説明

多環式ポリイミド、ならびにそれに関連する組成物および方法

【課題】本発明は、多環式ジアミンの使用を対象とする。
【解決手段】これらのジアミン、および場合によってはその他の非多環式ジアミンは、二無水物と重合させる場合に、新規なポリアミック酸を形成するのに使用される。そのポリアミック酸をイミド化して、特にエレクトロニクスに関わる応用分野における新規な部類の有用なポリイミド樹脂およびポリイミドフィルムを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、多環式ポリイミドに関するものであり、それに関連する方法および組成物を包含する。より具体的には、本発明の組成物および方法は、環状脂肪族ジアミン異性体に由来し、特に、特定のエレクトロニクス応用分野においてガラスの代替物として有利な特性を有する多環式ポリイミドを提供する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレースクリーンまたはその他類似タイプの視覚的情報伝達の応用分野において、商業的に実現性のあるガラスまたは水晶の代替物が必要とされている。従来のポリイミドは、一般に、このような使用に対して必ずしも十分には適合していない。
【0003】
特許文献1、特許文献2および特許文献3(三井化学)には、2,5−NBDAと2,6−NBDAのジアミン混合物が記載されている。しかし、このようなジアミンは、光学デバイスなどにおける水晶またはガラスに対する適切な代替であるために十分なガラス転移温度、光透過性、および熱膨張率(「CTE」)を有するポリイミドを提供するのに必ずしも十分には適合していない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,710,160号明細書
【特許文献2】米国特許第6,734,276号明細書
【特許文献3】米国特許第6,812,065号明細書
【非特許文献1】TrofimenkoおよびAuman“Polyimides Based on 9,9-Disubstituted Xanthene Dianhydrides”Macromolecules,1994,vol.27 p.1136〜1146
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のポリイミドは、次式で表すことができ、
【0006】
【化1】

【0007】
式中、Rは、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−(CH−CH、−(CH−CH、−CX、−CH−CX、−CH−CH−CX、−(CH−CX、−(CH−CX(ここで、XはF、Cl、またはBrに等しい)、−C(6員芳香環)およびC−CH(ここでメチル基は6員芳香環上のオルト位またはパラ位にある)であり、
は、4から27個の炭素原子を有する四価の基であり、脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、多環式芳香族基、置換脂肪族または芳香族基(例えばフッ素)、縮合芳香族基および/または非縮合多環式脂肪族基、あるいは環状脂肪族基または芳香族基が、互いに直接にまたは架橋基を経由して連結している芳香族基(またはこれらの任意の混合)を含む群から選択され、
kは、次の数、0、1、および2のいずれかで表される整数であり、
nは、次の数、10、100、1000、10,000および100,000のいずれか2つの(両端を含めた)間にある整数である。
【0008】
また、本発明は、上記ポリイミドのためのポリアミック酸前駆体を包含し、このようなポリアミック酸をこのようなポリイミドに転換する方法を包含する。本発明の多環式ポリイミドは、ポリイミド樹脂、ポリイミドのワニスまたは被覆、および/またはポリイミドフィルムとして具体化できる。
【0009】
ポリイミド(またはそのためのポリアミック酸前駆体)は、ジアミン成分と二無水物成分との反応生成物から得ることができ、そのジアミン成分は、次の一般式(I)で表されるジアミンモノマーを(少なくともある程度)含むことができ、
【0010】
【化2】

【0011】
式中、
Rは、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−(CH−CH、−(CH−CH、−CX、−CH−CX、−CH−CH−CX、−(CH−CX、−(CH−CX(ここで、XはF、Cl、またはBrに等しい)、−C(6員芳香環)およびC−CH(ここで、メチル基は6員芳香環上のオルト位またはパラ位にある)である。
【0012】
一実施形態において、ジアミン成分は、下記の一般式(II)
【0013】
【化3】

【0014】
で表されるジアミンモノマーを(少なくともある程度)含む。しかし、これらのジアミンにおいて、−CH基(すなわち、唯一のペンダントメチル基)は、示した−CHNH基の少なくとも1つに結合している炭素原子の少なくとも1つに連結している。これらのジアミンの場合、kは、整数であり0、1または2でよい。
【0015】
上式(I)のジアミンは、本発明のポリイミド中に、単独で(すなわち、全ジアミン成分中の唯一のジアミンとして)または他のジアミン類と組み合わせて存在する(但し、該ジアミンは、有利な特性を現すために十分に高い量で存在する)。さらに、上記のジアミンは、各種の異なる異性体および構造配置を有することが見出される(そして典型的には使用される)場合がある。例えば、式(I)のジアミンは、−CHNH基およびR基がノルボルナン骨格に対して位置を変更できる配向を有する場合がある。しかし、これらのジアミンにおいて、R基は、示した−CHNH基の少なくとも1つに結合している炭素原子の少なくとも1つに連結している。
【0016】
本発明の一実施形態において、k個の繰返し単位(すなわち、kが1または2である場合)からなるジアミンの架橋(−CH−)は、他の架橋基(−CH−)に関して同一側でもよいし、反対側でもよい。
【0017】
本発明のもう1つ実施形態において、多環式ポリイミドは、式(I)のジアミンをテトラカルボン酸二無水物と結合することを含む方法によって調製される。このジアミンと1種または複数の二無水物との反応生成物は、少なくとも近似的にまたは部分的に下記の一般式(III)
【0018】
【化4】

【0019】
で表されると思われ、式中、Rは、脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、多環式芳香族基、置換された脂肪族または芳香族基(例えばフッ素)、縮合芳香族基および/または非縮合多環式脂肪族基、あるいは環状脂肪族基または芳香族基が互いに直接にまたは架橋基を経由して連結された芳香族基(またはこれらの任意の混合)を含む群から選択される任意のC〜C27炭素構造であることができ、nは、次の数、10、100、1000、10,000および100,000のいずれか2つの間にある整数である。
【0020】
本発明のポリイミド(およびポリアミック前駆体材料)において、式(II)のジアミンは、一般に少なくとも8種の異なる異性体構造として存在できる(ここではkが0である場合について示すが、本明細書ではkが1または2である場合も開示する)。これら異性体の構造は、少なくとも次の式、すなわち
【0021】
【化5】

【0022】
で表すことができる。
【0023】
さらにもう1つの実施形態において、本発明の多環式ポリイミドは、式(I)のジアミンを1種または複数のテトラカルボン酸二無水物と、場合によっては次式
NH−X−NH (IV)
[式中、Xは、二価の環状脂肪族基、二価の脂肪族基(式(I)に記載された二価の基を除く)、二価の芳香族基、置換された脂肪族または芳香族基(例えばフッ素)、あるいは二価のシロキサン含有基を表すことができる]で表されるもう1つのジアミンと一緒に結合させる段階を含む方法によって作り出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
一実施形態において、本発明は、次式(I)で表されるジアミン
【0025】
【化6】

【0026】
[式中、Rは、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−(CH−CH、−(CH−CH、−CX、−CH−CX、−CH−CH−CX、−(CH−CX、−(CH−CX(ここで、XはF、Cl、またはBrに等しい)、−C(6員芳香環)およびC−CH(ここで、メチル基は6員芳香環上のオルト位またはパラ位にある)であり、kは、整数であり0、1または2でよい]から誘導されるポリイミド、およびポリアミック酸溶液を対象とする。
【0027】
本発明により有用なジアミンには、下記の一般式(II)
【0028】
【化7】

【0029】
で表されるジアミンモノマーが含まれる。これらのジアミンにおいて、−CH基(すなわち、唯一のペンダントメチル基)は、示した−CHNH基の少なくとも1つに結合している炭素原子の少なくとも1つに連結している。これらのジアミンの場合、kは、整数であり、0、1または2でよい。
【0030】
式(I)のジアミンは、二無水物成分と重合して、ポリアミック酸を形成することができ、かつ重縮合反応を介して熱的に硬化し、次式(III)
【0031】
【化8】

【0032】
[式中、Rは、脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、多環式芳香族基、置換された脂肪族または芳香族基(例えばフッ素)、縮合芳香族基および/または非縮合多環式脂肪族基、あるいは環状脂肪族基または芳香族基が互いに直接にまたは架橋基を経由して連結された芳香族基(またはこれらの任意の混合)を含む群から選択される任意のC〜C27炭素構造であることができ、nは、次の数、10、100,1000、10,000および100,000のいずれか2つの(両端を含めた)間にある整数である]で表されるポリイミドを形成することができる。
【0033】
式(I)のジアミンの一例は、次式(IV)
【0034】
【化9】

【0035】
によって(より具体的に)表現することもできる。
上式(IV)に関して、ジアミン(IUPAC命名規則で)は、[5−(アミノメチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]メチルアミンとして記載できる。
【0036】
式(I)のジアミンのもう1つの例は、次式(V)
【0037】
【化10】

【0038】
によって表現することもできる。
上式(V)に関して、ジアミン(IUPAC命名規則で)は、[6−(アミノメチル)−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]メチルアミンとして表現できる。
【0039】
若干の例では、式(I)のジアミンの一例が合成または製造される場合、その合成から(またはその製造から)製造されるジアミン生成物は、[5−(アミノメチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]メチルアミンと[6−(アミノメチル)−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]メチルアミンの組合せである。かくして、ジアミンのこの組合せ(式(IV)および(V)で表されるジアミンの組合せとして表される)は、本発明の目的に対して、2,5−(または6)−ビス(アミノメチル)−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと称することができる。
【0040】
本発明のポリイミド(およびポリアミック前駆体材料)に関して、式(II)のジアミンは、少なくとも8種の異なる異性体構造で存在できる(ここではkが0である場合を示すが、本明細書ではkが1または2である場合も開示される)。これらの異性体構造は、次式で表される。
【0041】
【化11】

【0042】
本発明の一実施形態において、ポリイミドは、式(I)のジアミンを、次式
NH−X−NH (IV)
[式中、Xは、二価の環状脂肪族基、二価の脂肪族基(式(I)に記載された二価の基を除く)、二価の芳香族基、置換された脂肪族または芳香族基(例えばフッ素)、あるいはテトラカルボン酸二無水物と組み合わせた二価のシロキサン含有基を表すことができる]で表される1種または複数のその他のジアミンと組み合わせて使用して形成される。代わりのジアミンは、ジアミン成分中に、すべてのジアミン成分の2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、および99モルパーセントのいずれか2つの(両端を含む)間の範囲の量で存在できる。本発明の一実施形態において、式(I)のジアミンは、すべてのジアミン成分の3から50モル%の範囲の量で使用される。
【0043】
限定はしないが、有用なジアミンとしては次の化合物が挙げられる。
1.trans−1,4−ジアミノシクロヘキサン;
2.ジアミノシクロオクタン;
3.テトラメチレンジアミン;
4.ヘキサメチレンジアミン;
5.オクタメチレンジアミン;
6.ノナメチレンジアミン;
7.デカメチレンジアミン;
8.ドデカメチレンジアミン;
9.アミノメチルシクロオクチルメタンアミン;
10.アミノメチルシクロドデシルメタンアミン;
11.アミノメチルシクロヘキシルメタンアミン;
12.4,4’−ジアミノジフェニルメタン;
13.4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド(4,4’−DDS);
14.3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS);
15.4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;
16.4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−ODA);
17.3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA);
18.1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−134);
19.1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−133);
20.1,2−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン;
21.1,2−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン;
22.1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−144);
23.1,4−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン;
24.1,5−ジアミノナフタレン;
25.1,8−ジアミノナフタレン;
26.2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB);
27.4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン;
28.4,4’−ジアミノジフェニルシラン;
29.4,4’−ジアミノジフェニル−N−メチルアミン;
30.4,4’−ジアミノジフェニル−N−フェニルアミン;
31.1,2−ジアミノベンゼン(OPD);
32.1,3−ジアミノベンゼン(MPD);
33.1,4−ジアミノベンゼン(PPD);
34.2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン;
35.2−(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン;
36.5−(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレンジアミン;
37.2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−ヘキサフルオロプロパン;
38.2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;
39.ベンジジン;
40.4,4’−ジアミノベンゾフェノン;
41.3,4’−ジアミノベンゾフェノン;
42.3,3’−ジアミノベンゾフェノン;
43.m−キシリレンジアミン;
44.ビスアミノフェノキシフェニルスルホン;
45.4,4’−イソプロピリデンジアニリン;
46.N,N−ビス−(4−アミノフェニル)メチルアミン;
47.N,N−ビス−(4−アミノフェニル)アニリン
48.3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル;
49.4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート;
50.2,4−ジアミノトルエン;
51.2,5−ジアミノトルエン;
52.2,6−ジアミノトルエン;
53.2,4−ジアミン−5−クロロトルエン;
54.2,4−ジアミン−6−クロロトルエン;
55.4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン;
56.4−クロロ−1,3−フェニレンジアミン;
57.2,4−ビス−(β−アミノ−t−ブチル)トルエン;
58.ビス−(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル;
59.p−ビス−2−(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン;
60.1−(4−アミノフェノキシ)−3−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン;
61.1−(4−アミノフェノキシ)−4−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン;
62.2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP);
63.ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS);
64.2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(m−BAPS);
65.4,4’−ビス−(アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB);
66.ビス(4−[4−アミノフェノキシ]フェニル)エーテル(BAPE);
67.2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン(6Fジアミン);
68.2,2’−ビス−(4−フェノキシアニリン)イソプロピリデン;
69.2,4,6−トリメチル−1,3−ジアミノベンゼン;
70.4,4’−ジアミノ−2,2’−トリフルオロメチルジフェニルオキシド;
71.3,3’−ジアミノ−5,5’−トリフルオロメチルジフェニルオキシド;
72.4,4’−トリフルオロメチル−2,2’−ジアミノビフェニル;
73.4,4’−オキシ−ビス−[(2−トリフルオロメチル)ベンゼンアミン];
74.4,4’−オキシ−ビス−[(3−トリフルオロメチル)ベンゼンアミン];
75.4,4’−チオ−ビス−[(2−トリフルオロメチル)ベンゼン−アミン];
76.4,4’−チオビス−[(3−トリフルオロメチル)ベンゼンアミン];
77.4,4’−スルホキシル−ビス−[(2−トリフルオロメチル)ベンゼンアミン];
78.4,4’−スルホキシル−ビス−[(3−トリフルオロメチル)ベンゼンアミン];
79.4,4’−ケト−ビス−[(2−トリフルオロメチル)ベンゼンアミン];
80.9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン;
81.1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン;
82.3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン;
83.4,4’−ジアミノベンズアニリド,
84.o−トリジンスルホン;
85.o−トリジンジスルホン酸;
86.4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシ−ジフェニルメタン];
87.9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン;
88.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2ジメチルプロパン;
89.ジアミノズレン;
90.3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;
91.a,w−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン;
92.1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン;
93.および類似物質。
【0044】
その他の考え得るジアミンには、二価の環状脂肪族ジアミン、二価の脂肪族/芳香族ジアミン、およびシロキサン基を含む二価の芳香族ジアミン(例えばジアミノシロキサン)が含まれる。本明細書中で使用する場合、ポリシロキサンジアミンとは、少なくとも1つのポリシロキサン部分(例えば、次式の括弧内に示す)を有するジアミンを意味する。例えば、有用なポリシロキサンジアミンは、一般式
NH−R−O−[SiR’R’’−O−]−R−NH
[式中、R’およびR’’は−(CH)または−(C)であり、Rは−(CH)−であり、nは約1から10(好ましくは約3)であり、mは1から40であり、1から12、あるいは8から10でよい]を有することができる。1つの広く知られたジアミノシロキサンは、3,3’−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−トリシロキサンジイル)−ビス−1−プロパンアミンである。
【0045】
本発明のポリイミド(およびポリアミック酸前駆体)を調製するには、テトラカルボン酸二無水物を使用すればよい。これらの二無水物は、環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、および/または芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むおびただしい数の材料から広く選択できる。これらの二無水物は、二酸−ジエステル、二酸ハライドエステル、およびテトラカルボン酸などの誘導体の形態で使用してもよい。一例として、脂肪族テトラカルボン酸二無水物を使用すると、一般に、透明性を含め優れた光学特性を有するが熱安定性を犠牲にすることの多いポリイミドを形成することとなる。芳香族テトラカルボン酸二無水物は、典型的には、耐熱性および熱安定性などの優れた熱的特性を有するポリイミドを生成する。一般に、本発明のジアミンを従来からの芳香族テトラカルボン酸二無水物と一緒に使用すると、これらのポリイミドを電子デバイスの応用分野で有用なものとする向上した光学的透明性と共に向上した熱安定性を示すポリイミドを製造することが可能になる。
【0046】
本発明に関して有用な二無水物の例としては、次の化合物が挙げられる。
1.ピロメリット酸二無水物(PMDA);
2.3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA);
3.3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA);
4.4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA);
5.3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA);
6.4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(BPADA);
7.2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;
8.1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;
9.1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;
10.2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物;
11.2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物;
12.2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;
13.2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;
14.2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;
15.2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;
16.2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物;
17.1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物;
18.1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物;
19.ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物;
20.ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物;
21.4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA);
22.ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホキシド二無水物;
23.テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物;
24.ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物;
25.チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物;
26.フェナントレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物;
27.ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物;
28.ビス−1,3−イソベンゾフランジオン;
29.ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物;
30.ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物;
31.2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)5,6−ジカルボキシベンズイミダゾール二無水物;
32.2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)5,6−ジカルボキシベンズオキサゾール二無水物;
33.2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)5,6−ジカルボキシベンゾチアゾール二無水物;
34.ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)2,5−オキサジアゾール 1,3,4−二無水物;
35.ビス2,5−(3’,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル)1,3,4−オキサジアゾール二無水物;
36.ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物;
37.ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物;
38.シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;
39.シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物;
40.シクロヘキサン−1,2,4,5テトラカルボン酸二無水物;
41.シクロヘキサン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物;
42.3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2)5,6−テトラカルボン酸二無水物;
43.1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2)5,6−テトラカルボン酸二無水物;
44.1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物;
45.1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物;
46.1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物;
47.ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物;
48.4,4’−ビスフェノールA二無水物;
49.1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;(−)−[1S,5R,6S]−3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3−(テトラヒドロフラン−2,5−ジオン)[すなわち(−)−DAN、JSR Corp.製造];
50.ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物;
51.ヒドロキノンジフタル酸無水物;
52.エチレングリコールビス(トリメリット酸無水物);
53.および類似物質。
【0047】
その他の有用な二無水物には、9,9−二置換キサンテンが含まれる。これらの二無水物としては、限定はしないが、9,9−ビス−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物(6FCDA)、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物(3FCDA)、9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(PPXDA)、9,9−ジフェニル−2,3,6,7−テトラメチルキサンテン(TMPPX)、9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(p−アニシジルイミド)、9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(ブチルイミド)、9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(p−トリルイミド)、9−フェニル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(MPXDA)、9−フェニル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(プロピルイミド)、9−フェニル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(p−トリルイミド)、9,9−ジメチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(MMXDA)、9,9−ジメチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(プロピルイミド)、9,9−ジメチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(トリルイミド)、9−エチル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(EMXDA)、9,9−ジエチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(EEXDA)などが含まれる(参照により本明細書に組み込まれる、非特許文献1参照)。
【0048】
上述のテトラカルボン酸二無水物は、使用目的に応じて、独立に使用することができ、あるいは2種以上の別な二無水物からなる混合物として使用することができる。上述の二無水物の多くは(すべてではないが)、それらの「テトラ酸型」(またはテトラ酸のモノ、ジ、トリ、もしくはテトラエステルとして)で、あるいはそれらのジエステル酸ハライド(クロリド)として使用することもできる。しかし、本発明のいくつかの実施形態では、酸またはエステルよりも通常反応性が大きいことから、二無水物型が一般的に好まれる。
【0049】
本発明のポリイミド、およびそのポリアミック酸前駆体は、フェノール性溶媒系または非プロトン性極性溶媒系などの極性有機溶媒を使用して調製できる。例えば、フェノールをベースにした溶媒または溶媒混合物、フェノール、4−メトキシフェノール、2,6−ジメチルフェノール、m−クレゾール(など)を使用できる。別法として、非プロトン性溶媒を、単独で(またはプロトン性溶媒と組み合わせて)使用することもできる。いくつかの有用な溶媒としては、限定はしないが、N−メチルピロリドン(以後NMPと記載する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以後DMFと記載する)、N,N−ジメチルアセトアミド(以後DMAcと記載する)ジメチルスルホキシド(以後DMSOと記載する)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、およびn−シクロヘキシルピロリドンが挙げられる。その他の有用な溶媒としては、限定はしないが、クロロホルム、テトラヒドロフラン(以後THFと記載する)、シクロヘキサノン、ジオキサン、アニソール、2−メトキシエタノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、「セロソルブ(商標)」(エチレングリコールエチルエーテル)、ブチル「セロソルブ(商標)」(エチレングリコールブチルエーテル)、「セロソルブ(商標)アセテート」(エチレングリコールエチルエーテルアセテート)、および「ブチルセロソルブ(商標)アセテート」(エチレングリコールブチルエーテルアセテート)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチルエステルなどが挙げられる。上記の反応溶媒は、独立にまたは混合物として使用できる。
【0050】
別法として、上記の溶媒系は、芳香族炭化水素溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはテトラリン(これらの溶媒はイミドへの転換工程中に生成してくる水を除去するのに有用である)と組み合わせて使用することもできる。ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物から出発するポリイミド樹脂の製造工程は、ほぼ同量(モルで)のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を使用して高温で重合を行う、よく知られた従来からの1段階重合法によって実施してもよい。1段階重合法を利用する場合、好ましい反応温度は、120〜350℃、または約150〜300℃の範囲でよい。1段階法で予想される反応時間は、約0.5〜20時間、または約1〜15時間でよい。
【0051】
本発明のポリイミド樹脂の製造は、2段階重合法で開始することもできる。最初の段階では、低温でポリアミック酸を合成する。次の段階で、そのポリアミック酸をより高温でポリイミドに転換する。2段階重合法を利用する場合、ポリアミック酸の合成は、約−10〜120℃(または約15〜100℃、あるいは20〜80℃)で実施すればよく、反応時間は、約0.5〜100時間(または約1〜100時間)でよい。その後、ポリアミック酸からポリイミドへの転換は、約120〜350℃(または約150〜300℃)で実施すればよく、その反応時間は、約0.5〜20時間(または約1〜10時間)である。
【0052】
2種以上の異なるジアミン(または異なるテトラカルボン酸二無水物)を使用する場合、そのポリマー反応方法は、典型的には制約されない(すなわち、その工程に対して各種の反応方法を利用できる)。例えば、すべての出発原料を混合した後に、ある反応方法を利用して重合を実施することができ、このような方法は、ランダムポリイミド樹脂を希望する場合に特に有用である。別な反応方法では、2種以上のジアミンまたはテトラカルボン酸二無水物を逐次的に添加し、そこではモノマーが制御された方式で反応容器に添加され、この方法は、ブロックまたは部分に分けられたポリイミド樹脂を調製するのに有用である可能性がある。
【0053】
もう1つの実施形態において、ポリイミド骨格が可溶性であるなら、可溶性ポリイミド樹脂の溶液を得ることが可能であり、その溶液を使用し、その溶媒を除去することによって可溶性ポリイミド樹脂を形成することができる。貧溶媒を使用してポリイミド樹脂溶液から上述のポリイミドを沈殿させる沈殿法を利用することによって精製可溶性ポリイミド樹脂を得ることができる。このポリイミド樹脂は、さらに精製することができ、後程、ポリイミド溶液を所望の極性を有する適当な有機溶媒(またはその混合物)に再溶解した後、可溶性ポリイミドとして利用することができる。
【0054】
本発明のポリイミドは、成分(すなわち、モノマー類および溶媒類)を互いに導入する方法に関して、多様な異なる方法を利用して調製できる。ポリアミック酸溶液を製造する多くの変形法としては次の方法が挙げられる。すなわち、
(a)ジアミン成分と二無水物成分とを前もって一緒に混合し、次いで、撹拌しながらその混合物を溶媒に分割添加する方法、
(b)溶媒をジアミンと二無水物成分との撹拌混合物に添加する方法(上記(a)の逆)、
(c)ジアミンだけを溶媒に溶解し、次いで、そこへ反応速度を調節できるような比率で二無水物を添加する方法、
(d)二無水物成分だけを溶媒に溶解し、次いで、そこへ反応速度を調節できるような比率でアミン成分を添加する方法、
(e)ジアミン成分および二無水物成分を別個に溶媒に溶解し、次いで、これらの溶液を反応器中で混合する方法、
(f)アミン成分が過剰なポリアミック酸および二無水物成分が過剰なもう1つのポリアミック酸を前もって形成し、次いで、反応器中で、特に非ランダムまたはブロック共重合体を生成するような方式でお互いを反応させる方法、
(g)アミン成分の一定割合と二無水物成分とを最初に反応させ、次いで、残りのジアミンを反応させる方法、あるいはその逆、
(h)溶媒の一部または全部に対して成分を部分的にまたは全体として任意の順序で添加し、また、任意の成分の一部または全部を溶媒の一部または全部に溶かした溶液として添加できる方法、
(i)最初に、二無水物成分の1種をジアミン成分の1種と反応させて第1ポリアミック酸を得て、次いで、他の二無水物成分を他のアミン成分と反応させて第二ポリアミック酸を得て、次いで、フィルム形成の前に、幾つかの方法中のいずれか1法でポリアミック酸を混合させる方法。
【0055】
一般的に言って、ポリアミック酸のキャスティング溶液は、上記で開示したポリアミック酸溶液調製法のいずれか1つによって得ることができる。
【0056】
本発明のポリアミック酸キャスティング溶液は、若干量の転換用化学薬品と組み合わせたポリアミック酸溶液からなる。本発明で有用であることが見出された転換用化学薬品としては、限定はしないが、(i)脂肪酸無水物(無水酢酸など)および芳香族酸無水物などの、1種または複数の脱水剤、(ii)脂肪族第3級アミン(トリエチルアミンなど)、芳香族第3級アミン(ジメチルアニリンなど)および複素環第3級アミン(ピリジン、ピコリン、イソキノリンなど)などの、1種または複数の触媒が挙げられる。無水物の脱水材料は、典型的には、ポリアミック酸溶液中に存在するアミド酸基の量に関して僅かに過剰なモル数で使用される。使用される無水酢酸の量は、典型的には、等量のポリアミック酸につき約2.0〜3.0モルである。一般に、対応量程度の第3級アミン触媒を使用する。別法としては、熱転換法、すなわち、熱だけを使用してそのポリアミック酸前駆体状態からポリイミドに硬化させる方法を利用できる。
【0057】
ポリイミドへの転換に際し、典型的には、ポリアミック酸前駆体材料の「閉環」により水が生成される。酸からイミドへの変換をさらに促進するために、処理中に水を除去してもよい。水の除去は、反応系から水を除去する目的での、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、またはその他の適切な薬剤との共沸蒸留によって達成できる。別法としては、脱水剤(無水酢酸またはモレキュラーシーブなど)を利用してポリアミック酸からポリイミドへの転換を加速してもよい。場合によっては、反応混合物にイミド化触媒を添加してもよい。本発明で有用な典型的な塩基性イミド化触媒には、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N−メチルモルホリンなどが含まれる。その他の典型的なイミド化触媒には、安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニルプロピレン酸、リン酸、p−フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロトン酸などが含まれる。上記イミド化触媒の添加濃度は、ジアミンまたはジアミン混合物に対して1〜50モル%、または5〜35モル%の範囲にすべきである。これらの縮合重合触媒を使用すると、より低温で重合反応を実施できる。この実験計画は、着色を回避する場合、および工程の反応時間を低減する場合に有利であろう。
【0058】
本発明の一実施形態において、ポリイミドフィルムは、次の数値、2、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、および300ミクロンのいずれか2つの(両端を含む)間の厚さを有して形成される。典型的には、本発明のポリイミドは、特に二無水物成分としてのBPDAから誘導される場合には、約250℃のガラス転移温度を有することができる。多くの場合、本発明のポリイミドは、次の数値、200、220、240、260、280、300、320および360℃のいずれか2つの間のガラス転移温度を有する。
【0059】
本発明の一実施形態において、ポリイミドは、次の数値、550、530、510、490、470、450、430、410、390、370、350、330、310、290、270、250、220、200、150、および100℃のいずれか2つの(両端を含む)間のガラス転移温度を有して形成される。
【0060】
本発明の一実施形態では、ポリイミド処方物に充填材を添加して、ポリイミド複合物を形成できる。若干の充填材としては、限定はしないが、酸化アルミニウム、シリカ、窒化ホウ素、窒化ホウ素被覆酸化アルミニウム、顆粒状アルミナ、顆粒状シリカ、ヒュームドシリカ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム被覆窒化アルミニウム、二酸化チタン、リン酸二カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ランタン鉛、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸カルシウム銅、粉末炭素および酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、ダイヤモンド、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレン、および導電性ポリマー、ならびにこれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、本発明によるナノサイズの充填材(すなわち、酸化アルミニウム粒子)を、まず溶媒に分散させてスラリーを形成する。次いで、このスラリーをポリアミック酸前駆体溶液に分散させる。本明細書ではこの混合物を充填ポリアミック酸キャスティング溶液と称する。(最終複合材フィルム中での)ポリイミドに対する充填材の濃度は、典型的には、40、45、50、55、60、65、70、75、80、または85重量%の範囲である。充填材濃度が増加するにつれて、複合ポリイミドの熱伝導率も増加する。ここで、充填材は、約1、3、5、7、9、または10重量%から約15、20、25、30、35、40、45、または50重量%もしくはそれ以上までの濃度範囲で存在することができ、一般には、(ポリイミドバインダーマトリックスにおいて)次の大きさ、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、1000、2000、3000、4000、および5000ナノメートルのいずれか2つ(両端を含めて)の間の範囲の平均粒子径を有し、分散粒子の少なくとも80、85、90、92、94、95、96、98、99、または100重量%が、上記で規定した大きさの範囲内にあることができる。
【0061】
本発明を実施するのに有用なすべての考え得るポリイミド−金属積層品の製造方法を考察または説明することは不可能である。本発明のモノマー系は、各種の製造方法において上で説明した有利な特性を提供する能力があることを認識されたい。本発明の組成物は、本明細書に記載したとおりに製造可能であり、任意の従来型または非従来型のポリイミド(および複層)製造技術を利用して当業者に属する多くの(おそらく無数の)方法のいずれか1つで容易に製造できる。
【0062】
本発明のポリイミド上には、
i.金属スパッタリング(場合によっては、次いで電気メッキ)
ii.フォイル積層、および/または
iii.基板に薄い金属層を塗布するための任意の従来型または非従来型方法
によって伝導層(典型的には金属)を形成することができる。
【0063】
本発明で使用する場合、伝導層は、銅、鋼鉄(ステンレススチールを含む)、アルミニウム、真鍮、銅合金、銅とモリブデンから得られる金属合金、Kovar(登録商標)、Invar(登録商標)、バイメタル、トリメタル、2層の銅と1層のInvar(登録商標)から得られるトリメタル、および2層の銅と1層のモリブデンから得られるトリメタルからなる群から選択される金属でよい。
【0064】
本発明の一実施形態では、伝導層の間に高Tgポリイミド層が配置される。場合によっては、低Tgポリイミドを使用して金属と高Tg層とを一緒に結合できる。高Tg層は、典型的には、構造の完全性を向上し、かつ/または熱および湿度などの環境変化に対する積層品の安定性を向上させるために使用される。(金属層によって画定された、接続された、またはさもなければ集積された)電子回路は、高速デジタル用途において(シグナル)損失の低減を示すことができる。
【0065】
本発明のもう1つの実施形態では、伝導層と高Tgポリイミド層との間に低Tgポリイミド層が配置され、高Tgポリイミドの反対側に第二低Tgポリイミド層が配置される。この種の構造の一利点は、多層基板の積層温度が、低Tgポリイミド層が結合するの必要な積層温度まで低下することである。一実施形態において、低Tgおよび高Tg層は、1つのポリアミック酸フィルムとして同時に流し込まれ、次いで、硬化されて3層ポリイミドを形成する。さらにもう1つの実施形態では、エポキシ、シアン酸エステル、ウレタン、メラミン、アクリル、フェノリック、フェノリックブチラール、イミドまたはそれらの組合せを使用して、高Tg層を金属に結合する。
【0066】
本発明の一実施形態では、本明細書に開示するポリイミドを使用してポリイミド繊維を形成できる。さらに、本明細書中のポリイミドを使用して成型部品を形成できる。これらのポリイミドを押出して、ガスケット、リング、ダイアフラム、機械部品および構成要素、電線被覆などを形成できる。
【0067】
本発明の一実施形態では、下記で表される式を有するポリイミドが形成される。
【0068】
【化12】

【0069】
式(VI)に示したポリイミドは、典型的には、上述の混合物(および異性体)をベースにした異性体ジアミンの混合物から形成される。本発明のもう1つの一般的なポリイミドは、次式で示すことができる。
【0070】
【化13】

【0071】
本発明のポリイミドフィルムは、高Tgに加えて優れた光透明性を示すことができる。これらの2つの特性は、共に、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレーまたは液晶ディスプレー(LCD)の可撓性基板材料を作製する上で、ポリイミドフィルムを有用なものにすることができる。これらのポリイミドは、電子部品用(ICなど)被覆材料などのその他電子用途で有用である可能性もある。その他の有用な用途としては、限定はしないが、光電材料(液晶をベースにした膜など)、カラーフィルターブランケットフィルム、光応答装置用電子スイッチ、集積回路チップのストレスバッファー、層間誘電体、または光ファイバー用材料が挙げられる。
【0072】
本発明のもう1つの実施形態において、式(I)のジアミンを包括的リストに開示したその他のジアミンと組み合わせて使用すると、ポリアミドのその他の物理的特性を改善できる。多くの用途にとって特に重要な1つの物理的特性は接着性である。この特性は、ジアミンの代替がジアミノシロキサンである場合に特に改善できる。本発明のポリイミドは、部分的にジアミノシロキサンから誘導すると、シクロヘキサノン、ジオキサン、および乳酸エチルエステルなどの低沸点溶媒に溶解できる。これによって、比較的低い範囲の加工処理温度を維持することに加え(すなわち、一般には光透過性および熱安定性を犠牲にしないで)、シリコンウェハーに対して良好な接着性を有するポリイミドフィルムを形成することが可能になる。
【0073】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって制約されるものではない。
【実施例】
【0074】
以下の実施例では、各種の物理的特性の測定値を記録した。ガラス転移温度については、TA Instruments 2910 DSCを使用する示差走査熱量測定(DSC)法を利用した。非密閉の試料パンに5〜10mgの試料を入れた。試験は、50ml/分のN流下に、外界温度から400℃まで10℃/分の速度で実施した。光透過度(T%)については、Varian社のCary500 UV/VIS/NIR分光計を用いて透過度データを収得した。空気のバックグラウンド下で200nmから約700nmまでのスペクトルを収集した。これら試料の熱膨張係数(CTE)は、熱機械分析計(TMA)を使用して分析した。この装置は、フィルム試料を加熱した場合のその寸法変化を読み取ることができる。試験中、フィルムは約0.05Nの一定負荷に保持した。各フィルム試料に対するCTEは、約50℃〜250℃の範囲の温度で得られたデータの線形回帰を実行することによって決定した。測定点でのフィルム厚は、約3.3〜約4.3ミルであり、4.0ミル(または約100ミクロン)基準と計算された。
【0075】
(実施例1)
を満たした250ml二口フラスコ中で、機械的に撹拌しながら38.88gのピロメリット酸二無水物(PMDA)を120mlのDMAcに溶解した。次いで、30.0gの2,5−(または6)−ビス(アミノメチル)−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(k=0、すなわち、前記の構造(I)で表されるジアミン、式IVとVの混合物である)を、40mlのDMAcと混合し、次いで、反応温度を約0℃に維持しながら、フラスコ内に3時間に渡って滴加した。この溶液を重合させて、粘りのあるポリマーとすることが可能であった。
【0076】
反応混合物を一晩室温に保持した。初め沈殿が観察されたが、撹拌によって沈殿は徐々に溶解した。混合物は、最終的に、澄明な粘性溶液になった。
【0077】
次いで、反応混合物を約72時間、35℃まで加熱した。この温度で、沈殿の全部ではないがほとんどが、完全に溶解した。反応溶液の一部を10ミル厚のブレードを用いて5インチ×7インチのスライドガラス上にキャストした。ポリマーフィルムが付着したスライドガラスを、真空下に室温で約3時間保持した。これらのスライドからポリイミドフィルムが調製された。
【0078】
さらなるポリマー反応混合物をアセトンに添加した。得られる沈殿ポリマー(ポリアミック酸)を、濾過し、次いで、真空下、室温で一晩乾燥した。ポリアミック酸の一部を5インチ×7インチのスライドガラス上に塗布した。これより、真空で処理したポリマー(PAA)フィルム(スライドガラス上の)をオーブン(Nでパージした)中に60℃(1時間)、100℃(1時間)、および200℃(1時間)の温度プロフィールで入れておくことによってポリイミドフィルムを形成した。DMAcと水は、連続的にNを供給してオーブンから追い出した。
【0079】
約50℃まで冷却した後、オーブンからポリイミドフィルムを取り出し、次いで、(フィルムの付着した)ガラス基板を沸騰水中に浸漬することによってガラス基板からフィルムを分離した。分離したフィルムを300℃の真空オーブンに入れ、次いで、真空下で約1時間さらに硬化させた。フィルムの特性を下記表1に示す。
【0080】
(実施例2)
を満たした50ml三口フラスコ中で、磁気撹拌機を用い、9.8gのピロメリット酸二無水物(PMDA)を35mlのDMAcに溶解した。次に、10.5gの2,5(または6)−ビス(アミノメチル)−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(すなわち、k=1)をさらなる10mlのDMAcを用いて希釈して添加した。重合反応を0℃で約1時間継続した。沈殿が観察された。混合物を室温に一晩保持した。続いて、反応混合物を60℃に約72時間保持した。反応溶液の一部を5×7cmのスライドガラス上にキャスティングし、真空下、室温で約3時間保持した。これによって、捕捉された泡が放出される。
【0081】
次に、キャスティングしたポリマーをポリイミドフィルムに転換した。この転換のための温度は、次の温度にしたがって、すなわち60℃(1時間)、100℃(1時間)、200℃(1時間)で調節した。この転換の結果、DMAcと水のほとんどは、連続的なN供給の下でフィルムから追い出された。フィルムを冷却(約50℃まで)した後、オーブンからフィルム基板を取り出した。ガラス基板(およびフィルム)を沸騰水中に浸漬することによってガラス基板からポリイミドフィルムを分離した。分離したポリイミドフィルムを300℃に設定した真空オーブンに入れ、さらに1時間硬化させた。フィルムの特性を下記表1に示す。
【0082】
(実施例3)
を満たした250ml二口フラスコ中で、磁気撹拌しながら、43.7gの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を120mlのDMAcに溶解した。次に、25.0gの2,5−(または6)−ビス(アミノメチル)−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(すなわち、k=0)を、40mlのDMAcに溶解し、フラスコ全体を約0℃に維持しながら、滴下ロートから一滴ずつ3時間に渡ってフラスコに添加した。機械式撹拌機を使用した。すべてのジアミン/DMAcを添加すると、混合物全体が、灰白色を帯び、極めて粘性となった。反応を30℃で一晩継続した。大きな塊は一晩で溶解し、混合物全体がやや淡黄色を帯びた粘性のある澄明液体になった。非溶解固体はほとんど観察されなかった。次いで、反応を35℃で72時間(または、実質的にすべての沈殿が溶解するまで)続けた。反応混合物は、淡黄色を有し、透明で比較的均一であった。
【0083】
反応溶液の一部を、10ミルのブレードを用い5インチ×7インチのスライドガラス上にキャストした。キャストしたポリマーを、真空下で、室温に約3時間保持し、捕捉された泡を除去した。
【0084】
事前脱気したポリマーをNでパージしたオーブン中に入れることによって、キャストしたポリアミック酸フィルムをポリアミドフィルムに転換した。温度は、60℃(1時間)、100℃(1時間)、および200℃(1時間)に設定した。過剰のDMAcと水を、Nの連続供給流を利用してオーブンから追い出した。
【0085】
約50℃まで冷却した後、ガラス上のフィルム基板をオーブンから取り出した。ガラス(およびフィルム)を沸騰水中に浸漬することによってガラス基板からポリイミドフィルムを分離した。離れたポリイミドフィルムを、温度が300℃の真空オーブン中に入れ、真空下で約1時間硬化させた。得られた最終のポリイミドは、良好な機械的完全性を有し、淡黄色であった。フィルムの特性を下記表1に示す。
【0086】
(比較例1)
を満たした250ml二口フラスコ中で、機械的に撹拌しながら、41.44gのピロメリット酸二無水物(PMDA)を120mlのDMAcに溶解した。次に、29.31gのノルボルナンジアミン(三井化学製NBDAジアミン、2,5−NBDAおよび2,6−NBDAを含むジアミン混合物、IUPAC名は2,5(および6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンである)を、40mlのDMAcで希釈した。次いで、ジアミン溶液を二無水物溶液に、約0℃の温度に維持しながら、滴下ロートから一滴ずつ3時間に渡って添加した。
【0087】
すべてのジアミン溶液を添加すると、混合物は粘性となりピンクの色彩を帯びた。重合反応を室温で一晩継続した。若干の沈殿が観測され、一晩溶解させた。混合物は、黄色味を帯びた粘性のある澄明液体になった。次に、すべての沈殿が溶解するまで、ポリマーを35℃で72時間熟成した。
【0088】
ポリマーの一部を、10ミルのブレードを用い5インチ×7インチのスライドガラス上にキャストした。キャストしたものを、真空下、室温に約3時間保持し、捕捉された泡を除去した。
【0089】
事前脱気したキャスティングポリマー(ポリアミック酸)を、(Nでパージし)約60℃(1時間)、100℃(1時間)、および200℃(約1時間)に設定したオーブンに入れることによって、ポリイミドフィルムを形成した。DMAcと水は、窒素の連続供給流を利用してオーブンから追い出した。
【0090】
約50℃まで冷却した後、基板をオーブンから取り出し、ガラス基板(およびフィルム)を沸騰水中に浸漬することによってガラス基板から分離した。
【0091】
ポリイミドフィルムを300℃の真空オーブンに入れ、1時間熱で硬化させた。得られた最終のポリイミドは、黄色がかっており、良好な物理的完全性を有した。フィルムの特性を下記表1に示す。
【0092】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表されるポリイミドであって、
【化1】

式中、Rは、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−(CH−CH、−(CH−CH、−CX、−CH−CX、−CH−CH−CX、−(CH−CX、−(CH−CX(ここで、XはF、Cl、またはBrに等しい)、−C(6員芳香環)、およびC−CH(ここで、メチル基は6員芳香環上のオルト位またはパラ位にある)であり、
は、4から27個の炭素原子を有する四価の基であり、脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、多環式芳香族基、置換された脂肪族または芳香族基(例えばフッ素)、縮合芳香族基および/または非縮合多環式脂肪族基、あるいは環状脂肪族基または芳香族基が互いに直接にまたは架橋基を経由して連結している芳香族基(またはこれらの任意の組合せ)を含む群から選択され、
kは、次の数、0、1、および2のいずれかで表される整数であり、
nは、次の数、10、100、1000、10,000および100,000のいずれか2つの間にある整数であることを特徴とするポリイミド。
【請求項2】
次式で表されるポリイミドであって、
【化2】

式中、Rは、4から27個の炭素原子を有する四価の基であり、脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、多環式芳香族基、置換された脂肪族または芳香族基(例えばフッ素)、縮合芳香族基および/または非縮合多環式脂肪族基、あるいは環状脂肪族基または芳香族基が互いに直接にまたは架橋基を経由して連結している芳香族基(またはこれらの任意の組合せ)を含む群から選択され、
kは、次の数、0、1、および2のいずれかで表される整数であり、
nは、次の数、10、100、1000、10,000および100,000のいずれか2つの間にある整数であることを特徴とするポリイミド。
【請求項3】
ジアミン成分と二無水物成分との反応生成物に由来するポリアミック酸であって、該ジアミン成分が次式
【化3】

[式中、
Rは、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−(CH−CH、−(CH−CH、−CX、−CH−CX、−CH−CH−CX、−(CH−CX、−(CH−CX(ここで、XはF、Cl、またはBrに等しい)、−C(6員芳香環)、およびC−CH(ここで、メチル基は6員芳香環上のオルト位またはパラ位にある)であり、
kは、次の数、0、1、および2のいずれかで表される整数である]で表され、
該二無水物成分が、二無水物、二酸−ジエステル、二酸ハライドエステル、またはテトラカルボン酸からなる群から選択されることを特徴とするポリアミック酸。
【請求項4】
ジアミン成分と二無水物成分との反応生成物に由来するポリアミック酸であって、該ジアミン成分が、2,5−(または6)−ビス(アミノメチル)−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンであり、該二無水物成分が、二無水物、二酸−ジエステル、二酸ハライドエステル、またはテトラカルボン酸からなる群から選択されることを特徴とするポリアミック酸。
【請求項5】
ジアミン成分と二無水物成分とに由来するポリアミック酸組成物であって、
該ジアミン成分が、次の数、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、および50モルパーセントのいずれか2つの間にある、次式で表されるジアミン
【化4】

[式中、
Rは、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−(CH−CH、−(CH−CH、−CX、−CH−CX、−CH−CH−CX、−(CH−CX、−(CH−CX(ここで、XはF、Cl、またはBrに等しい)、−C(6員芳香環)、およびC−CH(ここで、メチル基は6員芳香環上のオルト位またはパラ位にある)であり、
kは、次の数、0、1、および2のいずれかで表される整数である]を含み、
該ジアミン成分が、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、および97モルパーセントの間にある、次式で表されるジアミン
NH−X−NH
[式中、Xは、二価の環状脂肪族基、二価の脂肪族基、二価の芳香族基、置換された二価の脂肪族基、置換された二価の芳香族基、または脂肪族基もしくは芳香族基を含む二価のシロキサンを表す]を含み、
該二無水物成分が、二無水物、二酸−ジエステル、二酸ハライドエステル、またはテトラカルボン酸からなる群から選択されることを特徴とするポリアミック酸組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物であって、熱的にまたは化学的にイミド化されてポリイミドを形成することを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項2および6に記載のポリイミドであって、次の数、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、および300ミクロンのいずれか2つの間の厚さを有するフィルムの形態であることを特徴とするポリイミド。
【請求項8】
請求項7に記載のポリイミドフィルムであって、前記組成物が、酸化アルミニウム、シリカ、窒化ホウ素、窒化ホウ素被覆酸化アルミニウム、顆粒状アルミナ、顆粒状シリカ、ヒュームドシリカ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム被覆窒化アルミニウム、二酸化チタン、リン酸二カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ランタン鉛、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸カルシウム銅、粉末炭素、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、ダイヤモンド、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレン、および導電性ポリマー、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される充填材をさらに含むことを特徴とするポリイミドフィルム。
【請求項9】
請求項8に記載のポリイミドフィルムであって、前記充填材が、周期律表のIII、IV、V、およびVI属から選択される金属ドーパントでドープされていることを特徴とするポリイミドフィルム。

【公開番号】特開2007−84818(P2007−84818A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−249855(P2006−249855)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】