説明

多孔性有機ポリシリカ誘電体形成用の組成物

【課題】電子部品の製造において、電子デバイスの中間層、又はインターメタル、絶縁体の誘導率を減ずるために、均一に分散したポア又はボイドを導入すること、ならびにフォトレジストの露光中における活性線の反射を低減することが求められている。
【解決手段】多孔性有機ポリシリカ誘電体の形成に有用な組成物であって、除去可能なポロゲンを含み、該ポロゲンが1以上の発色団を含む、組成物であって、1以上の発色団が、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、アントラセニル、置換アントラセニル、フェナントレニル、置換フェナントレニル、および1以上の(C−C24)アルキル基を含むモノマーから選択される上記組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、電子デバイスの製造に関する。特に、本発明は反射防止誘電体層を有する電子デバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスが小さくなるにつれて、クロストークやキャパシティブカップリングなどの電気的性質の劣化を起こすことなく、集積回路、回路板、マルチチップモジュール、チップテストデバイスなどの、電子部品の回路密度を大きくすること、およびこれらの部品内部での信号の伝達速度を大きくすることへの引き続く要求が電子工業において存在する。これらの目的を達成するための一つの方法は、部品中で使用される中間層、インターメタル、絶縁体の誘電率を減少させることである。
【0003】
種々の有機および無機の多孔質誘電体が、電子デバイス、特に集積回路の分野において公知である。好適な無機の誘電体としては、二酸化珪素および有機ポリシリカがあげられる。好適な有機誘電体としては、ポリイミド、ポリアリーレンエーテル、ポリシアヌレート、ポリベンザゾール、ベンゾシクロブテンなどの熱硬化物があげられる。無機の誘電体としては、その低い誘電率のために、メチルシルセスキオキサンのようなアルキルシルセスキオキサンの重要性が増大している。
【0004】
中間層、又はインターメタル、絶縁体の誘電率を減ずる方法は、絶縁フィルム内部に非常に小さな、均一に分散したポア又はボイドを導入することである。一般に、そのような多孔質誘電体は、最初に除去可能なポロゲンをB−ステージの誘電体中に加え、除去可能なポロゲンを含むB−ステージの誘電体を基体の上に配置し、B−ステージの誘電体を硬化し、次いでポロゲンを除去して多孔質誘電体を形成することにより調製される。たとえば、米国特許第5895263号(Carterら)は、多孔質有機ポリシリカ誘電体を含む集積回路の形成方法を開示する。米国特許第6093636号(Carterら)は、多孔質熱硬化性誘電体を含む集積回路の形成方法を開示する。本出願と同時継続中の米国特許出願第09/460326号(Allenら)は、B−ステージ誘電体マトリックス物質と実質的に相溶するポロゲン粒子、およそのようなポロゲンを使用して電子デバイスを製造する方法を開示する。
【0005】
多孔質誘電体が形成された後、パターンニング、エッチングアパーチャー、任意にバリア層および/またはシード層を適用し、アパーチャーをメタラインジングまたはフィリングし、メタライズされた層をプラナライジングし、ついでキャップ層を適用するかまたはエッチングをストップするという、公知の加工条件にさらされる。これらの加工工程は繰り返されて、テバイスの他の層を形成することができる。
【0006】
誘電体層はフォトレジストを使用してパターニングされる。フォトレジストはイメージを基体に移すために使用される感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層を誘電体層のような基体上に形成し、フォトレジスト層を次にフォトマスク(レチクル(reticle))を通して活性放射線源で露光する。フォトマスクは活性放射線に対して不透過性の領域と、活性放射線に対して透過性の他の領域を有する。活性放射線で露光すると、フォトレジストコーティングの光により誘発された化学的転換が起こり、フォトマスクのパターンが基体を覆うフォトレジストに転写される。露光後、フォトレジストを現像してレリーフイメージを得、これにより基体の選択的加工が可能になる。
【0007】
フォトレジストはポジ型またはネガ型のいずれかであることができる。ほとんどのネガ型フォトレジストについて、活性放射線で露光されるこれらのコーティング層部分は、フォトレジスト組成物の光活性化合物(photoactivecompound)と重合性試薬間の反応において重合するかまたは架橋する。したがって、露光されたコーティング部分は未露光部分よりも現像液中に溶けにくい。ポジ型フォトレジストについては、露光された部分は現像液中により溶けやすくなるが、未露光部分は比較的現像液に溶けにくいままである。フォトレジスト組成物は当業界で公知であり、Deforest、Photoresist Materials and Processes、McGraw Hill Book Company、New York、第2章、1975およびMoreau、Semiconductor Lithography、Principles、Practices and Materials、Plenum Press、New York、第2章および第4章(いずれもフォトレジスト組成物とその製造法および使用法を記載する部分が本発明の一部として参照される)に記載されている。
【0008】
電子デバイスの製造において、フォトレジストの露光中における活性線の反射は、微細な構造の形成のために有害である。たとえばフォトレジストの下層からの活性放射線の反射は、フォトレジスト層においてパターン付けられたイメージの分解能を制約することが多い。基体/フォトレジスト界面からの放射線の反射は、露光中にフォトレジスト内の放射線強度を変動させることができ、その結果、現像時にフォトレジストのライン幅が不均一になる。放射線はさらに基体/フォトレジスト界面から、露光する意図のないフォトレジスト領域中に散乱することができ、これによってもライン幅の変動が生じる。散乱および反射量は典型的には場所によって異なり、その結果、さらにライン幅が不均一になる。
【0009】
活性放射線の反射はさらに「定在波効果(standing wave effect)」として当業界で知られる現象の一因となる。露光装置のレンズにおける色収差の効果をなくすために、フォトレジスト投影技術において単色または準単色放射線が通常用いられる。しかしながら、フォトレジスト/基体界面での放射線の反射のために、単色または準単色放射線をフォトレジスト露光に用いる場合に、強め合う干渉および弱め合う干渉が特に著しい。このような場合、反射された光は入射光と干渉し、フォトレジスト内に定在波を形成する。高反射性基体領域の場合においては、振幅の大きな定在波の極小点で露光不足の(underexposed)フォトレジストの薄層を形成するので問題は悪化する。露光不足の層は完全なフォトレジストの現像を妨げることができ、フォトレジストプロフィールにおいてエッジアクイティー(edge acuity)の問題が生じる。フォトレジスト量が増大するとこれを露光するために要する放射線の総量が増大するので、フォトレジストを露光するために要する時間は一般にフォトレジストの厚さの増加関数である。しかしながら、定在波効果のために、露光時間は、フォトレジストの厚さ方向において、連続して最大値と最小値間で変化する高調波(harmonic component)を含む。フォトレジストの厚さが不均一である場合、問題はさらに深刻になり、ライン幅が変動する。
【0010】
高密度半導体デバイスへの最近の指向により、産業界において深紫外(DUV)光(波長が300nm以下)、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、電子線および軟X線のように露光光源の波長を短くする動きがある。フォトレジストコーティングのイメージ化に波長を短くした光を用いることにより、一般に、レジスト上部表面ならびに下部基体表面からの反射が増大し、基体表面からの反射の問題を悪化させる。
【0011】
放射線の反射の問題は、種々の手段により試みられ、たとえばフォトレジスト組成物への、フォトレジストの露光に使用される波長またはその近傍の波長を吸収するある種の染料の添加が試みられた。また、反射された活性放射線の問題を低減するために、基体表面とフォトレジストコーティング層の間にある、ボトム反射防止コーティングまたはBARCと称する放射線吸収層、またはフォトレジストコーティングの表面上に配置される、トップ反射防止コーティングまたはTARCと称する放射線吸収層が使用されていた。例えば、PCT出願WO90/03598号、欧州特許出願第0639941A1号および米国特許第4910122号、第4370405号および第4362809号参照。このようなBARCおよびTARC層も一般に反射防止層または反射防止組成物として文献に記載されている。
【0012】
このような反射防止組成物は、放射線吸収成分(または発色団)、ポリマーバインダーおよび1またはそれ以上の架橋剤を含む。ポリマーバインダーは典型的には、たとえば20000ダルトン以下のような比較的低い分子量を有する直線状のポリマーである。そのようなポリマーバインダーは、均一な厚さのコーティング、平坦なコーティング層を形成し、リソグラフィックプロセスにおいて基体上に容易に供給することができる傾向があるため、使用されていた。アンダーカットを防止するため、反射防止コーティングのエッチ速度は、使用されるフォトレジストのエッチ速度と等しいか、またはそれより速くなければならない。しかし、十分な吸収コーティングを提供しつつ、反射防止コーティングとフォトレジストのエッチ速度を実質的に合わせることはしばしば困難である。
【特許文献1】米国特許第5895263号明細書
【特許文献2】米国特許第6093636号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/460326号明細書
【特許文献4】国際特許出願第WO90/03598号明細書
【特許文献5】欧州特許出願第0639941A1号明細書
【特許文献6】米国特許第4910122号明細書
【特許文献7】米国特許第4370405号明細書
【特許文献8】米国特許第4362809号明細書
【非特許文献1】Deforest、Photoresist Materials and Processes、McGraw Hill Book Company、New York、第2章、1975
【非特許文献2】Moreau、Semiconductor Lithography、Principles、Practices and Materials、Plenum Press、New York、第2章および第4章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、従来のプロセスにおいて電子デバイスのそれぞれの誘電体層をパターン付けするために、反射防止コーティング層(典型的には600から2000オングストロームの厚さ)およびフォトレジスト層が使用されていた。そのような2つの層は、1つのそのような層のみを使用する場合と比較して、2つの供給工程、2以上の異なるベイキング工程、2倍量の有機溶媒を必要とし、電子デバイスの製造時間を著しく長くする。
【0014】
したがって、活性放射線の反射の影響を減少させつつ、より少ない工程を使用し、より少ない有機溶媒を使用する、イメージ付けられた誘電体層を提供するための必要が電子デバイスの製造において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
誘電体を反射防止性にすることができ、したがって反射防止コーティングを別途使用する必要をなくし、または減少させることが見いだされた。電子デバイスの製造時間は短くされ、そのようなプロセスにおける有機溶媒の使用も減少させることができる。本発明によれば、反射防止コーティングとフォトレジストのエッチ速度を適合させるという問題も軽減または解消される。
【0016】
第1の態様において、本発明は多孔性有機ポリシリカ誘電体の形成に有用な組成物であって、除去可能なポロゲンを含み、該ポロゲンが1以上の発色団を含む、組成物を提供する。
【0017】
第2の態様において、本発明は、Bステージの有機ポリシリカ誘電体およびポロゲンを含み、該ポロゲンが1以上の発色団を含む、組成物を提供する。
【0018】
第3の態様において、本発明は、a)ポロゲンを含むB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を基体上におき;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、電子デバイスの製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法を提供する。
【0019】
第4の態様において、本発明は、a)ポロゲンを含むB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を基体上におき;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質の上にフォトレジストをおき、d)フォトレジストを露光し、e)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、電子デバイスの製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法を提供する。
【0020】
第5の態様において、本発明は、a)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体中に除去可能なポロゲンを配置し;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、多孔性有機ポリシリカ誘電体の製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法を提供する。
【0021】
第6の態様において、本発明は、ポロゲンを含む有機ポリシリカ誘電体の層を含む電子デバイスであって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む電子デバイスを提供する。第7の態様において、本発明は、有機ポリシリカ誘電体の上にレリーフイメージを形成する工程を含む電子デバイスの製造方法であって、該レリーフイメージが別個の反射防止コーティング層を使用することなく形成される、電子デバイスの製造方法を提供する。第8の態様において、本発明は、上記の方法により製造された電子デバイスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書を通して使用されているように、次の略語は、特に明記されていないかぎり、下記の意味を有する:℃=摂氏度;μm=ミクロン;UV=紫外線;nm=ナノメーター;μm=ミクロン=マイクロメーター;wt%=重量パーセント;MAPS=MATS=(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート;HA=ヘキシルアクリレート;TMPTMA=トリメチロールプロパントリメタアクリレート;;PPGMEA260=約260の分子量を有するポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルアクリレ−ト;PEGMEMA475=約475の分子量を有するポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート;VTMS=ビニルトリメチルシラン;VTMOS=ビニルトリメトキシシラン;BA=ブチルアクリレート;ANTMA=アントラセニルメタアクリレート;DVB=ジビニルベンゼン;TFE=テトラフルオロエチレン;HPMA=ヒドロキシルプロピルメタアクリレート。
【0023】
「(メタ)アクリル」の用語には、アクリル及びメタクリルの両方が含まれ、「(メタ)アクリレート」の用語には、アクリレート及びメタクリレートの両方が含まれる。同様に、「(メタ)アクリルアミド」の用語は、アクリルアミド及びメタアクリルアミド両方を意味する。「アルキル」は、直鎖、分岐鎖及び環状アルキル基を含む。用語「ハロゲン」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を言う。したがって用語「ハロゲン化」は、フッ素化、塩素化、臭素化、およびヨウ素化を言う。「フルオロアルキル」は、部分的なフッ素化アルキルおよびペルフルオロアルキルの両者を言う。「ポロゲン」の用語は、ポア形成物質をいい、これらに限らないが、たとえば誘電体内に分散した重合体物質又は粒子であり、それらは実質的に除去されて誘電体内にポア、ボイド又は自由体積を生じるものをいう。従って、「除去可能なポロゲン」、「除去可能なポリマー」及び「除去可能な粒子」の用語は本明細書を通して互換的に用いられる。「ポア」、「ボイド」及び「自由体積」の用語は、本明細書を通して互換的に用いられる。「架橋剤」及び「架橋結合剤」は、本明細書を通して互換的に用いられる。「ポリマー」は、ポリマー及びオリゴマーをも意味する。「ポリマー」の用語は、又ホモポリマー及びコポリマーを意味する。「オリゴマー」及び「オリゴマー性」の用語は、ダイマー、トリマー、テトラマー等を意味する。「モノマー」は、重合されることができるいかなるエチレン性又はアセチレン性不飽和化合物をも意味する。斯かるモノマーは、1以上の二重又は三重結合を含んでもよい。
【0024】
「B‐ステージ」の用語は、未硬化の有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を意味する。「未硬化」とは、縮合等で重合又は硬化され、コーティング又はフィルム等のより高分子量物質を形成することができる任意の有機ポリシリカ物質を意味する。斯かるB‐ステージ物質は、モノマー、オリゴマー又はそれらの混合物でもよい。更に、B‐ステージ物質は重合体物質と、モノマー、オリゴマー又はモノマー及びオリゴマーの混合物との混合物を包含することも意図している。特に断らないかぎり、全ての量は重量パーセントであり及び全ての比は、重量に基づく。全ての数値範囲は両端の値を含み、組み合わせ可能である。
【0025】
本発明は、有機ポリシリカ誘電体のための、除去可能なポロゲンとして有用な物質、すなわちポア形成物質、の合成、組成、サイズ、分布および純度に関する。そのようなポロゲンは、光電子デバイスを含む電子デバイスの製造において、多孔質有機ポリシリカ誘電体の形成に有用である。そのようなポロゲンは、1以上の発色団を有し、それによりそのような誘電体中のパターニングプロセスまたはレリーフイメージの形成プロセスにおいて、別途の反射防止コーティングの必要性を軽減ないし解消する。本発明は、多孔質有機ポリシリカ誘電体の形成に有用なポロゲンであって、該ポロゲンが1以上の発色団を含むものを提供する。そのような有機ポリシリカ誘電体は、ポロゲンを除去する前において、自己反射防止性である。これは、ポロゲン含有誘電体は、反射防止コーティング層を別途必要とすることなく、反射防止コーティングとして作用することを意味する。
【0026】
本発明のポロゲンは、有機ポリシリカ誘電体、特に低誘電率(「k」)を有する物質の誘電率を低減するのに有用である。低‐k誘電体は、約4未満の誘電率を有する任意の物質である。B‐ステージ有機ポリシリカ(又は有機シロキサン)は、珪素、炭素、酸素及び水素原子を含み、次式を有する化合物である;
((RRSiO)(RSiO1.5(RSiO1.5(SiO
[式中、R、R、R及びR は水素、(C−C)アルキル、アリール及び置換アリールから独立に選択され;a,c及びdは0から1の独立した数であり;bは0.2から1の数であり;nは約3から約10,000の整数である;但し、a+b+c+d=1であり;R、R及びRの少なくとも一つは水素ではない。]
「置換アリール」は、その水素の1以上が他の置換基、例えば、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ等で置換されたアリール基を意味する。上記の式において、a、b、c、及びdは、各成分のモル比を表す。斯かるモル比は、0及び約1の間で変動することができる。aは、0から約0.8が好ましい。cもまた0から約0.8が好ましい。更に、dは、0から約0.8が好ましい。上記式において、nは、B‐ステージ物質における繰り返し単位数を意味する。好ましくはnは、約3から約1000の整数である。任意の硬化工程の前に、B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質は、1以上の水酸基又はアルコキシ末端キャッピング基又は側鎖官能基を含むことが好ましい。斯かる末端キャッピング又は側鎖官能基は、当業者にとって公知である。
【0027】
好適な有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質の例としては、シルセスキオキサン、部分的に縮合されたハロシラン又はアルコキシシラン、たとえば制限された加水分解による部分的に縮合された約500から約20,000の数平均分子量を有するテトラエトキシシラン、RSiO又はRSiOの組成を有する有機的に変性されたシリケート(ここでRは有機置換基である)、及びモノマー単位として、Si(OR)を有する部分的に縮合されたオルソシリケートが挙げられるが、これらに限定されない。シルセスキオキサンは、RSiO1.5のタイプの重合体シリケート物質であり、ここでRは有機置換基である。好適なシルセスキオキサンは、メチルシルセスキオキサン、エチルシルセスキオキサン、プロピルシルセスキオキサン、ブチルシルセスキオキサン等のアルキルシルセスキオキサン;フェニルシルセスキオキサン及びトリルシルセスキオキサン等のアリールシルセスキオキサン;メチルシルセスキオキサン及びフェニルシルセスキオキサンの混合物等のアルキル/アリールシルセスキオキサン混合物;メチルシルセスキオキサン及びエチルシルセスキオキサン等のアルキルシルセスキオキサンの混合物である。B‐ステージシルセスキオキサン物質には、シルセスキオキサンのホモポリマー、シルセスキオキサンのコポリマー又はそれらの混合物が含まれる。斯かる誘電体は、一般的に商業的に入手可能であるか、又は公知の方法で調製されることができる。
【0028】
好ましくは、有機ポリシリカはシルセスキオキサンであり、更に好ましくは、メチルシルセスキオキサン、エチルシルセスキオキサン、プロピルシルセスキオキサン、イソ‐ブチルシルセスキオキサン、第三級ブチルシルセスキオキサン、フェニルシルセスキオキサン又はそれらの混合物である。特に有用なシルセスキオキサンには、水素化シルセスキオキサンとアルキル、アリール又はアルキル/アリールシルセスキオキサンとの混合物が含まれる。典型的には、本発明に有用なシルセスキオキサンは、一般的に約3から約10,000の繰り返し単位を有するオリゴマー性物質として使用される。
【0029】
誘電体の混合物、例えば、二つ以上の有機ポリシリカ誘電体又は有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質と1以上の他の誘電体マトリックス物質、即ち、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質でないものとの混合物等が使用されることできる。好適な他の誘電体マトリックス物質には、珪素、ホウ素又はアルミニウムのカーバイド、酸化物、窒化物及びオキシフッ化物等の無機誘電体マトリックス物質;ベンゾシクロブテン、ポリ(アリールエステル)、ポリ(エーテルケトン)、ポリカーボネート、ポリイミド、フッ化ポリイミド、ポリノルボルネン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリナフタレンおよびポリキノキサリン等のポリ芳香族炭化水素、ポリ(テトラフルオロエチレン)などのポリ(ペルフルオロ炭化水素)等、並びにポリベンズオキサゾール等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質と他の誘電体マトリックス物質との混合物が用いられるとき、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質は、主成分として存在するのが好ましい。更に好ましくは、そのような混合物中の有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質は、メチルシルセスキオキサン、フェニルシルセスキオキサン又はその混合物である。
【0031】
本発明において有用なポロゲンは、除去されて選択された誘電体中、特に低誘電率(「k」)を有する誘電体中にボイド、ポアまたは自由体積を提供することができ、そのような物質の誘電率を低下させることのできる任意のものである。低‐k誘電体は、約4未満の誘電率を有する任意の物質である。
【0032】
本発明において有用な除去可能なポロゲンは、B−ステージ誘電体を硬化するのに使用される加工条件または誘電体をパターン付けするために使用される加工条件においては、実質的に除去されない。本発明のポロゲンは誘電体を劣化させたり、または他の悪影響を与えるような条件においては除去されない。
【0033】
広範な除去可能なポロゲンを本発明において使用することができる。除去可能なポロゲンはポリマー粒子のようなポリマーであることができ、または誘電性モノマーと共重合して潜在的な(除去可能な)成分を有するブロックコポリマーを形成する、モノマーまたはポリマーであることができる。異なる態様において、ポロゲンは誘電性モノマーと予備重合され、モノマー性、オリゴマー性、またはポリマー性のB−ステージの誘電体を形成することができる。そのような予備重合されたB−ステージ物質は、ついで硬化されて誘電体層を形成する。ポロゲンがポリマー性であることが好ましく、ポリマー粒子であることがさらに好ましい。「ポリマー粒子」または「ポリマー性粒子」は当業者に公知であり、広範なポリマー物質をいい、たとえば粒子、ナノ粒子、ナノゲル、コア−シェル粒子などを言うがこれらに限定されるものではない。好ましいポリマー性粒子はナノ粒子、およびナノゲルである。ポリマー粒子は種々のモルホロジーをとることができ、たとえば球、実質的な球、たばこ型、円筒型、月形などの単一ローブド形態、およびたとえば4面体、ラズベリー型、どんぐり型、ダンベル型などのマルチローブド形態をとることができる。本発明において有用な粒子は種々の構造、たとえば均一または、コア−シェル、たとえばエッグ−シェル、エッグ−ホワイト、およびエッグ−ヨークの構造をとることができる。直鎖ポリマーおよびデンドリマーのポロゲンも用途によっては有用であるが、ポリマー粒子が直鎖ポリマーおよびデンドリマーポリマーを含まないことが好ましい。
【0034】
好ましくは、除去可能なポロゲンはB−ステージ誘電体中において、実質的に非凝集または非凝塊である。そのような非凝集または非凝塊は、誘電体中においてキラーポアまたはキラーチャンネルを形成するという問題を軽減または解消する。除去可能なポロゲンがポロゲン粒子であるか、または誘電性モノマーと共重合されることが好ましく、ポロゲン粒子であることがより好ましい。ポロゲン粒子が実質的にB−ステージ誘電体マトリックス物質と相溶性であることがさらに好ましい。「実質的に相溶性」とは、目視による観察で、B‐ステージ誘電体及びポロゲンとの組成物が僅かに曇り又は僅かに不透明であることを意味する。好ましくは「実質的に相溶性」とは、B−ステージ誘電体及びポロゲンの溶液、B‐ステージ誘電体及びポロゲンとの組成物を含むフィルム又は層、ポロゲンをその中に分散させた誘電体マトリックス物質及びポロゲンの除去後生ずる多孔性誘電体が、僅かに曇り又は僅かに不透明であることを意味する。相溶性であるためには、ポロゲンは、B‐ステージ誘電体、B‐ステージ誘電体を溶解するのに使用される溶媒又はその両方に可溶性又は混和性でなければならない。好適な相溶化されたポロゲンは、同時係属中の米国特許出願第09/460326号(Allen)ら、および09/616851号(Youら)に開示されているものである。他の好適な除去可能な粒子は米国特許第5700844号に開示されているものである。
【0035】
相溶化された重合体ポロゲンは、シリル含有モノマー又はポリ(アルキレンオキサイド)モノマーから選択された少なくとも一つの化合物を重合単位として含む。シリル含有モノマー又はポリ(アルキレンオキサイド)モノマーは、非架橋ポリマーを形成するのに使用されてもよく、架橋剤として使用されてもよく、又は双方に使用されても良い。任意の珪素含有モノマーが、本発明においてシリル含有モノマーとして有用である。斯かるシリル含有モノマー内の珪素部位は、反応性又は非反応性でもよい。代表的な「反応性」シリル含有モノマーには、1以上のアルコキシ基又はアセトキシ基を含むモノマー、例えば、トリメトキシシリル含有モノマー、トリエトキシシリル含有モノマー及びメチルジメトキシシリル含有モノマー等が含まれるが、これらに限定されない。代表的な「非反応性」シリル含有モノマーには、トリメチルシリル含有モノマー、トリエチルシリル含有モノマー、フェニルジメチルシリル含有モノマー等のアルキル基、アリ−ル基、アルケニル基又はこれらの混合物を含有するものが含まれるが、これらに限定されない。シリル含有モノマーを重合単位として含む重合体ポロゲンは、シリル部位を含むモノマーの重合によって調製される斯かるポロゲンを含むように意図されている。末端キャッピング単位としてのみシリル部位を含む直鎖状ポリマーを含むようには意図されていない。
【0036】
好適なシリル含有モノマーには、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ‐トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)、アリルオキシ‐tert‐ブチルジメチルシラン、アリルオキシトリメチルシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ‐イソ‐プロピルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリフェニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、エトキシジフェニルビニルシラン、メチルビス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエチルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、トリス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン、ビニルオキシトリメチルシラン及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明のポロゲンを形成するのに有用なシリル含有モノマーの量は、典型的には使用されるモノマーの総重量を基準にして、約1から約99重量%である。好ましくはシリル含有モノマーが、約1から約80重量%の量で存在し、更に好ましくは約5から75重量%の量で存在する。
【0038】
好適なポリ(アルキレンオキサイド)モノマーには、ポリ(プロピレンオキサイド)モノマー、ポリ(エチレンオキサイド)モノマー、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)モノマー、ポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)4‐ノニルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレン/エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいポリ(アルキレンオキサイド)モノマーには、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルアクリレート等が含まれる。特に好ましいポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルアクリレートモノマーは、約200から約2000の範囲の分子量を有するものである。本発明に有用なポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)モノマーは、直鎖、ブロック又はグラフトコポリマーであることができる。斯かるモノマーは、典型的には約1から約50の重合度を有し、好ましくは約2から50の重合度を有する。
【0039】
典型的には、本発明のポロゲンに有用なポリ(アルキレンオキサイド)モノマーの量は、使用されるモノマーの総重量を基準にして、約1から約99重量%である。ポリ(アルキレンオキサイド)モノマーの量は、好ましくは約2から90重量%であり、更に好ましくは約5から約80重量%である。
【0040】
シリル含有モノマー及びポリアルキレンオキサイドモノマーは、本発明のポロゲンを形成するのに単独又は組み合わせのいずれかで使用されることができる。好ましくはシリル含有モノマー及びポリ(アルキレンオキサイド)モノマーは、組み合わせて使用される。一般に、誘電体マトリックスとポロゲンを相溶化させるのに必要とされるシリル含有モノマー又はポリ(アルキレンオキサイド)モノマーの量は、マトリックスへの望まれるポロゲンの混合量、有機ポリシリカ誘電体マトリックスの具体的な組成及びポロゲンポリマーの組成に依存する。シリカ含有モノマー及びポリ(アルキレンオキサイド)モノマーが組み合わせて用いられるときは、他のモノマー量が増加されるにつれ、もう一方のモノマー量は減少される。従って、シリル含有モノマーが混合物中で増加されるに従い、混合物中のポリ(アルキレンオキサイド)の量は減少されうる。
【0041】
反射防止組成物として作用するために、本発明のポロゲンは1以上の発色団を含む。本明細書においては、「発色団」はフォトレジストをイメージするために使用される所望の放射線の波長を吸収および/または減衰させる基をいう。
【0042】
本発明のポロゲンはポリマー性であることが好ましい。ポロゲンが重合単位として、1以上の発色団を有する1以上のモノマーを含むことがさらに好ましい。そのようなモノマーは非架橋のポリマーを形成するために使用することができ、または架橋剤として、または両方として使用することができる。
【0043】
たとえば、本発明の有機ポリシリカ誘電体が、248nmまたは193nmのような波長の放射線でフォトレジストとイメージ付けられる場合には、ポロゲンは発色団として任意の芳香族または置換芳香族部位を含んでいてもよい。好適な芳香族モノマーとしては、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、アントラセニル、置換アントラセニル、フェナントレニル、置換フェナントレニルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。置換芳香族基とは、それらの水素の1以上が、(C−C12)アルキル、ハロ、シアノ、(C−C)アルコキシなどの1以上の他の置換基で置換されている芳香族基を言う。好適なアントラセニルモノマーは米国特許第5851730号(Thackeryら)に開示されたものである。特に有用な発色団を含むモノマーは、以下の式Iを有するものである。
【0044】
【化1】

【0045】
式中、RはHまたはCHであり、Rはフェニル、ベンジル、
【0046】
【化2】

【0047】
から選択される。
【0048】
有機ポリシリカ誘電体が、157nm以下のような短波長の放射線でフォトレジストとイメージ付けられる場合には、発色団として1以上の(C−C24)アルキル基を有する任意のモノマーが適当である。特に好ましい発色団含有モノマーとしては、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートのような(C−C24)アルキル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、およびオクタデシル(メタ)アクリレートのような「ハイカット」アルキル(メタ)アクリレートがあげられる。
【0049】
本発明の反射防止ポロゲンの吸収または減衰は、ポロゲン中のそのような発色団の量の増大により増加されることが当業者には明らかであろう。典型的には、発色団部位は、反射防止ポロゲン中に、ポロゲンの合計重量に基づいて1から99重量%の量で存在する。好ましくは、発色団部位は、反射防止ポロゲン中に、5から80重量%、より好ましくは10から60重量%の量で存在する。
【0050】
1以上のエチレン性不飽和モノマー、アセチレン性不飽和モノマー、またはそれらの混合物が、1以上の発色団含有モノマーと共重合され、本発明の反射防止ポロゲンを調製することができる。そのようなエチレン性不飽和モノマー、アセチレン性不飽和モノマー、またはそれらの混合物は、本発明のポリマー中に重合単位として、モノマーの合計重量に基づいて、1から99重量%、好ましくは10から95重量%、より好ましくは20から90重量%、さらにより好ましくは60から90重量%の範囲で存在することができる。反射防止ポロゲンが架橋されていることがさらに好ましい。好ましい反射防止ポロゲンは、重合単位として、発色団を有する1以上のモノマー、1以上の追加のモノマー、および1以上の架橋剤を含む。反射防止ポロゲンが重合単位として、発色団を有する1以上のモノマーおよび、シリル含有モノマーまたはポリ(アルキレンオキサイド)モノマーから選択される少なくとも1つののモノマー、および1以上の架橋剤を含むことがさらに好ましい。
【0051】
本発明の反射防止ポロゲンは有機ポリシリカ誘電体から、たとえば揮発性であり、誘電体であるホストマトリックス中に容易に拡散する原料モノマーに、ポリマーサ鎖アンジッピングすることにより、除去することができる。「除去可能」とは、ポリマーポロゲンまたは誘電体マトリックスとのブロックコポリマーの潜在的な単位が、解重合し、劣化し又はさもなければ分解してホスト誘電体マットリックスフィルム中に拡散することができる揮発性成分に変換できることを意味する。1以上の発色団を含有するモノマーと共重合されることのできる好適なモノマーには、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、ビニル芳香族モノマー、窒素含有化合物及びそれらのチオ類似体、置換エチレンモノマー、およびフッ素化モノマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明に有用なアルキル(メタ)アクリレートは、典型的には(C−C24)アルキル(メタ)アクリレートである。適当なアルキル(メタ)アクリレートは、「ローカット(low cut)」アルキル(メタ)アクリレート、「ミッドカット(mid cut)」アルキル(メタ)アクリレート及び「ハイカット(high cut)」アルキル(メタ)アクリレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
「ローカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的には、アルキル基が1から6の炭素原子を含むものである。適当なローカットアルキル(メタ)アクリレートには、メチルメタクリレート(「MMA」),メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート(「BMA」)、ブチルアクリレート(「BA」)、イソブチルメタクリレート(「IBMA」)、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
「ミッドカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的にはアルキル基が7から15の炭素原子を含むものである。適当なミッドカットアルキル(メタ)アクリレートには、2‐エチルヘキシルアクリレート(「EHA」)、2‐エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート(「IDMA」、分岐(C10)アルキル異性体混合物に基づく)、ウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレートとしても知られる)、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート(ミリスチルメタクリレートとしても知られる)、ペンタデシルメタクリレート及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。特に有用な混合物には、ドデシル‐ペンタデシルメタクリレート(「DPMA」)、ドデシル、トリデシル、テトラデシル及びペンタデシルメタクリレートの直鎖及び分岐鎖の異性体の混合物;及びラウリル‐ミリスチルメタクリレート(「LMA」)が含まれる。
【0055】
「ハイカット」アルキル(メタ)アクリレートには、典型的にはアルキル基が16から24の炭素原子を含むものである。適当なハイカットアルキル(メタ)アクリレートは、ヘキサデシルメタクリレート、ヘプタデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ノナデシルメタクリレート、コシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。特に有用なハイカットアルキル(メタ)アクリレートには、ヘキサデシル、オクタデシル、コシル及びエイコシルメタクリレートの混合物であるセチル‐エイコシルメタクリレート(「CEMA」);及びヘキサデシル及びオクタデシルメタクリレートの混合物であるセチル‐ステアリルメタクリレート(「SMA」)が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
上記のミッドカット及びハイカットのアルキル(メタ)アクリレートは、一般的に工業品質の長鎖脂肪族アルコールを使用して標準エステル化操作により製造され、これらの商業的に入手可能なアルコールは、アルキル基が10から15又は16から20の炭素原子を含む鎖長の間で変動するアルコールの混合物である。これらのアルコールの例は、ビスタケミカルカンパニーの種々のチーグラー触媒によって製造されるアルフォール(ALFOL)アルコール、即ち、アルフォール1618及びアルフォール1620、シェルケミカルカンパニーのチーグラー触媒によって製造される種々のネオドール(NEODOL)アルコール、即ち、ネオドール25L及びプロクターアンドギャンブル社のTA‐1618及びCO‐1270等の天然物由来のアルコールである。結果的に、本発明の目的のためには、アルキル(メタ)アクリレートは、個々の名称のアルキル(メタ)アクリレート製品ばかりでなく、アルキル(メタ)アクリレートと大勢を占める量の特定名称のアルキル(メタ)アクリレートとの混合物をも含むものが意図されている。
【0057】
本発明に有用なアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、単一モノマーでもよいし、アルキル部分に異なる数の炭素原子を有するものの混合物であってもよい。また、本発明に有用な(メタ)アクリルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、任意に置換されてもよい。任意に置換された、適当な(メタ)アクリルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシ(C‐C)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C‐C)‐アルキル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノ(C‐C)アルキルメタアクリルアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
特に有用な置換アルキル(メタ)アクリレートモノマーの例は、アルキル基に一つ以上の水酸基を有するもの、特にアルキル基のβ位(2の位置)に 水酸基が見出されるものである。置換アルキル基が分岐又は非分岐の(C‐C)アルキル基であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。好適なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーには、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、2‐ヒドロキシエチルアクリレート(「HEA」)、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、1‐メチル‐2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、2‐ヒドロキシ‐プロピル‐アクリレート、1‐メチル‐2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシブチルメタクリレート、2‐ヒドロキシブチルアクリレート及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、HEMA、1‐メチル‐2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート及びそれらの混合物である。後者の二つのモノマー混合物は、一般に「ヒドロキシプロピルメタクリレート」又はHPMAと呼ばれている。
【0059】
本発明に有用な他の置換(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの例としては、アルキル基中にジアルキルアミノ基又はジアルキルアミノアルキル基を有するものである。斯かる置換(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドの例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N‐ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N‐ジメチル‐アミノプロピルメタクリルアミド、N,N‐ジメチルアミノブチルメタクリルアミド、N,N‐ジ‐エチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N‐ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N‐ジエチルアミノブチルメタクリルアミド、N‐(1,1‐ジメチル‐3‐オキソブチル)アクリルアミド、N‐(1,3‐ジフェニル‐1‐エチル‐3‐オキソブチル)アクリルアミド、N‐(1−メチル‐1‐フェニル‐3‐オキソブチル)メタクリルアミド及び2‐ヒドロキシエチルアクリルアミド、アミノエチルエチレンウレアのN‐メタクリルアミド、N‐メタクリルオキシエチルモルフォリン、ジメチルアミノプロピルアミンのN‐マレイミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本発明に有用な他の置換(メタ)アクリレートモノマーは、γ‐プロピルトリ(C〜C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、γ‐プロピルトリ(C〜C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ‐プロピルジ(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ‐プロピルジ(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C〜C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルジ(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニル(C〜C)アルコキシジ(C〜C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C〜C)アルキルシリル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物等のシリコン含有モノマーである。
【0061】
本発明の不飽和モノマーとして有用なビニル芳香族モノマーには、スチレン(「STY」)、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ビニル芳香族モノマーには、また、ハロゲン化誘導体、即ち、フッ素、塩素又は臭素等の1以上のハロゲン基を含む誘導体;及びニトロ、シアノ、(C〜C10)アルコキシ、ハロ(C〜C10)アルキル、カルブ(C〜C10)アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(C〜C10)アルキルアミノ誘導体等のそれらの相当する置換対応物が含まれる。
【0062】
本発明の不飽和モノマーとして有用な窒素含有化合物及びチオ類似化合物には、2‐ビニル−ピリジン又は4‐ビニルピリジン等のビニルピリジン;2‐メチル‐5‐ビニルピリジン、2‐エチル‐5‐ビニルピリジン、3‐メチル‐5‐ビニルピリジン、2,3‐ジメチル‐5‐ビニルピリジン及び2‐メチル‐3‐エチル‐5‐ビニル‐ピリジン等の(C〜C)低級アルキル置換N‐ビニルピリジン;メチル置換キノリン及びイソキノリン;N−ビニルカプロラクタム;N‐ビニルブチロラクタム;N‐ビニルピロリドン;ビニルイミダゾール;N‐ビニルカルバゾール;N‐ビニルスクシンイミド;(メタ)アクリロニトリル;o‐,m‐又はp‐アミノスチレン;マレイミド;N‐ビニルオキサゾリドン;N、N‐ジメチルアミノエチル‐ビニル‐エーテル;エチル‐2‐シアノアクリレート;ビニルアセトニトリル;N‐ビニルフタルイミド;N‐ビニル‐チオ‐ピロリドン、3‐メチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、4‐メチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、5‐メチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、3‐エチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、3‐ブチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、3,3‐ジメチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、4,5‐ジメチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、5,5‐ジメチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、3,3,5‐トリメチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、4‐エチル‐1‐ビニル‐ピロリドン、5‐メチル‐5‐エチル‐1‐ビニル‐ピロリドン及び3,4,5‐トリメチル‐1‐ビニル‐ピロリドン等のN−ビニルピロリドン;ビニルピロール;ビニルアニリン;及びビニルピペリジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明において不飽和モノマーとして有用な置換エチレンモノマーには、酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン及び臭化ビニリデンが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の反射防止ポロゲンはさらに、重合単位として1以上のフッ素化モノマー、1以上のフッ素化架橋剤、またはそれらの混合物を含むことができる。そのようなフッ素化成分は、157nmでイメージングするフォトレジストにおいて有用な反射防止組成物に特に好適である。好ましくは、フッ素化モノマーまたは架橋剤は高度にフッ素化される。フルロアルキル基を有する任意のモノマー、たとえば、トリフルオロメチル基を有するものが特に好適である。適当なフッ素化モノマーとしては、フッ素化(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド、たとえばフルオロ(C−C20)アルキル(メタ)アクリレートのようなフルオロアルキル(メタ)アクリレート、フルオロシクロアルキル(メタ)アクリレート、フルオロアルキルスルホアミドエチル(メタ)アクリレート、フルオロアルキルアミドエチル(メタ)アクリレート、フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキルプロピル(メタ)アクリレート、フルオロアルキルエチルポリ(アルキレンオキシド)(メタ)アクリレート、フルオロアルキルスルホエチル(メタ)アクリレート、αH,αH,ωH,ωH−ペルフルオロアルカンジオールジ(メタ)アクリレート及びβ−置換フルオロアルキル(メタ)アクリレート;フッ素化ビニルエーテル、たとえばフルオロアルキルエチルビニルエーテル、フルオロアルキルエチルポリ(エチレンオキシド)ビニルエーテル;フッ素化アルコールビニルエーテル;フッ素化ビニルアセテート;フッ素化アルキルビニルアセテート、たとえばトリフルオロメチルビニルアセテート;フッ素化芳香族、たとえばフルオロスチレン、ペンタフルオロスチレン、フルオロアルキルスチレン;フッ素化ヒドロキシ芳香族、たとえばフッ素化ヒドロキシスチレン;フッ素化エチレン、たとえばフッ素化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン;フッ素化α−オレフィン;フッ素化ジエン、たとえばペルフルオロブタジエン、1−フルオロアルキルペルフルオロブタジエン、フッ素化ヘテロシクリル、たとえばペルフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、およびペルフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいフッ素化モノマーとしては、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フッ素化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、およびペルフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)が挙げられる。
【0065】
オリゴマーを本発明の反射防止ポロゲンを調製するために使用することができる。200nm以下の波長の放射線でのイメージングでのフォトレジストの使用のためには、フッ素化オリゴマーが好適に使用される。好適なフッ素化オリゴマーは、PCT出願WO 00/17712号に開示されている。好適なオリゴマーとしては、以下のモノマーの組み合わせから調製されたものがあげられる。TFE/ノルボルネン、TFE/ノルボルネンカルボン酸、TFE/ノルボルネン/ノルボルネンカルボン酸、TFE/ノルボルネン/アクリル酸、TFE/ノルボルネン/エチレン、TFE/ノルボルネン/メタアクリル酸、TFE/ノルボルネン/tert−ブチルアクリレート、TFE/ノルボルネン/tert−ブチルアクリレート/アクリル酸、TFE/ノルボルネン/tert−ブチルアクリレート/メタアクリル酸、TFE/ノルボルネン/酢酸ビニル、TFE/ノルボルネン/ビニルアルコール、TFE/ノルボルネン/5−ノルボルネン−2−カルボン酸 tert−ブチルエステル、TFE/1−アダマンタン−カルボキシル化ビニルエステル、TFE/アダマンタンメチルビニル エーテル、およびTFE/ノルボルネンメチルビニル エーテルがあげられる。
【0066】
本発明の反射防止ポロゲンとして有用なポリマーは、溶液重合、エマルション重合のような種々の重合方法により調製されることができ、好ましくは溶液重合により調製される。本発明において有用な溶液ポリマーは、直鎖、分岐鎖、またはグラフト鎖であることができ、コポリマーまたはホモポリマーであることができる。好ましくは好適な溶液ポリマーは架橋されたコポリマーを含む。
【0067】
本発明の溶液ポリマーは、非水溶媒中で一般に調製される。そのような重合の好適な溶媒は、当業者にとって公知である。斯かる溶媒の例としては、アルカン、フッ化炭化水素及び芳香族炭化水素等の炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アルコール及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に好適な溶媒として、ドデカン、メシチレン、キシレン、ジフェニルエーテル、ガンマーブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カプロラクトン、2‐ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、デカノール及びt−ブタノールが含まれる。
【0068】
本発明のポロゲンは、公知の種々の方法により調製することができる。本発明の溶液反射防止ポロゲンは、米国特許第5、863、996号(グラハム)及び米国特許出願第09/460,326号等に開示された多くの種類の方法により調製されることができ、その特許の双方とも、ここで斯かるポリマーの調製を教示する範囲について参照され、明細書の一部とされている。本発明に有用なエマルションポリマーは、一般に上記した米国特許出願第09/460、326号に記載の方法で調製される。
【0069】
本発明のポリマーは、アニオン重合又はフリーラジカル重合技術を使用して調製されるのが好ましい。また好ましくは、本発明に有用なポリマーは、段階重合法により製造されない。
【0070】
本発明の反射防止ポロゲンは、好ましくは架橋されている。如何なる量の架橋剤も、本発明の使用に適している。典型的には、本発明のポロゲンは、ポロゲンの重量を基準にして、少なくとも1重量%の架橋剤を含有する。ポロゲンの重量を基準にして100%を含み、100%までの架橋剤が本発明の粒子に有効に使用される。架橋剤の量は、約1%〜約80%が好ましいが、より好ましくは約1%〜約60%である。ポロゲン中の架橋剤の量が増加するにつれ、ポロゲンの誘電体マトリックスから除去するための条件が変化しうることを当業者であれば認識するであろう。
【0071】
本発明に有用な好適な架橋剤には、ジ‐、トリ‐、テトラ、又はより高位の多官能性エチレン性不飽和モノマーが含まれる。本発明に有用な架橋剤の例としては、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン及びジビニルキシレン;及び例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリルメタクリレート(「ALMA」)、エチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート(「DEGDMA」)、プロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレ−ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、ジビニルベンゼン(「DVB」)、グリシジルメタクリレート、2,2‐ジメチルプロパン1,3ジアクリレート、1,3‐ブチレングリコールジアクリレート、1,3‐ブチレングリコールジメタクリレート、1,4‐ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。架橋することができるシリル含有モノマーは、架橋剤として使用することができ、例えば、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)、テトラアリルシラン、1,3‐ジメチルテトラビニルジシロキサン、1,3‐ジビニルテトラメチルジシロキサン及びこれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
【0072】
本発明の反射防止ポロゲンは、B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質にそのまま直接に添加されてもよいし、最初に精製されて、電子デバイスの電気的又は物理的機能に影響を及ぼすかもしれない不純物を取り除いてもよい。反射防止ポロゲンの精製は、ポロゲンの沈殿又は不純物の吸着のいずれかにより達成される。
【0073】
本発明の反射防止ポロゲン粒子は、典型的には5,000〜1,000,000の範囲であり、好ましくは10,000〜500,000の範囲であり、更に好ましくは10,000〜100,000の範囲の分子量を有する。反射防止ポリマーポロゲン粒子は、典型的には約1,000nmまでの、例えば0.5〜1000nmの範囲のような粒径を有する。粒径は、好ましくは約0.5〜約200nmの範囲であり、より好ましくは約0.5〜約50nmの範囲であり、最も好ましくは約1nm〜約20nmの範囲である。これらの反射防止ポロゲン粒子の多分散度は、1〜20の範囲であり、より好ましくは1.001〜15の範囲であり、最も好ましくは1.001〜10の範囲である。除去可能なポロゲンとして有用な、レイビル成分を有する好適なブロックコポリマーは、米国特許第5776990号、および6093636号に開示されているものである。1以上の発色団をそのようなブロックコポリマー中に組み込むことにより、本発明において有用な反射防止ポロゲンが提供される。そのような発色団含有部位を有するブロックコポリマーは、公知の種々の方法により調製することができる。
【0074】
本発明の反射防止ポロゲンは、典型的には架橋したポリマー粒子であり、電子デバイスにおける高度インターコネクトストラクチャー内の変性剤としての使用に適した分子量又は粒径を有する。典型的には、そのような用途の有用な粒径範囲は、約0.5から約1000nmの平均粒径のような、約1000nmまでの範囲である。好ましくは、平均粒径は、約0.5から約200nmの範囲であり、更に好ましくは、約0.5から約50nmであり、最も好ましくは、約1nmから約20nmの範囲である。本法の利点は、誘電体マトリックス中で形成されるポアの大きさは、使用に供される除去されたポロゲン粒子の大きさとサイズ、すなわち寸法と実質的に同じであることである。従って、本発明の方法によって製造された多孔性誘電体は、0.5から1000nm、好ましくは0.5から200nm、更に好ましくは0.5から50nm、そして最も好ましくは1から20nmの範囲の平均ポア径を有する、実質的に均一なポア径を有し、実質的に均一に分散したポアを有する。
【0075】
多孔質の誘電体を形成するために有用であるためには、本発明の反射防止ポロゲンは、誘電体マトリックス物質に悪影響を与えない条件において少なくとも部分的に除去可能でなければならず、好ましくは実質的に除去可能であり、より好ましくは完全に除去可能である。誘電体マトリックス物質に実質的に悪影響を与えず、少なくとも部分的にポロゲンを除去できる任意の方法および条件が使用できる。ポロゲン除去プロセスによって誘電体の5%未満しか分解されず、または他の態様で影響されないことが好ましい。ポロゲンが実質的に除去、すなわち約20重量%未満のポロゲンが残留することがさらに好ましい。除去の典型的な方法としては、熱、圧力、真空への暴露、またはこれらに限定されるものではないが、活性放射線、赤外線(IR)、マイクロ波、UV、X線、ガンマ線、α粒子、中性子線、または電子線のような放射線への暴露があげられるが、これらに限定されるものではない。ポロゲンまたはポリマーの1以上の除去方法が使用することができ、たとえば熱および放射線の組み合わせを使用することができる。マトリックス物質が熱、またはUV光に暴露され、ポロゲンが除去されることが好ましい。原子引き抜きのような他のポロゲン除去方法を使用することもできることは、当業者には明らかであろう。
【0076】
本発明のポロゲンは、フォーミングガス又は他の不活性若しくは還元雰囲気などの真空、窒素、アルゴン、窒素及び水素の混合物下で熱的に除去されることができる。本発明のポロゲンは、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質の熱硬化温度より高く、熱分解温度よりも低い温度において除去されることができる。典型的には、本発明のポロゲンは150℃〜450℃の範囲の温度で除去され、好ましくは250℃〜425℃の範囲で除去される。典型的には、本発明のポロゲンは、1〜120分の範囲の時間での加熱により除去される。誘電体マトリックス物質からの除去の後、0から20重量%のポロゲンが、典型的には多孔質誘電体中に残留する。
【0077】
一つの態様において、本発明のポロゲンが放射線での露光により除去されるとき、典型的には、ポロゲンポリマーは窒素等の不活性雰囲気下で、限定はされないが可視又は紫外線等の放射線源で露光される。理論に拘束されることを望むものではないが、ポロゲン断片は、不活性ガス流の下で、たとえばラジカル分解によりマトリックス物質から除去されると考えられる。ポロゲン粒子が少なくとも部分的に除去されるように、放射線のエネルギー束は充分に高くなければならない。
【0078】
本発明の誘電体マトリックス組成物を調製するうえで、上記の反射防止ポロゲンは、最初にB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体の中で分散されるか又はその中で溶解される。本発明では、如何なる量の反射防止ポロゲンもB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体に混合されうる。使用されるポロゲンの量は、採用される特定のポロゲン、採用される特定のB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体及び結果として生じる多孔性誘電体に望まれる誘電率の減少の程度、および望まれる反射防止特性の程度に依存する。典型的には、使用される反射防止ポロゲンの量は、B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体の重量を基準にして、1〜90重量%であり、好ましくは10〜80重量%であり、より好ましくは15〜60重量%である。特に有用なポロゲンの量は、約1〜約60重量%である。
【0079】
使用される反射防止ポロゲンの量が多くなると、多孔質誘電体中の得られるポア密度も高くなり、誘電体層がより反射防止的となる。より少量の反射防止ポロゲンも、特に薄層の反射防止コーティングが誘電体に塗布される場合には、使用することができることは当業者にとっては明らかであろう。
【0080】
本発明の反射防止ポロゲンは、任意の公知の方法によりB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体と混合されることができる。典型的には、B‐ステージマトリックス物質は、最初に好適な高沸点溶媒、例えば、限定はされないが、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、2‐ヘプタノン、γ‐ブチロラクトン、ε‐カプロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール、n‐アミルアセテート、n‐ブチルアセテート、シクロヘキサノン、N‐メチル‐2‐ピロリドン、N,N’‐ジメチルプロピレンウレア、メシチレン、キシレン、又はこれらの混合物のような溶媒に溶解して溶液を形成する。反射防止ポロゲンは、それから溶液内で分散され又は溶解される。生じたディスパーションまたは溶液は、スピンコーティング、スプレーコーティング又はドクターブレーディング等の公知技術で基体上に堆積されて、フィルム又は層を形成する。
【0081】
基体上に堆積された後で、B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体は、それから実質的に硬化されて、実質的にポロゲン粒子を除去することなく硬質の架橋された有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成する。有機ポリシリカ誘電体の硬化は、公知の方法で行うことができ、縮合を誘発するための加熱又はオリゴマー又はモノマー単位のフリーラジカルカップリングを容易にするためのe−ビーム照射を含むが、これらに限定されない、いかなる公知の技術による方法でもよい。典型的には、B‐ステージ物質は、高温による加熱、例えばホットプレート等の一定温度においての直接加熱、又はステップワイズ法によるいずれの加熱でも硬化される。典型的には、有機ポリシリカ含有重合体ポロゲンは、約200℃〜約350℃の温度において最初にアニールされ、それから約400℃〜約450℃等のより高温に加熱され、少なくとも部分的にポロゲンを除去する。そのような硬化条件は、当業者により知られている。公知の方法では、ポロゲンはついで除去され、多孔質の有機ポリシリカ誘電体を形成する。
【0082】
本発明は、a)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体中に除去可能なポロゲンを配置し;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、多孔性有機ポリシリカ誘電体の製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法に関する。
【0083】
本発明の方法により作られる多孔性有機ポリシリカ誘電体は、低屈折率又は低誘電体が使用されうるすべての用途における使用に適している。本発明の多孔性誘電体が薄膜である場合は、絶縁体、反射防止コーティング、防音材、断熱材、絶縁材、光学的コーティング等として有用である。本発明の多孔性有機ポリシリカ誘電体は、多層集積回路の製造、例えば、マイクロプロセッサー、デジタル信号プロセッサー、メモリーチップ及びバンドパスフィルター等(ただしこれらに限定されるものではない)をはじめとする電子工学及び光電子工学デバイスに好ましく用いられ、それにより、それらの性能を向上させ、そしてそれらのコストを低減する。
【0084】
本発明の多孔質有機ポリシリカ誘電体は、特に、たとえば集積回路の製造のような電子デバイス製造の用途に好適である。すなわち、本発明は、a)ポロゲンを含むB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を基体上におき;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、電子デバイスの製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法に関する。
【0085】
反射防止ポロゲンがイメージング工程の前に除去される場合には、それらの反射防止の目的は達成されない。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、反射防止ポロゲンは誘電体層がイメージングされた後に除去される。すなわち、本発明は、a)ポロゲンを含むB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を基体上におき;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質の上にフォトレジストをおき、d)フォトレジストを露光し、e)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、電子デバイスの製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法を提供する。
【0086】
イメージの誘電体層への移行の後、フォトレジストは典型的には除去またはストリップされる。反射防止ポロゲンは誘電体マトリックス物質から、このストリッピング工程の間、またはその後の任意の工程の間に除去することができる。第1の金属層が堆積される後まで、反射防止ポロゲンが誘電体から除去されないことが好ましい。そのような金属層は典型的には堆積された後、ビアまたはトレンチのような開口部(凹部)のエッチングがされる。そのような金属層は1以上のバリア層、シード層、およびメタライゼーション層を含むことができる。「メタライゼーション層」は、実質的または完全に開口部を満たす金属層、すなわち開口部充填層をいう。典型的には、第1の金属層はバリア層またはシード層である。開口部が銅で充填される場合には、たとえば化学蒸着(CVD)または物理蒸着(PVD)により、バリア層が典型的に適用される。バリア層は典型的には銅と使用され、銅の誘電体中へのマイグレーションを防止し、典型的にはメタライゼーション層に比較して薄い。そのようなバリア層は導電性、半導電性、または非導電性であることができる。適当なバリア層としては、タンタル、窒化タンタル、窒化タンタルシリサイド、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、窒化タングステンシリサイドの1以上があげられるが、これらに限定されるものではない。1以上のバリア層を使用することができ、たとえばチタンの後に窒化チタンを、その後に任意に窒化チタンシリサイドを使用することができる。そのようなバリア層は別個の層であることができ、または段階的、たとえば底部のチタンから準化学量論的な窒化チタンを経て、上部層の化学量論的な窒化チタンであることができる。バリア層が存在することが好ましい。
【0087】
使用する場合には、シード層を第1の金属層として誘電体の上に、またはすでに堆積されたバリア層の上に適用することができる。好適なシード層は銅または銅アロイを含む。バリア層を使用しないでシード層が使用される場合、シード層が銅でないことが好ましい。そのようなシード層も、CVDまたはPVDにより堆積させることができ、メタライゼーション層に比較して薄い。別法として、シード層は無電解的に堆積させることができる。すなわち、シード層は無電解めっきのための触媒を含む。
【0088】
そのようなバリア層および/またはシード層堆積に続き、開口部はたとえば銅または銅アロイでメタライズされ、または充填される。そのようなメタライゼーションは任意の手段によることができるが、好ましくは少なくとも部分的に電解により、より好ましくは電解による。そのような開口部のメタライジング方法は当業者に公知である。たとえば、Shipley社から販売されるULTRAFILL(登録商標)2001EP銅堆積用薬品を、開口部の電解銅メタライゼーションに使用することができる。
【0089】
別法として、開口部はバリア層またはシード層を使用することなく、無電解的にメタライズまたは充填することができる。開口部が銅で無電解的にメタライズされる場合には、バリア層の存在が好ましい。堆積された金属層は典型的には平坦化される。それぞれの堆積された金属層が平坦化されることができるが、開口部充填金属層が平坦化されることが好ましい。反射防止ポロゲンが誘電体から、1以上の金属層が堆積された後に除去されることがさらに好ましい。少なくとも1つの金属層が堆積されたら、誘電体を実質的に劣化させることなく、先に記載された、少なくともポロゲンを部分的に除去する条件下に誘電体が暴露される。
【0090】
反射防止ポロゲンを除去すると、ボイドを有する多孔質誘電体が得られ、このボイドのサイズは、このポロゲンの粒子サイズと実質的に同じである。ボイドを有する、得られた誘電体は、そのようなボイドを有しない同様の物質に比較して、より低い誘電率を有する。
【0091】
平坦化の後に、好ましくは開口部充填金属層の平坦化の後に、ポロゲンを除去すると、誘電体マトリックスからのポロゲン成分の除去が容易となる。反射防止ポロゲンが第1の金属層の平坦化の後、好ましくはメタライゼーション層の平坦化の後に誘電体から除去されることがさらに好ましい。すなわち、本発明は、a)除去可能なポロゲンを含むB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体マトリックス組成物を基体表面上におく工程であって、該ポロゲンが1以上の発色団含有部位を含むものである工程;b)B‐ステージ誘電体マトリックス組成物を硬化して、ポロゲンを実質的に除去することなく誘電体マトリックス物質を形成する工程;c)誘電体マトリックス物質をパターニングする工程、d)誘電体の表面上に少なくとも1つのバリア層またはシード層を堆積させる工程、e)開口部充填金属層を堆積させる工程、f)開口部充填金属層を平坦化する工程、およびg)誘電体マトリックス物質を少なくとも部分的にポロゲンを除去して誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性誘電体を形成させる条件下に置く工程を含む、電子デバイスの製造方法を提供する。
【0092】
除去可能なポロゲンを含む有機ポリシリカ誘電体の層を含み、該除去可能なポロゲンが1以上の発色団含有部位を有するものである電子デバイスも、本発明により提供される。
【0093】
本発明の利点は、別途適用される反射防止コーティングの量を減少させ、またはそのようなコーティングの使用の必要なく、電子デバイスを製造できることである。すなわち、本発明は、有機ポリシリカ誘電体の上にレリーフイメージを形成する工程を含む電子デバイスの製造方法であって、該レリーフイメージが反射防止コーティング層を使用することなく形成される、電子デバイスの製造方法を提供する。使用される反射防止コーティングの量のそのような減少は、合計のプロセス時間を短くし、有機溶媒(すなわち揮発性の有機成分またはVOC)の量を減らし、製造コストを低減する。反射防止コーティングの不使用は電子デバイス製造に使用されるプロセス工程の合計数を減少させる。
【0094】
有機ポリシリカ誘電体及び金属層の多層を含む誘電体の多層が、上記の工程を繰り返すことにより引き続き適用されることができることを、当業者は認識するであろう。更に、当業者は、本発明の組成物が集積回路製造のいかなるそしてすべての方法において有用であることを認識するであろう。
【0095】
上記において有機ポリシリカ誘電体のための反射防止ポロゲンに関して説明されたが、そのような反射防止ポロゲンはヒドリドシルセスキオキサンから誘導される反射防止誘電体を調製するために好適に使用されることができることは、当業者には明らかであろう。すなわち、本発明は、B−ステージのヒドリドシルセスキオキサン誘電体およびポロゲンを含み、該ポロゲンが1以上の発色団を含む組成物を提供する。本発明はさらに、a)ポロゲンを含むB‐ステージヒドリドシルセスキオキサン誘電体を基体上におき;b)B‐ステージヒドリドシルセスキオキサン誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)少なくとも部分的にポロゲンを除去してヒドリドシルセスキオキサン誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性ヒドリドシルセスキオキサン誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、電子デバイスの製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法を提供する。好ましくは、反射防止ポロゲンはフォトレジストが露光またはパターン付けられた後に除去される。そのようなプロセスにおいては、別途の反射防止コーティング層の使用は、大きく減少されるかまたは必要が無くなる。
【0096】
本発明は以下の態様を包含する。
(1)多孔性有機ポリシリカ誘電体の形成に有用な組成物であって、除去可能なポロゲンを含み、該ポロゲンが1以上の発色団を含む、組成物。
(2)1以上の発色団が、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、アントラセニル、置換アントラセニル、フェナントレニル、置換フェナントレニル、および1以上の(C−C24)アルキル基を含むモノマーから選択される、前記(1)記載の組成物。
(3)1以上の発色団が、式Iを有するモノマーである、前記(2)記載の組成物:
【化3】

[式中、RはHまたはCHであり、Rはフェニル、ベンジル、
【化4】

から選択される。]
(4)1以上の発色団が、(C−C24)アルキル(メタ)アクリレートである、前記(2)記載の組成物。
(5)除去可能なポロゲンが、シリル含有モノマーまたはポリ(アルキレンオキサイド)モノマーから選択される1以上のモノマーの重合された単位をさらに含む、前記(1)記載の組成物。
(6)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体およびポロゲンを含み、該ポロゲンが1以上の発色団を含む、組成物。
(7)1以上の発色団が、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、アントラセニル、置換アントラセニル、フェナントレニル、置換フェナントレニル、および1以上の(C−C24)アルキル基を含むモノマーから選択される、前記(6)記載の組成物。
(8)除去可能なポロゲンが、シリル含有モノマーまたはポリ(アルキレンオキサイド)モノマーから選択される1以上のモノマーの重合された単位をさらに含む、前記(6)記載の組成物。
(9)シリル含有モノマーが、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)、アリルオキシ−tert−ブチルジメチルシラン、アリルオキシトリメチルシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−イソ−プロピルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリフェニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、エトキシジフェニルビニルシラン、メチルビス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエチルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、トリス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン、ビニルオキシトリメチルシラン又はこれらの混合物から選ばれる前記(8)記載の組成物。
(10)ポリ(アルキレンオキサイド)モノマーが、ポリ(プロピレンオキサイド)モノマー、ポリ(エチレンオキサイド)モノマー、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)モノマー、ポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)4−ノニルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレン/エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート又はそれらの混合物から選択される前記(8)記載の組成物。
(11)ポロゲンがさらに重合単位として1以上のフッ素化モノマーを含む、前記(6)記載の組成物。
(12)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質が、次式を有する前記(6)記載の組成物:
((RRSiO)(RSiO1.5(RSiO1.5(SiO
[式中、R、R、R及びRは水素、(C−C)アルキル、アリール及び置換アリールから独立に選択され;a,c及びdは0から1の独立した数であり;bは0.2から1の数であり;nは約3から約10,000の整数である;但し、a+b+c+d=1であり;R、R及びRの少なくとも一つは水素ではない。]
(13)ポロゲンが約0.5から約1000nmの範囲の粒子サイズを有する、前記(6)記載の組成物。
(14)粒子サイズが約0.5から約200nmの範囲である、前記(13)記載の組成物。
(15)ポロゲンが実質的にB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質と相溶性である、前記(6)記載の組成物。
(16)a)ポロゲンを含むB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を基体上におき;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、電子デバイスの製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法。
(17)a)ポロゲンを含むB‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を基体上におき;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質の上にフォトレジストをおき、d)フォトレジストを露光し、e)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、電子デバイスの製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法。
(18)1以上の発色団が、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、アントラセニル、置換アントラセニル、フェナントレニル、置換フェナントレニル、および1以上の(C−C24)アルキル基を含むモノマーから選択される、前記(17)記載の方法。
(19)除去可能なポロゲンが、シリル含有モノマーまたはポリ(アルキレンオキサイド)モノマーから選択される1以上のモノマーの重合された単位をさらに含む、前記(17)記載の方法。
(20)シリル含有モノマーが、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)、アリルオキシ−tert−ブチルジメチルシラン、アリルオキシトリメチルシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−イソ−プロピルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリフェニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、エトキシジフェニルビニルシラン、メチルビス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエチルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、トリス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン、ビニルオキシトリメチルシラン又はこれらの混合物から選ばれる前記(19)記載の方法。
(21)ポリ(アルキレンオキサイド)モノマーが、ポリ(プロピレンオキサイド)モノマー、ポリ(エチレンオキサイド)モノマー、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)モノマー、ポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)4−ノニルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレン/エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート又はそれらの混合物から選択される前記(19)記載の方法。
(22)ポロゲンがさらに重合単位として1以上のフッ素化モノマーを含む、前記(17)記載の方法。
(23)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質が、次式を有する前記(17)記載の方法:
((RRSiO)(RSiO1.5(RSiO1.5(SiO)d)
[式中、R、R、R及びRは水素、(C−C)アルキル、アリール及び置換アリールから独立に選択され;a,c及びdは0から1の独立した数であり;bは0.2から1の数であり;nは約3から約10,000の整数である;但し、a+b+c+d=1であり;R、R及びRの少なくとも一つは水素ではない。]
(24)ポロゲンが約0.5から約1000nmの範囲の粒子サイズを有する、前記(17載の方法。
(25)粒子サイズが約0.5から約200nmの範囲である、前記(24)記載の方法。
(26)a)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体中に除去可能なポロゲンを配置し;b)B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体を硬化して、ポロゲンを実質的に劣化することなく有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を形成し;c)少なくとも部分的にポロゲンを除去して有機ポリシリカ誘電体を実質的に劣化させることなく多孔性有機ポリシリカ誘電体を形成させる条件下に、有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質を置くことを含む、多孔性有機ポリシリカ誘電体の製造方法であって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む方法。
(27)ポロゲンを含む有機ポリシリカ誘電体の層を有する電子デバイスであって、該ポロゲンが1以上の発色団を含む電子デバイス。
(28)有機ポリシリカ誘電体マトリックス物質が、次式を有する前記(27)記載のデバイス:
((RRSiO)(RSiO1.5(RSiO1.5(SiO
[式中、R、R、R及びRは水素、(C−C)アルキル、アリール及び置換アリールから独立に選択され;a,c及びdは0から1の独立した数であり;bは0.2から1の数であり;nは約3から約10,000の整数である;但し、a+b+c+d=1であり;R、R及びRの少なくとも一つは水素ではない。]
(29)1以上の発色団が、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、アントラセニル、置換アントラセニル、フェナントレニル、置換フェナントレニル、および1以上の(C−C24)アルキル基を含むモノマーから選択される、前記(27)記載のデバイス。
(30)有機ポリシリカ誘電体の上にレリーフイメージを形成する工程を含む電子デバイスの製造方法であって、該レリーフイメージが反射防止コーティング層を使用することなく形成される、電子デバイスの製造方法。
次の実施例が本発明の更に種々の態様を例示するため提示されるが、如何なる意味においても発明の範囲を制限するものとは意図されない。
【実施例】
【0097】
実施例1
248nm、193nm、および157nmのような、異なる波長のための1以上の発色団を有する種々のポリマー性ポロゲンサンプルが調製された。これらのサンプルは、異なる分子量を有する様々な入手可能なメチルシルセスキオキサン(「MeSQ」)と混合された。試験される種々の市販のMeSQ試料が、表1に報告されている。MeSQ試料A及びBは、メチルシルセスキオキサンだけであり、試料Cはメチルフェニルシルセスキオキサンである。ポロゲン試料は、ポロゲン試料を調製するのに使用されるモノマーを、使用されるモノマーの合計重量に基づくモノマー重量比とともに表2に報告される。ポロゲンはMeSQマトリックスと、ポロゲンの異なる充填量で混合され、その充填量は表2に、重量%で示される。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
実施例2
多孔性誘電フィルムは、本発明のポリマーポロゲンを使用して調製された。試料は、MeSQマトリックスC(0.0265g)及びMeSQマトリックスA(0.21g)を、重合単位としてANTMA/PEGMEMA475/VTMOS/TMPTMA(35/33/25/7)を有する反射防止ポロゲンと、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート中で混合することにより調製された。反射防止ポロゲンはMeSQサンプル中に、50重量%の量で充填された。試料は、スピンキャスティングを使用してシリコンウェーハ上に約1.3ミクロンの薄いコーティングとして堆積された。厚さは、持続時間、及びスプレッドサイクル、乾燥サイクル及び最終スピンサイクルのスピン速度で調節された。ウェーハは、それから150℃で1分間加工し、続いてアルゴン雰囲気下でパイレックス(登録商標)容器中で200℃にオーブン内で30分加熱された。フォトレジストUV6(Shipley社製)を、反射防止ポロゲンを含む硬化された誘電体上に塗布した。フォトレジストは次いで、248nmでフォトマスクを通して露光された。フォトレジストが現像され、誘電体層がエッチングされ、残留するフォトレジストが次いで除去された。ウエハーはついで200℃で炉内におかれ、炉はついで10℃/分の速度で420℃まで加熱され、この温度に60分間保持された。ポリマー粒子の分解はこの温度で達成された。
【0101】
実施例3
実施例2の手順が、反射防止ポロゲン、HA/MMA/VTMOS/TMPTMA(45/20/10/25)を使用して繰り返された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体およびポリマーポロゲンを含む組成物であって、ポロゲンが、アントラセニル、置換アントラセニル、フェナントレニル、および置換フェナントレニルを含むモノマーから選択される1以上の発色団を含み;ポロゲンが、B‐ステージ有機ポリシリカ誘電体に可溶性又は混和性である、組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物から形成される有機ポリシリカ誘電体の層を含む電子デバイス。

【公開番号】特開2007−238957(P2007−238957A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150981(P2007−150981)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【分割の表示】特願2001−312551(P2001−312551)の分割
【原出願日】平成13年10月10日(2001.10.10)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】