説明

多糖物質からなるスポンジ

【課題】品質が優れ、製造コストの安い天然物質からなるスポンジの提供。
【解決手段】すでに製造方法が確立し、汎用品の製造のために、安価に製造されている多糖類のビスコース液、銅アンモニア液などを使用し、そこに水溶性高分子を添加し、凝固した後、熱水処理し、さらに凍結乾燥して得られる。多糖物質としては、セルロース又はその誘導体、キチン又は脱アセチル化キチン又はその誘導体、セルロースとキチンの混合物又はセルロースと脱アセチル化キチンの混合物が挙げられる。簡便な方法で多糖物質から良質な性能を有し、かつ製造コストが安く高品質の多糖類のスポンジが得られることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてフェースマスク、脱毛後の保護材などの化粧品、月経タンポン、オムツ、失禁パット、癒着防止剤、創傷保護剤などの医療材料、消臭フィルター、アレルギー除去フィルター及びマスク、ウイルス除去フィルター及びマスクなどの工業材料などの用途に広く使用可能な、安価で多孔性能が高く、ポアーが表面、及び内層にも均一な構造を有するため、親水性で、吸水速度が速く吸水倍率が高く湿潤強度が大きくかつ通気性の高い性能を有する多孔体からなるスポンジ及び多糖物質以外に第二成分として化学物質又は薬物を含むスポンジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多糖物質は、通常高分子体であり、従来から繊維などの形状で使用されており、安全性の高い物質である。また天然物質であるため、特に親水性に優れ、皮膚など生体への刺激が少ないため化粧品分野、医療分野などに広く使用されており、他の天然物質である蛋白系の材料のコラーゲン材料と同様に好ましく使用されている。
【0003】
その成形体として、多孔体であるスポンジの形状は、天然品の材料が限定されているだけに多糖物質に対して、種々の分野からの要求は強く、従来から多くの検討がなされているが、製造コストが高くかつ性能が十分でない等の欠点を持つものが多く、その実用化に関しては、化粧品、医療分野及び工業分野においてほとんど成功した例が見られない。
【0004】
多糖物質の中でも、汎用な物質としてはセルロース、キチン、脱アセチル化キチン、アルギン酸ナトリウム等が一般的なものである。これらのスポンジ製造に関して過去の例として、レーヨンビスコース液に芒硝を添加し、凝固し、さらに熱水処理したのち、乾燥する方法がある。その際芒硝はレーヨンビスコース液の凝固を早め、工程中に溶液が固まる欠点がある。対策として、特開平9−278925(ビスコーススポンジ及びその製造方法;出願人 ダイワボウレーヨン株式会社)他などでは、凝固を遅らすために熟成度(Salt Test値)が低いビスコースを使用する方法などが提案されている。しかし、かかる方法から得られるものは多孔体ではあるが、最終品が乾燥状態で硬い物性を有するもので、水を吸収する前はスポンジ独特の柔らかさを保持しない。従って、実用的にはたわしなどの日用品に使用されているに過ぎず、商品としての限界がある。
【0005】
脱アセチル化キチン(キトサン)のスポンジ製造法の例としては、 特開2003−292501(キトサンスポンジおよびその製造方法;出願人、甲陽ケミカル株式会社)がある。この方法は、キトサンが酢酸に溶解するので、その酢酸溶液を直接、凍結して、凍結乾燥するものである。即ち、乾燥の段階で水と酢酸が除去され、ポアーが形成されるが、酢酸を完全には除去することが出来ず、最終のスポンジに少量の酢酸が残留するので、酢酸臭を保有し、医療品、化粧品などの用途には使用することは不可能に近い、又製造工程が複雑となり、製造コストが高い欠点があった。
【0006】
【特許文献1】特開平9−278925
【特許文献2】特開2003−292501
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、従来の方法では、セルロース、キチン、キトサンなどの多糖類からなるスポンジを安価で、良好な性能、特に吸水性が高く、柔軟性のあるものを得ることは非常に難しかった。又、医療品、化粧品などの用途に広く使用できるものでもなかった。また製造方法も複雑で、製造コストが高かった。本発明はかかる問題を解決しようとするのが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、これらの問題を解決するべく鋭意努力した結果、安価で、柔軟性があり、吸水性が高く、かつ安全性の高い多糖物質からなるスポンジの製造法を見出すに至った。即ち、多糖類からなるスポンジを製造するに際し、多糖類のビスコース溶液、銅アンモニウム溶液、N−MMO液に、水溶性高分子を混合し、凝固した後、熱水処理し、さらに凍結乾燥することを特徴とするスポンジの製造法である。
【発明の効果】
【0009】
多糖物質の親水性、スポンジの通気性、吸着性及び第2成分添加の効果で、化粧品、清浄機フィルター、空調フィルター、ウイルス防御マスク及びフィルター、アレルゲン防御マスク及びフィルターなどに、安価で、高性能のものを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の形態について、以下に説明する。
本発明の多糖類とは、通常天然物質から分離される多糖類を言う。例えば、木材、ケナフ、竹などから分離されるパルプ又はコットンリンターであるセルロース及びその誘導体、かに、えびなどの甲殻類の外骨格から分離されるキチン及びその誘導体であるキトサンなどを言う。ここで、キトサンは、キチンを高温、高濃度の苛性ソーダ水溶液で処理して、脱アセチル化した脱アセチル化キチンを言う。
【0011】
ビスコース溶液は、一般にザンテート法といわれる方法で作成される。即ち、パルプなどのセルロースを苛性ソーダ水溶液に浸漬し、アルカリセルロースとし、圧搾、粉砕、老成後二硫化炭素を添加してセルロースザンテートとした後、苛性ソーダに溶解して熟成しビスコース液としたものを言う。
【0012】
又キチンについても、セルロースと同様な方法でビスコースを作成することが出来る。キチンビスコース液の作成方法は、特開平9−241928(キチンキトサン繊維及び構造体の製造方法;オーミケンシ株式会社)に記載のキチンビスコースの製造方法などで作成することが出来る。ただしキチンの溶解は、ビスコース作成の過程でできるアルカリキチンを作成後、そのまま水に溶解するので、この溶液をビスコース溶液と同様に本発明に使用することも出来る。
【0013】
本発明は、セルロースなどの多糖類が、水溶液状態であることが必要であり、その状態であれば、水溶液の製造条件は特に問題ではない。製造条件としては、木材パルプから得られるレーヨン繊維を製造されるときに使用されるビスコース溶液の製造方法が一般的なものである。本発明に使用されるセルロースなどの濃度は、0.5〜8重量%のものが好ましく、さらに好ましくは、1〜3重量%である。一般的にレーヨン繊維製造に使用されるビスコース液の濃度は、5〜10重量%程度であるので、これを使用する場合、水又はアルカリ水溶液で必要な濃度に薄めて使用する。勿論、実際に使用する濃度のビスコースを作成してもよい。
【0014】
銅アンモニア溶液の作成方法は、一般的には水酸化銅にアンモニア水溶液を加えて作成した水酸化銅テトラミンに、コットンリンターを溶解して作成する。有機溶剤溶液は、一般市販再生セルロースに使用されている有機溶剤N−メチルモルフォリンN−オキシド(N−MMO)からなる溶液を使用する。N−MMO水和物を90℃で溶融して透明液とし、脱泡した後パルプを投入し、膨潤を経て、約2時間後に粘調で透明な液が得られ、濃度は0.5〜8重量%程度に調整する。
【0015】
本発明の水溶性高分子とは、水に溶解する高分子をいい、特に冷水に不溶で、熱水に溶解する高分子が好ましい、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドンなどが好ましく、ポリビニールアルコールがさらに好ましく使用される。
【0016】
その中で、ポリビニールアルコールの水溶性のものは、ケン化度90以上が好ましく、98以上がさらに好ましい。粒度は20メッシュアンダーから200メッシュアンダーのものが好ましく使用され、さらに好ましくは、30メッシュアンダーから100メッシュアンダーのものである。粘度は、20℃、4%水溶液で、5〜50mPa・sが好ましく、10〜40Pa・sがさらに好ましく使用される。
【0017】
その添加量は、ビスコース溶液などに対して、10〜60重量%(水溶性高分子重量×100/ビスコース溶液重量+水溶性高分子重量)が好ましく、さらに好ましくは25〜40重量%である。ビスコース溶液と水溶性高分子の混合は均一であることが好ましいが、一般的な混合方法で十分に行うことが出来る、工業的にはニーダーなどの一般的な混練機で行うことが出来る。混合物の流動性が悪い場合、ポリエチレングリコールやエチレングリコールなどを添加して、成形性を向上してもよい。この混合物は、単なる混合では通常疑固しないので、混合が終了した後、長時間放置するか、又は熱処理などの方法で、作成目的のスポンジの形状に合わせて凝固を行う必要がある。
【0018】
例えばシートを作成する場合は、一定の深さのトレイなどを使用して、混合物を充填しシート状として凝固することが出来る。熱処理の場合、80℃以上の温度などで、処理することが好ましい。特に沸騰状態の蒸気温度で処理してもよい。放置の場合、24時間以上が好ましい。凝固の終了したものは、熱水処理する。熱水処理は、凝固体中の水溶性物質を完全に除去する目的で行われるもので、一般的な方法でよく、80℃以上又は沸騰水での処理が好ましく、又オートクレーブ約120℃で行うことも出来る。時間は、処理温度の高いほど短くてすむが、沸騰水では1時間以上の処理が好ましく、オートクレーブでは、10分以上の処理が好ましく、混合物中の水溶性物質が完全に除去される必要があるが、処理の終了は、通常水溶性高分子など水へ放出される物質を分析して、消失を確認し判断することが出来る。
【0019】
熱水処理が終了した時点では、本発明は、多孔体が十分に水を含んだゲル状物質として作成される。このゲル状物質は、通常の凍結真空乾燥法で乾燥が行われる。凍結真空乾燥条件は、食品製造などで使用されている通常の方法を採用することが出来る。例えば、ゲル状物質に水を十分に含ませた後、−40℃〜−15℃の温度でゲル状物質を十分に凍結し、その後、真空状態で、雰囲気温度を輻射熱などで、10℃〜50℃にて行うことが一般的である。時間は、凍結乾燥を行う形状の厚みなどで異なるが、1〜3mm程度の厚みのものは、5枚程度重ねても10〜24時間程度で終了することが出来る。厚いものではさらに長時間を必要とする。ただし、真空凍結乾燥条件は、本発明の場合特に重要ではなく、広い範囲の条件で良質なものを作成することが可能である。終了は水がほぼ除去される状態であり、真空度の変化が無くなる状態が目安となる。凍結乾燥終了後は、多孔性のスポンジ状態として取り出すことができる。
【0020】
形状は、型を使用することで、シート状、ブロック状、円筒状などいかなる形状でも得ることが出来る。シート状の場合、通常0.5mm〜2mmが一般的であるが、直接その厚みを作成する以外に、まず10cm程度の厚みを凍結乾燥し、乾燥後スライスカットして、薄いシートとしてもよい。得られるスポンジは、多孔体でポアーサイズは、20〜200μφ程度であり、比重は0.01〜0.1g/cmである。又、吸水速度は3秒以下(5cm×5cm片の本発明の試料を水に浸漬し、試料全体が吸水するまでの時間)、吸水倍率は25倍以上であり、吸水特性が高いものである。
【0021】
なお、本発明は、スポンジ中に他の化学物質や薬物などを十分な量添加できることが特徴である。即ち、水不溶性の物質は、ビスコース液を混合する段階で、添加することが出来るし、水溶性の物質は、ゲル状物質の段階で、水の中に溶解又は分散させて添加し、凍結乾燥することが出来る。両方とも最終的に、凍結乾燥後スポンジ中に添加時のまま、保持させることが出来る。工程中には、温度のかかり方が小さいので、耐熱性の悪い物質も、活性が落ちることはない。
【0022】
本発明ではあらゆる化学物質及び薬物を添加することが可能であるが、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ビタミン類などの生体成分や、各種吸着剤、例えば活性炭、シリカ、珪藻土、ゼオライト、でんぷん、シクロデキストリン、フタロシアニン、酸化チタン金属、セルロース銅塩、燐酸カルシウム、カテキン、アパタイト、芳香剤、吸着剤、殺菌剤、殺虫剤などを添加することが可能であるが、特にこれらに限らず、いかなるものでも添加することが出来る。従って、その添加により、化学物質、薬物の特性を利用することで、スポンジの特性をさらに高めることも可能である。即ち、このことにより、本発明のスポンジに、消臭性、ウイルス補足性、アレルゲン補足性、抗菌性、防カビ性、各種吸着性などの機能を保持させることが出来る。
【0023】
以上のように、本発明の製造方法は非常に簡単な工程からなるために、製造コストが特に安い、さらに得られるスポンジも性能が高く、工程中の不必要な物質が、熱水処理で水に移動し、不純物が残存せず安全性が高い。しかも、スポンジの吸水特性も高い、さらに、スポンジ中に、化学物質、薬物などを含ませて、種々の特性を有するものを作成することが可能である。
以下実施例によって本発明の内容を詳しく説明する。
【実施例1】
【0024】
木材パルプを17.5重量%苛性ソーダ水溶液に浸漬し、アルカリセルロースを作成した。圧搾、粉砕、老成後、セルロースに対して35重量%の二硫化炭素を添加してセルロースザンテートを得た。このセルロースザンテートを35重量%の苛性ソーダ水溶液に溶解した。ビスコースは、セルロース濃度8.9%、アルカリ濃度6%であり、これを20℃、24時間熟成し、得られたビスコース溶液をセルローススポンジの作成に使用した。
【0025】
ビスコースを水で希釈し、2重量%とした。これに、ポリビニルアルコール(PVA;日本酢ビ・ポバール株式会社製、商品名VS20、80メッシュアンダー )の粉末を、ビスコース:PVA=2:1の割合で添加し混合した。これを、ニーダーで十分に混合した後、混合物を縦25cm、横30cm、深さ2mmの容器に充填した。さらに、この充填した混合物を100℃で1時間、熱処理を行って、凝固した後、沸騰水に浸漬処理し、水溶性物質を十分に除去した。生成物は、水を十分に含んだ半透明のゲル状の多孔状物質であった。
【0026】
このゲル状物質中に水を含ませた状態で、−30℃にて、2時間凍結し、凍結真空乾燥に供した。凍結真空乾燥条件は、真空度4Pa、雰囲気温度30℃で、18時間実施した。その結果、縦24cm、横28cm、厚み2mmの白色のシートを得た。シートの密度は、0.025g/cmであり、5cm×5cmのシート小片を、広めの容器に入れた水に投入したところ、シートの全体に水が浸入するに必要な時間は1秒以下で、吸水速度は非常に速かった。さらに、10cm×10cmを、水に十分浸漬した後、水から取り出し、水が滴下しなくなるまで、空中にぶら下げ、重量(A)を測定し、浸漬前のシート重量(B)として、吸水倍率=A−B/Bを計算したところ、42倍であり、高い吸水性を示した。
【0027】
このシートを、フェースマスクに使用したところ、肌への密着性、保水性、柔軟性が良好で、使用者に非常に好評であった。
【実施例2】
【0028】
80メッシュのキチン粉末(ジメチルアセトアミドと塩化リチウムの9:1溶液に溶解し、測定した分子量が約100万)を42重量%の苛性ソーダを加え、アルカリキチンを作成した。さらに、圧搾、粉砕、老成を経て、30重量%の二硫化炭素を加えて、キチンザンテートとし、これに氷を加えて、溶解し、キチンビスコースを作成した。さらに水にて希釈し、1.5重量%濃度とし、スポンジ作成の原料とした。
【0029】
1.5重量%のキチンビスコースに対し、ポリビニルアルコール(日本酢ビポバール株式会社製 VC10;ケン過度99%、粘度11mPas、粒度30メッシュアンダー )を2:1の割合で加え、十分に混練、混合した。得られたペースト状物質を、縦30cm×横40cm×厚み3mmのトレイ容器に、充填し、100℃にて2時間熱処理し、凝固を行った。さらに、水に浸漬しオートクレーブにて、120℃で40分間処理した。十分水洗したところ、半透明のゲル状物質が得られた。
【0030】
ゲル状物質を−30℃で凍結し、凍結真空乾燥を実施した。真空度は、12Pa,雰囲気温度40℃、にて、24時間行ったところ、白色の、キチン(脱アセチル化度60%)スポンジを得た。密度は0.019で高い 多孔性を有していた。
【0031】
このスポンジを、幅3cm×長さ20cmに切断し、滅菌し、鼻中隔矯正術の術後の副鼻腔保護剤として、7日間放置し、除去したところ、除去が非常にスムーズで、創面からの出血が全くなく、癒着防止剤として非常に有用であった。
【実施例3】
【0032】
実施例1で使用したセルロースビスコースと実施例2で使用したキチンビスコースを混合して、セルロースとキチンの重量比が、7:3で、混合溶液中の固形重量が、2重量%の溶液を得た。さらにこの溶液に、ポリビニールアルコール(日本・酢ビポバール株式会社製・ポバールVC10;粘度10、ケン化度99.3、粒度30メッシュパス)を30重量%混合し、ペースト状物を得た。これを、厚み1.5mmの成形機に導入し、100℃で1時間、熱凝固を行い、沸騰水にて、2時間処理を行った.得られたゲル状物質を、水で十分に不純物を除去後、ポリエチレングリコール600の3%水溶液を十分に含ませたのち、−30℃で凍結した。凍結を確認後、凍結乾燥を実施した。凍結乾燥は、30℃で18時間行ったところ、厚み1.7mmの白色のスポンジシートを得た。
【0033】
その吸水速度は、1秒以下、吸水倍率は37倍であった。これを失禁パットの吸収体として、水を透過するトップシート、及び水を透過しないバックシートの間に挟んで、失禁患者に装着して使用した。その結果、吸収体が尿及び臭気を吸着して、失禁パットとして良好に使用できた。
【実施例4】
【0034】
実施例1で使用したセルロースビスコース溶液を使用した。ビスコースを水で希釈し、3重量%ととした。この溶液に、ポリビニールアルコール粉末(日本酢ビ・ポバール株式会社製・JF−17;粘度32Pa・s、粒度30メッシュパス、ケン過度99%)を40重量%(溶液:ポリビニールアルコール=3:2)を加え、さらに人工ゼオライト(中部電力株式会社製)を30重量%加え、十分に混合した後、厚さ3mmの容器に充填した。それを水蒸気に接触させて加熱凝固した。さらに熱水にて3時間処理した。
【0035】
出来上がったゲル状物質を、十分に水洗した後、ゲル体に水を十分に含ませた後、凍結乾燥に供した。凍結乾燥は、ゲル状物質を−30℃で凍結した後、棚温度30℃で、20Pas真空下、20時間行った。
【0036】
出来上がったものは、セルローススポンジに、人工ゼオライトが分散したシートの形状であった。このシートを使用して、悪臭の成分であるアンモニア、硫化水素、アセトアルデヒド、酢酸、トリメチルアミンについて、日本化学繊維協会・統一試験方法に従って、吸着量を測定した結果、下記のとおりいずれも良好な吸着量を示した。処理はガスを含むの容器に10cm×10cmのシートを投入し、2時間後、24時間後のガス濃度を測定した(表1)。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖物質のビスコース溶液又は銅アンモニウム溶液、又は有機溶剤溶液に、水溶性高分子を混合し、凝固した後、熱水処理し、さらに凍結乾燥することによって製造することを特徴とする多糖物質からなるスポンジ。
【請求項2】
多糖物質がセルロース又はその誘導体である特許項1記載のスポンジ
【請求項3】
多糖物質がキチン又は脱アセチル化キチン又はその誘導体である請求項1記載のスポンジ
【請求項4】
多糖物質がセルロースとキチンの混合物又はセルロースと脱アセチル化キチンの混合物である請求項1記載のスポンジ
【請求項5】
多糖物質の他に、第二成分として化学物質又は薬物を含むものである請求項1記載のスポンジ

【公開番号】特開2007−197649(P2007−197649A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45970(P2006−45970)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000103622)オーミケンシ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】