説明

多孔性有機金属錯体、その製造方法、それを用いる不飽和有機分子の吸蔵方法及び分離方法

【課題】多孔性有機金属錯体を提供すること。
【解決手段】金属イオン、不飽和有機分子と親和性を有しており、該金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子から構成される多孔性有機金属錯体。
不飽和有機分子と親和性を有しており、金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子は、例えば、式(1)又は式(2)


(式中、X1〜X8は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基又は炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、
ここで、X1〜X8において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
1〜X8において、隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい)
で表される有機配位子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不飽和有機分子を吸蔵しうる多孔性有機金属錯体、その製造方法、不飽和有機分子の吸蔵方法及び分離方法に関する。更に詳しくは、本発明は、芳香族有機分子の吸蔵方法及び分離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力スイング法や温度スイング法により混合ガスから所望の有機分子を分離する際には、一般に分離吸着剤として活性炭、ゼオライト等を使用し、その平衡吸着量又は吸着速度の差により分離されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、平衡吸着量の差により分離する場合、これまでの吸着剤では片方の物質(ガス)のみを選択的に吸着することができないため、分離係数が小さくなり、装置の大型化を招いていた。一方、吸着速度の差により分離する場合、ガスの種類によっては片方の物質(ガス)のみを吸着できるが、短時間で吸着と脱着を交互に行う必要があり、装置の大型化を招いていた。
【0004】
【非特許文献1】「最新吸着技術便覧」第1版、(株)エヌ・ティー・エス出版、p.102-127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、工業的に有用な不飽和有機分子を高選択的に吸着できる吸着剤や、分離性能の高い分離材を提供することにある。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供するものである。
[1]: 金属イオン、不飽和有機分子と親和性を有しており、該金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子、及び必要により2座配位可能な有機配位子から構成される多孔性有機金属錯体。
[2]: 不飽和有機分子と親和性を有する2座以上で配位可能な有機配位子が、式(1)又は式(2)

(式中、X1〜X8は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基又は炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、
ここで、X1〜X8において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
1〜X8において、隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい)
で表される配位子である上記[1]に記載の多孔性有機金属錯体。
[3]: 不飽和有機分子と親和性を有しており、金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子が、式(3)、式(4)又は式(5)



(式中、R1〜R18は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基は炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、
ここで、R1〜R18において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
1〜R18において、隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい)
で表される配位子であり、2座配位可能な有機配位子が、式(6)または式(7)


(式中、R19〜R22は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基又は炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、
ここで、R19〜R22において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
19〜R22において、隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい。)
で表される配位子である上記[1]に記載の多孔性有機金属錯体。
[4]: 不飽和有機分子を細孔内に吸着した上記[1]に記載の多孔性有機金属錯体。
[5]: 金属イオンの塩、該金属イオンに2座配位可能な不飽和有機分子と親和性を有する上記[2]に記載の有機配位子、及び必要により2座配位可能な有機配位子を溶媒中、反応させることを特徴とする上記[1]に記載の多孔性有機金属錯体の製造方法。
[6]: 不飽和有機分子を上記[1]に記載の多孔性有機金属錯体の細孔内に吸着することによる不飽和有機分子の吸蔵方法。
[7]: 不飽和有機分子を、上記[1]に記載の多孔性金属錯体との吸着力の差により分離する分離方法。
[8]: 不飽和有機分子と飽和有機分子非共役系化合物の混合物から、不飽和有機分子を上記[1]に記載の多孔性有機金属錯体に優先的に吸着させることにより分離する不飽和有機分子の分離方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来の多孔性材料では困難であった不飽和有機分子の効率的な分離方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で使用される多孔性有機金属錯体は、金属イオン、不飽和有機分子と親和性を有しており、該金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子、及び必要により2座配位可能な有機配位子から構成される多孔性有機金属錯体である。
【0009】
金属イオンとしては、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、鉛、マンガン等のイオンが挙げられる。好ましくは亜鉛イオンが挙げられる。
【0010】
不飽和有機分子と親和性を有する前記金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子としては、前記式(1)で示される7,7,8,8-テトラシアノ-p-キノジメタン(以降TCNQと略す)誘導体、前記式(2)で示されるTCNQ2量体の誘導体が挙げられる。
【0011】
前記式(1)又は(2)の置換基X1〜X8において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示される。
【0012】
置換基X1〜X8において、炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びn−エイコシル基が例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、これらのアルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0013】
置換基X1〜X8において、炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが例示され、好ましはフェニル基が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、これらのアリール基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0014】
置換基X1〜X8において、炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが例示され、好ましくはベンジル基が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、これらのアラルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0015】
置換基X1〜X8において、炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが例示され、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、これらのアルコキシ基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0016】
置換基X1〜X8において、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素原子数6〜20のアリールオキシ基などが例示される。
ハロゲン置換の炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、上記炭素原子数6〜20のアリールオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0017】
置換基X1〜X8おいて、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、これらのアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0018】
1〜X8において、結合位置が隣接する2つの置換基は、任意に結合して環を形成していてもよい。
【0019】
1〜X8において結合位置が隣接する2つの置換基が結合して形成される環としては、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などが例示される。 その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが例示される。
【0020】
必要により使用される2座配位可能な有機配位子としては、例えば、ピラジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4’−ジシアノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、トリエチレンジアミン(ted)、4,4’−ビピリジル(bpy)等が挙げられる。
【0021】
不飽和有機分子と親和性を有する前記金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子としては、前記式(3)、(4)および(5)で示される配位子が挙げられる。また、2座配位可能な有機配位子としては、前記式(6)および(7)の配位子が上げられる。
【0022】
前記式(3)、(4)、(5)、(6)および(7)の置換基R1〜R22において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示される。
【0023】
置換基R1〜R22において、炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びn−エイコシル基が例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数1〜20のアルキル基の具体例としては、これらのアルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0024】
置換基R1〜R22において、炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが例示され、好ましはフェニル基が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、これらのアリール基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0025】
置換基R1〜R22において、炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが例示され、好ましくはベンジル基が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、これらのアラルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0026】
置換基R1〜R22において、炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが例示され、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
ハロゲン置換炭素原子数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、これらのアルコキシ基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0027】
置換基R1〜R22において、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素原子数6〜20のアリールオキシ基などが例示される。
ハロゲン置換炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、上記炭素原子数6〜20のアリールオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0028】
置換R1〜R22おいて、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。
【0029】
ハロゲン置換炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、これらのアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
【0030】
1〜R22において、結合位置が隣接する2つの置換基は、任意に結合して環を形成していてもよい。
【0031】
1〜R22において結合位置が隣接する2つの置換基が結合して形成される環としては、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換された、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などが例示される。 その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが例示される。
【0032】
本発明で使用される有機金属錯体は、例えば、Chem. Mater. 1999, 11, 736記載の方法と同様にして、不飽和有機分子と親和性を有する前記金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子の塩、金属イオンの無機塩及び必要により使用される2座配位可能な有機配位子を溶液中で反応させることにより合成できる。
【0033】
本反応で使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の飽和炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトン等の有機溶媒、水等が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上を混合して使用することができる。
【0034】
本反応の反応温度は、通常-20〜150℃程度であり、好ましくは0℃〜100℃、更に好ましくは10〜50℃で実施される。
【0035】
本発明で吸蔵される不飽和有機分子の例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、ベンゾニトリル、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン、ニトロベンゼン、シクロヘキサジエン、シクロヘキセン、ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン等が挙げられる。
【0036】
本発明の多孔性有機金属錯体の細孔内にモノマーを収容する方法としては、モノマーがガス又は液体の場合には、例えばAngew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 140記載の方法と同様に、多孔性金属錯体とモノマーを直接接触させる方法が挙げられる。また、モノマーを適当な有機溶媒に溶解させた後、多孔性金属錯体と接触させてもよい。ここで使用される有機溶媒の例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
【0037】
本発明の多孔性有機金属錯体の細孔内には不飽和有機分子を選択的に貯蔵することができる。また、不飽和有機分子と飽和有機分子の混合物中から、不飽和有機分子のみを選択的に貯蔵することにより、不飽和有機分子を分離することができる。
【0038】
本発明で吸蔵されずに不飽和有機分子と分離される飽和有機分子の例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、ノルボルナン等が挙げられる。
【0039】
本発明の方法により貯蔵された不飽和有機分子を取り出す必要があれば、例えば直接有機溶媒で抽出する方法、多孔性有機金属錯体を溶媒で溶解又は酸性もしくはアルカリ性水溶液にて分解する方法等により取り出すことができる。また、多孔性有機金属錯体を加熱かつ/または減圧処理することにより、貯蔵した不飽和有機分子を取り出すこともできる。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
[実施例1] (多孔性有機金属錯体単結晶の合成)
窒素雰囲気下、シュレンク管に、硝酸亜鉛6水和物30mg(0.1mmol)、メタノール10mL、ベンゼン10mLを仕込み、溶解させる。この溶液の上部に、TCNQリチウム塩21mg(0.1mmol)と4,4’−ビピリジル16mg(0.1mmol)のメタノール10mL、ベンゼン10mL溶液を室温で静かに加え、2層を形成させる。このまま3日間放置することにより、緑色の結晶が生成する。得られた結晶を濾別することにより、{[Zn(μ4-TCNQ-TCNQ)bpy]・1.5benzene}nを得た。
(単結晶X線構造解析結晶データ)
Orthorhombic (Pccm)
a=11.371(3)Å
b=12.656(3)Å
c=14.765(4)Å
V=2124.7(9)Å
Z=2
R1=0.053
Rw=0.057
【0042】
[実施例2〜6]
実施例1において、ベンゼンに替えて表1に示す芳香族溶媒を使用する以外は実施例1と同様にして、芳香族溶媒分子を内包した錯体を得た。単結晶X線構造解析結晶データを表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
[実施例7] (多孔性有機金属錯体の大量合成)
窒素雰囲気下、硝酸亜鉛6水和物297mg(1mmol)、メタノール50mL、ベンゼン50mLを仕込み、溶解させる。この溶液中に、TCNQリチウム塩442mg(2mmol)と4,4’−ビピリジル156mg(1mmol)のメタノール50mL、ベンゼン50mL溶液を攪拌下20℃で滴下する。得られた緑色の結晶を濾別することにより、{[Zn(μ4-TCNQ-TCNQ)bpy]・1.5benzene}nを得た。収率93%。
(元素分析)C43H25N10Zn 計算値:C, 69.17; H, 3.37; N, 18.75
測定値:C, 68.48; H, 3.58; N, 18.65
【0045】
[実施例8] (ベンゼンとシクロヘキサンの分離方法)
減圧(<10〜5kPa)下、130℃で10時間かけて吸着されていたベンゼンを除去した[Zn(μ4-TCNQ-TCNQ)bpy]nを、ベンゼン1mL及びシクロヘキサン1mLの混合液の蒸気中に、室温で5時間曝露させた。ガスを吸蔵した錯体をDMSO-d6に溶解し、1H-NMRにて吸蔵されたガスの成分を定量した。その結果、吸蔵されたベンゼン/シクロヘキサンのモル比は25/1であった。
【0046】
[実施例9,10]
実施例8において、曝露する混合液の組成を以下のように設定する以外は実施例8と同様にして吸蔵量の比を測定した。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
[実施例11] (多孔性有機金属錯体単結晶の合成)
大気雰囲気下、試験管に、硝酸亜鉛6水和物30mg(0.1mmol)、4,4’−ビピリジル16mg(0.1mmol)、DMF1mLを仕込み、溶解させる。この溶液に2,7−ナフタレンジカルボン酸21mg(0.1mmol)を加え、室温で攪拌する。そして1日間120℃で加熱し、1日かけて放冷することにより、無色透明の結晶が生成する。得られた結晶を濾別することにより、[Zn(ndca)bpy]]nを得た。
(単結晶X線構造解析結晶データ)
Monoclinic (C2/c)
a = 16.14(4)Å
b = 11.35(3)Å
c = 24.67(9)Å
β = 102.11(7) degree
V = 4419(22)
R1=0.0652
Rw=0.1829
Z = 8
【0049】
[実施例12] (ベンゼンとシクロヘキサンの分離方法)
減圧(<10〜5kPa)下、130℃で10時間かけて吸着されていたベンゼンを除去した[Zn(μ4-TCNQ-TCNQ)bpy]nを、ベンゼン1mL及びシクロヘキサン1mLの混合液の蒸気中に、室温で5時間曝露させた。ガスを吸蔵した錯体をDMSO-d6に溶解し、1H-NMRにて吸蔵されたガスの成分を定量した。その結果、吸蔵されたベンゼン/シクロヘキサンのモル比は25/1であった。
120℃で1時間真空乾燥をした[Zn(ndca)bpy]]nを、ベンゼン1mL及びシクロヘキサン1mLの混合液の蒸気中に、室温で40時間暴露させた。ガスを吸蔵した錯体に、水酸化カリウムの重メタノール溶液を加え溶解し、1H-NMRにて吸蔵されたガスの成分を定量した。その結果、吸蔵されたベンゼン/シクロヘキサンのモル比は22/1であった。
【0050】
[実施例13] (ベンゼンとシクロヘキサンの吸着等温線)
[Zn(ndca)bpy]]nを用い、ベンゼン及びシクロヘキサンの吸着挙動を測定した(装置名: Belsorp 18 PLUS、測定温度: 25℃)。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例8のNMRチャートである。
【図2】実施例9のNMRチャートである。
【図3】実施例10のNMRチャートである。
【図4】実施例8に準じて行った実験の粉末X線回折のパターンである。
【図5】実施例13のベンゼン及びシクロヘキサンの吸着等温線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオン、不飽和有機分子と親和性を有しており、該金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子から構成される多孔性有機金属錯体。
【請求項2】
さらに、2座配位可能な有機配位子が配位されている請求項1記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項3】
不飽和有機分子と親和性を有しており、金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子が、式(1)又は式(2)

(式中、X1〜X8は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基又は炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、
ここで、X1〜X8において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
1〜X8において、結合位置が隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい)
で表される配位子である請求項1又は2に記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項4】
不飽和有機分子と親和性を有しており、金属イオンに2座以上で配位可能な有機配位子が、式(3)、式(4)又は式(5)

(式中、R1〜R18は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基は炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、
ここで、R1〜R18において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
1〜R18において、結合位置が隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい。)
で表される配位子であり、
2座配位可能な有機配位子が、式(6)または式(7)

(式中、R19〜R22は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基又は炭素数7〜20のアラルキルオキシ基を表し、
ここで、R19〜R22において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
19〜R22において、結合位置が隣接する基はそれぞれ任意に結合して環を形成していてもよい)
で表される配位子である請求項2に記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項5】
金属イオンが、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、鉛及びマンガンからなる群から選択される金属イオンである請求項1、2、3又は4記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項6】
金属イオンが、亜鉛イオンである請求項1、2、3又は4記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項7】
不飽和有機分子を細孔内に吸着した請求項1、2、3又は4記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項8】
不飽和有機分子が、芳香族化合物である請求項7記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項9】
不飽和有機分子が、ベンゼンである請求項7記載の多孔性有機金属錯体。
【請求項10】
請求項5記載の金属イオンの塩、該金属イオンに2座配位可能な不飽和有機分子と親和性を有する請求項3記載の式(1)又は式(2)で表される有機配位子、及び2座配位可能な有機配位子を溶媒中で反応させることを特徴とする請求項3記載の多孔性有機金属錯体の製造方法。
【請求項11】
請求項5記載の金属イオンの塩、該金属イオンに2座配位可能な不飽和有機分子と親和性を有する請求項4記載の式(3)、式(4)又は式(5)で表される有機配位子、及び2座配位可能な有機配位子を溶媒中で反応させることを特徴とする請求項4記載の多孔性有機金属錯体の製造方法。
【請求項12】
不飽和有機分子を請求項1、2、3又は4記載の多孔性有機金属錯体の細孔内に吸着することを特徴とする不飽和有機分子の吸蔵方法。
【請求項13】
不飽和有機分子が、芳香族化合物である請求項12記載の吸蔵方法。
【請求項14】
不飽和有機分子が、ベンゼンである請求項12記載の吸蔵方法。
【請求項15】
不飽和有機分子を、請求項1、2、3又は4記載の多孔性金属錯体との吸着力の差により分離する分離方法。
【請求項16】
不飽和有機分子と飽和有機分子非共役系化合物の混合物から、不飽和有機分子を請求項1、2、3又は4記載の多孔性有機金属錯体に優先的に吸着させることにより分離する不飽和有機分子の分離方法。
【請求項17】
不飽和有機分子が、芳香族化合物である請求項15又は16記載の分離方法。
【請求項18】
不飽和有機分子が、ベンゼンである請求項15又は16記載の分離方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−247884(P2008−247884A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227443(P2007−227443)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年3月12日 社団法人日本化学会主催の「第87春季年会」において文書をもって発表 平成19年8月17日 J.AM.CHEM.SOC.においてWeb(http://pubs.acs.org/cgi−bin/abstract.cgi/jacsat/asap/abs/ja073505z.html)を通じて発表
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】