説明

多段ガスケット

【課題】ハードディスク装置におけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性が良好であり、かつ、高湿熱環境で使用される場合でもカバープレート及びベースプレートとガスケットの接着性が十分であり、ガスケットに斜め方向の力が加わっても倒れたり、剥がれたりしないガスケットを提供すること。
【解決手段】カバープレート及びベースプレートに挟持して使用され、異種のガスケット材料によって構成される多段構造を有するガスケットであって、最下層のガスケットが接するカバープレート又はベースプレートとの密着性が、最上層のガスケットが接するベースプレート又はカバープレートとの密着性に対して高いことを特徴とする多段ガスケットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段ガスケットに関し、さらに詳しくは、ハードディスク装置におけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性が改善された多段ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータのハードディスク装置(以下「HDD」という場合がある。)においては、高性能化、小型化が進み、現在では2.5インチ(63.5mm)のHDDが主流となりつつあり、さらには1.8インチ(45.7mm)、1インチ(25.4mm)の小型HDDも製品化されてきている。このような小型のHDDでは、複雑な回路構成を有するようになっており、わずかな塵によっても障害が起こるため、ガスケットを使って塵の侵入を防ぐことが一般に行われている。そして、これらの小型HDDに用いるHDDガスケットには、線幅がより狭く、かつ高さが高い、壁のようなガスケットが必要とされている。
また、上記小型化に伴い携帯用電子機器に使用するケースが増えてきており、従来のPCの用途等と比較して厳しい環境で使われることが多くなり、高湿熱環境で使用されるケースを想定しなければならない。
さらには、ハードディスク装置の小型化に伴い、ガスケットによりシールされる部分の上下が平行でない場合があるが、この場合には、ガスケットに斜め方向の力が加わるため、該ガスケットが倒れたり、剥がれたりする場合があった。また、シール部分の上下が平行であっても、ねじ止めの際にガスケットに斜め方向の力が加わり、同様にガスケットが倒れたり、剥がれたりする場合があった。特に、小型ハードディスク装置用の線幅が狭く、高さのある形状のガスケットの場合には、これが顕著であった。
【0003】
上記要求性状を満たすようなガスケットを形成するために、多段形状のガスケットが提案されている(例えば特許文献1参照)。すなわち、紫外線硬化型エラストマーよりなるガスケット材料を、ディスペンサーを用いて成形した多段形状のガスケットであり、断面形状が多段形状であるために優れたシール性を長期間にわたって発揮することができるとされている。また、上記高湿熱環境下でのシール性を維持し、かつガスケットが倒れたり、剥がれたりすることを防ぐためには、以下に詳述するHDDを保護するためのカバープレート及びベースプレートとの接着性を強固にすることが必要となる。
【0004】
ところで、HDDは図1に示すような、カバープレート11とベースプレート12からなる保護体1により保護される。より具体的には、HDDはベースプレート12に配され、カバープレート11とベースプレート12によってガスケット13を挟むことでシールがなされる。
HDDは、現状製造歩留まりが50%程度であり、不良品は図2又は図3に示すように、カバープレート11をベースプレート12から外して、部品を調整することが必要である。ガスケットは、図2に示すようにカバープレートに接着されて形成される場合と、図3に示すようにベースプレートに接着されて形成される場合があるが、いずれも他方のプレートに粘着することでシールがなされる。HDDの部品を調整するに際し、カバープレート11をベースプレート12から外した場合に、粘着部分はガスケットが残存することなくきれいに剥がれ、接着部分はガスケットがそのまま維持されることが望まれる。
【0005】
しかしながら、上記のようにガスケットのシール性を維持するために、カバープレート及びベースプレートと強固に接着させた多段形状のガスケットは、リワーク性に乏しく、上述のようなHDDの調整に際し、不都合である。一方、リワーク性を考慮して、密着力の低い材料を用いるとシール性が不十分となる。
なお、ここで、接着とは紫外線照射による硬化などによって、被接着体と化学結合等によって強固に密着した状態をいい、粘着とはガスケットのタック、熱及び圧縮などにより、物理的に被粘着体と密着した状態をいう。
【0006】
【特許文献1】特開2003−120819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下で、ハードディスク装置におけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性が良好であり、かつ、高湿熱環境で使用される場合でもカバープレート及びベースプレートとガスケットの接着性が十分であり、ガスケットに斜め方向の力が加わっても倒れたり、剥がれたりしないガスケットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ね、ハードディスク装置におけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性を改善するには、カバープレートとベースプレートとの間に介在させるガスケットにおいて、ガスケットがカバープレートに接着されてなる場合には、カバープレートとの接着性を高め、ベースプレートとの粘着性をシール性が損なわれない範囲で低くすること、または、ガスケットがベースプレートに接着されてなる場合には、ベースプレートとの接着性を高め、カバープレートとの粘着性をシール性が損なわれない範囲で低くすることが重要である点に着目した。
【0009】
本発明者らは、この着目に基づき、シール性の高い多段構造を有するガスケットにおいて、各段を構成するガスケットとして、異種の材料を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)カバープレート及びベースプレートに挟持して使用され、異種のガスケット材料によって構成される多段構造を有するガスケットであって、最下層のガスケットが接するカバープレート又はベースプレートとの密着性が、最上層のガスケットが接するベースプレート又はカバープレートとの密着性に対して高いことを特徴とする多段ガスケット、
(2)前記最下層のガスケットのカバープレート又はベースプレートとの密着性が最上層のガスケットのベースプレート又はカバープレートとの密着性に対して2倍以上である上記(1)に記載の多段ガスケット、
(3)前記最下層のガスケットがカバープレートと密着し、前記最上層のガスケットがベースプレートと密着する上記(1)又は(2)に記載の多段ガスケット。
(4)前記多段構造を構成する各段のガスケットを形成するための材料が共通のベースポリマーを有する上記(3)に記載の多段ガスケット、
(5)前記共通のベースポリマーが(A)重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーである上記(4)に記載の多段ガスケット、
(6)(A)重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーが、下記一般式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1は(メタ)アクリロイル基及びビニル基の少なくともいずれかの不飽和基を含有するモノオール化合物の脱水酸基残基、R2は有機ジイソシアナート化合物の脱イソシアナート残基、R3は、数平均分子量1×103〜1×104で環状基又は分岐鎖状基を含有するポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基であり、A1はジアミン化合物の脱水素残基又はジオール化合物の脱水素残基、p及びrの各々は0〜7、qは0〜3、ただし、q=0のとき、1≦p+r≦10である。)
で表され、かつ数平均分子量が5×103〜5×104である不飽和基含有ウレタンオリゴマーである上記(5)に記載の多段ガスケット、
(6)前記最下層のガスケットを形成するための材料が、(B)下記一般式(II)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は含窒素複素環構造を有する基である。)で表される含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマーを含み、かつ前記最上層のガスケットを形成するための材料が(C)硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃である一官能(メタ)アクリル系モノマーを含む上記(6)に記載の多段ガスケット、
(8)(C)硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃である一官能(メタ)アクリル系モノマーが、一般式(III)
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R6は水素原子又はメチル基、R7は炭素数8〜20のアルキル基を示す。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物である上記(7)に記載の多段ガスケット、
(9)(C)硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃である一官能(メタ)アクリル系モノマーが、一般式(IV)
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、A2は炭素数2〜4のアルキレン基、R8は水素原子又はメチル基、R9は炭素数6〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数6〜20のアリ―ル基、nは平均で1〜7の数を示す。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物である上記(7)に記載の多段ガスケット、
(10)多段構造を有する各段のガスケットが接着剤を介して密着してなる上記(1)〜(9)のいずれかに記載の多段ガスケット、
(11)前記最下層のガスケットを形成するための材料を、自動塗布制御装置の押し出し口から押し出して最下層のガスケットを形成した後、該最下層のガスケットの上に、少なくとも前記最上層のガスケットを形成するための材料を押し出し、その後に電離放射線を照射して硬化させてなる上記(1)〜(10)のいずれかに記載の多段ガスケット、
(12)前記最下層のガスケットを形成するための材料を、自動塗布制御装置の押し出し口から押し出した後に半硬化させる上記(11)に記載の多段ガスケット、及び
(13)ハードディスク装置用である上記(1)〜(12)のいずれかに記載の多段ガスケット、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハードディスク装置におけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性が良好であり、かつ、高湿熱環境で使用される場合でもカバープレート及びベースプレートとガスケットの接着性が十分であり、ガスケットに斜め方向の力が加わっても倒れたり、剥がれないガスケットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のガスケットは、異種のガスケット材料によって構成される多段構造を有することを特徴とする。ガスケットを多段構造とすることで、線幅が狭く、かつ高さが高いガスケットを得ることができる。なお、多段構造とは、二段構造及び三段以上の構造を含むものである。
また、本発明では、多段構造を構成する各ガスケットの材料として異種のものを用いるが、少なくとも最下層のガスケットと最上層のガスケットは異種の材料で構成される。例えば、図4に示すような二段構造の場合は一段目(S1)と二段目のガスケット(S2)の材料が異種であり、図5に示すような三段構造の場合は、少なくとも一段目のガスケット(S1)と三段目のガスケット(S3)の材料が異種であることが必要である。ガスケットのリワーク性を考慮し、最下層のガスケットはカバープレート又はベースプレートとの密着性が高い材料を選定し、最上層のガスケットはシール性が損なわれない範囲でカバープレート又はベースプレートとの密着性の低い材料が選定される。
【0021】
より具体的には、カバープレートにガスケットを形成する場合、すなわち、最下層のガスケットがカバープレートに接着される場合には、最下層のガスケットがカバープレートと強固に接着し、最上層のガスケットが低い密着性でベースプレートに密着される。一方、ベースプレートにガスケットを形成する場合には、逆に、最下層のガスケットがベースプレートと強固に接着し、最上層のガスケットが低い密着性でカバープレートに密着される。
なお、本発明においては、ガスケットをカバープレート及びベースプレートのいずれに形成してもよいが、製造の容易性及び生産性の観点から、特にHDD等では、通常、ベースプレートに本体が設置されることから、ガスケットはカバープレートに形成することが好ましい。従って、最下層のガスケットがカバープレートと強固に接着し、最上層のガスケットが低い密着性でベースプレートに密着される態様がより好ましい。以下の説明においては、より好ましい態様であるカバープレートにガスケットを形成する場合を例として説明する。
また、最下層のガスケットと最上層のガスケットの間に存在するガスケット、例えば、図5における三段構造の場合のS2のガスケットの材料については、ガスケットとしての性能を有するものであり、上層及び下層のガスケットとの粘着性が高いものであれば特に限定されない。
【0022】
本発明の多段ガスケットにおいては、ガスケットの高さ(h)とガスケットのカバープレートへの接着面の線幅(w)との比(h/w)がガスケットの80%以上の部分において、0.8〜3.0の範囲であることが好ましい。この比が0.8以上であると、小型のHDDにも使用することができ、かつ十分なシール性が得られる。一方、この比が3.0以下であるとガスケットが圧縮された際に倒れにくくなり、シール性に問題が生じることがない。
また、一段目(最下層)のガスケットの高さが、多段ガスケット全体の高さに対して、0.5以上であることが好ましい。多段ガスケット自体の構造が安定となり、例えば、ガスケットに斜め方向の力が加わっても倒れたり、剥がれたりしにくくなる。
【0023】
ガスケットの形成材料の選定に際し、より具体的には、最下層のガスケットのカバープレートへの密着性が、最上層のガスケットのベースプレートへの密着性に対して高いことが必要である。さらには、最下層のガスケットのカバープレートへの密着性が、最上層のガスケットのベースプレートとの密着性に対して2倍以上であることが好ましい。該密着性の差が2倍以上であると、ガスケットがカバープレートに強固に接着し、また、ベースプレートへの密着性が十分低く、リワーク性が確保される。以上の観点から、最下層のガスケットのカバープレートへの密着性が、最上層のガスケットのベースプレートとの密着性に対して10倍以上であることがさらに好ましい。なお、ここでの密着性は、ベースカバーを取りはずすのに必要な力を引張試験機(テンシロン)により測定した値で評価できる。
【0024】
上述のように、最下層及び最上層のガスケットのカバープレート又はベースプレートへの接着性又は密着性を制御するためには、ガスケットを形成するための材料を選定する必要があるが、ガスケットとしての性能、すなわち、耐透湿性や耐透ガス性などの性能を有する材料であることも必要である。このような性能を有する材料としては、種々の材料があり、例えば、ウレタン、エポキシ系重合体、シリコーン、ポリイソプレン、水添ポリイソプレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソブチレン、フッ素含有ゴム、及びこれらを変性したものを主成分とすることができる。また、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
また、多段構造を構成する各段のガスケットを形成するための材料が共通のベースポリマーを有することが好ましい。共通のベースポリマーを有することにより、各段のガスケット間の密着性を向上させることができ、また、ガスケットの製造過程における生産性及び製造コストの点からも有利である。
【0026】
上記共通のベースポリマーとしては、上記に挙げた材料のうち、(A)重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーが特に好ましい。以下、該(A)成分について説明する。
【0027】
[(A)エネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマー]
本発明のガスケットを形成する材料において、(A)成分として用いられるエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーとは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち紫外線、α線、β線、γ線及び電子線などを照射することにより、架橋するウレタン液状オリゴマーを指す。
当該(A)成分のエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーとしては、下記一般式(I)
【0028】
【化5】

【0029】
で表される構造を有する数平均分子量が5×103〜5×104である不飽和基含有ウレタンオリゴマーを用いることができる。
一般式(I)において、R1は、(メタ)アクリロイル基およびビニル基の少なくともいずれかの不飽和基を含有するモノオール化合物の脱水酸基残基である。
モノオール化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートやヒドロキシアルキルビニルが好ましく挙げられ、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートやポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基をいう。
【0030】
2は、有機ジイソシアナート化合物の脱イソシアナート残基である。例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基、シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基などのアリレン基、キシリレン基などが含まれる。ここで、アルキル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。有機ジイソシアナート化合物としては、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、トリメチルへキサメチレンジソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、水添キシリレンジイソシアナート、水添ジフェニルメタンジイソシアナートおよびジフェニルメタンジイソシアナートなどが好ましく挙げられる。
【0031】
3は、数平均分子量1×103〜1×104で環状基または分岐鎖状基を含有するポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基である。
これらの中でR3は、環状基含有ジカルボン酸とジオールとが縮合した前記ポリエステルジオール化合物の脱水素残基、又は環状基含有ジカルボン酸無水物がジオールに反応して変性したポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基が好ましい。
【0032】
3を構成する環状基含有ジカルボン酸またはその酸無水物としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、これらは複数種混合して用いてもよい。
3を構成するジオールとして、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3−プロパンジオール、ビスフェノールA、2,2−チオジエタノール、アセチレン型ジオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチレンヘキサン−1,3−ジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、および3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。
【0033】
また、一般式(I)において、A1はジアミン化合物の脱水素残基、またはジオール化合物の脱水素残基である。
このような脱水素残基としては特に限定されるものではないが、例えばジアミノプロパン、ジアミノブタン、ノナンジアミン、イソホロンジアミン、へキサメチレンジアミン、水添ジフェニルメタンジアミン、ビスアミノプロピルエーテル、ビスアミノプロピルエタン、ビスアミノプロピルジエチレングリコールエーテル、ビスアミノプロピルポリエチレングリコールエーテル、ビスアミノプロポキシネオペンチルグリコール、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、トリレンジアミン、および両末端アミノ基変性シリコーンから選ばれるジアミン化合物の脱水素残基、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、両末端水酸基変性シリコーン、およびカルボキシル基含有ジオールから選ばれるジオール化合物の脱水素残基であるものが好ましい。
また、R1は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシアルキルビニルエーテルのいずれかのモノオール化合物の脱水酸基残基であることが好ましく、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルビニールエーテルなどの脱水酸基残基が挙げられる。
【0034】
当該(A)成分のエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーは、好ましくは下記方法により製造することができる。
一般式(I)においてq=0の場合の不飽和基含有ウレタンオリゴマーは、前記ポリエステルジオール化合物と、前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、該イソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得ることができる。
また、一般式(I)においてq≠0の場合の不飽和基含有ウレタンオリゴマーは、前記ポリエステルジオール化合物と、前記有機ジイソシアナート化合物とを重付加反応させてイソシアナート基を両末端に有する付加物を形成した後、前記ジアミン化合物または前記ジオール化合物の末端の各々を、該付加物の片端のイソシアナート基に付加させ、該付加物の他の片端のイソシアナート基に、前記モノオール化合物を付加して得ることができる。
このエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーは、本発明のガスケット形成材料をエネルギー線照射により硬化させてガスケットを作製する場合に、該ガスケットに適度のゴム弾性を付与し、ガスケットのシール性を向上させる効果を発揮する。この効果や成形性などの観点から、当該エネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーの数平均分子量は、その構造にもよるが、通常5×103〜5×104程度であることが好ましい。
本発明においては、(A)成分として、上記の重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーを一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本発明における最下層のガスケットを形成するための材料としては、上記(A)成分に加えて、(B)下記一般式(II)
【0036】
【化6】

【0037】
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は含窒素複素環構造を有する基である。)で表される含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマーを含むことが好ましい。該(B)成分を含有することにより、カバープレートとガスケットとの密着性が高くなり、また、ガスケットとしての性能を向上させ、かつ、良好な成形性を与える。以下、(B)成分について説明する。
【0038】
[(B)含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマー]
一般式(II)において、R4は水素原子又はメチル基、R5は含窒素複素環構造を有する基である。この含窒素複素環構造を有する基に特に制限はないが、当該(メタ)アクリル系モノマー自体の硬化物のガラス転移温度(Tg)が後述の範囲にあるように選択するのがよい。このような基としては、例えばモルホリノ基、ヘキサヒドロフタルイミド−N−イルエチルオキシ基などを挙げることができる。
当該(B)成分の含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマーにおいては、その硬化物のガラス転移温度は、カバープレート及びベースプレートのリワーク性、ガスケットとしての性能及び成形性などが良好なガスケットが得られる観点から、50〜150℃の範囲が好ましく、100〜150℃の範囲がより好ましい。
なお、(メタ)アクリル系モノマーのガラス転移温度(Tg)は、通常のラジカル重合法によりに重合させて得られたポリマーを、示差走査熱量計(DSC)で通常の条件で測定した値である。
【0039】
当該(B)成分の含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマーは、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が上記の範囲にあるものを用いることが好ましく、例えば下記の式(II−a)で表されるN−(アクリロイル)モルホリン(Tg:145℃)、式(II−b)で表されるN−(アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタルイミド(Tg:56℃)、式(II−c)で表されるN−(アクリロイルオキシエチル)−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド(Tg:47℃)、又は式(II−d)で表されるN−(アクリロイルオキシエチル)−3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド(Tg:33℃)を好適に用いることができる。
【0040】
【化7】

【0041】
本発明においては、(B)成分として、当該含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマーは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のガスケット形成材料においては、当該(B)成分の含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、得られるガスケットが、ハードディスク装置におけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性を良好なものとし、かつガスケットとしての性能及び成形性などの観点から、(A)成分のエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマー100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。
【0042】
本発明における最上層のガスケットを形成するための材料としては、上記(A)成分に加えて、(C)硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃である一官能(メタ)アクリル系モノマーを含むことが好ましい。該(C)成分を含有することで、ベースプレートに接触する部分のガスケットの圧縮面圧を低くすることができ、ベースプレートとガスケットとの密着性を弱くすることができる。また、ガスケットとしての性能を向上させ、かつ、良好な成形性を与える。従って、(C)成分を含有させることで、本発明のガスケットにシール性を維持しつつ、かつ良好なリワーク性を付与することができる。以下、(C)成分について説明する。
【0043】
[(C)一官能(メタ)アクリル系モノマー]
本発明のガスケットを形成するための材料における(C)成分は、それ自体の硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃、好ましくは−70〜0℃である一官能(メタ)アクリル系モノマー(以下、低Tg一官能(メタ)アクリル系モノマーと称することがある。)である。
なお、(メタ)アクリル系モノマーのガラス転移温度(Tg)は、通常のラジカル重合法によりに重合させて得られたポリマーを、示差走査熱量計(DSC)で通常の条件で測定した値である。
この低Tg一官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば一般式(III)及び一般式(IV)
【0044】
【化8】

【0045】
で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物の中からTgが上記範囲にあるものを適宜選択することができる。
上記一般式(III)において、R6は水素原子又はメチル基を示し、R7は炭素数8〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R7で示されるアルキル基の例としては各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基などを挙げることができる。
一方、上記一般式(IV)において、A2は炭素数2〜4のアルキレン基を示す。このアルキレン基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1−メチルプロピレン基などを挙げることができるが、これらの中でエチレン基及びプロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。R8は水素原子又はメチル基を示し、R9は炭素数6〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示す。
上記R9のうちの炭素数6〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、具体的には各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基
などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基は、芳香環上に炭素数1〜15程度の直鎖状又は分岐状のアルキル基が導入されていてもよく、具体的にはベンジル基、アルキルベンジル基、フェネチル基、アルキルフェネチル基、ナフチルメチル基、アルキルナフチルメチル基などが挙げられる。また、炭素数6〜20のアリール基は、芳香環上に炭素数1〜15程度の直鎖状又は分岐状のアルキル基が導入されていてもよく、具体的にはフェニル基、アルキルフェニル基、ナフチル基、アルキルナフチル基などが挙げられる。
nは平均で1〜7の数であり、nが大きくなると、硬化時に酸素阻害を受けにくく、その結果、表面のタックが小さくなるが、硬化物の透湿性が低下する傾向がある。nとしては、平均で1〜4程度がタック及び透湿性のバランスの観点から好ましい。
【0046】
当該(C)成分の低Tg一官能(メタ)アクリル系モノマーの中で、好ましいものとしては、硬化物の圧縮面圧を低下させる観点から、上記一般式(III)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物として、例えばラウリルアクリレート(Tg:−3℃)及びイソミリスチルアクリレート(Tg:−56℃)などを挙げることができ、一般式(IV)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物として、例えば下記の式(IV−a)(Tg:17℃)、式(IV−b)(Tg:−20℃)、式(IV−c)(Tg:−22℃)、式(IV−d)(Tg:−25℃)及び式(IV−e)(Tg:−18℃)
【0047】
【化9】

【0048】
で表される化合物などを挙げることができる。これらの中で、圧縮面圧、タック及び透湿性のバランスの観点から、式(IV−a)及び式(IV−d)が特に好適である。
本発明においては、(C)成分として、当該低Tg一官能(メタ)アクリル系モノマーは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のガスケットを形成する材料においては、当該(C)成分の低Tg一官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、得られるガスケットが、ハードディスク装置におけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性を良好なものとし、かつガスケットとしての性能及び成形性などの観点から、(A)成分のエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマー100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。
【0049】
[(D)チクソ性付与剤]
本発明のガスケットを形成する材料には、さらに(D)成分としてチクソ性付与剤を含有させることができる。
本発明の多段ガスケットの製造方法としては、後に詳述するようにディスペンサーを用いて溶融樹脂又は溶液状樹脂を、カバープレートにガスケット形状に押出し、一体化するディスペンシング法が、貼り付け工程などの工程が不要などのメリットがあることから、工業的に広く使用されている。そして、押出しによるガスケット形状を正確にするために、粘度の剪断速度依存性を大きく制御して、低剪断速度では粘度が高く、高剪断速度では粘度の低い材料を用いる方法が採用されている。このような粘度の剪断速度依存性を制御するために、チクソ性付与剤が用いられる。
当該(D)成分のチクソ性付与剤は、前記(A)成分のエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマー100質量部に対して、0.5〜10質量部を含有させることが好ましい。このチクソ性付与剤を併用することにより、チクソトロピー性が効果的に向上し、押出し形状を精度よく制御して加工することが可能となる。この点から(D)成分の添加量は1〜5質量部がより好ましい。
【0050】
このチクソ性付与剤としては、無機充填剤および有機増粘剤のいずれも用いることができる。
無機充填剤としては、湿式シリカや乾式シリカの表面処理微粉シリカや、有機化ベントナイトなどの天然鉱物系のものが挙げられる。具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル300など]、このシリカ微粉末をトリメチルジシラザンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRX300など]及び上記シリカ微粉末をポリジメチルシロキサンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRY300など]などが挙げられる。無機充填剤の平均粒径は、増粘性の観点から、5〜50μmが好ましく、5〜12μmがより好ましい。
【0051】
また、有機増粘剤としては、アマイドワックス、水添ひまし油系又はこれらの混合物などが挙げられる。具体的には、ひまし油(主成分がリシノール酸の不乾性油)の水添品である水添ひまし油[例えば、ズードケミー触媒(株)製, 商品名:ADVITROL 100、楠本化成(株)製, 商品名:ディスパロン305など]及びアンモニアの水素をアシル基で置換した化合物である高級アマイドワックス[例えば、楠本化成(株)製, 商品名:ディスパロン6500など]などが挙げられる。
これらチクソ性付与剤の中で、有機増粘剤が好ましい。天然鉱物系の無機充填剤は重金属等の不純物が避けられず、また、表面処理微粉シリカは、表面の濡れ性が変わり組成物の粘度が変化することがあり、また表面処理剤の種類によっては、使用中に器具に有害なガスを発生することがある。
さらに、有機増粘剤の中でも、アマイドワックスは、原料に由来するアミンの存在により架橋密度を高めて硬度が大きくなることがあるので、特に水添ひまし油が好ましい。
【0052】
[(E)添加成分]
本発明のガスケット形成材料には、さらに(E)成分として、光重合開始剤及び架橋剤のうちの少なくとも一種を添加することができる。これらの添加は、紫外線照射して硬化させる場合には特に好ましい。
光重合開始剤としては、分子内開裂型、水素引き抜き型のいずれでもよい。分子内開裂型としては、べンゾイン誘導体類、べンジルケタール類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:ダロキュア1173、イルガキュア184]、α−アミノアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907、イルガキュア369]、α−アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア819]などが挙げられる。水素引き抜き型としては、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用などが挙げられる。また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用してもよい。中でもオリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン及びアクリレート化したベンゾフェノン類が好ましい。より具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシー2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、Lamberiti S・P・A製、商品名:ESACURE KIP150など]、アクリル化べンゾフェノン[例えは、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:Ebecryl P136など]、イミドアクリレートなどが挙げられる。
【0053】
架橋剤としては、有機パーオキサイドが好適に挙げられ、具体的には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−へキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−へキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ジクミルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド;1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン;ベンゾイルパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0054】
[他の任意添加成分]
本発明のガスケットを形成する材料には、上記チクソ性付与剤の他に、クレー、珪藻土、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどのりん片状無機系添加剤、各種の金属粉、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉末状固体充填剤、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維(例えば、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。
さらに、中空フィラー、例えば、ガラスバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。また、軽量化などの各種物性の改善のために、各種発泡剤を混入することも可能であり、混合時等に機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。
【0055】
さらに、他の添加剤として、必要に応じて、光増感剤、熱重合禁止剤、硬化促進剤、難燃剤、抗菌剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体などの各種粘着付与剤(タッキファイヤー)、レオストマーB(商品名:理研ビニル社製)などの各種接着剤性エラストマー、ハイブラー(商品名:クラレ社製、ビニル−ポリイソプレンブロックの両末端にポリスチレンブロックが連結したブロック共重合体)、ノーレックス(商品名:日本ゼオン社製、ノルボルネンを開環重合して得られるポリノルボルネン)などの他の熱可塑性エラストマー又は樹脂などを併用することができる。
【0056】
[多段ガスケットの製造方法]
本発明の多段ガスケットの製造は、以下の方法で行うことができる。
上記した最下層のガスケットを形成する材料を、自動塗布制御装置の押し出し口から押し出して一段目の未硬化ガスケットを形成し、エネルギー線を照射する又は加熱するなどして半硬化させた後、該一段目(最下層)のガスケットの上に、上記した最上層のガスケットを形成する材料を、同様にして自動塗布制御装置の押し出し口から押し出して二段目の未硬化ガスケットを形成し、その後にエネルギー線を照射する又は加熱するなどして全硬化させることにより、二段からなる多段ガスケットを好適に製造することができる。
また、三段以上の多段ガスケットを製造する場合には、上記と同様に最下層ガスケット形成用材料にて、一段目のガスケットを形成した後に半硬化を行い、その上に、ガスケットとしての性能を有し、かつ最下層及びそれ以上のガスケットとの密着性を有する任意の材料を用いて、一段目と同様に一段又は多段のガスケットを形成する。必要に応じて半硬化を行い、最上層のガスケットを上記最上層ガスケット形成用材料にて形成し、その後に全硬化を行って三段以上の多段ガスケットを製造する。
【0057】
なお、一段目(最下層)の未硬化ガスケットを形成した後に行う半硬化は必須の要件ではなく、例えば、一段目の未硬化ガスケットを形成し、その上に二段目以降の未硬化ガスケットを形成した後に、全体を完全硬化する方法をとることもできる。
これに対して、一段目の未硬化ガスケットを形成した後半硬化することは、二段目以降のガスケットを形成する際に、一段目のガスケットがつぶれることがなく、高さの高い多段ガスケットを得ることができる点から好ましい。また、一段目のガスケットの形状を維持する点からは、完全硬化することも好ましいが、半硬化とすることで、一段目のガスケットと、二段目以降のガスケットの密着性が向上するために、半硬化が最適である。なお、ここで半硬化とは、紫外線などの照射又は熱などにより、架橋反応が一部進行した状態であり、架橋している部分と未架橋の部分が混在する状態をいう。具体的には、紫外線などの活性エネルギー線の照射線量、照射時間を制御することで、また熱硬化においては、加熱温度、加熱時間を制御することで半硬化の状態を得ることができる。
【0058】
また、上記製造方法において、一段目のガスケットを形成した後に、該ガスケット上に接着剤を塗布し、その後に二段目以降のガスケットを形成することもできる。また、二段目以降のガスケットにおいて、ガスケット間に接着剤を塗布することもできる。該接着剤の塗布によって、多段構造を有する本発明のガスケットにおいて、各段のガスケット相互の密着性を向上させることができる。
接着剤としては、特に限定されるものではなく、エポキシアクリレート系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂などの活性エネルギー線硬化型樹脂を好適に用いることができる。
【0059】
ガスケット材の押し出しに用いる装置は、カバープレートに所望の形状のガスケットを形成することができる装置であれば特に制限はなく、空圧式押し出し装置、機械的なラムプレス押し出し装置、プランジャー式押し出し装置などが挙げられる。また、ノズル形状については特に制限はなく、円形状、楕円形状、多角形状等が挙げられる。また、ノズルの内径については、ガスケットの幅に応じて適宜選定することができるが、通常、0.1〜1.2mmの範囲である。
ガスケット形成材料の押し出し圧は、ガスケット形成材料の種類及び粘度等によって適宜選択されるが、50kPa〜1MPaとすることが好ましい。この範囲内であると、ガスケット形成材料の押し出しが効率よく行えるとともに、未硬化ガスケットが押しつぶされることがなく、十分に線幅が狭く、かつ高さが高いガスケットが得られる。こうした観点から、ガスケットの押し出し圧は、さらに80kPa〜800kPa、さらには100kPa〜800kPa、特には200kPa〜800kPaの範囲がより好ましい。
なお、ガスケットの成形温度は用いるガスケット材によって適宜選定されるが、0℃〜100℃の範囲であることが好ましく、さらに30℃〜70℃の範囲であることが好ましい。
【0060】
ガスケット形成材料の粘度については、ガスケット形成材料を塗布することができる範囲で特に限定されないが、通常、50℃での粘度が50〜1000Pa・sの範囲であることが好ましい。50℃での粘度がこの範囲内であると、流動性が適度であるため、ガスケット形状の賦形が行いやすい。
未硬化ガスケットを硬化させる方法としては、常温放置、熱による硬化又は活性エネルギー線による硬化などの方法があるが、高い生産性で十分な硬化を得る観点から活性エネルギー線を用いる硬化が好ましい。硬化のために用いられる活性エネルギー線とは、紫外線及び電子線、α線、β線、γ線をいい、本発明ではこれらのうち、特に紫外線が好ましい。紫外線は、装置が簡便で使い易く良好に未硬化ガスケットを硬化させることができる。
また、紫外線を用いる場合にはガスケット形成材料に光重合開始剤及び/又は光増感剤を含有させることが好ましい。一方、電子線やγ線などを用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を含有させることなく速やかに硬化を進めることができる。
紫外線源としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等を挙げることができる。紫外線を照射する雰囲気としては、窒素ガス、二酸化炭素ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましいが、通常の空気雰囲気でも紫外線により硬化させることができる。照射雰囲気温度は、通常10〜200℃とすることができる。また、硬化後にベーキングを行い、揮発成分を除去することができる。その時のベーキング温度は100〜160℃が好ましい。
【0061】
(カバープレート)
ガスケット形成材料を押し出して、硬化させてなるガスケットと一体化されるカバープレートは、金属や熱可塑性樹脂等の合成樹脂で形成することができる。カバープレートを形成する金属としては、例えばニッケルめっきアルミニウム、ニッケルめっき鋼、冷延鋼、亜鉛めっき鋼、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金などの中から、適宜選択して用いることができる。
また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。耐食性の点から、無電解ニッケルめっき処理を施した金属が好適であり、本発明においては、ニッケルめっきアルミニウム及びニッケルめっき鋼が好ましい。
無電解ニッケルめっき処理方法としては、従来金属素材に適用されている公知の方法、例えば硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、乳酸、プロピオン酸などを適当な割合で含有するpH4.0〜5.0程度で、かつ温度85〜95℃程度の水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴中に、金属板を浸漬する方法などを用いることができる。
本発明の多段ガスケットは、特に、カバープレートとして、ニッケルメッキ及びクロメート処理された金属体を用いる場合に好適であり、例えば85℃程度の高温下での接着性が高い。
【0062】
カバープレートを形成する熱可塑性樹脂としては、例えばアクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン複合体などのオレフィン系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、アクリル系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの中から、適宜選択すればよい。液晶ポリマーとしてはサーモトロピック液晶ポリマーが好ましく、具体的にはポリカーボネート系液晶ポリマー、ポリウレタン系液晶ポリマー、ポリアミド系液晶ポリマー、ポリエステル系液晶ポリマーなどが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
カバープレートとガスケットとの接着性を向上させるために、カバープレートが合成樹脂製の場合、予めカバー体を表面処理することができる。表面処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処理などが挙げられる。プラズマ処理には、キーエンス社製のプラズマ照射器などの装置を用いることができる。
また、カバープレートに、ガスケットの形状に合わせて接着性向上剤を塗布するなど、プライマー処理を施したのち、ガスケット形成材料を押し出すことにより、カバープレートとガスケットとの接着性を向上させることができる。
【実施例】
【0064】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例における評価は下記方法により行った。
HDDにおけるカバープレートのリワーク性
ガスケットを成形したカバープレートをベースプレートに組み込み、85℃、24時間放置した後、カバープレートを取り外してガスケットの破断、剥離の有無を目視にて確認した。上記試験を5回繰り返し、最終的にリワーク性の是非を確認した。
【0065】
製造例1 エネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーの製造
2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールと無水フタル酸とから得られるポリエステルジオール化合物(数平均分子量2000)400gとノルボルナンジイソシアナート82.4gと、酸化防止剤の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.10gとを、攪拌機、冷却管、温度計を備えた1リットル四つ口フラスコに加え、80℃で2時間反応させた。次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート46.2g、重合禁止剤のp−メトキシフェノール0.10g、付加反応触媒としてのチタンテトラ(2−エチル−1−ヘキサノエート)0.06gとを加え、85℃で6時間反応させた。反応液の一部を取り出し赤外線吸収スペクトルで2280cm-1のイソシアナート基の吸収ピークが消失したことにより、反応の終点を確認し、ウレタンオリゴマーを得た。得られたウレタンオリゴマーについて数平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算値で求めたところ18000であった。
【0066】
実施例1
(1)最下層ガスケット形成用材料の調製
上記製造実施例1で製造したエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマー100質量部に対して、N−(アクリロイル)モルホリン(興人社製、商品名「ACMO」、Tg:145℃)5質量部を加え、その他、増粘剤としての水添ひまし油(ズードケミー触媒社製、商品名「ADVITROL 100」)3.2質量部、トナー(日本ピグメント社製、商品名「CMB−B1」)0.75質量部、カルボジイミド(液状カルボジイミド化合物、日清紡績社製、商品名「Elastostab H01」)1質量部、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガキュア2959」)2質量部を添加して、最下層ガスケット形成用材料を調製した。
【0067】
(2)最上層ガスケット形成用材料の調製
上記製造実施例1で製造したエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマー100質量部に対して、ノニルフェノールEO変性アクリレート(n=1)(東亜合成社製、商品名「M−111」、構造式(IV−a)、Tg:17℃)5質量部を加え、その他、増粘剤としての水添ひまし油(ズードケミー触媒社製、商品名「ADVITROL 100」)3.2質量部、トナー(日本ピグメント社製、商品名「CMB−B1」)0.75質量部、カルボジイミド(液状カルボジイミド化合物、日清紡績社製、商品名「Elastostab H01」)1質量部、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガキュア2959」)2質量部を添加して、最上層ガスケット形成用材料を調製した。
【0068】
(3)多段ガスケットの製造
上記(1)で得られた最下層ガスケット形成用材料を用い、自動塗布制御装置を用いて、1.8インチ及び2.5インチHDDのニッケルメッキした0.4mm厚のアルミプレート(カバープレート)上に一段目の未硬化ガスケットを形成し、これに紫外線照射装置で紫外線を照射して半硬化させた。ここでの紫外線照射は、照度100mW/cm2、積算光量500mJ/cm2の条件で、この一段目の半硬化ガスケット上に、上記(2)で得られた最上層ガスケット形成用材料を、同装置にて押し出し、二段目の未硬化ガスケットを形成した後、さらに、紫外線照射装置で紫外線を照射して硬化させた。紫外線照射の条件は、照度500mW/cm2、積算光量2000mJ/cm2の条件であり、得られたガスケットの高さ(h)と幅(w)の比率(h/w)は1.1であった。
なお、自動制御装置としてはディスペンサー機を用いた。当該装置はスクリュー式及び空圧式として使用できるが、本実施例では空圧式押し出し装置として使用した。これらの押し出し機の押し出し口は交換可能であって、押し出し口の形状は円形であり、ノズル内径0.72mmのものを使用して押出しを行った。
また、紫外線照射装置としては、センエンジニアリング社製「UV1501BA−LT」を使用した。
このようにして作製された二段構造のガスケットについて、HDDカバープレートのリワーク性を上記方法にて評価した。カバープレートをベースプレートから外すに際し、ガスケットの破断及び剥離がなく、また抵抗が小さく、作業性も良好であって、十分なリワーク性を示した。
【0069】
比較例1
実施例1における最下層ガスケット形成用材料を用いて、最下層のガスケット及び最上層のガスケットを形成したこと以外は実施例1と同様にして多段ガスケットを製造した。実施例1と同様にして評価した結果、約5%の比率(100個の試験を行ったうちの5個)で、ガスケットがベースプレート側に移った。
【0070】
比較例2
実施例1における最上層ガスケット形成用材料を用いて、最下層のガスケット及び最上層のガスケットを形成したこと以外は実施例1と同様にして多段ガスケットを製造した。実施例1と同様にして評価した結果、約4%の比率(100個の試験を行ったうちの4個)で、ガスケットがベースプレート側に移った。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の多段ガスケットは、HDDにおけるカバープレート及びベースプレートのリワーク性が改善されたものであり、HDD用ガスケット、特に小型HDD用のガスケットとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】HDDを保護する保護体を示す概念図である。
【図2】HDDを保護する保護体のカバープレートをベースプレートから取り外した図であり、ガスケットがカバープレートに接着された場合を示す図である。
【図3】HDDを保護する保護体のカバープレートをベースプレートから取り外した図であり、ガスケットがベースプレートに接着された場合を示す図である。
【図4】本発明の多段ガスケットを示す概念図である。
【図5】本発明の多段ガスケットを示す概念図である。
【符号の説明】
【0073】
1.保護体
11.カバープレート
12.ベースプレート
13.ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバープレート及びベースプレートに挟持して使用され、異種のガスケット材料によって構成される多段構造を有するガスケットであって、最下層のガスケットが接するカバープレート又はベースプレートとの密着性が、最上層のガスケットが接するベースプレート又はカバープレートとの密着性に対して高いことを特徴とする多段ガスケット。
【請求項2】
前記最下層のガスケットのカバープレート又はベースプレートとの密着性が最上層のガスケットのベースプレート又はカバープレートとの密着性に対して2倍以上である請求項1に記載の多段ガスケット。
【請求項3】
前記最下層のガスケットがカバープレートと密着し、前記最上層のガスケットがベースプレートと密着する請求項1又は2に記載の多段ガスケット。
【請求項4】
前記多段構造を構成する各段のガスケットを形成するための材料が共通のベースポリマーを有する請求項1〜3のいずれかに記載の多段ガスケット。
【請求項5】
前記共通のベースポリマーが(A)重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーである請求項4に記載の多段ガスケット。
【請求項6】
(A)重合性不飽和基を有するエネルギー線硬化性ウレタン液状オリゴマーが、下記一般式(I)
【化1】

(式中、R1は(メタ)アクリロイル基及びビニル基の少なくともいずれかの不飽和基を含有するモノオール化合物の脱水酸基残基、R2は有機ジイソシアナート化合物の脱イソシアナート残基、R3は、数平均分子量1×103〜1×104で環状基又は分岐鎖状基を含有するポリエステルジオール化合物の脱水酸基残基であり、A1はジアミン化合物の脱水素残基又はジオール化合物の脱水素残基、p及びrの各々は0〜7、qは0〜3、ただし、q=0のとき、1≦p+r≦10である。)
で表され、かつ数平均分子量が5×103〜5×104である不飽和基含有ウレタンオリゴマーである請求項5に記載の多段ガスケット。
【請求項7】
前記最下層のガスケットを形成するための材料が(B)下記一般式(II)
【化2】

(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は含窒素複素環構造を有する基である。)で表される含窒素複素環構造含有(メタ)アクリル系モノマーを含み、かつ前記最上層のガスケットを形成するための材料が(C)硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃である一官能(メタ)アクリル系モノマーを含む請求項6に記載の多段ガスケット。
【請求項8】
(C)硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃である一官能(メタ)アクリル系モノマーが、一般式(III)
【化3】

(式中、R6は水素原子又はメチル基、R7は炭素数8〜20のアルキル基を示す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物である請求項7に記載の多段ガスケット。
【請求項9】
(C)硬化物のガラス転移温度(Tg)が−70〜20℃である一官能(メタ)アクリル系モノマーが、一般式(IV)
【化4】

(式中、A2は炭素数2〜4のアルキレン基、R8は水素原子又はメチル基、R9は炭素数6〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数6〜20のアリ―ル基、nは平均で1〜7の数を示す。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物である請求項7に記載の多段ガスケット。
【請求項10】
多段構造を有する各段のガスケットが接着剤を介して密着してなる請求項1〜9のいずれかに記載の多段ガスケット。
【請求項11】
前記最下層のガスケットを形成するための材料を、自動塗布制御装置の押し出し口から押し出して最下層のガスケットを形成した後、該最下層のガスケットの上に、少なくとも前記最上層のガスケットを形成するための材料を押し出し、その後に電離放射線を照射して硬化させてなる請求項1〜10のいずれかに記載の多段ガスケット。
【請求項12】
前記最下層のガスケットを形成するための材料を、自動塗布制御装置の押し出し口から押し出した後に半硬化させる請求項11に記載の多段ガスケット。
【請求項13】
ハードディスク装置用である請求項1〜12のいずれかに記載の多段ガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−52632(P2009−52632A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218978(P2007−218978)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】