説明

天然ガス液化方法及び装置、そのコンピューターシミュレーション処理、液化天然ガス生成物

【課題】 液化天然ガス(LNG)を生成する半閉ループシステムであって、閉ループシステムの特定の利点を開ループシステムの特定の利点と結合し、より効果的且つ効率的なハイブリッドシステムを提供する。半閉ループシステムでは、最終メタン冷却サイクルは、膨張式冷却とは対照的に、間接式熱変換を介し天然ガスストリームの大幅な冷却を提供する。
【解決手段】 本発明の天然ガスを液化する方法は、(a)主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し前記天然ガスを少なくとも40度Fで冷却し、それにより液化天然ガスを提供する段階、(b)前記液化天然ガスの少なくとも一部をフラッシュさせ、それにより主に蒸気部分及び主に液体部分を提供する段階、並びに(c)前記主に蒸気部分の少なくとも一部を、段階(a)で天然ガスを冷却するために用いられる前記主にメタン冷媒と結合する段階、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガスを液化する方法及び装置に関する。別の態様では、本発明は、半閉ループメタン冷却サイクルを利用する、改良された液化天然ガス(LNG)設備に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスの低温液化は、天然ガスを輸送及び貯蔵により都合の良い形式に変換する手段として通常実施される。このような液化は、天然ガスの体積を約600倍減少し、結果として大気圧近くで貯蔵及び輸送され得る生成物を生じる。
【0003】
天然ガスは、しばしば供給源から遠隔の市場へパイプラインにより輸送される。パイプラインは実質的に一定の高負荷率で動作することが望ましい。しかし、しばしばパイプラインの配達能力又は容量は、需要を超え、別の時には需要が供給率又は容量を超えてしまう。需要が供給を超える山、又は供給が需要を超える谷を削り取るため、需要が供給を超えた場合に配達され得るような形式で、剰余ガスを貯蔵することが望ましい。このような形式は、貯蔵からの物質で将来の需要の山を満たす。これを行うある実用的手段は、ガスを貯蔵のため液化した状態に変換し、需要の要求に応じて液体を蒸発させることである。
【0004】
天然ガスの液化は、候補の市場から長距離離れた供給源からガスを輸送する場合及びパイプラインが利用不可能か非実用的である場合に更に重要性を増す。これは、特に輸送が遠洋航行船により行われなければならない場合に起こる。気相状態での船舶輸送は、ガスの比体積を有意に減少するためかなりの加圧が必要とされるので、一般的に実用的でない。このような加圧は、より高価な貯蔵容器の利用を必要とする。
【0005】
天然ガスを液体状態で貯蔵及び輸送するため、天然ガスは、天然ガス(LNG)が大気圧近くの蒸気圧を有する、−151度C乃至−162度C(−240度F乃至−260度F)まで冷却されることが望ましい。天然ガスを液化する従来技術には、多くのシステムがある。これらシステムでは、ガスは、高圧ガスを複数の冷却段を順次通過させることにより液化され、その後、ガスは、液化温度に達するまで引き続き低温に冷却される。冷却は、一般的に、プロパン、プロピレン、エタン、エチレン、メタン、窒素、二酸化炭素のような1つ以上の冷媒を有する間接熱交換、又はこれらの組み合わせ(例えば、混合冷却システム)により達成される。
【0006】
過去には、多くの従来のLNG設備は、メタン冷却サイクル(つまり、主にメタン冷媒を利用する冷却サイクル)を天然ガスを液化する最終冷却サイクルとして用いている。いくつかの従来のLNG設備は、開ループメタン冷却サイクルを利用する。一方、他のLNG設備は、閉ループメタン冷却サイクルを用いる。閉ループメタン冷却サイクルでは、主にメタン冷媒は、液化されている天然ガスストリームから引き出され、又は液化されている天然ガスストリームと結合する。開ループメタン冷却サイクルでは、主にメタン冷媒は、冷却中の天然ガスから引き出され、そして主にメタン冷媒の少なくとも一部は、冷却中の天然ガスストリームと再結合する。
【0007】
従来の開ループ及び閉ループメタン冷却サイクルは、それぞれ、それら固有の利点及び不利点を有する。従来の閉ループシステムのある不利点は、主に冷媒圧縮機を駆動する駆動装置(例えば、ガスタービン)に動力を供給するために用いられる燃料ガスを圧縮するために、燃料ガス圧縮機が必要とされることである。閉ループシステムの別の不利点は、大半の閉ループシステムが、システムから単に燃え上がる燃料ガスの剰余を生産することである。これら閉ループシステムの燃料ガスに関連する問題は、開ループシステムと共通しない。しかしながら、開ループシステムは、それら固有の不利点を有する。例えば、大半の開ループシステムは、開ループ冷媒サイクルに入る天然ガスストリームが完全に凝縮されていることを必要とすることである。更に、主重質量物質除去塔の底から放出された重質量物質ストリームを処理する脱メタン塔を利用する開ループLNG設備では、脱ブタン器からの塔頂留出ストリーム及び重質量物質除去塔からの塔頂留出ストリームの間の圧力差のため、脱メタン塔からの塔頂留出ストリームは、主にメタン冷媒と結合され、及び/又は圧縮されなければならない。
【0008】
以上の要求は例であり、本願明細書により全てが達成される必要がないことが理解される。本発明の他の目的及び利点は、記載された説明及び図から明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許番号第4172711明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、閉ループ及び開ループシステムの両方の不利点を回避すると同時に、閉ループ及び開ループシステムの種々の利点を依然として提供する、ハイブリッドメタン冷却サイクルを利用するLNG設備が必要である。
【0011】
従って、別個の燃料ガス圧縮機を必要としないメタン冷却サイクルを利用する、天然ガス液化システムを提供することが望ましい。
【0012】
更に、剰余冷媒を単に燃やすよりむしろ、処理中に剰余メタン冷媒を利用するメタン冷却サイクルを利用する、天然ガス液化システムを提供することが望ましい。
【0013】
更に、メタン冷却サイクルの上流で天然ガス供給ストリームを完全に凝縮する必要のないメタン冷却サイクルを利用する、天然ガス液化システムを提供することが望ましい。
【0014】
更に、脱メタン塔からの塔頂留出ストリームを圧縮及び/又はメタン冷媒と結合させずに液化させるメタン冷却サイクルを利用する、天然ガス液化システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明のある態様は、天然ガスを液化する方法に関する。前記方法は、(a)主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し前記天然ガスを少なくとも40度Fで冷却し、それにより液化天然ガスを提供する段階、(b)前記液化天然ガスの少なくとも一部をフラッシュさせ、それにより主に蒸気部分及び主に液体部分を提供する段階、並びに(c)前記主に蒸気部分の少なくとも一部を、段階(a)で天然ガスを冷却するために用いられる前記主にメタン冷媒と結合する段階、を有する。
【0016】
本発明の別の態様は、天然ガスを液化する方法に関する。前記方法は、(a)50モルパーセントより少ないメタンを有する第1の冷媒を利用する第1の冷却サイクルで天然ガスを冷却する段階、(b)前記第1の冷却サイクルの下流で、第1の塔内で、前記天然ガスを第1の軽質量物質ストリーム及び第1の重質量物質ストリームに分離する段階、(c)第2の塔内で、前記第1の軽質量物質ストリームを第2の軽質量物質ストリーム及び第2の重質量物質ストリームに分離する段階、並びに(d)主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し、メタン熱交換器内の前記第2の軽質量物質ストリームを冷却する段階、を有し、段階(d)は、最初に前記第2の軽質量物質ストリームを主にメタン冷媒と結合せずに実行される。
【0017】
本発明の別の態様は、天然ガスを液化する方法に関する。前記方法は、(a)第1の冷却サイクルで、主にプロパン、プロピレン、又は二酸化炭素を有する第1の冷媒を有する間接熱交換を介し、天然ガスストリームを冷却する段階、(b)前記第1の冷却サイクルの下流で、第2の冷却サイクルで、主にエタン、エチレン、又は二酸化炭素を有する第2の冷媒を有する間接熱交換を介し、前記天然ガスストリームを冷却する段階、(c)前記第2の冷却サイクルの下流で、メタン冷却サイクルで、主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し、前記天然ガスストリームを40度Fで冷却する段階、並びに(d)前記第2の冷却サイクルで、前記第2の冷媒を有する間接熱交換を介し、前記主にメタン冷媒の少なくとも一部を冷却する段階、を有する。
【0018】
本発明の更に別の態様は、天然ガスを液化する装置に関する。前記装置は、(a)第1の冷却サイクルは、第1の冷媒を利用し、前記第1の冷媒を有する間接熱交換を介し前記天然ガスを冷却し、(b)メタン冷却サイクルは、前記第1の冷却サイクルの下流に位置付けられ、及び主にメタン冷媒を利用し、前記主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し前記天然ガスを少なくとも40度Fに冷却し、それにより液化天然ガスを生成し、並びに(c)膨張装置は、前記液化天然ガスをフラッシュ可能であり、それにより主に蒸気部分及び主に液体部分を生成する。メタン冷却サイクルは、膨張装置により生成された主に蒸気部分の少なくとも一部を受け、及び主に蒸気部分を主にメタン冷媒と結合する補給冷媒注入口を有する。
【0019】
本発明の好適な実施例は、以下の図を参照し詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、半閉ループメタン冷却サイクルを利用するLNG生成の縦列冷却処理の簡単なフロー図である。
【図2】図2は、液化されている天然ガスストリーム内に導入される主にメタン冷媒の量を制御するシステムの更に詳細を提供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願明細書で用いられるように、「主に」、「主として」、「主」及び「主成分は」の語は、流体ストリームの特定の成分の存在を記述するために用いられる場合、流体ストリームが少なくとも50モルパーセントの提示された成分を有することを意味する。例えば、「主に」メタンストリーム、「主」メタンストリーム、メタンを「主」に有するストリーム、又は「主として」メタンを有するストリームは、それぞれ、少なくとも50モルパーセントのメタンを有するストリームを示す。本願明細書で用いられるように、「上流」及び「下流」の語は、種々の成分又は天然ガス液化工場を通じて天然ガスが主に流れる経路に沿った工場の処理の相対的な位置を記述するために用いられる。
【0022】
縦列冷却処理は、天然ガスストリームからの熱エネルギーを冷媒へ転送し、及び前記熱エネルギーを周囲へ完全に転送する1つ以上の冷媒を用いる。基本的に、全体の冷却システムは、ストリームが次第に低温へ冷却されるにつれ、天然ガスストリームから熱エネルギーを除去することにより、熱ポンプとして機能する。縦列冷却処理の設計は、熱力学的効率及び資本コストの調和を含む。熱転換処理では、加熱及び冷却流体の間の温度勾配が小さくなるほど、熱力学的不可逆性は、減少する。しかし、このような小さい温度勾配を得ることは、一般に、伝熱面積大きさの有意な増大、種々の処理装置の重大な変更、及びこのような装置を通る流速を適切に選択し、流速及び手法及び排気口の温度が所要の加熱/冷却デューティーとの互換性を保証することを必要とする。 標準的なLNG設備では、種々の前処理段階は、酸性ガス、メルカプタン、水銀、及び水蒸気のような特定の不要な成分を、設備へ配達される天然ガス供給ストリームから除去する手段を提供する。このガスストリームの成分は、有意に変化し得る。本願明細書で用いられるように、天然ガスストリームは、主として天然ガス供給ストリームから生じる主にメタンから成るストリームである。例えば少なくとも85モルパーセントのメタンを有するこのような供給ストリームは、エタン、高級炭化水素、窒素、二酸化炭素、及び水銀、硫化水素、及びメルカプタンのような少量の他の成分と均衡を保っている。前処理段階は、冷却サイクルの上流又は初期サイクルの冷却の初期段階の1つの下流に位置する別個の段階であって良い。以下に、当業者に直ちに知られる利用可能な手段のいくつかの非包括的なリストを示す。酸性ガス及び小範囲のメルカプタンは、水溶性アミンベアリング溶液を利用する化学反応過程を介して通常除去される。この処理段階は、一般に、初期サイクルの冷却段の上流で実行される。水の大部分は、初回冷却サイクルの上流で、及びまた初回冷却サイクルの最初の冷却段の下流で、ガス圧縮及び冷却に続き2相ガス液体分離を介し、液体として通常除去される。水銀は、水銀吸着床を介し、通常除去される。水及び酸性ガスの残量は、再生可能なモレキュラーシーブのような適切に選択された吸着床の利用を介し、通常除去される。
【0023】
前処理された天然ガス供給ストリームは、一般的に、高圧で液化処理へ配達されるか、又は一般的に3.44MPa(500psia)より大きく、望ましくは約3.44MPa乃至約20.67MPa(約500psia乃至約3000psia)、更に望ましくはの約3.44MPa乃至約6.89MPa(約500psia乃至約1000psia)、更により望ましくは約4.13MPa乃至約5.51MPa(約600psia乃至約800psia)の高圧に圧縮される。供給ストリームの温度は、標準的に周囲の近傍、乃至周囲の僅かに上である。典型的な温度範囲は、15.5度C乃至65.5度C(60度F乃至150度F)である。
【0024】
前述のように、天然ガス供給ストリームは、複数の異なる冷媒(望ましくは3個)を有する間接熱交換により複数の複数段サイクル又は段階(望ましくは3個)で冷却される。所与のサイクルの全体の冷却効率は、段の数が増大するので向上する。しかし効率の増大は、対応する純資本コスト及び処理の複雑性の増加により達成される。供給ガスは、望ましくは、比較的高い沸騰冷媒を有する間接熱交換の第1の閉冷却サイクル内で名目上2段、望ましくは2乃至4段、及びより望ましくは3段の有効数の冷却段を通過する。このような比較的高い沸点の冷媒は、望ましくは大部分はプロパン、プロピレン、又はそれらの混合を有し、より望ましくは少なくとも75モルパーセントのプロパンを有する冷媒、更により望ましくは少なくとも90モルパーセントのプロパン、及び最も望ましくは基本的にプロパンを有する冷媒である。その後、処理された供給ガスは、低い沸点を有する冷媒を有する間接熱交換の第2の閉冷却サイクル内で名目上2段、望ましくは2乃至4段、及びより望ましくは2又は3段の有効数の段を通過する。このような低い沸点の冷媒は、望ましくは大部分はエタン、エチレン、又はそれらの混合を有し、より望ましくは少なくとも75モルパーセントのエチレンを有する冷媒、更により望ましくは少なくとも90モルパーセントのエチレン、及び最も望ましくは基本的にエチレンを有する冷媒である。その後、処理された供給ガスは、主にエタン冷媒を有する間接熱交換の第3の/エタン冷却サイクル内で名目上2段、望ましくは2乃至5段、及びより望ましくは3又は4段の有効数の段を通過する。このような主にメタン冷媒は、望ましくは少なくとも約75モルパーセントのメタン、更により望ましくは少なくとも約90モルパーセントのメタン、及び最も望ましくは基本的にメタンを有する主にメタン冷媒を有する。特に好適な実施例では、主にメタン冷媒は、10モルパーセントより少ない窒素、最も望ましくは5モルパーセントより少ない窒素を有する。
【0025】
一般的に、天然ガス供給ストリームは、このような量のC+成分を有し、結果として1つ以上の冷却段でC+の多い液体を形式する。この液体は、ガス液体分離手段、望ましくは1つ以上の従来のガス液体分離器を介し除去される。一般的に、各段の天然ガスの順次冷却は、ガスから出来る限り多くのC及び高分子量炭化水素を除去し、主にメタンを有するガスストリーム並びにかなりの量のエタン及び重量成分を有する液体ストリームを生成するよう制御される。有効数のガス/液体分離手段は、C+成分の多い液体ストリームの除去のための冷却区域の下流の、有効な位置に位置付けられる。ガス/液体分離手段、望ましくは従来のガス/液体分離器の正確な位置及び数は、天然ガス供給ストリームのC+組成、LNG生成物の所望のBTU含有量、他の用途向けのC+成分の値、及びLNG工場及びガス工場運用の当業者により通常考慮される他の係数のような、動作パラメータの数に依存する。C+炭化水素ストリーム又はストリームは、単一段のフラッシュ又は分別塔を介し脱メタン化され得る。後者の場合、結果として生じるメタンの多いストリームは、液化処理への圧力で直接戻され得る。前者の場合、このメタンの多いストリームは、再加圧及び再利用され、又は燃料ガスとして用いられ得る。C+炭化水素ストリーム又はストリーム又は脱メタン化C+炭化水素ストリームは、燃料として用いられ、又は1つ以上の分別区域への分別等により、更に処理され、特定の化学成分(例えば、C、C、C、及びC+)の多い個々のストリームを生成する。
【0026】
本願明細書に記載される液化処理は、複数種類の冷却の1つを用いて良く、(a)間接熱交換、(b)蒸発、及び(c)膨張又は減圧を含むが、これらに限定されない。間接熱交換は、本願明細書で用いられるように、冷凍材と冷却されるべき物質の間の物理的接触なしに、冷媒が冷却されるべき物質を冷却する処理を示す。間接熱交換手段の具体的な例は、多管円筒式熱交換器、ケトル型熱交換器、及びアルミニウムをろう付けしたプレートフィン型熱交換内に実施された熱交換器を含む。冷媒及び冷却されるべき物質の物理状態は、システムの要求及び選択された熱交換器の種類に依存する。従って、多管円筒式熱交換器は、標準的に、冷凍材が液体状態であり且つ冷却されるべき物質が液体又は気相状態である場合、又は物質の1つが相変化を経て且つ処理条件がケトル型熱交換器の利用に好ましくない場合に利用される。例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金は、コアの構成に好ましい物質であるが、このような材料は、指定された処理条件における利用に適さない。プレートフィン型熱交換は、標準的に、冷媒が気相状態であり、且つ冷却されるべき物質が液体又は気相状態である場合に利用される。最後に、ケトル型熱交換器は、標準的に、冷却されるべき物質が液体又はガスであり、且つ冷媒が熱交換中に液体状態から気相状態への相変化を経る場合に利用される。
【0027】
蒸発冷却は、一定圧力に維持されたシステムで物質の一部の蒸発又は気化による物質の冷却を示す。従って、蒸発中、蒸発する物質の一部は、液体状態のままの物質の一部から熱を吸収し、及び従って、液体部分を冷却する。最後に、膨張又は減圧冷却は、ガス、液体又は2相システムの圧力が、減圧手段を通過することにより低減される場合に生じる冷却を示す。ある実施例では、この膨張手段は、ジュール・トムソン膨張バルブである。別の実施例では、膨張手段は、液圧又はガスエキスパンダーである。エキスパンダーは、膨張処理からの仕事エネルギーを回復するので、膨張時により低い処理ストリーム温度が可能である。
【0028】
図1に示されるフロー図及び装置は、半閉ループメタン冷却サイクルを利用する、本発明のLNG設備の好適な実施例を示す。図2は、液化されている処理された天然ガスストリーム内に導入し戻されるメタン冷媒の量を制御するシステムの好適な実施例を示す。当業者は、図1及び図2が説明のためであり、従って簡単のため、商用工場の通常運用に必要な設備の多くの要素が省略されていることを理解するだろう。このような要素は、例えば圧縮機制御装置、フロー及びレベル測定装置、及び関連する制御装置、温度及び圧力制御装置、ポンプ、モーター、フィルター、追加熱交換器、及びバルブ等である。これらの要素は、標準的な技術的手法に従い設けられる。
【0029】
図1及び図2の理解を助けるため、以下の番号を付与された用語が利用される。番号1乃至99を付与された要素は、処理容器及び液化処理と直接関連する装置である。番号100乃至199を付与された要素は、フローライン又は主にメタンストリームを有する導管に対応する。番号200乃至299を付与された要素は、フローライン又は主にエチレンストリームを有する導管に対応する。番号300乃至399を付与された要素は、フローライン又は主にプロパンストリームを有する導管に対応する。図2の番号400乃至499を付与された要素は、液化されている処理された天然ガスストリーム内に導入し戻されるメタン冷媒の量を制御するシステムの容器、装置、ライン、又は導管である。
【0030】
図1を参照する。第1の冷却サイクルでは、気体のプロパンは、ガスタービン駆動装置(示されない)により駆動される複数段(望ましくは3段)圧縮機18内で圧縮される。3段の圧縮は、望ましくは単一装置内に存在する。しかしながら、圧縮の各段は、別個の装置及び単一の駆動装置により駆動されるよう機械的に結合された装置であって良い。圧縮時、圧縮されたプロパンは、導管300を通過し、冷却器20へ向かい冷却及び液化される。フラッシュ前の液化プロパン冷媒の典型的な圧力及び温度は、約37.7度C(約100度F)及び約1.30MPa(約190psia)である。冷却器20からのストリームは、導管302を通過し、膨張バルブ12として示される減圧手段へ向かう。膨張バルブ12では、液化プロパンの圧力は、低減され、それにより液化プロパンの一部を気化又はフラッシュする。結果として生じる2相生成物は、次に、導管304を通り、高段プロパンチラー2へ流れ込む。高段プロパンチラー2では、導管152を介し導入された気体のメタン冷媒、導管100を介し導入された天然ガス供給、及び導管202を介し導入された気体のエチレン冷媒は、それぞれ間接熱交換手段4、6、及び8を介し冷却される。これにより、冷却されたガスストリームは、それぞれ導管154、102、及び204を介し放出される。導管154内の主にメタン冷媒は、主メタン節減装置74へ供給される。主メタン節減装置74は、以下により詳細に議論される。
【0031】
チラー2からのプロパンガスは、導管306を通じて圧縮機18へ戻される。このガスは、圧縮機18の高段注入部分へ供給される。残余液体プロパンは、導管308を通過し、膨張バルブ14として示される減圧手段を通過することにより更に減圧される。その後、液化プロパンの追加分がフラッシュされる。結果として生じる2相ストリームは、次に、導管310を通じ中間段プロパンチラー22へ供給され、これによりチラー22に冷却剤を供給する。チラー2からの冷却された供給ガスストリームは、導管102を介し、分離装置10へ流れる。分離装置10では、ガス及び液相は分離される。C+成分を多く有し得る液相は、導管103を介し除去される。気相は、導管104を介して除去され、そして次に導管106及び108を介し運ばれる2つの別個のストリームに分離される。導管106内のストリームは、チラー22へ供給される。導管108内のストリームは、以下により詳細に議論される重質量物質除去塔60へのストリッピングガスになる。チラー2からのエチレン冷媒は、導管204を介しチラー22へ導入される。
【0032】
中間段プロパンチラー22では、本願明細書では処理され天然ガスストリームとしても示される供給ガスストリーム、及びエチレン冷媒ストリームは、それぞれ、間接熱転送手段24及び26を介し冷却され、それにより、冷却された供給ガス及びエチレン冷媒ストリームを導管110及び206を介し生成する。従って、プロパン冷媒の気化された部分は、分離されそして導管311を通過し、圧縮機18の中間段注入口へ向かう。チラー22からの液体プロパン冷媒は、導管314を介して除去され、膨張バルブ16として示される減圧手段を渡りフラッシュされ、そして次に導管316を介し低段プロパンチラー/凝縮器28へ供給される。
【0033】
図1に示されるように、供給ガスストリームは、中間段プロパンチラー22から、導管110を介し低段プロパンチラー28へ流れる。チラー28では、ストリームは、間接熱交換手段30を介し冷却される。同様に、エチレン冷媒ストリームは、中間段プロパンチラー22から、導管206を介し低段プロパンチラー28へ流れる。後者では、エチレン冷媒は、完全な凝縮は要求されないが、間接熱交換手段32を介し、全体的に凝縮又はほぼ全て凝縮される。蒸発したプロパン冷媒は、低段プロパンチラー28から除去され、そして導管320を介し圧縮機18の低段注入口へ戻される。
【0034】
図1に示されるように、低段プロパンチラー28内に存在する供給ガスストリームは、導管112を介し高段エチレンチラー42へ導入される。エチレン冷媒は、低段プロパンチラー28内に存在し、導管208を介し、そして望ましくは分離容器37へ供給される。分離容器37では、軽質量物質成分は、導管209を介し除去され、そして凝縮されたエチレンは導管210を介して除去される。エチレン冷媒は、処理のこの位置で、一般的に約−31.1度C(約−24度F)の温度及び約285psiaの圧力である。エチレン冷媒は、次にエチレン節減装置34へ流れ、エチレン節減装置34内で間接熱交換手段38を介し冷却され、導管211を介し除去され、そして膨張バルブ40として示される減圧手段へ渡される。その後、冷媒は、事前に選択された温度及び圧力にフラッシュされ、そして導管212を介し高段エチレンチラー42へ供給される。蒸気は、導管214を介しチラー42から除去され、そしてエチレン節減装置34へ送られる。エチレン節減装置34では、蒸気は、間接熱交換手段46を介し冷却剤として機能する。エチレン蒸気は、次に導管216を介しエチレン節減装置34から除去され、そしてエチレン圧縮機48の高段注入口へ供給される。高段エチレンチラー42内で気化されないエチレン冷媒は、導管218を介し除去され、そして更なる冷却のため間接熱交換手段50を介しエチレン節減装置34へ戻され、導管220を介しエチレン節減装置から除去され、そして膨張バルブ52として示される減圧手段内でフラッシュされる。その後、結果として生じる2相生成物は、導管222を介し低段エチレンチラー54へ導入される。
【0035】
間接熱交換手段45内で冷却された後、メタンの多いストリームは、導管116を介し高段エチレンチラー42から除去される。このストリームは、次に低段エチレンチラー54内の間接熱交換手段56により提供される冷却を介し一部凝縮される。それにより生成される2相ストリームは、導管115を介し重質量物質除去塔60へ流れる。前述のように、ライン104内の供給ガスストリームは、導管106及び108を介し流れるように分離される。導管108の内容物は、本願明細書ではストリッピングガスストリームとして示され、重質量物質除去塔60の低段注入口へ流れる。重質量物質除去塔60では、導管115を介して導入された2相ストリームは、導管108を介して導入された冷却されたストリッピングガスストリームと対向流で接触し、それにより、導管118を介し重質量物質を除去した塔頂留出蒸気ストリームを、及び導管117を介し重質量物質の多い液体ストリームを生成する。重質量物質の多い液体ストリームは、ベンゼン、シクロヘキサン、他の芳香族化合物、及び/又は重炭化水素成分のような、かなりの濃度のC+炭化水素を有する。導管118内の重質量物質除去塔の塔頂留出(軽質量物質)ストリームは、以下に詳細に議論されるように、導管107からのメタン冷媒の一部と結合される。結合されたストリームは、間接熱転送手段77内での冷却のため、導管119を介し主メタン節減装置74へ転送される。重質量物質除去塔60の底から導管117を介し放出された重質量物質の多いストリームは、続いて液体及び蒸気部分に分離され、又は望ましくはフラッシュされるか、又は脱メタン塔61内で分割される。何れの場合でも、重質量物質の多い液体(塔底液)ストリームは、導管121を介し生成され、そしてメタンの多い蒸気(塔頂留出)ストリームは、導管120を介し生成される。
【0036】
前述のように、導管154内の主にメタン冷媒は、主メタン節減装置74へ供給される。主メタン節減装置74では、ストリームは、間接熱交換手段97を介し冷却される。結果として生じる熱交換手段97からの、冷却され圧縮されたメタン冷媒ストリームの第1の部分は、導管156を介し主メタン節減装置74から引き出される。同時に、熱交換手段97を出たメタン冷媒ストリームの第2の部分は、更なる冷却のため、間接熱交換手段98内へ導入される。導管156内のメタン冷媒は、高段エチレンチラー42へ導入される。高段エチレンチラー42では、メタン冷媒は、間接熱交換手段44内のエチレン冷媒で冷却される。結果として生じるメタン冷媒は、導管157を介し高段エチレンチラー42を出る。
【0037】
熱交換手段98からの冷却されたメタン冷媒ストリームは、主メタン節減装置74から導管158を介し引き出され、そして次にT管継ぎ手49内で、導管157内の冷却されたメタン冷媒と結合される。結合されたメタン冷媒ストリームは、T管継ぎ手49からT管継ぎ手51へ導管104を介し転送される。T管継ぎ手51は、制御システム(以下に図2を参照して詳細に説明される)の一部である。制御システムは、メタン冷媒ストリームの一部を、導管107を介しメタン冷却サイクルの外へ向かわせ、そしてメタン冷媒ストリームのこの一部を、導管118内の重質量物質除去塔の塔頂留出ストリームと結合する。メタン冷媒の残余(つまり、結合されない部分)は、導管105を介し、低段エチレンチラー68へ流れる。低段エチレンチラー68では、主にメタン冷媒ストリームは、導管226を介し低段エチレンチラー68へ送られる中間段エチレンチラー54からの液体排出物で、間接熱交換手段70を介し冷却される。低段エチレンチラー68からの冷却されたメタン冷媒生成物は、導管122を介し主メタン節減装置74へ転送される。(導管224を介して引き出された)低段エチレンチラー54からの及び(導管228を介して引き出された)低段エチレンチラー68からのエチレン蒸気は、結合され、そして導管230を介し、エチレン節減装置34へ送られる。エチレン節減装置34では、蒸気は、間接熱交換手段58を介し、冷却剤として機能する。ストリームは、次にエチレン節減装置34から導管232を介し、エチレン圧縮機48の低段注入口へ送られる。
【0038】
図1に示されるように、エチレン圧縮機48の低段側を介して導入された蒸気からの圧縮機の廃液は、導管234を介し除去され、中間段冷却器71を介し冷却され、そして導管216内に存在する高段ストリームと共に注入されるために、導管236を介し圧縮機48へ戻される。望ましくは、2つの段は、単一モジュールであるが、それらはそれぞれ別個のモジュール及び共通の駆動装置に機械的に結合されたモジュールであって良い。圧縮機48からの圧縮されたエチレン生成物は、導管200を介し下流の冷却器72へ送られる。冷却器72からの生成物は、導管202を介し流れ、そして前述のように高段プロパンチラー2へ導入される。
【0039】
図2は、導管118内の重質量物質除去塔の塔頂留出(軽質量物質)ストリームと結合されるメタン冷媒の量を制御するシステムを示す。このシステムは、導管122内に配置されたメタン冷媒蓄積容器400を有する。レベル表示器402は、蓄積容器400と接続される。レベル表示器402は、蓄積容器400内の液体メタン冷媒のレベルを検知し、そして当該レベルを示す信号404を生成する。流量制御装置406は、レベル表示信号404を受信し、そして流量制御信号408及び410を生成する。流量制御バルブ412及び416は、それぞれ流量制御信号408及び410を受信する。流量制御バルブ412及び416は、それぞれ流量制御信号408及び410に応じ、導管107及び105を通じて流れる量を制御する。動作中、蓄積容器400内の液体メタン冷媒のレベルが、望ましくなく高くなった場合、バルブ412及び416は、自動的に調整され、導管107を通る流量をより多くし、導管105を通る流量をより少なくする。反対に、蓄積容器400内の液体メタン冷媒のレベルが、望ましくなく低くなった場合、バルブ412及び416は、自動的に調整され、導管105を通る流量をより多くし、導管107を通る流量をより少なくする。このシステムは、メタン冷却サイクル内の冷媒の量を、剰余メタン冷媒を燃やす必要がなく、適切なレベルに維持する。
【0040】
再び図1を参照する。低段エチレンチラー68を出たメタン冷媒ストリームは、間接熱交換手段76を介した更なる冷却のために、主メタン節減装置74へ案内される。更に冷却されたメタン冷媒は、次に導管123を介し主メタン節減装置74を出て、そして以下に詳細に説明されるように、生成塔60及び61からの塔頂留出(軽質量物質)ストリームを順次冷却するための冷媒として、メタン熱交換器63、71及び73内で用いられる。導管120及び124内のメタンの多い処理された天然ガスストリームは、両方とも、メタン熱交換器63、71及び73内で並列に順次冷却される。望ましくは、メタン熱交換器63、71及び73は、互いに分離され、各メタン熱交換器63、71及び73は、導管120及び124から生じるストリームを結合することなくこれらストリームを冷却するための、2つの間接熱交換通路を有する。最も望ましくは、メタン熱交換器63、71及び73は、アルミニウムのコアをろう付けしたケトル型熱交換器である。
【0041】
メタン熱交換器63、71及び73は、導管120及び124から生じるメタンの多い処理された天然ガスストリームを、導管123から生じる主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し冷却する。望ましくは、メタン熱交換器63、71及び73は、導管120及び124からのメタンの多い処理された天然ガスストリームを、少なくとも約40度Fで、より望ましくは少なくとも約60度Fで、及び最も望ましくは少なくとも約100度Fで協調して冷却し、導管135及び137を介し最終のメタン熱交換器73を出る液化天然ガスストリームが、5モルパーセントより少ない蒸気を構成するレベルまで冷却されるようにする。更に、望ましくは、導管120及び124内のストリーム、並びに導管135及び137内のストリームの間の圧力降下は、それぞれ、344kPa(50psi)より少ない、より望ましくは172kPa(25psi)より少ない、及び最も望ましくは68.9kPa(10psi)より少ない。図1に示されるメタン冷却サイクルの1つの可能な利点は、旧来の開ループメタンサイクルに反し、導管120及び124内のストリームが、メタン熱交換器63、71及び73内で提供される冷却の前に、完全に液化される必要がないことである。実際、導管120及び124内のストリームは、25モルパーセント又はそれ以上の蒸気を有し得る。
【0042】
半閉ループメタン冷却サイクルは、以下に詳細に説明される。導管120及び124内の処理されたメタンの多い天然ガスストリームは、それぞれ第1のメタン熱交換器63内の間接熱交換手段90及び78で、主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し冷却される。第1のメタン熱交換器63に入る前に、導管123内の主にメタン冷媒は、望ましくは膨張バルブである減圧手段78を介しフラッシュされる。蒸発した主にメタン冷媒は、導管126を介し第1のメタン熱交換器63を出る。 導管126内のこの気体の主にメタン冷媒は、次に主メタン節減装置74へ導入される。主メタン節減装置74では、気体のストリームは、間接熱交換手段82内で温められる。間接熱交換手段82からの温められた気体の主にメタン冷媒ストリームは、主メタン節減装置を出て、そして導管128を介しエタン圧縮機83の高段へ案内される。液相の主にメタン冷媒は、導管130を介し第1のメタン熱交換器63を出る。導管130内の液体の主にメタン冷媒は、続いて、望ましくは膨張バルブである減圧器91内でフラッシュされ、そして次に第2のメタン熱交換器71へ導入される。
【0043】
第1のメタン熱交換器63内で間接熱交換手段90及び78を介し冷却された処理された天然ガスストリームは、それぞれ導管125及び127を介し、第1のメタン熱交換器63から引き出される。導管127内の処理された天然ガスストリームは、第2のメタン節減装置65へ案内される。第2のメタン節減装置65では、天然ガスストリームは、導管136を介し第2のメタン熱交換器71を出た気体の主にメタン冷媒を有する間接熱交換を介し、間接熱交換手段88内で冷却される。第2のメタン節減装置65の間接熱交換手段88からの冷却されたストリームは、次に導管132を通じて第2のメタン熱交換器71へ渡される。第1のメタン熱交換器63内で間接熱交換手段90を介し冷却された処理された天然ガスストリームは、導管125を介し、第2のメタン熱交換器71へ渡される。
【0044】
第2のメタン熱交換器71では、導管125及び132を介して導入された処理された天然ガスストリームは、それぞれ、間接熱交換手段33及び79内で冷却される。間接熱交換手段33及び79内のストリームを冷却するために用いられる主にメタン冷媒は、気相及び液相を有する。気相は、第2のメタン熱交換器71から導管136を介し放出される。また液相は、第2のメタン熱交換器71から導管129を介し放出される。上述のように、導管136内の気相の主にメタン冷媒は、第2のメタン節減装置65へ供給される。第2のメタン節減装置65では、ストリームは、間接熱交換手段89内で利用され、間接熱交換手段88内のストリームを冷却する。間接熱交換手段89内の温められた気相の主にメタン冷媒は、導管138を介し第2のメタン節減装置65を出る。導管138は、気相の主にメタン冷媒を、主メタン節減装置74へ運ぶ。主メタン節減装置74では、ストリームは、間接熱交換手段95を介し更に温められる。間接熱交換手段95からの温められた気体の主にメタン冷媒は、主メタン節減装置74を出て、そして導管140を介しメタン圧縮機83の中間段注入口へ案内される。第2のメタン熱交換器71から導管129を介し放出された液体の主にメタン冷媒は、望ましくは膨張バルブである減圧手段92内でフラッシュされ、そして続いて第3のメタン熱交換器73へ導入される。
【0045】
第2のメタン熱交換器71から導管133及び131を介し放出された処理された天然ガスストリームは、導入された処理された天然ガスストリームは、第3のメタン熱交換器73内へ導入され、それぞれ間接熱交換手段35及び39内で更に冷却される。間接熱交換手段35及び39では、処理された天然ガスストリームは、間接熱交換を介し、主にメタン冷媒で冷却される。主にメタン冷媒は、導管143を介し第3のメタン熱交換器73を出る。間接熱交換手段35内で冷却された処理された天然ガスストリームは、第3のメタン熱交換器73から導管137を介し放出される。間接熱交換手段39内で冷却された処理された天然ガスストリームは、第3のメタン熱交換器73から導管135を介し放出される。導管135及び137内の冷却された天然ガスストリームは、それぞれ減圧手段93及び94内でフラッシュされる。結果として生じるフラッシュストリームは、続いてT管継ぎ手43内で結合される。T管継ぎ手43からの結合されたストリームは、導管139を介し分離容器75へ案内される。分離容器75は、導管139を介し導入された主に液体及び主に気相のストリームを分離する。液化天然ガス(LNG)は、導管142を介し分離器75を出る。分離容器75からのLNG生成物は、ほぼ大気圧であり、導管142を通過しLNG貯蔵タンクへ向かう。従来の方法によると、貯蔵タンク内の液化天然ガスは、(標準的に海上LNGタンカーを介し)所望の場所へ輸送され得る。LNGは、次に陸上LNGターミナルで蒸発され、従来の天然ガスパイプラインを介し気相状態で輸送される。
【0046】
主にメタン蒸気は、導管141を介し分離容器75を出て、そして続いてT管継ぎ手41内で導管143からの主にメタン冷媒と結合される。従って、T管継ぎ手41は、半閉ループメタン冷却サイクル内の位置だけを表す。T管継ぎ手41では、処理された天然ガスストリームの一部は、主にメタン冷媒ストリームに導入される。T管継ぎ手41からの結合されたストリームは、導管144を介し第2のメタン節減装置65へ案内される。第2のメタン節減装置65では、結合されたストリームは、間接熱交換手段90内で温められる。間接熱交換手段90からの温められたストリームは、導管146を介し第2のメタン節減装置65を出る。導管146内の主にメタン冷媒は、主メタン節減装置74の間接熱交換手段96へ導入される。間接熱交換手段96では、ストリームは、更に温められる。結果として生じる温められた主にメタン冷媒ストリームは、主メタン節減装置74を出て、そして導管148を介しメタン圧縮機83の低段注入口へ転送される。
【0047】
図1に示されるように、メタン圧縮機83の高、中間、及び低段は、望ましくは単一の装置として結合される。しかしながら、各段は、単一の駆動装置により共に駆動されるよう機械的に結合された別個の装置として存在して良い。低段区間からの圧縮されたガスは、中間段冷却器85を通過し、第2段階の圧縮の前に導管140内の中間圧力のガスと結合される。圧縮機83の中間段からの圧縮されたガスは、中間段冷却器84を通過し、第3段階の圧縮の前に導管121及び128を介し供給された高圧ガスと結合される。圧縮されたガス(つまり、圧縮された開メタンサイクルのガスストリーム)は、高段メタン圧縮機から導管150を介し放出され、冷却器86内で冷却され、そして前述のように導管152を介し高圧プロパンチラー2へ送られる。ストリームは、間接熱交換手段4を介しチラー2内で冷却され、そして導管154を介し主メタン節減装置74へ流れる。チラー2からの圧縮された開メタンサイクルのガスストリームは、主メタン節減装置74へ入り、間接熱交換手段98を通じた流れを介し全体に冷却される。この冷却されたストリームは、次に導管158を介し除去され、そしてエチレン冷却の第1段階の上流で、処理された天然ガス供給ストリームと結合される。
【0048】
本発明のある実施例では、図1及び2に示されたLNG生成システムは、従来の処理シミュレーションソフトウェアを用いコンピューターでシミュレートされる。適切なシミュレーションソフトウェアの例には、ハイプロテック(Hyprotech)社のHYSYS(登録商標)、アスペンテクノロジー社(Aspen Technology, Inc.)のAspen Plus(登録商標)、及びシミュレーションサイエンス社(Simulation Sciences Inc.)のPRO/II(登録商標)がある。
【0049】
上述の本発明の好適な形式は、説明のためのみであり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。以上に説明された例である実施例への明らかな変更は、本発明の精神から逸脱することなく当業者により直ちに行われ得る。
【0050】
発明者らは、特許請求の範囲に定められたように、本発明から実質的に逸脱しないが文字通り範囲外である如何なる装置に関連する本発明の合理的に公正な範囲を決定及び評価するため、発明者らの考えを均等論により本願明細書に説明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガスを製造するために天然ガスを液化する方法であって、前記方法は:
(a)前記天然ガスを、第1の冷却サイクルでメタン冷媒と間接熱交換を介して冷却する段階を含み、前記第1の冷媒が50モルパーセント未満のメタンを含み;
(b)前記第1の冷却サイクルの下流の第1のカラムで、前記天然ガスを第1の軽質量ストリーム及び第1の重質量ストリームに分離する段階を含み;
(c)前記第1の重質量ストリームを、第2のカラムで、第2の軽質量ストリームと第2の重質量ストリームに分離し、
(d)前記第2の軽質量ストリームを、メタン熱交換装置で、少なくとも50モル%メタンを含むメタン主冷媒で間接熱交換により冷却する段階を含み、前記段階(d)が前記第2の軽質量ストリームと前記第1の軽質量ストリームとを混合することなく実施され;
(e)前記第1及び第2の軽質量ストリームを、複数の熱交換体を含むメタン冷却サイクルで、前記メタン主冷媒で間接熱交換することで冷却する段階を含み;及び
(f)前記第1及び第2の軽質量ストリームを最終分離容器内で混合する段階を含み、前記最終分離容器が前記液化天然ガス製品と蒸気冷却媒体ストリームを生成し、前記蒸気冷却媒体ストリームが前記メタン主冷媒と前記メタン冷却サイクルで混合され;
前記段階(d)及び(e)が、少なくとも段階(f)まで前記第2の質量ストリームを前記第1の軽質量ストリームに混合することなく実施される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり、さらに、前記第1及び第2の軽質量ストリームを温度を少なくとも40°F下げることを含む段階を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であり、さらに、前記第1及び第2の軽質量ストリームを温度を少なくとも100°F下げることを含む段階を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であり、さらに、前記第1及び第2の軽質量ストリームを液化する段階を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であり、さらに、前記第1及び第2の軽質量ストリームの少なくとも25モルパーセントが、前記メタン冷却サイクルの直上流の蒸気相に存在する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であり、さらに、前記第1の軽質量ストリームを前記メタン冷却サイクルで冷却する前に、前記メタン主冷媒の一部を前記第1の軽質量ストリームと混合する段階を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であり、前記第1の冷媒が主にプロパン、プロピレン、エタン、エチレン又は二酸化炭素を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であり、前記第1の冷媒が主にプロパンを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であり、段階(a)〜(e)が、少なくとも3つの直列冷却サイクルを持つカスケードタイプの天然ガス液か装置で実施され、それぞれのサイクルで異なる冷媒を適用する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であり、さらに、前記第2のカラムからの前記第2の軽質量ストリームを、前記第2の軽質量ストリームを圧縮することなく前記第1のメタン熱交換装置へ向ける、方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法であり、さらに、少なくとも前記主に蒸気のフラクションの一部を前記メタン冷却サイクルの前記メタン主冷媒と混合する、方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−189316(P2012−189316A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100036(P2012−100036)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2007−516529(P2007−516529)の分割
【原出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(503054111)コノコフィリップス カンパニー (12)
【Fターム(参考)】