説明

多方向圧電モータ配置

複数の圧電モータ(31、32)の各々の連結部(48)をボディの表面に押圧することによって複数の圧電モータをボディに連結することと、ボディを動かすために表面に平行な(53)力を加えるようにモータの少なくとも一つを制御することと、その連結部が実質的に表面に垂直な(51)振動のみを行うように少なくとも1つのモータを同時に制御することと、からなる、ボディ(23)を動かす方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可動要素に運動を提供することに関連し、特に圧電モータを使用して一つ以上の方向に可動要素の運動を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの圧電モータは、一般に、モータが連結する可動要素に、唯一つの直線(以下、「運動軸」と称する)に沿った後方および前方への運動を与える。可動要素に一つ以上の運動軸に沿って選択的に運動を与えるためには、一般に比較的に複雑な動力伝達装置が使用され、所望の異なる運動軸のそれぞれに対して異なる圧電モータを可動要素に連結させる。
【0003】
例えば、ステージに取り付けられた要素をx軸及びy軸に沿ったxy座標平面内の任意のxy座標に位置決め可能なxy位置決めステージを提供するために、ステージは一般にy軸ステージ上に載置されたx軸ステージから構成される。ステージをx軸方向に動かしてステージを与えられた所望のx座標に位置決めするように制御可能なモータにx軸ステージは連結されており、y軸ステージをy軸に沿って動かすように制御可能なモータにy軸ステージは連結されている。所与のxy座標に要素を配置するために、x軸およびy軸ステージをそれぞれx軸およびy軸に沿って動かして要素を所望のxy座標に位置決めするように、x軸およびy軸モータが制御される。
【発明の開示】
【0004】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、モータがボディを異なる運動軸に沿って選択的に動かすように制御可能にするための、圧電モータを可動ボディに連結する改良された方法を提供することに関する。
【0005】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、各モータが別のモータとは独立にボディに選択的に運動を伝達するように、同じ可動ボディに連結した複数の圧電モータによって運動を伝達することに関連する。
【0006】
本発明の実施形態によれば、複数の圧電モータは、既知の方法及び手段を使用して、各モータの部分(以下、「連結部」)を表面部分(以下、「接触面」)に押圧することによって可動ボディに連結する。各モータは、選択的に可動ボディの接触面に実質的に垂直及び/又は実質的に平行な連結部を励振するように制御可能である。所与のモータが励振されていないときには、その連結部は可動ボディの接触面に常に押圧されており、ボディの接触面とモータの連結部との間の摩擦力は比較的に大きい。任意選択的に、圧電モータの連結部は、既知の方法及び材料を使用してモータの表面に取り付けられた耐摩耗性の「摩擦ナブ」であり、説明の便宜のため、以下、圧電モータの連結部を摩擦ナブと仮定する。
【0007】
複数のモータのうち所与の少なくとも一つが可動ボディに運動を伝達するようにモータを制御するために、その少なくとも一つのモータは摩擦ナブの運動がボディの接触面に実質的に平行な力を加えるように制御される。本発明の実施形態により、別のモータは、各摩擦ナブに接触面に実質的に垂直な振動を発生させるように制御される。以下、本発明の実施形態により可動ボディに運動を伝達するように操作されるモータを「作動」モータ、実質的に垂直な振動のみを行うように制御されるモータを「非作動」モータと呼ぶ。
【0008】
一般に作動モータは、接触面に対して実質的に垂直な振動と、接触面に対して実質的に平行な振動との両方をその摩擦ナブに同時に発生させるように制御される。通常は、振幅、周波数、及び垂直振動と平行振動との相対的な位相は、摩擦ナブに楕円または円振動を発生させるようなものとなる。作動モータの摩擦ナブにおける垂直振動は、モータの摩擦ナブと可動ボディの接触面とを引き離しては摩擦接触に戻すことを繰り返す。各垂直振動サイクルの接触時間中、作動モータは可動ボディに連結し、平行振動によるモータの摩擦ナブの運動がボディに運動を伝達する。垂直振動と平行振動との間の位相関係によって、接触時間中に摩擦ナブは平行振動に平行な一方または他方の方向へボディに運動を伝達する。
【0009】
本発明の一部の実施形態において、可動ボディの接触面に平行な力を加えるために、パルスモードで動作するように作動モータが制御される。パルスモードでは、ボディに運動を伝達するために、非対称な電圧のパルスが圧電モータ内に備えられる電極に印加される。圧電モータのパルス動作モードは、米国特許第5,453,653号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載されている。
【0010】
本発明の一部の実施形態において、実質的に可動ボディの接触面に平行な力のみを加える屈曲運動を発生させるようにモータが制御される直流モードで作動するように、作動モータは制御される。直流モードでは、屈曲運動を発生させて、第1の位置から第2の位置へ可動ボディを変位させるために、制御装置はモータ内に備わる少なくとも一つの電極に直流電圧を給電する。ボディを第2の位置に保持することが求められる限り、少なくとも一つの電極への直流電圧が維持される。直流動作モードは米国特許出願第10/206,717号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載されている。
【0011】
説明を分かり易くするために、以下、作動モータは垂直及び平行振動がモータの摩擦ナブに同時に発生するモードで作動すると仮定する。
【0012】
非作動モータの摩擦ナブにおける垂直振動の結果、各垂直振動サイクル中の比較的に短い時間、各モータの摩擦ナブはボディから引き離される。任意選択的に、非作動モータの垂直振動の振幅は、各垂直振動サイクル中に非作動モータがボディに接触する時間の長さを調整して最小化するように制御される。結果として、ボディの運動に対抗する、非作動モータの摩擦ナブと可動ボディとの間の摩擦力が実質的に軽減され、所定の少なくとも一つの作動モータは、非作動モータからの干渉を最も少なくしつつ、ボディに運動を伝達する。
【0013】
本発明の一部の実施形態において、作動モータの摩擦ナブが接触面に接触しているときに非作動モータの摩擦ナブがボディと接触しないように、非作動モータ及び作動モータにおける垂直振動は同期される。そのような実施形態のために、あたかも他方の非作動モータがボディに連結していないかのように、実質的に作動モータが可動ボディに運動を伝達する。
【0014】
本発明の一部の実施形態において、作動モータは可動ボディの重心から変位した作用線をもつ力を可動ボディ上にもたらし、可動体をその重心の周りに回転させるトルクを発生させる。本発明の一部の実施形態において、複数のモータの少なくとも2つは作動モータであり、ボディを所望の回転軸の周りに回転させるためのトルクを発生させるように制御される。
【0015】
本発明の一部の実施形態において、複数のモータのうちの一つのモータ(アンカーモータ)は、その摩擦ナブが可動ボディの接触面の「アンカー部」に常に接触するように制御される。複数のモータの少なくとも一つは作動モータであり、他のモータは非作動となる(つまり、それらの摩擦ナブが実質的に垂直振動のみを行う)ように制御される。少なくとも一つの作動モータは、アンカー部の周りに可動ボディを回転させるトルクをアンカー部の周囲に発生させる。
【0016】
従って、複数の圧電モータの各々の連結部をボディの表面に押圧することによって複数の圧電モータをボディに連結することと、ボディを動かすために表面に平行な力を加えるようにモータの少なくとも一つを制御することと、モータの少なくとも一つの連結部が表面と実質的に垂直な振動のみを行うように、モータの少なくとも一つを同時に制御することと、からなるボディを動かす方法が提供される。
【0017】
任意選択的に、表面に平行な力を加えるようにモータを制御することは、モータの連結部が表面に平行な振動成分を伴って振動するようにモータを制御することを含む。任意選択的に、本方法は、連結部がボディの表面に垂直な振動成分を伴って同時に振動するようにモータを制御することを含む。
【0018】
本発明の一部の実施形態において、各モータは、その動作を制御するために給電を受ける電極を備える。
【0019】
本発明の一部の実施形態において、表面に平行な力を加えるようにモータを制御することは、電極の少なくとも一つにパルス電圧を給電することを含む。
【0020】
付加的に又は代替的に、表面に平行な力を加えるようにモータを制御することは、前記電極の少なくとも一つに直流電圧を給電することを含む。
【0021】
本発明の一部の実施形態において、本方法は、第1の方向と第2の方向のいずれかに沿って選択的に可動となるように可動ボディを拘束する支持構造体に可動ボディを取り付けることを含む。任意選択的に、複数のモータを連結することは、モータの少なくとも一部が表面に第1の方向へ力を加えるように制御可能となるようにモータの少なくとも一部を連結することと、モータの一部がボディに第2の方向へ力を加えるように制御可能となるようにモータの一部を連結することと、を含む。
【0022】
本発明の一部の実施形態において、本方法は、同一平面に平行な任意の方向にボディを自由に動かすことを可能にする支持構造体に、ボディを取り付けることを含む。任意選択的に、前記複数のモータを連結することは、前記平面に平行な第1の方向へ前記表面に力を加えるように制御可能な第1のモータ対と、前記平面に平行な第2の方向へ前記表面に力を加えるように制御可能な第2のモータ対とを連結することを含む。任意選択的に、本方法は、ボディをそれぞれ第1又は第2の方向へ動かす力を表面に加えるように第1又は第2のモータ対を制御することと、力の結果生じる正味のトルクが実質的にゼロに等しくなるようにモータを制御することと、を含む。任意選択的に、本方法は、表面に平行な力を加える少なくとも一つのモータがボディを特定の部分の周りに回転させるトルクを発生させるように、モータのうちの第1のモータの接触部がボディの表面の特定の部分と常に接触するように、第1のモータを制御すること、を含む。付加的に又は代替的に、本方法は、2つのモータの接触部を通る直線上の点の周りにボディを回転させるトルクを発生させるように、モータ対をなすモータを制御すること、を含む。
【0023】
本発明の一部の実施形態において、複数のモータは、ボディの第2の位置においては複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、ボディの第1の位置において含む。任意選択的に、本方法は、第2の位置では複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、第1の位置において表面に平行な力を加えるように制御すること、を含む。
【0024】
更に、本発明の実施形態により、複数の圧電モータと、ボディを動かすために表面に平行な力を加えるようにモータの少なくとも一つを制御し、かつ同時に、表面に実質的に垂直な振動のみを行うようにモータの少なくとも一つを制御する制御装置と、を備える、ボディを動かすための機器が提供される。
【0025】
任意選択的に、ボディの表面は平面である。任意選択的に、本機器は、ボディを平表面に平行な第1の方向にのみ自由に動くことを可能にするボディに連結した第1の支持構造体と、第1の構造体を平表面に平行な第2の方向にのみ自由に動くことを可能にする第1の構造体に連結した第2の支持構造体と、を含み、モータの少なくとも一つは、表面に平行な第1の方向に力を加えるように制御可能であり、モータの少なくとも一つは、表面に平行な第2の方向に力を加えるように制御可能である。任意選択的に、本機器は、その上に平表面を載置し、表面に平行な任意の方向に表面を自由に移動可能にする、複数のベアリングを含む。
【0026】
任意選択的に、複数のモータは、表面に第1の方向へ力を加えるように制御可能な第1のモータ対と、表面に第2の方向へ力を加えるように制御可能な第2のモータ対と、を含む4つのモータからなる組の少なくとも1組を含む。任意選択的に、第1又は第2の方向にボディを動かすために、モータが表面に加える力の結果として生じる正味のトルクが実質的にゼロに等しくなるように、制御装置は第1又は第2のモータ対をそれぞれ制御する。本制御装置は、任意選択的に、少なくとも1つのモータの接触部が常に表面の特定の部分に接触するように少なくとも1つのモータを制御し、少なくとも一つのモータに加えられる表面に平行な力は表面を特定の部分の周りに回転させる。
【0027】
本発明の一部の実施形態において、本制御装置は、モータの連結部を通る直線上の点の周りに表面を回転させるトルクを発生させるように、第1のモータ対又は第2のモータ対を制御する。
【0028】
本発明の一部の実施形態において、表面は回転軸を有する円筒面である。任意選択的に、少なくとも一つのモータは、円筒面をその回転軸の周りに回転させる、表面に平行な力を加えるように制御可能であり、少なくとも一つのモータは、表面をその回転軸方向に並進させる、表面に平行な力を加えるように制御可能である。
【0029】
任意選択的に、表面は中心を有する球面である。任意選択的に、少なくとも一つのモータは、中心を通る第1の軸の周りに表面を回転させる表面に平行な力を加えるように制御可能であり、少なくとも一つのモータは、中心を通る第2の軸の周りに表面を回転させる表面に平行な力を加えるように制御可能である。
【0030】
本発明の一部の実施形態において、複数のモータは、ボディの第2の位置においては複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、ボディの第1の位置において含む。任意選択的に、制御装置は、第2の位置においては複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、表面に平行な力を加えるように第1の位置において制御する。
【0031】
本発明の実施形態の非限定的な例を、添付図面を参照しながら以下に説明する。図面においては、一つ以上の図面に現れる同一の構造、要素、又は部分は、概してそれが現れる全ての図面において同じ番号が付されている。図面に示される構成要素及び特徴の寸法は、説明の便宜及び明瞭さのために選ばれており、必ずしも一定の縮尺で示されてはいない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、本発明の実施形態により、複数の圧電モータを可動ボディに連結させるための配置20を概略的に示し、2つの選択可能な軸の各々に沿ってボディに直線運動を提供するようにモータを操作している様子を説明している。議論に関連する特徴の方向及び位置については、座標系21を参照する。
【0033】
例として、可動ボディはプレート22(以下、1対のx軸スライダー24に取り付けられた「運動プレート」と称する)であり、このプレートは1対のy軸スライダー26にも取り付けられている。プレートがスライダーによって支持され、スライダーに対してx軸方向に沿って後方又は前方に比較的に容易にプレートを動かすことができるように、運動プレート22は既知の様々な方法及び手段のいずれかを使用してx軸スライダー24に取り付けられている。y軸スライダー24と比べてx軸スライダー24を比較的に容易にy軸方向に沿って後方又は前方に動かすことができるように、既に利用可能な様々な方法を用いてx軸スライダー24はy軸スライダー24に取り付けられている。通常は図1の斜視図の視界から隠れてしまう運動プレート22の下方に配置されている要素を表示するために、運動プレート22が幽霊線で示されている。
【0034】
複数の圧電モータは任意選択的に2つのモータ31及び32を含み、これらは運動プレート22の底面34に連結している。本発明の実施形態により、モータ31及び32は、それぞれ「x軸」及び「y軸」モータであり、それらは後述のように運動プレート22をx軸及びy軸方向にそれぞれ動かすように動作する。
【0035】
本発明の実施形態により、実質的に、垂直及び/又は平行な振動を選択的に行うように制御可能な連結部(例えば、摩擦ナブ(friction nub))を有する任意の圧電モータを、本発明の実施に使用することができる。しかしながら、説明の便宜上、x軸モータ31及びy軸モータ32は、欧州特許出願公開第EP 0,755,054号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)、又は前述の米国特許第5,453,653号に記載のモータに類似したものと仮定する。
【0036】
各モータ31及び32は、2つの比較的に大きな平表面42を有する適切な圧電材料から形成される薄い矩形プレート40を任意選択的に備える。圧電プレート40は、長い側端面44と、短い上端面46及び底端面47とをそれぞれ有する。任意選択的に、摩擦ナブ48は上端面46上に配置される。摩擦ナブ48は、好ましくはアルミナ等の耐水材料から形成される。コイル、板ばね、又は弾性材料から形成されたボディ等の適切な弾性要素(図示せず)が、底(モータを底面に連結させるための運動プレート22の接触面23)にモータの摩擦ナブ48を弾性的に付勢するために、各モータ31及び32の底端面47を押圧する。
【0037】
任意選択的に、各モータ31及び32の表面42の1つは、4つの「四分割(quadrant)電極」50を有する。四分割電極50のそれぞれは、表面42の異なる四分割面の実質的に全体を覆う。各モータの別の表面42は、任意選択的に、表面42の全体を実質的に覆う比較的に大きな電極(図示せず)を有する。制御装置52は、各モータ31及び32の四分割電極50に連結されており、圧電プレート40と、延いては摩擦ナブ48を励振するために、大型電極に対して四分割電極に給電する。
【0038】
制御装置52は、任意の様々な既知の方法を使用して、運動プレート22の底面23に対して選択的に垂直及び/又は平行な振動を摩擦ナブ48に励振するために、適切な配置の電極に給電する。なお、圧電プレート40を基準にしたときの垂直及び平行な振動とは、慣用的には縦振動及び横振動と称されている。縦振動は圧電プレートの長寸法に平行であり、横振動は圧電プレートの大きな面の短寸法に平行である。
【0039】
例えば、摩擦ナブ48に垂直な振動を励振するために、制御装置52は任意選択的に大型電極に対して全ての四分割電極50に同じAC電圧を給電する。摩擦ナブ48に垂直及び平行な振動の両方を、そしてその結果、楕円振動を励振するために、任意選択的に制御装置52は、同じ対角線上の四分割電極には同じAC電圧を、別の対角線上の四分割電極には180°位相のずれたAC電圧を給電する。代替的に、摩擦ナブ48に楕円振動を励振するために、同じ第1の長端面44に沿った四分割電極50に同じAC電圧を給電し、第2の長端面44に沿った四分割電極50をフロートにする。x軸及びy軸モータ31及び32の楕円振動は、モータの圧電プレート40の面内に生じる。
【0040】
摩擦ナブの垂直振動は、同じ短端面46又は47に沿って同じAC電圧を四分割電極50に給電し、別の四分割電極をフロートにすることによって励振される。代替的に、垂直振動は、大型電極に対して全ての四分割電極50に同じ電圧を給電することによって励振される。
【0041】
摩擦ナブ48に垂直及び/又は平行な振動を発生させるためにモータ31及び32の電極配置に似た電極配置に給電する方法が、例えば、上記参照したPCT国際公開第WO 00/74153号及び米国特許第5,453,653号に記載されている。本発明の実施に適した垂直及び/又は平行な振動を励起できる、図1に示されるものとは別の配置を有する圧電モータの例は、上記で引用したPCT国際公開第WO 00/74153号その他の参照文献にも記載されている。
【0042】
本発明の実施形態により、運動プレート22を、例えば、正のy軸方向に動かすために、制御装置52はx軸モータ31の四分割電極50に給電して、x軸モータに垂直振動を、また、y軸モータ32に(制御装置52の位置からみて)時計回りの楕円振動を励振する。x軸モータ31の垂直振動は、モータの摩擦ナブ48に対応する垂直振動(太い両矢印51で図示される)を発生させる。y軸モータ32の時計回りの楕円振動は、摩擦ナブ48に対応する時計回りの楕円振動(楕円53で図示される)を発生させる。
【0043】
x軸モータ31の垂直振動51は、各振動サイクルの少なくとも一部分の間、実質的に運動プレート22からモータを切り離す。y軸モータ32の楕円振動53は、運動プレート22に正のy軸方向へ運動を伝達する。x軸モータ31が運動プレート22から実質的に切り離されているため、x軸モータの摩擦ナブ48とプレート22との間の摩擦力(この摩擦力はプレート22の運動を妨げる)が実質的に軽減される。結果として、x軸モータ31からの干渉をほとんど又は実質的に受けること無く、y軸モータ32はy軸方向のプレートの運動を制御する。
【0044】
本発明の一部の実施形態において、x軸モータ31の垂直振動はy軸モータ32の楕円振動に180°位相をずらして同期している。結果として、y軸モータ32の摩擦ナブ48が運動プレート22の底面23と接触するときに、x軸モータ31の摩擦ナブ48はプレート22とは接触せず、y軸モータ32によって底面に加えられる力が、あたかもx軸モータが無いかのようにプレート22へ作用する。x軸モータ31とy軸モータ32との位相のずれた動作は、y軸モータがプレート22に並進運動を伝達する効率を実質的に最大にする。当然ながら、x軸モータ31の摩擦ナブ48が運動プレート22の底面23に接触していないときには、摩擦ナブはプレートの運動に対抗する比較的に小さな摩擦力をプレート22に加える。この比較的に小さな摩擦力のために、y軸モータ32によって加えられる調整力は、運動プレート22による運動エネルギーの損失を容易に補償する。
【0045】
運動プレート22をx軸方向(例えば、負のx軸方向)に沿って動かすためには、x軸モータ31とy軸モータ32の役割が反対になる。x軸モータに反時計回りの楕円振動を励振させるためには、x軸モータ31が作動モータとなり、制御装置52はx軸モータの四分割電極50に給電する。y軸モータ32は非作動モータとなり、制御装置52はy軸モータに垂直振動を励振させるためにy軸モータの四分割電極50に給電する。
【0046】
図2は、本発明の実施形態により、可動要素に連結された圧電モータの別の配置を概略的に示している。例として、可動要素は運動プレート22である。運動プレート22は、その上に運動プレートが置かれる複数のローラー・ベアリング64からなるベアリングプレート62の上に載置される。ベアリング64の上に載置する結果、運動プレート22はベアリングプレート62の面に平行な任意の方向に自由に動くことができる。
【0047】
例として、本発明の実施形態により、図1に示すモータ31及び32に構造が類似した4つの圧電モータ71、72、73及び74は、運動プレート22の運動及び位置決めを制御する。モータは、ベアリングプレート62における引用符号64の穴を通って突出し、運動プレート22の底面23を押圧するために弾性的に付勢されるように、任意の様々な既知の方法を使用して、ベアリングプレート62の下方に配置された支持構造体(図示せず)上に任意選択的に取り付けられる。モータ71及び73はx軸モータであり、モータ72及び74はy軸モータである。モータは制御装置52によって制御される。任意選択的に、各x軸モータ71及び73は、y軸モータ72及び74から等距離にあり、各y軸モータは各x軸モータから等距離にある。
【0048】
本発明の実施形態により、モータ71、72、73及び74は、運動プレート22を選択的にx軸又はy軸方向に動かすように、及び/又は、運動プレート22を回転させるように制御される。例えば、運動プレート22をx軸に平行に負のx軸方向に動かすために、制御装置52は、運動プレート22からy軸モータを切り離す垂直振動(両矢印76により概略的に図示される)を行うために、任意選択的にy軸モータ72及び74を励振する。任意選択的に反時計回りの楕円振動(楕円75及び77により概略的に図示される)を行い、運動プレート22に負のx軸方向へ力を加えるために、制御装置52はx軸モータ71及び73を励振する。
【0049】
なお、図2に示される本発明の例示的な実施形態又は類似の配置に対して、運動プレート22をx軸に平行に動かすためには、一般に、x軸方向に沿って力を加えるために少なくとも2つの圧電x軸モータが励振される必要がある。もし、運動プレート22に力を加えるために唯一つのx軸モータのみが励振されると、運動プレート及びそれに取り付けられた任意の負荷を合わせた質量の重心を通り運動プレートに垂直な線を力の作用線が横切らない限り、力は運動プレートを回転させるトルクを発生させる。そのような回転を防ぎ、運動プレート22及びその負荷をx軸と平行に動かすために、本発明の実施形態により、少なくとも2つの圧電モータを動作させてプレートにx軸方向へ力が加えられる。少なくとも2つのモータによって加えられる力は、プレート上の正味のトルクと負荷がゼロに等しくなるように、釣り合わされる。
【0050】
力を釣り合わせるために、任意選択的に、既知の適切な少なくとも一つの位置モニタ及び/又は少なくとも一つの加速度計を使用して、運動プレート22の位置及び/又は加速度が監視される。制御装置52は、少なくとも一つの位置モニタ及び/又は少なくとも一つの加速度計から入力信号を受信して、運動プレート22の望ましくない回転及び/又は運動プレートへの正味のトルクの作用があるかどうかが決定される。制御装置は、運動プレートがx軸に平行に動くようにモータが運動プレート加える力を釣り合わせるために、決定された回転及び/又はトルクに応じて、少なくとも二つの圧電モータ(例えば、図2に示される典型的な事例に対しては、x軸モータ71及び73)を制御する。
【0051】
x軸モータ71及び73とy軸モータ72及び74の役割を交換することによって、y軸に平行な運動が提供される。制御装置52は、垂直振動を起こすためにx軸モータ71及び73を、楕円振動を起こすためにy軸モータ72及び74を制御する。この垂直振動と楕円振動は、y軸モータがプレート22に加える正味のトルクが実質的にゼロに等しくなるように制御される。xy平面に平行で、x軸にもy軸にも平行でない運動プレート22の直線運動は、プレートに運動を伝達するx軸モータ及びy軸モータを交互に制御することによって近似することができる。
【0052】
上述の議論から推論されるように、図2に示される配置に類似した、本発明の実施形態による可動ボディに連結された圧電モータを、ボディに直線運動のみならず回転運動も提供するように制御することができる。例えば、運動プレート22を、本発明の実施形態により、運動プレートと任意の圧電モータ71、72、73及び74の摩擦ナブ48との間の接触点の周りを回転するように制御することができる。
【0053】
x軸モータ71の摩擦ナブ48が運動プレートに接触する点の周りに、運動プレート22を(運動プレートの上方のz軸上の点から見て)時計回りに回転させることが望まれていると仮定する。その結果、制御装置52は、運動プレート22との一定の接触を維持するためにx軸モータ71を振動しないように制御し、任意選択的に、y軸モータ72及び74を垂直振動させながらx軸モータ73を時計回りに楕円振動させるように制御する。x軸モータ71の摩擦ナブ48間の摩擦接触は、運動プレート22の摩擦ナブと運動プレートとの接触点の平行移動を阻害し、y軸モータ72及び74の垂直振動がy軸モータを運動プレートから切り離す。x軸モータ73の楕円振動は、運動プレートを接触点の周りで回転させるトルクを発生させる力を加える。
【0054】
x軸モータ73及びy軸モータ72と74のうちの一方を制御することによって、垂直振動を起こすために運動プレート22を接触点の周りに回転させることは当然可能である。y軸モータ72と74のうちの他方は、運動プレート22を時計回りに回転させるトルクを発生させるために、時計回りの楕円振動を行うように制御される。しかしながら、トルクを発生させるためにy軸モータを使用して圧電モータ71の摩擦ナブ48とプレートとの接触点の回りに運動プレート22を回転させることは、図2に示される配置に対して、一般にトルクを発生させるためにx軸モータ72を使用するよりも効率が悪い。所定の力に対して、y軸モータ72又は74はx軸モータ73よりも短いモーメントの腕に作用する。
【0055】
本発明の実施形態により、モータの一つの摩擦ナブ48とプレートとの接触点以外の点の周りに運動プレート22を回転させるように、モータ71、72、73及び74を制御することも可能である。例えば、適切な力を運動プレートの底面22に加えるようにx軸モータを制御することによって、運動プレート22とx軸モータ71及び73の摩擦ナブ48との接触点と通って延びる直線上の実質的に任意の点の周りに運動プレート22を回転させることができる。
【0056】
図3は、本発明の別の実施形態により、複数の圧電モータを運動プレート22に連結させるための別の配置80を概略的に示している。
【0057】
図2に示される構成60と同様に、配置80においては、その上に運動プレート22が載置されるローラー・ベアリング64を有するベアリングプレート62に運動プレート22が取り付けられている。しかしながら、運動プレート22の運動を制御するために4つの圧電モータ71、72、73及び74が使用される図3の配置80とは異なり、配置80においては、運動プレートの運動を制御するために4つより多い複数の圧電モータが使用される。所定の大きさの運動プレート22に対して、図3に示される複数のモータは、配置80よりも大きな運動プレートの位置決め範囲を提供する。
【0058】
複数のモータは、複数のx軸モータ81及び複数のy軸モータ82からなる。ベアリングプレート62上の運動プレート22の実質的に任意の位置に対して、少なくとも2つのx軸モータ81と少なくとも2つのy軸モータ82を運動プレートの底面23に接触させて、運動プレートに運動を伝達させるように制御できるように、モータを配置することができる。任意選択的に、x軸モータ81及びy軸モータ82は、各グループが2つのx軸モータと2つのy軸モータから構成されるように、4つのグループに分けられる。4つのモータからなる同じグループに属するx軸及びy軸モータは、ベアリングプレート62の同じ穴84を通って突出する。任意選択的に、4つのモータからなる同じグループに属するモータは、図2に示される配置60においてx軸モータ71と73及びy軸モータ72と74の配置のされ方と同様に互いに対して配置される。
【0059】
運動プレート22を動かすために、図2に示されるx軸及びy軸モータ71、72、73及び74が運動プレート22を動かすために制御される方法と同様に、x軸モータ81とy軸モータ82とが制御装置52によって制御される。しかしながら、本発明の実施形態により、図2に示される配置80によって提供される範囲より実質的に広いx軸距離範囲及びy軸距離範囲にわたって運動プレート22を動かすようにx軸モータ81とy軸モータ82を制御することができる。x軸モータ81の唯一つの組がプレートを動かせる距離よりも大きなx軸距離にわたって運動プレートを動かすために、一対のx軸モータ81から次の一対のx軸モータへ運動プレート22を「手渡す」ようにx軸モータ81を制御することができる。同様にして、y軸モータ82の唯一つの対がプレートを動かせる距離よりも長いy軸距離にわたって運動プレートを動かすために、一対のy軸モータ82から次の一対のy軸モータへ運動プレート22を手渡すようにy軸モータ82は制御可能である。
【0060】
例えば、座標系21の原点から正のx軸方向へ最も遠くに配置されたx軸モータ対ではない、第1のx軸モータ対81を考える。第1のx軸モータ対81が正のx軸方向に沿って、それ以上はプレートを正のx軸方向に動かすことのできない位置まで運動プレート22を動かす前に、プレート22は第2のx軸モータ対81を越えた位置に到達する。x軸モータ81又はy軸モータ82の第2の対は、正のx軸方向にプレートを動かし続けるように制御可能である。
【0061】
本発明の実施形態により、x軸モータ81又はy軸モータ82の第1の対からx軸モータ81又はy軸モータ82の第2の対への運動プレート22の滑らかな受け渡しを容易にするために、運動プレート22の底面23は端部に沿って傾斜が付けられている。加えて、x軸圧電モータ81又はy軸圧電モータ82を底面23に向けて付勢する弾性要素の運動は、モータが運動プレート22の下方にないときに、その摩擦ナブ48は底面23の傾斜した端部より上に突出しないように制限される。結果として、運動プレート22がx軸又はy軸圧電モータに接近して通過すると、モータの摩擦ナブ48は徐々にかつ滑らかに底面と接触する。
【0062】
図4Aから図4Dは、図3に示される配置の線AAで示される面における概略的な断面図を示す(図面では、説明の便宜上、ベアリングプレート62は図示されていない)。この断面図は、本発明の実施形態により、第1のx軸モータ対81がプレートをx軸方向に動かす位置から第2のx軸モータ対81がプレートをx軸方向に動かす位置へ動いている運動プレート22を説明する。矢印90は、プレート22の運動の方向を示す。図4A〜4Dには、議論に密接な関係のある特徴のみが示されている。図3に示されるベアリングプレート62は図4A〜4Dには示されておらず、第1のx軸モータ対81のうちの唯一つのx軸圧電モータ91と、第2のx軸モータ対81のうちの一つのx軸圧電モータ92が図示されている。
【0063】
座標系21のxy平面(図3)に平行な比較的に大きな水平面102と端部100に沿った傾斜面104とから底面が構成されるように、底面23には底面の端部100に沿って傾斜が付けられている。空間的基準の説明のため、図3に示される座標系21のx軸及びz軸が図4A〜4Dに示されている。
【0064】
運動プレート22の底面23に向けて、モータを正のz軸方向へ上方に付勢する弾性要素111及び112をそれぞれ有する適切な支持構造体106に、各モータ91及び92が取り付けられている。弾性要素111及び112の伸展は、モータ91又は92が運動プレート22の下方にない場合に、モータの摩擦ナブ48が運動プレートの端部100より上に(z軸方向に)突出しないように、既知の方法及び手段を用いて、z軸方向に限定される。
【0065】
図4Aにおいて、x軸モータ91は運動プレート22の下方に配置され、その摩擦ナブ48は弾性要素111によって水平面102へ弾性的に押圧されていれる。運動プレート22をx軸方向にx軸モータ92の方へ動かすために、摩擦ナブは楕円114で表される時計回りの楕円振動を行う。x軸モータ92は、運動プレート22の端部100の真下に配置されているが、弾性要素112の正のz軸方向の運動が限定されているため、モータの摩擦ナブ48が端部を越えて突出することはない。望ましくは、図4Aに示されるように、弾性要素112が伸展の限界にある場合、摩擦ナブ48は端部100のz座標より少し下方のz座標に配置される。
【0066】
図4Bにおいて、既にx軸モータ91は、モータ92の摩擦ナブ48が最初に傾斜面104に達する位置までx軸モータ92に向けて運動プレート22を動かしている。x軸モータ92が傾斜面104に達する前に、又は丁度傾斜に達したときに、制御装置52(図3)は任意選択的に、摩擦ナブと傾斜面との摩擦を軽減するために、両矢印116で表される垂直振動を行うようにx軸モータ92を制御する。
【0067】
図4Cにおいて、既にx軸モータ91は、x軸モータ91とx軸モータ92の両方の摩擦ナブ48が運動プレート22の水平面102と接触する位置まで運動プレートを移動させている。既に制御装置52は、運動プレート22の運動の制御をx軸モータ91からx軸モータ92へ「受け渡し」ている。制御装置は、運動プレートをx軸方向に動かし続けるために時計回りの楕円振動118を行うようにx軸モータ92を制御しており、また、モータの摩擦ナブ48と水平面102との摩擦を軽減するために垂直振動120を行うようにx軸モータ91を制御している。
【0068】
図4Dにおいて、既に運動プレート22は、x軸モータがそれ以上運動プレートに接触しないよう、x軸モータ92によってx軸方向に動かされている。弾性要素106はその最大長さまで伸展しており、摩擦ナブ48は運動プレートの水平面102のz軸座標よりも大きいが、端部100のz軸座標よりも小さなz軸座標に配置されている。
【0069】
上述の本発明の例示的な実施形態の記載において、複数の圧電モータによって動かされるボディは平面ボディであるが、本発明の実施は平面ボディに限定されるものではない。本発明の実施形態による複数の圧電モータに連結されるボディは、例えば、円筒形あるいは円形であってもよい。
【0070】
図5は、本発明の実施形態により、任意選択的に円柱ボディ134に連結した2つの圧電モータ131及び132からなる配置130を概略的に示す。モータ131が作動で、モータ132が非作動のとき、モータ131は円柱ボディ134をその軸136の周りに回転させる。他方、モータ131が非作動でモータ132が作動のとき、モータ132は円柱ボディ134をその軸方向に並進させる。
【0071】
図6は、本発明の実施形態により、任意選択的に球状ボディ144に連結した圧電モータ141及び142を含む配置140を概略的に示す。モータ141が作動で、モータ142が非作動のとき、モータ141は球状ボディ144を軸147の周りに回転させる。他方、モータ142が作動で、モータ141が非作動のとき、モータ142は球状ボディを軸148の周りに回転させる。
【0072】
本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「〜を含む」、「〜を備える」、「〜からなる」、「〜から構成される」、「〜を有する」、「〜をもつ」の各動詞及びそれらの同根語は、その動詞の目的語が、その動詞の主語の部材、構成要素、要素又は部品を必ずしも完全に列挙していないことを示すために使用されている。
【0073】
本発明をその実施形態の詳細な記載によって説明してきたが、それらは例として提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを目的としたものではない。記載されている実施形態は様々な特徴を含んでいるが、それら特徴の全てが本発明の全ての実施形態に必要とされるわけではない。本発明の一部の実施形態は、特徴の一部のみ又は可能な特徴の組み合わせを利用する。当業者は、記載されている本発明の実施形態の変形、及び、記載されている実施形態に示される特徴の様々な組み合わせを含む本発明の実施形態を想到するであろう。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態により、複数の圧電モータを可動ボディに連結させる方法を概略的に示し、2つの選択可能な軸の各々の方向へボディに直線運動を提供するようにモータを操作することを説明する図である。
【図2】本発明の実施形態により、2つの選択可能な軸の各々の方向へボディに直線運動を提供するために、複数の圧電モータを可動ボディに連結させる別の方法を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態により、複数の圧電モータを可動ボディに連結させる(複数のモータの全てが同時にボディに連結するとは限らない)方法を概略的に示す図である。
【図4A】本発明の実施形態により、図3に示されるボディ及びモータの断面図を示し、ボディが動かされたときに、ボディに連結した複数のモータのうちの特定のモータがどのように変化するかを説明する図である。
【図4B】本発明の実施形態により、図3に示されるボディ及びモータの断面図を示し、ボディが動かされたときに、ボディに連結した複数のモータのうちの特定のモータがどのように変化するかを説明する図である。
【図4C】本発明の実施形態により、図3に示されるボディ及びモータの断面図を示し、ボディが動かされたときに、ボディに連結した複数のモータのうちの特定のモータがどのように変化するかを説明する図である。
【図4D】本発明の実施形態により、図3に示されるボディ及びモータの断面図を示し、ボディが動かされたときに、ボディに連結した複数のモータのうちの特定のモータがどのように変化するかを説明する図である。
【図5】本発明の実施形態により、円柱ボディに連結した複数の圧電モータを概略的に示す図である。
【図6】本発明の実施形態により、球状ボディに連結された複数のモータを概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧電モータの各々の連結部をボディの表面に押圧することによって、前記モータを前記ボディに連結することと、
前記ボディを動かすために前記表面に平行な力を加えるように前記モータの少なくとも一つを制御することと、
前記モータの少なくとも一つの連結部が前記表面と実質的に垂直な振動のみを行うように、前記モータの少なくとも一つを同時に制御することと、
からなるボディを動かす方法。
【請求項2】
前記表面に平行な力を加えるように前記モータを制御することは、前記モータの前記連結部が前記表面に平行な振動の成分を伴って振動するように前記モータを制御することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連結部が前記ボディの前記表面に垂直な振動成分を伴って同時に振動するように前記モータを制御することを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各モータは、その動作を制御するために給電を受ける電極を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記表面に平行な力を加えるように前記モータを制御することは、前記電極の少なくとも一つにパルス電圧を給電することを含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記表面に平行な力を加えるように前記モータを制御することは、少なくとも一つの前記電極に直流電圧を給電することを含む、
ことを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1の方向と第2の方向のいずれかに沿って選択的に可動となるように前記可動ボディを拘束する支持構造体に前記可動ボディを取り付けることを含む、
請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記複数のモータを連結することは、前記モータの少なくとも一部が前記表面に前記第1の方向へ力を加えるように制御可能となるように前記モータの少なくとも一部を連結することと、前記モータの一部が前記ボディに前記第2の方向へ力を加えるように制御可能となるように前記モータの一部を連結することと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
同一平面に平行な任意の方向に前記ボディを自由に動かすことを可能にする支持構造体に、前記ボディを取り付けることを含む、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記複数のモータを連結することは、前記平面に平行な第1の方向へ前記表面に力を加えるように制御可能な第1のモータ対と前記平面に平行な第2の方向へ前記表面に力を加えるように制御可能な第2のモータ対とを連結することを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ボディをそれぞれ前記第1又は第2の方向へ動かす力を前記表面に加えるように第1又は第2のモータ対を制御することと、
前記力の結果生じる正味のトルクが実質的にゼロに等しくなるように前記モータを制御することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記表面に平行な力を加える前記少なくとも一つのモータが前記ボディを特定の部分の周りに回転させるトルクを発生させるように、前記モータのうちの第1のモータの接触部が前記ボディの前記表面の前記特定の部分と常に接触するように、前記第1のモータを制御すること、
を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記2つのモータの前記接触部を通る直線上の点の周りに前記ボディを回転させるトルクを発生させるように、モータ対をなす前記モータを制御すること、
を含む、
ことを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記複数のモータは、前記ボディの第2の位置においては前記複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、前記ボディの第1の位置において含む、
ことを特徴とする上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記第2の位置では前記複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、前記第1の位置において前記表面に平行な力を加えるように制御すること、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複数の圧電モータと、
前記ボディを動かすために前記表面に平行な力を加えるように前記モータの少なくとも一つを制御し、かつ同時に、前記表面に実質的に垂直な振動のみを行うように前記モータの少なくとも一つを制御する制御装置と、
を備える、ボディを動かすための機器。
【請求項17】
前記ボディの前記表面は平面である、
ことを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項18】
前記ボディを前記平表面に平行な第1の方向にのみ自由に動くことを可能にする前記ボディに連結した第1の支持構造体と、
前記第1の構造体を前記平表面に平行な第2の方向にのみ自由に動くことを可能にする前記第1の構造体に連結した第2の支持構造体と、
を含み、
前記モータの少なくとも一つは、前記表面に平行な前記第1の方向に力を加えるように制御可能であり、前記モータの少なくとも一つは、前記表面に平行な前記第2の方向に力を加えるように制御可能である、
ことを特徴とする請求項17に記載の機器。
【請求項19】
その上に平表面を載置し、前記表面に平行な任意の方向に前記表面を自由に移動可能にする、複数のベアリングを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項20】
前記複数のモータは、前記表面に第1の方向へ力を加えるように制御可能な第1のモータ対と、前記表面に第2の方向へ力を加えるように制御可能な第2のモータ対と、を含む4つのモータからなる組の少なくとも1組を含む、
ことを特徴とする請求項19に記載の機器。
【請求項21】
前記第1又は第2の方向にボディを動かすために、前記モータが前記表面に加える力の結果として生じる正味のトルクが実質的にゼロに等しくなるように、前記制御装置は前記第1又は第2のモータ対をそれぞれ制御する、
ことを特徴とする請求項20に記載の機器。
【請求項22】
前記制御装置は、少なくとも1つのモータの接触部が常に前記表面の特定の部分に接触するように前記少なくとも1つのモータを制御し、前記少なくとも一つのモータに加えられる前記表面に平行な力は前記表面を前記特定の部分の周りに回転させる、
ことを特徴とする請求項21に記載の機器。
【請求項23】
前記制御装置は、前記モータの前記連結部を通る直線上の点の周りに前記表面を回転させるトルクを発生させるように、前記第1のモータ対又は前記第2のモータ対を制御する、
ことを特徴とする請求項19から22のいずれかに記載の機器。
【請求項24】
前記表面は回転軸を有する円筒面である、
ことを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項25】
少なくとも一つのモータは前記円筒面をその回転軸の周りに回転させる前記表面に平行な力を加えるように制御可能であり、少なくとも一つのモータは前記表面をその回転軸方向に並進させる前記表面に平行な力を加えるように制御可能である、
ことを特徴とする請求項24に記載の機器。
【請求項26】
前記表面は中心を有する球面である、
ことを特徴とする請求項25に記載の機器。
【請求項27】
少なくとも一つのモータは、前記中心を通る第1の軸の周りに前記表面を回転させる前記表面に平行な力を加えるように制御可能であり、少なくとも一つのモータは、前記中心を通る第2の軸の周りに前記表面を回転させる前記表面に平行な力を加えるように制御可能である、
ことを特徴とする請求項26に記載の機器。
【請求項28】
前記複数のモータは、前記ボディの第2の位置においては前記複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、前記ボディの第1の位置において含む、
ことを特徴とする請求項16から27のいずれかに記載の機器。
【請求項29】
前記制御装置は、第2の位置においては前記複数のモータに含まれない少なくとも一つのモータを、前記表面に平行な力を加えるように第1の位置において制御する、
ことを特徴とする請求項28に記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−524339(P2007−524339A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500348(P2007−500348)
【出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000188
【国際公開番号】WO2005/081331
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(301012483)ナノモーション リミテッド (5)
【Fターム(参考)】