説明

天然運搬システムへの材料の封じ込め

食用または飲用物質を、生分解性容器に入れて運搬することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を運搬するための容器に関するものであり、より具体的には、流体を運搬するための容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人類は、先史時代以降、水および他の液体(それだけでなく固形物、乳濁液、スラリー、発泡体なども)を陶器、ガラス、プラスチック、および他の材料で作られた容器に詰めて、携行し、運搬した。これらの容器の性質は、材料製造および設計の進歩とともに発展したが、液体を部分的にまたは完全に囲む表面を備えるコンテナからなり、そこから液体を取り出して、容器を空にし、再び詰めることができるという容器の基本原理は、本質的に変わっていない。使用者は、様々な目的のためにコンテナに水および他の液体を詰め、そして空にするという作業を続ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、自然からインスピレーションを得た、水および他の材料を運搬する新しいアプローチを生み出した。液体を運搬するための本発明者らの容器は、ブドウからブドウの中身を抜いて皮だけにして再び詰めて戻すこと、またはオレンジの皮を剥いて再び詰めることはできないという意味で、容器内に収容されている液体に緊密にかつ一意に関連付けられる容器の外面を有するものとすることができる。オレンジとブドウは、天然材料を運搬する自然のやり方のうちの2つである。本発明者らは、人間工学により水および他の材料を携行するための容器を作り、液体運搬のための既存の、歴史的な人間的アプローチに勝るいくつかの利点が得られることを示す。
【0004】
本発明者らの「天然運搬システム(natural transport systems)」は、システムからその中に収容されている液体(または他の材料)を抜いて空にしたときに、システムそれ自体が、空き瓶、空のバケツ、または空のバイアルという意味で廃棄問題を引き起こさないという利点を有する。本発明者らの天然運搬システムの外面は、食され、消化されうるか、またはブドウやオレンジの皮のように自然界において生体適合性のある要素に分解することができる。本発明者らの天然液体運搬システムは、水のボトル、または他の飲用液体ボトルとして、化粧品、農産物、医薬品、ベビー用品のためのコンテナとして、および料理用途の一般的アプローチとして役立ちうる。これらは、液体、ゲル、乳濁液、発泡体、スラリー、さらには固体材料を収容することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らのコンセプトの1実施形態は、水などの液体を、アルギン酸ナトリウムのゲル膜内に封じ込めることを伴い、汎用液体運搬システムには要求される不浸透性および安定性を必要としない料理用途に使用することができる。しかし、本発明者らのコンセプトによれば、次いで、クッキーのシェル(短期または中期の安定性のため)またはポリ乳酸のシェル、共有結合架橋されたメタクリル化アルギン酸膜、または他の類似の処理方法もしくは材料(長期の安定性のため)の場合と同様に、アルギン酸ナトリウムのゲル封入液体(例えば、カルシウムもしくはマグネシウム、または多価カチオンで固められた/硬化された)を特定の用途に対する不浸透性および安定性の必要な特性を有する別の生分解性膜に封じ込めることができる。内部アルギン酸ナトリウム・ゲル膜を使用して、または使用せずに用意される天然運搬システムは、膜および/またはシェルの厚さ、架橋密度、形状、サイズ、ならびに他の物理的および化学的特性を(使用される特定のシステム/処理方法に応じて)選択することによって中期および長期の保管および運搬に必要な強度およ
び不浸透性を有するように設計されうる。使用するときが来た場合、オレンジの皮もしくは卵の殻を剥くように外部膜を取り除くことがき、場合によっては軟質のゲル膜(または硬化された/固められたゲル膜)内に封じ込められている内部液体を使用するか、または消費することができる。
【0006】
本明細書で使用されているように、例えば、不浸透性を利用して、膜上への液体の拡散が標準棚条件(例えば、〜25℃および直射日光なし)の下で最長1、2、または4ヶ月間の期間にわたるコンテナの測定にかかる容積減少(例えば、5%を超える)を許容しないような質量輸送に対する一般的抵抗を示すことができる。
【0007】
本発明者らのコンセプトの別の実施形態は、水などの液体をアルギン酸ナトリウムのゲルまたはジェランガム膜中に封入し、その後、膜を炭酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウムなどに接触させて外部膜上にカルシウムを堆積させることを伴う。膜上に堆積したカルシウムは、卵の殻のように硬化された/固められた膜、および/または硬質シェルを形成する。あるいは、カルシウムまたはマグネシウムなどの、粒子、アルギン酸塩(または他の天然帯電材料)、および多価カチオンの何らかの混合物が安定した膜を生成するような電荷特性を持つ天然食物粒子で膜を作ることもできる。
【0008】
本発明者らの天然運搬システムは、多くの異なる材料で、様々な形状およびサイズのものに作ることができる。これらは、液体、乳濁液、発泡体、スラリー、もしくは固形物を収容し、内部膜の内側に液体、乳濁液、発泡体、スラリー、もしくは固形物を入れた1つまたは複数の軟質もしくは硬質の膜を内側に収容する頑丈なシェルで作ることができる。外部および内部膜もしくはシェルに、特定の風味を付けるか、または薬効成分もしくは他の望ましい特性の成分をしみ込ませて、例えば、内部にある材料の機能性を改善することができ、および/または外部および内部膜もしくはシェルは、温度、湿度、物理的衝撃、放射線、もしくは同様のものによってもたらされるような、外部応力に抵抗する特別な特性を有することができる。
【0009】
他の研究者らは、基礎研究用の、また農業、食品、化粧品、および医療産業向けの生体適合性を有し、および/または生分解性を有する封入容器を提案している。マイクロ粒子は、一般的に、1ミリメートル未満のサイズの膜(多くの場合にポリマー)封入粒子である。マクロ粒子は、一般的に、最大20ミリメートルまでのサイズの膜(多くの場合にポリマー)封入粒子である。料理用の封入物体は、多くの場合、20ミリメートルを超えるサイズを有するが、長期安定性および強度の特性を有しない。以前のシステムは、比較的大量の水または他の材料を運搬するようには設計されていない。本発明者らのアプローチは、既存の材料および新しい材料を使用して、本発明者らが現在、そして歴史的にも、水および他の材料をボトル、バケツ、グラス、および他の古典的な容器に入れて運搬するときに水および他の材料を運搬するのに必要な強度、安定性、および生分解性の特性を備える材料運搬のための巨視的な容器を実現する新しい種類の封入容器を伴う。
【0010】
膜で被覆された液滴を形成するためのいくつかの方法は、液滴形成が表面張力によって実質的に制御されうる十分に小さな液滴に一般的には適している。例えば、フィルム材料(例えば、水の中のアルギン酸塩)が円筒形の水/空気チューブおよび開口部の周りに環状に生成される、空中に吊り下げられているチューブの端部に形成される液滴である。アルギン酸塩溶液は、チューブのオリフィスのところに形成された液滴の球状キャップの表面の上に広がり、重力に関して下方を指すものとしてよい。液滴がアルギン酸塩で被覆されたチューブから現れると、アルギン酸塩で被覆された液滴が、重力に従って、塩化カルシウム槽内に落下し、そこで、遊離カルシウムがアルギン酸塩と反応し、水滴の周りに固体薄膜を形成する。しかし、この方法は、より大きな液滴(例えば、約1cmを超える直径などの寸法を有する液滴)を被覆するのには効果的でない場合がある。例えば、大きな
液滴の表面は、チューブから現れたときに、形成した瞬間に壊れうるが、それは、大きな液滴の表面張力の影響が重力に比べて弱く、チューブのオリフィスのところに規則正しい球状キャップを形成するのを妨げるからである。少なくともこのような理由から、表面張力法は、特定のサイズより小さい液滴を被覆するのには役立つ場合があるが、例えば、液体の配給および可搬性を改善すること、および/またはコンテナの生分解性を改善すること、および/またはコンテナの消費性を改善することに役立ちうるより大きな被覆された液滴における応用性を制限していることがある。
【0011】
比較的大きな膜に囲まれた液滴または物体(例えば、食用ボトル)を製造するための方法について説明する。これらの方法を実装するための装置およびシステムについても説明する。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されている方法は、表面張力法によって形成される膜に囲まれた液滴と比較して、膜に囲まれた液滴のサイズを増大する。例えば、本明細書で説明されているいくつかの方法は、重力に対し実質的に対抗して全面に作用する表面張力によりオリフィス上で支持されうる液滴のサイズより大きい体積を有する膜に囲まれた液滴を形成するために使用されうる。
【0012】
いくつかの実施形態では、比較的大きな膜に囲まれた液滴または物体(例えば、食用ボトル)を製造するための方法は、
a)液滴の形成前に、または同時に、化学成分の2つの水相(例えば、水中のカルシウムまたはマグネシウムおよびアルギン酸塩を水中に有する天然食品粒子)の間の反応を通じて膜を形成すること、
b)液体を膜内に注入すること、および
c)液体と膜との複合材料を反応媒質中に導入する(例えば、押し出す)ことを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、押し出された液滴は、押し出し材料(液体と膜の複合材料)から脱着し、例えば、食用コンテナなどの分離された、膜に囲まれた物体となる。いくつかの実施形態では、反応媒質中の液滴の滞留時間は、膜を固められる十分な長さである。それに加えて、または代替えとして、食用コンテナをすすぎ/洗浄して(例えば、純水で)、反応材料を除去する。膜を乾燥させて水を除去するために乾燥処理方法が使用されうる。いくつかの実施形態では、追加の処理方法により、膜/コンテナに対しさらなる修正/追加を行うことができる。例えば、膜/コンテナを脂質(例えば、蜜蝋)で被覆し、膜/コンテナの物理的な、保護に関する、および/または美的な特性を強化することができる。
【0014】
食用コンテナは直接的に消費することができる。それに加えて、または代替えとして、食用コンテナは、食用コンテナの運搬が容易になるように生分解性材料(例えば、ポリ乳酸)の中に入れられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、流体封じ込めシステムは、例えば、食用コンテナの連続生産(例えば、毎分1コンテナの生産)を通じて多数の食用コンテナの生産を円滑にすることができる。
【0016】
1態様では、流体送出装置は、第1のハウジング、第2のハウジング、および流量コントローラを備える。第1のハウジングは、少なくとも部分的に、第1の入口部分から第1の出口部分へ延在する第1の流体通路を形成する。第2のハウジングは、少なくとも部分的に、第2の入口部分から第2の出口部分へ延在する第2の流体通路を形成し、第2の出口部分は第1の流体通路と流体的に連通している。流量コントローラは、第1の出口部分にそって配列され、流体の流れを第1の出口部分に通して離散コンテナを形成するように構成される。
【0017】
別の態様では、反応装置モジュールは、貯蔵セクション、移送セクション、および取り出しセクションを備える。貯蔵セクションは、少なくとも部分的に、流体を収容するため容積を形成する。移送セクションは、貯蔵セクションに隣接しており、移送セクションは、貯蔵セクションと移送セクションとの間に第1のロックを備える。取り出しセクションは、移送セクションに隣接しており、取り出しセクションは、移送セクションと取り出しセクションとの間に第2のロックを備える。第1のロックは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、貯蔵セクションから移送セクションへの流体の流れを制御する。第2のロックは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、移送セクションから取り出しセクションへの流体の流れを制御する。
【0018】
さらに別の態様では、流体封じ込めシステムは、第1の反応装置、流体送出装置、および出口導管を備える。第1の反応装置モジュールは、少なくとも部分的に流体を収容するための容積を形成する貯蔵セクションを備える。流体送出装置は、第1の反応装置モジュールに結合され、それらの間で流体を移送できるようになっている。出口導管は、第1の端部分と第2の端部分とを有し、第1の端部分は第1の反応装置モジュールに結合され、それらの間で流体を移送できるようになっている。
【0019】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
いくつかの実施形態では、第2の出口部分は、第1の入口と第1の出口との間の、第1の流体通路にそって配設される。いくつかの実施形態では、第2のハウジングの少なくとも一部は、実質的に第1のハウジング内に配設される。第1の流体通路は、第1のハウジングと第2のハウジングとの間に形成された環状部を備えることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、流量コントローラは、流体の流れを第1の出口部分に通す(例えば、少なくとも部分的に遮断する)ように移動可能である移動可能要素(例えば、回転可能要素)を備える。いくつかの実施形態では、移動可能要素は、平面状表面を備え、移動可能要素は第1の出口部分を通る流体の流れに実質的に垂直である位置に平面状表面を移動するように移動可能である。流量コントローラは、静止要素を備えることができ、移動可能要素は、静止要素と摺動可能に係合し、第1の出口部分を通る流体の流れを剪断する。移動可能要素および静止要素は、それぞれ、円板であるものとしてよい。移動可能要素の中心は、静止要素の中心に実質的に揃えることができる。移動可能要素は、円板の平面状表面に実質的に垂直な、円板の中心を貫通する軸の周りで移動可能であるものとしてよい。静止要素および移動可能要素は、それぞれ、直径が約1cmから約50cmまでの範囲内とすることができる。静止要素の平面状表面は、静止要素を貫通する実質的に円形のオリフィスを形成することができる。第1の出口部分は、静止要素の実質的に円形のオリフィスと実質的に同軸上に揃えられた出口オリフィスを形成することができる。移動可能要素の平面状表面は、移動可能要素を貫通する実質的に腎臓形のオリフィスを形成することができる。移動可能要素の腎臓形のオリフィスは、静止要素の実質的に円形のオリフィスに相対的に配列され、これにより、腎臓形のオリフィスおよび円形のオリフィスは、移動可能要素の移動の少なくとも一部において実質的に遮られない流れを中に通せるように位置合わせ可能である。
【0021】
いくつかの実施形態では、モータが回転可能要素に結合され、モータは実質的に一定の速度で回転可能要素を駆動するように動作可能である。
いくつかの実施形態では、第1の出口部分は、第1のハウジングを貫通する第1の出口オリフィスを形成し、第2の出口部分は、第2のハウジングを貫通する第2の出口オリフィスを形成する。第1の出口オリフィスの面積は、第2の出口オリフィスの面積よりも広いものとしてよい。第1の出口オリフィスおよび第2の出口オリフィスのうちの少なくとも一方の面積は、調整可能であるものとしてよい。第1の出口オリフィスの面積は、約0.5平方cmから約10平方cmまでの範囲内とすることができる。例えば、第1の出口
オリフィスの面積は、約1cmより大きいものとしてよい。第2の出口オリフィスの面積は、約0.25平方cmから約8平方cmまでの範囲内とすることができる。第2の出口オリフィス上の第2の流体の表面張力は、第2の出口オリフィスが地上に向けられているときに重力より小さいものとしてよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の出口部分および第2の出口部分のうちの少なくとも一方は、実質的に円錐台形状である。
いくつかの実施形態では、第1のハウジングおよび第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、電気的分極可能な材料を備える。いくつかの実施形態では、電源は、電気的分極可能な材料と電気的に連通している。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の入口部分は、第1の流体源から流体を受けるように構成され、第2の入口部分は、第1の流体源から隔てられている第2の流体源から流体を受けるように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のロックおよび第2のロックは、それぞれ、互いに相対的に移動可能である。
いくつかの実施形態では、第1のロックの第1の位置と第2の位置との間の差は、第2のロックの第1の位置と第2の位置との間の差より大きい。
【0025】
いくつかの実施形態では、貯蔵セクションは、流体を収容するための容積部に隣接する位置で流体送出装置を支持するように構成される。貯蔵セクションは、容積部に流体が収容されるときに流体を収容するための容積部の底部にそって流体送出装置を支持するように構成されうる。それに加えて、または代替えとして、貯蔵セクションは、第1の受け入れオリフィスを形成することができ、貯蔵セクションは重力に逆らう方向に第1の受け入れオリフィスを通して流体を受け入れるように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、貯蔵セクションは、第1の受け入れオリフィスの実質的に対向して第2の受け入れオリフィスを形成する。第2の受け入れオリフィスは、導管と解放可能に係合するように構成されうる。それに加えて、または代替えとして、貯蔵セクションは、第1の受け入れオリフィスおよび第2の受け入れオリフィスに実質的に垂直な第3の受け入れオリフィスを形成することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、取り出しセクションは、使用中に重力の下で取り出しセクションから流体を排出することを可能にする出口オリフィスを形成する。
いくつかの実施形態では、出口導管は、第1の端部分と第2の端部分とを有し、第1の端部分は出口オリフィスの取り出しセクションに結合されている。出口導管は、少なくとも1つの実質的に円筒形のセクションを備えることができる。それに加えて、または代替えとして、取り出しセクションに結合されている出口導管の少なくとも一部が実質的に垂直である軸にそって配設される。いくつかの実施形態では、出口導管は、実質的に垂直である軸にそって配設されている出口導管の部分に隣接する位置にリターン・オリフィスを形成する。取り出しセクションに結合されている出口導管の少なくとも一部は、水平方向に関して約20度から約60度までの範囲内の角度で配設されうる。出口導管の第2の端部分は、第2の反応装置モジュールと係合するように構成されうる。
【0028】
いくつかの実施形態では、貯蔵セクションの少なくとも一部は、実質的に矩形の断面を有する。移送セクションの少なくとも一部は、実質的に矩形の断面を有することができる。取り出しセクションの少なくとも一部は、実質的に矩形の断面を有することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、反応装置モジュールは、貯蔵セクションから取り出しセクシ
ョンに延在する実質的に均一な断面を有する。
いくつかの実施形態では、第1の反応装置モジュールは、移送セクションおよび取り出しセクションをさらに備える。移送セクションは、貯蔵セクションに隣接しており、移送セクションは、貯蔵セクションと移送セクションとの間に第1のロックを備える。取り出しセクションは、移送セクションに隣接しており、取り出しセクションは、移送セクションと取り出しセクションとの間に第2のロックを備える。流体送出装置と取り出しセクションとの間の距離は、約25cmから約150cmまでの範囲内とすることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のロックは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、貯蔵セクションから移送セクションへの流体の流れを制御し、第2のロックは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、移送セクションから取り出しセクションへの流体の流れを制御する。
【0031】
いくつかの実施形態では、出口導管の第1の端部分は、取り出しセクションに結合されている。
いくつかの実施形態では、流体送出装置は、第1のハウジングと第2のハウジングとを備える。第1のハウジングは、少なくとも部分的に、第1の入口部分から第1の出口部分へ延在する第1の流体通路を形成する。第2のハウジングは、少なくとも部分的に、第2の入口部分から第2の出口部分へ延在する第2の流体通路を形成し、第2の出口部分は第1の流体通路と流体的に連通している。第1の出口部分は、出口オリフィスを形成することができる。反応装置モジュールの取り出しセクションは、取り出しオリフィスを形成することができる。取り出しセクションの取り出しオリフィスは、流体送出装置の第1の出口部分の出口オリフィスの面積より広い面積を有することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、流体送出装置は、第1の出口部分にそって配列され、第1の出口セクションから第1の反応装置モジュールに流体の流れを向ける(例えば、少なくとも部分的に遮断する)ように構成された流量コントローラを備える。流量コントローラは、第1の流体通路の第1の出口部分に関して回転可能な回転可能円板を備えることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の流体通路および第2の流体通路はそれぞれ、垂直軸に実質的に平行に延在し、第1の出口部分は第1の入口部分の上にあり、第2の出口部分は第2の入口部分の上にある。
【0034】
いくつかの実施形態では、出口導管の第2の端部分は、第2の反応装置モジュールに結合され、出口導管は、第2の反応装置モジュールと流体的に連通する。第2の反応装置モジュールは、第1の反応装置モジュールの下に配設され、出口導管の第2の端部分は、第2の反応装置モジュールの頂部に結合されうる。いくつかの実施形態では、第2の反応装置モジュールは、少なくとも部分的に流体を収容するため容積を形成する貯蔵セクションを備え、出口導管の第2の端部分は、第2の反応装置モジュールの貯蔵セクションに結合される。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポンプが、流体源から第1の反応装置モジュールの貯蔵セクションに流体を移動するように構成されている。流体源からの流体は、流体送出装置の上の位置で貯蔵セクションに導入されうる。
【0036】
いくつかの実施形態では、出口導管は、取り出しセクションから流体源に流体を戻すように構成された戻り管路と流体的に連通している。
いくつかの実施形態では、貯蔵セクションの少なくとも一部は、実質的に矩形の断面を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の反応装置モジュールは、少なくとも1つの軸にそって実質的に均一な断面を有する。
別の態様では、方法は、第1の流体を第1のハウジングによって少なくとも部分的に形成されている第1の通路の第1の出口部分の方へ流すことと、第2の流体を第1の通路内の第1の流体の中へ受け入れ、第2の流体は第2のハウジングによって少なくとも部分的に形成されている第2の通路から受け入れられることと、第1の流体と第2の流体との複合流を第1の出口部分から外へ移動させることと、第1の流体と第2の流体との複合流の流れを第1の出口部分に通す(例えば、少なくとも部分的に遮断する)こととを含む。
【0038】
さらに別の態様では、方法は、第1の流体と第2の流体との複合流を第1の反応装置モジュールの貯蔵セクション内に移動することと、第1の流体と第2の流体との複合流を貯蔵セクション内の第1の反応液に曝して、流体を実質的に囲む膜を備える流体コンテナを形成することと、反応装置モジュールの貯蔵セクションから移送セクションに流体コンテナを移動することと、反応装置モジュールの移送セクションから取り出しセクションに流体コンテナを移動することと、流体コンテナおよび第1の反応液を出口導管内に受け入れることとを含む。
【0039】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含みうる。
いくつかの実施形態では、第1の出口部分は、第2の通路と実質的に同軸である。
いくつかの実施形態では、第1の流体を第1の出口部分の方へ流すことは、第1の流体を重力の方向と実質的に反対の方向に移動することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2の流体を第2の通路から第1の流体の中に受け入れることは、第2の流体を重力の方向と実質的に反対の方向に移動することを含む。
いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体との複合流は、重力の方向と実質的に反対の方向に第1の出口部分から外に出る。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体との複合流を向き付けることは、第1の流体と第2の流体との複合流の少なくとも一部を第1の流体と第2の流体の複合流から分離することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体との複合流を向き付けることは、流れの定期的遮断を含む。
いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体との複合流を向き付けることは、第1の出口部分に関して回転可能要素を回転させることを含む。第1の出口部分に関して回転可能要素を回転することは、第1の流体と第2の流体との複合流を剪断することを含むことができる。それに加えて、または代替えとして、第1の出口部分に関して回転可能要素を回転することは、静止円板の平面状表面に関して第1の円板の平面状表面を回転させることを含む。第1の円板は、第1のオリフィスを形成することができ、第2の円板は、第2のオリフィスを形成することができ、第1のオリフィスは第1のオリフィスの回転の少なくとも一部において流体流を中に通せるように第2のオリフィスと位置を合わせる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の流体の流量と第2の流体の流量との比が(例えば、第1の流体と第2の流体との複合流の部分的遮断に少なくとも一部は基づいて)高められる。それに加えて、または代替えとして、第1の流体の流量と第2の流体の流量との比を高めることは、第1の流体の流量を増やすことを含みうる。いくつかの実施形態では、第1の流体の流量と第2の流体の流量との比が第1の流体と第2の流体との複合流の遮断(例えば、部分的遮断、完全遮断)時に高められる。
【0044】
いくつかの実施形態では、電気的に分極する表面は、第1の通路および/または第2の通路と流体的に連通する。
いくつかの実施形態では、第1の流体および第2の流体のうちの少なくとも1つは、液体である。例えば、第1の流体は、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)を含みうる。それに加えて、または代替えとして、第1の流体は、水である。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の流体はポンプで第1の貯蔵器から第1の通路内に送られ、第2の流体はポンプで第1の貯蔵器から離れている第2の貯蔵器から第2の通路内に送られる。
【0046】
いくつかの実施形態では、実質的に流体を囲む膜は、アルギン酸塩を含む。
いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体との複合流を第1の反応モジュールの貯蔵セクション内に移動することは、第1の流体と第2の流体との複合流を向き付けることを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の反応液は、塩化カルシウム溶液を含む。
いくつかの実施形態では、流体コンテナは、第2の反応装置モジュール内の第2の反応液に曝される。第2の反応液は、水および/または蜜蝋であるものとしてよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、流体コンテナを反応装置モジュールの移送セクションに移動することは、第1の反応液をポンプで移送セクションの方向に送ることを含む。
いくつかの実施形態では、流体コンテナを反応装置モジュールの移送セクションに移動することは、気泡を第1の反応液中に導入することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、流体コンテナを反応モジュールの取り出しセクションに移動することは、移送セクションが流体コンテナおよび第1の反応液を含むように貯蔵セクションと移送セクションとの間のロックの間に第1のロックを配置することと、移送セクション内の流体コンテナおよび第1の反応液が取り出しセクション内に移動するように移送セクションと取り出しセクションとの間の第2のロックを取り外すこととを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、流体コンテナおよび第1の反応液を出口導管内に受け入れることは、第1の反応液から流体コンテナを分離することと、第1の反応液を第1の反応装置モジュールの貯蔵セクションと流体的に連通する戻り管路に移動することと、重力下で流体コンテナを第2の反応装置モジュールの方へ導くこととを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の反応液から流体コンテナを分離することは、分離された第1の反応液の少なくとも一部を第1の反応モジュールの貯蔵セクションに戻すことを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、流体コンテナは、少なくとも部分的にポリ乳酸で被覆される。流体コンテナを部分的に被覆することは、流体コンテナをポリ乳酸を含むシェル内に(例えば、重力の下で)移動させることを含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、流体コンテナは、約0.25cmから約10cmまでの範囲内の直径を有する実質的に球形の形状である。
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、付属の図面および以下の説明で述べられる。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、さらに請求項から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】アルギン酸塩ポリマー−(M)m−(G)n−(M:マンヌロン酸塩、G:グルロン酸塩)の化学構造を示す図。
【図2】二価カチオン(例えば、Ca2+)を介してアルギン酸ナトリウムを重合することを示す図。
【図3】液体の水がアルギン酸のファインゼリー膜(fine jelly membrane)中に包埋されている容器を示す図。
【図4】図3の容器を形成するための処理方法を示す図。
【図5】PLAシェルが右側のアルギン酸カルシウム膜によって水から分離される、左側のアルギン酸カルシウム内膜なしのPLAシェルの写真。
【図6】PLAと接触するアルギン酸カルシウム内膜がある場合に、水の存在下で45℃の温度に曝して30日経過した後の2つのPLAシェル面の表面のSEM画像。
【図7】PLAと接触するアルギン酸カルシウム内膜がない場合に、水の存在下で45℃の温度に曝して30日経過した後の2つのPLAシェル面の表面のSEM画像。
【図8A】2つの球形ジュース・コンテナの形成時の球形ポリマー・シェル(見やすくするためシェル全体は示されていない)の内側の球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図8B】球形ジュース・コンテナを形成してから20時間後の球形ポリマー・シェル(見やすくするためシェル全体は示されていない)の内側の球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図8C】球形ジュース・コンテナを形成してから72時間後の球形ポリマー・シェル(見やすくするためシェル全体は示されていない)の内側の球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図8D】球形ジュース・コンテナを形成してから184時間後の球形ポリマー・シェル(見やすくするためシェル全体は示されていない)の内側の球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図9A】2つの球形ジュース・コンテナの形成時の球形ポリマー・シェルなしの球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図9B】球形ジュース・コンテナを形成してから20時間後の球形ポリマー・シェルなしの球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図9C】球形ジュース・コンテナを形成してから72時間後の球形ポリマー・シェルなしの内側の球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図9D】球形ジュース・コンテナを形成してから184時間後の球形ポリマー・シェルなしの内側の球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像。
【図10】化学修飾されたアルギン酸塩を使用してロバストなシェルを形成するための処理方法を示す図。
【図11】図10の処理方法を使用して形成された容器を示す図。
【図12】ジェランガム膜内に包埋された液体を示す図。
【図13A】チョコレートを含むアルギン酸カルシウム膜内に収容されたオレンジ・ジュースの写真。
【図13B】チョコレートを含むアルギン酸カルシウム膜内に収容されたオレンジ・ジュースの写真。
【図13C】チョコレートを含むアルギン酸カルシウム膜内に収容されたオレンジ・ジュースの写真。
【図14】複数の液体収容膜で充填されたPLAのシェルの写真。
【図15】液体封じ込めシステムの1実施形態の略図。
【図16】図15の液体封じ込めシステムの流体送出装置の断面図。
【図17】図16の流体送出装置の実施形態の部分断面図。
【図18】図16の流体送出装置の流量コントローラの斜視図。
【図19A】図18の流量コントローラの円板の上面図。
【図19B】図18の流量コントローラの円板の上面図。
【図20】図15の液体封じ込めシステムの斜視図。
【図21】図15の液体封じ込めシステムの反応装置モジュールの断面図。
【図22A】図15の反応装置モジュールを動作させる方法の概略図。
【図22B】図15の反応装置モジュールを動作させる方法の概略図。
【図22C】図15の反応装置モジュールを動作させる方法の概略図。
【図23】流体送出装置の1実施形態の部分断面図。
【図24】流体送出装置の1実施形態の部分断面図。
【図25】流体送出装置の1実施形態の部分断面図。
【図26】正の粒子(例えば、Ca2+またはMg2+)と負の粒子(例えば、アルギン酸塩または食品粒子)との間の結合を示す略図。
【図27】天然運搬システムを形成するために物体を被覆するためのシステムの側面図。
【図28】図27のシステムとともに使用するための移動可能な車両の斜視図。
【図29A】天然運搬システムを形成するために物体を被覆するためのシステムの略図。
【図29B】動作時の図29Aに示されているシステムの装填モジュールを示す一連の略図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
様々な図面内の類似の参照記号は、類似の要素を示す。
本発明者らの液体運搬システムの実施形態は、例えば、様々なシェルもしくは膜の厚さ、化学作用、様々な数のシェルもしくは膜、複数の内部内容物材料、様々な形状、味および抵抗を含む様々なシェル/膜特性を有することができる。これらの容器のこれらおよび他の実施形態は、射出、噴霧乾燥、流動床、および他の技術などを使用して、大規模に生産することができる。
【0056】
図1を参照すると、アルギン酸塩(アルギン酸)は、褐藻類の細胞壁中に広く存在するアニオン性多糖類である。これは、マンヌロン酸塩M(マンヌロン酸)およびグルロン酸塩G(グルロン酸)単量体によって構成される、共重合体−(M)m−(G)n−である(図1を参照)。mとnの値、比m/n、およびMとGとの間の空間分布(つまり、連続するGブロックとMブロック、またはランダムに編成されたブロックの存在)は、すべて、最終共重合体の化学的および物理的特性において重要な役割を果たす。
【0057】
アルギン酸塩は、医薬品調製、印象材製造(例えば、歯科および補綴具製造における)、食品業界など、様々な用途で使用されている。アルギン酸塩は、ゲルを簡単に形成できるその能力、およびその生体適合性を超えて、細胞固定化およびカプセル化にも使用されている。実際、Naは取り除かれ、二価カチオン(例えば、Ca2+、もしくはMg2+などの別の多価カチオン)で置き換えられ、静電気架橋によるより高速なゲル化を誘発する(図2を参照)。
【0058】
そこで、近年、アルギン酸ナトリウムには、例えば、薄いゼリー状膜で囲まれた液体の球体を形成する、レストランでの用途が見つかっている。フェラン・アドリア(Ferran Adria)氏などのシェフは、今日、この技術を使用し、アルギン酸ナトリウムを液体(例えば、メロン・ジュース)に添加し、次いで調製物をカルシウム槽(乳酸カルシウムまたは塩化カルシウム)の中に落とすことによって「メロン・キャビア」、「偽魚卵」などを作製している。最適化または制御するのが困難なパラメータは2つあり、1つは(i)球体のサイズであり、もう1つは(ii)膜内に包埋される液体のテクスチャである。球体のサイズは、知られている方法では液体が注射器またはストローからカルシウム槽内に落とされ、球体のサイズを制限するため、問題となる。「ジャイアント」球体を作ることは、重力が最終的には表面張力を圧倒してしまうせいで、今までのところ現行技
術では解決不能といっていいくらいの難題である。テクスチャに関して、アルギン酸塩は、液体の粘度を強力に押し上げうる。ゼリー状膜の安定化と形成が簡単に行えるようにするには、粘度を高める必要がある。しかし、粘度が高いことは、液体を味わい、および/または消費しているときに、常に好ましいことであるというわけにはいかず、また粘度が高いと、液体の芳香を隠すことにもなりうる。
【0059】
本発明者らのアプローチは、既存の材料および新しい材料を使用して、本発明者らが現在、そして歴史的にも、水および他の材料をボトル、バケツ、グラス、および他の古典的な容器に入れて運搬するときに水および他の材料を運搬するのに必要な強度、安定性、および生分解性の特性を備える材料運搬のための巨視的な容器を実現する新しい種類の封入容器を伴う。本発明者らは初期実験を実施して、本発明者らのコンセプトを実用に絞り込んだ。
【0060】
実施例1
液体カプセル化のための安定した、機械的にロバストなアルギン酸塩シェルの作製
図3に示されているように、後で説明され図4に要約されている処理方法に従って、「水の卵」(水を基準液体として使用したが、他の液体も使用可能である)を構成した。
【0061】
例示的な処理方法には、以下の工程を含めた。
(a)液体を望ましい形態に凍結する。
(b)次いで、固形を液体窒素中でさらに冷却する。
【0062】
(c)工程(b)からの固体をアルギン酸ナトリウム溶液中に入れる。この固体は非常に冷たく、アルギン酸塩は表面上で凍る。そこで、最終的なゼリー状膜の厚さは容易に調整可能なものとなる。
【0063】
さらに、液体窒素が、工程(b)の後に「乾燥した冷たい」表面を形成するが、これは、アルギン酸塩がこの表面上に容易に付着する理由である。本発明者らの実験を通して、工程(b)は特に改善された結果をもたらすことが判明し、工程(a)から工程(c)に直接向かう(工程(b)をスキップする)処理方法の場合、室温(約20℃)でアルギン酸塩溶液と接触する固体は固体表面上で素早く溶融し、それにより、固体とアルギン酸塩溶液との間に液膜を形成する。そのため、均質膜を安定化させることは非常に困難である。
【0064】
(d)膜の望ましい厚さを得るために必要な所望の時間が経過した後、膜で覆われた固体をカルシウム溶液(例えば、塩化カルシウム溶液)中に入れ、そこでゲル化が生じる。
この工程の後、代替えとして、カルシウムで被覆された固体をアルギン酸塩の中に入れ、次いでもう一度、膜で覆われた固体をカルシウムの中に入れる(工程(c)から工程(d))などの作業を行うことが可能である。この処理方法を繰り返すことにより、かなり厚い、より固い、より剛性のあるシェルが生成される。
【0065】
(e)膜で覆われた凍結固体を水中ですすぐ。カルシウムで被覆された膜内の液体を徐々に溶融させることができる。
実施例2
内膜の保護効果
固い外部生分解性膜は、軟質の内部の膜、例えば、アルギン酸カルシウムによって生成された膜により、中に収容されている水から保護されうることを実証するために、本発明者らは、ポリ乳酸(PLA)の外側シェルを形成して、それらを水に、または水とPLAとの間にアルギン酸カルシウムの膜がある水に曝した。本発明者らは、アルギン酸カルシウム膜がある場合とない場合について、PLAシェルを45℃の外部温度に30日間曝し
、次いで、その後PLAシェルを得た。
【0066】
図5は、水の存在下で、アルギン酸カルシウム膜がない場合に、PLAシェル(左側の物体)が不透明になり、水との接触を通じてPLAシェルの劣化を反映していることを示している。対照的に、PLAシェルは、アルギン酸カルシウム膜(右側の物体)によって水から分離され、透明度を保っており、これは劣化がほとんど、または全くないことを示している。
【0067】
図6および7は、PLAと接触するアルギン酸カルシウム膜がある場合に、水の存在下で45℃の温度に曝して30日経過した後のPLAの表面のSEM画像を示している。アルギン酸塩膜(図6)の存在下でのPLAの表面は、比較的滑らかである。対照的に、アルギン酸カルシウム膜の介在なしで水に曝されたPLAシェルの表面は、比較的粗い(図7を参照)。これは、アルギン酸カルシウム膜がPLAシェルを内部の流体の存在による劣化から保護していることを示すものと理解される。
【0068】
実施例3
外膜の保護効果
剛性のある外膜が(例えば、アルギン酸カルシウムの)内膜を漏れおよび不安定性から保護することを示すために、本発明者らは、オレンジ・ジュースを入れたアルギン酸塩ボトルを用意し、液体のこれらの球形コンテナを−4℃のプレートとナプキン上に置くか、またはPLAで形成された硬質ポリマー・シェルの内側に入れた。いくつかの場合において、他の材料も、そのようなシェルを形成するために使用できる。
【0069】
図8A〜8Dは、それぞれ、2つの球形ジュース・コンテナの形成時の、球形ジュース・コンテナを形成してから20時間後の、球形ジュース・コンテナを形成してから72時間後の、および球形ジュース・コンテナを形成してから184時間後の、球形ポリマー・シェル(見やすくするためシェルの一部を取り除いてある)の内側の球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像を示している。図9A〜9Dは、それぞれ、2つの球形ジュース・コンテナの形成時の、球形ジュース・コンテナを形成してから20時間後の、球形ジュース・コンテナを形成してから72時間後の、および球形ジュース・コンテナを形成してから184時間後の、球形ポリマー・シェルなしの球形オレンジ・ジュース・コンテナの画像を示している。
【0070】
一連の図は、球形アルギン酸塩ボトルは時間の経過とともに変形し、膜を通る拡散と、蒸発とにより体積を失うが、ポリマー・シェル内の球形アルギン酸塩ボトルは形状も体積も失わないことを示している。これは、ポリマー・シェルによってもたらされる物理的保護に加えて、アルギン酸塩膜がPLA生分解性シェルを水によるダメージから保護する一方で(図1、2、および3)、ポリマー・シェルが、さらに、アルギン酸塩も保護し(図4、5、および6)、したがって、軟質の内膜(本発明者らの例では、アルギン酸塩)と丈夫な生分解性外膜(本発明者らの例では、PLA)の両方によって理想的な食用および/または生分解性ボトルが形成されることを明らかにしている。内膜も外膜も単独では、生態学的に安全なボトルの生産には十分でない。
【0071】
実施例4
剛性のあるアルギン酸塩の外部シェルの形成
代替的アプローチで、化学修飾されたアルギン酸塩を使用して、PLAの外側シェルの代わりに頑丈な外膜を生産した。このアプローチは、機械的特性を改善するために巨視的シェルを分子間共有結合と化学的架橋することによって長期的な強度および安定性という重要な利点をもたらした。
【0072】
アルギン酸塩のメタクリル化
光架橋性アルギン酸塩マクロマーを、アルギン酸ナトリウムとメタクリル酸2−アミノエチルとを1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩とN−ヒドロキシスクシンイミドの存在下で反応させることによって調製した。
【0073】
実験プロトコル:高分子量のアルギン酸塩(〜300,000g/mol)をメタクリル酸2−アミノエチル(AEMA、Sigma)と反応させて、メタクリル化アルギン酸塩を調製した。高分子量のアルギン酸ナトリウム(1g)を0.5MのNaClを含有する50mMの2−モルホリノエタンスルホン酸(MES、Sigma)の緩衝液(1%w/v、pH6.5)中に溶解させることによって、ウロン酸カルボキシレート基の50%メタクリル化がなされたメタクリル化アルギン酸塩を合成した。N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS、1.3g、Sigma)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC、2.8g、Sigma)(モル比はNHS:EDC=1:1.3)を混合物に添加して、アルギン酸塩のカルボン酸基を活性化した。5分後に、AEMA(2.24g)(モル比はNHS:EDC:AEMA=1:1.3:1.2)を生成物に添加して、反応を室温で4日間維持した。過剰量のアセトンを添加して混合物を沈殿させ、減圧下でそれを乾燥させ、脱イオン超純水(diH2O)中の1%w/v溶液に再水和してさらに精製した。3日間diH2O(MWCO 3500)に対する透析によってメタクリル化アルギン酸塩を精製し、濾過し(0.22mmのフィルタ)、凍結乾燥した。
【0074】
アルギン酸カルシウム・ヒドロゲル・シェルの調製
球状凍結液体をアルギン酸カルシウム・ヒドロゲル・シェルで被覆した。凍結させた液体を最初にCaClの水溶液で被覆し、その後、0.1%の光開始剤を含む1%のMA−アルギン酸塩溶液に曝した。ここでまた、この処理方法を数回繰り返して、所望の厚さのシェルを得た。CaClと接触させた直後、MA−アルギン酸塩溶液はカルシウム・イオンを吸収し、それにより、シェル懸濁全体の固化が生じ、その結果、保形球状液体コンテナが形成される。次いで、この球形コンテナを数回すすいで過剰量のMA−アルギン酸塩とCaClとを除去した。
【0075】
最終処理方法
アルギン酸カルシウム・ヒドロゲルによって形成されたシェルをさらに安定化するように光架橋された生分解性アルギン酸塩を設計した。シェルの主成分である、メタクリル化アルギン酸塩を、紫外線に20分間曝して光架橋した。その結果得られる修飾は、シェル形態を安定化する働きをし、それにより、球形マクロカプセルの変形もしくは破壊が低減もしくは排除される。
【0076】
図10は、この処理方法の概略を示している。
MA−アルギン酸塩を使用して実行された図5に要約されている処理方法に基づく初期予備試験は図11に示されており、以下のとおりである。
【0077】
11(a)は、MA−アルギン酸塩+光開始剤を示しており、紫外線で20分間光処理を行う。
11(b)は、MA−アルギン酸塩+光開始剤を示しており、CaClの水溶液で被覆する。
【0078】
11(c)は、MA−アルギン酸塩+光開始剤を示しており、CaClの水溶液で被覆し、水で2回すすいで過剰なCaClを除去し、紫外線で20分間光処理を行う。
11(d):MA−アルギン酸塩+光開始剤、円筒形の形状の液体窒素中で凍結し、CaClの水溶液で被覆し、水で2回すすいで過剰なCaClを除去し、紫外線で20
分間光処理を行う。
【0079】
UV処理後、本発明者らは、事例(a)、(c)、および(d)で固体膜を得た。これらの結果は、光架橋アルギン酸塩膜は、説明されている処理方法を用いて適切に得られたことを示している。試料(a)、(c)、および(d)の色のわずかな変化は、試料(b)と比較することで観察できる。これは、化学変化が発生していることを示している可能性が高い。CaClを添加しても、UV処理の結果は変化しない。MA−アルギン酸塩および光開始剤の凍結も、UV処理の結果を変えない。MA−アルギン酸塩および光開始剤の凍結により、特定の形状が温存されうる。
【0080】
初期の観察では、試料(c)および(d)がより固い機械的膜((a)および(b)と比較して)をもたらすことを示している。機械的物理的測定は、このポイントを確認するために進行中である。
【0081】
実施例5
液体カプセル化のための安定した、機械的にロバストなジェランガムの作製
1実施形態では、本発明者らは、カルシウム外部シェルによって修飾されたジェランガムで液体運搬および貯蔵コンテナを作製した。ジェランガムは、多糖類でもあり、D−グルコースの2つの残基およびL−ラムノースおよびD−グルクロン酸のそれぞれの残基のうちの1つからなる。ジェランガムは、スフィンゴモナス・エロデアという細菌によって生産される。この多糖類は、(i)水溶性の多糖類でもあり使いやすい、(ii)化学薬剤(Ca2+)を使用せずに加熱/冷却の熱処理(物理的ゲル化)によりゾル・ゲル遷移が生じるため、有望な候補であるとも考えられている。したがって、初期体積を形成する処理方法は、図4〜5の工程(d)に比べて単純であり、(iii)ゲルは、120℃の熱に耐えることができるため非常に安定しており(このTgelは寒天−寒天、カラギーン、またはアルギン酸塩の値に比べて高い)、例えば、好熱性生物を培養するときに特に有用なものとなり、(iv)アルギン酸塩とは対照的に、ゲルは、機械的に非常に安定し剛性があり、また形態を完全に保つ。
【0082】
本発明者らは、2つの処理方法でジェランガム膜で構成された球体(直径8cm)を認識している。第1の処理方法は、凍結した液体をジェランガムの高温溶液中に入れることである。固体の表面は冷たいので、ゲル化は急に生じる。本発明者らは、液体窒素を使用して、膜の厚さを増やすことができる。次いで、固体体積をジェラン溶液から抽出する。固体はゆっくりと溶けて液体になり、次いで、ジェラン膜内に包埋される。
【0083】
第2の処理方法は、以下のように、より滑らかな外面を形成する(図12を参照)。
(a)ジェランガムを沸騰水中に溶解させる。ロバストな膜を得るためには高濃度(質量で>4%)が必要であり、これは体積の大きい液体の重量を補わなければならない。
【0084】
(b)ジェランガム溶液がまだ高温(つまり、T>Tgel)である間に、液体を金型に流し込む。(本発明者らの例では、金型は半球2個の形態をとり、これを結合する)。この技術は、角度を許容し、複雑な容積形状の設計が可能になる。
【0085】
(c)温度をTgel未満に下げる。金型を取り外す。この工程の終わりに、内側が空(中空)の実容積を得る。
(d)液体(例えば、水)をこの容積内に注入することができる。
【0086】
(e)高温(T>Tgel)の針を使用して孔(注射器でできた孔)を閉じる。
料理の観点からは、この処理方法で、シェフはカクテル(冷たい、または暖かい)を作ることができ、この場合、グラス(容積コンテナ)は完全に食用(およびカクテルの一体
部分)である。もちろん、多くの調製に向けて外挿することができ、この処理方法を異なる分野の用途に拡張することができる。
【0087】
次の工程は、ジェランガムを化学修飾して、頑丈な外面を作ることである(上記の例のアルギン酸塩で行う場合と同様に)。メタクリル化でジェランガムを化学修飾し(アルギン酸塩で行った場合のように)、膜を光重合させることは可能であるが、本発明者らは、ここでは、ゲル内のin−situ結晶化により膜を強化することを選ぶ。この場合、本発明者らのジェラン球体を濃縮炭酸塩溶液(NaCO)中に浸して、球体を超えて溶液を対流(例えば、加熱)した。次いで、本発明者らは、ジェラン球体をカルシウム溶液(CaCl)中に浸し、溶液を再び対流させた。ゲル中では、炭酸カルシウムの結晶化が素早く発生し、Ca2++CO2−→CaCO(K=4×10)となる。この処理方法により、本発明者らは、卵の殻の場合のように炭酸カルシウムの固体膜を形成することができる(つまり、炭酸カルシウム粒子がジェラン・ゲル・マトリックス中に包埋される)。外膜は固く、抵抗性を持つようになり、炭酸カルシウム溶液の対流(加熱)に長時間曝すと特に厚くすることができる。溶液中のCO2−およびCa2+の濃度およびバッチでの浸漬時間は、卵の殻の場合と同様に剛性のある不活性な膜を得られるように制御することができる。
【0088】
実施例6
食品粒子含有アルギン酸塩シェル
膜は、食品、例えば、チョコレート、ナッツ、キャラメル、オレンジの皮の懸濁粒子、または少なくとも水に不溶性の他の粒子を添加することによって、特定の仕方で、丈夫にするか、薄く/厚くするか、または風味が付くように設計されうる。粒子のサイズは、膜によって形成されたコンテナの最大寸法が粒子の最大寸法に比べて約50または100倍大きく(または多く)なるように決定されうる(例えば、選択もしくは形成されうる)。
【0089】
多くの場合、これらの粒子は帯電する(つまり、大半の粒子表面はある程度の電荷またはゼータ電位を有する)。この電荷は、それぞれの粒子が形成される仕方、そのサイズ、および粒子表面の性質によって変わりうる。界面活性剤を添加することで帯電性を強化することができ、水のイオン雰囲気も有利に変えられる。アルギン酸塩中にあるか、または水媒体中にある場合、これらの粒子(これらはアルギン酸塩などの膜形成材料に対して双性イオンであるか、または反対電荷に帯電していると仮定する)は、アルギン酸塩との強いまたは弱い会合を受けるが、ゲル形成を引き起こすほどには強くない。例えば、カルシウムと接触すると、粒子は膜内に捕捉されたカルシウムおよび食品粒子の相互作用を通じてアルギン酸塩とともにゲル化膜を形成し、場合によってそれを強める、風味を改善する、といった効果をもたらす。図26は、プラスに帯電した粒子(例えば、Ca2+またはMg2+)とマイナスに帯電したアルギン酸塩または食品粒子との間の相互作用の概略を示している。アルギン酸塩に関する添加材料(例えば、チョコレート粒子)の最大重量は、極めて大きくなる可能性がある、つまり、粒子とアルギン酸塩との質量比1:1をかなり超える可能性がある。これは、所望の膜の性質と、さらには粒子の性質、およびこれらがカルシウムおよびアルギン酸塩と有する可能性のある相互作用に依存する。
【0090】
これらの同じ方法を電荷を持つ任意の種類の小粒子に拡大適用することができ、これにより、カルシウムなどの多価カチオンを添加して、または添加せずに、アルギン酸塩などの荷電ポリマー、および荷電粒子によって形成される、新しいクラスの膜を形成することができる。
チョコレート含有アルギン酸塩シェル
本発明者らは、このコンセプトを、水中のアルギン酸塩濃度を1.8質量%に下げることによって実証し、約0.1から5質量%までの範囲のチョコレート粒子のうち高濃度、中濃度、および低濃度のチョコレート粒子で作られた膜を持つオレンジ・ジュース・コン
テナを形成した。この結果得られる膜は、図13A〜13Cにそれぞれ示されている。
アーモンド含有アルギン酸塩シェル
本発明者らは、このコンセプトを、食品粒子を6.4%含むアルギン酸塩溶液で作られた膜によりコンテナを形成することによっても実証した。食品粒子は、アーモンド粉末および、場合によっては、様々なフルーツ粉末を含んでいた。アーモンド粉末は、数十および数百ミクロン程度の粒子を有しており、フランスのヴァイネ(Vahine)という食品会社からこの形態で小売り品を購入した。本発明者らは、6.4gの磨りつぶしたアーモンド粉末を100gのアルギン酸塩溶液(1.8%のアルギン酸塩)中に溶解/混合することによって6.4%の食品粒子を含むアルギン酸塩溶液で作られた膜でコンテナを形成した。アーモンド粉末を含むアルギン酸塩溶液は、比較的不透明の流体(乳白色/クリーム色)を形成したが、時間(少なくとも3〜5日間)が経過しても元のアルギン酸ナトリウム溶液の流動性を維持する。アーモンドの組み合わせは、個別のアーモンド粒子を囲む流体に色を付け、より不透明に、または少なくとも半透明にするように思われる。対照的に、図13A〜13Cに関して上で説明されている「アルギン酸ナトリウム溶液+チョコレート粒子」膜では、チョコレート粒子は、個別のチョコレート粒子を直接観察するときを除き、より一般的に不透明な物質を生み出すようには見えない。粒子のサイズ、形状、および量はすべて、これらの現象において不可分な役割を果たす。
【0091】
本発明者らは、6.4gの磨りつぶしたココナッツ粉末を100gのアルギン酸塩溶液(1.8%のアルギン酸塩)中に溶解することによって6.4%の食品粒子を含むアルギン酸塩溶液で作られた膜でコンテナをさらに形成した。ココナッツ片は一般的に三日月のような形状をしており、特徴的サイズは数百ミクロンまたは数(1〜3またはそれ以上)ミリメートル程度である。この粉末は、フランスのヴァイネ(Vahine)社から購入した。ココナッツ粉末を含むアルギン酸塩溶液は、時間(少なくとも3〜5日間)が経過しても元のアルギン酸ナトリウム溶液の流動性を維持する。この混合物は、アーモンドの混合物に見られるように全体的な不透明度を(ココナッツ粒子それ自体の視野方向の不透明度を超えて)高める効果を目に見えるほどには有していなかった。高い割合のココナッツ粉末をアルギン酸塩溶液中に入れることによって、不透明度は高められうる。しかし、混合物中のココナッツ粒子のある割合を超えて、膜は、最終的に、コンテナ形態で、漏れを生じる高い危険性があるときにより透過的であることが判明した。粒子のサイズおよび形状は、使用されるココナッツ粒子が一般的に大きいため、特に上記のアーモンド粉末の例と比較して、透明度に重要な役割を果たしうる。溶液中のココナッツ粒子の目に見える溶解はほとんど、または全くなかった。また、置いたままにしたときに、ココナッツ片とアルギン酸塩溶液との混合の結果、実質的な割合のココナッツ片が底部に沈殿しえなかったことにも留意されたい。このような沈殿は、アルギン酸塩溶液で多くの他の食品粒子を試験した事例であることが判明した。ココナッツ膜の味は、比較的強いものであることもわかった。
【0092】
本発明者らは、4.0gの磨りつぶしたアーモンド粉末と2.4gの磨りつぶした凍結乾燥マンゴー粉末を100gのアルギン酸塩溶液(1.8%のアルギン酸塩)中に溶解することによって6.4%の食品粒子を含むアルギン酸塩溶液で作られた膜でコンテナをさらに形成した。この溶液は、ある時間の間流動性を保ったが、流動性はおおよそ50時間以内に相当減少した。したがって、本発明者らは、追加のマンゴー粉末を加えてフルーツの風味を高めることができ、しかも流動性をあまり失うことがなかった。この混合物は、アーモンド混合物に見られるように全体的不透明度を高める効果を有していなかった。粒子のサイズおよび形状は、使用されるマンゴー粒子が数百ミクロンから数ミリメートルまでと比較的大きく、様々な不均一な形状を有していたので、特に上記のアーモンド粉末の例と比較して、透明度に重要な役割を果たしうる。
【0093】
本発明者らは、6.0gの磨りつぶしたアーモンド粉末と0.4gの磨りつぶした凍結
乾燥ラズベリー粉末を100gのアルギン酸塩溶液(1.8%のアルギン酸塩)中に溶解することによって6.4%の食品粒子を含むアルギン酸塩溶液で作られた膜でコンテナをさらに形成した。この組み合わせで、比較的素早く(マンゴーの例に比べて速く)、つまり、数(1〜4)時間以内に固化する流体が生成された。固体ラズベリー粒子が存在していなくても、ある程度ラズベリーの(赤)色は流体全体に広がり、半透明にしたことに留意されたい。
【0094】
本発明者らは、6.0gの磨りつぶしたアーモンド粉末と0.4gの磨りつぶした凍結乾燥ブラックカラント粉末を100gのアルギン酸塩溶液(1.8%のアルギン酸塩)中に溶解することによって6.4%の食品粒子を含むアルギン酸塩溶液で作られた膜でコンテナをさらに形成した。この組み合わせで、比較的硬質のゲルに、10分から1時間と、最速で固化する流体が生成された。フルーツも、いくぶん、流体全体を着色し、半透明にした。
【0095】
乾燥フルーツ粉末とアルギン酸塩溶液と混合すると、特にラズベリーおよびブラックカラント粉末を混合すると、比較的速く「ゲル化」が生じる、つまり、流体が硬化してより固い固体ゲルが得られた。酸度/酸などの、試したフルーツまたはそれらの中に含まれる物質の特性は、このゲル化処理方法にある役割を果たし、おそらく、実際に、例えば別々に述べられている他の例における塩化カルシウム溶液によってもたらされるカチオンを置き換えると仮定される。ブラックカラントは、たぶん酸度がより高いことにより、ラズベリーより高速な「ゲル化剤」であるように見える。このゲル化処理方法では、別のところで説明されているように塩化カルシウムの場合など他のゲル化成分/工程の必要性がなくなる可能性がある。
【0096】
これらの観察結果から、膜に実質的なフルーツ(例えば、ラズベリーまたはブラックカランと)の風味を付けるために、ときには、アルギン酸塩溶液とフルーツ粉末の均質な混合ではなく、フルーツ粉末の多数の小さな塊状の「チャンク」もしくは「チップ」を使用して、膜内に個別の点状の風味豊かなフルーツ片を形成すると有益であることが示唆される。マンゴーの例において、ゆっくりとした硬化/ゲル化で、より多くのマンゴー粉末を添加して、味をよくすることができ、しかも流動性の中間での損失がなかった。他の例で使用されているチョコレート粉末では、結果として、本明細書で説明されているフルーツの組み合わせの多くに比べて風味があまり強くない溶液/膜が得られた。
【0097】
アーモンド粉末膜によって引き起こされる比較的高い不透明度、および他の試料膜において引き起こされる半透明度/半不透明度は、美観および/または料理に関する目的のために有用である場合がある。使用される様々な粉末中の粒子のサイズおよび形状は、溶液の不透明度/半透明度において重要な役割を果たす可能性が高い。例えば、アーモンド粉末は、すでに使用されているチョコレートに比べて細かく、これは、高い不透明度を説明するのに役立ちうる。粒子の特性は、最終的なコンテナの「強度」および/または「浸透性」に一定の役割を果たす可能性も高い。
食品粒子シェル含有の何らかのアルギン酸塩
天然食品粒子は、多くの場合、天然の負の表面電荷を有する。そのため、食用ボトルは、アルギン酸塩溶液(マイナスに帯電もしている)と混合することができる、天然食品粒子からもっぱら構成される膜で作ることができる。本発明者らは、以下の膜組成で食用ボトルを作ることによってこのことを実証した。
【0098】
1)15gのアルギン酸ナトリウム/60gのチョコレート粒子(リンツおよび他の純度の高いチョコレート・バーを摺り下ろして小粒子にすることによって形成される)/1Lの水
2)15gのアルギン酸ナトリウム/60gのココナッツ粒子/1Lの水
3)15gのアルギン酸ナトリウム/60gの乾燥フルーツ(レモン、オレンジ、チェリー)粒子/1Lの水
本発明者らは、より少ない量の粒子(5、10、15、30g)とより多い量の粒子(120g)を含む類似の膜も形成した。
【0099】
本発明者らは、オレンジ・ジュースおよび他のジュースを凍らしてアイス・キューブ(「キューブ」は、実際の形状に関係なく「アイス・キューブ」を連想する形の一般的意味で定義されたもの)にし、それらを15〜30秒間液体窒素中に落とした。液体窒素からアイス・キューブを取り出して、それらのアイス・キューブを15〜30秒間上記の溶液のうちの1つの中に入れ、その後、アルギン酸塩/粒子で被覆されたアイス・キューブを取り出し、それらを20秒から1分間1.5%の塩化カルシウムまたはマグネシウムの溶液中に入れた。塩化カルシウムまたはマグネシウム溶液からアイス・キューブを取り出した後、それらを水槽の中に落としてすすぎ、次いで、取り出して、「食用ボトル」を完全に解かした。その結果、アルギン酸カルシウム膜内に一体化されたチョコレート、ココナッツ、およびフルーツ粒子の膜内に収容されたオレンジ・ジュース(および他のジュース)が得られた。これらの膜は、比較的味がよく、取り扱いのときもボトルから液体が漏れるのを防ぐことができることが証明された。
【0100】
膜中の高濃度の粒子は、カルシウムとマグネシウムの二価カチオンと食品粒子との間(二価カチオンとアルギン酸塩との間のように)の電荷間相互作用を反映する。食品粒子は、架橋膜の一体部分となる。食品粒子がアルギン酸カルシウム膜を被覆する前の作業とは対照的に、このアプローチでは、実際に食品粒子を膜中に一体化し、天然粒子質量を増やしながら膜中のアルギン酸塩の質量を減らした。
【0101】
実施例7
天然運搬システムにおいて流体を封じ込めるためのシステム
次に図15を参照すると、流体封じ込めシステム10は、流体送出装置100、少なくとも1つの反応装置モジュール200、および少なくとも1つの出口導管300を備える。反応装置モジュール200は、フレーム500によって支持される。以下でさらに詳しく説明されるように、流体送出装置100は、反応装置モジュール200の一端に結合され、出口導管300は、反応装置モジュール200の別の一端に結合される。反応装置モジュール200および出口導管300は、流体封じ込めシステム10が間に延在する各数の出口導管300を通して互いに流体的に連通する複数の反応装置モジュール200を備えることができるようにモジュール式である。本明細書で使用されているように、参照番号200は反応装置モジュールを指し、英字aを参照番号に加えたものは、特定の反応装置モジュールを指す。出口導管300にも類似の命名規則が使用される。例えば、図15に示されている実施形態では、流体封じ込めシステム10は、間に延在する出口導管300aを通して互いに流体的に連通する2つの反応装置モジュール200aおよび200bを備える。出口導管300bは、反応装置モジュール200bから出て、流体コンテナを取り出せるように延在する。それに加えて、または代替えとして、追加出口導管300を使用して追加モジュール200を互いに相互接続することによって追加モジュール200を流体封じ込めシステム10に追加することができる(例えば、追加処理工程を加えるため)。
【0102】
また以下でさらに詳しく説明されるように、使用中に、流体送出装置100は、第1の流体と第2の流体との複合流を反応装置モジュール200aに移動し、そこで、第1の流体は第2の流体を実質的に囲む膜内に入って固くなり流体コンテナを形成する。流体コンテナは、出口導管300aを通って移動し(例えば、重力の下で)、反応装置モジュール200b内に入り、そこで、流体コンテナをすすぐ。すすがれた流体コンテナは、出口導管300bを通って移動し、分配および/または消費のために回収されうる。
【0103】
第1の流体および第2の流体は、それぞれ、液体、溶液、懸濁液、コロイド、および/またはゲルを含みうる。いくつかの実施態様では、第1の流体は、第2の流体と異なる。例えば、第1の流体は、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)を含み、第2の流体は、水(例えば、純水、フルーツ・ジュース)を含む。
【0104】
次に図16および17を参照すると、流体送出装置100は、第2のハウジング104を実質的に囲む第1のハウジング102および第1のハウジング102の一端に配設された流量コントローラ114を備えることがわかる。使用中、第1の流体(例えば、アルギン酸塩)は、第1のハウジング102内を貫流し、第2の流体(例えば、水)は、第2のハウジング104内を貫流する。第2の流体は、第2のハウジング104を出て、第1のハウジング内の第1の流体の中に入り、両方の流体が、第1のハウジング102の出口の方へ移動し、そこで、第1の流体と第2の流体との複合流が、流量コントローラ114によって部分的に遮断されうる。いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体は、重力の方向と実質的に反対の方向に各第1のハウジング102および第2のハウジング104内を貫流する。
【0105】
第1のハウジング102は、第1の入口部分116と第1の出口部分118とを有する。第1の配管110は、第1の入口部分116にそって配設され、第1のハウジング102と流体的に連通し、これにより、第1の流体は第1の配管110を通じて第1のハウジング102内に導入される。いくつかの実施形態では、第1のハウジング102は、実質的に円筒形であり、約5mmから約50mm(例えば、約20mmから約30mm)までの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、第1のハウジング102は、第1の入口部分116から第1の出口部分118まで実質的に均一な断面を有する。
【0106】
第2のハウジング104は、第2の入口部分120と第2の出口部分122とを有する。第2の配管112は、第1のハウジング102内に貫入し、第2のハウジング104と流体的に連通し、これにより、第2の流体は第2の配管112を通じて第2のハウジング104内に導入される。いくつかの実施形態では、第2のハウジング104は、実質的に円筒形であり、約10mmから約45mm(例えば、約15mmから約25mm)までの範囲内の直径を有する。第2のハウジング104の第2の出口部分122は、円錐台形セクション124とチューブ126とを備える。第2のハウジング104の断面積が第2の入口部分120から第2の出口部分122に延在する方向に減少すると、例えば、第1の流体中に移動するときに第2の流体の流速が増加しうる。
【0107】
いくつかの実施形態では、2つの流体を駆動する圧力は独立制御され、例えば、第1のハウジング102を通って移動する第1の流体の速度および第2のハウジング104を通って移動する第2の流体の速度を独立制御することができる。例えば、2つの流体を駆動する圧力は、第1のハウジング102および第2のハウジング104と流体的に連通する各ポンプの速度を変化させることによって独立制御されうる。
【0108】
いくつかの実施形態では、第2の出口部分122は、オリフィス127(例えば、実質的に円形のオリフィス)を形成する。いくつかの実施形態では、オリフィス127における第2の流体に及ぼされる表面張力は、第2の出口部分122が地面の方を指しているときに第2の流体に及ぼされる重力より小さい。
【0109】
第2のハウジング104は、第1のハウジング102の内側部分と第2のハウジング104の外側部分との間の空間(例えば、環状部)が、第1の入口部分116から第1の出口部分118に延在する第1の流体通路106の少なくとも一部を形成するように第1のハウジング102内に配設される。第2のハウジング104も、第2の入口部分120か
ら第2の出口部分122へ延在する第2の流体通路108の少なくとも一部を形成する。第2の出口部分122は、第2の出口部分122から出る流体が第1の流体通路106内の第1の流体内に注入されるように第1の流体通路106内で終端する。例えば、第2の出口部分122のチューブ126は、第1の出口部分118の上流約0.5mmから約10mm(例えば、約2mm)のところで終端するものとしてよい。流量コントローラ114は、第1の出口部分118に隣接し、反応装置モジュール200aの上流に配設される。以下でさらに詳しく説明されているように、流量コントローラ114は、第1の出口部分118から移動して反応装置モジュール200内に入る第1の流体と第2の流体との複合流を遮断(例えば、少なくとも部分的にブロックおよび/または剪断)するように移動しうる少なくとも1つの移動可能要素を備える。
【0110】
図18、19A、および19Bを参照すると、流量コントローラ114は、回転可能要素134および頂部129と底部130とを有するハウジング128内に配設された静止要素136を備える。いくつかの実施形態では、頂部129は、反応装置モジュール200aに隣接する位置に配設される。アクチュエータ132は、(例えば、頂部129を通り、および/または底部130を通って)ハウジング128内に貫入し、回転可能要素134と機械的に連通する。使用中、第1の出口部分118からの第1の流体と第2の流体との複合流は、底部130を通ってハウジング128内に入り、アクチュエータ132は、ハウジング128内の静止要素136に相対的に回転可能要素134を移動する。以下でさらに詳しく説明されているように、静止要素に相対的な回転可能要素134の移動は、少なくとも部分的に、ハウジング128の頂部130から外へ移動する第1の流体と第2の流体の実質的に連続する複合流を遮断する。
【0111】
静止要素136は、円形オリフィス140を形成し、円形オリフィス140が第1のハウジング102の第1の出口部分118に隣接するようにハウジング128の底部130の方に向けて配設される。静止要素136は、約3cmから約18cmまでの範囲内の(例えば、約9cmの)直径を有する円板とすることができる。円板の平面状表面は、第1の出口部分118から外に移動する第1の流体と第2の流体の複合流の方向に実質的に垂直に配向されうる。
【0112】
回転可能要素138は、実質的に腎臓形であるオリフィス138を形成し、使用中回転可能要素138が反応装置モジュール200aに隣接するようにハウジング128の上側部分129の方に向けて配設される。回転可能要素138および静止要素136は、回転可能要素138が360度まで回転するときに腎臓形オリフィス138の少なくとも一部が円形オリフィス140の少なくとも一部と位置合わせされるように互いに関して配列される。腎臓形オリフィスおよび円形オリフィス140のこのような位置合わせは、第1出口部分118から反応装置モジュール200aへの実質的に遮られることのない流れを可能にしうる。腎臓形オリフィス138および円形オリフィス140の位置合わせがされていない場合、第1の流体と第2の流体との複合流は、第1の出口部分118内に溜まる。それに加えて、または代替えとして、腎臓形オリフィスが円形オリフィス40を超えて相対移動すると、第1の流体と第2の流体との複合流の一部を、第1の出口部分118を通って移動する複合流の残り部分から分離する(例えば、スライスする)のに十分な剪断力が発生しうる。
【0113】
円形オリフィス140に相対的な腎臓形オリフィス138の移動は、流体封じ込めシステム10によって形成される流体コンテナの数を制御するために使用されうる。例えば、アクチュエータ132は、円形オリフィス140に相対的な腎臓形オリフィス138の移動を手動制御するためのハンドルとすることができる。それに加えて、または代替えとして、アクチュエータ132は、腎臓形オリフィス138が実質的に規則正しい間隔でオリフィス140を通り過ぎるように回転可能要素134に結合されたモータとすることがで
きる。流体封じ込めシステム10によって形成される流体コンテナの数は、モータの速度を制御することによって制御されうる。
【0114】
いくつかの実施形態では、回転可能要素138は、例えば、回転可能要素128および静止要素136の位置合わせを容易に行えるように静止要素136と同じ外形寸法である。いくつかの実施形態では、回転可能要素134および/または静止要素136は、約3cmから約18cmまでの範囲内の(例えば、約9cmの)直径を有する円板とすることができる。それぞれの円板の平面状表面は、第1の出口部分118から外に移動する第1の流体と第2の流体の複合流の方向に実質的に垂直に配向されうる。
【0115】
次に図20および21を参照すると、反応装置モジュール200aは、貯蔵セクション202、移送セクション204、および取り出しセクション206を備えることがわかる。以下でさらに詳しく説明されているように、第1の流体と第2の流体との複合流は、第1の流体と第2の流体との複合流の離散体積が流体送出装置100から、貯蔵セクション202内の反応物質201に入り、流体コンテナ209(例えば、第1の流体によって少なくとも部分的に形成される膜内に封じ込められている第2の流体)を形成するように、流量コントローラ114(図16および18)によって部分的に遮断される。流体コンテナ209は、移送セクション204に移動され、取り出しセクション206を通じて反応装置モジュール200aから取り出され、出口導管300aを通って反応装置モジュール200b内に移動され、そこで、流体コンテナ209は、第2の処理方法に通されうる(例えば、すすぎ、乾燥、被覆、および/または生分解性(例えば、ポリ乳酸)コンテナ内への配置)。上で説明されているように、反応装置モジュール200および出口導管300は、流体封じ込めシステム10が対応する個数の反応装置モジュール200および/または出口導管300を追加することによる追加処理方法を含む構成をとるようにモジュール式である。
【0116】
反応物質源208は、反応物質源208からの反応物質201がポンプ207によって貯蔵セクション202内に移動できるように貯蔵セクション202と流体的に連通する。反応物質源208は、過剰な反応物質(例えば、流体コンテナ209の第1の流体と反応しない反応物質)が反応物質源208に戻され、例えば、流体コンテナ209を形成するのに必要な反応物質の量を減らすように取り出しセクション206と流体的に連通しているものとしてもよい。反応物質201は、例えば、塩化カルシウム(CaCl)溶液とし、第2の流体を実質的に囲む膜内への第1の流体の硬化を促進することができる。
【0117】
流体送出装置100は、移送セクション204の実質的反対側にある貯蔵セクション202の側の方へ配設され、これにより、第1の流体で中に第2の流体を実質的に封じ込める実質的に硬化した膜を形成して流体コンテナ209を形成するのに十分な時間にわたって第1の流体と第2の流体との複合流の離散体積を反応物質201に曝す操作が円滑に行われる。いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体との複合流の離散体積の導入から形成された流体コンテナ209の移送までの時間は、約1秒から約300秒までの範囲内、例えば、約60秒である。
【0118】
流体コンテナ209は、反応物質201を通り、流体送出システム100から移送セクション204への方向に移動する。いくつかの実施形態では、少なくとも一部は貯蔵セクション202内への反応物質の導入(例えば、ポンプによる送り込み)による流体コンテナ209のこのような移動は、流体送出装置100の近くでなされ、それにより、貯蔵セクション202内の反応物質201中に電流が誘起される。それに加えて、または代替えとして、流体コンテナ209は、反応物質201に関して浮力があるものとしてよく、これにより、流体送出装置100の近くで、貯蔵セクション202内に気泡が入り、この気泡が流体コンテナ209を移送セクション204の方へ運ぶ。
【0119】
次に図22A、22B、および22Cを参照すると、第1のロック210は、貯蔵セクション202を移送セクション204から分離し、第2のロック212は、移送セクション204を取り出しセクション206から分離する。第1のロック210および第2のロック212は、それぞれ、第1の(例えば、下)位置と第2の(例えば、上)位置との間で独立して移動可能である。第1のロック210および第2のロック212の互いに相対的な移動は、例えば、流体コンテナ209が反応装置モジュール200a内を進行するときに反応物質201の喪失を制限しうる。第1のロック210は、第2のロック212より背が高く、流体コンテナ209を損傷することなく反応装置モジュール200から流体コンテナ209を容易に取り出せる。第1のロック210および/または第2のロック212の移動は、流体コンテナ209を貯蔵セクション202に通して移動するように制御されうる(例えば、流体送出装置100から移送セクション204の方へ移動する反応物質201内に電流を誘起することによって)。
【0120】
流体コンテナ209が貯蔵セクション202から移送セクション204の方へ移動するときに、第1のロック210は、流体コンテナ209が反応物質201上に浮遊して、移送セクション204内に入るように流体コンテナ209の流路から取り出される。流体コンテナ209および反応物質201が移動セクションにあるときに、第1のロック210は、貯蔵セクション202を移送セクション204から実質的に分離するように移動される。第2のロック212は、反応物質201および流体コンテナ209が取り出しセクション206内に流れ込み、取り出しセクション206を満たすことができるように移動することができる。反応物質201は、移送セクション204から取り出しセクション206に移動するときに流体コンテナ209にかかる力を低減することができる。例えば、反応物質201は、流体コンテナ209が移送セクション204内のより高いレベルから取り出しセクション206のより低いレベルへ移動するときにクッションとして働きうる。
【0121】
取り出しセクション206は、反応装置モジュール200の下側部分(例えば、底面)に向かうドレーン214を形成する。取り出しセクション206では、反応物質201がドレーン214の方へ移動したときも、流体コンテナ209はドレーンの方へ移動し、反応物質201と流体コンテナ209の両方がドレーン214を通って移動することになる。ドレーン214は、流体コンテナ209の最大寸法より大きいサイズに決められ、これにより、流体コンテナ209がドレーン214内に詰まってしまう可能性が低減される。いくつかの実施形態では、反応物質201および流体コンテナ209は、重力の下で、および/または流れている反応物質201の力の下で、ドレーン214の方へ移動する。
【0122】
図20および21を再び参照すると、ドレーン214は、出口導管300aに結合されている。使用中、流体コンテナ209および反応物質201は、実質的に重力の下で、ドレーン214から出て、出口導管300aを通って移動し、反応物質モジュール200bの方へ進む。出口導管300a内を貫流する反応物質201は、戻り管路215内に排出され、反応物質源208に戻される(例えば、ポンプ動作で)。いくつかの実施形態では、戻り管路215は、出口導管300aから反応物質201の実質的にすべてを移送し、反応物質モジュール200b内に入る反応物質201の量を制限する。
【0123】
出口導管300aは、第1の連結セクション302および主セクション306のいずれかの端部に配設された第2の連結セクション304を備える。出口導管300aは、反応装置モジュール200aから下流の処理方法(例えば、反応装置モジュール300b内の一処理方法)への流体の最低限の移送で反応物質201から流体コンテナ209を分離する作業を円滑にすることができる。それに加えて、または代替えとして、出口導管300aは、流体コンテナ209が流体コンテナ209への損傷を最小限に抑えて新しい媒体内に送出しやすくすることができる。
【0124】
チャネル308は、出口導管300aにそって第1の連結セクション302から第2の連結セクション304に延在する。チャネル308は、反応装置モジュール200bに達する前に出口導管300aから反応物質201を排出できるようなサイズの1つまたは複数のオリフィス(例えば、戻り管路215と流体的に連通するため)を形成するが、ただし出口導管300a内の流体コンテナ209を保持することができる。
【0125】
出口導管300aが反応装置モジュール200aと反応装置モジュール200bとの間に取り付けられた場合、第1の連結セクション302および第2の連結セッション304はそれぞれ実質的に垂直に配向される。この垂直方向の配向により、例えば、出口導管300aを反応装置モジュール200aおよび反応装置モジュール200bに連結するのが容易になる。それに加えて、または代替えとして、戻り管路215は、出口導管300aを通って移動する反応物質201が重力の下でドレーン管路215内に移動されるように垂直方向に配向された第1の連結セクション302の端部のところで出口導管300aと流体的に連通するものとしてよい。いくつかの実施形態では、複数の戻り管路215は、出口導管300aと流体的に連通し、反応装置モジュール200bの前に反応物質201を取り出しやすくする。それに加えて、または代替えとして、出口導管300aおよび/または戻り管路215の排出能力は、ロック210および212を通り、取り出しセクション206内に入る反応物質201の流量以上である。例えば、出口導管300aおよび/または戻り管路215の排出能力は、流体コンテナ209が反応装置200aを通って移動するときに第1のロック210と第2のロック212との間に保持される反応物質201の体積以上であるものとしてよい。
【0126】
第2の連結セクション304は、出口導管300aを通って移動する流体コンテナ209が反応装置モジュール200bの貯蔵セクション202内に落下することができるように反応装置モジュール200bの頂部に結合することができる。いくつかの実施形態では、貯蔵セクション202は、過剰な材料を流体コンテナ209から取り除くための一定量のすすぎ流体(例えば、水)を収容する。流体コンテナ209は、反応装置モジュール200aに関して上で説明されているのと同様の方法で反応装置モジュール200bを通って移動することができる。
【0127】
例えば、第1のハウジング102はその長さにそって実質的に均一な断面を有するものとして説明されているが、他の実施形態も可能である。図23を参照すると、例えば、第1のハウジング103は、実質的に円錐台形の形状の第1の出口部分119を備えることができる。この実質的に円錐台形の形状の第1の出口部分119は、例えば、第1の出口部分119から出る第1の流体と第2の流体との複合流の速度を増加させることができる。
【0128】
別の例として、図24を参照すると、流体送出システム150は、第1のハウジング152および実質的に第1のハウジング152内に配設された第2のハウジング154を備えることができる。第2のハウジング154は、電気的に分極した表面を備えることができる。第2のハウジング154の断面積は、電気的に分極した表面を備えていないハウジングと比較して大きい(例えば、広い)ものとしてよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、電気的に分極した表面上の電荷は、第1の流体および第2の流体のうちの一方または両方に移送されうる。いくつかの実施形態では、交流を使用して、第1のハウジング152および/または第2のハウジング154の表面を電気的に分極させることができる。ある周波数範囲の交流を発生させることで、第2の流体の拡散を増大し、および/または第1の流体内への第2の流体内のイオンの拡散を増大することができる。このような増大された拡散の結果、例えば、膜が固くなる/硬化するのが速くなり
、例えば、反応装置モジュール200a内の流体ボトル209を形成するために必要な滞留時間が短縮されうる。それに加えて、または代替えとして、周波数振動の振幅を変化させることもできる。このような振幅の変化は、例えば、流体コンテナ209の膜の厚さを制御するために使用することができる。
【0130】
さらに別の例では、第2のハウジング154は電気的に分極した表面を含むものとして説明されているが、第1のハウジング152は、それに加えて、または代替えとして、電気的に分極した表面を備えることができる。
【0131】
さらに別の例では、交流が第1のハウジング152および第2のハウジング154のうちの少なくとも一方に印加されるものとして説明されているが、他の実施形態も可能である。例えば、交流を反応装置モジュール200a内に配設されている反応物質に印加することができる。
【0132】
さらに別の例では、流体封じ込めシステムによって形成される流体コンテナを画定する物理的および/または化学的特性の多くは、流体送出装置の様々な寸法の比に依存する。流体送出装置の相対的寸法に依存しうる物理的および/または化学的特性の例として、膜の厚さ対流体コンテナの内部容積との比、膜を固め、および/または硬化させたときの均一度、膜の固めた、および/または硬化された部分の厚さ対膜の固められていない、および/または未硬化の部分、流量コントローラを通る第1の流体と第2の流体との複合流を剪断するのを容易にすると思われる密度または他の物理的特性、および流体コンテナの膜の量および/または膜内に収容される液体の量に影響を及ぼしうる反応物質(例えば、カルシウム)の拡散が挙げられる。
【0133】
例えば、図25を参照すると、流体送出システム160は、第1のハウジング162および実質的に第1のハウジング162内に配設された第2のハウジング164を備えることがわかる。第1のハウジング162および第2のハウジング164は、それぞれ、各出口オリフィス166および168を形成する。第1の出口オリフィス166対第2の出口オリフィス168の比の変化(例えば、第2の出口オリフィス168の寸法「a」を変化させることによる)の結果、流体コンテナの物理的および/または化学的特性の変化が生じうる。
【0134】
第2のオリフィス168は、第2の流体が第2のオリフィス168を通って、第1のハウジング162によって少なくとも部分的に形成された第1の流体通路170内を流れる第1の流体内に移動するように第1のオリフィス166の上流に設定される。いくつかの実施形態では、第1のオリフィス166と第2のオリフィス168との間の距離「c」は、流体コンテナの物理的および/または化学的特性を変えるように変化させられる。
【0135】
第2のオリフィス168は、第1のハウジング162かえら距離「b」のところに配列される。いくつかの実施形態では、距離「b」は、流体コンテナの物理的および/または化学的特性を変えるように変化させられる。
【0136】
さらに別の例として、流量コントローラ114は、少なくとも部分的に、ハウジング128の頂部130から外へ移動する第1の流体と第2の流体との実質的に連続する複合流を遮断するものとして説明されているが、他の実施形態も可能である。例えば、図25をなおも参照すると、第1のハウジング162および/または第2のハウジング164の1つまたは複数の寸法を変化させて、反応装置モジュール200a内に導入するための離散流体セグメントを形成することができる。それに加えて、または代替えとして、各第1のハウジング162および第2のハウジング164を通って移動する第1の流体および/または第2の流体の流速を変化させて(例えば、パルス状にして)、反応装置モジュール2
00a内に導入するための離散流体セグメントを形成することができる。
【0137】
実施例8
天然運搬システムにおいて食品を封じ込めるためのシステム
本発明者らは、前の例において説明されている方法に基づき食用ボトルを生産するためのプロトタイプの機械化された処理方法を実証した。図27に示されているように、プロトタイプのシステム600は、ガイド経路(例えば、レール)612上に載せられた移動可能な車両610を含んでいた。移動可能な車両610は、ほぼガイド経路612にそってアイス・キューブ・サイズの物体を運搬するように構成されていた。プロトタイプは、水、オレンジ・ジュース、ザクロ・ジュース、クランベリー・ジュース、ストロベリー・ジュース、西洋ナシ・ジュース、ミックスフルーツ・ジュースなどの冷凍液体を使用して試験された。他の冷凍液体、または固形物も、プロトタイプのシステム600を使用して被覆することが可能である。いくつかの場合において、ジュースは、冷凍したときに容易に固い固形物になるように希釈されていなければならない。例えば、ストロベリー・ジュースは、ストロベリー・ジュースの球形の「アイス・キューブ」を冷凍室内に置いた型で容易に作れる(割らずに取り出せる)ように水で希釈された。
【0138】
ガイド経路612は、2つの貯蔵器614、616内を貫通した。第1の貯蔵器614は、アルギン酸塩溶液を収容し、第2の貯蔵器616は塩化カルシウム溶液を収容したが、前の例で説明されたとおりである。システムのいくつかの実施形態はさらに多くの貯蔵器を備え、および/または貯蔵器は他の溶液を保持するためにも使用できることが予想される。例えば、いくつかのシステムは、液体窒素を収容する貯蔵器、およびアルギン酸塩(場合によっては食品粒子とともに)を収容する貯蔵器、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムを収容する貯蔵器、被覆ロウを収容する貯蔵器、および/または被覆されたキューブをすすぐための水を収容する貯蔵器を備えることができる。
【0139】
プロトタイプのシステム600は、2つのコンベヤー・ベルト(またはトラック「チェーン」)618、620も備えた。それぞれの貯蔵器は、貯蔵器間の二次汚染を制限するために個別のコンベヤー・ベルトを伴う。異なる溶液を収容するより多くの貯蔵器を備えるシステムは、典型的には、より多くのコンベヤー・ベルトをさらに備える。プロトタイプのシステム600内のコンベヤー・ベルト618、620は、12Vのバッテリにより給電される電動モータ622、624によって動作した。
【0140】
プロトタイプのシステム600では、移動可能な車両610は、第1のセクション626が継手630によって第2のセクション628に連結されているツーピースの関節付き車両であった。第1のセクション626および第2のセクション628はそれぞれ、ガイド経路612と係合するように構成された基部を備える。第1のセクション626は、第2のセクション628の方へ付勢された弾力性部材(例えば、固定金属棒、バネ部材など)を備える。第2のセクション628は、被覆されているキューブを受け入れるようにサイズが決められたカップ形状の部材を備える。第2のセクション628のカップ形状の部材は、溶液をカップ形状の部材から逃がし、例えば、適切な貯蔵器の中に排出して戻す排出孔(図示せず)を形成する。
【0141】
このプロトタイプのシステムの場合のようなツーピースの移動可能な車両を用意することにはいくつかの利点がある。例えば、コンベヤー・ベルトが移動可能な車両610の基本コンポーネントと接触しえないガイド経路612にそった特定の点がありうる。2つのセクション626および628があると、コンベヤー・ベルトとの接触が不可能であるセクションの上に他方のセクションがある場合であっても一方のセクションをそのままコンベヤー・ベルトと接触させることができる。これにより、例えば、セクション628は、移動可能な車両610が上に移動し貯蔵器614から出るとセクション626を前方に「
押す」ことができるが、それは、試験されたシステム600の1実施形態では、コンベヤー・ベルト618は貯蔵器614からガイド経路612の出口の近くのガイド棒の下を通り、この特定の点において、610の両方の移動可能な車両の間の接触が可能でないからである。試験されたシステム600の実施形態のこの特定の特徴は、継手630が剛性のある材料で作られていることを必要とする。
【0142】
プロトタイプのシステム600の動作中、被覆される物体を手動で移動可能な車両610内に入れた。可能な自動化装填システムは、図29Aおよび29Bの説明において以下で説明される。コンベヤー・ベルト618による移動可能な車両610の係合により、移動可能な車両610はガイド経路612内の最初の隆起部の上方に引かれる。これが生じると、被覆される物体は、移動可能な車両610の第2のセクション628のカップ形状の部材内に落下する。移動可能な車両610が、第1の貯蔵器614内に下降すると、被覆される物体は前に倒れて、移動可能な車両610の前部セクション626上の弾力性部材632と係合する。被覆される物体の比重が貯蔵器内の溶液の比重より小さい場合、物体は、移動可能な車両610が貯蔵器を通過するときに移動可能な車両の基部から離れて浮遊する。この構成により、被覆される物体の外面全体が第1の貯蔵器内に収容されている溶液に曝される可能性が高くなる。場合によっては、628のカップ形状は、被覆される物体を液体中に押し込むのを助ける。移動可能な車両610のカップ形状の部材および弾力性部材632は連携して被覆されている物体を収容し、それを浮遊して離れないように保持し、その一方で、貯蔵器の流体によってその四方八方が大体覆われるようにすることもできる。継手630の形状、サイズ、剛性などは、セクション626および628の相対運動および位置に影響を及ぼし、この連携を有効なものにする手助けとなる。ガイド経路612の長さおよび車両610の速度は、被覆されている物体が特定の貯蔵器内で費やす時間の長さを制御するように調整されうる。例えば、モータ622は、移動可能な車両610が貯蔵器614内にあるときにコンベヤー・ベルト618の移動を停止するようにプログラムすることができ、これにより、被覆される物体が貯蔵器614内の流体と接触している時間を延長することができる。
【0143】
移動可能な車両610が、被覆されている物体を第1の貯蔵器614から持ち上げて出すときに、過剰な溶液が、移動可能な車両610の第2のセクション628のカップ形状内に形成されている排出孔を通って物体および移動可能な車両610から排出される。ガイド経路にそって移動するときに、移動可能な車両610は、第1のコンベヤー・ベルト618から係脱し、第2のコンベヤー・ベルト620と係合する。このシーケンスを第2の貯蔵器616で繰り返す。第2の貯蔵器616を出た後、ガイド経路および、したがって、移動可能な車両610を逆転して、移動可能な車両610から被覆された物体を解放した。このサンプルの実施形態では、ガイド経路612は、移動可能な車両610がコンベヤー・ベルト620から係脱した後に重力のみにより前進することを可能にする。これは、ガイド経路612の傾斜による被覆される物体の、セクション628から626への自然な運動によって促され、勢いによって移動可能な車両610が前方に推進される。
【0144】
一般的に、移動可能な車両610の2つのセクション628および626は、このサンプルの実施形態では、単純な設計を採用し、機械化された部分をなくすことで、物体の運搬および被覆を容易に行えるように設計されていることに留意されたい。他の実施形態では、単一車両システムを機械化された開閉ドア機能とともに使用して、貯蔵器の流体との接触、次の貯蔵器への運搬のための物体の取り出しなどに対応することが可能である。
【0145】
このプロトタイプは、すでに説明されている方法に基づく食用ボトルの工業生産の可能性を実証した。制御された滅菌環境内に置かれる機械化されたシステムは、食用ボトルを毎時100から300本生産するように構成されうる。複数のレール、モータ、および製氷機を使用することで増産が可能である。
【0146】
図29Aは、システム600に実質的に類似する天然運搬システムを形成する物体を被覆するためのシステム633の概略図である。しかし、システム633は、3つの貯蔵器および1つの装填モジュール634を備える。装填モジュール634は、製氷機636および装填機638を備える。装填機638は、軸640を中心に回転し、ガイド経路612の上に配設されている放射状コンパートメントを備える。製氷機636は、製氷機に典型的であるように内部貯蔵機内に入る代わりに、冷凍キューブを装填機638に運ぶシュートにそって摺動して出るように誘導される冷凍「キューブ」(例えば、冷凍ジュースのアイス・キューブまたはキューブ)を生産する(図29B(1)を参照)。本明細書で使用されているように、キューブは、製氷機が特定の幾何学的形状を示すのではなく、アイス・キューブを作製するように理解されるという意味で使用される。いくつかの実施形態では、被覆される冷蔵材料は、他の形状に形成される。装填機638は、1つのコンパートメント内で一度に1つのキューブを受け入れることができる(図29B(2)を参照)。移動可能な車両610は、アイス・キューブが放射状コンパートメントから落ちて、下にある移動可能な車両に入るように装填機638と接触し、装填機638を回転する(図29B(4)および29B(4)を参照)。ほぼ同時に、別のアイス・キューブが、別の移動可能な車両を今後通すことに備えて、ホイール内に装填されうる。
(他の実施形態)
これで多数の実施形態が説明された。しかしながら、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を加えることができることは理解されるであろう。
【0147】
例えば、食品運搬システムは、エンベロープ膜材料を噴霧するチューブの周りに環状部を持つチューブから食品の液滴を噴霧することによって形成することもできる。1実施形態では、上で説明されているように、チューブではカルシウムを含む水を噴霧し、環状部では化学修飾されたアルギン酸塩を噴霧する。液滴が膜で覆われたチューブから出ると、液滴はUV光に曝され、場合によっては、固くするためにある期間の間空中に吊り下げられる。
【0148】
別の例では、液滴はちょうどアルギン酸ナトリウム膜とともに噴霧され、空中で、上で説明されているように化学修飾されたアルギン酸塩で被覆されうる。次いで、液滴はUV光に曝され、場合によっては、固くするためにある期間の間空中に吊り下げられる。
【0149】
別の例では、液滴はちょうどアルギン酸ナトリウム膜とともに噴霧され、空中で、上で説明されているようにカルシウムにより固くされ/硬化されうる。
いくつかの実施形態では、コンテナは、PLA外側シェルを備え、アルギン酸ナトリウム膜からときには純度の高いチョコレートで使用される種類の食用鑞まで多岐にわたる内膜を使用する。後者は、撥水するという際立った特徴を有する。いくつかの実施形態は、「シェル」または「膜」などの材料の1つまたは複数の組み合わせを含むことができ、例えば、カルシウムで固くされ/硬化されたアルギン酸ナトリウム膜は、食用鑞で覆って、PLAシェル内に置くことができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、複数の内側コンテナは、単一の外側シェルによって保護されうる。例えば、図14は、液体の「ブドウ」を満たされ、ボトルのように塞がれたPLAのシェルを示している。外側シェルを開き、「ブドウ」をそれに含まれる液体とともに消費することができる。外側シェルは生分解性を有し、内側膜の利点は、水のボトルと水との直接的接触を減らし、したがって、ボトルそれ自体の劣化を回避するということにある。
【0151】
したがって、他の実施形態は、請求項の範囲内に収まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用または飲用物質の貯蔵および送出用のモジュール内の食用または飲用物質からなるシステムであって、
食用または飲用物質と、
該食用または飲用物質に対して少なくとも部分的に不浸透性であり、約0.001から10,000立方センチメートルまでの範囲内(例えば、約0.1から10,000立方センチメートルまでの範囲内、約0.3から10,000立方センチメートルまでの範囲内、または約3から10,000立方センチメートルまでの範囲内)の内部容積を形成し、該食用または飲用物質を収容する第1の膜とを備え、
該第1の膜は生分解性であるか、食用であるか、またはその両方である、システム。
【請求項2】
前記第1の膜より浸透性が低いか、丈夫であるか、またはその両方である第2の膜をさらに備え、該第2の膜は前記第1の膜の周りに配設され、特に、該第2の膜は生分解性であるか、食用であるか、またはその両方であるか、あるいは該第2の膜は架橋ポリマーを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の膜はポリマーを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の膜はアルギン酸塩を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の膜はジェランガムを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の膜は架橋メタクリル化アルギン酸塩を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記食用または飲用物質は液体を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記食用または飲用物質は、水、アルコール、ジュース、および炭酸飲料のうちの少なくとも1つを含む請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記食用または飲用物質は、ゲル、乳濁液、および発泡体のうちの少なくとも1つを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の膜は、約1から10,000立方センチメートルまでの範囲内の内部容積を形成する請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の膜は、約10から1,250立方センチメートルまでの範囲内の内部容積を形成する請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の膜は、食用である請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の膜は、食用である請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の膜は、生分解性粒子と、多価カチオンによって形成される架橋を介する粒子とアルギン酸塩との間の架橋相互作用を含む多価カチオンによって架橋された荷電ポリマー電荷とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記生分解性粒子は、食品粒子であるか、または医薬化合物、特に徐放性医薬化合物の粒子である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記荷電ポリマーは、アルギン酸塩を含む請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
第1の膜を含むシステムであって、該第1の膜は、生分解性粒子と、多価カチオンによって形成される架橋を介する粒子とアルギン酸塩との間の架橋相互作用を含む多価カチオンによって架橋された荷電ポリマー電荷とを含む、システム。
【請求項18】
前記生分解性粒子は、食品粒子であるか、または医薬化合物、特に徐放性医薬化合物の粒子である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記荷電ポリマーは、アルギン酸塩を含む請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の膜は、食用または飲用物質の周りに配設される請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の膜より浸透性が低いか、丈夫であるか、またはその両方である第2の膜をさらに備え、該第2の膜は前記第1の膜の周りに配設され、特に、該第2の膜は生分解性であるか、食用であるか、またはその両方であるか、あるいは該第2の膜は架橋ポリマーを含む請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
食用または飲用物質は液体を含み、特に、前記食用または飲用物質は、水、アルコール、ジュース、および炭酸飲料のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
食用または飲用物質を約0℃未満の温度に冷却する工程と、
冷却された食用または飲用物質を、室温で該食用または飲用物質に対して実質的に不浸透性である第1の膜により被覆する工程と、
該第1の膜内の冷却された食用または飲用物質を、室温で構造的に安定な第2の膜により被覆する工程と、を備える方法。
【請求項24】
前記食用または飲用物質を冷却する工程は、飲用液体を型に入れて冷凍する工程を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記食用または飲用物質を冷却する工程は、前記食用または飲用物質に液体窒素を適用する工程を含む請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記食用または飲用物質を冷却する工程は、液体を型に入れて冷凍し、次いで該冷凍された液体に液体窒素を適用する工程からなる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記冷却された食用または飲用物質を第1の膜により被覆する工程は、前記冷却された食用または飲用物質をアルギン酸塩溶液中に配置する工程を含む請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記冷却された食用または飲用物質を第1の膜により被覆する工程は、前記冷却された食用または飲用物質をジェランガム中に配置する工程を含む請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の膜内の冷却された食用または飲用物質を第2の膜により被覆する工程
は、架橋ポリマー層を前記第1の膜の周りに形成する工程を含む請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の膜内の冷却された食用または飲用物質を第2の膜により被覆する工程は、カ
ルシウム層を前記第1の膜の周りに形成する工程を含む請求項23に記載の方法。
【請求項31】
食用または飲用物質の貯蔵および送出用のモジュール内の食用または飲用物質からなるシステムであって、
食用または飲用物質と、
該食用または飲用物質に対して少なくとも部分的に不浸透性であり、約0.0005から10,000立方センチメートルまでの範囲内(例えば、約0.03から10,000立方センチメートルまでの範囲内、約0.3から10,000立方センチメートルまでの範囲内、または約0.8から10,000立方センチメートルまでの範囲内)の内部容積を形成し、該食用または飲用物質を収容する第1の膜と、
第1の膜の周りに配置された第2の膜と、を備え、
第1の膜および第2の膜は生分解性であるか、食用であるか、またはその両方である、システム。
【請求項32】
前記第2の膜は架橋ポリマーを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1の膜はポリマーを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の膜はアルギン酸塩を含む請求項22に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の膜はジェランガムを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項36】
前記第2の膜は架橋メタクリル化アルギン酸塩を含む請求項22に記載のシステム。
【請求項37】
前記食用または飲用物質は液体を含む請求項22に記載のシステム。
【請求項38】
前記食用または飲用物質は、水、アルコール、および炭酸飲料のうちの少なくとも1つを含む請求項28に記載のシステム。
【請求項39】
前記食用または飲用物質は、ゲル、乳濁液、および発泡体のうちの少なくとも1つを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項40】
前記第1の膜は、約4から10,000立方センチメートルまでの範囲内の内部容積を形成する請求項22に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1の膜は、約10から1,250立方センチメートルまでの範囲内の内部容積を形成する請求項31に記載のシステム。
【請求項42】
前記第1の膜は、食用である請求項22に記載のシステム。
【請求項43】
前記第2の膜は、食用である請求項33に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図3】
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【図6】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−520203(P2013−520203A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555081(P2012−555081)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2011/025764
【国際公開番号】WO2011/103594
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(509100818)ル ラボグループ ソシエテ パール アクシオン サンプリフィエ (3)
【Fターム(参考)】