説明

多分岐デンドリマー

式(I)、[DENDRON−CORE−[B−[X](I)[式中、COREは、金属イオン又は金属イオンを含む基、或いは非ポリマー性有機基であり;Bはフェニル環であり;aは、1〜8の整数であり;bは、3〜5の整数であり;xは、0又は1〜7の整数であり;各Xは、アリール又はヘテロアリール環であるか、或いは少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造であり;各DENDRONは、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造であり;このデンドリマーは、1つ又は複数の表面基を更に含み;但し、COREが非金属核の場合、Xは、少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造である]のデンドリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多分岐デンドロンを有するデンドリマー及びこれらを含む発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
広範な発光性低分子及びポリマーが知られており、有機発光デバイス、特に、エレクトロルミネセンス(EL)デバイスとしても知られている、有機発光ダイオード(OLED)における発光材料及び電荷輸送材料の両方として実証されている。
【0003】
このようなOLEDでは、分子間相互作用が鍵となる役割を果たす。この電気活性発色団の間の強い分子間相互作用は、電荷輸送に対しては優れているが、発光には有害であり得る。発光性発色団の密接な相互作用は、エキシマー又は凝集体からの発光を引き起こし、発光色の変化及び一般に光ルミネセンス量子収率(PLQY)の低下をもたらすことがある。
【0004】
燐光性低分子をベースとするOLEDについての報告は、燐光性分子がホストマトリックス中のゲストである場合、デバイスはより効率的であることを一般に示している。燐光性分子が低濃度では、発光性化学種の分子間相互作用はほとんど存在せず、デバイス効率は高い。しかし、ブレンド系では、蒸発されるか溶液処理されるかいずれにせよ、高濃度が局在化するとデバイス性能が劣化するので、ゲストがホスト中にいかに均一に分散されるかという問題が常に存在する。分子の相互作用を制御する最も有効な方法は、分子レベルで制御を組み込むことによる。このことは低分子で行うのは困難であり、ポリマー材料では、分子間相互作用を理解することは、しばしば複雑なポリマー形態によって分かりにくい。
【0005】
上記の点からみて、デンドリマー発光ダイオード(DLED)は、分子レベルである程度の制御を提供するために開発されている。これは、デンドロンを適切に配置することによって、核発色団の発光特性を変化させることなく実施することができる。特に、金属錯体発色団を有するデンドリマーは、DLEDにおいて有効であることが実証されている。適切なデンドリマーは、本出願人の以前の出願、WO−A−02/066552で論じられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エレクトロルミネセンスデバイスに使用することができる更なるデンドリマー、特に、効率的であり、高分子レベルで他の有利な特性を有するデバイスを製造するために、分子レベルで良好な制御を提供することができる更なるデンドリマーの継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特に、1種又は複数の少なくとも部分的に共役している多分岐デンドロンを含むデンドリマー、特に表面基として可溶化部分を含むものを対象とする。このようなデンドリマーの使用により、本発明の他の態様が形成される。このようにして、本発明は、式(I)
[DENDRON−CORE−[B−[X] (I)
[式中、
− COREは、金属イオン又は金属イオンを含む基、或いは非ポリマー性有機基であり、
− Bはフェニル環であり、
− aは、1〜8の整数であり、
− bは、3〜5の整数であり、
− xは、0又は1〜7の整数であり、
− 各Xは、同じか異なり、アリール又はヘテロアリール環を表すか、或いは少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、この分岐基は、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択され、この連結基は、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記少なくとも1つの分岐基は、3つ以上の基に結合されており、前記少なくとも1つの連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結しており、
− DENDRONは、少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、この分岐基は、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択され、この連結基は、アリール、ヘテロアリール、アルキレンオキシ、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記少なくとも1つの分岐基は、3つ以上の基に結合されており、前記少なくとも1つの連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結しており、
− このデンドリマーは、1つ又は複数の表面基を更に含み、
但し、COREが非金属核の場合、Xは、少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造である]のデンドリマーを提供する。代替の実施形態では、式(I)のデンドリマーは、1つ又は複数の表面基を含む必要はない。この代替の実施形態では、好ましくは、aは3〜8である。更に、この実施形態では、好ましくは、このデンドリマーは、fac−トリス[2−{5−[(2,3,4,5−テトラフェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)、即ち、式
【化1】


のデンドリマーではない。
【0008】
本発明のデンドリマーのCOREは、基B(即ち、フェニル環)に結合した単結合で終結し、1つ又は複数のDENDRON基が結合している場合、DENDRONの最初の分岐基に結合した単結合で終結する。このフェニル環は、アリール及び/又はヘテロアリール基並びにそれに結合した少なくとも部分的に共役している樹枝状分岐から選択される、少なくとも3つのデンドロンを有する。したがって、本発明のデンドリマーは、発光性発色団に近接して高度の分岐を有する。したがって、このデンドリマーは、低い世代(世代のレベルは、一連の分岐点の数で決定される)で発光性発色団の遮蔽をすることができる。本発明のデンドリマーに使用される多分岐共役デンドロンは、硬さを付与して、分子間相互作用について良好な制御をもたらす。これにより、構造特性の関係の特定をより直接的にする。
【0009】
2つ以上のデンドロンが存在する場合、このデンドロンは同じか異なる世代(世代のレベルは、一連の分岐点の数で決定される)とすることができることを理解されよう。必要とされる溶液処理特性を提供するためには、少なくとも1つのデンドロンに対しては、第2又はより高い世代であることが有利であり得る。
【0010】
本発明はまた、上記で定義されたデンドリマーを含む少なくとも1つの層を含む半導体デバイスを提供する。本発明はまた、発光材料として上記で定義されたデンドリマーの使用を提供する。また、開示されているものは、本発明のデンドリマーを製造するためのいくつかの方法である。
【0011】
発明の詳細な説明
本明細書では、「金属イオン」又は「金属カチオン」という用語は、いずれのリガンドも結合せずに、その金属が有する荷電状態を記述するものと解される(酸化状態)。金属カチオンを含む本発明のデンドリマーでは、このデンドリマーの全体の電荷は中性であり、この金属−リガンド結合は、関与する金属及びリガンドに応じて多かれ少なかれ共有結合の性質を有する。
【0012】
本発明に関連して、有機金属デンドリマーは、少なくとも1つの有機リガンドがその金属に配位したものであると解される。有機リガンドは、炭素以外の原子、例えば窒素原子を介して金属に配位し得るので、このようなデンドリマーは、必ずしも金属−炭素結合を含むとは限らない。しかし、少なくとも1つの金属−炭素結合を含むデンドリマーが好ましい。
【0013】
本明細書では、「デンドリマー」という用語は、核及びその核に結合する多くのデンドロンを有する式(I)の構造などの構造を表す。このデンドロンの少なくとも1つは、式−[B−[X]の基、即ち、(i)アリール及び/又はヘテロアリール基、並びに/或いは(ii)少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造から選択される3〜5個の基に更に結合している基Bを含む基である。
【0014】
本明細書では、「少なくとも部分的に共役している」という語句は、このデンドロンの少なくとも一部は、その表面基は別として、交互の二重結合及び単結合又は孤立電子対から構成されていることを意味する。好ましくは、すべてのデンドロン又は分岐構造は、交互の単一結合又は二重結合或いは孤立電子対で構成されている。このような構造は、共役デンドロンと称される。しかし、これは、このπ系が完全に非局在化されていることを意味しない。このπ系の非局在化は、その結合の位置化学に左右される。
【0015】
本明細書では、「末端」という用語は、この核から外に結合シーケンスをたどるとき、核から最も遠い分子の部分(単数又は複数)を意味する。デンドロン中の結合及び部分の配置のために、末端の単位が、デンドロン中のより前の部分より空間中で核により近いこともあることが理解されよう。本明細書に記載の樹枝状分子構造を終結させ得る、この末端アリール及び/又はヘテロアリール基は、例えば下記の1つ又は複数の表面基によって置換されていてもよい。
【0016】
本明細書では、アセチレニルという用語は、二価のアセチレニル基を意味し、ビニルは、二又は三価のビニル基を意味し、アリールは、二、三又は多価のアリール基を意味する。
【0017】
本明細書では、C1〜15アルキルという用語は、1〜15個の炭素原子、例えば、C1〜8アルキル基又は部分或いはC1〜4アルキル基又は部分を含む、直鎖又は分枝アルキル基又は部分である。C1〜4アルキル基及び部分の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチルが含まれる。疑問が生じないように明記すれば、1つの基の中に2つのアルキル部分が存在する場合、このアルキル部分は、同じか異なっていてもよい。
【0018】
本明細書では、C2〜15アルケニル基又は部分は、それぞれが2〜15個の炭素原子を含む直鎖又は分枝のアルケニル基又は部分、例えば、C2〜8アルケニル基又は部分或いはC2〜4アルケニル基又は部分である。疑問が生じないように明記すれば、1つの基の中に2つ以上のアルケニル部分が存在する場合、このアルケニル部分は、同じか異なっていてもよい。
【0019】
本明細書では、ハロゲンは、典型的には塩素、フッ素、臭素又はヨウ素である。塩素、フッ素又は臭素が好ましい。
【0020】
本明細書では、アミノという用語は式−NHの基を表す。C1〜15アルキルアミノという用語は、式−NHR’(式中、R’はC1〜15アルキル基、好ましくは前に定義されたC1〜15アルキル基である)の基を表す。ジ(C1〜15)アルキルアミノという用語は、式−NR’R”(式中、R’及びR”は、同じか異なり、C1〜15アルキル基、好ましくは前に定義されたC1〜6アルキル基を表す)の基を表す。本明細書では、アミドという用語は、式−C(O)NHの基を表す。
【0021】
本明細書では、アリールという用語は、単環式又は多環式、例えば、フェニル、ナフチル及びフルオレニルであってもよいC6〜14アリール基を意味する。アリール基は、非置換であるか、任意の位置で置換されていてもよい。特に断わらない限り、これは0、1、2又は3つの置換基を持つ。アリール基上の好ましい置換基には、ハロゲン、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、−C(O)R(式中、Rは、水素又はC1〜15アルキルである)、−COR(式中、Rは、水素又はC1〜15アルキルである)、ヒドロキシ、C1〜15アルコキシ、C2〜15アルケニルオキシ、C1〜15アルキルチオ、C2〜15アルケニルチオ、C1〜6ハロアルキル、C2〜15ハロアルケニル、C1〜15ハロアルコキシ、C2〜15ハロアルケニルオキシ、アミノ、C1〜15アルキルアミノ、ジ(C1〜15)アルキルアミノ、C6〜14アリールオキシ、−OSR(但し、各Rは、同じか異なり、C1〜15アルキル又はC2〜15アルケニルを表す)、−SiR(但し、各Rは、同じか異なり、水素、C1〜15アルキル又はC2〜15アルケニルを表す)、C6〜14アリールチオ、C6〜14アリール及び5員から10員ヘテロアリールが含まれ、ここでこの置換基は、それ自体非置換であるか、置換されている。この置換基がそれ自体置換されている場合、この置換基上の適切な置換基には、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、C1〜15アルコキシ、C2〜15アルケニルオキシ、ヒドロキシ及びハロゲンから選択される1、2、3又は4つの基が含まれる。特に適切なものは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C1〜8アルコキシ及びC2〜8アルケニルオキシから選択される1つ又は2つの基である。特に、アリール基がC6〜14アリール基で又は5員から10員ヘテロアリール基で置換される場合、これらの置換基は、それ自体が非置換であるか、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、C1〜15アルコキシ及びC2〜15アルケニルオキシから選択される1つ又は複数の置換基で置換されている。アリール基が、C6〜14アリール基又は5員から10員ヘテロアリール基以外の基で置換される場合、この置換基は、それ自体好ましくは非置換である。
【0022】
本明細書では、ヘテロアリール基は、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、1、2又は3個のヘテロ原子を含む、典型的には5員から14員芳香環、例えば5員から10員環、より好ましくは5員又は6員環である。例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、トリアジニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、カルバゾリル、アクリジニル、プリニル、シンノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、キナゾリニル及びイソキノリニルが含まれる。
【0023】
このヘテロアリール基が単環式ヘテロアリール基の場合、好ましい基としては、チオフェニル、ピロリル、ピリジル、イミダゾリル、トリアジニル及びトリアゾリルがある。
【0024】
本明細書では、ヘテロアリール基への言及には、ヘテロアリール基がアリール基に縮合されている縮合環系が含まれる。ヘテロアリール基がこのような縮合ヘテロアリール基の場合、好ましい例は、5員から6員ヘテロアリール基が1つ又は2つのフェニル基に縮合されている縮合環系である。このような縮合環系の例は、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、カルバゾリル、ベンゾトリアゾリル、フェナントリジニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、キナゾリニル及びイソキノリニル部分である。
【0025】
ヘテロアリール基は、非置換であるか、任意の位置で置換されていてもよい。特に断わらない限り、これは0、1、2又は3つの置換基を持つ。ヘテロアリール基上の好ましい置換基には、アリール基に関連して上に挙げたものが含まれる。ヘテロアリール基が、C6〜14アリール基で又は5員から10員ヘテロアリール基で置換されている場合、これらの置換基は、それ自体非置換であるか、又はC1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、Cl〜15アルコキシ及びC2〜15アルケニルオキシから選択される1つ又は複数の置換基で置換されている。ヘテロアリール基が、C6〜14アリール基又は5員から10員ヘテロアリール基以外の基で置換される場合、この置換基は、それ自体好ましくは非置換である。
【0026】
本明細書では、アルコキシ基は、典型的には酸素原子に結合した前記アルキル基である。同様に、アルケニルオキシ基及びアリールオキシ基は、典型的には、酸素原子に結合したそれぞれ前記アルケニル基又はアリール基である。アルキルチオ基は、典型的にはチオ基に結合した前記アルキル基である。同様に、アルケニルチオ基及びアリールチオ基は、典型的には、チオ基に結合したそれぞれ前記アルケニル基又はアリール基である。ハロアルキル又はハロアルコキシ基は、典型的には、1個又は複数の前記ハロゲン原子で置換された前記アルキル又はアルコキシ基である。典型的には、これは1、2又は3個の前記ハロゲン原子で置換されている。ハロアルキル及びハロアルコキシ基には、ペルハロアルキル及びペルハロアルコキシ基、例えば、−CX及び−OCX(但し、Xは前記ハロゲン原子、例えば、塩素又はフッ素、及び1個又は複数のハロゲン原子で置換された、より長いアルキル及び/又はアルコキシ鎖、例えば、C2〜6鎖である)が含まれる。
【0027】
ハロアルケニル及びハロアルケニルオキシ基は、類推して、典型的には1個又は複数の前記ハロゲン原子で置換された前記アルケニル又はアルケニルオキシ基である。典型的には、これは1、2又は3個の前記ハロゲン原子で置換されている。
【0028】
上記のように、本発明は、式(I)のデンドリマーを提供する。式(I)において、Bはフェニル環を表す。COREに近いこの位置でのフェニル環の使用は、低い世代で高度の分岐を可能にする。
【0029】
上記のように、Xは、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す。このような樹枝状分子構造の代表例は、PCT/GB02/00750に見ることができ、これを参照するものである。次に、可能なX基をより詳細に説明する。
【0030】
X基:
上記のように、各Xは、同じか異なり、アリール又はヘテロアリール基を表すか、又は少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、この分岐基は、アリール及びヘテロアリール基及び窒素原子から選択され、この連結基は、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記少なくとも1つの分岐基は、3つ以上の基に結合されており、前記連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結している。分岐基が3つ以上の基に結合されていると記述されている場合、前記基は、分岐基又は連結基とすることができるか、或いはこの樹枝状分子構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール環とすることができる。連結基が2つの基に結合されていると記述されている場合、前記基は、分岐基又は連結基とすることができるか、或いはこの樹枝状分子構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール環とすることができる。
【0031】
Xがアリール基を表す場合、好ましくはC6〜14アリール基、例えば、フェニル、フルオレニル及びナフチルから選択される基である。Xがアリール基を表す場合、好ましくはフェニル及びフルオレニルから選択され、より好ましくはフェニルである。
【0032】
Xがヘテロアリール基を表す場合、好ましくはその環中に酸素、硫黄及び窒素から選択される、1、2又は3個のヘテロ原子を含む5員から10員ヘテロアリール基である。例示的なヘテロアリール基には、ピリジル、チオフェニル、ベンズアミダゾリル(benzamidazolyl)、カルバゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンゾチオフェニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリニル、オキサゾリニル、オキサジアゾリニル、トリアゾリル、トリアジニル、チアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジル、フリル及びベンゾチオフェニルから選択される基が含まれる。最も好ましくは、Xがヘテロアリール基を表す場合、これはチオフェニルなどの基から選択される。この核がイリジウム(III)を含む場合、このヘテロアリール基は(存在する場合)、窒素非含有であることが好ましい。Xがアリール又はヘテロアリール基の場合、これは非置換であるか、又は置換されている。適切な置換基には、可溶化基として以下に列挙されるもの、及び架橋性基として以下に列挙されるものも含まれる。
【0033】
Xが、少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す場合、この分岐基はアリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択される。これらの基は、少なくとも三価であり、したがって3つ以上の基に結合することが可能である基を形成するという理由で選択される。分岐基が結合される前記基の1つは、前の世代の分岐基又は連結基、或いはデンドリマーのCOREである。その他の2つ以上の基は、次世代の連結基及び/又は分岐基、或いはこの樹枝状分子構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール基である。窒素の場合、これは4つの基まで結合することが可能であり、これが分岐基である場合、好ましくは3つの基のみに結合している。
【0034】
分岐基がアリール基の場合、適切な基には、フェニル、ナフタレン、アントラセン及び、核がイリジウム(III)を含む場合、このヘテロアリール基は好ましくは窒素を含まないことを条件として、適切な場合は置換された変形が含まれる。好ましくは、分岐基がアリール基の場合、これはフェニル環である。より好ましくは、この分岐基は、環の位置1、3及び5で結合したフェニル環である。分岐基がヘテロアリール基の場合、適切な基には、ピリジン、カルバゾリル、トリアゾール、トリアジン及び、適切な場合、置換された変形が含まれる。カルバゾリル及びトリアジニルが好ましい。この分岐基は、非置換であるか、又は置換されている。適切な置換基には、可溶化基として以下に列挙されるもの、及び架橋性基として以下に列挙されるものも含まれる。この分岐基は、可溶化基で置換されていないことが好ましい。好ましい分岐基は、結合している可溶化基を有しないフェニル基である。
【0035】
Xが少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す場合、この連結基は、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択される。
【0036】
この連結基は、2つの基を結合することが可能な二価の部分を形成し得るという理由で選択される。前記連結基が結合される基には、他の連結基、分岐基及び/又はこの樹枝状分子構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール基が含まれる。
【0037】
連結基がアリール基の場合、適切な基には、C6〜14アリール基、例えば、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フルオレニル、及び適切な場合、置換されている変形が含まれる。好ましくは、連結基がアリール基の場合、これはフェニル又はフルオレニル基である。この連結基がフェニル環の場合、これは好ましくは環の位置1及び4で結合している。この連結基がフルオレニル環の場合、これは好ましくは環の位置2及び7で結合している。連結基がヘテロアリール基の場合、適切な基には、ピリジン、オキサジアゾール、チオフェン、及び、適切な場合、置換されている変形が含まれる。好ましいヘテロアリール連結基としては、チオフェン及びピリジンがある。
【0038】
この連結基は、非置換であるか、置換されている。適切な置換基には、可溶化基として以下に列挙されるもの、及び架橋性基として以下に列挙されるものも含まれる。連結基がアリールの場合、これは好ましくは非置換フェニル、或いは非置換であるか、又は9位で1つ又は2つの表面基で置換されたフルオレニルである。フルオレニル基に対して好ましい置換基には、C1〜15アルキル、C1〜15アルコキシ、C1〜15ハロアルキル、C6〜14アリールから選択される1つ又は2つ、好ましくは2つの置換基が含まれる。或いは、フルオレニル基の9位上の2つの置換基は、一緒になって5員から7員環、例えばカルボシクリル環を完成してもよい。好ましくは、連結基がアリールの場合、これは、非置換フェニルか、或いは非置換又は置換フルオレニルである。
【0039】
連結基として上に記載された2つ以上の部分が、一緒になって結合して、より大きな連結基を形成してもよい。例えば、1つのフェニル環及び他のフェニル環が結合して、それ自体が、2つの分岐基の間の或いは1つの分岐基とこの樹枝状分子構造を終結させるアリール又はヘテロアリール環の間の連結基とすることができるビフェニル基を形成することができる。Xが少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す場合、この樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結する。好ましいこのようなアリール及び/又はヘテロアリール基は、上記で定義されたように、Xが単純にアリール又はヘテロアリール基を表す場合の実施形態に対する好ましい基と同じである。好ましくは、これらのアリール及び/又はヘテロアリール基は、以下に定義される1つ又は複数の表面基で置換されている。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つのX基は、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表すことが好ましい。例えば、一実施形態では、各X基は、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す。
【0041】
DENDRON
式(I)に示すように、少なくとも1つのデンドロンが、式(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)のうちの1つの部分として示される特定の共役デンドロン(即ち、−[B−[X]の一般構造を有するデンドロン)であることを条件にして、核に結合するすべてのデンドロンは、互いに同じであるか、又は多分岐デンドロンである必要はない。
【0042】
先に述べたように、DENDRONは、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す。したがって、DENDRONの性質は、可能な連結基としてアルキレンオキシが追加されている、Xが少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す場合の上記で定義された基Xに類似している。特に、−CH−O−などの基を連結基として使用することができる。したがって、このようなデンドロンは、例えば、ベンゼン環がメチレンオキシ結合を介して結合されているエーテルタイプのアリールデンドロンを含むことができる。DENDRONの好ましい値は、Xが少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造の場合に上に記述した基Xの好ましい値と類似している。
【0043】
したがって、このデンドリマーは、対称的(即ち、xが0である場合で、各基−B−[X]が同じ場合)であってもよく、又は同じではない2つ以上のデンドロンを含んでもよい(即ち、ここでは、このデンドリマーは非対称である)。樹枝状化リガンドの数は、必要とされる溶液処理を提供するのに十分であることが望ましい。すべてのリガンドが異なる樹枝状化金属錯体の場合、製造方法は、すべての錯体タイプの統計的混合物を生じさせ得る。このことは、光学的、電子的、及び処理特性が満たされているという条件で、必ずしも不利であるとは限らない。
【0044】
上記のように、aは1〜8の整数である。好ましくは、aは3〜6の整数であり、このCOREは、一般式−[B−[X]の3〜6個のデンドロンによって囲まれていることを意味する。例えば、aは、3とすることができる。他の実施形態では、好ましくは、xが0の場合、aは、3〜6の整数、より好ましくは3である。
【0045】
整数bは、3〜5とすることができるが、好ましくは4又は5、より好ましくは4である。したがって、この最も好ましい実施形態では、このフェニル基(B)が、このCOREに結合し、次いで、4つの他の基に結合される(これは、アリール若しくはヘテロアリール基、又は他の分岐基又は連結基或いはこれらの組合せでもよい)。
【0046】
xは0であるか、又は1〜5の整数、より好ましくは0か、又は1〜3の整数であることが好ましい。aが3〜6の整数の場合、好ましくは、xは0である。最も好ましくは、xは0であって、本発明のデンドリマー中に、DENDRON基は存在しない。したがって、好ましい実施形態では、式
CORE−[B−[X] (II)
[但し、CORE、B、a、b及びXは、式(I)に関連して前に定義された通りである]
のデンドリマーが提供される。
【0047】
本発明の他の実施形態では、式(III)
CORE−[B−[X−[X−[X−[X−[X (III)
[式中、
− a、b、CORE及びBは、式(I)及び式(II)に関連して上記で定義された通りであり、
− cは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
− cが0ではない場合、dは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
− dが0ではない場合、eは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
− eが0ではない場合、fは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
− X、X、X、X及びXはそれぞれ、存在する場合、同じか異なり、式−[L−B’]
(式中、各Lは、同じか異なり、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択される連結基を表し、
gは、0又は1であり、gが0の場合、Lは存在せず、
各B’は、同じか異なり、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択される基を表す)
の基を表し、
但し、COREが非金属核の場合、少なくとも1つの基Lが存在する]
を有するデンドリマーを提供する。
【0048】
好ましくは、各B’は、同じか異なり、アリール及びヘテロアリール基から選択される。より好ましくは、各B’は、同じか異なり、非置換であるか、置換されているフェニル又はフルオレニル基である。このB’基は、非置換であるか、又は例えば、以下に表面基として論じられる1つ又は複数の基で置換されている。このB’基がCOREに対し末端ではない場合、即ち、このデンドリマー中に存在する最高の世代ではない世代の一部である場合、このB’基は、好ましくは非置換である。このB’基がCOREに対して末端にある場合、即ち、これらがデンドリマー中に存在する最高の世代の一部である場合、これらは、好ましくは以下に表面基として論じられる1つ又は複数の基で置換されている。
【0049】
この連結基(L)は、存在する場合、好ましくは、同じか異なり、ビニル又はC6〜14アリール基を表す。より好ましくは、この連結基は、存在する場合、ビニル、フェニル又はフルオレニル基、より好ましくはフェニル基である。この連結基は、非置換であるか、又は以下に表面基として挙げる1つ又は複数の基で置換されている。この連結基が置換されている場合、好ましい置換基には、C1〜6アルキル基が含まれる。好ましくは、この連結基は非置換である。
【0050】
好ましくは、整数c、d、e及びfは、存在する場合、2、3又は4である。より好ましくは、整数c、d、e及びfは、存在する場合、2である。この整数fは0であり、一方、c、d及びeはそれぞれ0以外であってもよい。これが生じる場合、このデンドリマーは、第4世代のデンドリマーである。同様に、整数eが0であるが、c及びdが共に0以外である場合、このデンドリマーは、第3世代のデンドリマーである。同様に、整数dが0であるが、cが0以外の場合、このデンドリマーは、第2世代のデンドリマーである。整数cが0の場合、このデンドリマーは、第1世代のデンドリマーである。
【0051】
このデンドリマーが式(III)を有する場合、Xは、C6〜14アリール基である(即ち、Xは−[L−B’](但し、gは0であり、B’はC6〜14アリールである)ことが好ましい。より好ましくは、Xは、フェニル又はフルオレニル基である。或いは、Xは−[L−B’](式中、gは1であり、LはC6〜14アリールであり、B’はC6〜14アリールである)であることが好ましい。より好ましくは、L及びB’は共にフェニルである。更に、任意のデンドロンにおいて、このX基は、同じか異なっていてよい。例えば、1つ又は複数のX基は、gが0である上で論じたものであってもよく、1つ又は複数は、gが1である上で論じたものであってもよい。
【0052】
存在する場合、Xは、好ましくは式−[L−B’](但し、B’はC6〜14アリール基である)の基、最も好ましくはフェニル又はフルオレニル基である。XのL基は、存在する場合、好ましくはフェニル、ビニル又はフルオレニル基、より好ましくはフェニル基である。
【0053】
同様に、存在する場合、X、X及びXはそれぞれ、好ましくは、式−[L−B’](式中、B’は、C6〜14アリール基)の基、最も好ましくはフェニル又はフルオレニル基である。基X、X及びXのL基は、存在する場合、好ましくはフェニル、ビニル及びフルオレニル基、より好ましくはフェニル基から選択される。
【0054】
この実施形態では、COREのHOMO−LUMOエネルギーギャップは、基B、X、X、X、X及びX中の共役部分のものより低いことが好ましい。このデンドロン中の基B、X、X、X、X及びX中の共役部分のHOMO−LUMOエネルギーギャップはまた、その表面から核の結合点に向かって低下し得る。
【0055】
本発明の他の実施形態では、式(IV)
CORE−[DENDRON (IV)
[式中、CORE及びaは、式(I)に関連して前に定義された通りであり、DENDORONは、式−B−[X](但し、B、X及びbは、式(I)に関連して前に定義された通りである)の基であり、前記DENDORON中の隣接する分岐点の間の結合はすべてが同じとは限らない]
のデンドリマーを提供する。
【0056】
式(IV)のこのようなデンドリマーは、同じではない連結基を有する単一デンドロン或いは同じではない2つ以上のデンドロンを含むので、非対称デンドリマーと呼ばれている。式(I)から(V)のデンドリマーと同様に、式(IV)のデンドリマーも、以下に定義される1つ又は複数の表面基を含んでもよい。
【0057】
表面基及び他の置換基:
本発明のこのデンドリマーは、1つ又は複数の置換基を含んでもよい。一般に、この置換基は、このデンドリマーが、処理される溶媒中の溶解度を増加するように選択される。したがって、このような基は、「可溶化基」と称される。この可溶化基が、末端のアリール又はヘテロアリール基或いはデンドロンに結合する場合、これらは「表面基」と称される。特に、好ましい表面基は、溶液処理に適した溶媒中の特許請求したデンドリマーの溶解度を改良することが可能なものである。したがって、適切な表面基には、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレン及びメタノールなどのアルコール溶媒中への増加した溶解度を有するデンドリマーをもたらすものが含まれる。
【0058】
この表面基は、これらが結合しているアリール又はヘテロアリール部分の電子特性を変化させることが可能である。この基は、好ましくは、デンドリマーに十分な溶解度を付与し得て、パターン形成を可能にする部分も含み得る。このアリール及びヘテロアリール部分に結合する表面基の結合位置及び数は、これらの構造に依存し、有機化学の当業者にはよく知られている。適切な表面基には、PCT/GB02/00750(これを、更に詳細のために参照するものである)に開示されているものが含まれる。適切な表面基には、ヒドロキシ、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、アミン、C1〜15アルキルアミン、ジ(C1〜15)アルキルアミン、−COOR(式中、Rは、水素又はC1〜15アルキルである)、C1〜15アルコキシ、C2〜15アルケニルオキシ、C6〜10アリールオキシ、−OSR(式中、Rは、C1〜15アルキル又はC2〜15アルケニルである)、−SiR(但し、各Rは、同じか異なり、水素、C1〜15アルキル又はC2〜15アルケニルを表す)、C1〜15アルキルチオ、C2〜15アルケニルチオ、C6〜10アリールチオ、C6〜14アリール及び5員から10員ヘテロアリールが含まれ、この基C6〜10アリール及び5員から10員ヘテロアリールは、存在する場合、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、C1〜15アルコキシ及びC2〜15アルケニルオキシから選択される、それら自体は非置換の1つから5つの置換基で置換されている。
【0059】
特に好ましい表面基には、C1〜15アルキル、C1〜15アルコキシ、及び置換C6〜14アリール基(但し、この置換基は、C1〜15アルキル及びC1〜15アルコキシから選択される)が含まれる。この表面基が置換C6〜14アリール基から選択される場合、好ましいアリール基には、フェニル及びフルオレニル、より特に置換フルオレニルが含まれる。C6〜14アリール基上の好ましい置換基には、Cl〜15アルキル基及びC1〜15アルコキシ基、特にC1〜10アルキル及びC1〜10アルコキシ基が含まれる。例えば、n−プロピル、t−ブチル、メトキシ及びエトキシ表面基をC6〜14アリール基又は直鎖若しくは分枝鎖Cアルコキシ基、例えば2−エチルヘキシルオキシ上の置換基として使用してよい。好ましくは、この置換基はC1〜10アルキル基から選択される。好ましくは、このC6〜14アリール基は、1つから4つの置換基、より好ましくは1つから3つの置換基、最も好ましくは1つ又は2つの置換基を持つ。
【0060】
この表面基がCl〜15アルキル基から選択される場合、C1〜10アルキル基、例えば、メチル及びエチル、或いは直鎖又は分枝鎖プロピル及びブチルが好ましい。例えば、表面基には、n−プロピル及びt−ブチルが含まれる。この表面基がC1〜15アルコキシ基から選択される場合、Cl〜10アルコキシ基、例えば2−エチルヘキシルオキシが好ましい。
【0061】
異なる表面基が、異なるデンドロン又はデンドロンの異なる末端基上に存在してもよい。t−ブチル基が、フェニル環に結合する表面基の場合、2つ以上がそれぞれの末端フェニル単位に結合することが好ましい。
【0062】
この表面基はまた、このデンドリマーをパターン形成することができるように選択することができる。例えば、架橋性基を選択することができ、これは照射したとき又は化学反応によって架橋することができる。或いは、この表面基は、除去して架橋性基を残すことのできる保護基を含んでもよい。したがって、本発明のデンドリマーは、反応して架橋することが可能な1つ又は複数の反応可能基を含んでもよい。適切な架橋基としてはオキセタンがある。
【0063】
本発明のデンドリマーが式(I)又は(II)に従う場合、このデンドリマーは、上記の少なくとも1つの表面基又は可溶化基を含むことが好ましい。好ましくは、式(I)又は(II)中のXが、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子又は分岐構造を表す場合、上記の少なくとも1つの表面基は、この樹枝状分岐構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール基に結合されている。好ましくは、Xがアリール又はヘテロアリール環の場合、このアリール又はヘテロアリール環は、上記の少なくとも1つの表面基を有する。
【0064】
したがって、本発明はまた、式(V)
CORE−[B−([X]−[S])] (V)
[式中、
− a、b、B、X及びCOREは、式(I)又は(II)に関連して前に定義された通りであり、
− 各Sは、同じか異なり、表面基を表し、
− hは1〜200の整数である]
のデンドリマーを提供する。
【0065】
式(V)のデンドリマーに使用される表面基は、上で定義されたものと同じであってもよい。好ましくは、Xが樹枝状分子構造の場合、少なくとも1つのSは、この樹枝状分子構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール基に結合している。
【0066】
表面基の数は(整数hで表される)、広範に変化してもよいと解される。表面基の数は、本発明のデンドリマーの製造に使用される反応物、及び製造されるデンドリマーの世代に明らかに依存する。デンドリマーの世代が高いほど、存在する表面基の可能な数は多くなる。
【0067】
一般に、第1世代のデンドリマーでは、hは、約30まで、より好ましくは3〜20とすることができる。一般に、第2世代のデンドリマーでは、hは、約60まで、より好ましくは3〜30とすることができる。一般に、第3世代のデンドリマーでは、hは、約100まで、より好ましくは3〜60とすることができる。一般に、第4世代のデンドリマーでは、hは、約150まで、より好ましくはから3〜100とすることができる。世代が第4世代を超えて増加するにつれて、表面基の数は大きく増加する。
【0068】
本発明は、式(VI)
CORE−[B−([X−[X−[X−[X−[X−[S])] (VI)
[式中、
− a、b、c、d、e、f、B、X、X、X、X、X及びCOREは、式(III)に関連して上記で定義された通りであり、
− 各Sは、同じか異なり、表面基を表し、
− hは1〜200の整数である]
のデンドリマーを更に提供する。
【0069】
好ましいS基及びhの好ましい値は、式(V)に関連して前に定義されたものと同じである。この実施形態の他の好ましい特徴は、例えばXからX及びaからeの値は、前に論じた式(III)に対するものと同じである。
【0070】
好ましくは、cが0の場合、hは、1〜30、より好ましくは3〜20である。好ましくは、cは0ではないが、dが0の場合、hは、1〜60、より好ましくは3〜30である。好ましくは、c及びdは0ではないが、eが0の場合、hは、1〜100、より好ましくは3〜60である。好ましくは、c、d及びeは0ではないが、fが0の場合、hは、1〜150、より好ましくは3〜100である。好ましくは、c、d、e又はfのいずれも0ではない場合、hは1〜200である。
【0071】
核:
この核(式中COREで表される)は、金属イオン又は金属イオンを含む基であり、或いは非ポリマー性有機基である。この核の性質は本発明に対して重大な意味は持たず、いくつかのデンドロンが結合することが可能な基として単純に選択することができる。
【0072】
この核が非ポリマー性有機基である場合、これは発光性(例えば共役基)又は非発光性であってもよい。発光性発色団中に取り込むことが可能な核の例には、アリール及びヘテロアリール基、例えば、フルオレン、ナフタレン並びにポルフィリン及びペリレン環が含まれる。本明細書では、「非ポリマー性」とは、この核はポリマー性基ではないが、二量体、三量体又はオリゴマーの形であってもよく、或いは大環状式であってもよいことを意味する。この核がいくつかの単位からなるオリゴマーの形をしている場合、好ましくは4つ又はより少ない単位を含む。適切な単位は、単一アリール又はヘテロアリール基(例えば単一フルオレン単位)である。これが二量体、三量体又はオリゴマーの場合、同じか異なり、一緒に結合しており、任意選択的に置換されている、2つ以上のこのようなアリール又はヘテロアリール基を含み得る。例えば、適切な核には、ジフルオレン、トリフルオレン及びビフェニル基、並びにフェニル及びチオフェニルなどの単一アリール及び/又はヘテロアリール基のその他の組合せが含まれる。非発光性の核の例には、テトラフェニルメタンなどのアリールで置換されているアルキル基が含まれる。これは適切な基の一例にすぎないが、膨大な数の類似の基が、これらはいくつかのデンドロンに結合して、本発明によるデンドリマーを形成することが可能であるという条件で、核として機能を果たすことができることが理解されよう。
【0073】
この核が金属イオン又は金属イオンを含む基である場合、典型的には金属カチオン及び結合するリガンドを含む、即ち、このリガンドは核それ自体の一部を形成する。この金属は、典型的にはこの核の中心の近傍にあり、この核は典型的には発光性である。たとえ核が発光性でなくとも、1つ又は複数のデンドロンは発光性基を含むべきである。金属イオン発色団を分子の中心に位置させることが好ましい。なぜなら、この結果、隣接する分子の核発色団から相対的に単離され、これは起こり得る濃度消光又は三重項−三重項消滅を最小限に抑えるからである。この金属に配位/結合している原子又は基は、典型的には核それ自体の一部、例えばfac−トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)を形成する。一実施形態では、この核が金属イオン又は基の場合、好ましくはアルミニウム以外である。
【0074】
この金属に配位/結合する好ましいリガンドには、一、二及び三座リガンドが含まれ、二座リガンドが好ましい。炭素環(炭素供与体として作用する)及び複素環(ヘテロ原子供与体、好ましくは窒素供与体として作用する)を含む二座リガンドを特に挙げることができる。この炭素環は、アリール基、例えばフェニルから選択し得る。この複素環は、ヘテロアリール基、例えばピリジンから選択し得る。この炭素環及び複素環は、例えば、好ましいリガンド、2−フェニルピリジンで示されるように、好ましくは、単結合によって直接結合される。このデンドロンは、このような二座リガンドの炭素環又は複素環に結合され得る。更に、このデンドロンは、炭素環又は複素環の任意の位置に結合していてもよいが、6員環系では、炭素環又は複素環と金属の間の結合に対してメタ又はパラ位に結合していることが好ましい。
【0075】
好ましい実施形態では、このCOREは、式MW(式中、Mは金属カチオンを表し、wは、1以上の整数を表し、デンドロンが結合している各Wは、同じか異なり、一、二又は三座配位基を表し、zは、0又は1以上の整数を表し、各Yは、同じか異なり、配位基を表し、(b.w)+(c.z)の合計がMについての配位部位の数に等しく、ここで、bはW上の配位部位の数であり、cはY上の配位部位の数である)の基を表す。
【0076】
この実施形態では、好ましくは、この金属カチオンは、d−ブロック金属のカチオンである。より好ましくは、これは、イリジウム又はレニウム、より好ましくはイリジウムである。
【0077】
この配位基Yは、存在する場合、デンドロンに結合せず、この金属カチオンの配位必要条件を満たす役割を果たす、中性又は荷電したキレート化されたリガンドである。一実施形態では、中性の錯体が好ましい。好ましくは、1つのデンドリマー中に少なくとも2つのリガンドが存在し、この場合、この実施形態のwは2以上の整数である。好ましくは、1つのデンドリマー中に少なくとも2つのリガンドが存在し、この場合、wとzの和は2以上である。
【0078】
適切な金属には、
− ランタニド金属:例えば、セリウム、サマリウム、ユウロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ツリウム、エルビウム及びネオジム、
− dブロック金属、特に2行及び3行目にあるもの、即ち、元素39〜48及び72〜80、例えば、イリジウム、白金、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、スカンジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び銅、並びに
− 周期律表の典型金属、例えば、第IA、IIA、IIB、IIIB族金属、例えばリチウム、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム及びインジウム
が含まれる。
【0079】
適切な置換基Yには、特にレニウムに対しては、CO及びハロゲン、例えば塩素が含まれる。イリジウムデンドリマーに対しては、金属に結合するリガンドの一部は、好ましくは、(ヘテロ)アリール(但し、アリールは縮合環系、例えば、置換又は非置換のフェニル又はベンゾチオフェンとすることができる)に結合する窒素含有ヘテロアリール、例えばピリジンである。このピリジンは置換されていてもよいことにも留意されたい。白金デンドリマー及び特に、そのメソ位に結合しているスチルベンベースのデンドロンを持つポルフィリン核を有する白金デンドリマーは、一般により好ましくない。
【0080】
この発光は、金属及び配位基の選択に応じて、蛍光性又は燐光性のどちらかであり得ることは理解されよう。
【0081】
f−ブロック金属に対する適切な配位基には、酸素又は窒素供与体系、例えば、カルボン酸、1,3−ジケトネート、ヒドロキシカルボン酸、シッフ塩基を含むアシルフェノール及びイミノアシル基が含まれる。既知のように、発光性ランタニド金属錯体は、金属イオンの第1励起状態より高い三重項励起エネルギーレベルを有する活性化基(複数可)を必要とする。発光は、この金属のf−f遷移からであり、それゆえ発光色は、この金属の選択によって決定される。この鋭い発光は一般に狭く、表示用途に有用な純粋な色の発光となる。三重項励起子、即ち燐光を得るその能力のために、潜在的なデバイス効率は、蛍光系より高い可能性がある。
【0082】
典型金属錯体は、リガンドに基づく発光、又は電荷移動発光を示す。この発光色は、リガンド並びに金属の選択によって決定される。広範な発光性低分子量金属錯体が知られており、有機発光デバイス中で実証されている[例えば、Macromol.Sym.125(1997)1〜48、米国特許第5150006号、米国特許第6083634号及び米国特許第5432014号参照]。二又は三価の金属に対する適切なリガンドには、オキシノイド、例えば、酸素−窒素又は酸素−酸素電子供与性原子、一般に、置換基酸素原子を有する環窒素原子、又は置換基酸素原子を有する置換基窒素原子又は酸素原子、例えば、8−ヒドロキシキノレート及びヒドロキシキサリノール、10−ヒドロキシベンゾ(h)キノリナト、ベンズアゾール、シッフ塩基、アゾインドール、クロモン誘導体、3−ヒドロキシフラボン、及びカルボン酸、例えば、サリシラト、アミノカルボオキシレート及びエステルカルボオキシレートが含まれる。この置換基は、典型的には、その発光色を修正し得る、この(ヘテロ)芳香環上のハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、アミノ、アミド、スルホニル、カルボニル、アリール又はヘテロアリールである。
【0083】
このd−ブロック金属は、炭素及び/又は窒素供与体、例えば、ポルフィリン、2−フェニル−ピリジン、2−チエニルピリジン、ベンゾ(h)キノリン、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、5−フェニルトリアゾール又は2−ピリジルチアナフテン及びイミノベンゼンと有機金属錯体を形成する。この(ヘテロ)芳香環は、例えば上記のR及びX基について置換されていてもよい。d−ブロック錯体の発光は、リガンドに基づくか、又は電荷移動に起因することができる。重いd−ブロック元素では、強いスピン軌道結合は、急速な項間交差及び三重項状態からの発光を可能にする。
【0084】
ルミネセンス:
上記の本発明のデンドリマーは、好ましくは、固体状態で発光性である。このルミネセンスは、このCORE及び/又はデンドロンに起因する。有機金属COREを使用する、例えば重いd−ブロック金属を用いた核使用の場合、このデンドリマーは燐光性の可能性が高い。他の金属又は金属を含む基、例えばAlQの使用、或いはジスチリルベンゼンなどの有機核の使用は、蛍光デンドリマーになる可能性が高い。このデンドリマーは、固体状態で燐光性であることが好ましい。その理由は、蛍光のエレクトロルミネセンスデバイスでは、非発光性三重項状態の多数の励起子が形成して、発光効率を低下させるからである。したがって、三重項励起子を得ることができる燐光性エミッタに基づくデバイスは、蛍光性エミッタに基づくデバイスより高い効率の可能性を有する。
【0085】
このデンドリマーは、2つ以上の発光性部分を有してもよい。ある場合には、このデンドリマーは、相互に共役していても、いなくてもよい、少なくとも2つの本質的に発光性の部分を取り込んでおり、このデンドロンは、少なくとも1つの前記発光性の部分を含んでいる。好ましくは、このデンドリマーの核からより遠い発光性部分(単数又は複数)は、このデンドリマーの核により近いか、或いは部分的に又は全体的に核の内部の発光性部分(単数又は複数)より大きなHOMO−LUMOエネルギーギャップを有する。他の実施形態では、このHOMO−LUMOエネルギーギャップは実質的に同じであるが、この表面基が、このデンドロンの表面で発色団のHOMO−LUMOエネルギーギャップを変えてもよい。例えば第2世代のデンドリマーにおいて、この表面基が、このデンドロンの末端の発色団を、中の隣の発色団のものに比較してより低いHOMO−LUMOエネルギーにすることもある。
【0086】
この部分の相対HOMO−LUMOエネルギーギャップは、UV−可視光分光光度計を使用して、それ自体既知の方法で測定することができる。この発光性部分の1つは、その核自体であっても、又は部分的に又は全体的に核の中にあってもよく、したがって、これは好ましくは、このデンドロン中の発光性部分(単数又は複数)より、小さな固有のHOMO−LUMOギャップエネルギーを有する。或いは、又は更に、このデンドロンそれ自体がそれぞれ、2つ以上の発光性部分を含むことができ、この場合、核から遠いものは再び、好ましくは、核により近いものよりより大きな固有のHOMO−LUMOギャップエネルギーを有する。この場合、核それ自体は、発光性である必要はないが、発光性の核が一般に好ましい。
【0087】
適切な場合には、この発色団に電子吸引性基、例えば、強い電子吸引性であり、本発明者らが関心を持つスペクトル領域で光学的に透明なシアノ及びスルホンを加えることによって、このデンドリマーの電子親和力を制御することが可能である。これの更なる詳細及びデンドリマーの他の改変は、WO−A−99/21935(これを参照するものである)に見ることができる。
【0088】
方法:
デンドリマーの特性は、これらを溶液処理に対して理想的にする。このデンドリマーを溶媒に溶解し、この溶液を基板上に堆積し、溶媒を除去して、固体被膜を残すことができる。従来の溶液処理技術、例えば、スピンコーティング、印刷(例えばインクジェット印刷)及びディップコーティングを使用することができる。この有機金属デンドリマーを含む固体被膜は、蛍光性又は燐光性とすることができる。この固体被膜は、好ましくは基板の一面上に形成され、この固体被膜の厚さは、好ましくは2ミクロン未満である。
【0089】
このデンドリマーは、収束的又は発散的経路で創り出すことができるが、収束的経路が好ましい。特に有機金属デンドリマー関しては、このデンドロンを適当なリガンドに結合させ、続いて、これらを金属カチオンに結合させて、樹枝状金属錯体を形成する。続いて、他の非樹枝状リガンドを前記錯体に任意選択的に結合させてもよい。或いは、適切な反応性官能基を有するリガンドをこの金属イオンに錯化させ、次いで、適切に官能化したデンドロンと反応させてもよい。この後者の方法では、すべてのリガンドが反応性官能基を有するべきであるとは限らず、したがって、この方法は、この金属に錯化されている、一部の、しかしすべてとは限らないリガンドにデンドロンの結合を可能にする。
【0090】
本発明の多分岐第1世代有機金属デンドリマーの収束的合成の実例に関する方策を、図1及び2に示す。例えば図1をとると、モノリチウム化した1,4−ジヨードベンゼンと2−フルオロピリジンの反応によって、2−(4−ヨードフェニル)ピリジン(1)を、40%の収率で調製した。次いで、Sonogashira条件下で、トリメチルシリルアセチレンを(1)とカップリングさせて、2−(4−トリメチルシリルエチニルフェニル)ピリジン(2)を89%の収率で得た。このアセチレンを、テトラヒドロフラン中のフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムで又はメタノール/ジクロロメタン混合物中の水酸化カリウム水溶液で処理することによって容易に脱保護した。両方法は、2−(4−アセチレニルフェニル)ピリジン(3)を80%の単離収率で生じさせた。次いで、3と2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエノン(4)の反応によって、樹枝状化リガンド(5)が形成された。溶媒としてジフェニルエーテルを用いて、この反応を220℃で2〜3時間加熱した後、(5)が93%の収率で単離された。fac−トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)の核を有するデンドリマーを形成するための(5)の錯化には、標準的な2ステップの手順を使用した。第1ステップでは、2.5当量の(5)を還流加熱した水性2−エトキシエタノール中の三塩化イリジウム三水和物と反応させて、ビス−イリジウムビス−クロロ二量体と未反応リガンドの混合物を得た。次いで、ジグリム中のトリフルオロメチルスルホン酸銀の存在下で、この混合物を過剰の(5)と130℃で反応させて、精製後、所望のデンドリマー(6)を2ステップに対して63%の収率で生じさせた。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、このデンドリマーは単分散であることが示され、このデンドリマーの表面的な性質が、H NMRによって、fac−トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)核を持つ他のデンドリマーに関して報告されたスペクトルとの比較により確認された。
【0091】
上記の方法の好ましい実施形態では、ステップ(b)でこの配位基とこの金属カチオンの間で形成されるこの錯体は、上記で定義されたように式MXで表される。
【0092】
図1及び2は、本発明によるデンドリマーを調製する例示的な方法を示す。しかし、これらは、本発明に該当する他のデンドリマーを調製するために、容易に改変することができる。当業者であれば、例えば、異なる表面基又は異なる連結基を有するデンドリマーを作製するのに適した出発材料を容易に調製することが可能であろう。以下の例3及び4に示すように、反応物を単に変えるだけで、核の異なる点に結合されるデンドリマーとなり、又はこのデンドリマーの末端に異なる表面基が存在することができる。特にこの表面基に関して図2Aを参照すると、この方法の第1ステップ(化合物(7)の生成)の適当な変更を介して、本発明のデンドリマー中に異なる表面基を導入することができる。反応物の適切な選択によって、フルオレニル基に異なる置換基を導入することができることが理解されよう。例えば、n−PrBrの代わりn−BuBrを使用すると、プロピル置換基ではなくブチル置換基が導入されることになる。このスキームに記載の方法の類似の変更によって、他の表面基を導入することができる。
【0093】
より高い世代であり、これらの高い世代中に多分岐基を有するデンドロンを含む本発明のデンドリマーの場合、その後の方策が必要である。多分岐とは、この分岐基が、前の世代(前の世代の分岐基に直接又は連結基を介して)に結合されていると共に、3つ以上、好ましくは4つ以上、最も好ましくは4つの他の基に結合されていることを意味する。これらの他の基は、連結基、分岐基及び/又はこの樹枝状分子構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール基とすることができる。このようなデンドリマーでは、まず、錯化されていないリガンド(有機金属錯体の場合)又はこのデンドリマーそれ自体を活性化することが必要である。これは、リガンド又はデンドリマーの臭素化によって達成することができる。次いで、この反応の生成物をアセチレンと反応させ、続いて、シクロペンタジエノンと半収束的、半発散的方策で反応が行われる。
【0094】
より高い世代であるが、これらのより高い世代中により低い分岐基を有するデンドロンを含む本発明のデンドリマーの場合、他の方策が使用される。図2Aに示す、(8)と、同じ化合物との反応と同様に、第1世代のデンドロンを、まずボロン酸と反応させ、続いて2,5−ジフェニル−3,4−ビス(4’−ブロモフェニル)シクロペンタジエノンと反応させる。次いで、図2Bに示す、(10)と(3)の反応と類似の方法で、この反応の生成物をディールス−アルダー反応を介して反応させて、樹枝状化リガンドを生成し、これを最終的に金属に錯化させて、収束的方策で本発明のデンドリマーを形成する。
【0095】
デバイス:
本発明のデンドリマーは、多くの半導体デバイスに使用し得る。このデンドリマーは、半導体デバイス中に層の形で又は層の一部として存在することができる。例示的なデバイスには、発光デバイス、フォトダイオード、太陽電池、電界効果トランジスタ及びソリッドステート三極管が含まれる。好ましくは、本発明のデンドリマーが組み込まれているデバイスは、発光デバイス(LED)、特に、エレクトロルミネセンスデバイスとしても知られている有機発光ダイオードである。
【0096】
本発明のデンドリマーは、多くの半導体デバイスに使用し得る。このデンドリマーは、半導体デバイス中に層の形で又は層の一部として存在することができる。例示的なデバイスには、発光デバイス、フォトダイオード、太陽電池、電界効果トランジスタ及びソリッドステート三極管が含まれる。好ましくは、本発明のデンドリマーが組み込まれているデバイスは、発光デバイス(LED)、特に、エレクトロルミネセンスデバイスとしても知られている有機発光ダイオードである。
【0097】
本発明のデンドリマーが発光デバイスに使用される場合、このデンドリマーは、発光層中に存在することが好ましい。このデンドリマーは、前記デンドリマーの実質的にニート被膜として、又はブレンドの形でこのような層中に存在し得る。以下の考察において、範囲はこのデンドリマーの重量パーセントで示されるが、前記デンドリマーのモル数も変化することが理解されよう。特に、より高い世代のデンドリマーでは、特定のモル数を提供するためにはより高い重量パーセントが必要となる。燐光性有機金属デンドリマーの場合、本発明のデバイス中に最適な重量パーセントの金属が得られることが重要である。一定の金属の量を提供するために必要なこのようなデンドリマーの重量パーセントは、その世代及び、最終的には、その総分子量に明らかに依存する。
【0098】
この発光層中に存在することができるデンドリマーの量は、かなり変化してもよい。例えば、このデンドリマーは、約5〜約100重量%の量で存在することができる。
【0099】
一実施形態では、この発光層は、均一な層の形の本発明のデンドリマーから本質的になってよい。少量の他の物質、例えば、不純物又はこのデンドリマーの被膜形成性を改良する添加剤が、このような層中に存在してもよい。しかし、この実施形態では、これらの他の物質は、好ましくは少量、例えば、約5重量%未満、より好ましくは約3重量%未満、例えば約1重量%未満で存在する。
【0100】
他の実施形態では、このデンドリマーは、他の材料とブレンドされ、より低い水準、例えば、10〜約80重量%、より好ましくは10〜約50重量%、例えば約20重量%の水準で存在する。このようなブレンド中のこのデンドリマーは、固体の状態で燐光性であり得る。
【0101】
このブレンド中に存在する他の材料は、1種又は複数の他のデンドリマー及び/又はポリマー及び/又は分子材料を含み得る。例えば、このデンドリマーを電荷輸送材料と混合することが有利であることが判明している。特に、正孔輸送及び/又はバイポーラ材料及び/又は電子輸送材料の存在は有利であることが判明している。他の実施形態では、このバイポーラ材料は、カルバゾール単位を含むべきである。好ましくは、この他の材料は、低分子材料であるが、4,4−ジ(N−カルバゾール)ビフェニル(CBP)などの分子が好ましい。他の実施形態は、電荷輸送材料のそれぞれのタイプの1種又は複数を有する。
【0102】
他の実施形態では、この発光層は、本発明によるデンドリマーのブレンドを含む。例えば、この発光層は、COREが金属イオン又は金属イオンを含む基である本発明の第1デンドリマー、及びCOREが非ポリマー性有機基である、本発明の第2デンドリマーのブレンドを含み、第1デンドリマー及び第2デンドリマーのデンドロンが同一樹枝状構造を有してもよい。好ましくは、第1及び第2デンドリマーは、このCOREの周囲のデンドロンの数及び性質という点からは同じ構造を有するが、第1デンドリマーに対するCOREは金属又は有機金属であり、第2デンドリマーに対するCOREは非金属である。好ましくは、第1デンドリマーは、固体の状態で燐光性であり、第2デンドリマーは、固体の状態で蛍光性である。
【0103】
一般に、本発明のデンドリマーの世代が高いほど及び/又はこのデンドリマー中に存在するデンドロンの数が多いほど、このCOREは、分子間相互作用からより強く遮蔽されるであろう。この結果、このデンドリマーは、そのPLQYを低下させることなく、この発光層中に高水準で使用することができる。逆に、本発明のデンドリマーの世代が低いほど及び/又はこのデンドリマー中に存在するデンドロンの数が少ないほど、このCOREはより強く分子間相互作用を受ける。この結果、このデンドリマーは、消光を防止するために低水準で使用する必要があろう。好ましくは、50重量%以上の水準で使用されるデンドリマーでは、これは、4個以上のデンドロンを有し、且つ/又は第3世代以上であるべきである。より低い世代(即ち、第1又は第2世代)のデンドリマー及び/又は3個以下のデンドロンは、好ましくは、50重量%未満の水準で使用されるであろう。
【0104】
本発明のデバイスは、当技術分野で慣例的な任意の追加の構成要素を含んでもよい。例えば、このデバイスは、少なくとも1つの電荷輸送層及び/又は注入層を更に含んでもよい。
【0105】
このデバイスは、従来のプロセスによって製造し得る。例えば、このデンドリマーを含む層は、溶液処理によって堆積し得る。デンドリマー層を堆積させるために、従来の溶液処理の技術、例えば、スピンコーティング、印刷、及びディップコーティングを使用することができる。典型的なデバイスでは、このデンドリマーを含む溶液を透明な電極層上に適用し、溶媒を蒸発させ、次いで、次の層を適用する。このデンドリマーを含む被膜の厚さは、典型的には10nm〜1000nm、好ましくは200nm未満、より好ましくは30〜120nmである。
【0106】
他の実施形態では、このデンドリマーを電荷輸送材料と混合することが有利であることが判明している。特に、正孔輸送材料及び/又はバイポーラ材料及び/又は電子輸送材料の存在が有利であることが判明している。他の実施形態では、このバイポーラ材料は、カルバゾール単位を含むべきである。他の実施形態は、1種又は複数のそれぞれのタイプの電荷輸送材料を有する。
【0107】
本発明のデンドリマーは、LED中に従来の方法で組み込むことができる。その最も単純な形態では、有機発光性又はエレクトロルミネセンスデバイスは、2つの電極の間に挟まれた発光層から形成されることができ、その少なくとも1つは放射光に対して透明でなければならない。このようなデバイスは、透明基板層、透明電極層、発光層及び背面電極を含む通常の配置を有していてもよい。このために標準的な材料を使用してもよい。したがって、典型的には、この透明基板層は、典型的にはガラスから作られるが、PETなどの透明材料を使用してもよい。
【0108】
通常透明であるこの陽極は、好ましくは酸化インジウムスズ(ITO)から作られるが、酸化インジウム/酸化スズ、酸化スズ/アンチモン、酸化亜鉛/アルミニウム、金及び白金を含む他の類似の材料を使用してもよい。PANI(ポリアニリン)又はPEDOTなどの導電性ポリマーを使用してもよい。
【0109】
この陰極は通常、低仕事関数の金属又は合金、例えば、Al、Ca、Mg、Li、又はMgAlで、或いは任意選択的に追加のLiF層と共に作られる。既知のように、正孔輸送材料及び/又は電子輸送材料を含む、他の層が存在してもよい。このデンドリマーが燐光発光体の場合、発光性デンドリマー層と陰極の間に正孔ブロッキング/電子輸送層を有することが特に有利であることが判明している。代替の構成では、この基板は、シリコンなどの不透明材料であってもよく、この光は対向する電極を通して放出される。この発光層と陽極の間にある層を含んでもよい。
【0110】
以下の例で本発明を説明する。
【実施例】
【0111】
この化合物の構造は、標準的な分光法(N,Cumpstey(博士号論文、オックスフォード大学、2006)に詳細に報告されている)によって確認した。
【0112】
調製例1:2−(4−ヨードフェニル)ピリジン(1)
アルゴン下の、1,4−ジヨードベンゼン(46.8g、142ミリモル)の無水エーテル(450mL)溶液を塩氷浴中で冷却した。n−ブチルリチウム(2.0Mペンタン溶液、72mL、142ミリモル)を添加し、この溶液を10分間攪拌した。2−フルオロピリジン(13mL、150ミリモル)を添加し、この反応を2時間にわたり室温に温めておいた。水(500mL)を加え、有機層を分離した。水層をエーテル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(1000mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、ろ過し、溶媒を完全に除去した。この残渣を2ステップで:まず、ジクロロメタン/軽油混合物(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって、続いてジクロロメタン/軽油混合物から主要分画の再結晶化によって精製して、(1)(17.0g、40%)を得た。
【0113】
調製例2:2−(4−トリメチルシリルエチニルフェニル)ピリジン(2)
アルゴンで脱酸素化しておいた、(1)(4.06g、14.4ミリモル)及びヨウ化銅(I)(274mg、1.44ミリモル)のトリエチルアミン(120mL)懸濁液に、トリメチルシリルアセチレン(4.1mL、28.8ミリモル)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(832mg、0.72ミリモル)を添加した。この混合物をアルゴンで脱酸素化し、次いで、アルゴン下室温で40時間攪拌した。塩酸水溶液(3M、320mL)及びジクロロメタン(250mL)を添加した。この有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩酸水溶液(3M、30mL)、水(250mL)、ブライン(250mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、ろ過し、次いで溶媒を完全に除去した。この残渣を溶離液としてジクロロメタン/軽油混合物(1:4)用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製した。この主要バンドを単離し、溶媒を完全に除去して、(2)(2.59g、72%)を得た。
【0114】
調製例3:2−(4−エチニルフェニル)ピリジン(3)
(2)(2.26g、8.97ミリモル)及びフッ化テトラブチルアンモニウム(1Mテトラヒドロフラン溶液、36mL、36ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液を、室温でアルゴン下3時間攪拌した。ジクロロメタン(100mL)及び水(150mL)を添加した。この有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、ろ過し、溶媒を完全に除去した。この残渣を溶離液としてジクロロメタンを用いてシリカプラグを通過させることによって精製して、(3)(1.44g、90%)を得た。
【0115】
調製例4:2−[4−(2,3,4,5−テトラフェニルフェニル)フェニル]ピリジン(5)
2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエノン(4)(Morgenrothら、Tetrahedron 1997、53、15349)(1.14g、2.96ミリモル)及び(3)(354mg、1.98ミリモル)のジフェニルエーテル(3mL)溶液を脱酸素化し、アルゴン下3時間210℃に加熱した。この反応混合物を溶離液としてジクロロメタン/軽油混合物(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、(5)(988mg、93%)を得た。
【0116】
(例1)
Fac−トリス[2−{4−[(2,3,4,5−テトラフェニル)フェニル]フェニル}−ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)(6)
(5)(1.00g、1.87ミリモル)、三塩化イリジウム三水和物(263mg、0.747ミリモル)、水(8mL)及び2−エトキシエタノール(25mL)の混合物を脱酸素化し、次いで、攪拌しながらアルゴン下16時間還流加熱した。この反応混合物をろ過し、この残渣を水(3×50mL)で洗浄した。残渣を収集し、ジクロロメタン(200mL)に溶解し、水(3×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、ろ過し、次いで溶媒を完全に除去すると、ビス−イリジウムビス−クロロ二量体と未反応の(5)の混合物を含む黄色い固体(1.19g)が残った。ジグリム(4mL)中の、この混合物、(5)(1.32g、2.46ミリモル)及びトリフルオロメチルスルホン酸銀(190mg、0.74ミリモル)を、アルゴン下2日間130℃に加熱した。ジグリムを除去し、この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン/軽油混合物(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製した。この主要バンドを収集し、溶媒を完全に除去して、明るい黄色の固体(1.05g)を得た。ジクロロメタン/メタノール混合物からの再結晶化により、(6)(841mg、63%)を得た。
【0117】
調製例5:9,9−ジ−n−プロピル−2−ブロモフルオレン(7)
2−ブロモフルオレン(52.8g、215ミリモル)及び臭化テトラブチルアンモニウム(3.47g、10.8ミリモル)のトルエン(500mL)溶液に、50%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を添加し、50℃に加熱した。90分後、1−ブロモプロパン(60mL、650ミリモル)を添加し、この溶液を50℃で16時間攪拌した。有機層を分離し、水(2×500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥し、この溶媒を除去した。ジクロロメタン/メタノール混合物から再結晶化して、(7)(51.5g、73%)を得た。
【0118】
調製例6:9,9−ジ−n−プロピルフルオレニル−2−ボロン酸(8)
ドライアイス/アセトン浴で冷却しておいた、(7)(44.4g、135ミリモル)のテトラヒドロフラン(600mL)溶液に、tert−ブチルリチウム(87mL、1Mペンタン溶液、150ミリモル)を添加した。1時間後、ホウ酸トリメチル(77mL、680ミリモル)を添加し、この溶液を室温まで徐々に温めながら16時間攪拌した。塩酸水溶液(3M、80mL)を添加し、この溶液を2時間攪拌した。この層を分離し、水層をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(500mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥し、溶媒を除去した。シリカプラグによって(溶離液として軽油次いでジエチルエーテルを用いて)精製して、(8)(24.3g、61%)を得た。
【0119】
調製例7:2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−ブロモフェニル)シクロペンタジエノン(9)
温めた(75℃)、ジフェニルアセトン(12.0g、57ミリモル)及び4、4’−ブロモベンジル(21.0g、57ミリモル)のエタノール(130mL)溶液に、水酸化カリウム(1.60g、29ミリモル)のエタノール(30mL)溶液を添加した。得られた暗褐色溶液をメタノール中に注ぎ、暗色沈殿をろ過して、(9)(26.0g、84%)を得た。
【0120】
調製例8:2,5−ジフェニル−3,4−ジ{4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル}シクロペンタジエノン(10)
アルゴンで脱酸素化しておいた、(9)(13.8g、26ミリモル)及び(8)(22.6g、77ミリモル)のエタノール(100mL)、2M炭酸ナトリウム水溶液(100mL)及びトルエン(300mL)の混合物溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(1.48g、1.3ミリモル)を添加した。この溶液を脱酸素化し、16時間還流加熱し、次いでメタノール中に注いだ。得られた褐色の沈殿をろ過し、クロロホルムに溶解し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。この溶液をメタノール中に注ぎ、褐色の沈殿をろ過して、(10)(22.4g、99%)を得た。
【0121】
調製例9:2−{4−[2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−{9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル}フェニル)フェニル]フェニル}ピリジン(11)
(10)(1.48g、1.67ミリモル)及び(3)(200mg、1.12ミリモル)のジフェニルエーテル(3mL)溶液を脱酸素化し、アルゴン下で3時間210℃に加熱した。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製した。この主要バンドを単離し、溶媒を完全に除去して、(11)(1.09g、95%)を得た。
【0122】
(例2)
Fac−トリス(2−{4−[2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)(12)
(11)(1.50g、1.45ミリモル)、三塩化イリジウム三水和物(205mg、0.58ミリモル)、水(10mL)及び2−エトキシエタノール(30mL)の混合物を脱酸素化し、次いで攪拌し、アルゴン下で16時間還流加熱した。この黄色の沈殿をろ過し、水で洗浄し、乾燥すると、ビス−イリジウムビス−クロロ二量体及び未反応リガンド(11)の混合物を含む黄色の固体(1.48g)が残った。ジグリム(20mL)中の、この混合物、(11)(3.18g、3.0ミリモル)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(149mg、0.58ミリモル)を3日間130℃に加熱した。ジグリムを除去し、この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製した。この主要バンドを単離し、溶媒を完全に除去して、(12)(620mg、32%)を得た。
【0123】
(例3)
Fac−トリス[2−{5−[2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)
2−(4−エチニルフェニル)ピリジン(調製例9)の代わりに2−(3−エチニルフェニル)ピリジン(調製例17)に置き換えた以外は、例2の通りの合成。
【0124】
(例4)
Fac−トリス[2−{5−[2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−[2−エチルヘキシルオキシフェニル]フェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)
【化2】


調製例8における9,9−ジ−n−プロピルフルオレニル−2−ボロン酸(8)の代わりに4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルボロン酸に置き換えた以外は、例3の通りの合成。
【0125】
(例5)
Fac−トリス[2−{5−[(2,3,4,5−テトラフェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N、C2’]イリジウム(III)
【化3】


調製例1における1,4−ジヨードベンゼンの代わりに1,3−ジヨードベンゼンに置き換えた以外は、例1の通りの合成。
【0126】
(例6)
Fac−トリス{2−フェニル−5−[2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)
【化4】


例6のデンドリマーは、例6では、このデンドロンが、フェニルピリジン部分のフェニル環にではなくピリジル環に結合していること以外は、例2の調製に示された手順に類似のものによって調製した。
【0127】
スキーム1:
【化5】


この合成をより詳細に説明すると、フェニルボロン酸と2,5−ジブロモピリジンの間のスズキ反応は、2−フェニル−5−ブロモピリジンを86%の収率で生じさせた(上記スキーム1参照)。この反応は、隣接する窒素によって活性化される、ピリジン環の2位で優先的に起こった。Sonogashira条件下、2−フェニル−5−ブロモピリジンとトリメチルシリルアセチレンの反応は、2−フェニル−5−(トリメチルシリルエチニル)ピリジン(2)を88%の収率で生じさせ、これは水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムを用いて93%の収率で、2−フェニル−5−エチニルピリジン(3)に脱保護することが可能であった。(3)とジフルオレニルシクロペンタジエノン(10)の間のディールス−アルダー反応は、ジクロロメタン溶液からの、この溶液をエタノール中に注ぐことによる、リガンドの沈殿による精製後、48%の収率で樹枝状化リガンドを生じさせた。この錯体は、ビス(クロロ)−ビス(イリジウム)二量体を経て、2ステップの手順によって50%の収率で形成された。この収率は、フェニル環についてのみ樹枝状化されるリガンドの錯化から得られるものより低くなく、ピリジン環上にかさ高なデンドロンが存在しても、錯化を抑制しないことを示している。
【0128】
調製例10:1,3−ジ(4−ブロモフェニル)アセトン(13)
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(26.85g、130ミリモル)及び4−ジメチルアミノピリジン(3.60g、30ミリモル)のジクロロメタン(150cm)溶液に、4−ブロモフェニル酢酸(25.44g、118ミリモル)のジクロロメタン(200cm)溶液を1時間にわたり添加し、この反応を室温で20時間攪拌した。この白色の沈殿をろ過し、ジクロロメタンで洗浄した。このろ液から溶媒を除去して、橙色の固体を得た。この粗生成物を溶離液としてクロロホルム:軽油(3:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いでエタノールから再結晶化して、白色の結晶性固体として(13)(10.23g、47%)を得た。
【0129】
調製例11:2,3,4,5−テトラ(4−ブロモフェニル)シクロペンタジエノン(14)
70℃の、(13)(3.01g、8.2ミリモル)及び4、4’−ブロモベンジル(3.01g、8.2ミリモル)のエタノール(45cm)溶液に、水酸化カリウム(230mg、4.1ミリモル)のエタノール(5cm)溶液を添加し、この反応を70℃で4時間攪拌した。水(200cm)及びジクロロメタン(200cm)を添加し、この層を分離させた。有機層をブライン(200cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を除去すると、暗紫色の固体が残った。この粗生成物をシリカのプラグを通し、次いでジクロロメタン/エタノール混合物から再結晶させて、暗紫色の結晶性固体として(14)(3.87g、68%)を得た。
【0130】
調製例12:2−(3−ヨードフェニル)ピリジン(15)
l,3−ジヨードベンゼン(5.19g、16ミリモル)のエーテル(50cm)溶液に、n−ブチルリチウム(2.0Mシクロヘキサン溶液、8cm)を滴下し、塩氷浴中で冷却し、この溶液を10分間攪拌した。2−フルオロピリジン(1.4cm、16ミリモル)を添加し、ここで淡黄色の濁った溶液が暗褐色に変化し、この反応を1時間にわたり室温まで温めておいた。水(50cm)及びエーテル(20cm)を添加し、この層を分離させた。水層をエーテル(3×50cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(150cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を除去すると、褐色の油が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、橙色の油として(15)(1.04g、24%)を得た。
【0131】
調製例13:2−(3−(トリメチルシリルエチニル)フェニル)ピリジン(16)
(15)(128mg、0.46ミリモル)、ヨウ化銅(I)(9mg、50μモル)とトリエチルアミン(10cm)の混合物をアルゴンで脱酸素化した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(26mg、23μモル)を添加し、この混合物をアルゴンで再び脱酸素化した。トリメチルシリルアセチレン(0.15cm、1ミリモル)を添加し、この反応を室温で9時間攪拌した。水(50cm)、塩酸水溶液(3M、5cm)及びジクロロメタン(50cm)を添加し、この層を分離させた。有機層をブライン(50cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、黒色の固体が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油3:2を用いてカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡い褐色の油として(16)(110mg、96%)を得た。
【0132】
調製例14:2−(3−エチニルフェニル)ピリジン(17)
(16)(1.87g、7.4ミリモル)のテトラヒドロフラン(20cm)溶液に、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム(22cm、1Mメタノール溶液)を添加し、この溶液を室温で1時間攪拌した。ジクロロメタン(20cm)及び水(50cm)を添加し、この層を分離させた。この水層をジクロロメタン(3×10cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、橙色の油が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカプラグを通し、溶媒を完全に除去して、無色の油として(17)(1.31g、99%)を得た。
【0133】
調製例15:2−{3−[2,3,4,5−テトラ(4−ブロモフェニル)フェニル]フェニル}ピリジン(18)
(14)(1.19g、1.7ミリモル)及び(17)(253mg、1.4ミリモル)のジフェニルエーテル(20cm)溶液をアルゴンで脱酸素化し、3時間200℃に加熱した。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製した。この主要バンドを単離し、溶媒を完全に除去して、白色の固体として(18)(1.18g、99%)を得た。
【0134】
調製例16:2−{3−[2,3,4,5−テトラ(4−{9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル}フェニル)フェニル]フェニル}ピリジン(19)
トルエン(50cm)、エタノール(15cm)と炭酸ナトリウム水溶液(2M、15cm)の混合物中の(18)(905mg、1.1ミリモル)及び(8)(2.50g、8.5ミリモル)の溶液をアルゴンで脱酸素化した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(245mg、0.21ミリモル)を添加し、この混合物をアルゴンで再び脱酸素化し、次いで20時間還流加熱した。水(200cm)及びジクロロメタン(200cm)を添加し、この層を分離させた。水層をジクロロメタン(3×10cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(250cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、黒色の固体が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:2)を用いてカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡い黄色の固体として(19)(1.53g、94%)を得た。
【0135】
(例7)
Fac−トリス[2−{5−[2,3,4,5−テトラ(4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)(20)
【化6】


(19)(325mg、0.21ミリモル)、三塩化イリジウム(III)三水和物(30mg、85μモル)、水(1.5cm)と2−エトキシエタノール(4.5cm)の混合物をアルゴンで脱酸素化し、16時間還流加熱した。水(30cm)及びジクロロメタン(30cm)を添加し、この層を分離させた。この水層をジクロロメタン(3×5cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、黄色の固体が残った。この物質、更なる(19)(570mg、0.37ミリモル)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(22mg、85μモル)のジグリム(2cm)溶液をアルゴンで脱酸素化し、16時間150℃に加熱した。水(20cm)及びジクロロメタン(20cm)を添加し、この層を分離させた。水層をジクロロメタンで抽出した(3×5cm)。合わせた有機抽出物をブライン(50cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、褐色の固体が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:3)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、明るい黄色の固体として(20)(180mg、44%)を得た。
【0136】
(例8)
Fac−トリス[2−{4−[2,3,4,5−テトラ(4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)
【化7】


調製例15における2−(3−エチニルフェニル)ピリジン(17)に代えて2−(4−エチニルフェニル)ピリジン(3)に置き換えた以外は、例7の通りの合成。
【0137】
調製例17:1−ブロモ−3−(トリメチルシリル)ベンゼン(21)
ドライアイス/アセトン浴中で冷却した、1,3−ジブロモベンゼン(5.1cm、42ミリモル)のエーテル(200cm)溶液に、n−ブチルリチウム(38cm、1.6Mヘキサン溶液)を滴下し、この反応を1時間攪拌した。塩化トリメチルシリル(21cm、170ミリモル)のエーテル(20cm)溶液を添加し、この反応を徐々に室温まで温めながら20時間攪拌した。水(200cm)を添加し、この層を分離させた。水層をエーテル(3×50cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(300cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、無色の油が残った。この粗生成物を溶離液として30〜40軽油を用いてシリカのプラグを通して、無色の油として(21)(9.65g、99%)を得た。
【0138】
調製例18:3−(トリメチルシリル)フェニルボロン酸(22)
ドライアイス/アセトン浴中で冷却した、(21)(9.65g、42ミリモル)のエーテル(200cm)溶液に、t−ブチルリチウム(28cm、1.7Mペンタン溶液)を添加し、この反応を30分間攪拌した。ホウ酸トリメチル(20cm、170ミリモル)を添加し、この反応を徐々に室温まで温めながら16時間攪拌した。塩酸水溶液(3M、20cm)を添加し、この反応を更に2時間攪拌した。水(200cm)を添加し、この層を分離させた。水層をエーテル(3×30cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(300cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、白色の固体が残った。この粗生成物を溶離液として軽油次いでエーテルを用いてシリカのプラグを通した。このエーテルバンドを収集し、溶媒を除去すると、褐色の固体として(22)(7.04g、86%)が残った。
【0139】
調製例19:2,5−ジ(3−(トリメチルシリル)フェニル)ピリジン(23)
トルエン(120cm)、エタノール(40cm)と炭酸ナトリウム水溶液(2M、40cm)の混合物中の(22)(5.70g、29.4ミリモル)及び2,5−ジブロモピリジン(2.32g、9.8ミリモル)の溶液をアルゴンで脱酸素化した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(566mg、0.49ミリモル)を添加し、この溶液をアルゴンで再び脱酸素化し、次いで16時間還流加熱した。水(200cm)及びジクロロメタン(200cm)を添加し、この層を分離させた。水層をジクロロメタン(3×50cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(500cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、黒色の油が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として(23)(3.48g、94%)を得た。
【0140】
調製例20:2,5−ジ(3−ヨードフェニル)ピリジン(24)
一塩化ヨウ素(26cm、IMジクロロメタン溶液)を25cmのジクロロメタン(25cm)で希釈して、0℃の、(23)(1.97g、5.2ミリモル)のジクロロメタン(125cm)溶液に、滴下し、この溶液を0℃でアルゴン下2時間攪拌した。水(150cm)を加えた。チオ硫酸ナトリウムを、この溶液が紫色から無色に変化するまで添加した。この層を分離し、水層をジクロロメタン(3×10cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(200cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去した。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカのプラグを通して、白色の固体として(24)(2.20g、87%)を得た。
【0141】
調製例21:Fac−トリス{2−[5−トリメチルシリルエチニルフェニル]−5−[3−トリメチルシリルエチニルフェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)(25)
(24)(143mg、0.30ミリモル)、三塩化イリジウム三水和物(42mg、0.12ミリモル)、水(1.5cm)と2−エトキシエタノール(4.5cm)の混合物をアルゴンで脱酸素化し、次いで16時間還流加熱した。水(50cm)及びジクロロメタン(50cm)を添加し、この層を分離させた。水層をジクロロメタン(3×5cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を除去すると、褐色の固体が残った。これを溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカプラグを通して、橙色の固体を得た。この固体を、ジグリム(2cm)中の更なる(24)(223mg、0.46ミリモル)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(31mg、0.12ミリモル)と共に、アルゴン下16時間150℃に加熱した。水(50cm)及びジクロロメタン(50cm)を添加し、この層を分離させた。水層をジクロロメタン(3×5cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(60cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を除去すると、褐色の固体が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:1)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製した。橙色のバンドを単離し、溶媒を完全に除去して、fac−トリス{2−[5−ヨードフェニル]−5−[3−ヨードフェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)と、5及び4ヨウ素置換基を含む錯体との混合物を含む橙色の固体を得た。ヨウ素化錯体(111mg、68μモル)、ヨウ化銅(I)(8mg、40μモル)及びトリエチルアミン(4cm)の混合物を脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(23mg、20μモル)を添加し、この混合物を再び脱気した。トリメチルシリルアセチレン(0.3cm、2.1ミリモル)を添加し、この混合物をアルゴン下室温で16時間攪拌した。水(50cm)及びジクロロメタン(50cm)を添加し、この層を分離させた。水層をジクロロメタン(3×5cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を除去すると、褐色の固体が残った。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:3)を用いてシリカによるカラムクロマトグラフィーによって精製した。第1の黄色のバンドを単離し、溶媒を完全に除去すると、橙色の固体として(25)(82mg、47%)が残った。
【0142】
(例9)
Fac−トリス[2−{5−[2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル)フェニル]フェニル}−5−{3−(2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−[9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル]フェニル)フェニル)フェニル}ピリジナトN,C2’]イリジウム(III)(26)
【化8】


(25)(75mg、51μモル)のテトラヒドロフラン(10cm)溶液に、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(1.0cm、1Mテトラヒドロフラン溶液)を添加し、この反応を室温で3時間攪拌した。水(30cm)及びジクロロメタン(30cm)を添加し、この層を分離させた。水層をジクロロメタン(3×5cm)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50cm)で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥して溶媒を除去すると、橙色の固体(57mg)が残った。この物質及び(10)(450mg、0.51ミリモル)のジフェニルエーテル(3cm)溶液をアルゴンで脱酸素化し、2時間180℃に加熱した。この粗生成物を溶離液としてジクロロメタン:軽油(1:3)を用いてカラムクロマトグラフィーによって精製して、橙色の固体として(26)(123mg、39%)を得た。
【0143】
(例10)
Fac−トリス[2−{4−[2,5−ジフェニル−3,4−ジ(4−[2−エチルヘキシルオキシフェニル]フェニル)フェニル]フェニル}−ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)
【化9】


例4における2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエノン(4)を、4−(2−エチルヘキシルオキシフェニル)誘導体に置き換えた以外は、例1の通りの合成。
【0144】
(例11)
PLQY試験
例1から5及び7から9のデンドリマーに対する溶液光ルミネセンス量子収率(PLQY)を、0.546の光ルミネセンス量子収率を有する、0.5M硫酸中の硫酸キニーネを標準として用いて相対法によって測定した。このデンドリマーをトルエンに溶解し、凍結融解脱気した。このデンドリマー溶液を360nmで励起して、光ルミネセンススペクトルをJY Horiba Fluoromax 2 蛍光計で記録した。標準と試料の光学濃度は類似しており、且つ低かった(0.1以下)。
【0145】
ニート被膜をおよそl0mg/mLのデンドリマー濃度を有するクロロホルム溶液から、800〜1200rpmで1分間スピンコートして、約50〜60nmの厚さを生じさせた。ブレンド被膜を20mg/mLの総溶質濃度の溶液から、800r.p.m.で1分間スピンコートして、厚さほぼ150nmの被膜を生じさせた。この被膜のPLQYを、励起源としてヘリウムカドミウムレーザ(Kimmon社)を用いて、Greenhamnら、Chem.Phys.Lett.1995、241、89に従って積分球を用いて測定した。この励起強度は325nmで0.2ミリワットであり、この球を窒素でパージした。これらの測定の精度は、提示した値の±10%であると推定される。
【0146】
この試験の結果を以下の表1に示す。
【0147】
【表1】

【0148】
(例12)
デバイス試験
2層ブレンドデバイス(CBP中20:80重量%)を、前に記載の一般的なデバイスの説明に従って調製した。使用したデバイスの構造は、
ITO/デンドリマーブレンド/TPBI/LiF/Al
である。TPBIは、電子輸送/正孔ブロッキング材料、1,3,5−トリス(2−N−フェニルベンズイミダゾリル)ベンゼンである。100cd/mにおける結果を以下の表2に示す。
【0149】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明のデンドリマーを調製するためのスキームを示す図である。
【図2A】本発明のデンドリマーを調製するためのスキームを示す図である。
【図2B】本発明のデンドリマーを調製するためのスキームを示す図である。
【図3】本発明の例示的なデンドリマーを示す図であって、デンドリマーを記述するのに使用される値は、後で使用される例番号に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のデンドリマー
[DENDRON−CORE−[B−[X] (I)
[式中、
COREは、金属イオン又は金属イオンを含む基、或いは非ポリマー性有機基であり、
Bはフェニル環であり、
aは、1〜8の整数であり、
bは、3〜5の整数であり、
xは、0又は1〜7の整数であり、
各Xは、同じか異なり、アリール又はヘテロアリール環を表すか、或いは少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、前記分岐基は、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択され、前記連結基は、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記分岐基は3つ以上の基に結合されており、前記連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結しており、
DENDRONは、少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、前記分岐基は、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択され、前記連結基は、アリール、ヘテロアリール、アルキレンオキシ、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記分岐基は、3つ以上の基に結合されており、前記連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結しており、
デンドリマーは、1つ又は複数の表面基を更に含み、
但し、COREが非金属核の場合、Xは、少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造である]。
【請求項2】
xが、0又は1〜3の整数である、請求項1に記載のデンドリマー。
【請求項3】
xが0である、請求項2に記載のデンドリマー。
【請求項4】
式(II)を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載のデンドリマー
CORE−[B−[X] (II)
[式中、
COREは、金属イオン又は金属イオンを含む基、或いは非ポリマー性有機基であり、
Bはフェニル環であり、
aは、3〜8の整数であり、
bは、3〜5の整数であり、
各Xは、同じか異なり、アリール又はヘテロアリール環を表すか、或いは少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、前記分岐基は、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択され、前記連結基は、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記少なくとも1つの分岐基は、3つ以上の基に結合されており、前記少なくとも1つの連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結しており、
但し、COREが非金属核の場合、Xは、少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造であり、前記デンドリマーは、fac−トリス[2−{5−[(2,3,4,5−テトラフェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ではない]。
【請求項5】
表面基が、ヒドロキシ、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、アミン、C1〜15アルキルアミン、ジ(C1〜15)アルキルアミン、−COOR(式中、Rは、水素又はC1〜15アルキルである)、C1〜15アルコキシ、C2〜15アルケニルオキシ、C6〜10アリールオキシ、−OSR(式中、Rは、C1〜15アルキル又はC2〜15アルケニルである)、−SiR(但し、各Rは、同じか異なり、水素、C1〜15アルキル又はC2〜15アルケニルを表す)、C1〜15アルキルチオ、C2〜15アルケニルチオ、C6〜14アリールチオ、C6〜14アリール又は5員から10員ヘテロアリールから選択され、基C6〜14アリール及び5員から10員ヘテロアリールは、存在する場合、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、C1〜15アルコキシ及びC2〜15アルケニルオキシから選択される、それら自体は非置換の1つから5つの置換基で置換されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項6】
表面基が、C1〜15アルキル、C1〜15アルコキシ、C6〜14アリールから選択され、C6〜14アリール基は、存在する場合、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、C1〜15アルコキシ及びC2〜15アルケニルオキシから選択される、それら自体は非置換の1つから5つの置換基で置換されている、請求項5に記載のデンドリマー。
【請求項7】
表面基が、C1〜10アルキル、C1〜10アルコキシから選択される、請求項6に記載のデンドリマー。
【請求項8】
表面基が、溶液処理を可能にし、且つ/又は前記デンドリマーが光パターン形成されることを可能にするものである、請求項1から7までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項9】
少なくとも1つのXが、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す場合、少なくとも1つの表面基が、前記樹枝状構造を終結させるアリール及び/又はヘテロアリール基に結合されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項10】
少なくとも1つのXが、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す場合、前記少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造中の前記分岐基が、アリール及びヘテロアリール基から選択される、請求項1から9までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項11】
少なくとも1つのXが、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す場合、前記少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造中の前記連結基が、ビニル及びアリール基から選択される、請求項1から10までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項12】
各Xが、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表す、請求項1から11までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項13】
少なくとも1つのXが、1つ又は複数の表面基で置換されたC6〜14アリール基を表す、請求項1から11までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項14】
各Xが、同じか異なり、1つ又は複数の表面基で置換されたC6〜14アリール基を表す、請求項14に記載のデンドリマー。
【請求項15】
aが3〜6の整数である、請求項1から14までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項16】
bが4である、請求項1から15までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項17】
式(V)を有する、請求項1から16までのいずれか一項に記載のデンドリマー
CORE−[B−([X]−[S])] (V)
[式中、
a、b、B、X及びCOREは、請求項1から4まで又は11から17までのいずれか一項に定義したとおりであり、
各Sは、同じか異なり、可溶化基を表し、
hは1〜200の整数である]。
【請求項18】
各Sが、請求項5から7までのいずれか一項に記載の表面基である、請求項17に記載のデンドリマー。
【請求項19】
式(III)を有する、請求項1から18までのいずれか一項に記載のデンドリマー
CORE−[B−[X−[X−[X−[X−[X (III)
[式中、
a、b、CORE及びBは、請求項1又は7から9までのいずれか一項に定義したとおりであり、
cは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
cが0ではない場合、dは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
dが0ではない場合、eは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
eが0ではない場合、fは、0であるか、又は2〜6の整数であり、
、X、X、X及びXはそれぞれ、存在する場合、同じか異なり、式−[L−B’]
(式中、各Lは、同じか異なり、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択される連結基を表し、
gは、0又は1であり、gが0の場合、Lは存在せず、
各B’は、同じか異なり、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択される基を表す)
の基を表し、
但し、COREが非金属核の場合、少なくとも1つの基Lが存在する]。
【請求項20】
式(VI)を有する、請求項19に記載のデンドリマー
CORE−[B−([X−[X−[X−[X−[X−[S])] (VI)
[式中、
a、b、c、d、e、f、B、X、X、X、X、X及びCOREは、請求項20に定義したとおりであり、
各Sは、同じか異なり、可溶化基を表し、
hは1〜200の整数である]。
【請求項21】
各Sが、請求項5から7までのいずれか一項に記載の表面基である、請求項20に記載のデンドリマー。
【請求項22】
各B’が、同じか異なり、アリール及びヘテロアリール基から選択される、請求項19から21までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項23】
各B’が、同じか異なり、フェニル又はフルオレニル基である、請求項22に記載のデンドリマー。
【請求項24】
基Lが、存在する場合、同じか異なり、ビニル又はC6〜14アリール基を表す、請求項19から23までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項25】
cが0である、請求項19から24までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項26】
COREが、式MW(式中、Mは金属カチオンを表し、wは、1以上の整数を表し、各Wは、同じか異なり、一、二又は三座配位基を表し、zは、0又は1以上の整数を表し、各Yは、同じか異なり、配位基を表し、(b.w)+(c.z)の合計がMについての配位部位の数に等しく、ここで、bはW上の配位部位の数であり、cはY上の配位部位の数である)の基を表す、請求項1から25までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項27】
固体状態で発光性である、請求項1から26までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項28】
前記デンドリマーが固体状態で燐光性である、請求項27に記載のデンドリマー。
【請求項29】
式(I)のデンドリマー
[DENDRON−CORE−[B−[X] (I)
[式中、
COREは、金属イオン又は金属イオンを含む基、或いは非ポリマー性有機基であり、
Bはフェニル環であり、
aは、3〜8の整数であり、
bは、3〜5の整数であり、
xは、0又は1〜7の整数であり、
各Xは、同じか異なり、アリール又はヘテロアリール環を表すか、或いは少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、前記分岐基は、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択され、前記連結基は、アリール、ヘテロアリール、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記分岐基は3つ以上の基に結合されており、前記連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結しており、
DENDRONは、少なくとも1つの分岐基及び任意選択的に少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造を表し、前記分岐基は、アリール及びヘテロアリール基並びに窒素原子から選択され、前記連結基は、アリール、ヘテロアリール、アルキレンオキシ、ビニル及びアセチレニル基から選択され、前記分岐基は、3つ以上の基に結合されており、前記連結基は、2つの基に結合されており、前記樹枝状分子構造は、その末端点でアリール及び/又はヘテロアリール基で終結しており、
但し、COREが非金属核の場合、Xは、少なくとも1つの連結基を含む、少なくとも部分的に共役している樹枝状分子構造であり、前記デンドリマーは、fac−トリス[2−{5−[(2,3,4,5−テトラフェニル)フェニル]フェニル}ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ではない]。
【請求項30】
請求項1から29までのいずれか一項に記載のデンドリマーを含むブレンド。
【請求項31】
前記ブレンドが、1種又は複数の他のデンドリマー及び/又はポリマー及び/又は分子材料を更に含む、請求項30に記載のブレンド。
【請求項32】
前記デンドリマーが、10〜50重量%の水準で存在する、請求項30又は31に記載のブレンド。
【請求項33】
COREが金属イオン又は金属イオンを含む基である、請求項1から29までのいずれか一項に記載の第1デンドリマー、及びCOREが非ポリマー性有機基である、請求項1から25まで、27又は28のいずれか一項に記載の第2デンドリマーを含み、第1デンドリマー及び第2デンドリマーのデンドロンが同一樹枝状構造を有する、請求項30から32までのいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項34】
請求項1から29までのいずれか一項に記載のデンドリマーを含む、少なくとも1つの層を含む半導体デバイス。
【請求項35】
フォトダイオード、太陽電池、電界効果トランジスタ、ソリッドステート三極管又は発光デバイスである、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記デンドリマーが、発光層中に存在する、請求項35に記載の発光デバイス。
【請求項37】
発光層が、請求項1から29までのいずれか一項に記載のデンドリマーからなる、請求項36に記載の発光デバイス。
【請求項38】
前記少なくとも1つの層が、請求項31から34までのいずれか一項に記載のブレンドを含む、請求項34に記載のデバイス。
【請求項39】
発光層に加えて、少なくとも1つの電荷輸送層及び/又は注入層を含む、請求項34から38までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
発光層と陰極の間に電子輸送層を含む、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
有機金属デンドリマーを含む層が、溶液処理によって堆積される、請求項34から40までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項42】
発光ダイオード(LED)である、請求項34から41までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項43】
実質的に明細書記載のとおりである、請求項1から29までのいずれか一項に記載のデンドリマー。
【請求項44】
実質的に明細書記載のとおりである、請求項34に記載のデバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−538742(P2008−538742A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501404(P2008−501404)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000915
【国際公開番号】WO2006/097717
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(500189296)イシス イノベイション リミテッド (10)
【出願人】(504353877)ザ ユニバーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ セント アンドルーズ (6)
【Fターム(参考)】