説明

多形態型スプライスホルダ

【課題】光ファイバハードウェア及び機器内で光ファイバ相互間のスプライス接続部を管理すると共に収納するスプライスホルダが提供される。
【解決手段】スプライスホルダ(206a)は、ベース部分(1001)及びベース部分から延びるスプライス保持用仕切り(1002)のアレイを有する。スプライス保持用仕切りアレイは、第1及び第2のスプライスコンポーネントを第1及び第2の方向に沿ってそれぞれ受け入れる複数個のロウ(1006)及び複数個のコラム(1004)を画定する。選択された対をなすスプライス保持用仕切りは、コラム幅及びロウ幅を定める。コラム幅は、複数個のロウの1つに沿って差し向けられた場合ではなく、複数個のコラムの1つに沿って差し向けられた場合の第2のスプライスコンポーネントを受け入れるようロウ幅よりも十分に大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、スプライスホルダ、詳細には、多種多様な形態で利用できるスプライスホルダの実施形態に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2010年4月30日に出願された米国特許仮出願第61/330,172号(発明の名称:FIBER OPTIC SPLICE HOLDER )及び2010年11月30日に出願された米国特許出願第12/956,509号の優先権主張出願である。本願は又、2010年11月30日に出願された米国特許出願第12/956,446号(発明の名称:Module with Adapter Side Entry Opening)及び同日出願の米国特許出願第12/956,475号(発明の名称:Multi-Layer Module)に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光ファイバ及び他のケーブル布設では、光ファイバアダプタを利用するために現場ファイバをスプライス接続(永久接続)することが望ましい場合が多い。したがって、多心ケーブルをスプライスモジュールまで引き回す場合がある。スプライスモジュールは、現場ファイバと光ファイバ(例えば、ピグテールファイバ)のスプライス接続を容易にすると共に多心ケーブルからの余長を収納するよう構成されている場合がある。しかしながら、光ファイバケーブルは、スプライスモジュール内で乱雑になると共に/或いはもつれ状態になる場合が多く、その結果、多心ケーブルに関するメンテナンス及び/又はスプライス接続が困難になる場合がある。さらに、メンテナンスが必要な場合、スプライスモジュールは、所望のメンテナンスを実施するよう適度の余長を収納することができない場合が多い。
【0004】
さらに、布設及び/又はメンテナンス中、現場技術者がケーブル形態を分析するまでは単心のスプライス接続(メカニカルスプライス)を利用するか、多心一括の融着接続を利用するかを断定できない場合がある。したがって、現場技術者は、多くの種類のスプライスモジュール及び/又はスプライスホルダを現場まで持ち運ばざるを得ない場合がある。同様に、スプライスモジュール接続が個々の単心スプライス接続から多心一括スプライス接続に切り換えられるべき状況では、現場技術者は、現行のスプライスモジュールを切り離し、これに代えて新たな接続に適合したスプライスモジュールを用いざるを得ない場合がある。
【0005】
同様に、場合によっては、スプライスモジュールは、アダプタが通信ラックの前側開口部中に向いた状態でモジュール受入れ装置、例えば通信ラック又はこれに類似した他の構造体内に設けられる場合がある。現行のスプライスモジュールは、多心ケーブルをスプライスモジュールまで挿通させる後側導入開口部を有しているので、スプライスモジュールへのアクセスは、困難な場合がある。さらに、このような形態は、現場技術者が通信ラックの狭い領域内で所望の手順を実施することができないので、布設及び/又はメンテナンスが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
光ファイバハードウェア及び機器内で光ファイバ相互間のスプライス接続部を管理すると共に収納するスプライスホルダが提供される。スプライスホルダは、ベース部分と、ベース部分から延びるスプライス保持用仕切りのアレイとを有する。スプライス保持用仕切りのアレイは、それぞれの第1のスプライスコンポーネントを第1の方向に沿って受け入れる複数個のロウ及び複数個のロウと交差していて、第2のスプライスコンポーネントを第2の方向に受け入れる複数個のコラムを画定する。同様に、幾つかの実施形態では、選択された対をなすスプライス保持用仕切りは、コラムの幅を定め、選択された対をなすスプライス保持用仕切りは、ロウの幅を定める。さらに、幾つかの実施形態では、多心一括融着接続コラム幅は、複数個の多心一括融着接続コラムの1つに沿って差し向けられた多心一括融着接続コンポーネントを受け入れるようロウ幅よりも十分に大きく、多心一括融着接続コンポーネントは、複数個のファイバロウの1つに沿って差し向けられた場合には受け入れられない。
【0007】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載されており、一部は、このような説明から当業者には容易に明らかであり、或いは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲並びに添付の図面を含む明細書において開示する実施形態を実施することによって認識されよう。
【0008】
上述の概要説明と以下の詳細な説明の両方は、種々の実施形態に関しており、クレーム請求された発明の性質及び性格を理解するための概観又は枠組を提供するようになっている。添付の図面は、種々の実施形態の一層の理解のために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部をなす。図面は、本明細書において説明する種々の実施形態を示しており、詳細な説明と一緒になって、クレーム請求された本発明の原理及び作用を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実質的に半透明のカバーが閉鎖位置にある状態の多層スプライスモジュールを示しており、多層スプライスモジュールの内部構造を見ることができるようにする図である。
【図2】多層スプライスモジュールを示す図であり、光ケーブル、例えば多心ケーブルの引き回し及び収納のための3つの層を更に示す図である。
【図3】多心アダプタを示す多層スプライスモジュールの正面図である。
【図4】多層スプライスモジュールの一部分の斜視図である。
【図5】多心ケーブルが収納された状態の多心ケーブル収納層の別の斜視図である。
【図6】カバーが開放位置にある状態のスプライス収納層の斜視図であり、スプライスによって引き回しケーブルに沿ってアダプタプレートに固定されたデュプレックスアダプタを示す図である。
【図7】ケーブルが省かれた状態のスプライス収納層の別の斜視図である。
【図8】スプライス収納層の別の部分組立て分解斜視図であり、スプライスホルダの利用の仕方を更に示す図である。
【図9】スプライスホルダ受座内に位置した図8のスプライスホルダを示す図である。
【図10A】図8及び図9のスプライスホルダの詳細斜視図である。
【図10B】図8及び図9のスプライスホルダの平面図である。
【図10C】図8及び図9のスプライスホルダの側面図である。
【図10D】スプライスホルダの側面図であり、図8及び図9の多心一括融着コラムを更に示す図である。
【図10E】別のスプライスホルダの底面図であり、底部に設けられたアンカータブを更に示す図である。
【図11】単心スプライス接続コンポーネントが収納されたスプライスホルダを示す図である。
【図12】スプライスホルダの移行ボックス領域中に挿入されたリボンケーブルボックスを備えたスプライスホルダを示す図である。
【図13】カバー及びヒンジ式セパレータがピグテール収納層を更に示すために開放位置にある状態の多層スプライスモジュールを示す図である。
【図14】カバー及びヒンジ式セパレータが省かれた状態のピグテール収納層を示す図であり、半径制限固定機構体を更に示す図である。
【図15】ピグテール収納層の一部分を示す図であり、アダプタプレートの取り外し方を更に示す図である。
【図16】多層スプライスモジュールの一部分を示す図であり、側部に設けられた取付け軌道を更に示す図である。
【図17】多層スプライスモジュールを受け入れるための通信ハウジングの環境斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照すると、図1は、本明細書において開示する実施形態としての多層モジュール100を示している。図示のように、多層モジュール100は、1対の大きい(広い)ほうの面の一方に設けられたヒンジ式カバー102に結合されたハウジング及びアダプタ用開口部で多層モジュール100に着脱可能に結合されたアダプタプレート104を有しており、アダプタ用開口部及びアダプタプレートは、ひとまとまりで、モジュールハウジングのアダプタプレート領域を構成している。大きいほうの面に設けられたカバーは、閉鎖されたフレーム構造をもたらすが、特定の実施形態に応じて、多層スプライスモジュールは、開放又は閉鎖フレーム構造を有して良い。図示のように、ヒンジ式カバー102は、ユーザがヒンジ式カバー102を開く必要なく多層モジュール100の内部を見ることができるように実質的に半透明であるのが良い。さらに、ヒンジ式カバー102は、開放位置及び/閉鎖位置を提供することができる。開放位置では、ヒンジカバー102は、スプライス収納層204へのアクセスを可能にする。しかしながら、閉鎖位置では、ヒンジ式カバー102は、スプライス収納層204の少なくとも一部分を覆う。また、さらに、本発明の説明及び定義の目的上、「実質的に半透明」という表現は、内部のコンポーネント又は素子の少なくとも一部を見ることができるよう光を通すことができるコンポーネントを形容するために用いられている。さらに、本明細書は、多層モジュール100について説明するが、光ファイバを収納する他形式のカセットも又、本発明の範囲に含まれる。
【0011】
現場で完全に組み立てられて布設される場合、アダプタプレート104は、多層モジュール100内のそれぞれのコネクタに接続される複数個のアダプタを有するが、これは、例示に過ぎない。詳細に説明すると、幾つかの実施形態では、コネクタを省くことができ且つ/或いは設けられなくても良い。同様に、アダプタプレート104は、任意適当な様式のアダプタ、例えば単心アダプタ(例えば、LC及びSC)、デュプレックスアダプタ(例えば、LC)、多心アダプタ(例えば、MT)及び/又は互いに組み合わされるアダプタに対応するよう構成可能である。
【0012】
図2は、多層モジュール100を示しており、更に、本明細書において開示する実施形態としての光ケーブル、例えば多心ケーブルの収納のための3つの層を示している。図示のように、多心ケーブル収納層202が多層モジュール100の一部として設けられるのが良い。また、スプライス収納層204が設けられ、このスプライス収納層は、スプライスホルダ206a及び余長収納領域206bを有している。スプライス収納層204は、多心ケーブル収納層202とは別個である。また、ピグテール収納層208が設けられ、このピグテール収納層は、これがアダプタプレート104の後側と連絡関係をなすように配置されている。ピグテール収納層も又、多心ケーブル収納層202及びスプライス収納層204の両方とは別個である。アダプタプレート104は、以下に詳細に説明するように1本又は2本以上のピグテールファイバにそれぞれ結合された1つ又は2つ以上のアダプタを有するのが良い。また、図示のように、ピグテール収納層208は、アダプタプレートのところに、多層モジュール100全体としての厚さに等しい厚さを有している。さらに、ピグテール収納層208は、多層モジュール100の厚み内にスプライス収納層204及び多心ケーブル収納層202に対応するよう減少した層厚さのところまで内方にテーパしている。図示のように、これら層は、ピグテール収納層208の一部分が多心ケーブル収納層202とスプライス収納層204との間の(即ち、これらの間に設けられた)介在空間内に位置するようオフセットした状態で配置されている。
【0013】
開示する実施形態を説明すると共に定義する目的上、モジュール層は、モジュールの1つ又は2つ以上の介在構造部材が層の1つの中に少なくとも部分的にファイバ又はケーブルを収容するのに役立つ場合、別のモジュール層「とは別個(又は別体)」である。図2の実施形態は、一定厚さの多層モジュール100を示しているが、これは、例示に過ぎず、開示する技術的思想に従って他の構成の採用が可能である。詳細に説明すると、幾つかの実施形態では、多層スプライスモジュールは、可変厚さを備えるよう構成される。図2に示されているように、ピグテール収納層208は、底部と頂部で多心ケーブル収納層202及びスプライス収納層204を対応するよう小さな高さまでテーパしている。さらに、幾つかの実施形態では、多心ケーブル収納層202及びスプライス収納層204は、アダプタプレート104まで延びることがない。
【0014】
図3は、本明細書において開示する実施形態としての多層モジュール100の正面図である。図示のように、多層モジュール100は、多心ケーブルを受け入れる前方ケーブル導入開口部302a,302bを有している。前方ケーブル導入開口部302a,302bは、ケーブル/ファイバ導入及び/又は導出のための形状が任意適当なものであって良く、例えば、全体として丸形、長方形、長円形及び/又は他の適当な形状のものであって良い。さらに、幾つかの実施形態では、前方ケーブル導入開口部302a,302bは、アダプタ側部のエッジに、即ち、モジュールハウジングの1対の大きいほうの面の1つとモジュールハウジングのアダプタの側部の交差部のところに構成されたハウジングエッジでモジュールハウジングのアダプタ側部に設けられるのが良く、その結果、前方ケーブル導入開口部は、横方向に装入される多心ケーブルを受け入れる部分開放周囲を有するようになっている。本発明を説明すると共にこれを定義する目的上、「横方向に装入される」ケーブルは、頭を先にして開口部の中心軸線に沿って通すやり方とは対照的に、ケーブルの自由端部をケーブル開口部中に通す必要なく、ケーブル開口部の周囲からケーブル開口部の中心に向かって側方にケーブル開口部中に導入される。さらに、前方ケーブル導入開口部302a,302bは、多心ケーブルとの摩擦接続を容易にする所与の範囲の寸法を有するのが良い。
【0015】
また、アダプタプレート104が設けられており、このアダプタプレートは、1つ又は2つ以上のアダプタ304を受け入れるよう構成されている。アダプタプレート104は、アダプタプレート104を多層モジュール100から取り外すための解除コンポーネント306a,306bを更に有している。解除コンポーネント306a,306bは、多層モジュール100に設けられた対応のアダプタプレート開口部(図4参照)と相互作用するよう構成されているのが良い。また、複数の取付け軌道、例えば多層モジュール100を取り付けるための取付け軌道308a,308bが多層モジュール100に設けられており、これら取付け軌道は、多層モジュール100の小さい(狭い)ほうの面にそれぞれ設けられており、これについては以下に詳細に説明する。
【0016】
前方ケーブル導入開口部302a,302bは、多心ケーブルスプライスモジュールとの関連で示されているが、これは例示に過ぎない。詳細に説明すると、前方ケーブル導入開口部302a,302bを用いる技術的思想は、作業者が使用の融通性を高めることができる任意適当なモジュールに具体化可能である。換言すると、前方ケーブル導入開口部を設けることにより、作業者は、多種多様な取付け構成を使用することができる。というのは、ケーブル/ファイバは、種々の場所からモジュールに入ることができ、それにより、締結具を用いた壁へのモジュールの取付けによって典型的なハウジング構造に勝るモジュールの使用が可能になるからである。さらに、前方ケーブル導入開口部を備えたモジュールは、ケーブル導入のために後部に従来型開口部を有することができる。
【0017】
図4は、本明細書において開示する実施形態としての多層モジュール100の1対の主要な、即ち大きいほうの面の別の面の斜視図である。図示のように、多層モジュール100は、大きいほうの面に設けられた開放フレーム構造を有し、この多層モジュールは、アダプタプレート104を受け入れてこれを着脱可能に固定するアダプタプレート開口部401a,401bを有している。また、前方ケーブル導入開口部302a,302bから多心ケーブルをそれぞれ受け入れる前方ケーブル軌道402a,402bが設けられている。多心ケーブルは、これら軌道から、受入れ開口部406a,406bまで引き回されるのが良い。受入れ開口部406a,406bは、ケーブル巻回構造体408と連絡状態にある。
【0018】
同様に、多心ケーブルを後側ケーブル導入開口部404a,404bの1つ又は2つ以上で多心スプライスモジュール100により受け入れることができる。多心ケーブルは、後側ケーブル導入開口部404a,404bから後側ケーブル軌道414a,414bを経て受入れ開口部406a,406bまで引き回されるのが良い。多心ケーブルが前方ケーブル導入開口部302a,302bで受け入れられるか或いは後側ケーブル導入開口部404a,404bで受け入れられるかとは無関係に、ケーブル巻回構造体408は、ケーブル巻回構造体408の周囲に巻き付け可能な多心ケーブルを受け入れることができる。詳細に説明すると、多心ケーブルは、1つ又は2つ以上のケーブル固定機構体410a〜410gによって取外し可能に固定可能である。さらに、ケーブル巻回構造体408は、複数個のケーブル引き回し経路変更壁412a,412bを有するのが良い。複数個のケーブル引き回し経路変更壁412a,412bは、多心ケーブルの巻回半径をもたらすよう丸形に形作られるのが良い。さらに、複数個のケーブル引き回し経路変更壁412a,412b相互間には、多心ケーブルの巻回方向に変更を容易にする引き回し経路変更通路が設けられている。
【0019】
開示する実施形態を説明すると共にこれを定義する目的上、「周囲」という用語は、或る領域の外側領域に沿って位置するコンポーネントを形容するために用いられている。同様に、開示する実施形態を説明すると共にこれを定義する目的上、本明細書において関連コンポーネントについて「〜間」に延びる構造的コンポーネントという表現は、本明細書においては、このようなコンポーネントが一方の関連コンポーネントから他方の関連コンポーネントまで延びることを必要とするように用いられているわけではない。さらに、コンポーネントは、一方のコンポーネントから他方のコンポーネントまでの経路の一部分に沿って延びるだけでも良い。例えば、モジュールハウジングのアダプタ側部及び後方側部は、モジュールハウジングの1対の大きいほうの面相互間に延びるものとして説明されるが、これら側部は、2つの面相互間の距離全体に及ぶ必要はない。図4の例では、多心ケーブル収納層202が開放フレーム構造を有し、カバーを備えていないが、これは、例示に過ぎない。詳細に説明すると、幾つかの実施形態では、図1のヒンジ式カバー102と同様なカバーが設けられても良い。
【0020】
図5は、多心ケーブル502を含む多心ケーブル収納層202の別の斜視図である。図示のように、多心ケーブル502は、後側ケーブル軌道414を通って後側ケーブル導入開口部404まで引き回されている。多心ケーブル502は、後側ケーブル軌道414からケーブル巻回構造体408まで引き回されてケーブル固定機構体410によって固定されるのが良い。多心ケーブル502をケーブル引き回し経路変更壁412a,412bにより引き回されると共に/或いは引き回し経路変更され、次に、受入れ開口部504を経てスプライス収納層204(図2)まで引き回されるのが良い。
【0021】
前方ケーブル軌道及び後側ケーブル軌道は、多方向半径制限ケーブル巻回構造体により定められる最小曲げ半径の上方に多心ケーブルを引き回すための任意の形態であって良いが、幾つかの実施形態では、これら軌道は、前側多心ケーブルチャネル及び後側多心ケーブルチャネルとして構成されても良い。
【0022】
図6は、本明細書において開示する実施形態としてのスプライス収納層204の斜視図である。図示のように、多心ケーブル502は、受入れ開口部504(図5)から、スプライス層受入れ開口部602で受け入れられるのが良い。多心ケーブル502は、スプライス層受入れ開口部602から余長収納領域206b中に引き回されるのが良い。詳細に説明すると、幾つかの実施形態では、多心ケーブル502は、個々の光ファイバに分離されるのが良く、個々の光ファイバは、スプライス収納層204の周囲に沿って引き回されるのが良い。個々の光ファイバは、1つ又は2つ以上のスプライス層固定機構体606a〜606fにより着脱可能に固定されるのが良い。個々の光ファイバは、更に、スプライスホルダ206aのところの光ファイバケーブル、例えばピグテールファイバにスプライス接続されるのが良い。光ファイバケーブルは、1本又は2本以上の光ファイバを収容するのが良く、次に、この光ファイバケーブルは、スプライス層受入れ開口部まで引き回されるのが良い。
【0023】
幾つかの実施形態では、多心ケーブル502は、引き回しのために個々の光ファイバに被覆除去されるのが良いが、これは必要条件ではない。一例を挙げると、多心ケーブルを個々の光ファイバに分離しないでスプライスホルダ206aまで引き回しても良く、或いは、光ファイバの1つ又は2つ以上の群をなして引き回されても良い。スプライスホルダ206aは、ベース部分から延びていて、それぞれの第1のスプライスコンポーネントを第1の方向に沿って受け入れる複数のロウ及びこれらロウと交差していて、第2のスプライスコンポーネントを第2の方向に沿って受け入れる複数のコラムを構成するスプライス保持用仕切りのアレイを有するという技術的思想を具体化した例示の実施形態である。さらに、コラム幅は、コラムの1つに沿って差し向けられた第2のスプライスコンポーネントを受け入れるようロウ幅よりも十分に大きく、第2のスプライスコンポーネントは、ロウの1つに沿って差し向けられた場合には受け入れられない。詳細な説明は、第1及び第2のスプライスコンポーネントを単心スプライス接続コンポーネント及び多心一括融着接続コンポーネントとしてそれぞれ説明しているが、スプライスホルダは、ロウの幅及びコラムの幅をそれに応じて調節することによりメカニカルスプライスコンポーネントのような他の適当なスプライスコンポーネント、例えばカム又は圧着スプライスコンポーネント向きに設計可能である。
【0024】
図7は、本明細書において開示する実施形態としてのスプライス収納層204の別の斜視図である。図示のように、スプライス収納層204は、スプライスホルダ206aを着脱可能に固定することができる。実施形態に応じて、スプライスホルダ206aは、当業者には知られているように、第1のスプライスコンポーネント、例えば単心スプライス接続コンポーネント706、第2のスプライスコンポーネント、例えば多心一括融着接続コンポーネント及び/又は他の類似のコンポーネントを着脱可能に固定するよう構成されるのが良い。さらに、図7には、スプライス層ヒンジ702及びスプライス層ラッチ704が示されている。詳細に説明すると、スプライス収納層204は、多層モジュール100に回動可能に取り付けられるのが良く、このスプライス収納層は、以下に詳細に説明するようにピグテール収納層208へのアクセスを可能にするようヒンジ式セパレータとして働く。
【0025】
図7は、多層モジュール100内に収容されたスプライスホルダ206aを示しているが、本明細書において開示する技術的思想に従って構成されたスプライスホルダは、所望に応じて他のモジュール又はハードウェアで使用できる。図8及び図9は、多心ケーブルを系統立てた仕方で受け入れると共にスプライス接続するスプライス接続モジュールに固定されたスプライスホルダ206aを示している。
【0026】
図8は、スプライス収納層204の別の斜視図であり、更に、スプライスホルダ206aの利用の仕方を示している。図示のように、スプライス収納層204は、スプライスホルダ受座800を有している。スプライスホルダ受座800は、スプライスホルダフットプリント領域802を備えるのが良く、このスプライスホルダフットプリント領域は、スプライスホルダ206aを受け入れる凹み領域として構成されるのが良い。スプライスホルダフットプリント領域802は、任意形状のものであって良いが、幾つかの実施形態では、形状が比較的正方形であり、スプライスホルダ206aとほぼ同一の寸法形状を備えている。したがって、スプライスホルダは、第1の向きに沿ってスプライスホルダフットプリント領域802中に挿入可能であると共に/或いは90°回転可能である。以下に詳細に説明するように、これにより、スプライスホルダは、少なくとも1つの単心スプライス接続コンポーネント(図7)を第1の向きに固定すると共に多心一括融着接続コンポーネントを第2の向きまで90°回転させた状態で固定することができる。
【0027】
スプライスホルダ206は、種々のスプライス収納構成の実現を種々の方向に可能にする任意適当な形状のものであって良い。一例を挙げると、スプライスホルダは、例えば円形、多角形、例えば五角形、六角形、七角形、八角形の形状のものであって良く且つ/或いは異なる形式のスプライス保持形態を具体化するよう所定の角度回転可能に構成されても良い。さらに、スプライスホルダの技術的思想では、任意適当な材料、例えば柔軟性又は硬質の材料の使用が可能である。同様に、スプライスホルダは、任意適当な取付け特徴部、例えば粘着テープ、摺動構造体、クリップ構造体等を有することができる。しかしながら、本明細書において開示するモジュールは、任意適当なスプライスホルダ及び関連のスプライスホルダ受座800、例えば回転可能であるようには構成されておらず、スプライスホルダを着脱可能に固定する任意の形状を取ることができるスプライスホルダを利用することができる。
【0028】
さらに、スプライスホルダ受座の一部として、隆起部分、例えば隆起部分804a,804bが設けられている。隆起部分804a,804bは、スプライス収納層204から延びてスプライスホルダ受座800内に配置されたときにスプライスホルダ206aを少なくとも部分的に包囲するのが良い。隆起部分804a,804bは、複数個の延長タブ810a〜810dと係合可能な延長部受入れ機構体808a〜808dを更に有するのが良い。
【0029】
図9は、図8のスプライスホルダ206aがスプライスホルダ受座800内に位置している状態を示している。図示のように、スプライスホルダ206aは、スプライスホルダ受座800内に着脱可能に固定可能であると共に複数の向きで固定されるよう構成されるのが良く、その結果、スプライスホルダ206aは、単心スプライス接続コンポーネント706及び/又は多心一括融着接続コンポーネントを固定することができるようになっている。
【0030】
図10Aは、スプライスホルダ206aの詳細斜視図である。図示のように、スプライスホルダ206aは、アレイ状に配置されたスプライス保持用仕切り1002に結合されたベース部分1001を有するのが良く、これらスプライス保持用仕切りは、ベース部分1001から延びていて、多心一括融着コラム(縦列)1004とファイバロウ(横列)1006の交差部のところに位置決めされている。スプライス保持用仕切り1002は、多心一括融着コラム1004及びファイバロウ1006を形成するよう形作られるのが良い。ファイバロウ1006は、第1の曲率半径を持つ(形状が丸形である場合)光ファイバスプライス接続コンポーネント受座で少なくとも1つの光ファイバスプライス接続コンポーネントを受け入れて着脱可能に固定するよう構成され、多心一括融着コラム1004は、第2の曲率半径を持つ(形状が丸形で或る場合)多心一括融着接続コンポーネントでより大きな多心一括融着接続コンポーネントを受け入れてこれらを着脱可能に固定するよう構成されている。また、図示のように、ファイバロウ1006は、ロウ形成表面部分を有し、このロウ形成表面部分は、隣接のスプライス保持用仕切り1002の相補関係をなすロウ形成表面部分に対向する。同様に、多心一括融着コラム1004は、コラム形成表面部分を有し、このコラム形成表面部分は、隣接のスプライス保持用仕切り1002の相補関係をなすコラム形成表面部分に対向する。
【0031】
また、スプライスホルダ206aには移行ボックス領域1004a及び移行ボックス領域1004b,1004cが設けられている。詳細に説明すると、移行ボックス領域1004aは、スプライス保持用仕切り1002のサブセットにより構成されるのが良く、この場合、スプライス保持用仕切りのサブセットの選択された対は、多心一括融着コラムの幅よりも大きな移行ボックス領域幅を定める対向した表面部分を有する。移行ボックス領域1004aは、多心一括融着接続ケーブルよりも幅の広いリボンケーブルを受け入れてこれを着脱可能に収納するよう構成されても良い。移行ボックス領域1004aは、スプライスホルダ206aの長さにわたって延びるのが良い。同様に、スプライス保持用仕切り1002のサブセットは、移行ボックスを受け入れてこれを着脱可能に固定する多心一括融着接続領域1004b,1004cを画定するよう構成されるのが良い。しかしながら、移行ボックス領域1004aは、スプライスホルダ206aの長さにわたって延びるが、移行ボックス領域1004b,1004cは、スプライスホルダ206aの長さの一部分にわたって延びても良い。それとは無関係に、幾つかの実施形態では、スプライス保持用仕切り1002のサブセットの選択された対は、多心一括融着コラムの幅よりも大きな移行ボックス領域幅を定める対向した表面部分を有する。
【0032】
また、図示のように、複数個の個々のスプライス保持用仕切り1002は、ファイバロウ及び多心一括融着コラムを横切って複数個の個々のスプライス保持用仕切りから延びるスプライス接続コンポーネント受座(例えば、多心一括スプライス接続コンポーネントを受座及び単心スプライス接続コンポーネント受座)を構成するようベース部分1001及び隣接のスプライス保持用仕切り1002と協働するのが良い。具体的に説明すると、図10Aに示されているように、コンポーネント受座は、隣り合うスプライス保持用仕切り1002相互間にベイスン(basin)を有するのが良い。ベイスンが丸形である実施形態では、コンポーネント受座は、単心スプライス接続コンポーネント又は多心一括融着接続コンポーネントの外径又は外周部と相補する曲率半径を定める。図10Aでは、スプライス接続コンポーネント受座は、形状が丸形であるが、単心スプライス接続コンポーネント706を着脱可能に固定するのに他の形状(例えば長方形、三角形等)も又利用できる。同様に、幾つかの実施形態では、隣り合うスプライス保持用仕切り1002は、多心一括融着接続コンポーネントを受け入れてこれを着脱可能に固定するベイスンを形成するよう形作られるのが良い。
【0033】
図10Bは、本明細書において開示する実施形態としてのスプライスホルダ206aの平面図である。図示のように、スプライス保持用仕切り1002、多心一括融着コラム1004及びファイバロウ106は、単心スライス接続コンポーネント706及び多心一括融着接続コンポーネントをそれぞれ固定するよう形作られるのが良い。これを行なう一機構体が図11に明確に示されており、図11は、ファイバロウがスプライス保持用仕切り1002の各々相互間の可変ファイバロウ幅を有する状態を示している。詳細に説明すると、ファイバロウは、ファイバスプライス接続コンポーネント706との摩擦連結を提供するようスプライス保持用仕切り1002相互間に弓形になっている。
【0034】
図10Cは、本明細書において開示する実施形態としてのスプライスホルダ206aの側面図であり、ファイバロウ1006を更に示している。図示のように、スプライス保持用仕切り1002は、丸形ベイスンを備えたファイバロウ1006を画定するのが良い。さらに、図10Cの実施形態は、実質的に互いに平行なスプライス保持用仕切り1002を示しているが、幾つかの実施形態では、スプライス保持用仕切りは、導入部分のところよりもベース部分ベイスンのところのほうが幅の狭い可変ファイバロウ幅を更にもたらすようテーパしている。これにより、ファイバスプライス接続コンポーネント706との摩擦連結が一層容易になる。
【0035】
図10Dは、本明細書において開示する実施形態としてのスプライスホルダ206aの側面図であり、多心一括融着コラム1004を更に示している。図示のように、幾つかの実施形態では、多心一括融着コラム1004も又、丸形ベイスンを有するのが良い。さらに、幾つかの実施形態では、多心一括融着幅(これは、隣り合うスプライス保持用仕切り1002によって定められる)は、一定であっても良く、他方、幾つかの実施形態では、スプライス保持用仕切り1002は、多心一括融着接続コンポーネントとの摩擦連結を一段と容易にするようベイスンのところよりも導入部分のほうのところが大きい可変多心一括融着コラム幅を提供するようテーパしていても良い。
【0036】
図10C及び図10Dの例示の実施形態は、ベース部分1001に結合される単一品として互いに形成されるものとしてスプライス保持用仕切りを示しているが、これは例示に過ぎない。詳細に説明すると、幾つかの実施形態では、スプライス保持用仕切り1002は、ベース部分1001に個々に連結されても良い。
【0037】
図10Eは、スプライスホルダ206aの変形例の底面図であり、底部のところに設けられた複数個のアンカータブ1020a,1020bを更に示している。図示のように、スプライスホルダ206aは、スプライスホルダ206aをスプライス収納層204に着脱可能に固定する1つ又は2つ以上のアンカータブ1020a,1020bを有するのが良い。アンカータブ1020a,1020bが図10Eに示されているように構成されているが、開示する多方向の技術的思想を利用してスプライスホルダ206aを着脱可能に固定するよう他の形態及び/又は構造、例えば、摺動構造体、ピン、穴、締結具等も又想定される。
【0038】
好ましい実施形態では、スプライスホルダ206aは、柔軟性材料、例えば柔軟性ゴム材料で作られている。本発明を説明すると共にこれを定義する目的上、本明細書で用いられる「柔軟性ゴム材料」という用語は、ゴムを含むと共に破断なく曲げ可能であり、その元の形態に迅速且つ容易に戻ることができる任意の材料を意味している。
【0039】
さらに、図10A〜図10Eには明示的には示されていないが、スプライスホルダ206aは、スプライス接続コンポーネントを一段と固定する機構体を有するのが良い。一例として、幾つかの実施形態では、スプライス接続コンポーネントがスプライスホルダ206aから不用意に外れるのを阻止するためにスプライス保持用仕切り1002のアレイの少なくとも一部分には切欠きが形成されるのが良い。同様に、幾つかの実施形態では、スプライスホルダの少なくとも一部分にカバーが設けられるのが良い。さらに幾つかの実施形態では、スプライス接続コンポーネントの不用意な取り外しを阻止するために隣り合うスプライス保持用仕切り1002にはクリップが取り付けられるのが良い。
【0040】
図11は、単心スプライス接続コンポーネント706を備えたスプライスホルダ206aを示している。図示のように、多心ケーブル502からのファイバ1102aは、単心スプライス接続コンポーネント706まで引き回されるのが良く、この単心スプライス接続コンポーネントは、光ファイバ1002b(例えば、ピグテールファイバ)とのスプライス接続を容易にすることができる。単心スプライス接続コンポーネント706は、摩擦連結方式によりスプライスホルダ206aに着脱可能に固定されると共にファイバロウ1004の1つを横切って差し向けられるのが良い。さらに、幾つかの実施形態では、スプライスホルダ206aは、単心スプライス接続コンポーネント706の頂部に積み重ねられた第2の単心スプライス接続コンポーネントを受け入れてこれを固定するような構造になっている。図11に示されているように、単心スプライス接続コンポーネント706がスプライスホルダ206aの所与の長さに沿って積み重ねられた場合、第2の単心スプライス接続コンポーネントは、単心スプライス接続コンポーネント706の頂部上にその長さに沿って積み重ねられるのが良い。
【0041】
図12は、移行ボックス領域1004a中に挿入されるリボンケーブルボックス1204を備えたスプライスホルダ206aを示している。図示のように、リボンケーブル1202aは、スプライス接続のためにリボンケーブルボックス1204まで送られる。さらに、複数本の光ファイバ1202bも又リボンボックス1024に結合される。上述したように、移行ボックス領域1004aは、摩擦連結方式を介してリボンケーブルボックス1204を着脱可能に固定されるよう構成されているのが良い。
【0042】
図13は、多層モジュール100を示しており、ピグテール収納層208を更に示している。図示のように、スプライスホルダ206a(図6、図11及び図12)内でスプライス接続された光ファイバは、スプライス収納層204からピグテール収納部1304を経てピグテール収納層208まで引き回されている。光ファイバ1306は、ピグテール収納受入れ開口部1304から、半径制限ハブ1310の周りに引き回されて複数個のピグテール収納層固定機構体1308a〜1308eによって着脱可能に固定されるのが良い。さらに、光ファイバ1306をアダプタ304に結合するのが良い。
【0043】
さらに、図13の例では、ヒンジ式セパレータ1302が設けられている。ヒンジ式セパレータ1302は、ヒンジ式カバー102がヒンジ止めされてヒンジ式カバー102を閉じたときに多層モジュール100内に嵌まり込むことができるのと同様に、多層モジュール100の反対側にヒンジ止めされるのが良い。さらに、ヒンジ止めセパレータ1302は、ピグテール収納層208へのアクセスを可能にする開放位置及びスプライス収納層204へのアクセスを可能にする閉鎖位置を提供することができる。詳細に説明すると、ヒンジ式カバー102は、開放縁部及び回動縁部を有するのが良く、この場合(図13に示されているように)、開放縁部は、多層モジュール100の後側に連結され、回動縁部は、多層スプライスモジュールのアダプタ側寄りに位置決めされている。図7に戻ってこれを参照すると、幾つかの実施形態では、スプライスホルダ206aは、ヒンジ式カバー102の開放縁部寄りに位置決めされている。
【0044】
同様に、ヒンジ式セパレータ1302は、ヒンジ式カバー102の対向した開放縁部及び回動縁部を有している。詳細に説明すると、図13に示されているように、ヒンジ式セパレータ1302は、多層モジュール100の後側寄りに位置するヒンジ止め縁部を有すると共に多層モジュール100のアダプタ側寄りに開放縁部を有するのが良い。
【0045】
図14は、ピグテール収納層208を示しており、半径制限固定機構体1402a〜1402dを更に示している。図示のように、光ファイバ1306は、スプライス収納層から受け入れられてピグテール収納領域周りに引き回され、次に、アダプタ304と連結可能にピグテール連結領域まで引き回されるのが良い。さらに、半径制限ハブ1310は、光ファイバの巻回半径を制限するよう構成されているのが良い。したがって、半径制限ハブ1310も又、アダプタプレート104を取り外したときに光ファイバ1306の運動を制限する半径制限固定機構体1402a〜1402dを更に有するのが良い。
【0046】
図15は、ピグテール収納層208を示しており、前側からのアダプタプレート104の取り外し方を更に示している。図示のように、アダプタプレート104の取り外し時、光ファイバ1306は、真っ直ぐにされ、それにより、余長がピグテール収納領域から除去される。したがって、半径制限ハブ1310及び半径制限固定機構体1402a〜1402dは、光ファイバ1306が巻回半径の制限による損傷を受けるのを阻止する。
【0047】
図16は、本明細書において開示する実施形態としての多層モジュール100の一部分を示しており、取付け軌道308a,308bを更に示している。図示のように、取付け軌道308a,308bは、多心スプライス接続モジュール100を収納固定する通信ハウジング等と係合することができる。さらに、取付け軌道308a,308bは、多層モジュール100を定位置に固定する複数個のそれぞれの固定ラッチ1604a,1604bを有するのが良い。多層モジュール100を通信ラックから引き出すためのプルタブ1602a,1602bも又設けられるのが良い。また、多層モジュール100を壁又は他の構造体に取り付けるための壁取付け開口部1606が設けられている。
【0048】
図17は、通信ハウジング1702を有する光ケーブルシステムを示しており、通信ハウジング1702は、多層モジュール100を通信ハウジング1702の前側に設けられている開口部内に挿入するようになっている。図示のように、取付け軌道308a,308bは、多層モジュール100を着脱可能に固定するよう通信ハウジング1702の対応の部分と係合するのが良い。詳細に説明すると、通信ハウジング1702は、取付け軌道302a,302bに着脱可能な固定形態を実現可能に係合する対応の軌道を備えるのが良い。上述したように、多層モジュール100は、プルタブ1602a,1602b(図16)を押すことにより着脱可能である。通信ハウジング1702が図17に示されているが、多層スプライスモジュール及び/又は少なくとも1つの他の取付け可能なモジュールを積み重ね可能な仕方で着脱可能に固定する他のモジュール受入れ装置も又利用でき、この場合、ラック取付け型光モジュールの1対の大きいほうの面は、少なくとも1つの他のラック取付け型モジュールの大きいほうの面に物理的に当てた状態に設けられる。モジュール100は、これが他の取付け構成を採用できる融通性を有しているので有利である。一例を挙げると、モジュール100は、図16に示されている十字形開口部(参照符号は付与されていない)を通る締結具を用いて取付け面に直接固定可能である。多数のケーブル導入場所を前側及び/又は後側に設けることと共にこの取付け上の融通性が得られることにより、作業者は、本明細書において開示したモジュールを従来型モジュールの場合のように取付け構成及び/又はケーブル導入が制限されるのではなく、多くの構成で使用することができる。
【0049】
本発明を説明すると共にこれを定義する目的上、「ラック取付け型光モジュール」という表現は、本明細書においては、通信ラック内に着脱可能に取り付け可能であるよう構成されていると共にラック内の類似のモジュールと比較的コンパクトな並置位置合わせ関係に適する、開いた又は閉じられた積み重ね可能な大きいほうの面を備える光ファイバモジュールを意味するために用いられている。「ラック取付け型光モジュール」という用語は、設計上、長期間にわたる屋外使用のために風雨に耐えるよう屋外向き防湿シールを備えた比較的嵩張った外部ハウジングを備えている屋外用スタンドアロン型クロージャと混同されるべきでない。
【0050】
当業者には明らかなように、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において説明した実施形態の種々の改造例及び変形例を想到できる。本明細書における説明は、本明細書において説明した種々の実施形態の改造例及び変形例に及ぶものである。ただし、このような改造例及び変形例が特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及びその均等範囲に属することを条件とする。
【符号の説明】
【0051】
100 多層モジュール
102 ヒンジ式カバー
104 アダプタプレート
202 多心ケーブル収納層
204 スプライス収納層
206a スプライスホルダ
206b 余長収納領域
208 ピグテール収納層
304 アダプタ
302a,302b 前方ケーブル導入開口部
306a,306b 解除コンポーネント
308a,308b 取付け軌道
401a,401b アダプタプレート開口部
402a,402b 前方ケーブル軌道
404a,404b 後側ケーブル導入開口部
406a,406b 受入れ開口部
408 ケーブル巻回構造体
410a〜410g ケーブル固定機構体
412a,412b ケーブル引き回し経路変更壁
414a,414b 後側ケーブル軌道
1002 スプライス保持用仕切り
1001 ベース部分
1002 スプライス保持用仕切り
1004 コラム
1006 ロウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプライスホルダであって、
ベース部分と、
前記ベース部分から延びるスプライス保持用仕切りのアレイと、を有し、
前記スプライス保持用仕切りのアレイは、それぞれの第1のスプライスコンポーネントを第1の方向に沿って受け入れる複数個のロウ及び前記複数個のロウと交差し、第2のスプライスコンポーネントを第2の方向に受け入れる複数個のコラムを画定し、
選択された対をなすスプライス保持用仕切りは、コラムの幅を定め、
選択された対をなすスプライス保持用仕切りは、ロウの幅を定め、
前記コラム幅は、複数個のコラムの1つに沿って差し向けられた第2のスプライスコンポーネントを受け入れるよう前記ロウ幅よりも十分に大きく、前記第2のスプライスコンポーネントは、前記複数個のロウの1つに沿って差し向けられた場合には受け入れられない、
ことを特徴とするスプライスホルダ。
【請求項2】
ロウとコラムの交差部に位置決めされた個々のスプライス保持用仕切りは、
隣接のスプライス保持用仕切りの相補ロウ形成表面部分に対向したロウ形成表面部分と、
隣接のスプライス保持用仕切りの相補コラム形成表面部分に対向したコラム形成表面部分を有する、
請求項1記載のスプライスホルダ。
【請求項3】
前記スプライス保持用仕切りの少なくとも幾つかは、以下の幅、即ち、可変コラム幅及び可変ロウ幅の少なくとも一方を定めるようテーパし、前記少なくとも一方は、前記スプライス保持用仕切りが前記ベース部分から延びる方向に沿って増大している、
請求項1又は2記載のスプライスホルダ。
【請求項4】
複数個の個々のスプライス保持用仕切りが、ロウを横切ると共にコラムを横切って前記複数個の個々のスプライス保持用仕切りから延びるスプライスコンポーネント受座を構成するよう前記ベース部分及び隣接のスプライス保持用仕切りと協働する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスプライスホルダ。
【請求項5】
前記スプライス保持用仕切りの少なくとも幾つかは、ロウを横切って延びると共に第1のスプライスコンポーネントの外径と相補するよう構成された第1の曲率半径を定める第1のスプライスコンポーネント受座を構成するよう前記ベース部分及び隣接のスプライス保持用仕切りと協働し、
前記スプライス保持用仕切りの少なくとも幾つかは、コラムを横切って延びると共に第2のスプライスコンポーネントの外径と相補するよう構成された第2の曲率半径を定める第2のスプライスコンポーネント受座を構成するよう前記ベース部分及び隣接のスプライス保持用仕切りと協働する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプライスホルダ。
【請求項6】
前記スプライス保持用仕切りのサブセットが、移行ボックスを受け入れると共に取り外し可能に固定する移行ボックス領域を構成するよう配置され、選択された対をなす前記スプライス保持用仕切りの前記サブセットは、前記コラム幅よりも大きい移行ボックス領域幅を定める対向した表面部分を有する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスプライスホルダ。
【請求項7】
前記スプライス保持用仕切りのサブセットが、多心一括融着接続コンポーネントを受け入れると共に取り外し可能に固定する多心一括融着接続領域を構成するよう配置され、選択された対をなす前記スプライス保持用仕切りの前記サブセットは、多心一括融着接続コラム幅よりも大きい多心一括融着接続領域幅を定める対向した表面部分を有する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のスプライスホルダ。
【請求項8】
前記ベース部分は、前記ベース部分から延びる複数個のアンカータブを有し、前記複数個のアンカータブは、前記スプライスモジュールの層を貫通して延びることにより前記スプライスホルダをスプライスモジュールに取り外し可能に固定するようになっている、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のスプライスホルダ。
【請求項9】
前記ベース部分は、前記ベース部分の周囲から延びる複数個の延長タブを有し、前記複数個の延長タブは、前記スプライスホルダをスプライスモジュールに取り外し可能に固定するようになっている、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のスプライスホルダ。
【請求項10】
モジュールのハウジング又は光ファイバスプライストレー内に配置される請求項1ないし10のいずれか1項に記載のスプライスホルダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図10E】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2011−237804(P2011−237804A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−114136(P2011−114136)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(501209863)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (65)
【Fターム(参考)】