説明

天井用断熱パネルの接合構造

【課題】下面板の剥離を最小限にして、断熱パネルの断熱性の維持が図れると共に、断熱パネル同士の接合部の気密性・断熱性の維持が図れるようにした天井用断熱パネルの接合構造を提供すること。
【解決手段】断熱心材20とその上下に表面板1,2を接着してなる断熱パネルP同士を不燃性目地材25を介して接合する天井用断熱パネルの接合構造において、断熱パネルの接合部において、少なくとも一方の断熱パネルの下面板2が下方に変位した際に、該下面板に形成される係合片2A,2Bが該断熱パネルの上面板1に形成される係合受け片1A,1Bと係合可能、又は、一方の断熱パネルP1の下面板2に形成される係合片2Cが他方の断熱パネルP2に形成させる係合突出部2Dに係合可能、若しくは、目地材に係合可能に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばクリーンルームや倉庫等の建築物の天井を構成する天井用断熱パネルの接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばクリーンルームや倉庫等の建築物の天井を構成するパネルの一種として、一対の表面板間に断熱心材を挟み込んだ断熱構造のものが使用されている。
【0003】
上記のように構成されるパネルとして、一対の表面板と、これら表面板の辺部間に介在される枠材と、両表面板及び枠材にて形成される空間内に充填される断熱心材と、からなる断熱パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のものには、断熱パネルの下面に配置される表面板(下面板)は、該下面板の辺部に形成された端部折曲片を枠材に形成された嵌合溝に嵌合すると共に、パネル空間内に充填される断熱心材と接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−84782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、経年変化により下面板と断熱心材の接着性が低下し、下面板が剥離する懸念がある。その結果、断熱パネルの断熱性及び断熱パネル同士の接合部の気密性・断熱性を低下させる懸念がある。更に、重力の作用により下面板の剥離が拡がると共に下面板と枠材との嵌合が不十分となって、下面板が剥がれる懸念がある。
【0007】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、下面板の剥離を最小限にして、断熱パネルの断熱性の維持が図れると共に、断熱パネル同士の接合部の気密性・断熱性の維持が図れるようにした天井用断熱パネルの接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、請求項1記載の発明は、断熱心材とその上下に表面板を接着してなる断熱パネル同士を不燃性目地材を介して接合する天井用断熱パネルの接合構造において、 上記断熱パネルの接合部において、少なくとも一方の断熱パネルの下面板が剥離により下方に変位した際に、該下面板が該断熱パネルの上面板と係合可能、又は、一方の断熱パネルの下面板が他方の断熱パネルに係合可能、若しくは、上記目地材に係合可能に形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
このように構成することにより、一方の断熱パネルの下面板が剥離により下方に変位した際に、下面板が断熱パネルの上面板と係合、又は、一方の断熱パネルの下面板が他方の断熱パネルに係合、若しくは、目地材に係合するため、下面板の剥離を最小限にすることができる。
【0010】
この発明において、上記断熱パネルの上面板は、その辺部から上記下面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは上方に向かって折曲される係合受け片が形成され、上記断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは下方に向かって折曲される係合片が形成され、上記下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記係合受け片に係合可能に形成してもよい(請求項2)。この場合、上記断熱パネルの上面板の下面に取付座金を連結し、該取付座金は、上記上面板の辺部から上記下面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは上方に向かって折曲される係合受け片が形成され、上記断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは下方に向かって折曲される係合片が形成され、上記下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記係合受け片を介して上面板に係合可能に形成してもよい(請求項3)。
【0011】
このように構成することにより、断熱パネルの下面板が剥離により下方に変位した際に、下面板が該断熱パネルの上面板と確実に係合することができるため、下面板の剥離を最小限にすることができる。
【0012】
また、上記上面板に形成された係合受け片と上記下面板に形成された係合片の対向する面のうち、少なくとも一方に断熱部材が接着される方がよい(請求項4)。
【0013】
このように構成することにより、上面板と下面板の接触によるヒートブリッジの発生を抑制することができるため、断熱パネルの断熱性能の向上を図ることができる。
【0014】
この発明において、接合される一方の断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から外方に向かって上下面板と平行に折曲される係合片が形成され、接合される他方の断熱パネルの下面板は、その辺部から外方に向かって延設されると共に、その先端から内方に向かって延設片と平行に折曲される係合突出部が形成され、上記一方の断熱パネルの下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記係合突出部に係合可能に形成してもよい(請求項5)。
【0015】
このように構成することにより、一方の断熱パネルの下面板が剥離により下方に変位した際に、一方の断熱パネルの下面板が他方の断熱パネルに確実に係合することができるため、一方の断熱パネルの下面板の剥離を最小限にすることができる。
【0016】
この発明において、上記断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から外方に向かって上下面板と平行若しくは下方に向かって折曲される係合片が形成され、上記目地材は、上記断熱パネルを接合する面に開口部を有する係合溝が長手方向に沿って形成され、上記断熱パネルの接合状態において、上記係合片が上記目地材の係合溝内に隙間をおいて挿入されており、上記断熱パネルの下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記目地材の係合溝に係合可能に形成してもよい(請求項6)。
【0017】
このように構成することにより、一方の断熱パネルの下面板が剥離により下方に変位した際に、該断熱パネルの下面板が、断熱パネル間に介在される目地材に確実に係合することができるため、下面板の剥離を最小限にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る天井用断熱パネルの接合構造によれば、接合状態の断熱パネルの下面板が剥離により下方に変位した際に、下面板が断熱パネルの上面板と係合、又は、一方の断熱パネルの下面板が他方の断熱パネルに係合、若しくは、目地材に係合し、下面板の剥離を最小限にすることができるため、断熱パネルの断熱性の維持が図れると共に、断熱パネル同士の接合部の気密性・断熱性の維持が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る天井用断熱パネルの接合構造の第1実施形態を示す拡大断面図である。
【図2】第1実施形態におけるパネルの一端部と他端部の一部を断面で示す斜視図である。
【図3】第1実施形態における下面板が下方に変位した状態を示す拡大断面図である。
【図4】この発明に係る天井用断熱パネルの接合構造の第2実施形態を示す拡大断面図である。
【図5】第2実施形態におけるパネルの一端部と他端部の一部を断面で示す斜視図である。
【図6】第2実施形態における下面板が下方に変位した状態を示す拡大断面図である。
【図7】この発明に係る天井用断熱パネルの接合構造の第3実施形態を示す拡大断面図である。
【図8】第3実施形態におけるパネルの一端部と他端部の一部を断面で示す斜視図である。
【図9】第3実施形態における目地材の斜視図である。
【図10】第3実施形態における下面板が下方に変位した状態を示す拡大断面図である。
【図11】この発明に係る天井用断熱パネルの接合構造の第4実施形態を示す拡大断面図である。
【図12】第4実施形態におけるパネルの一端部と他端部の一部を断面で示す斜視図である。
【図13】第4実施形態における下面板が下方に変位した状態を示す拡大断面図である。
【図14】この発明に係る天井用断熱パネルの接合構造の第5実施形態を示す拡大断面図である。
【図15】第5実施形態におけるパネルの一端部と他端部の一部を断面で示す斜視図である。
【図16】第5実施形態における下面板が下方に変位した状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
この発明における断熱パネルP(以下にパネルPという)は、図1,2に示すように、断熱心材20と、断熱心材20の上下に接着される表面板1,2(以下に上面板1,下面板2という)と、上面板1の内面側に当接される取付座金30と、で構成されている。
【0022】
この場合、上下面板1,2は、例えばアルミニウム合金によって一定規格の大きさの矩形薄板状に形成されている。図1に示すように、上面板1は、その辺部から下面板2に向かって折曲されると共に、その先端から上方に向かって折曲される係合受け片1A,1Bが形成されている。一方、下面板2は、その辺部から上面板1に向かって折曲されると共に、その先端から下方に向かって折曲される係合片2A,2Bが形成されている。更に、パネルP1の下面板は、その辺部から上面板1に向かって折曲されると共に、その先端から外方に向かって上下面板1,2と平行に折曲される係合片2Cが形成され、パネルP2の下面板2は、その辺部から外方に向かって延設されると共に、その先端から内方に向かって延設片2eと平行に折曲される係合突出部2Dが形成されている。
【0023】
詳細には、図2に示すように、上面板1の一端部(図において左側)には、辺部を下方に向かって略S字状に折曲すると共に側方に向かって上面板1と水平に延設される段部1aと、段部1aの端部から下面板に向かって折曲される折曲片1bと、折曲片1bの端部から内方且つ上方に向かって折曲される傾斜片1cと、が形成されている。この場合、折曲片1bと傾斜片1cにより上述した係合受け片1Aが形成される。また、段部1aと折曲片1bと傾斜片1cによりパネルPの接合面に上方接合部1Sが形成される。
【0024】
一方、上面板1の他端部(図において右側)には、その辺部から外方に向かって延設されると延設片1dと、延設片1dの先端から内方に向かって延設片1dと重なるように平行に折曲される水平片1eと、水平片1eの端部から隣接するパネルPの上面板1に形成される上方接合部1Sを収納する断面略逆L字状の基部1fと、基部1fの端部から下面板2に向かって折曲される折曲片1gと、折曲片1gの端部から内方且つ上方に向かって折曲される傾斜片1hと、が形成されている。この場合、折曲片1gと傾斜片1hにより上述した係合受け片1Bが形成される。また、基部1fと折曲片1gと傾斜片1hによりパネルPの接合面に下方接合部1Tが形成される。
【0025】
また、下面板2の一端部(図において左側)には、辺部から上面板1に向かって折曲される第1の折曲片2aと、第1の折曲片2aの先端から外方に向かって下面板2と水平に折曲される水平片2bと、水平片2bの端部から上面板1に向かって折曲される第2の折曲片2cと、第2の折曲片2cの端部から外方且つ下方に折曲される傾斜片2dと、が形成されている。この場合、第2の折曲片2cと傾斜片2dにより上述した係合片(第2の係合片)2Aが形成される。また、第1の折曲片2aと水平片2bにより上述した係合片(第1の係合片)2Cが形成されている。
【0026】
一方、下面板2の他端部(図において右側)には、その辺部から外方に向かって延設されると延設片2eと、延設片2eの先端から内方に向かって延設片2eと重なるように平行に折曲される水平片2fと、水平片2fの端部から上面板1に向かって折曲される折曲片2gと、折曲片2gの端部から外方且つ下方に向かって折曲される傾斜片2hと、が形成されている。この場合、折曲片2gと傾斜片2hにより上述した係合片2Bが形成される。また、延設片2eと水平片2fにより上述した係合突出部2Dが形成されている。
【0027】
断熱心材20は、例えばポリウレタンフォームにて成形され、図1,図2に示すように、端部には上下面板1,2間の端部に形成される凸条を収納できるように長手方向に凸条20aが形成されている。
【0028】
取付座金30は、図1に示すように、パネルPの端部の上面板1下面の所定の位置例えば角部に当接される矩形状の基板30aで形成され、基板30aには図示しない取付孔が設けられている。図1に示すように、下面には取付孔に連通する取付ねじ受け部31が固着されている。この取付ねじ受け部31は例えばNCナットあるいはバーリング加工された取付孔に刻設された雌ねじ部にて形成されている。
【0029】
上記のように構成されるパネルPを作製するには、予め上記のように辺部が折曲された下面板2を断熱心材20の下面と接着剤を介して接着した後、上記のように辺部が折曲された上面板1に両面粘着テープを介して取付座金30を仮接着し、断熱心材20の上面に接着剤を介して接着させる。この際、図2に示すように、上面板1に形成された係合受け片1A,1Bと下面板2に形成された係合片2A,2Bが、垂直方向において重複するように配置する。
【0030】
次に、天井構造について説明する。天井構造は、図1に示すように、図示しない躯体(天井スラブ)から吊り下げられる吊りボルトと吊り金具によって吊持される天井梁40に、連結金具41を介してパネルPが取り付けられている。この場合、天井梁40は、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成され、断面がC字状に形成されている。この天井梁40の下面に板状断熱部材42を介してパネルPの短辺側が配置されている。
【0031】
上記連結金具41は、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成され、天井梁40を外側からコ字状に囲むようにして取り付けられ、下側フランジ部41aの下面に当接するパネルPに接着された取付座金30に設けられた上記取付ねじ受け部31にねじ結合される連結ボルト35によって固定(連結)されるようになっている。また、連結金具41の壁部と天井梁40の垂直片とは、固定ねじ43によって固定されている。なお、図3,4,6,7,10,11,13,14,16においては、天井構造について省略してある。
【0032】
次に、パネルPの接合構造について説明する。図1に示すように、接合される両パネルP(パネルP1,P2)は接合面に形成される上部接合部1Sと下部接合部1Tを、断面クランク状の目地材25を介して合致して接合する。目地材25は、不燃性例えばアルミニウム合金製の押出形材であって、図3に示すように、水平基片25aと水平基片25aの一辺から上面板1に向かって屈曲して延設される第1の垂直片25bと、水平基片25aの対向する辺から下面板2に向かって屈曲して延設される第2の垂直片25cと、で形成されている。上記のように形成される目地材25の左側面には上方段部25Aが形成され、右側面に下方段部25Bが形成される。パネルP1,P2を接合するには、パネルP1,P2を対峙させた後、パネルP2の接合面に形成された下方接合部1Tに目地材25の下方段部25Bを係合させ、目地材25の左側面に形成された上方段部25Aに、パネルP1の接合面に形成された上方接合部1Sを係合して接合する。なお、段部1aと段部1aに沿って配置される水平片1e、及び、第1の係合片2Cと第1の係合片2Cに沿って配置される係合突出部2Dの間には、接触しないように隙間が形成されている。隙間を形成することにより、隣り合う上下面板1,2の接触によるヒートブリッジの発生を抑制することができる。
【0033】
次に、パネルPの下面板2が剥離によって下方に変位した場合について説明する。図3には、パネルP(パネルP1,P2)の下面板2が下方に変位した場合を誇張して図示してある。パネルP1の下面板2は、下面板2が断熱心材20から剥離し下方に変位すると、上面板1に形成される係合受け片1Aに下面板2の第2の係合片2Aが係合する。また、パネルP2の下面板2は、上面板1に形成される係合受け片1Bに下面板2の係合片2Bが係合する。このため、パネルP1,P2の下面板2の剥離を最小限にすることができる。
【0034】
なお、図3においては、両パネルP1,P2の下面板2が下方に変位した場合について図示したが、例えばP1の下面板2のみが下方に変位した場合、下面板2に形成された第1の係合片2CがパネルP2の下面板2に形成された係合突出部2Dに係合する。このため、下面板2は第1の係合片2Cと係合突出部2Dの間の隙間分のみ下方に変位するので、パネルP1の下面板2の剥離を最小限にすることができる。すなわち、パネルP1については下面板2が下方に変位した際、下面板2に形成される第1の係合片2CがパネルP2に形成される係合突出部2Dに係合可能に形成されていると共に、下面板2に形成される第2の係合片2AがパネルP1の上面板1の係合受け片1Aと係合可能に形成されている。
【0035】
なお、上記説明では、係合受け片1A,1Bが上向きに形成され、係合片2A,2Bが下向きに形成される場合について説明したが、係合受け片1A,1Bと係合片2A,2Bを上下面板1,2と平行に形成してもよい。
【0036】
上記のように構成されるパネルPの接合構造によれば、パネルP1,P2の下面板2が下方に変位した際に、下面板2がパネルP1,P2の上面板1と係合し、下面板2の剥離を最小限にすることができるため、パネルP1,P2の断熱性の維持が図れると共に、パネルP1とP2の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0037】
更に、パネルP1の下面板2のみが下方に変位した際、パネルP1の下面板2がパネルP2に係合し、パネルP1の下面板2の剥離を最小限にすることができるため、パネルP2の断熱性の維持が図れると共に、パネルP1とP2の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0038】
<第2実施形態>
第1実施形態では、パネルP1の下面板2が剥離によって下方に変位した際に、下面板2に形成された係合片2AがパネルP1の上面板1に形成された係合受け片1Aと係合したが、図4に示すように、接合される一方のパネルP4の下面板4の辺部に形成される係合片4Cを、他方のパネルP3の下面板4の辺部に形成される係合突起部4Bに係合可能に形成してもよい。この場合、図6に示すように、接合される一方のパネルP4の下面板4は、その辺部から上面板3に向かって折曲されると共に、その先端から外方に向かって上下面板3,4と平行に折曲される係合片4Cが形成されている。また、他方のパネルP3の下面板4は、その辺部から外方に向かって延設されると共に、その先端から内方に向かって延設片4aと平行に折曲される係合突出部4Bが形成されている。接合された状態で、パネルP4の下面板4が剥離によって下方に変位した際に、係合片4Cが係合突出部4Bに係合することにより、パネルP4の下面板4の剥離を最小限にすることができる。
【0039】
この実施形態における断熱パネルPa(以下にパネルPaという)は、図4,5に示すように、断熱心材20Aと、断熱心材20Aの上下に接着される表面板3,4(以下に上面板3,下面板4という)と、上面板3の内面側に当接される取付座金30と、で構成されている。
【0040】
図5に示すように、上面板3の一端部(図において左側)には、辺部から下面板4に向かって折曲される折曲片3aと、折曲片3aの端部から外方且つ上下面板3,4と平行に折曲される水平片3bと、が形成されている。この場合、折曲片3aと水平片3bにより係合受け片3Aが形成される。
【0041】
一方、上面板3の他端部(図において右側)には、辺部3cから下面板4に向かって折曲される折曲片3dと、折曲片3dの端部から内方且つ上下面板3,4と平行に折曲される水平片3eと、が形成されている。
【0042】
また、下面板4の一端部(図において左側)には、その辺部から外方に向かって延設される延設片4aと、延設片4aの端部から上面板3に向かって折曲される折曲片4bと、折曲片4bの端部から内方且つ下面板4と水平に折曲される水平片4cと、が形成されている。この場合、延設片4aと屈曲片4bと水平片4cにより上述した係合突出部4Bが形成されている。また、折曲片4bと水平片4cにより係合片4Aが形成されている。
【0043】
一方、下面板4の他端部(図において右側)には、その辺部から上面板3に向かって折曲される折曲片4dと、折曲片4dの端部から外方に向かって上下面板3,4と平行に折曲される水平片4eと、が形成されている。この場合、折曲片4dと水平片4eにより上述した係合片4Cが形成される。
【0044】
また、パネルPaの一端部(図において左側)の接合面には延設片4aと折曲片4bと水平片4cにより下方接合部4Sが形成され、他端部(図において右側)には上面板3の辺部3cと折曲片3dと下面板4の水平片4eにより上方接合部4Tが形成されている。
【0045】
断熱心材20Aは、図4,図5に示すように、その両端部に上方接合部4T,下方接合部4S空間内に充填されるように凸条20b,20cが形成されている。
【0046】
上記のように構成されるパネルPaを作製するには、予め上記のように辺部が折曲された上面板3に両面粘着テープを介して取付座金30を仮接着し、断熱心材20Aの上面に接着剤を介して接着した後、上記のように辺部が折曲された下面板4を、断熱心材20Aの下面に接着剤を介して接着させる。この際、図5に示すように、上面板3の一端部に形成された係合受け片3Aと下面板4に形成された係合片4Aが、垂直方向において重複するように配置する。
【0047】
なお、第2実施形態において、その他の部分は上述した第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
次に、パネルPaの接合構造について説明する。図4に示すように、接合される両パネルPa(パネルP3,P4)は接合面に形成される下方接合部4Sと上方接合部4Tを、断面クランク状の目地材26を介して合致して接合する。目地材26は、不燃性例えばアルミニウム合金製の押出形材であって、図6に示すように、水平基片26aと水平基片26aの一辺から上面板3に向かって屈曲して延設される第1の垂直片26bと、水平基片26aの対向する辺から下面板4に向かって屈曲して延設される第2の垂直片26cと、で形成されている。上記のように形成される目地材26の左側面には下方段部26Aが形成され、右側面に上方段部26Bが形成される。パネルP3,P4を接合するには、パネルP3,P4を対峙させた後、パネルP3の接合面に形成される下方接合部4Sに目地材26の下方段部26Aを係合させ、目地材26の右側面に形成された上方段部26Aに、パネルP4の接合面に形成される上方接合部4Tを係合して接合する。
【0049】
次に、パネルPaの下面板4が剥離によって下方に変位した場合について説明する。図6には、パネルPa(パネルP3,P4)の下面板4が下方に変位した場合を誇張して図示してある。パネルP4の下面板4は、下面板4が断熱心材20Aから剥離し下方に変位すると、下面板4に形成された係合片4CがパネルP3の下面板4に形成された係合突出部4Bに目地材26を介して係合する。このため、下面板4の剥離を最小限にすることができる。一方、パネルP3の下面板4は、下方に変位すると上面板3に形成される係合受け片3Aに下面板4に形成される係合片4Aが係合する。このため、パネルP3についても、下面板4の剥離を最小限にすることができる。
【0050】
なお、図6においては、両パネルP3,P4の下面板4が下方に変位した場合について図示したが、例えばパネルP4の下面板4のみが剥離した場合、下面板4に形成された係合片4Cが、パネルP3の下面板4に形成された下方に変位していない係合突出部4Bに係合する。このため、パネルP4の下面板4の剥離を最小限にすることができる。
【0051】
上記のように構成されるパネルPaの接合構造によれば、P4の下面板4が下方に変位した際、パネルP4の下面板4がパネルP3に係合し、パネルP4の下面板4の剥離を最小限にすることができるため、パネルP4の断熱性の維持が図れると共に、パネルP3とP4の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0052】
また、パネルP3の下面板4が下方に変位した際に、下面板4がパネルP3の上面板3と係合し、下面板4の剥離を最小限にすることができるため、パネルP3の断熱性の維持が図れると共に、パネルP3とP4の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0053】
<第3実施形態>
第1実施形態では、パネルPの下面板2が剥離によって下方に変位した際に、下面板2がパネルPの上面板1と係合したが、図7に示すように、断熱パネルPb(以下にパネルPbという)の下面板6が剥離によって下方に変位した際に、下面板6の辺部に形成される係合片6A,6BをパネルPb間に介在される目地材27に係合可能に形成してもよい。この場合、図7,図10に示すように、パネルPbの下面板6は、その辺部から上面板5に向かって折曲されると共に、その先端から外方且つ下方に向かって折曲される係合片6A,6Bが形成されている。また、目地材27はパネルPbを接合する面に開口部を有する係合溝27aが長手方向に沿って形成され、パネルPbの接合状態において、係合片6A,6Bが目地材27の係合溝27a内に隙間をおいて挿入されており、パネルPbの下面板6が下方に変位した際に、係合片6A,6Bが目地材27の係合溝27aに係合することにより、パネルPbの下面板6の剥離を最小限にすることができる。
【0054】
この実施形態におけるパネルPbは、図7,図8に示すように、断熱心材20Bと、断熱心材20Bの上下に接着される表面板5,6(以下に上面板5,下面板6という)と、上面板5の内面側に当接される取付座金30と、で構成されている。
【0055】
図8に示すように、上下面板5,6の一端部(図において左側)には、その辺部から外方に向かって延設されると延設片5a,6aと、延設片5a,6aの先端から内方に向かって延設片5a,6aと重なるように平行に折曲される水平片5b,6bと、水平片5b,6bの端部から対向する上下面板5,6に向かって折曲される折曲片5c,6cと、折曲片5c,6cの端部から外方且つ上方,下方にそれぞれ向かって折曲される傾斜片5d,6dと、が形成されている。この場合、折曲片6cと傾斜片6dにより係合片6Aが形成される。また、延設片6aと水平片6bにより係合突出部6Cが形成されている。
【0056】
一方、上下面板5,6の他端部(図において右側)には、その辺部から対向する上下面板5,6に向かって折曲される第1の折曲片5e,6eと、第1の折曲片5e,6eの先端から外方に向かって上下面板5,6と水平に折曲される水平片5f,6fと、水平片5f,6fの端部から内方に向かって上下面板5,6と水平に折曲される水平片5g,6gと、水平片5g,6gの端部から対向する上下面板5,6に向かって折曲される第2の折曲片5h,6hと、第2の折曲片5h,6hの端部から外方且つ上方、下方にそれぞれ折曲される傾斜片5i,6iと、が形成されている。この場合、第2の折曲片6hと傾斜片6iにより上述した係合片(第2の係合片)6Bが形成される。また、第1の折曲片6eと水平片6fにより係合片(第1の係合片)6Dが形成されている。
【0057】
このように上下面板5,6を同じ構造することにより、製造が容易になるとともに、表面板5,6の上下などを考慮せずに断熱心材20Bと枠組みできることにより、断熱心材20Bとの装着が容易になる。断熱心材20Bは、図7,図8に示すように、方形状に形成されている。
【0058】
上記のように構成されるパネルPbを作製するには、上記のように辺部が折曲された下面板6を断熱心材20Bの下面と接着剤を介して接着した後、上記のように辺部が折曲された上面板5に両面粘着テープを介して取付座金30を仮接着し、断熱心材20Bの上面に接着剤を介して接着させる。
【0059】
なお、第3実施形態において、その他の部分は上述した第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
次に、パネルPbの接合構造について説明する。図7に示すように、接合される両パネルPb(パネルP5,P6)は目地材27を介して接合する。図9に示すように、目地材27は、不燃性例えば発泡押出しセメント製にて断面矩形状に形成されており、パネルPbを接合する面すなわち両側面に、上面板5に形成された傾斜片5d,5i及び下面板6に形成された傾斜片6d,6iが、隙間をおいて挿入可能な開口部を有する係合溝27aが長手方向に形成されている。パネルP5,P6を接合するには、パネルP5,P6を対峙させた後、パネルP6の接合面に配置された上面板5の傾斜片5i及び下面板6に形成された第2の係合片6Bの傾斜片6iを目地材27の右側面に形成された係合溝27aに挿入し、パネルP5の接合面に配置された上面板5の傾斜片5d及び下面板6に形成された係合片6Aの傾斜片6dを目地材27の左側面に形成された係合溝27aに挿入して接合する。この場合、図7に示すように、パネルPbの接合状態において、下面板6に形成された係合片6A,6Bは目地材27の係合溝27a内に隙間をおいて挿入される。なお、水平片5bと水平片5bに沿って配置される水平片5f、及び、係合突出部6Cと係合突出部6Cに沿って配置される第1の係合片6Dの間には、接触しないように隙間が形成されている。隙間を形成することにより、隣り合う上下面板5,6の接触によるヒートブリッジの発生を抑制することができる。
【0061】
次に、パネルPbの下面板6が剥離によって下方に変位した場合について説明する。図10には、パネルPa(パネルP5,P6)の下面板6が下方に変位した場合を誇張して図示してある。パネルP5,P6の下面板6は、下面板6が断熱心材20Bから剥離し下方に変位すると下面板6に形成された係合片6A,6Bが目地材27に形成された係合溝27aに係合する。このため、下面板6の剥離を最小限にすることができる。その際、上面板5に形成された傾斜片5d,5iは、目地材27の上方に形成された係合溝27aに係合するため、目地材27が下方に抜け落ちることはない。
【0062】
なお、図10においては、左右のパネルP5,P6の下面板6が下方に変位した場合について図示したが、例えば接合される一方のパネルP6の下面板6のみが剥離した場合、下面板6に形成された係合片6Dが他方のパネルP5の下面板6に形成された係合突出部6Cに係合する。このため、下面板6は第1の係合片6Dと係合突出部6Cの間の隙間分のみ下方に変位するので、パネルP6の下面板6の剥離を最小限にすることができる。
【0063】
上記のように構成されるパネルPbの接合構造によれば、パネルP5,P6の下面板6が下方に変位した際に、下面板6が目地材27と係合し、下面板2の剥離を最小限にすることができるため、パネルP5,P6の断熱性の維持が図れると共に、パネルP5とP6の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0064】
更に、P6の下面板6のみが下方に変位した際、パネルP6の下面板6がパネルP5に係合し、パネルP6の下面板6の剥離を最小限にすることができるため、パネルP6の断熱性の維持が図れると共に、パネルP5とP6の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0065】
<第4実施形態>
第1実施形態では、パネルP1の下面板2に形成される係合片2A,2Bが上面板1に形成される係合受け片1A,1Bに係合可能に形成したが、例えば、図11に示すように、上面板7に形成された係合受け片7A,7Bと下面板8に形成された係合片8A,8Bの対向する面のうち、少なくとも一方に断熱部材50が接着されていてもよい。
【0066】
この実施形態における断熱パネルPc(以下にパネルPcという)は、図11,図12に示すように、断熱心材20Bと、断熱心材20Bの上下に接着される表面板7,8(以下に上面板7,下面板8という)と、上面板7の内面側に当接される取付座金30と、上面板7に形成される係合受け片7A及び下面板8に形成される係合片8Bに接合される断熱部材50と、で構成されている。
【0067】
図12に示すように、上面板7の一端部(図において左側)には、その辺部から外方に向かって延設されると延設片7aと、延設片7aの先端から内方に向かって延設片7aと重なるように平行に折曲される水平片7bと、水平片7bの端部から下面板8に向かって折曲される折曲片7cと、折曲片7cの端部から外方に向かって上下面板7,8と平行に折曲される水平片7dと、水平片7dの端部から上方に向かって折曲される傾斜片7eがから形成されている。この場合、折曲片7cと水平片7dと傾斜片7eにより係合受け片7Aが形成される。
【0068】
一方、上面板7の他端部(図において右側)には、その辺部から上面板7に向かって折曲される第1の折曲片7fと、第1の折曲片7fの先端から外方に向かって上下面板5,6と水平に折曲される水平片7gと、水平片7gの端部から内方に向かって上下面板7,8と水平に折曲される水平片7hと、水平片7hの端部から下面板8に向かって折曲される第2の折曲片7iと、第2の折曲片7iの端部から内方に向かって上下面板7,8と平行に折曲される水平片7jと、水平片7jの端部から上方に向かって折曲される傾斜片7kが形成されている。この場合、第2の折曲片7iと水平片7jと傾斜片7kにより係合受け片7Bが形成される。
【0069】
また、下面板8の一端部(図において左側)には、その辺部から外方に向かって延設されると延設片8aと、延設片8aの先端から内方に向かって延設片8aと重なるように平行に折曲される水平片8bと、水平片8bの端部から上面板7に向かって折曲される折曲片8cと、折曲片8cの端部から内方に向かって上下面板7,8と平行に折曲される水平片8dと、水平片8dの端部から下方に向かって折曲される傾斜片8eが形成されている。この場合、折曲片8cと水平片8dと傾斜片8eにより係合片8Aが形成される。また、延設片8aと水平片8bにより係合突出部8Cが形成されている。
【0070】
一方、下面板8の他端部(図において右側)には、その辺部から上面板7に向かって折曲される第1の折曲片8fと、第1の折曲片8fの先端から外方に向かって上下面板7,8と水平に折曲される水平片8gと、水平片8gの端部から内方に向かって上下面板7,8と水平に折曲される水平片8hと、水平片8hの端部から上面板7に向かって折曲される第2の折曲片8iと、第2の折曲片8iの端部から外方に向かって上下面板7,8と平行に折曲される水平片8jと、水平片8jの端部から下方に向かって折曲される傾斜片8kが形成されている。この場合、第1の折曲片8fと水平片8gにより係合片(第1の係合片)8Dが形成されている。また、第2の折曲片8iと水平片8jと傾斜片8kにより係合片(第2の係合片)8Bが形成される。
【0071】
断熱部材50は、断熱性を有する材質例えばセラミックファイバーあるいはロックウール製の矩形状に形成された押出形材である。断熱部材50は上面板7に形成される折曲片7cの外方の長手方向に接着されている。断熱部材50は、上面板7に形成された係合受け片7Aの折曲片7cと下面板8に形成された係合片8Aの折曲片8cの向かい合う面のうち、少なくとも一方に接着されていればよく、両方に接着されていてもよい。なお、断熱部材50は、下面板8の他端部に形成される第2の折曲片8iの外方にも接着されている。
【0072】
上記のように構成されるパネルPcを作製するには、予め上記のように辺部が折曲された上面板7に、両面粘着テープを介して折曲片7cの外方に断熱部材50を接着すると共に、両面粘着テープを介して内面に取付座金30を仮接着した後、断熱心材20Bの上面に接着剤を介して接着させる。次に、上記のように辺部が折曲された下面板8に、両面粘着テープを介して第2の折曲片8iの外方に断熱部材50を接着した後、断熱心材20Bの下面に接着剤を介して接着させる。この際、図11に示すように、上面板7に形成された係合受け片7A,7Bと下面板8に形成された係合片8A,8Bが、垂直方向において重複するように配置する。
【0073】
なお、第4実施形態において、その他の部分は上述した第1,3実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
次に、パネルPcの接合構造について説明する。図11に示すように、接合される両パネルPc(パネルP7,P8)は接合面に、断面矩形状の目地材28を介して接合する。この場合、目地材28は、不燃性例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成される。パネルP7,P8を接合するには、パネルP7,P8を対峙させた後、パネルP8の接合面に目地材27を係合させ、パネルP7を接合する。なお、水平片7bと水平片7bに沿って配置される水平片7g、及び、係合突出部8Cと係合突出部8Cに沿って配置される第1の係合片8Dの間には、接触しないように隙間が形成されている。隙間を形成することにより、隣り合う上下面板7,8の接触によるヒートブリッジの発生を抑制することができる。
【0075】
次に、パネルPcの下面板8が剥離によって下方に変位した場合について説明する。図13には、パネルPc(パネルP7,P8)の下面板8が下方に変位した場合を誇張して図示してある。パネルP7の下面板8は、下面板8が断熱心材20から剥離し下方に変位すると、上面板7に形成される係合受け片7Aに下面板8の係合片8Aが係合する。また、パネルP8の下面板8は、上面板7に形成される係合受け片7Bに下面板8の第2の係合片8Bが係合する。このため、パネルP7,P8の下面板8の剥離を最小限にすることができる。
【0076】
なお、図13においては、両パネルP7,P8の下面板8が下方に変位した場合について図示したが、例えば接合される一方のパネルP8の下面板8のみが下方に変位した場合、下面板8に形成された第1の係合片8Dが他方のパネルP7の下面板8に形成された係合突出部8Cに係合する。このため、下面板8は第1の係合片8Dと係合突出部8Cの間の隙間分のみ下方に変位するので、パネルP8の下面板8の剥離を最小限にすることができる。
【0077】
上記のように構成されるパネルPcの接合構造によれば、上面板7に形成された係合受け片7A,7Bと下面板8に形成された係合片8A,8Bの対向する面のうち、少なくとも一方に断熱部材50が接着されているため、上面板7と下面板8の接触によるヒートブリッジの発生を抑制することができるため、パネルPcの断熱性能の向上を図ることができる。
【0078】
また、パネルP7,P8の下面板8が下方に変位した際に、下面板8がパネルP7,P8の上面板7と係合し、下面板8の剥離を最小限にすることができるため、パネルP7,P8の断熱性の維持が図れると共に、パネルP7とP8の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0079】
更に、パネルP8の下面板8のみが下方に変位した際、パネルP8の下面板8がパネルP7に係合し、パネルP8の下面板8の剥離を最小限にすることができるため、パネルP8の断熱性の維持が図れると共に、パネルP7とP8の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0080】
<第5実施形態>
第2実施形態では、上面板3の辺部を折曲して係合受け片3Aを形成したが、例えば、図14に示すように、パネルP9の上面板9の下面に取付座金32を連結し、取付座金32に、上面板9の辺部から下面板4に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板9,4と平行に折曲される係合受け片32Aを形成してもよい。この場合、図16に示すように、パネルP9の下面板4は、その辺部から上面板9に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板4,9と平行に折曲される係合片4Aが形成され、下面板4が剥離によって下方に変位した際に、係合片4Aが取付座金32の係合受け片32Aを介して上面板9に係合する。
【0081】
この実施形態における断熱パネルPd(以下にパネルPdという)は、図14,図15に示すように、断熱心材20Aと、断熱心材20Aの上下に接着される表面板9,4(以下に上面板9,下面板4という)と、上面板9の内面側に当接される取付座金30,32と、で構成されている。
【0082】
図15に示すように、上面板9の一端部(図において左側)には、辺部から下面板4に向かって折曲される折曲片9aが形成されている。
【0083】
一方、上面板9の他端部(図において右側)には、辺部9bから下面板4に向かって折曲される折曲片9cと、折曲片9cの端部から外方且つ上下面板9,4と平行に折曲される水平片9dと、が形成されている。
【0084】
取付座金32は、図14,図15に示すように、上面板1の内面側に当接される矩形状の基板32aと、この基板32aの先端からパネルPdの側面に沿って下面板の方向に折曲される折曲片32bと、この折曲片32bの先端から基板32aと反対側に上下面板1,2に対して平行に折曲される水平片32cとで一体に形成されている。この場合、折曲片32bと水平片32cにより上述した係合受け片32Aが形成される。基板32aの中央部に取付孔(図示せず)が設けられ、下面には取付孔に連通する取付ねじ受け部32dが固着されている。取付座金32は、パネルPdの一端部の所定の部位例えば角部に配置され、他端部の角部には取付座金30が配置されている。
【0085】
上記のように構成されるパネルPdを作製するには、上記のように辺部が折曲された上面板9に両面粘着テープを介して一端部の角部に取付座金32を仮接着して係合受け片32Aを形成すると共に他端部の角部に取付座金30を仮接着し、断熱心材20Aの上面に接着剤を介して接着した後、上記のように辺部が折曲された下面板4を、断熱心材20Aの下面に接着剤を介して接着させる。この際、図14に示すように、上面板9に連結された取付座金32に形成された係合受け片32Aと下面板4に形成された係合片4Aが、垂直方向において重複するように配置する。
【0086】
なお、第5実施形態において、その他の部分は上述した第2実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
次に、パネルPdの下面板4が剥離によって下方に変位した場合について説明する。図16には、パネルPd(パネルP9,P10)の下面板4が下方に変位した場合を誇張して図示してある。パネルP9の下面板4は剥離によって下方に変位した際に、下面板4に形成された係合片4Aが取付座金32の係合受け片32Aを介して上面板9に係合する。このため、パネルP9は、下面板4の剥離を最小限にすることができる。一方、パネルP10の下面板4は、下面板4が断熱心材20Aから剥離し下方に変位すると下面板4に形成された係合片4CがパネルP9の下面板4に形成された係合突出部4Bに目地材26を介して係合する。このため、下面板4の剥離を最小限にすることができる。
【0088】
なお、図16においては、両パネルP9,P10の下面板4が下方に変位した場合について図示したが、例えば接合される一方のパネルP10の下面板4のみが剥離した場合、下面板4に形成された係合片4Cが、他方のパネルP9の下面板4に形成された下方に変位していない係合突出部4Bに係合する。このため、パネルP10の下面板4の剥離を最小限にすることができる。
【0089】
上記のように構成されるパネルPdの接合構造によれば、パネルP9の下面板4が下方に変位した際に、下面板4が取付座金32を介して上面板9と係合し、下面板4の剥離を最小限にすることができるため、パネルP9の断熱性の維持が図れると共に、パネルP9とP10の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【0090】
更に、パネルP10の下面板4のみが下方に変位した際、パネルP10の下面板4がパネルP9に係合し、パネルP10の下面板4の剥離を最小限にすることができるため、パネルP10の断熱性の維持が図れると共に、パネルP9とP10の接合部の気密性・断熱性の維持を図れる。
【符号の説明】
【0091】
P,Pa,Pb,Pc,Pd,P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10 断熱パネル
1,3,5,7,9 上面板(表面板)
1A,1B,3A,7A,7B,32A:係合受け片
2,4,6,8 下面板(表面板)
2A,8B 第2の係合片(係合片)
2B,4A,4C,6A,6B,6D,8A 係合片
2C,8D 第1の係合片(係合片)
2D,4B,6C,8C 係合突出部
2e,4a,6a,8a 延設片
20,20A,20B 断熱心材
25,26,27 目地材
27a 係合溝
32 取付座金
50 断熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱心材とその上下に表面板を接着してなる断熱パネル同士を不燃性目地材を介して接合する天井用断熱パネルの接合構造において、
上記断熱パネルの接合部において、少なくとも一方の断熱パネルの下面板が剥離により下方に変位した際に、該下面板が該断熱パネルの上面板と係合可能、又は、一方の断熱パネルの下面板が他方の断熱パネルに係合可能、若しくは、上記目地材に係合可能に形成されている、ことを特徴とする天井用断熱パネルの接合構造。
【請求項2】
請求項1記載の天井用断熱パネルの接合構造において、
上記断熱パネルの上面板は、その辺部から上記下面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは上方に向かって折曲される係合受け片が形成され、
上記断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは下方に向かって折曲される係合片が形成され、
上記下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記係合受け片に係合可能に形成してなる、ことを特徴とする天井用断熱パネルの接合構造。
【請求項3】
請求項1記載の天井用断熱パネルの接合構造において、
上記断熱パネルの上面板の下面に取付座金を連結し、該取付座金は、上記上面板の辺部から上記下面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは上方に向かって折曲される係合受け片が形成され、
上記断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から上下面板と平行若しくは下方に向かって折曲される係合片が形成され、
上記下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記係合受け片を介して上面板に係合可能に形成してなる、ことを特徴とする天井用断熱パネルの接合構造。
【請求項4】
請求項2記載の天井用断熱パネルの接合構造において、
上記上面板に形成された係合受け片と上記下面板に形成された係合片の対向する面のうち、少なくとも一方に断熱部材が接着されている、ことを特徴とする天井用断熱パネルの接合構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の天井用断熱パネルの接合構造において、
接合される一方の断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から外方に向かって上下面板と平行に折曲される係合片が形成され、
接合される他方の断熱パネルの下面板は、その辺部から外方に向かって延設されると共に、その先端から内方に向かって延設片と平行に折曲される係合突出部が形成され、
上記一方の断熱パネルの下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記係合突出部に係合可能に形成してなる、ことを特徴とする天井用断熱パネルの接合構造。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の天井用断熱パネルの接合構造において、
上記断熱パネルの下面板は、その辺部から上記上面板に向かって折曲されると共に、その先端から外方に向かって上下面板と平行若しくは下方に向かって折曲される係合片が形成され、
上記目地材は、上記断熱パネルを接合する面に開口部を有する係合溝が長手方向に沿って形成され、
上記断熱パネルの接合状態において、上記係合片が上記目地材の係合溝内に隙間をおいて挿入されており、上記断熱パネルの下面板が下方に変位した際に、上記係合片が上記目地材の係合溝に係合可能に形成してなる、ことを特徴とする天井用断熱パネルの接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−62709(P2012−62709A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208804(P2010−208804)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(303013811)日軽パネルシステム株式会社 (47)
【Fターム(参考)】