説明

大質量部品を構造体に接着するのに適応した接着剤組成物

本発明は、A)第1成分中の(i)1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマー;およびB)第2成分中の(ii)イソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物;(iii)組成物が非導電性となるように選択される1種または複数の充填剤;(iv)イソシアナート基と活性水素含有化合物との反応用の1種または複数の触媒を含む2成分組成物であって、1種もしくは複数のイソシアナート官能性プレポリマーおよびイソシアナート反応性基を有し、1種もしくは複数の化合物のどちらかまたは両方は有機固体粒子がグラフトされており、該組成物が有機固体粒子を全組成物の約6〜約13重量パーセントを含む2成分組成物である。好ましい実施形態において、第2成分は、有機固体粒子が主鎖にグラフトされておりイソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物を約35〜約65重量パーセント含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願日の利益の主張
本出願は、すべての目的で参照により本明細書に組み込まれる2008年8月22日に出願の米国特許出願第61/090,986号の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は、イソシアナート官能性成分とイソシアナート反応性成分とを含有する2成分組成物に関する。本発明は、2成分組成物を使用して基材同士を接着する方法、および組成物を使用して接着させた基材を含む構造体に関する。好ましい構造体の中には、建築物および運搬用車両がある。
【背景技術】
【0003】
イソシアナート官能性成分を含む組成物は、基材同士を接着するのに利用される。このような組成物のよくある一用途は、ガラスを多くの場合は窓の形で構造体に接着することである。自動車組立工場では、イソシアナート官能性成分を含有する1成分接着剤組成物を用いて窓を接着する場合が多い。典型的には、これらの組成物は、周囲湿気との反応により硬化する。1成分接着剤は、接着剤を分注および塗布するのに必要とされる機器が、2成分接着剤組成物を塗布するのに使用される機器より複雑でないので使用される。1成分湿気硬化性接着剤は、典型的には硬化するのに数時間かかる。組立工場環境では、車両は数時間運転されないので、この遅い硬化プロセスは許容できるものである。当技術分野で公知である1成分湿気硬化性接着剤は、米国特許第4,374,237号、米国特許第4,687,533号、米国特許第4,780,520号、米国特許第5,063,269号、米国特許第5,623,044号、米国特許第5,603,798号、米国特許第5,852,137号、米国特許第5,922,809号、米国特許第5,976,305号、米国特許第5,852,137号、および米国特許第6,512,033号に開示されており、関連性のある部分が参照により本明細書に組み込まれる。市販の1成分接着剤の例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なBETASEAL(商標)15630、15625、61355接着剤、Eftecから入手可能なEFBOND(商標)フロントガラス接着剤、Yokohama Rubber Companyから入手可能なWS 151(商標)、WS212(商標)接着剤、およびSika Corporationから入手可能なSIKAFLEX(商標)接着剤が挙げられる。
【0004】
硬化速度が重要な状況では、一方の成分中にイソシアナート官能性化合物またはプレポリマー、ならびに他方の成分中にイソシアナート反応性成分を有する化合物および/またはプレポリマーを含有する2成分組成物が使用される。このような一環境は、自動車のアフターマーケット交換ガラス事業に存在する。顧客は、交換用窓を車両に接着した後できるだけ早く車両を運転することができるように、接着剤が急速に硬化することを望む場合が多い。2成分接着剤の利点は、1成分湿気硬化性接着剤システムの場合よりはるかに速い反応速度で硬化反応が進行することである。一方の成分中にイソシアナート官能性化合物またはプレポリマー、ならびに他方の成分中にイソシアナート反応性成分を有する化合物および/またはプレポリマーを含有する2成分組成物の例は、EP1,524,282、米国特許第5,852,103号、米国特許第6,709,539号、米国特許第7,101,950号、および米国特許第7,361,292号に開示されており、関連性のある部分が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
接着剤は、列車の車両およびエンジン、バス、ならびに大型トラックなどの運搬用大型車両に大型窓を接着する際に利用される。これらの窓の大部分は、他とは違う一組の特性を有する接着剤の必要性を引き起こす。特に、塗布直後に良好なグリーン強度を有する接着剤が必要とされるが、典型的な1成分接着剤はこのようなグリーン強度特性を与えない。さらに、接着剤システムには、典型的な2成分接着剤が与えるオープン時間より長いオープン時間が必要である。オープン時間とは、接着剤を基材に塗布してから、接着剤がもはや基材に粘着することができなくなるまでの時間である。15分間〜30分間のオープン時間が望まれる。したがって、塗布中に大質量窓を適切な位置に保持する能力を有する良好なグリーン強度、ならびにより遅いシーラント塗布および組立プロセスと、窓と窓枠を接触させた後にあり得る窓の調整とを可能にするより長いオープン時間を示す2成分接着剤システムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
A)第1成分中の(i)1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマー;および
B)第2成分中の(ii)イソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物;
(iii)組成物が非導電性となるように選択される1種または複数の充填剤;
(iv)イソシアナート基と活性水素含有化合物の反応用の1種または複数の触媒
を含む2成分組成物であって、1種もしくは複数のイソシアナート官能性プレポリマーおよびイソシアナート反応性基を有する1種もしくは複数の化合物のどちらかまたは両方はそれに有機固体粒子がグラフトされており、該組成物が有機固体粒子を全組成物の約6〜約13重量パーセント含む2成分組成物である。好ましい実施形態において、第2成分は、主鎖に有機固体粒子がグラフトされている、イソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物を約35〜約65重量パーセント含む。別の好ましい実施形態において、1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマーは、プレポリマーの主鎖にグラフトされている有機固体粒子を約14〜約20重量パーセント含む。別の好ましい実施形態において、固体粒子は、熱可塑性ポリマー、またはゴムで改質された熱可塑性ポリマーを含む。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、2枚以上の基材同士を接着する方法であって、本発明による組成物の2成分を接触させるステップと、基材同士を接着するように、接触させた組成物の成分を基材と基材の間に配置して、接触させた組成物の成分と2枚以上の基材を接触させるステップとを含む方法である。好ましい実施形態において、一方の基材はガラス、好ましくは窓であり、他方の基材は、ガラスを接着させる構造体、好ましくは建築物または運搬用車両を含む。
【0008】
本発明の組成物は、基材同士を接着する接着剤として有用である。組成物を使用して、種々の基材同士、例えばプラスチック、ガラス、木材、セラミック、金属、被覆基材などを接着することができる。本発明の組成物を使用して、同類および異類の基材同士を接着することができる。組成物は、ガラスを車両や建築物などの他の基材に接着する上で特に有用である。本発明の組成物は、車両モジュラーコンポーネントなど、モジュラーコンポーネントの部分同士を接着する際にも有用である。ガラスを、車両の被覆部分および非被覆部分に接着することができる。本発明の組成物は、窓などの大質量物品を別の基材に接着させた直後にこのような大質量物品が適切な位置に保持されることを可能にするのに十分なグリーン強度を提供する。さらに、本発明の組成物は、大質量物品を他方の基材と適切に接触させること、および物品を互いに対して調整することを可能にするのに十分長いオープン時間を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の組成物の所望の特性を実現するために、第1成分であるA成分中のイソシアナート官能性プレポリマー、もしくは第2成分であるB成分中のイソシアナート反応性基を有する化合物、または両方は、その主鎖に有機固体粒子がグラフトされている。第1成分であるA成分中のイソシアナート反応性プレポリマー、もしくは第2成分であるB成分中のイソシアナート反応性基を有する化合物、または両方の主鎖にグラフトさせることができる有機固体粒子としては、2成分が合わされると本発明の組成物のエラストマー性およびグリーン強度を改善する任意の粒子が挙げられる。好ましい有機固体粒子は、熱可塑性ポリマー粒子またはゴムで改質された熱可塑性ポリマー粒子を含む。好ましい熱可塑性ポリマーは、モノビニリデン芳香族モノマー、およびモノビニリデン芳香族モノマーと共役ジエン、アクリラート、メタクリラート、不飽和ニトリル、またはそれらの混合物とのコポリマーをベースにするものである。コポリマーは、ブロックコポリマー、またはランダムコポリマーとすることができる。より好ましくは、有機粒子は、不飽和ニトリルと共役ジエンとモノビニリデン芳香族モノマーとの1種もしくは複数のコポリマー、および/または不飽和ニトリルとモノビニリデン芳香族モノマーとの1種もしくは複数のコポリマーを含む。さらにより好ましくは、粒子はスチレン−アクリロニトリルコポリマーを含む。有機ポリマー粒子は、好ましくは最終的に硬化した接着剤のエラストマー性およびグリーン強度を改善するのに十分なほど大きいが、硬化後の接着剤の極限強さを低下させるほど大きくない粒径を有する。好ましくは、粒径は約10ミクロン以上であり、より好ましくは、粒径は約20ミクロン以上である。好ましくは、粒径は約50ミクロン以下であり、より好ましくは、粒径は約40ミクロン以下である。組成物には、成分を接触させた後の接着剤が、完全に硬化する前に大質量物品を適切な位置に保持するのに十分なグリーン強度を有し、かつ大質量物品とそれを接着する対象の構造を接触させること、大質量物品の配置を調整することを可能にするのに十分長いオープン時間を示すような十分な量の有機ポリマー粒子が含まれるが、硬化した接着剤の伸びで定義される弾性が高くなりすぎるほど多量の有機ポリマー粒子は含まれない。好ましくは、硬化時の本発明による組成物は、所望の使用に十分な強度を有する。組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約6重量パーセント以上、より好ましくは約7重量パーセント以上、最も好ましくは約8重量パーセント以上の有機ポリマー粒子を含有する。組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約13重量パーセント以下、より好ましくは約12重量パーセント以下、最も好ましくは約10重量パーセント以下の有機ポリマー粒子を含有する。
【0010】
イソシアナート官能性プレポリマーを含む成分に有機粒子が存在する実施形態において、このような成分は、好ましくは本明細書で先に記載の特性を実現するような量の有機粒子を含有する。好ましくは、イソシアナート官能性プレポリマーは、第1成分であるA成分の重量を基準にして0重量パーセントを超える、好ましくは約4重量パーセント以上、最も好ましくは約6重量パーセント以上の有機ポリマー粒子がそれにグラフトされている。好ましくは、イソシアナート官能性プレポリマーは、第1成分であるA成分の重量を基準にして約26重量パーセント以下、好ましくは約20重量パーセント以下、より好ましくは約14重量パーセント以下の有機ポリマー粒子がそれにグラフトされている。イソシアナート反応性化合物を含む成分に有機粒子が存在する実施形態において、このような成分は、好ましくは本明細書で先に記載の特性を実現するような量の有機粒子を含有する。イソシアナート反応性化合物は、第2成分であるB成分の重量を基準にして好ましくは約12重量パーセント以上、最も好ましくは約14重量パーセント以上の有機ポリマー粒子がそれにグラフトされている。イソシアナート反応性基を含む化合物は、第2成分であるB成分の重量を基準にして好ましくは約26重量パーセント以下、最も好ましくは約20重量パーセント以下の有機ポリマー粒子がそれにグラフトされている。
【0011】
本発明の組成物は、1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマーを含む第1成分であるA成分と、1種または複数のイソシアナート反応性化合物を含有する1種または複数の化合物を含む第2成分であるB成分の2成分を含む。イソシアナート反応性化合物はイソシアナート官能性プレポリマーと反応して、硬化する組成物を生成して、多くの基材に対して良好な接着特性を示す。2成分を接触させると、組成物およびイソシアナート反応性基は、イソシアナート基と反応し始める。合わせた組成物の最終的な硬化が完了するには、ある程度の時間がかかる。これによって、望ましいオープン時間を有する組成物が実現する。「オープン時間」は、2成分を接触させてから、混合物が高粘性ペーストになり始め、組立中に変形を受けることなく、第2の基材の形状と一致し、それに粘着するまでの時間を意味すると考えられる。オープン時間は、好ましくは約8分間以上、より好ましくは約15分間以上である。オープン時間は、好ましくは30分間以下、より好ましくは約25分間以下、最も好ましくは約20分間以下である。合わせた組成物は、上述されたように所望のグリーン強度を示す。接着剤は、DIN 53283に従って決定して、60分後に好ましくは0.6MPa以上、より好ましくは約0.8Mpa以上、最も好ましくは約1.0MPa以上のラップせん断強さを示す。組成物を一旦合わせると、広範囲の塗布温度にわたって一貫した特性を示す。好ましくは、約0℃から約45℃の温度範囲にわたって変動がほとんどない。
【0012】
本明細書では「1種または複数」は、少なくとも1種、または1種を超える記載成分を、開示するように使用できることを意味する。官能基数に関して使用される「公称」は理論官能基数を意味し、一般にこれは、使用される材料の化学量論から算出することができる。一般に、実質官能基数は、原材料の欠陥、反応物質の不完全な変換、および副生物の生成に起因して異なる。
【0013】
第1成分は、1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマーを含む。1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマーは、ポリアミンやポリオール(コポリマーポリオールまたはグラフトトリオールなどのジオール、トリオール、および分散トリオール)など、1種を超えるイソシアナート反応性基を有する化合物と、化学量論を超える過剰量の1種または複数のポリイソシアナートとを、本明細書に記載の基準を満たす、イソシアナート官能基及び遊離イソシアナート含有量を有するプレポリマーを生成するのに十分な反応条件下で反応させるなど、適切な任意の方法で調製することができる。プレポリマーを調製するのに使用される好ましい方法において、ポリイソシアナートを、1種または複数のジオールと1種または複数のトリオールと1種または複数の分散トリオールと、場合によっては1種または複数のアミン末端ポリエーテルと反応させる。1種を超えるイソシアナート反応性基を有する化合物は、大部分のイソシアナート基と反応してプレポリマーの所望の遊離イソシアナート含有量と一致するよう十分なイソシアナート基を残すのに十分な量で存在する。イソシアナート官能性プレポリマーは、バルク重合や溶液重合など、適切な任意の方法で調製することができる。イソシアナート官能性プレポリマーを調製する上で好ましい成分は、Zhouら、7,361,292に開示されており、関連性のある部分が参照により本明細書に組み込まれる。プレポリマー調製に好ましいプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,922,809号、9欄、4から51行に開示されている。
【0014】
プレポリマーを調製する際に使用される好ましいポリイソシアナートとしては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,922,809号、3欄、32行から4欄、24行に開示されるものが挙げられる。好ましくは、ポリイソシアナートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナートなどの芳香族または脂環式のポリイソシアナートであり、最も好ましくはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートである。ジオールおよびトリオールは、ポリオールと総称される。本発明において有用であるポリオールは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,922,809号、4欄、60行から5欄、50行に記載されるポリオールに対応するジオールおよびトリオールである。ポリオールは好ましくはポリエーテルポリオール、より好ましくはポリオキシアルキレンオキシドポリオールである。最も好ましいトリオールは、エチレンオキシドでキャッピングされたポリオールであり、グリセリンなど、1種または複数の活性水素を有する化合物とプロピレンオキシドとを反応させ、続いて生成物とエチレンオキシドとを反応させることによって調製される。
【0015】
上述した一実施形態において、プレポリマーは、主鎖にグラフトされている1種または複数の有機系ポリマーを含む。好ましくは、有機系ポリマー粒子をプレポリマー中に分散させた分散トリオールを含むことによって、有機系ポリマーはプレポリマーに含まれる。好ましい分散トリオールは、参照により本明細書に組み込まれるZhouの米国特許第6,709,539号、4欄、13行から6欄、18行に開示されている。イソシアナート反応性プレポリマーを調製する際に利用される好ましいポリオールの中には、The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX(商標)NC 700コポリマーポリオール;VORALUX(商標)HL 430コポリマーポリオールおよびBayerから入手可能なARCOL(商標)1096コポリマーポリオールが含まれる。
【0016】
好ましくは、ポリオキシアルキレンオキシドトリオールは、ポリオキシエチレン末端キャップを有するポリオキシプロピレン鎖を含む。使用されるトリオールは、好ましくは約4,000以上、より好ましくは約5,000以上、最も好ましくは約6,000以上の分子量を有する。このようなトリオールは、好ましくは約8,000以下、より好ましくは約7,000以下の分子量を有する。粒子をトリオール中に分散し、またはトリオールの一部の主鎖にグラフトできる。好ましくは、粒子がトリオールの主鎖にグラフトれている。分散トリオールは、組成物が本明細書に記載される所望の特性を示すような十分な量の有機ポリマー粒子を含有する。好ましくは、分散トリオールは、分散液に対して約20重量パーセント以上、好ましくは約30重量パーセント以上、より好ましくは約35重量パーセント以上の有機ポリマー粒子コポリマー(organic polymer particles copolymer)を含有する。好ましくは、分散液は、分散液に対して約60重量パーセント以下、好ましくは約50重量パーセント以下、より好ましくは約45重量パーセント以下の有機ポリマー粒子を含有する。ポリオール(ジオールおよびトリオールおよび分散ポリオール)は、イソシアナート基の大部分と反応して組成物のA成分に対応するよう十分なイソシアナート基を残すのに十分な量で、組成物中に存在する。
【0017】
イソシアナート反応性プレポリマー(isocyanate reactive preopolymer)に有機固体粒子がグラフトされている実施形態において、存在する有機粒子の量は、合わせた組成物に本明細書に記載の所望の特性を付与するのに十分な量である。イソシアナート官能性プレポリマーは、好ましくは約2重量パーセント以上、より好ましくは約5重量パーセント以上、最も好ましくは約10重量パーセント以上の有機固体粒子を含有する。イソシアナート官能性プレポリマーは、好ましくは約26重量パーセント以下、より好ましくは約22重量パーセント以下、最も好ましくは約18重量パーセント以下の有機固体粒子を含有する。第1成分であるA成分中に存在する1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマーは、有機粒子がグラフトされているプレポリマーを0重量パーセント〜100重量パーセントを含有することができる。重要な特徴は、本明細書で先に記載したように、合わせた組成物中に存在する有機粒子の全重量である。したがって、有機ポリマー粒子がグラフトされていないイソシアナート官能性ポリマーと、有機粒子がグラフトされているイソシアナート官能性プレポリマーとの混合物を利用することができる。ただし、所望量の有機粒子が全組成物中に存在することを条件とする。
【0018】
イソシアナート官能性プレポリマーは、第1成分中に、組成物に接着特性を付与するのに十分であり、かつ本明細書に記載された本発明の組成物の所望の特性を改善するのに十分な量で存在する。イソシアナート官能性プレポリマーは、第1成分中に、第1成分の好ましくは約10重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、最も好ましくは約30重量パーセント以上の量で存在する。イソシアナート官能性プレポリマーは、第1成分中に、第1成分の好ましくは約90重量パーセント以下、より好ましくは約70重量パーセント以下、最も好ましくは約50重量パーセント以下の量で存在する。イソシアナート官能性プレポリマー(isocyanate function prepolymer)の一部分に有機粒子がグラフトされているイソシアナート官能性プレポリマーの混合物が利用される実施形態において、有機粒子がグラフトされているイソシアナート官能性プレポリマーは、第1成分中に、第1成分の約10重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、最も好ましくは約30重量パーセント以上の量で存在する。イソシアナート官能性プレポリマーは、第1成分中に、好ましくは約60重量パーセント以下、最も好ましくは約50重量パーセント以下の量で存在する。
【0019】
第1成分であるA成分は、硬化した形の組成物のモジュラスを改善する目的で1種または複数の多官能性イソシアナートをさらに含んでもよい。イソシアナートの文脈で使用される「多官能性」は、2.2以上の官能基数を有するイソシアナートを指す。多官能性イソシアナートは、約2.2以上の公称官能基数を有する任意のモノマー、オリゴマー、またはポリマーのイソシアナートとすることができる。より好ましくは、多官能性イソシアナートは、約2.7以上の公称官能基数を有する。多官能性イソシアナートは、好ましくは約4以下、最も好ましくは約3.2以下の公称官能基数を有する。多官能性イソシアナートは、組成物で使用されるイソシアナート反応性化合物に対して反応性があり、かつ硬化した組成物のモジュラスを改善する任意のイソシアナートとすることができる。多官能性イソシアナートは、モノマー;モノマーイソシアナートのトリマー、イソシアヌラート、またはビウレット;1種もしくは複数のモノマーイソシアナートの複数単位の反応生成物であるオリゴマーまたはポリマーとすることができる。好ましい多官能性イソシアナートの例としては、Bayerから商標および名称DESMODUR(登録商標)N3300およびN−100で入手可能なヘキサメチレンジイソシアナートのトリマー、およびThe Dow Chemical CompanyからPAPI(商標)20ポリマーイソシアナートを含めて、商標PAPI(商標)で市販されているものなどのポリマーMDI(メチレンジフェニルジイソシアナート)などのポリマーイソシアナートが挙げられる。多官能性イソシアナートは、本発明の硬化した組成物のモジュラスに影響を及ぼすのに十分な量で存在する。使用量が多すぎると、組成物の硬化速度は許容できないほど遅くなる。使用量が少なすぎると、所望のモジュラスレベルを実現することはできない。多官能性イソシアナートは、A側とB側の組成物の重量を基準にして好ましくは約0.5重量パーセント以上、より好ましくは約1.0重量パーセント以上、最も好ましくは約1.4重量パーセント以上の量で存在する。多官能性イソシアナートは、A側とB側の組成物の重量を基準にして好ましくは約8重量パーセント以下、より好ましくは約5重量パーセント以下、最も好ましくは約2.0重量パーセント以下の量で存在する。
【0020】
第1成分であるA成分は、周囲温度の約23℃において固体である1種または複数のポリエステル系ポリオールを含む1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマーをさらに含んでもよい。ポリエステル系ポリオールは、プレポリマーが重力によって基材が互いに対して動くのを防止するのに十分なグリーン強度をもたらすような融点であり、かつプレポリマーが周囲温度において固体であるような融点を有する。車両または建築物に窓を取り付ける点から見て、ポリエステル系プレポリマーは、取り付けた後に窓が滑り落ちるのを防止する。ポリエステルポリオールは、好ましくは約40℃以上、さらにより好ましくは約45℃以上、最も好ましくは約50℃以上の融点を有する。ポリエステルポリオールは、好ましくは約85℃以下、最も好ましくは約60℃以下、さらにより好ましくは約70℃以下の融点を示す。ポリエステル系イソシアナートプレポリマーは、1種または複数のポリエステルポリオールを使用して調製することができる。プレポリマー中のポリエステルポリオールの量は、本発明の組成物を固体にするのに必要とされるグリーン強度を本発明の組成物にもたらし、かつ組成物の所望のレオロジーをもたらすのに十分な量である。ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマー中に、プレポリマーの重量を基準にして好ましくは約70重量パーセント以上、より好ましくは約80重量パーセント以上の量で存在する。ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマー中に、プレポリマーの重量を基準にして好ましくは約95重量パーセント以下、より好ましくは約90重量パーセント以下の量で存在する。好ましくは、ポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーは、接着剤組成物中に、プレポリマーの重量を基準にして約1重量パーセント以上、最も好ましくは約2重量パーセント以上の量で存在する。ポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーは、接着剤組成物中に、好ましくは約5重量パーセント以下、最も好ましくは約3重量パーセント以下の量で存在する。ポリエステルポリオールは、定められた特性要件を満たす、すなわち周囲温度において結晶質であり、所望の温度範囲で融解する任意のポリエステル組成物とすることができる。好ましいポリエステルポリオールは、直鎖状二酸と直鎖状ジオールから調製される。より好ましい二酸はアジピン酸である。より好ましいジオールはC2〜6ジオールであり、ブタンジオール、ペンタンジオール、およびヘキサンジオールが最も好ましい。ポリエステル系ポリイソシアナートプレポリマーは、本明細書で先に記載のプロセスおよびイソシアナートを使用して調製することができる。好ましいポリエステルポリオールは、EVONIC Industriesから販売名DYNACOLL、名称7360および7330で入手可能であり、7360がより好ましい。
【0021】
本発明の組成物の第2成分は、イソシアナート反応性基を含む1種または複数の化合物を含む。好ましくは、イソシアナート反応性基は活性水素を含む基である。第1成分のイソシアナート官能基との接触の際に、イソシアナート反応性基はイソシアナート官能基と反応して組成物を硬化させる。イソシアナート反応性基を含む化合物は、イソシアナート官能性プレポリマーのイソシアナートと反応するこのようなイソシアナート反応性基を含む任意の化合物とすることができる。本明細書では「イソシアナート反応性化合物」という用語は、活性水素部分を含む化合物またはイミノ官能性化合物など、少なくとも2つのイソシアナート反応性部分を有する任意の有機化合物を包含する。本発明では、活性水素を含む部分は、分子中に存在するその位置のためWohler、the Journal of the American Chemical Society、49巻、3181頁(1927年)に記載されるツェレビチノフ試験に従って著しい活性を示す水素原子を含む部分を指す。このような活性水素部分の例は、−COOH、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH、および−CONH−である。好ましい活性水素含有化合物としては、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン、およびポリ酸が挙げられる。別の実施形態において、活性水素含有化合物は、活性水素官能性プレポリマーであってもよく、これは、得られるプレポリマーの反応性基がイソシアナート基に対して反応性を示す活性水素含有化合物となるような量で過剰の活性水素反応性基が存在する条件下における、1種または複数のポリイソシアナートと1種または複数の活性水素含有化合物との反応生成物である。適切なイミノ官能性化合物は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,910,279号に記載されるものなど、1分子当たり末端イミノ基を少なくとも1つ有するものである。イソシアナート反応性化合物は、好ましくはポリオールまたはアミン末端ポリオールであり、より好ましくはポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリアミンである。好ましい実施形態において、イソシアナート反応性基を含むポリオールまたはイソシアナート反応性基を有するプレポリマーは、1種もしくは複数の鎖延長剤または架橋剤および/または1種もしくは複数のアミン末端ポリオールと一緒に利用される。イソシアナート反応性基を含む化合物は、本発明の組成物の第2成分中に、組成物の2成分を接触させる際にイソシアナート官能性化合物と反応することによって組成物を硬化させるのに十分であり、かつ組成物の所望の特性を組成物に付与するのに十分である量で存在する。イソシアナート反応性基を含む1種または複数の化合物は、第2成分の好ましくは約10重量パーセント以上、より好ましくは約20重量パーセント以上、最も好ましくは約30重量パーセント以上の量で、第2成分中に存在する。イソシアナート反応性基を含む1種または複数の化合物は、第2成分の好ましくは約100重量パーセント以下、より好ましくは約60重量パーセント以下、最も好ましくは約50重量パーセント以下の量で、第2成分中に存在する。有機粒子がグラフトされておりイソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物を第2成分が含む一実施形態において、この第2成分は、有機粒子がグラフトされておらずイソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物をさらに含む。すなわち、このような化合物は固体を含まない。好ましい実施形態において、有機粒子がグラフトされていない、すなわち固体を含まないイソシアナート反応性化合物の量は、第2成分の約5〜約30重量パーセントである。
【0022】
本発明の組成物の第2成分であるB成分は、イソシアナート反応性基を含む他の化合物に加えて、2種以上のイソシアナート反応性基および炭化水素主鎖を有する1種または複数の低分子量化合物をさらに含んでもよく、その主鎖は、1種または複数のヘテロ原子をさらに含んでもよい。このような低分子量化合物は、鎖延長剤として当技術分野において公知である化合物とすることができ、このような化合物は二官能性である。このような低分子量化合物は、また架橋剤として当技術分野において公知である化合物であってもよく、このような化合物は、平均して化合物1個当たり2個を超える活性水素基を有する。主鎖中のヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素、またはそれらの混合物とすることができ、酸素、窒素、またはそれらの混合物がより好ましく、酸素が最も好ましい。低分子量化合物の分子量は、好ましくは約120以下、より好ましくは約100以下である。好ましくは、低分子量化合物は、1種もしくは複数の多官能性アルコール、多官能性アルカノールアミン、多官能性アルコールとアルキレンオキシドとの1種もしくは複数の付加物、多官能性アルカノールアミンとアルキレンオキシドとの1種もしくは複数の付加物、またはそれらの混合物を含む。好ましい低分子量化合物は、主鎖中に1種または複数のヘテロ原子が含まれていてもよい直鎖状炭化水素である。好ましい多官能性アルコールおよび多官能性アルカノールアミンの中には、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコール、エタノールアミン、およびプロパノールアミンがある。アルキレンオキシドを含む好ましい付加物の中には、3個以上のヒドロキシル基およびエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を有するアルコールの付加物がある。より好ましい低分子量化合物としては、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジ−イソプロパノールアミン、トリ−イソプロパノールアミンなどが挙げられる。様々な低分子量化合物のブレンドを使用することができる。低分子量化合物は、本発明の組成物の第2成分中に、イソシアナート反応性基を有する他の化合物に加えて、好ましくは0重量パーセントを超える、より好ましくは約0.3重量パーセント以上、最も好ましくは約0.5重量パーセント以上の量で存在する。低分子量化合物は、本発明の組成物の第2成分中に、好ましくは約10重量パーセント以下、より好ましくは約5重量パーセント以下、最も好ましくは約3重量パーセント以下の量で存在する。
【0023】
組成物の第2成分は、本明細書で先に記載のものなど、1種または複数のポリエステルポリオールをさらに含有することができる。ポリエステルポリオールは、接触される本発明の組成物のグリーン強度を改善するのに十分な量で添加することができる。ポリエステルポリオールが存在する場合それは、好ましくは約1重量パーセント以上、より好ましくは約2重量パーセント以上の量で存在する。ポリエステルポリオールが存在する場合それは、好ましくは約15重量パーセント以下、より好ましくは約8重量パーセント以下、最も好ましくは約3重量パーセント以下の量で存在する。
【0024】
第2成分であるB成分は、ポリアミン1つ当たりアミン基2個以上を有するポリオキシアルキレンポリアミンをさらに含んでもよい。このような化合物は、本明細書に記載されるようにゲル化剤として機能することができる。ポリオキシアルキレンポリアミンは、好ましくはポリアミン1つ当たりアミン2から4個、最も好ましくはポリアミン1つ当たりアミン2から3個を有する。ポリオキシアルキレンポリアミンは、好ましくは約200以上、最も好ましくは約400以上の重量平均分子量を有する。ポリオキシアルキレンポリアミンは、好ましくは約5,000以下、最も好ましくは約3,000以下の重量平均分子量を有する。好ましいポリオキシアルキレンポリアミンの中には、分子量約400のJEFFAMINE(商標)T−403ポリプロピレンオキシドトリアミン、および分子量約400のJEFFAMINE(商標)D−400ポリプロピレンオキシドジアミンがある。ポリオキシアルキレンポリアミンは、組成物を混合して塗布した後、組成物のへたりを防止するのに十分な量で存在する。ポリオキシアルキレンポリアミンは、本発明の組成物中に好ましくは約0.2重量パーセント以上、より好ましくは約0.3重量パーセント以上、最も好ましくは約0.5重量パーセント以上の量で存在する。ポリオキシアルキレンポリアミンは、本発明の組成物中に好ましくは約6重量パーセント以下、より好ましくは約4重量パーセント以下、最も好ましくは約2重量パーセント以下の量で存在する。
【0025】
組成物の各成分は、好ましくは1種または複数の充填剤を含む。充填剤は種々の理由で添加され、1つまたは複数のタイプの充填剤を本発明の組成物の成分で利用することができる。粘土、アルミナ、石灰石、タルク、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、膨張パーライトなどの充填剤を添加して、組成物を補強し、適切な粘度およびレオロジーを付与し、コストと組成物の所望の特性および組成物の成分との間でバランスをとることができる。本発明で有用な充填剤の好ましい一群は、コストと粘度のバランスを各成分に付与する充填剤である。このために有用な充填剤の中には、タルク、炭酸カルシウム、およびカオリンである。このような充填剤は、好ましくは顔料不含充填剤であり、粘度とコストとの許容できるバランスを調合物に付与し、かつ組成物の所望の特性を実現するのに十分な量で使用される。好ましい顔料不含充填剤としては、炭酸カルシウムまたはカオリンが挙げられる。本発明において有用である炭酸カルシウムは、標準炭酸カルシウムである。このような標準炭酸カルシウムは無処理である。すなわち、これらは、有機酸または有機酸エステルなど、他の化学物質を用いた処理によって改質されていない。カオリンはカオリナイトとも呼ばれ、化学式AlSi(OH)で表される化合物を含み、ほとんどの場合粘土の大きさの6角薄片状結晶として出現する。好ましくは、顔料不含充填剤は、組成物のレオロジーを押出し可能な接着剤として機能するのに適したものとするのに十分な量で存在する。顔料不含充填剤は、第1成分中に、好ましくは約8重量部以上、最も好ましくは約15重量部以上の量で存在する。顔料不含充填剤は、第1成分中に、好ましくは約22重量部以下、最も好ましくは約18重量部以下の量で存在する。
【0026】
本発明の組成物の成分は、組成物の強度およびレオロジーを改善するように存在する補強充填剤をさらに含んでもよい。補強充填剤の好ましいクラスはカーボンブラックである。補強充填剤は、組成物を補強し、かつ組成物のレオロジーを改善するのに十分な量で存在する。自動車用途において、非導電性は、一般に組成物のインピーダンスが少なくとも1010オーム−cmであることを意味すると考えられる。好ましくは、補強充填剤は、組成物の成分が非導電性となるような量で存在する。カーボンブラックなど、ある種の補強充填剤の存在が多すぎる場合、組成物は導電性となる可能性がある。カーボンブラックが補強充填剤として使用されるとき、使用されるカーボンブラックは標準カーボンブラックとすることができる。標準カーボンブラックは、非導電性にするための特定の表面処理または酸化を施していないカーボンブラックである。1種または複数の非導電性カーボンブラックを標準カーボンブラックと一緒に使用することができるが、このように包含することは不必要なコストを加算するおそれがある。組成物中の標準カーボンブラックの量は、所望の色、粘度、耐へたり性、および強度をもたらす量である。組成物が非導電性であることが望まれる場合、標準カーボンブラックを、組成物が非導電性となるレベルで利用することができる。補強充填剤は、成分のどちらかまたは両方中に、成分の重量を基準にして、各成分に対して好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約10重量パーセント、最も好ましくは少なくとも約12重量パーセントの量で存在する。補強充填剤は、成分のどちらかまたは両方中に、成分の重量を基準にして好ましくは約30重量パーセント以下、より好ましくは約25重量パーセント以下、最も好ましくは約18重量パーセント以下の量で存在する。導電性カーボンブラックを使用する場合、濃度を組成物全体において約18重量パーセント未満に維持して、組成物のインピーダンスが1010オーム−cmを超えるのを防止するよう注意を払わなければならず、この量を下回る場合の組成物は非導電性とみなされる。標準カーボンブラックは当技術分野において周知であり、Colombianから入手可能なRAVEN(商標)790、RAVEN(商標)450、RAVEN(商標)500、RAVEN(商標)430、RAVEN(商標)420、およびRAVEN(商標)410カーボンブラック、ならびにCabotから入手可能なCSX(商標)カーボンブラック、ならびにDegussaから入手可能なPRINTEX(商標)30カーボンブラックが挙げられる。非導電性カーボンブラックは当技術分野において周知であり、Colombianから入手可能なRAVEN(商標)1040およびRAVEN(商標)1060カーボンブラックが挙げられる。
【0027】
組成物の一方の成分または両成分において有用である充填剤の別のクラスは、本発明の組成物の対費用効果、粘度、および非導電性を改善する目的で添加される粘土である。本発明において有用である好ましい粘土としては、カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、ケイ酸アルミニウム、および表面処理無水ケイ酸アルミニウムが挙げられる。粘土は、汲み上げ可能な接着剤の調合を容易にする任意の形で使用することができる。好ましくは、粘土は、粉砕粉末、噴霧乾燥ビーズ、または微粉砕粒子の形で混合される。粘土は、本発明の組成物の約0重量パーセント以上、より好ましくは約10重量パーセント以上、さらにより好ましくは約18重量パーセント以上の量で使用することができる。粘土は、本発明の組成物の好ましくは約22重量パーセント以下、より好ましくは約40重量パーセント以下の量で使用される。
【0028】
接着剤組成物は、チキソトロープ剤(レオロジー添加剤)として機能する充填剤をさらに含んでもよい。このようなチキソトロープ剤は当業者に周知であり、ヒュームドシリカなどが挙げられる。チキソトロープ剤は、組成物のどちらかの成分または両成分に、所望のレオロジー特性が得られるのに十分な量で添加することができる。好ましくは、チキソトロープ剤は、本発明の組成物の重量を基準にして約0重量パーセント以上、好ましくは約1重量部以上の量で存在する。任意選択のチキソトロープ剤は、本発明の組成物の重量を基準にして好ましくは約10重量パーセント以下、より好ましくは約2重量パーセント以下の量で存在する。
【0029】
本発明の組成物の一方の成分または両成分は、イソシアナート部分と水または活性水素含有化合物との反応用の当業者に公知の触媒をさらに含んでもよい。好ましくは、触媒は周囲条件で揮発性でない。このような化合物は当技術分野において周知である。好ましくは、触媒は、組成物の第2成分であるB成分に加えられている。好ましい触媒としては、有機金属化合物、アミン系触媒、またはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、有機金属化合物とアミン系触媒の混合物が利用される。好ましい有機金属触媒の中には、アルカン酸金属、酢酸金属、金属アセチルアセトナート、および第三級アミンがある。好ましいアルカン酸金属触媒としては、オクタン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、オクタン酸亜鉛(zinc octoate)、オクタン酸カリウム(potassium octoate)、およびオクタン酸ナトリウム(sodium octoate)など、ビスマス、亜鉛、カリウムおよびナトリウムのアルカノアートが挙げられる。酢酸金属としては酢酸カリウムが挙げられる。金属アセチルアセチルアセトナートとしては、鉄アセチルアセトナートおよびジブチルスズジアセチルアセトナートが挙げられる。好ましい金属塩触媒は、金属としてビスマスまたはスズを含有し、スズが最も好ましい。好ましいアミン触媒としては、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロ−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましいジモルホリノジアルキルエーテルは、ジモルホリノジエチルエーテルである。好ましいジ((ジアルキル−モルホリノ)アルキル)エーテルは、(ジ−(2−(3,5−ジメチルモルホリノ)エチル)エーテル)である。第三級アミンは、イソシアナート基と活性水素含有化合物との反応を触媒するのに十分な量で使用され、第三級アミンは、組成物の重量を基準にして好ましくは約0.15重量部以上、最も好ましくは約0.2重量部以上であり、かつ約2.0重量部以下、より好ましくは約1.75重量部以下、さらにより好ましくは約1.0重量部以下、最も好ましくは約0.4重量部以下である量で利用される。有機金属化合物系触媒を使用するときは、接着剤組成物の重量を基準にして好ましくは約0重量部以上、より好ましくは約0.1重量部以上、さらにより好ましくは約0.2重量部以上、最も好ましくは約0.4重量部以上の量で使用される。このような有機金属化合物系触媒は、接着剤組成物の重量を基準にして好ましくは約5重量部以下、より好ましくは約2.0重量部以下、さらにより好ましくは約1重量部以下、最も好ましくは約0.6重量部以下の量で使用される。
【0030】
A成分である樹脂成分およびB成分である硬化性成分(curative part)のどちらかまたは両方は、顔料、安定剤、紫外線安定剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、ならびに硬化性ポリウレタンを生成する組成物および接着剤中によく存在している他の添加剤を含有することができる。イソシアナート反応性成分の感湿性基の早期加水分解を防止するには、充填剤および顔料を混合する前に完全に乾燥するべきである。
【0031】
本発明の硬化性組成物は、レオロジー特性が所望の稠度に改質されるように可塑剤をさらに含んでもよい。このような材料は、水を含まず、イソシアナート基に対して不活性であり、存在するポリマーに対して相溶性を示すべきである。可塑剤をどちらかの成分に加えることができる。適切な可塑剤は当技術分野において周知であり、好ましい可塑剤としては、フタル酸ジイソノニルまたはフタル酸ジイソデシルなどのフタル酸アルキル、部分水素化テルペン、リン酸トリオクチル、トルエン−スルファミド、アルキルスルホン酸エステル、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トルエン、およびアルキルナフタレンが挙げられる。硬化性組成物の各成分中の可塑剤の量は、所望のレオロジー特性をもたらす量である。本明細書に開示する量としては、イソシアナートを含むプレポリマーの調製時および硬化性組成物の配合時に添加される量が挙げられる。可塑剤は、本発明の組成物中に、本発明の組成物の重量を基準にして好ましくは約0重量パーセント以上、より好ましくは約5重量パーセント以上、最も好ましくは約10重量パーセント以上の量で使用される。可塑剤は、本発明の組成物の重量を基準にして好ましくは約45重量パーセント以下、より好ましくは約40重量パーセント以下の量で使用される。
【0032】
本発明の組成物は、接着剤組成物を湿気から保護するように機能し、それによって促進を抑制し、硬化性調合物におけるイソシアナートの早期架橋を防止する安定剤をさらに含んでもよい。ポリウレタン硬化性2成分組成物用の当業者に公知の安定剤を、本明細書で使用することができる。このような安定剤の中には、ジエチルマロナート、アルキルフェノールアルキラート、パラトルエンスルホン酸イソシアナート、塩化ベンゾイル、およびオルトアルキルホルマート、またはモレキュラーシーブが含まれる。このような安定剤は、好ましくは本発明の組成物の全重量を基準にして約0.1重量パーセント以上、好ましくは約0.5重量パーセント以上、より好ましくは約0.8重量パーセント以上の量で使用される。このような安定剤は、本発明の組成物の重量を基準にして約5.0重量パーセント以下、より好ましくは約2.0重量パーセント以下、最も好ましくは約1.4重量パーセント以下の量で使用される。
【0033】
本発明の組成物は、参照により本明細書に組み込まれるMahdiの米国特許出願公開第2002/0100550号、段落0055から0065およびHsiehの米国特許第6,015,475号、5欄、27行から6欄、41行に開示されるものなど、接着促進剤をさらに含んでもよい。有用なこのような接着促進剤の量も、参照により本明細書に組み込まれるこれらの参考文献に開示される。
【0034】
本発明の組成物の2成分は、好ましくはイソシアナート基の当量が、イソシアナート反応性基の当量より高くなるように組み合わされる。好ましくは、イソシアナート官能性プレポリマーと多官能性イソシアナートによってもたらされるイソシアナート基の量は、A成分中のイソシアナート基とB成分中のイソシアナート反応性基との所望の比が得られるように選択される。好ましくは、イソシアナート反応性基(活性水素基など)に対するA成分中のイソシアナート基の割合は、少なくとも約1.1、より好ましくは約1.15以上、最も好ましくは約1.2以上であり、かつ約1.8以下、より好ましくは約1.5以下、最も好ましくは約1.3以下である。2成分の官能基数は、硬化した接着剤の得られた架橋密度が所望の係数をもたらすような方式で調整される。
【0035】
本発明の成分または硬化性組成物は、当技術分野において周知である手段を使用して、成分同士をブレンドすることによって調合することができる。一般に、成分は適切なミキサーでブレンドされる。このようなブレンド操作は、好ましくは真空下または窒素もしくはアルゴンなどの不活性雰囲気中、早期反応を防止するのに酸素および大気水分の非存在下で実施される。反応混合物に、このような混合物の混合および取扱いが容易にできるようにイソシアナートを含む成分の調製用の可塑剤を添加することは有利であり得る。あるいは、可塑剤は、すべての成分をブレンドする間に添加することができる。成分は、好ましくは約20℃から約100℃、より好ましくは約25℃から約70℃の温度でブレンドされる。材料は、十分にブレンドされた混合物を調製するのに十分な時間、好ましくは約10から約60分間ブレンドされる。成分または硬化性組成物を調合すると、これらを大気水分および酸素から保護するような適切な容器に包装する。大気水分および酸素と接触すると、イソシアナート官能性プレポリマーの早期架橋が起こり得る。
【0036】
本発明の重合性組成物は2成分接着剤として使用される。重合性組成物の成分は、このような材料を用いて作業するとき通常行われるようにブレンドされる。商業および産業環境で最も容易に使用することができる本発明のものなど、接着剤として有用な2成分重合性組成物の場合、2成分が組み合わされる体積比は、好ましくは好都合な整数である。これによって、静的および動的混合を含めて、通常の市販ディスペンサーを用いた硬化性組成物の塗布が容易になる。静的混合を伴うこのようなディスペンサーは、(参照により本明細書に組み込まれる)米国特許第4,538,920号および第5,082,147号に示されており、商標名MIXPACとしてConprotec,Inc.(Salem,New Jersey)から、またはSulzer QuadroとしてSulzer Ltd.(Switzerland)から入手可能である。典型的には、これらのディスペンサーに、一対の筒形入れ物が使用され、各筒体は重合性組成物の2成分のうちの1成分を入れるためのものであって、並んで配置されている。各筒体につき1本ずつ備えられた2本のプランジャーを(例えば、手動で、または手動式ラチェット機構(hand-actuated ratcheting mechanism)によって)同時に前進させて、筒体の内容物を、2成分のブレンド操作を容易にするための静的混合機も入れることができる共通の細長い中空混合室に送り込む。ブレンドされた重合性組成物は、混合室から基材上に押し出される。電動式機器を使用するとき、動的混合を使用することができる。筒が空になると、新たな筒に取り替え、塗布プロセスを継続することができる。重合性組成物の2成分が組み合わされる体積比は、筒体の直径で調節される。(各プランジャーは固定直径の筒体内に入るようなサイズに作製され、それらのプランジャーは同じ速さで筒体に進められる)。シングルディスペンサーは、種々の異なる2成分重合性組成物で使用するためのものである場合が多く、プランジャーは、重合性組成物の2成分が好都合な混合比で送達されるようなサイズに作製される。よくある混合比には、1:1、2:1、4:1、および10:1もある。好ましくは、2成分は約1:1の混合比でブレンドされる。
【0037】
好ましくは、混合した本発明の2成分組成物は、液だれすることなく塗布を可能にする適切な粘度を有する。好ましくは、個々の2つの成分の粘度は、同じ桁数であるべきである。静的混合を利用して混合した組成物の場合、混合する前の個々の成分は、好ましくは約10Pa.S(10,000センチポアズ)以上、より好ましくは約20Pa.S(20,000センチポアズ)以上、最も好ましくは約40Pa.S(40,000センチポアズ)以上の粘度を有する。混合した2成分組成物は、硬化前の粘度が好ましくは約150Pa.S(150,000センチポアズ)以下、より好ましくは約120Pa.S(120,000センチポアズ)以下、最も好ましくは約100Pa.S(100,000センチポアズ)以下である。この一節で使用される「粘度」は、コーン・プレート型レオメータ(直径20mmおよびコーン角4°)で測定してせん断速度20/秒のとき決定される。粘度が高くなると、動的混合が必要となる。粘度がより低い場合、この成分は、当技術分野で公知であるゲル化剤が未硬化の接着剤システムのへたりを防止するために必要とされてもよい。
【0038】
本発明の重合性組成物を使用して、本明細書で先に記載したように種々の基材を接着する。組成物を使用して、多孔質および非多孔質の基材同士を接着することができる。2成分を接触させた後の重合性組成物を第1の基材に塗布し、その後第1の基材上の重合性組成物を第2の基材と接触させる。好ましい実施形態において、本発明の組成物を塗布する表面を、塗布する前に清浄し、場合によっては活性化および/または下塗りする。一般に、本発明の組成物は、重合性組成物をポンプ押出しできる温度で塗布される。本発明の重合性組成物は、好ましくは約0℃以上の塗布温度、より好ましくは約18℃以上の塗布温度で塗布される。本発明の重合性組成物は、好ましくは約45℃以下の塗布温度、より好ましくは約35℃以下の塗布温度で塗布される。重合性組成物は、2成分を接触させるとすぐに硬化を始める。硬化は、対流熱、マイクロ波加熱などによって硬化接着剤に熱を加えることによって促進することができる。
【0039】
好ましくは、接触させた組成物を使用して、ガラスを金属またはプラスチックなどの他の基材に接着する。好ましい実施形態において、第1の基材はガラス窓であり、第2の基材は窓枠である。別の好ましい実施形態において、第1の基材はガラス窓であり、第2の基材は車両、好ましくは大量輸送に使用される車両の窓枠である。好ましくは、ガラス窓は清浄にされ、接着剤を接着する対象の領域にガラスワイプ(glass wipe)または下塗剤を塗布してもよい。窓フランジは塗料用下塗剤で下塗りすることができる。接触させた組成物は、車両に配置されると窓フランジと接触するように位置する窓の周辺部にビーズ状に塗布される。次いで、窓とその上に位置する接触させた組成物を、窓とフランジの間に接触させた組成物が位置するようにフランジに配置する。接触させた組成物のビーズは、窓と窓フランジとの間の接合部をシールするように機能する連続ビーズである。接着剤の連続ビーズは、接触させるとビーズが各端部において連結して、窓とフランジとの間で連続シールとなるように位置するビーズである。その後、接触させた組成物を硬化させる。基材と接触させた後の本発明の組成物は、組み立てた後窓の移動を90分未満、より好ましくは60分未満において防止するのに十分なグリーン強度を有する。本発明の組成物は、20Kgを超え、約120Kgまでの大質量基材を基材に接着するのに特に有用である。本発明の組成物によって接着させることができる大質量基材の1クラスは、大量輸送用車両に利用されるものなどの大型窓である。
【0040】
好ましい実施形態において、本発明の組成物を使用して、構造体または車両、最も好ましくは車両の窓を交換する。第1のステップは以前の窓の除去である。これは、古い窓を適切な位置に保持している接着剤のビーズを切断し、次いで古い窓を外すことによって達成できる。その後、新たな窓を清浄にして下塗りする。窓フランジ上に存在する古い接着剤を除去できるが、これは必須のことではなく、ほとんどの場合そのまま残される。窓フランジは、好ましくは塗料用下塗剤で下塗りされる。接着剤は、車両に配置されると窓フランジと接触するように置かれる窓の周辺部にビーズ状に塗布される。次いで、接着剤が置かれた窓をフランジに配置して、接着剤が窓とフランジとの間に置かれる。接着剤ビーズは、窓と窓フランジとの間の接合部をシールするように、かつ車体構造を最高約40%強化するように機能する一続きのビーズである。接着剤の一続きのビーズは、窓とフランジとが接触されるとビーズが各端部で連結して、窓とフランジとの間で一続きのシールとなるように置かれるビーズである。その後、接着剤を硬化させる。接着剤は、約0°F(−18℃)〜約115°F(46℃)の温度で接着剤を塗布した後、好ましくは1時間、より好ましくは30分間の短い走行外時間(drive away time)を可能にする急速な強度進行を示す。特に、このような条件下で取り付けられたフロントガラスは、米国連邦自動車安全基準(FMVSS)212を満たすものである。
【0041】
一実施形態において、好ましくは本発明の組成物を使用して、金属、(e−コーティングまたは塗料系で)被覆された金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、木材、および/またはガラスを接着する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して、モジュラーコンポーネントを車体または互いに接着することができる。モジュラーコンポーネントの例としては、ドア、窓、ルーフモジュール、または車体などの車両モジュールが挙げられる。本発明の重合性組成物を使用して、外装トリムまたは内装トリムを車体に接着することもできる。
【0042】
ある種の用途では、本発明の重合性組成物を下塗剤または活性化ワイプ(activation wipe)と共に利用することができる。下塗剤または活性化ワイプは、典型的には1種または複数の基材の表面に塗布される。いずれの溶媒も揮発させておき、次いで重合性組成物を基材と接触させる。好ましくは、基材に下塗剤または活性化ワイプを塗布してから重合性組成物を塗布するまでの時間は、約0.5分間以上、より好ましくは約1分間以上、最も好ましくは約2分間以上である。
【0043】
重合性組成物は、ある種の基材に、下塗剤の非存在下でまたは表面を清浄にすること以外他には何も基材の表面を処理せずに接着することができる。下塗剤または表面処理を必要とすることなく、重合性組成物が接着する基材としては、典型的にはシートモールディングコンパウンド(SMC)、ポリエステルなどの繊維強化プラスチック、ならびに被覆金属、例えばe−コーティングされたアルミニウムおよび鋼、ならびに塗装金属板が挙げられる。
【0044】
本発明の重合性組成物は、好ましくは約90分後、より好ましくは約60分後、最も好ましくは約30分後に、基材の一方に力を加えることなく、基材同士が互いに対して動くことなく保持されるのに十分なグリーン強度を示す。本発明の重合性組成物は、好ましくは室温で約1日後に完全硬化を示す。最高約120℃の温度で加熱することによって、より速い硬化を実現することができる。23℃未満の場合、硬化時間が長くなる。本発明の重合性組成物は、完全硬化後に好ましくは約4MPa以上、より好ましくは約5MPa以上、最も好ましくは約6MPa以上の引張強さを示す。本発明の重合性組成物は、2時間後に好ましくは約1MPa以上、より好ましくは約2MPa以上、最も好ましくは約3MPa以上のラップせん断強さを示す。ラップせん断強さは、DIN 53283に準拠して決定される。本発明の重合性組成物は、完全硬化後に好ましくは約100%以上、より好ましくは約200%以上、最も好ましくは約300%以上の破断点伸びを示す。本発明の重合性組成物は、完全硬化後に好ましくは約350%以下の破断点伸びを示す。破断点伸びは、DIN 53504に準拠して決定される。
【0045】
本明細書に記載される「分子量」は、ゲル透過クロマトグラフィー(SECとも呼ばれる)で決めることができる数平均分子量である。ポリウレタンプレポリマーの場合、イソシアナート化合物と、それらが当業者に公知のように反応するポリオール化合物との当量比から近似的な数平均分子量を算出することも可能である。別段の記述のない限り、部および百分率はすべて重量によるものであり、本発明の組成物の重量を基準にしている。
【実施例】
【0046】
本発明の例示的な実施形態
下記の実施例は、本発明を例示するために記載されるものであって、その範囲を限定するものではない。部および百分率はすべて、別段の指摘がない限り重量によるものである。以下の実施例で調製されるプレポリマーで使用される材料については、表1に記載されている。
【表1】

【0047】
ポリエーテルポリウレタンプレポリマーは、平均分子量2000g/molのポリオキシプロピレンジオール22.571gと平均分子量4650g/molのポリオキシプロピレントリオール33.132gを混合することによって調製される。可塑剤33.779gを添加する。さらに、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート9.501gを添加する。その後、メチルエチルケトン(MEK)0.009g中オルトリン酸0.001g、およびマロン酸ジエチル1gを添加する。次いで、反応器中、混合物全体を50℃に加熱し、オクチル酸第一スズ0.007gを添加する。反応は、50℃で1時間実施する。得られたプレポリマーは、本明細書でNCO−プレポリマー−1と呼ぶものとする。
【0048】
SAN−コポリマー固体を含有するポリエーテルポリウレタンプレポリマーは、SAN固形分40%のSAN−コ−ポリオキシプロピレントリオール60.58g、可塑剤31.98g、メチルエチルケトン0.009g中オルトリン酸0.001gを反応器に加えることによって調製される。SANはスチレンアクリロニトリルである。混合することによって均質化した後、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート7.41gを添加する。再び、混合物を均質化する。次いで、反応器を50℃に加熱する。その後、オクチル酸第一スズ0.02gを添加し、反応を50℃で1時間実施する。得られたプレポリマーは、本明細書でNCO−プレポリマー−2と呼ぶものとする。
【0049】
ポリエーテルポリウレタンプレポリマーは、平均分子量2000g/molのポリオキシプロピレンジオール38.699gと平均分子量4650g/molのポリオキシプロピレントリオール18.516gを混合することによって調製される。可塑剤31.854gを添加する。さらに、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート10.701gを添加する。その後、MEK0.009g中オルトリン酸0.001g、およびマロン酸ジエチル0.213gを添加する。次いで、反応器中、混合物全体を50℃に加熱し、オクチル酸第一スズ0.007gを添加する。反応は、50℃で1時間実施する。得られたプレポリマーは、本明細書でNCO−プレポリマー−3と呼ぶものとする。
【0050】
この実施例では、米国特許第5,852,103号の実施例1のイソシアナート官能性プレポリマーを調製する。低分岐度のポリエーテルポリウレタンプレポリマーは、分子量2000のポリオキシラートジオール363.68gと分子量4500のポリオキシアルキラートトリオールに分散させたポリウレア527.04gを混合することによって調製される。混合は、反応器中で混合物を55℃に加熱することによって実施される。混合物に、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン160.6gおよびオクチル酸第一スズ0.17gを添加する。次いで、全混合物を1時間反応する。最後に、可塑化剤であるフタル酸ジアリル525.44gを混合物に添加し、混合を1時間続ける。得られたプレポリマーは、本明細書でNCO−プレポリマー−4と呼ぶものとする。
【表2】

【0051】
OHでエンドキャップされたプレポリマーの調製
NCO−プレポリマー−3 61.4gを反応器に加える。エンドキャッピング用の2−メルカプトエタノール2.53gを反応器容器に添加する。その後、トルエン0.139g中0.01gを添加し、撹拌しながら、混合物を50℃に加熱する。反応を50℃で1時間実施した。得られたプレポリマーは、本明細書でOH−プレポリマー−1と呼ぶものとする。さらに、得られたプレポリマーは、遊離イソシアナート官能基数0の粘性材料であった。
【0052】
この実施例は、米国特許第5,852,103号の実施例1のOH−プレポリマー組成物の調製である。ヒドロキシル官能性ポリウレア分散ポリエーテルポリウレタンプレポリマーは、ポリオキシアルキラートジオールとポリウレア分散ポリオキシアルキラートトリオールを反応させることによって合成される。この混合物を撹拌し、55℃に加熱し、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよびオクチル酸第一スズを添加し、さらに30分間混合する。可塑化剤である可塑剤(DAP)を添加し、混合物をさらに30分間撹拌する。得られたプレポリマーは、遊離イソシアナート官能基数0の粘性材料である。各ヒドロキシル官能性プレポリマーを調製するのに使用される成分を下記の表にまとめる。
【0053】
接着剤組成物のA成分の調製:
A成分として有用な4つの組成物は、イソシアナート官能性プレポリマー1〜4を使用して調製される。プレポリマー(成分1)を遊星形ミキサーに加え、30分間脱気する。組成物A−2およびA−3の場合は、脱気する前に成分2を添加する。次いで、成分3から6を適切な量で添加する。その後、混合物を真空下で30分間混合する。最後に、成分7から10を添加し、再び15分間混合する。
【表3】

【0054】
接着剤組成物のB成分の調製:
B成分硬化性組成物は、ヒドロキシル官能性プレポリマーを使用して、成分1、5、6、7、および8を遊星形ミキサーに加えることによって調製される。液体成分を真空下で30分間混合する。次いで、成分2、3、および4を添加し、再び真空下で30分間混合する。その後、成分9または10を添加し、15分間混合する。化合物をそれぞれ、表に示す。
【表4】

【0055】
キャラクタリゼーション方法:
A成分およびB成分を300mlのカートリッジに採取し、高速混合電動ガン(BETAGUN(商標))を固定するための動的混合ヘッドを備えたキットに組み立てる。材料を、容積に基づいた混合比1:1で高速で押し出す。ラップせん断強さは、2時間の特定の硬化時間後に標準ASTM D−3168に記載されるように測定される。デッキング性能(decking performance)は、以下の通り測定される:高さ1cm、幅7mm、長さ10cmの三角のビーズを、下塗りしていないガラス片上に置き、SUR Berlinの「針入度計PNR 6」に載せる。その後、針入度計の重り5gをビーズの上に隙間なく配置する。次いで、重りを5秒間放し、材料に進入させる。進入距離が記録され、これがデッキングと呼ばれる。デッキングは、ビーズを15分間および30分間曝露したままにした後確認される。作用時間は、以下の通り測定される:高さ1cm、底部幅7mmの三角のビーズを、23℃および相対湿度50%で安定な表面上に押し出す。押し出し後、時間をモニターし、木ベラをビーズに押し込み、引き離す。作用時間は、接着剤がヘラに付着しなくなる時点によって決まる。
【表5】

【0056】
表5には、異なる接着剤の様々な作用時間が記載されている。本発明の組成物は、試料の「接着剤A1−B1」および「接着剤A3−B3」において、高いラップせん断と共に、長い作用時間を示す。公知の技術で作製された比較例の試料「接着剤A2−B2」および「接着剤A4−B4」では、「接着剤A2−B2」のような長い作用時間および低いラップせん断値、または「接着剤A4−B4」の場合の高いラップせん断ではあるが短い作用時間が示される。
【表6】

【0057】
表6は、いくつかの接着剤タイプのデッキング性能を示す。「接着剤A1−B1」および「接着剤A3−B3」は本発明の組成物を表し、「接着剤A2−B2」は高い取扱強さと共に長い作用時間が必要とされる用途に利用される標準技術を表す。デッキング性能は、様々な温度で15分および30分経過した後確認されるものであり、典型的な屋内および屋外でのアセンブリ取付け時に行うことができる。ビーズを曝露したままにした(貼合せ時間15分)後の試料の「接着剤A1−B1」および「接着剤A3−B3」のデッキング性能は、5から40℃の温度範囲にわたってデッキングのわずかな低下を示す。標準技術を特徴とする「接着剤A2−B2」は、温度範囲内で4から1.7mmの大きな変化をもたらす。30分の作用時間後のデッキングは、試料「接着剤A1−B1」において、温度範囲にわたって1.1から0.6mmに変化する最少の変化を示す。「接着剤A3−B3」は、5℃で3.7mmのより深い貫入をもたらすが、それでもなお、40℃でより柔軟になり、デッキングは1mmとなる。標準の試料の「接着剤A2−B2」は、5℃で3.2の深い貫入をもたらし、40℃で硬くなり、0.2mmの貫入をもたらす。接着剤のデッキング性能は、貫入が0.9mmを超えるとき適切である。要約すれば、本発明の接着剤は、良好なラップせん断性能およびガラスのフランジへの沈み込みに対する抵抗性のため、ガラスずれ(glass slippage)に対して十分な抵抗性をもたらす効果を与える。A成分およびB成分を、適切な動的混合ヘッドを備えた高速電動混合アプリケーターガンに挿入した。このガンを使用して、両筒体中の材料を、容積に基づいた比1:1で高速で押し出した。この新規材料のデッキングは、標準製品の場合より広い温度範囲にわたって安定である。デッキングは、5秒の時間枠内で所定の重量の材料貫通を測定する針入度計により測定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)第1成分中の(i)1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマー;ならびに
B)第2成分中の(ii)イソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物;
(iii)組成物が非導電性となるように選択される1種または複数の充填剤;および
(iv)イソシアナート基とイソシアナート反応性化合物との反応用の1種または複数の触媒
を含む2成分組成物であって、1種もしくは複数のイソシアナート官能性プレポリマーおよびイソシアナート反応性基を有する1種もしくは複数の化合物のどちらかまたは両方は有機固体粒子がグラフトされており、該組成物が有機固体粒子を全組成物の約6〜約13重量パーセントを含む、2成分組成物。
【請求項2】
第2成分が、主鎖に有機固体粒子がグラフトされている化合物を約35〜約65重量パーセント含む、請求項1に記載の2成分組成物。
【請求項3】
1種または複数のイソシアナート官能性プレポリマーが、プレポリマーの主鎖にグラフトされている有機固体粒子を約0〜約26重量パーセント含む、請求項1に記載の2成分組成物。
【請求項4】
固体粒子が、熱可塑性ポリマー、またはゴムで改質された熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項5】
固体粒子が、ゴムで改質された熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項6】
固体粒子が、モノビニリデン芳香族モノマーと共役ジエン、アクリラート、メタクリラート、不飽和ニトリル、またはそれらの混合物とのコポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項7】
固体粒子が、不飽和ニトリルと共役ジエンとモノビニリデン芳香族モノマーとのコポリマー、または不飽和ニトリルとモノビニリデン芳香族モノマーとのコポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項8】
第2成分がさらに、固体を含まない、イソシアナート反応性基を有する1種または複数の化合物を約5〜約30重量パーセント含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項9】
1種または複数の充填剤が、非導電性カーボンブラック、または組成物が導電性とならないような量の導電性カーボンブラックを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項10】
1種または複数の導電性カーボンブラックが、約18重量パーセント以下の量で存在する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項11】
1種または複数の充填剤が、顔料不含充填剤を、組成物のレオロジーを押出し可能な接着剤として機能するのに適したものとするのに十分な量で含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項12】
触媒が1種または複数の有機金属化合物またはアミンを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項13】
触媒が1種または複数の有機金属化合物および1種または複数のアミンを含む、請求項13に記載の2成分組成物。
【請求項14】
有機金属化合物が1種または複数のスズ化合物を含む、請求項12または13に記載の2成分組成物。
【請求項15】
B成分がポリエステル系ポリオールをさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項16】
A成分が、主鎖中にポリエステルポリオールの残基を有するイソシアナート官能性プレポリマーを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項17】
B成分が鎖延長剤または架橋剤をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項18】
A成分が多官能性ポリイソシアナートをさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項19】
A成分中のイソシアナート基 対 B成分中のイソシアナート反応性基の比が、1.1:1.0より大きい、請求項1〜18のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項20】
2枚以上の基材を接着させる方法であって、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物の2成分を接触させるステップと、基材同士を接着するため、接触させた組成物の成分を基材と基材との間に配置して、接触させた組成物の成分と2枚以上の基材を接触させるステップとを含む方法。
【請求項21】
一方の基材がガラスであり、他方の基材が、ガラスを接着させる構造体を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
構造体が、建築物、または品物および/もしくは人間を運搬する際に使用される装置である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
接着させるガラスが窓である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
窓が約20〜約120キログラムより高い質量を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
接触させると約8〜約30分間のオープン時間を示す、請求項1から19のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項26】
接触させて2時間後に約2.0MPa以上のラップせん断強さを示す、請求項1から19のいずれか一項に記載の2成分組成物。

【公表番号】特表2012−500862(P2012−500862A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523843(P2011−523843)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/050461
【国際公開番号】WO2010/021793
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】