説明

多層熱収縮性ポリオレフィンフィルム

【課題】
収縮後のシール面に孔開き(ピンホール)を生じることがなく、包装機適性や収縮直後のフィルム滑性(ホットスリップ性)が良好であって、収縮性、特に低温収縮性に優れる多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムを提供することにある。
【解決手段】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から形成される中間層の両面に、ポリプロピレン系樹脂から形成される表面層が積層されてなる多層フィルムを加熱延伸した後、10〜100kGyの線量で電子線架橋し、照射後のメルトマスフローレート(230℃・2.16kg)を1.0g/10分以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業包装用に用いられる多層熱収縮性延伸ポリオレフィンフィルムに関する。さらに詳しくは、包装機器適性に優れ、かつ、ヒートシール性や低温での収縮性に優れるとともに、収縮直後のフィルム滑性や環境衛生にも優れる多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムに関する。
【0002】
従来、熱収縮フィルムに使用される原材料としては、低温においても収縮性能の良いポリ塩化ビニル系樹脂が広く使用されてきた。しかし近年、ポリ塩化ビニル系樹脂の環境への影響、特に燃焼時に発生する有害な塩化水素ガスなどの悪影響が注目され、ポリ塩化ビニル系樹脂を原材料とするプラスチック製品の使用を見直す動きが活発になってきている。熱収縮フィルムにおいても、ポリ塩化ビニル系樹脂に替わる原材料として、ポリプロピレン系樹脂を使用した熱収縮フィルムが広く使われるようになってきている。ポリプロピレン系樹脂を主成分とする熱収縮フィルムは、環境への影響はポリ塩化ビニル系樹脂よりもはるかに少なく、耐熱性も優れているが、ヒートシール性や収縮性、特に低温収縮性が不十分であるという問題点があった。
【0003】
低温収縮性が改良されたポリオレフィン樹脂系熱収縮性フィルムとして、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を主成分とする熱収縮性フィルムが開示されている。
【0004】
しかし、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を主成分とする熱収縮性フィルムは、一般的に、延伸が困難なため、厚みムラが大きくなり易く、包装条件が不安定で包装機器適性は低いものであった。また低温収縮性は優れているものの、耐熱性が不十分であるため、収縮可能な温度範囲が極端に狭くなって、実用面では使用し難いという問題点があった。
【0005】
上記問題点に対応するために、電子線架橋等による架橋を施すことにより耐熱性を改良した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を主成分とする熱収縮性フィルムが開示されている。(特許文献1)しかし、上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を主成分とする熱収縮性フィルムは、延伸が不安であり、厚さムラが大きい為、包装条件が不安定であった。
【特許文献1】特公平4−70987号公報
【0006】
そこで、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなる中間層の両面にポリプロピレン系樹脂からなる表面層(外層)を積層した多層構成の熱収縮性フィルムが検討されており、例えば、密度が0.905g/cm3以下の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂または該樹脂を主体とする樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む中間層の両面にポリプロピレン系樹脂からなる表面層を積層したポリプロピレン樹脂系熱収縮性フィルムが開示されている。(特許文献2)
【特許文献2】特公平8−2625号公報
【0007】
しかし、上記熱収縮性フィルムは、延伸安定性および耐熱性は良好であるものの、包装機器適性や収縮直後のフィルム滑性(ホットスリップ性)が不十分であるため、収縮後のシール面に孔開き(ピンホール)が発生しやすく、シール性が阻害されるという問題点がある。
【0008】
また、他に、二軸延伸した特定のポリエチレン系樹脂層と二軸延伸したポリプロピレン系樹脂層とが積層されてなるポリオレフィン樹脂系熱収縮性フィルムが開示されている。(特許文献3)
【特許文献3】特公平8−5172号公報
【0009】
しかし、上記熱収縮性フィルムは、包装適性やホットスリップ性は良好であってシール性には優れているものの、収縮性能が不十分であるという問題点があった。また、この熱収縮性フィルムは、特定のポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との相溶性が不十分であるため、溶断シール強度が不十分であるという問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、収縮後のシール面に孔開き(ピンホール)が生じることなく、収縮性、特に低温収縮性に優れ、収縮直後のフィルム滑性(ホットスリップ性)が良好であって、好適な包装機器適性を有する多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンからなる中間層の両側に、ポリプロピレン系樹脂からなる表面層が積層されてなる多層フィルムを加熱延伸した後に、架橋せしめてなる。
【0012】
請求項2記載の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムは、電子線により架橋されてなり、架橋後のメルトマスフローレートが1g/10分以下であることを特徴とする多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムである。
【0013】
請求項1記載の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンからなる中間層の両側に、ポリプロピレン系樹脂からなる表面層が積層されてなる多層フィルムを加熱延伸した後に、架橋せしめてなることから、収縮性、収縮後のシール面に孔開き(ピンホール)を生じることがなく、特に、低温収縮性に優れ、収縮直後のフィルム滑性(ホットスリップ性)が良好であって、好適な包装機器適性を有する多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムとなる。
【0014】
請求項2記載の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムは、架橋を電子線照射により行なう。架橋後のメルトマスフローレート(230℃、21.2N)を1.0g/10分以下とすることが好ましく、これにより、更に収縮性に優れ、収縮後のシール面に孔開き(ピンホール)もより少なく、特に、低温収縮性、収縮直後のフィルム滑性(ホットスリップ性)は,より優れたものとなり、従って、より優れた包装機器適性を有する多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムとなる。
【0015】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムの中間層を形成する直鎖状低密度ポリエチレンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと他のモノマーからなり、エチレンを主成分とする共重合体等が挙げられる。これらの直鎖状低密度ポリエチレンは単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】
上記エチレンと他のモノマーとのエチレンを主成分とする共重合体としては、特に限定されるものではないく、例えば、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体等が好ましい例として挙げられる。これらのエチレンと他のモノマーとのエチレンを主成分とする共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体等のいずれであっても良い。また、これらのエチレンと他のモノマーとのエチレンを主成分とする共重合体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0017】
上記エチレン以外のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらのエチレン以外のα−オレフィンは単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0018】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムの中間層を形成する直鎖状低密度ポリエチレンには、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等他のポリエチレン系樹脂の1種類もしくは2種類以上が含有されていても良い。なお、本発明で言う(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸または、メタアクリル酸を意味する。
【0019】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムの表面層を形成するポリプロピレン系樹脂としては、例えば、シンジオタクティックポリプロピレン系樹脂あるいはα−オレフィンとプロピレンとの共重合体を含有するポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0020】
上記シンジオタクティックポリプロピレン系樹脂とは、多数の活性種を有するチグラー・ナッタ系触媒とは異なり、均質な活性種を有するメタロセン系触媒を用いてプロピレンを重合することにより製造される化学構造的にメチル基がポリマー主鎖に沿って交互に配列した立体構造を有するポリプロピレン系樹脂のことである。
【0021】
上記メタロセン系触媒は、活性種の性質が均質な触媒であり、このメタロセン系触媒を用いて製造されたシンジオタクティックポリプロピレン系樹脂は、分子量分布や組成分布が狭いという特性を有する。また、メタロセン系触媒の配位子選択等により分子量の調整や規則性を制御することができる。
【0022】
上記シンジオタクティックポリプロピレン系樹脂は、融点が130〜150℃程度、密度が0.880g/cm3程度であり、結晶化度が30〜40%程度と小さい。上記シンジオタクティックポリプロピレン系樹脂を用いることにより、低温収縮性、低温シール性、シール強度、特に溶断シール性、透明性、光沢性等に優れた多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムを得ることができる。
【0023】
上記α−オレフィンとプロピレンとの共重合体とは、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとのプロピレンを主成分とする共重合体のことである。
【0024】
上記プロピレン以外のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、なかでも、エチレンや1−ブテンが好適に用いられる。これらのプロピレン以外のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0025】
本発明においては、上記α−オレフィンとプロピレンとの共重合体のなかでも、プロピレン、エチレン、1−ブテンとからなる三元共重合体もしくは、エチレンとプロピレンの共重合体が特に好適に用いられる。
【0026】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムの中間層を形成する直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または表面層を形成するポリプロピレン系樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、滑剤、アンチブロッキング剤(ブロッキング防止剤)、結晶造核剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が含有されていても良い。
【0027】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、シール性、収縮性の点から、全厚みが5〜50μmであることが好ましく、層厚の比は表面層/中間層/表面層=1/2/1〜1/10/1であることが好ましい。特に、中間層が小さくなると収縮性が低下し、中間層が大きすぎると、シール性が悪くなる。
【0028】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、多層Tダイキャスト法や多層ダイスを用いた水冷インフレーション法等の公知の多層製膜法で製膜した後、ロール1軸延伸、テンター2軸延伸、チューブラー2軸延伸等の公知の延伸法で、延伸し、その後、架橋する方法が挙げられる。
【0029】
この際、加熱延伸前の多層フィルムの全厚みは特に限定されるものではないが、20〜500μmが好ましく、又、加熱延伸倍率は、縦横各2〜10倍、延伸速度は10〜100m/分、延伸温度は加熱延伸前の多層フィルム温度で50〜120℃であることが好ましい。
【0030】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムのメルトマスフローレート(230℃、21.2N)は、大きくなるとシール性が低下するので、1.0g/10分以下であることが好ましい。
【0031】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムのシール性強度は、低くなると包装材料等に利用する場合を考慮して、8N/15mmで有ることが以上であることが好ましい。本発明で用いる、シール強度とは、包装機(商品名「HP−10」、ハナガタ社製)を用いて、200℃で0.9秒間ヒートシールした後、幅15mmの短冊状に裁断し、破断強度を測定して、シール強度(N/15mm)とする。
【0032】
本発明で用いられる架橋の方法は、特に限定されず、例えば、電子線架橋が用いられる。電子線架橋の照射線量も特に限定されないが、10〜100kGyの線量で電子線架橋することが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンから形成される中間層の両面に、ポリプロピレン系樹脂から形成される表面層が積層されてなる多層フィルムを加熱延伸した後、架橋することにより、メルトマスフローレート(230℃、21.2N)を1.0g/10分以下としているので収縮後のシール面に孔開き(ピンホール)を生じることがなく、シール性、収縮性、特に低温収縮性に優れ、収縮直後のフィルム滑性(ホットスリップ性)が良好であって、好適な包装機器適性を有するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明をさらに詳しく説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)
【0035】
(実施例1、2)
中間層用の直鎖状低密度ポリエチレンとして、密度が0.905g/cm3、230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が0.8g/10分、融点が123℃である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a)70重量%および密度が0.920g/cm3、230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が1.0g/10分、融点が124℃である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)30重量%を含有する直鎖状低密度ポリエチレン組成物を用い、両表面層用のポリプロピレン系樹脂として、230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が2.0g/10分であり、融点が130℃であるシンジオタクティックポリプロピレン系樹脂50重量%および230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が1.2g/10分、融点が135℃であるプロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体50重量%を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を用い、円形の多層ダイスが取り付けられた3台の押出機を用いて、水冷インフレーション法により3層構成の多層フィルムに製膜した。次いで、得られた3層構成の多層フィルムをチューブラー2軸延伸により縦横各5倍に延伸した。全体の厚みは15μmであり、層厚の比が表面層/中間層/表面層=1/6/1である多層ポリオレフィン系樹脂系延伸フィルムを製造した後、実施例1では30kGyおよび実施例2では50kGyの線量で電子線を照射して架橋し多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムを製造した。
【0036】
(実施例3、4)
両表面層用のポリプロピレン系樹脂として、230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が7.0g/10分、融点が140℃であるプロピレン−エチレン共重合体50重量%および230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が1.2g/10分、融点が135℃であるプロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体50重量%を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1および2の場合と同様にして、全体の厚みが15μm、層厚の比が表面層/中間層/表面層=1/6/1である多層ポリオレフィン系樹脂延伸フィルムを製造した後、実施例3では30kGyおよび実施例4では50kGyの線量で電子線を照射して架橋し、多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムを製造した。
【0037】
(比較例1、2)
表1に示す実施例1および2と同じ樹脂構成および方法により、全厚みが15μmであり、層厚の比が表面層/中間層/表面層=1/6/1であるポリオレフィン系樹脂延伸フィルムを製造した後、比較例1では5kGyおよび比較例2では105kGyの線量で電子線を照射し、架橋してポリオレフィン樹脂系熱収縮性フィルムた。
【0038】
(比較例3、4)
表1実施例3および4と同じ樹脂構成および方法により、全厚みが15μmであり、層厚比が表面層/中間層/表面層=1/6/1であるポリオレフィン系得樹脂延伸フィルムを製造した後、比較例3では5kGyおよび比較例4では105kGyの線量で電子線を照射し、架橋してポリオレフィン系樹脂熱収縮性フィルムた。
【0039】
実施例1〜実施例4で得られた多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムおよび比較例1〜4で得られたポリオレフィン系樹脂熱収縮性フィルムの性能(1.収縮率、2.シール性、3.収縮性、4.包装後のフィルム滑性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示す通りであった。
【0040】
1.収縮率
JIS Z 1709「収縮包装用フィルム」に準拠して、100℃、110℃および120℃における縦方向および横方向の収縮率(%)を測定した。
【0041】
2.シール性
包装機(商品名「HP−10」、ハナガタ社製)を用いて、200℃で0.9秒間ヒートシールした後、幅15mmの短冊状に裁断し、破断強度を測定して、シール強度(N/15mm)とした。また、L型シール包装機を用いて、木箱(縦130mm×横170mm×高さ50mm)10個を130℃で連続的に熱収縮包装した後、孔開き(ピンホール)の孔径を計測して、下記判定基準により仕上がり状態を評価した。
〔判定基準〕
孔径が0mmを5点、孔径が0mmを超え2mm未満を3点、孔径が2mm以上5mm未満を1点、孔径が5mm以上を0点とし、50点満点で採点し、下記基準によりシール性を評価した。
○:合計点が40点以上であった。
△:合計点が35点以上40点未満であった。
×:合計点が35点未満であった。
【0042】
3.収縮性
上記L型シール包装機のトンネル温度を10℃刻みで120℃から150℃まで変化させ、各温度において、木箱(縦130mm×横170mm×高さ50mm)1個を熱収縮包装した後、仕上がり状態を目視で観察して、下記判定基準により収縮性を評価した。
〔判定基準〕
○:収縮不足や加熱溶融破れ等は認められず、仕上がり状態は良好であった。
△:収縮不足が若干認められたが、実用面での支障はなかった。
×:収縮不足や加熱溶融破れ等が認められ、仕上がり状態が悪かった。
【0043】
4.包装後のフィルム滑性
130℃で熱収縮包装した後の包装物同士の滑性状態や抵抗度合いを官能的に検査して、下記判定基準により包装後のフィルム滑性を評価した。
〔判定基準〕
○:包装物同士の抵抗はほとんどなく、良好な滑性を示した。
×:包装物同士の抵抗が大きく、滑性が悪かった。
【0044】
【表1】

【0045】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例4の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルムは、100〜120℃における収縮率、シール性、120〜150℃における収縮性および包装後のフィルム滑性の全てついて優れていた。
【0046】
これに対し、電子線照射量の少なかった比較例1および比較例3のポリオレフィン系樹脂熱収縮性フィルムは、いずれにおいてもシール性の評価における仕上がり状態が悪く、包装後のフィルム滑性が悪かった。電子線照射量の多かった比較例2および比較例4のポリオレフィン樹脂系熱収縮性フィルムは包装後のフィルム滑性は良いものの、いずれにおいてもシール性の評価におけるシール強度および仕上がり状態が悪かった。また、比較例1および比較例2のポリオレフィン系樹脂熱収縮性フィルムは150℃における収縮性が悪く、比較例3および比較例4のポリオレフィン系樹脂熱収縮性フィルムは120℃における収縮性が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
商品の梱包に用いる包装フィルムとして利用する。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状低密度ポリエチレンからなる中間層の両側に、ポリプロピレン系樹脂からなる表面層が積層されてなる多層フィルムを加熱延伸した後に、架橋せしめてなることを特徴とする多層熱収縮性ポリオレフィンフィルム。
【請求項2】
電子線により架橋されてなり、架橋後のメルトマスフローレートが1g/10分以下であることを特徴とする請求項1記載の多層熱収縮性ポリオレフィンフィルム。


【公開番号】特開2006−7489(P2006−7489A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185431(P2004−185431)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】