多連ジャイロ・モータ独楽
【課題】従来の独楽は一方向の回転動作だけであるので、玩具としてのおもしろさに欠けるきらいがあったが、見た目に美麗で、意外性があって遊ぶ者を楽しませることができる多連独楽を提供する。
【解決手段】複数個の回転独楽を積層し、球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部の中心軸を独楽の中心軸と一致させるように一体化して構成する。一体化した中心軸には、固着して構成する独楽ならびにその中心軸に対して回転自由となる独楽から構成する多連独楽である。最下部独楽の下側の軸芯は独楽支持台の孔中にゆるく差し込まれ、最下部独楽あるいは上部独楽の一つを強く手弾くことにより回転力が印加される。その結果として、隣接する下部独楽と上部独楽は互いに回転方向の異なる回転動作をする。また各独楽表面には、特に最上部独楽表面へは各種絵柄を貼付し回転時の錯視の変化を楽しめる2連、3連、4連、5連などの楽しい多連独楽も構成した。
【解決手段】複数個の回転独楽を積層し、球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部の中心軸を独楽の中心軸と一致させるように一体化して構成する。一体化した中心軸には、固着して構成する独楽ならびにその中心軸に対して回転自由となる独楽から構成する多連独楽である。最下部独楽の下側の軸芯は独楽支持台の孔中にゆるく差し込まれ、最下部独楽あるいは上部独楽の一つを強く手弾くことにより回転力が印加される。その結果として、隣接する下部独楽と上部独楽は互いに回転方向の異なる回転動作をする。また各独楽表面には、特に最上部独楽表面へは各種絵柄を貼付し回転時の錯視の変化を楽しめる2連、3連、4連、5連などの楽しい多連独楽も構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロ・モータを応用したコマ玩具に関する。特に隣接する上部と下部で互いに回転方向の異なる多連独楽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子供たちが遊びに用いる独楽玩具の全体斜視を図11に示す。略円錐状の胴体11と前記略円錐状の胴体11の中心から上方及び下方に独楽軸芯14を設け、独楽軸芯14を親指と人差指で回すことにより、独楽本体を回転させて遊ぶ。従って、従来の独楽は一方向の回転動作のみであった。
【0003】
また、独楽が回転する際に接する面側の軸芯14は円錐状の胴体11とは別の材料で製造され、円錐状の胴体の中心部に孔をあけ嵌めこまれ、先端部は尖った円錐形状としたものや、軸芯14が円錐状の胴体と一体に切削等で製作されたものもある。
前記の軸芯形状および軸芯を独楽の中心軸になるように製作する理由は、極力独楽の回転時の歳差運動を少なくするためである。
【0004】
また、特許文献1には、頭部先端までの形状を半球形もしくは楕円体又は先端を有するかぶら形状とし、独楽が歳差運動により傾倒状態を維持するように、下部形状を球形体にし、重心を軸方向ほぼ中心に位置して、大きな独楽が回っているように見え、さらに独楽が静止状態のとき、回転体上の模様が静止時と同じように見える、歳差運動を利用した独楽もある。
【特許文献1】特開2005−34603公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の独楽は一方向の回転動作だけであるので、玩具としてのおもしろさに欠けるきらいがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するため、複数個の回転独楽を積層し、球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部である球面体13の中心軸を独楽の中心軸と一致させるように一体化した新しい独楽である。ここに、前記一体化した中心軸を一方の側には貫通する軸芯を設ける。最下部独楽の下側の軸芯は独楽支持台の孔中にゆるく差し込まれる。上部独楽は、下部独楽の軸芯に、前記上部独楽の中心軸を一致させるように設けた軸芯を下部独楽の軸芯の同軸上に着脱可能にならびに固着して配置される。上記したように本発明は最下部独楽を強く手弾くことにより回転力を印加するもので、隣接する下部独楽と上部独楽は互いに回転方向の異なる回転動作をすることを特徴としている。すなわち、本発明は多連独楽を提供することを最も主要な役目とする。
独楽支持台の孔には軸芯14はゆるく差し込まれ、球面体13が孔の周囲を接触しながら歳差運動をすることを積極的に利用しているので、隣接する下部独楽と上部独楽は互いに回転方向が逆となる。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明では、隣接する独楽同士は互いに回転方向が逆になるので、多連独楽に羽根や装飾品を取り付けたり、色彩や模様を工夫することにより従来技術からは得られなかった新規な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、機能あるいは構造が類似の構成要素には極力同じ名称と符号を付し、初出のものに必要な説明を行い、再出の場合には変更点や特徴点がある場合に限って説明する。
【0009】
本発明の多連独楽の一例として3連独楽を図1に示す。図1に示すように、本発明の多連独楽は、最下部の単体独楽1、単体独楽2、上部単体独楽3、支持台20から成る。
ここに、単体独楽2は図6に示すようにその中心部には孔のあいた軸芯つらぬき独楽の上下突起部15がとりつけられその中心軸径が軸芯14より少し大きく設定されている。従ってこの単体独楽2はストンと軸芯14に対し回転自在に独楽1の上に着地・挿入される構造となる。
一方、単体独楽3はその中心軸上で軸芯14に挿入直結される。
3重独楽の動作は、下部独楽1を手弾き回転すれば、独楽2はそれと逆方向、独楽3は軸芯に直結されているので独楽1と同方向の回転となる。従って、独楽1、2、3は上下において互いに反対方向の回転現象を呈することになる。
【0010】
図2は図1における多連独楽を構成する単体独楽ユニット10の一例を示す縦断面図である。球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部である球面体13の中心軸を独楽本体11の中心軸と一致させるように一体化し、前記一体化した中心軸に一方の側には貫通する軸芯14を設ける。
【0011】
また、独楽本体11には図3に示される様に独楽に回転力を印加するための手弾き用凸部12を設けても良い。この手弾き用凸部12は多連独楽を構成する単体独楽の少なくとも1個以上に設ければよい。また、単体独楽に設ける手弾き用凸部12は回転バランスが損なわれない配置に設けなければならない。従って2個以上となる。
また、回転バランスが損なわれない配置にするためには正多角形の頂点に設ければよい。
【0012】
図5は最下部独楽1を支える様子を示す。
最下部独楽1の下側の軸芯14は支持台20の支持台孔21の孔中にゆるく差し込まれる。
図7の上部独楽2は、最下部独楽1の軸芯14に前記上部独楽の中心軸を一致させるように設けた軸芯つらぬき独楽の上下突起部15を有する。これは同軸上に軸芯14よりも径を大きくして構成される。図6はその様子を示すものでその中心軸には孔を設けてパイプ状に配置される。この場合多連独楽を構成する一つの最下部独楽1を強く手弾くことにより回転力を印加する。
【0013】
前記支持台20は多連独楽全体を支えるために、多連独楽の個数、重量に適した大きさと重量が必要であり、支持台孔21は本例では支持台20の上下面を突き抜けているが、必ずしも突き抜けなくても良い。
【0014】
支持台孔21が上下に貫通せず、途中で下部が閉鎖されている場合には、最下部の独楽の球面体13が支持台孔21の周囲の支持台20の壁面に接触しながら歳差運動をするために、前記支持台孔の深さは最下部の独楽の球面体13より出ている軸芯14の長さより深くなければならない。
【0015】
次に本発明の多連独楽の動作原理について説明する。
図4は本発明の動作原理を説明するための図である。円柱状の回転体32がCW方向に自転するとする。この時、円柱状の回転体32は図示のごとく円筒内壁31に接して、自転することを考える。この場合、円柱状の回転体32は円筒内壁31との接触摩擦により、円筒内壁31を転がりながら移動し、前記円柱状の回転体32の中心点の軌跡はCCW方向の円運動となる。
【0016】
図3は本発明の動作原理を示す縦断面図である。
図3において、独楽ユニット10−1は最下部単体独楽1であり、独楽本体11の手弾き用凸部12をCW方向に手弾くと、独楽ユニット10−1は図示のごとく傾いてCW方向の自転をする。すなわち、歳差運動をしながら自転していることになる。
従って、独楽ユニット10−1の下側に設けられた球面体13は、支持台20の上面の壁面を転がりながら回転する。即ち、前記図4で説明した原理により、軸芯14先端部中心の軌跡はCCW方向の円運動となる。
【0017】
従って、図8において、独楽1の軸芯先端に図示のような独楽11−4があれば、その中心軸上の孔径11−4を軸芯より大きく設定していれば、軸芯14の皿回しの原理で独楽4(11−4)は独楽1とは逆方向の回転となることになる。
但し、独楽4は相当軽いものでないと、それが逆回転することは出来ない。
【0018】
図7の独楽体1(11−1)を手弾き回転した場合、独楽体2(11−2)が逆回転する現象は次の原理による。図3に関しても述べたように、独楽体1(11−1)が手弾き回転されると、軸芯14は自転(CW回転)すると共に逆方向回転の公転(CCW)が伴う。
図12はその様子を示したもので、独楽1の自転(CW方向)を生みだすMZを与えると、図示のM1、M2が生ずる。逆にM1、M2を印加するとMZが生ずる。これは図3の構成のジャイロ・モーメント・モータの原理として公知である。
このM1、M2は図7の独楽体2にも作用する。従って独楽体1(11−1)と独楽体2(11−2)間の摩擦力(摩擦モーメント)を介して、M1、M2の働く方向(CCW方向)に回転力モーメントが働き、独楽体2(11−2)は逆回転する。すなわち、このM1、M2が逆回転力の主役である。
【0019】
図8の上部被せ独楽体4(11−4)が下部独楽体1(11−1)と逆方向に回転する理由は図3の軸芯14の公転(CCW)による皿回し現象によるものである。
【実施例】
【0020】
図1に本発明にかかわる多連独楽構成の一例として3連独楽を示したが、具体的な実施例を説明する。
最下部の単体独楽1の独楽本体11−1は、回転時の慣性を大きくするために、金属板を打ち抜いたものであり、独楽本体の手弾き用凸部12−1は回転時の動バランスが取れるように正4角形の頂点となる90度の位置に4個設けた。
【0021】
単体独楽2の独楽本体11−2は、プラスチック製である。上部単体独楽3の独楽本体11−3もプラスチック製である。単体独楽2の独楽本体11−2は、上部単体独楽3の独楽本体11−3より外径を大きくし、厚みを小さくしている。プラスチック独楽は紙製でもよい。
【0022】
また、3連独楽のそれぞれ3個の単体独楽が、よく見えるように上部独楽の外径が順次下部独楽の外径より小さくする。概略最下部独楽1の本体11−1の外径を100とすれば、単体独楽2、上部単体独楽3の本体外径を60、35程度に設定すると見た目のバランスが良い。
【0023】
また、支持台20は3連独楽全体を支えるために、適宜の重量が必要であり、本実施例では材質はステンレスである。
また、前記動作原理で説明したごとく球面体13は、支持台20の上面の壁面を転がりながら回転するので、図3に示すように壁面の転がりが良くなるように支持台20の支持台孔21のとの接触部に支持台孔面取り部22を設けても良い。
【0024】
また、前記動作原理で説明したごとく、支持台20の支持台孔21は外径φ1.2mmであり、最下部の単体独楽1の軸芯14はφ1.0mmである。
図7は本発明の2連独楽の実施例を示す縦断面図である。
下部独楽1は、図3の構成と変わるものではないが、下部単体独楽1の軸芯15が、上部単体独楽2の軸孔16−2をつき抜ける構成とするものである。
従って、この場合は上下独楽1,2間に適度の間隔が保てるように下部独楽1に接する側に軸孔16−2を貫通させた円筒軸柱15−2を設け、下部独楽1に接するようにする。
本構成においても、下部独楽1の独楽本体の手弾き用凸部12−1を手弾きし、回転駆動力を与えれば、上下独楽1,2が互いに反対方向に回転し、2連回転独楽が実現される。
【0025】
図9は図1の3連独楽に図8の独楽11−4を被せた構成で4連独楽となる。隣接する上下独楽が相互に逆回転することはこれまでの説明で自明となる。
【0026】
図10は5連独楽の構成である。これは図1の3連独楽の上に、同図の本体独楽2と独楽3をさらに積層した構造である。独楽4は前記独楽2と同様の原理で逆回転し、独楽5は前記独楽3と同じに構成されるから、軸芯に直結して独楽本体1,3と同方向に回転する。
【0027】
図10の5連独楽にまた、図1の本体独楽2と独楽3をさらに、積層すれば7連独楽となり、図10の中心シャフトをさらにそのまま延長し、図8の被せロータ独楽を加えれば6連独楽となる。すなわち、一般に多連ジャイロ・モータ独楽が構成できることになる。
【0028】
本多連ジャイロ・モータ独楽においての各独楽本体の表面に色々な絵柄をとりつければ、より魅力的な玩具となる。特に、最上部独楽本体表面はよく見えるので、この部分には絵柄を付与することは有効である。
図13(a)〜(g)はその絵柄の実例である。
独楽体の回転により静止絵柄とは違った絵柄となる。
例えば図13(a)の3つ葉は4つ葉の絵になる。
【0029】
図8も2連独楽の一例であるが、この図8の2連独楽において、軸芯長を単体独楽の径に応じて20〜50mmと少し長めに設定すると前記絵柄は回転錯視により独楽11−4の方向(例えばCW回転とすれば)とは反対方向の回転絵柄(CCWの回転)になる。図13(b)〜(g)において実証されており、特に図13(b)の6角星は5角星にもみえ、図13(d)の四角絵は3角絵などに変形する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の3連独楽の原理的構成を示す縦断面図である。
【図2】図1における多連独楽を構成する単体独楽ユニット10の一例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の動作原理を示す縦断面図である。
【図4】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図5】本発明の図2のユニットの支持状態を示す図である。
【図6】本発明の独楽2の実施例を示す縦断面図である。
【図7】本発明の構成の図5と図6の組合わせであることの説明図である。
【図8】本発明の別構成の多連独楽の実施例を示す上面図および縦断面図である。
【図9】本発明の4連独楽の構成図である。
【図10】本発明の5連独楽の構成図である。
【図11】従来の独楽玩具全体の斜視図である。
【図12】独楽の回転にともなうモーメントの説明図。
【図13】独楽表面を飾る絵柄ならびに図形。
【符号の説明】
【0031】
1,2,3,4,5 単体独楽
10 独楽ユニット
11 独楽または回転体本体
12 独楽本体の手弾き用凸部
13 球面体
14 軸芯
15 軸芯つらぬき独楽の上下突起部
16 軸芯つらぬき孔部
20 支持台
21 支持台本体
22 支持台孔
23 支持台孔面取り部
31 円筒の内壁
32 円柱状の回転体
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロ・モータを応用したコマ玩具に関する。特に隣接する上部と下部で互いに回転方向の異なる多連独楽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子供たちが遊びに用いる独楽玩具の全体斜視を図11に示す。略円錐状の胴体11と前記略円錐状の胴体11の中心から上方及び下方に独楽軸芯14を設け、独楽軸芯14を親指と人差指で回すことにより、独楽本体を回転させて遊ぶ。従って、従来の独楽は一方向の回転動作のみであった。
【0003】
また、独楽が回転する際に接する面側の軸芯14は円錐状の胴体11とは別の材料で製造され、円錐状の胴体の中心部に孔をあけ嵌めこまれ、先端部は尖った円錐形状としたものや、軸芯14が円錐状の胴体と一体に切削等で製作されたものもある。
前記の軸芯形状および軸芯を独楽の中心軸になるように製作する理由は、極力独楽の回転時の歳差運動を少なくするためである。
【0004】
また、特許文献1には、頭部先端までの形状を半球形もしくは楕円体又は先端を有するかぶら形状とし、独楽が歳差運動により傾倒状態を維持するように、下部形状を球形体にし、重心を軸方向ほぼ中心に位置して、大きな独楽が回っているように見え、さらに独楽が静止状態のとき、回転体上の模様が静止時と同じように見える、歳差運動を利用した独楽もある。
【特許文献1】特開2005−34603公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の独楽は一方向の回転動作だけであるので、玩具としてのおもしろさに欠けるきらいがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するため、複数個の回転独楽を積層し、球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部である球面体13の中心軸を独楽の中心軸と一致させるように一体化した新しい独楽である。ここに、前記一体化した中心軸を一方の側には貫通する軸芯を設ける。最下部独楽の下側の軸芯は独楽支持台の孔中にゆるく差し込まれる。上部独楽は、下部独楽の軸芯に、前記上部独楽の中心軸を一致させるように設けた軸芯を下部独楽の軸芯の同軸上に着脱可能にならびに固着して配置される。上記したように本発明は最下部独楽を強く手弾くことにより回転力を印加するもので、隣接する下部独楽と上部独楽は互いに回転方向の異なる回転動作をすることを特徴としている。すなわち、本発明は多連独楽を提供することを最も主要な役目とする。
独楽支持台の孔には軸芯14はゆるく差し込まれ、球面体13が孔の周囲を接触しながら歳差運動をすることを積極的に利用しているので、隣接する下部独楽と上部独楽は互いに回転方向が逆となる。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明では、隣接する独楽同士は互いに回転方向が逆になるので、多連独楽に羽根や装飾品を取り付けたり、色彩や模様を工夫することにより従来技術からは得られなかった新規な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、機能あるいは構造が類似の構成要素には極力同じ名称と符号を付し、初出のものに必要な説明を行い、再出の場合には変更点や特徴点がある場合に限って説明する。
【0009】
本発明の多連独楽の一例として3連独楽を図1に示す。図1に示すように、本発明の多連独楽は、最下部の単体独楽1、単体独楽2、上部単体独楽3、支持台20から成る。
ここに、単体独楽2は図6に示すようにその中心部には孔のあいた軸芯つらぬき独楽の上下突起部15がとりつけられその中心軸径が軸芯14より少し大きく設定されている。従ってこの単体独楽2はストンと軸芯14に対し回転自在に独楽1の上に着地・挿入される構造となる。
一方、単体独楽3はその中心軸上で軸芯14に挿入直結される。
3重独楽の動作は、下部独楽1を手弾き回転すれば、独楽2はそれと逆方向、独楽3は軸芯に直結されているので独楽1と同方向の回転となる。従って、独楽1、2、3は上下において互いに反対方向の回転現象を呈することになる。
【0010】
図2は図1における多連独楽を構成する単体独楽ユニット10の一例を示す縦断面図である。球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部である球面体13の中心軸を独楽本体11の中心軸と一致させるように一体化し、前記一体化した中心軸に一方の側には貫通する軸芯14を設ける。
【0011】
また、独楽本体11には図3に示される様に独楽に回転力を印加するための手弾き用凸部12を設けても良い。この手弾き用凸部12は多連独楽を構成する単体独楽の少なくとも1個以上に設ければよい。また、単体独楽に設ける手弾き用凸部12は回転バランスが損なわれない配置に設けなければならない。従って2個以上となる。
また、回転バランスが損なわれない配置にするためには正多角形の頂点に設ければよい。
【0012】
図5は最下部独楽1を支える様子を示す。
最下部独楽1の下側の軸芯14は支持台20の支持台孔21の孔中にゆるく差し込まれる。
図7の上部独楽2は、最下部独楽1の軸芯14に前記上部独楽の中心軸を一致させるように設けた軸芯つらぬき独楽の上下突起部15を有する。これは同軸上に軸芯14よりも径を大きくして構成される。図6はその様子を示すものでその中心軸には孔を設けてパイプ状に配置される。この場合多連独楽を構成する一つの最下部独楽1を強く手弾くことにより回転力を印加する。
【0013】
前記支持台20は多連独楽全体を支えるために、多連独楽の個数、重量に適した大きさと重量が必要であり、支持台孔21は本例では支持台20の上下面を突き抜けているが、必ずしも突き抜けなくても良い。
【0014】
支持台孔21が上下に貫通せず、途中で下部が閉鎖されている場合には、最下部の独楽の球面体13が支持台孔21の周囲の支持台20の壁面に接触しながら歳差運動をするために、前記支持台孔の深さは最下部の独楽の球面体13より出ている軸芯14の長さより深くなければならない。
【0015】
次に本発明の多連独楽の動作原理について説明する。
図4は本発明の動作原理を説明するための図である。円柱状の回転体32がCW方向に自転するとする。この時、円柱状の回転体32は図示のごとく円筒内壁31に接して、自転することを考える。この場合、円柱状の回転体32は円筒内壁31との接触摩擦により、円筒内壁31を転がりながら移動し、前記円柱状の回転体32の中心点の軌跡はCCW方向の円運動となる。
【0016】
図3は本発明の動作原理を示す縦断面図である。
図3において、独楽ユニット10−1は最下部単体独楽1であり、独楽本体11の手弾き用凸部12をCW方向に手弾くと、独楽ユニット10−1は図示のごとく傾いてCW方向の自転をする。すなわち、歳差運動をしながら自転していることになる。
従って、独楽ユニット10−1の下側に設けられた球面体13は、支持台20の上面の壁面を転がりながら回転する。即ち、前記図4で説明した原理により、軸芯14先端部中心の軌跡はCCW方向の円運動となる。
【0017】
従って、図8において、独楽1の軸芯先端に図示のような独楽11−4があれば、その中心軸上の孔径11−4を軸芯より大きく設定していれば、軸芯14の皿回しの原理で独楽4(11−4)は独楽1とは逆方向の回転となることになる。
但し、独楽4は相当軽いものでないと、それが逆回転することは出来ない。
【0018】
図7の独楽体1(11−1)を手弾き回転した場合、独楽体2(11−2)が逆回転する現象は次の原理による。図3に関しても述べたように、独楽体1(11−1)が手弾き回転されると、軸芯14は自転(CW回転)すると共に逆方向回転の公転(CCW)が伴う。
図12はその様子を示したもので、独楽1の自転(CW方向)を生みだすMZを与えると、図示のM1、M2が生ずる。逆にM1、M2を印加するとMZが生ずる。これは図3の構成のジャイロ・モーメント・モータの原理として公知である。
このM1、M2は図7の独楽体2にも作用する。従って独楽体1(11−1)と独楽体2(11−2)間の摩擦力(摩擦モーメント)を介して、M1、M2の働く方向(CCW方向)に回転力モーメントが働き、独楽体2(11−2)は逆回転する。すなわち、このM1、M2が逆回転力の主役である。
【0019】
図8の上部被せ独楽体4(11−4)が下部独楽体1(11−1)と逆方向に回転する理由は図3の軸芯14の公転(CCW)による皿回し現象によるものである。
【実施例】
【0020】
図1に本発明にかかわる多連独楽構成の一例として3連独楽を示したが、具体的な実施例を説明する。
最下部の単体独楽1の独楽本体11−1は、回転時の慣性を大きくするために、金属板を打ち抜いたものであり、独楽本体の手弾き用凸部12−1は回転時の動バランスが取れるように正4角形の頂点となる90度の位置に4個設けた。
【0021】
単体独楽2の独楽本体11−2は、プラスチック製である。上部単体独楽3の独楽本体11−3もプラスチック製である。単体独楽2の独楽本体11−2は、上部単体独楽3の独楽本体11−3より外径を大きくし、厚みを小さくしている。プラスチック独楽は紙製でもよい。
【0022】
また、3連独楽のそれぞれ3個の単体独楽が、よく見えるように上部独楽の外径が順次下部独楽の外径より小さくする。概略最下部独楽1の本体11−1の外径を100とすれば、単体独楽2、上部単体独楽3の本体外径を60、35程度に設定すると見た目のバランスが良い。
【0023】
また、支持台20は3連独楽全体を支えるために、適宜の重量が必要であり、本実施例では材質はステンレスである。
また、前記動作原理で説明したごとく球面体13は、支持台20の上面の壁面を転がりながら回転するので、図3に示すように壁面の転がりが良くなるように支持台20の支持台孔21のとの接触部に支持台孔面取り部22を設けても良い。
【0024】
また、前記動作原理で説明したごとく、支持台20の支持台孔21は外径φ1.2mmであり、最下部の単体独楽1の軸芯14はφ1.0mmである。
図7は本発明の2連独楽の実施例を示す縦断面図である。
下部独楽1は、図3の構成と変わるものではないが、下部単体独楽1の軸芯15が、上部単体独楽2の軸孔16−2をつき抜ける構成とするものである。
従って、この場合は上下独楽1,2間に適度の間隔が保てるように下部独楽1に接する側に軸孔16−2を貫通させた円筒軸柱15−2を設け、下部独楽1に接するようにする。
本構成においても、下部独楽1の独楽本体の手弾き用凸部12−1を手弾きし、回転駆動力を与えれば、上下独楽1,2が互いに反対方向に回転し、2連回転独楽が実現される。
【0025】
図9は図1の3連独楽に図8の独楽11−4を被せた構成で4連独楽となる。隣接する上下独楽が相互に逆回転することはこれまでの説明で自明となる。
【0026】
図10は5連独楽の構成である。これは図1の3連独楽の上に、同図の本体独楽2と独楽3をさらに積層した構造である。独楽4は前記独楽2と同様の原理で逆回転し、独楽5は前記独楽3と同じに構成されるから、軸芯に直結して独楽本体1,3と同方向に回転する。
【0027】
図10の5連独楽にまた、図1の本体独楽2と独楽3をさらに、積層すれば7連独楽となり、図10の中心シャフトをさらにそのまま延長し、図8の被せロータ独楽を加えれば6連独楽となる。すなわち、一般に多連ジャイロ・モータ独楽が構成できることになる。
【0028】
本多連ジャイロ・モータ独楽においての各独楽本体の表面に色々な絵柄をとりつければ、より魅力的な玩具となる。特に、最上部独楽本体表面はよく見えるので、この部分には絵柄を付与することは有効である。
図13(a)〜(g)はその絵柄の実例である。
独楽体の回転により静止絵柄とは違った絵柄となる。
例えば図13(a)の3つ葉は4つ葉の絵になる。
【0029】
図8も2連独楽の一例であるが、この図8の2連独楽において、軸芯長を単体独楽の径に応じて20〜50mmと少し長めに設定すると前記絵柄は回転錯視により独楽11−4の方向(例えばCW回転とすれば)とは反対方向の回転絵柄(CCWの回転)になる。図13(b)〜(g)において実証されており、特に図13(b)の6角星は5角星にもみえ、図13(d)の四角絵は3角絵などに変形する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の3連独楽の原理的構成を示す縦断面図である。
【図2】図1における多連独楽を構成する単体独楽ユニット10の一例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の動作原理を示す縦断面図である。
【図4】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図5】本発明の図2のユニットの支持状態を示す図である。
【図6】本発明の独楽2の実施例を示す縦断面図である。
【図7】本発明の構成の図5と図6の組合わせであることの説明図である。
【図8】本発明の別構成の多連独楽の実施例を示す上面図および縦断面図である。
【図9】本発明の4連独楽の構成図である。
【図10】本発明の5連独楽の構成図である。
【図11】従来の独楽玩具全体の斜視図である。
【図12】独楽の回転にともなうモーメントの説明図。
【図13】独楽表面を飾る絵柄ならびに図形。
【符号の説明】
【0031】
1,2,3,4,5 単体独楽
10 独楽ユニット
11 独楽または回転体本体
12 独楽本体の手弾き用凸部
13 球面体
14 軸芯
15 軸芯つらぬき独楽の上下突起部
16 軸芯つらぬき孔部
20 支持台
21 支持台本体
22 支持台孔
23 支持台孔面取り部
31 円筒の内壁
32 円柱状の回転体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の上下に配置した回転独楽と最下部の独楽を支持する支持台を有する多連独楽において、最下部の独楽は支持台との接触部に球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部を有し、個別の独楽の中心軸を一致させる様に一体化した多連独楽において、各個別の独楽は中心軸にその中心部で固着して構成する1個以上の独楽と、中心軸に対して回転自由となる1個以上の独楽から構成することを特徴とする多連独楽。
【請求項2】
多連独楽を構成する1個の独楽に回転力を与えた場合、各独楽が上下間で互いに回転方向が異なる様に動作するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の多連独楽。
【請求項3】
多連独楽の最下部独楽に回転力を与えた場合、各独楽が上下間で互いに回転方向が異なる様に動作するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の多連独楽。
【請求項4】
多連独楽において、各独楽表面あるいは側面に各種絵柄や各種図形ならびに飾りを取り付けたことを特徴とする請求項2およびに請求項3記載の多連独楽。
【請求項5】
多連独楽の表面あるいは側面につけた絵柄と図形がゆらゆら振動しながらの回転動作による錯視を利用することを特徴とする請求項4記載の多連独楽。
【請求項1】
複数個の上下に配置した回転独楽と最下部の独楽を支持する支持台を有する多連独楽において、最下部の独楽は支持台との接触部に球または楕円球の一部よりなる球面形状の接触部を有し、個別の独楽の中心軸を一致させる様に一体化した多連独楽において、各個別の独楽は中心軸にその中心部で固着して構成する1個以上の独楽と、中心軸に対して回転自由となる1個以上の独楽から構成することを特徴とする多連独楽。
【請求項2】
多連独楽を構成する1個の独楽に回転力を与えた場合、各独楽が上下間で互いに回転方向が異なる様に動作するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の多連独楽。
【請求項3】
多連独楽の最下部独楽に回転力を与えた場合、各独楽が上下間で互いに回転方向が異なる様に動作するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の多連独楽。
【請求項4】
多連独楽において、各独楽表面あるいは側面に各種絵柄や各種図形ならびに飾りを取り付けたことを特徴とする請求項2およびに請求項3記載の多連独楽。
【請求項5】
多連独楽の表面あるいは側面につけた絵柄と図形がゆらゆら振動しながらの回転動作による錯視を利用することを特徴とする請求項4記載の多連独楽。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−284490(P2010−284490A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160212(P2009−160212)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(591171057)
【出願人】(595094839)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(591171057)
【出願人】(595094839)
【Fターム(参考)】
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