多値情報記録再生方法及び装置
【課題】 従来のセルの中央でサンプリングしたセル中央値だけから多値情報を判定するのではなく、符号間干渉の影響が軽微な再生信号も同時に用いて多値情報を判定する。
【解決手段】 光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングした再生信号(セル間値)と、光スポットがセルの中央に来た時にサンプリングした再生信号(セル中央値)の両方を用いてセルの多値情報を判断する。これにより、誤検出を低減でき、高密度多値記録再生を可能とする。
【解決手段】 光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングした再生信号(セル間値)と、光スポットがセルの中央に来た時にサンプリングした再生信号(セル中央値)の両方を用いてセルの多値情報を判断する。これにより、誤検出を低減でき、高密度多値記録再生を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスク等の情報記録媒体に多値情報を記録又は再生する多値情報記録再生方法及び装置、特に、多値データ処理においてデータの誤り率を低減できる多値データ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクにおいては渦巻状又は同心円状のトラック上に2値のデジタルデータが、エンボス加工等による凹凸のピット(ROMディスク)や無機・有機記録膜への穴形成(追記型ディスク)・結晶状態の違い(相変化ディスク)・磁化方向の違い(光磁気ディスク)等によって記録されている。これらの記録データを再生する際には、トラック上にレーザビームを照射して、その反射光の強度差や磁気カー効果による偏光方向の差等を検出し、再生RF信号を得ている。そして、得られた再生RF信号から2値のデータを検出している。
【0003】
近年、これら光ディスクの記録容量の高密度化を図る研究開発が進められており、情報の記録再生に関わる光スポットを微小化する技術として、光源の波長は赤色(650nm)から、青紫色(405nm)になりつつある。また、対物レンズの開口数も0.6や0.65から0.85へと高められようとしている。一方では、同じ光スポットの大きさを用いて、より効率のよい多値記録再生の技術も提案されている。
【0004】
例えば、本願出願人は、多値記録再生技術として、特開平5−128530号公報において、光学的情報記録媒体の情報トラック上に情報ピットのトラック方向の幅と、その情報ピットの再生用光スポットに対するトッラク方向のシフト量の組み合せによって、多値情報を記録する記録方法と、その多値記録した情報ピットを再生する際、予め学習しておいた検出信号と光スポットから得られた検出信号との相関より多値情報を再生する再生方法とを提案している(特許文献1)。
【0005】
また、光ディスク分野の研究における国際学会であるISOM2003(Write−once Disks for Multi-level Optical Recording:予稿集Fr−Po−04)において、青紫色の光源(405nm)とNA0.65の光学系を用い、トラックピッチが0.46μmの光ディスクに対して、仮想的に設けた一つの情報ピットを記録する領域(以下、セルと記述する)のトラック方向の幅を0.26μmとし、8レベルの多値記録再生を行った発表がなされている(非特許文献1)。
【0006】
8レベルの情報ピットは、情報記録媒体に記録する時に、2値データから8レベルに変換された後に各セルに記録される。8値記録の場合、1つのセルが3ビットの2値データに対応していることになる。例えば、3ビットの情報に対して、図2に示すように(0,0,0)は0レベル、(0,0,1)は1レベル、(0,1,0)は2レベル、(0,1,1)は3レベル、(1,0,0)は4レベル、(1,0,1)は5レベル、(1,1,0)は6レベル、(1,1,1)は7レベルに対応させている。
【0007】
また、8レベルの情報ピットの選択は、例えば、図2に示すようにセルのトラック方向の幅を16等分し、レベル0を何も情報ピットを記録しない、レベル1を2/16セル分の幅、レベル2を4/16セル分の幅、レベル3を6/16セル分の幅、レベル4を8/16セル分の幅、レベル5を10/16セル分の幅、レベル6を12/16セル分の幅、レベル7を14/16セル分の幅とする。
【0008】
このように選択した情報ピットをランダムに記録し、その反射光量を光検出器で受光し、得られた多値情報ピットからの再生信号を、光スポットの中心が、セルのトラック方向の幅の中央に来た時のタイミングでサンプリングすると、各レベルに対する再生信号の振幅として図3のような分布が得られる。
【0009】
ここで、情報ピットが何も書かれていないレベル0が続く時の再生信号の振幅の大きさを『1』、レベル7の情報ピットが連続して記録されている時の再生信号の振幅の大きさを『0』として規格化している。
【0010】
各レベルに対応する再生信号の値が幅を持つのは、注目している情報ピットの前後に書かれている情報ピットからの影響(符号間干渉)を受けるからである。図3のように隣のレベルと再生信号の振幅分布が重なっていると、固定した閾値では分離検出できないことが分かる。
【0011】
ISOM2003の発表の例には、これを解決するために、注目している情報ピットの値と、その前後の情報ピットの値とが予め分かっているピット列からの再生信号を読み取り記憶しておき(学習)、実際の情報ピットからの再生信号と記録しておいた値とを比べて(相関をみる)、分離検出する方式が述べられている。
【特許文献1】特開平5−128530号公報
【非特許文献1】ISOM2003(Write−once Disks for Multi-level Optical Recording:予稿集Fr−Po−04)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
光ディスクにおいては、各種光ディスク間の反射率の違いや、1つの光ディスク内における内周側と外周側での再生周波数特性の違い等、再生信号には種々の要因でレベル変動や振幅変動が発生するため、上記のような分離検出方式を用いても、再生信号を誤った値で検出してしまうことがある。
【0013】
特に、青紫色の光源(405nm)とNA0.85光学系を用い、光スポットを微小化して、およそ30Gbit/inch2程度の高密度化を狙おうとすると、符合間干渉の量が更に多くなり、図3に示す各レベルに対する再生信号の振幅分布の重なりが増え、そのままでは再生誤りが増加するという欠点があった。
【0014】
本発明の目的は、従来の分離検出方式より精度良く多値情報を判定することで誤検出を低減でき、高密度多値記録或いは再生が可能な多値情報記録再生方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するため、光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生方法において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値と、セルの中央でサンプリングしたセル中央値との両方に基づいてセルの多値情報を判断することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生装置において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値を検出する手段と、前記光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしたセル中央値を検出する手段と、前記セル間値及びセル中央値に基づいてセルの多値情報を判断する手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明においては、光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値と、セルの中央でサンプリングしたセル中央値との両方に基づいてセルの多値情報を判断する。即ち、セル中央値だけでなく、符号間干渉の影響が軽微なセル間値を用いて多値情報を判断することで誤検出を低減する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来のセルの中央でサンプリングしたセル中央値だけから多値情報を判定するのではなく、符号間干渉の影響が軽微なセルとそれに続くセルとの境界で得たセル間値も同時に用いて多値情報を判定することにより、誤検出を低減でき、高密度多値記録再生が可能となる。
【0019】
また、セル間値及びセル中央値から求めた多値情報の候補値において、学習パターン情報との差分の絶対値を計算し、これを比較することで注目セルの多値情報を判定することで、注目セルの多値情報の精度を向上できる。
【0020】
更に、セル間値及びセル中央値から求めた多値情報の候補値をセル系列で記憶しておき、その相互関係を常にモニタすることによって注目セルの多値情報を判定訂正することで、より注目セルの判断の精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る多値情報記録再生装置の一実施形態を示す概略ブロック図である。図1において、1は螺旋状または同心円状のトラックが形成された情報記録媒体であるところの光ディスク、2は光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータである。この光ディスク1に図2で説明したようにトラック方向に仮想的に一定間隔のセルを設け、そのセルに情報ピットの幅(又は情報ピットの面積)を変えることによって多値情報を記録再生するものである。
【0022】
3は光ディスク1に対して多値情報を記録或いは再生するための光ヘッドであり、光源の半導体レーザからのレーザ光を対物レンズで集光して光ディスク1上に光スポットを照射する。また、その光スポットの光ディスク1からの反射光は光ヘッド3内の光検出器で検出され、演算増幅回路4に送られる。
【0023】
演算増幅回路4は光ヘッド3の光検出器の信号を処理することで光スポットを光ディスク1の所望のトラック上に沿って走査するように制御するためのフォーカスエラー信号/トラッキングエラー信号を検出する。サーボ回路5はその信号に基づいて光ヘッド3内のフォーカスアクチュエータ/トラッキングアクチュエータを制御することでフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、サーボ回路4はスピンドルモータ2を制御し、線速度一定或いは角速度一定等の光ディスク1の回転制御を行う。
【0024】
光ディスク1に多値情報を記録する場合には、2値データ入力6を多値化回路7により多値データに変換し、変調回路8により多値データに応じた信号を出力する。レーザ駆動回路9はその信号に応じて光ヘッド3内の半導体レーザを駆動し、光ディスク1のトラック上に多値情報に従ったマークを記録する。
【0025】
また、多値情報を再生する場合には、光ヘッド3から再生用の光スポットを光ディスク1上に照射し、光検出器でその反射光を受光する。その検出信号を演算増幅回路4によって信号処理し、得られた信号をAD変換回路10によりデジタル信号に変換し、セル中央値/セル間値分離検出回路12によりセル中央値とセル間値に分離する。
【0026】
これらの処理はPLL回路11によって作成されたクロックを用いて行う。セル中央値/セル間値分離検出回路12により分離されたセル中央値はセル中央値用波形等化回路13により波形等化処理がなされ、セル間値はセル間値用波形等化回路14により波形等化処理がなされる。そして、学習用メモリ17から学習テーブルデータの参照値を読み出し、後述するようにこの両者の値に基づいて多値データ判定回路15は多値レベルを判定する。更に、多値−2値変換回路16により2値データに変換し、2値データ出力18として出力する。
【0027】
次に、多値情報の再生方法について詳細に説明する。前述したようにセル中央値/セル間値分離検出回路12ではサンプリングしたデジタル信号をセル中央値とセル間値にそれぞれ分離して検出する。ここで、セル中央値とセル間値のサンプリング位置の違いとそれぞれの特徴を図4、図5を用いて説明する。
【0028】
図4はセル中央値をサンプリングしている際の前後のセルと光スポットの位置関係を示す。一例として、トラックのピッチは0.32μm、光スポットの大きさは0.405μm(波長405nm、対物レンズの開口数:NA0.85)、セルの大きさを0.2μmとする。このパラメーにおいて注目セルのセル中央値は、先行セルと後行セルのレベルが0〜7に変化することで、同じ値をとらず、符号間干渉の影響で幅を持つことが実験的に分かっている。
【0029】
これは、図4で真中のセル上にある光スポットの裾が左右のセル上にかかっていることからも直感的に分かる。このセル中央値に対する符号間干渉の影響は、光スポットの大きさに対してセルが小さくなるほど大きくなっていく。
【0030】
図5はセル間値をサンプリングする際の、左右のセルの境界に光スポットが来た時の位置関係を示すものである。光スポットの大きさ0.405μmに対して、2つ分のセルの幅は0.4μmであり、光スポットのほとんどが左右のセル上にある。つまり、左右のセルの境界でサンプリングされたセル間値はその外側からの影響がほとんど無く、左右のセルより外側からの符号間干渉の影響が小さいものとなる。
【0031】
以上のようなセル中央値とセル間値は、セル中央値/セル間値分離検出回路12においてPLL回路11で生成される多値データに同期したクロックでそれぞれサンプリングして得られる。セル中央値サンプリング用のクロックとセル間値サンプリング用のクロックは同じ周波数であって、互いに1/2周期(1つのセルを1周期とする)位相が異なるものである。
【0032】
その後、セル中央値とセル間値それぞれの再生信号に対して対応するセル中央値用波形等化回路13やセル間値用波形等化回路14で波形等化を行う。まず、セル中央値用波形等化回路13について説明する。セル中央値用波形等化回路13によって注目している情報ピットの再生信号は、前後に書かれている情報ピットからの符号間干渉が抑圧される。ここで、符号間干渉が抑圧される効果を示す一例として図6を参照して説明する。
【0033】
図6は青紫色の光源(405nm)とNA0.85の光学系を用い、トラックピッチが0.32μmの光ディスクに対して、仮想的に設けた一つの情報ピットを記録するセルの大きさを0.20μmとし、8レベルの多値データを再生した場合において、波形等化を行う前後でのセル中央値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果である。図6(a)は波形等化前のセル中央値の再生信号、図6(b)は波形等化後のセル中央値の再生信号である。図6から分かるように再生信号は波形等化を行うことで、0〜7レベルに分離され、多値データとして検出することが容易となる。
【0034】
次に、セル間値用波形等化回路14について説明する。セル間値用波形等化回路14によって、左右のセルの境界のセル間値は、左右の更に外側に書かれている情報ピットからの符号間干渉が抑圧される。セル中央値と同様に、符号間干渉が抑圧される効果を示す一例として図7を参照して説明する。
【0035】
図7は波形等化を行う前後でのセル間値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果であり、図6と同様のパラメータを用いて計算を行ったものである。図7(a)は波形等化前のセル間値の再生信号、図7(b)は波形等化後のセル間値の再生信号を示す。図7から分かるように波形等化等の信号処理を加えなくても、セル間値の再生信号は0〜14の15値に分離していることが分かる。もちろん、波形等化を行えば、更に分離度を高めることができる。ここで、再生信号が15値に分離されているのは、隣り合う2つのセルにおける多値レベルの和が同じであれば、セル間値も同じレベルをとるためである。
【0036】
このことを図8を用いて説明する。図8はセル間値の左右のセルの多値レベルの組合せを示す図である。左右のセルの組合せは全部で8×8=64通りあるが、セル間値の再生信号がとりうるレベルは15値となる。つまり、左右の多値レベルを足し合わせたものが、セル間値の値になっていることが分かる。
【0037】
このことから、前のセルの多値レベルが既知であるならば、セル間値を検出することで後ろのセルのレベルが一義的に決定できる。例えば、前のセルのレベルが『3』と分かっていたとし、セル間値が『7値』と検出できたとすると、後ろのセルのレベルは7−3=4より『4』と判断できる。一般的には、前のセルのレベルが『X』(0≦X≦7、Xは整数)、後ろのセルのレベルが『Y』(0≦Y≦7、Yは整数)、セル間値を『Z』(0≦Z≦14、Zは整数)とすると、X+Y=Z(または、Z−X=Y)となっている。
【0038】
このようにしてセル中央値とセル間値の波形等化が行われた後、多値データ判定回路15により判定結果の多値データが出力され、更に、多値−2値変換回路16で2値データに変換された後、出力される。
【0039】
次に、多値データ判定回路15における多値データの判定方法について図9〜図15を参照して詳細に説明する。本実施形態では、0〜7の8値の多値データを再生するものとする。図9は多値データ判定回路15における多値データの判定方法を説明する図である。多値データ判定回路15は、主にセル中央値判定部19、セル間値判定部20、最終値判定部21に別れている。
【0040】
最初に、セル中央値判定部19について説明する。セル中央値判定部19は図4で説明したような3つの連続セル(先行セル、注目セル、後行セル)を考えて判定するものである。多値データ判定回路15はセル中央値の再生信号が入力されると、ステップ1で操作を開始する。
【0041】
次いで、ステップ2で、先行セルの値を決定する(これは、1ステップ前に求めた注目セルの値を選択する)。例えば、1ステップ前に判定した注目セルの値が『7』だった場合には、先行セルの値は『7』として選択する(ここで言う「選択」とは最終的な判定ではなく、仮決めを意味する)。或いは、先行セルの値を選択する方法として、セル中央値の再生信号(光スポットが先行セルの中央に位置する時のサンプリング値)を各レベルに応じた複数の閾値でレベルスライスして決定しても良い。
【0042】
次に、ステップ3で、後行セルの値をセル中央値の再生信号(光スポットが後行セルの中央に位置する時のサンプリング値)をレベルスライスして選択する(レベルスライスで最も近い値を選択)。例えば、後行セルの値が『7』として選択されたとする。ここまでで、3つの連続セルのうち先行セルと後行セルの値が選択されたことになる。
【0043】
次に、ステップ4で、先行セルと後行セルの値を用いてセル中央値学習テーブル(図10)からセル中央値の再生信号に最も近い注目セルの値を選択する。更に、ステップ5で2番目に近い値を選択する。また、ステップ6で、ステップ4及びステップ5で選択した値をそれぞれ第1候補『a』、第2候補『b』として決定する。
【0044】
このセル中央値判定部19におけるステップ4〜6について図10、図11を用いて更に詳細に説明する。図10は多値データの判定に用いる学習テーブルを示す。図10(a)はセル中央値学習テーブルであり、先行セル、注目セル、後行セルがとりうるすべての組合せ、全512パターン(8×8×8)のテーブルが作られている。512パターンの情報は光ディスク1上のユーザデータ領域の先頭部分に記録されており、ユーザデータ領域の情報を再生する前に各パターンの注目セルのセル中央値の再生信号を検出して、そのサンプリング値を学習用メモリ17に参照値として記憶させる。
【0045】
次に、図11を用いて図9のセル中央値判定部19におけるステップ4〜6のセル中央値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する。まず、ステップ11で操作を開始する。ステップ12で、サンプリングされたセル中央値の再生信号は順次セル中央値判定部に入力されていく。また、ステップ13で学習用メモリ17にアクセスし、ステップ14でセル中央値が入力される毎に図10(a)のセル中央値学習テーブルで得られた参照値を学習用メモリ17から順次読み出す。
【0046】
ここで、読み出すテーブルは先行セルと後行セルの値が『7』として選択されたので(図9の説明を参照)、全512パターンから8パターン、即ち(7,0,7)〜(7,7,7)の組合せに絞られる。次に、ステップ15で、セル中央値と8パターンの参照値との差分の絶対値を計算し、これをM値とする。ステップ16では、8つのM値を比較して、注目セルの値が『a』の場合にそのM値(これをM(a)と表す)が最も小さくなるとして、『a』をセル中央値判定部19における第1候補値として決定する。
【0047】
更に、注目セルの値が『b』の場合にそのM値(これをM(b)と表す)が2番目に小さくなるとして、『b』をセル中央値判定部19における第2候補値として決定する。その後、ステップ17に進み、操作を終了する。以上がセル中央値判定部19の説明である。
【0048】
続いて、図9に戻ってセル間値判定部20における注目セルの値を決定する方法について図10、図12を用いて詳細に説明する。図9に示すようにセル間値判定部20は、ステップ7で、ステップ2で決定した先行セルの値を用いてセル間値学習テーブル(図10)からセル間値の再生信号に最も近い注目セルの値を選択する。更に、ステップ8で、ステップ7で選択した値を候補値『x』として決定する。
【0049】
セル間値判定部20におけるステップ7、8について図10、図11を用いて詳細に説明する。図10(b)はセル間値学習テーブルであり、先行セル、注目セルがとりうるすべての組合せ、全64パターン(8×8)のテーブルが作られている。64パターンの情報も同様に光ディスク1上のユーザデータ領域の先頭部分に記録されており、ユーザデータ領域の情報を再生する前に各パターンの注目セルのセル間値の再生信号を検出して、そのサンプリング値を学習用メモリ17に参照値として記憶させる。
【0050】
次に、図12を用いて、図9のセル間値判定部20におけるステップ7、8のセル間値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する。まず、ステップ18で操作を開始する。また、ステップ19で、サンプリングされたセル間値の再生信号は順次セル間値判定部20に入力されていく。また、ステップ20で、学習用メモリ17にアクセスして、ステップ21で、セル間値が入力される毎に図10(b)のセル間値学習テーブルで得られた参照値を学習用メモリ17から順次読み出す。
【0051】
ここで、読み出すテーブルは先行セルの値が『7』として選択されたので(図9の説明を参照)、全64パターンから8パターン、即ち、(7,0)〜(7,7)の組合せに絞られる。次に、ステップ22で、セル間値と8パターンの参照値との差分の絶対値を計算し、これをM値とする。ステップ23では、8つのM値を比較して、注目セルの値が『x』の場合にそのM値(これをM(x)と表す)が最も小さくなるとして、『x』をセル間値判定部における候補値として決定する。その後、ステップ24に進み、操作を終了する。以上がセル間値判定部20の説明である。
【0052】
再び、図9に戻ってセル中央値判定部19とセル間値判定部20でそれぞれ得られた候補値を用いて最終的に判定を行う最終値判定部21のアルゴリズムについて、図13、図14、図15を用いて詳細に説明する。
【0053】
図13はその最終値判定部21における処理動作の流れを示す。まず、ステップ25で操作を開始する。ステップ26で、多値レベルの候補である『a』、『b』、『x』と、それぞれに対応したM値であるM(a)、M(b)、M(x)を入力する。また、ステップ27で、先行セルで選択された候補値である『a’』、『x’』をメモリから読み出す。『a’』、『x’』は後述するステップ30で1ステップ前の一連の最終値判定動作の終了前に『a』、『x』をメモリに記憶させたものである。これらのパラメータを用いて、ステップ28で注目セルの多値レベルを最終的に判定し、その後、ステップ29で先行セルの多値レベルを訂正する。更に、ステップ30で『a』、『x』をメモリに記憶させた後、ステップ31に進み、操作を終了する。
【0054】
次に、注目セルの多値レベルを最終的に判定するステップ28のアルゴリズムについて図14を用いて詳細に説明する。ステップ32で操作を開始する。次いで、ステップ33で、a=xの場合を考える。これは正解率がかなり高いと考えられるので、ステップ35に進み、注目セルの値は『a』と判定して、ステップ42で操作を終了する。次に、ステップ34に進み、a≠x、且つ、b=xの場合を考える。
【0055】
この場合は、正解を『a』又は『x』とするかの判断が難しいので、他のパラメータを考慮して判断する必要がある。本発明では、先行セルで1ステップ前に選択された候補値である『a’』、『x’』と、学習テーブルの参照値との差分の絶対値であるM(a)、M(b)、M(x)をパラメータとして考える。
【0056】
次に、ステップ36〜39における『a’』、『x’』を考慮して判断する方法について述べる。これは、先行セルにおける候補値と注目セルにおける候補値との関係を調べることで、より注目セルの判断の精度を上げることを目的とする。即ち、先行セルにおける判定結果が実際の正しい値とは異なる場合、必然的に注目セルと先行セルの候補値がある規則が持つことを利用する。まず、誤ってx’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。
【0057】
例えば、先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『3』、x’が『2』の時に、誤ってx’の『2』を最終的な判定値として選択した場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『4』となる確率が高い。何故なら、前述したように前のセルのレベルが『X』(0≦X≦7、Xは整数)、後ろのセルのレベルが『Y』(0≦Y≦7、Yは整数)、セル間値を『Z』(0≦Z≦14、Zは整数)とすると、X+Y=Z(または、Z−X=Y)の関係が成り立っているからである(この場合、Z=6となる)。
【0058】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ36、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ37、
となる。
【0059】
ステップ36、37を満たす場合、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルは『a』として最終的に判定して、ステップ42で操作を終了する。
【0060】
逆に、誤ってa’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『4』、x’が『3』の時に、誤ってa’の『4』を最終的な判定値として選択したとする。その場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『2』となる確率が高い。
【0061】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ38、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ39、
となる。
【0062】
ステップ38、39を満たす場合、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルは『a』として最終的に判定して、ステップ42で操作を終了する。以上が『a’』、『x’』を考慮して判断する方法である。
【0063】
更に、ステップ36〜39のいずれの条件にも該当しなかった場合には、第2の方法として、M(a)、M(b)、M(x)を考慮して判断する。即ち、
|M(b)−M(a)|<e、且つ、M(a)>M(x) …ステップ40
の条件を満たす場合、ステップ41で注目セルは『x(=b)』として最終的に判定する。ここで、eはある定数であり、例えば、各多値レベル間でのセル中央値の再生信号レベル差の1/2〜1/4の値に設定するのが望ましい。
【0064】
つまり、|M(b)− M(a)|<eの条件を満たす場合、セル中央値の再生信号から『a』か『b』であるかを判断するのは極めて難しいことを示しており、究極的に|M(b)−M(a)|=0の場合を考えると、注目セルが『a』か『b』であるかの確率はそれぞれ50%となる。従って、M(a)> M(x)の条件を満たす場合、注目セルは『x(=b)』である確率が高いと判断して、ステップ42で操作を終了する。
【0065】
最後に、ステップ33、34の条件を満たさない場合(a≠x、且つ、b≠xの場合)を考える。これは、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルの値を『a』と判定して、ステップ42で操作を終了する。何故なら、多値記録の場合、再生時のエラーはおおむね±1レベル以内である事がシミュレーション結果から分かっており(『a』か『b』が正解となる)、『x』が正解である確率は極めて低いからである。
【0066】
次に、図13に戻って、ステップ28で注目セルの多値レベルを最終的に判定した後、ステップ29で先行セルの多値レベルを訂正する。
【0067】
図15はステップ29の先行セルの多値レベルを訂正するアルゴリズムを示す。まず、ステップ43で操作を開始する。次に、ステップ44〜47において図14で説明したように先行セルにおける候補値と注目セルにおける候補値との関係を調べることで、先行セルで最終的に判定された値を訂正する。
【0068】
即ち、注目セルと先行セルの候補値がある規則が持つ場合に、先行セルにおける判定結果が実際の正しい値とは異なっていると判断するものである。例えば、先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『3』、x’が『2』の時に、誤ってx’の『2』を最終的な判定値として選択した場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『4』となる確率が高い。
【0069】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ44、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ45、
となる。
【0070】
従って、ステップ44、45を満たす場合には、ステップ48に進んで先行セルを『a’』に訂正して、ステップ51で操作を終了する。この場合、先行セルをx’の『2』と判定したのは誤っていると考え、a’の『3』に訂正する。
【0071】
逆に、誤ってa’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『4』、x’が『3』の時に、誤ってa’の『4』を最終的な判定値として選択したとする。その場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『2』となる確率が高い。
【0072】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ46、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ47、
となる。
【0073】
ステップ46、47を満たす場合、ステップ49に進んで先行セルを『x’』に訂正して、ステップ51で操作を終了する。この場合、先行セルをa’の『4』と判定したのは誤っていると考え、x’の『3』に訂正する。
【0074】
以上が図13の最終値判定部の詳細であり、本発明の特徴とする多値データ判定回路15における多値データの判定方法である。
【0075】
なお、補足として、本発明に係る光ディスク装置において、入力した2値データに対し誤り訂正を行うためのデータを付加する誤り訂正用データ付加回路、所定量のデータの区切りを示すための同期信号を付加する同期信号付加回路等には言及していないが、本発明の本質は何ら変わるところはない。以上が本発明における多値情報を記録或いは再生する多値情報記録再生方法及び装置の説明である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る多値情報記録再生装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】多値情報ピットのレベルの違いによるトラック方向の幅とそれに対応する3ビットの組合せを説明する図である。
【図3】セル中央値の振幅分布を説明する図である。
【図4】セル中央値をサンプリングしている際の前後のセルと光スポットの位置関係を説明する図である。
【図5】セル間値をサンプリングしている際の前後のセルと光スポットの位置関係を説明する図である。
【図6】8レベルの多値データを再生する場合の波形等化を行う前後でのセル中央値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果を示す図である。
【図7】波形等化を行う前後におけるセル間値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果を示す図である。
【図8】セル間値の左右のセルの多値レベルの組合せを示す図である。
【図9】多値データ判定回路における多値データの判定方法を説明する図である。
【図10】多値データの判定に用いる学習テーブルを示す図であり、(a)はセル中央値学習テーブル、(b)はセル間値学習テーブルを示す図である。
【図11】図9におけるセル中央値判定部のセル中央値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する図である。
【図12】図9におけるセル間値判定部のセル間値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する図である。
【図13】図9における最終値判定部のアルゴリズムを説明する図である。
【図14】図13における注目セルの多値レベルを判定するアルゴリズムを説明する図である。
【図15】図13における先行セルの多値レベルを訂正するアルゴリズムを説明する図である。
【符号の説明】
【0077】
1 光ディスク(情報記録媒体)
2 スピンドルモータ
3 光ヘッド
4 演算増幅回路
5 サーボ回路
6 2値データ入力
7 多値化回路
8 変調回路
9 レーザ駆動回路
10 AD変換回路
11 PLL回路
12 セル中央値/セル間値分離検出回路
13 セル中央値用波形等化回路
14 セル間値用波形等化回路
15 多値データ判定回路
16 多値−2値変換回路
17 学習用メモリ
18 2値データ出力
19 セル中央値判定部
20 セル間値判定部
21 最終値判定部
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスク等の情報記録媒体に多値情報を記録又は再生する多値情報記録再生方法及び装置、特に、多値データ処理においてデータの誤り率を低減できる多値データ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクにおいては渦巻状又は同心円状のトラック上に2値のデジタルデータが、エンボス加工等による凹凸のピット(ROMディスク)や無機・有機記録膜への穴形成(追記型ディスク)・結晶状態の違い(相変化ディスク)・磁化方向の違い(光磁気ディスク)等によって記録されている。これらの記録データを再生する際には、トラック上にレーザビームを照射して、その反射光の強度差や磁気カー効果による偏光方向の差等を検出し、再生RF信号を得ている。そして、得られた再生RF信号から2値のデータを検出している。
【0003】
近年、これら光ディスクの記録容量の高密度化を図る研究開発が進められており、情報の記録再生に関わる光スポットを微小化する技術として、光源の波長は赤色(650nm)から、青紫色(405nm)になりつつある。また、対物レンズの開口数も0.6や0.65から0.85へと高められようとしている。一方では、同じ光スポットの大きさを用いて、より効率のよい多値記録再生の技術も提案されている。
【0004】
例えば、本願出願人は、多値記録再生技術として、特開平5−128530号公報において、光学的情報記録媒体の情報トラック上に情報ピットのトラック方向の幅と、その情報ピットの再生用光スポットに対するトッラク方向のシフト量の組み合せによって、多値情報を記録する記録方法と、その多値記録した情報ピットを再生する際、予め学習しておいた検出信号と光スポットから得られた検出信号との相関より多値情報を再生する再生方法とを提案している(特許文献1)。
【0005】
また、光ディスク分野の研究における国際学会であるISOM2003(Write−once Disks for Multi-level Optical Recording:予稿集Fr−Po−04)において、青紫色の光源(405nm)とNA0.65の光学系を用い、トラックピッチが0.46μmの光ディスクに対して、仮想的に設けた一つの情報ピットを記録する領域(以下、セルと記述する)のトラック方向の幅を0.26μmとし、8レベルの多値記録再生を行った発表がなされている(非特許文献1)。
【0006】
8レベルの情報ピットは、情報記録媒体に記録する時に、2値データから8レベルに変換された後に各セルに記録される。8値記録の場合、1つのセルが3ビットの2値データに対応していることになる。例えば、3ビットの情報に対して、図2に示すように(0,0,0)は0レベル、(0,0,1)は1レベル、(0,1,0)は2レベル、(0,1,1)は3レベル、(1,0,0)は4レベル、(1,0,1)は5レベル、(1,1,0)は6レベル、(1,1,1)は7レベルに対応させている。
【0007】
また、8レベルの情報ピットの選択は、例えば、図2に示すようにセルのトラック方向の幅を16等分し、レベル0を何も情報ピットを記録しない、レベル1を2/16セル分の幅、レベル2を4/16セル分の幅、レベル3を6/16セル分の幅、レベル4を8/16セル分の幅、レベル5を10/16セル分の幅、レベル6を12/16セル分の幅、レベル7を14/16セル分の幅とする。
【0008】
このように選択した情報ピットをランダムに記録し、その反射光量を光検出器で受光し、得られた多値情報ピットからの再生信号を、光スポットの中心が、セルのトラック方向の幅の中央に来た時のタイミングでサンプリングすると、各レベルに対する再生信号の振幅として図3のような分布が得られる。
【0009】
ここで、情報ピットが何も書かれていないレベル0が続く時の再生信号の振幅の大きさを『1』、レベル7の情報ピットが連続して記録されている時の再生信号の振幅の大きさを『0』として規格化している。
【0010】
各レベルに対応する再生信号の値が幅を持つのは、注目している情報ピットの前後に書かれている情報ピットからの影響(符号間干渉)を受けるからである。図3のように隣のレベルと再生信号の振幅分布が重なっていると、固定した閾値では分離検出できないことが分かる。
【0011】
ISOM2003の発表の例には、これを解決するために、注目している情報ピットの値と、その前後の情報ピットの値とが予め分かっているピット列からの再生信号を読み取り記憶しておき(学習)、実際の情報ピットからの再生信号と記録しておいた値とを比べて(相関をみる)、分離検出する方式が述べられている。
【特許文献1】特開平5−128530号公報
【非特許文献1】ISOM2003(Write−once Disks for Multi-level Optical Recording:予稿集Fr−Po−04)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
光ディスクにおいては、各種光ディスク間の反射率の違いや、1つの光ディスク内における内周側と外周側での再生周波数特性の違い等、再生信号には種々の要因でレベル変動や振幅変動が発生するため、上記のような分離検出方式を用いても、再生信号を誤った値で検出してしまうことがある。
【0013】
特に、青紫色の光源(405nm)とNA0.85光学系を用い、光スポットを微小化して、およそ30Gbit/inch2程度の高密度化を狙おうとすると、符合間干渉の量が更に多くなり、図3に示す各レベルに対する再生信号の振幅分布の重なりが増え、そのままでは再生誤りが増加するという欠点があった。
【0014】
本発明の目的は、従来の分離検出方式より精度良く多値情報を判定することで誤検出を低減でき、高密度多値記録或いは再生が可能な多値情報記録再生方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するため、光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生方法において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値と、セルの中央でサンプリングしたセル中央値との両方に基づいてセルの多値情報を判断することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生装置において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値を検出する手段と、前記光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしたセル中央値を検出する手段と、前記セル間値及びセル中央値に基づいてセルの多値情報を判断する手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明においては、光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値と、セルの中央でサンプリングしたセル中央値との両方に基づいてセルの多値情報を判断する。即ち、セル中央値だけでなく、符号間干渉の影響が軽微なセル間値を用いて多値情報を判断することで誤検出を低減する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来のセルの中央でサンプリングしたセル中央値だけから多値情報を判定するのではなく、符号間干渉の影響が軽微なセルとそれに続くセルとの境界で得たセル間値も同時に用いて多値情報を判定することにより、誤検出を低減でき、高密度多値記録再生が可能となる。
【0019】
また、セル間値及びセル中央値から求めた多値情報の候補値において、学習パターン情報との差分の絶対値を計算し、これを比較することで注目セルの多値情報を判定することで、注目セルの多値情報の精度を向上できる。
【0020】
更に、セル間値及びセル中央値から求めた多値情報の候補値をセル系列で記憶しておき、その相互関係を常にモニタすることによって注目セルの多値情報を判定訂正することで、より注目セルの判断の精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る多値情報記録再生装置の一実施形態を示す概略ブロック図である。図1において、1は螺旋状または同心円状のトラックが形成された情報記録媒体であるところの光ディスク、2は光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータである。この光ディスク1に図2で説明したようにトラック方向に仮想的に一定間隔のセルを設け、そのセルに情報ピットの幅(又は情報ピットの面積)を変えることによって多値情報を記録再生するものである。
【0022】
3は光ディスク1に対して多値情報を記録或いは再生するための光ヘッドであり、光源の半導体レーザからのレーザ光を対物レンズで集光して光ディスク1上に光スポットを照射する。また、その光スポットの光ディスク1からの反射光は光ヘッド3内の光検出器で検出され、演算増幅回路4に送られる。
【0023】
演算増幅回路4は光ヘッド3の光検出器の信号を処理することで光スポットを光ディスク1の所望のトラック上に沿って走査するように制御するためのフォーカスエラー信号/トラッキングエラー信号を検出する。サーボ回路5はその信号に基づいて光ヘッド3内のフォーカスアクチュエータ/トラッキングアクチュエータを制御することでフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、サーボ回路4はスピンドルモータ2を制御し、線速度一定或いは角速度一定等の光ディスク1の回転制御を行う。
【0024】
光ディスク1に多値情報を記録する場合には、2値データ入力6を多値化回路7により多値データに変換し、変調回路8により多値データに応じた信号を出力する。レーザ駆動回路9はその信号に応じて光ヘッド3内の半導体レーザを駆動し、光ディスク1のトラック上に多値情報に従ったマークを記録する。
【0025】
また、多値情報を再生する場合には、光ヘッド3から再生用の光スポットを光ディスク1上に照射し、光検出器でその反射光を受光する。その検出信号を演算増幅回路4によって信号処理し、得られた信号をAD変換回路10によりデジタル信号に変換し、セル中央値/セル間値分離検出回路12によりセル中央値とセル間値に分離する。
【0026】
これらの処理はPLL回路11によって作成されたクロックを用いて行う。セル中央値/セル間値分離検出回路12により分離されたセル中央値はセル中央値用波形等化回路13により波形等化処理がなされ、セル間値はセル間値用波形等化回路14により波形等化処理がなされる。そして、学習用メモリ17から学習テーブルデータの参照値を読み出し、後述するようにこの両者の値に基づいて多値データ判定回路15は多値レベルを判定する。更に、多値−2値変換回路16により2値データに変換し、2値データ出力18として出力する。
【0027】
次に、多値情報の再生方法について詳細に説明する。前述したようにセル中央値/セル間値分離検出回路12ではサンプリングしたデジタル信号をセル中央値とセル間値にそれぞれ分離して検出する。ここで、セル中央値とセル間値のサンプリング位置の違いとそれぞれの特徴を図4、図5を用いて説明する。
【0028】
図4はセル中央値をサンプリングしている際の前後のセルと光スポットの位置関係を示す。一例として、トラックのピッチは0.32μm、光スポットの大きさは0.405μm(波長405nm、対物レンズの開口数:NA0.85)、セルの大きさを0.2μmとする。このパラメーにおいて注目セルのセル中央値は、先行セルと後行セルのレベルが0〜7に変化することで、同じ値をとらず、符号間干渉の影響で幅を持つことが実験的に分かっている。
【0029】
これは、図4で真中のセル上にある光スポットの裾が左右のセル上にかかっていることからも直感的に分かる。このセル中央値に対する符号間干渉の影響は、光スポットの大きさに対してセルが小さくなるほど大きくなっていく。
【0030】
図5はセル間値をサンプリングする際の、左右のセルの境界に光スポットが来た時の位置関係を示すものである。光スポットの大きさ0.405μmに対して、2つ分のセルの幅は0.4μmであり、光スポットのほとんどが左右のセル上にある。つまり、左右のセルの境界でサンプリングされたセル間値はその外側からの影響がほとんど無く、左右のセルより外側からの符号間干渉の影響が小さいものとなる。
【0031】
以上のようなセル中央値とセル間値は、セル中央値/セル間値分離検出回路12においてPLL回路11で生成される多値データに同期したクロックでそれぞれサンプリングして得られる。セル中央値サンプリング用のクロックとセル間値サンプリング用のクロックは同じ周波数であって、互いに1/2周期(1つのセルを1周期とする)位相が異なるものである。
【0032】
その後、セル中央値とセル間値それぞれの再生信号に対して対応するセル中央値用波形等化回路13やセル間値用波形等化回路14で波形等化を行う。まず、セル中央値用波形等化回路13について説明する。セル中央値用波形等化回路13によって注目している情報ピットの再生信号は、前後に書かれている情報ピットからの符号間干渉が抑圧される。ここで、符号間干渉が抑圧される効果を示す一例として図6を参照して説明する。
【0033】
図6は青紫色の光源(405nm)とNA0.85の光学系を用い、トラックピッチが0.32μmの光ディスクに対して、仮想的に設けた一つの情報ピットを記録するセルの大きさを0.20μmとし、8レベルの多値データを再生した場合において、波形等化を行う前後でのセル中央値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果である。図6(a)は波形等化前のセル中央値の再生信号、図6(b)は波形等化後のセル中央値の再生信号である。図6から分かるように再生信号は波形等化を行うことで、0〜7レベルに分離され、多値データとして検出することが容易となる。
【0034】
次に、セル間値用波形等化回路14について説明する。セル間値用波形等化回路14によって、左右のセルの境界のセル間値は、左右の更に外側に書かれている情報ピットからの符号間干渉が抑圧される。セル中央値と同様に、符号間干渉が抑圧される効果を示す一例として図7を参照して説明する。
【0035】
図7は波形等化を行う前後でのセル間値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果であり、図6と同様のパラメータを用いて計算を行ったものである。図7(a)は波形等化前のセル間値の再生信号、図7(b)は波形等化後のセル間値の再生信号を示す。図7から分かるように波形等化等の信号処理を加えなくても、セル間値の再生信号は0〜14の15値に分離していることが分かる。もちろん、波形等化を行えば、更に分離度を高めることができる。ここで、再生信号が15値に分離されているのは、隣り合う2つのセルにおける多値レベルの和が同じであれば、セル間値も同じレベルをとるためである。
【0036】
このことを図8を用いて説明する。図8はセル間値の左右のセルの多値レベルの組合せを示す図である。左右のセルの組合せは全部で8×8=64通りあるが、セル間値の再生信号がとりうるレベルは15値となる。つまり、左右の多値レベルを足し合わせたものが、セル間値の値になっていることが分かる。
【0037】
このことから、前のセルの多値レベルが既知であるならば、セル間値を検出することで後ろのセルのレベルが一義的に決定できる。例えば、前のセルのレベルが『3』と分かっていたとし、セル間値が『7値』と検出できたとすると、後ろのセルのレベルは7−3=4より『4』と判断できる。一般的には、前のセルのレベルが『X』(0≦X≦7、Xは整数)、後ろのセルのレベルが『Y』(0≦Y≦7、Yは整数)、セル間値を『Z』(0≦Z≦14、Zは整数)とすると、X+Y=Z(または、Z−X=Y)となっている。
【0038】
このようにしてセル中央値とセル間値の波形等化が行われた後、多値データ判定回路15により判定結果の多値データが出力され、更に、多値−2値変換回路16で2値データに変換された後、出力される。
【0039】
次に、多値データ判定回路15における多値データの判定方法について図9〜図15を参照して詳細に説明する。本実施形態では、0〜7の8値の多値データを再生するものとする。図9は多値データ判定回路15における多値データの判定方法を説明する図である。多値データ判定回路15は、主にセル中央値判定部19、セル間値判定部20、最終値判定部21に別れている。
【0040】
最初に、セル中央値判定部19について説明する。セル中央値判定部19は図4で説明したような3つの連続セル(先行セル、注目セル、後行セル)を考えて判定するものである。多値データ判定回路15はセル中央値の再生信号が入力されると、ステップ1で操作を開始する。
【0041】
次いで、ステップ2で、先行セルの値を決定する(これは、1ステップ前に求めた注目セルの値を選択する)。例えば、1ステップ前に判定した注目セルの値が『7』だった場合には、先行セルの値は『7』として選択する(ここで言う「選択」とは最終的な判定ではなく、仮決めを意味する)。或いは、先行セルの値を選択する方法として、セル中央値の再生信号(光スポットが先行セルの中央に位置する時のサンプリング値)を各レベルに応じた複数の閾値でレベルスライスして決定しても良い。
【0042】
次に、ステップ3で、後行セルの値をセル中央値の再生信号(光スポットが後行セルの中央に位置する時のサンプリング値)をレベルスライスして選択する(レベルスライスで最も近い値を選択)。例えば、後行セルの値が『7』として選択されたとする。ここまでで、3つの連続セルのうち先行セルと後行セルの値が選択されたことになる。
【0043】
次に、ステップ4で、先行セルと後行セルの値を用いてセル中央値学習テーブル(図10)からセル中央値の再生信号に最も近い注目セルの値を選択する。更に、ステップ5で2番目に近い値を選択する。また、ステップ6で、ステップ4及びステップ5で選択した値をそれぞれ第1候補『a』、第2候補『b』として決定する。
【0044】
このセル中央値判定部19におけるステップ4〜6について図10、図11を用いて更に詳細に説明する。図10は多値データの判定に用いる学習テーブルを示す。図10(a)はセル中央値学習テーブルであり、先行セル、注目セル、後行セルがとりうるすべての組合せ、全512パターン(8×8×8)のテーブルが作られている。512パターンの情報は光ディスク1上のユーザデータ領域の先頭部分に記録されており、ユーザデータ領域の情報を再生する前に各パターンの注目セルのセル中央値の再生信号を検出して、そのサンプリング値を学習用メモリ17に参照値として記憶させる。
【0045】
次に、図11を用いて図9のセル中央値判定部19におけるステップ4〜6のセル中央値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する。まず、ステップ11で操作を開始する。ステップ12で、サンプリングされたセル中央値の再生信号は順次セル中央値判定部に入力されていく。また、ステップ13で学習用メモリ17にアクセスし、ステップ14でセル中央値が入力される毎に図10(a)のセル中央値学習テーブルで得られた参照値を学習用メモリ17から順次読み出す。
【0046】
ここで、読み出すテーブルは先行セルと後行セルの値が『7』として選択されたので(図9の説明を参照)、全512パターンから8パターン、即ち(7,0,7)〜(7,7,7)の組合せに絞られる。次に、ステップ15で、セル中央値と8パターンの参照値との差分の絶対値を計算し、これをM値とする。ステップ16では、8つのM値を比較して、注目セルの値が『a』の場合にそのM値(これをM(a)と表す)が最も小さくなるとして、『a』をセル中央値判定部19における第1候補値として決定する。
【0047】
更に、注目セルの値が『b』の場合にそのM値(これをM(b)と表す)が2番目に小さくなるとして、『b』をセル中央値判定部19における第2候補値として決定する。その後、ステップ17に進み、操作を終了する。以上がセル中央値判定部19の説明である。
【0048】
続いて、図9に戻ってセル間値判定部20における注目セルの値を決定する方法について図10、図12を用いて詳細に説明する。図9に示すようにセル間値判定部20は、ステップ7で、ステップ2で決定した先行セルの値を用いてセル間値学習テーブル(図10)からセル間値の再生信号に最も近い注目セルの値を選択する。更に、ステップ8で、ステップ7で選択した値を候補値『x』として決定する。
【0049】
セル間値判定部20におけるステップ7、8について図10、図11を用いて詳細に説明する。図10(b)はセル間値学習テーブルであり、先行セル、注目セルがとりうるすべての組合せ、全64パターン(8×8)のテーブルが作られている。64パターンの情報も同様に光ディスク1上のユーザデータ領域の先頭部分に記録されており、ユーザデータ領域の情報を再生する前に各パターンの注目セルのセル間値の再生信号を検出して、そのサンプリング値を学習用メモリ17に参照値として記憶させる。
【0050】
次に、図12を用いて、図9のセル間値判定部20におけるステップ7、8のセル間値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する。まず、ステップ18で操作を開始する。また、ステップ19で、サンプリングされたセル間値の再生信号は順次セル間値判定部20に入力されていく。また、ステップ20で、学習用メモリ17にアクセスして、ステップ21で、セル間値が入力される毎に図10(b)のセル間値学習テーブルで得られた参照値を学習用メモリ17から順次読み出す。
【0051】
ここで、読み出すテーブルは先行セルの値が『7』として選択されたので(図9の説明を参照)、全64パターンから8パターン、即ち、(7,0)〜(7,7)の組合せに絞られる。次に、ステップ22で、セル間値と8パターンの参照値との差分の絶対値を計算し、これをM値とする。ステップ23では、8つのM値を比較して、注目セルの値が『x』の場合にそのM値(これをM(x)と表す)が最も小さくなるとして、『x』をセル間値判定部における候補値として決定する。その後、ステップ24に進み、操作を終了する。以上がセル間値判定部20の説明である。
【0052】
再び、図9に戻ってセル中央値判定部19とセル間値判定部20でそれぞれ得られた候補値を用いて最終的に判定を行う最終値判定部21のアルゴリズムについて、図13、図14、図15を用いて詳細に説明する。
【0053】
図13はその最終値判定部21における処理動作の流れを示す。まず、ステップ25で操作を開始する。ステップ26で、多値レベルの候補である『a』、『b』、『x』と、それぞれに対応したM値であるM(a)、M(b)、M(x)を入力する。また、ステップ27で、先行セルで選択された候補値である『a’』、『x’』をメモリから読み出す。『a’』、『x’』は後述するステップ30で1ステップ前の一連の最終値判定動作の終了前に『a』、『x』をメモリに記憶させたものである。これらのパラメータを用いて、ステップ28で注目セルの多値レベルを最終的に判定し、その後、ステップ29で先行セルの多値レベルを訂正する。更に、ステップ30で『a』、『x』をメモリに記憶させた後、ステップ31に進み、操作を終了する。
【0054】
次に、注目セルの多値レベルを最終的に判定するステップ28のアルゴリズムについて図14を用いて詳細に説明する。ステップ32で操作を開始する。次いで、ステップ33で、a=xの場合を考える。これは正解率がかなり高いと考えられるので、ステップ35に進み、注目セルの値は『a』と判定して、ステップ42で操作を終了する。次に、ステップ34に進み、a≠x、且つ、b=xの場合を考える。
【0055】
この場合は、正解を『a』又は『x』とするかの判断が難しいので、他のパラメータを考慮して判断する必要がある。本発明では、先行セルで1ステップ前に選択された候補値である『a’』、『x’』と、学習テーブルの参照値との差分の絶対値であるM(a)、M(b)、M(x)をパラメータとして考える。
【0056】
次に、ステップ36〜39における『a’』、『x’』を考慮して判断する方法について述べる。これは、先行セルにおける候補値と注目セルにおける候補値との関係を調べることで、より注目セルの判断の精度を上げることを目的とする。即ち、先行セルにおける判定結果が実際の正しい値とは異なる場合、必然的に注目セルと先行セルの候補値がある規則が持つことを利用する。まず、誤ってx’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。
【0057】
例えば、先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『3』、x’が『2』の時に、誤ってx’の『2』を最終的な判定値として選択した場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『4』となる確率が高い。何故なら、前述したように前のセルのレベルが『X』(0≦X≦7、Xは整数)、後ろのセルのレベルが『Y』(0≦Y≦7、Yは整数)、セル間値を『Z』(0≦Z≦14、Zは整数)とすると、X+Y=Z(または、Z−X=Y)の関係が成り立っているからである(この場合、Z=6となる)。
【0058】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ36、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ37、
となる。
【0059】
ステップ36、37を満たす場合、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルは『a』として最終的に判定して、ステップ42で操作を終了する。
【0060】
逆に、誤ってa’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『4』、x’が『3』の時に、誤ってa’の『4』を最終的な判定値として選択したとする。その場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『2』となる確率が高い。
【0061】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ38、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ39、
となる。
【0062】
ステップ38、39を満たす場合、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルは『a』として最終的に判定して、ステップ42で操作を終了する。以上が『a’』、『x’』を考慮して判断する方法である。
【0063】
更に、ステップ36〜39のいずれの条件にも該当しなかった場合には、第2の方法として、M(a)、M(b)、M(x)を考慮して判断する。即ち、
|M(b)−M(a)|<e、且つ、M(a)>M(x) …ステップ40
の条件を満たす場合、ステップ41で注目セルは『x(=b)』として最終的に判定する。ここで、eはある定数であり、例えば、各多値レベル間でのセル中央値の再生信号レベル差の1/2〜1/4の値に設定するのが望ましい。
【0064】
つまり、|M(b)− M(a)|<eの条件を満たす場合、セル中央値の再生信号から『a』か『b』であるかを判断するのは極めて難しいことを示しており、究極的に|M(b)−M(a)|=0の場合を考えると、注目セルが『a』か『b』であるかの確率はそれぞれ50%となる。従って、M(a)> M(x)の条件を満たす場合、注目セルは『x(=b)』である確率が高いと判断して、ステップ42で操作を終了する。
【0065】
最後に、ステップ33、34の条件を満たさない場合(a≠x、且つ、b≠xの場合)を考える。これは、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルの値を『a』と判定して、ステップ42で操作を終了する。何故なら、多値記録の場合、再生時のエラーはおおむね±1レベル以内である事がシミュレーション結果から分かっており(『a』か『b』が正解となる)、『x』が正解である確率は極めて低いからである。
【0066】
次に、図13に戻って、ステップ28で注目セルの多値レベルを最終的に判定した後、ステップ29で先行セルの多値レベルを訂正する。
【0067】
図15はステップ29の先行セルの多値レベルを訂正するアルゴリズムを示す。まず、ステップ43で操作を開始する。次に、ステップ44〜47において図14で説明したように先行セルにおける候補値と注目セルにおける候補値との関係を調べることで、先行セルで最終的に判定された値を訂正する。
【0068】
即ち、注目セルと先行セルの候補値がある規則が持つ場合に、先行セルにおける判定結果が実際の正しい値とは異なっていると判断するものである。例えば、先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『3』、x’が『2』の時に、誤ってx’の『2』を最終的な判定値として選択した場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『4』となる確率が高い。
【0069】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ44、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ45、
となる。
【0070】
従って、ステップ44、45を満たす場合には、ステップ48に進んで先行セルを『a’』に訂正して、ステップ51で操作を終了する。この場合、先行セルをx’の『2』と判定したのは誤っていると考え、a’の『3』に訂正する。
【0071】
逆に、誤ってa’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『4』、x’が『3』の時に、誤ってa’の『4』を最終的な判定値として選択したとする。その場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『2』となる確率が高い。
【0072】
これを一般的な式で表すと、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ46、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ47、
となる。
【0073】
ステップ46、47を満たす場合、ステップ49に進んで先行セルを『x’』に訂正して、ステップ51で操作を終了する。この場合、先行セルをa’の『4』と判定したのは誤っていると考え、x’の『3』に訂正する。
【0074】
以上が図13の最終値判定部の詳細であり、本発明の特徴とする多値データ判定回路15における多値データの判定方法である。
【0075】
なお、補足として、本発明に係る光ディスク装置において、入力した2値データに対し誤り訂正を行うためのデータを付加する誤り訂正用データ付加回路、所定量のデータの区切りを示すための同期信号を付加する同期信号付加回路等には言及していないが、本発明の本質は何ら変わるところはない。以上が本発明における多値情報を記録或いは再生する多値情報記録再生方法及び装置の説明である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る多値情報記録再生装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】多値情報ピットのレベルの違いによるトラック方向の幅とそれに対応する3ビットの組合せを説明する図である。
【図3】セル中央値の振幅分布を説明する図である。
【図4】セル中央値をサンプリングしている際の前後のセルと光スポットの位置関係を説明する図である。
【図5】セル間値をサンプリングしている際の前後のセルと光スポットの位置関係を説明する図である。
【図6】8レベルの多値データを再生する場合の波形等化を行う前後でのセル中央値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果を示す図である。
【図7】波形等化を行う前後におけるセル間値の再生信号レベルのヒストグラムを示すシミュレーション結果を示す図である。
【図8】セル間値の左右のセルの多値レベルの組合せを示す図である。
【図9】多値データ判定回路における多値データの判定方法を説明する図である。
【図10】多値データの判定に用いる学習テーブルを示す図であり、(a)はセル中央値学習テーブル、(b)はセル間値学習テーブルを示す図である。
【図11】図9におけるセル中央値判定部のセル中央値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する図である。
【図12】図9におけるセル間値判定部のセル間値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する図である。
【図13】図9における最終値判定部のアルゴリズムを説明する図である。
【図14】図13における注目セルの多値レベルを判定するアルゴリズムを説明する図である。
【図15】図13における先行セルの多値レベルを訂正するアルゴリズムを説明する図である。
【符号の説明】
【0077】
1 光ディスク(情報記録媒体)
2 スピンドルモータ
3 光ヘッド
4 演算増幅回路
5 サーボ回路
6 2値データ入力
7 多値化回路
8 変調回路
9 レーザ駆動回路
10 AD変換回路
11 PLL回路
12 セル中央値/セル間値分離検出回路
13 セル中央値用波形等化回路
14 セル間値用波形等化回路
15 多値データ判定回路
16 多値−2値変換回路
17 学習用メモリ
18 2値データ出力
19 セル中央値判定部
20 セル間値判定部
21 最終値判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生方法において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値と、セルの中央でサンプリングしたセル中央値との両方に基づいてセルの多値情報を判断することを特徴とする多値情報記録再生方法。
【請求項2】
前記セル中央値は、各レベルに応じた複数の閾値によってレベルスライスして得られた候補値から決定することを特徴とする請求項1に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項3】
前記閾値は、前後のセルの多値情報或いは前記セル間値及びセル中央値に基づいて値が調整されることを特徴とする請求項2に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項4】
前記セル中央値は、対象となる注目セルに先行する先行セル、後行する後行セル、又は先行セル及び後行セルの多値判定値を参照して得られた候補値から判定することを特徴とする請求項1に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項5】
3つの連続する先行セル、注目セル、後行セルのマークを1つのグループとする全ての組合せパターンに応じた注目セルのセル中央値の再生信号を学習パターン情報として予め学習し、これを前記注目セルの多値判定に参照値として用いることを特徴とする請求項4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項6】
前記先行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定されることを特徴とする請求項2、4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項7】
前記先行セルの多値判定値は、前記セル間値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値情報であることを特徴とする請求項4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項8】
前記後行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定されることを特徴とする請求項2、4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項9】
前記セル間値は、対象となる注目セルに先行する先行セルの多値判定値を参照して得られた候補値から判定することを特徴とする請求項1に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項10】
前記先行セルの多値判定値は、前記セル間値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値情報であることを特徴とする請求項9に記載の多情報記録再生方法。
【請求項11】
前記先行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定された多値判定値、又は前記セル間値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値判定値であることを特徴とする請求項6、7又は9に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項12】
2つの連続するセル(先行セル、注目セル)のマークを1つのグループとする全ての組合せパターンに応じた先行セルと注目セルのセル間値の再生信号を学習パターン情報として予め学習し、これを前記注目セルの多値判定に参照値として用いることを特徴とする請求項9に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項13】
前記セル中央値から求めた第1候補値を『a』、第2候補値を『b』、セル間値から求めた候補値を『x』として、a=xである場合、注目セルの多値情報を『a』と判定することを特徴とする請求項9に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項14】
x=bである場合、セル中央値及びセル間値と学習パターン情報との差分の絶対値であるM(a)、M(b)、M(x)が、
|M(b)− M(a)|<e、且つ、M(a)> M(x) e:定数
の条件を満たす場合、注目セルの多値情報を『x(=b)』と判定することを特徴とする請求項13に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項15】
前記注目セルに先行する先行セルにおいて、セル中央値から求めた第1候補値を『a’』、セル間値から求めた候補値を『x’』として、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0、
又は、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0
の条件を満たす場合、注目セルの多値情報を『a』と判定することを特徴とする請求項13に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項16】
前記セルに先行する先行セルにおいて、セル中央値から求めた第1候補値を『a’』、セル間値から求めた候補値を『x’』として、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0、又は、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0の条件を満たす場合、先行セルの多値情報を『a’』に訂正し、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0、又は、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0の条件を満たす場合、先行セルの多値情報を『x’』に訂正することを特徴とする請求項13に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項17】
光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生装置において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値を検出する手段と、前記光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしたセル中央値を検出する手段と、前記セル間値及びセル中央値に基づいてセルの多値情報を判断する手段とを備えたことを特徴とする多値情報記録再生装置。
【請求項1】
光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生方法において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値と、セルの中央でサンプリングしたセル中央値との両方に基づいてセルの多値情報を判断することを特徴とする多値情報記録再生方法。
【請求項2】
前記セル中央値は、各レベルに応じた複数の閾値によってレベルスライスして得られた候補値から決定することを特徴とする請求項1に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項3】
前記閾値は、前後のセルの多値情報或いは前記セル間値及びセル中央値に基づいて値が調整されることを特徴とする請求項2に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項4】
前記セル中央値は、対象となる注目セルに先行する先行セル、後行する後行セル、又は先行セル及び後行セルの多値判定値を参照して得られた候補値から判定することを特徴とする請求項1に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項5】
3つの連続する先行セル、注目セル、後行セルのマークを1つのグループとする全ての組合せパターンに応じた注目セルのセル中央値の再生信号を学習パターン情報として予め学習し、これを前記注目セルの多値判定に参照値として用いることを特徴とする請求項4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項6】
前記先行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定されることを特徴とする請求項2、4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項7】
前記先行セルの多値判定値は、前記セル間値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値情報であることを特徴とする請求項4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項8】
前記後行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定されることを特徴とする請求項2、4に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項9】
前記セル間値は、対象となる注目セルに先行する先行セルの多値判定値を参照して得られた候補値から判定することを特徴とする請求項1に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項10】
前記先行セルの多値判定値は、前記セル間値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値情報であることを特徴とする請求項9に記載の多情報記録再生方法。
【請求項11】
前記先行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定された多値判定値、又は前記セル間値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値判定値であることを特徴とする請求項6、7又は9に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項12】
2つの連続するセル(先行セル、注目セル)のマークを1つのグループとする全ての組合せパターンに応じた先行セルと注目セルのセル間値の再生信号を学習パターン情報として予め学習し、これを前記注目セルの多値判定に参照値として用いることを特徴とする請求項9に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項13】
前記セル中央値から求めた第1候補値を『a』、第2候補値を『b』、セル間値から求めた候補値を『x』として、a=xである場合、注目セルの多値情報を『a』と判定することを特徴とする請求項9に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項14】
x=bである場合、セル中央値及びセル間値と学習パターン情報との差分の絶対値であるM(a)、M(b)、M(x)が、
|M(b)− M(a)|<e、且つ、M(a)> M(x) e:定数
の条件を満たす場合、注目セルの多値情報を『x(=b)』と判定することを特徴とする請求項13に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項15】
前記注目セルに先行する先行セルにおいて、セル中央値から求めた第1候補値を『a’』、セル間値から求めた候補値を『x’』として、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0、
又は、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0
の条件を満たす場合、注目セルの多値情報を『a』と判定することを特徴とする請求項13に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項16】
前記セルに先行する先行セルにおいて、セル中央値から求めた第1候補値を『a’』、セル間値から求めた候補値を『x’』として、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0、又は、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0の条件を満たす場合、先行セルの多値情報を『a’』に訂正し、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0、又は、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0の条件を満たす場合、先行セルの多値情報を『x’』に訂正することを特徴とする請求項13に記載の多値情報記録再生方法。
【請求項17】
光スポットを用いて、光学的情報記録媒体のトラック上に仮想的に一定間隔のセルを設けて、前記セルにトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって多値情報を記録し、或いは再生する多値情報記録再生装置において、前記光スポットの中心がセルとそれに続くセルとの境界に来た時に再生信号をサンプリングしたセル間値を検出する手段と、前記光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしたセル中央値を検出する手段と、前記セル間値及びセル中央値に基づいてセルの多値情報を判断する手段とを備えたことを特徴とする多値情報記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−236441(P2006−236441A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47198(P2005−47198)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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