説明

多層基板及び配線パターン切断方法

【課題】多層基板表面の配線パターンに接続されている内層配線パターンを外部から切断することができる多層基板を提供する。
【解決手段】表面及び内層に配線パターンが形成された多層基板において、レーザ光1の照射により切断することが可能なカーボン接続部28を有する内層の配線パターン8と、内層の配線パターン8にスルーホール14、16を介して接続されてある表面の配線パターン9とを備える。カーボン接続部28と対向する第1層プリント基板2の表面は、レーザ光1が照射される窓30である。窓30の周囲には、カーボン接続部28の位置が第1層プリント基板2の表面からわかるようにするとともに、レーザ光1の照射による侵食を抑えるために、銅箔7が印刷された侵食抑止部5が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内層の配線パターンの切断をすることが可能な多層基板及び配線パターン切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板は、集積回路、抵抗器、コンデンサー等の電子部品を実装し、その部品間を配線で接続して電子回路を構成するものであり、高密度かつ高多層のプリント基板が知られている。プリント基板は、製造工程において、プリント、エッチング、めっき及び半田付着等の複雑な工程を必要とするため、一枚の基板に複数の電子部品を実装後、例えばミシン目に沿って切断し、それぞれのプリント基板に分離されることがある。
特許文献1に示す例では、切断部に沿って容易に切断でき、切断時の力学的ストレスによる品質低下を防止することを目的として、切断部の内層又は外層(表面)に、導体パターンを形成している。
【特許文献1】特開平4−261084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、実装された電子部品、例えばCSP(Chip Size Package)に表面実装されたコネクタからソフトウエアを書き込んだとき、コネクタの接続配線がプリント基板表面に露出していると、第三者がCSPのソフトウエアを読み出したり、書き換えたりすることができるという問題がある。
したがって、ソフトウエアの書き込み終了後、第三者がソフトウエアを読み書きできないようなプリント基板が求められているが、このようなプリント基板は特許文献1に開示されていない。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、外部から切断することが可能な導電性接続部を有する内層の配線パターンを備える多層基板とすることにより、多層基板表面の配線パターンと内層の配線パターンとの接続を外部から切断することができる多層基板を提供することにある。
【0005】
また本発明の他の目的とするところは、切断可能な導電性接続部に対応する表面部分を配線パターンで囲むことにより、多層基板外部から内層の導電性接続部を判別することができる多層基板を提供することにある。
【0006】
さらに本発明の他の目的とするところは、エネルギビーム照射による侵食を抑止する侵食抑止部を備えることにより、切断時のエネルギビーム照射による侵食を抑止することができる多層基板を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的とするところは、導電性接続部と対向する多層基板表面にレンズを備えることにより、導電性接続部にレーザ光を集光させることができ、低パワーで導電性接続部を切断することができる多層基板を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的とするところは、導電性接続部をカーボンとすることにより、エネルギビーム照射で導電性接続部を容易に切断することができる多層基板を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的とするところは、導電性接続部の内層から多層基板外に至る孔を備えることにより、切断された導電性接続部の屑を多層基板外部へ排出することができる多層基板を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的とするところは、電子部品が実装される主要基板部に対して内層の配線パターンを切断する箇所を廃棄基板部に集め、切断スリット及び切断孔が形成された基板切断部を主要基板部と廃棄基板部との境界に備える構成にすることにより、基板切断部で廃棄基板部を主要基板部から容易に切断かつ除去することができ、多層基板表面の配線パターンと接続された内層の配線パターンを外部から切断することができる多層基板を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的とするところは、切断する内層配線パターンを同一平面上にすることにより、基板切断部での切断をきわめて容易にすることができる多層基板を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的とするところは、第1及び第2内層配線パターンの導電性接続部をスルーホールとすることにより、多層基板の二層目以降の内層配線パターンと多層基板表面の配線パターンとの接続を外部から切断することができる多層基板を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的とするところは、本発明の多層基板に電子部品を実装後、電子部品を接続する内層の配線パターンの導電性接続部を外部から切断することにより、表面実装した電子部品の表面配線パターンと内層配線パターンとの接続を切ることができる配線パターン切断方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的とするところは、本発明の多層基板に係る主要基板部に電子部品を実装後、電子部品を接続する内層の配線パターンの導電性接続部を有する廃棄基板部を基板切断部で切断することにより、表面実装した電子部品の表面配線パターンと内層配線パターンとの接続を切ることができる配線パターン切断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の多層基板は、表面及び内層に配線パターンが形成された多層基板において、前記表面の配線パターンは、前記内層の配線パターンにスルーホールを介して接続されており、前記内層の配線パターンは、外部から切断することが可能な導電性接続部を有することを特徴とする。
【0016】
このような構成の本発明の多層基板では、例えばエネルギビーム照射又はドリルにより基板の外部から導電性接続部を切断すると、多層基板表面の配線パターンと内層の配線パターンとの接続を切る。
したがって、本発明の多層基板では、多層基板表面の配線パターンに実装した例えばコネクタからCSPにソフトウエアを書き込んだ後、導電性接続部を外部から切断すると、コネクタとCSPとを接続していた内層の配線パターンを切断するので、CSPに書き込んだソフトウエアを外部から読み込めなくなる。
【0017】
本発明の多層基板は、前記導電性接続部に対応する表面部分を印刷パターンで囲んであることを特徴とする。
【0018】
このような構成の本発明の多層基板では、切断部分の導電性接続部を多層基板表面から判別する。
【0019】
本発明の多層基板は、前記導電性接続部と対応する表面部分は、該表面を囲んで設けられており、エネルギビーム照射による侵食を抑止する侵食抑止部を有することを特徴とする。
【0020】
このような構成の本発明の多層基板では、多層基板表面からエネルギビーム照射しても侵食抑止部でエネルギビーム照射の侵食を抑止する。
【0021】
本発明の多層基板は、前記導電性接続部と対応する表面部分は、前記導電性接続部に焦点を結ぶレンズを有することを特徴とする。
【0022】
このような構成の本発明の多層基板では、例えばエネルギビーム照射するとレンズにより導電性接続部に集光し、切断する。
【0023】
本発明の多層基板は、前記導電性接続部は、カーボンを印刷して形成してあることを特徴とする。
【0024】
このような構成の本発明の多層基板では、例えばエネルギビーム照射によりカーボンの導電性接続部がレーザ光を効率よく吸収して切断する。
【0025】
本発明の多層基板は、前記導電性接続部が形成されている内層から多層基板外に至る孔を有することを特徴とする。
【0026】
このような構成の本発明の多層基板では、例えばエネルギビーム照射又はドリルにより切断した導電性接続部の屑が、孔内に落下して多層基板外に排出する。
【0027】
本発明の多層基板は、表面及び内層に配線パターンが形成された多層基板において、前記表面の第1表面配線パターン及び第2表面配線パターンとスルーホールを介して接続された前記内層の第1内層配線パターン及び第2内層配線パターンを有して電子部品を実装する主要基板部と、該主要基板部に並設してあり、前記第1及び第2内層配線パターンを接続する導電性接続部を有する廃棄基板部と、前記主要基板部及び前記廃棄基板部の境界に沿って設けられた切断スリット及び/又は切断孔を有する基板切断部とを備え、該基板切断部に外力を加えて前記廃棄基板部を切断することができるように構成してあることを特徴とする。
【0028】
このような構成の本発明の多層基板では、基板切断部の切断スリット又は切断孔に沿って外力を加えて切断すると、主要基板部における多層基板表面の配線パターン及び内層の配線パターンの接続を切る。
したがって、本発明の多層基板では、主要基板部における多層基板表面の配線パターンに例えば表面実装したコネクタからCSPにソフトウエアを書き込んだ後、廃棄基板部を切断かつ分離することにより導電性接続部を外部から切断すると、コネクタとCSPとを接続していた内層の配線パターンが切断するので、CSPに書き込んだソフトウエアを外部から読み込めなくなる。
【0029】
本発明の多層基板は、前記第1及び第2内層配線パターンは、同一平面上の配線パターンであること特徴とする。
【0030】
このような構成の本発明の多層基板では、基板切断部の切断スリット又は切断孔に沿って切断すると、主要基板部における多層基板表面の配線パターン及び内層の同一平面上に形成された配線パターンの接続を容易に切る。
【0031】
本発明の多層基板は、前記導電性接続部がスルーホールであって、前記第1内層配線パターン及び前記第2内層配線パターンが積層して形成されてあることを特徴とする。
【0032】
このような構成の本発明の多層基板では、基板切断部で切断すると、多層基板の二層目以降の内層配線パターンと多層基板表面の配線パターンとの接続を切る。
【0033】
本発明の配線パターン切断方法は、本発明の多層基板における第1及び第2電子部品を前記表面の配線パターンに表面実装した後、前記第1及び第2電子部品を接続する前記内層の配線パターンにおける前記多層基板の導電性接続部を、エネルギビーム照射又はドリルにより外部から切断して、前記第1及び第2電子部品の前記表面の配線パターンと前記内層の配線パターンとの接続を切ることを特徴とする。
【0034】
このような構成の本発明の配線パターン切断方法では、基板の外部から導電性接続部を切断すると、第1及び第2電子部品を実装した表面の配線パターンと内層の配線パターンとの接続を切る。
【0035】
本発明の配線パターン切断方法は、本発明の多層基板に係る前記主要基板部における第1及び第2電子部品を前記表面の第1及び第2表面配線パターンに表面実装した後、前記第1及び第2電子部品を接続する前記内層の第1及び第2内層配線パターンにおける前記導電性接続部を、前記基板切断部に外力を加えることにより前記廃棄基板部を切断して、前記第1及び第2電子部品の前記第1及び第2表面配線パターンと前記第1及び第2内層配線パターンとの接続を切ることを特徴とする。
【0036】
このような構成の本発明の配線パターン切断方法では、導電性接続部を有する廃棄基板部を基板切断部で外力を加えて切断すると、第1及び第2電子部品を実装した表面の第1及び第2表面配線パターンと内層の第1及び第2内層配線パターンとの接続を切る。
【発明の効果】
【0037】
本発明の多層基板は、多層基板内部の内層配線パターンの導電性接続部を外部から切断するので、多層基板表面の配線パターンと内層配線パターンとの接続を外部から切ることができるという効果を有する。
したがって、本発明の多層基板では、多層基板表面の配線パターンに実装した例えばコネクタからCSPにソフトウエアを書き込んだ後、導電性接続部を外部から切断することができるので、コネクタとCSPとを接続していた内層の配線パターンが切断され、CSPに書き込んだソフトウエアを外部から読み込むことができないようになる。
【0038】
本発明の多層基板は、内層の導電性接続部に対応する多層基板表面部分を印刷パターンで囲んでいるので、内層の導電性接続部を多層基板の外部から判別することができるという効果を有する。
【0039】
本発明の多層基板は、内層の導電性接続部に対応する多層基板表面部分に侵食抑止部を設けているので、多層基板表面からエネルギビーム照射しても侵食抑止部でレーザ光による侵食を抑止することができるという効果を有する。
【0040】
本発明の多層基板は、内層の導電性接続部に対応する表面部分にレンズを設けているので、エネルギビーム照射するとレンズにより導電性接続部にレーザ光を集光させることができ、低パワーで導電性接続部を切断することができるという効果を有する。
【0041】
本発明の多層基板は、導電性接続部がカーボンを印刷して形成されているので、エネルギビーム照射により導電性接続部のカーボンがレーザ光を効率よく吸収して導電性接続部を容易に切断することができるという効果を有する。
【0042】
本発明の多層基板は、導電性接続部に多層基板外に至る孔が形成されているので、例えばエネルギビーム照射又はドリルにより切断した導電性接続部の屑を、切断と併せて多層基板外部に排出することができるという効果を有する。
【0043】
本発明の多層基板は、電子部品を表面実装する主要基板部と外部から切断することが可能で導電性接続部を有する廃棄基板部とを、切断スリット及び切断孔を有する基板切断部を境界に介して備えているので、基板切断部に外力を加えて切断することにより、多層基板表面の配線パターンと接続された内層の配線パターンとを多層基板外部から切断することができるという効果を有する。
【0044】
本発明の多層基板は、同一平面上にある配線パターンを切断するだけでよいので、基板切断部をきわめて容易に切断することができ、多層基板表面の配線パターンと接続された内層の配線パターンとを多層基板外部から切断することができるという効果を有する。
【0045】
本発明の多層基板は、第1及び第2表面配線パターンと接続する第1及び第2内層配線パターンに関して、第1内層配線パターンと内部側の第2内層配線パターンとがスルーホールで接続され、スルーホールを有する廃棄基板部を基板切断部で切断して分離するので、多層基板の二層目以降の内層配線パターンと多層基板表面の配線パターンとの接続を外部から切断することができるという効果を有する。
【0046】
本発明の配線パターン切断方法は、本発明の多層基板に電子部品を実装後、電子部品を接続する内層の配線パターンの導電性接続部を外部から切断するので、第1及び第2電子部品を実装した表面の配線パターンと内層の配線パターンとの接続を切ることができるという効果を有する。
【0047】
本発明の配線パターン切断方法は、本発明の多層基板に係る主要基板部に電子部品を実装後、電子部品を接続する内層の配線パターンの導電性接続部を有する廃棄基板部を基板切断部に外力を加えて切断することにより、第1及び第2電子部品を実装した表面の第1及び第2表面配線パターンと内層の第1及び第2内層配線パターンとの接続を切ることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面に基づき、本発明による多層基板の好適な実施の形態を説明する。
多層基板として多層プリント基板を例に挙げて説明するが、多層の半導体基板であってもよい。
なお、後述のスルーホールは孔であるが、孔に導電性ペースト又は半田等が充填されているので、実施の形態におけるスルーホールとは、導電性又は半田等が充填されたものも含む。
【0049】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る多層プリント基板の一部断面図である。
実施の形態1に係る多層プリント基板は、三層のプリント基板であり、基材にエポキシ樹脂を含浸させた、第1層プリント基板2、第2層プリント基板4及び第3層プリント基板6に銅箔の配線パターン8(内層の配線パターン)、10、12が形成されている。
第1層プリント基板2の表面に電子部品をマウントする配線パターン9(表面の配線パターン)が形成されており、内層の配線パターン8とは、導電性ペーストを充填したスルーホール14、16を介して接続されている。CSP18及びコネクタ20は配線パターン9に半田22、24付けされている。
【0050】
CSP18及びコネクタ20がスルーホール14、16を介して接続される配線パターン8は、一部をエッチングにより取り除き、切断して形成されており、切断箇所26に導電性接続部であるカーボン接続部28(導電性接続部)を印刷して導電可能になっている。
カーボン接続部28と対向する第1層プリント基板2の表面は、レーザ光1が照射される窓30である。窓30の周囲には、カーボン接続部28の位置が第1層プリント基板2の表面からわかるようにするとともに、レーザ光1の照射による侵食を抑えるために、銅箔7が印刷された侵食抑止部5が形成されている。
【0051】
このような実施の形態1に係る配線パターンを切断するには、先ず、コネクタ20からCSP18にソフトウエアを書き込んだ後、窓30からカーボン接続部28に、エネルギビームであるレーザ光1を照射する。レーザ光1を照射するとカーボン接続部28はレーザ光1を吸収し、蒸発する。即ち、レーザ光1でカーボン接続部28を飛ばし、切断する。
レーザ光1を照射する窓30の周囲に銅箔7を印刷し侵食抑止部5としているので、プリント基板の他の部分にレーザ光1が照射されず、損傷を受けることがない。
【0052】
このように、実施の形態1に係る多層プリント基板は、ソフトウエアを書き込んだ後、多層プリント基板の内層に形成されている配線パターン8が切断されるので、CSP18と接続する配線が多層プリント基板表面に露出することがなく、第三者のソフトウエアの読み出し又は書き換えを防止することができる。
【0053】
(実施の形態2)
図2は実施の形態2に係る凹部を形成した多層プリント基板の一部断面図である。図3は実施の形態2に係るレンズを有する多層プリント基板の一部断面図である。
実施の形態2に係る多層プリント基板は、二層のプリント基板であり、基材にエポキシ樹脂を含浸させた第1層プリント基板2及び第2層プリント基板4に銅箔の配線パターン8、10が形成されている。
第1層プリント基板2の内層の配線パターン8は、実施の形態1と同様に一部を切断して形成されており、切断箇所26にカーボン接続部28を印刷して導電可能になっている。多層プリント基板の内層に形成されている配線パターン8は、導電性ペーストが充填されたスルーホール14、16により配線パターン9に接続されている。
【0054】
したがって、実施の形態2では、実施の形態1と同様に、コネクタ20及びCSP18は、半田24、配線パターン9、スルーホール16、カーボン接続部28で導電可能となった配線パターン8、スルーホール14、配線パターン9及び半田22により接続されている。
【0055】
さらに、実施の形態2に係る多層プリント基板は、カーボン接続部28と対向する第1層プリント基板2の表面に設けた凹部32を透明樹脂で埋めて硬化させたレンズ34を備える。
レンズ34は凸レンズであり、カーボン接続部28に焦点を結ぶようになっている。
【0056】
図4は実施の形態2に係るカーボン接続部をレーザ光で切断した状態を示す一部断面図である。
実施の形態2に係る配線パターンを切断するには、コネクタ20からCSP18にソフトウエアを書き込んだ後、レンズ34にレーザ光1を照射すると、レーザ光1は、カーボン接続部28に焦点を結び、カーボン接続部28を切断する。
【0057】
したがって、実施の形態2はレーザ光照射面にレンズ34を有するので、低レーザパワーでカーボン接続部28を切断することができる。
また、実施の形態2に係る多層プリント基板は、カーボン接続部28をレーザ光1で切断した後、切断した箇所の第1層プリント基板2の表面は、レンズ34が形成されたまま残るので、第三者が断線した箇所を再接続することができない。
【0058】
(実施の形態3)
図5は実施の形態3に係る多層プリント基板を示す一部断面図である。
実施の形態3は、実施の形態2とほぼ同様の構成であるが、カーボン接続部28を設ける箇所に対応して、第2層プリント基板4に孔36を設けたものである。
第1層プリント基板2の配線パターン8は、孔36により切断され、この切断部にカーボン接続部28がブリッジ状に形成されている。
第2層プリント基板4の下層に、さらにプリント基板が設けられている場合は、第2層プリント基板4以降に孔36を設ければよい。
【0059】
このような実施の形態3に係る配線パターンを切断するには、レンズ34からレーザ光1を照射すると、レーザ光1はカーボン接続部28に焦点を結び切断し、カーボン屑が孔36に落下する。
したがって、実施の形態3は、レーザ光1で切断したカーボン接続部28のカーボン屑を多層プリント基板外に排出することができる。
なお、孔36はスルーホールであるが、他の実施の形態におけるスルーホールに導電性ペーストを充填しているものと区別するため、孔とした。
【0060】
以上説明した実施の形態1乃至3では、配線パターン8及びカーボン接続部28を第1層目のプリント基板に設けたが、第2層目以下に設けてもよい。
【0061】
(実施の形態4)
図6は実施の形態4に係る多層プリント基板を示す一部断面図である。
実施の形態4に係る多層プリント基板50は、実施の形態1と同様に三層のプリント基板であり、第1層プリント基板2、第2層プリント基板4及び第3層プリント基板6に銅箔の配線パターン44、46、48が形成されている。さらに第1層プリント基板2の配線パターン44、45は接続されないように分離して形成されている。
なお、第3層プリント基板6の配線パターン48は、多層プリント基板の下面に形成されている。
【0062】
第1層プリント基板2は、表面側に配線パターン42(第1表面配線パターン)及び配線パターン43(第2表面配線パターン)が形成されており、CSP18は配線パターン43に半田22付けされ、コネクタ20は配線パターン42に半田24付けされている。
第1層プリント基板2の表面の配線パターン43と内層の配線パターン45とは導電性ペーストを充填したスルーホール52を介して接続され、表面の配線パターン42と内層の配線パターン44(第1内層配線パターン)とは導電性ペーストを充填したスルーホール54を介して接続されている。
【0063】
さらに内層の第2層プリント基板4の配線パターン46は、一端が第1層プリント基板2の内層の配線パターン44及び導電性ペーストを充填したスルーホール56に接続され、他端が第1層プリント基板2の内層の配線パターン45(第2内層配線パターン)及び導電性ペーストを充填したスルーホール58に接続されている。
したがって、コネクタ20とCSP18とは、半田24、配線パターン42、スルーホール54、配線パターン44(第1内層配線パターン)、スルーホール56、配線パターン46(第2内層配線パターン)、スルーホール58、配線パターン45(第2内層配線パターン)、スルーホール52、配線パターン43及び半田22により電気的に接続されている。
【0064】
配線パターン44(第1内層配線パターン)には、スルーホール56(導電性接続部)と接続する近傍に、第1導電性接続部72が形成されており、配線パターン46(第2内層配線パターン)には、スルーホール56(導電性接続部)と接続する近傍に、第2導電性接続部74が第1導電性接続部72に対応して、つまり第1導電性接続部72の直下に形成されている。
なお、第1導電性接続部72は実施の形態1で示したカーボンで形成し、レーザ光照射により切断するようにしてもよい。
また第1導電性接続部72は配線パターン44の一部として、第2導電性接続部74は配線パターン46の一部として形成するようにしてもよい。
【0065】
図7はコネクタとCSPとの接続状態を示す一部透視上面図である。
実施の形態4に係る多層プリント基板50は、主要基板部60及び廃棄基板部66備える。多層プリント基板50はコネクタ20側に基板切断部62を有し、切断スリット63が形成されている。さらに、基板切断部62には、切断線に沿って切断孔64が複数箇所形成されている。切断されて廃棄される廃棄基板部66には、内層に導電性接続部であるスルーホール56が形成されており、基板切断部62の内層に、第1導電性接続部72及び第2導電性接続部74が形成されている。
【0066】
このような実施の形態4に係る配線パターンを切断するには、コネクタ20からCSP18にソフトウエアを書き込んだ後、多層プリント基板に形成された基板切断部62の切断スリット63及び切断孔64に沿って、外力を加えて切断し、廃棄基板部66を分離する。
したがって、実施の形態4は多層プリント基板に電子部品を実装後、簡単に内層の配線パターンを切断することができる。
【0067】
(実施の形態5)
図8は実施の形態5に係る多層プリント基板を示す一部透視上面図である。
実施の形態4ではスルーホール56及びスルーホール58を介して第2層プリント基板4の配線パターン46で、第1層プリント基板2の配線パターン44と配線パターン45とを接続する構成であるが、実施の形態5では、第1層プリント基板2の配線パターンでスルーホール52及びスルーホール54を接続するものである。
図8において一点鎖線で示すように、同一平面上で、第1層プリント基板2の配線パターン82(第1内層配線パターン)及び配線パターン84(第2内層配線パターン)がカーボン接続部86(導電性接続部)で接続され、カーボン接続部86は廃棄基板部66に形成されている。カーボン接続部86は、第1層プリント基板4の配線パターンの一部として、配線パターン82、84と一体の配線パターンとして形成してもよい。
なお、図8中、42は第1表面配線パターン、43は第2表面配線パターンを示す。
【0068】
このような実施の形態5に係る配線パターンを切断するには、実施の形態4と同様にして、コネクタ20からCSP18にソフトウエアを書き込んだ後、多層プリント基板に形成された基板切断部62の切断スリット63及び切断孔64に沿って、外力を加えて切断し、廃棄基板部66を分離する。
さらに実施の形態5では、カーボン接続部86をレーザ光照射又はドリルにより切断することもできる。
したがって、実施の形態5は、多層プリント基板に電子部品を実装後、簡単に内層の配線パターンを切断することができる。
なお、実施の形態5に係るカーボン接続部に対して、実施の形態1乃至3を適用することができる。
【0069】
本発明に係る多層基板の実施の形態1乃至3では、内層の配線パターンを切断するとき、カーボン接続部28(導電性接続部)をレーザ光照射により切断したが、ドリルで切断してもよい。ドリルで切断後は、樹脂で孔を充填しておくのがよい。
また実施の形態4では、重なった第1導電性接続部72及び第2導電性接続部74をドリルで切断してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態1に係る多層プリント基板の一部断面図である。
【図2】実施の形態2に係る凹部を形成した多層プリント基板の一部断面図である。
【図3】実施の形態2に係るレンズを有する多層プリント基板の一部断面図である。
【図4】実施の形態2に係るカーボン接続部をレーザ光で切断した状態を示す一部断面図である。
【図5】実施の形態3に係る多層プリント基板を示す一部断面図である。
【図6】実施の形態4に係る多層プリント基板を示す一部断面図である。
【図7】コネクタとCSPとの接続状態を示す一部透視上面図である。
【図8】実施の形態5に係る多層プリント基板を示す一部透視上面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 レーザ光(エネルギビーム)
5 侵食抑止部
8 配線パターン(内層の配線パターン)
9 配線パターン(表面の配線パターン)
14、16、54、58 スルーホール
28、86 カーボン接続部(導電性接続部)
34 レンズ
36 孔
42 配線パターン(第1表面配線パターン)
43 配線パターン(第2表面配線パターン)
44、82 配線パターン(第1内層配線パターン)
45、46、84 配線パターン(第2内層配線パターン)
50 多層プリント基板(多層基板)
56 スルーホール(導電性接続部)
60 主要基板部
62 基板切断部
63 切断スリット
64 切断孔
66 廃棄基板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び内層に配線パターンが形成された多層基板において、
前記表面の配線パターンは、前記内層の配線パターンにスルーホールを介して接続されており、
前記内層の配線パターンは、外部から切断することが可能な導電性接続部を有することを特徴とする多層基板。
【請求項2】
前記導電性接続部に対応する表面部分を印刷パターンで囲んであることを特徴とする請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記導電性接続部と対応する表面部分は、該表面を囲んで設けられており、エネルギビーム照射による侵食を抑止する侵食抑止部を有することを特徴とする請求項1に記載の多層基板。
【請求項4】
前記導電性接続部と対応する表面部分は、前記導電性接続部に焦点を結ぶレンズを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の多層基板。
【請求項5】
前記導電性接続部は、カーボンを印刷して形成してあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の多層基板。
【請求項6】
前記導電性接続部が形成されている内層から多層基板外に至る孔を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の多層基板。
【請求項7】
表面及び内層に配線パターンが形成された多層基板において、
前記表面の第1表面配線パターン及び第2表面配線パターンとスルーホールを介して接続された前記内層の第1内層配線パターン及び第2内層配線パターンを有して電子部品を実装する主要基板部と、
該主要基板部に並設してあり、前記第1及び第2内層配線パターンを接続する導電性接続部を有する廃棄基板部と、
前記主要基板部及び前記廃棄基板部の境界に沿って設けられた切断スリット及び/又は切断孔を有する基板切断部とを備え、
該基板切断部に外力を加えて前記廃棄基板部を切断することができるように構成してあることを特徴とする多層基板。
【請求項8】
前記第1及び第2内層配線パターンは、同一平面上の配線パターンであることを特徴とする請求項7に記載の多層基板。
【請求項9】
前記導電性接続部がスルーホールであって、前記第1内層配線パターン及び前記第2内層配線パターンが積層して形成されてあることを特徴とする請求項7に記載の多層基板。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の多層基板における第1及び第2電子部品を前記表面の配線パターンに表面実装した後、前記第1及び第2電子部品を接続する前記内層の配線パターンにおける前記多層基板の導電性接続部を、エネルギビーム照射又はドリルにより外部から切断して、前記第1及び第2電子部品の前記表面の配線パターンと前記内層の配線パターンとの接続を切ることを特徴とする配線パターン切断方法。
【請求項11】
請求項7乃至9のいずれか一つに記載の多層基板に係る前記主要基板部における第1及び第2電子部品を前記表面の第1及び第2表面配線パターンに表面実装した後、前記第1及び第2電子部品を接続する前記内層の第1及び第2内層配線パターンにおける前記導電性接続部を、前記基板切断部に外力を加えることにより前記廃棄基板部を切断して、前記第1及び第2電子部品の前記第1及び第2表面配線パターンと前記第1及び第2内層配線パターンとの接続を切ることを特徴とする配線パターン切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−66334(P2008−66334A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239382(P2006−239382)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】