説明

多機能画像形成装置

【課題】遠隔のサービスへのユーザ登録をより簡便に行なうことが可能な多機能画像形成装置を提供する。
【解決手段】多機能画像形成装置は、登録されたユーザに対し、画像形成に関するサービスを提供するサーバと通信可能な通信装置と、ユーザによる操作を受付けるための、表示装置を持つ表示操作装置と、表示操作装置を介して受けたユーザの指示に応答して画像形成を行なう画像形成部とを含む。この多機能画像形成装置は、表示操作装置を介するユーザからの入力操作を受付けることにより、入力操作に応じた画面310とともに、通信装置を介してサーバとの通信を行なって、サーバの提供するサービスへのユーザ登録プロセスを実行し、その画面312を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クライアント装置から電子データをサーバに送信してプリントデータの生成をサーバで行ない、ネットワーク接続された画像形成装置でそのプリントデータの印刷を行なうネットワークプリントシステムに関し、特に、クライアント装置からの電子データの送信処理、及び画像形成装置における印刷処理の際のユーザの手間を少なくするネットワークプリントシステムで用いられる多機能画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークプリントシステムと呼ばれるシステムの提供が進められている。ネットワークプリントシステムでは、ユーザは、インターネット上に設けられたネットワークプリントサーバ(プリントデータ生成サーバ)に電子データからプリントデータを生成するよう依頼する。ユーザはさらに、コンビニエンスストア等のパブリックスペースに設置された画像形成装置にサーバからプリントデータをダウンロードして印刷を行なう。これらシステムでは、ユーザは、印刷したい電子データをネットワークプリントサーバにアップロードしてプリントデータの生成を依頼する。
【0003】
このようなシステムでは、プリンタを所有しない個人が高品質な文書を印刷できる。そのため、早期に普及することが期待された。しかし、実際にはこうしたシステムの普及は遅れている。その理由は以下のとおりであると考えられる。
【0004】
すなわち、これらサービスを利用するためには、上記したように、ユーザは文書ファイルをサーバに登録しておく必要がある。それだけではなく、システムの提供するサービスをフルに利用するためには、サービスを利用するに先立ってユーザ登録をしておく必要もある。登録作業には多少の時間がかかるため、忙しいユーザは登録をする作業を避ける傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−129007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした問題に対し、特許文献1には、プリントサーバを利用する際にはユーザ認証を要するが、クライアント装置に対して着脱可能な可搬型メモリを設け、可搬型メモリに、ユーザ認証に必要な情報を全て収めるシステムが開示されている。プリントサーバを利用するときにはユーザ認証がされるため、プリントサーバはユーザごとに電子データを管理できる。ユーザがコンビニエンスストア等に設置された画像形成装置からプリントサーバにアクセスするときにも、同じ可搬型メモリを用いてユーザ認証を行なう。プリントサーバは、ユーザに関連するプリントデータのみの一覧を画像形成装置に表示できる。ユーザは、一般のパーソナルコンピュータを用いた書類の選択と同様の手続で、プリントサーバで生成されたプリントデータを選択し、印刷させることができる。
【0007】
しかし特許文献1に記載のシステムでは、ユーザ登録後のログイン処理の手間を省くことはできるものの、ユーザ登録そのものは従来と同様に行なう必要がある。ユーザ登録の時間を惜しむユーザにシステムを利用してもらうようにするためには、特許文献1に記載の仕組みは有効でない。
【0008】
近年、上記プリントサービスに類似したシステムとして、クラウドサービスと呼ばれるサービスが普及しつつある。クラウドサービスでは、これまで利用者が自己の所有するコンピュータに保存していたデータをインターネット上のサーバに保存したり、インターネット上のサーバに保存されたデータの印刷を行なったり、インターネット上のサーバに保存されているアプリケーションをローカルなコンピュータ上で実行したりする。したがって、今後、一層普及することが予想される。クラウドサービスを利用するためにはユーザ登録が必須である。したがって、上記したようなプリントサービスのユーザ登録に関する問題は、クラウドサービスについても発生し得る。その点では、プリントサービスもクラウドサービスの1種であると考えることもできる。
【0009】
それゆえに本発明の目的は、遠隔のサービスへのユーザ登録をより簡便に行なうことが可能な多機能画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る多機能画像形成装置(以下「MFP」と呼ぶ。)は、登録されたユーザに対し、画像形成に関するサービスを提供するサーバと通信可能な通信手段と、ユーザによる操作を受付けるための、表示装置を持つ表示操作手段と、表示操作手段を介して受けたユーザの指示に応答して画像形成を行なう画像形成手段とを含む。このMFPは、表示操作手段を介するユーザからの入力操作を受付けることにより、通信手段を介してサーバとの通信を行なって、サーバの提供するサービスへのユーザ登録プロセスを実行することを特徴とする。
【0011】
MFPの表示操作手段を用いて特定サービスへのユーザ登録を行なうことができる。この特定のサービスへのユーザ登録をするために、自分のPC等でユーザ登録のための特定のウェブページ等を探したり、特定のURLを入力したりする必要がない。画像形成のために利用するMFPを用い、特定のサービスのユーザ登録を簡単に行なうことができる。
【0012】
好ましくは、MFPは、表示操作手段により、ユーザ登録プロセスと異なる処理をユーザが開始したときに、ユーザ登録プロセスを開始することを特徴とする。
【0013】
MFPでユーザ登録プロセスと異なる処理をユーザが開始したときに、ユーザ登録プロセスが開始される。ユーザはわざわざユーザ登録プロセスを開始する必要がない。例えばMFPでファイルからの印刷を行なっているときのような空き時間を利用して、ユーザ登録を行なうことができる。
【0014】
好ましくは、MFPは、可搬型の外部記憶装置が着脱可能な外部記憶装置接続手段をさらに含み、外部記憶装置接続手段に接続された外部記憶装置に保存されているファイルを印刷するよう表示操作手段を介してユーザの指示を受けたことに応答して、ユーザ登録プロセスを開始することを特徴とする。
【0015】
外部記憶装置にファイルを記憶させて多機能画像形成装置でその印刷を行なおうとする場合、印刷にはある程度の時間がかかる。そのため、そうした処理が行なわれる可能性が高いときにユーザ登録プロセスを開始することで、ユーザの空き時間を有効に利用してユーザ登録を行なわせることができる。
【0016】
好ましくは、MFPは、可搬型の外部記憶装置が着脱可能な外部記憶装置接続手段と、原稿の画像を読取り、原稿データを出力する原稿読取手段とをさらに含み、表示操作手段から、原稿読取手段が原稿を読取って出力した原稿データを、外部記憶装置接続手段に接続された外部記憶装置に保存する指示を受けたことに応答して、ユーザ登録プロセスを開始することを特徴とする。
【0017】
多機能画像形成装置が原稿読取手段を備えている場合、原稿を読取るためにある程度の時間を要する。この時間を利用してユーザ登録プロセスを実行することで、ユーザは時間を有効に利用してサービス利用のためのユーザ登録を行なうことができる。
【0018】
好ましくは、MFPは、画像形成手段による画像形成の状態表示と、サービスのためのユーザ登録画面とがともに表示操作手段に表示されることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、MFPは、可搬型の外部記憶装置が着脱可能な外部記憶装置接続手段をさらに含み、ユーザ登録プロセスが完了したことに応答して、外部記憶装置接続手段に接続された外部記憶装置に、サービスへのアクセスを補助するための情報を登録することを特徴とする。
【0020】
ユーザ登録が完了すると、外部記憶装置にアクセスを補助するための情報が登録される。次回このサービスにアクセスするときには、この情報を用いることにより手続が簡単になる。
【0021】
好ましくは、MFPは、ユーザが特定の指示をしたときにはサービスへのユーザ登録プロセスを開始し、他の指示をしたときにはユーザ登録プロセスを開始しないことを特徴とする。
【0022】
多機能画像形成装置を利用するユーザの中には、単にコピーをする場合等、遠隔のサーバのサービスを利用する可能性が低いユーザもある。そこで、画像形成装置の備える機能の内で、サービスを利用する可能性が高いユーザが用いるような機能が実行されたらユーザ登録プロセスを開始し、可能性が低いユーザが用いるような機能が実行されたときにはユーザ登録プロセスを開始しない。このようにすることで、ユーザが利用する機能により、適切にユーザ登録の案内を行なったり、不必要な案内を出さないようにしたりできる。
【0023】
より好ましくは、画像形成サービスには、ユーザに対するデフォルトの印刷装置の設定が可能であり、多機能画像形成装置は、ユーザ登録プロセスの実行時、当該多機能画像形成装置をデフォルトの印刷装置として設定するように指示する指示手段をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
多機能画像形成装置をデフォルトの印刷装置として設定する処理を、ユーザ登録と同時に行なうことができ、ユーザ登録の処理と別にデフォルトの印刷装置の設定を行なう必要がない。
【0025】
多機能画像形成装置は、サービスからプリントデータをダウンロードするダウンロード手段と、サービスからの指示にしたがい、ダウンロード手段によりダウンロードしたプリントデータを記憶する記憶手段と、サービスからの指示にしたがい、ダウンロード手段によりダウンロードしたプリントデータを印刷する処理と、記憶手段に記憶されたプリントデータを印刷する処理とのいずれかを実行する印刷手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0026】
この多機能画像形成装置によれば、ダウンロード手段と記憶手段とにより、サービスからプリントデータをダウンロードして記憶しておくことができる。さらに、印刷手段の機能により、サービスからの指示にしたがって、ダウンロード手段によりダウンロードされたプリントデータを印刷する処理と、記憶手段に記憶されていたプリントデータとのいずれかを選択して印刷できる。この多機能画像形成装置でプリントデータを印刷することが予め分かっていれば、ユーザによる印刷指示に先立ってプリントデータをダウンロードして記憶手段に記憶させておくことにより、ユーザによる印刷指示を受けたときにサービスからのプリントデータのダウンロードを行なうことなく、予め記憶しておいたプリントデータから印刷を行なうことができる。その結果、ユーザが多機能画像形成装置でプリントデータの生成を依頼してから実際の印刷物を手にするまでの時間を節約できる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、画像形成のために利用するMFPを用い、特定のサービスのユーザ登録を簡単に行なうことができる。その結果、あるサービスへのユーザ登録をより簡便に行なうことが可能な多機能画像形成装置を提供できる。
【0028】
MFPでユーザ登録プロセスと異なる処理をユーザが開始したときに、ユーザ登録プロセスが開始されるようにすると、ユーザはわざわざユーザ登録プロセスを開始する必要がない。ユーザは、空き時間を有効に利用して、ユーザ登録を行なうことができる。例えば外部記憶装置にファイルを記憶させて多機能画像形成装置でその印刷を行なおうとする場合、印刷にはある程度の時間がかかる。そのため、そうした処理が行なわれる可能性が高いときにユーザ登録プロセスを開始することで、ユーザの空き時間を有効に利用してユーザ登録を行なわせることができる。原稿読取手段で原稿を読取る場合にも、ある程度の時間を要する。この時間を利用してユーザ登録プロセスを実行することで、ユーザは時間を有効に利用してサービス利用のためのユーザ登録を行なうことができる。
【0029】
さらに、ユーザ登録時に同時にデフォルトの印刷装置の指定を行なうことができ、遊佐登録と別個にデフォルトの印刷装置の指定を行なう必要がない。デフォルトの印刷装置の指定など、予めどの多機能画像形成装置でプリントデータからの印刷が行なわれているかがサービス側で分かっていれば、実際にユーザがその多機能画像形成装置で印刷の指示を出してから印刷物を手にするまでの時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るネットワークプリントシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す、第1の実施の形態に係る画像形成装置の1例のMFP(Multiple Funciton Periperal)のハードウェアブロック図である。
【図3】図2に示すMFPの待機画面を模式的に示す図である。
【図4】図2に示すMFPで実行されるプログラムのメインルーチンの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】図2に示すプログラムの一部ステップを形成するプリント処理のためのルーチンの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】図6に示すプログラムから印刷対象のファイルを受けたときにサーバで起動される、プリントデータ生成のためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】図6に示すプログラムからユーザ登録処理の開始要求を受けたときにサーバで起動される、ユーザ登録のためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図8】図2に示すMFPでサーバを用いて電子データの印刷を行なう際にMFPの表示装置に表示される画面を模式的に示す図である。
【図9】図8に示す画面でクラウドサービスのユーザ登録を開始したときにMFPで表示される画面を模式的に示す図である。
【図10】ユーザ登録が完了したときにMFPの表示装置に表示される画面を模式的に示す図である。
【図11】MFPでユーザ登録したユーザに対してサーバから送信される、ユーザ登録完了を知らせる電子メールの本文を模式的に示す図である。
【図12】第1の実施の形態に係るMFPにおいて、スキャン処理が選択されたときに実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図13】図12に示すプログラムの実行時にMFPから送信されるユーザ登録要求に応答してプリントサーバで起動される、ユーザ登録のためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図14】第1の実施の形態に係るシステムのプリントサーバにおいて、クラウドサービスにスマートフォンからアクセスしたユーザに対してサービスを提供するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図15】クラウドサービスに対しスマートフォンからログインするときのログイン画面を模式的に示す図である。
【図16】クラウドサービスに対するログイン後にスマートフォンに表示される、ファイルのアップロード画面を模式的に示す図である。
【図17】ファイルのサーバへのアップロード及び印刷を行なう処理を実現するためにサーバ側で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図18】プリントデータ生成の完了をスマートフォンのユーザに知らせるためにサーバから発信される電子メールの本文を模式的に示す図である。
【図19】スマートフォンに表示される、ファイルのダウンロード画面を模式的に示す図である。
【図20】スマートフォンへのファイルのダウンロード処理を実現するためにサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図21】MFPからクラウドサービスを利用するために、MFPで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図22】MFPのユーザに対するクラウドサービスを提供するために、サーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図23】MFPからクラウドサービスにログインするときにMFPに表示されるログイン画面を模式的に示す図である。
【図24】MFPからクラウドサービスにログインしたときにMFPに表示される画面を模式的に示す図である。
【図25】MFPにおいて、サーバのプリントサービスを利用してファイルを印刷するときに表示される画面例を模式的に示す図である。
【図26】MFPに対してプリントサービスを提供するためにプリントサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図27】MFPからサーバのプリントサービスを利用した後、印刷完了後にMFPに表示される画面を模式的に示す図である。
【図28】MFPにおいて原稿をスキャンして可搬型メモリに保存するときのMFPの画面例を示す図である。
【図29】第1の実施の形態に係るシステムにおいて、スキャンが指示されたときにサーバで実行されるプログラムの制御構造を模式的に示す図である。
【図30】スキャン完了時にMFPにより表示される画面の模式図である。
【図31】本発明の第2の実施の形態に係るシステム内のMFPにおいて、ファイルの印刷が選択されたときに実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図32】サーバにおいて実行される、ユーザ登録のためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図33】MFPでスキャン実行時に表示される、クラウドサービスへの登録を勧誘する画面の模式図である。
【図34】図33に示す画面でクラウドサービスのユーザ登録を開始したときにMFPで表示される画面を模式的に示す図である。
【図35】第2に実施の形態において、ユーザ登録が完了したときにMFPの表示装置に表示される画面を模式的に示す図である。
【図36】第2の実施の形態において、ファイルのサーバへのアップロードを行なう処理を実現するためにサーバ側で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図37】第2の実施の形態において、MFPのユーザに対するクラウドサービスを提供するために、サーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図38】第2の実施の形態において、MFPからファイルの印刷依頼を受けたときにサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0032】
<第1の実施の形態>
【0033】
[構成]
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るクラウドサービス50は、インターネット60に接続されたクラウドサービス提供用のサーバ62を含む。クラウドサービス50には、インターネット60を介してスマートフォン64、クライアントパーソナルコンピュータ(以下、パーソナルコンピュータを単に「PC」と呼ぶ。)66、MFP68,70及び72、並びに電子黒板74等が接続可能で、それぞれサーバ62により提供されるサービスを利用できる。本実施の形態では、MFP68,70,72等は、例えばコンビニエンスストア等のパブリックスペースに置かれた装置であり、不特定多数が利用することが想定されている。
【0034】
クラウドサービスの利用方法に関し、端末による相違は基本的にはない。したがって、以下の説明では、主としてMFP68及びスマートフォン64によるクラウドサービスの利用について説明する。
【0035】
図2を参照して、MFP68は、プログラムを実行して各部を制御する、CPU(中央演算処理装置)、ROM(読出専用メモリ)及びRAM(Random Access Memory)等を含む実質的にはコンピュータである制御部92と、制御部92が接続された通信路90と、制御部92に接続され、液晶表示パネル及び各種スイッチ等、MFPを操作するためのUI(User Interface)を提供する操作表示部100と、通信路90を介して制御部92に接続され、外部記憶装置106(例えばUSBメモリ、SDカード等)が装着可能で記憶メディアに対するデータの入出力を行なう、コネクタ及びインターフェイス(以下「インターフェイス」を単に「I/F」と呼ぶ。)である外部記憶装置接続部104と、通信路90を介して制御部92に接続され、制御部92に対しネットワーク(典型的にはインターネット60に接続されたLAN(Local Area Network))への接続を提供する通信部96と、通信路90を介して制御部92に接続され、制御部92の制御の下で所定の媒体(典型的には記録紙)上に画像を形成(印刷)する処理を行なうプリントエンジンである画像形成部102と、通信路90を介して制御部92に接続され、各種の電子データ、サーバ62から受信したプリントデータ、及びその他のサービス提供に必要なデータを記憶するための記憶部94と、通信路90を介して制御部92に接続され、原稿上の画像をスキャンし、電子的な画像データに変換して制御部92により指定されるモジュールに出力する原稿読取部98とを含む。
【0036】
図1に示すサーバ62はコンピュータである。サーバ62は、ハードウェア的にはいずれも図示しないCPU、起動プログラム等を記憶したROM、一時的な記憶場所を提供するRAM、不揮発性の記憶装置であるハードディスクドライブ(HDD)、記憶メディアを装着可能なメディアリーダ/ライタ、インターネット60(図1を参照)への接続を提供するネットワークI/F、モニタが接続されるディスプレイI/F、並びにキーボード及びマウスをサーバ62に接続する入力I/Fとを含む。サーバ62のCPU、ROM、RAM及びHDDは、通常のコンピュータにと同様、後述するように所定のプログラムを実行するために利用される。
【0037】
MFP68の制御部92は、前述したとおり実質的にコンピュータであって、いずれも図示しないCPUと、ROMと、RAMと、HDDと、インターネット60への接続を提供するネットワークI/Fと、モニタが接続されるディスプレイI/Fと、キーボード及びマウスを制御部92に接続する入力I/Fとを含む。CPU、ROM、RAM及びHDDは、通常のコンピュータにと同様、後述するように所定のプログラムを実行するために利用される。
【0038】
図3に、MFP68の操作表示部100に通常表示されている待機画面130を示す。待機画面130には、コピーボタン140、スキャンボタン142、プリントボタン144、及びクラウドサービスボタン146が表示される。コピーボタン140は通常のコピー機能を起動する。スキャンボタン142は、原稿をスキャンし、外部記憶装置接続部104に装着された外部記憶装置106(図2を参照)に保存するスキャン機能を起動する。プリントボタン144は、外部記憶装置106に記憶された電子データをサーバ62に送り、サーバ62で生成されたプリントデータをMFP68にダウンロードしてMFP68で記録媒体(多くの場合は紙媒体)上に印刷する処理を起動する。最後に、クラウドサービスボタン146は、MFP68を介してサーバ62で提供されているクラウドサービスにアクセスする機能を起動する。クラウドサービスでは、プリントボタン144による印刷に加え、ファイルの保存及びプリントデータへの変換、並びに変換後のプリントデータをMFPで印刷する機能を提供する。このクラウドサービスをフルに利用するためには、ユーザ登録が必要であるものとする。
【0039】
本実施の形態では、各装置では以下のようなプログラムが実行される。
【0040】
図4を参照して、MFP68で実行されるプログラムは、ユーザによりいずれかの機能を選択するボタン(図3に示すコピーボタン140、スキャンボタン142、プリントボタン144、及びクラウドサービスボタン146のいずれか)が選択されたか否かが判定される。ボタン140,142,144、及び146が選択されると制御はそれぞれステップ170,172,174及び176に進む。ボタンがいずれも選択されていないときには制御はステップ160に戻る。
【0041】
ステップ170で実行されるコピー処理は通常のコピー処理と同じである。したがってここではステップ170の詳細については説明しない。
【0042】
以下、ステップ174のプリント処理、ステップ172のスキャン処理、及びステップ176のクラウドサービス処理について順番に説明する。
【0043】
〈プリント処理〉
図5を参照して、MFP68において、プリント処理がユーザにより指定されたときに実行されるプログラムは、電子データが記憶された外部記憶装置106を外部記憶装置接続部104に装着するようユーザに促し、装着されるまで待機するステップ200と、外部記憶装置106が装着されたことに応答して、2つのウィンドウを持つブラウザを起動するステップ201とを含む。
【0044】
ステップ201で表示される画面の例を図8に示す。図8を参照して、この画面300は、ファイル選択ウィンドウ310と、クラウドサービスへの登録ウィンドウ312とを含む。ファイル選択ウィンドウ310は、外部記憶装置106に記録されているファイルの情報を全て読出して得られるファイル名330,332及び334等のファイル名一覧と、OKボタン336とを含む。登録ウィンドウ312は、ユーザに対してクラウドサービスへの登録を勧誘するテキストと、登録プロセスをサーバ62で起動するために操作する登録開始ボタン350とを含む。
【0045】
実際にはこの画面300は、2つのウィンドウ310及び312を持つブラウザと、ブラウザ上で稼動するスクリプトとにより実現され、ステップ201の時点で操作表示部100上に表示される。ウィンドウ310及び312はそれぞれ独立してサーバとの通信が可能である。基本的にはファイル選択ウィンドウ310及び登録ウィンドウ312はそれぞれ別個のフォームとなっている。これら2つのウィンドウの内、登録ウィンドウ312を用いたユーザ登録プロセスは、登録開始ボタン350(図8)が操作されたときにのみ起動され、実質的にはサーバ62で実行される。図5ではこの処理について、ステップ201から枝分かれしたステップ218として示す。以後は主としてファイル選択ウィンドウ310を用いた処理について説明する。
【0046】
ファイル選択ウィンドウ310でのファイル選択はローカルでスクリプトを実行することにより実現される。ウィンドウ310にファイル一覧を表示するのは、ブラウザ上でローカルに実行されるスクリプトにより実現される。ファイル一覧からファイルを選択する処理もブラウザ上でローカルに実行されるスクリプトにより実現される。ファイルを選択後、ユーザがOKボタン336を押すことにより、ローカルに実行されるスクリプトが目的のファイルを外部記憶装置106から読出し、サーバ62への送信が開始される。
【0047】
このプログラムはさらに、ファイル選択ウィンドウ310においてユーザによりファイルが選択されるまで待機するステップ202と、ステップ202で選択されたファイルがMFP68の内部で処理可能なファイル形式(たとえばJPEG等)か否かを判定し、その結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ204とを含む。
【0048】
一方、登録ウィンドウ312もファイル選択ウィンドウ310とは独立したブラウザウィンドウとして動作する。図8に示す例では、ユーザが登録開始ボタン350を押すことにより、登録ウィンドウ312を構成するフォームがサーバ62に送信され、ユーザ登録プロセスの起動要求となる。ユーザが登録開始ボタン350を押さない限りユーザ登録プロセスは開始されない。ユーザ登録プロセスが開始されない場合、印刷処理が完了するとともにこの登録ウィンドウ312は消去される。
【0049】
電子データとして作成されるファイル形式は様々である。非常に一般的なファイル形式もあるし、特定のソフトウェアメーカのアプリケーションでしか処理できないようなファイル形式もある。特殊なファイル形式の場合、ユーザが自分のPCで印刷できないことも多い。そうした場合、パブリックスペースにあるMFP68等で印刷ができれば便利である。MFP68の存在意義の1つはそのように通常のPCでは印刷が困難なファイル形式のデータでも印刷が可能になるようにする点にある。
【0050】
しかし、一般的なファイル形式のデータを印刷する場合には特に問題はないが、一般的でないファイル形式のデータをMFP68で印刷しようとする場合、MFP68にそのファイル形式のデータを処理できるアプリケーションを予め準備しておかなければならない。MFP68は多くのパブリックスペースに設置されるため、その各々に非常に多数のファイル形式に対応するアプリケーションを予め準備しておくことは現実的でない。そこで本実施の形態では、MFP68では1部のファイル形式のみ内部処理可能とし、他のファイル形式のデータについてはサーバ62でプリントデータに変換し、そのプリントデータをMFPで印刷することとした。こうした構成により、多くのファイル形式を処理するためのアプリケーションはサーバ62のみに準備しておけばよく、MFP68では1部のアプリケーションのみを準備しておけばよい。
【0051】
こうした目的にしたがい、ステップ204での判定が肯定の場合、制御はステップ206に進み、MFP68はステップ202で選択されたファイルからプリントデータを生成し、ステップ208でこのプリントデータの画像を記録媒体上に形成(印刷)して処理を終了する。
【0052】
一方、ステップ204の判定が否定の場合、MFP68は、ステップ202で選択されたファイルをステップ210でサーバ62に送信する。この処理は、前述したとおり、ブラウザ上でローカルに動作するスクリプトと、ブラウザからサーバ62へのフォーム送信とにより実現される。
【0053】
ステップ210でサーバ62にファイルを送信した後、MFP68は、ファイルから生成されたプリントデータのサーバ62からの送信が開始されるまでステップ212で待機する。サーバ62からプリントデータの送信が開始されると(ステップ212でYES)、プリントデータを順次受信し(ステップ214及びステップ216)、受信が完了すると(ステップ216でYES)制御はステップ208に移る。ステップ208では、前述したとおり、受信したプリントデータに基づく画像を記録媒体上に形成し、処理を終了する。
【0054】
図6を参照して、MFP68等のMFPからプリント処理の起動要求を受信したサーバ62は、以下のようなプログラムを実行する。このプログラムは、MFP68から印刷対象のファイルを受信するステップ230と、ステップ230で受信されたファイルについて「印刷が完了するまでお待ち下さい」というメッセージを表示することを指示するレスポンスをMFP68に対して送信するステップ232と、ステップ230で受信したデータからプリントデータを生成するステップ234と、プリントデータの生成が完了した後、プリントデータをMFP68に送信して処理を終了するステップ236とを含む。実際には、画像形成装置から印刷対象のファイルを受信するたびに、図6に示すプログラムの実行が開始される。なお、ステップ232で送信されるレスポンスは、HTML形式のレスポンスであり、例えば図8のファイル選択ウィンドウ310に、図9のメッセージ画面380の形で表示される。
【0055】
一方、図5のステップ218からの、クラウドサービスへのユーザ登録処理を行なうプロセスの起動要求をサーバ62が受信すると、サーバ62はユーザ登録プロセスを起動する。このプロセスを実現するプログラムは、図7に示すような制御構造を有する。
【0056】
図7を参照して、このプログラムは、MFP68からの起動要求(図5のステップ218で送信される。)を受けてユーザ登録プロセスを起動するステップ260と、MFP68に対して、ユーザ登録画面を表示するためのレスポンスを送信するステップ262とを含む。ユーザ登録画面はHTML形式であり、MFP68の操作表示部100では、図8の登録ウィンドウ312に、図9に示すようなユーザ登録画面382として表示される。
【0057】
図9を参照して、ユーザ登録画面382は、ユーザIDフィールド390と、パスワードフィールド392と、メールアドレスフィールド394と、入力のためのソフトキー領域396と、OKボタン398とを含む。ユーザ登録画面382に含まれるフィールドはいずれもユーザ登録時に一般的に用いられるものなので、ここではその詳細については説明しない。
【0058】
再び図7を参照して、ユーザ登録処理プログラムはさらに、ステップ262の後、ユーザ登録画面382を用いたユーザ登録の入力(フォーム形式のHTTPリクエスト)がMFP68から送信されてきたか否かを判定するステップ264と、ステップ264の判定が肯定のときに、送信されて来たユーザ情報を用いてユーザ情報を図示しないユーザデータベースに登録するステップ266とを含む。ステップ266では実際には、同じユーザIDの有無等をチェックする必要があるが、それらは通常の処理であるのでここではそうした細部については述べない。
【0059】
このプログラムはさらに、ステップ266に続き、登録ユーザに対し、クラウドサービスに登録されたことを通知する電子メールを作成し、図9のメールアドレスフィールド394に入力されたアドレスに送信するステップ268と、ステップ268の後、クラウドサービスへのショートカットをMFP68の外部記憶装置106に登録するようMFP68に対して指示を送り処理を終了するステップ270とを含む。このように外部記憶装置106にショートカットを登録することにより、ユーザは、次回からはこのショートカットを用いてクラウドサービスに簡単にアクセスできる。
【0060】
ステップ268でユーザのメールアドレスに送信されるメール本文の例を図11に示す。図11を参照して、このメール本文420は、登録完了を知らせるメッセージと、クラウドサービスにアクセスするためのURL430と、登録されたユーザID432及びパスワード434とを含む。パスワード434は表示しないようにしてもよい。
【0061】
図7を参照して、このプログラムはさらに、ステップ264の判定が否定のときに、サーバ62からMFP68へのプリントデータの送信が完了したか否かを判定し、完了していなければステップ264に制御を戻すステップ272と、プリントデータの送信が完了したときに、ユーザ登録をキャンセルするためのキャンセルボタンを図9に示すユーザ登録画面に表示してユーザの入力を待機するステップ273とを含む。ステップ273でユーザがユーザ登録のための入力を続行してOKボタンを押したときには、制御はステップ266に進み、ユーザがキャンセルボタンを押したときには制御はステップ274に進む。OKボタンが押されたときにはステップ266,268及び270によりユーザ登録がされ、図10の印刷完了メッセージ412及び登録完了メッセージ414が操作表示部100に表示されて処理を終了する。キャンセルボタンが押されたときにはステップ274により画面をクリアして処理を終了する。
【0062】
〈スキャン処理〉
図12を参照して、MFP68においてスキャン処理を実現するプログラムは以下のような制御構造を有する。このプログラムは、外部記憶装置106が外部記憶装置接続部104に接続されるまで待機するステップ440と、外部記憶装置106が装着されたときに、図8に示すものと類似した画面であって、ファイル選択ウィンドウ310が原稿読取画面になっているウィンドウを操作表示部100に表示するステップ441とを含む。このウィンドウは、左側と右側とが別個に動作可能なブラウザにより実現されるものである。以後、左側のウィンドウではスキャン条件の設定が行なわれ、右側のウィンドウではユーザ登録処理が行なわれる。すなわち図12のステップ441では、ブラウザによりスキャン条件設定のためのプロセスと、ユーザ登録のためのプロセスとが同時に起動されたのと同様の結果となる。ここでは、ユーザ登録のプロセスに相当するステップをステップ456とする。ステップ456では、図8の右側の登録ウィンドウ312と同じものが表示される。登録開始ボタン350が押されると、そのメッセージがサーバ62にユーザ登録プロセスの起動要求として送信され、このブラウザ画面を利用するユーザ登録プロセスが起動される。その内容については図13を参照して後述する。ユーザ登録プロセスについてMFP68が行なう処理は通常のブラウザの動作と全く同じなので、ここではその詳細については述べない。
【0063】
図12に示すプログラムはさらに、ユーザによりスキャン条件の設定入力がされたか否かを判定するステップ442と、スキャン条件の設定入力がされたときに(ステップ442でYES)、MFP68のスキャン条件をユーザ入力にしたがって変更し制御をステップ442に戻すステップ444と、スキャン条件の設定入力がされていないとステップ442で判定されたときに、さらにスタートボタンが押されたか否かを判定し、押されていなければ制御をステップ442に戻すステップ446とを含む。
【0064】
このプログラムはさらに、スタートボタンが押されたとステップ446で判定されたときに、原稿読取部98に載置された原稿を原稿読取部98を制御して読取り、電子データに変換するステップ450と、スキャンされたデータを外部記憶装置106に保存するステップ452と、ステップ452の処理が完了した後、スキャン処理が終了したことをサーバ62に送信して処理を終了するステップ454とを含む。
【0065】
図12のステップ456でユーザが登録開始ボタン350を押すと、ユーザ登録プロセスの起動要求がサーバ62に送信される。この起動要求に応答して、サーバ62は、以下のような制御構造を持つプログラムを起動する。図13を参照して、このプログラムは、起動要求に応答して、ユーザ登録プロセスを起動するステップ460と、MFPに対してユーザ登録画面を表示させるためのhttpレスポンスを送信するステップ462とを含む。このレスポンスに応答して、MFP68ではブラウザが起動され、図8に示す画面300と同様のユーザ登録画面が表示される。
【0066】
このプログラムはさらに、ステップ462に続き、図9に示すOKボタン398が押されたか否かを判定するステップ466と、OKボタン398が押され、ユーザ登録データの入力があったときに、そのユーザ情報をクラウドサービスのためのユーザデータベース(図示せず)に登録するステップ468と、ユーザに対し、クラウドサービスに登録されたことを通知する電子メールを送信するステップ470と、クラウドサービスへのショートカットを外部記憶装置106に登録するよう、MFP68に対して指示を送信して処理を終了するステップ472とを含む。
【0067】
このプログラムはさらに、ステップ466でOKの入力を受けていないと判定されたときに、さらにMFP68(図12のステップ454)からスキャン処理の終了通知を受けたか否かを判定し、受けていない場合には制御をステップ466に戻すステップ474と、ステップ474でスキャン処理の終了通知を受けたと判定されたときに、図9に示す画面と同様の画面で、ただしユーザ登録をキャンセルするキャンセルボタンが追加された画面を表示してユーザ入力を待つステップ475とを含む。ステップ475でOKボタンが押されたときには制御をステップ468に進める。ステップ475でキャンセルボタンが押されたときには、ステップ476でユーザ登録画面をクリアするよう、MFP68に対して指示を送信し処理を終了する。
【0068】
以上のプログラムがMFP68及びサーバ62で動作することにより、MFP68におけるスキャン処理及びスキャンと同時にクラウドサービスへのユーザ登録を行なう処理が実現される。
【0069】
〈クラウドサービス処理〉
クラウドサービスを実現するための処理には、スマートフォン等の小型の端末からクラウドサービスにアクセスするときのプログラムと、MFP68のように比較的ハードウェア資源を備えた端末からクラウドサービスにアクセスするときのプログラムとの2通りが存在する。以下に示す例では、プログラムの制御は主としてサーバ62が行ない、端末ではブラウザによりサーバ62との入出力を行なう。以下の説明は、端末がスマートフォン64である場合について、サーバ62で動作するプログラムの詳細を説明する。MFP68等が端末である場合に動作するプログラムについては図21以下を参照して後述する。
【0070】
(スマートフォンからのクラウドサービスへのアクセス)
図14を参照して、このプログラムは、ユーザのログイン処理を行なうステップ490を含む。ここでは、サーバ62の制御のもと、スマートフォン64でブラウザが起動され、図15に示すようなログイン画面530がブラウザにより表示される。
【0071】
図15を参照して、ログイン画面530は、ユーザIDフィールド532と、パスワードフィールド534と、ソフトキーボード領域536と、OKボタン538とを含む。図15では分かりやすくするためにパスワードフィールド534に通常のアルファベットを表示しているが、パスワード属性をこのフィールドに付与することにより、入力されたパスワードは所定の文字(たとえば黒丸「●」)として表示される。ユーザIDフィールド532にユーザIDを、パスワードフィールド534にパスワードを、それぞれ入力し、OKボタン538を押すことにより、ユーザIDとパスワードとがサーバ62に送信される。サーバ62は、図示しないユーザデータベース内にこの組合せが存在すればユーザのログインを許可し、存在しなければ拒否する。ユーザIDとパスワードとに関するこうしたチェックは常套的に行なわれていることなので、図14に示す例では、その詳細は図示していない。
【0072】
このプログラムはさらに、ステップ490のログイン処理が成功したときに、操作対象となるファイルの一覧をサーバ(ダウンロード用)及びスマートフォン(アップロード用)の双方について作成するステップ492と、ステップ492で作成されたファイル一覧を用い、操作メニューをスマートフォン64のブラウザにより画面に表示させるステップ492とを含む。
【0073】
図16を参照して、ファイル操作メニュー550は、アップロード用メニュータブ560と、ダウンロード用メニュータブ562と、ログアウトボタン564とを含む。図16に示すのはアップロード用メニューであり、アップロードの対象となる、スマートフォン内のファイル名570及び572等からなるファイル一覧と、アップロードボタン574とを含む。ダウンロード用メニューは図19に示す。図19を参照して、ダウンロード用メニューは、ダウンロードの対象となる、サーバ内のファイル名640及び642等からなるファイル一覧と、ダウンロードボタン644とを含む。アップロード用メニューとダウンロード用メニューとは、アップロード用メニュータブ560及びダウンロード用メニュータブ562を押すことにより切替えられる。なお、ステップ494でアップロード用メニュータブ560とダウンロード用メニュータブ562とのいずれを表示するかは、ユーザにより設定できる。ここではアップロード用メニュータブ560がデフォルトで表示されるものとする。ステップ494での表示では、アップロード用メニュータブ560のアップロードボタン574及びダウンロード用メニュータブ562のダウンロードボタン644は、いずれもグレーアウトされ、操作できなくなっている。
【0074】
再び図14を参照して、このプログラムはさらに、ユーザによりどのような操作が選択されたかを判定し、その結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ496を含む。ユーザによる操作と、操作に応答して実行されるステップとの関係は以下のとおりである。なお、以下のプログラムでは、画面上にアップロード用メニューが表示されているときにはアップロード用メニューの各要素しか操作できない。同様に、ダウンロード用メニューが表示されているときにはダウンロード用メニューの各要素しか操作できない。また、いずれの選択肢の場合も、処理終了後には制御はステップ496に戻る。
【0075】
(1)アップロード用メニューのファイル名を選択
制御はステップ498に進み、選択されたファイル名を強調表示する。ステップ500でアップロードボタン574を操作可能な状態とする。
【0076】
(2)ダウンロード用メニューのファイル名を選択
制御はステップ502に進み、選択されたファイル名を強調表示する。ステップ504でダウンロードボタン644を操作可能な状態とする。
【0077】
(3)アップロード用メニュータブ560を選択
制御はステップ506に進み、アップロード操作メニューを表示する。
【0078】
(4)ダウンロード用メニュータブ562を選択
制御はステップ508に進み、ダウンロード操作メニューを表示する。
【0079】
(5)アップロードボタン574を操作
制御はステップ510に進み、選択されたファイルをスマートフォンからサーバにアップロードする作業が行なわれる。この詳細については図17を参照して後述する。ステップ512でアップロードファイルの一覧を作成する。この処理の結果、アップロード用ファイルの一覧は初期状態に戻る。ステップ514でアップロード操作メニューを表示する。
【0080】
(6)ダウンロードボタン644を操作
制御はステップ516に進み、選択されたファイルをサーバからスマートフォンにダウンロードする作業が行なわれる。この詳細については図20を参照して後述する。ステップ518でダウンロードファイルの一覧を作成する。この処理の結果、ダウンロード用ファイルの一覧は初期状態に戻る。ステップ520でダウンロード操作メニューを表示する。
【0081】
(7)ログアウトボタン564を操作
制御はステップ522に進み、ログアウト時の作業を行なった後、プログラムの実行を終了する。ログアウト時の作業としては、サーバ側でユーザ操作履歴を保存したり、スマートフォンの画面にログアウト時の画面を表示させたりすることが考えられる。
【0082】
(アップロード処理)
図17を参照して、図14のステップ510では以下のようなアップロード処理が実行される。まず、指定されたスマートフォン中のファイルをスマートフォンから受信する(ステップ590)。このファイルをサーバの記憶装置中の、ログオン中のユーザのための領域に保存する(ステップ592)。保存されたファイルを、適切なアプリケーションを用いてプリントデータに変換する(ステップ594)。生成されたプリントデータをスマートフォンから受信したファイルと関連付けて記憶装置に保存する(ステップ596)。ログオン中のユーザのメールアドレスに、プリントデータへの変換が完了したことを示す電子メールを送信し(ステップ598)、処理を終了する。
【0083】
ステップ598でユーザに送信される電子メールの1例を図18に示す。図18を参照して、この電子メール610は、件名欄620と、本文テキスト欄622とを含む。ここでは簡略化して示してあるが、例えば件名欄620にクラウドサービス名を表示したり、本文テキスト欄622に印刷の準備が終了したファイル名を表示したりするようにしても良い。
【0084】
(ダウンロード処理)
図20を参照して、図14のステップ516で実行されるダウンロード処理の詳細について説明する。図20に示すように、この処理では、スマートフォンで指定されたダウンロード対象のファイル(サーバ内のファイル)をサーバの記憶装置から読出し、端末に送信するステップ660を含む。端末ではこのファイルを受信したら、端末内の記憶装置にこのファイルを保存する。ファイルの送信が完了するとダウンロード処理は終了する。
【0085】
(MFP68からのクラウドサービスへのアクセス)
本実施の形態では、MFP68においてクラウドサービスを利用するときに可能な処理には、クラウドサービスで既に生成されているプリントデータをダウンロードし、画像形成部102により記録媒体上にその画像を形成する処理(「印刷処理」)と、原稿読取部98を制御して原稿を読取り、得られた原稿データをサーバ62に保存する処理(「原稿保存処理」)との2つの処理がある。
【0086】
図21を参照して、MFP68において、図3の画面でクラウドサービスボタン146が選択されたときには、以下のようなプログラムがMFP68で実行される。なお、以下の処理は典型的なブラウザが行なう処理と同じである。このプログラムは、操作表示部100の表示プログラムとしてブラウザを起動し、ブラウザをサーバと接続するステップ680と、サーバから何らかのレスポンス(指示)が到着したか否かにより制御の流れを分岐させるステップ682とを含む。このプログラムはさらに、サーバからレスポンスがあったときに、サーバの指示にしたがった処理を実行するステップ684と、サーバの指示によりクラウドサービスの利用を終了させるか否かを判定し、制御を分岐させるステップ686と、クラウドサービスの利用を終了させると判定されたことに応答して、ブラウザを閉じ、図3に示す待機画面に表示を復帰させてこのプログラムの実行を終了させるステップ688とを含む。ステップ686でクラウドサービスの利用を終了させると判定されなかったときには、制御はステップ682に戻る。
【0087】
このプログラムはさらに、ステップ682でサーバからのレスポンスがまだないと判定されたときに、操作表示部100によるユーザの入力があったか否かを判定し、ない場合には制御をステップ682に戻すステップ690と、ステップ690でユーザの入力があったと判定されたときに、その入力にしたがったリクエストをサーバに送信し、制御をステップ682に戻すステップ692とを含む。
【0088】
図22を参照して、図21の処理に対応してサーバで実行されるプログラムは、MFP68のブラウザにログイン画面を表示させ、ユーザのログイン処理を行なうステップ710と、ステップ710のログイン処理が成功したときに、MFP68のファイルからアップロードファイル一覧を、サーバのファイルからダウンロードファイル一覧を、それぞれ作成するステップ712と、ステップ712で作成したファイル一覧を用い、操作メニューをMFP68のブラウザに表示させるステップ714と、ユーザが何らかの操作をしたときにブラウザから送信されてくるリクエストに基づき、制御の流れを分岐させるステップ716とを含む。
【0089】
図23に、ステップ710でMFP68の操作表示部100に表示されるログイン画面750の例を示す。ログイン画面750も、図15に示すスマートフォンからのログイン画面530と同様の構成であって、ユーザIDフィールド760と、パスワードフィールド762と、ソフトキーボード領域764と、OKボタン766とを含む。図23では分かりやすくするためにパスワードフィールド762に通常のアルファベットを表示しているが、パスワード属性をこのフィールドに付与することにより、入力されたパスワードは所定の文字(たとえば黒丸「●」)として表示される。ユーザIDフィールド760にユーザIDを、パスワードフィールド762にパスワードを、それぞれ入力し、OKボタン666を押すことにより、ユーザIDとパスワードとがサーバ62に送信される。サーバ62は、図示しないユーザデータベース内にこの組合せが存在すればユーザのログインを許可し、存在しなければ拒否する。
【0090】
図24に、図22のステップ714で表示される操作メニュー画面の例を示す。この操作メニュー780は、ファイル一覧ペイン790と、機能選択メニュー792と、OKボタン794と、ログアウトボタン796とを含む。機能選択メニュー792は、印刷処理を実行するための印刷ボタン800と、原稿を読取り、原稿データを保存する処理を実行するための原稿保存ボタン802とを含む。ファイル一覧ペイン790には、サーバ62に保存されている、このユーザのファイルから作成されたプリントデータのファイル名が一覧形式で表示される。
【0091】
本実施の形態では、最初に操作メニュー780が表示される際には、印刷ボタン800及び原稿保存ボタン802のいずれも選択された状態ではなく、ファイル一覧ペイン790のいずれのファイル名も選択された状態ではない。この様な状態ではサーバはどのような処理も開始できないため、OKボタン794はグレーアウトされ操作不可の状態となっている。
【0092】
再び図22を参照して、ステップ716で検出される操作と、各操作により起動される処理との関係は以下のとおりである。なお、いずれの選択肢の場合にも処理の終了後は制御はステップ716に戻る。
【0093】
(1)ファイル一覧ペイン790内のいずれかのファイル名
ファイル一覧ペイン790内のいずれかのファイル名が指定された場合、ステップ718でそのファイル名を強調表示するとともにそのファイル名を記憶する。ステップ718の後、ステップ720で、印刷ボタン800が既に選択されていれば、OKボタン794を操作可能な状態とし、そうでなければOKボタン794を操作不可とした形で操作メニューを表示させる。
【0094】
(2)印刷ボタン800
印刷ボタン800が操作されると、仮に原稿保存ボタン802が強調表示されている場合にはその強調表示を解除し、印刷ボタン800を強調表示する(ステップ722)。図25に、「新商品のご説明」というファイルが選択され、かつ印刷ボタン800が選択された状態の操作メニュー780を示す。図25に示すように、本実施の形態では、選択されたボタンは反転により強調表示される。この後、制御はステップ720に進み、印刷対象音ファイル名のいずれかが選択されていれば、OKボタン794を操作可能な状態とし、そうでなければOKボタン794を操作不可な状態とする。
【0095】
(3)原稿保存ボタン802
原稿保存ボタン802が操作されると、印刷ボタン800が強調表示されている場合にはその強調表示を解除した上で原稿保存ボタン802が強調表示される(ステップ824)。さらにOKボタン794が操作可能となっている状態の操作メニューを表示する。図28に、原稿保存ボタン802が強調表示された状態の操作メニュー780を示す。
【0096】
(4)OKボタン794
OKボタン794が押されると、まず印刷ボタン800が選択されているか否かが判定される(ステップ728)。印刷ボタン800が選択されているときには、ファイル一覧ペイン790のうちのいずれかのファイルが選択されているか否かを判定する(ステップ730)。ファイルが1つも選択されていないときにはエラーメッセージを含む操作メニューを表示する(ステップ732)。一方、ファイルが選択されているときには、後述する印刷処理を行ない(ステップ734)、図27に示すような印刷終了メニュー840を表示する(ステップ736)。印刷終了メニュー840は、印刷が完了したことを示すメッセージ850と、ログアウトボタン852とを含む。この実施の形態では、1つのファイルの印刷が完了すると、後はユーザはログアウトするしかできない。
【0097】
ステップ728で、印刷ボタン800が選択されているのではない、すなわち原稿保存ボタン802が選択されていると判定されると、後述する原稿保存処理がステップ738で実行される。この後、ステップ740で保存終了メニューが表示される。保存終了メニューの例を図30に示す。図30を参照して、この保存終了メニュー890は、保存ファイル名を告知するメッセージ900と、ログアウトボタン902とを含む。保存終了メニュー890で操作可能なものはログアウトボタン902のみである。したがって、原稿保存処理を行なった場合、その終了後には本実施の形態ではログアウトしかできない。
【0098】
(5)ログアウトボタン796、852又は902
ログアウトボタン796、852又は902が操作されると、ステップ742でログアウト処理が実行され、MFP68に待機画面を表示させてこのプログラムの実行を終了する。
【0099】
(印刷処理)
図22のステップ734で実行されるプログラムの制御構造について図26を参照して説明する。まず、選択されるファイルに対応するプリントデータをサーバ62の記憶装置から読出す(ステップ820)。読出したファイルを、続くステップ822でMFP68に送信し、処理を終了する。
【0100】
(原稿保存処理)
図22のステップ738で実行される、原稿保存処理を実現するプログラムの制御構造について、図29を参照して説明する。この処理では、最初に原稿読取条件の設定操作を受付ける。ここで設定される条件として、原稿の種類、倍率、2in1等の集約の有無、カラーか白黒か、等がある。続くステップ872では、原稿の読取条件とともに、原稿読取の指令をMFP68に送信する。この指令に応答し、MFP68は原稿の読取を開始し、原稿データを生成する。ステップ874では、読取った原稿をサーバ62に送信するようMFP68に指示し、原稿データを待機する。MFP68はこの指令に応答し、原稿データを1ページ分ずつサーバ62に送信してくる。ステップ876では、MFP68から送信されてきた原稿データを受信し、保存する。この受信と保存とを、全ての原稿データに対して実行すると、原稿保存処理は終了する。
【0101】
[動作]
このシステムは以下のように動作する。ここでは、(1)MFPからのファイルの印刷、(2)MFPでの原稿読取、(3)スマートフォンからのファイルのアップロード、(4)アップロードしたファイルをMFPで印刷、という4つの場合に分け、このシステムを構成するMFP、スマートフォン及びサーバがどのように動作するかを説明する。
【0102】
(1)MFPからのファイルの印刷
この場合、予めユーザは外部記憶装置106に印刷したい文書ファイルを記憶させておく。この文書ファイルは、MFPでは印刷できない形式で、サーバでプリントデータを生成する必要があるものとする。MFPの画面は図3に示す待機画面130となっている。
【0103】
ファイルの印刷を行なう場合、ユーザは外部記憶装置106を持ちMFPのところまで行く。ユーザは、図3の待機画面130の中からプリントボタン144を選択する。すると、MFPでは図4のプログラムのステップ160の判定により、ステップ174の処理が実行される。ステップ174では図5に示すプログラムが実行される。
【0104】
図5に示すプログラムは、電子データが記憶された外部記憶装置106を外部記憶装置接続部104に装着するようユーザに促し、装着されるまで待機する(ステップ200)。外部記憶装置106がユーザにより外部記憶装置接続部104に装着されると、MFPはネイティブUIに代えてブラウザを起動する。ブラウザにより、図8に示す画面300が表示される。このブラウザはファイル選択ウィンドウ310と、クラウドサービスへの登録ウィンドウ312とを持つ。ファイル選択ウィンドウ310には、ローカルで実行されるスクリプトにより、外部記憶装置106内のファイル一覧が表示される。一方、登録ウィンドウ312には図示するようなフォームがHTML形式で表示される。両者はそれぞれ別個に動作する。
【0105】
─ファイル選択ウィンドウ310による処理─
MFP68は、外部記憶装置106に記録されているファイルの情報を全て読出し、ファイル選択ウィンドウ310の画面をブラウザに表示して、ユーザによりファイルが選択されるまで待機する(ステップ202)。
【0106】
ファイル選択ウィンドウ310のファイル一覧からユーザがファイルを選択し、OKボタン336を押すと、MFP68は、選択されたファイルがMFP68の内部で印刷処理可能なものか否かを判定する。ここでは選択されたファイはMFP68では処理できないものとしている。したがって制御は図5のステップ210に進む。ステップ210では、MFP68は、選択されたファイルをサーバ62に送信する。この後、MFP68は、ファイルから生成されたプリントデータのサーバ62からの送信が開始されるまでステップ212で待機する。
【0107】
一方、サーバではMFP68から印刷対象のファイルが送信されてくると、図6に示すプロセスが起動される。ステップ230でこのファイルを受信し、ステップ232でファイル選択ウィンドウ310にプリントデータ生成中であることを示すメッセージを表示するため、MFP68のブラウザにメッセージ表示用のHTML形式の文書を送信する(ステップ232)。そして、サーバ62は、受信したファイルに対して適切なアプリケーションを選択し、プリントデータを生成して(ステップ234)、生成されたプリントデータをMFP68に送信してこのプロセスを終了する。
【0108】
再び図5を参照して、MFP68はサーバ62からのプリントデータの送信が開始されるまで待機し(ステップ212でNO)、送信が開始されると(ステップ212でYES)送信されてくるプリントデータを順次受信する(ステップ214及びステップ216)。プリントデータの受信が全て完了すると(ステップ216でYES)MFP68は、ステップ208で、受信したプリントデータに基づく画像を記録媒体上に形成し、処理を終了する。
【0109】
─登録ウィンドウ312による処理─
一方、登録ウィンドウ312もファイル選択ウィンドウ310とは独立したブラウザウィンドウとしてファイル選択ウィンドウ310と同時並列的に動作する。図8に示す例では、ユーザが登録開始ボタン350を押すことにより、登録ウィンドウ312を構成するフォームがサーバ62に送信され、ユーザ登録プロセスの起動トリガーとなる。ユーザが登録開始ボタン350を押さない場合、ユーザ登録については何も実行されず、印刷が終了するとともに登録ウィンドウ312は消去される。ここではユーザが登録開始ボタン350を押したものとする。すると、ユーザ登録プロセスの開始要求が図5のステップ218からサーバ62に送信される。サーバ62では、この開始要求に応答して図7に示すユーザ登録プロセスが開始される。
【0110】
図7を参照して、ステップ260及び262により、図9のユーザ登録画面382が画面300の右半分に表示される。ユーザが、プリントデータの送信完了前(ステップ272の判定がNO)にユーザIDフィールド390、パスワードフィールド392、及びメールアドレスフィールド394に必要な情報を入力してOKボタン398を押すと、図7ではステップ264の判定がYESとなり、ステップ266,268,270が順次実行され、ユーザ登録が完了する。
【0111】
一方、ユーザによる入力完了前にプリントデータの送信が完了した場合(ステップ272でYES)、ステップ273で、ステップ264で表示されるユーザ登録画面382と同様の画面で、ユーザ登録を続行するか否かを確認するボタンが追加された画面をMFP68の操作表示部100に表示し、ユーザの入力を待つ。ユーザがキャンセルボタンを押して登録を中止する場合には、ステップ274でユーザ登録画面がクリアされ、ユーザ登録することなく処理を終了する。ユーザがユーザ登録に必要な情報を入力してOKボタン398を押すと、処理はステップ266に進み、後は前述したとおりの手順でユーザ登録が行なわれる。
【0112】
印刷とユーザ登録との双方が完了した後には、MFP68の操作表示部100には図10に示す画面が表示される。所定時間が経過するとこの画面は消去され、図3に示す待機画面130が表示される。
【0113】
ステップ268でユーザに対して図11に示すような電子メールが送信される。ユーザは、以後、この電子メールに記載されたURL430にアクセスし、表示されるログイン画面でユーザID432及びパスワード434を入力することでこのクラウドサービスを簡単に利用できる。
【0114】
(2)MFPでの原稿読取
MFP68での原稿読取は以下のように行なわれる。ユーザは、MFP68において図3の待機画面130のうち、スキャンボタン142を押す。MFP68で実行されるプログラム(図4)において、ステップ160の判定により制御はステップ172に進み、図12に制御構造を示すプログラムが起動される。ステップ440で、外部記憶装置106を外部記憶装置接続部104に装着するようにメッセージを表示し、外部記憶装置106が装着されるまで待機する。外部記憶装置106が外部記憶装置接続部104に装着されると、図8に示すものと同様の画面が操作表示部100に表示される(ステップ441)。ただしファイル選択ウィンドウ310側には、スキャンの設定画面がサーバ62からの指示により表示される。登録ウィンドウ312は印刷処理のときと同じである。
【0115】
ユーザがスキャン条件の設定を入力すると、ステップ442及び444の処理によりスキャン条件の変更が行なわれる。ユーザが図8に示すOKボタン336に相当するボタンを押すと、図12のプロセスでは、ステップ442,446の経路を経てステップ450で原稿のスキャンが開始される。スキャンされた原稿データはステップ452で外部記憶装置106に保存される。保存が終了すると、ステップ454で原稿読取が終了したことを示すメッセージがMFP68からサーバ62に送信される。
【0116】
一方、MFP68において原稿のスキャンが行なわれている間にクラウドサービスへの登録を行なおうとするユーザが登録開始ボタン350を押すと、図12のステップ441で起動されたブラウザからユーザ登録プロセスの起動要求がステップ456においてサーバ62に送信される。その結果、図13に示すプロセスがサーバ62内に起動される。
【0117】
図13を参照して、ステップ460でサーバ62はこの起動要求を受信し、ステップ462で、MFP68の操作表示部100の右側半分に、図9の右側半分に示したユーザ登録画面382と同様のユーザ登録画面を表示する。スキャンが完了する前にユーザが必要な情報を入力してOKボタンを押すと、ステップ466,468,470,472を経てユーザ登録と通知メールの送信等とが行なわれ、処理は終了する。ユーザが必要な情報を押してOKボタンを押す前にスキャンが完了すると、ステップ466の判定がNO、ステップ474の判定がYESとなり、ステップ475でユーザ登録画面に、さらにユーザ登録をキャンセルすることを指令するためのキャンセルボタンが追加された画面が表示され、ユーザの入力待ちとなる。キャンセルボタンが押されると、ステップ476で画面がクリアされ、ユーザ登録は行なわれずにスキャン処理は終了する。OKボタンが押されると、制御はステップ468に進み、先に述べたときと同じ手順でユーザ登録、通知メールの送信等が行なわれて原稿読取処理が終了する。
【0118】
(3)スマートフォンからのファイルのアップロード
スマートフォンでユーザがクラウドサービスへのログインを選択したものとする。図14に示すプロセスがスマートフォンで実行される。最初に図15に示すログイン画面530を用いたログイン処理が行なわれ(ステップ490)、スマートフォンの記憶装置の状態からアップロード用のファイル一覧が作成され、サーバ62の記憶装置の状態からダウンロード用のファイル一覧が作成される(ステップ492)。このファイル一覧を用い、図16に示すファイル操作メニュー550が表示される(ステップ494)。本実施の形態では、ステップ494で表示されるメニューは、デフォルトでファイルのアップロード用の画面であり、ファイルはいずれも選択状態とはなっていない。アップロードボタン574は選択不可の状態となっている。
【0119】
ユーザがファイルを選択すると、図14においてステップ496を経てステップ498及び500の処理により、選択されたファイル名が強調表示され、アップロードボタン574が操作可能な状態となる。もしも別のファイルを選択した場合には同じプロセスが繰返され、既に選択されたファイルの強調表示が取消され、新たに選択されたファイルが強調表示される。ファイルを選択後、ユーザが図16に示すアップロードボタン574を操作し、サーバ62へのファイルのアップロードを選択したものとする。すると、図14に示すプログラムではステップ496を経てステップ510の処理が行なわれる。ステップ510では、選択されたファイルがサーバ62に送信される。
【0120】
サーバでは、このファイルが送信されてきたことに応答して、図17に示すプロセスが起動される。図17を参照して、ステップ590でスマートフォンからのファイルを受信し、記憶装置にそのファイルを保存する(ステップ592)。ステップ594で、そのファイルをプリントデータに変換し、ステップ596では、MFP68から受信し保存したファイルと対応付けて、変換後のプリントデータを保存する。ステップ598では、スマートフォンのユーザのメールアドレスに、プリントデータの生成が完了したことを示す通知メール(図18を参照)を送信して処理を終了する。
【0121】
一方、スマートフォンでは、図14のステップ512及び514を経て、再度、初期状態のアップロード操作メニューを作成して表示し、次の入力を待つ。ユーザがログアウトボタン564(図16)を押すと、制御はステップ522に進み、ログアウト処理が実行されてクラウドサービスからのログアウトが完了する。スマートフォンの画面には通常の待受画面が表示される。
【0122】
(4)アップロードしたファイルをMFPで印刷
スマートフォンでサーバ62にアップロードしたファイルを印刷するときには、ユーザはMFP68で以下のような処理を行なう。MFP68の操作表示部100には、図3に示す待機画面130が表示されているものとする。ユーザはクラウドサービスボタン146を押す。すると、MFP68において、図21に制御構造を示すプログラムが起動される。まず、ステップ680でMFP68のネイティブUIに代えてブラウザを起動し、サーバ62と接続する。以後は、通常のブラウザと同様の動作である。すなわち、サーバ62からレスポンスがあれば(ステップ682でYES)、そのレスポンスにより指示された処理を実行し(ステップ684)、指示が処理の終了を示すものであれば(ステップ686でYES)、ブラウザを閉じ、操作表示部100を通常表示に復帰させる。
【0123】
ステップ682でサーバ62からの指示がないときには、MFP68の操作表示部100においてユーザによる入力があったか否かを判定し(ステップ690)、入力があれば(ステップ690でYES)その入力にしたがったリクエストをサーバ62に送信して(ステップ692)ステップ682に制御を戻す。入力がなければ(ステップ690でNO)、何もせず、ステップ682に制御を戻す。
【0124】
この処理では、実質的な処理はサーバ62側で全て行なうため、MFP68側ではここに示したような単純な処理しか行なわない。なお、このプログラムの実行開始時には、操作表示部100には図23に示すログイン画面750が表示される。
【0125】
一方、サーバ62では、サーバ62のブラウザからログイン画面750に対する入力があると、図22のステップ710のログイン処理が行なわれる。ログインが成功すると、このユーザについてサーバ62に保存されているファイルの一覧が作成され(ステップ712)、そのファイル一覧を用いた操作メニュー780(図24)が表示される(ステップ714)。ここでは、ファイル一覧ペイン790内のファイルはいずれも選択されておらず、印刷ボタン800及び原稿保存ボタン802も選択されていない状態である。OKボタン794は操作不可となっている。続いてステップ716でユーザの操作を待ち、操作の種類により制御の流れが分岐する。
【0126】
ここでは、ユーザは、既にスマートフォンからアップロードされていたファイルを印刷する処理を選択するものとする。その場合、図24に示す操作メニュー780では、ファイル一覧ペイン790のファイル名のいずれかを選択し、印刷ボタン800を押して、OKボタン794を押す、という流れになる。なお、印刷ボタン800とファイルの選択との順序はこの逆でもよいが、以下ではファイルの選択後、印刷ボタン800が操作されるものとする。
【0127】
最初にファイル名のいずれかを選択すると、図22においてステップ718が行なわれ、そのファイル名が強調表示される。さらに、もしも既に印刷ボタン800が選択されていると、ステップ720でOKボタン794が操作可能となる。印刷ボタン800が選択されていなければOKボタン794は操作不可のままである。ここではまだファイルが選択されただけなので、OKボタン794は操作不可のままである。続いて制御はステップ716に戻り、再度、ユーザの入力を待つ。
【0128】
前述した操作順序にしたがうと、次にユーザは印刷ボタン800を押す。すると図22において制御はステップ722に進み、印刷ボタンが強調表示される。図25はこの状態を示す。続いてステップ720に制御が進む。この例では、ファイルの1つが既に選択され、かつOKボタン794も選択されているので、OKボタン794が操作可能な状態となり、ユーザの入力を待つ。
【0129】
前述の操作順序にしたがい、ユーザがOKボタン794を押したものとする。図22のプログラムでは制御はステップ728,730,734、及び736の処理が実行される。すなわち、ステップ734では図26に示すプログラムが起動され、指定されたファイルがサーバ62からMFP68にダウンロードされ(ステップ820及び822)、MFP68で印刷される。この後、制御はステップ716に戻り、次のユーザ入力を待つ。
【0130】
ここでは詳細には述べないが、原稿保存処理の場合、サーバ62が、ステップ724及び726,ステップ728,738及び740をこの順で実行するようにユーザ操作を行なう必要がある。
【0131】
ユーザがログアウトボタン796(図24参照)を押すと、図22のステップ742の処理が実行され、サーバ62のプロセスは終了し、MFP68の操作表示部100に印刷終了メニュー840が表示される(図27)。
【0132】
以上、この第1の実施の形態に係るシステムの各部の構成及び動作について説明した。この実施の形態によれば、MFPでネットワークプリントシステムを利用してファイルを印刷するときに、ネットワークプリントシステムのクラウドサービスへの登録を促す画面が表示される。文書の印刷にはある程度の時間がかかる。従来であればユーザは、この時間は単にMFPの前に立って印刷が終了するのを待つが、その近辺で時間をつぶすだけである。しかし本実施の形態によれば、この時間を利用してクラウドサービスへの登録を行なうことができる。したがって、クラウドサービスへの登録のためにわざわざ時間を使うという感覚ではなく、あまった時間を利用する、という感覚で登録を行なうことができる。その結果、クラウドサービスへの登録に関する抵抗感を緩和し、クラウドサービスを普及させることがより容易になる。
【0133】
さらに、上記実施の形態では、通常はサーバとの通信を必要としないような、原稿のスキャン処理においても、スキャンの時間を利用してクラウドサービスへの登録を行なうことができる。その結果、クラウドサービスへの登録のために時間を使うことについての抵抗感が緩和され、クラウドサービスを普及させることがより容易となる。
【0134】
<第2の実施の形態>
上記実施の形態では、ユーザは、クラウドサービスのサーバ62に印刷対象の文書データをスマートフォンから送信し、サーバ62により生成されたプリントデータをMFP68で印刷する。クラウドサービスの登録ユーザであれば、どのMFPからもプリントデータの印刷を行なうことができる。しかし、MFP68からプリントデータを要求して初めてプリントデータのダウンロードが開始されるため、実際にMFP68での印刷開始までに多少の時間がかかるという問題がある。この第2の実施の形態は、その待ち時間を短縮する工夫を加えたものである。具体的には、本実施の形態では、MFPからサーバにプリントデータの生成を依頼する際に、そのMFPを、ユーザのデフォルトのプリンタ(これを本実施の形態では「マイプリンタ」と呼ぶ。)に設定する。以後、例えばスマートフォン等からこのユーザがプリントデータをサーバにアップロードした場合、変換後のプリントデータはMFPからの要求を受ける前に、マイプリンタとして指定されたMFPに予め送信される。ユーザは、マイプリンタとして設定したMFPで所望のファイルの印刷を行なうときには、サーバからプリントデータをあらためてダウンロードすることなく、MFPからすぐに印刷できる。
【0135】
こうした処理を行なうためには、各MFPには互いを識別するための一意な識別番号が割当てられている必要がある。以下の実施の形態では、そうした条件が整っていることを前提としている。
【0136】
[構成]
サーバ、スマートフォン、及びMFP等のハードウェア構成は第1の実施の形態のものと同様であり、相違は主としてサーバで実行されるプログラムと、それに対応してMFP等のプログラムに追加される部分にある。以下、相違点を主として説明する。
【0137】
図31は、第1の実施の形態の図5に制御構造を示すプログラムに代えて、本実施の形態においてMFP68でファイルの印刷が選択されたときに実行されるプログラムの制御構造を示す。図31が図5と異なるのは、図5のステップ218に代えて、図33に示す画面950の右半分に表示された、ユーザ登録のための登録ウィンドウ960においてユーザが登録開始ボタン350を操作すると、ユーザが操作しているMFP68の識別番号をサーバ62に送信するステップ930を含むことである。他の点ではこのプログラムは第1の実施の形態の図5に示すものと異ならない。
【0138】
ステップ201でMFP68の操作表示部100に表示される画面950の例を示す。この画面は、図8の画面、すなわち図5のステップ202で表示される画面300(図8を参照)と類似しており、図8に示すファイル選択ウィンドウ310と、図8に示す登録ウィンドウ312に代えて、利用中のMFPをマイプリンタとして登録することで印刷が早くできるようになることを示すメッセージ970を含む登録ウィンドウ960とを含む。その他の点では、画面950は図8に示す画面300と同じである。
【0139】
一方、本実施の形態においてサーバで動くプログラムのうち、第1の実施の形態の図7に制御構造を示すものに代えて、本実施の形態のシステムのサーバでは、図32に制御構造を示すプログラムが採用される。図32に示すプログラムが図7に示すものと異なるのは、ステップ260でユーザ登録プロセスを起動する際に、プロセスの起動要求とともにMFPの識別番号を受信することと、ステップ266とステップ268との間に、この起動要求と共に送信されてきたフォームにおいて、MFPをマイプリンタに設定することが指示されているか否かを判定するステップ940と、ステップ940の判定が肯定のときに、起動要求とともに送信されてきたMFPの識別番号を、ユーザのマイプリンタとして設定するステップ942とを新たに含むこととである。ステップ940の判定が否定のとき、及びステップ942の終了後は制御はステップ268に進む。他の点ではこのプログラムは図7に示すものと異ならない。
【0140】
図34に示すのは、ユーザが図33のOKボタン336と登録開始ボタン350とを押し、サーバでのプリントデータの生成を開始し、あわせてクラウドサービスへの登録を行なうことにしたときにMFP68の操作表示部100に表示される画面980である。この画面980は、図9に示す画面300と同様であるが、図9に示す画面300の右半分のユーザ登録画面382に代えて、現在使用中のMFP68をユーザのマイプリンタとしてクラウドサービスに登録するか否かを設定するためのマイプリンタ設定欄1000をさらに含むユーザ登録画面990を含む点で図9の画面300と異なる。その他の点では画面980は画面300と同様である。
【0141】
マイプリンタ設定欄1000は、「マイプリンタ設定」というテキストと、現在使用しているMFP68をユーザのマイプリンタに設定するか否かを指定するラジオボタン1002及び1004とを含む。ラジオボタン1002とラジオボタン1004とは、一方を選択すると他方の選択が解除される関係となっている。ユーザ登録画面990はHTMLのフォームとしてブラウザにより描画されるものであり、ユーザによる入力はHTTPリクエストとしてサーバに送信される。
【0142】
図35に、印刷と登録処理とが終了したときにMFP68の操作表示部100に表示される画面1020を示す。画面1020は、第1の実施の形態に関する図10の画面300と同様の画面である。ただし、図10の登録完了メッセージ414に代えて、登録完了を示すメッセージテキストと、マイプリンタの設定が完了したときに表示されるマイプリンタ設定完了メッセージ1032とを含む登録完了メッセージ1030とを含んでいる点で異なっている。
【0143】
図36は、第1の実施の形態の図17に制御構造を示すプログラムに代えて、この第2の実施の形態のシステムで用いられ、ファイルのサーバへのアップロード及び印刷を行なう処理、並びにマイプリンタが登録されているユーザについてはプリントデータをマイプリンタとして登録されているMFPに前もって送信する処理を実現するためにサーバ側で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【0144】
図36のプログラムが図17のプログラムと異なるのは、図17のステップ596とステップ598との間に、このユーザに対してマイプリンタの設定がされているか否かを判定し、設定がない場合にはステップ598に制御を移すステップ1040と、ステップ1040でマイプリンタの設定がされていると判定されたときに、マイプリンタとして登録されているMFPにプリントデータを送信し、そのプリントデータが送信済であることを示すフラグ(送信済フラグ)をオンにして記憶するステップ1042とを含むことである。ステップ1042の後、制御はステップ598に進む。ステップ598以下の処理は図17に示すものと同様である。
【0145】
図37は、第1の実施の形態の図22に制御構造を示すプログラムに代えてこの第2の実施の形態のシステムで用いられ、MFPのユーザに対するクラウドサービスを提供するために、サーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。このプログラムが図22に示すものと異なるのは、図22のステップ734に代えて、マイプリンタを考慮した処理を行なうステップ1050を含む点である。その他については図37は図22と同様である。
【0146】
図38は、図37のステップ1050の詳細を示すフローチャートである。図38は、第1の実施の形態において、図26に制御構造を示すプログラムに代えて、この第2の実施の形態のシステムで用いられる。図38に示すフローチャートが図26のフローチャートと異なるのは、ステップ820とステップ822との間に、この印刷依頼がこのユーザについて「マイプリンタ」として登録されているMFPからの印刷依頼か否かを判定し、判定結果が否定の場合に制御をステップ822に進めるステップ1060と、ステップ1060での判定が肯定の場合に、このユーザについてマイプリンタとして登録されているMFPに、指定されたファイルに対応するプリントデータを送信済か否か(送信済フラグがオンか否か)を判定し、送信済でない場合には制御をステップ822に進めるステップ1062と、ステップ1062の判定結果が肯定のときに、選択されたファイルに対応するプリントデータをMFP内から読んで印刷するようにMFPに指示するコマンドをMFPに対して送信し、処理を終了するステップ1064とをさらに含む点である。
【0147】
ステップ1060における判定では、印刷依頼を送信してきたユーザがマイプリンタを登録しており、かつ、登録されているMFPの識別番号が、印刷依頼を送信して来たMFPの識別番号と一致する場合に判定結果が肯定となり、それ以外の場合には否定となる。
【0148】
[動作]
この第2の実施の形態では、マイプリンタの設定ができる点が第1の実施の形態と異なる。プリントサービスの利用時等に図33の右半分に示すような登録ウィンドウ960が表示され、さらにユーザ登録を選択すると図34に示すマイプリンタ設定欄1000が表示される。マイプリンタ設定欄1000においてラジオボタン1002を選択すると、図32のプログラムの実行時、ステップ266のユーザ登録に加え、ステップ940及びステップ942の処理により、使用中のMFPが、このユーザのマイプリンタに設定される。マイプリンタの設定の指示がないときには、ユーザ登録のみ行なわれる。
【0149】
以後、ユーザがたとえばスマートフォンからファイルをサーバ62にアップロードすると図36のプログラムの実行が開始され、このユーザにマイプリンタとしてMFPが登録されていれば(ステップ1040でYES)アップロードされたファイルから生成されたプリントデータが、ユーザからの要求を待つことなく、ステップ1042でそのMFPに送信される。マイプリンタの登録がされていなければプリントデータの送信は行われない。
【0150】
この後、ユーザがMFPでクラウドサービスを選択すると、図37に制御構造を示すプログラムの実行が開始される。ステップ710,712,714の処理を経てユーザがアップロード済のファイルを指定し(ステップ716からステップ718、720)、ファイル印刷ボタンを操作して(ステップ716からステップ722,720)OKボタンを押すと、図37においてステップ728,730を経てステップ1050の処理が起動される。
【0151】
ステップ1050では、図38に示すプログラムが動作する。指定されたファイルについてプリントデータを読出し(ステップ820)、この印刷要求が当該ユーザのマイプリンタとして登録されているMFPからのものか否かが判定される(ステップ1060)。マイプリンタの設定が行なわれていないか、要求が送信されてきたMFPの識別番号がマイプリンタとして登録されているMFPの識別番号と異なる場合には、印刷要求を送信してきたMFPにステップ822でプリントデータを送信して処理を終了する。
【0152】
印刷要求がマイプリンタとして登録されているMFPからのものである場合にはさらに、指定されたファイルのプリントデータがそのMFPに送信済か否かが判定される。この判定は、そのファイルに関する送信済フラグの値を見ればよい。送信済であれば再度送ることはせず、MFPに対して既にMFPに保存されているプリントデータを印刷するようにコマンドを送信し(ステップ1064)、処理を終了する。まだ送信されていなければ、ステップ822でプリントデータを送信してMFPで印刷させる。
【0153】
このように、指定されたファイルに対応するプリントデータが既にマイプリンタとして登録されているMFPに送信されており、しかも印刷要求がそのMFPから送信されてきたものであれば、ステップ822でのプリントデータの送信処理をこの時点で行なう必要はない。MFPは記憶されていたプリントデータを用いて直ちに印刷を開始できる。ユーザが印刷要求をサーバに送信してから、そのMFPでの印刷が開始されるまでの時間は、マイプリンタが登録されていない場合と比較して非常に短くなるという効果がある。
【0154】
したがって、この第2の実施の形態では、単にクラウドサービスへの登録のために余った時間を利用できるだけではなく、クラウドサービスによりメリットを強調し、クラウドサービスに登録する強い動機付けをユーザに与えることができる。その結果、クラウドサービスをより一層普及させることが可能になる。
【0155】
第1及び第2の実施の形態のいずれにおいても、MFPの操作表示部100を用いてクラウドサービスへのユーザ登録を行なうことができる。このクラウドサービスへのユーザ登録をするために、自分のPC等でユーザ登録のための特定のウェブページなどを探したり、特定のURLを入力したりする必要がない。画像形成のために利用するMFPを用い、クラウドサービスのユーザ登録を簡単に行なうことができる。また、MFPでユーザ登録プロセスと異なる処理、例えばサーバの印刷サービスを利用したファイルの印刷、をユーザが開始したときに、ユーザ登録プロセスが開始される。ユーザはわざわざユーザ登録プロセスを開始する必要がない。ファイル印刷の間の空き時間を有効に利用して、ユーザ登録を行なうことができる。
【0156】
MFPのスキャナ機能を利用して原稿を読取る場合、スキャナのADF機能を使用すると、原稿が読取られる間、ユーザに空き時間が生ずる。この時間を利用してユーザ登録プロセスを実行することで、ユーザは時間を有効に利用してサービス利用のためのユーザ登録を行なうことができる。
【0157】
さらに、ユーザ登録プロセスが完了したことに応答して、外部記憶装置接続部104に接続された外部記憶装置106に、サービスへのアクセスを補助するためのショートカットが登録される。次回このサービスにアクセスするときには、このショートカットを用いることにより、クラウドサービスの利用手続が簡単になる。
【0158】
さらに、MFP68を利用するユーザの中には、単にコピーをする場合など、遠隔のサーバのサービスを利用する可能性が低いユーザもある。そこで、MFP68の備える機能の内で、サービスを利用する可能性が高いユーザが用いるような機能(サーバによる印刷サービス等)が実行されたらユーザ登録プロセスを開始し、可能性が低いユーザが用いるような機能(単なるコピー等)が実行されたときにはユーザ登録プロセスを開始しない。このようにすることで、適切なユーザに対しクラウドサービスへのユーザ登録の案内を行なったり、不必要な案内を出さないようにしたりできる。
【0159】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0160】
50 クラウドサービス
60 インターネット
62 サーバ
64 スマートフォン
66 PC
68,70,72 MFP
74 電子黒板
92 制御部
94 記憶部
96 通信部
98 原稿読取部
100 操作表示部
102 画像形成部
104 外部記憶装置接続部
106 外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録されたユーザに対し、画像形成に関するサービスを提供するサーバと通信可能な通信手段と、
ユーザによる操作を受付けるための、表示装置を持つ表示操作手段と、
前記表示操作手段を介して受けたユーザの指示に応答して画像形成を行なう画像形成手段とを含む多機能画像形成装置であって、
前記表示操作手段を介するユーザからの入力操作を受付けることにより、前記通信手段を介して前記サーバとの通信を行なって、前記サーバの提供するサービスへのユーザ登録プロセスを実行することを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の多機能画像形成装置であって、前記表示操作手段により、前記ユーザ登録プロセスと異なる処理をユーザが開始したときに、前記ユーザ登録プロセスを開始することを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の多機能画像形成装置であって、
可搬型の外部記憶装置が着脱可能な外部記憶装置接続手段をさらに含み、
前記外部記憶装置接続手段に接続された外部記憶装置に保存されているファイルを印刷するよう前記表示操作手段を介してユーザの指示を受けたことに応答して、前記ユーザ登録プロセスを開始することを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の多機能画像形成装置であって、
可搬型の外部記憶装置が着脱可能な外部記憶装置接続手段と、
原稿の画像を読取り、原稿データを出力する原稿読取手段とをさらに含み、
前記表示操作手段から、前記原稿読取手段が原稿を読取って出力した原稿データを、前記外部記憶装置接続手段に接続された外部記憶装置に保存する指示を受けたことに応答して、前記ユーザ登録プロセスを開始することを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項5】
請求項1の多機能画像形成装置であって、
前記画像形成手段による画像形成の状態表示と、前記サービスのためのユーザ登録画面とがともに前記表示操作手段に表示されることを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項6】
請求項1の多機能画像形成装置であって、
可搬型の外部記憶装置が着脱可能な外部記憶装置接続手段をさらに含み、
前記ユーザ登録プロセスが完了したことに応答して、前記外部記憶装置接続手段に接続された外部記憶装置に、前記サービスへのアクセスを補助するための情報を登録することを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項7】
請求項1の多機能画像形成装置であって、
ユーザが特定の指示をしたときには前記サービスへのユーザ登録プロセスを開始し、他の指示をしたときには前記ユーザ登録プロセスを開始しないことを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項8】
請求項1の多機能画像形成装置であって、
前記画像形成サービスには、ユーザに対するデフォルトの印刷装置の設定が可能であり、
前記多機能画像形成装置は、前記ユーザ登録プロセスの実行時、当該多機能画像形成装置をデフォルトの印刷装置として設定するように指示するための指示手段をさらに含むことを特徴とする、多機能画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の多機能画像形成装置であって、
前記サービスからプリントデータをダウンロードするダウンロード手段と、
前記サービスからの指示にしたがい、前記ダウンロード手段によりダウンロードしたプリントデータを記憶する記憶手段と、
前記サービスからの指示にしたがい、前記ダウンロード手段によりダウンロードしたプリントデータを印刷する処理と、前記記憶手段に記憶されたプリントデータを印刷する処理とのいずれかを実行する印刷手段とをさらに含む、多機能画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−243114(P2012−243114A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113129(P2011−113129)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】