説明

多孔質炭を原料とする成型固形燃料の製造方法

【課題】成型品の強度を維持しつつ成型コストを低減することができる成型固形燃料の製造方法を提供すること。
【解決手段】重質油および溶媒油を含む混合油と多孔質炭とを混合してスラリーを得、このスラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得る。この脱水スラリーから溶媒油を分離してケーキを得、このケーキを加熱して当該ケーキからさらに溶媒油を分離し改質炭を得る。そして、この改質炭を加湿して含水率が3〜10wt%の加湿改質炭を得た後、この加湿改質炭を加圧成型する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、褐炭などの多孔質炭を原料とする成型固形燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
褐炭などの多孔質炭を原料とする固形燃料の製造方法に関し、従来、特許文献1に記載された製造方法が知られている。特許文献1に記載された固形燃料の製造方法は、重質油分と溶媒油分を含む混合油を多孔質炭と混合して原料スラリーを得、このスラリーを加熱して多孔質炭の脱水を進めるとともに、多孔質炭の細孔内に重質油分と溶媒油分を含む混合油を含有せしめ、その後、このスラリーを固液分離しかつ乾燥することを特徴とする固形燃料の製造方法である。
【0003】
特許文献1に記載された固形燃料の製造方法においては、原料スラリー(重質油分及び溶媒油分を含む混合油と多孔質炭との混合体)の加熱により多孔質炭の細孔内の水分が気化蒸発するとともに、細孔内は重質油分を含む混合油によって被覆され、ついにはこの混合油、特に重質油分が優先して細孔内に充満する。その結果、細孔内に存在する活性点への酸素の吸着および酸化反応が抑制されるので、多孔質炭の自然発火が抑制される。また、上記加熱により、重質油分が細孔内に充満して多孔質炭はそのカロリーが高くなる。したがって、特許文献1に記載された固形燃料の製造方法によれば、含水率が低く、自然発火性が低くて、かつ高カロリー化された固形燃料を得ることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された固形燃料の製造方法では、乾燥工程後の改質炭(固形燃料)は粉末の形態となっているため、その輸送に関して問題が生じる。具体的には、改質炭が粉末のままでは、嵩密度が低いこと、輸送時の漏れ、および飛散に起因するロスによって輸送コストが上昇したり、粉塵公害を引き起こしたりすること等が挙げられる。したがって、粉末の改質炭を、成型機によって成型しブリケットにすることが望ましい。ここで、粉末の改質炭は高圧でないと成型できないため、ブリケットにするための成型コストの低減が課題であった。なお、ブリケットの強度が高くないと、ハンドリングの際に粉化しやすくなる。
【0005】
粉末の改質炭を成型する技術としては、従来、例えば特許文献2に記載された成型炭の製造方法が知られている。特許文献2に記載された製造方法は、粉状の石炭に、澱粉を添加、混合して加圧成型する方法であり、すなわち、澱粉をバインダーとして用いる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−233383号公報
【特許文献2】特開2003−64377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載された澱粉をバインダーとして用いる成型方法では、粉状の石炭に対して少なくとも数%の量の澱粉を添加する必要があり、このような数%の量の澱粉添加は、成型コスト面で現実的ではなかった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、成型品の強度を維持しつつ成型コストを低減することができる成型固形燃料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、乾燥工程後の改質炭の含水率を3〜10wt%に調整し、その改質炭を加圧成型することにより、澱粉などのバインダーを用いることなく強度の高い成型品(成型固形燃料)を成型でき、これにより前記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至ったのである。
【0010】
すなわち、本発明は、重質油および溶媒油を含む混合油と多孔質炭とを混合してスラリーを得る混合工程と、前記スラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得る蒸発工程と、前記脱水スラリーから前記溶媒油を分離してケーキを得る固液分離工程と、前記ケーキを加熱して当該ケーキからさらに前記溶媒油を分離し、改質炭を得る乾燥工程と、前記改質炭を加湿して、含水率が3〜10wt%の加湿改質炭を得る加湿工程と、前記加湿改質炭を加圧成型する成型工程と、を備える成型固形燃料の製造方法である。ここで、含水率とは、改質炭と粉砕多孔質炭との混合物に含まれる水の割合(質量基準)を意味し、改質炭と粉砕多孔質炭との混合物に含まれる水の質量を当該混合物の質量で除したものである。粉砕多孔質炭を含まない場合は、含水率とは、改質炭に含まれる水の割合(質量基準)を意味し、改質炭に含まれる水の質量を当該改質炭の質量で除したものである。また、改質炭とは、水分の割合が減じられて、単位質量当たりの熱量が高まるように改質された石炭を意味する。
【0011】
また本発明において、前記加湿工程において、前記多孔質炭の粉砕炭を前記改質炭に混合することが好ましい。これにより、製品のコストダウンが可能となる。すなわち、加湿工程における加湿手段として、改質処理が不要な粉砕炭自身の保有する水分を利用することができるためである。したがって、加湿工程においては、改質処理後の改質炭と改質処理されていない粉砕炭をミキサー等の公知の機器により混合するだけのシンプルな構成とすることができる。
【0012】
さらに本発明において、前記加湿工程において、前記蒸発工程において得られた排水を前記改質炭に供給することが好ましい。例えば、前記改質炭に前記排水を噴霧することにより供給することができる。これにより、工場の排水処理設備で処理される水の量を減らす効果が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、その構成要件、特に、乾燥工程後の改質炭を加湿して、含水率が3〜10wt%の加湿改質炭とし、その加湿改質炭を加圧成型することにより、粒子同士の結合を強くすることができ、その結果、澱粉などのバインダーを用いることなく強度の高い成型固形燃料を成型することができる。すなわち、成型品の強度を維持しつつ成型コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る成型固形燃料の製造方法を示すフロー図であり、成型固形燃料の製造装置のブロック図でもある。
【図2】改質炭と粉砕多孔質炭との混合物の含水率のロール動力に対する圧壊強度への影響を示すグラフである。
【図3】改質炭と粉砕多孔質炭との混合物の含水率と、成型品であるブリケットの最大圧壊強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る成型固形燃料の製造方法を示すフロー図であり、成型固形燃料の製造装置100のブロック図でもある。図1に示すように、製造装置100は、多孔質炭(原料炭)を粉砕する粉砕部1と、粉砕部1で粉砕された多孔質炭と重質油および溶媒油を含む混合油とを混合する混合部2と、混合部2で得られたスラリーを予熱する予熱部3と、上記スラリーを脱水する蒸発部4と、蒸発部4で得られた脱水スラリーから溶媒油を機械分離する固液分離部5と、固液分離部5において分離されたケーキを加熱してさらに溶媒油を分離する最終乾燥部6と、最終乾燥部6において得られた粉末状の改質炭に水分を与える加湿部7と、加湿部7において得られた加湿改質炭を加圧成型してブリケットの形態にする成型部8と、を備えている。
以下、本実施の形態に係る成型固形燃料の製造方法の各工程について詳細に説明する。
【0017】
(粉砕工程)
まず、多孔質炭(原料炭)を、粉砕部1に供給して粉砕する。ここで、粉砕部1へ供給される多孔質炭(原料炭)は、例えば30〜70wt%の水分を含有し、脱水することが望まれるいわゆる低品位石炭である。そのような多孔質炭としては、褐炭、亜炭、亜れき青炭などが挙げられる。また褐炭には、ビクトリア炭、ノースダコタ炭、ベルガ炭などがあり、亜れき青炭には、西バンコ炭、ビヌンガン炭、サマランガウ炭、エココール炭などがある。また、粉砕された多孔質炭の粒子径は、例えば、0.05〜3mm程度であり、平均粒子径で数百マイクロメートル程度である。また、wt%とは、質量%(質量比)のことをいう。なお、もともと粒子径が小さい状態で多孔質炭(原料炭)が運ばれてきた場合、特に当該多孔質炭(原料炭)を粉砕する必要はない。
【0018】
(混合工程)
次に、重質油および溶媒油を含む混合油と、粉砕された多孔質炭とを、混合部2において混合しスラリーを得る。ここで、重質油とは、真空残渣油のごとく、例えば400℃でも実質的に蒸気圧を示すことがないような重質分あるいはこれを多く(具体的には、50wt%以上)含む油のことをいう。また、溶媒油とは、重質油を溶解させて分散させる油のことをいう。溶媒油としては、重質油との親和性、スラリーとしてのハンドリング性、細孔内への侵入容易性などの観点から、例えば軽沸油が用いられる。なお、水分蒸発温度での安定性を考慮して、沸点100℃以上、300℃以下の石油系油を使用することが推奨される。石油系油としては、灯油、軽油、重油などが挙げられる。そして、重質油と溶媒油とで重質油含有混合油が生成される。このような重質油含有混合油を使用することにより、当該重質油含有混合油が適切な流動性を示し多孔質炭の細孔内への油の侵入が促進される。
【0019】
なお、混合部2は、混合油と多孔質炭とを受け入れて混合するための混合槽、およびこの混合槽に設けられる攪拌機などから構成される。
【0020】
(蒸発工程)
次に、混合部2で得られたスラリーを予熱部3で予熱した後、蒸発部4で脱水し脱水スラリーを得る。スラリーは、予熱部3で例えば70℃〜100℃に加熱された後、蒸発部4の蒸発槽に供給され、スラリー中の多孔質炭に含まれる水分が蒸発して脱水される。この脱水処理と同時に、多孔質炭の細孔内への混合油の含浸もなされ、重質油分が優先して多孔質炭の細孔内に充満する。また、蒸発部4からは、スラリー中の多孔質炭に含まれていた水分が排水として排出される。
【0021】
なお、予熱部3は、熱交換器などから構成され、蒸発部4は、混合部2で得られたスラリーを受け入れてその水分を蒸発させるための蒸発槽、この蒸発槽に設けられる攪拌機、およびスラリーを加熱する熱交換器などから構成される。なお、熱交換器としては、多管式型、プレート型、またはスパイラル型などの熱交換器が用いられる。
【0022】
(固液分離工程)
次に、脱水スラリーから溶媒油を機械分離してケーキを得る。脱水スラリーは、固液分離部5の固液分離機に供給されて固液分離される。固液分離機としては、例えば、分離効率向上の観点から、遠心分離法により脱水スラリーをケーキと溶媒油とに分離する遠心分離機を用いる。なお、沈降法、濾過法、圧搾法などの形式の固液分離機を用いてもよい。
【0023】
(乾燥工程)
固液分離工程において分離されたケーキは、混合油により未だ湿潤しているので、最終乾燥部6において当該ケーキを加熱してさらに溶媒油を分離する。これにより、ケーキは粉末状の改質炭となる。なお、最終乾燥部6は、乾燥機、およびガス冷却器などから構成される。乾燥機は、その内部で被処理物を連続的に搬送しつつ当該被処理物を加熱するものが用いられ、例えば、ドラム内面に複数の加熱用スチームチューブが軸方向に配設されたスチームチューブ式ドライヤが用いられる。
【0024】
ケーキは、乾燥機内で加熱され、当該ケーキ中の油分、特に溶媒油分が蒸発させられる。そして、蒸発した溶媒油分は、キャリアガスにより乾燥機からガス冷却器へ移送される。ガス冷却器へ移送された溶媒油分は、ガス冷却器内で凝縮され回収される。
【0025】
(循環工程)
固液分離部5および最終乾燥部6で、脱水スラリーまたはケーキから分離回収された溶媒油は、循環油として混合部2に戻される。混合部2に戻された溶媒油は、混合部2でのスラリーの調整に再利用される。なお、混合部2に戻される循環油の成分のほとんどは溶媒油分であるが、この循環油にはわずかながら重質油分が含まれている。
【0026】
(加湿工程)
乾燥工程を経て得られた粉末状の改質炭に、加湿部7において水分を与え、含水率が3〜10wt%の加湿改質炭とする。ここで、改質炭への水分付与方法は、少なくとも2つある。1つ目の方法は、最終乾燥部6からでてきた粉末状の改質炭に、粉砕部1にて粉砕された原料の多孔質炭を混合して、水分を付与する方法である。この方法によると、加湿改質炭は、乾燥工程を経て得られた改質炭と粉砕された原料の多孔質炭との混合物となる。すなわち、加湿改質炭は、乾燥工程を経て得られた改質炭だけではなく粉砕された原料の多孔質炭を含むものとなる。2つ目の方法は、最終乾燥部6からでてきた粉末状の改質炭に、蒸発部4からの排水を噴霧して、水分を付与する方法である。なお、これら2つの方法のうちいずれか一方のみ用いてもよいし、両方を組み合わせて用いてもよい。また、上記以外の方法で、粉末状の改質炭に水分を付与してもよい。
【0027】
なお、加湿部7は、粉末状の改質炭を受入れ攪拌するための加湿槽、およびこの加湿槽に設けられる攪拌機などから構成される。
【0028】
(成型工程)
次に、含水率が3〜10wt%の加湿改質炭を、成型部8において加圧成型してブリケットの形態にする。そして、ブリケットに成型された改質炭は成型固形燃料として利用される。なお、成型部8は、ダブルロール型成型機などから構成される。
本実施の形態に係る成型固形燃料の製造方法によれば、固形燃料の成型に際し、バインダーを用いるのではなく、安価な水、特に当該製造方法において排出された排水を用いるため、成型コストを低減することができる。また、含水率を上記のような所定量に設定することにより、成型品の強度を維持することができる。
【0029】
(実施例)
次に、改質炭成型の実験結果について説明する。この実験は、さまざまな含水率の改質炭をつくり、成型性への含水率の影響を調べるためのものである。そして、この実験においては、乾燥工程を経て得られた粉末状の改質炭に、粉砕された原料の多孔質炭を混合して水分を付与して加湿した。まず、乾燥工程を経て得られた改質炭への粉砕多孔質炭の混合率と、改質炭と粉砕多孔質炭との混合物の含水率を表1に示す。
【0030】
[表1]

ここで、原料である粉砕された多孔質炭単独の含水率は、30.7%であった。また、[表1]において、粉砕多孔質炭混合率が100%のときの混合物は、乾燥工程を経て得られた改質炭の比率はゼロであり、粉砕多孔質炭の比率が100%となっている。また、粉砕多孔質炭混合率が0%のときの混合物は、乾燥工程を経て得られた改質炭の比率が100%であり、粉砕多孔質炭の比率はゼロである。
【0031】
次に、[表1]に示した6つのサンプルを、ダブルロール型成型機を用いて加圧成型してブリケットとしたときのブリケットの圧壊強度と、ダブルロール型成型機の単位回転数あたりのロール動力との関係を図2に示す。図2は、改質炭と粉砕多孔質炭との混合物の含水率のロール動力に対する圧壊強度への影響を示すグラフである。図2において、塗りつぶしの菱印、四角印、および三角印は、それぞれ、混合物の含水率が0%、3.1%、および6.1%のサンプルのデータであり、白抜きの三角印、四角印、および菱印は、それぞれ、混合物の含水率が9.2%、15.4%、および30.7%のサンプルのデータである。
【0032】
図2に示すように、ロール単位回転数あたりのロール動力に対するブリケットの圧壊強度は、改質炭への粉砕多孔質炭の混合率が30%(混合物の含水率が9.2%)までは混合率が大きくなるほど高くなる。しかしながら、混合率が50%、100%(混合物の含水率が15.4%、30.7%)ではロール動力が所定値より高くなると、ブリケットの圧壊強度は低下の傾向を示した。すなわち、混合率が50%、100%(混合物の含水率が15.4%、30.7%)では、他のサンプルに比してブリケットの圧壊強度が十分に高まらなかった。
【0033】
また、粉砕多孔質炭を混合することによるロール動力の低減効果に関しては、例えば圧壊強度10kgのブリケットを得るために、改質炭単独(粉砕多孔質炭混合率が0%)では約0.18kW/rpm(外挿値)のロール動力が必要であるが、改質炭への粉砕多孔質炭の混合率が30%(混合物の含水率が9.2%)では約0.14kW/rpmのロール動力となり、約20%の動力を節約できている。なお、ロール動力が大きいほど、加圧成型の加圧力が大きいことになる。
【0034】
上記したように、改質炭単独(粉砕多孔質炭混合率が0%)の場合は、圧壊強度10kgのブリケットを得るためのロール動力を外挿により求めた。改質炭単独(粉砕多孔質炭混合率が0%)の場合、ロール動力を約0.16kW/rpm以上に上げても成型性のよいブリケットが得られなかったためである。
【0035】
次に、ダブルロール型成型機の単位回転数あたりのロール動力を変化させることにより、各含水率の混合物で実現できたブリケットの最大圧壊強度を図3に示す。図3は、改質炭と粉砕多孔質炭との混合物の含水率と、成型品であるブリケットの最大圧壊強度との関係を示すグラフである。
【0036】
図3に示すように、改質炭と粉砕多孔質炭との混合物の含水率が、3〜10wt%のとき、ブリケットの最大圧壊強度は20kgを超えている。
【0037】
以上、説明したように、乾燥工程後の改質炭を加湿して、含水率が3〜10wt%の状態とし、それを加圧成型してブリケットとすることにより、粒子同士の結合を強くすることができ、その結果、澱粉などのバインダーを用いることなく強度の高い成型固形燃料を成型できる。すなわち、ブリケットの強度を維持しつつ成型コストを低減することができる。
【0038】
なお、改質炭の加湿に、粉砕された粉末状の原料の多孔質炭を用いることで、混合工程から乾燥工程における多孔質炭の処理量が減ることになる。混合工程から乾燥工程における多孔質炭の処理量が減ると、重質油および溶媒油を含む混合油の消費量が減り、また各工程における機器の容量も下げることができ、成型固形燃料の製造コストを低減できる。
【0039】
また、改質炭の加湿に、蒸発部4からの排水を利用することで系外に排出される排水を少なくすることができる。その結果、系外に排出される排水の処理コストを抑えることができ、プラント全体として成型固形燃料の製造コストの低減につながる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【符号の説明】
【0041】
1 粉砕部
2 混合部
3 予熱部
4 蒸発部
5 固液分離部
6 最終乾燥部
7 加湿部
8 成型部
100 成型固形燃料の製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重質油および溶媒油を含む混合油と多孔質炭とを混合してスラリーを得る混合工程と、
前記スラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得る蒸発工程と、
前記脱水スラリーから前記溶媒油を分離してケーキを得る固液分離工程と、
前記ケーキを加熱して当該ケーキからさらに前記溶媒油を分離し、改質炭を得る乾燥工程と、
前記改質炭を加湿して、含水率が3〜10wt%の加湿改質炭を得る加湿工程と、
前記加湿改質炭を加圧成型する成型工程と、
を備える成型固形燃料の製造方法。
【請求項2】
前記加湿工程において、前記多孔質炭の粉砕炭を前記改質炭に混合する請求項1に記載の成型固形燃料の製造方法。
【請求項3】
前記加湿工程において、前記蒸発工程において得られた排水を前記改質炭に供給する請求項1に記載の成型固形燃料の製造方法。
【請求項4】
前記加湿工程において、前記蒸発工程において得られた排水を前記改質炭に供給する請求項2に記載の成型固形燃料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−116544(P2010−116544A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230424(P2009−230424)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】