説明

外部ミラー検出装置

【課題】 車両側だけでカーブミラーの存在を精度よく認識できるようにして安全運転を支援する。
【解決手段】 カーブミラー検出装置は、車両から外部に向けて光を照射する光照射器と、車両から外部を撮像するカメラと、画像処理ECUと、メインECUとを備え、カメラで撮像して得られた画像データから形状によりカーブミラーと推定される対象候補を選び出し(S14,15)、更に、カーブミラーと推定された対象候補に対して光照射器によりその全体を照射し、その反射光の有無、反射光の形状に基づいて第1判定を行う(S17,18)。そこで判定できない場合には、光照射器によりスポット状の3つの光を対象候補に照射し、その反射光の数に基づいて第2判定を行う(S19,20)。カーブミラーの存在が検出された場合、ミラーに向けて光の照射を継続する(S22)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に設けられるカーブミラー等の外部ミラーを検出して運転者に知らせる外部ミラー検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーブミラーが設置されていることを運転者に認識させる装置が知られている。例えば、特許文献1にて提案されているカーブミラー装置では、カーブミラーに発振装置を設けるとともに車両側に受信装置を設け、車両がカーブにさしかかってカーブミラーに接近したときに、カーブミラーから発振される電波を車両側で受信し、この電波受信に基づいて車載報知器を作動させて運転者に対してカーブミラーの存在を知らせるようにしている。
【特許文献1】実開昭64−35500号
【0003】
しかしながら、特許文献1のものでは、カーブミラー側に発振装置を設けなければならない。従って、車両側だけで実施できるものではなく、社会基盤としてのインフラ整備が必要となり簡単に普及できるものとはいえない。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、車両側だけでカーブミラー等の外部ミラーの存在を精度よく認識できるようにして安全運転を支援することにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、カーブミラー等の車両外部に設けられる外部ミラーの存在を検出する外部ミラー検出装置において、車両から外部に向けて光を照射する光照射手段と、車両から外部を撮像する撮像手段と、上記光照射手段から光を照射したときの光の反射状態を上記撮像手段にて検出しその反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定するミラー存在判定手段と、上記ミラー存在判定手段により上記外部ミラーが存在すると判定されたとき運転者に報知する報知手段とを備えたことにある。
【0006】
上記構成を有する本発明によれば、光照射手段から光を照射したときの光の反射状態を撮像手段にて検出し、ミラー存在判定手段が、その反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定する。一般に、外部ミラーは、カーブミラーのように自車両ではなく相手側の車両を写しだすものであるため、自車両から照射した光は所定方向に反射して自車両側には反射しにくい。あるいは、外部ミラーの枠体のみが乱反射する。つまり、外部ミラーに光を照射したとき、特有の反射状態が得られる。
そこで本発明では、光照射手段から光を照射したときの光の反射状態を検出することで、外部ミラーの存在を判定する。
この結果、車両側だけで外部ミラーの存在を判定して運転者に報知することができ、車両の安全走行を支援することができる。
【0007】
本発明の他の特徴は、カーブミラー等の車両外部に設けられる外部ミラーの存在を検出する外部ミラー検出装置において、車両から外部に向けて光を照射する光照射手段と、車両から外部を撮像する撮像手段と、上記撮像手段による撮像にて得られた画像と予め記憶された外部ミラーの形状特徴データとから上記外部ミラーの存在を推定するミラー存在推定手段と、上記ミラー存在推定手段により上記外部ミラーの存在が推定された場合、その推定された外部ミラーの存在する方向に向けて上記光照射手段の光を照射する照射制御手段と、上記光照射手段から光を照射したときの光の反射状態を上記撮像手段にて検出し、その反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定するミラー存在判定手段と、上記ミラー存在判定手段により上記外部ミラーが存在すると判定されたとき運転者に報知する報知手段とを備えたことにある。
【0008】
この発明によれば、まず、撮像手段により車両外部を撮像し、得られた画像と予め記憶された外部ミラーの形状特徴データとからミラー存在推定手段により外部ミラーの存在を推定する。例えば、外部ミラーとしてカーブミラーを検出対象とした場合、カーブミラーの形状には規格があるため、その規格に基づいた形状特徴データを予め記憶しておくことで、撮像して得られた画像から、カーブミラーの存在をある程度推定することができる。
【0009】
そして、撮像画像から外部ミラーが存在すると推定された場合、照射制御手段は、光照射手段を使ってその推定された外部ミラーの方向に光を照射する。このとき、外部ミラーの推定位置に実際に外部ミラーが存在すれば、その照射光は、自車両側には反射しにくく、例えば、カーブミラーであれば、道路がカーブする方向に反射する。また、外部ミラーの枠体については乱反射する。つまり、外部ミラーに光を照射したとき、特有の反射状態が得られる。
一方、外部ミラーでなければ、照射光が自車両側に反射する反射率が高い。
そこで、本発明においては、撮像画像による形状推定に加えて、照射光の反射状態検出を行うことにより、外部ミラーの存在を判定する。つまり、外部ミラーと形状の類似する類似物においては、撮像による形状推定だけでは、外部ミラーとの区別を正しく行えない場合があるため、その精度を高めるために、反射光の状態を判定要素に加えている。
この結果、高精度に外部ミラーの存在を判定することができ信頼性が向上する。
【0010】
本発明の他の特徴は、上記光照射手段は、同一直線上に配置されない3つ以上の指向性を有する光源を備えたことにある。
【0011】
外部ミラーの角度、つまり、光照射手段の照射方向に対する外部ミラーのミラー面の角度によっては、照射光が自車両側(撮像手段側)に反射する可能性があるが、こうした場合であっても、この発明によれば精度よく外部ミラーを判別することができる。
一般に、外部ミラーは、その表面が球面状に湾曲した湾曲面に形成される。このため、同一直線上に配置されない3つ以上の指向性を有する光源から湾曲面(球面)に光が照射されると、それぞれの光源からの反射光は上下左右に互いに離れる方向に進む。一方、道路沿いに設けられる看板等は、平面形状あるいは円筒形状であるため、こうした光源から光を照射した場合には、外部ミラーとはその反射光の方向が相違する。
【0012】
例えば、平面上看板に複数の光源の光を照射した場合には、それぞれの光は平行に反射する。また、電柱広告のような円筒形看板に照射した場合には、反射光は左右方向には離れる方向に進むが、上下方向には広がらない。
このため、複数の光源から照射された光の反射方向に基づいて外部ミラーか否かの判別を行うことができる。例えば、撮像手段で確認された反射光の数から判別することができる。
【0013】
本発明の他の特徴は、上記光照射手段の光源の光を広げて照射するワイド照射モードと、各光源の光をスポット状に照射するスポット照射モードとに切り替える照射モード切替手段を備えたことにある。
この場合、上記ミラー存在判定手段は、上記ワイド照射モードにて光照射したときの反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定する第1判定部と、上記スポット照射モードにて光照射したときの反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定する第2判定部とを備えるとよい。
【0014】
この発明によれば、照射モード切替手段により、照射対象物に対して広めに光を照射するワイド照射モードと、照射対象物に対して各光源の光をスポット状に照射するスポット照射モードとを切り替え、それぞれのモードにおいて外部ミラーの存在判定を行う。
第1判定部は、ワイド照射モードに設定されているときの反射状態、つまり、照射対象物に向けて広く照射したときに得られる反射状態、例えば、撮像手段により撮像された反射光の有無、反射光の形状等から外部ミラーの存在を判定する。
第2判定部は、スポット照射モードに設定されているときの反射状態、つまり、指向性のある3つ以上の光源からスポット状に照射される光の反射状態から外部ミラーの存在を判断する。例えば、撮像手段により撮像されたスポット状の反射光の有無やその数等から外部ミラーの存在を判定する。
【0015】
従って、2つの異なった照射モードでの判定を行うことで、外部ミラーの判別精度が一層向上する。
尚、ワイド照射モードでは、その照射方向について高い照射位置精度が要求されないため、先に第1判定部による外部ミラーの存在判定を行い、この第1判定部では判定し切れない場合に第2判定部による判定を行うようにしてもよい。この場合、第1判定部によりワイド照射モードで得られた撮像画像に基づいて照射位置を絞り込むことができるため、スポット照射モードによる第2判定部での処理が容易となる。
【0016】
本発明の他の特徴は、上記ミラー存在判定手段により上記外部ミラーが存在すると判定されたとき、上記光照射手段による照射を所定期間継続する光照射継続手段を備えたことにある。
【0017】
これによれば、外部ミラーの存在判定に用いた光源を利用して、相手車両の運転者に対して自車両の存在を知らせて注意喚起することができるため、更に、安全走行に大きく貢献する。照射を継続する所定期間は、例えば、外部ミラーが撮像エリアに存在している期間とか、所定の時間等、任意に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る外部ミラー検出装置について図面を用いて説明する。図1は、外部ミラー検出装置の一実施形態としてのカーブミラー検出装置10を概略的に示している。
本実施形態のカーブミラー検出装置10は、道路に設けられるカーブミラーを検出するもので、図1に示すように、マイクロコンピュータを主要部として備えカーブミラーの検出判定制御を統括する電子制御ユニット20(以下、メインECU20と呼ぶ)と、車両から前方の景色を撮像するカメラ30と、マイクロコンピュータを主要部として備えカメラ30で撮像して得た画像データを処理する画像処理ECU40と、車両から前方に向けて光を照射する光照射器50と、運転席の前面パネル面に設けられるミラー予告灯70とを備える。
【0019】
カメラ30および光照射器50は、1つのユニットとしてケーシング内に収められ、例えば、車両のルームミラーステイに取り付けられる。カメラ30は、本発明の撮像手段に相当するもので、車両前方に広がる所定領域を撮像する。カメラ30の撮像した画像信号出力は、画像処理ECU40に供給される。
画像処理ECU40は、その記憶エリア内(例えばROM)にカーブミラーの特徴形状を表す形状特徴データを予め記憶しており、カメラ30から供給される画像を処理することにより、その画像に映し出されている構造物を認識し、その構造物にカーブミラーの特徴形状が存在するか否かによりカーブミラーの存在を推定する。また、画像処理ECU40は、光照射器50にてカーブミラーを照射したときに得られる反射光の特徴データをも記憶エリア内に記憶しており、実際に光照射器50で前方を照射したときにカメラ30にて撮像した画像における反射光の状態からカーブミラーの存在を判定する。
【0020】
光照射器50は、本発明の光照射手段に相当するもので、図2に示すように、ヘッド部51に3つの光源52a,52b,52cを備える。この3つの光源52a,52b,52cは、本実施形態においては指向性のあるLEDレーザが用いられる。3つの光源52a,52b,52cは、車両前方側に向けられる光源取付面53に同一直線状に配置されないように取り付けられる。本実施形態においては、3つの光源52a,52b,52cの配置関係を正三角形の頂点位置となるように設定している。この場合の正三角形は、その底辺が水平ラインに対して傾斜したものである。
以下、この3つの光源52a,52b,52cを区別しない場合には、単に光源52と呼ぶ。
【0021】
光照射器50は、そのヘッド部51がボディ部54に対して上下方向および左右方向に首振り可能に設けられ、モータ55a(図1参照)により上下方向の向きが、モータ55b(図1参照)により左右方向の向きが調整される。このモータ55a,55bは、メインECU20からの駆動信号により駆動制御されるとともに、それぞれ回転角センサ56a,56bを備え、回転角検出信号をメインECU20に出力する。回転角検出信号は、光照射器50の照射方向検出信号に相当する。従って、メインECU20は、このモータ55a,55bおよび回転角センサ56a,56bにより光照射器50の照射方向を制御できる。
また、カメラ30の撮像方向は車体に対しては固定されているため、メインECU20は、光照射器50の照射方向を制御することで、カメラ30にて得られた画像上での任意の位置に光を照射することが可能となっている。
【0022】
また、光照射器50には、その光源取付面53に向かい合ってレンズ57が設けられる。このレンズ57は、光源52からの光を広げて照射するもので、光源に向かい合う状態と光源に向かい合わない状態との2位置に切り替えられる。
例えば、図3に示すように、光照射器50は、2位置を切り替えるための切替装置60を備える。この切替装置60は、ヘッド部51の上部に左右方向にスライド可能に取り付けられるラックバー61と、このラックバー61を左右方向にスライド駆動するモータ62とを備える。このラックバー61には、その下辺にレンズ57が固定され、上辺にラックギヤ61aが形成される。そして、モータ62の出力軸に設けたピニオンギヤ62aをこのラックギヤ61aと噛合させて、モータ62を駆動することにより、ラックバー61を左右方向にスライドさせて、レンズ57が光源52に向かい合う状態と向かい合わない状態とに切り替える。
【0023】
以下、光源52にレンズ57を向かい合わせて光を広げて照射する状態をワイド照射モードと呼び、光源52にレンズ57を向かい合わせずに光をそのままスポット状に照射する状態をスポット照射モードと呼ぶ。
また、光照射器50には、ラックバー61の位置(モータの回転角度でもよい)を検出する位置センサ63(例えば、リミットスイッチ)を備える。メインECU20は、この位置センサ63からの信号を入力し、この信号に基づいてモータ62を駆動して2つの照射モードを切り替える。
【0024】
ミラー予告灯70は、メインECU20に接続され、後述するカーブミラー検出制御ルーチンによりカーブミラーが存在すると判定されたときに、メインECU20からの点灯信号により点灯するものである。
【0025】
次に、カーブミラー検出制御処理について説明する。図4は、メインECU20および画像処理ECU40が連携して実行するカーブミラー検出制御ルーチンを表し、各ECU20のROM内に制御プログラムとして記憶されている。
このカーブミラー検出制御ルーチンは、図示しないイグニッションスイッチの投入により起動し、所定の短い周期で繰り返し実行される。また、この制御ルーチンと並行してカメラ30による撮像が行われる。
【0026】
本制御ルーチンが起動すると、まず、ステップS11において、車両が走行中か否かを判断する。例えば、車速センサ(図示略)からの車速情報を入力して、現在の車速Vが所定速度V0以上ある場合には走行中であると判断する。
走行中でなければ(S11:NO)、カーブミラーの検出は不要であるため、本制御ルーチンを一旦抜けるが、このときフラグFを「0」にセットする。このフラグFは、本制御ルーチンの起動時においてはF=0に設定されており、後述する処理からわかるように、前方にカーブミラーが存在すると判定されている場合に「1」にセットされ、そうでない場合には「0」にセットされる。
【0027】
車両が走行中である場合には(S11:YES)、続いて、フラグFの状態を確認し(S13)、F=0であれば、カーブミラーの存在を判定するために、以下ステップS14からの処理を行う。
まず、ステップS14では、カメラ30にて撮像して得られた車両前方風景の画像データに基づいて、画像処理ECU40がその風景内に存在する構造物を認識する。例えば、撮像画像から線分を検出し、その検出した線分の特徴点から構造物を認識する。
続いて、ステップS15の処理に移行し、検出した線分の特徴形状からカーブミラーの特徴形状を有するものを対象候補として選抜する。
【0028】
一般的なカーブミラーは、その形状が規格により決められている。そこで、画像処理ECU40は、その記憶エリア内(例えばROM)にカーブミラーの特徴形状を表す形状特徴データ(例えば、円形および縦長の楕円形等の形状特徴データ)を予め記憶しており、画像データから得られた特徴形状と比較することによりカーブミラーと推定される候補(以下、対象候補と呼ぶ)を選抜する。
【0029】
そして、ステップS16において、対象候補の有無を判断し、対象候補が無ければ本制御ルーチンを一旦抜ける。
一方、対象候補がある場合には(S16:YES)、その検証のために、以下、ステップS17からの光反射状態の判定処理に移る。
一般に、カーブミラーは、そのミラー面に特徴があるが、ミラー面には周辺の景色が映し出される。このため、カーブミラーを撮像した画像データだけでは、高精度な写真等が印刷された看板等との区別が難しい。そこで、以下の処理においては、ミラー面特有の光の反射状態から、対象候補がカーブミラーであるか否かを判断する。
【0030】
まず、ステップS17において、光照射器50の光源52に通電して対象候補に向けて照射する。この場合、画像データから得られる対象候補の位置に基づいて、モータ55a,55bを駆動制御して対象候補の中心に向けて照射する。また、対象候補の全体を照射するために、モータ62を駆動してレンズ57を光源52に向かい合う位置にまで移動させてワイド照射モードに設定する。図5は、このワイド照射モードにおける照射状況を表す。尚、図中において、符号OBは対象候補を表す。
【0031】
続いて、ステップS18の処理に移行し、第1反射判定を行って対象候補がカーブミラーであるか否かを判定する。このとき、ステップS17により対象候補には全体にわたって光が照射されている(図5参照)。そして、このステップS18では、その対象候補からの光の反射状態をカメラ30により撮像し、その撮像した画像データに基づいてカーブミラーか否か、つまり、カーブミラーが存在しているのか否かを判定する。
カーブミラーは、自車両ではなく相手側の車両を写しだすものであるため、自車両から照射した光は道路のカーブする方向に反射するため自車両側には反射しにくい。従って、このステップS18では、対象候補の全体から光が反射された場合には、「対象候補はカーブミラーではない」と判定する。
【0032】
逆に、対象候補からの反射光がカメラ30にて検出できなかった場合には、「対象候補はカーブミラーである」と判定する。
また、カーブミラーの枠体に照射された光は、乱反射してカメラ30側にもその光が映し出される。そこで、リング状あるいは三日月状に反射光が検出された場合にも、「カーブミラーである」と判定する。
そして、それ以外の場合(例えば、反射光がぼんやり検出される場合等、反射光の輝度が所定範囲内に入る場合)には、判定が確定せず、次の第2反射判定を行うために、ステップS19に処理を進める。
尚、反射状態の判定は、光照射器50により光を照射する前の撮像画像と、光を照射した後の撮像画像との比較により行われる。
【0033】
通常、光照射器50から照射された光は、カーブミラーのミラー面で所定方向に反射してカメラ30側では認識することができない。しかし、カーブミラーの傾き(ミラー面の形成方向と照射方向とのなす角度)によってはミラー面から反射光が検出されてしまう場合がある。そこで、こうしたケースに対応するために、以下ステップS19からの第2反射判定を行う。
【0034】
このステップS19では、モータ62を駆動してレンズ57を光源52に向かい合わない位置にまで移動させてスポット照射モードに設定する。従って、3つの光源52a,52b,52cから照射された光は、広がらずにそのままスポット状に対象候補に当たる。
カーブミラーは、そのミラー表面が球面状の湾曲した湾曲面に形成されている。従って、図6の原理図に示すように、対象候補OBがカーブミラーであれば、3つの光源52a,52b,52cから照射された光は、互いに離れる方向に反射する。しかも、この3つの光源52a,52b,52cは、斜めに傾いた正三角形の頂点上に位置するように配置されるため、そこから照射された光の反射光は、上下左右方向に離れる方向に進む。
従って、対象候補がカーブミラーであるならば、その傾きによってはミラー面から反射光が検出される場合があっても、2つ以上の反射光が同時にカメラ30側で検出されることはほとんどない。
【0035】
そこで、ステップS20においては、対象候補からの光の反射状態をカメラ30により撮像し、その撮像した画像データに基づいて得られた反射光の数(有無も含む)により、対象候補がカーブミラーであるか否かを判定する。
この場合、車両走行中に対象候補に対してピンポイントで照射することは難しいため、図7に示すように、光照射器50のモータ55a,55bを駆動制御して、対象候補OBに対して走査式に照射する。
【0036】
そして、この光照射器50からのスポット状の照射に対する対象候補からの反射状態をカメラ30により検出する。画像処理ECU40は、カメラ30で撮像して得られた画像データから、2つ以上の反射光が確認されるか否か判定する。
尚、反射光の数とは、3つの光源52a,52b,52cからそれぞれ照射された光に対する反射光を、それぞれ1つの反射光として数えたものである。
ステップS20において、検出された反射光の数が2つ以上である場合には、対象候補はカーブミラーではないと判定する。また、反射光が検出されない、あるいは反射光が1つ検出された場合には、対象候補はカーブミラーであると判定する。
【0037】
こうしてステップS18、ステップS20による2回の判定により、対象候補の判定が完了する。
ステップS18およびステップS20において、「対象候補はカーブミラーでない」と判定された場合には、そのまま一旦本制御ルーチンを抜ける。
また、同ステップにおいて、「対象候補はカーブミラーである」と判定された場合には、フラグFをF=1にセットし(S21)、光照射器50を対象候補であるカーブミラーに向けて光源52を点滅させる(S22)。同時に、ミラー予告灯70を点灯あるいは点滅させ(S23)、本制御ルーチンを一旦抜ける。
【0038】
従って、カーブミラーへの光照射によりカーブの向こうから走行してくる相手車両の運転者に対して、カーブの予告および自車両の存在を知らせて注意喚起することができる。同時に、ミラー予告灯70を点灯させて自車両の運転者に対しても注意喚起することができる。
尚、ステップS22においてカーブミラーに向けて点滅光を照射する場合、レンズ57を光源52の前面に配置して(ワイド照射モード)照射することで、相手車両の運転者への視認性を向上させる。
【0039】
本制御ルーチンは、短い周期で繰り返し実行される。そして、直前回の制御処理においてカーブミラーの存在が検出されていた場合には、フラグFがF=1に設定されているため、次の制御処理においては、ステップS13の判断が「NO」となり、ステップS24に処理を進める。
このステップS24では、カメラ30の撮像範囲内に、直前回まで検出されていた対象候補(カーブミラー)が存在するか否かを判断する。例えば、直前回の制御処理において撮像した最終画像と、今回の制御処理において撮像した画像とを比べ、直前回の最終画像において認識した対象候補が今回の画像の中に存在するか否かを判断する。
【0040】
そして、撮像範囲内に対象候補が存在すれば(S24:YES)、カーブミラーの存在判定処理を行わずに、ステップS22,S23の処理を行い、撮像範囲から対象候補が消えていれば(S24:NO)、フラグFをF=0にセットして(S25)本制御ルーチンを抜ける。
【0041】
つまり、カーブミラーがカメラ30の撮像範囲内に映っているあいだは(S23:YES)、カーブミラーへの点滅光の照射とミラー予告灯70の点灯とを継続し(S22、S23)、カーブミラーがカメラ30の撮像範囲から消えた後は(S24:NO)、カーブミラーの検出判定処理(S14〜S20)を新たに開始するのである。
【0042】
以上説明した本実施形態のカーブミラー検出装置10によれば、カメラ30で撮像して得られた画像データから形状によりカーブミラーと推定される対象候補を選び出し、更に、カーブミラーと推定された対象候補に対して光照射器50により光を照射してその反射状態から対象候補がカーブミラーであるか否かを判定する。
この光の反射状態による判定は、まず、ワイド照射モードにより対象候補全体に照射して、その反射光の有無、反射光の形状に基づいて行う(第1反射判定)。そして、第1反射判定だけでは判定できない場合に、スポット照射モードによりスポット状の3つの光を対象候補に照射して、その反射光の数に基づいて判定する(第2反射判定)。
【0043】
従って、カーブミラー検出装置10は、形状判定と2つの反射状態判定とによりカーブミラー検出を行うため、非常に検出精度が高い。また、第1反射判定時においては、対象候補に向けて広く光を照射するため対象候補の位置検出が容易となり、次の第2反射判定時における照射制御を精度良く行うことができる。
【0044】
また、カメラ30の撮像範囲内にカーブミラーが映っているあいだは、自車両の運転者だけでなく相手車両の運転者に対しても継続して注意喚起するため、安全運転走行に大きく貢献する。この場合、ワイド照射モードでカーブミラーに光を照射するため、相手車両の運転者にとって光の視認性が良い。
しかも、カーブミラー検出用に用いた光照射器50を利用して相手車両への注意喚起を行っているため、特別に注意喚起用の照明を設ける必要がなくコストアップを招かない。
また、最近では、衝突予測機能やレーン逸脱判定機能等を備えた車両走行支援装置が知られているが、こうした装置に設けられるカメラを利用することにより低コストで実施することができる。
更に、従来装置のように、カーブミラー側に発振装置を設ける必要がなく、車両側のみで実施することができるため、その普及も容易である。
【0045】
以上、本実施形態のカーブミラー検出装置10について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、車両前方を撮像する撮像手段として、左右にカメラを備えたステレオカメラを用いてもよい。この場合、距離検出に基づいて構造物の大きさを認識できるため、構造物の外径がカーブミラーの外径と相違する場合には候補対象から除外することにより判定精度を高めることができる。
【0047】
また、光照射器50の照射位置精度を高めるために、車両状態情報(例えば、車速、前後加速度、横加速度、ヨーレートなどの情報)を各種車両状態センサから取得して車両の走行状態を把握し、画像上での対象候補の位置に対して照射位置の補正制御を行うようにしてもよい。また、ナビゲーションシステムにより得られた車両の地図上での位置情報から照射位置の補正制御を行ってもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、照射モードを切り替えて判定を行っているが、照射モードを切り替えない構成であってもよい。
更に、本実施形態においては、相手車両の運転者に対しても注意喚起を行っているが、自車両の運転者への注意喚起だけであってもよい。
また、検出対象としての外部ミラーは、必ずしもカーブミラーに限るものでもない。
【0049】
尚、本実施形態の画像処理ECU40およびメインECUが実行するカーブミラー検出制御ルーチンにおいて、ステップS14,S15の処理が本発明のミラー存在推定手段に相当し、ステップS17,S19の処理が本発明の照射制御手段および照射モード切替手段に相当する。また、ステップS18,S20の処理が本発明のミラー存在判定手段に相当し、特に、ステップS18の処理が本発明の第1判定部の処理に相当し、ステップS20の処理が本発明の第2判定部の処理に相当する。また、ステップS22,S24の処理が本発明の光照射継続手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係るカーブミラー検出装置のシステム構成図である。
【図2】本実施形態の光照射器の概略構成を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】光照射器におけるレンズ位置を切り替える切替装置の概略構成を表す正面図である。
【図4】カーブミラー検出制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】ワイド照射モードにおける照射状況を表す説明図である。
【図6】スポット照射モードにおける光の反射原理を表す説明図である。
【図7】スポット照射モードにおける光の走査状態を表す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
10…カーブミラー検出装置、20…電子制御ユニット(メインECU)、30…カメラ、40…画像処理ECU、50…光照射器、52a,52b,52c…光源、55a,55b…モータ、56a,56b…回転角センサ、57…レンズ、60…切替装置、61…ラックバー、62…モータ、70…ミラー予告灯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブミラー等の車両外部に設けられる外部ミラーの存在を検出する外部ミラー検出装置において、
車両から外部に向けて光を照射する光照射手段と、
車両から外部を撮像する撮像手段と、
上記光照射手段から光を照射したときの光の反射状態を上記撮像手段にて検出し、その反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定するミラー存在判定手段と、
上記ミラー存在判定手段により上記外部ミラーが存在すると判定されたとき運転者に報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする外部ミラー検出装置。
【請求項2】
カーブミラー等の車両外部に設けられる外部ミラーの存在を検出する外部ミラー検出装置において、
車両から外部に向けて光を照射する光照射手段と、
車両から外部を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段による撮像にて得られた画像と、予め記憶された外部ミラーの形状特徴データとから上記外部ミラーの存在を推定するミラー存在推定手段と、
上記ミラー存在推定手段により上記外部ミラーの存在が推定された場合、その推定された外部ミラーの存在する方向に向けて上記光照射手段の光を照射する照射制御手段と、
上記光照射手段から光を照射したときの光の反射状態を上記撮像手段にて検出し、その反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定するミラー存在判定手段と、
上記ミラー存在判定手段により上記外部ミラーが存在すると判定されたとき運転者に報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする外部ミラー検出装置。
【請求項3】
上記光照射手段は、同一直線上に配置されない3つ以上の指向性を有する光源を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の外部ミラー検出装置。
【請求項4】
上記光照射手段の光源の光を広げて照射するワイド照射モードと、各光源の光をスポット状に照射するスポット照射モードとに切り替える照射モード切替手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の外部ミラー検出装置。
【請求項5】
上記ミラー存在判定手段は、上記ワイド照射モードにて光照射したときの反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定する第1判定部と、上記スポット照射モードにて光照射したときの反射状態に応じて外部ミラーの存在を判定する第2判定部とを備えることを特徴とする請求項4記載の外部ミラー検出装置。
【請求項6】
上記ミラー存在判定手段により上記外部ミラーが存在すると判定されたとき、上記光照射手段による照射を所定期間継続する光照射継続手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の外部ミラー検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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