説明

多機能性琺瑯組成物

【課題】マイナスイオン放出と同時放射の遠赤外線による抗菌、消臭及び水質浄化の各作用、さらに光触媒材料によりこれら作用を増加させた多機能性琺瑯組成物である。
【解決手段】琺瑯材料に、1)稀有元素類を含む天然鉱物粉体の混合物、2)前記混合物とトルマリン粉体若しくは遠赤外線セラミック粉体の何れか一方を含む混合物、3)稀有元素類を含む天然鉱物粉体と光触媒機能材料を添加配合した混合物、4)前記天然鉱物粉体とトルマリン粉体若しくは遠赤外線セラミック粉体の何れか一方を含む混合物と、光触媒機能材料を配合した混合物の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多機能性琺瑯組成物に関し、琺瑯材料に、マイナスイオン放出の持続的維持並びに同時放射する遠赤外線の利用で、抗菌作用及び消臭作用並びに水質浄化作用を図った多機能性琺瑯組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に琺瑯は、金属の上にガラス質の被覆をかけ焼成し密着させたてもので、金属の丈夫さ及び成型加工の容易さと、ガラスのもの耐食性、耐熱性を兼ね備えた材質として作られたものである。従って、家庭用品としてなくてはならないものとなり、現在では、ありとあらゆるところに多用されている。その琺瑯加工金属用品の用途は、台所・食卓用品として、なべ、ケトル、ポット、蒸し器、バット、ボール、コップ、魚焼き、漬物容器、タンク等がある。燃焼機器用部品として、石油ストーブ用外胴、天板、芯筒、ルーバー、ガス機器用天板、汁受皿、五徳、グリル本体、受皿、電子レンジ用ターンテーブル、オーブン皿、卓上保温プレート等がある。流し台部品として、キャビネット、シンク、吊り戸棚がある。洗面化粧台部品として、洗面ボール、キャビネットがある。浴槽として、鋳物浴槽、鋼板浴槽、エプロンがある。電気洗濯機として、脱水バスケットがある。化学工業用品として、グラスライニング蒸留缶、反応缶、混合器などがある。醸造用タンクとして、清酒用タンク、焼酎用タンク、薬種用タンクがある。理化学用品として、ビーカー、蒸発皿、実験器具などがある。建材パネルとして、建築用外壁材、駅舎壁面材、内装材などがある。ボードとして、白板ボード、黒板ボードがある。看板標識として、各種看板、商品標示板、道路標識がある。工芸品として、絵画、壁掛、園芸用鉢カバー、室内インテリアなどがある。
【0003】
近年、空気及び水環境に対する関心が高まり、特に人間の生活空間における悪臭や悪細菌類の除去や水質浄化が必要不可欠の時代になってきた。そのような背景の中、特に家庭の台所用品や浴室用品や洗面所用品やトイレ用品には清潔さが必要になってきて、抗菌、消臭、水質浄化するような用品が多く見られるようになってきた。しかしながら、琺瑯製品に見られる用途の殆どは 食品用品や衛生用品であり、清潔さ、抗菌性、消臭性が必須条件のような用品である。そのような背景の中、抗菌性を発揮する金属イオンの抗菌性を使った琺瑯製品が提案されるようになり、また、悪臭の除去及び抗菌効果の方法として注目されるようになってきたマイナスイオン効果を図った製品や光触媒二酸化チタンを使った製品が多く市場にも見られるようになってきた。
【0004】
マイナスイオンを発生させる方法として、電気機械的に電子を発生させてマイナスイオンを発生させる方法と、放射性物質を含む希有元素鉱物を用いて、空気をイオン化させる方法が知られている。そのような背景の中、金属イオンの抗菌剤やマイナスイオンの抗菌性及び消臭性を併せ持つ組成物や太陽光の光で消臭作用と抗菌作用が得られる光触媒機能材料の先行技術が、特許や出願、或いは市場に販売されている。その中で代表的な下記の4件が挙げられる。
【特許文献1】特開平7−165478号公報 抗菌性の陶磁器又は琺瑯製品、下記の抗菌剤表面層に存在させてなる抗菌性の陶磁器又は琺瑯製品が開示されている。 M1 a Ab M2 2 (PO4 )3 ・nH2 O〔1〕 M1 は、銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バリウム及びクロムから選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、Aは、アルカリ金属イオン、アルカリ土金属イオン、アンモニウムイオン及び水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、M2 は4価金属イオンであり、nは0≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいずれも1a+mb=1を満たす正数である。
【特許文献2】特開平2004−358846号公報 琺瑯/光触媒復層被覆金属板が開示されており、塗膜密着性、光触媒活性に優れた琺瑯層2/光触媒層3の複層塗膜が形成された塗装金属で、下地・金属板1の上に琺瑯層2、光触媒層3が順次形成され、琺瑯層2の表面全域に平均サイズ500ミクロン以下の微細クラック4、光触媒層3の表面全域に平均サイズ300ミクロン以下の微細クラックが分散して、光触媒粒子のの有効表面積が増加して優れた光触媒活性を呈する。
【特許文献3】特許第3035279号公報 静電気に帯電しにくい高分子化合物、並びに希有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出すると同時に、遠赤外線を放射する樹脂組成物。
【非特許文献1】光触媒 株式会社ナツメ社,2004年8月3日発行 光触媒といわれる数〜数百nmの酸化チタンが、太陽光の紫外線が当たると、光電効果で電子が励起、電子と正孔が発生し、電子は、空気中の酸素を還元しスーパーオキサイドイオンに、正孔は、表面の水分を酸化して水酸化ラジカルに変える。このスーパーオキサイドイオンと水酸化ラジカルは、強い酸化力を示し、この状態でチタニア表面に有機物が付着すると、スーパーオキサイドイオンが有機物の炭素を、水酸化ラジカルが水素を奪って分解、こうした自浄作用が、抗菌作用及び消臭作用となるメカニズムとなっている。
【0005】
しかしながら、上記の光触媒は、太陽光の紫外線が当たらなければ光電効果が生じず、また、チタン表面の作用効果である為、離れたところでの抗菌作用及び消臭作用の効果は全く得られない大きな欠点のあるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、例えば、台所用品や台所電気製品、ガスコンロ、ガスオーブン等及び浴室用品及び洗面用品に多用されている琺瑯製品は、現在のところ、一部の琺瑯製品に、清潔さが必要な抗菌性の作用のある製品が販売されていた。しかしながら、特に、台所電気製品である電子レンジ、ガンコンロ、ガスオーブンの場合、肉類、魚類を焼いた後の悪臭が付着するという課題があり、抗菌性と同時に、消臭機能のある琺瑯製品が必要となってきた点である。また、浴室製品においても、より衛生的な環境を得る抗菌性と同時に、水質浄化機能を有する水質改善ができる琺瑯用品が必要になってきた点である。さらに、光触媒の欠点である離れたところでも抗菌効果及び消臭作用が、促進されるような素材が必要になってきた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点にかんがみて、(1)希有元素類含む鉱物粉体。(2)希有元素類を含む天然鉱物と、トルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含む混合物。(3)希有元素類を含む鉱物粉体に、光触媒機能材料を混合させた混合物。(4)希有元素類を含む鉱物粉体と、トルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含む混合物に、光触媒機能材料を混合させた混合物。その(1)、(2)、(3)、(4)の混合物を琺瑯材に配合することによって得た琺瑯組成物を、成型された金属用品面に、琺瑯焼成加工することにより、マイナスイオンの持続的放出と、遠赤外線の放射の同時作用で、抗菌効果及び消臭効果、並びに水質浄化を発揮でき、さらに光触媒作用で抗菌作用を増加させて、太陽光が当たらないところや夜間でも効果が発揮できるという多機能性の機能を備えた琺瑯組成物に到達した。
【0008】
本発明において、琺瑯材の種類としては、鋼板用黒釉、鋼板用白釉、鋳鉄用釉、鋼板用釉、鋼白釉等の上釉及び下釉がある。琺瑯材の原料成分は、無機材料を多種配合したものであり、ケイ石、長石、ホウ砂、無水ホウ砂、ソーダ灰、硝酸ナトリウム、氷晶石、フッ化カルシウム、ケイフッ化ナトリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化コバルト、二酸化マンガン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化モリブデン、粘土等を配合したものであり、そのいずれかの多種の組み合わせの配合を使用することができる。また、琺瑯加工の用途別に市販されている琺瑯材を使用することができる。
【0009】
琺瑯材の配合処方重量%として、例えば、鋼板用黒下釉の配合は、ケイ石18.1、長石30.2、ソーダ灰10.1、硝酸ナトリウム4.0、フッ化カルシウム5.0、酸化コバルト0.2、二酸化マンガン0.3を、100wt%として、ミル配合の粘土8.0を配合した例である。鋼板用白下釉の配合は、ケイ石19.8、長石25.0、ホウ砂
34.4、ソーダ灰 6.4、硝酸ナトリウム5.1、フッ化カルシウム5.8、酸化アンチモン3.5を100重量%として、ミル配合の粘土7.0、ホウ砂0.5、酸化アンチモン2.25、酸化モリブデン1.25を配合した例である。鋳鉄用下釉は、ケイ石57.3.ホウ砂30.3、硝酸ナトリウム5.7、酸化鉛6.7を100重量%とし てミル配合の粘土15.0を配合した例である。鋼板用上釉の配合は、ケイ石22.5、長石29.0、ホウ砂22.5、ソーダ灰5.0、硝酸ナトリウム3.0、氷晶石10.0、フッ化カルシウム4.0、酸化亜鉛1.0、酸化アンチモン3.0を100重量%として、ミル配合の粘土5.0、酸化スズ4.0を配合した例である。上記の琺瑯材の下釉及び上釉又は色釉をいずれも使用することができ、最も好ましくは、上釉に使用するほうが、マイナスイオンの発生が著しく多く発生し、遠赤外線を多く放射し、光触媒機能が発生するうえで、有益である。
【0010】
本発明において、稀有元素類を含む鉱物として、フェルグソン石、モナズ石、ゼノタイム石、コルンブ石、ベタホ石、サマルスキー石、タンタル石、ウラン石、方トリウム石、ゴム石、ガドリン石等がある。これらの鉱物のうち、極微弱な放射線を放出し、人体に悪影響を及ぼさないとされる鉱物として、最も好ましい鉱物は、モナズ石である。上記天然鉱物の粒径として、1mm以下に粉砕したものを用いることができる。最も好ましくは、30ミクロン以下に粉砕されたものが、施工裏面の美観とマイナスイオンの生成のバランスが図れて有益である。
【0011】
本発明において、トルマリンとして、ショールトルマリン、リチウムトルマリン、ドラマイトトルマリン、ルベライトトルマリン、ピンクトルマリン、インデコライト、バライバトルマリン、ウォーターメロン等を使用することができる。上記トルマリンの粒径として、0.1ミクロンから1mmに粉砕したものを使用することができる。最も好ましくは、平均粒径30ミクロン以下が混合するうえで有益である。上記配合部数として、琺瑯材100重量部に対し、70重量部数以下を配合することが出来る。最も好ましくは、30重量部以下のほうが加工表面の美観、マイナスイオンと遠赤外線より放出のバランスが図れるうえで有益である。
【0012】
本発明において、遠赤外線放射セラミックとして、2〜50ミクロンの波長をもつ遠赤外線を放射率50%以上放射している遠赤外線セラミックを使用することが出来る。遠赤外線セラミックの成分として、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄等を2種以上含む混合物を使用することができる。前記市販品として、商品名セラジット、OKトレーディング製があり、マイナスイオンを増幅し、遠赤外線を高放射する上で有益である。上記配合部数として、100琺瑯重量部に対し、70重量部以下を配合することができる。最も好ましくは、30重量部以下が、加工表面の美観、マイナスイオンと遠赤外線をより放出するうえで有益である。
【0013】
本発明において、光触媒機能材料として、アナターゼ型二酸化チタン、ブルッカイト型二酸化チタン、アパタイト被覆二酸化チタン、無機セラミック包含二酸化チタン等をいずれも使用することができる。アナターゼ型二酸化チタン及びブルッカイト型二酸化チタン粒径として、5〜200nmに粉砕されたものを使用することができる。最も好ましくは、6〜30nmの方が電子を励起するうえで有益である。アパタイト被覆二酸化チタンの粒径として、上記二酸化チタンをアパタイト、すなわちリン酸カルシウムで被覆したものを使用することができる。市販品として、例えば、商品名アパタイト被覆二酸化チタンNSP−001ナノウェーブ製を使用することができる。
【0014】
無機セラミック含包二酸化チタンとして、無機セラミックの成分が、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ジルコニウム、ジルコニア、酸化イットリウム等の1種の合成セラミック或いは2種以上含む合成セラミックであり、また、上記成分を含む天然鉱物である。上記の粒径として、平均30ミクロン以下のものを使用することができる。市販品として、例えば商品名ライオナイト ライオン製を使用することができる。前記配合部数として、コンクリート材100重量部数に対し、70重量部数以下配合することができる。最も好ましくは、40重量部数以下が、水槽表面の美観、マイナスイオンの生成を減少させないうえで有益である。
【0015】
本発明の琺瑯加工する金属成型品として、鉄製、ステンレス製、アルミニウム鍍金ステンレス鋼製、銅製をいずれも使用することができる。上記金属成型品に、琺瑯加工する場合、琺瑯との密着性をよくする為に、前処理工程があり、順に、脱脂、水洗い、酸洗い、ニッケル処理、中和、乾燥することができる。
【0016】
琺瑯の加工方法として、前処理した金属成型品を、浸漬加工或いはスプレー加工して、薬かけすることができる。金属成型品にかけた琺瑯材を溶着させる為、焼成窯で、800〜850℃で焼成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マイナスイオン放出の持続的維持並びに同時放射する遠赤外線の利用で、抗菌作用及び消臭作用並びに水質浄化作用を図り、さらに光触媒作用で抗菌作用及び消臭作用を増加するという多機能性を備えた琺瑯組成物として、日常雑貨、燃焼機器用部品、流し台、洗面化粧台、浴槽、電気洗濯機、理化学用品、建材パネル、ボード、工芸品等として優れた効果を奏する。
【実施例】
【0018】
以下に、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0019】
実施例の配合処分として、表1及び表2に示した。 琺瑯材として、鋼板用白釉の配合wt%で、ケイ石37.1、長石37、無水ホウ砂10.7、ソーダ灰12.1、硝酸ナトリウム4.9、ケイフッ化ナトリウム15.5、酸化亜鉛1.5、酸化チタン6.9、酸化ジルコニウム7.6を配合したものを使用した。遠赤外線セラミックとして、市販品のセラジットALーF9を使用した。光触媒機能材料として、市販品の光触媒二酸化チタンPC−101 チタン工業製を使用した。表1及び表2の所定量を配合した各々の混合物を、10リットルのボールミルで1時間攪拌して、実施例1,2,3,4,5,6の琺瑯組成物を得た。実施例の琺瑯加工の作成方法として、予め、順に、脱脂、水洗、酸洗い、ニッケル処理、中和、乾燥した厚さ1mm、20cm角の鋼板を、実施例の琺瑯材に浸して薬かけ、塗布量50gとして、乾燥後、焼成窯にて、800〜850℃で焼成して、実施例1〜6の試料を得た。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

イオン測定
上記実施例1,2,3,4,5,6のイオン測定を行った。試料の大きさは、20cm角とした。イオン測定方法は、小イオン測定方法として、イオンテスターKST−900神戸電波製を使用し、室温25℃、湿度60%の雰囲気で、マイナスイオンとプラスイオンを3分間の平均生成数/ccを測定した。総イオン測定方法は、空気イオンテスターIC−1000を使用し、同じ雰囲気で、マイナスイオンとプラスイオンを3分間の平均生成数/ccを測定した。遠赤外線測定は、FTIR測定機,JIR−E500を使用し、試料温度35℃の遠赤外線放射率を測定した。その結果を、表3に示した。
【0022】
【表3】

実施例のイオン測定の結果、実施例1〜6は、プラスイオンよりもマイナスイオンの方が、大量に多く生成したものとなった。一方、遠赤外線は、実施例2,3,5,6と同じく、高放射するものとなった。
【0023】
実施例で作成した試料を使用して、抗菌試験及び消臭試験、並びに水質浄化試験をして本発明をより明らかにする。
【0024】
消臭試験
消臭試験方法として、検知管法を用いた。試験方法として、実施例の資料を、5cm角に切断したものを使用し、5リットルのテトラーバッグに試料及びガス600mlを注入し、1時間後のガス濃度を検知管を用いて測定し、脱臭率%を概算した。ガスの種類として、アンモニアとした。アンモニアの初期濃度として、100ppmとした。環境条件として、(1)デイライト照射時、(2)照明無しの暗黒の2方法で行った。その結果を示す表4では(1)デイライト照射時、表5では(2)照明無しの暗黒を示した。
【0025】
消臭試験から明らかなように、実施例1,2,3,4,5,6では、高能率でアンモニアを消臭していた。また、光触媒作用で、ディライト照射時では、さらに消臭力が増加していた。
【0026】
【表4】

【0027】
【表5】

抗菌試験
抗菌試験として、試験方法として、JIS−L1902定量試験法を準拠した。試料として、直径9cm、厚み3mmの円状に切断した実施例の試料を作成して使用した。試験菌株として、MRSA(耐性黄色ぶどう球菌)を使用した。環境条件として、(1)ディライト照射時、(2)照射無しの暗黒の2方法で行なった。その結果を、表6では(1)ディライト照射時。表7では、(2)照無しの暗黒を示した。
【0028】
抗菌試験結果から明らかなように、実施例1,2,3,4,5,6は、殺菌活性値及び静菌活性値とも高い抗菌性が得られた。さらに、光触媒作用で、ディライト照射時では抗菌性がさらに増加することが明らかとなった。
【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

水質浄化試験
実施例の試料として、実施例で作成した琺瑯加工方法と同じ方法で、150ccマグカップを各々作成して、鋼製琺瑯加工した実施例1〜6の琺瑯マグカップを使用した。水質浄化試験方法として、水道水の遊離塩素濃度を測定する方法として、オルトトリジン法による簡易遊離塩素測定キット(井内盛栄堂製)を用いて、200ccの水道水中に実施例の試料を浸漬し、5秒後に注入して測定した。その結果を表8に示した。
【0031】
【表8】

水道水中の遊離塩素濃度を測定した結果、実施例1〜6とも、5秒以内という短時間で遊離塩素を分解することが明らかとなった。この反応は、大量にマイナスイオンが放出することによる遊離塩素のアルカリ還元による分解反応であることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
琺瑯材料に、希有元素類を含む天然鉱物粉体を混合させたマイナスイオンを持続的に放出し、抗菌作用及び消臭作用並びに水質浄化作用のあることを特徴とする多機能性琺瑯組成物。
【請求項2】
琺瑯材料に、希有元素類を含む天然鉱物粉体と、トルマリン粉体若しくは遠赤外線セラミック粉体のいずれか一方を含む混合物であって、マイナスイオンを持続的に放出すると同時に遠赤外線を放射し、抗菌作用及び消臭作用並びに水質浄化作用のあることを特徴とする多機能性琺瑯組成物。
【請求項3】
琺瑯材料に、希有元素類を含む天然鉱物粉体を混合させたせ混合物に、さらに光触媒機能材料を混合させた抗菌作用及び消臭作用を増加させたことを特徴とする多機能性琺瑯組成物。
【請求項4】
琺瑯材料に、希有元素類を含む天然鉱物粉体と、トルマリン若しくは遠赤外線放射セラミックのいずれか一方を含む混合物に、さらに光触媒機能材料を混合し抗菌作用及び消臭作用を増加させたことを特徴とする多機能性琺瑯組成物。


【公開番号】特開2007−131468(P2007−131468A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324286(P2005−324286)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000153410)株式会社日野樹脂 (26)
【Fターム(参考)】