説明

多チャンネルスペクトラム光源装置

【課題】マイクロミラーを用いたスペクトラム光源装置では、1台で同時に複数の波長の出力光を出力することができなかった。
【解決手段】多チャンネルスペクトラム光源装置は、所定の波長領域に亘る光源光を発する光源と、光源光の一部を通過させるスリットと、光源光を波長分散させる波長分散素子と、光源光が照射される平面領域において、波長分散方向に対応する方向とこれに直交する方向に沿って2次元的に分割された複数の分割領域から選択された一つ以上の特定領域が、他の領域と異なるように、光源光を反射または透過させる変調素子と、変調素子の特定領域を制御することにより、直交する方向に対応した複数の出力領域にそれぞれ光源光を導く制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多チャンネルスペクトラム光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、所望の選択されたスペクトルの照明光が照射されるチューナブル光源が知られている。ここで示されるチューナブル光源以外にも、例えば変調素子としてマイクロミラーアレイデバイスを用いた光源装置が知られている。マイクロミラーアレイデバイスは、複数のマイクロミラーが二次元的に配列されており、個々のマイクロミラーの反射方向を2方向に制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−506485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロミラーアレイデバイスを用いた従来のスペクトラム光源装置は、2次元的に配列されるマイクロミラーのうち、一辺の方向を波長分散方向に取って波長選択に用い、もう一辺の方向について有効反射領域面積を調整することにより光量アッテネーションを行っていた。したがって、ひとつの装置でひとつの出力チャンネルしか持つことができなかった。すなわち、同時に複数の異なるスペクトラム出力光を出力することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の多チャンネルスペクトラム光源装置は、所定の波長領域に亘る光源光を発する光源と、光源光の一部を通過させるスリットと、光源光を波長分散させる波長分散素子と、光源光が照射される平面領域において、波長分散方向に対応する方向とこれに直交する方向に沿って2次元的に分割された複数の分割領域から選択された一つ以上の特定領域が、他の領域と異なるように、光源光を反射または透過させる変調素子と、変調素子の特定領域を制御することにより、直交する方向に対応した複数の出力領域にそれぞれ光源光を導く制御部とを備える。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1のレイアウトによるスペクトラム光源装置の原理を説明する概念図である。
【図2】第2のレイアウトによるスペクトラム光源装置においてλ1の波長を出力する原理を説明する概念図である。
【図3】第2のレイアウトによるスペクトラム光源装置においてλ2の波長を出力する原理を説明する概念図である。
【図4】実施例1に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。
【図5】実施例1に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の光学系内の結像関係を示す図である。
【図6】実施例1に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の各光束チャンネルの主光線の通過様態を示す図である。
【図7】実施例2に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。
【図8】実施例2に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の光学系内の結像関係を示す図である。
【図9】実施例2に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の各光束チャンネルの主光線の通過様態を示す図である。
【図10】実施例3に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。
【図11】実施例4に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
まず、本実施形態の具体的な説明に先立って、本実施形態に係るスペクトラム光源装置の原理について説明する。図1は、第1のレイアウトによるスペクトラム光源装置の原理を説明する概念図である。
【0010】
一定の波長領域に亘って発光する光源によって照射される照射領域1101のうち、スリット1102を通過するスリット光1103が、波長分散素子である回折格子1104に到達する。回折格子1104は、種々の波長が混在する光を、波長に対応した角度で反射、分散させる。回折格子1104としては、例えば反射型平面グレーティングが用いられ、その表面の溝形状は、入射される入射光の入射角に対する反射角に応じて、その反射方向の波長が規定されるように形成されている。よって、スリット光1103が回折格子1104に入射すると、その表面で回折作用を受け、反射角に応じたその方向に特有の波長を有する回折光として反射、分散する。
【0011】
スリット光1103は、例えば、図示するように、波長λ1の反射光である第1反射光1105、波長λ2の反射光である第2反射光1106、波長λ3の反射光である第3反射光1107に分散する。それぞれの反射光は、反射型液晶素子アレイ1108の方向へ分散される。第1反射光1105、第2反射光1106、第3反射光1107はスリット光であるので、それぞれスリット状に反射型液晶素子アレイ1108の第1領域1109、第2領域1110、第3領域1111に到達する。それぞれの領域は、反射型液晶素子アレイ1108の平面領域において、行方向に短冊形状をなし、n1×n2(n1、n2は共に自然数であり、n1が行方向。)個の反射型液晶素子が対応する。なお、図では便宜上3つの波長で示しているが、分散される波長は連続的に変化するものであっても良い。
【0012】
反射型液晶素子アレイ1108は、複数の反射型液晶素子が2次元的に配列されているもので、それぞれの液晶素子は、制御部により入射光に与えるリターデーション量が独立的に変化するように制御される。具体的には、光源光が照射される平面領域において、波長分散方向に対応する方向とこれに直交する方向に沿って2次元的に分割された複数の分割領域から選択された一つ以上の特定領域の偏光状態が他の領域の偏光状態と異なるように、個々の反射型液晶素子が独立的に制御される。これにより、反射型液晶素子アレイ1108の特定領域で反射された光源光は、他の領域で反射された光源光と異なる偏光状態を有することになる。例えば液晶プロジェクタに用いられるものと同様である。
【0013】
制御部は、出力させたい波長光が到達する特定領域の反射型液晶素子を駆動して、特定領域の偏光状態が他の領域の変更状態と異なるように反射させる。図では、波長λ1の第1反射光1105が照射される領域である第1領域1109の一部の領域に対応する反射型液晶素子を駆動して、波長λ1の偏光状態を他の波長の偏光状態と異ならせている。反射型液晶素子アレイ1108の近傍であって、反射光路側に設置されている偏光素子は、特定領域で反射された偏光状態の光のみを透過させるように偏光方向が決められている。したがって、波長λ1の光源光のみが出力光1112として出力光学系1113に到達し、スペクトラム光源装置は、選択された波長λ1のみの光を出力する光源として機能する。また、第1領域1109を波長分散方向とは直交する方向に複数の領域に分割すれば、多チャンネル化することができる。図では左端に対応する1チャンネルに、波長λ1の光源光を出力する様子を示している。
【0014】
同様に、特定領域として第2領域1110に対応する反射型液晶素子を駆動して、波長λ2の偏光状態を他の波長の偏光状態と異ならせれば、波長λ2のみの光を出力させることができ、特定領域として第3領域1111に対応する反射型液晶素子を駆動して、波長λ3の偏光状態を他の波長の偏光状態と異ならせれば、波長λ3のみの光を出力させることができる。このように、スペクトラム光源装置は、反射型液晶素子アレイ1108の選択する領域に応じて任意の波長の光を、複数のチャンネルに独立的に出力させることができる。
【0015】
図2は、第2のレイアウトによるスペクトラム光源装置においてλ1の波長を出力する原理を説明する概念図である。光源1201は所定の波長領域に亘る光源光1210を発する。ここでは白色光を発するものとする。光源光1210は、反射型液晶素子アレイ1202上の反射面である平面領域に、光を照射する照射領域1211を形成する。
【0016】
反射型液晶素子アレイ1202は、上記の反射型液晶素子アレイ1108と同様のデバイスである。図2において、制御部は、行方向の短冊形状である第1領域1203に属する反射型液晶素子を駆動して、第1領域1203の一部の領域に照射された光源光1210の偏光状態を他の領域に照射された光源光1210の偏光状態と異ならせている。反射型液晶素子アレイ1202の近傍であって、反射光路側に設置されている偏光素子は、特定領域で反射された偏光状態の光のみを透過させるように偏光方向が決められている。したがって、第1領域1203の一部の領域で反射された光源光のみが、白色反射光1213として第1の角度で回折格子1206の受光面に入射する。
【0017】
回折格子1206は、上記の回折格子1104と同様の素子である。したがって、白色反射光1213が回折格子1206に入射すると、その表面で回折作用を受け、反射角に応じたその方向に特有の波長を有する回折光として反射する。例えば、赤色領域の波長λ1の回折光1223、緑色領域の波長λ2の回折光1224、青色領域の波長λ3の回折光1225を含むように入射光を分散させる。
【0018】
回折格子1206で反射され分散された回折光は、それぞれスリット1207の方向へ向かう。このとき、スリット1207は、回折格子1206に対して相対的に位置決めされており、固定のスリット開口を有する。したがって、回折光のうち、特定の波長の回折光のみがこのスリット開口を通過することができる。図2においては、波長λ1の回折光1223がスリット開口を通過することができる。
【0019】
スペクトラム光源装置に設けられる出力光学系は、スリット1207に対して相対的に位置決めされて設置されている。具体的には、スリット1207のスリット開口を通過する回折光が、最も好ましく出力光学系に入射するように設置されている。例えば、当該回折光が出力光学系の入射面に対して垂直かつ中心近傍で入射することが好ましい。
【0020】
続けて、λ1とは異なるλ2の波長の出力光を出力させる場合について説明する。図3は、第2のレイアウトによるスペクトラム光源装置においてλ2の波長を出力する原理を説明する概念図である。図2と同じ要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0021】
λ2の波長の出力光を出力させる場合は、制御部は、行方向の短冊形状である第2領域1204の一部の領域に属する反射型液晶素子を駆動して、第2領域1204に照射された光源光1210の偏光状態を他の領域に照射された光源光1210の偏光状態と異ならせている。選択された特定領域の偏光状態は、第1領域1203の一部の領域が選択された場合であっても、第2領域1204の一部の領域が選択された場合であっても同じであるので、ここでは第2領域1204の一部の領域で反射された光源光のみが、白色反射光1214として偏光素子を透過する。偏光素子を透過した白色反射光1214は、第2の角度で回折格子1206の受光面に入射する。
【0022】
反射型液晶素子アレイ1202に対して回折格子1206は相対的に位置決めされている。したがって、白色反射光1214は、白色反射光1213と同様に回折格子1206の反射面へ入射するが、その入射角が異なる。すなわち、第1の角度ではなく第2の角度で回折格子1206の受光面に入射する。上述のように、回折格子1206の表面の溝形状は、反射型液晶素子アレイ1202の方向から入射される入射光の入射角に対する反射角に応じて、その反射方向の波長が規定されるように形成されているので、白色反射光1214による回折作用は、入射角が異なる分、分散する方向が白色反射光1213の場合に比べてシフトする。
【0023】
スリット1207は、回折格子1206に対して相対的に位置決めされており、そのスリット開口を通過できる回折光は、回折格子1206に対して所定の角度で反射されたもののみである。図2の場合、分散する方向が図1の場合に比べてシフトしているので、赤色領域の波長λ1の回折光1233、緑色領域の波長λ2の回折光1234、青色領域の波長λ3の回折光1235のうち、回折光1234のみがスリット1207のスリット開口を通過し、その他の波長の回折光はスリット1207により阻止される。
【0024】
逆に言えば、スリット1207のスリット開口から波長λ1の出力光が出力されるような反射型液晶素子アレイ1202の対応領域として第1領域1203を定め、同様に、波長λ2に対応して第2領域1204を定める。したがって、出力させる出力光の波長は、反射型液晶素子アレイ1202の短冊領域と対応するので、制御部は、対応する短冊領域の反射型液晶素子を駆動制御することにより、任意の波長の出力光を出力させることができる。また、対応波長領域において、波長分散方向に直交する方向にも複数に領域を分割すれば、多チャンネル化することができる。図2では右端に対応する第1のチャンネルから波長λ1の出力光を出力する様子を示し、図3では左端に対応する第3のチャンネルから波長λ2の出力光を出力する様子を示している。
【0025】
さらには、第2のレイアウトでは、いずれの波長の出力光が出力される場合であっても、スリット1207のスリット開口を通過する回折光は一定の角度であるので、回折光を出力光学系に理想的に入射させることができる。回折光を出力光学系の入射面に対して垂直かつ中心近傍で入射させることができれば、スペクトラム光源装置の出力光に波長分布角度むら、波長に依存する強度分布むらである色むらが生じにくい。
【0026】
これまで説明した原理を適用した具体的な実施例を、以下に図を用いて説明する。
【0027】
(実施例1)
図4は、実施例1に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。本実施例は、上述の第1のレイアウトに則る。光源101はキセノンランプであり、アーク1011像を投影する凹面ミラー1012、開口絞り1013、及び光源正レンズ1014から構成される。キセノンランプが発する可視光域の波長分布は、太陽光の波長分布に近い。熱線反射フィルタ102は、光源101の発する熱量等に応じて設置される。特に出力光として熱線波長領域が不要の場合には、所定の分光特性を有する熱線反射フィルタ102を設置し、後続の光学系等の熱負荷を軽減する。光源101と熱線反射フィルタ102は、光源部1を構成する。
【0028】
スリット301は、機械的な駆動等によりスリット幅を変化することができるスリット開口を備える。アーク1011は、スリット301の最大スリット幅いっぱいに像を形成する。第1正レンズ系302で、スリット301からの発散光束をコリメートする。コリメート光束は、第1偏光フィルタ201を通過することで直線偏光化される。第1偏光フィルタ201の直線偏光の向きは、偏光ビームスプリッタ202を透過する向きに合わせて設定されており、第1偏光フィルタ201を通過した光束は、偏光ビームスプリッタ202を透過する。第1偏光フィルタ201は必須の要素ではないが、第1偏光フィルタ201を設置すれば、偏光ビームスプリッタ202との作用により、広い波長範囲にわたって純度の高い直線偏光を作り出すことができる。第1偏光フィルタ201を透過する偏光方向とは直交する方向の偏光成分が、漏れ光としてわずかに存在する。この漏れ光成分のほとんどは、偏光ビームスプリッタ202を透過することができずに反射され、トラップ204で吸収される。
【0029】
偏光ビームスプリッタ202を透過した光束は、第2正レンズ系303を通過することによってスリット301の像を形成する。像面位置には、迷光遮断絞り304を設置する。つまり、スリット301の面と迷光遮断絞り304の面は、物体面と像面の関係にある。迷光遮断絞り304は、スリット301のスリット幅が最大となっているときでも、スリット301の像がけられない長方形開口を備える。なお、迷光遮断絞り304は必須の要素ではないが、迷光を除去する機能を担って出力光のS/N比を向上させる。
【0030】
次いで、迷光遮断絞り304からの発散光束を第3正レンズ系305によりコリメートして回折格子306へ導く。回折格子306へ到達した発散光束は、その表面で回折作用を受け、反射角に応じたその方向に特有の波長を有する回折光として反射、分散する。回折格子306としては、例えば反射型平面グレーティングが用いられる。反射、分散された光束は、第4正レンズ系307を透過することにより、反射型液晶素子アレイ4の受光面401に光源光のスペクトラム像を形成する。形成されたスペクトラム像は、スリット301の像でもある。
【0031】
スリット301、第1正レンズ系302、第2正レンズ系303、迷光遮断絞り304、第3正レンズ系305、回折格子306、及び第4正レンズ系307は、波長分散系3を構成する。波長分散系3は、非点収差が所定の範囲に収まるように光学設計されており、波長分散方向のみならず、これに直交する方向についても所定の解像性能を有している。屈折レンズを用いて光学系を構成すれば、非点収差を所定の範囲内に収めることは、比較的容易である。なお、波長分散素子の例としては、反射型平面グレーティングの他にも、透過型など他の形式のグレーティングを用いることもできるし、波長分散プリズムを用いることもできる。
【0032】
反射型液晶素子アレイ4は、その受光面401が波長分散系3のスペクトラム像面となるように配置される。ドライバ5は、制御部からの指示に応じて単位波長領域及び出力チャンネルに対応する領域に含まれる複数の反射型液晶素子を駆動する。具体的には、矢印402に沿う列方向が波長分散方向に対応し、さらに個々の領域が単位波長領域に対応する。また、波長分散方行に直交する方向である矢印403に沿う方向が出力させる出力チャンネルに対応する。図では、4×4のマトリックス状に領域が定められていることを示すが、例えば左の列から右の列まで順に矢印402方向に、中心波長がλ1、λ2、λ3、λ4である単位波長領域に対応し、上の行から下の行まで順に矢印403方向に、後述の第1チャンネル701、第2チャンネル702、第3チャンネル703、第4チャンネル704が対応する。したがって、出力チャンネルごとに所望のスペクトラム光が出力するよう、ドライバ5は受光面401上における出力チャンネルに対応した複数領域に含まれる複数の反射型液晶素子を駆動する。
【0033】
選択された領域に含まれる複数の反射型液晶素子のそれぞれは、ドライバ5の駆動により、入射される直線偏光に独立的にリターデーションを与えて楕円偏光化する。反射型液晶素子アレイ4で反射された光束は、再び波長分散系3に進入して合波作用を受け、迷光遮断絞り304にスリット301像を再び形成する。次いで第2正レンズ系303によってコリメートされ、偏光ビームスプリッタ202へ入射する。
【0034】
偏光ビームスプリッタ202によって反射される方向の直線偏光成分のみが、第2偏光フィルタ203を経て出力正レンズ系6へ向かう。反射型液晶素子アレイ4の受光面401において選択された特定領域で反射された光束は楕円偏光化されており、偏光ビームスプリッタ202に入射したときに、所定の比率で直交する偏光成分が反射光と透過光に分けられる。したがって、特定領域で反射された光束のうちの透過光成分と特定領域以外の領域で反射された光束は、偏光ビームスプリッタ202を透過し、第1偏光フィルタ201を経由して再び光源部1へ戻る。なお、第1偏光フィルタ201、偏光ビームスプリッタ202、第2偏光フィルタ203、及びトラップ204は、偏光分岐光学系2を構成する。図示するように、偏光分岐光学系2は、波長分散系3に包含される関係にある。
【0035】
出力正レンズ系6を通過した光束は、その像面にスリット301の像を形成するが、これは受光面401の共役像でもある。したがって、この面においては、選択された単位波長の光束が選択されたチャンネル位置に、出力光として出力される。このチャンネルに合わせて、複数の出力光伝送デバイスを設置する。図において、第1チャンネル701、第2チャンネル702、第3チャンネル703、第4チャンネル704のそれぞれは出力光伝送デバイスであって、出力光学系7を構成する。出力光伝送デバイスとしては、例えば液体ライトガイドが採用される。液体ライトガイドは、一端に入力された光束が内部で反射を繰り返すうちに均質化されて他端から出力される性質を備える。また、可撓性を備えるので、出力光を照射対象まで導光する場合に好ましい。なお、波長分散系3は、非点収差が所定の範囲に収まるように光学設計がなされており、各チャンネルには対応する受光面401上の領域からの反射光しか入射せず、クロストークが発生しないように考慮されている。
【0036】
図5は、実施例1に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の光学系内の結像関係を示す図である。図示するように、アーク1011像として発せられた出力光が出力光学系7に到達するまでに順に、スリット301、迷光遮断絞り304、受光面401、迷光遮断絞り304、及び出力光学系7の入射端面直前のそれぞれで結像していることがわかる。
【0037】
図6は、実施例1に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の各光束チャンネルの主光線の通過様態を示す図である。図は、開口絞り1013の開口中心を通過する光線を主光線として、出力光学系7の各チャンネルの中心に集光する光束の主光線を代表例として示す。図からわかるように、偏光分岐光学系2、波長分散系3を往復する光路において、往路、復路ともに偏光ビームスプリッタ202上及び回折格子306上で各主光線が収斂するように光学系が設計されている。また受光面401に対する入射光、反射光のどの主光線も受光面401に対して垂直となるように光学設計がされている。もちろん反射型液晶素子での入射光束主光線は液晶面に垂直であることが望ましい。また、出力光学系7へ入射するときも、互いの主光線が平行となるように設計されている。したがって、出力光伝送デバイスの各々は平行に配列される。
【0038】
以上のように構成される多チャンネルスペクトラム装置は、ひとつの装置で複数の独立した出力チャンネルを得ることができる。したがって、例えば1台の装置だけで例えば色度図上で微妙に異なる値を持つ色を同時に作り出し、目視によってその違いを確認することも簡単にできる。
【0039】
(実施例2)
図7は、実施例2に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。本実施例は、上述の第2のレイアウトに則る。光源部1は、実施例1と同様に光源101と熱線反射フィルタ102から構成される。キセノンランプのアーク1011の像が、ロッドガラス801の入射端面に形成され、射出端面から照明光学系802へ出力される。ロッドガラス801は、例えば四角柱形状をなし、内部を通過する光の光強度分布を均一化する作用を有する。ロッドガラス801の材料は、耐熱性と透過率に優れた石英ガラスが適している。
【0040】
照明光学系802から射出された光束は、反射型液晶素子アレイ4へ向けて進行する。 照明光学系802は、第1群光学系8021、開口絞り8022、第2群光学系8023から構成され、反射型液晶素子アレイ4の受光面401に対してテレセントリックとなるように光学設計されている。ロッドガラス801と照明光学系802で、均一化光学系8を構成する。
【0041】
照明光学系802と受光面401の間には、光路順に、第1偏光フィルタ201と偏光ビームスプリッタ202が設置され、受光面401に入射する光を所定方向の直線偏光にする。第1偏光フィルタ201は必須の要素ではないが、第1偏光フィルタ201を設置すれば、偏光ビームスプリッタ202との作用により、広い波長範囲にわたって純度の高い直線偏光を作り出すことができる。第1偏光フィルタ201を透過する偏光方向とは直交する方向の偏光成分が、漏れ光としてわずかに存在する。この漏れ光成分のほとんどは、偏光ビームスプリッタ202を透過することができずに反射され、トラップ204で吸収される。
【0042】
反射型液晶素子アレイ4は、その受光面401が、偏光ビームスプリッタ202を透過した光束を受ける。この段階の光束は未だ分光されておらず、白色光である。ドライバ5は、制御部からの指示に応じて単位波長領域及び出力チャンネルに対応する領域に含まれる複数の反射型液晶素子を駆動する。具体的には、矢印402に沿う列方向が波長分散方向に対応し、さらに個々の領域が単位波長領域に対応する。また、波長分散方行に直交する方向である矢印403に沿う方向が出力させる出力チャンネルに対応する。図では、4×4のマトリックス状に領域が定められていることを示すが、例えば左の列から右の列まで順に矢印402方向に、中心波長がλ1、λ2、λ3、λ4である単位波長領域に対応し、上の行から下の行まで順に矢印403方向に、第1チャンネル701、第2チャンネル702、第3チャンネル703、第4チャンネル704が対応する。したがって、出力チャンネルごとに所望のスペクトラム光が出力するよう、ドライバ5は受光面401上における出力チャンネルに対応した複数領域に含まれる複数の反射型液晶素子を駆動する。
【0043】
選択された領域に含まれる複数の反射型液晶素子のそれぞれは、ドライバ5の駆動により、入射される直線偏光に独立的にリターデーションを与えて楕円偏光化する。反射型液晶素子アレイ4で反射された光束は、再び偏光ビームスプリッタ202へ入射する。
【0044】
偏光ビームスプリッタ202によって反射される方向の直線偏光成分のみが、第2偏光フィルタ203を経て出力正レンズ系6へ向かう。反射型液晶素子アレイ4の受光面401において選択された特定領域で反射された光束は楕円偏光化されており、偏光ビームスプリッタ202に入射したときに、所定の比率で直交する偏光成分が反射光と透過光に分けられる。したがって、特定領域で反射された光束のうちの透過光成分と特定領域以外の領域で反射された光束は、偏光ビームスプリッタ202を透過し、第1偏光フィルタ201を経由して再び光源部1へ戻る。なお、第1偏光フィルタ201、偏光ビームスプリッタ202、第2偏光フィルタ203、及びトラップ204は、偏光分岐光学系2を構成する。
【0045】
第2偏光フィルタ203を透過した光束は、第4正レンズ系307によりコリメートされて回折格子306へ入射する。回折格子306へ到達した発散光束は、その表面で回折作用を受け、反射角に応じたその方向に特有の波長を有する回折光として反射、分散する。回折格子306としては、例えば反射型平面グレーティングが用いられる。反射、分散された光束は、第3正レンズ系305を透過することにより、スリット301に光源光のスペクトラム像を形成する。第3正レンズ系305及び第4正レンズ系307の作用により、スリット301面と受光面401は共役関係となる。したがって、スリット301側から見た場合、スリット301の波長分散像が受光面401上に形成されるが、受光面401を反射した光束のうち反射位置におけるスリット301の像を形成している波長光のみがスリット301のスリット開口を通過できると言える。
【0046】
スリット301、第3正レンズ系305、第4正レンズ系307、及び回折格子306は、波長分散系3を構成する。波長分散系3は、非点収差が所定の範囲に収まるように光学設計されており、波長分散方向のみならず、これに直交する方向についても所定の解像性能を有している。屈折レンズを用いて光学系を構成すれば、非点収差を所定の範囲内に収めることは、比較的容易である。なお、波長分散素子の例としては、反射型平面グレーティングの他にも、透過型など他の形式のグレーティングを用いることもできるし、波長分散プリズムを用いることもできる。
【0047】
さらに、出力正レンズ系6によってスリット301の共役像を形成する。出力正レンズ系6は、スリット301の像をテレセントリックに結像する。出力正レンズ系6の像面は受光面401の共役像でもある。したがって、この面においては、選択された単位波長の光束が選択されたチャンネル位置に、出力光として出力される。このチャンネルに合わせて、複数の出力光伝送デバイスを設置する。図において、第1チャンネル701、第2チャンネル702、第3チャンネル703、第4チャンネル704のそれぞれは出力光伝送デバイスであって、出力光学系7を構成する。出力光伝送デバイスとしては、例えば液体ライトガイドが採用される。液体ライトガイドは、一端に入力された光束が内部で反射を繰り返すうちに均質化されて他端から出力される性質を備える。また、可撓性を備えるので、出力光を照射対象まで導光する場合に好ましい。なお、波長分散系3は、非点収差が所定の範囲に収まるように光学設計がなされており、各チャンネルには対応する受光面401上の領域からの反射光しか入射せず、クロストークが発生しないように考慮されている。
【0048】
図8は、実施例2に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の光学系内の結像関係を示す図である。図示するように、光源101で発せられた出力光が出力光学系7に到達するまでに順に、受光面401、スリット301、及び出力光学系7の入射端面直前のそれぞれで結像していることがわかる。
【0049】
図9は、実施例2に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の各光束チャンネルの主光線の通過様態を示す図である。図は、開口絞り1013の開口中心を通過する光線を主光線として、出力光学系7の各チャンネルの中心に集光する光束の主光線を代表例として示す。図からわかるように、偏光分岐光学系2内において各主光線は光軸に平行であり、受光面401に対する入射光、反射光のどの主光線も受光面401に対して垂直になるよう光学系が設計されている。もちろん反射型液晶素子での入射光束主光線は液晶面に垂直であることが望ましい。また、出力光学系7へ入射するときも、互いの主光線が平行となるように設計されている。したがって、出力光伝送デバイスの各々は平行に配列される。
【0050】
以上のように構成される多チャンネルスペクトラム装置は、ひとつの装置で複数の独立した出力チャンネルを得ることができる。したがって、例えば1台の装置だけで例えば色度図上で微妙に異なる値を持つ色を同時に作り出し、目視によってその違いを確認することも簡単にできる。また、このレイアウトによれば、回折光が出力光学系7の入射面に対して垂直かつ中心近傍で入射するのでより好ましい。
【0051】
上記の実施例においては、変調素子として反射型液晶素子アレイ4を用いた。反射型液晶素子アレイ4は、ある単位波長領域、チャンネルに対応する短冊領域に含まれる個々の反射型液晶素子を制御することにより、偏光ビームスプリッタ202へ入射させる反射光の、直交成分の比率を制御して光強度を調整することができる。すなわち、偏光ビームスプリッタ202でより多く反射されるように直交する直線偏光成分を増やせば、出力される光強度は大きくなる。このような方式を階調変調方式ということにする。階調変調方式により、特定領域全体に直交成分比率の調整を行えば出力光の光強度の調整を行うことができる。
【0052】
光強度の調整は、上記の階調変調方式の他に時間変調方式、面積変調方式がある。時間変調方式は、ある単位波長領域、チャンネルに対応する短冊領域に含まれる反射型液晶素子を、単位時間内に、入射される直線偏光にリターデーションを与えて楕円偏光化する場合とそうでない場合を所定の比率で繰り返すことにより、出力される光強度を調整する。つまり、偏光ビームスプリッタ202へ入射させる反射光の直交成分の比率を、個々の反射型液晶素子の連続的な駆動により変更する。
【0053】
面積変調方式は、ある単位波長領域、チャンネルに対応する短冊領域に含まれる反射型液晶素子のうち、入射される直線偏光にリターデーションを与えて楕円偏光化する素子とそうでない素子の個数を変更することにより出力される光強度を調整する。つまり、偏光ビームスプリッタ202へ入射させる反射光の直交成分の比率を、リターデーションを与える反射型液晶素子の面積比率により変更する。なお、反射型液晶素子アレイ4を用いる上記実施例1および実施例2の多チャンネルスペクトラム装置においては、階調変調方式および時間変調方式が比較的良好な結果が得られる。
【0054】
(実施例3)
図10は、実施例3に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。本実施例は、図7に示した第2実施例における反射型液晶素子アレイ4の代わりに、マイクロミラーアレイ9を用いる。変調素子受光面を照射する光源光を矢印902および矢印903に沿って2次元的に選択する点では、マイクロミラーアレイ9であっても同様に適用できる。光学系については、図7に示した第2実施例に対して偏光分岐光学系2がなくなったのが異なるのみで、その他は同じであるので動作詳細説明は省略する。
【0055】
光量変調は時間変調方式を採用する。すなわち、ある出力チャンネルのある単位波長領域について光量変調を行う場合、出力チャンネルの単位波長領域に対応するマイクロミラーアレイ受光面901上の領域に存在する複数のマイクロミラーを一斉に駆動する。具体的には、出力光路側と廃棄光路側の2方向に対して交互に向け、所定の単位時間内における出力光路側に向けている時間の積分値と、廃棄光路側に向けている時間の積分値との比率を調整することで、短冊形開口像に対応する波長光の出力量を制御する。この方法によればマイクロミラーアレイ受光面901上の領域における光量減衰変調が一様になされ、出力チャンネル入射開口面上における光強度分布に波長差を生じにくくする。
【0056】
この他面積変調方式により、出力光の光強度の調整を行うこともできる。面積変調方式の場合は、ある単位波長領域、チャンネルに含まれるマイクロミラーについて、出力光学系7の方向へ角度設定をする個数と廃棄光路側へ角度設定をする個数を変更することにより、出力される光強度を調整する。つまり、出力光学系7へ反射する反射光の割合をマイクロミラーの面積比率により変更する。ただし、マイクロミラーアレイ受光面901上の領域における光量減衰変調がより一様になされ、出力チャンネル入射開口面上における光強度分布波長差をより生じにくくする点においては、時間変調方式の方が好ましい。
【0057】
(実施例4)
図11は、実施例4に係る多チャンネルスペクトラム光源装置の概略構成図である。本実施例は、図7に示した第2実施例における反射型液晶素子アレイ4の代わりに、透過型液晶素子アレイ41を用いる。変調素子受光面を照射する光源光を2次元的に選択する点では、透過型液晶素子アレイ41であっても同様に適用できる。透過型液晶素子アレイ41は、複数の透過型液晶素子が2次元的に配列されているもので、それぞれの液晶素子は、制御部によりドライバ5を介して、透過光に与えるリターデーション量が独立的に変化するように制御される。光学系については、図7に示した第2実施例に対して偏光分岐光学系2がなくなったのが異なるのみで、その他は同じであるので動作詳細説明は省略する。
【0058】
透過型液晶素子アレイ41を用いる場合は、反射型液晶素子アレイ4を用いるときに併せて設置していた偏光分岐光学系2の代わりに、透過型液晶素子アレイ41の前後に第3偏光フィルタ414と第4偏光フィルタ415を設ける。均一化光学系8からの光源光は、第3偏光フィルタ414によって直線偏光化されてから透過型液晶素子アレイ41に入射する。透過型液晶素子アレイ41を透過し楕円偏向化された透過光は、第4偏光フィルタ415を通過できる直線偏光成分のみが波長分散系3の方向へ投射される。
【0059】
ドライバ5は、制御部からの指示に応じて単位波長領域及び出力チャンネルに対応する領域に含まれる複数の透過型液晶素子を駆動する。具体的には、矢印412に沿う列方向が波長分散方向に対応し、さらに個々の領域が単位波長領域に対応する。また、波長分散方行に直交する方向である矢印413に沿う方向が出力させる出力チャンネルに対応する。図では、4×4のマトリックス状に領域が定められていることを示すが、例えば左の列から右の列まで順に矢印412方向に、中心波長がλ1、λ2、λ3、λ4である単位波長領域に対応し、上の行から下の行まで順に矢印413方向に、第1チャンネル701、第2チャンネル702、第3チャンネル703、第4チャンネル704が対応する。したがって、出力チャンネルごとに所望のスペクトラム光が出力するよう、ドライバ5は受光面411上における出力チャンネルに対応した複数領域に含まれる複数の透過型液晶素子を駆動する。なお、変調方式は、反射型液晶素子アレイ4の方式と同様である。
【0060】
以上のように構成される多チャンネルスペクトラム装置は、ひとつの装置で複数の独立した出力チャンネルを得ることができる。したがって、例えば1台の装置だけで例えば色度図上で微妙に異なる値を持つ色を同時に作り出し、目視によってその違いを確認することも簡単にできる。
【0061】
上記の各実施例においては、反射型液晶素子アレイ4、マイクロミラーアレイ9、透過型液晶素子アレイ41を4×4の領域に分割して説明した。例えば、この分割領域を明確に区切るマスクを受光面401、受光面901または受光面411上に設けても良い。このようなマスクを設けることにより、出力光学系7において、クロストークをさけることができる。マスクを設けるのではなく、分割領域間の素子に光源光を廃棄する不感帯を設定しても同様の効果が得られる。つまり、反射型液晶素子アレイ4、透過型液晶素子アレイ41は、分割領域の境界に、特定領域の偏光状態と同一の偏光状態にならない不感帯領域を設ける。マイクロミラーアレイ9であれば、分割領域の境界に、特定領域のマイクロミラー角度にならない不感帯領域を設ける。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0063】
1 光源部、2 偏光分岐光学系、3 波長分散系、4 反射型液晶素子アレイ、5 ドライバ、6 出力正レンズ系、7 出力光学系、8 均一化光学系、9 マイクロミラーアレイ、41 透過型液晶素子アレイ、101 光源、102 熱線反射フィルタ、201 第1偏光フィルタ、202 偏光ビームスプリッタ、203 第2偏光フィルタ、204 トラップ、301 スリット、302 第1正レンズ系、303 第2正レンズ系、304 迷光遮断絞り、305 第3正レンズ系、306 回折格子、307 第4正レンズ系、401 受光面、402、403 矢印、411 受光面、412、413 矢印、414 第3偏光フィルタ、415 第4偏光フィルタ、701 第1チャンネル、702 第2チャンネル、703 第3チャンネル、704 第4チャンネル、801 ロッドガラス、802 照明光学系、901 受光面、902、903 矢印、1011 アーク、1012 凹面ミラー、1013 開口絞り、1014 光源正レンズ、1101 照射領域、1102 スリット、1103 スリット光、1104 回折格子、1105 第1反射光、1106 第2反射光、1107 第3反射光、1108 反射型液晶素子アレイ、1109 第1領域、1110 第2領域、1111 第3領域、1112 出力光、1113 出力光学系、1201 光源、1202 反射型液晶素子アレイ、1203 第1領域、1204 第2領域、1206 回折格子、1207 スリット、1210 光源光、1211 照射領域、1213、1214 白色反射光、1223、1224、1225 回折光、1233、1234、1235 回折光、8021 第1群光学系、8022 開口絞り、8023 第2群光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長領域に亘る光源光を発する光源と、
前記光源光の一部を通過させるスリットと、
前記光源光を波長分散させる波長分散素子と、
前記光源光が照射される平面領域において、波長分散方向に対応する方向とこれに直交する方向に沿って2次元的に分割された複数の分割領域から選択された一つ以上の特定領域が、他の領域と異なるように、前記光源光を反射または透過させる変調素子と、
前記変調素子の前記特定領域を制御することにより、前記直交する方向に対応した複数の出力領域にそれぞれ前記光源光を導く制御部と
を備える多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項2】
前記変調素子は、前記特定領域の偏光状態が、他の領域の偏光状態と異なるように前記光源光に変調作用を与えて反射する反射型液晶素子アレイであって、
前記反射型液晶素子アレイで反射された前記光源光のうち、所定方向の偏光成分を反射し、他の方向の偏光成分を透過する偏光ビームスプリッタ
を更に備える請求項1に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項3】
前記制御部は、出力光の強度を調整する場合には、前記特定領域において単位時間当たりの前記変調作用を与える割合と与えない場合の割合を調整することにより制御する請求項2に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項4】
前記波長分散素子によって波長分散される分散方向に直交する方向に対応して配置されるように、前記偏光ビームスプリッタの反射側よりも後段に複数設けられる出力光伝送デバイスを備える請求項2または3に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項5】
前記光源で発せられた前記光源光が、前記スリット及び前記偏光ビームスプリッタを通過し、前記波長分散素子で波長分散され、前記反射型液晶素子アレイで反射した後に、再び波長分散素子を経由して前記偏光ビームスプリッタに到達し、さらに前記偏光ビームスプリッタで反射した前記光源光が前記出力光伝送デバイスのいずれかに入射するように、前記光源光、前記スリット、前記波長分散素子、前記反射型液晶素子アレイ、前記偏光ビームスプリッタ及び前記出力光伝送デバイスが配置される請求項4に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項6】
前記スリットと前記偏光ビームスプリッタの間に、前記光源光のうち所定方向の直線偏光成分のみを透過する第1偏光フィルタを備える請求項5に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項7】
前記偏光ビームスプリッタと前記出力光伝送デバイスの間に、前記光源光のうち所定方向の直線偏光成分のみを透過する第2偏光フィルタを備える請求項5または6に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項8】
前記光源で発せられた前記光源光が、前記偏光ビームスプリッタを通過し、前記反射型液晶素子アレイで反射した後に、再び前記偏光ビームスプリッタに到達し、さらに前記偏光ビームスプリッタで反射した前記光源光が前記波長分散素子で波長分散され、波長分散された前記光源光の一部が前記スリットを通過して前記出力光伝送デバイスのいずれかに入射するように、前記光源光、前記スリット、前記波長分散素子、前記反射型液晶素子アレイ、前記偏光ビームスプリッタ及び前記出力光伝送デバイスが配置される請求項4に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項9】
前記光源と前記偏光ビームスプリッタの間に、前記光源光のうち所定方向の直線偏光成分のみを透過する第1偏光フィルタを備える請求項8に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項10】
前記偏光ビームスプリッタと前記波長分散素子の間に、前記光源光のうち所定方向の直線偏光成分のみを透過する第2偏光フィルタを備える請求項8または9に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項11】
前記反射型液晶素子アレイの受光面近傍に、前記複数の分割領域を互いに区切るマスクを備える請求項2から10のいずれか1項に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項12】
前記反射型液晶素子アレイは、前記複数の分割領域の境界に、前記特定領域の偏光状態と同一の偏光状態にならない不感帯領域を備える請求項2から11のいずれか1項に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項13】
前記変調素子は前記特定領域のマイクロミラー角度が、他の領域のマイクロミラー角度と異なるように設定されるマイクロミラーアレイである請求項1に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項14】
前記制御部は、出力光の強度を調整する場合には、前記特定領域において、前記他の領域のマイクロミラー角度と同じ角度に設定する単位時間当たりの割合を調整することにより制御する請求項13に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項15】
前記マイクロミラーアレイの受光面近傍に、前記複数の分割領域を互いに区切るマスクを備える請求項13または14に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項16】
前記マイクロミラーアレイは、前記複数の分割領域の境界に、前記特定領域のマイクロミラー角度にならない不感帯領域を備える請求項13から15のいずれか1項に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項17】
前記変調素子は、前記特定領域の偏光状態が、他の領域の偏光状態と異なるように前記光源光に変調作用を与えて透過する透過型液晶素子アレイである請求項1に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項18】
前記制御部は、出力光の強度を調整する場合には、前記特定領域において単位時間当たりの前記変調作用を与える割合と与えない場合の割合を調整することにより制御する請求項17に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項19】
前記透過型液晶素子アレイの受光面近傍に、前記複数の分割領域を互いに区切るマスクを備える請求項17または18に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。
【請求項20】
前記透過型液晶素子アレイは、前記複数の分割領域の境界に、前記特定領域の偏光状態と同一の偏光状態にならない不感帯領域を備える請求項17から19のいずれか1項に記載の多チャンネルスペクトラム光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−48285(P2011−48285A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198681(P2009−198681)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】