大容量のスライドを自動染色するシステム
【課題】生物標本を支持したスライド(56)の複数枚を完全に自動的かつ集積化されたシステムで、脱パラフィン、染色およびカバーグラス被覆を行う大容量のスライドの自動染色システム
【解決手段】互いに重ねて配置された複数のワークステーション(120、140、160、180)と、各種ワークステーション間でスライドを運搬する運搬/昇降機(52)とを有するスライド自動処理装置(20)。
【解決手段】互いに重ねて配置された複数のワークステーション(120、140、160、180)と、各種ワークステーション間でスライドを運搬する運搬/昇降機(52)とを有するスライド自動処理装置(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医学診断機器に関するものである。
本発明は特に、顕微鏡のスライド上の生物学的標本の自動染色に有用である。従って、以下、この用途で本発明を説明するが、本発明はその他の用途でも使用できる。
本出願は米国仮出願第60/372,506号(2002年4月15日出願)に基くものである。
【背景技術】
【0002】
明視野顕微鏡下では、組織の成分が見えるように処理しても、多くの組織に十分な色を付けることができない。そのため、一般には組織に着色剤または染料を加えて組織を染色する。最も広範に使用されている組織染色剤はヘマトキシリンとエオシン(「H&E」)染色剤であろう。これらは比較的単純に使用でき、大くの各種組織構造体をはっきりと見せることができるために広く用いられている。ヘマトキシリンは種々の方法で調整でき、各種部位から組織に広く適用できる。ヘマトキシリン成分は基本的に細胞核を青/黒に染色して核間細部を良く示す。これに対してエオシンは細胞質と大抵の結合組織繊維とを異
なる明度および輝度でピンク、オレンジ、赤に染色する。
【0003】
染色した顕微鏡スライド、通常はH&Eパラフィン片は病理学者または細胞学者によって検査されて正確な診断が行われる。このH&E染色は自動染色機を用いて大量に行なわれる。難しい組織学的解釈を避けるためには一貫性に対するニーズが最重要事項である。
一般に、自動染色機を用い、各段階の時間を調節することによって正確で一貫した染色、識別および脱水を行うことができる。
【0004】
一般には一定の標準的操作を用いてスライド上の組織を染色する。大部分の染色剤は水溶液またはアルコール溶液で塗布され、パラフィンが浸透した組織には浸透しないので、先ず最初に、パラフィン片を脱パラフィンしなければならない。典型的にはスライドを脱パラフィン後にスライドをオーブン等の加熱室で焼いて、脱パラフィン溶剤を追い出す。
その後、スライドに組織を付着させ、組織を標準的な染色剤、例えばヘマトキシリンとエオシンを用いて染色する。最後に、染色済みの組織片上に薄いカバーグラスを乗せて組織片をカバーグラスで覆う。次に、取付剤で密封して保存に適した密封環境にする。
従来はこれらの全ての工程を細胞学技術者が手作業で行ってきた。しかし、病理学者の検査用および解釈用にヒトの組織標本を調製・染色する研究所の技術者は減りつつある。
従って、脱パラフィンからカバーグラスの被覆までの全ての段階を自動化することが要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は顕微鏡スライド上に乗せた生物組織片に染色剤を塗布する自動スライド染色システムを提供する。
本発明は特に、スライド上に支持された多数の生物標本の脱パラフィン、染色、カバーグラス被覆操作を完全自動化され集積化されたシステムで行う自動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましい一つの実施例として、互いに重ねられた複数のワークステーションと、複数の標本スライドを支持した1つのスライドトレーを複数のワークステーションの間を移動させる運搬/昇降機とを含む自動装置を提供する。この場合、スライド上に支持された標本は乾燥、焼成、脱ワックスされ、染色準備され、染色剤が塗布され、最後に密封または覆われて、スライドは分析、研究用あるいは分析結果の永久記録用として保存される。
本発明はさらに、病理学的分析のために顕微鏡スライド上で組織標本を自動的に調製する方法を提供する。この方法は、組織がスライドに付着するのに十分な熱を機器を用いて組織に加えて組織標本をスライド上に焼成し、パラフィンの融点以上の温度で組織標本を脱パラフィン流体と接触させ、液化パラフィンを洗浄除去して組織標本を脱パラフィンし、組織標本を染色試薬と接触させ、スライド上の染色済み組織標本を予備接着されたカバーグラスおよび接着活性化流体と接触させてスライドをカバーグラスで覆う段階からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の上記以外の特徴および利点は添付図面を参照した以下の説明からより良く理解できよう。
本発明の染色システムはスライド上に載った生物標本の処理、染色およびカバーグラス被覆操作の全ての段階を効率的な高速操作で行う。特に、生物標本を支持したスライドはスライドトレー上に載せられ、こうして標本スライドを支持したスライドトレーが本発明システムにロードされる。本発明システムではスライドの焼成、脱ワックス、染色およびカバーグラス被覆操作の一連の段階が実施される。
本発明方法では顕微鏡スライド上で病理分析用に組織標本が自動的に調製される。本発明方法では組織がスライドに付着するのに十分な熱を機器を用いて組織に加えて組織標本をスライド上に焼成し、パラフィンの融点以上の温度で組織標本を脱パラフィン流体と接触させ、液化パラフィンを洗浄除去して組織標本を脱パラフィンし、組織標本を染色試薬と接触させ、さらに、スライド上の染色済み組織標本を予備接着されたカバーグラスおよび接着活性化流体と接触させてスライドをカバーグラスで覆う。
【実施例】
【0008】
[図1]を参照すると、本発明の第1実施例の装置20は一つのシステム22の一つの部品またはモジュールとして機能する。このシステム22は大容積の流体容器32、34、36とその関連機器をさらに有している。
[図1A]と[図1B]も参照して説明すると、上記装置20は互いに重ねられた複数のワークステーションを支持するフレーム40を有している。例えば、一つまたは複数の乾燥または焼成ステーションまたはモジュール120と、脱ワックスまたは脱パラフィンステーションまたはモジュール140と、一つまたは複数の染色ステーションまたはモジュール160と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール180はがタワー50の内部に配置されている。タワー50の近傍には運搬/昇降機構52が設けられている。
この運搬/昇降機構52は乾燥/焼成、脱ワックス、染色およびカバーグラス被覆操作時に個々の標本が乗ったスライド56の複数枚を支持したスライドトレー54をトレー保管ステーションまたは「ガレージ」60から運搬する。
【0009】
[図1B]と[図1C]にはこのトレー保管ガレージまたはステーション60が示してある。このステーション60は一対の支柱62A、62Bを有し、これらの支柱62は垂直方向に間隔をあけて配置された複数の棚またはスキッドを支持し、各棚またはスキッドにはスライドトレー54が収容される。
[図1D](図を明瞭にするためにガレージ60の外板またはカバーは省略してある)から分るように、トレー保管ガレージまたはステーション60は第1棚位置へアクセスするための回動自在に取り付けられたドアを有している。第1棚位置の下側方にはトレーをポータル (portal)に出し入れするためのトレー駆動組立体(全体を68で示す)が配置されている。このトレー駆動組立体は駆動モータ/伝動装置72によって駆動される一対の回転駆動輪70を有している。
【0010】
[図2]、[図2A]から分るように、スライドトレー54は一般に長方形の平ら皿またはスライドトレー80からなるのが好ましい。このスライドトレー80は底壁82と、互いに対向した2つの側壁84と、互いに対向した2つの端壁86とを有する。一般に、スライドトレーはこの種の用途で用いられる合成ポリマーで作られ、当業界で周知の射出成形で成形される。
【0011】
トレー80は標本スライドを同一面上にほぼ水平位置に保持するための標本スライド支持ラック90を有している。全てのスライドを同一面上に保持することによって、後で説明するように焼成および乾燥が容易になり、脱パラフィンおよび染色中のスライドの相互汚染を防止することができる。ラック90はスライドトレーに配置した標本スライド56の軸線方向、横方向および垂直方向の移動を制限する複数のバネ式スライド支持体92を有している。ラック90は標本スライド底とトレー底との間にフィルムまたは泡が生成するのを抑制または防止するのに十分な高さでトレー底80の上方に支持される。バネ式スライド支持体92は標本スライドの互いに対向する2つの端縁96に力を加えることによって個々の標本スライドを定位置に保持する。後で詳細に説明するように、スライドトレーの床は中央へ向かって傾斜し、脱ワックス流体および染色剤が中心位置104へ流れ、そこから排出するようになっている。このトレー80を用いることによって、乾燥/焼成、脱パラフィン、染色およびカバーグラス被覆の各段階で複数の標本スライドを自動処理することが可能になる。好ましい実施例ではトレー80ははねかけ(splash)レール106を有し、16枚の標本スライドを水平格子状に配置して収容する(横に2枚、縦に8枚)。
【0012】
図示した実施例の染色システムでは、タワー50内部に乾燥/焼成ステーションまたはモジュール120と、脱パラフィンステーションまたはモジュール140と、染色ステーションまたはモジュール160と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール180とが垂直に配置され、これらがコンピュータ制御される。
[図4]を参照すると、乾燥/焼成ステーション120は標本スライドを乾燥させるための制御された熱を供給する断熱区画室を有している。この乾燥/焼成ステーション120はモジュラユニットであり、標本スライドの表面に熱風が当るように配置された対流加熱器122を有するのが好ましい。本発明の特徴および利点の1つはスライドを水平に並べて対流乾燥を効率的に行う点にある。
【0013】
[図3]および[図3A]を参照すると、脱パラフィンステーション140はモジュラ型区画室であり、標本スライドに対して所定角度で下方を向いた一つまたは複数の洗浄分配ノズル142を有している。この脱パラフィンステーション140は10個のノズル142の2つのバンク144A、Bからなるのが好ましい。各ノズルには脱パラフィン流体供給源32から共通マニホルド146A、Bを介して脱パラフィン流体が供給される。この脱パラフィン流体供給源32は本発明の好ましい実施例では温水と洗浄剤とからなる。
変形例では一対のノズル142を可動にし、一方のスライド対から他方のスライド対へ移動させることができる。
【0014】
脱パラフィン剤としては種々のものを用いることができる。好ましくは2000年11月22日出願の米国特許出願第09/721,096号および2003年4月8日に公開された下記文献に開示の水溶性流体を用いることができる。
【特許文献1】米国特許第6,544,798号明細書
【0015】
具体例としては脱イオン水、クエン酸緩衝液(pH6.0〜8.0)、トリスHCl緩衝液(pH6〜10)、リン酸緩衝液(pH6.0〜8.0)、FSC緩衝液、APK洗浄(商標)、酸性緩衝液または溶液(pH1〜6.9)、塩基性緩衝液または溶液(pH7.1〜14)が挙げられる。必要に応じて、水溶性流体は一種以上のイオンまたは非イオン界面活性剤、例えばTriton X-100(商標)、Tween(商標)
、Brij、サポニン、および、硫酸ドデシルナトリウムを含むこともできる。一般に、脱パラフィン流体は加熱する。例えば、埋込み媒体が融点が50〜57℃のパラフィンの場合、流体をパラフィンの融点より高い温度、例えば60〜70℃に加熱する必要がある。一般に、流体は流体供給源中で加熱する。
【0016】
[図5][図6]を参照すると、脱パラフィンステーション140は流体吸引プローブ150をさらに有する。この流体吸引プローブ150は脱パラフィンステーション140内部に配置されたときにトレー80の中心位置104にプローブ150の末端が配置されるように回動される。流体吸引プローブ150は管路(図示せず)および吸引ポンプ157を介して脱パラフィン剤の分離器(図示せず)に連結された中空管である。脱パラフィン流体は流体供給源21へ戻され、ここで加熱器によって加熱され、必要に応じて濾過器154で濾過され、脱パラフィン中に除去された細胞等が取り除かれ、再使用される。必要に応じて、蓄積したパラフィンを例えばスキミングによって除去することができる。流体吸引プローブ150はそれがトレーの中心位置104の近傍にくる展開位置とトレーおよびスライド上方にくるパーキング位置との間を十分に自由に移動でき、脱パラフィンステーション140におけるトレーおよびスライドの出し入れの動きを邪魔しないようにする必要がある。
【0017】
従来の浴式脱パラフィンステーションと比較した本発明の特徴および利点の一つは、スライド間の相互汚染の可能性、例えば一方のスライドから他方のスライドへ細胞がキャリオーバする危険性が排除されることにある。すなわち、標本スライドに供給される脱パラフィン流体は濾過した新規なものであり、標本スライドは同一平面上に水平に間隔をあけてトレー内に配置されているので、パラフィン化プロセス中にスライド間で生じうる細胞のキャリオーバによる相互汚染は防止できる。さらに、脱パラフィンプロセスは加熱された脱パラフィン剤の使用でより効率的になる。
【0018】
[図7]に示す染色ステーション160は2つ以上の染色剤分配/洗浄ノズル162を有するモジュラ型区画室である。本発明の好ましい実施例では染色ステーション160は一対の染色剤分配ノズル162を有している。各染色剤分配ノズル162はスクリュードライバー165とリニアモーター(図示せず)によってシャフト163に沿って標本スライド対から標本スライド対へステップ状に移動する。染色剤分配ノズル162は弁、導管および正圧ポンプ(図示せず)を介して染色貯蔵器168A、B、C、Dに選択的に連結される。変形例ではこれらのノズルが洗浄液体源、通常はDI水(必要に応じて界面活性
剤を含む)に選択的に連結される。
【0019】
染色ステーション160にも上記の流体吸引ノズル150と同様な流体吸引ノズル170が設けられていて、ノズル170の末端172が染色ステーション160内部のトレーの中心位置104の近傍にくる作業位置とトレーおよびスライド上方のパーキング位置との間で回動でき、染色ステーション160でのトレーおよびスライドの出し入れの動きを邪魔しないようになっている。吸引ノズル170は管路(図示せず)および吸引ポンプ(図示せず)を介して廃棄物容器38に連結されている。脱パラフィンステーションの場合と同様に、標本スライドを同一平面上に水平に間隔をあけてトレー内に配置することによって染色プロセス中のスライドの相互汚染を防止することができる。
【0020】
カバーグラス被覆(cover slipper)ステーション180もモジュラユニット式にすることができ、このカバーグラス被覆ステーション180は2002年4月26日出願の米国仮出願第60/375,925号の「自動カバーグラス被覆装置」に記載のようなカバーグラス被覆剤を塗布する流体カバーグラス分配器(fluid coverslipper)にすることができる。なお、この特許の内容は本明細書の一部を成す。
【0021】
[図8][図8A]に示す好ましい実施例では、変形例として、カバーグラス被覆ステーション180が開口した分配端220を有するカートリッジまたはマガジン218を有している。このマガジン218は略長方形のボックス222を規定し、このボックス222中にガラスプレートのカバーグラス210がほぼ垂直方向に重ねられている。全体を224で示した移送機構は一番上(最上部)のガラスプレート(カバーグラス)210を取り出し、標本スライド56上に乗せる。好ましい実施例では、移送機構224はレール228から吊り下げられた吸引カップ226と上下往復動可能なプランジャー230とを有している。プランジャー230はボックス222の底部を貫通して伸びて、重ねられたカバーグラスを吸引カップ226と接触させる。その結果、吸引カップ226とガラスプレートカバーグラス210とが係合する。その後、プランジャー230が後退し、吸引カップ2に保持された一番上のカバーグラスから、重ねて保存されたカバーグラス群210が離される。次いで、吸引カップ226はレール228に沿って選択されたスライドの上方まで進み、そこで吸引カップ226プがカバーグラスをスライド上に解放する。その後、吸引カップ226はマガジン218の上方へ戻る。そして、吸引カップ226と接触するようにようにプランジャー230が重ねられたカバーグラス群を押すように再起動されると上記プロセスが繰り返される。
【0022】
各カバーグラス210はほぼ平らな上面および底面を有するほぼ長方形形状で、標本スライド56よりも長さがわずかに短く、薄い。
【0023】
特に好ましい実施例では、各カバーグラス210の底面に乾燥活性化接着剤が塗布される。この場合には、流体分配ノズル232が駆動装置228に支持され、カバーグラス210の前に標本スライドの表面上に接着活性化流体を塗布する。好ましい接着剤はトルエンまたはキシレン等の低粘度流体で活性化できるPermount(登録商標)(Fisher Scientific、ピッツバーグ、ペンシルベニア州)またはShurMount(登録商標)(Triangle Biomedical、ダラム、ノースカロライナ州)である。接着剤が塗布されたカバーグラスとキシレン等の低粘度の接着活性化流体とを使用する利点はエアポケット(すなわち標本スライド56とカバーグラス210との間のエアポケット)が生成するのを避けることができる点にある。2000年11月20日出願の米国特許出願第09/716,344号には予備接着処理されたカバーグラスが記載されている。この特許の内容は本明細書の一部を成す。
【0024】
スライドトレー54は運搬/昇降機構によって上記ワークステーション間をX−Y−Z方向に運搬される。
[図1A][図1B][図9][図10A][図10B]を参照すると、運搬/昇降機構はスライドトレー支持テーブル60を有している。この支持テーブル60は昇降レール64に摺動自在に取り付けられたほぼ長方形のフレーム62を有し、このフレーム62はブラケット74を介して昇降伝達/駆動モータ78によって駆動される昇降駆動組立体76に連結されている。カウンタウエイト5はスライドトレーの重量とスライドトレーに加わるテンパー加速/減速力をオフセットするために設けられている。
【0025】
[図9][図10A][図10B]を参照すると、スライド支持テーブル60はX−Y方向へのロード/アンロード/移送機構110を有している。この機構110は駆動システム112A、112Bによって駆動されるステッパモータを有している。駆動システム112A、112Bは上方へ延びたブラケット114A、114Bを有し、これらのブラケット114A、114Bはトレー上で下方へ延びたブラケット116A、116Bと係合する。これらのブラケット116A、116Bはさらに、後で詳細に述べるように、トレー80を運搬/昇降機構上に乗せたり、下ろしたりし、また、選択されたワークステーションに乗せたり、下ろしたりする。
各トレーをワークステーション内の適切な位置に確実に位置決めするために、運搬/昇降機構は光学センサー118またはマイクロスイッチセンサー(図示せず)等の近接センサーを有する。ホール効果センサーを用いることもできる。
【0026】
上記装置は下記のように運転される。
[図11]を参照する。先ず、標本支持スライド56をスライドトレー54上に載せる。スライドトレー54はポータル66によってガレージ60内にロードされる。運搬/昇降機構がスライドトレー54の直ぐ下側に割り出された後、スライドトレーがガレージ内へ前進され、トレー54に支持された下方へ延びるブラケット116Aが運搬/昇降機構に支持された上方へ延びるブラケット114Aを過ぎた位置まで来る。次いで、運搬/昇降機構は昇降機の床がトレー54の底の高さとほぼ整合するように垂直方向に割り出され、ブラケット114Aが後退することによってトレーは運搬/昇降機上へ引き寄せられる。次に、運搬/昇降機構は焼成ステーション42の近傍位置まで「Z」方向に垂直に移動する。その後、スライドトレーはブラケット114Bによって焼成ステーション42まで「X」方向に押され、そこにトレーが載せられる。ブラケット114Bが後退し、標本支持スライドを支持するトレーが所定温度で所定時間(スライド上のパラフィンが軟化する温度および時間)で焼成される。次に、運搬/昇降機構は昇降機の床が焼成ステーション42の近傍でトレー54の底の高さよりわずかに下に来るように垂直方向に割り出され、ブラケット114Bはトレー上でブラケット116Bを過ぎた直後の所まで進む。次に、運搬/昇降機構は昇降機の床が焼成ステーション42内でトレー54の底の高さとほぼ整合するように垂直方向上方へ調節され、ブラケット114Bが後退して焼成済みのスライドを支持するトレーを焼成ステーション42から引き出す。次に、トレーは、前回と同様に、運搬/昇降機構によって脱ワックスまたは脱パラフィンステーション44に運搬され、そこでトレーはステーション44に置かれ、スライドに加熱水または脱パラフィン流体が噴霧されてパラフィンが除去される。一般に、交互に設けたスライドバンク上のノズル142から時間調節した順序で脱パラフィン流体が塗布される。脱パラフィン流体はトレー80の底に集まり、そこから吸引ノズル150によって除去され、1ミクロンの濾過器で濾過され、再循環される。吸引された脱パラフィン剤が過剰に泡立たないようにするために、廃棄物容器34は外気に通じているのが好ましい。
【0027】
吸引ノズル150が後退した後、脱パラフィンされた標本スライドを支持するスライドトレー54が脱パラフィンステーション140から取り出され、前回と同様に、運搬/昇降機によって染色ステーション160に運搬され、この染色ステーションで個々のスライドに選択された染色剤が塗布される。染色剤としてはヘマトキシリン、エオシンまたは組織標本の形態を目立たせるのに有用なその他の任意の化学的染色剤が挙げられる。過剰な染色剤および洗剤または洗浄剤はトレーの底から、トレーの中心の下がった吸引ノズルによって除去され、廃棄される。このように常に新しい染色剤が用いられるので、従来の浴型染色機に固有の問題、例えばスライドの相互汚染、染色剤の酸化および/または染色剤活性の低下等が排除される。
【0028】
吸引ノズルが後退した後、染色済みスライドが染色ステーション160から取り出される。トレーを制御された温度で制御された時間だけ乾燥するために、再び乾燥/焼成ステーションに運搬することができる。その後、染色済みスライドは焼成ステーション120から引き出され、前回と同様に、運搬/昇降システムによってカバーグラス被覆ステーション180へ運搬され、このカバーグラス被覆ステーション180でスライドの上側表面上にガラスのカバーグラスが貼られる。次いで、カバーグラスで覆われたスライドを運搬/昇降システムによってガレージ60内の保管位置へ移動させる。トレーをポータル位置に戻してそこからトレーを取り出すこともできる。
【0029】
[図12]は本発明の第2実施例の装置220を示す。この装置220も第1実施例の装置と同様に一つのシステム222の1つの部品またはモジュールとして機能する。このシステム222は大容積の流体容器232、234、236とその関連機器を有している。
【0030】
上記装置220は、第1実施例の場合と同様に、互いに重なったワークステーションを支持するフレームを有している。例えば、一つまたは複数の乾燥または焼成ステーションまたはモジュールと、脱ワックスまたは脱パラフィンステーションまたはモジュールと、一つまたは複数の染色ステーションまたはモジュール260と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール280とがタワー250内に配置されている。
この第2実施例では、焼成ステーションと脱パラフィンステーションとが単一のモジュール220内で組み合わされている。タワー250の近傍には、スライド56に支持された個々の標本の複数枚を支持するスライドトレー54([図13]参照)を乾燥/焼成、脱ワックス、染色およびカバーグラス被覆操作中にトレー保管ステーションから運搬するために上記運搬/昇降機構52と同様な運搬および昇降機構252が設けられている。
【0031】
図示した実施例では、焼成/乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションまたはモジュール240と、染色ステーションまたはモジュール260と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール280とがタワー250内に互いに垂直に配置され、コンピュータ制御される。
【0032】
[図13]を参照すると、焼成/乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション220は標本スライドを乾燥させるための制御された熱が供給される断熱区画室からなる。このステーション220はモジュラユニットであり、標本スライドの表面に放射熱を送るように配置した一対の放射加熱器パネル300、302を有するのが好ましい。スライドを加熱することは、後で詳細に説明するように、スライドを乾燥させ、スライド上のパラフィンを軟化させ、スライドに塗布された脱パラフィン流体を加熱するのに役立つ。ステーション220は標本スライドに対して所定の角度で下方を向いた一つまたは複数の脱パラフィン流体分配ノズル242を有している。脱パラフィンステーション240は10個のノズル242を2列に有するのが好ましい。各ノズルには脱パラフィン流体供給源232([図12)から共通マニホルド246を介して脱パラフィン流体が供給される。変形例では一対のノズルを移動自在にしてスライド対からスライド対へ移動させることができる。
【0033】
種々の脱パラフィン剤を用いることができるが、水溶性流体の濃縮溶液、例えばCollaterge(商標)(Colonial Chamical、S.ピッツバーグ、TN)が好ましい。Collatergeは広範囲の濃度で有効な脱パラフィン剤として用いることができ、約3〜30容量%の濃度で用いるのが好ましい。必要に応じて、この濃縮水溶液に一種以上のイオンまたは非イオン界面活性剤、例えばTriton X-100(商標)、Tween(商標)、Brij、サポニンおよび硫酸ドデシルナトリウムをさらに加えることもできる。埋込み媒体すなわちワックスの除去を容易にするためにはスライドおよび脱パラフィン流体を加熱するのがよい。例えば、埋込み媒体が融点が50〜57℃のパラフィンの場合にはスライドを約85℃の温度で焼成および予備加熱する必要がある。本発明の第2実施例の一つの特徴および利点はスライドを十分高い温度に予備加熱して脱パラフィン流体を別に予備加熱する必要をなくした点にある。スライドの予備加熱すなわちパラフィンの軟化によって脱パラフィン段階の効率が向上する。周囲条件およびワックスの種類によっては脱パラフィン流体を予備加熱されたスライドに塗布し、流体を数秒または数分間作用させた後にスライドから出た流体およびワックスを例えば水ノズル248からの脱イオン水で洗浄するだけでよい。必要に応じて、脱パラフィン流体で被覆されたスライドを洗浄の例えば5分前に例えば数分間焼成することができる。このようにして、脱パラフィンプロセスは改良される。さらに、必要とする脱パラフィン流体の量が減少し、脱パラフィン流体を濾過および再循環する必要がなくなるだけでなく、むしろ使用後の脱パラフィン流体を直接排出し、濾過し、廃棄することができるようになる。
【0034】
ステーション240は第1実施例の150と同様の流体吸引プローブ250をさらに有する。このプローブ250はステーション240内に配置されたときにトレーの中心位置にプローブの末端252がくるように回動自在に配置されている。プローブ250は管路(図示せず)と吸引ポンプ257とを介して連結された中空管であり、使用後の脱パラフィン流体は濾過器(図示せず)で濾過され、脱パラフィン中に除去された細胞が取り除かれ、廃棄される。プローブ250はプローブがトレーの中心位置の近傍にくる展開位置とトレーおよびスライド上方にくるパーキング位置との間を十分に自由に移動でき、ステーション240でのトレーおよびスライドの出し入れの動きを邪魔しないようにする必要がある。
【0035】
従来の浴式脱パラフィンステーションと比較したときの本発明の第2実施例の特徴および利点は、スライド間の相互汚染の危険性、例えば一方のスライドから他方のスライドへ細胞がキャリオーバする危険性が排除されることにある。すなわち、標本スライドには新しい脱パラフィン流体のみが塗布され、標本スライドは同一平面上に水平に間隔をあけてトレーに配置してあるのでパラフィン化プロセス中にスライド間で生じうる細胞のキャリオーバによる相互汚染が防止できる。さらに、スライドの予備加熱および/またはスライド上の脱パラフィン剤の加熱によって脱パラフィンプロセスがより効率的になる。
【0036】
この第2実施例も、第1実施例の場合と同様に、上記染色ステーション160と構造および動作が類似した染色ステーション260と、上記カバーグラス被覆ステーション180と類似したカバーグラス被覆ステーション280とを有している。第2実施例の染色システムは上記のX−Y−Z方向への運搬/昇降機構と同様なX−Y−Z方向への運搬/昇降機構をさらに有している。もちろん、第2実施例の場合にはステーションまたはモジュールの数を一つ減らすことができ、従って、複数のモジュール間の移動のタイミングおよび順序は以下で述べるように第1実施例とは異なることは理解できよう。
【0037】
本発明の第2実施例の装置は下記のように運転される。
[図14]を参照する。先ず、標本支持スライドはスライドトレーに載せられる。次いで、スライドトレーは運搬/昇降機252に載せられる。運搬/昇降機構は焼成および脱パラフィンステーション242の近傍位置まで「Z」方向に垂直に移動し、トレーはこのステーションへ送られる。標本支持スライドを支持したトレーは所定温度で所定時間(すなわちスライド上のパラフィンが軟化し、標本から水が除去され、スライドに組織が付着するような温度および時間)で焼成される。十分に加熱(例えばスライド表面の温度が85℃になるまで加熱)された時にスライドを濃縮脱パラフィン剤で被覆し、さらに5分間
加熱する。必要に応じて、交互に設けたノズル列242から濃縮脱パラフィン剤を時間調節した順序で噴霧できる。次いで、スライドは脱イオン水で洗浄され、脱パラフィン剤およびパラフィンが除去される。洗浄水、脱パラフィン剤およびパラフィンはスライドトレーの底に集まり、吸引ノズル250によって除去され、濾過によって固体が除去され、濾過液は廃棄される。
【0038】
吸引ノズル250が後退した後、脱パラフィンされた標本スライドを支持したスライドトレー54が焼成および脱パラフィンステーション240から取り出され、前回と同様に、運搬/昇降機によって染色ステーション260へ運搬され、上記のようにして染色ステーションで個々のスライドに選択された染色剤が塗布される。
次いで、染色済みのスライドが染色ステーション260から取り出される。トレーを御された温度で制御された時間だけ乾燥するために、再び焼成ステーション220に運搬することができる。その後、染色済みのスライドが焼成ステーション220から引き出され、前回と同様に、運搬/昇降システムによってカバーグラス被覆ステーション280へ運搬され、このカバーグラス被覆ステーション280でスライドの上面にガラスのカバーグラスが貼られる。次いで、キュアーを加速するためにカバーグラス被覆されたスライドを加熱/乾燥ステーションに送ることもできる。次いで、運搬/昇降システムがカバーグラスで覆われたスライドを保管場所に移動させる。トレーをシステムから取り出すこともできる。
【0039】
このシステムは「ランタイムエグゼクティブ(Run Time Executive)」とよばれるソフトウェアで作動できる。このランタイムエグゼクティブ(「RTE」)アプリケーションの任務の1つは、顕微鏡スライドを乗せた各トレーに対して各ワークステーションで実施される各種操作を順序を付け、スケジューリングすることにある。各トレーは一つまたは複数のワークステーションで必要な操作が実施され、同じワークステーションに何回も来ることになる。本システムでは一度に25個のトレーを処理できる。全てのトレーは単一の昇降機および往復動テーブルによって機器内を移動できる。また、この昇降機とテーブルとを組み合わせることでトレーはXYZ方向に移動できる。さらに、使用可能になるワークステーションをトレーが待っている間またはトレーに対する全ての操作が完了したときにトレーをは置いておくための「パーキングガレージ」を有している。ガレージ内のパーキングスロット数はトレーの最大数である25と一致する。
【0040】
トレーに対して行われる全ての動作はユーザが選択したプロトコルに基づいて行われ、特に、所望のワークステーションでの動作とトレーの優先度とを「STAT」またはノーマルとする。このプロトコルを用いた場合、上記RTEは行くべきワークステーションの順序を作成する。テーブル1つに1つしか昇降機がないので一つのサーバーでマルチジョッブをするように見える。この問題のスケジュール計算ができる場合には、トレーの到着が予測できないことを知る必要がある。同様に、ユーザはいつでもトレーの優先度を変えることができる。これらのファクターを考慮しながら、昇降機/テーブルが作業で使用可能になるたびにスケジュールが動的に決定される。昇降機/テーブルの「作業」はA点からB点へトレーを移動させることである。従って、移動が完了すれば、昇降機/テーブルは使用可能になる。このときに上記RTEはシステム中の各トレーを検査し、移動可能なリストを作成する。このプロセスは下記の通りである:
【0041】
1. 先ず第一に、トレーが移動できるかどうかを求める。トレーを移動させるのはワークステーションで作業が実行されているか、パーキング中で且つ次のワークステーションへ行く準備ができているか、パーキング中で且つ取り出す準備ができているか、異常のためにパーキングへ行く準備ができているかのいずれかでなければならない。
2. トレーが移動できる場合には、トレーの次の目的地をトレーの順序から識別し、使用可能かどうかをチェックする。ワークステーションが空で且つ操作の準備ができている場合にはワークステーションが使用可能であるとみなされる。目指すワークステーションが2つ以上ある場合には最も長く待っているワークステーションが選択される。トレーが目指すワークステーションが使用可能でない場合にはトレーはパーキングガレージへ送られる。この場合には上記RTEはトレーが次に目指すステーションに最も近い空のパーキングスロットを常に選択する。
【0042】
可能性のある全ての移動リストが作成されると、上記RTEは実行すべき1つの移動を選択する。この選択はトレーの優先度に基づいていおり、優先度が同じ場合には、トレーがシステムに到着する時間(TOA)(すなわちポータルに入る時間)で決定する。
【0043】
トレーの優先度を管理する規則は下記の通りである:
1. 最も高い優先度はその時点でスライド検出/バーコード読取りステーション内にあるトレーに割り当てられる。この最も高い優先度は往復動テーブルがこのステーションの動作と関係しているときに割り当てられる。動作が完了し、トレーが次のステーションに移動するまではこの昇降機/テーブルに他の移動を割り当てることはできない。
2. 2番目に高い優先度はユーザが指定したSTAT優先度を有するトレーに割り当てられる。
3. 3番目に高い優先度はシステムに入るためにポータルで待機しているトレーか、システムから取り出されるのを待っているガレージ内のトレーである。この優先度はユーザが機器を待って立っているような場合に適応する。
4. 最も低い優先度は上記の3つの基準を満たさない全てのトレーに割り当てられる。
【0044】
この選択のソフトウェアメカニックは移動可能な各トレーごとに作成された動的配列構造のレコードで構成される。このレコートにはトレーの識別記号、トレーに割り当てられた優先度およびトレーのTOAが含まれている。この配列は優先度、次いで、TOAによって分類され、リストの一番上に記入されている項目が昇降機/テーブルに与えられて実行されるトレーである。
【0045】
以上の説明から、本発明がスライド上の生物標本を高出力量で染色できる集積システムを提供することが理解できよう。本発明の利点の一つは脱パラフィンプロセス中に除去された生物細胞による酸化および/または汚染によって劣化しやすい従来の浸漬式の脱パラフィンおよび/または染色浴を無くすことができる点にある。本発明ではそれとはむしろ逆に、きれいで新しい(または常に濾過された)脱パラフィン剤または染色試薬を使用することでスライドからスライドへの細胞のキャリーオーバの可能性を無くしている。
さらに、スライド1枚当たりの試薬の使用量が従来の浸漬浴の場合とほぼ同じ(350μl)であることは驚くべきことである。本発明は焼成段階からカバーグラス被覆段階まで染色スライドを完全に集積化した高出力量システムを初めて提供するものであり、この方法は現在市販されているシステムでは実行できない方法である。
【0046】
本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明を種々の変更できる。例えば、本発明装置に2つ以上の染色ステーションモジュール、2つ以上の焼成ステーションモジュール、2つ以上の脱パラフィンステーションモジュールおよび/または2つ以上の焼成と脱パラフィンとを組み合わせたステーションモジュールを設けて出力量をさらに増加させることができる。本発明の特定の特徴および利点の1つはシステムのフットプリントを増やさずに、追加のステーションモジュールを垂直方向に追加することができることにある。
変形例では、[図1]の仮想破線で示すように、2つ以上の追加タワーすなわち互いに重ねたワークステーション50Aに単一の運搬/昇降機システムで供給を行うことができる。
他の試験、例えばin situ ハイブリダイゼーション(一般にDNA/RNAプローブ)や免疫組織化学(典型は抗体)で実施される試験を行うために本発明装置で他の試薬を用いることができる。
本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明をさらに他の変更することができる。本発明の範囲は特許請求の範囲に定義され、上記明細書に照らして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例の高速自動染色装置の単純化した平面図。
【図1A】本発明の第1実施例の高速自動染色装置の部分正面図。
【図1B】本発明の第1実施例の高速自動染色装置の部分背面図。
【図1C】本発明のトレー保管ステーションすなわち「ガレージ」部分を内側から見た斜視図。
【図1D】本発明のトレー保管ステーションすなわち「ガレージ」部分を外側から見た分解斜視図。
【図2】本発明で使用する標本スライド支持トレーの詳細斜視図。
【図2A】本発明で使用する標本スライド支持トレーの詳細分解図。
【図3】本発明の第1実施例の脱パラフィンモジュール部分の分解斜視図。
【図3A】図3の脱パラフィンモジュールのノズルとマニホルド部分の平面図。
【図4】本発明の第1実施例の加熱または焼成モジュールの図3と同様な分解斜視図。
【図5】本発明の第1実施例の脱パラフィン流体回収システムの詳細斜視図。
【図6】本発明の第1実施例の脱パラフィン流体システムの配管概念図。
【図7】本発明の染色剤塗布モジュールの図3と同様な分解斜視図。
【図8】本発明のカバーグラス被覆モジュールの斜視図。
【図8A】図8のカバーグラス被覆モジュールのカバーグラス被覆カートリッジ部分の斜視図。
【図9】本発明のスライドトレー運搬・昇降機部分の詳細分解図。
【図10A】本発明のスライドトレー運搬・昇降機部分のX−Yテーブルの詳細斜視図。
【図10B】本発明のスライドトレー運搬・昇降機部分のX−Yテーブルの図10Aと異なる詳細斜視図。
【図11】本発明の第1実施例のフローダイヤグラム。
【図12】本発明の高速自動染色装置の第2実施例の図1と同様なの平面図。
【図13】本発明の第2実施例の焼成・脱パラフィン複合モジュール部分の分解図。
【図14】本発明の第2実施例を示す図11と同様なフローダイヤグラム。
【技術分野】
【0001】
本発明は医学診断機器に関するものである。
本発明は特に、顕微鏡のスライド上の生物学的標本の自動染色に有用である。従って、以下、この用途で本発明を説明するが、本発明はその他の用途でも使用できる。
本出願は米国仮出願第60/372,506号(2002年4月15日出願)に基くものである。
【背景技術】
【0002】
明視野顕微鏡下では、組織の成分が見えるように処理しても、多くの組織に十分な色を付けることができない。そのため、一般には組織に着色剤または染料を加えて組織を染色する。最も広範に使用されている組織染色剤はヘマトキシリンとエオシン(「H&E」)染色剤であろう。これらは比較的単純に使用でき、大くの各種組織構造体をはっきりと見せることができるために広く用いられている。ヘマトキシリンは種々の方法で調整でき、各種部位から組織に広く適用できる。ヘマトキシリン成分は基本的に細胞核を青/黒に染色して核間細部を良く示す。これに対してエオシンは細胞質と大抵の結合組織繊維とを異
なる明度および輝度でピンク、オレンジ、赤に染色する。
【0003】
染色した顕微鏡スライド、通常はH&Eパラフィン片は病理学者または細胞学者によって検査されて正確な診断が行われる。このH&E染色は自動染色機を用いて大量に行なわれる。難しい組織学的解釈を避けるためには一貫性に対するニーズが最重要事項である。
一般に、自動染色機を用い、各段階の時間を調節することによって正確で一貫した染色、識別および脱水を行うことができる。
【0004】
一般には一定の標準的操作を用いてスライド上の組織を染色する。大部分の染色剤は水溶液またはアルコール溶液で塗布され、パラフィンが浸透した組織には浸透しないので、先ず最初に、パラフィン片を脱パラフィンしなければならない。典型的にはスライドを脱パラフィン後にスライドをオーブン等の加熱室で焼いて、脱パラフィン溶剤を追い出す。
その後、スライドに組織を付着させ、組織を標準的な染色剤、例えばヘマトキシリンとエオシンを用いて染色する。最後に、染色済みの組織片上に薄いカバーグラスを乗せて組織片をカバーグラスで覆う。次に、取付剤で密封して保存に適した密封環境にする。
従来はこれらの全ての工程を細胞学技術者が手作業で行ってきた。しかし、病理学者の検査用および解釈用にヒトの組織標本を調製・染色する研究所の技術者は減りつつある。
従って、脱パラフィンからカバーグラスの被覆までの全ての段階を自動化することが要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は顕微鏡スライド上に乗せた生物組織片に染色剤を塗布する自動スライド染色システムを提供する。
本発明は特に、スライド上に支持された多数の生物標本の脱パラフィン、染色、カバーグラス被覆操作を完全自動化され集積化されたシステムで行う自動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましい一つの実施例として、互いに重ねられた複数のワークステーションと、複数の標本スライドを支持した1つのスライドトレーを複数のワークステーションの間を移動させる運搬/昇降機とを含む自動装置を提供する。この場合、スライド上に支持された標本は乾燥、焼成、脱ワックスされ、染色準備され、染色剤が塗布され、最後に密封または覆われて、スライドは分析、研究用あるいは分析結果の永久記録用として保存される。
本発明はさらに、病理学的分析のために顕微鏡スライド上で組織標本を自動的に調製する方法を提供する。この方法は、組織がスライドに付着するのに十分な熱を機器を用いて組織に加えて組織標本をスライド上に焼成し、パラフィンの融点以上の温度で組織標本を脱パラフィン流体と接触させ、液化パラフィンを洗浄除去して組織標本を脱パラフィンし、組織標本を染色試薬と接触させ、スライド上の染色済み組織標本を予備接着されたカバーグラスおよび接着活性化流体と接触させてスライドをカバーグラスで覆う段階からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の上記以外の特徴および利点は添付図面を参照した以下の説明からより良く理解できよう。
本発明の染色システムはスライド上に載った生物標本の処理、染色およびカバーグラス被覆操作の全ての段階を効率的な高速操作で行う。特に、生物標本を支持したスライドはスライドトレー上に載せられ、こうして標本スライドを支持したスライドトレーが本発明システムにロードされる。本発明システムではスライドの焼成、脱ワックス、染色およびカバーグラス被覆操作の一連の段階が実施される。
本発明方法では顕微鏡スライド上で病理分析用に組織標本が自動的に調製される。本発明方法では組織がスライドに付着するのに十分な熱を機器を用いて組織に加えて組織標本をスライド上に焼成し、パラフィンの融点以上の温度で組織標本を脱パラフィン流体と接触させ、液化パラフィンを洗浄除去して組織標本を脱パラフィンし、組織標本を染色試薬と接触させ、さらに、スライド上の染色済み組織標本を予備接着されたカバーグラスおよび接着活性化流体と接触させてスライドをカバーグラスで覆う。
【実施例】
【0008】
[図1]を参照すると、本発明の第1実施例の装置20は一つのシステム22の一つの部品またはモジュールとして機能する。このシステム22は大容積の流体容器32、34、36とその関連機器をさらに有している。
[図1A]と[図1B]も参照して説明すると、上記装置20は互いに重ねられた複数のワークステーションを支持するフレーム40を有している。例えば、一つまたは複数の乾燥または焼成ステーションまたはモジュール120と、脱ワックスまたは脱パラフィンステーションまたはモジュール140と、一つまたは複数の染色ステーションまたはモジュール160と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール180はがタワー50の内部に配置されている。タワー50の近傍には運搬/昇降機構52が設けられている。
この運搬/昇降機構52は乾燥/焼成、脱ワックス、染色およびカバーグラス被覆操作時に個々の標本が乗ったスライド56の複数枚を支持したスライドトレー54をトレー保管ステーションまたは「ガレージ」60から運搬する。
【0009】
[図1B]と[図1C]にはこのトレー保管ガレージまたはステーション60が示してある。このステーション60は一対の支柱62A、62Bを有し、これらの支柱62は垂直方向に間隔をあけて配置された複数の棚またはスキッドを支持し、各棚またはスキッドにはスライドトレー54が収容される。
[図1D](図を明瞭にするためにガレージ60の外板またはカバーは省略してある)から分るように、トレー保管ガレージまたはステーション60は第1棚位置へアクセスするための回動自在に取り付けられたドアを有している。第1棚位置の下側方にはトレーをポータル (portal)に出し入れするためのトレー駆動組立体(全体を68で示す)が配置されている。このトレー駆動組立体は駆動モータ/伝動装置72によって駆動される一対の回転駆動輪70を有している。
【0010】
[図2]、[図2A]から分るように、スライドトレー54は一般に長方形の平ら皿またはスライドトレー80からなるのが好ましい。このスライドトレー80は底壁82と、互いに対向した2つの側壁84と、互いに対向した2つの端壁86とを有する。一般に、スライドトレーはこの種の用途で用いられる合成ポリマーで作られ、当業界で周知の射出成形で成形される。
【0011】
トレー80は標本スライドを同一面上にほぼ水平位置に保持するための標本スライド支持ラック90を有している。全てのスライドを同一面上に保持することによって、後で説明するように焼成および乾燥が容易になり、脱パラフィンおよび染色中のスライドの相互汚染を防止することができる。ラック90はスライドトレーに配置した標本スライド56の軸線方向、横方向および垂直方向の移動を制限する複数のバネ式スライド支持体92を有している。ラック90は標本スライド底とトレー底との間にフィルムまたは泡が生成するのを抑制または防止するのに十分な高さでトレー底80の上方に支持される。バネ式スライド支持体92は標本スライドの互いに対向する2つの端縁96に力を加えることによって個々の標本スライドを定位置に保持する。後で詳細に説明するように、スライドトレーの床は中央へ向かって傾斜し、脱ワックス流体および染色剤が中心位置104へ流れ、そこから排出するようになっている。このトレー80を用いることによって、乾燥/焼成、脱パラフィン、染色およびカバーグラス被覆の各段階で複数の標本スライドを自動処理することが可能になる。好ましい実施例ではトレー80ははねかけ(splash)レール106を有し、16枚の標本スライドを水平格子状に配置して収容する(横に2枚、縦に8枚)。
【0012】
図示した実施例の染色システムでは、タワー50内部に乾燥/焼成ステーションまたはモジュール120と、脱パラフィンステーションまたはモジュール140と、染色ステーションまたはモジュール160と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール180とが垂直に配置され、これらがコンピュータ制御される。
[図4]を参照すると、乾燥/焼成ステーション120は標本スライドを乾燥させるための制御された熱を供給する断熱区画室を有している。この乾燥/焼成ステーション120はモジュラユニットであり、標本スライドの表面に熱風が当るように配置された対流加熱器122を有するのが好ましい。本発明の特徴および利点の1つはスライドを水平に並べて対流乾燥を効率的に行う点にある。
【0013】
[図3]および[図3A]を参照すると、脱パラフィンステーション140はモジュラ型区画室であり、標本スライドに対して所定角度で下方を向いた一つまたは複数の洗浄分配ノズル142を有している。この脱パラフィンステーション140は10個のノズル142の2つのバンク144A、Bからなるのが好ましい。各ノズルには脱パラフィン流体供給源32から共通マニホルド146A、Bを介して脱パラフィン流体が供給される。この脱パラフィン流体供給源32は本発明の好ましい実施例では温水と洗浄剤とからなる。
変形例では一対のノズル142を可動にし、一方のスライド対から他方のスライド対へ移動させることができる。
【0014】
脱パラフィン剤としては種々のものを用いることができる。好ましくは2000年11月22日出願の米国特許出願第09/721,096号および2003年4月8日に公開された下記文献に開示の水溶性流体を用いることができる。
【特許文献1】米国特許第6,544,798号明細書
【0015】
具体例としては脱イオン水、クエン酸緩衝液(pH6.0〜8.0)、トリスHCl緩衝液(pH6〜10)、リン酸緩衝液(pH6.0〜8.0)、FSC緩衝液、APK洗浄(商標)、酸性緩衝液または溶液(pH1〜6.9)、塩基性緩衝液または溶液(pH7.1〜14)が挙げられる。必要に応じて、水溶性流体は一種以上のイオンまたは非イオン界面活性剤、例えばTriton X-100(商標)、Tween(商標)
、Brij、サポニン、および、硫酸ドデシルナトリウムを含むこともできる。一般に、脱パラフィン流体は加熱する。例えば、埋込み媒体が融点が50〜57℃のパラフィンの場合、流体をパラフィンの融点より高い温度、例えば60〜70℃に加熱する必要がある。一般に、流体は流体供給源中で加熱する。
【0016】
[図5][図6]を参照すると、脱パラフィンステーション140は流体吸引プローブ150をさらに有する。この流体吸引プローブ150は脱パラフィンステーション140内部に配置されたときにトレー80の中心位置104にプローブ150の末端が配置されるように回動される。流体吸引プローブ150は管路(図示せず)および吸引ポンプ157を介して脱パラフィン剤の分離器(図示せず)に連結された中空管である。脱パラフィン流体は流体供給源21へ戻され、ここで加熱器によって加熱され、必要に応じて濾過器154で濾過され、脱パラフィン中に除去された細胞等が取り除かれ、再使用される。必要に応じて、蓄積したパラフィンを例えばスキミングによって除去することができる。流体吸引プローブ150はそれがトレーの中心位置104の近傍にくる展開位置とトレーおよびスライド上方にくるパーキング位置との間を十分に自由に移動でき、脱パラフィンステーション140におけるトレーおよびスライドの出し入れの動きを邪魔しないようにする必要がある。
【0017】
従来の浴式脱パラフィンステーションと比較した本発明の特徴および利点の一つは、スライド間の相互汚染の可能性、例えば一方のスライドから他方のスライドへ細胞がキャリオーバする危険性が排除されることにある。すなわち、標本スライドに供給される脱パラフィン流体は濾過した新規なものであり、標本スライドは同一平面上に水平に間隔をあけてトレー内に配置されているので、パラフィン化プロセス中にスライド間で生じうる細胞のキャリオーバによる相互汚染は防止できる。さらに、脱パラフィンプロセスは加熱された脱パラフィン剤の使用でより効率的になる。
【0018】
[図7]に示す染色ステーション160は2つ以上の染色剤分配/洗浄ノズル162を有するモジュラ型区画室である。本発明の好ましい実施例では染色ステーション160は一対の染色剤分配ノズル162を有している。各染色剤分配ノズル162はスクリュードライバー165とリニアモーター(図示せず)によってシャフト163に沿って標本スライド対から標本スライド対へステップ状に移動する。染色剤分配ノズル162は弁、導管および正圧ポンプ(図示せず)を介して染色貯蔵器168A、B、C、Dに選択的に連結される。変形例ではこれらのノズルが洗浄液体源、通常はDI水(必要に応じて界面活性
剤を含む)に選択的に連結される。
【0019】
染色ステーション160にも上記の流体吸引ノズル150と同様な流体吸引ノズル170が設けられていて、ノズル170の末端172が染色ステーション160内部のトレーの中心位置104の近傍にくる作業位置とトレーおよびスライド上方のパーキング位置との間で回動でき、染色ステーション160でのトレーおよびスライドの出し入れの動きを邪魔しないようになっている。吸引ノズル170は管路(図示せず)および吸引ポンプ(図示せず)を介して廃棄物容器38に連結されている。脱パラフィンステーションの場合と同様に、標本スライドを同一平面上に水平に間隔をあけてトレー内に配置することによって染色プロセス中のスライドの相互汚染を防止することができる。
【0020】
カバーグラス被覆(cover slipper)ステーション180もモジュラユニット式にすることができ、このカバーグラス被覆ステーション180は2002年4月26日出願の米国仮出願第60/375,925号の「自動カバーグラス被覆装置」に記載のようなカバーグラス被覆剤を塗布する流体カバーグラス分配器(fluid coverslipper)にすることができる。なお、この特許の内容は本明細書の一部を成す。
【0021】
[図8][図8A]に示す好ましい実施例では、変形例として、カバーグラス被覆ステーション180が開口した分配端220を有するカートリッジまたはマガジン218を有している。このマガジン218は略長方形のボックス222を規定し、このボックス222中にガラスプレートのカバーグラス210がほぼ垂直方向に重ねられている。全体を224で示した移送機構は一番上(最上部)のガラスプレート(カバーグラス)210を取り出し、標本スライド56上に乗せる。好ましい実施例では、移送機構224はレール228から吊り下げられた吸引カップ226と上下往復動可能なプランジャー230とを有している。プランジャー230はボックス222の底部を貫通して伸びて、重ねられたカバーグラスを吸引カップ226と接触させる。その結果、吸引カップ226とガラスプレートカバーグラス210とが係合する。その後、プランジャー230が後退し、吸引カップ2に保持された一番上のカバーグラスから、重ねて保存されたカバーグラス群210が離される。次いで、吸引カップ226はレール228に沿って選択されたスライドの上方まで進み、そこで吸引カップ226プがカバーグラスをスライド上に解放する。その後、吸引カップ226はマガジン218の上方へ戻る。そして、吸引カップ226と接触するようにようにプランジャー230が重ねられたカバーグラス群を押すように再起動されると上記プロセスが繰り返される。
【0022】
各カバーグラス210はほぼ平らな上面および底面を有するほぼ長方形形状で、標本スライド56よりも長さがわずかに短く、薄い。
【0023】
特に好ましい実施例では、各カバーグラス210の底面に乾燥活性化接着剤が塗布される。この場合には、流体分配ノズル232が駆動装置228に支持され、カバーグラス210の前に標本スライドの表面上に接着活性化流体を塗布する。好ましい接着剤はトルエンまたはキシレン等の低粘度流体で活性化できるPermount(登録商標)(Fisher Scientific、ピッツバーグ、ペンシルベニア州)またはShurMount(登録商標)(Triangle Biomedical、ダラム、ノースカロライナ州)である。接着剤が塗布されたカバーグラスとキシレン等の低粘度の接着活性化流体とを使用する利点はエアポケット(すなわち標本スライド56とカバーグラス210との間のエアポケット)が生成するのを避けることができる点にある。2000年11月20日出願の米国特許出願第09/716,344号には予備接着処理されたカバーグラスが記載されている。この特許の内容は本明細書の一部を成す。
【0024】
スライドトレー54は運搬/昇降機構によって上記ワークステーション間をX−Y−Z方向に運搬される。
[図1A][図1B][図9][図10A][図10B]を参照すると、運搬/昇降機構はスライドトレー支持テーブル60を有している。この支持テーブル60は昇降レール64に摺動自在に取り付けられたほぼ長方形のフレーム62を有し、このフレーム62はブラケット74を介して昇降伝達/駆動モータ78によって駆動される昇降駆動組立体76に連結されている。カウンタウエイト5はスライドトレーの重量とスライドトレーに加わるテンパー加速/減速力をオフセットするために設けられている。
【0025】
[図9][図10A][図10B]を参照すると、スライド支持テーブル60はX−Y方向へのロード/アンロード/移送機構110を有している。この機構110は駆動システム112A、112Bによって駆動されるステッパモータを有している。駆動システム112A、112Bは上方へ延びたブラケット114A、114Bを有し、これらのブラケット114A、114Bはトレー上で下方へ延びたブラケット116A、116Bと係合する。これらのブラケット116A、116Bはさらに、後で詳細に述べるように、トレー80を運搬/昇降機構上に乗せたり、下ろしたりし、また、選択されたワークステーションに乗せたり、下ろしたりする。
各トレーをワークステーション内の適切な位置に確実に位置決めするために、運搬/昇降機構は光学センサー118またはマイクロスイッチセンサー(図示せず)等の近接センサーを有する。ホール効果センサーを用いることもできる。
【0026】
上記装置は下記のように運転される。
[図11]を参照する。先ず、標本支持スライド56をスライドトレー54上に載せる。スライドトレー54はポータル66によってガレージ60内にロードされる。運搬/昇降機構がスライドトレー54の直ぐ下側に割り出された後、スライドトレーがガレージ内へ前進され、トレー54に支持された下方へ延びるブラケット116Aが運搬/昇降機構に支持された上方へ延びるブラケット114Aを過ぎた位置まで来る。次いで、運搬/昇降機構は昇降機の床がトレー54の底の高さとほぼ整合するように垂直方向に割り出され、ブラケット114Aが後退することによってトレーは運搬/昇降機上へ引き寄せられる。次に、運搬/昇降機構は焼成ステーション42の近傍位置まで「Z」方向に垂直に移動する。その後、スライドトレーはブラケット114Bによって焼成ステーション42まで「X」方向に押され、そこにトレーが載せられる。ブラケット114Bが後退し、標本支持スライドを支持するトレーが所定温度で所定時間(スライド上のパラフィンが軟化する温度および時間)で焼成される。次に、運搬/昇降機構は昇降機の床が焼成ステーション42の近傍でトレー54の底の高さよりわずかに下に来るように垂直方向に割り出され、ブラケット114Bはトレー上でブラケット116Bを過ぎた直後の所まで進む。次に、運搬/昇降機構は昇降機の床が焼成ステーション42内でトレー54の底の高さとほぼ整合するように垂直方向上方へ調節され、ブラケット114Bが後退して焼成済みのスライドを支持するトレーを焼成ステーション42から引き出す。次に、トレーは、前回と同様に、運搬/昇降機構によって脱ワックスまたは脱パラフィンステーション44に運搬され、そこでトレーはステーション44に置かれ、スライドに加熱水または脱パラフィン流体が噴霧されてパラフィンが除去される。一般に、交互に設けたスライドバンク上のノズル142から時間調節した順序で脱パラフィン流体が塗布される。脱パラフィン流体はトレー80の底に集まり、そこから吸引ノズル150によって除去され、1ミクロンの濾過器で濾過され、再循環される。吸引された脱パラフィン剤が過剰に泡立たないようにするために、廃棄物容器34は外気に通じているのが好ましい。
【0027】
吸引ノズル150が後退した後、脱パラフィンされた標本スライドを支持するスライドトレー54が脱パラフィンステーション140から取り出され、前回と同様に、運搬/昇降機によって染色ステーション160に運搬され、この染色ステーションで個々のスライドに選択された染色剤が塗布される。染色剤としてはヘマトキシリン、エオシンまたは組織標本の形態を目立たせるのに有用なその他の任意の化学的染色剤が挙げられる。過剰な染色剤および洗剤または洗浄剤はトレーの底から、トレーの中心の下がった吸引ノズルによって除去され、廃棄される。このように常に新しい染色剤が用いられるので、従来の浴型染色機に固有の問題、例えばスライドの相互汚染、染色剤の酸化および/または染色剤活性の低下等が排除される。
【0028】
吸引ノズルが後退した後、染色済みスライドが染色ステーション160から取り出される。トレーを制御された温度で制御された時間だけ乾燥するために、再び乾燥/焼成ステーションに運搬することができる。その後、染色済みスライドは焼成ステーション120から引き出され、前回と同様に、運搬/昇降システムによってカバーグラス被覆ステーション180へ運搬され、このカバーグラス被覆ステーション180でスライドの上側表面上にガラスのカバーグラスが貼られる。次いで、カバーグラスで覆われたスライドを運搬/昇降システムによってガレージ60内の保管位置へ移動させる。トレーをポータル位置に戻してそこからトレーを取り出すこともできる。
【0029】
[図12]は本発明の第2実施例の装置220を示す。この装置220も第1実施例の装置と同様に一つのシステム222の1つの部品またはモジュールとして機能する。このシステム222は大容積の流体容器232、234、236とその関連機器を有している。
【0030】
上記装置220は、第1実施例の場合と同様に、互いに重なったワークステーションを支持するフレームを有している。例えば、一つまたは複数の乾燥または焼成ステーションまたはモジュールと、脱ワックスまたは脱パラフィンステーションまたはモジュールと、一つまたは複数の染色ステーションまたはモジュール260と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール280とがタワー250内に配置されている。
この第2実施例では、焼成ステーションと脱パラフィンステーションとが単一のモジュール220内で組み合わされている。タワー250の近傍には、スライド56に支持された個々の標本の複数枚を支持するスライドトレー54([図13]参照)を乾燥/焼成、脱ワックス、染色およびカバーグラス被覆操作中にトレー保管ステーションから運搬するために上記運搬/昇降機構52と同様な運搬および昇降機構252が設けられている。
【0031】
図示した実施例では、焼成/乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションまたはモジュール240と、染色ステーションまたはモジュール260と、カバーグラス被覆ステーションまたはモジュール280とがタワー250内に互いに垂直に配置され、コンピュータ制御される。
【0032】
[図13]を参照すると、焼成/乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション220は標本スライドを乾燥させるための制御された熱が供給される断熱区画室からなる。このステーション220はモジュラユニットであり、標本スライドの表面に放射熱を送るように配置した一対の放射加熱器パネル300、302を有するのが好ましい。スライドを加熱することは、後で詳細に説明するように、スライドを乾燥させ、スライド上のパラフィンを軟化させ、スライドに塗布された脱パラフィン流体を加熱するのに役立つ。ステーション220は標本スライドに対して所定の角度で下方を向いた一つまたは複数の脱パラフィン流体分配ノズル242を有している。脱パラフィンステーション240は10個のノズル242を2列に有するのが好ましい。各ノズルには脱パラフィン流体供給源232([図12)から共通マニホルド246を介して脱パラフィン流体が供給される。変形例では一対のノズルを移動自在にしてスライド対からスライド対へ移動させることができる。
【0033】
種々の脱パラフィン剤を用いることができるが、水溶性流体の濃縮溶液、例えばCollaterge(商標)(Colonial Chamical、S.ピッツバーグ、TN)が好ましい。Collatergeは広範囲の濃度で有効な脱パラフィン剤として用いることができ、約3〜30容量%の濃度で用いるのが好ましい。必要に応じて、この濃縮水溶液に一種以上のイオンまたは非イオン界面活性剤、例えばTriton X-100(商標)、Tween(商標)、Brij、サポニンおよび硫酸ドデシルナトリウムをさらに加えることもできる。埋込み媒体すなわちワックスの除去を容易にするためにはスライドおよび脱パラフィン流体を加熱するのがよい。例えば、埋込み媒体が融点が50〜57℃のパラフィンの場合にはスライドを約85℃の温度で焼成および予備加熱する必要がある。本発明の第2実施例の一つの特徴および利点はスライドを十分高い温度に予備加熱して脱パラフィン流体を別に予備加熱する必要をなくした点にある。スライドの予備加熱すなわちパラフィンの軟化によって脱パラフィン段階の効率が向上する。周囲条件およびワックスの種類によっては脱パラフィン流体を予備加熱されたスライドに塗布し、流体を数秒または数分間作用させた後にスライドから出た流体およびワックスを例えば水ノズル248からの脱イオン水で洗浄するだけでよい。必要に応じて、脱パラフィン流体で被覆されたスライドを洗浄の例えば5分前に例えば数分間焼成することができる。このようにして、脱パラフィンプロセスは改良される。さらに、必要とする脱パラフィン流体の量が減少し、脱パラフィン流体を濾過および再循環する必要がなくなるだけでなく、むしろ使用後の脱パラフィン流体を直接排出し、濾過し、廃棄することができるようになる。
【0034】
ステーション240は第1実施例の150と同様の流体吸引プローブ250をさらに有する。このプローブ250はステーション240内に配置されたときにトレーの中心位置にプローブの末端252がくるように回動自在に配置されている。プローブ250は管路(図示せず)と吸引ポンプ257とを介して連結された中空管であり、使用後の脱パラフィン流体は濾過器(図示せず)で濾過され、脱パラフィン中に除去された細胞が取り除かれ、廃棄される。プローブ250はプローブがトレーの中心位置の近傍にくる展開位置とトレーおよびスライド上方にくるパーキング位置との間を十分に自由に移動でき、ステーション240でのトレーおよびスライドの出し入れの動きを邪魔しないようにする必要がある。
【0035】
従来の浴式脱パラフィンステーションと比較したときの本発明の第2実施例の特徴および利点は、スライド間の相互汚染の危険性、例えば一方のスライドから他方のスライドへ細胞がキャリオーバする危険性が排除されることにある。すなわち、標本スライドには新しい脱パラフィン流体のみが塗布され、標本スライドは同一平面上に水平に間隔をあけてトレーに配置してあるのでパラフィン化プロセス中にスライド間で生じうる細胞のキャリオーバによる相互汚染が防止できる。さらに、スライドの予備加熱および/またはスライド上の脱パラフィン剤の加熱によって脱パラフィンプロセスがより効率的になる。
【0036】
この第2実施例も、第1実施例の場合と同様に、上記染色ステーション160と構造および動作が類似した染色ステーション260と、上記カバーグラス被覆ステーション180と類似したカバーグラス被覆ステーション280とを有している。第2実施例の染色システムは上記のX−Y−Z方向への運搬/昇降機構と同様なX−Y−Z方向への運搬/昇降機構をさらに有している。もちろん、第2実施例の場合にはステーションまたはモジュールの数を一つ減らすことができ、従って、複数のモジュール間の移動のタイミングおよび順序は以下で述べるように第1実施例とは異なることは理解できよう。
【0037】
本発明の第2実施例の装置は下記のように運転される。
[図14]を参照する。先ず、標本支持スライドはスライドトレーに載せられる。次いで、スライドトレーは運搬/昇降機252に載せられる。運搬/昇降機構は焼成および脱パラフィンステーション242の近傍位置まで「Z」方向に垂直に移動し、トレーはこのステーションへ送られる。標本支持スライドを支持したトレーは所定温度で所定時間(すなわちスライド上のパラフィンが軟化し、標本から水が除去され、スライドに組織が付着するような温度および時間)で焼成される。十分に加熱(例えばスライド表面の温度が85℃になるまで加熱)された時にスライドを濃縮脱パラフィン剤で被覆し、さらに5分間
加熱する。必要に応じて、交互に設けたノズル列242から濃縮脱パラフィン剤を時間調節した順序で噴霧できる。次いで、スライドは脱イオン水で洗浄され、脱パラフィン剤およびパラフィンが除去される。洗浄水、脱パラフィン剤およびパラフィンはスライドトレーの底に集まり、吸引ノズル250によって除去され、濾過によって固体が除去され、濾過液は廃棄される。
【0038】
吸引ノズル250が後退した後、脱パラフィンされた標本スライドを支持したスライドトレー54が焼成および脱パラフィンステーション240から取り出され、前回と同様に、運搬/昇降機によって染色ステーション260へ運搬され、上記のようにして染色ステーションで個々のスライドに選択された染色剤が塗布される。
次いで、染色済みのスライドが染色ステーション260から取り出される。トレーを御された温度で制御された時間だけ乾燥するために、再び焼成ステーション220に運搬することができる。その後、染色済みのスライドが焼成ステーション220から引き出され、前回と同様に、運搬/昇降システムによってカバーグラス被覆ステーション280へ運搬され、このカバーグラス被覆ステーション280でスライドの上面にガラスのカバーグラスが貼られる。次いで、キュアーを加速するためにカバーグラス被覆されたスライドを加熱/乾燥ステーションに送ることもできる。次いで、運搬/昇降システムがカバーグラスで覆われたスライドを保管場所に移動させる。トレーをシステムから取り出すこともできる。
【0039】
このシステムは「ランタイムエグゼクティブ(Run Time Executive)」とよばれるソフトウェアで作動できる。このランタイムエグゼクティブ(「RTE」)アプリケーションの任務の1つは、顕微鏡スライドを乗せた各トレーに対して各ワークステーションで実施される各種操作を順序を付け、スケジューリングすることにある。各トレーは一つまたは複数のワークステーションで必要な操作が実施され、同じワークステーションに何回も来ることになる。本システムでは一度に25個のトレーを処理できる。全てのトレーは単一の昇降機および往復動テーブルによって機器内を移動できる。また、この昇降機とテーブルとを組み合わせることでトレーはXYZ方向に移動できる。さらに、使用可能になるワークステーションをトレーが待っている間またはトレーに対する全ての操作が完了したときにトレーをは置いておくための「パーキングガレージ」を有している。ガレージ内のパーキングスロット数はトレーの最大数である25と一致する。
【0040】
トレーに対して行われる全ての動作はユーザが選択したプロトコルに基づいて行われ、特に、所望のワークステーションでの動作とトレーの優先度とを「STAT」またはノーマルとする。このプロトコルを用いた場合、上記RTEは行くべきワークステーションの順序を作成する。テーブル1つに1つしか昇降機がないので一つのサーバーでマルチジョッブをするように見える。この問題のスケジュール計算ができる場合には、トレーの到着が予測できないことを知る必要がある。同様に、ユーザはいつでもトレーの優先度を変えることができる。これらのファクターを考慮しながら、昇降機/テーブルが作業で使用可能になるたびにスケジュールが動的に決定される。昇降機/テーブルの「作業」はA点からB点へトレーを移動させることである。従って、移動が完了すれば、昇降機/テーブルは使用可能になる。このときに上記RTEはシステム中の各トレーを検査し、移動可能なリストを作成する。このプロセスは下記の通りである:
【0041】
1. 先ず第一に、トレーが移動できるかどうかを求める。トレーを移動させるのはワークステーションで作業が実行されているか、パーキング中で且つ次のワークステーションへ行く準備ができているか、パーキング中で且つ取り出す準備ができているか、異常のためにパーキングへ行く準備ができているかのいずれかでなければならない。
2. トレーが移動できる場合には、トレーの次の目的地をトレーの順序から識別し、使用可能かどうかをチェックする。ワークステーションが空で且つ操作の準備ができている場合にはワークステーションが使用可能であるとみなされる。目指すワークステーションが2つ以上ある場合には最も長く待っているワークステーションが選択される。トレーが目指すワークステーションが使用可能でない場合にはトレーはパーキングガレージへ送られる。この場合には上記RTEはトレーが次に目指すステーションに最も近い空のパーキングスロットを常に選択する。
【0042】
可能性のある全ての移動リストが作成されると、上記RTEは実行すべき1つの移動を選択する。この選択はトレーの優先度に基づいていおり、優先度が同じ場合には、トレーがシステムに到着する時間(TOA)(すなわちポータルに入る時間)で決定する。
【0043】
トレーの優先度を管理する規則は下記の通りである:
1. 最も高い優先度はその時点でスライド検出/バーコード読取りステーション内にあるトレーに割り当てられる。この最も高い優先度は往復動テーブルがこのステーションの動作と関係しているときに割り当てられる。動作が完了し、トレーが次のステーションに移動するまではこの昇降機/テーブルに他の移動を割り当てることはできない。
2. 2番目に高い優先度はユーザが指定したSTAT優先度を有するトレーに割り当てられる。
3. 3番目に高い優先度はシステムに入るためにポータルで待機しているトレーか、システムから取り出されるのを待っているガレージ内のトレーである。この優先度はユーザが機器を待って立っているような場合に適応する。
4. 最も低い優先度は上記の3つの基準を満たさない全てのトレーに割り当てられる。
【0044】
この選択のソフトウェアメカニックは移動可能な各トレーごとに作成された動的配列構造のレコードで構成される。このレコートにはトレーの識別記号、トレーに割り当てられた優先度およびトレーのTOAが含まれている。この配列は優先度、次いで、TOAによって分類され、リストの一番上に記入されている項目が昇降機/テーブルに与えられて実行されるトレーである。
【0045】
以上の説明から、本発明がスライド上の生物標本を高出力量で染色できる集積システムを提供することが理解できよう。本発明の利点の一つは脱パラフィンプロセス中に除去された生物細胞による酸化および/または汚染によって劣化しやすい従来の浸漬式の脱パラフィンおよび/または染色浴を無くすことができる点にある。本発明ではそれとはむしろ逆に、きれいで新しい(または常に濾過された)脱パラフィン剤または染色試薬を使用することでスライドからスライドへの細胞のキャリーオーバの可能性を無くしている。
さらに、スライド1枚当たりの試薬の使用量が従来の浸漬浴の場合とほぼ同じ(350μl)であることは驚くべきことである。本発明は焼成段階からカバーグラス被覆段階まで染色スライドを完全に集積化した高出力量システムを初めて提供するものであり、この方法は現在市販されているシステムでは実行できない方法である。
【0046】
本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明を種々の変更できる。例えば、本発明装置に2つ以上の染色ステーションモジュール、2つ以上の焼成ステーションモジュール、2つ以上の脱パラフィンステーションモジュールおよび/または2つ以上の焼成と脱パラフィンとを組み合わせたステーションモジュールを設けて出力量をさらに増加させることができる。本発明の特定の特徴および利点の1つはシステムのフットプリントを増やさずに、追加のステーションモジュールを垂直方向に追加することができることにある。
変形例では、[図1]の仮想破線で示すように、2つ以上の追加タワーすなわち互いに重ねたワークステーション50Aに単一の運搬/昇降機システムで供給を行うことができる。
他の試験、例えばin situ ハイブリダイゼーション(一般にDNA/RNAプローブ)や免疫組織化学(典型は抗体)で実施される試験を行うために本発明装置で他の試薬を用いることができる。
本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明をさらに他の変更することができる。本発明の範囲は特許請求の範囲に定義され、上記明細書に照らして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例の高速自動染色装置の単純化した平面図。
【図1A】本発明の第1実施例の高速自動染色装置の部分正面図。
【図1B】本発明の第1実施例の高速自動染色装置の部分背面図。
【図1C】本発明のトレー保管ステーションすなわち「ガレージ」部分を内側から見た斜視図。
【図1D】本発明のトレー保管ステーションすなわち「ガレージ」部分を外側から見た分解斜視図。
【図2】本発明で使用する標本スライド支持トレーの詳細斜視図。
【図2A】本発明で使用する標本スライド支持トレーの詳細分解図。
【図3】本発明の第1実施例の脱パラフィンモジュール部分の分解斜視図。
【図3A】図3の脱パラフィンモジュールのノズルとマニホルド部分の平面図。
【図4】本発明の第1実施例の加熱または焼成モジュールの図3と同様な分解斜視図。
【図5】本発明の第1実施例の脱パラフィン流体回収システムの詳細斜視図。
【図6】本発明の第1実施例の脱パラフィン流体システムの配管概念図。
【図7】本発明の染色剤塗布モジュールの図3と同様な分解斜視図。
【図8】本発明のカバーグラス被覆モジュールの斜視図。
【図8A】図8のカバーグラス被覆モジュールのカバーグラス被覆カートリッジ部分の斜視図。
【図9】本発明のスライドトレー運搬・昇降機部分の詳細分解図。
【図10A】本発明のスライドトレー運搬・昇降機部分のX−Yテーブルの詳細斜視図。
【図10B】本発明のスライドトレー運搬・昇降機部分のX−Yテーブルの図10Aと異なる詳細斜視図。
【図11】本発明の第1実施例のフローダイヤグラム。
【図12】本発明の高速自動染色装置の第2実施例の図1と同様なの平面図。
【図13】本発明の第2実施例の焼成・脱パラフィン複合モジュール部分の分解図。
【図14】本発明の第2実施例を示す図11と同様なフローダイヤグラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに垂直に重ねられた複数のワークステーションと、各ワークステーション間でスライドを運搬する運搬/昇降機とを含むスライド自動処理装置。
【請求項2】
ワークステーションと運搬/昇降機を制御するコンピュータをさらに含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項3】
少なくとも1つのワークステーションが焼成または乾燥ステーションからなる請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項4】
乾燥または焼成ステーションが対流加熱器を含む請求項3に記載のスライド自動処理装置。
【請求項5】
少なくとも1つのワークステーションが脱ワックスまたは脱パラフィンステーションを含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項6】
脱ワックスまたは脱パラフィンステーションがスライド上に脱ワックスまたは脱パラフィン流体を供給する複数の流体分配ノズルを含む請求項5に記載のスライド自動処理装置。
【請求項7】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体が水溶性流体からなる請求項6に記載のスライド自動処理装置。
【請求項8】
少なくとも1つのワークステーションが染色ステーションからなる請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項9】
染色ステーションが選択された染色剤または洗浄流体をスライド上に塗布する複数のノズルを含む請求項8に記載のスライド自動処理装置。
【請求項10】
各ノズルに選択的に連結される複数の染色供給源をさらに含む請求項9に記載のスライド自動処理装置。
【請求項11】
ワークステーションがカバーグラス取付けステーションを含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項12】
カバーグラス取付けステーションでスライド上にカバーグラスを乗せる請求項11に記載のスライド自動処理装置。
【請求項13】
運搬時に複数のスライドを支持して運搬するスライドトレーをさらに含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項14】
運搬/昇降機がX−Y−Z運搬機構を含む請求項13に記載のスライド自動処理装置。
【請求項15】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体を濾過・再循環する濾過・再循環器をさらに含む請求項6に記載のスライド自動処理装置。
【請求項16】
互いに重ねられた複数のワークステーションを含み、各ワークステーションが一つの共通運搬/昇降機の近くに作動可能な状態で配置されている請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項17】
水溶性流体を加熱する加熱器をさらに含む請求項7に記載のスライド自動処理装置。
【請求項18】
水溶性の脱ワックスまたは脱パラフィン流体を収容した貯蔵器と、上記の水溶性流体を加熱する加熱器と、加熱された水溶性流体をスライド上に噴霧する噴霧器と、水溶性流体を回収して貯蔵器に戻す回収器と、水溶性流体を再使用するための濾過器とを含む、標本スライドを処理するための脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項19】
濾過器が回収器と貯蔵器との間にある請求項18に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項20】
水平方向に互いに間隔をあけて配置された複数の標本スライドを保持するトレーをさらに含む請求項18に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項21】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体をスライド上に噴霧する複数の噴霧ノズルをさらに含む請求項18に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項22】
トレーの底の壁が傾斜しており、この傾斜した底壁の最低点の近傍から使用済み脱ワックスまたは脱パラフィン流体を吸引する吸引器をさらに含む請求項20に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項23】
トレーが、互いに間隔をあけて配置された複数のスライドをトレー底壁上に保持するためのラックを有する請求項20に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項24】
ラックが、トレー内のスライドの軸線方向、横方向および垂直方向の移動を制限する複数の支持体を含む請求項23に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項25】
ラックが複数のスライドを間隔をあけた列に並べて保持する請求項23に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項26】
互いに垂直に重ねられた複数のワークステーションと、ワークステーション間でスライドを運搬する運搬/昇降機とを含み、1つのワークステーションが焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションからなるスライド自動処理装置。
【請求項27】
ステーションと運搬/昇降機とを制御するコンピュータをさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項28】
焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションが少なくとも1つの放射加熱器をさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項29】
焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションが、予備加熱されたスライド上に脱ワックスまたは脱パラフィン流体を供給する複数の流体分配ノズル含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項30】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体が水溶性流体からなる請求項27に記載のスライド自動処理装置。
【請求項31】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体が約3〜約30容量%のコラテルジュ(Collaterge、登録商標)からなる請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項32】
染色ステーションをさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項33】
染色ステーションが、選択された染色剤をスライド上に塗布する複数のノズルを含む請求項32に記載のスライド自動処理装置。
【請求項34】
上記ノズルに選択的に連結される複数の染色供給源をさらに含む請求項33に記載のスライド自動処理装置。
【請求項35】
カバーグラス取付けステーションをさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項36】
カバーグラス取付けステーションでスライドをカバーグラスで覆う請求項35に記載のスライド自動処理装置。
【請求項37】
運搬時に複数のスライドを支持する複数のスライドを支持するスライドトレーをさらに含む請求項36に記載のスライド自動処理装置。
【請求項38】
運搬/昇降機がX−Y−Z運搬機構を含む請求項37に記載のスライド自動処理装置。
【請求項39】
複数の互いに重なったワークステーションを含み、各ワークステーションが一つの共通の運搬/昇降機の近く作動状態で配置されている請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項40】
スライドを加熱する放射加熱器と、加熱されたスライド上へ貯蔵器に収容した脱ワックスまたは脱パラフィン流体を噴霧する噴霧器とをさらに含む、焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項41】
洗浄流体をスライド上に噴霧する噴霧器をさらに含む請求項40に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項42】
水平方向に互いに間隔をあけて配置された複数の標本スライドを保持するトレーをさらに含む請求項40に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項43】
スライド上に脱ワックスまたは脱パラフィン流体を噴霧する複数の噴霧ノズルをさらに含む請求項40に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項44】
トレーの底壁が傾斜しており、この傾斜した底壁の最低点の近傍から使用済み脱ワックスまたは脱パラフィン流体を吸引する吸引器をさらに含む請求項42に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項45】
トレーが、互いに間隔をあけて配置された複数のスライドをトレーの底壁上に保持するためのラックを含む請求項42に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項46】
ラックが、トレー内のスライドの軸線方向、横方向および垂直方向の移動を制限する複数の支持体を含む請求項45に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項47】
ラックが複数のスライドを間隔をあけた列に並べて保持する請求項46に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項48】
下記段階からなることを特徴とする病理分析のために顕微鏡スライド上に組織標本を自動調製する方法:
(a)組織がスライドに付着するのに十分な熱を機器を用いて組織に加えることによって、組織標本をスライド上で焼成し、
(b)パラフィンの融点以上の温度で組織標本を脱パラフィン流体と接触させ、続いて液化パラフィンを洗浄除去することによって、組織標本を脱パラフィンし、
(c)組織標本を染色試薬と接触させ、さらに
(d)スライドをカバーグラスで覆う。
【請求項49】
スライド上の染色された組織標本を予備接着されたカバーグラスおよび接着活性化流体と接触させることによって、スライドをカバーグラスで覆う請求項48に記載の方法。
【請求項50】
脱パラフィン流体が水と界面活性剤とを含む請求項47に記載の方法。
【請求項51】
染色試薬がヘマトキシリンとエオシンとからなる請求項48に記載の方法。
【請求項1】
互いに垂直に重ねられた複数のワークステーションと、各ワークステーション間でスライドを運搬する運搬/昇降機とを含むスライド自動処理装置。
【請求項2】
ワークステーションと運搬/昇降機を制御するコンピュータをさらに含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項3】
少なくとも1つのワークステーションが焼成または乾燥ステーションからなる請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項4】
乾燥または焼成ステーションが対流加熱器を含む請求項3に記載のスライド自動処理装置。
【請求項5】
少なくとも1つのワークステーションが脱ワックスまたは脱パラフィンステーションを含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項6】
脱ワックスまたは脱パラフィンステーションがスライド上に脱ワックスまたは脱パラフィン流体を供給する複数の流体分配ノズルを含む請求項5に記載のスライド自動処理装置。
【請求項7】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体が水溶性流体からなる請求項6に記載のスライド自動処理装置。
【請求項8】
少なくとも1つのワークステーションが染色ステーションからなる請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項9】
染色ステーションが選択された染色剤または洗浄流体をスライド上に塗布する複数のノズルを含む請求項8に記載のスライド自動処理装置。
【請求項10】
各ノズルに選択的に連結される複数の染色供給源をさらに含む請求項9に記載のスライド自動処理装置。
【請求項11】
ワークステーションがカバーグラス取付けステーションを含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項12】
カバーグラス取付けステーションでスライド上にカバーグラスを乗せる請求項11に記載のスライド自動処理装置。
【請求項13】
運搬時に複数のスライドを支持して運搬するスライドトレーをさらに含む請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項14】
運搬/昇降機がX−Y−Z運搬機構を含む請求項13に記載のスライド自動処理装置。
【請求項15】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体を濾過・再循環する濾過・再循環器をさらに含む請求項6に記載のスライド自動処理装置。
【請求項16】
互いに重ねられた複数のワークステーションを含み、各ワークステーションが一つの共通運搬/昇降機の近くに作動可能な状態で配置されている請求項1に記載のスライド自動処理装置。
【請求項17】
水溶性流体を加熱する加熱器をさらに含む請求項7に記載のスライド自動処理装置。
【請求項18】
水溶性の脱ワックスまたは脱パラフィン流体を収容した貯蔵器と、上記の水溶性流体を加熱する加熱器と、加熱された水溶性流体をスライド上に噴霧する噴霧器と、水溶性流体を回収して貯蔵器に戻す回収器と、水溶性流体を再使用するための濾過器とを含む、標本スライドを処理するための脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項19】
濾過器が回収器と貯蔵器との間にある請求項18に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項20】
水平方向に互いに間隔をあけて配置された複数の標本スライドを保持するトレーをさらに含む請求項18に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項21】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体をスライド上に噴霧する複数の噴霧ノズルをさらに含む請求項18に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項22】
トレーの底の壁が傾斜しており、この傾斜した底壁の最低点の近傍から使用済み脱ワックスまたは脱パラフィン流体を吸引する吸引器をさらに含む請求項20に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項23】
トレーが、互いに間隔をあけて配置された複数のスライドをトレー底壁上に保持するためのラックを有する請求項20に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項24】
ラックが、トレー内のスライドの軸線方向、横方向および垂直方向の移動を制限する複数の支持体を含む請求項23に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項25】
ラックが複数のスライドを間隔をあけた列に並べて保持する請求項23に記載の脱ワックスまたは脱パラフィンステーション。
【請求項26】
互いに垂直に重ねられた複数のワークステーションと、ワークステーション間でスライドを運搬する運搬/昇降機とを含み、1つのワークステーションが焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションからなるスライド自動処理装置。
【請求項27】
ステーションと運搬/昇降機とを制御するコンピュータをさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項28】
焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションが少なくとも1つの放射加熱器をさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項29】
焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーションが、予備加熱されたスライド上に脱ワックスまたは脱パラフィン流体を供給する複数の流体分配ノズル含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項30】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体が水溶性流体からなる請求項27に記載のスライド自動処理装置。
【請求項31】
脱ワックスまたは脱パラフィン流体が約3〜約30容量%のコラテルジュ(Collaterge、登録商標)からなる請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項32】
染色ステーションをさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項33】
染色ステーションが、選択された染色剤をスライド上に塗布する複数のノズルを含む請求項32に記載のスライド自動処理装置。
【請求項34】
上記ノズルに選択的に連結される複数の染色供給源をさらに含む請求項33に記載のスライド自動処理装置。
【請求項35】
カバーグラス取付けステーションをさらに含む請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項36】
カバーグラス取付けステーションでスライドをカバーグラスで覆う請求項35に記載のスライド自動処理装置。
【請求項37】
運搬時に複数のスライドを支持する複数のスライドを支持するスライドトレーをさらに含む請求項36に記載のスライド自動処理装置。
【請求項38】
運搬/昇降機がX−Y−Z運搬機構を含む請求項37に記載のスライド自動処理装置。
【請求項39】
複数の互いに重なったワークステーションを含み、各ワークステーションが一つの共通の運搬/昇降機の近く作動状態で配置されている請求項26に記載のスライド自動処理装置。
【請求項40】
スライドを加熱する放射加熱器と、加熱されたスライド上へ貯蔵器に収容した脱ワックスまたは脱パラフィン流体を噴霧する噴霧器とをさらに含む、焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項41】
洗浄流体をスライド上に噴霧する噴霧器をさらに含む請求項40に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項42】
水平方向に互いに間隔をあけて配置された複数の標本スライドを保持するトレーをさらに含む請求項40に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項43】
スライド上に脱ワックスまたは脱パラフィン流体を噴霧する複数の噴霧ノズルをさらに含む請求項40に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項44】
トレーの底壁が傾斜しており、この傾斜した底壁の最低点の近傍から使用済み脱ワックスまたは脱パラフィン流体を吸引する吸引器をさらに含む請求項42に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項45】
トレーが、互いに間隔をあけて配置された複数のスライドをトレーの底壁上に保持するためのラックを含む請求項42に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項46】
ラックが、トレー内のスライドの軸線方向、横方向および垂直方向の移動を制限する複数の支持体を含む請求項45に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項47】
ラックが複数のスライドを間隔をあけた列に並べて保持する請求項46に記載の焼成または乾燥と脱ワックスまたは脱パラフィンとを組み合わせたステーション。
【請求項48】
下記段階からなることを特徴とする病理分析のために顕微鏡スライド上に組織標本を自動調製する方法:
(a)組織がスライドに付着するのに十分な熱を機器を用いて組織に加えることによって、組織標本をスライド上で焼成し、
(b)パラフィンの融点以上の温度で組織標本を脱パラフィン流体と接触させ、続いて液化パラフィンを洗浄除去することによって、組織標本を脱パラフィンし、
(c)組織標本を染色試薬と接触させ、さらに
(d)スライドをカバーグラスで覆う。
【請求項49】
スライド上の染色された組織標本を予備接着されたカバーグラスおよび接着活性化流体と接触させることによって、スライドをカバーグラスで覆う請求項48に記載の方法。
【請求項50】
脱パラフィン流体が水と界面活性剤とを含む請求項47に記載の方法。
【請求項51】
染色試薬がヘマトキシリンとエオシンとからなる請求項48に記載の方法。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−197115(P2008−197115A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89521(P2008−89521)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【分割の表示】特願2003−585882(P2003−585882)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(500555848)ヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【分割の表示】特願2003−585882(P2003−585882)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(500555848)ヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
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