説明

大入熱溶接熱影響部のCTOD特性に優れる溶接構造用鋼およびその製造方法

【課題】大入熱溶接熱影響部のCTOD特性に優れる降伏強度390N/mm超え、板厚40mm以上の溶接構造用鋼およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%でC:0.03〜0.09%、Si:0.02〜0.15%、Mn:1.5〜2.5%、Al:0.005〜0.06%、P、S、Nb:0.005〜0.025%、Ti:0.005〜0.02%、N:0.0040〜0.0070%、Ca:0.0005〜0.0030%、B:0.0005〜0.0025%、必要に応じてV、Ni、Cu、Cr、Mo、Wの一種または二種以上を含み、板厚の1/4位置におけるMnの偏析度が1.2以下かつPの偏析度が1.1以下である鋼。上記組成の鋼を、連続鋳造法により鋳造し、その際の二次冷却における凝固点近傍から1200℃までの冷却速度を0.1℃/s超え、0.5℃/s未満とし、得られた鋳片を熱間圧延後適宜冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降伏強度が390N/mmを超え、板厚が40mm以上の溶接構造用鋼に関し、特に溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接でも溶接熱影響部(以下、HAZということがある)のCTOD特性に優れるものに関する。
【背景技術】
【0002】
鋼材の高強度化、厚肉化に伴い溶接施工に、サブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接およびエレクトロスラグ溶接など生産能率に優れる大入熱溶接が適用されることが増加している。
【0003】
鋼材において大入熱溶接された溶接熱影響部の靭性(以下、HAZの靭性、HAZ靭性ということがある)は低下するため、種々の大入熱溶接用鋼が提案され、例えば、TiNを鋼中に微細分散させ、溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を抑制したり、溶接熱影響部においてフェライト変態核として利用する技術が実用化されている。
【0004】
また、Ti酸化物(オキシサイド)を溶接熱影響部に分散させたり(特許文献1)、更に、硫化物(サルファイド)の形態制御により溶接熱影響部の靭性を向上させるためCaを添加したり(特許文献2)することが提案されている。
【0005】
しかしながら、TiNを主体に利用する場合、溶接熱影響部においてTiNが溶解する
温度に加熱される領域はその効果が得られず、さらには地の組織が固溶Tiおよび固溶Nにより脆化して靭性が著しく低下するという問題があった。
【0006】
また、Ti酸化物を利用する技術では、酸化物を均一微細に分散させることが困難であ
るという問題があった。これに対して、酸化物の複合化等の方法で分散能を改善すべく種々の検討が行われているが、入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接では、溶接熱影響部においてオーステナイト粒の成長を十分に抑制することは困難であった。
【0007】
一方、特許文献3、4では、溶接熱影響部でのフェライト変態を促進するCa系非金属介在物をCa、O、S含有量を適正に制御することで鋼中に分散させ、靭性を向上させることが開示されている。
【0008】
また、特許文献5では鋼板の化学成分と、含有する複合酸化物の粒径と個数密度を規定した技術が提案されている。特に複合酸化物を粒内フェライトの生成核であるTi(Nb)窒化物、B窒化物の析出サイトとして利用するために、円相当径0.005〜0.5μmの複合酸化物を100〜3000個/mm含有することが有効であるとしている。
【0009】
さらに、特許文献6では加熱されるオーステナイトの粒成長を抑制するために、複合酸化物の粒径と個数密度、組成を規定した技術が提案されている。すなわち、円相当径で0.005〜2μmの酸化物粒子を単位面積あたりの個数で100〜5000個/mm含有し、その組成が少なくともCa、Al、Oを含みOを除いた元素が質量比でCa:5%以上、Al:5%以上であることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭57−51243号公報
【特許文献2】特開昭60−204863号公報
【特許文献3】特許第3546308号公報
【特許文献4】特許第3644398号公報
【特許文献5】特開2005−307261号公報
【特許文献6】特開2007−277642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、溶接部の破壊靭性の評価には一般的にシャルピー試験が用いられるが、より厳密な破壊力学的評価法としてはCTOD試験やディープノッチ試験が用いられる。これらの試験は材料の元厚(全板厚)で作成される試験片にノッチを入れて評価するため、板厚効果により厚肉材ほど厳しい試験となる。
【0012】
さらに、局所的な脆化部からの破壊に律速されるため、シャルピー試験と比較して試験値を向上させることが困難で、特許文献1〜6では、大入熱溶接継手部のCTOD試験やディープノッチ試験の試験結果を安定して向上させることができなかった。
【0013】
そこで、本発明は、降伏強度が390N/mmを超える、かつ板厚が40mm以上の、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接でも溶接熱影響部で優れたCTOD試験結果が得られる溶接構造用鋼およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
CTOD試験やディープノッチ試験はミクロ的な脆化組織に敏感であるため、本発明者らは大入熱溶接熱影響部におけるミクロ的な脆化組織である島状マルテンサイト組織(M−A)について鋭意検討し、M−Aの形成には平均的な化学成分のみならず、凝固偏析に起因する鋼板中のミクロ偏析の状態に依存し、特にMnとPの偏析度が重要であることを見出した。本発明は得られた知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.鋼組成が、質量%で
C:0.03〜0.09%
Si:0.02〜0.15%
Mn:1.5〜2.5%
Al:0.005〜0.06%
P:0.012%以下
S:0.0005〜0.0050%
Nb:0.005〜0.025%
Ti:0.005〜0.02%
N:0.0040〜0.0070%
Ca:0.0005〜0.0030%
B:0.0005〜0.0025%
を含み、残部鉄および不可避的不純物からなり、板厚の1/4位置におけるMnの偏析度が1.2以下かつPの偏析度が1.1以下であることを特徴とする大入熱溶接熱影響部のCTOD特性に優れる溶接構造用鋼。
2.鋼組成として、更に質量%で
V:0.04%以下
Ni:1.0%以下
Cu:1.0%以下
Cr:0.7%以下
Mo:0.7%以下
W:0.5%以下
の1種または2種以上を含有する1記載の大入熱溶接熱影響部の溶接熱影響部のCTOD特性に優れる溶接構造用鋼。
3.鋼組成が、質量%で
C:0.03〜0.09%
Si:0.02〜0.15%
Mn:1.5〜2.5%
Al:0.005〜0.06%
P:0.012%以下
S:0.0005〜0.0050%
Nb:0.005〜0.025%
Ti:0.005〜0.02%
N:0.0040〜0.0070%
Ca:0.0005〜0.0030%
B:0.0005〜0.0025%
を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造法により鋳造し、その際の二次冷却における凝固点近傍から1200℃までの冷却速度を0.1℃/s超え、0.5℃/s未満とし、得られた鋳片を1000〜1200℃に加熱後、熱間圧延することを特徴とする溶接構造用鋼の製造方法。
4.鋼組成として、更に質量%で
V:0.04%以下
Ni:1.0%以下
Cu:1.0%以下
Cr:0.7%以下
Mo:0.7%以下
W:0.5%以下
の1種または2種以上を含有する3記載の溶接構造用鋼の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接でも溶接熱影響部の靭性に優れ、降伏強度が390N/mm以上でかつ板厚が40mm以上の溶接構造用鋼が得られ産業上極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では成分組成を規定する。以下の説明において%は質量%とする。
C:0.03〜0.09%
Cは鋼の強度を向上する元素であり、本発明では、所望の強度を確保するため0.03%以上の含有を必要とするが、0.09%を超えると、溶接性が劣化するばかりか靭性にも悪影響がある。このため、0.03〜0.09%、好ましくは0.04〜0.08%とする。
【0017】
Si:0.02〜0.15%
Siは脱酸元素として、また、鋼の強化元素として有効であるが、0.02%未満の含有量ではその効果がない。一方、0.15%を超えると鋼の表面性状を損なうばかりか靭性が極端に劣化する。従って0.02〜0.15%とする。
【0018】
Mn:1.5〜2.5%
Mnは強化元素として有効であるが、1.5%より少ないとその効果が不十分で、一方、2.5%を超えると溶接性が劣化し、鋼材コストも上昇するため、1.5〜2.5%とする。
【0019】
P:0.012%以下
Pは、不純物元素として鋼材に不可避的に含有されるもので、靭性に悪影響を及ぼす。本発明では含有量とともに偏析度も規定するが、0.012%を超えて含有すると、偏析度を低下させても溶接部の靭性劣化が大きいので、その上限を0.012%とする。
【0020】
S:0.0005〜0.0050%
Sは、HAZ靭性の向上に有効な分散粒子であるCa(OS)の構成元素として必要で、0.0005%以上含有させる。一方、0.0050%を超えて含有すると、母材および溶接部の靭性を劣化させるため、0.0005〜0.0050%とする。
【0021】
Al:0.005〜0.06%
Alは、脱酸剤として作用するため0.005%以上の含有を必要とするが、0.06%を超えて含有すると、靭性を低下させるとともに、溶接した場合に、溶接金属部の靭性を低下させる。このため、Alは、0.005〜0.06%、好ましくは、0.02〜0.05%とする。
【0022】
Nb:0.005〜0.025%
Nbは制御圧延を行う本発明鋼では不可欠な元素であり、制御圧延による鋼の強化のため0.005%以上を含有させる。しかし、0.025%を超える多量の含有は析出硬化によりHAZ靭性を低下させるので、0.005〜0.025%とする。
【0023】
Ti:0.005〜0.02%
Tiは凝固時およびその後の鋳片の冷却時にTiNとなって析出し、溶接部でのオーステナイト粒の粗大化抑制に有効に作用し高靭性化に寄与する。0.005%未満ではその効果が少なく、0.02%を超えるとTiN粒子の粗大化によって期待する効果が得られなくなるため、0.005〜0.02%とする。
【0024】
N:0.0040〜0.0070%
Nは、TiNが上述した効果を発揮するための必要量を確保するうえで必要な元素であり、本発明では0.0040%未満では十分なTiN量が得られず、0.0070%を超えると溶接熱サイクルによってTiNが溶解する溶接ボンド部近傍の領域における固溶N量の増加のために靭性を著しく低下させるため、0.0040〜0.0070%とする。
【0025】
Ca:0.0005%〜0.0030%
Caは、溶接熱影響部でのフェライト変態を促進するCa系非金属介在物(酸硫化物)の構成元素として必須の元素である。このような効果を発揮させるには少なくとも0.0005%は含有することが必要であるが、0.0030%を超えて含有しても効果が飽和するため、0.0005%〜0.0030%とする。
【0026】
B:0.0005〜0.0025%
Bは溶接熱影響部でTiNが溶解して放出されるNをBNとして固定し、溶接部靭性の劣化を抑制する。また、BNはフェライト生成核となって、組織の微細化とM−Aの生成を抑し、溶接部靭性の向上に寄与する。さらに、焼入性を向上させ母材の強度確保に有効に寄与する。それらの効果は0.0005%以上の添加で発揮され、また、0.0025%以上添加してもその効果は飽和するため、0.0005〜0.0025%とする。
【0027】
以上が本発明の基本成分組成であるが、更に特性を向上させるため、V、Ni、Cu、Cr、Mo、Wの一種または二種以上を含有することが可能である。
【0028】
V、Ni、Cu、Cr、Mo、Wの一種または二種以上
V、Ni、Cu、Cr、Mo、Wはいずれも鋼の焼入れ性を高める元素である。圧延後の強度上昇に直接寄与するとともに、靭性、高温強度、あるいは耐候性などの機能向上のために添加するが、過度の添加は靭性や溶接性を劣化させるため、添加する場合は、それぞれ上限をV:0.04%、Ni:1.0%、Cu:1.0%、Cr:0.7%、Mo:0.7%、W:0.5%とする。一方、V、Ni、Cu、Cr、Mo、Wの添加量はそれぞれが0.01%未満であるとその効果が現れないため、0.01%以上の添加とする。
【0029】
板厚の1/4位置(板厚1/4t部ともいう)におけるMnの偏析度が1.2以下かつPの偏析度が1.1以下
さらに本発明においては、大入熱溶接熱影響部におけるミクロ的な脆化組織である島状マルテンサイト組織(M−A)の生成を抑制するため、鋼板の板厚の1/4位置の凝固偏析によるMnの偏析度を1.2以下かつPの偏析度を1.1以下とする。
【0030】
Mnの偏析度を1.2以下かつPの偏析度を1.1以下とすることによりM−Aはほとんど形成されず、優れたCTOD試験結果やディープノッチ試験結果が得られる。
【0031】
偏析度の測定方法は以下の通りである。Mn、Pの標準試料を準備するため、小型の溶解炉でPの含有量とMnの含有量を少なくとも3種類に変化させた鋼を作製する。その後、この鋼片を1250℃で48時間以上保持して、ミクロ偏析を拡散させて、その後のEPMA測定の標準試料とする。
【0032】
偏析度を評価する鋼板の板厚の1/4t部より試験片を採取して鏡面に研磨する。まず、測定条件を定め、標準試料のEPMA分析を行ない、信号強度とP、Mnの含有量の関係を採取し、いわゆる検量線を作成する。電子ビームのスポット径は1μmが好ましい。
【0033】
次に偏析度を評価するサンプルについて同一条件にてEPMA分析を0.5mm×0.5mmの領域をスポット径1μm、1μmステップで元素マッピングを行い、Mn、Pの信号強度の測定を行なう。
【0034】
得られた信号強度の値を検量線によりMn、P濃度に変換し、マッピングした中の最大濃度と鋼板の平均濃度との比をとり偏析度とする。
【0035】
本発明に係る鋼板は以下の製造方法で製造することが可能である。
【0036】
上記成分組成の溶鋼を、転炉等で溶製し、連続鋳造等で鋼素材(スラブ)とする際、二次冷却における凝固点近傍から1200℃までの冷却速度をを0.1℃/s超え、0.5℃/s未満とする。
【0037】
ミクロ偏析は凝固時に不可避的に形成されるが、凝固後は元素の拡散により偏析度は小さくなる。この効果は凝固後、高温での滞留時間が長いほど大きく、1200℃以下では合金元素の拡散係数が小さく偏析低減効果が大きくないので、凝固点近傍〜1200℃での冷却条件を0.1℃/s超え、0.5℃/s未満とする。
【0038】
冷却速度が0.5℃/s以上であると、1200℃以上の滞留時間が少なく、拡散が不十分でMnの偏析度が1.2以下かつPの偏析度が1.1以下にならない。一方、冷却速度が0.1℃/s以下であると鋳造の能率が下がるとともに、TiNが粗大化してピンニング効果が十分得られず溶接部でのオーステナイト粒が粗大化しHAZ靭性が低下する。
【0039】
得られたスラブを、1000〜1200℃の温度に加熱してから熱間圧延を行う。加熱温度が1000℃未満であると、圧延能率が低下し、一方、1200℃超えであるとオーステナイト粒が粗大化し、靭性の低下を招くばかりか、酸化ロスが顕著となり、歩留が低下するので、加熱温度は1000〜1200℃とする。
【0040】
靭性の観点から好ましい加熱温度の範囲は1050〜1150℃、より好ましくは1050〜1100℃である。
【0041】
その後、熱間圧延により所望の板厚に圧延するが、強度とともに母材靭性も要求されることが多いので制御圧延を行い、仕上温度は900〜650℃の範囲が好ましく、より好ましくは、800〜700℃の範囲である。さらに、高強度化のためには圧延後に適宜、加速冷却を適用する。
【実施例】
【0042】
表1に示す種々の組成の溶鋼(鋼記号A〜W)を、転炉で溶製後、連続鋳造法で280mm厚の鋼素材(スラブ)とし、熱間圧延により板厚50〜70mmの厚鋼板とした後、種々の条件で冷却しNo.1〜23の供試鋼を得た。
【0043】
表2に連続鋳造の場合の二次冷却条件として凝固点近傍から1200℃の冷却速度、鋼素材(スラブ)の加熱条件、圧延条件および冷却条件を示す。
【0044】
得られた厚鋼板について、板厚の1/4部よりΦ14のJIS14A号試験片を採取し、引張試験を行い、降伏点(YS)、引張強さ(TS)を測定し、板厚の1/4部よりJIS4号衝撃試験片を採取し、シャルピー試験を行って、破面遷移温度(vTrs)を求めた。
【0045】
また、板厚1/4t部より試験片を採取して鏡面に研磨し、EPMA分析により0.5mm×0.5mmの領域をスポット径1μm、1μmステップで元素マッピングを行い、Mn、Pの濃度分布の測定を行った。マッピングした中の最大濃度と鋼板の平均濃度との比をとり偏析度とした。
【0046】
さらに、各鋼板から採取した継手用試験板に、V開先を施し、エレクトロガスアーク溶接(溶接入熱450kJ/cm)により大入熱溶接継手を作製した。これら溶接継手からノッチ位置をボンド部とするCTOD試験片を採取し、BS7448にしたがい、3点曲げCTOD試験を実施した。試験は−10℃で3体行い、その最低値を求めた。
【0047】
表3にMn、Pの偏析度と母材機械的特性の試験結果と大入熱溶接継手のCTOD試験結果を併せて示す。表より、製造No.1〜16の本発明鋼は−10℃での限界CTODが0.25mm以上と優れた破壊靭性値を示したが、製造No.17〜23の比較例はいずれも0.1mm以下であった。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼組成が、質量%で
C:0.03〜0.09%
Si:0.02〜0.15%
Mn:1.5〜2.5%
Al:0.005〜0.06%
P:0.012%以下
S:0.0005〜0.0050%
Nb:0.005〜0.025%
Ti:0.005〜0.02%
N:0.0040〜0.0070%
Ca:0.0005〜0.0030%
B:0.0005〜0.0025%
を含み、残部鉄および不可避的不純物からなり、板厚の1/4位置におけるMnの偏析度が1.2以下かつPの偏析度が1.1以下であることを特徴とする大入熱溶接熱影響部のCTOD特性に優れる溶接構造用鋼。
【請求項2】
鋼組成として、更に質量%で
V:0.04%以下
Ni:1.0%以下
Cu:1.0%以下
Cr:0.7%以下
Mo:0.7%以下
W:0.5%以下
の1種または2種以上を含有する請求項1記載の大入熱溶接熱影響部のCTOD特性に優れる溶接構造用鋼。
【請求項3】
鋼組成が、質量%で
C:0.03〜0.09%
Si:0.02〜0.15%
Mn:1.5〜2.5%
Al:0.005〜0.06%
P:0.012%以下
S:0.0005〜0.0050%
Nb:0.005〜0.025%
Ti:0.005〜0.02%
N:0.0040〜0.0070%
Ca:0.0005〜0.0030%
B:0.0005〜0.0025%
を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造法により鋳造し、その際の二次冷却における凝固点近傍から1200℃までの冷却速度を0.1℃/s超え、0.5℃/s未満とし、得られた鋳片を1000〜1200℃に加熱後、熱間圧延することを特徴とする溶接構造用鋼の製造方法。
【請求項4】
鋼組成として、更に質量%で
V:0.04%以下
Ni:1.0%以下
Cu:1.0%以下
Cr:0.7%以下
Mo:0.7%以下
W:0.5%以下
の1種または2種以上を含有する請求項3記載の溶接構造用鋼の製造方法。

【公開番号】特開2013−19014(P2013−19014A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152431(P2011−152431)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】