説明

多数穴開きこんにゃく並びにこんにゃく押出しヘッド及びこんにゃく射出成形機

【課題】短時間で均一な味付けを容易に行なえる多数穴開きこんにゃく並びにその製造に好適な押出しヘッド及び射出成形機を提供する。
【解決手段】こんにゃく1に相対する2外面38をつなぐ所定径の貫通穴33を多数分散配設する。そして、原材料から作ったのり状物の流入口を有しのり状物を半固形状物に変える形成室と、水流入口を有する水流入室とを壁を設けて仕切り、その形成室に内径をこんにゃくの外径に等しくした押出し口を設け、その仕切壁に設けた多数の各貫通穴に送水細管を夫々挿通して、その各細管の水噴射口の位置をこんにゃくに設ける各貫通穴の位置と対応させて配置し、各細管の外径をこんにゃくに設ける各貫通穴の内径と等しくした押出しヘッドと、その押出し口の直近外側に半固形状こんにゃくを切断する駆動源付き切断刃とを設置した射出成形機を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴を開けた食用のこんにゃくと、そのこんにゃくの製造に好適なこんにゃく押出しヘッド及びこんにゃく射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
古くからこんにゃくが栽培され食用とされている。このような食用こんにゃくは、製造時にこんにゃく芋又は粉と、石灰、炭酸ナトリウム、水酸化カルシュウム等のアルカリ性水と、温湯、熱湯等とを原材料として用い、その原材料を攪拌、練り等の工程を経てのり状にした後、そののり状物に対し、成形、加熱、切断、包装等の工程を施して、適切な大きさに固化させ、製品化している。その際、形状を変えることによって、こんにゃくを種類分けするが、塊状のものには板こんにゃく、玉こんにゃく等があり、糸状のものには糸こんにゃく、白滝等がある。なお、大きな貫通穴を中心に設けたちくわ状のこんにゃく等もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなこんにゃくは形状毎に料理時の味付け時間が異なり、料理の外観、食感等も異なる。そして、料理時の味付けに関し、塊状のものは糸状のものより味付けに時間がかかるが、塊状のものでも表面に凹凸や穴等を設けておくと、当然味付けし易くなる。しかし、味付けを容易に行える多数の穴開きこんにゃく等は市販されていない。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、短時間で均一な味付けを容易に行なえる多数穴開きこんにゃく並びにその多数穴開きこんにゃくの製造に好適なこんにゃく押出しヘッド及びこんにゃく射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による多数穴開きこんにゃくには、相対する2外面を設け、その両外面に両外面をつなぐ所定径の貫通穴を多数分散配設する。
そして、全体を円板状にし、その相対する2外面に設ける貫通穴を円柱状空間にすると好ましくなる。
【0006】
又、本発明による多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッドは、こんにゃくの原材料から作ったのり状物の流入口を有し、そののり状物を半固形状物に変える半固形状物形成室と水の流入口を有する水流入室とを、両室間に壁を設けて仕切り、その半固形状物形成室に半固形状物押出し口を設け、その半固形状物押出し口の内径を製造するこんにゃくの外径にほぼ等しくする。そして、その仕切壁に多数の貫通穴を設け、その各貫通穴に水を水流入室から半固形状物形成室を通して、半固形状物押出し口まで導く送水細管を夫々挿通して設置し、その各送水細管の水噴射口の位置を製造するこんにゃくに設ける各貫通穴の位置と夫々対応させて同様に配置し、更に各送水細管の外径を製造するこんにゃくに設ける各貫通穴の内径とほぼ等しくする。
【0007】
又、本発明による多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機に、上記多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッドと、その半固形状物押出し口の直近外側に、押出されてくるこんにゃくを所定の長さ毎に切断する駆動源付き切断刃とを設置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多数穴開きこんにゃくは、相対する2外面を設け、その両外面に両外面をつなぐ所定径の貫通穴を多数分散配設することにより、味付けの際、各貫通穴の中に調味液を簡単に進入、通過し易くできる。それ故、こんにゃくに味がしみこみ易くなって、味付けを短時間で均一に行うことができる。
【0009】
そして、全体を円板状にし、その相対する2外面に設ける貫通穴を円柱状空間にすると、全体の外面と各貫通穴の内面が滑らかになって凹凸ができ難い。それ故、こんにゃくの凹凸箇所にでき易い凝固剤の結晶ができ難くなるため、こんにゃくの保存期間を長くすることができる。
【0010】
又、本発明の多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッドは、半固形状物形成室に流入するのり状物を押出し口に向って押し出して行き、半固形状物に変えて押し出すことができる。そして、こんにゃくが押出し口から離れた時、こんにゃくに各送水細管の水噴射口の位置と各送水細管の外径に対応する多数の所定径を有する貫通穴が形成される。又、その時、半固形状こんにゃくの各貫通穴内に各送水細管の噴射口から噴射される水が入り、各貫通穴の変形と潰れを防止する。それ故、半固形状こんにゃくの外径を、半固形状物押出し口の内径にほぼ等しくし、そのこんにゃくに形成する多数の貫通穴の位置を各送水細管の水噴射口の位置と対応させて同様に配設し、各貫通穴の内径を各送水細管の外管とほぼ等しくして連続的に形成しながら押し出すことができる。
【0011】
又、本発明の多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機は、上記多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッドの半固形状物押出し口の直近外側に、駆動源付き切断刃を設置することにより、その切断刃の動きにより半固形状こんにゃくを所定の長さ毎に切断して連続的に射出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図1〜4を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す多数穴開きこんにゃくの斜視図、図2はその多数穴開きこんにゃくの製造に用いる多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機の正面図、図3は同射出成形機の平面図、及び図4は同射出成形機に設置する多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッドの縦断面図である。この多数穴開きこんにゃく1は周知の白滝製造装置(図示なし)を用い、その装置に設置されている半固形状白滝こんにゃく射出成形機を、多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機2と取り換えて使用する。
【0013】
多数穴開きこんにゃく1の製造に際し、先ず白滝製造装置に備えられているホッパー内に熱湯を入れ、そこにこんにゃく粉を加える。そして、ホッパー内で攪拌しながらこんにゃくをのり状にする。次に、ポンプを用いてホッパー内ののり状物を練り機内に送り込む。又、その練り機内へこんにゃくの凝固剤としてタンクに蓄えておいた例えば水酸化カルシュウム水溶液を送り込み、のり状物に加えて練る。次に、そののり状物をポンプを用いて、多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機2に送り込む。
【0014】
この射出成形機2は箱型の台3上に枠体4を固着し、そこに多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッド5、駆動源6付き切断刃7(7a、…7c)等を設置して構成する。そして、枠体4を、押出しヘッド5と駆動源6付き切断刃7とを据え付ける長方形状のベース板8と、3枚の切断刃7の左右上方を被って前方に一定長さ突出する半円弧状の安全カバー9付き半円状前面板10と、その前面板10の左右上方を取り囲むU字状の前枠棒11と、その前枠棒11の中央とベース板8の後縁中央とを結合するL字状の前後結合枠棒12との結合体にする。
【0015】
又、押出しヘッド5を、内部が半固形状物形成室13となる半固形状物形成円管14と、内部が円柱状仕切壁15の収納室となる仕切壁収納円管16と、内部が水流入室17となる水流入円管18との直線状連結体にする。又、駆動源6を、例えば100Vの商用電源と接続するプラグ19付きコード20に介在するオン・オフスイッチ21付きの交流モータ22と、そのモータ22の回転数をレバー23の操作により減速制御して切断刃7に伝える速度計付き速度制御器24とから構成する。なお、3枚の切断刃7は速度制御器24から突出し、前面板10の中央付近を挿通する回転軸25の先端部に120度間隔にして固着する。
【0016】
このような押出しヘッド5の半固形状物形成円管14は、その前端開口を半固形状物形成室13の半固形状物押出し口26にし、その押出し口26の内径を製造するこんにゃくの外径にほぼ等しく例えば4cmにし、その後端部寄り管壁にのり状物流入口27を開けて、そこに接続用の分岐管28を突設する。そして、半固形状物形成円管14の後端部を内面に雌ねじを設けて仕切壁収納円管16との結合部にし、又接続用分岐管28の内面に雌ねじを設けて練り機との接続に用いる。なお、29(29a、29b)は押出しヘッド5をベース板8に取り付け固定する固定用具であり、30は接続用分岐管28と練り機との間に介在し、接続管の一部を分離可能にする分離可能接続管である。
【0017】
又、仕切壁収納円管16はその中央部を除く両端部を、外面に雄ねじを夫々設けて、半固形状物形成円管14及び水流入円管18との接続部にする。そして、仕切壁15にその相対する前後の両外面をつなぐ貫通穴を多数、例えば中心に1本、同心状に等間隔にして7本分散配設し、その各貫通穴に水を水流入室17から半固形状物形成室13を通して、半固形状物押出し口26まで導く直線状の送水細管31(31a、…31h)を夫々挿通して設置する。その際、各送水細管31の水噴射口32の位置を製造するこんにゃく1に設ける各貫通穴33の位置と夫々対応させて同様に配置し、各送水細管31の外径を製造するこんにゃく1に設ける各貫通穴33の内径とほぼ等しく例えば5mmにする。
【0018】
又、水流入円管18は前部の内外径を大きくし、中央部、後部に行くに従って内外径を小さくし、その前部を内面に雌ねじを設けて仕切壁収納円管16との接続部にし、後部を外面にリング状凹凸を順次設け、後端開口を水流入口34にしてホースとの接続部にする。なお、水流入円管18の水流入口34の付近に水圧計を設置する。
【0019】
又、押出しヘッド5の半固形状物形成円管14の前端周囲に、更に方形状鍔部35を設け、その鍔部35を前面板10の右部に設けた貫通穴内に嵌めて設置し、その半固形状物押出し口26を前面板10に臨ませる。そして、その半固形状物押出し口26の直近外側を3枚の切断刃の回転領域にする。その際、半固形状物押出し口26と切断刃7との距離を選択すると、製造するこんにゃくの長さ例えば円板状こんにゃくの場合、その厚みを選択することができる。なお、半固形状物押出し口26の上方に、切断刃7に水を噴霧するノズル36を設置し、そのノズル36にホース37を接続する。
【0020】
このような射出成形機2の押出しヘッド5に対し、こんにゃくの原材料から作ったのり状物が、半固形状物形成室13の流入口27に送り込まれ、押出し口26に向って押し出されて行き、半固形状に変化した後に押し出される。そして、こんにゃくが押出し口26から前方に離れた時、半固形状こんにゃくに各送水細管31の水噴射口32の位置と外径に対応する8個の径5mmの貫通穴33が形成される。又、その時、半固形状こんにゃくの各貫通穴33内に各送水細管31の水噴射口32から噴射される水が入り、各貫通穴33の変形と潰れを防止する。
【0021】
それ故、半固形状こんにゃくの外径を押出し口26の外径に等しく4cmにし、そのこんにゃくに形成する8個の径5mmの穴を、各送水細管31の水噴射口32の位置と各送水細管31の外径とに対応させて連続的に形成し、押し出すことができる。そこで、円板状こんにゃくを製造するにする場合、押し出されてくる8個の貫通穴33開き半固形状こんにゃくを半固形状物押出し口26の直近外側に設置されている回転する3枚の各切断刃7により所定の長さ例えば5mm毎に切断して、厚み5mmの多数穴開き半固形状こんにゃくを連続的に射出できる。
【0022】
このようにして形成し、貫通穴33を8個分散配設した半固形状こんにゃくを、白滝製造装置の長さが例えば100mの樋の流水(熱湯)中に投入する。すると、半固形状こんにゃくが熱湯と一緒に移動しながら加熱されて行き固形状物に変化する。そこで、メッシュコンベアに乗せて水切りすると、図1に示すような全体を径が4cmで厚さが5mmの円板状にして、相対する2外面38(38a、38b)を設け、その相対する両外面38に両外面38をつなぐ径が5mmの貫通穴33を8個分散配設した多数穴開きこんにゃく1が完成する。
【0023】
このような多数穴開きこんにゃく1を用いると、味付けの際、各貫通穴33の中に調味液を簡単に進入、通過し易くできる。それ故、こんにゃく1に味がしみこみ易く、味付けを短時間で均一に行なえる。しかも、こんにゃく1の全体を円板状にし、その相対する2外面38に設ける貫通穴33を円柱状空間にすると、相対する2外面38と外周面39との全体外面と各貫通穴33の内面が滑らかになって、凹凸ができ難い。それ故、こんにゃくの凹凸箇所にでき易い凝固剤の結晶ができ難くなって、こんにゃくの保存期間が長くなる。
【0024】
なお、こんにゃくの形状、径、長さ(厚み)、そのこんにゃくに設ける貫通穴の形状、径、位置、数等は、押出しヘッドの半固形状物押出し口の形状、径、半固形状こんにゃくの押し出し速度と切断刃の回転速度、送水細管の形状、径、位置、数等を変えることにより適宜選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を示す多数穴開きこんにゃくの斜視図である。
【図2】同こんにゃくの製造に用いる多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機の正面図である。
【図3】同射出成形機の平面図である。
【図4】同射出成形機に設置する多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッドの縦断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1…多数穴開きこんにゃく 2…多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機 3…台 4…枠体 5…多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッド 6…駆動源 7…切断刃 8…ベース板 9…安全カバー 10…前面板 13…半固形状物形成室 14…半固形状物形成円管 15…仕切壁 16…仕切壁収納円管 17…水流入室 18…水流入円管 21…オン・オフスイッチ 22…交流モータ 23…レバー 24…速度制御器 26…半固形状物押出し口 27…のり状物流入口 28…接続用分岐管 30…分離可能接続管 31…送水細管 32…水噴射口 33…貫通穴 34…水流入口 35…鍔部 36…ノズル 38…相対する2外面 39…外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する2外面を設け、その両外面に両外面をつなぐ所定径の貫通穴を多数分散配設することを特徴とする多数穴開きこんにゃく。
【請求項2】
全体を円板状にし、その相対する2外面に設ける貫通穴を円柱状空間にすることを特徴とする請求項1記載の多数穴開きこんにゃく。
【請求項3】
こんにゃくの原材料から作ったのり状物の流入口を有し、そののり状物を半固形状物に変える半固形状物形成室と水の流入口を有する水流入室とを、両室間に壁を設けて仕切り、その半固形状物形成室に半固形状物押出し口を設け、その半固形状物押出し口の内径を製造するこんにゃくの外径にほぼ等しくし、その仕切壁に多数の貫通穴を設け、その各貫通穴に水を水流入室から半固形状物形成室を通して、半固形状物押出し口まで導く送水細管を夫々挿通して設置し、その各送水細管の水噴射口の位置を製造するこんにゃくに設ける各貫通穴の位置と夫々対応させて同様に配置し、更に各送水細管の外径を製造するこんにゃくに設ける各貫通穴の内径とほぼ等しくすることを特徴とする多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッド。
【請求項4】
請求項3記載の多数穴開き半固形状こんにゃく押出しヘッドと、その半固形状物押出し口の直近外側に、押出されてくるこんにゃくを所定の長さ毎に切断する駆動源付き切断刃とを設置することを特徴とする多数穴開き半固形状こんにゃく射出成形機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−49919(P2007−49919A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236295(P2005−236295)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(505310389)有限会社松崎商店 (1)
【Fターム(参考)】