脈動シグナチュアの変化を識別するステップを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記独特の圧力脈動シグナチュアの変化を識別するステップが、前記圧縮機に対応する周波数で振動する圧力の著しい増加およびそれに続く減少を識別することをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの独特の圧力脈動シグナチュアを識別するステップをさらに含み、前記信号から少なくとも2つの独立した回転構成要素の構成要素状況パラメータを決定することができるように、各圧力脈動シグナチュアが、それぞれ異なって規定された周波数範囲を有し、これらの周波数範囲の各々が、前記ガスタービンエンジンの前記少なくとも2つの独立した回転構成要素のうちの1つに対応する請求項4に記載の方法。
【請求項8】
検知された前記エンジン状態のレベルを測定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エンジン状態が前記ガスタービンエンジンの圧縮機の空力学的負荷であり、前記圧縮機に加わる測定された空力学的負荷のレベルに基づいて圧縮機のサージを予測することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記取り付けステップが、前記ガスタービンエンジンの外部ケーシングより外側に前記マイクロホンを取り付けることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記エンジン状態を決定する決定ステップが、前記マイクロホンによって生成される前記信号のみに基づいている請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ガスタービンエンジン内の圧縮機のサージを検知する方法であって、
前記圧縮機の可聴範囲内に、前記圧縮機の主ガス流路と離間した関係でマイクロホンを取り付けるステップと、
前記ガスタービンエンジンの運転中に前記圧縮機を通る流体の流れによって発生する可聴周波数に応答して前記マイクロホンが生成する信号を受信するステップと、
圧縮機のサージを表示する少なくとも1つの特性を決定するために前記信号を解析するステップと、
前記マイクロホンが生成した前記信号に基づいて圧縮機のサージを検知するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記圧縮機のサージを検知するステップが、前記マイクロホンによって生成される前記信号のみを使用することをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ガスタービンエンジン内の少なくとも1つの空力学的構成要素の空力学的特性を監視する非侵入型の方法であって、
前記ガスタービンエンジンの運転中に前記空力学的構成要素を通って流れるガスの圧力脈動に対応する可聴周波数に応答して電気出力を生成するために、監視すべき前記ガスタービンエンジンの領域からは離間されつつ、前記ガスタービンエンジン内の前記空力学的構成要素の可聴範囲内に配置されたマイクロホンを使用するステップであって、前記可聴周波数が前記空力学的構成要素のノイズシグナチュアを規定する、マイクロフォン使用ステップと、
前記ノイズシグナチュアの変化を監視するために前記電気出力の時間ベースの周波数解析を行うステップと、
前記マイクロホンが生成した前記電気出力に基づいて異常な空力学的特性を検知するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記異常な空力学的特性を検知するステップが、前記マイクロホンが生成した前記電気出力のみに基づいている請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ガスタービンエンジンの少なくとも1つのエンジン状態の特性を検知するシステムであって、
監視すべき前記ガスタービンエンジンの領域から離間して配置されたマイクロホンと、
前記ガスタービンエンジンの運転中に前記ガスタービンエンジンを通って流れる流体の圧力脈動に対応するノイズシグナチュアを規定する可聴周波数に応答して前記マイクロホンが生成する電気信号を受信するように動作可能な信号処理装置であって、前記エンジン状態の特性を表示する前記ノイズシグナチュアに主に基づいて前記エンジン状態の特性を検知するために前記電気信号を解析するように動作可能な信号処理装置と、
を備えるシステム。
【請求項17】
前記エンジン状態の特性が存在することを示すように動作可能な前記信号処理装置と情報通信をする警報装置をさらに備える請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記マイクロホンが読み取った前記ノイズシグナチュアのみに基づいて、前記信号処理装置が前記エンジン状態の特性を検知する請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記ガスタービンエンジンの圧縮機において、検知される前記エンジン状態の特性が前記圧縮機の空力学的失速である請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記圧縮機は、前記圧力脈動を生成し、前記信号処理装置は、前記圧縮機が前記空力学的失速の状態に近づくときに発生する前記圧力脈動の独特の変化を識別することができる請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−544131(P2008−544131A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516091(P2008−516091)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000987
【国際公開番号】WO2006/133563
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(592228505)プラット アンド ホイットニー カナダ コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】Pratt & Whitney Canada Corp.
【Fターム(参考)】