説明

多孔性網状化複合材料の作製のためのプロセス

本発明は、多孔性網状化複合材料およびこれを作製する方法に関する。特に、本発明は、多孔性複合材料の作製のためのプロセスに関し、このプロセスは、流動可能な混合物を提供する工程を包含し、少なくとも1種の無機性網状化剤および/または有機性網状化剤を含む工程;ポリマーまたはポリマー混合物から選択される少なくとも1種のマトリクス材料を含む工程;ならびにその液体混合物を凝固させる工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、多孔性網状化複合材料およびその生産方法に関する。具体的には、本発明は多孔性複合材料の生産プロセスに関し、このプロセスは、少なくとも1種の無機網状化剤および/または有機網状化剤;ポリマーまたはポリマー混合物から選択される少なくとも1種のマトリクス材料を含む流動可能な混合物を提供する工程;および、この液体混合物を凝固させる工程を包含する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多孔性材料は、産業における異なる適用分野、例えば液体混合物のろ過および分離のための膜、マイクロエレクトロニクスにおけるセンサ、電極、誘電性材料、生物医薬分野における移植可能な材料または薬物キャリア、電解キャパシタ、触媒表面などに関して、重要であり得る。
【0003】
また、複合材料は、機械構築物(例えば、航空工学または自動車工学)、医療工学、膜技術および他の利用分野において重要であり得る。複合材の使用は、異なる物理化学特性を有する異なる材料の組み合わせを可能にし、完全に新規な特性または少なくとも改善した特性を有する複合材料を生じる。従って、複合材は、非複合材料と比較する場合、より少ない総重量において同等または優れた安定性、生体適合性および/または強度を示し得る。
【0004】
複合材は、例えば、複合材料の原料となる成分を適切に選択することによって、材料特性(例えば、熱遮断または電気的絶縁、熱膨張係数、腐食特性、吸収特性、または熱エネルギーおよび/もしくは電気エネルギーの伝導性、音響の伝導、熱耐性もしくは化学耐性など)の別個の調節を可能にし得る。多孔性複合材料はコーティング技術において、例えば、特定の物理特性、電気特性、磁気特性または光学特性によって材料を機能化するために益々注目される。従って、これら材料は、光起電力効果技術、センサ技術、触媒技術または電気彩色ディスプレイ技術においても重要であり得る。
【0005】
従来より、多孔性複合材料は代表的には焼結方法により調製される。ファイバー、樹状または球状形成した前駆体粒子を含む粉末は、型枠中に圧縮されるかまたは押し出され、次いで焼結プロセスに供される。このような材料において、材料の硬さ、細孔サイズおよび表面積は、実際に使用される粉末中の粒子のパッケージ化密度、サイズ、形状および組成に依存する。
【0006】
これらの方法の1つの欠点は、細孔サイズの調節がほとんど制御することができない可能性があることである。そして、機械的特性は、特に細孔サイズ、気孔率または表面積に依存して十分に調整できない。具体的には、焼結プロセスのパラメータもまた、多孔性材料の強度、細孔サイズおよび表面積に影響を与え得る。代表的に、細孔サイズは、さらなる材料を添加することにより巨大な細孔サイズを低下させて均質な細孔サイズ分布を改善するため、追加の処理工程、例えば、ガス相からの沈着、電気メッキまたは非電気メッキにおいて、後から調節されなければならないかもしれない。しかしながら、これらの方法は、これらの多孔性材料において利用可能な表面の低下を招く。他の方法は、スラリーを用いた焼結前の多孔性材料のスプレーコーティング工程、その後の乾燥工程および再度の焼結工程に基づく。これらの方法は、スラリーから多孔性焼結化構造物への材料の細孔の拡散、および特に異なる熱膨張係数および材料の収縮により引き起こされる、第二処理工程において配置された材料の不十分な接着を招く。
【0007】
国際特許出願第WO04/054625号(特許文献1)において、未だ焼結前の多孔性材料が粉末化ナノ粒子材料によってコーティングされ、続いて再焼結される。国際特許出願第WO99/15292号(特許文献2)において、多孔性の繊維含有複合構造物は、繊維の分散物から、結合剤を使用し、続いて焼結処理前、処理中または処理後のその混合物のガス化により取得される。
【0008】
上記方法のさらなる欠点は、焼結方法が代表的に高温で実施され、これによってその焼結温度がポリマー成分の融点を超える場合、ポリマーと無機成分および/または有機成分との多孔性複合材を生産することを不可能にする。従って、これら方法の特定の欠点はまた、材料が、安定な二次元構造または三次元構造へとコストの高い成形処理において処理され、そして代表的に材料の脆弱性に起因して制限される形態のみが可能である。
【0009】
さらに、従来の方法による材料の処理は、しばしばいくつかの後処理工程を必要とし、そして焼結工程は、本質的に、必要上使用される条件に起因して無機複合材に限定される。
【特許文献1】国際特許出願第WO04/054625号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願第WO99/15292号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
特に、個々の適用分野の特定の要求に対してその物理化学特性を適合できる材料に対して、改善した特性を有する多孔性複合材料の提供の必要性が存在し得る。さらに、例えば成分の適切な組み合わせによって、多孔性複合材料をさらに機能化する必要性が存在し得、このことは、特定の電気的特性、誘電特性、磁気特性または光学特性(例えば、半導体特性、イオン電導特性、磁気特性または超電導特性)を含み得る。
【0011】
さらに、コスト効率のよい様式で生産され、高圧および/または高温を適用する場合のエネルギー消費についての高額なコストを避け得る多孔性複合材料の必要性が存在し得る。さらに、粉末ベースの焼結方法において、材料の欠陥(flaw)および不完全性が比較的頻繁に生じる、すなわち、粉末焼結化材料はしばしば、特にコーティングの場合、所望の均一性を欠いている。
【0012】
本発明の1つの目的は、例えば多孔性複合材料、例えば有機粒子および/または無機粒子ならびに無機マトリクス材料および/または有機マトリクス材料に基づく多孔性複合材料を提供することであり、この材料はその特性を容易に改変され得る。例えば、熱膨張係数、電気的特性、誘電特性、導電特性または半導体特性、および磁気特性または光学的特性の調節、ならびに/またはさらに物理化学的特性は、本発明の例示の実施形態により容易にできる。
【0013】
本発明のさらなる目的は、例えば、調節可能な、好ましくは自己組織化する、ネットワーク様構造特性の提供であり、例えばこれら特性は、同じ材料に基づいて、好ましくは材料の化学的安定性および/または物理的安定性を実質的に低下させずに、任意の可能性ある二次元構造および三次元構造、ならびに微細構造の作製(例えば、気孔率の個々の調節)を可能にする。
【0014】
本発明のさらなる目的は、例えば、所望の特性を有するコーティング材料およびバルク材料として使用され得る材料を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、例えば多孔性網状化複合材料の作製方法の提供であり、該複合材料は、コスト効率の良い様式、好ましくは二、三の処理工程のみで、安価でありかつ特性において広範に変動性の出発物質から作製され得る。
【0016】
本発明のさらなる目的は、例えば多孔性複合材料の製造方法の提供であり、該複合材料は、例えば、熱膨張係数、電気的特性、誘電特性、伝導特性、半導体特性、磁気特性または光学特性の個々の調節を可能にし得る。
【0017】
例えば、本発明のこれらの目的および他の目的は、多孔性複合材料の生産プロセスを提供する本発明の例示的な1実施例により達成することができ、以下の工程:
a)以下:
i)少なくとも1種の網状化剤;
ii)少なくとも1種のポリマーを含む少なくとも1種のマトリクス材料;
を含む液体混合物を提供する工程;および
b)上記液体混合物を凝固させる工程
を包含する。
【0018】
本発明のさらなる例示の実施形態において、上記のプロセスにおいて使用される液体混合物は、少なくとも1種の溶媒を含み、そして分散物、懸濁物、エマルジョンもしくは溶液のうちの少なくとも1種を含み得るか、またはこの液体混合物は実質的に溶媒を含まなくてもよい。
【0019】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記のプロセスにおいて使用される網状化剤は、粒子の形態(例えば、ナノ結晶粒子またはミクロ結晶粒子)であり得る。これら粒子は、同じ材料または異なる材料の少なくとも2種の粒子サイズの画分であって、少なくとも1.1倍または少なくとも2倍サイズが異なる画分を含み得る。また、網状化剤はチューブ、ファイバーまたはワイヤから選択される形態を有し得る。
【0020】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記のプロセスにおいて使用される網状化剤としては、無機材料(例えば、金属、金属化合物、金属酸化物、半導体金属化合物、炭素種(例えば、カーボンファイバー、グラファイト、すす、カーボンブラック、フラーレンまたはナノチューブ))を挙げることができる。あるいはその網状化材料としては、有機材料(例えば、ポリマー、オリゴマーまたはプレポリマー)から作製される粒子状の有機材料または有機性ファイバー(例えば、脂肪族ポリオレフィンもしくは芳香族ポリオレフィンの合成ホモポリマーもしくはコポリマー(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)、または生物ポリマー)を挙げることができる。
【0021】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記のプロセスにおいて使用される網状化剤は、少なくとも1種の有機材料と組合わせた少なくとも1種の無機材料、または少なくとも1種の粒子状材料と、チューブ、ファイバーもしくはワイヤから選択される形態を有する少なくとも1種の材料との組合わせを含み得る。
【0022】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記のプロセスにおいて使用されるマトリクス材料としては、以下を挙げることができる:オリゴマー、ポリマー、コポリマーまたはプレポリマー、熱硬化性物、熱可塑性物、合成ゴム、押出し成形可能なポリマー、射出成形ポリマーまたは成形可能なポリマー(例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、エポキシポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、ポリオレフィン、ゴムラテックス、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェノール、ポリシリコーン、ポリアセタール、セルロースまたはセルロース誘導体)。
【0023】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記プロセスにおいて使用される液体混合物は、さらなる添加物(例えば、架橋剤、充填剤、界面活性剤、酸、塩基、細孔形成剤、可塑剤、潤滑剤、防火剤、生物学的に活性な化合物、治療活性な化合物、診断目的の薬剤、またはマーカー)を含み、そして液体混合物は、例えば、20%重量未満の総固体含量を有し得る。
【0024】
さらに、本発明の例示の実施形態において、上記プロセスにおいて使用される網状化剤は、ネットワーク様構造を形成可能な材料、および/または三次元構造へと自己配向可能な材料から選択され得る。
【0025】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記プロセスにおいて使用される液体混合物中の網状化剤 対 マトリクス成分の比は、固相中の三次元ネットワークが溶媒の除去の際に形成されるか、または凝固の間に溶媒を含まない混合物の粘度変化の間に形成される(例えば、凝固の間に溶媒相と固体相との間の相分離が生じることによる)ように適切に選択される。
【0026】
本発明のさらに例示の実施形態において、上記プロセスにおいて使用される凝固工程としては、熱処理、乾燥工程、凍結乾燥工程、減圧の適用(例えば、溶媒の蒸発)または架橋工程を挙げることができ、ここで架橋工程は化学的、熱的または放射線によって誘導され得る。
【0027】
本発明のなお別の例示の実施形態において、上記プロセスにおいて使用される凝固工程としては、液体混合物中での固相と液相への相分離、または液体混合物からの固体の沈殿(例えば、溶媒除去の前もしくは溶媒除去によるもの)、および/またはマトリクス材料を架橋することによるものを挙げることができる。
【0028】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記プロセスにおいて使用される相分離または沈殿は、液体混合物の粘度の上昇によって誘導でき、このことは、例えば、架橋工程、硬化工程、乾燥工程、急速な温度上昇工程、急速な温度低下工程、または急速な溶媒除去工程により引き起こされ得る。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、上記プロセスにおいて使用されるマトリクス材料は、凝固の間に実質的に分解されず、その結果、例えば網状化剤が最終の複合材料においてポリマー性マトリクス材料中に包埋される。
【0030】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記プロセスにおいて使用される液体混合物は、少なくとも1種の架橋剤を含み得る。この架橋剤は、凝固工程前の液体混合物の処理の間に架橋化が本質的に系の粘度変化を生じず、そして/または架橋化反応が凝固の間にのみ本質的に開始するように、適切に選択され得る。
【0031】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、網状化剤が、すす、フラーレン、カーボンファイバー、シリカ、二酸化チタン、金属粒子、タンタル粒子、またはポリエチレン粒子のうちの少なくとも1種を含み;マトリクス材料がエポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含み;液体混合物が有機溶媒を含み、そして凝固が熱処理による溶媒除去、好ましくは急速な除去を含むプロセスが、提供される。必要に応じて、溶媒を含まない得られた材料は、続いて、マトリクス材料を実質的に分解させずに300℃以下の温度の不活性雰囲気中で熱処理され得る。
【0032】
本発明のなおさらなる例示の実施形態において、上記プロセスから生じた多孔性複合材料は、治療活性な薬剤により浸漬、コーティングまたは浸透され得る。この薬剤は必要に応じて、生理学的流体の存在下でこの多孔性複合材料から溶解または抽出され得る。
【0033】
本発明のさらなる例示の実施形態において、上記プロセスにより取得可能である、多孔性網状化複合材料または多孔性コーティングが提供される。このような材料は、本発明のさらなる例示の実施形態において、例えば治療目的および/または診断目的のための医療デバイスの製造のために使用され得る。このデバイスは、診断目的のため、またはインビボもしくはインビトロでの組織工学のためのスキャフォールドとして、必要に応じてマーカーを含み得る。スキャフォールドとしての使用の場合、複合材料は、微生物、ウイルスベクター、細胞または生存組織のうちの少なくとも1種を負荷(loaded)され得る。
【0034】
本発明の例示の実施形態に従い、複合材料における気孔率の程度および細孔サイズは、例えば網状化剤の量および型、それらのジオメトリー(結合構造)および粒子サイズを適切に選択することによって、ならびに例えば異なる粒子サイズの網状化剤とマトリクス材料とを適切に組合わせることによって、選択的に調節され得ることが見出された。
【0035】
さらに、凝固条件を適切に選択することによって、気孔率、細孔サイズおよび形態に関する材料の微細組織構築(fine structuring)が選択的に影響され得ることが見出された。さらに、網状化剤と適切なマトリクス材料とを組合わせることによって、複合材料が製造でき、その機械的特性、電気特性、熱特性および光学特性が、例えば液体混合物中の網状化剤および/もしくはマトリクス材料の固体含量、溶媒もしくは溶媒混合物の型、網状化剤 対 マトリクス材料の比率によって、ならびに/または材料の最初の粒子サイズ、構造および型に従って材料を適切に選択することによって、選択的に調節できることが見出された。
【0036】
いずれの理論についても束縛されることを望まないが、例えば、液体混合物における条件および特に凝固時の条件を適切に選択することによって、粒子は、得られる複合材料の気孔率を本質的に決定付ける固体ネットワークの形態に配向され得ることを示すことが出来る。本発明の例示の実施形態において、使用される材料および処理条件は、液体混合物中の固体が自己配向性ネットワーク構造(例えば、凝固工程前および/または凝固工程の間の網状化構造)を形成するように選択され得る。一般に、網状化剤を適切に選択することが想定される。例えば、異なるサイズの網状化剤の混合物、および/または網状化剤とチューブ、ファイバーもしくはワイヤとの混合物は、液体混合物中で自己凝集する強い傾向を有し得る。そしてこのことは、例えばマトリクス材料、溶媒および特定の添加物(存在する場合)を適切に選択することによって、さらに促進され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(本発明の詳細な説明)
本発明の例示の実施形態に従ってプロセスが提供され、ここで少なくとも1種の網状化剤、およびポリマーまたはポリマー混合物から選択される少なくとも1種のマトリクス材料を含む流動可能な混合物が調製され、これは続いて凝固される。この混合物は、分散形態、懸濁形態、エマルジョン形態または溶液形態での液体混合物であり得、必要に応じて溶媒または溶媒混合物を含む。
【0038】
本発明の例示の実施形態において、混合物は、任意の溶媒を実質的に含まなくてよく、そして融解状態における材料(すなわち、マトリクス材料の融解物)であり得る液体マトリクス材料を利用し得る。
【0039】
以下、用語「液体混合物」または「流動可能な混合物」が使用される場合は常に、これらの用語が相互に交換可能に使用され、そしてこれら用語が流動可能な任意の混合物(溶媒を含むか含まないかのいずれか)を含み、そしてその粘度と無関係であること、すなわちこの用語は、融解物、スラリーまたは高粘度を有するペースト状材料も含み、実質的に乾燥した流動可能な粉末または粒子の混合物を含み得ることが理解されるべきである。
【0040】
液体混合物は、任意の従来の方法、例えば、少なくとも1種の溶媒または少なくとも1種のマトリクス材料中に任意の適切な順序で固体成分を溶解または分散させること、乾燥状態にて固体を混合し、続いて必要に応じて少なくとも1種の溶媒を加えること、マトリクス材料を溶解させてそこに少なくとも1種の網状化剤を分散させ、続いて必要に応じてその後に少なくとも1種の溶媒を添加すること、またはスラリーもしくはペーストを調製し、続いて少なくとも1種の溶媒もしくは溶媒中の他の成分の分散物で希釈することによって、調製され得る。
【0041】
例示の実施形態において、少なくとも1種、必要に応じて網状化剤とマトリクス材料両方は、合成材料、すなわち天然源のものでない材料であってもよい。具体的には、生物起源の細胞外マトリクス材料は、本発明の特定の実施形態のいずれの成分からも除かれてもよい。本発明の例示の実施形態において、網状化材料は、硬質の、実質的に非弾性の材料であってもよい。
【0042】
(網状化剤)
本発明において、用語「網状化剤」は、多孔性の凝固複合材料に液体混合物を変換するための本明細書中に記載される条件下で、ネットワークまたはネットワーク様構造に配向され得る材料を含む。本発明の例示の実施形態において、網状化剤としては、ネットワーク構造またはネットワーク様構造に自己配向が可能である材料か、自己配向を促進可能である材料を挙げることができる。「ネットワーク」または「ネットワーク様構造」とは、本明細書中の意味内で、空き空間(例えば、中の細孔)を有する任意の規則的三次元構造配置および/または不規則的三次元構造配置であり得る。網状化材料の多孔性構造は、生物学的組織の内部成長(ingrowth)および/または材料中への増殖を可能または促進でき、そしてこれは、例えば活性因子、診断マーカーなどを貯蔵および放出するように使用され得る。
【0043】
少なくとも1種の網状化剤は、任意の適切な形態もしくはサイズの有機材料および/もしくは無機材料、またはその任意の混合物から選択され得る。
【0044】
例えば、網状化剤としては、0価の金属、金属粉末、金属化合物、合金、金属酸化物、金属カーバイド、金属ニトリド、金属オキシニトリド、金属カルボニトリド、金属オキシカーバイド、金属オキシニトリド、金属オキシカルボニトリド、有機金属塩もしくは無機金属塩(アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属および/または遷移金属の塩が挙げられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカルボネート、スルフェート、スルファイトが挙げられる)、半導体金属化合物(遷移金属および/または周期表の典型群由来の金属のものが挙げられる);金属ベースのコア−シェル型ナノ粒子、ガラスもしくはグラスファイバー、炭素またはカーボンファイバー、ケイ素、酸化シリコン、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、グラファイト、すす、燃焼のすす(flame soot)、炉のすす(furnace soot)、ガス性すす(gaseous soot)、カーボンブラック、ランプブラック、無機物、フィロケイ酸塩(phyllosilicate)、またはこれらのいずれかの混合物を挙げることができる。
【0045】
また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩または化合物から選択される生分解性の金属ベースの網状化剤が使用でき、例えば、マグネシウムベースもしくは亜鉛ベースの化合物などもしくはナノ合金、またはそれらの任意の混合物である。本発明の特定の実施形態において使用される網状化剤は、マグネシウム塩、マグネシウム酸化物またはマグネシウム合金から選択することができ、これらは、体液に曝される場合に分解され得る生分解性のコーティングまたは成形物体(インプラントまたはインプラント上のコーティングの形態が挙げられる)に使用でき、そしてこれらはさらにマグネシウムイオンおよびヒドロキシアパタイトの形態を生じ得る。
【0046】
特定の網状化剤としては、0価金属の粉末、金属酸化物の粉末またはこれらの組合わせの粉末(好ましくはナノ形態のナノ粒子)(例えば、周期表の典型群の金属、遷移金属(例えば、銅、金および銀、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金)、または希土類金属由来の金属から選択される金属または金属化合物)を挙げることができるが、これらに限定されない。使用され得る金属ベースの化合物としては、例えば、有機金属化合物、金属アルコキシド、炭素粒子(例えば、すす、ランプブラック、燃焼すす、炉のすす、ガス性すす、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバーまたはダイヤモンド粒子)、などが挙げられる。さらなる例としては、金属含有面体内フラーレン(endohedral fullerenes)、または金属内包フラーレン(endometallofullerenes)が選択でき、希土類金属(例えば、セリウム、ネオジウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム)、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンまたはそれらの混合物(例えば、鉄白金混合物または鉄白金合金)が挙げられる。磁性の超常磁性金属酸化物または強磁性酸化物(例えば、鉄酸化物およびフェライト(例えば、コバルトフェライト、ニッケルフェライトまたはマンガンフェライト))もまた使用できる。磁性の超常磁性特性、強磁性特性または発信特性を有する材料を提供するため、磁性金属または磁性合金(例えば、フェライト(例えば、ガンマ鉄酸化物、Co、NiまたはMnの磁鉄鉱またはフェライト)を使用できる。このような材料の例は、国際特許公開WO83/03920、WO83/01738、WO88/00060、WO85/02772、WO89/03675、WO90/01295およびW090/01899、ならびに米国特許第4,452,773号、同第4,675,173号および同第4,770,183号に記載される。少なくとも1種の網状化剤としては、上記および以下に列挙する材料の任意の組み合わせを挙げることができる。
【0047】
さらに、半導体化合物および/または半導体ナノ粒子が本発明のさらなる例示の実施形態において網状化剤として使用でき、これらとしては、周期表のグループII−VI、グループIII−V、グループIVの半導体が挙げられる。適切なグループII−VI半導体としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeまたはこれらの混合物が挙げられる。グループIII−V半導体としては、例えば、GaAs、GaN、GaP、GaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlSまたはこれらの混合物が挙げられる。グループIV半導体の例としては、例えば、ゲルマニウム、鉛およびケイ素が挙げられる。また、前述の半導体の任意の組み合わせが使用され得る。
本発明のある例示の実施形態において、網状化剤として錯体金属ベースのナノ粒子を使用することが好ましくあり得る。これらとしては、例えば、いわゆるコア/シェル構造を挙げることができ、この構造は、Pengら、Epitaxial Growth of Highly Luminescent CdSe/CdS Core/Shell Nanoparticles with Photostability and Electronic Accessibility, Journal of the American Chemical Society (1997, 119: 7019 - 7029)に記載される。
【0048】
半導体ナノ粒子は、上に列挙される材料から選択でき、これらは、直径約1〜30nm、または好ましくは直径約1〜15nmのコアを有し得、そのコア上にさらに半導体ナノ粒子が約1〜50単分子層、好ましくは約1〜15単分子層の深さで結晶化され得る。コアおよびシェルは、上に列挙される材料を組合わせて存在でき、CdSeまたはCdTeのコア、およびCdSまたはZnSのシェルが挙げられる。
【0049】
本発明のさらなる実施形態において、網状化剤は、γ線からマイクロ波までのいずれかの範囲にある波長の放射線に対するそれらの吸着特性に基づいて、またはそれが(特に、約60nm以下の波長領域で)放射する能力に基づいて、選択され得る。網状化剤を適切に選択することによって、非線形の光学特性を有する材料が作製され得る。これらは、例えば、特定波長のIR線をブロックできる材料を含み、これら材料はマーキング目的に適切であるか、または治療用放射線吸収性のインプラントを形成するのに適切であり得る。網状化剤、その粒子サイズならびにコアおよびシェルの径は、フォトン放射性化合物を選択して、その放射が約20nm〜1000nmの範囲にあるように提供できる。あるいは、放射線に曝される場合に異なる波長のフォトンを放射する適切な化合物の混合物が選択され得る。本発明の1実施形態において、クエンチ(消光)を必要としない蛍光金属ベースの化合物が選択され得る。
【0050】
本発明の例示の実施形態において、少なくとも1つの網状化剤としては、ナノ形態炭素種のような炭素種(例えば、C36、C60、C70、C76、C80、C86、C112などのフラーレン、またはその任意の混合物);さらに多重層、二重層または単層のナノチューブ(MWNT、DWNT、SWNT、ランダム方向のナノチューブなど)、およびいわゆるオニオンフラーレンまたは金属フラーレン、単純なグラファイト、すす、カーボンブラックなどを挙げることができる。
【0051】
さらに、網状化剤としては、有機材料(ポリマー、オリゴマーもしくはプレポリマー;シェラック、コットンまたは織物)およびその任意の組み合わせを挙げることができる。
【0052】
本発明のいくつかの例示の実施形態において、網状化剤は、少なくとも1種の無機材料と少なくとも1種の有機材料との混合物を含み得る。
【0053】
さらに、本明細書中に述べられる全ての材料の網状化剤は、粒子、すなわち本質的に球体または球体様の不規則な形状または繊維を有する物質のうちから選択され得る。これら粒子は、ナノ結晶粒子もしくはミクロ結晶粒子、粉末、またはナノワイヤの形態で提供され得る。網状化剤は、約1nm〜約1,000μm、好ましくは約1nm〜300μm、より好ましくは約1nm〜6μmの平均粒子サイズを有する。これらの粒子サイズは代表的に、網状化剤として使用され得る本明細書中に述べられる全ての材料に当てはまる。
【0054】
網状化剤は、同じ材料または異なる材料の少なくとも2種の粒子を含むことができ、これら粒子は、少なくとも2倍、または少なくとも3倍もしくは5倍、時には少なくとも10倍異なるサイズを有する。特定の理論に束縛されることを望まないが、粒子サイズの差異はさらに、ネットワーク構造の形成中に網状化剤の自己配向性を促進し得る。
【0055】
例示の実施形態において、網状化剤は、炭素粒子(例えば、すす、カーボンブラックまたはランプのすす)とフラーレンまたはフラーレン混合物との組み合わせを含む。炭素粒子は、約50〜200nm(例えば、約90〜120nm)の範囲の平均サイズを有し得る。さらなる実施形態において、少なくとも1種の網状化剤は、金属酸化物粒子(例えば、シリカ、アルミナ、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、もしくはゼオライト、またはそれらの混合物)と、フラーレンまたはフラーレン混合物との組み合わせを含む。金属酸化物粒子は、約5〜150nm(例えば、約10〜100nm)の範囲の平均サイズを有し得る。いくつかの例示の実施形態において、少なくとも1種の網状化剤は、少なくとも1種の金属粉末と金属酸化物粒子(例えば、シリカ、アルミナ、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、もしくはゼオライト、またはそれらの混合物)との組み合わせを含み得る。金属酸化物粒子は、約5〜150nm(例えば、約10〜100nm)の範囲の平均サイズを有することができ、そしてこの金属粉末は、マイクロメートル範囲(例えば、約0.5〜10μm、または約1〜5μm)の平均粒子サイズを有し得る。これらの網状化剤の全ては、例えば、マトリクス材料としてのエポキシ樹脂、好ましくは熱硬化性および/または架橋可能なフェノキシ樹脂と組合わせることができる。
【0056】
あるいは、少なくとも1種の網状化剤はまた、上述の材料のいずれかから作製されたチューブ、ファイバー、繊維材料またはワイヤ(特に、ナノワイヤ)の形態であり得る。適切な例としては、カーボンファイバー、すなわち、ガラスファイバー、金属ナノワイヤまたは金属ミクロワイヤが挙げられる。網状化剤のこのような形態は、平均長約5nm〜1,000μm、例えば約5nm〜300μm(例えば、約5nm〜10μmまたは約2〜20μm)、および/または平均径約1nm〜1μm(例えば、約1nm〜500nm(例えば、5nm〜300nm、または約10〜200nm)を有し得る。
【0057】
粒子サイズは、TOT方法(Time-Of-Transition)(これは例えば、CIS Particle Analyzer of Ankersmidにて決定され得る)等のレーザー方法により測定され得る、中間または平均の粒子サイズとして提供され得る。粒子サイズを決定するためのさらに適切な方法としては、粉末回折またはTEM(Transmission-Electron-Microscopy)が挙げられる。
【0058】
いくつかの例示の実施形態において、溶媒を含まない混合物が使用され得る。ここで、マトリクス材料は、例えば、液体プレポリマーまたは溶解物(すなわち、溶解したマトリクス材料)であってもよく、これは続いて、例えば架橋または硬化によって凝固され得る。
【0059】
いくつかの例示の実施形態において、網状化剤およびマトリクス材料は繊維または繊維材料を含まず、そして製造して得られた複合材は実質的に繊維を含まない。
【0060】
さらなる例示の実施形態において、網状化剤(例えば、溶媒またはマトリクス材料中で分散性または湿潤性を改善するために網状化剤を改変して、さらなる機能特性を創出するかまたは互換性を増加させるのに有利であり得る。必要な場合、粒子または繊維を改変するための技術は、当業者に周知であり、使用される個々の複合材および材料の要件に依存して使用され得る。例えば、有機シラン等のシラン化合物は、網状化剤を改変するために使用され得る。適切な有機シランおよび他の改変剤は、例えば、国際特許出願PCT/EP2006/050622および米国特許出願第11/346,983号に記載されるものがあり、これら改変剤、および架橋剤としてそれら出願および本明細書中に定義される物質もまた、本発明の実施形態において使用され得る。
【0061】
本発明の例示の実施形態において、網状化剤は、アルコキシド、金属アルコキシド、コロイド状粒子、特に金属酸化物などのうちの少なくとも1種により改変され得る。金属アルコキシドは、一般式M(OR)xを有し、ここでMは、水の存在下で水和および/または重合し得る金属アルコキシド由来の任意の金属である。Rは、1〜約30個の間の炭素原子を含むアルキルラジカルであり、線状、鎖状または分枝状であってもよく、そしてxは金属イオン価に等価な値を有してもよい。金属アルコキシド(例えば、Si(OR)4、Ti(OR)4、Al(OR)3、Zr(OR)3およびSn(OR)4)もまた使用され得る。具体的には、Rはメチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカルまたはブチルラジカルであり得る。適切な金属アルコキシドのさらなる例として、Ti(イソプロポキシ)4、Al(イソプロポキシ)3、Al(sec-ブトキシ)3、Zr(n-ブトキシ)4およびZr(n-プロポキシ)4を挙げることができる。
【0062】
さらに適切な改変剤は、シリコンアルコキシドのうちの少なくとも1種(例えば、テトラアルコキシシラン)から選択され得る。ここで、このアルコキシは、分枝鎖または直鎖であってもよく、1〜25個の炭素原子を含み得る(例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)またはテトラ-n-プロポキシシランおよびそれらのオリゴマー形態)。また、アルキルアルコキシシランも適切であり、ここでアルコキシは上記のように定義され、そしてアルキルは、約1〜25個の炭素原子を有する置換または非置換の分枝鎖または直鎖のアルキルであり得る(例えば、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン(これは、Degussa AG, Germanyから市販される)、メタクリルオキシデシルトリメトキシシラン(MDTMS);アリールトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリメトキシシラン(PTMOS)、フェニルトリエトキシシラン(これは、Degussa AG, Germanyから市販される);フェニルトリプロポキシシランおよびフェニルトリブトキシシラン、フェニルトリ(3−グリシジルオキシ)シランオキシド(TGPSO)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性プロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標) TRIAMO、Degussa AG, Germanyより利用可能)、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジル-オキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビスフェノール−A−グリシジルシラン;(メタ)アクリルシラン、フェニルシラン、オリゴマー性シランまたはポリマー性シラン、エポキシシラン;フルオロアルキルシラン(例えば、約1〜20個の炭素原子のうち部分的または完全にフルオロ化された、直鎖または分枝のフルオロアルキル残基を有するフルオロアルキルトリメトキシシラン、フルオロアルキルトリエトキシシラン(例えば、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン)または改変された反応性フルオロアルキルシラン(これは、商標Dynasylan(登録商標)F8800およびF8815としてDegussa AGより利用可能である));およびそれらの任意の混合物)。さらに、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、シクロヘキシルアミン、酪酸コレステリルエステル(PCBCR)、1−(3−メトキシカルボニル)−プロピル)−1−フェニルエステル、またはこれらの組合わせもまた使用され得る。
【0063】
代表的に上記改変剤およびシランは、例えば液体混合物を硬化/固化(hardening)する凝固工程において、必要に応じて架橋剤として使用され得ることに注意するべきである。
【0064】
さらなる例示の実施形態において、少なくとも1種の網状化剤は、ポリマー性有機材料、オリゴマー性有機材料またはプレポリマー性有機材料から選択される粒子またはファイバーを含む。これらの粒子またはファイバーは、分離した(discrete)粒子を作製する従来の重合技術(例えば、エマルジョン、分散物、懸濁物または溶液の液体媒体中での重合)によって調製され得る。さらに、これらの粒子またはファイバーはまた、ポリマー材料の押出、紡績、ペレット化、粉砕、またはグラインダによって作製され得る。網状化剤がポリマー、オリゴマー、プレポリマー、熱可塑性プラスチック、またはエラストマーの粒子又は繊維から選択される場合、これらの材料は、マトリクス材料としての使用のため、本明細書の以下に規定されるホモポリマーまたはコポリマーから選択され得る。これらのポリマーは、粒子形態でも繊維形態でもない場合はマトリクス材料として、または粒子形態もしくは繊維形態として使用される場合は網状化剤としてのいずれかで使用され得る。ポリマー性網状化剤は、高温で分解することができ、これによって網状化材料中で細孔形成剤として作用し得るものから選択され得る。例としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィンの粒子または繊維が挙げられる。
【0065】
例示の実施形態において、網状化剤は、導電性マトリクス材料として以下に規定されるような導電性ポリマーが挙げられる。
【0066】
本発明のさらなる実施形態において、少なくとも1種の網状化剤は、例えば、ポリマーカプセル封入された非ポリマー性粒子を含むことができ、ここで、この非ポリマー性粒子は、上述の材料から選択され得る。非ポリマー性網状化剤粒子をカプセル封入するための技術および重合反応は、従来使用される任意の適切な重合反応(例えば、ラジカル重合または非ラジカル重合、酵素重合または非酵素重合、例えば重合濃縮反応)が挙げられる。網状化剤粒子のカプセル封入によって、使用される個々の成分に依存するが、共有性または非共有性にカプセル封入された網状化剤粒子が生じる。マトリクス材料と組合わせるため、カプセル封入された網状化剤は、ポリマー球体の形状(特にナノサイズ球体またはミクロ球体)であってもよく、または分散、懸濁もしくは乳化した粒子もしくはカプセルそれぞれの形態であってもよい。ポリマーカプセル封入された粒子の製造のため、任意の従来の方法が本発明で利用され得る。適切なカプセル封入方法およびそれによって使用される条件は、例えば、国際特許出願PCT/EP2006/060783およびPCT/EP2006/050373、ならびに米国特許出願第11/385,145号および同第11/339,161号、ならびにこれらの方法、材料および手順もまた、本発明の実施形態において使用され得る。
【0067】
適切なカプセル封入方法は、例えば、オーストラリア特許出願第AU 9169501号、欧州特許公開第EP 1205492号、EP 1401878号、同第EP 1352915号および同第EP 1240215号、米国特許第6380281号、米国特許公開第2004192838号、カナダ特許公開第CA 1336218号、中国特許公開第CN 1262692T号、英国特許公開第GB 949722号、ならびにドイツ国特許公開第DE 10037656号;ならびに本文脈に記載されるさらなる文書、例えば、上述の国際特許出願PCT/EP2006/060783およびPCT/EP2006/050373に記載される。
【0068】
カプセル封入した網状化剤は、約1nm〜500nmのサイズまたは約5nm〜5μmの範囲の平均サイズを有するミクロ粒子の形態で作製され得る。網状化剤はさらに、適切なポリマーのミニエマルジョンまたはミクロエマルジョンでカプセル封入され得る。用語「ミニエマルジョンまたはミクロエマルジョン」は、水相、油相もしくは疎水性相、および1種以上の界面活性物質を含む分散物を指すと理解され得る。このようなエマルジョンは、適切なオイル、水、1種または数種の界面活性剤、必要に応じて1種または数種の共界面活性剤(cosurfactant)および/または数種の疎水性物質を含み得る。ミニエマルジョンは、界面活性剤により安定化されるモノマー、オリゴマーまたは他のプレポリマー性反応物の水性エマルジョンを含み得る。これは容易に重合でき、ここで乳化した液滴の粒子サイズは、約10nm〜500nm以上であり得る。
【0069】
カプセル封入した網状化剤のミニエマルジョンはまた、非水性溶媒(例えば、ホルムアミド、グリセロール、または非極性溶媒)から作製され得る。プレポリマー性反応物としては、熱硬化性物質、熱可塑性物質、プラスチック、合成ゴム、押出し可能なポリマー、射出成形ポリマー、成形可能なポリマーなど、またはそれらの混合物を挙げることができ、ポリ(メタ)アクリル酸が使用され得るプレポリマー反応物が挙げられる。
【0070】
網状化剤をカプセル封入するための適切なポリマーの例としては、非限定的に、脂肪族ポリオレフィンまたは芳香族ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン)のホモポリマーまたはコポリマー;ポリブタジエン;ポリビニル(例えば、塩化ポリビニルまたはポリビニルアルコール)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメチルメタクリル酸(PMMA)、ポリアクリロシアノアクリル酸;ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンを挙げることができ;特に好ましくは、生体ポリマー(例えば、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース(例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸カルボキシメチルセルロース);カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノーゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチラート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトエスエル、ポリエスエル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタレート、ポリマレイン酸、ポリタルトロン酸、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸;ポリエチレンビニル酢酸、シリコーン;ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステルウレア)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニック(pluronic)、ポリテトラメチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、酢酸フタル酸(ポリ)ビニル、シェラック、およびこれらのホモポリマーまたはコポリマーの組み合わせ)であり得る。ただし、シクロデキストリンおよびその誘導体または同様のキャリアシステムを除く。
【0071】
使用され得る他のカプセル封入剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン)、アルキド樹脂、エポキシポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェノール、ポリビニルエステル、ポリシリコン、ポリアセタール、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリフルオロカーボン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリール酸、シアナトエステル−ポリマー、または上記のいずれかの混合物もしくはコポリマーが挙げられる。
【0072】
本発明のある例示の実施形態において、網状化剤をカプセル封入するために使用されるポリマーとしては、モノ(メタ)アクリル酸ベース、ジ(メタ)アクリル酸ベース、トリ(メタ)アクリル酸ベース、テトラアクリル酸ベースおよびペンタアクリル酸ベースのポリ(メタ)アクリル酸を挙げることができる。適切なモノ(メタ)アクリル酸の例は、ヒドロキシエチルアクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリル酸、ヒドロキシプロピルメタクリル酸、ヒドロキシプロピルアクリル酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリル酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリル酸、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリル酸、5−ヒドロキシペンチルアクリル酸、ジエチレングリコールモノアクリル酸、トリメチロールプロパンモノアクリル酸、ペンタエリスリトールモノアクリル酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアクリル酸、5−ヒドロキシペンチルメタクリル酸、ジエチレングリコールモノメタクリル酸、トリメチロールプロパンモノメタクリル酸、ペンタエリスリトールモノメタクリル酸、ヒドロキシメチル化N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロール−アクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリル酸およびグリシジルメタクリル酸、メチルアクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸、アミルアクリル酸、エチルヘキシルアクリル酸、オクチルアクリル酸、t−オクチルアクリル酸、2−メトキシエチルアクリル酸、2−ブトキシエチルアクリル酸、2−フェノキシエチルアクリル酸、クロロエチルアクリル酸、シアノエチルアクリル酸、ジメチルアミノエチルアクリル酸、ベンジルアクリル酸、メトキシベンジルアクリル酸、フルフリルアクリル酸、テトラヒドロフルフリルアクリル酸およびフェニルアクリル酸である;
ジ(メタ)アクリル酸は、2,2−ビス(4−メタクリルオキシフェニル)プロパン、1,2−ブタンジオール−ジアクリル酸、1,4−ブタンジオール−ジアクリル酸、1,4−ブタンジオール−ジメタクリル酸、1,4−シクロヘキサンジオール−ジメタクリル酸、1,10−デカンジオール−ジメタクリル酸、ジエチレングリコール−ジアクリル酸、ジプロピレングリコール−ジアクリル酸、ジメチルプロパンジオール−ジメタクリル酸、トリエチレングリコール−ジメタクリル酸、テトラエチレングリコール−ジメタクリル酸、1,6−ヘキサンジオール−ジアクリル酸、ネオペンチルグリコール−ジアクリル酸、ポリエチレングリコール−ジメタクリル酸、トリプロピレングリコール−ジアクリル酸、2,2−ビス[4−(2−アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス(2−メタクリルオキシエチル)N,N−1,9−ノニレン−ビスカルバメート、1,4−シクロヘキサン(cycloheane)ジメタノール−ジメタクリル酸、およびジアクリル酸ウレタンオリゴマーから選択され得る;
トリ(メタ)アクリル酸は、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−トリメタクリル酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−トリアクリル酸、トリメチロールプロパン−トリメタクリル酸、トリメチロールプロパン−トリアクリル酸、またはペンタエリスリトール−トリアクリル酸から選択され得る;
テトラ(メタ)アクリル酸は、ペンタエリスリトール−テトラアクリル酸、ジ−トリメチロールプロパン−テトラアクリル酸、またはエトキシ化ペンタエリスリトール−テトラアクリル酸から選択され得る;
適切なペンタ(メタ)アクリル酸は、ジペンタエリスリトール−ペンタアクリル酸またはペンタアクリル酸エステルから選択され得る;
ならびに上記のいずれかの混合物、コポリマーまたは組合わせから選択され得る。生体ポリマーまたはアクリル酸を好ましく使用して、本発明のある例示の実施形態において例えば生物学的利用または医学的利用のため、網状化剤をカプセル封入し得る。
【0073】
カプセル封入するポリマー反応物としては、重合可能なモノマー、オリゴマーまたはエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリウレタン、ポリクロロプレン、天然ゴム材料、ガム(例えば、アカシアゴム、イナゴマメゴム、ガムカラヤ(gum caraya))、またはシリコーン、およびそれらの混合物、コポリマーまたは任意の組み合わせを挙げることができる。網状化剤は、エラストマー性ポリマー単独中、または熱可塑性ポリマーとエラストマー性ポリマーの混合物中、あるいは熱可塑性シェルまたは熱可塑性層とエラストマー性シェルまたはエラストマー性層との交互の順序で、カプセル封入され得る。
【0074】
網状化剤をカプセル封入するための重合反応としては、重縮合反応を含めた任意の適切な従来の重合反応、例えば、ラジカル重合または非ラジカル重合、酵素性重合または非酵素性重合が挙げられる。使用されるエマルジョン、分散物または懸濁物は、水系、非水系、極性系または等極性(homopolar)系の形態であり得る。適切な界面活性剤を添加することにより、乳化される液滴または分散される液滴の量およびサイズは、所望されるように調節され得る。
【0075】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤もしくは非イオン性界面活性剤、またはそれらの混合物であり得る。好ましいアニオン性界面活性剤としては、石ケン、アルキルベンゾスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセリンエーテルスルホネート、α−メチルエステルスルホネート、スルホン化脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセリンエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、水酸基混合エーテルスルフェート(hydroxyl mixed ether sulphate)、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノアルキルスルホサクシネートおよびジアルキルスルホサクシネート、モノアルキルスルホサクシナメートおよびジアルキルスルホサクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石ケン、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イソチオネート、脂肪酸アルコシネート、脂肪酸タウリド(tauride)、N−アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタータレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸濃縮物(小麦ベースの植物由来産物)、ならびにアルキル(エーテル)ホスフェート(alky(ether)phosphate)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0076】
本発明の特定の実施形態におけるカプセル封入反応に適切なカチオン性界面活性剤としては、四級アンモニア化合物(例えば、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド)、Stepantex(登録商標)VL 90(Stepan)、エステルクアット(esterquat)、具体的には四級化脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩、長鎖一級アミンの塩、四級アンモニア化合物(例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(CTMA-Cl)、Dehyquart(登録商標)A(セトリモニウムクロリド、Cognis)、またはDehyquart(登録商標) LDB 50 (ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、Cognis)を挙げることができる。
【0077】
他の好ましい界面活性剤としては、レシチン、ポロキサマー(すなわち、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー)(pluronic(登録商標)の商品名でBASF Co.から利用可能なものが挙げられ、これにはpluronic(登録商標)F68NFが挙げられる)、Sigma AldrichまたはKrackeler Scientific Inc.から利用可能なTWEEN(登録商標)シリーズ由来のアルコールエトキシレートベースの界面活性剤などを挙げることができる。
【0078】
網状化剤は、重合反応の開始前、または開始の間に添加でき、分散物、エマルジョン、懸濁物または固溶体の形態、または適切な溶媒中もしくは溶媒混合物中の網状化剤溶液として、またはこれらの任意の混合物として提供できる。カプセル封入プロセスは、重合反応を含むことができ、必要に応じてイニシエーター、開始剤または触媒を用いることが出来る。この場合、ポリマーカプセル、スフェロイドまたは液滴中の網状化剤のインサイチュカプセル封入(in-situ カプセル封入)が起こり得る。このようなカプセル封入混合物における網状化剤の固形物含量は、そのポリマーカプセル、スフェロイドまたは液滴におけるその固形物含量が、ポリマー粒子内の活性剤について約10%重量〜約80%重量であるように選択され得る。
【0079】
必要に応じて、網状化剤はまた、固体形態または液体形態のいずれかで重合反応の完了後に添加され得る。網状化剤は、ポリマーのスフェロイドまたは液滴に共有結合または非共有結合のいずれかで結合し得る化合物から選択され得る。ポリマーの液滴サイズおよび網状化剤の固形物含量は、その網状化剤粒子の固形物含量が重合混合物の総重量に対して約5%重量〜約90%重量の範囲にあるように選択され得る。
【0080】
本発明の例示の実施形態において、重合反応の間の網状化剤のカプセル封入は、最初の重合工程/カプセル封入工程の完了後、さらなるモノマー因子、オリゴマー因子またはプレポリマー因子を少なくとも1度添加することによって繰り返され得る。この様式で少なくとも1回繰り返された重合工程によって、多重層でコーティングされたポリマーカプセルが作製され得る。また、ポリマーのスフェロイドまたは液滴に結合した網状化剤は、続いてモノマー反応物、オリゴマー反応物またはプレポリマー反応物を添加することによってカプセル封入されて、この網状化剤をポリマーカプセルでオーバーコーティングし得る。このようなプロセスの反復は、網状化剤を包含する多重層型ポリマーカプセルを作製し得る。
【0081】
上記のカプセル封入工程のいずれかを互いに組合わせることができる。本発明の好ましい例示の実施形態において、ポリマーでカプセル封入された網状化剤はさらに、放出性改変剤によりコーティングされ得る。
【0082】
本発明のさらなる例示の実施形態において、網状化剤またはポリマーでカプセル封入された網状化剤はさらに、小胞、リポソームもしくはミセルまたはオーバーコーティングでさらにカプセル封入され得る。この目的に適切な界面活性剤としては、上記のカプセル封入反応において代表的に使用される界面活性剤を挙げることができる。さらなる界面活性剤としては、疎水性基(炭化水素残基またはシリコン残基を含める)を有する化合物、例えば、ポリシロキサン鎖、炭水化物ベースのモノマー、オリゴマーおよびポリマー、または脂質もしくはリン脂質、あるいはこれらの任意の組み合わせ(特にグリセリルエステル(例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン)、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリメタクリル酸、ポリビニルブチルエーテル、ポリスチレン、ポリシクロペンタジエニル−メチルノルボルネン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリシロキサン、または界面活性剤の任意の他の型)を挙げることができる。
【0083】
さらに、ポリマー性シェルに依存して、小胞、オーバーコーティングなどでポリマーカプセル封入された網状化剤をカプセル封入するための界面活性剤は、親水性界面活性剤、または親水性残基もしくは親水性ポリマーを有する界面活性剤(例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリ−N−アルキルビニルピリジンハロゲン化物、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミノ酸、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、多糖(例えば、アガロース、デキストラン、デンプン、セルロース)、アミラーゼ、アミロペクチンもしくはポリエチレングリコール、または適切な分子量のポリエチレンイミン)から選択され得る。また、疎水性ポリマー材料もしく親水性ポリマー材料または脂質ポリマー化合物由来の混合物は、小胞中にポリマーカプセル封入した網状化剤をカプセル封入するため、またはポリマーカプセル封入した網状化剤をさらにオーバーコーティングするために、使用され得る。
【0084】
さらに、カプセル化された網状化剤は、適切なリンカー基またはコーティングを用いた官能化によって化学的に改変され得る。例えば、これらは、オルガノシランまたはオルガノ官能性シランを用いて官能化され得る。ポリマーカプセル封入された網状化剤の改変のためのそのような化合物はさらに、上に記載される。
【0085】
ポリマーカプセル封入した粒子を本明細書中に記載の材料に組み込むことは、いずれの特定の理論にも縛られることを望まないが、網状化剤の特定の形態とみなすことが出来る。ポリマーカプセル封入した網状化剤粒子の分散形態または懸濁形態における粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、代表的に、ポリマーカプセル封入した最終粒子の粒子サイズおよび粒子サイズ分布に対応する。ポリマーカプセル封入した粒子は液相中で、例えば、その粒子サイズおよび単分散性(monodispersity)に関しては動的光散乱法によって、特徴付けることが出来る。
【0086】
さらに、本発明のプロセスにおいて網状化剤として使用される粒子は、生体適合性ポリマー、好ましくは生分解性ポリマー中にカプセル封入され得る。例えば、可能性あるマトリクス材料として本明細書中に述べられる生体適合性ポリマーが使用され得る。これらの材料はまた、上記に考察されるように、網状化剤として直接使用され得る。
【0087】
いくつかの例示の実施形態において、pH感受性ポリマーが、網状化剤粒子をカプセル封入するため、または網状化剤粒子自体として使用され得る。例えば、可能性あるマトリクス材料として本明細書中に述べられるpH感受性ポリマーが使用され得る。さらに、多糖(例えば、酢酸フタル酸セルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、酢酸セルローストリメット酸(trimellitate)およびキトサンが使用され得る。
【0088】
温度感受性ポリマーまたはサーモゲル(thermogel)特性を有するポリマーもまた、網状化剤粒子をカプセル封入するため、または網状化剤粒子自体として使用され得る。実施例については、以下のマトリクス材料の文脈において述べる。
【0089】
少なくとも1つの網状化剤は、適切な溶媒中でマトリクス材料と組合わせることができ、その後続いて本発明の多孔性網状化複合材料へと転換され得る。
【0090】
(マトリクス材料)
本発明の例示の実施形態にしたがって、少なくとも1種の網状化剤は、マトリクス材料と組み合わされ、必要に応じて適切な溶媒または溶媒混合物の存在下または非存在下で、ここで、このマトリクス材料は、選択された網状化剤またはその混合物と組み合わされて、多孔性網状化複合材料を形成し得る。
【0091】
マトリクス材料としては、ポリマー、オリゴマー、モノマーまたは重合前(プレポリマー)形態、必要に応じて合成起源の物を挙げることができる。そしてこれらのポリマーは、網状化剤に適した前述のポリマー材料と同じ材料、または網状化剤をカプセル封入するために参照される文書で述べられるポリマー材料、およびプレポリマー材料、部分的に重合した材料もしくはポリマー材料へと合成され得る全ての物質、またはそのような材料(具体的にはポリマー複合材でもある)として既存の全ての物質であり得る。ポリマー複合材は、ナノ複合材として既存であり得るか、または均一に分散した形態でのナノ形態の粒子と、懸濁物、分散物またはエマルジョンとから凝固され得る物質であって、かつ選択される網状化剤と共に複合材料を形成するのに適切である物質とを含み得る。使用されるポリマーとしては、熱硬化性、熱可塑性、合成ゴム、押出し可能なポリマー、射出成形可能なポリマー、成形可能なポリマーなど、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0092】
さらに、複合材料を作製する場合に使用される成分の適合性を改善する添加物(例えば、シラン等のカップリング剤、界面活性剤または充填剤、すなわち有機性または無機性充填剤)が添加され得る。
【0093】
1つの例示的な実施形態において、マトリクス材料として使用するためのポリマーとしては、脂肪族ポリオレフィンまたは芳香族ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン)のホモポリマー、コポリマー、プレポリマー形態および/またはオリゴマー;ポリブタジエン;ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコール);ポリアクリル酸(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメチルメタクリル酸(PMMA)、ポリアクリロシアノアクリル酸);ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる;
特に好ましくは、本明細書中にさらに規定される生体適合性ポリマー;さらにポリエチレン酢酸ビニル、シリコーン;ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシド、プルロニック(pluronic)、ポリテトラメチレングリコール);ポリビニルピロリドン、ポリ(酢酸フタル酸ポリビニル)またはシェラック、およびこれらの任意の組合わせである。
【0094】
さらなる例示の実施形態において、マトリクス材料として使用するポリマーとしては、飽和ポリエステルもしくは不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシポリマー、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナイロン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェノール、ポリビニルエステル、ポリシリコン、ポリアセタール、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリフルオロカーボン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリール酸、シアナトエステル−ポリマー、これらのいずれかのコポリマーまたは混合物を挙げることができる。
【0095】
マトリクス材料のための他の適切なポリマーとしては、アクリル酸、例えば、モノ(メタ)アクリル酸ベース、ジ(メタ)アクリル酸ベース、トリ(メタ)アクリル酸ベース、テトラアクリル酸ベースおよびペンタアクリル酸ベースのポリ(メタ)アクリル酸が挙げられる。適切なモノ(メタ)アクリル酸の例は、ヒドロキシエチルアクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリル酸、ヒドロキシプロピルメタクリル酸、ヒドロキシプロピルアクリル酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリル酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリル酸、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリル酸、5−ヒドロキシペンチルアクリル酸、ジエチレングリコールモノアクリル酸、トリメチロールプロパンモノアクリル酸、ペンタエリスリトールモノアクリル酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアクリル酸、5−ヒドロキシペンチルメタクリル酸、ジエチレングリコールモノメタクリル酸、トリメチロールプロパンモノメタクリル酸、ペンタエリスリトールモノメタクリル酸、ヒドロキシメチル化N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロール−アクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリル酸およびグリシジルメタクリル酸、メチルアクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸、アミルアクリル酸、エチルヘキシルアクリル酸、オクチルアクリル酸、t−オクチルアクリル酸、2−メトキシエチルアクリル酸、2−ブトキシエチルアクリル酸、2−フェノキシエチルアクリル酸、クロロエチルクリル酸、シアノエチルアクリル酸、ジメチルアミノエチルアクリル酸、ベンジルアクリル酸、メトキシベンジルアクリル酸、フルフリルアクリル酸、テトラヒドロフルフリルアクリル酸およびフェニルアクリル酸である;
ジ(メタ)アクリル酸は、2,2−ビス(4−メタクリルオキシフェニル)プロパン、1,2−ブタンジオール−ジアクリル酸、1,4−ブタンジオール−ジアクリル酸、1,4−ブタンジオール−ジメタクリル酸、1,4−シクロヘキサンジオール−ジメタクリル酸、1,10−デカンジオール−ジメタクリル酸、ジエチレングリコール−ジアクリル酸、ジプロピレングリコール−ジアクリル酸、ジメチルプロパンジオール−ジメタクリル酸、トリエチレングリコール−ジメタクリル酸、テトラエチレングリコール−ジメタクリル酸、1,6−ヘキサンジオール−ジアクリル酸、ネオペンチルグリコール−ジアクリル酸、ポリエチレングリコール−ジメタクリル酸、トリプロピレングリコール−ジアクリル酸、2,2−ビス[4−(2−アクリルオキシエトキシ)−フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)−フェニル]プロパン、ビス(2−メタクリルオキシエチル)N,N−1,9−ノニレン−ビスカルバメート、1,4−シクロヘキサン(cycloheane)ジメタノール−ジメタクリル酸、およびジアクリル酸ウレタンオリゴマーから選択され得る;
トリ(メタ)アクリル酸は、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−トリメタクリル酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−トリアクリル酸、トリメチロールプロパン−トリメタクリル酸、トリメチロールプロパン−トリアクリル酸、またはペンタエリスリトール−トリアクリル酸から選択され得る;
テトラ(メタ)アクリル酸は、ペンタエリスリトール−テトラアクリル酸、ジ−トリメチロールプロパン−テトラアクリル酸、またはエトキシ化ペンタエリスリトール−テトラアクリル酸から選択され得る;
適切なペンタ(メタ)アクリル酸は、ジペンタエリスリトール−ペンタアクリル酸またはペンタアクリル酸エステルから選択し得る;
ポリアクリル酸の例は、ポリイソボルニルアクリル酸、ポリイソボルニルメタクリル酸、ポリエトキシエトキシエチルアクリル酸、ポリ−2−カルボキシエチルアクリル酸、ポリエチルヘキシルアクリル酸、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリル酸、ポリ−2−フェノキシルエチルアクリル酸、ポリ−2−フェノキシエチルメタクリル酸、ポリ−2−エチルブチルメタクリル酸、ポリ−9−アントラセニルメチルメタクリル酸、ポリ−4−クロロフェニルアクリル酸、ポリシクロヘキシルアクリル酸、ポリジシクロペンテニルオキシエチルアクリル酸、ポリ−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリル酸、ポリ−ジメチルアミノエオペンチルアクリル酸、ポリ−カプロラクトン2−(メタクリルオキシ)エチルエステル、ポリフルフリルメタクリル酸、ポリ(エチレングリコール)メタクリル酸、ポリアクリル酸、およびポリ(プロピレングリコール)メタクリル酸、ならびに上記のいずれかの混合物、コポリマーおよび組み合わせである。
【0096】
適切なポリアクリル酸としてはまた、脂肪族不飽和有機化合物、例えばポリアクリルアミドおよび不飽和ジカルボン酸とジオールとの濃縮反応による不飽和ポリエステルならびにビニル誘導体、または末端二重結合を有する化合物が挙げられる。例としては、N−ビニルピロリドン、スチレン、ビニルナフタレンまたはビニルフタルイミドが挙げられる。メタクリルアミド誘導体としては、N−アルキル置換もしくはN−アルキレン置換または非置換の(メタ)アクリルアミド、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−アクリロイル(acryloyloyl)ピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリンまたはN−メタクリロイルモルホリンが挙げられる。
【0097】
本発明においてマトリクス材料としての使用のためのさらなる適切なポリマーとしては、不飽和ポリエステルまたは飽和ポリエステルが挙げられ、特にアルキド樹脂もまた挙げられる。これらのポリエステルは、ポリマー鎖(種々の数の飽和または芳香族の二塩基酸および無水物)、またはエポキシ樹脂(これはモノマー、オリゴマーまたはポリマーとして使用し得ることが適切である)を含み得る。これらは、特に1個または数個のオキシラン環、1個の脂肪族、芳香族または脂肪族と芳香族との混合の分子構造要素、あるいは完全に非ベンゾイド構造(すなわち、置換基(例えば、ハロゲン、エステル基、エーテル基、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基もしくはリン酸基、またはそれらの任意の組み合わせ)を有するかまたは有さない脂肪族構造物または芳香族構造物)を含む。
【0098】
本発明の好ましい例示の実施形態において、マトリクス材料としては、エポキシ樹脂、例えばグリシジル−エポキシ型(例えば、ビスフェノールAのジグリシジル基を取付けられたもの)を挙げることができる。さらなるエポキシ樹脂としては、アミノ誘導体化エポキシ樹脂、具体的にはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール(maminophenole)、またはトリグリシジルアミノクレゾールおよびそれらの異性体、フェノール誘導体化エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノール−ノボラック、クレゾール−ノボラックまたはレソルシノールのエポキシ樹脂)、フェノキシ樹脂、ならびに脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。さらに、ハロゲン化エポキシ樹脂、多価フェノールのグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、フェノール−ホルムアミド−ノボラック樹脂のグリシジルエーテルおよびレゾルシノールジグリシジルエーテル、ならびに米国特許第3,018,262号(本明細書で参考として援用される)に記載されるさらなるエポキシ樹脂が使用され得る。これらの材料は、熱または放射線または架橋によって容易に凝固または硬化できる。
【0099】
網状化剤として、金属粒子または金属酸化物粒子およびそれらの組合わせと組合わせたエポキシ樹脂が特に好ましくあり得る。また、他の例示の実施形態において、エポキシ樹脂は、網状化剤として炭素粒子および/またはフラーレンと組合わせるのに特に好ましくあり得る。
【0100】
本発明のいくつかの例示の実施形態において、マトリクス材料は、セルロースまたはセルロース誘導体を含まないか、または実質的に非弾性(non-elastic)であってもよいか、またはマトリクス材料は実質的に繊維も粒子も含まなくてよい。
【0101】
マトリクス材料の選択は、上述の材料に限定されず、特に上述の2つまたはいくつかの成分からのエポキシ樹脂混合物およびモノエポキシ(monoepoxy)成分もまた使用できる。またエポキシ樹脂として、放射線(例えば、UV照射)を介して架橋できる樹脂および脂環式樹脂を挙げることができる。
【0102】
さらなるマトリクス材料としては、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドおよびアラミド(nomex(登録商標))、およびその誘導体(例えば、ナイロン−6−(ポリカプロラクタム)、ナイロン6/6(ポリヘキサメチレンアヂポアミド)、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン6/T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン7(ポリエナントアミド)、ナイロン8(ポリカプリルラクタム)、ナイロン9(ポリペラルゴンアミド)、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン55、ナイロンXD6(ポリメタキシレンアジポアミド)、ナイロン6/I)、およびポリアラニンが挙げられる。
【0103】
また、金属ホスフィネートまたはポリ金属ホスフィネートおよび無機金属含有ポリマーまたは有機金属含有ポリマー(例えば、メタロデンドリマー、メタロセニルポリマー、カルボシラン、ポリイン、新規の金属アルキニルポリマー、メタロポルフィリンポリマー、メタロセノファン、メタロセニルシラン−カルボシランコポリマー(モノブロックコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマーまたはマルチブロックコポリマーとして))、およびポリ(メタロセニルジメチルシラン)化合物、カルボチアメタロセノファン、ポリ(カルボチアメタロセン)などが使用できる。ここで、この化合物リストは、排他的なものでなく、これらの任意の組み合わせを含む。
【0104】
例示の実施形態において、マトリクス材料としては、導電性ポリマー、例えば、飽和もしくは不飽和ポリパラフェニレン−ビニレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ (エチレンジオキシチオフェン)、ポリジアルキルフルオレン、ポリアジン、ポリフラン、ポリピロール、ポリセレノフェン、ポリ-p-フェニレン硫化物、ポリアセチレン、ならびにこれらのモノマー、オリゴマーもしくはポリマーまたは、他のモノマー、オリゴマーもしくはポリマーもしくは上述のポリマーから作製されたコポリマーとの任意の組合わせおよび混合物を、挙げることができる。電導性ポリマーまたは半電導性ポリマーは、電気抵抗1012および1012オーム・cmを有し得る。さらに例としては、1種もしくは数種の有機ラジカル(例えば、アルキルラジカルまたはアリールラジカルなど)もしくは無機ラジカル(例えば、ケイ素またはゲルマニウムなど)を含むモノマー、オリゴマーもしくはポリマー、またはこれらの任意の混合物が挙げられる。
【0105】
錯体金属塩を含むポリマーもまたマトリクス材料として使用できる。このようなポリマーは代表的に、金属を錯体化できる酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはハロゲン原子または不飽和C−C結合を含む。他を除外することなく、このような化合物の例は、ポリウレタン、ゴム、接着性ポリマーおよび熱可塑性物のようなエラストマーである。錯体化のための金属塩としては、遷移金属塩(例えば、CuCl2、CuBr2、CoCl2、ZnCl2、NiCl2、FeCl2、FeBr2、FeBr3、CuI2、FeCl3、FeI3、またはFeI2);さらに、Cu(NO3)2、金属の乳酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、LiBF4、およびH4Fe(CN)6のような塩などが挙げられる。
【0106】
本発明のいくつかの例示の実施形態において、マトリクス材料としては、生体ポリマー、生体適合性ポリマーもしくは生分解性ポリマー(例えば、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸カルボキシメチルセルロース);カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノーゲン、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチドコグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ヒドロキシ吉葉酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(酒石酸)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、またはシェラックを挙げることができる。
【0107】
さらに、マトリクス材料は、オリゴマーまたはエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリウレタン、ポリクロロプレン、またはシリコーン、ならびにこれらの任意の混合物、コポリマーおよび組合わせ)から選択され得る。マトリクス材料はまた、pH感受性ポリマー(例えば、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体(例えば、ポリ(アミノカルボン酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルアクリル酸)等のホモポリマーおよびそのコポリマー))から選択され得るか;あるいは温度感受性ポリマー(例えば、(N−イソプロピルアクリルアミド−Co−ナトリウム−アクリル酸−Co−n−N−アルキルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルメチル(methy)アクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド))から選択され得る。さらに、サーモゲル特性を有する適切なマトリクス材料ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびF-127、L-122、L-92、L81またはL61等のpluronics(登録商標)が挙げられる。
【0108】
マトリクス材料は、液体形態においてそのまま(例えば、液体プレポリマー、溶解ポリマー(melt, polymer)、または溶液、分散物、エマルジョン)であってもよく、そして、溶媒の不在下または存在下で少なくとも1種の網状化剤と混合され得るか、あるいは固体であり得る。
【0109】
(液体混合物)
本発明にしたがって、少なくとも1種の網状化剤は、必要に応じて適切な溶媒または溶媒混合物の存在下又は不在下で、マトリクス材料と組み合わされて、流動可能な混合物(例えば、溶液、懸濁物、分散物またはエマルジョン)または溶解混合物、スラリー混合物、ペースト混合物もしくは流動可能な粒子混合物を形成し得る。液体混合物は、実質的に均一および/または実質的に均質であり得る。しかしながら、多くの場合、液体混合物の均一性または均質性は重要ではない。
【0110】
適切な溶媒としては、水、ゾルもしくはゲル、または無極性溶媒もしくは極性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブトキシジグリコール、ブトキシエタノール、ブトキシイソプロパノール、ブトキシプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ブチレングリコール、ブチルオクタノール、ジエチレングリコール、ジメトキシジグリコール、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、エトキシエタノール、エチルヘキサンジオール、グリコール、ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール、イソブトキシプロパノール、イソペンチルジオール、メチルエチルケトン、エトキシプロピルアセテート、3−メトキシブタノール、メトキシジグリコール、メトキシエタノール、メトキシイソプロパノール、メトキシメチルブタノール、メトキシPEG-10、メチラール、メチルヘキシルエーテル、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-6-メチルエーテル、ペンチレングリコール、PPG-7、PPG-2-ブテス-3、PPG-2ブチルエーテル、PPG-3ブチルエーテル、PPG-2メチルエーテル、PPG-3 メチルエーテル、PPG-2 プロピルエーテル、プロパンジオール、プロピレングリコール、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコール プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トリメチルヘキサノール、フェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、(分散剤、界面活性剤もしくは他の添加物と混合され得る)これらの任意のもの、および上記物質の混合物を挙げることができる。
【0111】
容易に除去可能な溶媒、すなわち、容易に揮発され得る溶媒が、時折好ましくあり得る。例としては、120℃未満(例えば、80℃未満、またはさらに50℃未満)の沸点を有する溶媒が挙げられる。特に均一または均質な液体混合物が好ましい場合、溶媒または溶媒混合物を使用して、固体の効果的な分散を容易にし得る。
【0112】
ある例示の実施形態において使用される溶媒はさらに、マトリクス材料が複合材または混合物である場合、このマトリクス材料またはマトリクス材料の少なくとも一部もしくは主要成分を溶解または膨張するのに適切な溶媒混合物から選択され得る。マトリクス材料を実質的に完全に溶解する溶媒は、本発明の実施形態において好ましくあり得る。
【0113】
本発明の例示の実施形態にしたがって、液体混合物は、コロイド溶液、固溶体、分散物、懸濁物またはエマルジョンの形態であり得る。この混合物は、少なくとも1種のマトリクス材料および少なくとも1種の網状化剤を含む。当業者は、マトリクス材料、網状化剤、溶媒および可能性ある添加物を選択して、例えば、本質的に安定し、必要に応じて均質な分散物、懸濁物、エマルジョンまたは溶液を作製し得る。
【0114】
溶媒を含む液体混合物(例えば、マトリクス物質および網状化剤を含む溶液、分散物、懸濁物またはエマルジョン)の動粘度は、凝固前のこの液体混合物の適用温度(好ましくは約25℃)において、マトリクス物質の粘度から少なくとも約10〜99%低くてもよく、好ましくは20〜90%低くてもよく、または50〜90%低くてもよい。
【0115】
流動可能な混合物が溶媒を含まない場合、液体混合物またはマトリクス材料の温度および/または組成は、いずれの溶媒も含まない流動可能な混合物の動粘度が、その温度においてマトリクス材料の粘度から少なくとも約10〜99%低い、好ましくは20〜90%低い、または50〜90%低いように、選択され得る。また、これらの値は、実質的に任意の架橋が起こる前または架橋剤が添加される前それぞれの混合物に関する。粘度は従来の方法によって、例えば、キャピラリー粘度計またはBrookfield装置にて測定できる。
【0116】
さらに、網状化剤、溶媒およびマトリクス材料の個々の組み合わせは、その溶媒、マトリクス材料または液体混合物によって、選択された網状化剤が湿潤にされるように選択され得る。必要に応じて、網状化剤は、上記の適切な添加物または界面活性剤の使用により改変されて、湿潤性を増加でき、好ましくは本質的に完全に湿潤に出来る。
【0117】
さらに、少なくとも1種の網状化剤およびマトリクス材料は、特定の重量比または容積比で互いと組み合わされて、例えば、この液体混合物を凝固させるために使用される条件下で形成される多孔性複合材の構造を最適化できる。両者の成分の特定の比率は、分子量、粒子サイズおよびその粒子の特定の比表面積に依存し得る。使用される比率は、凝固工程中の溶媒除去の際、またはマトリクス成分の粘度を変化させる際に、溶媒相および固体相(マトリクス材料と網状化剤とからなる)への相分離が達成できるように選択され得る。粘度変化は、温度をより高温またはより低温へと変化させること、または特に溶媒を含まない系において架橋剤の添加によって達成できる。
【0118】
この相分離は、固相の三次元ネットワークの形成を、例えば、使用される成分の自己配向によって促進し得る。本発明の例示の実施形態において、網状化剤の総容量とマトリクス材料の総容量との間の容量比は、約20:80〜70:30、好ましくは30:70〜60:40、または50:50〜60:40の範囲であり得る。
【0119】
本発明の例示の実施形態において、液体混合物中の固体成分は、液体混合物の総重量に対して90%重量以下、好ましくは80%重量以下、または液体混合物の総重量に対して20%重量未満、好ましくは15%重量未満(例えば、10%重量未満、時折さらに5%重量未満)を構成する。
【0120】
(添加物)
添加物の使用の場合、材料の機械的特性、光学特性および熱特性をさらに変化させ調整することが可能である。このことは、具体的にはテーラーメード(tailor-made)のコーティングに適切であり得る。したがって、本発明のいくつかの例示の実施形態において、さらなる添加物が液体混合物に添加され得る。
【0121】
適切な添加物の例としては、充填剤、さらなる細孔形成剤、金属および金属粉末などが挙げられる。無機の添加物および充填剤の例としては、シリコーン酸化物およびアルミニウム酸化物、アルミノシリケート、ゼオライト、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、タルク、グラファイト、カーボンブラック、フラーレン、クレー物質(clay materials)、フィロシリケート、ケイ素化合物、ニトリド、金属粉末(例えば、銅、金、銀、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金などの遷移金属が挙げられる)が挙げられる。
【0122】
さらなる適切な添加物は、架橋剤、可塑剤、潤滑剤、防火剤、ガラスまたはグラスファイバー、カーボンファイバー、綿、織物、金属粉末、金属化合物、シリコン、シリコン酸化物、ゼオライト、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、アルミニウム酸化物、アルミニウムシリケート、タルク、グラファイト、すす、フィロシリケートなどである。
【0123】
架橋のための代表的な添加物としては、例えば、有機シラン(例えば、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシランおよびアリールトリアルコキシシランの本明細書中で上記したもの、ならびに国際特許出願PCT/EP2006/050622および米国特許出願第11/346,983号に記載されたものが挙げられ、そしてこれらはまた、本発明の実施形態において架橋剤添加物としても使用され得る。
【0124】
成分を湿潤化、分散および/またはいくらか(satirically)安定化させるための、さらなる添加物または静電安定化剤、理論体系(theology)またはチキソトロピー改変剤(例えば、商標Byk(登録商標)、Disperbyk(登録商標)またはNanobyk(登録商標)としてByk-Chemie GmbH、Germany)により販売される種々の添加物および分散補助剤、または他の製造業者からの等価な組成物)が必要な場合に添加され得る。
【0125】
乳化剤は、液体混合物中で使用され得る。適切な乳化剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤およびこれらの任意の組み合わせから選択され得る。アニオン性界面活性剤としては、石ケン、アルキルベンゾルスルホネート、アルカンスルホネート(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)など)、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート(alkyethersulphonate)、グリセリンエーテルスルホネート、α−メチルエステルスルホネート、スルホン化脂肪酸、アルキルスルホネート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセリンエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、水酸基混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノアルキルスルホサクシネートおよびジアルキルスルホサクシネート、モノアルキルスルホサクシナメートおよびジアルキルスルホサクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石ケン、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イソチオネート、脂肪酸アルコシネート、脂肪酸タウリド、N−アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタータレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸濃縮物(特に小麦ベースの植物由来産物);ならびにアルキル(エーテル)ホスフェート(alky(ether)phosphate)が挙げられる。
【0126】
カチオン性界面活性剤としては、四級アンモニア化合物(例えば、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド)、Stepantex(登録商標)VL 90(Stepan)、エステルクアット(例えば、四級化脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩)、長鎖一級アミンの塩、四級アンモニア化合物(例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(CTMA-Cl)、Dehyquart(登録商標)A(セトリモニウムクロリド、Cognisより利用可能)、またはDehyquart(登録商標) LDB 50 (ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、Cognisより利用可能)が挙げられる。
【0127】
当業者は、必要に応じてそのような添加物のいずれかまたは数種を選択して、液体混合物中の安定な分散物、懸濁物またはエマルジョンを作製し得る。
【0128】
さらに使用される網状化剤に対して、さらなる充填剤を使用して、サイズおよび気孔率の程度をさらに改変し得る。本発明のいくつかの例示の実施形態において、非ポリマー性充填剤が好ましい。非ポリマー性充填剤としては、例えば、熱処理、洗い落としまたは他の条件によって、材料特性に悪く作用することなく除去または分解され得る任意の物質が挙げられる。数種の充填剤が適切な溶媒中に溶解でき、そして最終材料からこの様式で除去され得る。さらに、選択される熱条件の下で可溶性物質へと変換され得る非ポリマー性充填剤もまた利用できる。非ポリマー性充填剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤が挙げられ、これらは例えば特定の熱条件の下で除去または分解され得る。また充填剤として、無機金属塩、特にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属由来の塩(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカルボネート、スルフェート、スルファイト、ニトレート、ニトライト、ホスフェート、ホスファイト、ハライド、スルフィド、およびオキシド)を挙げることができる。さらに適切な充填剤として、有機金属塩(例えば、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩および/または遷移金属塩)、例えば、ギ酸塩(formiate)、酢酸塩、プロピオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フタル酸塩、ステアリン酸塩、フェノール塩、スルホン酸塩およびアミン、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0129】
本発明の別の例示の実施形態において、ポリマー性充填剤が利用できる。適切なポリマー性充填剤は、特に球状形態またはカプセル形態のカプセル封入ポリマーとして上に述べたものであり得る。好ましい例としては、直鎖または分枝の飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。これは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン)ならびにこれらのコポリマーおよび混合物であり得る。さらに、本明細書中で上記のメタクリル酸またはポリステアリンから形成されるポリマー粒子および導電性ポリマー(例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリジアルキルフルオレン、ポリチオフェンまたはポリピロール)もまた、例えば、導電性材料をもたらすため、ポリマー性充填剤として利用され得る。
【0130】
上述の手順において、例えば本発明に従う凝固工程において使用される熱条件下で揮発される、可溶性充填剤およびポリマー性充填剤が組み合わされ得るかまたは、熱処理の間に揮発性化合物へと変換され得る。この方法で、ポリマー性充填剤により形成される細孔は、網状化剤または他の充填剤により形成される細孔と組み合わされて、等方性または異方性の細孔分布(例えば、階層的な細孔サイズ分布)をなし得る。
【0131】
非ポリマー性充填剤の適切な粒子サイズは、得られる複合材料の所望の気孔率および/または細孔のサイズに依存して、当業者により決定され得る。
【0132】
材料の凝固後の充填剤の除去のためまたは清浄化工程のために使用され得る適切な溶媒としては、例えば、(熱)水、希釈もしくは濃縮した無機性もしくは有機性の酸、塩基、または本明細書中に上述した任意の溶媒が挙げられる。適切な無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ならびに希釈したフッ化水素酸が挙げられる。適切な塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、炭酸塩および有機アミンが挙げられる。適切な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロメタン酸、トリフルオロメタン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0133】
充填剤は、溶媒を用いた処理の性質および時間に依存して、網状化複合材料から部分的または完全に除去され得る。凝固後の充填剤の完全な除去が好ましくあり得る。
【0134】
(凝固)
凝固工程は、代表的に、使用される液体混合物の特定の特性および組成に依存する。凝固は、例えば、熱処理(例えば、加熱または冷却);圧力の変動(例えば、減圧)、フラッシュ(水洗)または通風、ガス(不活性ガスが挙げられる)を用いた乾燥、乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、ろ過、または化学的もしくは物理的な硬化(curing)もしくは固化(hardening)(例えば、架橋剤の使用によるものであり、必要に応じて熱架橋または放射線誘導架橋と組み合わせる)、またはこれらの任意の組み合わせによって、達成できる。
【0135】
好ましくは、凝固は、実質的に、マトリクス材料の分解なしに、または少なくとも1種の網状化剤とマトリクス材料との組み合わせなしに起こる。すなわち、マトリクス材料の熱分解(thermolysis)も高熱分解(pyrolysis)も実質的に存在しない。網状化剤は、マトリクス材料中に包埋され得る。
【0136】
当業者は、本発明の最終複合材料の所望の特性および使用される成分に依存して、温度、雰囲気または圧力などの適切な条件を利用して、実質的に完全な凝固を確実にすることができる。
【0137】
本発明の好ましい例示の実施形態において、凝固工程として、固相と液相とへの液体混合物の相分離、例えば、液体混合物からの固形物の沈殿による相分離を挙げることができる。特定のいずれの理論にも束縛されることを望まないが、このような相分離または沈殿は、得られる複合材料における網状化構造の進行を容易にするかまたはなお促進すると考えられる。網状化構造のこのような進行は、好ましくは、実質的に溶媒が除去される前に起こってもよい。例えば、相分離または沈殿が少なくとも1種の溶媒の除去前に誘導されてもよい。
【0138】
本発明の例示の実施形態の好ましい凝固工程において、相分離または沈殿は、少なくとも1つの手段によって誘導され、その手段としては、溶媒の除去、マトリクス材料の架橋、または液体混合物の粘度を増加させることが挙げられる。
【0139】
液体混合物の粘度の増加は、少なくとも1つの手段によって誘導でき、その手段としては、架橋、硬化、急速な温度上昇、急速な温度低下、または急速な溶媒除去が挙げられる。この文脈において「急速な」は、上述のこの特定の手段を適用開始した後、5時間未満以内、好ましくは1時間未満以内、または30分未満以内、20分未満以内、15分未満以内、10分未満以内、5分未満以内、またはさらに2分未満以内、または1分未満以内を意味する。必要とされる時間は代表的に液体混合物の質量に依存する。
【0140】
熱処理としては、温度範囲−78℃〜500℃での加熱または冷却を挙げることができ、加熱または凍結、凍結乾燥などを挙げることができる。
【0141】
溶媒は、熱処理前に液体混合物から除去できる。これは、ろ過、または液体混合物の都合のよい熱処理(例えば、−200℃〜300℃の温度範囲(例えば、約−100℃〜200℃の範囲、または約−50℃〜150℃の範囲、例えば、約0℃〜100℃、または約50℃〜80℃)における冷却または加熱)によって、達成できる。室温における溶媒の蒸発または熱気流もしくは他のガス流中での溶媒の蒸発もまた使用され得る。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥または同様の従来の方法によって実施され得る。
【0142】
凝固処理もまた、事前の溶媒除去と共に、またはその事前の溶媒除去なしに、必要に応じて減圧下もしくは真空下、または不活性ガスもしくは反応性ガスの存在下で、高温(代表的に、約20℃〜約4000℃、または約100℃〜約3500℃、または約100℃〜約2000℃、例えば約150℃〜約500℃)での熱処理を含み得る。
【0143】
任意の成分を分解することのない凝固は、約500℃以下の温度で行われ得るが、本発明のいくつかの例示の実施形態において、凝固の間または凝固後に複合材料の構成物の少なくとも1種を部分的または完全に炭化処理、熱分解処理(pyrolize)または分解することも好ましくあり得る。このことは、通常、約150℃〜約4000℃のより高温で行われ得る。また、これらの高温は、追加の焼結工程が所望され得る本発明の例示の実施形態において使用することができる。
【0144】
しかしながら、代表的に、高温(すなわち約500℃超)での焼結工程は必要とされず、好ましくは、対象物の分解を含む処置工程(例えば、高熱分解処理または炭化処理)は避けられる。本発明の例示の実施形態の凝固工程は、約20℃〜500℃の範囲の温度(例えば約30〜350℃、例えば約40〜300℃)または200℃未満(例えば約100℃〜190℃)の温度を包含し得る。
【0145】
凝固工程はさらに、異なる雰囲気(例えば不活性雰囲気、例えば窒素、SF6もしくは希ガス(例えばアルゴン)、またはこれらの任意の組み合わせ)において実施され得るか、または例えば酸素、一酸化炭素、二酸化炭素もしくは酸化窒素を含む酸化雰囲気において実施され得る。さらに、不活性雰囲気は、反応性ガス(例えば、水素、アンモニア、C1−C6飽和脂肪族炭化水素(例えばメタン、エタン、プロパンおよびブタン)、またはこれらの混合物)と共にブレンドされ得る。
【0146】
本発明のいくつかの例示の実施形態において、凝固工程における雰囲気は、特に液体混合物の熱処理の場合、酸化雰囲気(例えば、空気、酸素よび酸素に富んだ不活性ガス)であり得る。あるいは、凝固処理の間の雰囲気は、実質的に酸素を含まなくてもよい。すなわち、酸素含量は10ppm未満であるか、さらに1ppm未満である。
【0147】
凝固はまた、レーザーの適用によって(例えば、選択的レーザー焼結(SLS)によって)実施され得るか、または例えばUV線またはγ線の使用が架橋剤を硬化する場合、放射線によって誘導され得る。
【0148】
溶媒ベースの液体混合物から固形成分を、例えば熱処理、架橋剤によるかまたは溶媒を蒸発させることによって沈殿させることが、好ましくあり得る。例えば、得られる複合材料において実質的に均質な細孔構造を形成するため、および/または液体混合物中の粒子のネットワーク様配向または網状化配向を促進するため、低粘度と、例えば凝固の間の固相の急速な粘度上昇とが好ましくあり得る。このことは、固相を溶媒相から分離することによって達成され得る。そのように行う場合、適用されるべき温度は、代表的に、その溶媒およびマトリクス材料の凝固点または沸点にそれぞれ依存する。
【0149】
温度上昇による凝固の場合、溶媒は、少なくとも約5〜約200℃(例えば、約30〜200℃)のマトリクス材料の沸点を有し得るか、またはそのマトリクス材料の融点から約40℃〜100℃低く、その結果、本質的には液体混合物の熱処理の間および/または溶媒除去の間のマトリクス材料の粘度低下がないか、本質的にはマトリクス材料または網状化剤の溶解が本質的にないか、あるいは本質的には不完全な熱分解がない。
【0150】
本発明の例示の好ましい実施形態において、液体混合物は、急速な瞬間的な温度低下によって凝固される。これは、溶媒を含む液体混合物または含まない液体混合物に関して行われ得る。溶媒ベースの混合物において、溶媒は、少なくとも10〜100℃、好ましくは20〜100℃の沸点を有し得、好ましくはマトリクス材料の融点より30〜60℃高い沸点を有し得る。
【0151】
マトリクス材料(好ましくはポリマー)の融点領域中の温度条件において分散物、懸濁物、エマルジョンまたは溶液を製造することによって、網状化剤のネットワークは急速な温度低下によって形成でき、液体混合物の急速な粘度上昇を生じる。マトリクス材料中に網状化剤を組み込むことによって、溶媒相は真空処理によって液体混合物から除去され得る。
【0152】
架橋剤は、液体混合物を形成する分散物、懸濁物またはエマルジョンに添加され得る。架橋剤としては、例えば、イソシアネート、シラン、ジオール、ジ−カルボン酸、(メタ)アクリル酸(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリル酸)、プロピルトリメトキシシラン、3-(トリメチルシリル)プロピルメタクリル酸、イソホロン、ジイソシアネート、ポリオール、グリセリンなどを挙げることができる。生体適合性架橋物(例えば、グリセリン、ジエチレントリアミノイソシアネートおよび1,6-ジイソシアナトヘキサン)は、例えば液体混合物が固体複合材料へと比較的低い温度(例えば、100℃未満)で変換される場合に好ましくあり得る。
【0153】
架橋剤の含量および型は、相分離または溶媒の蒸発によって固体複合材相が形成してされてしまう前に、液体混合物の凝固の間に架橋化が本質的に系の粘度変化を生じないように適切に選択され得る。架橋化は、未だ架橋されていないかまたは不完全にのみ架橋されたマトリクス材料の成分によって阻害し、そして適切な溶媒を用いてその系を処理することによって溶解または除去して、複合材料の形態および全体的な構造を改変し得る。
【0154】
(さらなる処理)
液体混合物または最終複合材料は、意図される特定の使用に依存して、数種の方法においてさらに処理され得る。
【0155】
凝固した材料またはコーティングが適切な還元剤および/または酸化剤(例えば、水素、二酸化炭素、水蒸気、酸素、空気、一酸化二窒素または酸化能ある酸(oxidizing acid)(例えば、硝酸など)および必要な場合にはこれらの混合物)を用いて1回以上処理されて、細孔サイズおよび表面特性を改変する場合、例えば、還元処理または酸化処理が適用され得る。空気を用いた活性化は、例えば高温(例えば、約40℃〜1000℃、または約70℃〜900℃、または約100℃〜850℃、時には約200℃〜800℃、または約700℃)における1つの選択肢であり得る。複合材料は、還元もしくは酸化またはこれら処理工程の組み合わせによって室温で改変され得る。酸化能ある酸または塩基中での煮沸もまた使用して、所望の場合、表面特性および嵩特性を改変し得る。
【0156】
細孔サイズおよび細孔構造は、使用される酸化剤または還元剤の型、温度および活性化の持続時間に従って変動され得る。気孔率は、上記のように、複合材料中に存在する充填剤を洗い落とすことによって調節され得る。これらの充填剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、粉末化アルミニウム、脂肪酸、ミクロワックス(microwax)もしくはそのエマルジョン、パラフィン、カーボネート、溶解(dissolved)ガス、または水溶性塩を挙げることができ、これらは、水、溶媒、酸もしくは塩基を用いて、または蒸留もしくは酸化熱分解および/もしくは非酸化熱分解によって除去できる。この適切な方法は、例えばドイツ国特許DE 103 22 187および/または国際特許出願PCT/EP2004/005277に記載され、そして本明細書で適用され得る。
【0157】
材料の特性もまた、必要に応じて、粉末化物質(例えば、金属粉末、カーボンブラック、フェノール性樹脂粉末、繊維、特にカーボンファイバーまたは天然繊維)を用いて表面を構造化することによって変更され得る。
【0158】
複合材料はまた、必要に応じて、別の任意の処理工程において、いわゆるCVDプロセス(化学蒸着)またはCVIプロセス(化学蒸気含浸)に供されて、表面構造または細孔構造およびその特性をさらに改変し得る。これを行うため、材料およびコーティングは、従来使用されるように、高温で炭素を放出する適切な前駆体ガスを用いて処理され得る。これに続くダイヤモンド様炭素の使用は、この場合好ましくあり得る。他の元素(例えば、ケイ素)もまたこのように従来の方法により沈着され得る。CVD条件下で十分な揮発性を有するほぼ全ての既知の飽和炭化水素および不飽和炭化水素を前駆体として使用して、炭素を分解除去し得る。適切なセラミック前駆体としては、例えば、BCl3、NH3、シラン(例えばSiH4、テトラエトキシシラン(TEOS)、ジクロロジメチルシラン(DDS)、メチルトリクロロシラン(MTS))、トリクロロシリルジクロロボラン(TDADB)、ヘキサジクロロメチルシリルオキシド(HDMSO)、AlCl3、TiCl3またはこれらの混合物が挙げられる。CVD方法によって、材料における細孔サイズは、制御された様式で低減され得るか、または細孔はいっそう完全に閉じられ得、そして/もしくはシールされ得る。このことは、あつらえた(tailored)様式で複合材料の吸着特性および機械的特性を調整することを可能にする。シランまたはシロキサンのCVDによって、必要に応じて炭化水素を有する混合物中で、材料およびコーティングは、カーバイドまたはオキシカーバイドの形成によって改変することができ、その結果、これら材料およびコーティングは、例えば酸化耐性となる。
【0159】
本発明に従って作製される材料およびデバイスは、スパッタリング方法またはイオン注入/イオン照射(ion bombardement)方法によってさらにコーティングおよび/または改変され得る。炭素、ケイ素ならびに金属および/または金属化合物は、従来の方法によって適切なスパッター標的から応用し得る。例えば、ケイ素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物もしくはタンタル化合物または金属をCVDまたはPVDによって材料中へと組み込むことによって、安定性および酸化耐性を増加させるカーバイド相を形成することができる。
【0160】
さらに、複合材料を機械的に作用させて多孔性表面を作製し得る。例えば、適切な方法により制御された表面層研磨は、改変された多孔性表面層を導き得る。1つの選択肢は、超音波槽中での清浄化および/または研磨であり、この場合、材料中の欠陥およびさらなる気孔率は、種々の粒子サイズの研磨可能な固体および硬度度合いの混合、ならびに適切な入力エネルギーおよび処理時間の関数としての超音波槽の適切な周波数によって、標的にされた様式で作製され得る。アルミナ、シリケート、アルミネートなど(好ましくはアルミナ分散物)が付加された水性超音波槽が使用され得る。しかしながら、超音波槽に適切な任意の他の溶媒もまた、水の代わりに、または水と組み合わせて使用され得る。
【0161】
さらに、金属イオン(特に、遷移金属イオンおよび/または非金属イオン)のイオン注入によって、本材料の表面特性はさらに改変され得る。例えば、窒素注入によって、ニトリド、オキシニトリドまたはカルボニトリド(特に遷移金属のニトリド、オキシニトリドまたはカルボニトリド)を組み込むことが可能である。材料表面の気孔率および強度は、炭素の注入によってさらに改変され得る。
【0162】
例えば生分解性ポリマーおよび/もしくは再吸収性ポリマー、または非生分解性ポリマーおよび/もしくは再吸収性ポリマー(必要に応じて多孔性である)を、例えば層様式またはオーバーコートとして適用することによって、網状化複合材料はさらに改変され得る。
【0163】
さらに、任意の活性化工程の前または後での網状化複合材料の任意のパリレン化(parylenation)によって、材料の表面特性および気孔率はさらに改変され得る。材料は、高温(通常約600℃)においてパラシクロファンで最初に処理され、ポリ(p-キシレン)のポリマーフィルムがその材料表面に形成される。次いで、このフィルムは必要に応じて、例えば、続く炭化処理工程において公知の方法によって炭素へと変換され得る。
【0164】
必要な場合、網状化材料は、さらなる化学的および/または物理的な表面改変に供され得る。存在し得るいずれの残渣も不純物も除去するための清浄工程がここで提供され得る。この目的のため、酸(特に酸化能ある酸)または溶媒が使用され得るが、酸または溶媒中での煮沸が好ましい。ある程度の材料の炭化は、酸化能ある酸の中で煮沸することによって達成され得る。必要に応じて超音波を適用した、必要に応じて高温での有機溶媒を用いた洗浄もまた、網状化デバイス/材料をさらに処理するために使用され得る。
【0165】
網状化材料/デバイスは、従来の方法(例えば、オートクレーブ処理、エチレンオキシド滅菌、加圧滅菌、またはγ線照射)によって滅菌され得る。本発明に従って、上記の工程全ては、そのうちのいずれかのものまたは以下に記載のものと組み合わされ得るかまたは一緒に使用され得る。
【0166】
デバイス中またはデバイス上の多孔性網状化材料のコーティングまたは嵩材料は、基材に適用されるかまたは成形もしくは形成される前または後の折りたたみ処理、エンボス処理、パンチング処理、プレス処理、押出処理、ギャザー処理(gathering)、射出成形などによって本発明の複合材料へと凝固する前または後に、適切な方法で構築され得る。この方法において、規則的または不規則的な型をとる特定の構造は、本発明に従う材料を用いて作製される複合材コーティング中に組み込まれ得る。
【0167】
網状化材料は、従来技術(例えば、型に入れられる詰め物などを構築すること、または任意の医療デバイス上でコーティングを形成すること)によってさらに処理されて、所望の形状または少なくともその一部をもたらし得る。
【0168】
複合材料は、任意の所望の形態で作製され得る。多層化した半仕上げの(half-finished)成形形状を利用することによって、非対称性構造が複合材料から形成され得る。この材料は、任意の適切な従来技術(これには鋳造処理(例えば、砂型鋳造、シェルモールド法、フルモールド処理、ダイキャスト法、遠心鋳造法)、またはプレス処理、焼結処理、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、押出、カレンダー処理、融接法、圧接法、ジガー処理(jiggering)、スリップキャスト処理(slip casting)、ドライプレス処理(dry pressing)、乾燥処理、燃焼処理(firing)、フィラメント巻き取り処理(filament winding)、連続式引抜成形、ラミネート法、オートクレーブ、硬化処理、または網組処理(braiding)が挙げられるがこれらに限定されない)を適用することによって、所望の形状へと導かれ得る。
【0169】
網状化複合材料のコーティングは、液体中、どろどろの形態または糊状形態で、例えばペイント処理、装飾処理(furnishing)、反転(phase-inversion)、分散処理、噴霧処理(atomizing)または溶解コーティング、押出処理、ダイキャスト法、スリップキャスト法、浸漬処理によるかまたはホットメルトとして、例えば凝固前にその液体混合物から直接的に適用され得る。材料がすでに固相状態である場合、これは、粉末コーティング、フレーム溶射法、焼結などによって適切な基材上に適用されて、医療デバイスを形成し得る。浸漬処理、噴霧処理、スピンコーティング、インクジェット印刷処理、タンポンコーティングおよびミクロドロップコーティングまたは3D印刷処理は、液体混合物を基材に適用するために好ましくあり得る。液体混合物の適用は、高頻度の噴霧処理デバイス(例えば、出願人らの国際特許出願PCT/EP2005/000041に記載のもの)によるか、または出願人らの国際特許出願 WO 2005/042045に記載のデバイスを使用するプリントコーティングもしくはローラーコーティングによって行われ得る。これらのデバイスまたは方法もまた、任意のさらなる薬剤(例えば、治療活性な薬剤もしくは診断活性な薬剤または以下に記載のさらなるコーティング)を用いて医療デバイスをさらにコーティングするために使用され得る。網状化剤を用いたコーティングは、例えば、液体混合物のコーティングが医療デバイスに適用され、乾燥されそして必要な場合に熱処理される場合に製造され得る。
【0170】
さらに、コーティングされたデバイスは、移送プロセスによって取得できる。この場合、網状材料は、調製されたラミネート法の形態でデバイスの基材に適用される。コーティングされたデバイスは、乾燥および硬化され得、その後このコーティングは、例えば熱処理され得るかさらに処理され得る。コーティングされた医療デバイスはまた、適切な印刷手順(例えば、グラビア印刷処理(gravure printing)、スクレーピング(scraping)またはブレード印刷処理、スプレー処理技術または熱ラミネート法もしくはウェットインウェット(wet-in-wet)ラミネート法)によって取得できる。2以上の薄層に適用すること、例えばエラーなしの(error-free)複合材フィルムを確立することが可能である。上述の移送手順を適用することによって、異なる層からの異なる並びの多層勾配フィルムを形成することもまた可能であり、これは、凝固後に勾配材料をもたらし得る。この場合、網状化材料の密度は位置ごとに変動する。
【0171】
液体混合物もまた、乾燥または熱処理でき、次いで従来技術(例えば、ボールミル、ローラーミルなどにおけるグラインド処理)によって粉砕できる。粉砕した網状化材料は、異なる粒状(graining)の粉末、均一なブランク、ロッド、スフェア(小球)、中空スフェアとして使用でき、そして従来技術によって種々の形態で顆粒または押出成形物(extrudate)へと処理できる。熱圧縮(hot-pressure)手順は、必要な場合には適切なバインダーを使用して、網状化材料から医療デバイスまたはその一部を形成するために使用できる。
【0172】
処理のさらなる可能性は、一般に使用される他の技術(例えば、スプレー高熱分解(spray-pyrolysis))による粉末形成、またはスピニング処理技術(例えば、ゲルスピニング処理(gel-spinning))による繊維の沈殿もしくは形成であり得る。
【0173】
(官能化および使用)
成分および処理条件を適切に選択することによって、本明細書中に記載されるプロセスは、例えば、生体内崩壊性(bioerodible)または生分解性の材料、デバイスもしくはコーティングの作製、または例えば生理学的流体の存在下で基材からの溶解可能もしくは剥離できるコーティングもしくは網状化材料を可能にする。例えば、冠動脈移植物(例えば、ステント)に関する医療分野において使用され得るコーティングが作製され得る。この場合、このコーティングは治療活性な薬剤および/または診断活性な薬剤を含み得る。
【0174】
治療活性な薬剤および/または診断活性な薬剤は、網状化剤、マトリクス材料の少なくとも一部として、添加物として複合材料中に含まれ得るか、または凝固後に網状化複合材料上またはその中に適用され得る。
【0175】
診断活性な薬剤は、マーカー、造影剤または放射線非透過性の材料であり得、代表的には信号伝達特性を有する材料(例えば、物理学的検出方法、化学的検出方法または生物学的検出方法によって検出可能である信号を生成する材料)から選択され得る。用語「治療活性な薬剤」、「診断目的の薬剤」および「マーカー」とは、本発明において同意義で使用される。これらの材料の適切な例は、網状化剤として上記に一部述べられており、そして信号伝達特性を有するさらに適切な診断薬剤は、出願人らの係属中の米国特許出願第11/322,694号および国際特許出願PCT/EP2005/013732に詳細に記載され、そして本発明の実施形態においてマーカーとして使用され得る。特定のマトリクス材料もまた信号伝達特性を有し得、これによってマーカーまたは造影剤として役立てることができる。網状化複合材料は、適切に改変されて診断薬剤の制御放出を可能にし得る。
【0176】
マーカーまたは信号伝達特性を有する因子は、物理学的検出方法、化学的検出方法または生物学的検出方法(例えば、X線、核磁気共鳴(NMR)、コンピューター利用断層撮影法、シンチグラフィー、シングルフォトン励起コンピューター利用断層撮影法(SPECT)、超音波、ラジオ波(RF)など)によって検出可能である信号を生成し得る。例えば、マーカーとして使用される金属ベースの網状化剤は、ポリマーシェル中にカプセル封入でき、これによってコーティングされた複合材料自体も基材も(例えば、移植材料)、時には金属も(これは電気腐食または関連する問題を招き得る)妨げることがない。コーティングされた複合材料は、カプセル封入されたマーカーを用いて作製され得る。この場合、このコーティングはその移植物上に恒常的に残存する。
【0177】
治療活性な網状化剤が使用される場合、これらは生体内崩壊性または生分解性の材料中にカプセル封入されて、必要に応じて生理学的条件下でその活性成分の制御放出を可能にし得る。また、テーラーメイドの気孔率に起因して治療活性な薬剤(これは、生理学的流体の存在下で溶解または抽出できる)を浸透できるかまたは負荷できるコーティングまたは複合材料が取得できる。このことは、例えば、活性剤の制御放出をもたらす医療デバイスまたは移植物の作製を可能にする。例としては、薬物溶出ステント、薬物送達移植物、薬物溶出性の整形外科移植物などが挙げられる。
【0178】
また、本明細書中に記載されるプロセスは、必要に応じてコーティングされる多孔性の骨移植物および組織移植物(崩壊性または非崩壊性)、必要に応じてコーティングされる多孔性の移植物および関節移植物、ならびにツメ、ネジまたはプレート等の多孔性外傷学的(traumatologic)デバイスを、例えば定着特性または治療機能性を向上させて、例えば組織または器官の局所的照射治療法のために励起可能な放射特性を備えて作製するため、使用され得る。
【0179】
別の網状化剤および/またはこれを含むコーティングは、電磁波照射の高度な反射特性および吸収特性を有し、これによって例えば電気医療デバイス(例えば、金属移植物またはペースメーカーおよびその一部)に対する防護特性を備える導電性繊維(カーボンナノチューブなど)を基にできる。
【0180】
さらに、特定の高い表面積率ならびに特定の熱伝導度および異方性導電性を有する、カーボンチューブおよびナノファイバーをベースとする多孔性網状化材料は、例えば、ミクロな利用またはマクロな利用のためのアクチュエーターとして、あるいは人工筋肉の作製のためまたはファイバーおよびフィルムを作動するためのフィルム箔材料としての使用のために作製され得る。
【0181】
さらに、非医療適用において、本明細書中に記載されるプロセスは、例えば流体の排出のための多孔性織物;ナノ濾過、限外濾過またはミクロ濾過のための多孔性膜およびフィルター、ならびにガスの質量分離を有するセンサの作製のために、使用され得る。特定の高い表面積率を有する共有結合性または非共有結合性の触媒活性因子(触媒利用のための触媒金属、酵素または反応因子など)を備えた、触媒活性の多孔性材料を作製することもまた可能である。
【0182】
制御された反射特性および回折特性を有する多孔性複合材料コーティングもまた、種々の目的のために作製され得る。例としては、光学的コーティングの作製が挙げられ、このコーティングは、電磁気遮蔽性および/または導電性と、高い光透過性および光学透明度を有するナノ細孔との組み合わせ等の向上した機能特性を有する一方、例えば高い表面積率を有する進歩したタッチスクリーン、大面積ディスプレイ、可撓性ディスプレイおよび太陽熱収集電器(solar voltaic collector)としての使用のための抗反射特性を有する。
【0183】
複合材料の平均細孔サイズはSEM(走査型電子顕微鏡)によって、吸着方法(ガス吸着または水銀進入型気孔率測定(mercury intrusion porosimetry)など)、クロマトグラフィー気孔率測定法によって、決定され得る。気孔率および表面積率は、例えばBET法に従ってN2吸着技術またはHe吸着技術によって決定され得る。例えば、網状化剤の粒子サイズは、TOT方法(Time-Of-Transition)によるCIS Particle Analyzer (Ankersmid)において、X線粉末回折、レーザー回折、またはTEM (Transmission-Electron-Microscopy)によって決定され得る。懸濁物、エマルジョンまたは分散物における平均粒子サイズは、動的光散乱方法によって決定され得る。液体混合物の固体含量は、重量測定方法または湿度測定によって決定され得る。
【0184】
ここで本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに記載される。
【実施例1】
【0185】
主要な粒子サイズ90〜120nmを有するすす、ランプブラック (Degussa、Germany)の均質な分散物、およびフェノキシ樹脂(Beckopox(登録商標) EP 401、Cytec)を調製した。最初にメチルエチルケトン(31 g)、3.1 gのBeckopox(登録商標) EP 401および0.4gのグリセリン(架橋剤、Sigma Aldrich) の親溶液を調製した。1.65gのランプブラックおよび1.65 gの分散性添加物(Disperbyk(登録商標) 2150、2-メトキシ-l- メチルエチル酢酸中のブロックコポリマー溶液、Byk-Chemie、Germany)を、メチルエチルケトン/Beckopox(登録商標) EP 401親溶液の一部を添加し、すすのペーストを調製した。続いて、Pentraulik(登録商標)溶解剤の15分間使用して残りの親溶液を添加して、均質な分散物を取得することによって、このペーストを分散物へと変換した。この分散物は、約3.5%の総固体含量を有する。これは、湿度測定デバイス(Sartorius MA 50)によって決定した。分散物の粒子サイズ分布はD50=150nmであり、これは、レーザー回折測定計Horiba LB 550によって決定した。
【0186】
分散物を4g/m2の表面積あたりの平均重量にて鋼鉄の基材上にスプレーした。スプレーの直後、この層を高温空気により2分間乾燥させた。次いで、このサンプルを、従来の管状炉中で窒素雰囲気下で加熱および冷却の温度ランプ1.33 k/分にて最高温度Tmax280℃まで熱処理し、これを30分間保持した。このプロセスから得られたサンプルを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて試験した。図1において、平均細孔サイズ100〜200nmを有する得られた多孔性複合材料の層の50,000×倍率が示される。
【実施例2】
【0187】
主要な粒子サイズ90〜120nmを有するすす、ランプブラック (Degussa、Germany)から作製された均質な分散物およびフェノキシ樹脂(Beckopox(登録商標) EP 401、Cytec)を上記実施例1のように調製した。1.65 gのランプブラックを使用する代わりに、0.9 gのみのランプブラックを使用し、そして0.75 gのフラーレン混合物 (Nanom Mix、FCC)を使用した。他の全ての成分の量は、上記実施例1において使用した量と同じである。得られた分散物は、実施例1で述べたように測定すると、固形物総量約3.4%を有した。この分散物における粒子サイズ分布は、D50=1μmであった。
【0188】
得られた分散物を、3.8 g/m2の表面積当たりの平均重量にて鋼鉄基材上にスプレーし、そして高温空気により2分間乾燥させた。これらのサンプルを、実施例1に上記したように熱処理に供した。得られた多孔性複合材でコーティングされた鋼鉄基材を、走査型電子顕微鏡を用いて試験した。以下の図2は、中央値細孔サイズ約1μmを有する得られた多孔性複合材層の20,00O×倍率におけるSEMを示す。
【実施例3】
【0189】
実施例2から得られたサンプルを、超音波槽中のアセトン中で35℃において30分の処理に供した。次いで、これらのサンプルを通常の対流オーブン中で200℃において2時間乾燥させた。図3におけるSEM画像は、20,00O×倍率のスポンジ状複合材層を示す。
【実施例4】
【0190】
均質な分散物を上記の実施例1〜3に記載されるように調製した。すすおよび/またはフラーレンの代わりに、中央値長さ約2μmおよび平均直径約200nmを有するカーボンナノファイバー(Polytech)を1.65gの量で使用した。得られた分散物は、総固体含量約3.6%を有した。この分散物を、表面積当たりの平均重量4.2 g/m2にて鋼鉄基材上にスプレーし、そして高温空気により2分間乾燥させた。
【0191】
続いて、これらのサンプルを上記の実施例1〜3に記載したように熱処理に供した。次いで、サンプルを超音波槽中のアセトン中で35℃において30分間処理した。対流オーブン中で200℃において2時間乾燥させたのち、これらのサンプルを、走査型電子顕微鏡を用いて試験した。以下の図4は、得られたメッシュ様または織物様の複合材層についての5,00O×倍率のSEM画像を示す。平均の細孔サイズは約2μmであった。
【実施例5】
【0192】
均質な分散物を実施例1に記載されるものと同量を使用した成分から調製した。しかしながら、すすの代わりに、1.6gのシリカ(Aerosil R972、Degussa、ドイツ)を使用した。分散物は、総固体含量約3.2%を有し、その平均粒子サイズ分布はD50=150nmであった。この分散物を、3.3 g/m2の表面積当たりの平均重量にて鋼鉄基材上にスプレーし、そして加熱空気により2分間乾燥させた。この熱処理は、実施例1に記載した処理と同じであった。
【0193】
図5における20,000×倍率での走査型電子顕微鏡写真は、得られた多孔性複合材層が平均の細孔サイズ約150nmを有することを示す。
【実施例6】
【0194】
D50=100 nmの粒子サイズ分布を有するTantalum ナノ粒子(Sigma Aldrich)とBeckopox(登録商標)EP 401(Cytec)との均質な分散物を調製した。Beckopox(登録商標) EP 401 (0.59 g)、架橋剤として低粘度のHDIトリマー(Desmodur(登録商標) N3600、Degussa)をベースとした0.13 gの液体脂質ポリイソシアネート、および溶媒のエトキシプロピルアセテート(EPA)0.38 gの親溶液を調製し、そして0.98gのタンタル粉末由来のペーストを粉砕機中で調製し、続いて親溶液を小分けに添加した。この分散物は、上記のように測定すると、約80%の総固体含量を有した。この分散物中の粒子サイズ分布は、D50=200nmであった。
【0195】
この分散物をマグネシウム基材上に滴下して、高温空気により2分間乾燥させた。続いて、従来の対流オーブン中で窒素雰囲気下で最高温度Tmax 280℃まで熱処理を実施し、これを30分間保持した。このサンプルを走査型電子顕微鏡を用いて試験した。図6は、細孔サイズ中央値200nmを有する実施例6の多孔性複合材料の200×倍率でのSEM写真を示す。
【実施例7】
【0196】
フェノキシ樹脂(Beckopox EP 401 (Cytex))1.87gを粉砕機に入れ、続いて粒子サイズ中央値約3μmを有する0.635gのタンタル粒子(H.C. Stark)を小分けに加え、そしてこの混合物をグラインドして実質的に均質なペーストを形成した。
【0197】
別途、粒子サイズ中央値約21nmを有する0.626gの二酸化チタン粒子(Aeroxide P25、Degussa、Germany)を、1.268gの分散助剤(Dysperbyk P- 104、Byk Chemie、Germany)と合わせ、グラインドしてペーストを形成し、次いで4.567gのメチルエチルケトンを添加して希釈することによって分散物を形成した。この分散物を、フェノキシ樹脂中のタンタル粒子の均質なペーストと合わせ、そして0.649gのエトキシプロピルアセテート、0.782gのグリセリン(架橋剤)および0.057gのポリエチレン粒子(Microscrub、平均粒子サイズ約150μm、Impag Company)および0.126gのポリエチレンオキシド(MW 300,000、Sigma Aldrich)を添加した。得られた混合物をスイングミル(Retsch)中で直径1cmを有する3個の鋼鉄球の存在下で2分間25kHzにて均質化した。得られた分散物をピペットを用いてチタン製の円形ブランク上に滴下し、従来の空気対流オーブン中で30分間約50℃で乾燥させた。続いて、このサンプルを窒素雰囲気下で約300℃で熱処理して、その樹脂を完全に硬化させた。得られた材料は、図7aおよび7bに示されるように、約100〜200μmのサイズを有するごく微細な細孔を明らかにした。走査型電子顕微鏡は、微細な細孔と組み合った網状化したスポンジ様構造のより小さな細孔を明らかにし、図7a(100×倍率)および図7b(20,000×倍率)に示されるように、階層的な気孔率を生じた。
【実施例8】
【0198】
上記実施例7に記載されるように、タンタル含有ペーストを作製したが、分散助剤としてDysperbyk(登録商標)180(Byk Chemie、Germany)を使用しており、そして実施例7に記載されるように、二酸化チタン含有分散物と合わせた。続いて、0.649gのエトキシプロピルアセテート、0.782gのグリセリン(架橋剤)および0.057gのポリエチレン粒子(Microscrub、粒子サイズ中央値約150μm、Impag Companyより利用可能)および0.126gのポリエチレンオキシド(MW 300,000、Sigma Aldrich)をそれぞれ充填剤または細孔形成剤(porogene)として添加した。得られた混合物を、スイングミル(Retsch)中で直径1cmを有する3個の鋼鉄球の存在下で2分間25kHzにて均質化した。得られた分散物をピペットを用いてチタン製の円形ブランク上に滴下し、従来の空気対流オーブン中で30分間50℃で乾燥させた。サンプルは、図8aに示されるように、微視的に多孔性表面が細孔サイズ中央値約100μmを有することを明らかにした。図8bは、その100倍の倍率を示し、ミクロ多孔性構造の微細に構築された網状化材料において、巨視的な細孔が同時に存在することを明確に示す。
【0199】
このように、本発明のいくつかの実施形態に詳細に記載されたが、上記の発明が上記の説明に記される特定の詳細に限定されるべきではないことが理解されるべきである。なぜなら、これらの多くの明確なバリエーションが本発明の本質からも範囲からも逸脱することなく可能であるからである。本発明の実施形態は、本明細書中に開示されるか、または詳細な説明および図面から明らかであり、そしてその詳細な説明および図面に包含される。詳細な説明は例として示され、本発明を記載される特定の実施形態にのみ限定するようには意図されない。
【0200】
上述の特許出願およびそれらに引用される文書またはそれら出願の手続の間に引用される全ての文書(「出願引用文書」)ならびにその出願引用文書に記載されるかまたは参照される全ての文書、ならびに本明細書中に引用されるか参照される全ての文書、参考文献および刊行物(「本明細書引用文書」)、ならびに本明細書引用文書中に引用または参照される全ての文書は、本明細書に述べられる任意の製品に関するかまたは本明細書中で参考として援用される全ての文書中の任意の製造業者の指示書、説明書、製品規格書およびプロダクトシートも一緒に、本明細書中で参考として援用され、そして本発明の実施において使用され得る。本出願の任意の文書の引用または確認は、係る文書が本発明に対する先行技術として利用可能であることの承認ではない。この開示および特に請求の範囲において、例えば「含む(compriseds)」「含まれる(comprised)」「含んでいる(comprising)」などの用語は、可能性ある最も広い意味を有し得ること、例えばこれらは「含む(includes)」「含まれる(included)」「含んでいる(including)」などを意味し得ること、ならびに例えば「本質的に〜からなっている」および「本質的に〜からなる」の用語が可能性ある最も広い意味を有すること、例えばそれらが説明として記載されていない要素を考慮に入れるが、先行技術において見出されている要素または本発明の基本的特徴もしくは新規の特徴に影響を及ぼす要素を除外することに注意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0201】
(以下の)詳細な説明は、例として示されるが、記載される特定の実施形態のみに対して本発明を限定するようには意図されず、添付の図面と組合わせると最良に理解できる。
【図1】図1は、実施例1の多孔性網状化材料層の倍率50,000倍を示す。
【図2】図2は、実施例2の材料の倍率20,000倍におけるSEM画像を示す。
【図3】図3は、実施例3の材料の倍率20,000倍におけるSEM画像を示す。
【図4】図4は、実施例4の材料の倍率5,000倍におけるSEM画像を示す。
【図5】図5は、実施例5の材料の倍率20,000倍におけるSEM画像を示す。
【図6】図6は、実施例6の多孔性複合材料の倍率200倍におけるSEM画像を示す。
【図7】図7は、実施例7の材料のSEM画像(図7aは倍率100倍、図7bは倍率20,000倍)を示す。
【図8】図8は、実施例8の材料の表面画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性複合材料を製造するためのプロセスであって、該プロセスは以下の工程:
a)以下:
i)少なくとも1種の網状化剤;および
ii)少なくとも1種の有機ポリマーを含む少なくとも1種のマトリクス材料;
を含む液体混合物を提供する工程、
b)該混合物を凝固させる工程
を包含する、プロセス。
【請求項2】
前記液体混合物が実質的にいずれの溶媒も含まない請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記液体混合物が少なくとも1種の溶媒を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記液体混合物が、分散物、懸濁物、エマルジョンまたは溶液のうちの少なくとも1種を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記網状化剤が粒子形態である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記粒子がナノ結晶粒子またはミクロ結晶粒子を含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記粒子が1nm〜1,000μmの平均粒子サイズを有する、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記粒子が1nm〜300μmの平均粒子サイズを有する、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記粒子が1nm〜6μmの平均粒子サイズを有する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記網状化剤が同一の材料または異なる材料の少なくとも2種の粒子サイズの画分を含み、該画分が少なくとも1.1倍サイズが異なる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
該画分が少なくとも2倍サイズが異なる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記網状化剤がチューブ、ファイバーまたはワイヤから選択される形態を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記網状化剤が5nm〜1,000μmの平均長を有する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記網状化剤が5nm〜300μmの平均長を有する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記網状化剤が5nm〜10μmの平均長を有する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項16】
前記網状化剤が1nm〜1μmの平均径を有する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項17】
前記網状化剤が無機材料から選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記網状化剤が、金属、金属粉、金属化合物、合金、金属酸化物、酸化シリコン、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムまたはケイ酸アルミニウム、金属カーバイド、金属ニトリド、金属オキシニトリド、金属カルボニトリド、金属オキシカーバイド、金属オキシニトリド、金属オキシカルボニトリド、有機金属塩、無機金属塩、半導体金属化合物(例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、GaAs、GaN、GaP、GaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlS、ゲルマニウム、鉛もしくはケイ素;金属ベースのコア−シェル型ナノ粒子、ガラス、グラスファイバー、炭素、カーボンファイバー、グラファイト、すす、燃焼のすす、炉のすす、ガス性すす、カーボンブラック、ランプブラック、フラーレン(例えば、C36、C60、C70、C76、C80、C86、C112)、ナノチューブ(例えば、MWNT、SWNT、DWNT、ランダム配向性したナノチューブ)、フラーレンオニオン、メタロフラーレン、金属収容型内包フラーレンすなわち金属内包フラーレン、タルク、無機物、有機金属化合物、または金属アルコキシドのうちの少なくとも1種を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記網状化剤が、磁性、超常磁性または強磁性の金属粒子または合金粒子(鉄、コバルト、ニッケル、マンガンのうちの少なくとも1種を含む)、鉄−白金混合物、鉄−白金合金、金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化ガンマ鉄)、鉄、コバルト、ニッケルもしくはマンガンの磁鉄鉱またはフェライトのうちの少なくとも1種を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記網状化剤が粒子有機材料、または有機材料から作製される繊維から選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記有機材料がポリマー、オリゴマーもしくはプレポリマー;シェラック、コットンまたは織物のうちの少なくとも1種を含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記ポリマーが、脂肪族ポリオレフィンもしくは芳香族ポリオレフィンの合成ホモポリマーもしくは合成コポリマー(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン);または生体ポリマーのうちの少なくとも1種を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記網状化剤が少なくとも1種の無機材料と少なくとも1種の有機材料との組合わせを含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記網状化剤が少なくとも1種の粒子材料と、チューブ、ファイバーまたはワイヤから選択される形態を有する少なくとも1種の材料との組合わせを含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記マトリクス材料が、オリゴマー、ポリマー、コポリマーまたはプレポリマー、熱硬化性物、熱可塑性物、合成ゴム、押出成形可能なポリマー、射出成形ポリマーまたは成形可能なポリマーのうちの少なくとも1種を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記マトリクス材料が、ポリ(メタ)アクリル酸、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、アルキド樹脂、エポキシポリマー、エポキシ樹脂,フェノキシ樹脂、ゴムラテックス、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェノール、ポリビニルエステル、ポリシリコーン、ポリアセタール、セルロース、セルロース誘導体、酢酸セルロース、デンプン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリフルオロカーボン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、またはシアナトエステルポリマーのうちの少なくとも1種を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記マトリクス材料が液体形態である、請求項25または26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記溶媒が前記マトリクス材料の少なくとも一部を溶解または膨張可能である、請求項3または4に記載のプロセス。
【請求項29】
前記マトリクス材料が前記溶媒に溶解性である、請求項3または4に記載のプロセス。
【請求項30】
前記溶媒が極性溶媒、ホモ極性溶媒、プロトン性溶媒、または非プロトン性溶媒(例えば、アルコール、エーテル、ケトン、グリコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、または水)のうちの少なくとも1種を含む、請求項3〜29のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記液体混合物が、架橋剤、充填剤、界面活性剤、酸、塩基、細孔形成剤、可塑剤、潤滑剤、防火剤、生物学的に活性な化合物、治療活性な化合物、診断目的の薬剤、またはマーカーから選択される少なくとも1種のさらなる添加物を含む、請求項1〜29のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記液体混合物の粘度が前記マトリクス材料の粘度より少なくとも10〜99%低い、請求項3〜31のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記液体混合物の粘度が前記マトリクス材料の粘度より20〜90%低い、請求項3〜31のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記液体混合物の粘度が前記マトリクス材料の粘度より50〜90%低い、請求項3〜31のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記液体混合物の総固体含量が、前記液体混合物の総重量に対して20%重量低い、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記液体混合物の総固体含量が、前記液体混合物の総重量に対して15%重量低い、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記液体混合物の総固体含量が、前記液体混合物の総重量に対して10%重量低い、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記液体混合物の総固体含量が、前記液体混合物の総重量に対して5%重量低い、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項39】
少なくとも1種の網状化剤がネットワーク様構造を形成可能な材料である、請求項1〜38のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項40】
少なくとも1種の網状化剤が1つの三次元構造へと自己配向可能な材料である、請求項1〜39のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項41】
前記液体混合物中の網状化剤 対 マトリクス成分の比は、固相中の三次元ネットワークが凝固の間に溶媒の除去の際に形成されるように選択されるか、または凝固の間に溶媒を含まない混合物の粘度変化の間に形成されるように選択される、請求項1〜40のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記網状化剤 対 マトリクス材料の比は、凝固の間に溶媒相と固体相との間の相分離が生じるように選択される、請求項3〜41のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記網状化剤と前記マトリクス材料との総容量の間の容量比が20:80〜80:20の範囲にある、請求項1〜42のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記凝固が熱処理、乾燥、凍結乾燥、減圧の適用、または架橋のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜43のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記架橋が化学的、熱的また放射線により誘導される、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
前記凝固が、液体混合物中での固相と液相への相分離を含む、請求項1〜45のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項47】
前記凝固が液体混合物からの固体を沈殿させることを含む、請求項1〜46のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項48】
前記相分離または前記沈殿が少なくとも1種の溶媒の除去の前に誘導される、請求項46または47に記載のプロセス。
【請求項49】
前記相分離または前記沈殿が少なくとも1種の溶媒の除去により誘導される、請求項46または47に記載のプロセス。
【請求項50】
前記相分離または前記沈殿がマトリクス材料を架橋することにより誘導される、請求項46または47に記載のプロセス。
【請求項51】
前記相分離または前記沈殿が前記液体混合物の粘度上昇により誘導される、請求項46から50のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項52】
前記粘度上昇が架橋、硬化、乾燥、急速な温度上昇、急速な温度低下、または急速な溶媒除去のうちの少なくとも1つにより誘導される、請求項51に記載のプロセス。
【請求項53】
前記熱処理が−78℃〜500℃の温度範囲での加熱または冷却を含む、請求項44に記載のプロセス。
【請求項54】
前記マトリクス材料が凝固の間に実質的に分解しない、請求項1〜52のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項55】
前記少なくとも1種の溶媒の沸点が前記少なくとも1種のマトリクス材料の融点より少なくとも5℃〜200℃低い、請求項3〜53のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項56】
前記少なくとも1種の溶媒の沸点が前記少なくとも1種のマトリクス材料の融点より少なくとも30℃〜200℃低い、請求項3〜53のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項57】
前記少なくとも1種の溶媒の沸点が前記少なくとも1種のマトリクス材料の融点より少なくとも40℃〜100℃低い、請求項3〜53のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項58】
前記少なくとも1種の溶媒の沸点が前記マトリクス材料の融点より少なくとも10℃〜100℃高い、請求項3〜53のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項59】
前記少なくとも1種の溶媒の沸点が前記マトリクス材料の融点より少なくとも20℃〜100℃高い、請求項3〜53のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項60】
前記少なくとも1種の溶媒の沸点が前記マトリクス材料の融点より少なくとも35℃〜60℃高い、請求項3〜53のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項61】
前記網状化剤、前記マトリクス材料または前記溶媒のうちの少なくとも1種が、前記液体混合物の急速な温度低下の際に該液体混合物の粘度が上昇し、相分離が生じ、次いで減圧処理により溶媒相を除去するように選択される、請求項1〜60のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項62】
前記液体混合物が少なくとも1種の架橋剤を含み、凝固工程前の該液体混合物の処理の間に架橋がその系の粘度変化を本質的に生じないように該架橋剤が適切に選択される、請求項1〜61のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項63】
前記架橋反応が凝固の間に本質的に開始する、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
前記凝固が前記溶媒の蒸発を含む、請求項62に記載のプロセス。
【請求項65】
前記架橋反応が中断される、請求項62〜64のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項66】
架橋されない材料または不完全に架橋された材料が前記網状材料から実質的に除去される、請求項65に記載のプロセス。
【請求項67】
前記架橋剤がイソシアネート、シラン、ジオール、ジカルボン酸、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリル酸、プロピルトリメトキシシラン、3−(トリメチルシリル)プロピルメタクリル酸、イソフォロンジイソシアネート、またはグリセリンのうちの少なくとも1種を含む、請求項62〜66のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項68】
a)前記網状化剤がすす、フラーレン、カーボンファイバー、シリカ、二酸化チタン、金属粒子、タンタル粒子、またはポリエチレン粒子のうちの少なくとも1種を含み;
b)前記マトリクス材料がエポキシ樹脂またはフェノキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含み;
c)前記液体混合物が有機溶媒を含み;そして
d)前記凝固が加熱処理による溶媒の除去を含む、
請求項1〜67のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項69】
前記溶媒の除去が急速に実施される、請求項68に記載のプロセス。
【請求項70】
前記溶媒を含まない材料が、引き続いて、実質的に前記マトリクス材料を分解せずに300℃以下の温度の不活性雰囲気中で熱処理される、請求項68または69に記載のプロセス。
【請求項71】
得られた多孔性複合材料が少なくとも1種の治療活性な薬剤により浸漬、コーティングまたは浸透され、該治療活性な薬剤が生理学的流体の存在下で該材料から溶解または溶出され得る、請求項1〜70のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項72】
請求項1〜71のいずれか1項に記載のプロセスにより取得可能な多孔性網状化複合材料。
【請求項73】
請求項1〜72のいずれか1項に記載のプロセスにより取得可能な多孔性コーティング。
【請求項74】
少なくとも1nmの平均細孔サイズを有する、請求項72または73のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項75】
少なくとも5nmの平均細孔サイズを有する、請求項72または73のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項76】
少なくとも10nmの平均細孔サイズを有する、請求項72または73のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項77】
少なくとも100nmの平均細孔サイズを有する、請求項72または73のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項78】
約1nm〜約400μmの平均細孔サイズを有する、請求項72または73のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項79】
約500nm〜約1000μmの平均細孔サイズを有する、請求項72または73のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項80】
約500nm〜約800μmの平均細孔サイズを有する、請求項72または73のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項81】
約30%〜約80%の平均気孔率を有する、請求項72〜80のいずれか1項に記載の材料またはコーティング。
【請求項82】
治療目的および/または診断目的のための医療デバイスの製造のための、請求項72〜81のいずれか1項に記載の材料またはコーティングの使用。
【請求項83】
前記材料またはコーティングが診断目的のマーカーを含む、請求項82に記載の使用。
【請求項84】
インビボまたはインビトロでの組織工学のためのスキャフォールドとしての、請求項72〜81のいずれか1項に記載の材料またはコーティングの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−545026(P2008−545026A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518794(P2008−518794)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063443
【国際公開番号】WO2007/003513
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(507221243)シンベンション アーゲー (9)
【Fターム(参考)】