説明

多機能ろ過装置および浄化フローシステム

【課題】一つのろ過装置で各種ろ過材の欠点を解消又は利点のみを発揮させうる為の複数のろ過層からなり、各々のろ過層容器の脱着を自在に出来、逆洗洗浄排水と同時に発生する排熱を不要化する多機能ろ過装置及び浄化フローシステムを提供する。
【解決手段】軽量で自在に脱着可能の複数の筒状ろ過層容器とヘアーキャッチャー機能を内蔵できるろ過装置とし、各々の容器内に蘇生浄化ろ過材を主とする複数のろ過材をろ過浄水の目的に応じて複数又は単独で投入し、ろ過装置の仕様目的を簡単に変更対応させ、物理生物ろ過機能を併せ持つ多機能ろ過装置及び浄化フローシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プール水、浴湯、冷却水、池、溶液の浄化目的で利用する循環用ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の循環ろ過装置は砂ろ過装置が主流となっているが、循環水を浄化するために相応のろ過表面積を必要とし、厚い支持砂利層を含めた複数のろ過層で構成し、且つ、砂ろ過材の逆洗洗浄時にろ過装置内上部の空間に砂ろ過材の表層汚れを吐き出させて泳がしながら排水浄化する広い空間が必要となりろ過装置内部全体の体積は非常に大きくなる。このためにろ過装置本体が非常に大きくなり広い設置スペースを必要とし、砂ろ過材は重く装置自体を堅牢化する必要から重量物となるために運搬設置の取扱いも厄介であった。又、汚れは主に砂ろ過材の表面に蓄積されるため頻繁な逆洗洗浄排水が必要となり、温浴と温水プールの場合は同時に排熱することになるためランニングコストのロスは避けられなかった。更に、循環水を砂ろ過装置内に通水ろ過させる為には、砂ろ過材の通水抵抗値が高いため強い圧送力が必要となり、圧送力の強いポンプが必要で高価になることは避けられず、かつ消費電気料の負担も大であった。また、砂ろ過材は循環原水に含有する物質によっては固化し易いため、水みち(チャネリング)が出来やすくろ過浄化不良となったり、非通水ろ過層部にはレジオネラ属菌の巣屈になる課題点もあった。
他方、被処理水の脱遊離塩素の効果的浄水を目的とするものには、砂の代りに液性調整媒体を採用し、それを合金含有媒体を多段及び/又は多層に配置した浄化装置(実開平7−17386)があるが、これも重量が大となるため砂ろ過装置と類似する堅牢な重量物となることは避けられず、且つ、ろ過材が固化して通水性が不均一となる砂ろ過装置と共通する課題点も残り、また、各種複数の媒体浄化材の交換も砂ろ過材と同様に容易ではなく専門家に委ねねばならなかった。
【0003】
これらの課題点を改善するものとして繊維製カートリッジフィルターろ過装置が提案され、利用されているが、循環水の汚れ度合いが増すほどにフィルターの目詰まりが早く(逆洗洗浄不可)、そのカートリッジフィルターの交換も専門家にしか出来ないことや砂ろ過装置と同様、強い圧送ポンプが必要なことなどコストアップが避けられないことから利用目的や分野は限られている。
【0004】
更に、珪藻土を活用するろ過装置があるが、頻繁なプリコート(珪藻土の脱着工程)が必要であり、かつろ過装置及び関連付帯設備や汚れた珪藻土の二次処理問題を抱えるため普及は低迷しており、用途分野もプール水の循環ろ過にほぼ限られ、浴湯や冷却循環水及び池の循環浄水目的には活用されないでいる。
【0005】
ところで新たに、開発された螺旋形状ろ過材(特許番号第―3328349号)や赤外線等複数の電磁波を放射するセラミックスパウダーを練り込んで製品化した樹脂製螺旋形状蘇生浄化材(特許公開2005−161198号)を、従来の砂ろ過装置内に砂ろ過材の代わりに充填してプール水や浴湯の浄化目的に活用する試みもなされている。
【特許文献1】特許番号―3328349
【特許文献2】特許公開2005−161198 しかし、従来の砂ろ過装置の体積は大きく、樹脂製螺旋形状ろ過材や樹脂製螺旋形状蘇生浄化材を必要充填量以上投入しなければならず、ろ過材の費用が嵩んでいた。また、砂ろ過装置本体は圧力容器であるため、ろ過材交換時の出し入れ口の蓋は堅牢で誰でも簡単に開閉できず、ろ過装置蓋の開閉は必要時毎に専門家に委ねねばならなかった。更に、螺旋形状ろ過材と蘇生浄化材は循環原水に含有する酸化鉄の溶出した色素や超微粒子無機物の急速物理ろ過除去機能は弱く、このようなろ過の場合には砂ろ過装置を併用しなければならない場合も生じていた。
【0006】
他方、砂ろ過装置に替わって循環水に含有する色素や超微粒子の急速物理ろ過機能を有するものとしては繊維製球状ろ過材があるが、球状ろ過材に捕脱された色素や超微粒子状の無機物は砂ろ過材の場合のように逆洗浄では十分除去できず、エアーレーション攪拌洗浄方法を併用することが必要であり、多くの時間とエネルギーを消費し、且つ、完全な除去に限度があり浄化効果は長期維持できず、ある程度の時期に球状ろ過材の浄化機能の低下と共に交換が必要となるなど管理やコスト面での課題点を抱いていた。
【0007】
これらとは別に、冷却循環水系に蘇生浄化材をパンチングボックスに内蔵させて冷却塔内水槽部に投入して、スケールの付着抑制により、前記のものに比して熱効率向上、省化学薬品化、メンテフリー化の目的を達成しようとする試みもなされているが、定期的に蘇生浄化材内蔵のパンチングボックスを取り出して分解し、内蔵されている蘇生浄化材を取り出して清掃保守しなければならないなどの煩雑さは依然として解消できなかった。この場合には、冷却循環水中の一部分浄化が行われるに過ぎず、十分な物理ろ過機能を発揮するまでに至っていないのが現状である。
【0008】
又、いずれのタイプの循環水用ろ過装置の場合も入り口手前には、場合によっては粗いゴミを分離する目的のヘアーキャッチャー装置(ストレーナー)が必要となるがその場合、循環フロー全体のスペースも広く確保しなければならないという問題が常に生じていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような従来のろ過装置の欠点に鑑み、一つの筒状のろ過装置内に浄化目的に合わせて選択する軽量な一つないし複数のろ過材をろ過層容器に充填してセットし、その各種ろ過材の欠点を解消又は利点のみを発揮させうるようにしたろ過装置を提供するものであり、さらに各々のろ過層容器の脱着を自在にしてろ過材の洗浄も容易にした、多機能ろ過装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、筒状のろ過装置内に複数の筒状のろ過層容器を直列に内蔵させ、該筒状のろ過層容器には循環水の浄化目的に応じて比重が1以下の軽量な蘇生浄化材、螺旋ろ過材、多孔性ろ過材、炭ろ過材、スポンジ状ろ過材、繊維ろ過材、制菌材の中から一つ又は複数を選択充填してなる多機能ろ過装置としたものである。しかして、一例として10リットルろ過材の体積あたりの重量をみると砂ろ過材は約20kgであるが、樹脂製蘇生浄化ろ過材や繊維性球状ろ過材は1kg以内であり、砂ろ過材の1/20以下である。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、筒状のろ過装置内に、更にヘアーキャッチャー機能を有する容器を内臓させたところの多機能ろ過装置である。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の多機能ろ過装置を組み込んだ循環水の浄化フローシステムであり、プール水、浴湯、冷却水、池、各種溶液の循環系に請求項1又は2に記載の多機能ろ過装置を組み込んで循環水の浄化を行なわせるようにしたものである。
【0013】
以上のように構成した、本発明の請求項1の発明においては、筒状ろ過容器に選択して
充填する何れのろ過材も、軽量(10リットル体積では砂ろ過材が約20kgだが、樹脂
製蘇生浄化ろ過材や繊維性球状ろ過材は約1kgで砂ろ過材の1/20以下その他のもの
も比重は1以下)であり、かつ砂ろ過材のように流体と接する約上半分の表面積でろ過浄
化するものでなく、体積全表面がろ過面となる。したがって、砂ろ過材に比べて少量のろ
過材であっても十分なろ過がなされる。また、ろ過材は軽量であるためろ過層容器の脱着
(充填する各種ろ過材の洗浄作業はろ過装置内部から出してしまえば至って簡略である)
が容易であり、逆洗洗浄が不要となる。このため逆洗洗浄排水及び温浴や温水プールの場
合の逆洗排水時の排熱もなくすることが出来ることから節水と省エネが同時に実現される。
さらに、逆洗洗浄を不要化することができるのでろ過装置内上部の広い空間も不要化でき、
小型省スペース化することも出来る。さらに、蘇生浄化材や球状ろ過材は通水性に優れて
いるのでレジオネラ属菌の巣屈化を抑制し、且つ、従来の砂ろ過装置の場合の時のような
強い圧送力のポンプは不要となり、より小型のポンプを使用できることによる節電型のろ
過装置となる。そしてさらに、請求項1においては、循環浄水処理水の浄化目的や水や溶
液の汚濁度合いや溶融物質の状態により、何時でもろ過材の選択を自在に行い得るので交
換や運営管理が容易なろ過装置となる。例えば、浴湯用源泉に鉄分が多量に混入し浴湯に
赤色の発色がでれば多機能ろ過装置内のろ過層容器を取り出し、全てのろ過材を繊維製球
状ろ過材(商品名:バイオボール)に交換してろ過装置に再装着し、浴湯を循環させ着色
した浴湯の鉄分を繊維製球状ろ過材(商品名:バイオボール)に吸着除去してから再度蘇
生浄化材に戻すことによりろ過効率を向上させることができる。また、ろ過装置本体が軽
量化されるため、運搬、搬入、設置や移設作業時の取扱いも極めて安易であり、さらに、
複数のろ過装置を設置する場合でも、砂ろ過装置の場合のように平面の広いスペースを必
要とせずに、複数のろ過装置を鉄骨枠組みで2段に積上げて設置できるので省スペース型
のろ過装置となる。加えて、軽量低圧力型のろ過装置であるために蓋はワンタッチ開閉タ
イプとすることが出来、ろ過装置内部の点検管理も極めて簡略となる。
【0014】
次に、本発明の請求項2に記載の発明によれば、水や溶液の循環系路に設置するヘアーキャッチャー装置の代わりにそれをろ過装置に内蔵させたものであり、これを循環フローシステムに組み込んだ場合には省スペースの循環フローシステムとすることができる。
尚、ろ過装置に内蔵するヘアーキャッチャー容器は、ろと状に形成すれば、単位異物の捕
脱面積は、従来のヘアーキャッチャー装置の体積と異物の捕脱面積より広くできることに
なり、従来のような頻繁な蓋の開閉を行って異物除去の手入れ期間は延長し省力化できる
ことになる。また、同時にろ過装置内のろ過材の状態も容易に点検把握できるようになる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、プール水、浴湯、冷却水、池、各種溶液の循環系路に請求項1又は2に記載の多機能ろ過装置を組み込んでなる循環水や各種溶液の浄化フローシステムであり、これによれば、小型・軽量のろ過装置の組み込みとなるためその設置が容易であり、かつヘアーキャッチャー装置を不要化できるので省スペースの循環フローシステムとすることができる。さらに循環フローシステムの構成が単純化(単独のヘアーキャッチャー不要)でき、接続配管工事も容易になる。また圧送ポンプは低圧送のものですみ設備費用と工事費とも従来に比べて格段に安くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規の特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むとより完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら本発明の実施例の解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1〜図7に示す本発明の実施例において、図1の1は多機能ろ過装置の筒状の本体、2は多機能ろ過装置の蓋部(図には本体1と分離している状態を示している)であり、蓋部2にはエアー抜き器材取付部12と圧力メーター取付け部13とが設けられている(図1B参照)。6イはその蓋2と本体1のそれぞれの対向する両端面に設けられたプレートリング状の固定部材であり、本体1と蓋体2とを結合するに際しては、両固定部材6イを接合させた状態で、断面コ字状の固定リング部材6オにより両固定部材6イを圧着する(図1A参照)。尚、固定リング部材6は二つの半円リングの一端をヒンジ部6ウにより結合し、そのリングを開いた状態でコ字の凹部に両固定部材6イを挟み込んだ後にリング6の他端を閉じ、その他端部分をワンタッチ固定部材6アにより固定するものである。この実施例においては、本体1内の上部に内部に樹脂製蘇生浄化ろ過材17を充填したろ過層容器3が挿着され、その下の方に繊維性球状ろ過材18を充填した円筒状のろ過層容器4が挿着され、さらに本体1の最上部にヘアーキャッチャー30が挿着された多機能ろ過装置を示している。上記円筒状ろ過層容器3は本体1内に脱着可能なものであり、容器3の底部には内側に突出したプレート置き部7があり、煩雑さを避けるために図1には図示していないが、その上に仕切りパンチングプレート16(図3参照)(尚、これは蘇生浄化ろ過材充填ろ過層を1層だけで使用する場合は設けない)がセットされる。また、円筒状ろ過層容器3の上部リング状プレートの2ヶ所にはろ過装置内に脱着する時に利用する捕り手部材(図6参照)のフック14Aの止め穴15が付けられている(図2参照)。上記容器3の下方の容器4もまた多機能ろ過装置本体1内に挿入セットされる脱着可能な円筒状ろ過層容器であり、その底部には仕切りパンチングプレート16(図1には図示せず)がプレート置き部9上にセットされる。また、この筒状ろ過層容器4の上部リング状プレートの2ヶ所にはろ過装置内に脱着する時に利用する捕り手部材のフック止め穴15が付けられている(図4参照)。次に上記容器3の上部に挿着されたヘアーキャッチャー30は、半円錐状に通水面積を広くしたパンチングプレートよりなる(図5参照)。尚、ヘアーキャッチャー30は、必要時に多機能ろ過装置の上部(蘇生浄化ろ過材充填容器の上)にセットして使用するものであり、特にこれを必要としない場合には勿論省くことができる。この実施例においては本体1内に下端から容器4、容器3、ヘアーキャッチャー30を順次積上げた構成としており、相互間の着脱機構を設けていないが、必要に応じて着脱機構を設けてよいこともちろんである。
以上のものについては、本体1の上部に設けた流入口5から被浄化水を流入(矢印10ア)させ、ヘアーキャッチャー30、容器3、容器4を介して浄化された浄化水を流出口11から流出(矢印10イ)させる。尚、上記実施例においては、本体1、容器3、4の断面形状を円形とした場合につき説明したが、四角形等の多角形や楕円形状等適宜の断面形状を採用しても同様である。
また、上記実施例は蘇生浄化材として螺旋ろ過材、繊維ろ過材を用いた場合につき例示したが、浄化目的に応じて多孔性ろ過材、炭ろ過材、スポンジ状ろ過材、制菌材の一つ又は複数を選択しても良い。
多孔性ろ過材とは微小な孔を有するセラミックスや軽石をろ過材目的で利用するものであり、スポンジ状ろ過材とは樹脂に微小な孔を有するろ過材である。また、炭も微小な孔を有することから水の浄化用ろ過材として活用できる。更に、制菌材は殺菌力を有する銀イオンセラミックスや天然貝類(例えばホッキ貝)をセラミックス化したものであり、何れも水の浄化ろ過機能や殺菌力を有するろ過材を浄化目的に合わせて選択して自在に利用することが出来る。
次に図8,9は上記の多機能ろ過装置19を浴湯の循環経路に組み込んだ浄化フローシステムの実施例であり、図8において浴槽24の浴湯は、配管20を流通し、ポンプ22によりその上流側に配置された多機能ろ過装置19に吸入されて通水浄化され、続いて昇温装置21で加熱されて浴槽24へ循環する。しかしてこの図8の実施例ではポンプ22の吸引力により被浄化水を多機能ろ過装置19に吸入浄化させることになるから、多機能ろ過装置19はマイナスの圧力状態となっており多機能ろ過装置19のろ過装置本体の構造は、従来の砂ろ過装置に比べて堅牢さを要求されない。
別の実施例を示す図9においての上記図8と異なる点は、多機能ろ過装置19がポンプ22の後に組み込まれている点であり、ポンプ22の圧送力により下流側に配設された多機能ろ過装置19に被浄化水を送り込み浄化通水するものである。この場合も、この多機能ろ過装置19が内蔵する複数のろ過層は何れも通水性に優れているためろ過装置内部に従来の砂ろ過装置のような強い圧送力をもって通水する必要がなく、大きなポンプ容量も不要、かつろ過装置本体の構造強度も砂ろ過装置のような堅牢さは要求されない。また図8,9の実施例と図7に示す従来の砂ろ過装置を組み込んだ循環経路図と比較すれば明らかなように、循環経路にヘアーキャッチャー装置23が不要化できることから省スペース化ができて、さらにはろ過装置本体も砂ろ過装置より小型化されるので全体の循環系関連機器の設置スペースも省スペース化される。さらに、複数の循環系路が同じ機械室に組み込む必要がある場合においても、図10に示すように多機能ろ過装置1を立体的に積上げて(ここには4台の設置例を図示している)別のろ過装置設置構築物25上に設置でき、さらなる省スペース化が図られる。
【0018】
上記構成の多機能ろ過装置の取扱い方法は、次の通りである。
・ ろ過装置本体1と蓋2を固定したリング状の固定部材6を外す。
・ ろ過装置の蓋2を取り除く。
・ ろ過層容器脱着用捕り手部材14(図6参照)を使用してヘアーキャッチャー容器30を取り出し付着した異物を除去して再セットする。これを数日間隔で必要時に実施する。
・ 次に10日から半月ピッチで、複数のろ過層容器3,4を取り出して簡略な洗浄を行って再セットするか、別に準備してあるスペアーの一つないし複数のろ過材を充填したろ過層容器は脱着用捕り手部材14(図6参照)を使用してろ過装置本体1内に投入する。
・ 次にヘアーキャッチャー容器30をろ過装置3の上部に投入設置する。
・ 次に蓋2をろ過装置本体1の上部に設置する。
・ そして、蓋2とろ過装置本体1とを固定するリング状の固定部材6により固定する。
・ 通常通りの水の循環を実施する。
尚、上記実施例においては、容器3,4に別のろ過材を充填させた場合を例示したが浄化流体によっては、同一のろ過材を充填させて活用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0019】
プールや浴湯の循環用ろ過装置の他に、冷却循環水、排水処理水の浄化・節水・省化学薬品、水族館・養殖場・活魚水槽などの水質改善浄化目的の多機能ろ過装置として利用される。また、諸施設や工場の給水元に浄水と省エネ目的の浄化活水器としても利用できる。
【0020】
工作機械用の循環切削油や循環洗浄水における浄化及び切削油や洗浄水の利用サイクルの延長用の多機能ろ過装置としても利用される。
【0021】
試験例1:
温浴施設における発色性鉄分の多い源泉を利用する浴槽湯量20トンに12トン/時間の循環砂ろ過装置を利用し、毎日逆洗洗浄排水7分間実施42トン/月の排水と42トンの補給水に対する昇温熱量換算A重油消費量230リットル(12,600円相当金額)/月の温浴施設に多機能ろ過装置を取付け試用した。多機能ろ過装置の使用前には、砂ろ過装置内の砂ろ過材すべてを蘇生浄化材に交換して試みたが、蘇生浄化材機能の利点(逆洗を8倍に延長でき、塩素弊害やヌメリ抑制)効果を発揮するも、冷泉に含有する酸化鉄分による浴湯の発色を抑制できない欠陥のために再度砂ろ過材に復旧していたもの。この時の多機能ろ過装置内のろ過層容器は2器とし、上部層に蘇生浄化材30リットルを、また下部層には繊維製球状ろ過材20リットルを充填し、最上部にはヘアーキャッチャー容器も挿入する多機能ろ過装置とした。
3ヶ月間の試用結果、(1)逆洗洗浄排水は全く不要化し、月間の消費量だった冷泉42トンと重油量230リットル(12,600円相当金額)は削減。(2)毎日手入れ掃除していたヘアーキャッチャー部の掃除は一週間に一度の実施で十分だった。(3)砂ろ過材でしか除去できなかった酸化鉄分による浴湯の発色は繊維製球状ろ過材の機能の影響で出ずに経過した。(4)砂ろ過装置を利用していた時の湯質は向上して、塩素刺激異臭もなく快適となり、浴槽内や浴室の床面のヌメリの発生も抑制され蘇生浄化材の機能特性も十分確保された。
即ち、多機能ろ過装置内蔵のヘアーキャッチャー部と2種のろ過層の機能が発揮されてランニングコストが抑制され、循環関連機器のフロースペースも1/2で機能できることが確認できた。
【0022】
試験例2:
冷却循環水の冷却塔水槽部に蘇生浄化材を内蔵したパンチングボックスを投入して節水と省化学薬品化及び省保守管理を実現していた先に、蘇生浄化材を内蔵したパンチングボックスを取り出し、本発明小型のろ過装置を取付けたところ、従来のような面倒な蘇生浄化材を内蔵したパンチングボックスの保守手入れが不要化し、且つ、冷却循環水の物理的な異物も捕脱除去できて、蘇生浄化材を内蔵したパンチングボックスを利用していた時より更なる節水と省化学薬品化及び省保守管理が実現できるようになった。
【0023】
試験例3:
熱帯魚用40リットル水槽で、密閉筒状循環ろ過槽内の数種類のろ過材を除去して、蘇生浄化材をろ過装置部全体の70%量を、残り30%量は球状ろ過材を投入して利用すると、汚濁物の保有率が高くなるため、従来はろ過材交換洗浄実施を毎週行っていたのが2ヶ月以上に延長された。尚且つ、本ろ過装置内の各種ろ過材の交換洗浄と脱着装はいたって簡単であり、二種類のろ過材の機能特性を十分に発揮できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】多機能ろ過装置本体及びろ過装置蓋(B)と本体の固定用リング材(A)全体図。
【図2】多機能ろ過装置の内蔵用蘇生浄化ろ過材充填容器図。
【図3】多機能ろ過装置内蔵用ろ過材充填容器用底部のパンチング仕切りプレート図。
【図4】多機能ろ過装置内蔵用球状ろ過材充填容器図。
【図5】多機能ろ過装置に内蔵できるヘアーキャッチャー容器図(30)。
【図6】ろ過材充填用容器やヘアーキャッチャー部の脱着用捕り手用具図。
【図7】通常の浴湯循環水フロー図例。
【図8】多機能ろ過装置をポンプ前に設置活用する浴湯の循環水フロー図例―1。
【図9】多機能ろ過装置をポンプ後に設置活用する浴湯の循環水フロー図例―2。
【図10】複数の多機能ろ過装置を活用する浴湯の循環水フロー図例―3。
【符号の説明】
【0025】
1 多機能ろ過装置本体。
2 多機能ろ過装置本体の蓋部(B)。
3 多機能ろ過装置内蔵用の蘇生浄化ろ過材充填用ろ過層容器。
4 多機能ろ過装置内蔵用の球状ろ過材充填用ろ過層容器。
5 多機能ろ過装置への循環浴湯給水入り口配管部。
6 多機能ろ過装置本体と蓋の固定用リング状部材(A)。
6オ 多機能ろ過装置本体と蓋の固定用リング状部材の断面。
6ア 蓋の固定リング状ワンタッチ固定用部材。
6イ 蓋の固定リング用固定プレート部。
6ウ 蓋の固定リングのヒンジ部。
7 蘇生浄化ろ過材充填容器底の仕切り用パンチングプレートのリング状ストッパー。
9 ろ過材充填容器の固定用リング状ストッパー部。
10 浴湯の循環給水入り口方向と出口方向を示す。
11 多機能ろ過装置からの循環水出口配管部。
12 多機能ろ過装置のエアー抜き装置取付け部。
13 多機能ろ過装置の圧力計の取付け部。
14 ろ過材充填容器やヘアーキャッチャー部の脱着用捕り手器材。
14A ろ過材充填容器の脱着用捕り手部材のフック部。
14B ろ過材充填容器やヘアーキャッチャー部の脱着用捕り手部材の握り部材。
15 ろ過材充填容器の脱着用捕り手器材使用時のリング状部材。
16 ろ過材充填容器の底部仕切り用パンチングプレート。
17 樹脂製:蘇生浄化ろ過材の充填図。
18 繊維性:球状ろ過材の充填図。
19 従来の砂ろ過装置。
20 浴湯循環用配管。
21 浴湯用昇温器。
22 循環圧送用ポンプ。
23 浴湯循環用ヘアーキャッチャー装置。
24 浴槽。
25 多機能ろ過装置設置構築物。
30 ヘアーキャッチャー容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のろ過装置内に複数の筒状の容器を直列に内蔵させ、該筒状の容器には循環水の浄化目的に応じて比重が1以下の軽量な蘇生浄化材、螺旋ろ過材、多孔性ろ過材、炭ろ過材、スポンジ状ろ過材、繊維ろ過材、制菌材の中から一つ又は複数を選択し充填してなる多機能ろ過装置。
【請求項2】
筒状のろ過装置内に、更にヘアーキャッチャー機能を有する容器を内蔵させたところの多機能ろ過装置。
【請求項3】
プール水、浴湯、冷却水、池、各種溶液の循環系に請求項1又は2に記載の多機能ろ過装置を組み込んでなる循環水の浄化フローシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114220(P2008−114220A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258427(P2007−258427)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(305054647)
【Fターム(参考)】