説明

多層積層回路

【課題】設計の自由度が高く、多くの機能を盛り込んでも、小型化を維持することができる多層集積回路を提供すること。
【解決手段】複数の受動素子用導体層11および複数の配線用導体層12の各層間にセラミック層10を介在させた多層積層回路1であって、受動素子用導体層11および配線用導体層12の少なくとも1層は、当該多層積層回路1の主面表面Saからセラミック層10を貫通するビア13を介して接続され、少なくとも主面表面Sa上でビア13に接続して外部接続が可能な電極を含む外部電極14が主面表面Sa上に形成されるとともに、主面表面Sa上に外部電極14の少なくとも1組を接続する外部配線用導体17が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の受動素子用導体層および複数の配線用導体層の各層間にセラミック層を介在させた多層積層回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内視鏡の先端部回路では、多層集積回路を用いて小型化を図り、内視鏡の一層の細径化および硬性長の短縮化を実現している。
【0003】
この多層集積回路としては、特許文献1に記載されているように、積層セラミックコンデンサ基板をベース多層配線基板に重ねて一体的に形成し、その側面に外部電極を形成することで、コンデンサを含めた小型の積層集積回路を実現しているものがある。
【0004】
【特許文献1】特許第2627625号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の多層集積回路は、基板側面にのみに外部電極を設けているため、多層集積回路の設計自由度が低く、多層集積回路に多くの機能を盛り込もうとすると、小型化が困難になるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、設計の自由度が高く、多くの機能を盛り込んでも、小型化を維持することができる多層集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる多層積層回路は、複数の受動素子用導体層および複数の配線用導体層の各層間にセラミック層を介在させた多層積層回路であって、前記受動素子用導体層および前記配線用導体層の少なくとも1層は、当該多層積層回路の主面表面から前記セラミック層を貫通するビアを介して接続され、少なくとも前記主面表面上で前記ビアに接続して外部接続が可能な電極を含む外部接続用電極が前記主面表面上に形成されるとともに、前記主面表面上に前記外部接続用電極の少なくとも1組を接続する外部配線用導体が形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる多層積層回路は、上述した発明において、前記外部接続用電極は、当該多層積層回路の2つの主面表面の双方に形成されることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる多層積層回路は、上述した発明において、前記外部接続用電極の少なくとも1つが、対向する電極により他の部材と接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、複数の受動素子用導体層および複数の配線用導体層の各層間にセラミック層を介在させた多層積層回路であって、前記受動素子用導体層および前記配線用導体層の少なくとも1層が、当該多層積層回路の主面表面から前記セラミック層を貫通するビアを介して接続され、少なくとも前記主面表面上で前記ビアに接続して外部接続が可能な電極を含むが外部接続用電極を前記主面表面上に形成するとともに、前記主面表面上に前記外部接続用電極の少なくとも1組を接続する外部配線用導体を形成するようにしているので、設計の自由度が高く、多くの機能を盛り込んでも、小型化を維持することができる多層集積回路を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、この発明にかかる多層積層回路の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる多層積層回路の構造を示す断面図である。また、図2は、多層積層回路を外部接続デバイスに結合した集積回路モジュールの製造過程を示す図である。さらに、図3は、製造された集積回路モジュールの構造を示す断面図である。図1に示すように、多層積層回路1は、積層されたセラミック層10間に導体層が形成され、下部のセラミック層10間に、受動素子用導体層11によってコンデンサや抵抗などの受動素子が形成されるとともに、上部のセラミック層10間に、配線用導体層12によって配線が形成される。なお、この多層積層回路1では、受動素子の一部として積層コンデンサを形成した例を示している。
【0013】
最上部のセラミック層10の表面である主面表面Saには、外部と電気的に接続するための複数の外部電極14(外部接続用電極)が形成される。この外部電極14と受動素子用導体層11との間は、セラミック層10を貫通したビア13を介して接続される。ビア13は、一方が主面表面Saに接続するブラインドビアであり、外部に露出した外部電極14と内部の受動素子用導体層11とを接続する。ビア13は、穴の内壁あるいは内部全体に導体層が形成されることによって外部電極14と受動素子用導体層11とが電気的に接続される。なお、穴内に銅線などのリード線を挿入するようにしてもよい。
【0014】
また、主面表面Sa上に形成された外部電極14は、内部の配線用導体層12とビア15を介して接続される。さらに、内部の各配線用導体層12間は、ベリードビアとしてのビア16によって相互に接続され、複雑かつ立体的な配線が形成される。なお、配線は、内部のみならず、図2に示すように、主面表面Sa上の外部電極14間に外部配線用導体17を形成してもよい。
【0015】
受動素子用導体層11および配線用導体層12は、各セラミック層10の表面あるいは裏面に、パターニングされて形成され、パターニングされた各セラミック層10が接合される。その後、セラミック層10の積層段階で、ビア16が形成されるとともに、セラミック層10の積層後、主面表面Saに通ずるビア13,14が形成される。ビア16,13,14の内壁面には上述したように導体層が形成される。その後、外部電極14が、メッキやインクジェットパターニングなどの処理によって形成される。また、上述したように外部配線用導体17を形成する。これによって、上述した多層積層回路1が形成される。
【0016】
その後、図2に示すように、多層積層回路1を裏返して、主面表面Saを下面側にし、主面表面Saと、予め用意された能動デバイスなどの外部接続デバイス2の電極21が形成された面とを対向させて接続し、図3に示すような集積回路モジュール3を形成する。ここで、各外部電極14および各電極21は、主面表面Sa上および外部接続デバイス2の電極21側の面上おいて、接続状態で一致するように形成されている。また、各外部電極14および各電極21間は、はんだバンプなどを用いて接続してもよく、さらには、各外部電極14および各電極21間に接続強度を増すために、絶縁性の接着剤を挿入してもよい。
【0017】
この多層集積回路1では、広い主面表面Sa上に外部電極が形成され、かつ内部に配線も形成されるため、設計自由度が高く、多くの機能が搭載可能な回路を形成することができる。また、集積回路モジュール3では、多層集積回路1の側面および主面裏面Sbに外部電極14が形成されないため、外部に対する電気的接触部分が少なく、外部応力や接触などに強いモジュールを形成することができる。
【0018】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、多層積層回路1の主面表面Saにのみ、外部電極14を形成するようにしていたが、この実施の形態2では、主面表面Saおよび主面裏面Sbの双方に外部電極を形成するようにしている。
【0019】
図4は、この発明の実施の形態2である多層積層回路の構成を示す断面図である。また、図5は、多層積層回路を外部接続デバイスに結合した集積回路モジュールの構成を示す断面図である。さらに、図6は、多層積層回路を外部接続デバイスに結合した集積回路モジュールの構成を示す斜視図である。図4に示すように、この多層積層回路4は、主面裏面Sb側にも外部電極14と同様に、外部電極34を設けている。そして、ビア13,14,15以外に、ビア33,35等を設け、内部に設けられた受動素子用導体層11および配線層導体層12と主面裏面Sb側とを接続するようにしている。また、外部配線用導体17と同様に、主面裏面Sb上に、外部配線用導体37を形成している。
【0020】
この多層積層回路4は、図5および図6に示すように、多層積層回路1と同様に、多層積層回路4を裏返し、主面表面Saと外部接続デバイス5とを対向させて、各外部電極14と各電極21とを電気的に接続し、結合するようにしている。また、主面裏面Sb上の電極34と、外部接続デバイス5上の電極21との間は、ワイヤ40によってワイヤボンディングされ、電気的に接続される。これによって、集積回路モジュール6が形成される。このワイヤ40は、外部接続デバイス5上であって、多層積層回路4の主面表面Saに覆われない部分の電極21と接続される。
【0021】
なお、上述した実施の形態2では、1つの多層集積回路4について例示したが、これに限らず、主面表面Saと主面裏面Sbとを接続して多段構成の多層集積回路を形成するようにしてもよい。また、上述した実施の形態2では、主面裏面Sbに対してワイヤ40を用いて接続するようにしていたが、これに限らず、多層集積回路4の側面を這うようにして、主面裏面Sb上の外部電極34と電極21との間を、インクジェットプリンティングなどによって配線を形成してもよい。
【0022】
この多層積層回路4では、さらに主面裏面Sbにも外部電極を形成しているため、設計自由度が高く、さらに多くの機能が搭載可能な回路を形成することができる。特に、主面裏面Sbと外部接続デバイス5との間の電極接続を選択的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施の形態1である多層積層回路の構成を示す断面図である。
【図2】多層積層回路を外部接続デバイスに結合した集積回路モジュールの製造過程を示す図である。
【図3】製造された集積回路モジュールの構造を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2である多層積層回路の構成を示す断面図である。
【図5】多層積層回路を外部接続デバイスに結合した集積回路モジュールの構成を示す断面図である。
【図6】多層積層回路を外部接続デバイスに結合した集積回路モジュールの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1,4 多層積層回路
2,5 外部接続デバイス
3,6 集積回路モジュール
10 セラミック層
11 受動素子用導体層
12 配線用導体層
13,15,16,33,35 ビア
14,34 外部電極(外部接続用電極)
17,37 外部配線用導体
21 電極
40 ワイヤ
Sa 主面表面
Sb 主面裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受動素子用導体層および複数の配線用導体層の各層間にセラミック層を介在させた多層積層回路であって、
前記受動素子用導体層および前記配線用導体層の少なくとも1層は、当該多層積層回路の主面表面から前記セラミック層を貫通するビアを介して接続され、少なくとも前記主面表面上で前記ビアに接続して外部接続が可能な電極を含む外部接続用電極が前記主面表面上に形成されるとともに、前記主面表面上に前記外部接続用電極の少なくとも1組を接続する外部配線用導体が形成されたことを特徴とする多層積層回路。
【請求項2】
前記外部接続用電極は、当該多層積層回路の2つの主面表面の双方に形成されることを特徴とする請求項1に記載の多層積層回路。
【請求項3】
前記外部接続用電極の少なくとも1つが、対向する電極により他の部材と接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の多層積層回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−35170(P2011−35170A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180038(P2009−180038)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】