説明

天井ファン

【課題】天井が比較的低い部屋にも良好に設置することができる天井ファンを提供する。
【解決手段】天井Tから吊り下げられた電灯8の近傍に配設され、モータ3により回転駆動されて送風可能な複数の羽根部材2を具備した天井ファンにおいて、モータ3及び羽根部材2を回転自在に支持するベアリング5を収容した筐体1を有するとともに、モータ3を筐体1の中央からオフセットした位置に配設したものであって、筐体1の中央には下方に向けて開口させた凹部が形成されるとともに、当該凹部の底面中央から電灯8のコードを垂下させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井から吊り下げられた電灯の近傍に配設され、モータにより回転駆動されて送風可能な複数の羽根部材を具備した天井ファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井に設置されて室内の換気を目的とした天井ファンは、通常、天井から吊り下げられた電灯の近傍に配設されるとともに、複数の羽根部材及び当該羽根部材を回転駆動させるためのモータを有して成るものである。天井には、通常、電灯に電力供給するための天井コンセントが固定されているため、かかる天井コンセントから電灯及びモータに対して電力供給が行われるよう構成されていた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の天井ファンにおいては、モータが羽根部材の中央位置(羽根部材の回転中心)に配設されていたため、筐体の上部に当該モータを収容するための大きなスペースが必要となってしまうという問題があった。筐体の上部に大きなスペースが必要とされると、その分だけ天井ファンの設置位置が下方に下がってしまうことから、天井が比較的低い部屋に設置する場合、不都合が生じていた。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、天井が比較的低い部屋にも良好に設置することができる天井ファンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、天井から吊り下げられた電灯の近傍に配設され、モータにより回転駆動されて送風可能な複数の羽根部材を具備した天井ファンにおいて、前記モータ及び前記羽根部材を回転自在に支持するベアリングを収容した筐体を有するとともに、前記モータを前記羽根部材の回転中心からオフセットした位置に配設したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の天井ファンにおいて、前記筐体の中央には下方に向けて開口させた凹部が形成されるとともに、当該凹部の底面中央から前記電灯のコードを垂下させたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の天井ファンにおいて、天井に固定された天井コンセントと係止しつつ導通して当該天井コンセントからの電力を前記モータに供給可能な接続金具を有するとともに、前記電灯のコネクタに形成された一対の金具を係止させつつ導通して前記天井コンセントからの電力を当該電灯に供給可能とされたコネクタ部を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、モータを羽根部材の回転中心からオフセットした位置に配設したので、筐体の上部に大きなスペースが不要となり、天井が比較的低い部屋にも天井ファンを良好に設置することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、筐体の中央には下方に向けて開口させた凹部が形成されるとともに、当該凹部の底面中央から電灯のコードを垂下させたので、電灯のコネクタの周囲を覆うカバーがある場合、当該カバーが凹部内に収容されることとなり、意匠性を更に向上させることができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、天井に固定された天井コンセントと係止しつつ導通して当該天井コンセントからの電力を前記モータに供給可能な接続金具を有するとともに、電灯のコネクタに形成された一対の金具を係止させつつ導通して天井コンセントからの電力を当該電灯に供給可能とされたコネクタ部を具備したので、天井コンセントを増設することなく電灯及びモータの双方に電力供給することができるとともに、既存の電灯をそのまま流用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る天井ファンは、図1、2に示すように、室内の換気を目的として天井Tから吊り下げられた電灯8の近傍(電灯8の上方であって天井T側)に配設されたものである。本実施形態に適用される電灯8は、傘型のカバー9で覆われつつコードHを介して天井Tから吊り下げられるものであり、当該コードHの基端側にはコネクタ11が形成されている。尚、コードHの基端側には、コネクタ11の周囲を覆う基端側カバー10が形成されている。
【0012】
コネクタ11は、一般の電灯のコードに形成される汎用的なもので、図6に示すように、それぞれの先端が折り曲げ加工されて係止部16aが形成された一対の金具16を有している。また、天井Tに固定される汎用的な天井コンセントCは、図5に示すように、一対の金具16に対応した一対の切欠12が形成されており、当該切欠12の幅広部から一対の金具16が挿通可能とされている。
【0013】
そして、当該切欠12の幅広部に一対の金具16を挿通させた状態でコネクタ11を所定方向に回転させれば、係止部16aが切欠12の幅細部に係止されるとともに導通金具15の接点部15aと当接して電気的に接続(導通)され得るようになっている。この導通金具15は、一端に接点部15a及び他端に基端部15bが形成された一体の金具から成るものであり、基端部15bが電源配線と接続されて電力供給可能とされている。尚、図中符号13は、天井コンセントCを天井Tに固定するネジの挿通孔を示しており、符号14は、当該挿通孔13が形成されたボス部を示している。
【0014】
一方、本実施形態に係る天井ファンは、上記天井コンセントC及びコネクタ11の双方とそれぞれ電気的に接続可能とされたものであり、筐体1と、正転及び逆転駆動可能なモータ3と、モータ3により回転駆動可能な複数(本実施形態においては3枚)の羽部材2と、コネクタ部7とから主に構成されている。
【0015】
筐体1は、モータ3及び羽根部材2を回転自在に支持するベアリング5等を収容したもので、外側のファンカバー1aと、内側のファンベース1bとから主に構成されており、一部にモータ取付板1cが形成されている。より具体的には、ファンベース1bには、ベアリング5を介して円環状の回転部材6が回転自在に取り付けられており、かかる回転部材6に対して羽根部材2が取り付けられている。尚、羽根部材2は、回転部材6に対してピンPにより固定されており、当該ピンPの挿抜操作により、当該羽根部材2が脱着可能とされている。
【0016】
モータ取付板1cにはモータ3が取り付けられており、当該モータ3の出力軸3aが下方に向かって延びている。然るに、モータ3は、筐体1の中央からオフセットした位置(側方にずれた位置)、具体的には羽根部材2の回転中心Lからオフセットした位置に配設されることとなっている。即ち、従来であれば、羽根部材2の回転中心L上であって筐体1の上部にモータが配設されていたのに対し、本発明においては、図示の如く、回転中心Lからずれた位置であって筐体1の内部(従って、従来より下方の位置)にモータ3が収容されているのである。
【0017】
一方、回転部材6の上面には、円環状に立ち上がって形成されたリブ6aが形成されており、かかるリブ6aの内周面6aaにウレタンローラ4が当接して配設されている。かかるウレタンローラ4は、モータ3の出力軸3aに形成されており、当該モータ3の駆動により回転して回転部材6及び羽根部材2を回転駆動し得るよう構成されている。而して、羽根部材2が回転することにより、室内に対して送風可能とされている。
【0018】
また、筐体1の中央には下方に向けて開口させた凹部Aが形成されるとともに、当該凹部Aの底面Aaにコネクタ部7が配設されている。かかるコネクタ部7は、図3、4に示すように、天井コンセントCと係止しつつ導通して当該天井コンセントCからの電力をモータ3に供給可能な一対の接続金具7aを有するとともに、電灯8のコネクタ11に形成された一対の金具16を係止させつつ導通して天井コンセントCからの電力を当該電灯8に供給可能とされたものである。
【0019】
接続金具7aは、コネクタ部7の上面から上方に立ち上がって形成され、その先端が折り曲げ加工されて係止部7aaを有しており、その立ち上り部と係止部7aaとがコネクタ11の一対の金具16及び係止部16aと略同一形状とされている。即ち、天井コンセントCの切欠12には、電灯8におけるコネクタ11の一対の金具16、及び本天井ファンにおけるコネクタ部7の接続金具7aの双方とも共通に挿通及び係止可能とされており、何れも導通金具15に対して電気的接続(導通)が可能とされているのである。
【0020】
また、コネクタ部7の下面には、天井コンセントCと略同一形状の切欠7cが形成されており、その幅広部から電灯8におけるコネクタ11の一対の金具16を挿通可能とされている。そして、当該切欠7cの幅広部に一対の金具16を挿通させた状態でコネクタ11を所定方向に回転させれば、係止部16aが切欠7cの幅細部に係止されるとともに導通金具7bの接点部7baと当接して電気的に接続(導通)され得るようになっている。
【0021】
この導通金具7bは、一端に接点部7ba及び他端に基端部7bbが形成された一体の金具から成るものであり、基端部7bbは、接続金具7aの導電部7abと当接して当該接続金具7aと電気的に接続されている。而して、天井コンセントCからの電力は、接続金具7aを介してモータ3に供給されるとともに、当該接続金具7、導電部7ab、金具16及びコードHを介して電灯8にも供給されるようになっている。
【0022】
上記実施形態によれば、モータ3を筐体1の中央からオフセットした位置に配設したので、筐体3の上部にモータ設置のための大きなスペースが不要となり、天井が比較的低い部屋にも天井ファンを良好に設置することができる。即ち、従来であれば、モータが羽根部材の回転中心軸上であって筐体の上部に設置されていたため、その設置スペースの分だけ天井ファン全体が下方に位置することとなっていたのに対し、本発明によれば、天井ファンの筐体1の中央からオフセットした位置にモータが配設されるため、上部にモータ設置用のスペースが不要とされ、天井Tにより近い位置に天井ファンを設置することができるのである。
【0023】
天井Tに固定された天井コンセントCと係止しつつ導通して当該天井コンセントCからの電力をモータ3に供給可能な接続金具7aを有するとともに、電灯8のコネクタ11に形成された一対の金具16を係止させつつ導通して天井コンセントCからの電力を当該電灯8に供給可能とされたコネクタ部7を具備したので、天井コンセントCを増設することなく電灯8及びモータ3の双方に電力供給することができる。
【0024】
また、電灯8におけるコネクタ11の一対の金具16、及び本天井ファンにおけるコネクタ部7の接続金具7aの双方とも共通に天井コンセントCの切欠12に対して挿通及び係止可能とされており、何れも導通金具15に対して電気的接続(導通)が可能とされているので、既存の電灯を天井コンセントCから取り外し、代わりに本天井ファンを当該天井コンセントCに係止及び接続して取り付け、一旦取り外した既存の電灯のコネクタ11をコネクタ部7に係止及び接続させれば、既存の電灯をそのまま流用させることができる。
【0025】
更に、本実施形態によれば、筐体1の中央には下方に向けて開口させた凹部Aが形成されるとともに、当該凹部Aの底面Aa中央から電灯8のコードHを垂下させたので、コネクタ11及びコネクタ部7が凹部A内に隠れた位置となって意匠性を向上させることができる。また、電灯8のコネクタ11の周囲を覆う基端側カバー10がある場合、当該基端側カバー10が凹部A内に収容されることとなり、意匠性を更に向上させることができる。
【0026】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば筐体1全体の形状や羽根部材2の枚数等を任意変更してもよく、適用される電灯8についても種々変更することができる。また、ベアリング5は、ボールベアリング或いはニードルベアリング等如何なる形態のベアリングであってもよく、当該ベアリング5に代えて回転用のブッシュ等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
モータ及び羽根部材を回転自在に支持するベアリングを収容した筐体を有するとともに、モータを羽根部材の回転中心からオフセットした位置に配設した天井ファンであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る天井ファンの外観を示す斜視図
【図2】同天井ファンを示す断面模式図
【図3】同天井ファンにおけるコネクタ部を示す断面模式図
【図4】同コネクタ部の下面図及び上面図
【図5】同天井ファンに適用される天井コンセントを示す下面図及び上面図
【図6】同天井ファンに適用される電灯のコネクタを示す側面図及び上面図
【符号の説明】
【0029】
1 筐体
1a ファンカバー
1b ファンベース
2 羽根部材
3 モータ
4 ウレタンローラ
5 ベアリング
6 回転部材
7 コネクタ部
7a 接続金具
8 電灯
9 カバー
10 基端側カバー
11 コネクタ
12 切欠
13 挿通孔
14 ボス部
15 導通金具
16 金具
L 回転中心
C 天井コンセント
A 凹部
Aa 底面
T 天井
H コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井から吊り下げられた電灯の近傍に配設され、モータにより回転駆動されて送風可能な複数の羽根部材を具備した天井ファンにおいて、
前記モータ及び前記羽根部材を回転自在に支持するベアリングを収容した筐体を有するとともに、前記モータを前記羽根部材の回転中心からオフセットした位置に配設したことを特徴とする天井ファン。
【請求項2】
前記筐体の中央には下方に向けて開口させた凹部が形成されるとともに、当該凹部の底面中央から前記電灯のコードを垂下させたことを特徴とする請求項1記載の天井ファン。
【請求項3】
天井に固定された天井コンセントと係止しつつ導通して当該天井コンセントからの電力を前記モータに供給可能な接続金具を有するとともに、前記電灯のコネクタに形成された一対の金具を係止させつつ導通して前記天井コンセントからの電力を当該電灯に供給可能とされたコネクタ部を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の天井ファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−59871(P2010−59871A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226838(P2008−226838)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000108926)ダイコー化学工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】