説明

多気筒回転式圧縮機及び冷凍サイクル装置

【課題】液バック現象の発生時に、ブレードが永久磁石の保持部材に衝突することを防止する。
【解決手段】多気筒回転式圧縮機Aは、圧縮運転状態と休筒状態とに切換可能な第1シリンダ5aを有し、第1シリンダ室11a内に、第1ローラ10aと第1ブレード18aとが設けられている。第1シリンダ5aには、第1ブレード溝16aと第1ブレード溝16aに連通される第1ブレード背室17aとが形成されている。第1ブレード背室17aには、第1ブレード背室17aに高圧又は低圧の作動流体を供給する背圧導入通路25が連通されている。また、第1ブレード背室17a内には、休筒状態の場合に第1ブレード18aを第1ローラ10aから離反させて磁気吸着する永久磁石20を保持する保持部材21が収容されている。第1ブレード18aが保持部材21側に移動した場合、第1ブレード18aが保持部材21に衝突することが衝突防止手段27により防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、多気筒回転式圧縮機及びこの多気筒回転式圧縮機を用いた冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置では、圧縮機構部にそれぞれシリンダ室を有する複数(主として、2つ)のシリンダを備えた多気筒回転式圧縮機が多用されている。この種の多気筒回転式圧縮機においては、全てのシリンダで同時にガス冷媒を圧縮する全能力運転と、一部のシリンダでガス冷媒の圧縮を停止する能力低半減運転とに切換えることができれば有利である。
【0003】
2つのシリンダを有し、必要に応じて全能力運転と能力低半減運転とに切換可能な多気筒回転式圧縮機としては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【0004】
特許文献1に記載された多気筒回転式圧縮機は、2つのシリンダと、各シリンダのシリンダ室内に偏心回転可能に設けられたローラと、各シリンダ室内に設けられて先端部をローラの外周面に当接する向きに付勢され、先端部をローラの外周面に当接することによりシリンダ室内を高圧側と低圧側との二つの区画するブレードとが設けられている。ブレードはシリンダに形成されたブレード溝に摺動可能に収容され、ブレード溝にはブレード背室が連通されている。
【0005】
一方のシリンダのブレード背室内にはバネ部材が収容され、ブレードはバネ部材の付勢力によってその先端部が常にローラの外周面に当接されている。これにより、多気筒回転式圧縮機の運転時には、このシリンダでは、常時圧縮が行われる。
【0006】
他方のシリンダのブレード背室には、高圧のガス冷媒と低圧のガス冷媒とが選択的に供給される構造となっている。ブレード背室に高圧のガス冷媒が供給されている場合には、その圧力によりブレードが付勢され、ブレードの先端部がローラの外周面に当接され、このシリンダでも圧縮が行われる。一方、ブレード背室に低圧のガス冷媒が供給されている場合には、ブレードがローラ側に付勢されず、ブレードの先端部がローラの外周面から離反してこのシリンダでの圧縮が停止される非圧縮運転状態となる。
【0007】
圧縮を行う状態(圧縮運転状態)と圧縮を停止する非圧縮運転状態(休筒状態)とに切換えられるシリンダに形成されたブレード背室には、永久磁石とこの永久磁石を保持する保持部材とが収容されている。この永久磁石は、ブレード背室に低圧のガス冷媒が供給されて圧縮が停止される休筒状態の場合、ブレードを磁気吸着する。休筒状態の場合にブレードが永久磁石に磁気吸着されると、ブレードは永久磁石の保持部材に当たることになる。しかし、この場合にはブレードは保持部材に緩やかに当るため、ブレードが保持部材に当っても保持部材の変形は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−127475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された多気筒回転式圧縮機では、全能力運転時にシリンダ室内に液冷媒が入り込む液バック現象が発生すると、シリンダ室内の圧力が急激に上昇してブレードがブレード背室側に跳ね出し、ブレードの後端部が永久磁石の保持部材に激しく衝突する場合がある。
【0010】
本発明の実施形態の目的は、液バック現象の発生時に、ブレードが永久磁石の保持部材に衝突することを防止することができる多気筒回転式圧縮機及びこの多気筒回転式圧縮機を用いた冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の多気筒回転式圧縮機は、密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とが収容され、圧縮機構部は、第1シリンダ室を有して圧縮運転状態と非圧縮運転状態である休筒状態とに切換可能な第1シリンダと、第2シリンダ室を有して常時圧縮運転状態とされる第2シリンダとを備え、第1シリンダと第2シリンダとで圧縮された作動流体を密閉ケース内に吐出する多気筒回転式圧縮機において、第1シリンダ室内に設けられ、回転軸に連結されて偏心回転する第1ローラと、第1シリンダ室内に設けられ、先端部を第1ローラの外周面に当接してこの第1シリンダ室内を高圧側と低圧側との二つに区画するスライド可能な第1ブレードと、第1シリンダに形成され、第1ブレードをスライド可能に収容する第1ブレード溝と、第1シリンダに形成され、第1ブレード溝に連通される第1ブレード背室と、第1ブレード背室に連通され、この第1ブレード背室に高圧又は低圧の作動流体を供給する背圧導入通路と、第1ブレード背室内に収容され、第1シリンダが休筒状態の場合に第1ブレードを第1ローラから離反させて磁気吸着する永久磁石を保持する保持部材と、第1ブレードが保持部材側に移動した場合に第1ブレードが保持部材に衝突することを防止する衝突防止手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の多気筒回転式圧縮機の断面図とこの多気筒回転式圧縮機を含む冷凍サイクル装置の構成図である。
【図2】圧縮機構部の一部を示す分解斜視図である。
【図3】圧縮機構部の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】液バック現象が発生した場合の圧縮機構部の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図5】液バック現象が発生した場合に、第1ブレードの後端部が突部に衝突するとともに保持部材には衝突しない状態をさらに拡大して示す説明図である。
【図6】第1シリンダに取付けられる閉塞部材と、閉塞部材に取付けられた弁押え部材と弁体とを拡大して示す図である。
【図7】図6におけるX―X線断面図である。
【図8】弁押え部材と弁体とが取付けられた2つの閉塞部材を重ね合わせた状態の断面図である。
【図9】第2の実施形態の第1ブレードを示す正面図である。
【図10】第2の実施形態における液バック現象が発生した場合の圧縮機構部の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図11】第3の実施形態の第1ブレードを示す正面図である。
【図12】第3の実施形態における液バック現象が発生した場合の圧縮機構部の一部を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、図1ないし図8に基づいて説明する。図1は、多気筒回転式圧縮機Aの概略の断面図と、この多気筒回転式圧縮機Aを含む冷凍サイクル装置Bの構成図である。
【0015】
はじめに、多気筒回転式圧縮機Aについて説明する。多気筒回転式圧縮機Aは作動流体であるガス冷媒を圧縮する機器であり、円筒状の密閉ケース1を有し、この密閉ケース1内の下部に圧縮機構部2が収容され、密閉ケース1内の上部に電動機部3が収容されている。これらの圧縮機構部2と電動機部3とは、上下方向に延出する回転軸4を介して連結され、電動機部3で発生する駆動力により圧縮機構部2が駆動される。
【0016】
圧縮機構部2は、下部側に位置する第1シリンダ5aと、上部側に位置する第2シリンダ5bとを有している。第1シリンダ5aの下端面には副軸受6が取付けられ、第2シリンダ5bの上端面には主軸受7が取付けられている。これらの第1シリンダ5aと第2シリンダ5bとの間には、仕切板8が介装されている。
【0017】
回転軸4は、主軸受7と副軸受6とにより軸支されるとともに、第1・第2シリンダ5a、5b内を貫通して設けられている。回転軸4には、第1シリンダ5a内に位置する第1偏心部9aと第2シリンダ5b内に位置する第2偏心部9bとが、180°の位相差をもって形成されている。第1偏心部9aと第2偏心部9bとは同一直径に形成され、第1偏心部9aには円筒状の第1ローラ10aが嵌合され、第2偏心部9bには円筒状の第2ローラ10bが嵌合されている。
【0018】
第1シリンダ5aの内部には、上下方向の両端を仕切板8と副軸受6とにより覆われてガス冷媒を圧縮する空間となる第1シリンダ室11aが形成されている。第2シリンダ5bの内部には、上下方向の両端を主軸受7と仕切板8とによって覆われてガス冷媒を圧縮する空間となる第2シリンダ室11bが形成されている。
【0019】
第1シリンダ室11aと第2シリンダ室11bとは、同一内径及び同一高さ寸法に形成されている。そして、第1・第2ローラ10a、10bの周壁の一部がそれぞれ第1・第2シリンダ室11a、11bの周壁の一部に線接触しながら偏心回転するように、第1・第2ローラ10a、10bが第1・第2シリンダ室11a、11b内に収容されている。
【0020】
主軸受7には、二重に重ねられた吐出マフラ12が取付けられ、主軸受7に設けられた吐出弁機構13を覆っている。吐出マフラ12には、密閉ケース1内に連通する吐出孔(図示せず)が形成されている。副軸受6には一重の吐出マフラ14が取付けられ、副軸受6に設けられた吐出弁機構(図示せず)を覆っている。
【0021】
主軸受7に設けられた吐出弁機構13は、第2シリンダ室11bに対向して設けられ、圧縮作用にともない第2シリンダ室11b内の圧力が所定値以上になった場合に開弁し、第2シリンダ室11b内で圧縮された高圧のガス冷媒が吐出マフラ12内に吐出される。吐出マフラ12内に吐出されたガス冷媒は、吐出マフラ12に形成された吐出孔を通って密閉ケース1内に吐出される。副軸受6に設けられている吐出弁機構は、第1シリンダ室11aに対向して設けられ、第1シリンダ室11a内の圧力が所定値以上になった場合に開弁し、第1シリンダ室11a内で圧縮された高圧のガス冷媒が吐出マフラ14内に吐出される。
【0022】
副軸受6と第1シリンダ5aと仕切板8と第2シリンダ5bと主軸受7とに亘って、吐出マフラ14内に吐出された高圧のガス冷媒を吐出マフラ12内に導く吐出ガス案内路(図示せず)が形成されている。これにより、第1シリンダ室11a内から吐出マフラ14内に吐出されたガス冷媒は、吐出ガス案内路を通って吐出マフラ12内に導かれ、第2シリンダ室11b内で圧縮されたガス冷媒と共に密閉ケース1内に吐出される。
【0023】
密閉ケース1内の底部には、潤滑油が貯留される油溜まり部15が形成されている。図1において、主軸受7のフランジ部を横切る実線は、油溜まり部15に貯留された潤滑油の油面を示している。圧縮機構部2のほとんど全体が、油溜まり部15内に貯留された潤滑油中に浸漬されている。
【0024】
図2は、圧縮機構部2の一部を示す分解斜視図である。第1シリンダ5aには、一端が第1シリンダ室11aに連通された第1ブレード溝16aと、第1ブレード溝16aの他端に連通された第1ブレード背室17aとが形成されている。第1ブレード溝16aには、第1ブレード18aがスライド可能に収容されている。
【0025】
第1ブレード背室17aにおける第1ブレード18aのスライド方向に沿った奥部には、座グリ部19が形成され、この座グリ部19内に、永久磁石20と永久磁石20を保持する保持部材21とが収容されている。この永久磁石20は、第1シリンダ5aでのガス冷媒の圧縮が停止される非圧縮運転状態である休筒状態において、第1ブレード18aを磁気吸着する。座グリ部19の上方には、衝突防止手段である突部27が形成されている。
【0026】
第2シリンダ5bには、一端が第2シリンダ室11bに連通された第2ブレード溝16bと、第2ブレード溝16bの他端に連通された第2ブレード背室17bとが形成されている。第2ブレード溝16bには、第2ブレード18bがスライド可能に収容されている。
【0027】
第1・第2ブレード18a、18bは、それぞれの先端部の平面視形状が略円弧状に形成されており、その先端部は第1・第2シリンダ室11a、11b内に出没する。また、第1・第2ブレード18a、18bは、それぞれの後端部が対向する第1・第2ブレード背室17a、17b内に出没する寸法に形成されている。
【0028】
第1・第2ブレード18a、18bが第1・第2シリンダ室11a、11b内に突出してこれらの第1・第2シリンダ室11a、11b内に収容されている第1・第2ローラ10a、10bの外周面に当接した場合、第1・第2ブレード18a、18bは第1・第2ローラ10a、10bの回転角度にかかわらず線接触する。そして、第1・第2ブレード18a、18bの先端部が第1・第2ローラ10a、10bの外周面に当接することにより、第1・第2シリンダ室11a、11b内が二つに区画され、第1・第2ローラ10a、10bの偏心回転に伴い一方の区画が高圧側となり、他方の区画が低圧側となる。
【0029】
また、第2シリンダ5bには、第2ブレード背室17bと第2シリンダ5bの外周面とを連通する横孔22が形成され、この横孔22内に弾性体であるバネ部材23が収容されている。横孔22内にバネ部材23を収容するとともに第2ブレード溝16b内に第2ブレード18bを収容した第2シリンダ5bが密閉ケース1内に収容された場合、バネ部材23は密閉ケース1の内周面と第2ブレード18bの後端部との間に介装され、第2ブレード18bに対して背圧を付与する。バネ部材23により背圧を付与された第2ブレード18bは、その先端部が第2ローラ10bの外周面に当接した状態に維持される。
【0030】
一方、第1シリンダ5aでは、第1ブレード背室17aに高圧のガス冷媒が供給された場合に第1ブレード18aの先端部が第1ローラ10aの外周面に当接され、第1シリンダ5aは圧縮運転状態となる。また、第1ブレード背室17bに低圧のガス冷媒が供給された場合に第1ブレード18aの先端部が第1ローラ10aの外周面から離反し、第1シリンダ5aは休筒状態となる。
【0031】
図1に戻って説明する。第1シリンダ5aの第1ブレード背室17aは、副軸受6のフランジ部周端より外方へ突出した位置に形成され、そのままでは上下面が開口されて密閉ケース1内に開放される。
【0032】
しかしながら、第1ブレード背室17aの上面開口部は仕切板8により覆われている。また、第1シリンダ5aの下側の一側には閉塞部材24が取付けられ、第1ブレード背室17aの下面開口部は閉塞部材24により覆われている。したがって、第1ブレード背室17aは、上下面開口部が仕切板8と閉塞部材24とにより閉塞され、密閉構造となっている。
【0033】
閉塞部材24の副軸受6側の側端面は、副軸受6のフランジ部周端面に沿う形状に形成され、この側端面と反対側の側端面には、第1ブレード背室17aに対して高圧又は低圧のガス冷媒を供給する背圧導入通路25の一端側が接続されている。さらに、閉塞部材24には、逆止弁機構26が設けられている。第1ブレード背室17aに高圧のガス冷媒が供給されている場合には、第1ブレード18aの先端部は第1ローラ10aの外周面に当接されている。
【0034】
図3ないし図5に基づいて、圧縮機構部2の第1シリンダ5a及びその周辺に配置される部材の位置関係を説明する。シリンダ室11aに連通される第1ブレード背室17aの高さ寸法は“H”に形成され、座グリ部19の高さ寸法は“h(h<H)”に形成されている。そして、第1ブレード背室17aの奥部に形成された座グリ部19の上方は、これらの高さ寸法“H”と“h”との差分の高さ寸法を有し、第1ブレード溝16aに収容された第1ブレード18aに向けて突出する衝突防止手段である突部27が形成されている。座グリ部19内に収容される永久磁石20と保持部材21との高さ寸法は、“h”と同じか“h”より小さく形成されている。また、座グリ部19内に収容された永久磁石20と保持部材21との第1ブレード18aのスライド方向に沿った幅寸法“l”は、座グリ部19の奥行き寸法(突部27の突出高さ)“L”より小さく形成されている。
【0035】
図4及び図5は、第1シリンダ室11a内に液冷媒が入り込む液バック現象が発生し、第1ブレード18aが第1ブレード背室17a側に跳ね出した状態を示している。この場合、永久磁石20と保持部材21との第1ブレード18aのスライド方向に沿った幅寸法“l”が、座グリ部19の奥行き寸法(突部27の突出高さ)“L”より小さいため、第1ブレード背室17a側に跳ね出した第1ブレード18aは、その後端部が突部27に衝突した位置で停止し、第1ブレード18aの後端部が保持部材21に衝突することが防止されている。図3、図4中において、10aは第1ローラ、16aは第1ブレード溝、6は副軸受、24は閉塞部材24である。
【0036】
図6は、閉塞部材24と、閉塞部材24への逆止弁機構26との取付状態を拡大して示している。閉塞部材24は、取付ボルト28により第1シリンダ(図示せず)に固定され、逆止弁機構26を構成する弁押え部材29と弁体30とが取付部材である取付ボルト31により取付けられている。
【0037】
図7は、図6におけるX−X線断面図である。閉塞部材24には、この閉塞部材24を第1シリンダ5aに取付けた場合に第1シリンダ5aに対向する側に位置する凹部32と、背圧導入通路25(図1参照)を通って供給される高圧又は低圧のガス冷媒を凹部32内に導く孔部33と、この凹部32と密閉ケース内を連通する連通路34とが形成されている。閉塞部材24の第1シリンダ5aに対向する側の反対側には、弁押え部材29と弁体30とを有する逆止弁機構26が取付ボルト31により取付けられている。弁体30は、第1ブレード背室17a内の圧力と密閉ケース1内の圧力との圧力差に応じて連通路34を開閉する。すなわち、第1ブレード背室17a内に背圧導入通路25(図1参照)から高圧のガス冷媒が孔部33を通って導かれる圧縮運転状態で、第1ブレード18aが、第1シリンダ室11a側から第1ブレード背室17a側にスライド(後退)し、第1ブレード背室17a内の圧力が密閉ケース1内の圧力よりも大きくなったときに、弁体30が連通路34を開放する。そのため、第1ブレード背室17a内の圧力が過大になるのを防止することができる。特に、第1ブレード背室17a内及び背圧導入通路25内に潤滑油や液冷媒等の液流体が存在する場合に大きな効果を得ることができる。また、第1ブレード18aが、第1ブレード背室17a側から第1シリンダ室11a側にスライド(前進)し、第1ブレード背室17a内の圧力が密閉ケース1内の圧力以下になった場合や、第1ブレード背室17a内に低圧のガス冷媒が導かれた場合には、弁体30が連通路34を閉止する。弁押え部材29は、弁体30の最大開度を規制する。
【0038】
図8は、弁体30や弁押え部材29を取付ボルト31で取付けた二つの閉塞部材24を、凹部32を下向きにして同じ向きに重ねた状態を示している。凹部32は弁体30と弁押え部材29と取付ボルト31とを収容可能な大きさに形成され、二つの閉塞部材24を重ねた場合、一つの閉塞部材24の弁体30と弁押え部材29と取付ボルト31とが他の閉塞部材24の凹部32内に収容される。
【0039】
再び図1に戻って説明する。多気筒回転式圧縮機Aを構成する密閉ケース1の上端部には、密閉ケース1内の高圧のガス冷媒が密閉ケース1外に吐出される吐出管35が接続されている。この吐出管35は、凝縮器36、膨張装置37および蒸発器38を介してアキュムレータ39の上端部に接続されている。アキュムレータ39と多気筒回転式圧縮機Aとは、吸込管40を介して接続されている。
【0040】
以上説明した多気筒回転式圧縮機Aと、凝縮器36と、膨張装置37と、蒸発器38と、アキュムレータ39とを順次配管接続することで、冷凍サイクル装置Bが構成されている。
【0041】
吸込管40は、密閉ケース1を貫通して仕切板8の周端面に接続されている。仕切板8においては、吸込管40が接続される周面部位から軸芯方向に向って吸込み案内路(図示せず)が設けられている。この吸込み案内路の先端は斜め上方と斜め下方とに二股状に分岐されている。斜め下方に分岐した分岐案内路は、第1シリンダ室11aに連通され、斜め上方に分岐した分岐案内路は、第2シリンダ室11bに連通されている。したがって、アキュムレータ39と、多気筒回転式圧縮機Aの第1・第2シリンダ室11a、11bとは、常時連通状態になっている。
【0042】
背圧導入通路25の他端側は、密閉ケース1とアキュムレータ39の上端部よりも上方位置まで延出され、その先端部に圧力切換弁41が設けられている。圧力切換弁41は、冷暖房運転の切換えが可能なヒートポンプ式冷凍サイクルを備えた空気調和機に用いられる四方切換弁を流用し、コストの抑制を図っている。
【0043】
密閉ケース1の上端部に接続されている吐出管35からは第1分岐管(高圧管)42が分岐され、この第1分岐管42が圧力切換弁41の第1ポートPaに接続されている。圧力切換弁41は、第1ポートPaの他に三つのポート(第2ポートPb、第3ポートPc、第4ポートPd)を有し、第2ポートPbには背圧導入通路25が接続されている。第3ポートPcには、蒸発器38とアキュムレータ39とを連通して低圧のガス冷媒が流れる配管43から分岐した第2の分岐管(低圧管)43aが接続されている。第4ポートPdは、栓体44により常時閉塞されている。
【0044】
圧力切換弁41の内部には、逆U字型弁体45が移動可能に設けられている。この逆U字型弁体45は、実線で示すように、第3ポートPcと第4ポートPdとを連通する位置と、破線で示すように、第2ポートPbと第3ポートPcとを連通する位置とに電磁的に切換可能とされている。第1ポートPaは常時開放されている。
【0045】
さらに説明を加えると、逆U字型弁体45が実線で示す位置に位置する場合には、第1ポートPaと第2ポートPbとが連通され、第3ポートPcと第4ポートPdとが逆U字型弁体45を介して連通されている。ただし、第4ポートPdは栓体44で常時閉塞されているため、圧力切換弁41内の連通状態としては、第1ポートPaと第2ポートPbとの連通だけが残る。
【0046】
逆U字型弁体45が破線で示す位置に移動した場合には、逆U字型弁体45を介して第2ポートPbと第3ポートPcとが連通され、第1ポートPaと第4ポートPdとが連通される。ただし、第4ポートPdは栓体44により常時閉塞されているため、圧力切換弁41内の連通状態としては、第2ポートPbと第3ポートPcとの連通だけが残る。
【0047】
圧力切換弁41としては、通常のヒートポンプ式空気調和機を構成する冷凍サイクルに用いられる標準品である四方切換弁を流用した場合を例に挙げて説明したが、この四方切換弁に代えて三方弁を使用し、もしくは、複数の開閉弁を組み合わせても同様の作用効果が得られる。
【0048】
このような構成において、この多気筒回転式圧縮機Aでは、圧縮機構部2で圧縮された高圧のガス冷媒が密閉ケース1内に吐出され、密閉ケース1内の高圧のガス冷媒が吐出管35を経由して凝縮器36側に導かれ、冷凍サイクルが行われる。
【0049】
また、この多気筒回転式圧縮機Aは、第1シリンダ5aと第2シリンダ5bとの両方でガス冷媒を圧縮する全能力運転と、第1シリンダ5aでの圧縮を停止して第2シリンダ5bでのみ圧縮を行う能力低半減運転とに切換可能であり、この全能力運転と能力低半減運転とについて説明する。全能力運転と能力低半減運転との切換えは、圧力切換弁41の逆U字型弁体45の位置を切換えることにより行われる。
【0050】
まず、全能力運転時には、逆U字型弁体45を図1の実線で示す位置に移動させる。逆U字型弁体45が実線で示す位置に移動することにより、第1ポートPaと第2ポートPbとが連通される。これにより、密閉ケース1内から吐出管35に吐出された高圧のガス冷媒の一部が第1分岐管42を通って圧力切換弁41に導かれ、この高圧のガス冷媒が背圧導入通路25を通って第1ブレード背室17aに供給される。
【0051】
第1ブレード背室17aに高圧のガス冷媒が供給されることにより、この圧力が第1ブレード18aの後端部に背圧として作用し、この背圧は第1シリンダ室11a内に供給されるガス冷媒の圧力より高いため、第1ブレード18aの先端部が第1ローラ10aの外周面に当接され、第1シリンダ室11a内が第1ブレード18aによって二つに区画される。
【0052】
このような第1シリンダ室11a内に吸込管40を通して低圧のガス冷媒が供給されると、第1シリンダ室11a内に供給された低圧のガス冷媒が第1ローラ10aの偏心回転により圧縮され、圧縮されて高圧になったガス冷媒が吐出マフラ14内に吐出され、吐出マフラ14内に吐出されたガス冷媒が吐出マフラ12内を経由して密閉ケース1内に吐出される。
【0053】
一方、第2シリンダ5bにおいては、バネ部材23の一端側が第1ブレード18bの後端部に当接している。そして、バネ部材23の付勢力が第1ブレード18bに作用し、第2ブレード18bの先端部が第2ローラ10bの外周面に当接され、第2シリンダ室11b内が第2ブレード18bによって二つに区画される。
【0054】
このような第2シリンダ室11b内に吸込管40を通して低圧のガス冷媒が供給されると、第2シリンダ室11b内に供給された低圧のガス冷媒が第2ローラ10bの偏心回転により圧縮され、圧縮されて高圧になったガス冷媒が吐出マフラ12内に吐出され、さらに、吐出マフラ12内から密閉ケース1内に吐出される。
【0055】
以上のようにして、全能力運転時には、第1シリンダ5aと第2シリンダ5bとがともに圧縮運転状態となり、ガス冷媒が圧縮される。
【0056】
つぎに、能力低半減運転時には、逆U字型弁体45を図1の破線で示す位置に移動させる。逆U字型弁体45が破線で示す位置に移動すると、第2ポートPbと第3ポートPcとが連通される。これにより、第2分岐管43aと背圧導入通路25とが連通され、配管43内を流れる低圧のガス冷媒の一部が第2分岐管43aと背圧導入通路25とを経由して第1ブレード背室17aに供給される。
【0057】
第1ブレード背室17aに低圧のガス冷媒が供給された場合において、この圧力は第1シリンダ室11a内に供給されるガス冷媒の圧力と同じであるため、第1ブレード18aは第1ローラ10aの方向に付勢されず、第1ブレード18aの先端部は第1ローラ10aの外周面に当接されない。このため、第1シリンダ室11a内は二つに区画されず、第1シリンダ室11a内で第1ローラ10aが偏心回転してもガス冷媒の圧縮が行われない。
【0058】
一方、第2シリンダ室11bでは、バネ部材23の付勢力により第1ブレード18bの先端部が第2ローラ10bの外周面に当接され、ガス冷媒の圧縮が行われる。
【0059】
以上のようにして、能力低半減運転時には、第2シリンダ5bは圧縮運転状態となってガス冷媒が圧縮され、第1シリンダ5aは休筒状態となってガス冷媒の圧縮が停止される。
【0060】
第1シリンダ5aが休筒状態となっている場合には、第1ブレード18aはブレード背室17a内に収容された永久磁石20に磁気吸着されている。
【0061】
第1・第2シリンダ5a、5aでガス冷媒の圧縮が行われている全能力運転時において、第1・第2シリンダ室11a、11b内に液冷媒が入り込む液バック現象が発生すると、第1・第2シリンダ室11a、11b内の圧力が急激に上昇し、第1・第2ブレード18a、18bが第1・第2ブレード背室17a、17b側に跳ね出す。
【0062】
図4及び図5は、第1シリンダ室11a内に液冷媒が入り込む液バック現象が発生し、第1ブレード18aが第1ブレード背室17a側に跳ね出した状態を示している。この場合、永久磁石20と保持部材21との第1ブレード18aのスライド方向に沿った幅寸法“l”が、座グリ部19の奥行き寸法“L”より小さいため、第1ブレード背室17a側に跳ね出した第1ブレード18aは、その後端部が突部27に衝突した位置で停止し、第1ブレード18aの後端部が保持部材21に衝突することが防止される。これにより、第1ブレード18aの後端部が保持部材21に衝突して保持部材21が変形することを防止することができ、さらに、そのような変形が進行して第1ブレード18aのスライド動作が妨げられるという事態の発生を防止することができる。
【0063】
図8は、弁体30と弁押え部材29とを取付ボルト31で取付けた二つの閉塞部材24を、同じ向きに重ね、凹部32を下向きにした状態を示している。弁体30と弁押え部材29と取付ボルト31とを凹部32に対向させて二つの閉塞部材24を重ねた場合、弁体30と弁押え部材29と取付ボルト31とが凹部32内に収容される。このため、閉塞部材24に弁体30と弁押え部材29とを取付けた状態で保管する場合や搬送する場合において、保管スペースを小さくすることができ、搬送する貨物の小型化を図ることができる。さらに、閉塞部材24は弁体30と弁押え部材29とを取付けた状態で多気筒回転式圧縮機Aの組み立て現場に搬送されるため、多気筒回転式圧縮機Aの組み立て作業時の工程数を減らし、多気筒回転式圧縮機Aの組み立て作業の容易化を図ることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、衝突防止手段として突部27を第1シリンダ5aに形成した場合を例に挙げて説明したが、この突部27に代えて第1シリンダ5aとは別体に衝突防止手段を設け、この衝突防止手段を突部27が形成されている位置に固定してもよい。
【0065】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図9及び図10に基づいて説明する。なお、第2の実施形態及びその他の実施形態において、第1の実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0066】
第2の実施形態の基本的構造は第1の実施形態と同じであり、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる部分は、衝突防止手段の構造と、ブレード背室17aへの永久磁石20と保持部材21との収容構造である。
【0067】
図9は、第2の実施形態の第1ブレード18aaを示す正面図であり、この第1ブレード18aaの一端側には、衝突防止手段である突部46が形成されている。この突部46の高さ寸法は、“Hb”とされている。
【0068】
図10は、第1ブレード18aaが収容された第1シリンダ室11a内に液冷媒が入り込む液バック現象が発生し、第1ブレード溝16aにスライド可能に収容された第1ブレード18aaが第1ブレード背室17a側に跳ね出した状態を示している。
【0069】
第1ブレード18aaが第1ブレード溝16aに収容された場合、第1ブレード18aaに形成された突部46は、第1ブレード背室17aに対向する向きに突出している。
【0070】
第1ブレード背室17aの奥部には、永久磁石20とこの永久磁石20を保持する保持部材21とが収容されている。第1ブレード背室17aの高さ寸法は“H”であり、永久磁石20と保持部材21との高さ寸法は“Ha”であり、“Ha”は“H”より小さく形成されている。
【0071】
第1ブレード18aaに形成された突部46の高さ寸法は“Hb”であり、この“Hb”は、ブレード背室17aの高さ寸法“H”と永久磁石20と保持部材21との高さ寸法“Ha”との差分の寸法より小さく形成されている。
【0072】
さらに、第1ブレード18aaにおける突部46以外の部分の後端部から突部46の先端までの寸法“La”は、第1ブレード18aaのスライド方向に沿った永久磁石20と保持部材21との幅寸法“l”より大きく形成されている。
【0073】
このような構成において、第1ブレード18aaにおける突部46以外の部分の後端部から突部46の先端までの寸法“La”が、第1ブレード18aaのスライド方向に沿った永久磁石20と保持部材21との幅寸法“l”より大きく形成されている。さらに、突部46の高さ寸法“Hb”が、第1ブレード背室17aの高さ寸法“H”と永久磁石20と保持部材21との高さ寸法“Ha”との差分より小さく形成されている。
【0074】
このため、液バック現象が発生して第1ブレード18aaが第1ブレード背室17a側に跳ね出した場合には、図10に示すように、突部46が第1ブレード背室17aの周壁であって永久磁石20と保持部材21との上部の領域に衝突し、第1ブレード18aaの後端部が保持部材21に衝突することが防止される。これにより、第1ブレード18aaの後端部が保持部材21に衝突して保持部材21が変形することを防止することができ、さらに、そのような変形が進行して第1ブレード18aaのスライド動作が妨げられるという事態の発生を防止することができる。
【0075】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について、図11及び図12に基づいて説明する。第3の実施形態の基本的構造は第1の実施形態と同じであり、第3の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第1ブレード18abの後端部の形状である。
【0076】
図11は、第3の実施形態の第1ブレード18abを示す正面図であり、この第1ブレード18abの端部Cが、平坦な形状に形成されている。この端部Cは、第1ブレード18abが第1ブレード溝16aに収容された場合に第1ブレード背室17aに対向する側である。
【0077】
図12は、第1ブレード18abが収容された第1シリンダ室11a内に液冷媒が入り込む液バック現象が発生し、ブレード溝16aにスライド可能に収容された第1ブレード18abが第1ブレード背室17a側に跳ね出した状態を示している。
【0078】
この第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、第1シリンダ5aに座グリ部19が形成され、この座グリ部19内に永久磁石20と保持部材21とが収容されている。第1シリンダ5aにおける座グリ部19の上方には、突部27が形成されている。また、永久磁石20と保持部材21との幅寸法“l”は、座グリ部19の奥行き寸法“L”より小さく形成されている。
【0079】
このような構成において、液バック現象が発生して第1ブレード18abが第1ブレード背室17a側に跳ね出した場合には、図12に示すように、跳ね出した第1ブレード18abは、その後端部が突部27に衝突した位置で停止し、第1ブレード18abの後端部が保持部材21に衝突することが防止される。これにより、第1ブレード18abの後端部が保持部材21に衝突して保持部材21が変形することを防止することができ、さらに、そのような変形が進行して第1ブレード18abのスライド動作が妨げられるという事態の発生を防止することができる。
【0080】
また、第1ブレード18abの後端部が平坦な形状に形成されているため、第1ブレード18abの後端部と永久磁石20との間の平均距離が小さくなる。したがって、能力低半減運転時に第1ブレード18abを永久磁石20により磁気吸着する場合、磁気吸着性能を高くすることができる。
【0081】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
1…密閉ケース、2…圧縮機構部、3…電動機部、4…回転軸、5a…第1シリンダ、5b…第2シリンダ、10a…第1ローラ、11a…第1シリンダ室、11b…第2シリンダ室、16a…第1ブレード溝、17a…第1ブレード背室、18a…第1ブレード、18aa…第1ブレード、18ab…第1ブレード、20…永久磁石、21…保持部材、14…閉塞部材、25…背圧導入通路、27…突部(衝突防止手段)、29…弁抑え部材、30…弁体、31…取付部材、32…凹部、34…連通路、36…凝縮器、37…膨張装置、38…蒸発器、46…突部(衝突防止手段)、A…多気筒回転式圧縮機、B…冷凍サイクル装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とが収容され、前記圧縮機構部は、第1シリンダ室を有して圧縮運転状態と非圧縮運転状態である休筒状態とに切換可能な第1シリンダと、第2シリンダ室を有して常時圧縮運転状態とされる第2シリンダとを備え、前記第1シリンダと前記第2シリンダとで圧縮された作動流体を前記密閉ケース内に吐出する多気筒回転式圧縮機において、
前記第1シリンダ室内に設けられ、前記回転軸に連結されて偏心回転する第1ローラと、
前記第1シリンダ室内に設けられ、先端部を前記第1ローラの外周面に当接してこの第1シリンダ室内を高圧側と低圧側との二つに区画するスライド可能な第1ブレードと、
前記第1シリンダに形成され、前記第1ブレードをスライド可能に収容する第1ブレード溝と、
前記第1シリンダに形成され、前記第1ブレード溝に連通される第1ブレード背室と、
前記第1ブレード背室に連通され、この第1ブレード背室に高圧又は低圧の前記作動流体を供給する背圧導入通路と、
前記第1ブレード背室内に収容され、前記第1シリンダが休筒状態の場合に前記第1ブレードを前記第1ローラから離反させて磁気吸着する永久磁石を保持する保持部材と、
前記第1ブレードが前記保持部材側に移動した場合に前記第1ブレードが前記保持部材に衝突することを防止する衝突防止手段と、
を備えることを特徴とする多気筒回転式圧縮機。
【請求項2】
前記衝突防止手段は、前記第1シリンダに形成され、前記第1ブレード溝に収容された前記第1ブレードに向けて突出する突部であることを特徴とする請求項1記載の多気筒回転式圧縮機。
【請求項3】
前記衝突防止手段は、前記第1ブレードの端部に形成され、この第1ブレードが前記第1ブレード溝に収容された場合に前記第1ブレード背室に対向する向きに突出した突部であることを特徴とする請求項1記載の多気筒回転式圧縮機。
【請求項4】
前記第1ブレードは、この第1ブレードが前記第1ブレード溝に収容された場合に前記第1ブレード背室に対向する端部が平坦な形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の多気筒回転式圧縮機。
【請求項5】
前記第1シリンダの一側に、前記第1ブレード背室の一側を閉塞するとともに前記背圧導入通路が接続される閉塞部材が取付けられ、
前記閉塞部材には、この閉塞部材を前記第1シリンダに取付けた場合に前記第1シリンダに対向する側に位置する凹部と、この凹部と前記密閉ケース内を連通する連通路とが形成され、
前記閉塞部材の前記第1シリンダに対向する側の反対側に、前記第1ブレード背室内の圧力と前記密閉ケース内の圧力との圧力差に応じて前記連通路を開閉する弁体と、この弁体の開度を規制する弁押え部材と、これらの弁体と弁押え部材とを前記閉塞部材に取付ける取付部材とが設けられ、
二つの前記閉塞部材を同じ向きに重ねた場合、前記弁体と前記弁押え部材と前記取付部材とが前記凹部に収容されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の多気筒回転式圧縮機。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の多気筒回転式圧縮機と、前記多気筒回転式圧縮機に接続される凝縮器と、前記凝縮器に接続される膨張装置と、前記膨張装置と前記多気筒回転式圧縮機との間に接続される蒸発器とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−100790(P2013−100790A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245941(P2011−245941)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(505461072)東芝キヤリア株式会社 (477)
【Fターム(参考)】