説明

多層被覆材

多層被覆材は可撓性布層を含む。布層は、綿毛状ブランケットまたはメッシュでありうる。布層がブランケットである場合、それは、2mm〜5mmの厚さを有し、かつバットまたは織布またはスパンボンド層の形態であり、かつストランド間またはブランケット中に間隙を規定する。布層がメッシュである場合、メッシュの隣接ストランド間の間隔は、3mm〜20mmである。多層被覆材はさらに、金属反射フォイル(または紙)支持体層と、表面への被覆材の適用を容易にするために剥離バッキング層により保護された接着材の層と、を含む。壁を被覆する場合、被覆材は、壁に貼り付けられ、アクリル系のようなレンダーペイントよりなる1つ以上の保護コーティングが、ブラシまたはローラーまたはスプレーによりブランケットに適用される。アクリル系レンダーペイントは、典型的には、セメントと砂とアクリル系ポリマーとの比較的濃厚な混合物を含む。粗い砂およびセメントの粒子は、壁の表面までブランケットの繊維の間隙またはバット中の孔に浸透し、アクリル系レンダーペイントでブランケットを飽和させる。ブランケットは、レンダーペイントでコーティングされたときに平らな表面を提供し、壁の大がかりな下準備の必要性を回避する。また、床、天井、および屋根に被覆材を適用して、アクリル系レンダー、プラスター、ペイント、グルー、他の表面処理材などのさまざまなコーティングで被覆することも可能である。建築物および他の構造物の亀裂および起伏を被覆するために、被覆材を使用することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、多層被覆材に関し、とくに、建築物または他の構造物の壁、天井、床、屋根などに対する被覆材に関する。本発明はまた、壁、天井、床、屋根などに被覆材を施すことにより、壁、天井、床、屋根などを被覆する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
施工不良が原因で建築工程の初期に表面の亀裂および起伏が建築物および構造物に現われ、そしてその後、建築物が揺れたり沈下を始めると、基礎材および骨組みの移動が原因で亀裂が生じることは、当業者には既知である。建築物の壁または天井の亀裂を充填してレンダー(render)を施すことにより既存の建築物の完全性を改善することは既知である。しかしながら、ほとんどの場合、建築物をレンダリングすることによって建築物を処理する既存の方法は、時間がかかり、大がかりな下準備を必要とし、一般的には、熟練工が施工するのに好適であるにすぎない。したがって、既存の壁および天井の処理システムおよびレンダリング(rendering)システムは、費用がかかり、非熟練および半熟練の家屋補修者には適さない。
【0003】
本明細書に含まれている文献、作用、材料、装置、物品などに関する考察はいずれも、単に本発明の置かれている状況を示すことを目的としているにすぎない。これらの事項のいずれかもしくはすべてが先行基礎技術の一部をなすことまたは本願の各請求の優先日の前に存在していた場合に本発明に関連する分野の一般常識であったことを容認するものと解釈してはならない。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明の第1の態様においては、
壁に可撓性布(fabric)層を施す工程と、
該布層に1つ以上のコーティングを施す工程と
を含み、
該布層が、
繊維ストランドから織布(weave)または不織布(non-woven)として作製された、2mm〜20mmの厚さを有するブランケット(blanket)であって、ストランド間もしくは該ブランケット中に間隙(gaps)が規定されているか、またはパンチングされた貫通孔を有するバット(batt)の形態であるブランケット、および
メッシュのストランドの間隔が5mm〜20mmである可撓性メッシュ層
よりなる群から選択される、
壁、床、屋根、または天井の処理方法を提供する。
【0005】
本発明は、許容しうる表面を得るべく、外側コーティングを支持しかつ亀裂および起伏の被覆を支援する可撓性強靭ウェビング(webbing)を提供する。コーティングおよび被覆材はいずれも、互いに同程度の可撓性を有していなければならず、かつ特定の移動範囲内で建築構造物の移動と同様の移動量を有していなければならない。これらの亀裂および起伏が10mm以下、好ましくは3mm未満であれば、被覆材は、それらの亀裂および間隙を横切って広がる。亀裂および間隙の橋絡は、建設時の時間とコストを削減し、後で構造物の移動により間隙および亀裂が形成された場合、被覆材は、これらの醜い亀裂および起伏の被覆を支援する。この被覆材はまた、亀裂を介して風雨が建築物に浸透するのを防止するとともに、放置すると健康上有害になる可能性のある塵埃および白黴がこれらの亀裂中に蓄積するのを防止する。布は、壁、床、または天井の亀裂、起伏、および欠陥のほとんどを被覆するであろう。それはまた、ペイント、アクリル系ペイントレンダー(acrylic paint render)などでありうるコーティングを吸収するためのマトリックスとしても作用するであろう。
【0006】
本発明の特定の関連態様においては、
壁に綿毛状(fluffy)ブランケット層を施す工程と、
該ブランケットに1つ以上のコーティングを施す工程と
を含み、
該ブランケットが、2mm〜20mmの厚さを有し、かつ繊維ストランドから織布または不織布として作製されており、かつストランド間もしくはブランケット中に間隙が規定されているか、または貫通孔を有するバットの形態である、
壁、床、屋根、または天井の処理方法を提供する。
【0007】
好ましい実施形態では、ブランケットの厚さは、2mm〜5mmの範囲である。
【0008】
不織布ブランケットという用語は、バットおよびスパンボンドされた(spun bonded)ブランケットを含めた、繊維から作製された任意の不織布ブランケットを包含する。
【0009】
一実施形態では、ブランケットは織成(woven)されており、ブランケットの隣接した繊維間の間隙は0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmの範囲である。
【0010】
他の実施形態では、ブランケットは、バットであるかまたはスパンボンドされたものであり、バットまたはスパンボンドブランケットには、0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmの直径を有する貫通孔が形成されている。
【0011】
壁とくに外壁を被覆する場合、保護コーティングは、典型的には、アクリル系レンダーペイントのようなレンダーペイント(render paint)であり、ブラシまたはローラーまたはスプレーにより施される。油性ペイント、のろ(ライムウォッシュ, lime wash)レンダーなどのような他のペイントを使用することも可能である。利用されるレンダーペイントのタイプは、ブランケット層の特性に依存する。アクリル系レンダーは、典型的には、セメントと砂とアクリル系ポリマーとの比較的濃厚な混合物を含むが、セメントや砂以外のレンダーを使用することも可能である。レンダーは、レンダーペイント中に「粘り(body)」を提供し、人々がレンダーペイントを施すことにより外表面の外観を変化させたり、風雨に対する保護を提供したり、コーティング全体に色を提供するためのビヒクルを提供したりすることができる。アクリル系ポリマーは、一種の「グルー(glue)」として作用し、レンダーを一緒に保持するのを助ける。典型的には、アクリル系レンダー中の砂/セメント粒子は、0.06mm〜0.2mmの直径を有する。砂およびセメントの粒子は、壁の表面までブランケットの繊維の間隙またはバット中の孔に浸透し(penetrate)、アクリル系レンダーペイントでブランケットを飽和させる。ブランケットはまた、レンダーペイントでコーティングされたときに保護表面および支持表面を提供する。
【0012】
ブランケットの孔は、ブランケットから水を容易に排出できるように、しかも施用時にアクリル系レンダーペイントのより粗い材料がブランケットを貫通して比較的自由に流動できるように十分に大きくなければならないが、乾燥し固まった後、アクリル系レンダーペイントに対する支持マトリックスを形成しなければならない。
【0013】
織布またはバットは、好ましくは、弾性かつ伸縮性である。ブランケットを補強するために、建築紙または強靭な金属反射フォイル(metallic reflective foil)の支持バッキング層を提供してもよい。
【0014】
金属反射フォイルまたは紙の支持層は、好ましくは、施用が容易になるように剥離保護層(peel-off protective layer)により保護された接着材でコーティングされる。
【0015】
ブランケットの繊維は、好ましくは、耐食性かつ疎水性かつ耐紫外線性かつほとんどの化学溶媒、ミネラルターペン(mineral turps)、灯油、ガソリン、洗浄剤、およびペイントシンナーに対して耐性である。
【0016】
さまざまな割合でアクリル系ポリマーを含むアクリル系ペイントレンダーが販売されており、安価なレンダーほど、アクリル系ポリマーの含有量が少ない。有利には、レンダーに対するマトリックスとして機能するブランケットを提供することにより、アクリル系ポリマーの含有量がより少ない比較的安価なアクリル系レンダーペイントを使用することができる。この場合のブランケットの機能は、レンダーの外側コーティングと支持金属反射フォイルまたは紙の層との間に追加の可撓性支持構造および結合を提供することである。
【0017】
天井を被覆するために本方法を用いる場合、典型的には2mm〜10mm、最も好ましくは約2mm〜5mmの厚さを有する比較的薄いブランケットを使用し、アクリル系ペイントのような標準的ペイントで単にブランケットをコーティングすればよい。
【0018】
床で本方法を使用することも可能であり、その場合には、剥離層を除去して、金属反射フォイル層を既存の床表面に貼り付ける。次に、所要の床仕上げ材(floor finish)のタイプに依存して、グラウト、タイルセメント、接着材などでブランケットをコーティングすることが可能であり、ブランケットは、コーティングの一部分を吸収して、床仕上げ材と金属反射フォイルとの間に結合を提供する。金属反射フォイル層は、断熱を提供する。ブランケットは、断熱と防音の両方を提供する。
【0019】
本発明はまた、
織布でも不織布であってもよく、あるいはパンチングされた貫通孔を有するバットの形態であり、好ましくは建築物の外壁または内壁に施すべく非腐食性である伸縮性強靭ブランケット;および
ストランド間の間隔が5mm〜20mmである可撓性メッシュ層;
よりなる布層の群から選択される布層を含む、建築物または類似の構造物の壁、天井、床、または屋根に施すための被覆材を提供する。
【0020】
特定の関連態様において、本発明はまた、織布でも不織布であってもよく、あるいはパンチングされた貫通孔を有するバットの形態であり、好ましくは建築物の外壁または内壁、屋根、天井、床などに施すべく非腐食性である伸縮性強靭ブランケットを含む、建築物または他の構造物などの壁、天井、床、または屋根に施すための被覆材を提供する。
【0021】
布がブランケットである場合、ブランケット層は、2mm〜20mmの厚さ、最も好ましくは2mm〜5mmの厚さであることが好ましい。ブランケットは、好ましくは、プラスチック材料、最も典型的にはガラス繊維または再生PET繊維から作製され、繊維間の間隙は、0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmであり、アクリルセメント系レンダーペイントの砂およびセメントの粒子が間隙を通過するように十分に大きい。
【0022】
典型的には、建築紙または最も好ましくは強靭金属反射フォイルの層でありうる支持体層をブランケットに固定しうる。
【0023】
好ましくは、壁などに接合させるためのラミネートの一方の側は、強力接着材層でコーティングされており、壁、天井、床、または屋根などにブランケットを施す前には、その強力接着材層は、保護接着材を被覆するための剥離層により保護されている。
【0024】
被覆材は、屋根構造物および関連部材を被覆するラップ材として、とくに、外部屋根クラッド材を施す前の外側平面状表面を覆うラップ材として、屋根材用途で使用することが可能であり、その場合、好ましい厚さは5〜10mmである。屋根被覆材は、自己接着層を用いて迅速かつ安全に屋根構造物に施用可能である。ブランケット層は、グルーを吸収し、結果として強力な可撓性接着材を形成し、外側屋根クラッド材への結合を可能にする。このほか、ネジなどを用いて外部屋根クラッド材をベース層に固定することが可能である。ブランケットおよびフォイルは、防音および断熱を提供する。
【0025】
本発明のさらなる関連態様において、壁、天井、床、または屋根に、ストランド間の間隔が5mm〜20mmである可撓性メッシュ層を施す工程と;
メッシュに1つ以上の保護用コーティングを施す工程と;
を含む、壁、天井、床、または屋根の処理方法を提供する。
【0026】
好ましくは、メッシュは、典型的には金属反射フォイルまたは紙でありうるバッキング層を含む。
【0027】
壁、天井、床、または屋根へのメッシュ層の施用を容易にするために、バッキング層を、剥離保護層の接着材カバーでコーティングしてもよい。
【0028】
メッシュは、1〜4mm、最も典型的には1〜2mmの厚さを有しうる。
【0029】
関連態様において、本発明はまた、
メッシュのストランド間の間隔が5mm〜20mmである可撓性メッシュ層と;
反射金属フォイルバッキング層と;
フォイルバッキング層に施された接着材の層と;
接着材を被覆する除去可能な保護層と;
を含む、壁、天井、屋根、または床用の被覆材料を提供する。
【0030】
好ましくは、メッシュのストランド間の間隔は5mm〜10mmである。
【0031】
典型的には、メッシュは、1〜4mm、最も典型的には1〜2mmの厚さを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、単なる例として添付の図面を参照しながら本発明の特定の実施形態について説明する。
【0033】
好ましい実施形態の詳細な説明
図面を参照して説明する。図1は、布よりなる第1の層を含む多層被覆材10を示しており、布は、特定の実施形態では、2〜4mmの厚さを有する綿毛状ブランケット12であるが、以下に記載されているように、メッシュであってもよい。ブランケットは、典型的には、織成されたガラス繊維で作製されるが、再生PETのような再生プラスチックをはじめとする他のプラスチック材料から織成してもよい。ブランケットはまた、バットであってもよいし、スパンボンド層などの他の不織布マット(unwoven matted)プラスチックマトリックスであってもよいし、放射線、紫外線、光線、ほとんどの工業溶媒(たとえば、ミネラルターペン、灯油、ガソリン、洗浄剤、ペイントシンナーなど)に対して耐性のある他の好適な非腐食性、非毒性の可撓性材料であってもよい。
【0034】
織布ブランケットまたはスパンボンド層のような不織布ブランケットを使用する場合、織布中の繊維間の間隙は、一般的には0.3mm〜3.0mm、好ましくは0.6mm〜3.0mmである。バットなどを使用する場合、0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmの直径を有する狭い間隔で並んだ「粒子孔」27のマトリックスを、バットを貫通するようにパンチングしうる。
【0035】
接着材または任意の他の好適な手段によりブランケットの一方の側に固定されているのは、建築紙バッキング層12である。その層に固定されているのは、紙の層18を挟む2層の金属反射フォイル16および20を含むフォイル多層である。他の実施形態では、フォイル多層を単層の金属反射フォイルで置き換えてもよく、図2に示されるように、建築紙バッキング層およびフォイル多層を単一の強靭な金属反射フォイル層20で置き換えてもよい。
【0036】
接着材の層22がフォイル層20の反対側の面にコーティングされ、これは剥離保護バッキング層24により保護される。
【0037】
図1およびとくに図1aを参照して説明する。層12、16、18、20、22、および24を貫通するように、長方形または正方形パターンまたはグリッド状のブリスター孔29がパンチングされている。孔は、剥離層24を貫通して延在する必要はないが、典型的には貫通して延在する。孔の直径Dは、一般的には0.5mm〜10mmであるが、好ましくは1mm〜5mmである。一般的には、孔の間隔は10mm〜300mmでありうるが、ブリスター孔の好ましい間隔は10mm〜50mmである。孔は、被覆材の施用時に空気の逃散を可能にし、隣接する被覆材層に整合するように現場でカットするための経済的な案内線を孔間に提供する。
【0038】
図2は、他の実施形態の被覆材10aを示している。この実施形態では、ブランケット12は、接着材または他の好適な手段により単一の強靭な金属反射フォイル層26に付着され、壁被覆材の裏面は、剥離保護層により被覆された接着材の層22でコーティングされる。ただし、図2においては、この剥離保護層は示されておらず、図2は、剥離保護層を除去した後に壁に付着させた被覆材を示している。
【0039】
第1の使用では、図1および2の被覆材は、「修繕の得意な人(handy-person)」、日曜大工愛好家、および技能を持たない人により、建築物および他の構造物の比較的凹凸のある施工不良の壁表面28に施用可能である。剥離保護層を除去し、被覆材を壁に簡単に貼り付けることができる。被覆材は、亀裂および起伏を被覆する。
【0040】
しかしながら、施工不良の壁表面に被覆材を施用可能であるとは言え、グリースや塩を有していない少なくとも清浄表面を提供することが好ましい。最良の結果を得るために、表面を前処理して清浄表面を生成させれば、被覆材の接着材22による欠陥のない強力な結合が形成される。好ましくは、煉瓦間の亀裂や継目のような既存の間隙および亀裂が充填される。被覆材は、壁紙と同じように壁に施すことが可能である。当接した壁被覆材シートの縁は、壁に適用した後で、織り合わせたりまたは他の方法で連結一体化させたりすることが可能である。これを達成する一方法は、外側ブランケットを金属反射フォイル層/建築紙よりも4mm広幅にして両サイドが2mmずつ重なり合うようにすることである。重なりはブランケット繊維の絡み合い(intertwining)を提供し、これはブランケットを表面に施した後で一緒に梳かすことができる。輸送時および取扱い時、この重なりにより被覆材が保護される。補修作業(patching up work)などのために、任意の切れ端(off-cuts)を使用しうる。
【0041】
次に、アクリル系レンダーペイントのようなレンダーペイントの形態の保護コーティングを、ブラシまたはローラーまたはスプレーノズルで施す。アクリル系レンダーペイントは、セメントと砂とアクリル系ポリマーとの比較的濃厚な混合物を含む。セメントおよび砂は、レンダー中に「粘り」を提供し、人々がレンダーを施すことにより外表面の外観を変化させたり、風雨に対する保護を提供したり、コーティング全体に色を提供するためのビヒクルを提供したりすることができる。アクリル系ポリマーは、一種の「グルー」として作用し、レンダーを一緒に固めるのを支援する。典型的には、アクリル系レンダー中の砂/セメント粒子は、0.06mm〜0.2mmの直径を有する。粗い砂およびセメントの粒子は、壁の表面までブランケットの繊維間の間隙またはバット中の孔に浸透し、アクリル系レンダーペイントと一緒になって、ブランケットをアクリル系レンダーペイントで飽和させる。ブランケットはまた、レンダーペイントでコーティングされると平らな表面を提供し、下に位置する壁の欠陥を覆い隠す。
【0042】
ブランケットの孔は、ブランケットから水を容易に排出できるようにしかもレンダーを施す過程でアクリル系レンダーペイントのより粗い材料がブランケットを貫通して比較的自由に流動できるように十分に大きくなければならない。
【0043】
コーティングは、間欠的に施してもよく、被覆材を壁に施した直後に施す必要はない。なぜなら、被覆材は、水を排出させることが可能であり、しかも被覆材は、短期間、典型的には約7日間、耐候性をもつからである。
【0044】
壁に使用する場合、被覆材10aは、好ましくは2〜20mmの厚さを有し、最も好ましくは2〜5mmの厚さであり、ブランケット中の間隙は、0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmである。
【0045】
ブランケットは、壁の起伏および亀裂を被覆し、最小限の労力で平滑な外壁表面を提供する。
【0046】
図3は、5mm〜20mm、最も好ましくは5mm〜10mmの幅を有する正方形の開口(ただし、他の形状であってもよい)がグリッド状に形成された繊維ストランドのメッシュ30を布層が含むさらなる実施形態を示している。図3aは、メッシュ30の平面図である。金属反射フォイルよりなる支持体層32が、メッシュに固定されている。フォイルは、剥離保護層34により保護された接着剤層33でコーティングされている。それほど好ましくはない一実施形態では、フォイルを建築紙のような強靭な紙で置き換えることが可能である。この場合にも、ブリスター孔29は、層32、33、34を貫通して延在する。
【0047】
被覆材を壁に施して、アクリル系レンダーペイントのようなレンダーペイントでコーティングすることが可能である。5mm〜10mmのサイズの開口を有するメッシュは、それほど費用のかからないアクリル系レンダーペイントを必要とする。10mm〜20mmの開口を有するメッシュは、より費用のかかるアクリル系レンダーを必要とする。
【0048】
図5〜7は、図2および3の被覆材の他の使用を示している。
【0049】
とくに、図5は、コンクリートスラブ、または木材、合板、もしくはパーティクルボードの床でありうる床50に施された被覆材10aを示している。剥離層24が除去され、フォイル26は床の表面に貼り付けられている。次に、ブランケットの上面を覆うように床表面材が施される。床表面材は、タイル52でありうる。その場合、タイルは、ブランケットに施されたタイルセメントまたはグラウトの層54に貼り付けられ、タイルセメントまたはグラウトの層54はブランケットによって吸収されフォイル層に浸透する。他の選択肢として、木材床表面(図示せず)を提供する場合、木材表面材は、ブランケットの表面上にいくらかのグルーを残存させてブランケットにプレスされた接着材上に施される。表面グルーは、グルーを吸収してそれで含浸された状態になる木材床材への接着を提供し、提案された床材を支持しかつそれに接着する可撓性ゲルを形成する。被覆材は、床の欠陥を被覆しかつタイル/木材を適用するための平滑表面を提供するだけでなく、実質的に改善された断熱および防音をも提供する。床に使用する場合、被覆材10aは、2〜10mmの好ましい厚さを有し、最も好ましくは2〜5mmの厚さであり、ブランケットの間隙は、0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmである。
【0050】
図3のメッシュは、以上に記載した被覆材10aのときと同様に床に施すことができる。図3のメッシュを床に施す場合、ストランド間の間隔は、5mm〜20mm、好ましくは5mm〜10mmである。メッシュの厚さは、1mm〜4mm、最も好ましくは1mm〜2mmである。
【0051】
図6は、典型的には石膏ボードなどでありうる天井60に施された被覆材10aを示している。この場合にも、剥離層が除去され、被覆材は天井に単純に貼り付けられている。被覆材は、いかなる亀裂または孔をも被覆する。次に、ブランケットは、典型的には、アクリル系レンダーペイントではなくアクリル系ペイントまたは他のペイント62で塗装される。金属反射フォイル層およびブランケットは、断熱を提供し、ブランケットは、防音を提供する。天井に使用する場合、被覆材10aは、好ましくは2〜10mmの厚さを有し、最も好ましくは2〜5mmの厚さであり、ブランケットの間隙は、0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmである。
【0052】
図3のメッシュは、以上に記載した被覆材10aと同様に天井に施すことができる。図3のメッシュを天井に施す場合、ストランド間の間隔は、5mm〜20mm、好ましくは5mm〜10mmである。メッシュの厚さは、1mm〜4mm、最も好ましくは1mm〜2mmである。
【0053】
図7は、屋根構造物に対するラップ材としての被覆材10aのさらに他の使用を示している。屋根構造物は、記載の実施形態では、屋根の外側構造要素70、典型的には、フィブロシート(fibro sheet)または合板シートであるが、垂木であってもよいし、タイル、波形鋼板、または他の外部屋根クラッド材72を施す前の他の屋根部材または構造物であってもよい。被覆材10aは、自己接着層26を用いて迅速かつ安全に平面状ベースに施すことができる。ブランケット層は、外部屋根クラッド材72を被覆材に接着させるために使用される接着材を吸着する。ネジなどを用いて外部屋根クラッド材をベース層に固定することも可能である。ブランケットおよびフォイルは、防音および断熱を提供する。天井に使用する場合、被覆材10aは、好ましくは2〜20mmの厚さを有し、最も好ましくは5〜10mmの厚さであり、ブランケットの間隙は、0.3mm〜3mm、最も好ましくは0.6mm〜3mmである。
【0054】
図3のメッシュは、以上に記載した被覆材10aと同様に屋根に施すことができる。図3のメッシュを屋根に施す場合、ストランド間の間隔は、5mm〜20mm、好ましくは5mm〜10mmである。メッシュの厚さは、1mm〜4mm、最も好ましくは1mm〜2mmである。
【0055】
当業者であればわかるであろうが、広義に記述された本発明の精神または範囲から逸脱することなく特定の実施形態に示された本発明に多くの変更および/または修正を加えることが可能である。したがって、本発明の実施形態は、いかなる点においても、例示的なものであって限定的なものではないとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】被覆材/ラップ材の第1の実施形態を示す図である。
【図1a】図1の実施形態の平面図である。
【図2】壁に施された被覆材/ラップ材の第2の実施形態(第1の実施形態の変形形態)を示す図である。
【図3】被覆材/ラップ材の第3の実施形態を示す図である。
【図3a】図3の実施形態の平面図である。
【図4】建築物の壁に施された第3の実施形態を示す図である。
【図5】床に施された第2の実施形態を示す図である。
【図6】天井に施された第2の実施形態を示す図である。
【図7】屋根に施された第2の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に可撓性布層を施す工程と、
該布層に1つ以上のコーティングを施す工程と
を含み、
該布層が、
繊維ストランドから織布または不織布として作製された、2mm〜20mmの厚さを有するブランケットであって、ストランド間もしくは該ブランケット中に間隙が規定されているか、またはパンチングされた貫通孔を有するバットの形態であるブランケット、および
メッシュのストランドの間隔が5mm〜20mmである可撓性メッシュ層
よりなる群から選択される、
壁、床、屋根、または天井の処理方法。
【請求項2】
前記布層が、2mm〜5mmの範囲の厚さを有するブランケットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブランケットが織布の形態であり、かつ前記ブランケット中の隣接した繊維間の間隙が0.3mm〜3mmの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブランケットが不織布であり、かつ0.3mm〜3mmの直径を有する孔が、前記ブランケットの厚さ方向に貫通している、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ブランケットが、バットであるかまたはスパンボンドされたものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ブランケットが壁に施され、かつ前記コーティングが、ブラシ、ローラー、またはスプレーガンなどにより施されるレンダーペイントである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記レンダーペイントが、セメント粒子および/または砂粒子とアクリル系ポリマーバインダーとを含み、前記ブランケットがアクリル系レンダーペイントで飽和されるように該砂粒子および該セメント粒子が前記壁の表面まで前記ブランケットの繊維間の間隙または前記ブランケットの孔内に浸透している、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記布層が、厚さ2〜10mm、最も好ましくは厚さ2〜5mmのブランケットであり、かつ天井に施され、前記コーティングが、ブラシ、ローラー、またはスプレーガンなどにより施されるペイントである、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブランケットが、床に施され、かつ厚さ2〜5mmを有し、前記コーティングが、接着材、グラウト、またはセメントなどであり、該接着材、該グラウト、または該セメントなどの上に床表面材を施す工程を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
織布または不織布の前記ブランケットが弾性かつ伸縮性である、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記布層を補強するために金属反射フォイルバッキング層が設けられている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属反射フォイル層が接着材の層でコーティングされており、かつ該接着剤の層が、壁、天井、屋根、または床に前記被覆材を施す前に除去しうる保護用剥離層で被覆されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ブランケットの繊維が、耐食性、疎水性、かつ耐u/v性である、請求項2〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
建築物または他の構造物に施すための、布層を含む多層被覆材であって、
該布層が、
繊維またはストランドから作製された、2mm〜20mmの厚さを有する伸縮性の強靭な織布または不織布ブランケットであって、該ブランケットの繊維間の間隙が0.3mm〜3.0mmの範囲で規定されているかまたは該ブランケットに0.3mm〜3.0mmの直径を有する孔が規定されているブランケット、および
ストランド間の間隔が5mm〜20mmである可撓性メッシュ層
よりなる群から選択され、
さらに、
該布層に固定されたバッキング層、および
除去可能な剥離層により被覆された、該バッキング層をコーティングしている接着材の層
を含む、上記多層被覆材。
【請求項15】
前記布層が、2mm〜5mmの厚さのブランケットである、請求項14に記載の多層被覆材。
【請求項16】
前記バッキング層がフォイル層である、請求項14または15に記載の多層被覆材。
【請求項17】
前記ブランケットが、ガラス繊維またはPET繊維のようなプラスチック材料から作製されている、請求項15または16に記載の多層被覆材。
【請求項18】
前記ブランケットが織布であり、かつ織布の繊維間に0.3mm〜3mmの間隙を規定している、請求項15〜17のいずれか1項に記載の多層被覆材。
【請求項19】
前記ブランケットがバットであるかまたはスパン織成されたものであり、かつ0.3mm〜3mmの直径を有する一連の孔がバットを貫通している、請求項15〜17のいずれか1項に記載の多層被覆材。
【請求項20】
ストランド間の間隔が3mm〜20mmである可撓性メッシュ層、フォイルバッキング層、該フォイル層にコーティングされた接着材層、および該接着材層を被覆している除去可能な保護層を含む多層材料を、壁、天井、または床に施す工程と、
ブランケットに1つ以上のコーティングを施す工程と
を含む、壁、天井、屋根、または床の処理方法。
【請求項21】
コーティングを施す前記工程が、1層以上のアクリル系レンダーペイント層を施すことを含む、請求項20に記載の壁、天井、屋根、または床の処理方法。
【請求項22】
隣接したストランド間の間隔が3mm〜20mmであるグリッドを規定している可撓性メッシュ層、および
該メッシュに固定された金属反射フォイルバッキング層
を含み、
該バッキング層が、剥離保護層で被覆された接着材でコーティングされている、多層被覆材。
【請求項23】
前記メッシュの隣接したストランド間の間隔が3mm〜10mmである、請求項22に記載の多層被覆材。
【請求項24】
前記メッシュ層が、1〜4mm、最も好ましくは1〜2mmの厚さを有する、請求項22または23に記載の多層被覆材。
【請求項25】
繊維から作製された、1mm〜20mmの厚さを有する伸縮性の強靭な織布または不織布ブランケットであって、該ブランケットの隣接した繊維間の間隙が0.3mm〜3mmの範囲であるかまたは0.3mm〜3mmの直径を有する孔が該ブランケットの厚さ方向に貫通しているブランケット
を含む、建築物または他の構造物などに施すための被覆材。
【請求項26】
前記ブランケットが屋根に施され、かつ前記コーティングが接着材である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記ブランケットが床に施され、かつ前記コーティングが、タイルセメント、グラウト、または接着材である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
壁、床、屋根、または天井に可撓性ブランケット層を施す工程と、
該ブランケットに1つ以上のコーティングを施す工程と
を含み、
該ブランケットが、2mm〜20mmの厚さを有し、かつ繊維ストランドから織布または不織布として作製されており、かつストランド間もしくはブランケット中に間隙が規定されているか、または貫通孔を有するバットの形態である、
壁、床、屋根、または天井の被覆方法。
【請求項29】
建築物または他の構造物などに施すための、ブランケットを含む被覆材であって、
繊維またはストランドから作製された、2mm〜20mmの厚さを有する伸縮性の強靭な織布または不織布ブランケットであって、該ブランケットの繊維間の間隙が0.3mm〜3.0mmの範囲で規定されているかまたは該ブランケットに0.3mm〜3.0mmの直径を有する孔が規定されているブランケット、
該ブランケットに固定されたバッキング層、および
除去可能な剥離層により被覆された、該バッキング層をコーティングしている接着材の層
を含む、上記被覆材。
【請求項30】
層に貫通孔のグリッドが規定されており、該孔が、0.5mm〜10mm、好ましくは0.6mm〜5mmの直径を有し、かつ該孔の間隔が、10mm〜300mm、好ましくは10mm〜50mmである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の壁、床、屋根、または天井の処理方法。
【請求項31】
層に貫通孔のグリッドが規定されており、該孔が、0.5mm〜10mm、好ましくは0.6mm〜5mmの直径を有し、かつ該孔の間隔が、10mm〜300mm、好ましくは10mm〜50mmである、請求項14〜24のいずれか1項に記載の多層被覆材。
【請求項32】
前記布層が、1mm〜4mm、最も好ましくは2mm〜4mmの厚さを有するメッシュである、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記布層が、1mm〜4mm、最も好ましくは2mm〜4mmの厚さを有するメッシュである、請求項14に記載の多層被覆材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−538175(P2007−538175A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515561(P2006−515561)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000887
【国際公開番号】WO2005/003486
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506000519)
【Fターム(参考)】