説明

多数個取り配線基板および配線基板

【課題】配線基板領域の間に配線基板領域と大きさの異なる第2の基板領域を有していても、分割溝に沿って良好に分割できる多数個取り配線基板を提供する。
【解決手段】平面視で複数の第1の基板領域1aおよび複数の第2の基板領域1bならびに分割溝2a,2bを含んでいる母基板1を備えており、第1の基板領域1aと第2の基板領域1bとの境界における母基板1の厚みが、複数の第1の基板領域1aが配列された方向において交互に異なっている。複数の第2の基板領域1bは複数の第1の基板領域1aが配列された方向における幅が第1の基板領域1aよりも小さく、第1の基板領域1aの間に、第1の基板領域1aと交互に設けられている。分割溝2は、第1の基板領域1aと第2の基板領域1bとの境界に設けられている。第1の基板領域1aと第2の基板領域1bとが繋がったまま分割されることを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母基板の中央部に、各々が電子部品を搭載するための配線基板となる複数の配線基板領域が縦横に配列され、配線基板領域の境界に分割溝が設けられた多数個取り配線基板および配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子等の半導体素子や水晶振動子等の電子部品を搭載するための配線基板は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成る絶縁基体の表面に、タングステンやモリブデン等の金属粉末メタライズから成る配線導体が配設されることにより形成されている。
【0003】
このような配線基板は、複数の配線基板を効率良く製作するために、多数個取り配線基板を分割して製作されることがある。多数個取り配線基板は、母基板に配線基板となる複数の配線基板領域が縦横に配列され、各配線基板領域を区分する分割溝が縦横に設けられたものがある。母基板を撓ませて分割溝に沿って分割することによって、複数の配線基板が制作される。
【0004】
また、このような多数個取り配線基板においては、配線基板領域の間に、配線基板領域と大きさの異なる第2の基板領域を設けることがある(例えば特許文献1を参照)。このような第2の基板領域は、例えば配線基板領域の外周部に、左右または上下の端部で非対称な切り欠き(例えばキャスタレーション等)が形成されるダミー領域として設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−324973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような配線基板領域と大きさの異なる第2の基板領域を有する多数個取り配線基板において、配線基板領域を挟んで配置された分割溝同士の間隔よりも第2の基板領域を挟んで配置された分割溝同士の間隔が小さい場合には、多数個取り配線基板を撓ませて、分割溝に沿って分割しようとすると、意図した分割溝が割れずに、配線基板領域と第2の基板領域とが繋がったまま分割されてしまうことがあるという問題を有していた。
【0007】
このように、配線基板領域と第2の基板領域とが繋がったまま分割されてしまった場合には、正常に分割された配線基板とダミー領域がつながったままの配線基板とを選別して再度分割するか、もしくは、正常に分割された配線基板とダミー領域がつながったままの配線基板とが混在した状態で再度分割する必要がある。
【0008】
選別して再度分割する場合には、選別して再度分割する工程が必要となるので、生産性が低下する。また、分割された配線基板とダミー領域が繋がったままの配線基板とが混在した状態で再度分割しようとする場合には正常に分割された配線基板に対しても基板を撓ませる力が加わるので、クラックやカケが発生することがあった。
【0009】
このような問題は、特に配線基板領域(第1の基板領域)と第2の基板領域であるダミ
ー領域との大きさが大きく異なる場合に、より顕著である。近年の低コスト化のためにダミー領域の大きさが配線基板領域の大きさに比べて非常に小さくなっているので、配線基板領域と大きさの異なるダミー領域を有する多数個取り配線基板を良好に分割することが要求されている。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み案出されたもので、その目的は、配線基板領域(第1の基板領域)の間に配線基板領域と大きさの異なる第2の基板領域を有していても、分割溝に沿って良好に分割することのできる多数個取り配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の多数個取り配線基板は、平面視において、複数の第1の基板領域および複数の第2の基板領域ならびに分割溝を含んでいる母基板を備えており、第1の基板領域と第2の基板領域との境界における母基板の厚みが、複数の第1の基板領域が配列された方向において交互に異なっていることを特徴とするものである。複数の第1の基板領域は縦方向または横方向に配列されている。複数の第2の基板領域は第1の基板領域が配列された方向における幅が第1の基板領域よりも小さく、第1の基板領域の間に、第1の基板領域と交互に設けられている。分割溝は第1の基板領域と第2の基板領域との境界に設けられている。
【0012】
本発明の配線基板は、主面に接して対向して設けられた傾斜面を有する絶縁基体を備えており、前記傾斜面の大きさが異なることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の多数個取り配線基板によれば、分割溝の設けられた第1の基板領域と第2の基板領域との境界における母基板の厚みが、複数の第1の基板領域が配列された方向において交互に異なっていることから、分割溝に力を加えて多数個取り配線基板から第1の基板領域と第2の基板領域とを分割しようとするときに、第1の基板領域が配列された方向において分割溝が順に割れるので、第1の基板領域(配線基板領域)と第2の基板領域とが繋がったまま分割されることを低減できる。
【0014】
本発明の配線基板によれば、主面に接して対向して設けられた傾斜面を有する絶縁基体を備えており、前記傾斜面の大きさが異なることから、主面に配線基板の方向性を示すマークや穴を設けることなく、配線基板の向きを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態における多数個取り配線基板の上面図であり、(b)は本発明の第1の実施形態における多数個取り配線基板の下面図である。
【図2】(a)は図1(a)のA−A線における断面図であり、(b)は(a)のA部における拡大断面図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態における多数個取り配線基板の上面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における配線基板の断面図である。
【図5】(a)は多数個取り配線基板を分割する分割装置を示す断面図であり、(b)は(a)のA部における拡大断面図である。
【図6】(a)は本発明の第2の実施形態における多数個取り配線基板の上面図であり、(b)は本発明の第1の実施形態における多数個取り配線基板の下面図である。
【図7】(a)は図5(a)のA−A線における断面図であり、(b)は(a)のA部における拡大断面図である。
【図8】(a)は本発明第2の実施形態における多数個取り配線基板の上面図であり、(b)は本発明第2の実施形態における多数個取り配線基板の下面図である。
【図9】(a)は、図7(a)のA−A線における断面図であり、(b)は(a)のA部における拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のいくつかの例示的な実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態における多数個取り配線基板10は、図1〜図3に示す例のように、平面視において複数の第1の基板領域1aおよび複数の第2の基板領域1bならびに分割溝2を含んでいる母基板1を備えており、第1の基板領域1aと第2の基板領域1bとの境界における母基板1の厚みが、複数の第1の基板領域1aが配列された方向において交互に異なっている。複数の第1の基板領域1aは縦方向または横方向に配列されている。複数の第2の基板領域1bは第1の基板領域1aが配列された方向における幅が第1の基板領域1aよりも小さく、第1の基板領域1aの間に、第1の基板領域1aと交互に設けられている。分割溝2は、第1の基板領域1aと第2の基板領域1bとの境界に設けられている。
【0018】
なお、複数の第1の基板領域1aは縦および横の少なくとも一方の並びに配置されていればよい。また、第1の実施形態の多数個取り配線基板10において、第1の基板領域1aは配線基板領域1aであり、第2の基板領域1bはダミー領域1bである。
【0019】
母基板1は、セラミックスや樹脂等の絶縁体からなるものである。セラミックスから成る場合は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体およびガラスセラミックス質焼結体等が挙げられ、樹脂からなる場合は、例えば、エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,アクリル樹脂,フェノール樹脂,ポリエステル樹脂、および四フッ化エチレン樹脂を始めとするフッ素系樹脂等が挙げられる。また、ガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものが挙げられる。
【0020】
母基板1が、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合には、アルミナ(Al),シリカ(SiO),カルシア(CaO)およびマグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤および溶媒を添加混合して泥漿状となすとともに、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用してシート状に成形することによってセラミックグリーンシートを得て、次に、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに必要に応じて複数枚積層し、高温(約1500〜1800℃)で焼成することによって製作される。
【0021】
母基板1が、例えば、樹脂から成る場合は、所定の配線基板の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法やインジェクションモールド法等によって成形することができる。また、例えば、ガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよく、この場合は、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって形成することができる。
【0022】
母基板1には第1の基板領域1aである配線基板領域1aと第2の基板領域1bであるダミー領域1bとが複数設けられている。配線基板領域1aは、例えば電子部品を搭載し配線導体5に電気的に接続した後、封止し外部回路基板に実装されるパッケージとして利用される領域である。ダミー領域1bは、多数個取り配線基板10の製造や搬送を容易とするための領域であり、このダミー領域1bを用いて母基板1となる生成形体や多数個取り
配線基板10の加工時や搬送時の位置決め、固定等を行なうことができる。なお、母基板1は図3に示す例のように配線基板領域1aに凹部6が設けられていてもよい。
【0023】
分割溝2は、図2および図3(b)に示す例のように母基板1の上面に、深さの異なる第1分割溝2aと第2分割溝2bとを含んでいる。第1分割溝2aの深さおよび第2分割溝2bの深さは、平面視において複数の第1の基板領域1aが配列された方向、すなわち図1(a)および図3(b)に示す例の縦横の方向において交互に異なっている。
【0024】
このように第1分割溝2aの深さおよび第2分割溝2bの深さを交互に異ならせることによって、第1の基板領域1aと第2の基板領域1bとの境界における母基板1の厚みが、複数の第1の基板領域1aが配列された方向において交互に異なっている。
【0025】
第1分割溝2aおよび第2分割溝2bは、母基板1となる生成形体にカッター刃や金型を押し当てることによって、あるいはレーザー加工を施すことによって形成することができる。分割溝2の縦断面形状は、V字状やU字状あるいは四角形状であってもよいが、図2および図3に示す例のように、V字状にすると、母基板1を撓ませて分割溝に沿って破断する際に、分割溝の底部が応力の集中しやすい形状であるので、その破断が容易かつ正確となり好ましい。
【0026】
第1分割溝2aおよび第2分割溝2bの深さは、絶縁基体の材料等により適宜設定され、母基板1の厚みの50〜70%程度に形成される。このようにすることで、母基板1が良好に分割されるとともに不用意に割れることのない多数個取り配線基板10となる。
【0027】
母基板1の第1分割溝2aおよび第2分割溝2bの開口幅は、0.01〜1.0mm程度であ
ると、母基板1を良好に分割することができ、各配線基板領域1aが第1分割溝2aまたは第2分割溝2bの占める面積の影響で小さくならず、分割溝2の形成時に配線基板領域1aやダミー領域1bが大きく変形することがないので好ましい。
【0028】
ここで、図2に示す例のように、母基板の厚みをt、配線基板領域1aの長さをL1、
ダミー領域1bの長さをL2、第1分割溝2aの深さをh1、第2分割溝2bの深さをh2としたとき、以下の(1)〜(4)の関係式が成り立つようにしておくと、配線基板領域1aとダミー領域1bとを分割するときに、深さの異なる第1分割溝2aおよび第2分割溝2bとがそれぞれ良好に分割されるので、配線基板領域1aとダミー領域1bとが繋がったまま分割されることをより有効に低減できる。
【0029】
t>h1>h2・・・(1)
L1>L2・・・(2)
L2>t−h1・・・(3)
1<L1/(L1−L2)<「t−h2」/(t−h1)≦5/3・・・(4)
また、第1分割溝2aまたは第2分割溝2bの端部が、最外周に配列される配線基板領域1aと母基板1となる生成形体の外周部との間に位置するように形成しておくと、母基板1の搬送時等に外部から加わる力によって母基板1が不用意に割れてしまうことを抑制できる。
【0030】
なお、配線基板領域1aと母基板1の外縁との間に設けられた分割溝2は、図2に示す例のように深さが異なっていても良いし、同じであっても良い。また、配線基板領域1aと母基板1の外縁との間に設けられた分割溝2は、図3に示す例のように第1分割溝2aと同じ深さおよび形状としてもよいし、第2分割溝2bと同じ深さおよび形状にしても良い。
【0031】
図2に示す例のように、配線基板領域1aを挟んで、第1分割溝2と第2分割溝3とが交互に形成されていると、多数個取り配線基板をそれぞれの分割溝に沿って分割した際に、絶縁基板の対向する2つの側面の傾き、すなわち絶縁基板の第1主面または第2主面に接した傾斜面の大きさが異なる配線基板を形成できる。
【0032】
また、特にダミー領域1bの幅が1mmを下回っている場合には、ダミー領域1bを挟んで形成された分割溝同士が、母基板1に対して水平方向に走るクラック等によって繋がってしまい、バリ等を発生しやすいものとなる。よって、ダミー領域1bの幅は1mm程度を上回ることが好ましい。
【0033】
配線導体5は、母基板1がセラミックスからなる場合は、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属粉末メタライズから成り、母基板1用のセラミックグリーンシートに配線導体5用の導体ペーストをスクリーン印刷法等により所定形状に印刷して、母基板1用のセラミックグリーンシートと同時に焼成することによって、母基板1の所定位置に形成される。
【0034】
配線導体5には、母基板1の表面や絶縁層間に配置される配線導体と、絶縁層を貫通して上下に位置する配線導体5同士を電気的に接続する貫通導体とがある。母基板1がセラミックスからなる場合は、絶縁層間に配置される配線導体は、母基板1用のセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等の印刷手段によって配線導体5用のメタライズペーストを印刷塗布し、母基板1用の生成形体とともに焼成することによって形成される。また、貫通導体は、配線導体3を形成するためのメタライズペーストの印刷塗布に先立って母基板1用のセラミックグリーンシートに金型やパンチングによる打ち抜き加工またはレーザー加工等の加工方法によって貫通導体用の貫通孔を形成し、この貫通孔に貫通導体用のメタライズペーストをスクリーン印刷法等の印刷手段によって充填しておき、母基板1となる生成形体とともに焼成することによって形成する。メタライズペーストは、主成分の金属粉末に有機バインダーおよび有機溶剤、また必要に応じて分散剤等を加えてボールミル,三本ロールミルまたはプラネタリーミキサー等の混練手段によって混合および混練することで作製する。また、セラミックグリーンシートの焼結挙動に合わせたり、焼成後の母基板1との接合強度を高めたりするために、ガラスやセラミックスの粉末を添加してもよい。貫通導体用のメタライズペーストは、有機バインダーや有機溶剤の種類や添加量によって充填に適した、一般的に配線導体3用のメタライズペーストよりも高い粘度に調整される。なお、メタライズペーストは母基板1との接合強度を高めるために、ガラスやセラミックスを含んでいても構わない。
【0035】
なお、配線導体5の露出する表面には、必要に応じて、ニッケル,金等の耐蝕性に優れる金属が被着され、接続電極4または外部端子電極5となる。これにより、配線導体5が腐食することを効果的に抑制することができるとともに、配線導体5と電子部品との接合、配線導体5とボンディングワイヤとの接合、および配線導体5と外部電気回路基板の配線との接合を強固にすることができる。例えば、配線導体5の露出する表面には、厚さ1〜10μm程度のニッケルめっき層と厚さ0.1〜3μm程度の金めっき層とが、電解めっき
法もしくは無電解めっき法により順次被着される。
【0036】
また、母基板1が樹脂から成る場合には、配線導体5は、銅,金,アルミニウム,ニッケル,クロム,モリブデン,チタンおよびそれらの合金等の金属材料から成る。このような配線導体5は、例えば、ガラスエポキシ樹脂から成る樹脂シート上に配線導体5の形状に加工した銅箔を転写し、銅箔が転写された樹脂シートを積層して接着剤で接着することによって形成する。また、配線導体5のうち、樹脂シートを厚み方向に貫通する貫通導体は、導体ペーストの印刷やめっき法によって樹脂シートに形成した貫通孔の内面に被着形成するか、貫通孔を充填して形成すればよい。また、金属箔や金属柱を樹脂成形によって
一体化させたり、母基板1にスパッタリング法,蒸着法等,めっき法等を用いて被着させて形成される。
【0037】
このような多数個取り配線基板10は、母基板1の適当な箇所に力を加えることで撓ませ、第1分割溝2aおよび第2分割溝2bから個々の配線基板12に分割される。このような分割装置としては、図5に示す例のように、搬送ベルト7上に高さの異なるローラー8を取り付けて、力を加えて分割する装置(例えば特開2009-034747号を参照)や、治具等で
保持した状態で基板に適当な機械部品で圧力を加えて分割する装置が知られている。なお、ローラー8を取り付けて圧力を加えて分割する際には、多数個取り配線基板10は、深さの深い第1分割溝2aが深さの浅い第2分割溝2bよりも先に分割されるように装置上に載置される。
【0038】
このようにして、母基板1を撓ませて力を加えると、配線基板領域1aおよびダミー領域1bが交互に並んでいる方向に向かって、深さの深い第1分割溝2aが分割された後、深さの浅い第2分割溝2bが分割される。このように分割することによって、配線基板領域1aとダミー領域1bとが分割されずに残ってしまうことを抑制できる。
【0039】
第1の実施形態における多数個取り配線基板10は、第1分割溝2aと第2分割溝2bとの深さが、第1の基板領域が配列された方向において交互に異なっていることから、分割溝に力を加えて多数個取り配線基板10を分割するときに、配線基板領域1aが配列された方向に分割溝が順に割れて、配線基板領域1aとダミー領域1bとが繋がったまま分割されることを低減できる。
【0040】
ダミー領域1bの大きさが配線基板領域1aの大きさの1/2を下回っている場合に、特に本発明の課題が発生しやすいので、このような場合に、配線基板領域1aとダミー領域1bとの境界における母基板1の厚みが、複数の配線基板領域1aが配列された方向において交互に異なっていると特に有効である。
【0041】
図1〜図3に示す例のような第1の実施形態の多数個取り配線基板10は、分割溝に沿って分割すると、図4に示す例のように、絶縁基体11の対向する2つの側面の傾き、すなわち絶縁基体11の第1主面または第2主面に接した傾斜面の大きさが異なる配線基板12を作製できる。このような配線基板12は、絶縁基体11の第1主面または第2主面に配線基板の方向性を示すマークや穴を設けることなく、画像カメラ等を用いて配線基板の方向性を認識させることができるので、配線基板の小型化を図ることができる。また、第1主面または第2主面に電子部品や蓋体等を搭載した後であっても、配線基板の方向性を容易に認識させることができる。
【0042】
このようにして個々に分割された配線基板12には、必要に応じて電子部品が搭載される。搭載される電子部品は、例えばICチップやLSIチップ等の半導体素子,水晶振動子や圧電振動子等の圧電素子および各種センサ等である。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による多数個取り配線基板10について、図6〜図9を参照しつつ説明する。
【0044】
本発明の第2の実施形態における多数個取り配線基板10において、上記した第1の実施形態の多数個取り配線基板10と異なる点は、図7に示す例のように母基板1の下面の第1分割溝2aと対向する領域に、第3分割溝2cが設けられており、母基板1の下面の第2分割溝2bと対向する領域に、第4分割溝2dが設けられている点である。
【0045】
本発明の第2の実施形態の多数個取り配線基板10によれば、第1分割溝2aの深さと第3分割溝2cの深さとの合計と、第2分割溝2bの深さと第4分割溝2dの深さとの合計とが配線基板領域1aが配列された方向において交互に異なっている。
【0046】
このような第2の実施形態の多数個取り配線基板10においても、分割溝2に力を加えて分割するときに、配線基板領域1aが配列された方向に分割溝が順に割れて、配線基板領域1aとダミー領域1bとが繋がったまま分割されることを低減できる。
【0047】
第2の実施形態においては、第1分割溝2aの深さと第3分割溝2cの深さの合計および第2分割溝2bの深さと第4分割溝2dの深さとの合計が、母基板1の厚みの50〜70%程度に形成される。
【0048】
また、第2の実施形態においては、母基板の厚みをt、配線基板領域1aの長さをL1
、ダミー領域1bの長さをL2、第1分割溝2aの深さをh1、第2分割溝2bの深さをh2、第3分割溝2cの深さをh3、第3分割溝2dの深さをh4としたとき、以下の(5)〜(8)の関係式が成り立つようにしておくと、配線基板領域1aとダミー領域1bとが繋がったまま分割されることをより有効に低減できる。
【0049】
t>h1+h3>h2+h4・・・(5)
L1>L2・・・(6)
L2>t−(h1+h3)・・・(7)
1<L1/(L1−L2)<(t−(h2+h4))/(t−(h1+h3)≦5/3・・・(8)
なお、第2の実施形態においては、図8および図9に示す例のように第4分割溝2dが設けられていなくても良いし、第3分割溝2cが設けられていなくても良い。また、第3分割溝2cが設けられていない場合は上記式(5)〜式(8)においてh3を0として、第4分割溝2dが設けられていない場合は上記式(5)〜式(8)においてh4を0として、上記式(5)〜式(8)が成り立つように各数値を設定しておけばよい。
【0050】
第2の実施形態において、分割溝2は母基板1の両主面に対向して設けられていることから、第1分割溝2aと第2分割溝2bとを同じ深さとして、第3分割溝2cおよび第4分割溝2dを設けることによって、配線基板領域1aとダミー領域1bとの境界における母基板1の厚みを異ならせることができる。
【0051】
第2の実施形態は、多数個取り配線基板10を分割するときに、第1分割溝2aと第3分割溝2cとの間および、第2分割溝2bと第4分割溝2dとの間で破断されるので、第3分割溝2cおよび第4分割溝2dが無い場合に比べて、破断面にバリや欠けが生じることを抑制できる。
【0052】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、縦方向または横方向のいずれか一方にダミー領域1bを設けているものであっても構わない。
【0053】
また、配線基板領域1aの外縁に沿って内面に配線導体5が露出された穴を形成しておいても構わない。穴を分割することにより、内面に配線導体5が露出された切欠きを形成し、いわゆるキャスタレーション導体となる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・・母基板
1a・・・配線基板領域(第1の基板領域)
1b・・・ダミー領域(第2の基板領域)
2a・・・・第1分割溝
2b・・・・第2分割溝
2c・・・・第3分割溝
2d・・・・第4分割溝
5・・・・配線導体
6・・・・凹部
7・・・・搬送ベルト
8・・・・ローラー
9・・・・支持板
10・・・・多数個取り配線基板
11・・・・絶縁基体
12・・・・配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において、縦方向または横方向に配列された複数の第1の基板領域および、該第1の基板領域が配列された方向における幅が前記第1の基板領域よりも小さく、前記第1の基板領域の間に、前記第1の基板領域と交互に設けられた複数の第2の基板領域ならびに、前記第1の基板領域と前記第2の基板領域との境界に設けられた分割溝を含んでいる母基板を備えており、
前記第1の基板領域と前記第2の基板領域との前記境界における前記母基板の厚みが、複数の前記第1の基板領域が配列された方向において交互に異なっていることを特徴とする多数個取り配線基板。
【請求項2】
前記分割溝は、前記母基板の両主面に対向して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多数個取り配線基板。
【請求項3】
主面に接して対向して設けられた傾斜面を有する絶縁基体を備えており、前記傾斜面の大きさが異なることを特徴とする配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−74168(P2013−74168A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212807(P2011−212807)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】