説明

多灯型色灯信号機の半断線又は全断線を検出する方法及び装置

【課題】故障した灯器を現場から離れたところで、容易に知ることができる多灯型色灯信号機の半断線又は全断線を検知する方法及び装置を提供する。
【解決手段】発光源にLEDを使用した各信号灯の監視回線に電流センサCTが接続される断線検出装置1において、監視回線に電流センサCTを介して接続され、増幅回路11とA/D変換回路12を有する入力部14と、各監視回線の監視回線番号を表す指示情報または該監視回線に流れる電流値を表示する表示器3と、監視回線からの入力情報とメモリに予め設定された各信号灯の閾値とを比較する制御部15と、監視回線の半断線または全断線の何れかを表示する警報ランプ4と、表示器3に表示された電流値または前記指示情報を表示させる複数の操作ボタン5〜8とを含み、制御部15が前記指示情報を点滅または点灯させることによって、半断線または全断線の状態にある信号灯を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の発光源にLEDを用いた色灯信号機、特に、そのような信号機において、LEDの半断線又は全断線を検知し、表示する多灯型色灯信号機の断線検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多灯型色灯信号機は、3種類の灯色(緑、黄、赤)を単独に又は併用して信号現示を行う信号機であり、三位式色灯信号機には3現示、4現示、5現示のものがあり、何れも単一の灯器を組み合わせ、垂直に並べて設置される。
【0003】
近年、信号機の発光源には、電球の代わりにLEDが用いられるようになってきている。例えば、5現示の灯器は、複数個のLEDを信号の発光源とし、G(緑)灯、Y(黄)灯、R(赤)灯、YY(黄、黄)灯、YG(黄、黄)灯の組み合わせで構成されている。
【0004】
LEDは、電球のフィラメントのように断芯することはないが、長時間使用すると、次第に光度が低下するという問題がある。光度が半減するまでの時間が寿命と定められており、屋外で連続使用する場合には、温度、湿度の繰返し変化を受けるほか種々の環境の影響を受けることもあって、寿命は一般に1万〜3万時間と考えられているが、劣化その他不測の事態によって断線(オープン)事故、短絡故障が発生する。
【0005】
信号の発光源にLEDを用いた色灯信号機には、上記のような不測の事態に備え、それぞれの信号灯に専用の電流センサ(CTセンサ)を接続し、各灯の消費電流値をセンサで監視し、信号灯ごとに検知する電流値の何れかが設定基準値以下のときには、その信号灯のLEDが故障であると判断し、警報を出力するという対策が講じられている。
【0006】
例えば、特許文献1の装置では、現示信号灯の数より少ない任意の複数配設された電流センサ(CTL1,CTL2,CTL3)と、これら電流センサの中をそれぞれ任意の複数づつ貫通して各現示信号灯と信号現示用リレー接点回路をそれぞれ接続する電流測定用貫通線と、電流センサと接続された故障検知部とを備えている。
この故障検知部は、メモリ部と処理部を有し、全断線状態の現示異常、断線なしの現示正常、短絡状態の現示異常、とを判断できるようになっている。
【0007】
また、特許文献2の装置では、LEDの特性や、信号機の設置環境に左右されずにLEDの故障限界値を正確に割り出して、信号現示の発光源に用いられたLED断線故障、短絡による故障を検知している。
【0008】
この故障検知装置は、上記特許文献1の装置と同様に、複数の灯器L1〜L5が、各々複数個のLEDを信号の発光源とする三位式の信号機の信号灯で、3つの電流センサ1a〜1cに2本又は3本ずつ貫通させた5つの貫通線をもって信号現示切替え制御器に接続されている。
【0009】
この装置における故障検知部30は、図6に示すように、入力部32、マイクロコンピュータからなる処理部40、表示部50、メモリ部52からなっている。入力部30は電流・電圧変換器33と50/60Hz用フィルタ34から構成され、また処理部40は短絡検知部42、時間処理部44、断線検知部46及び現示判断部48から構成されている。メモリ部52には電流センサ1a〜1cでそれぞれ測定する故障判断の基準電流値が記憶されている。
【0010】
故障検知部30は、電流センサ1a〜1cと電圧監視装置35に接続され、信号機の消費電流と送出端電圧とを同期監視し、この同期監視情報から信号機側到達電圧を計算して稼動時の故障限界値を割り出し、稼動時の測定値を稼動時の故障限界値と比較して灯器の故障の判定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実用新案登録第3051830号公報
【特許文献2】特開2000−222686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記2つの装置において、断線検知は可能であるが、故障した灯器の特定ができなかった。上記信号機は鉄道の路線の各所で使用されており、特に長いトンネルや橋梁で使用されている信号機において、信号機の灯器が故障していることがわかっても、従来のやり方では、どの灯器が故障した灯器であるか特定できないことが問題であった。
【0013】
故障した灯器の特定ができないと、保守作業者は、故障箇所まで長距離を、信号機に使用されている各色のLEDの灯器を全て運んで行って、現場で確認しながら灯器の交換をしなければいけないという不便さがあった。
【0014】
本発明の目的は、LEDを光源として使用した信号機の灯器が故障した場合であっても、故障した灯器を現場から離れたところで、容易に知ることができる多灯型色灯信号機の半断線又は全断線を検知する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、発光源にLEDを用いた各信号灯の監視回線に電流センサが接続された断線検出装置を用いて、多灯型色灯信号機の半断線または全断線を検出する方法であって、
前記信号灯のいずれかが断線したときに、前記断線検出装置の警報ランプの状態により、半断線か全断線かを判断し、
半断線のときは、各信号灯の監視回線を順次切り替えて監視回線番号を表す指示情報を前記断線検出装置の表示器に表示し、前記監視回線に流れる電流値と予め設定された閾値とを比較することにより、半断線の信号灯を検出し、
全断線のときは、各信号灯に対応する前記監視回線番号の指示情報を全て点滅状態に設定し、その後、時間経過に従って、順次復帰した信号灯の監視回線に流れる電流の検出によって対応する監視回線番号の点滅指示情報を順次点灯させ、最後に電流が流れない信号灯を見出すことを特徴としている。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記半断線の信号灯の検出は、前記電流値が前記設定された閾値よりも低いことにより、前記表示器内で順次切り替えられる監視回線番号の指示情報の1つが点滅するステップを含んでいる。
【0017】
また、前記全断線の信号灯の検出は、前記監視回線番号の指示情報の全てを点滅状態し、順次、前記表示器に表示される1つの前記監視回線番号の指示情報を点灯させ、最後に点滅状態で残った監視回線番号の信号灯が全断線であるか、または、全ての監視回線番号の指示情報が点滅状態のままである場合に回線ケーブルの断線であるかを決定するステップを含んでいる。
【0018】
さらに、本発明の実施形態では、多灯型色灯信号機の半断線または全断線を検出するために、発光源にLEDを使用した各信号灯の監視回線に電流センサが接続される断線検出装置において、
前記監視回線に前記電流センサを介して接続され、増幅回路とA/D変換回路を有する入力部と、
前記各信号灯に対応する前記監視回線の監視回線番号を表す指示情報または該監視回線に流れる電流値を表示する表示器と、
前記入力部からの各信号灯に接続された前記監視回線からの入力情報とメモリに予め設定された各信号灯の閾値とを比較する制御部と、
前記監視回線の半断線または全断線の何れかを表示する警報ランプと、
前記表示器に表示された電流値または前記指示情報を表示させるための複数の操作ボタンとを含み、
前記制御部が前記監視回線番号の指示情報を点滅または点灯させることによって、半断線または全断線の状態にある信号灯を決定することを特徴としている。
【0019】
また、好ましい形態では、前記制御部は、信号灯の半断線を検出したとき、前記電流値が前記メモリに設定された閾値よりも低いことにより、前記表示器内で順次切り替えられる監視回線番号の指示情報の1つを点滅させる信号を出力する。
【0020】
さらに、前記制御部は、全断線の検出時に、前記監視回線番号の指示情報の全てを点滅状態にし、順次、前記表示器に表示される1つの前記監視回線番号の指示情報を点灯させ、最後に点滅状態で残った監視回線番号の信号灯が全断線であるか、または、全ての監視回線番号の指示情報が点滅状態のままである場合に回線ケーブルの断線であるかを決定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半断線と全断線の状態を判断し、表示器の監視回線番号の指示情報に従って、故障した灯器を特定できるので、保守の際、故障した箇所が特定でき、半断線または全断線した1つの信号灯に合致する灯器のみを交換のために持っていけばよく、保守作業員の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る多灯型信号機の断線検出装置を示し、(a)はその外観平面図、(b)はその裏面図である。
【図2】本発明に係る断線検出装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る断線検出装置における表示器において、半断線検出時の表示手順(A)(B)を示す図である。
【図4】本発明に係る断線検出装置における表示器において、全断線検出時の表示手順(a)〜(e)を示す図である。
【図5】本発明に係る断線検出装置の監視手順を示すブロック図である。
【図6】従来例における故障検出部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明に係る多灯型信号機の断線検出装置1について説明する。
図1は、発光源にLEDを用いた5現示のLED式多灯形色灯信号機におけるLED断線故障を検知する断線検出装置1の外観図を示している。この断線検出装置1は、5現示の信号機信号ケーブルを介して接続されて基地局の機器室(図示略)に配置される。
【0024】
本発明に係る断線検出装置1は、表面パネル2の右上部に発光ダイオード等からなる7セグメントディスプレイの3桁表示器3を配置し、パネル下側の中央部分から左側に一列に、順に、警報ランプ4、設定ボタン5、復帰ボタン6、順方向送りボタン7、逆方向送りボタン8が配置されている。
【0025】
この断線検出装置1の裏面9には、図1(b)に示すように、端子板10が設けられ、この端子板の各端子は、監視回線1〜5の接続端子、警報出力N端子、警報出力R端子、及び電源出力端子が配置されている。
【0026】
断線検出装置1は、図2に示す回路構成を備えており、その基本構成は、図6に示す従来例の故障検知装置と類似の構成からなっている。
すなわち、断線検出部1aは、各監視回線1〜5にそれぞれ接続される電流センサCTと、増幅回路11及びA/D変換回路12で構成される入力部14と、CPUからなる制御部15と、LED駆動回路16を介して接続される3桁表示器3と、警報ランプ4と、警報出力信号を出力するためのリレー駆動回路17に接続された警報リレーERと、複数のボタン操作部20と、フラッシュメモリ及びEEPROMを有するメモリ部22と、電源回路24とから構成されている。
【0027】
信号機の各灯器(信号灯)は、信号ケーブルを通じて信号機の機器室内の電流測定用貫通線に接続され、断線検出装置内の電流センサによって、信号機の消費電流が検出される。そして、電流センサCTからの信号が制御部(CPU)に入力されるようになっている。
なお、図2では、各監視回線ごとに電流センサCTを配置しているが、これを例えば、5つの監視回線に対して3つの電流センサで対応させることもできる。
【0028】
本発明の断線検出装置1において、表示器3は、操作ボタン7,8を操作して、信号機の監視回線1〜5に流れる電流(回線電流)値、監視回線番号を表す指示情報(ここでは、ch1〜ch5)を順次表示する。この操作ボタンとしての順方向送りボタン7および逆方向送りボタン8は、閾値の設定に使用され、また、断線の状態を監視するために順次、監視回線を切り替えるために使用される。
【0029】
警報ランプ4は、制御部15からの信号により、半断線の場合、橙色が点滅し、全断線の場合、赤色が点滅し、正常動作では、緑色が点灯し、閾値設定の場合、緑色が点滅するようになっている。
【0030】
設定ボタン5は、閾値の設定と表示に使用され、復帰ボタン6は、警報解除用として、断線検出部1aを動作させた後、復帰の際に使用される。
これらの警報ランプ4及びボタン類5〜8は、図2のブロック図で示す制御部15に接続されている。
【0031】
上記断線検出装置1を使用するためには、先ず信号機の各監視回線(回線1〜5)を接続し、各回線ごとに断線を検知するために、流れる電流の閾値を設定しておく必要がある。そのために、パネル裏面9の端子板10の端子に、先ず回線1を接続し、次にパネル前面2の設定ボタン5により、所定の電流値になるように3桁の表示器3により確認しながら閾値となる電流値が予め設定される。同様に、回線2〜5の電流値を設定する。
【0032】
本発明の断線検出装置1では、検出装置の電源を投入した直後は、表示器3に、監視回線1の電流値が表示される。他の監視回線の電流値を表示する場合は、順方向送りボタン7又は、逆方向送りボタン8を押して、監視回線番号を切り替える。
【0033】
また、警報表示では、警報ランプ4は、全断線及び半断線が検出されていない場合は、緑色点灯状態となり、監視回線1〜5のいずれかで半断線を検出した場合は、それぞれ橙色点滅及び赤色点滅状態となる。
半断線検出時、表示器3の表示切替時に、1〜2秒間、監視回線番号(例えば、ch1〜ch5)が表示される。このとき、半断線が検出された監視回線番号のみが点滅するので、半断線がわかる。また、半断線の検出有無は、警報ランプ4の状態で確認することができる。
【0034】
図2において、本発明の断線検出部1a内での監視回線の3桁表示器等への接続をブロック図で説明する。
【0035】
5灯信号機の各灯器(信号灯)へ接続される監視回線1〜5は、断線状態によりその流れる電流値が変化するので、その変化を捉える変流器である電流センサCTを介して変化する電流値を増幅回路11に入力する。増幅回路11の出力は、A/D変換回路12によりデジタル値に変換され、制御部15に入力される。
【0036】
制御部15には所定の論理回路のプログラムにより、後述するフローチャートに従って、断線の状態を3桁の表示器3に表示する。フラッシュメモリは、各信号機の信号灯の監視動作を行うための制御プログラムが保存されており、EEPROMには、各監視回線の設定電流値等の設定データを記憶する。
断線状態になると、制御部15からの出力により、リレー駆動回路17が動作し、警報リレーERが働いて、警報信号を出力して警報ランプ4の橙色または赤色を点滅させる。
【0037】
(半断線の検出)
図3において、信号灯の半断線を検出したときの表示器3の表示例を説明する。図3(A)は、半断線の検出がない場合を示し、図3(B)は、「ch2」において、半断線が検出されたことを示している。
【0038】
図3(A)において、この半断線の検出工程は、(a)〜(d)の操作が順次行われる。先ず、断線検出装置1に電源を投入した直後には、監視回線1の電流値が表示される。この場合、130mAの電流値(a)を表示しており、電流値(a)が正常値(≧閾値)であれば、この状態で順方向ボタン7を押すと、(b)の監視回線番号(ch1)が約1秒間表示され、この状態で順方向ボタン7を押すと、(c)の監視回線番号(ch2)が表示される。
【0039】
即ち、監視回線番号1が表示されている状態で、さらに順方向送りボタン7を押すと、監視回線番号が1つ増加し、表示が「ch1」→「ch2」に変化する。そして、監視回線番号2が表示されている状態で、ボタンを押さずにいると、その監視回線の電流値が表示される。さらに、その状態で順方向ボタンを押すと、次に監視回線番号(ch3)が表示され(図示略)、この動作を繰り返すことにより、監視回線番号(ch4)、監視回線番号(ch5)へと順に表示される。そして、順方向ボタン7を押す動作を停止すると、その回線の電流値(d)が表示される。図3(A)では、監視回線番号(ch2)の場合を例示しており、半断線が発生していない場合、表示器3は、監視回線番号を点灯状態で表示するだけで、点滅状態にならない。
【0040】
次に、図3(B)により、半断線を検出した場合を説明する。
図3(B)は、監視回線2で半断線があることを示す表示器3の表示例である。上記のように、先ず、断線検出装置1に電源を投入した直後には、監視回線の電流値(a)が表示される。この場合、130mAの電流値を表示しており、この電流値が、正常値(≧閾値)であれば、この状態で順方向ボタン7を押すと、(b)の監視回線番号(ch1)が約1秒間表示され、この状態で順方向ボタン7を押すと、(c)の監視回線番号(ch2)が点滅表示される。
【0041】
そして、警報ランプ4を橙色で点滅させる。この場合、電流値が閾値より低い場合であり、点滅表示により、監視回線2が半断線の状態にあることを示している。さらに、その状態で順方向ボタン7を押すと、次に監視回線番号(ch3)が表示され、この動作を繰り返すと監視回線番号(ch4)、監視回線番号(ch5)へと順に表示される。
【0042】
監視回線番号の表示が点滅しているか否かにより、各回線の半断線を知ることができる。半断線の場合は、閾値以下の電流が流れているので、それを基準に上記のように表示できる。
【0043】
上記のように、順方向ボタン7を順次、押して行ったときに、各信号灯あるいはその回線が半断線の状態にあれば、監視回線番号の表示を点滅するように論理回路のプログラムを制御部15に設定することにより、半断線を容易に知ることができる。
【0044】
(全断線検出)
次に図4により、全断線の状態を検出する例を説明する。図4は、上記で説明した半断線の場合と同様に順方向ボタン7を順次、押した際の監視回線の状態を表示しており、ボタン押圧動作による表示状態の変化を示すものである。以下、どの監視回線が全断線であるかを見つける順序を説明する。
【0045】
全断線の検出有無は警報ランプ4の状態で確認することができる。
監視回線1〜5のいずれかが全断線である場合は、緊急度を知らせるために、断線検出装置1に電源を投入した直後に、順方向ボタン7を順次押して行っても、表示器3の最初の表示は、全ての監視回線の回線番号(ch1〜ch5)が点滅表示される。即ち、図4の(a)の右側列で示すように、順方向ボタン7の押圧により最初にch1が点滅し、次に順方向ボタン7の順次の押圧動作によって、ch2、ch3、ch4、ch5が点滅表示される。
【0046】
3桁の表示器3では、各監視回線番号の1つだけが表示されており、例えば、「ch3」が表示されているとすると、信号機からの信号に基づいて、監視回線3において、電流が検出される。その後、制御部15内の設定により、順次、監視回線の接続状態のチェックが終了するので、しばらくして、有効である(断線していない)監視回線番号は、順次点滅状態から点灯状態となる。
【0047】
これは、(b)の列で、順方向ボタン7を順次押して行ったときに、監視回線(ch3)が点滅せずに点灯するので、監視回線(ch3)は正常であることがわかる。
【0048】
次に(c)の列では、同様に、監視回線(ch4)が、また、(d)の列では、監視回線(ch5)が、さらに、(e)の列では、監視回線(ch1)が、それぞれ点滅せずに点灯状態となるので、最後に、点滅表示のままで残る監視回線(ch2)が断線していることがわかる。
また、各監視回線1〜5が全て点滅状態のままである場合には、信号ケーブルでの断線であることが判明する。
【0049】
このようにして、全断線の場合、全ての監視回線番号が点滅し、その後、他の信号が現示され電流を検出することで、その監視回線番号が点灯し、全ての信号が現示された後、まだ点滅している監視回線番号があれば、その監視回線で全断線が発生していることになる。
【0050】
次に、図5において、断線状態の判断をどのようにするかを、フローチャートで説明する。
信号機は、鉄道の信号機システム内で、断線監視について定周期の監視を受けている(ステップS1)。ステップS1の監視の中で、信号機の監視回線番号ごとに電流が測定され(ステップS2)、監視回線ごとの電流値は、例えば、本発明の断線検出装置1の表示器3で表示される(ステップS3)。
【0051】
ステップS4では、断線警報の有無が判断され、警報中であれば、検出回線の断線判定のステップS5に進み、未警報であれば、検出回線の断線判定のステップS6に進む。
ステップS5では、監視回線の電流値が正常(≧閾値)であれば、該当監視回線番号の点滅の解除処理を行うステップS7に進み、終了する。
【0052】
前述した半断線(<閾値)であれば、該当回線がわかるので、終了する。半断線から全断線に移行した場合には、警報ランプ4を赤色点滅させ(ステップS12)、全部の監視回線の番号を点滅させる(ステップS13)。
【0053】
ステップS4で、未警報の状態であれば、ステップS6に進み、検出した回線の断線を判定して、電流値が正常(≧閾値)であれば、終了する。
【0054】
半断線(電流値<閾値)であれば、警報を告知するための出力処理を行い(ステップS8)、警報ランプに橙色点滅する処理を行って(ステップS9)、さらに該当監視回線の番号を表示器に点滅させ(ステップS10)、終了する。
【0055】
ステップS6で全断線(電流値≒0)と判定されれば、警報を告知するための出力処理を行い(ステップS11)、警報ランプに赤色点滅する処理を行い(ステップS12)、さらに、全監視回線の番号を表示器に点滅させ(ステップS13)、終了する。
【0056】
上記検出方法では、警報ランプによって断線警報が示されると、警報ランプの色と点滅動作によって、半断線か全断線であるかが判定される。半断線の場合は、ステップS8〜S10の手順が実行され、全断線の場合は、ステップS11〜S13が実行されるので、どの信号灯が半断線又は全断線であるか否かが判明するので、表示器の監視回線番号の指示情報に従って、故障した灯器を特定することができる。
【符号の説明】
【0057】
1:断線検出装置、2:表示パネル、 3:表示器、4:警報ランプ、5:設定ボタン、6:復帰ボタン、7:順方向送りボタン、8:逆方向送りボタン、11:増幅回路、12:A/D変換回路、14:処理部、15:制御部、22:メモリ部、ch1〜ch5:監視回線番号、CT:電流センサ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光源にLEDを用いた各信号灯の監視回線に電流センサが接続された断線検出装置を用いて、多灯型色灯信号機の半断線または全断線を検出する方法であって、
前記信号灯のいずれかが断線したときに、前記断線検出装置の警報ランプの状態により、半断線か全断線かを判断し、
半断線のときは、各信号灯の監視回線を順次切り替えて監視回線番号を表す指示情報を前記断線検出装置の表示器に表示し、前記監視回線に流れる電流値と予め設定された閾値とを比較することにより、半断線の信号灯を検出し、
全断線のときは、各信号灯に対応する前記監視回線番号の指示情報を全て点滅状態に設定し、その後、時間経過に従って、順次復帰した信号灯の監視回線に流れる電流の検出によって対応する監視回線番号の点滅指示情報を順次点灯させ、最後に電流が流れない信号灯を見出すことを特徴とする多灯型色灯信号機の断線検出方法。
【請求項2】
前記半断線の信号灯の検出は、前記電流値が前記設定された閾値よりも低いことにより、前記表示器内で順次切り替えられる監視回線番号の指示情報の1つが点滅するステップを含んでいることを特徴とする請求項1記載の断線検出方法。
【請求項3】
前記全断線の信号灯の検出は、前記監視回線番号の指示情報の全てを点滅状態にし、順次、前記表示器に表示される1つの前記監視回線番号の指示情報を点灯させ、最後に点滅状態で残った監視回線番号の信号灯が全断線であるか、または、全ての監視回線番号の指示情報が点滅状態のままである場合に回線ケーブルの断線であるかを決定するステップを含んでいることを特徴とする請求項1または請求項2記載の断線検出方法。
【請求項4】
多灯型色灯信号機の半断線または全断線を検出するために、発光源にLEDを使用した各信号灯の監視回線に電流センサが接続される断線検出装置において、
前記監視回線に前記電流センサを介して接続され、増幅回路とA/D変換回路を有する入力部と、
前記各信号灯に対応する前記監視回線の監視回線番号を表す指示情報または該監視回線に流れる電流値を表示する表示器と、
前記入力部からの各信号灯に接続された監視回線からの入力情報とメモリに予め設定された各信号灯の閾値とを比較する制御部と、
前記監視回線の半断線または全断線の何れかを表示する警報ランプと、
前記表示器に表示された電流値または前記指示情報を表示させるための複数の操作ボタンとを含み、
前記制御部が前記監視回線番号の指示情報を点滅または点灯させることによって、半断線または全断線の状態にある信号灯を決定することを特徴とする多灯型色灯信号機の故障検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、信号灯の半断線を検出したとき、前記電流値が前記メモリに設定された閾値よりも低いことにより、前記表示器内で順次切り替えられる監視回線番号の指示情報の1つを点滅させる信号を出力することを特徴とする請求項4記載の故障検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、全断線の検出時に、前記監視回線番号の指示情報の全てを点滅状態にし、順次、前記表示器に表示される1つの前記指示情報を点灯させ、最後に点滅状態で残った監視回線番号の信号灯が全断線であるか、または、全ての監視回線番号の指示情報が点滅状態のままである場合に回線ケーブルの断線であるかを決定することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の故障検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−225162(P2011−225162A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98713(P2010−98713)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000144348)株式会社三工社 (48)
【Fターム(参考)】