説明

多灯用放電灯点灯装置、照明器具および照明システム

【課題】2灯用ないしは多灯用の電子バラストにおいて、部品の共通化により、大幅なコストダウン・小型化を達成する。
【解決手段】直流電圧を充電されるコンデンサC1a,C1bの直列回路と、スイッチング素子S3,S4の直列回路と、スイッチング素子S5,S6の直列回路とを並列に接続し、スイッチング素子S3,S4の接続点とコンデンサC1a,C1bの接続点の間に限流素子L2aを介して放電灯4aを接続し、スイッチング素子S5,S6の接続点とコンデンサC1a,C1bの接続点の間に限流素子L2bを介して放電灯4bを接続し、スイッチング素子S3の高周波チョッパ動作と、スイッチング素子S4の高周波チョッパ動作とを低周波で交番させる制御回路31aと、スイッチング素子S5の高周波チョッパ動作と、スイッチング素子S6の高周波チョッパ動作とを低周波で交番させる制御回路31bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のHIDランプを点灯させる多灯用放電灯点灯装置およびこれを用いた照明器具並びに照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯やHIDランプ等を点灯させる点灯装置としては、従来、銅鉄安定器が主流であった。図7に2灯用の銅鉄安定器の回路を示す。4a,4bはHIDランプ、1は交流電源、Tfはトランス、Csはコンデンサである。この回路は一般的であるため説明は省略する。近年においては安定器の軽量化・小型化・高機能化を目的とした多くの電子部品を用いた電子バラストなるものが主流となりつつある。この電子バラストについて以下簡単に説明する。
【0003】
図8に1灯用の電子バラストのブロック図を示す。交流電源1に整流回路を含む直流電源回路2が接続されており、その出力端にHIDランプ4ヘの供給電力を調整・制御できるインバータ回路3が接続されており、その出力端にHIDランプ4が接続されている。
【0004】
図9に図8の具体的な回路図を示す。直流電源回路2は整流回路DBとスイッチング素子Q1とダイオードD1とインダクタL1とコンデンサC1と制御回路21からなり、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、インダクタL1により昇圧チョッパ回路を構成し、交流電源1の交流電圧を直流電圧に整流・平滑する機能を有する。インバータ回路3は、電源入力部にスイッチング素子Q2とダイオードD2とインダクタL2とコンデンサC2と制御回路31とからなる電力調整手段を備え、スイッチング素子Q2、ダイオードD2、インダクタL2により降圧チョッパ回路を構成している。ここで昇圧チョッパ回路及び降圧チョッパ回路の動作については一般的な技術であるので省略する。
【0005】
制御回路31はランプ4のランプ電圧Vla(電流、電力でもよい)を検出し、ランプ電圧に応じてスイッチング素子Q2のON/OFF制御を行ない、ランプ4に供給する電力を調整している。さらにランプ4を交流点灯させるためにランプ4の前段にスイッチング素子Q3〜Q6からなる極性反転回路を挿入している。このスイッチング素子Q3とQ6、Q4とQ5がそれぞれペアで交互に数10Hz〜数100Hzの周期でON/OFFを繰り返し、ランプ4に矩形波交流電力を供給するようになっている。さらにランプ4の始動に数kVの電圧が必要なので、高圧パルストランスPTとイグナイタ回路IGが設けられている。
【0006】
以上述べたような電子バラストにおいて、多灯用を考えた場合、図10のような構成が普通に想定される。この図では直流電源回路2の出力端に2つのインバータ回路3a,3bが並列に接続され、各々インバータ回路3a,3bの出力端にランプ4a,4bが接続されている。これにより直流電源回路2が共通となった2灯用の電子バラストが構成できる。
【0007】
このような2灯用の電子バラストにおいては、直流電源回路2は共通化できているが、インバータ回路3a,3bが単純に2灯分必要であり、2灯用バラストでの大幅なコストダウン・小型化が期待できない。
【0008】
上述の課題を解決する手段として、特許第2781567号がある。この特許においては、ランプヘの供給電力を制御する降圧チョッパ回路と矩形波交流電力を生成する極性反転回路部をうまく組み合わせて、一部の部品を削減できているが、その効果は十分とは言えない。
【特許文献1】特許第2781567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、直流電源回路とインバータ回路からなる2灯用ないしは多灯用の電子バラストにおいて、部品の共通化により、大幅なコストダウン・小型化を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記の課題を解決するために、図1に示すように、直流電圧を充電される第1及び第2のコンデンサC1a,C1bの直列回路と、第1及び第2のスイッチング素子S3,S4の直列回路と、第3及び第4のスイッチング素子S5,S6の直列回路とを並列に接続し、第1及び第2のスイッチング素子S3,S4の接続点と第1及び第2のコンデンサC1a,C1bの接続点の間に少なくとも第1の限流素子L2aを介して第1の放電灯4aの接続端子を接続し、第3及び第4のスイッチング素子S5,S6の接続点と第1及び第2のコンデンサC1a,C1bの接続点の間に少なくとも第2の限流素子L2bを介して第2の放電灯4bの接続端子を接続し、第1のスイッチング素子S3が高周波でスイッチングされる動作と、第2のスイッチング素子S4が高周波でスイッチングされる動作とを低周波で交番させるように第1及び第2のスイッチング素子S3,S4を制御する第1の制御回路31aと、第3のスイッチング素子S5が高周波でスイッチングされる動作と、第4のスイッチング素子S6が高周波でスイッチングされる動作とを低周波で交番させるように第3及び第4のスイッチング素子S5,S6を制御する第2の制御回路31bとを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1及び第2のコンデンサの直列回路を、第1の放電灯を矩形波点灯させるための第1のハーフブリッジ回路の一部として利用できると共に、第2の放電灯を矩形波点灯させるための第2のハーフブリッジ回路の一部としても利用できるので、2灯以上の放電灯に矩形波交流電力を供給できる電子バラストでありながら、部品点数が少なくて済み、コストダウン・小型化が可能となる効果がある。
【0012】
請求項3の発明によれば、同一のコンデンサを電源として共用するスイッチング素子のオン時間が重ならないようにしたので、コンデンサに流れる電流のピークを抑制することができる。また、請求項4の発明によれば、コンデンサに充放電電流が均等に流れるので、ハーフブリッジ回路特有のコンデンサにおけるアンバランス状態が起こらず、より回路動作が安定する効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1の回路図を示す。本実施形態は交流電源1に接続された直流電源回路2’の出力端のコンデンサC1をC1aとC1bの直列回路とし、第1のランプ4aを点灯させるハーフブリッジ回路(左側)と第2のランプ4bを点灯させるハーフブリッジ回路(右側)とでインバータ回路3を構成したものである。図中の直流電源回路2’は、図9に示した直流電源回路2からコンデンサC1を省いた構成であり、商用交流電源1を整流平滑し、昇圧チョッパ回路により昇圧された直流電圧をコンデンサC1a,C1bの直列回路に充電する。
【0014】
コンデンサC1a,C1bの直列回路には、スイッチング素子S3,S4の直列回路とスイッチング素子S5,S6の直列回路が並列接続されている。各スイッチング素子S3〜S6にはそれぞれダイオードD3〜D6が逆並列接続されている。スイッチング素子S3〜S6はトランジスタでも良いし、FETでも良いが、逆並列ダイオードが内蔵されているFETを使えば、ダイオードD3〜D6は省略することができる。
【0015】
スイッチング素子S3,S4の接続点には、インダクタL2aの一端が接続されている。インダクタL2aの他端には、コンデンサC2aの一端が接続されている。コンデンサC2aの他端はコンデンサC1a,C1bの接続点に接続されている。コンデンサC2aの両端には、ランプ4a(及びその接続端子としてのランプソケット)とパルストランスPTaの2次巻線の直列回路が接続されている。パルストランスPTaの1次巻線にはイグナイタ回路IGaのパルス出力端が接続されている。イグナイタ回路IGaの電源入力端はコンデンサC2aの両端に接続されている。コンデンサC2aの両端には、制御回路31aのランプ電圧検出端子が接続されている。
【0016】
制御回路31aはランプ電圧の検出値に応じて適切なランプ電力が供給されるように、チョッパー用のスイッチング素子S3,S4のオン時間を制御する。また、ランプ4aを低周波で矩形波点灯させるために、スイッチング素子S3が高周波でオンオフする期間と、スイッチング素子S4が高周波でオンオフする期間とを低周波で交番させる。
【0017】
スイッチング素子S5,S6の接続点には、インダクタL2bの一端が接続されている。インダクタL2bの他端には、コンデンサC2bの一端が接続されている。コンデンサC2bの他端はコンデンサC1a,C1bの接続点に接続されている。コンデンサC2bの両端には、ランプ4b(及びその接続端子としてのランプソケット)とパルストランスPTbの2次巻線の直列回路が接続されている。パルストランスPTbの1次巻線にはイグナイタ回路IGbのパルス出力端が接続されている。イグナイタ回路IGbの電源入力端はコンデンサC2bの両端に接続されている。コンデンサC2bの両端には、制御回路31bのランプ電圧検出端子が接続されている。
【0018】
制御回路31bはランプ電圧の検出値に応じて適切なランプ電力が供給されるように、チョッパー用のスイッチング素子S5,S6のオン時間を制御する。また、ランプ4bを低周波で矩形波点灯させるために、スイッチング素子S5が高周波でオンオフする期間と、スイッチング素子S6が高周波でオンオフする期間とを低周波で交番させる。
【0019】
なお、イグナイタ回路IGa,IGbはランプ4a,4bが無負荷状態のときに、コンデンサC2a,C2bの電圧が上昇することでパルス発生動作を開始し、パルストランスPTa,PTbにより昇圧された数kVの高電圧パルスをランプ4a,4bに印加することで、ランプ4a,4bを始動させる。ランプ4a,4bの始動後は、コンデンサC2a,C2bの電圧が低下することで、イグナイタ回路IGa,IGbはパルス発生動作を停止する。
【0020】
本回路の動作を図2を用いて説明する。図中、S3〜S6はスイッチング素子S3〜S6の制御信号、Is3〜Is6はスイッチング素子S3〜S6に流れる電流、Id3〜Id6はダイオードD3〜D6に流れる電流、I1a,I1bはコンデンサC1a,C1bに流れる電流、I2a,I2bはインダクタL2a,L2bに流れる電流、I4a,I4bはランプ4a,4bに流れる電流である。
【0021】
スイッチング素子S3とS4は数10kHzの高周波でチョッパ動作をすることにより、ランプ4aヘの供給電力の制御を行なう。このチョッパ動作を数10〜数100Hzの低周波で交互に繰り返すことにより、ランプ4aに矩形波交流電力を供給する。
【0022】
スイッチング素子S3がチョッパ動作しているときの動作としては、スイッチング素子S3のオン時には、コンデンサC1aからスイッチング素子S3、インダクタL2a、ランプ4a、高圧パルストランスPTaの経路で電流が流れる。スイッチング素子S3がオフすると、インダクタL2aのエネルギーがランプ4a、高圧パルストランスPTa、コンデンサC1b、ダイオードD4の経路で放電される。このオン/オフ動作を繰り返して、I2aに示すようなチョッパ電流を生成し、この電流の高周波成分をコンデンサC2aでカットすることにより、直流電流をランプ4aに供給する。
【0023】
スイッチング素子S4がチョッパ動作しているときの動作としては、スイッチング素子S4のオン時には、コンデンサC1bから高圧パルストランスPTa、ランプ4a、インダクタL2a、スイッチング素子S4の経路で電流が流れる。スイッチング素子S4がオフすると、インダクタL2aのエネルギーがダイオードD3、コンデンサC1a、高圧パルストランスPTa、ランプ4aの経路で放電される。このオン/オフ動作を繰り返して、I2aに示すようなチョッパ電流を生成し、この電流の高周波成分をコンデンサC2aでカットすることにより、直流電流をランプ4aに供給する。
【0024】
以上のスイッチング素子S3とS4のオン/オフ動作により、矩形波交流電力をランプ4aに供給できる。
上記の動作と全く同じ動作を右側のハーフブリッジ回路でも行なうことにより、2灯用のインバータを構成することができる。
【0025】
本実施形態によれば、従来の技術(図10)のスイッチング素子とダイオードの総数12個や、従来の特許文献1の14個に対して、8個で済むので、コンデンサC1が2個になっても、大幅なコストダウン・小型化が可能となる。
【0026】
なお、図1におけるダイオードD3〜D6は、スイッチング素子S3〜S6にFETのようにダイオードが内蔵されているものを使えば、省略することができ、さらにコストダウン・小型化に寄与することができる。
【0027】
(実施形態2)
図3に本発明の実施形態2の動作波形図を示す。回路構成は図1に示した実施形態1と同様である。本実施形態では、図3に示すように、左側のスイッチング素子S3,S4と右側のスイッチング素子S5,S6のオン/オフの位相をずらして、コンデンサC1a,C1bのリップル電流を低減したものである。これにより、実施形態1よりもコンデンサC1a,C1bの容量を抑えることができ、コストダウン・小型化に寄与することができる。
【0028】
以下、その動作について簡単に説明する。まず、コンデンサC1aを電源として、高電位側のスイッチング素子S3とS5が数10kHzの高周波でチョッパ動作をすることにより、ランプ4a,4bに図1の矢印に示す方向に直流電流が流れる。スイッチング素子S3とS5がオンしている時間帯はずれているので、コンデンサC1aに流れる電流I1aのピークは抑制される。
【0029】
次に、コンデンサC1bを電源として、低電位側のスイッチング素子S4とS6が数10kHzの高周波でチョッパ動作をすることにより、ランプ4a,4bに図1の矢印とは反対方向に直流電流が流れる。スイッチング素子S4とS6がオンしている時間帯はずれているので、コンデンサC1bに流れる電流I1bのピークは抑制される。
【0030】
以上の動作を数10〜数100Hzの低周波で交互に繰り返すことにより、ランプ4a,4bに矩形波交流電力を供給する。
【0031】
なお、図1の回路では、コンデンサC1a,C1bの直列回路を、2つのハーフブリッジ回路で共用しているが、3つ以上のハーフブリッジ回路で共用するように構成しても構わない。その場合においても、低周波の一方の極性の期間では、コンデンサC1aを電源とする高電位側の各スイッチング素子を時分割的にオンさせるとともに、低周波の他方の極性の期間では、コンデンサC1bを電源とする低電位側の各スイッチング素子を時分割的にオンさせることで、コンデンサC1a,C1bに流れる電流I1a,I1bのピークを抑制することができる。
【0032】
(実施形態3)
図4に本発明の実施形態3の動作波形図を示す。回路構成は図1に示した実施形態1と同様である。本実施形態では、図4に示すように、左側のスイッチング素子S3と右側のスイッチング素子S6を対に、左側のスイッチング素子S4と右側のスイッチング素子S5を対に、オン/オフさせ、実施形態2と同様に、コンデンサC1a,C1bのリップル電流を低減したものである。図3と図4を比較して分かるように、コンデンサC1a,C1bに流れる電流の平均値は本実施形態の方が低く抑えることができ、実施形態1,2よりもコンデンサC1a,C1bの容量を抑えることができ、コストダウン・小型化に寄与することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、低周波の各極性において、コンデンサC1a,C1bに充放電電流が均等に流れるので、ハーフブリッジ回路特有のコンデンサC1a,C1bにおけるアンバランス状態が起こらず、より回路動作が安定すると言った効果も含まれている。
【0034】
以下、その動作について簡単に説明する。まず、コンデンサC1aを電源として、スイッチング素子S3が数10kHzの高周波でチョッパ動作をすることにより、ランプ4aに図1の矢印に示す方向に直流電流が流れると共に、コンデンサC1bを電源として、スイッチング素子S6が数10kHzの高周波でチョッパ動作をすることにより、ランプ4bに図1の矢印とは反対方向に直流電流が流れる。スイッチング素子S3がオンしている期間にコンデンサC1aは放電されるが、反対側のハーフブリッジ回路のスイッチング素子S6がオフしたときにインダクタL2bの回生電流がダイオードD5を介してコンデンサC1aに流れることで、コンデンサC1aは再充電される。同様に、スイッチング素子S6がオンしている期間にコンデンサC1bは放電されるが、反対側のハーフブリッジ回路のスイッチング素子S3がオフしたときにインダクタL2aの回生電流がダイオードD4を介してコンデンサC1bに流れることで、コンデンサC1bは再充電される。
【0035】
次に、コンデンサC1bを電源として、スイッチング素子S4が数10kHzの高周波でチョッパ動作をすることにより、ランプ4aに図1の矢印とは反対方向に直流電流が流れると共に、コンデンサC1aを電源として、スイッチング素子S5が数10kHzの高周波でチョッパ動作をすることにより、ランプ4bに図1の矢印に示す方向に直流電流が流れる。スイッチング素子S4がオンしている期間にコンデンサC1bは放電されるが、反対側のハーフブリッジ回路のスイッチング素子S5がオフしたときにインダクタL2bの回生電流がダイオードD6を介してコンデンサC1bに流れることで、コンデンサC1bは再充電される。同様に、スイッチング素子S5がオンしている期間にコンデンサC1aは放電されるが、反対側のハーフブリッジ回路のスイッチング素子S4がオフしたときにインダクタL2aの回生電流がダイオードD3を介してコンデンサC1aに流れることで、コンデンサC1aは再充電される。
【0036】
以上の動作を数10〜数100Hzの低周波で交互に繰り返すことにより、ランプ4a,4bに矩形波交流電力を供給する。
【0037】
(実施形態4)
図5に本発明の実施形態4を示す。本実施形態は、実施形態1〜3において、直流電源回路2’からコンデンサC1a,C1bへの給電ラインAと、コンデンサC1a,C1bから第1のハーフブリッジ回路ヘの給電ラインBと、コンデンサC1a,C1bから第2のハーフブリッジ回路ヘの給電ラインCとを分離するように、プリント基板の配線パターンを構成する。つまり、図1に示すように、直流電源回路2’からスイッチング素子S3,S4の直列回路に給電するのではなく、図5に示すように、直流電源回路2’からコンデンサC1a,C1bの直列回路に給電し、ここからスイッチング素子S3,S4の直列回路とスイッチング素子S5,S6の直列回路にそれぞれ給電するようにプリント基板の配線パターンを構成するものである。図5は実際のパターン図そのものではないが、プリント基板設計時に注意すべきパターンの分離状況を分かりやすく描いた回路図である。本実施形態によれば、左右のハーフブリッジ回路の電流同士の相互干渉が回避でき、より回路動作が安定する効果が得られる。
【0038】
なお、図5の回路では、コンデンサC1a,C1bの直列回路を、2つのハーフブリッジ回路で共用しているが、3つ以上のハーフブリッジ回路で共用するように構成しても構わない。その場合においても、直流電源回路2’からコンデンサC1a,C1bへの給電ラインと、コンデンサC1a,C1bから各ハーフブリッジ回路ヘの給電ラインとを分離するように、プリント基板の配線パターンを構成することで、各ハーフブリッジ回路の電流相互の干渉が回避でき、より回路動作が安定する効果が得られる。
【0039】
(実施形態5)
図6に本発明の実施形態5を示す。図中、5a,5bは灯体であり、HIDランプ4a,4bとそのランプソケット及びランプセードを含む。6a,6bは出力線であり、各ハーフブリッジ回路HB1,HB2から各ランプ4a,4bへのランプ電流を出力する配線である。7は入力電源線であり、商用交流電源1から直流電源回路2への入力交流電圧を供給する配線である。この実施形態では、入力電源線7とそれぞれのランプ4a,4bヘの出力線6a,6bが点灯装置を搭載する筐体(器具本体8)の同一端面上にないことを特徴とする。これにより、各ハーフブリッジ回路HB1,HB2の高周波動作によるノイズが入力電源線7に漏洩することを防止できる。また、図6の照明器具を複数組み合わせて例えば店舗用などの照明システムを構築するときに、入力電源線7が出力線6a,6bと反対側にある方が配線も容易になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態1の回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作波形図である。
【図3】本発明の実施形態2の動作波形図である。
【図4】本発明の実施形態3の動作波形図である。
【図5】本発明の実施形態4の回路図である。
【図6】本発明の実施形態5の実装状態の概略を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図7】従来の2灯用の銅鉄安定器の回路図である。
【図8】従来の1灯用の電子バラストのブロック図である。
【図9】図8の電子バラストの具体的な回路図である。
【図10】従来の2灯用の電子バラストの回路図である。
【符号の説明】
【0041】
S3,S4 スイッチング素子
S5,S6 スイッチング素子
4a,4b 放電灯(HIDランプ)
C1a,C1b コンデンサ
L2a,L2b 限流素子(インダクタ)
31a,31b 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を充電される第1及び第2のコンデンサの直列回路と、第1及び第2のスイッチング素子の直列回路と、第3及び第4のスイッチング素子の直列回路とを並列に接続し、
第1及び第2のスイッチング素子の接続点と第1及び第2のコンデンサの接続点の間に少なくとも第1の限流素子を介して第1の放電灯接続端子を接続し、
第3及び第4のスイッチング素子の接続点と第1及び第2のコンデンサの接続点の間に少なくとも第2の限流素子を介して第2の放電灯接続端子を接続し、
第1のスイッチング素子が高周波でスイッチングされる動作と、第2のスイッチング素子が高周波でスイッチングされる動作とを低周波で交番させるように第1及び第2のスイッチング素子を制御する第1の制御回路と、
第3のスイッチング素子が高周波でスイッチングされる動作と、第4のスイッチング素子が高周波でスイッチングされる動作とを低周波で交番させるように第3及び第4のスイッチング素子を制御する第2の制御回路とを備えることを特徴とする多灯用放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1において、第1及び第2のコンデンサの直列回路に並列接続される2個のスイッチング素子の直列回路と、前記2個のスイッチング素子の接続点と第1及び第2のコンデンサの接続点の間に接続される少なくとも限流素子と放電灯接続端子の直列回路と、前記2個のスイッチング素子のうち一方が高周波でスイッチングされる動作と、他方が高周波でスイッチングされる動作とを低周波で交番させるように前記2個のスイッチング素子を制御する制御回路との組み合わせを3組以上備えることを特徴とする多灯用放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかにおいて、各制御回路は、低周波の一方の極性の期間では、第1のコンデンサを電源としてスイッチング素子の高周波スイッチング動作を行うと共に、それぞれのスイッチングのオン時間が重ならないように制御し、低周波の他方の極性の期間では、第2のコンデンサを電源としてスイッチング素子の高周波スイッチング動作を行うと共に、それぞれのスイッチングのオン時間が重ならないように制御することを特徴とする多灯用放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1において、第1の制御回路が第1のコンデンサを電源としてスイッチング素子の高周波スイッチング動作を行う低周波の一方の極性の期間では、第2の制御回路が第2のコンデンサを電源としてスイッチング素子の高周波スイッチング動作を行うと共に、第1の制御回路が第2のコンデンサを電源としてスイッチング素子の高周波スイッチング動作を行う低周波の他方の極性の期間では、第2の制御回路が第1のコンデンサを電源としてスイッチング素子の高周波スイッチング動作を行うことを特徴とする多灯用放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、回路を実装したプリント基板の配線パターン上で、直流電源部からコンデンサの直列回路への給電ラインと、コンデンサの直列回路からそれぞれのスイッチング素子の直列回路への給電ラインとが分離されていることを特徴とする多灯用放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、入力電源線とそれぞれのランプヘの出力線が点灯装置を搭載する筐体の同一端面上にないことを特徴とする多灯用放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の多灯用放電灯点灯装置を搭載した照明器具。
【請求項8】
請求項7に記載の照明器具を複数組み合わせた照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−173023(P2006−173023A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366778(P2004−366778)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】