説明

天然高麗人参または高麗人参を含む高麗人参類の形成層由来植物幹細胞株を有効成分として含有する肝疾患の予防または治療用組成物

本発明は天然高麗人参または高麗人参を含む高麗人参類(Panax ginseng)の形成層由来の同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を有効成分として含有する肝疾患の予防または治療用組成物を提供する。本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物は、既存肝疾患治療剤の副作用を最小限にして人体に安全でありかつ肝炎ウイルスに対するs抗体(HBsAb)及びe抗体(HBeAb)を増加させる効果があって、肝炎ウイルスの増殖を抑制することができるため、肝疾患の予防及び治療に有用である。さらに、肝損傷数値を減少させる効果があって、肝機能改善用機能性食品として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然高麗人参または高麗人参を含む高麗人参類の形成層由来細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を有効成分として含有する肝疾患の予防または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、過度なストレスと飲酒、喫煙及び各種公害による環境汚染、ウイルスなどを原因として、多様な肝疾患の危険にさらされている。代表的な肝疾患としては、肝硬変症、アルコール性肝硬変、脂肪肝、中毒性肝疾患、急・慢性肝炎などが挙げられる。これらのうち、肝炎は全世界的に蔓延している深刻な病気であり、程度は弱いが伝染性を有している。医療界は、肝硬変と肝癌の患者のうち、70%〜80%が慢性肝炎の悪化によるものと推定される。
【0003】
特に、B型肝炎ウイルス(HBV)は、人体に特異的に感染するヘパドナウィルス科(Hepadnavirdae)のウイルスであり、潜伏期は約60乃至110日となっており、多様な程度の臨床期を経て90乃至95%は完全回復する。しかし、感染から回復していない患者の場合には、HBV DNAがヒト肝細胞のゲノムDNAに組み込まれて、慢性活動性肝炎、肝硬変症、肝癌などに発展する。HBVによる慢性肝炎は他の疾患同様、慢性ウイルス感染症、リンパ腫疾患及び慢性腎臓障害を起こす。従って、慢性肝炎は、より一層強力な形態の疾患に進展して、最終的に患者を死亡にまで至らせる、致死率が非常に高い疾患といえる。
【0004】
このような理由から、肝炎ウイルスを治療するために、インターフェロン、核酸誘導体または免疫調節物質などの多様な方法が試みられたが、治療効果があると報告されたインターフェロンαは、持続的な抑制効果が示されず、母子間の垂直感染による患者などの場合、インターフェロンαに耐性を有して効果が低かった。また、未だに肝炎を完治できる薬は開発しておらず、抗ウイルス剤を服用し続けることで深刻な肝疾患への発展を防いでいる実情である。しかし、抗ウイルス剤はウイルスの突然変異を起こして薬に対する耐性を誘導して、薬の効能を無力化させることが報告されている。
【0005】
現在までの肝炎治療はウイルスの増殖を抑制して、深刻な肝疾患への進行を抑制する方法を取る消極的な治療に終わり、抗体形成のような直接的な治療方法はなく、新しい肝炎の予防及び治療方法の開発が求められている。
【0006】
そこで、本発明者等は、肝炎を含んだ肝疾患の予防及び治療効果に優れた天然物由来組成物を開発しようと努力した結果、天然高麗人参及び高麗人参を含んだ高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物が肝疾患の予防及び治療に優れた効果を有することを確認して、本発明の完成に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、既存肝疾患治療剤の副作用を最小限にした肝疾患の予防及び治療活性を示す天然物由来組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような目的を達成するために、本発明は高麗人参類(Panax ginseng)の形成層から誘導され、以下の特性を有する細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝疾患の予防または治療用組成物を提供する:
(a)先天的未分化状態(Innately undifferentiated)であり;
(b)同質細胞株(homogeneous cell line)であり;及び
(c)多数個の液包(vacuole)を有する形態学的特徴を示す。
【0009】
本発明はまた、前記細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝機能改善用機能性食品を提供する。
本発明はまた、前記細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝炎ウイルスの増殖抑制用組成物を提供する。
本発明はまた、前記細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝炎ウイルスに対する抗体を増加させる免疫増進剤を提供する。
本発明はまた、前記細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上の肝疾患の予防または治療への使用を提供する。
本発明はまた、前記細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を適用する段階を含む肝疾患の予防または治療方法を提供する。
本発明の他の特徴及び具現例は次の詳細な説明及び添付された特許請求の範囲からより一層明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】本発明に係る同質的な細胞株の誘導過程を示す写真((a)のA乃至D)である。
【図1b】天然高麗人参の形成層由来の同質的な細胞株(A)及び高麗人参の子葉(cotyledon)由来カルス細胞株(B)を光学顕微鏡下で、単細胞レベルで観察した写真である。
【図2】本発明に係る同質的な細胞株及び天然高麗人参培養根の肝炎ウイルス抑制効果を比較観察した電気泳動写真である(M:1kb ladder marker;C:対照群;G4:本発明に係る同質的な細胞株のPBS抽出物;G5:天然高麗人参培養根PBS抽出物)。
【図3】本発明に係る同質的な細胞株の肝炎ウイルス抑制効果を時間毎に観察した結果の電気泳動写真である(M:1kb ladder marker;C:対照群;G4:本発明に係る同質的な細胞株のPBS抽出物)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他の定義がない限り、本明細書で使われた全ての技術的及び科学的用語は本発明が属する技術分野において熟練した専門家によって通常に分かるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書において使われた命名法は本技術分野においてよく知られており、通常使われるものである。
本発明の詳細な説明等において使われる主要用語の定義は下記の通りである。
本願において「形成層(cambium)」とは、植物の幹と根元を太くなるようにして、植物が体積的に生長できるようにする組織である。形成層は細胞分裂が最も活発に起きる分裂組織で植物組織培養の切片体として使用され、細胞の高速及び大量生産が可能だと報告されている(韓国登録特許第0533120)。
【0012】
本願において、「破砕物」とは、細胞を界面活性剤等を利用した化学的方法または物理的方法等で破砕して得た細胞溶解物を意味し、細胞株の「抽出物」とは、細胞を溶媒に溶かして分離した物質であり、蒸留または蒸発を利用して濃縮される。また、細胞株の「培養液」とは、細胞を培養させた後、細胞を除去して残った細胞培養溶液を意味する。追加的に本願において「培養物」とは、培養液及び/または培養された細胞株を含む物質であり、この時培養された細胞株は培養条件によって分化したり有用物質の生産能及び/または分泌能が向上した細胞株を全て含む概念である。
【0013】
本願において「先天的な未分化状態」とは、脱分化過程を経て、未分化状態として存在するのではない、本来から分化前の状態を維持することをいう。
【0014】
本発明は一観点において、高麗人参類の形成層由来細胞株、その破砕物、その抽出物またはその培養物のいずれか一つ以上を有効成分として含有する肝疾患の予防または治療用組成物に関するものである。本発明において、高麗人参類は、天然高麗人参または高麗人参を含む(Lian M. L. et al., J. Plant Biology, 45:201, 2002; Han J. Y. et al., J. Plant Biology, 49:26, 2006; Teng W. L. et al., Tissue and Organ Culture, 68:233, 2002)。この時、本発明で前記天然高麗人参または高麗人参は露地栽培高麗人参または組織培養高麗人参(不定根及び不定根由来細胞株)を含む。
【0015】
本発明に係る高麗人参類の形成層由来細胞株は、(a)先天的未分化状態であること;(b)同質的な細胞株であること;及び(c)多数の液包を有する形態学的特徴を有することを特徴とする。また、追加的に(a)懸濁培養時に単細胞状態で存在すること;(b)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株と比べて、バイオリアクターにおいて剪断ストレス(shear stress)に対して低い感受性を有する;及び(c)高麗人参類の形成層以外組織由来細胞株に比べて、生長速度が速くて、安定して培養されることを特徴とする。
【0016】
本発明において、前記同質的な細胞株は以下の段階を含む分離方法によって取得されることを特徴とする:
(a)高麗人参類の形成層含有組織を取得する段階;
(b)前記取得された形成層含有組織をIAA(Indole-3-acetic acid)またはIBA(Indole-3-butyric acid)を含む培地で培養して形成層由来細胞株を誘導する段階であって、
ここで、前記培養の進行中、または培養前段階、または後段階において前記形成層含有貯蔵根組織に浸透ストレスを与えることを特徴とする段階;及び
(c)前記誘導された形成層由来細胞株を回収する段階。
【0017】
本発明において、前記細胞株は2,4−D(2,4-dichlorophenoxyacetic acid)、ピコロラム(picloram)及びIBAのいずれか一つ以上を含む培地で増殖する段階をさらに行って取得されることを特徴とする。
【0018】
本発明において前記培養物は、前記細胞株をエリシターとして3〜5重量%の原糖または砂糖;またはジャスモン酸メチル(methyl jasmonate)、キトサン、フェニルアラニン(phenylalanine)、安息香酸、ABA、サリチル酸(salicylic acid)及び酢酸ナトリウム(sodium acetate)のうち、いずれか一つ以上を含む培地で、追加で培養する工程をさらに行って、取得されたことを特徴とする。この時、望ましくは前記培地は3〜5重量%の原糖または砂糖;及びメチルジャスモネート、真菌類抽出物、細菌類抽出物、酵母(yeast)抽出物、キトサン、グルコマンナン(glucomannan)、グルカン(glucan)、フェニルアラニン、安息香酸(benzoic acid)、サリチル酸、アラキドン酸(arachidonic acid)、STS、モバロナロネイトN−ベンゾリグリシン(mevalonalonate N-benzolyglycine)、ABA、SNP、IPP、BHT、CCC、エテホン(ethephon)、馬尿酸(hippuric acid)、硝酸セリウムアンモニウム(ammonium ceric nitrate)、AgNO、硫酸バナジル(vanadyl sulfate)、pアミノ安息香酸(p-aminobenzoic acid)、ブラシノステロイド(brassinosteroids)、アルギン酸ナトリウム(sodium alginate)、酢酸ナトリウム(sodium acteate)で構成される群から選択された物質;を含む培地であることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明において、前記細胞株にエリシターとして、光、光周期、剪断(shear)、紫外線、熱、エチレン、抗真菌剤、抗生剤、重金属塩及び高塩濃度などで処理して、物理的化学的ストレスを与えて取得された培養水を利用できる。本発明の一実施例においてはエリシターとしてエアーストレスを与えた細胞株培養水を利用した。
【0020】
本発明において使用した培地は、通常の植物組織培養のための培地で、例えば、N6倍地、SH培地、MS培地、AA培地、LS培地、B5倍地、WPM培地、LP培地、White培地、GD培地、DKW培地、DCR培地などが挙げられるが、これに限定されない。
【0021】
本発明において、前記抽出物は蒸溜水、低級アルコール等のアルコール、アセトン、DMSO(Dimethyl Sulfoxide)及びこれらの混合溶媒で構成された群から選択された溶媒を利用して抽出されたことを特徴とする。この時、前記低級アルコールとしては、メタノール、エタノールなど炭素数が1乃至5のアルコールを意味する。
【0022】
本発明において、前記肝疾患は肝炎、肝癌、肝硬変、脂肪肝、及び中毒性肝疾患のいずれか一つであることを特徴とする。
本発明は他の観点において、前記同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、その培養物のいずれか一つ以上を含有する肝炎ウイルスの増殖抑制用組成物、または肝炎ウイルスに対する抗体を増加させる免疫増進剤に関する。
【0023】
本発明の一実施例においては、本発明に係る同質的な細胞株抽出物をin vitroでHepG2.2.15細胞株に投与してHBVウイルス粒子(virion)生成の有無を、PCR増幅を介して確認した結果、天然高麗人参培養根抽出物が、HBVウイルス生成抑制効果がないのに対して、本発明に係る細胞株抽出物はHBVウイルス生成を抑制することが明らかになった。
【0024】
一方、本発明の他の実施例においては、前記同質的な細胞株を患者に投与した後、HBsAg、HBeAgの抗原と、HBsAb、HBeAb、HBcAbの抗体及びB型肝炎ウイルス(HBV)DNA定量検査を実施し、その結果、臨床的にB型肝炎の完治と解釈するs抗体が形成されること、及びB型肝炎ウイルスの抗原が減少することが確認された。
【0025】
B型肝炎ウイルス複製時3つ(c、s、e抗原)の主要抗原が作られるが、c(core)抗原(HBcAg)は構造的抗原結晶体であり、s(surface)抗原(HBsAg)はウイルス表面蛋白質によって現れる抗原結晶体である。この中のe抗原(HBeAg)はB型肝炎ウイルス感染の有無を知るための表示物質である。
【0026】
【表1】

【0027】
即ち、前記実施例を通して本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株が肝炎を予防して治療する効果があることを確認した。また、本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株がs抗体だけでなく、e抗体も増加させることを確認し、肝炎ウイルスに対する抗体を増加させる免疫増進効果があることを確認した。
【0028】
従って、本発明においては、前記同質的な細胞株破砕物を含有する組成物が肝疾患の予防及び治療効果を示すことを提示する具体的な実施例がなかったとしても、前記調べたようにその同質的な細胞株、その抽出物、及びその培養物が、肝疾患の予防及び治療に活性を有することを確認したところ、本発明に係る同質的な細胞株破砕物を含有した組成物の場合にも肝疾患の予防及び治療効果を示しうることは当業界において通常の知識を有する者に自明であるといえる。
【0029】
本発明に係る同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物中のいずれか一つ以上を含有する肝疾患の予防または治療用組成物、B型肝炎ウイルスの増殖抑制用組成物、及び免疫増進剤は、前記同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を各々単独で含んだり一つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含んで医薬組成物として提供でき、前記同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、またはその培養物は、疾患及びそれの重症程度、患者の年令、体重、健康状態、性別、投与経路、及び治療期間等により適切な、薬学的に有効な量として医薬組成物に含まれても良い。
【0030】
前記において「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され、ヒトに投与される時、通常胃腸障害、めまいのようなアレルギー反応またはこれと類似する反応を起こさない組成物のことをいう。前記担体、賦形剤及び希釈剤としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、燐酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、マグネシウムステアレート及び鉱物油が挙げられる。
【0031】
前記医薬組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などをさらに含んでもよい。また、本発明の医薬組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延された放出を提供することができるよう当業界に公知の方法を用いて剤形化される。剤形は、粉末、顆粒、精製、エマルジョン、シロップ、エアゾール、軟質または硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末の形態であってもよい。
【0032】
一方、本発明の一実施例においては、また本発明に係る同質的な細胞株が肝損傷を示す数値であるAST、及びALT数値を減少させることが示され、肝機能改善効果があることが確認された。従って、本発明はまた他の観点において、前記高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝機能改善用機能性食品に関する。この時、肝機能改善効果とは、前記肝疾患予防及び改善効果を含む概念として全般的に肝機能を改善させることを意味する。
本願において「機能性食品」とは、一般食品に本発明に係る同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物のいずれか一つ以上を添加することによって食品の機能性を向上したことを意味する。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を通して、本発明をより一層詳細に説明する。この実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこの実施例によって制限されると解釈されないことは当業界の通常の知識を有する者には自明である。
特に、下記実施例においては、天然高麗人参の形成層由来の同質的な細胞株、その抽出物、及びその培養物の肝疾患の予防、及び抑制効果を確認したが、その破砕物を使っても同じ結果を得られることは、当業界における通常の知識を有する者には自明なことである。
【0034】
[実施例1]高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株の製造
[1−1]植物材料の用意
(1)図1(a)のAは本発明において使用した天然高麗人参の典型的な特徴を示す。天然高麗人参を用意した後、天然高麗人参の主根部を使うために流水で表面に付いている土やその他の汚れを除去し、液体洗剤を利用して主根の表面を洗った後、流水に放置した。きれいに洗った組織は、クリーンベンチ内に準備された滅菌フラスコに入れて、70%エタノールで30秒乃至1分程度殺菌した。その後、滅菌水で濯いで1%乃至1.5%次亜鉛素酸ナトリウム(sodium hypochlorite, Junsei, Japan)を利用して、5分乃至15分程度、消毒液で処理した。この時、消毒液が効果的に組織内に侵入するようにするためにTWEEN20(Polyoxyethylenesorbitan monolaurate, Junsei, Japan)を数滴落として処理した。この過程が終わると滅菌水で3回乃至5回濯いだ。その後に殺菌処理した組織の褐変化を防止するために抗酸化剤が含まれたBIM(browning inhibition medium)に殺菌された主根を入れて30分乃至1時間程度十分培養し、滅菌されたろ紙に置いて水気を除去した。
【0035】
【表2】

【0036】
ここで、塩濃度は全体の1/4に該当する量だけ添加する。
その後、前記材料を、褐変されるのを防止するために抗酸化剤が含まれたCS溶液(cutting solution、表3)が入った滅菌皿に置いて、表皮を薄く剥がし半分に分けて、各部分において分裂能が旺盛な形成層の部分が含まれるようにして、横×縦×高さ=0.5〜0.7cm×0.5〜0.7cm×0.2〜0.5mmの大きさに切断した。図1(a)のBは天然高麗人参の主根部において形成層が含まれるように前記の大きさで切断して切片体を製造した様子を示す。
【0037】
【表3】

【0038】
(2)バイオリアクター(bioreactor)において保持中の100年物天然高麗人参不定根を準備し、同じく表3のCS溶液が入った滅菌皿に置いて前記と同様な方法で形成層を含む切片体を取得した。
【0039】
[1−2]天然高麗人参主根部形成層含有切片体への浸透剤の処理
前記実施例1−1で製造された切片体は分化した組織、即ち、篩部、木部、髄等を壊死させて分裂組織である形成層だけを生存させるために浸透ストレス処理を行った。前記形成層含有切片体をろ紙が敷かれた前播種培地(培地1、表4)にブロッティング(blotting)して、1Mスクロース(Duchefa, Netherland)溶液が入れられたフラスコに入れて、冷蔵状態で16〜24時間浸透ストレス処理した後、0.05Mスクロース溶液(sucrose solution)で5分間、0.1Mスクロース溶液で5分間処理して、高濃度のスクロースによるストレスを取り除いた。その後、前記浸透ストレスが取り除かれた形成層含有切片体をろ紙が敷かれた前播種培地(培地1)に置いて水気を除去した。
【0040】
【表4】

【0041】
[1−3]天然高麗人参の形成層含有切片体から形成層起源の同質的細胞株誘導
形成層起源の分裂能を有する同質的細胞株を誘導するために、前記実施例[1−2]で浸透ストレス処理した切片体を細胞株誘導培地(培地2、表5)に播種した。播種に使用された培地は下記表5に示したとおりである。播種された切片体は、22±1℃の暗条件で培養した。
【0042】
【表5】

【0043】
この時、浸透処理をせずに直ちに同質性細胞株誘導培地に播種した切片体においては表6に示した通り播種初期(2〜3日)に早く形成層中心に黄色く反応し、時間が経つと共に、切片体全体が黄色く変色する。形成層中心の黄色い反応を示す切片体を形成層起源の分裂能を有する同質性細胞株分離及び増殖最適培地(培地3)に継代して、継続的な同質性細胞株誘導及び増殖を試みたが褐変がひどくなり、時間が経っても褐変反応の他になんら反応も見られなかった。
【0044】
一方、浸透処理を行ってから、取り除いた後、同質性細胞株誘導培地に播種した切片体は、表6に記載した通り、他の組織においては細胞が誘導されなく、形成層だけにおいて特異的に同質性細胞が誘導されることが観察された。即ち、浸透処理を行った後、取り除いて、播種した切片体においては培養3〜7日の間に切片体の形成層部位が薄い黄色に変わり始めた。それから約7〜14日後、薄い黄色に変わった部位において丸い細胞株が誘導されることを観察した。図1(a)のCは天然高麗人参の形成層含有切片体中形成層特異的分裂能を有する同質性細胞株が誘導された模様を示す。この時、露地天然高麗人参(true wild ginsengand)の形成層含む切片体及び天然高麗人参不定根の形成層含む切片体共に同じ結果が観察された。図1(a)のCは天然高麗人参の形成層含有切片体において、形成層特異的分裂能を有する同質性細胞株が誘導されたことを示す。
【0045】
一方、浸透処理を行った切片体を、形成層特異的分裂能を有する同質性細胞株誘導培地でない通常の高麗人参、及び天然高麗人参など高麗人参類培養に使用する2,4−Dを含む培地を使用した際には、培養7〜10日の間に切片体全体が黄色に変わり始めて、それから約7〜14日後、全体切断面において細胞が誘導されることが観察された。
【0046】
【表6】

【0047】
[1−4]分離した天然高麗人参形成層由来の同質的な細胞株の増殖
前記実施例1−3で誘導された形成層起源の分裂能を有する同質的な細胞株を利用して、増殖に使った。培地は下記表7に提示された基本的な塩(salt)組成を基に表7に提示された通り形成層起源の分裂能を有する同質的な細胞株の増殖最適培地を使った。この時、表8において2,4−Dは露地天然高麗人参(true wild ginseng)の形成層から誘導された同質的な細胞株の増殖に、IBAは天然高麗人参不定根から誘導された同質的な細胞株の増殖に使った。
【0048】
【表7】

【0049】
【表8】

【0050】
図1(a)のCに示したように浸透ストレス処理と培地2を使用して、形成層だけにおいて特異的に同質性細胞が誘導された後、表8に示した培地3で継代した結果、形成層起源の分裂能を有する同質性細胞が継続的に分裂・増殖して、培養約10〜20日後に形成層起源の分裂能を有する同質性細胞株を分離することができた。このように分離した天然高麗人参形成層由来同質性細胞株を同一培地で培養して、分裂能を有する同質性細胞株を再度増殖させた。図1(a)のDは分離した形成層特異的同質性細胞株を表8に示した培地3で増殖させた様子を示す。
【0051】
[1−5]分離した細胞株の特性観察
前記天然高麗人参形成層由来同質性細胞株を下記表9の液状培地が含まれたフラスコに入れて、暗条件において、25±1℃で100rpmの回転攪拌機(shaker)で培養した。継代培養周期は2週間に固定することによって培養細胞が常に対数生長期状態で高活力を維持できるようにした。この時、表9において、2,4−Dは露地天然高麗人参の形成層から誘導された同質的な細胞株の培養に使用し、そしてIBAは天然高麗人参不定根から誘導された同質的な細胞株の培養に使用した。
【0052】
一方、高麗人参の子葉由来カルス(callus)も表9の培地4で培養して、本発明に係る天然高麗人参形成層由来同質性細胞株と比較した。
【0053】
【表9】

【0054】
まず、細胞凝集度を、光学顕微鏡(biological microscope CX31, Olympus, Japan)で見ると、表10のように本発明に係る2,4−Dで処理した露地天然高麗人参(の形成層由来細胞株は、懸濁培養時95%以上が単細胞レベルで存在することを観察され、本発明に係るIBAで処理した不定根の形成層由来細胞株も60%以上が単細胞レベルで存在することが観察され、本発明に係る細胞株は、懸濁培養時に単細胞レベルで存在する特徴があることが確認できた。また、図1(b)のAに示したように、2,4−Dで処理した露地天然高麗人参の形成層由来細胞株及びIBAで処理した不定根の形成層由来細胞株共に多数の液包を有する形態学的特徴を観察でき、未分化状態であることが確認できた。しかし、図1(b)のBに示したように、高麗人参の子葉由来カルス細胞株においてはこのような形態学的特徴は観察できなかった。
【0055】
【表10】

【0056】
一方、大量培養の可能性を調べるために、3Lの内容積を有する空気浮揚式バイオリアクター(airlift bioreactor、ソンウォンサイテク、Korea)で高麗人参の子葉(cotyledon)由来カルスと本発明に係る天然高麗人参の形成層由来同質性細胞を培養した。培地は表8の液状培地を使用し、暗条件で25±1℃で一定に維持した。
【0057】
その結果、表11に示したように、高麗人参の子葉由来培養物の倍加時間(doubling time)は、フラスコにおいては21日であるのに対してリアクターにおいては28日と長くなった。即ち、フラスコ培養時に本発明に係る形成層由来細胞株が形成層以外の組織由来細胞株に比べて、生長速度においても3〜5倍程度の高い増殖率を示すことを確認し、大量リアクターにおいては本発明に係る形成層由来細胞株が形成層以外の組織由来細胞株に比べて、5〜9倍の高い増殖率を示すことを確認した。これは異質な細胞株はリアクター内における生長輪生成と培養中の植物培養体凝集性と細胞壁が固くて、剪断に対する感受性により細胞生存率(cell viability)が急激に減少したのが原因であると判断された。
【0058】
一方、本発明に係る2,4−Dで処理した露地天然高麗人参の形成層由来の同質的な細胞培養物の倍加時間は3〜4日で、IBAを処理した天然高麗人参不定根の形成層由来の同質的な細胞培養物の倍加時間は5〜6日で、共にフラスコと反応器との間には差が見られないか却って短縮された。形成層由来同質性細胞培養物はバイオリアクター内の生長輪面積を極力小さく形成して、培養器に簡単な刺激を与えて、培地を動かすと内壁のリング(ring)が簡単に解消された。また、凝集が小さくて、多くの液包を有しており、剪断に対する感受性が低く、細胞生存率の減少を起こさなかった。
【0059】
即ち、本発明に係る形成層由来細胞株は大量培養のためのバイオリアクターで攪拌作用に係る剪断ストレスに対し低い感受性を有するめ、バイオリアクター内において急速大量生長の可能性を確認した。従って、本発明に係る形成層由来細胞株が形成層以外の組織由来細胞株に比べて、剪断ストレスに対し5〜9倍の低い感受性を有することが分かった。
【0060】
【表11】

【0061】
[実施例2]天然高麗人参の形成層由来の同質的な細胞株の乾燥及び抽出物製造
実施例1の天然高麗人参不定根の形成層由来の同質的な細胞株から、次のように乾燥及び抽出した。
(1)乾燥細胞株の製造
(i)培養液を除去した細胞株を凍結乾燥、または熱風乾燥した。
(ii)前記乾燥された細胞株は粉砕機を利用して粉砕して得た。
(2)蒸溜水抽出物の製造
(i)培養液を除去した細胞株及び熱風乾燥、凍結乾燥細胞株500gに5000mLの蒸溜水を加えて、50℃で6時間、攪拌しながら抽出して得た。
(ii)前記溶解後、3,000gで10分間遠心分離させ上層液を取ることによって蒸溜水可溶性物質を得た。
(iii)前記で得た蒸溜水可溶性物質を、回転真空濃縮器を利用して減圧濃縮した。
(3)エタノール抽出物の製造
(i)培養液を除去した細胞株及び熱風乾燥、凍結乾燥細胞株500gに5000mLのエタノールを加えて、50℃で6時間、攪拌しながら抽出して得た。
(ii)前記溶解後、3,000gで10分間遠心分離させ上層液を取ることによってエタノール可溶性物質を得た。
(iii)前記で得たエタノール可溶性物質を、回転真空濃縮器を利用して、減圧濃縮した。
(4)PBS(リン酸緩衝生理食塩水:Phosphate buffered saline)抽出物の製造
(i)実施例2−(i)の凍結乾燥細胞株500gに5000mLのPBS溶液を加えて、熱湯重湯法(hot water bath method)で、80℃で2〜3時間熱を加えて抽出した。
(ii)前記で得た抽出物を冷凍乾燥させて、500μg/μLになるようにPBS(pH7.4)に溶かして準備した。
【0062】
[実験例1]高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株のB型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス効果の確認
本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株のB型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス効果を確認するために、水原大学(Suwon University)生命科学科微生物学実験室に依頼して、B型肝炎ウイルス抑制実験を行った。
【0063】
先ず、HepG2から由来した組み換え細胞株として、HBVウイルス粒子(virion particle)を作って放出する特徴を有する細胞株であるHepG2.2.15細胞株をDMEM10培地(Hyclone-high glucose,10%FBS,10μg/μL Gentamycin)を使って、37℃、5%COインキュベーターで培養した。HepG2細胞は、公知の、広く分布して簡単に入手可能なヒト肝腫瘍細胞であり、HepG2細胞株の樹立及び特性は米国特許4,393,133に記述されている。この細胞株のサンプルは、またAmerican Type Culture Collection, Rockville, Marylandから受託番号ATCC HB 8065下で、及びEuropean Collection of Animal Cell Cultures, Porton Down, UKから入手できる。この細胞は多様な蛋白質、例えば、Broze及びMiletich, Proc. Natl. Acad. Sci, USA 84, 1886-1890 (1987)と米国特許4,996,852、5,106,833及び5,212,091にリポ蛋白質関連凝固インヒビター(LACI)としても知られた組織因子阻害因子(TFI)の元として使われた。HepG2.2.15細胞はこのようなHepG2細胞の誘導体であり、Sells et al., Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 84, 1005-1009 (1987)に記載のように製造された。
【0064】
その後、HepG2.2.15細胞株が24−wellで70%程度育った後、前記実施例2の(4)のPBS抽出物を大きさ24wellの細胞培養液に対し5mgの濃度で添加した。また、通常の天然高麗人参組織との効果比較のために、凍結乾燥した天然高麗人参培養根を前記実施例2の(4)と同じ方法でPBS抽出物を製造した後、同じ濃度でHepG2.2.15細胞株培養液に添加した。前記実施例2の(4)のPBS抽出物及び前記天然高麗人参培養根PBS抽出物を各々添加した後には、培養培地をDMEM2(Hyclone-high glucose,2%FBS,10μg/μL Gentamycin)に入れ替え、37℃、5%COインキュベーターで培養した。
【0065】
72時間培養した後、HBVウイルス粒子の生成の有無を測定するために培養液5μLを選別して、熱不活性化(heat inactivation)させた後、鋳型(template)として使用して、PCRを行った。この時、対照群としては何の処理も行わずDMEM2で培養した培養液を使用した。
【0066】
PCRを行うのに使用されるプライマー塩基配列はHBVウイルスHBsAg遺伝子の共通部分を選んで製造したが、forward primerは157〜179;5'−GGGGGAATTCATGGAGAACATCACATCAGGATTC−3'(配列番号1)を使用し、backward primerは814〜837;5'−GGGCTGCAGTTAAATGTATACCCAAAGACAAAA−3'(配列番号2)を使用した。左側のprimerと右側のprimerとの間のDNAの大きさは、750bpになるようにした。PCRを行った後、各々のサンプルは1.0%アガロースゲルで電気泳動を行った。
【0067】
その結果、図2に示したように、対照群(C)と凍結乾燥天然高麗人参培養根抽出物を処理した群(G5)においては、HBsAg DNAが増幅されたことが明らかになったが、本発明に係る細胞株である天然高麗人参形成層由来の同質的な細胞株の抽出物を処理した群(G4)においては、HBsAg DNAが増幅されないことが明らかになった。本発明に係る同質的な細胞株を処理した場合、PCR生成物が合成されなかったことは、本発明に係る細胞株が抑制剤が働いてウイルス生成過程を抑制したと判断された。
【0068】
一方、前記で効果を確認した本発明に係る同質的な細胞株抽出物に対し時間毎の抑制効果を観察するために、前記と同様な方法で同質的な細胞株抽出物5mgを処理して、各々24hr、48hr、72hr培養した後、培養液5μLを選別して、熱不活性化させた後、鋳型として使用し、前記同様な方法でPCRを行った。
【0069】
その結果、図3に示したように、処理してから24時間培養した後、PCRを行って観察した際には、HBsAg DNA増幅産物が確認されたが、48時間経過後から増幅産物生成抑制効果が観察され始め、72時間経過後には増幅産物が観察されないことが明らかになった。即ち、処理後48時間経過時のB型肝炎ウイルス抑制効果が示されることが確認された。
【0070】
それと共に、追加的に実施例1の14日間懸濁培養した天然高麗人参形成層由来の同質的な細胞株にエリシターとしてエアーストレス(air stress)を3〜5日間与えた細胞株培養物を前記実施例2の(4)の方法でPBS抽出物として製造した後、前記同様な方法でPCRを行った。その結果、天然高麗人参形成層由来の同質的な細胞株の培養物も、図3と類似のレベルでB型肝炎ウイルス抑制効果を示すと確認された。
【0071】
[実験例2]高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株の肝疾患予防及び治療効果の確認(1)
本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株の肝炎予防及び治療効果を確認するために、B型肝炎ウイルスキャリアー、急性肝炎及び肝癌患者に対し、前記実施例2の(1)で製造された乾燥細胞株粉砕物をパウダー状で投与した。服用は一日に二回(朝及び夕方)1gずつ水に溶解した形態で経口投与された。
【0072】
投与期間は患者毎に異なり、投与後HBsAg、HBeAgの抗原と、HBsAb、HBeAb、HBcAbの抗体は免疫血清検査(EIA、Enzygnost, Behringwerke, Germany)法で、B型肝炎ウイルス(HBV)DNA定量検査はHybrid CaptureIItest(HC−II、Digene Corp., Beltsville, MD, USA)で各製造会社が提示した説明書の測定方法により実施した。一方、AST数値及びALT数値はHitachi7600シリーズ(Hitachi, Tokyo, Japan)自動化学分析機を利用して、製造元の検査指針に従って測定した。
測定した結果及び各患者別投与期間は次の通りである。
【0073】
【表12】

【0074】
本発明に係る細胞株の投与前HBsAg(B型肝炎表面抗原)が陽性であったが、投与7ヶ月後陰性として測定された。また、HBsAb(B型肝炎表面抗体)は陰性から投与7ヶ月後陽性と測定され、本発明に係る同質的な細胞株の投与によってs抗体(HBsAb)が形成されることが確認された。
【0075】
s抗体の形成はB型肝炎の完治と解釈され、本発明に係る細胞株の投与によって、B型肝炎が治療されたことが確認された。
【0076】
【表13】

【0077】
投与してから3ヶ月後に測定した結果、HBsAg(B型肝炎表面抗原)が陰性として、HBsAb(B型肝炎表面抗体)は陽性として測定された。s抗体の陽性はB型肝炎に対する完治を意味するが、これは本発明に係る同質的な細胞株の投与によってs抗体が形成されることを証明するものである。
【0078】
従って、本発明に係る同質的な細胞株の投与によって、B型肝炎が治療されたことが確認された。また、肝癌を改善させる効果も合わせて確認することができた。
【0079】
【表14】

【0080】
投与してから15日後に測定した結果、投与前HBeAg(B型肝炎皮膜抗原)が23.25数値から3.22に減少し、ウイルスの増殖が減少したことが明らかになった。一方、HBeAbとHBsAb共に陽性と測定された。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎の治療効果を有することが確認された。
【0081】
一方、前記患者に対する以後の投与期間中の測定結果は次の通りである。
【0082】
【表15】

【0083】
前記のように、投与45日以後の結果を調べると、前記表14の投与前及び投与15日後のデータと比較すると、HBsAg及びHBeAgは減少することが明らかになり、HBsAb及びHBeAbも増加傾向を示してから段々減少することが明らかになった。しかし、抗体の減少は正常範囲(基準値参照)の陽性区間であり、このような減少は本発明に係る同質的な細胞株投与によって抗原が顕著に減少することによるものに見られる。
【0084】
一方、肝の破壊程度を示す肝数値測定項目であるAST及びALT項目を測定した結果、変化が見られ、段々減少傾向を示しており、肝機能改善及び肝疾患の治療効果があることが確認された。
【0085】
【表16】

【0086】
投与してから15日及び44日後、各々測定した結果、15日後の測定結果においては、HBeAg、HBV−DNA共に陽性を示し、HBeAbは陰性を示すが、44日後の測定結果においては、HBeAg、HBV−DNA共に陰性を示し、HBeAbは陽性を示した。本発明に係る同質的な細胞株の投与によって、肝炎ウイルスに対する抗原が減少したが、本発明に係る同質的な細胞株が肝炎ウイルスの増殖を抑制することが確認された。一方、肝炎ウイルスに対する抗体が増加され、肝炎ウイルスに対する免疫増進効果があることが確認された。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎の治療効果を有することが確認された。
一方、前記患者に対する以後の投与期間中の測定結果は次の通りである。
【0087】
【表17】

【0088】
前記のように、投与してから2月半経過後の結果を追加で調べると、HBeAg、HBV−DNA共に陰性を示し、HBeAbは陽性の測定結果が維持されていることが確認された。一方、肝の破壊の程度を示す肝数値測定項目のAST及びALT項目を測定した結果を調べると、投与前の数値と比較して、投与2月半以後、正常範囲に入ったことが確認され、これにより本発明に係る同質的な細胞株が肝機能改善及び肝疾患の治療効果があることが確認された。
【0089】
【表18】

【0090】
投与してから15日後に測定した結果、HBeAg(B型肝炎皮膜抗原)が投与前306.30から投与15日後23.60と抗原が減少し、HBV−DNAも投与前1.0×10から211と顕著な減少を示す。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果があることが確認された。
【0091】
【表19】

【0092】
投与してから15日後に測定した結果、HBeAg(B型肝炎皮膜抗原)が投与前460.1から投与15日後301.0と抗原が減少したことが明らかになった。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果があることが確認された。
【0093】
【表20】

【0094】
投与してから15日後に測定した結果、HBsAg(B型肝炎表面抗原)が投与前5292から投与15日後100と抗原が減少したことが明らかになった。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎を緩和させる効果があることが確認された。
【0095】
【表21】

【0096】
投与してから15日後に測定した結果、HBV−DNAの数値が投与前23,889から2000以下と顕著な減少を示した。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果があることが確認された。
【0097】
前記測定結果をまとめると、本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株は、40日以上長期間投与時に、臨床的にB型肝炎の完治と解釈できるs抗体が形成され、肝炎を治療する効果及び免疫を増進させる効果があることが明らかになった。15日間投与した場合には、B型肝炎ウイルスの抗原が減少すると測定され、B型肝炎ウイルスの増殖を抑制して肝炎を緩和させる効果があることが明らかになった。また、肝損傷程度を示すAST及びALT数値を低くする効果があると確認された。
【0098】
従って、本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株は肝炎を予防して治療する効果があるだけでなく、肝機能を改善して肝疾患を予防及び治療する効果があることが確認された。
【0099】
[対照例1]対照群の天然高麗人参不定根の肝炎予防及び治療効果の検査
本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株の肝炎予防及び治療効果と対照するために、B型肝炎ウイルスキャリアーに対し天然高麗人参不定根乾燥分を前記実験例1と同様な方法で投与した後、15日間投与した肝炎キャリアー及び1月間投与した肝炎キャリアーに対しても実験例1と同様な方法でHBsAg、HBeAgの抗原と、HBsAb、HBeAb、HBcAbの抗体は、免疫血清検査(EIA)法で、B型肝炎ウイルス(HBV)DNA定量検査は、Hybrid Capture II testで測定した。その結果は次の表22乃至24のようになる。
【0100】
【表22】

【0101】
【表23】

【0102】
【表24】

【0103】
対照群の天然高麗人参不定根を投与した後に測定した結果、表22乃至24に示したように、15日間投与時に肝炎ウイルスに対する抗原を殆ど減少させないことが明らかになった。また、一月間投与した場合にも肝炎ウイルスに対する抗原減少効果や抗体増加効果も非常に僅かであった。
【0104】
従って、通常の高麗人参類由来細胞株と比べて、本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株の肝疾患の予防及び治療効果が顕著であることが確認された。
【0105】
[実験例3]高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株の肝疾患予防及び治療効果の確認(2)
本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株の肝炎予防及び治療効果を確認するために、B型肝炎患者に対し前記実施例2の(1)で製造された乾燥細胞株粉砕物をパウダー状でさらに投与した。服用は一日に二回(朝及び夕方)1gずつ水に溶解した形態で経口投与した。
【0106】
投与期間は患者毎に異なり、投与後HBeAg、HBsAgの抗原と、HBeAbの抗体は、免疫血清検査(EIA、Enzygnost, Behringwerke, Germany)法で、B型肝炎ウイルス(HBV)DNA定量検査は、Hybrid Capture II test(HC−II、Digene Corp., Beltsville, MD, USA)で各製造会社が提示した説明書の測定方法により実施した。一方、AST数値及びALT数値はHitachi7600シリーズ(Hitachi, Tokyo, Japan)自動化学分析機を利用して、製造元の検査指針に従って測定した。
測定した結果及び各患者別投与期間は次の通りである。
【0107】
【表25】

【0108】
投与してから20日及び約2ヶ月半後各々測定した結果、投与約2ヶ月半後HBeAgが顕著に減少することが明らかになって、本発明に係る細胞株が肝炎ウイルスの増殖を抑制することが確認された。一方、肝炎ウイルスに対する抗体が現れ、肝炎ウイルスに対する免疫増進効果があることが確認された。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎の治療効果を有することが確認された。
【0109】
【表26】

【0110】
投与開始後4ヶ月間は不規則な投与が行われたが、以後規則的な投与が始まった後、投与6ヶ月目から肝炎ウイルスに対する抗原が陰性と正常化し、抗体も陽性と正常化し、本発明に係る細胞株がB型肝炎の治療効果を有することが確認された。
また、肝数値測定結果からも投与6ヶ月目から肝数値が正常化したことが確認され、肝機能改善及び肝疾患を治療する効果があることが確認された。
【0111】
【表27】

【0112】
投与後約6ヶ月程度経過した時点において、肝炎ウイルスに対する抗体が確認され、肝炎ウイルスに対する免疫増進効果が見られ、また、HBeAgも段々減少して、約6ヶ月経過した時点においては、顕著な減少が観察でき、本発明に係る細胞株が肝炎ウイルスの増殖を抑制することが確認された。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎の治療効果を有することが確認された。
【0113】
【表28】

【0114】
投与後5ヶ月18日ほど経過した時点において、肝炎ウイルスに対する抗体が確認され、肝炎ウイルスに対する免疫増進効果が見られ、また、HBeAgも段々減少して、5ヶ月18日経過した時点においては、顕著な減少が観察でき、本発明に係る同質的な細胞株が肝炎ウイルスの増殖を抑制することが確認された。
従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎の治療効果を有することが確認された。
【0115】
【表29】

【0116】
本発明に係る同質的な細胞株投与により、HBV−DNAの数値が減少して、約2月程度経過した時点からは正常範囲内の安定した数値を示し、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果があることが確認された。
【0117】
【表30】

【0118】
HBV−DNAの数値を測定した結果、増減する変化を示す後約7月経過時点からは正常範囲内の安定した数値を示し、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果があることを確認することができた。一方、HBsAg抗原の場合においても陽性レベルであったが段々減少することが分かり抑制に効果があることが明らかになった。
【0119】
【表31】

【0120】
本発明に係る同質的な細胞株投与により、HBV−DNAの数値が減少して、約7月程度経過した時点からは正常範囲内の安定した数値を示し、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果があることが確認された。
【0121】
【表32】

【0122】
投与15日後間の破壊程度を示す肝数値測定項目であるAST及びALT項目を測定した結果、投与前の数値と比較して、正常範囲に入ったことが確認され、これにより本発明に係る同質的な細胞株が肝機能改善及び肝疾患治療効果があることが確認された。
【0123】
【表33】

【0124】
投与後1ヶ月9日経過した時点において、肝炎ウイルスに対する抗体が確認されてHBV−DNA数値が正常化し、4ヶ月10日経過した時点においては抗原値も正常化したことを確認することができた。従って、本発明に係る同質的な細胞株がB型肝炎の治療効果を有することが確認される。
【0125】
前記追加的な肝炎患者に対する測定結果をまとめると、本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株が肝炎ウイルスの増殖は抑制し、これに対する免疫増進効果を有する効果があることが明らかになった。また、肝損傷程度を示すAST及びALT数値を抑える効果が確認され、本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株は肝炎を予防して治療する効果があるだけでなく、肝機能を改善して肝疾患を予防及び治療する効果があることが確認された。
【0126】
[製造例1]薬学錠剤製造例
[製剤例1]錠剤の製造
実施例2において製造された細胞株抽出物100mgをトウモロコシ澱粉100mg、乳糖乳糖100mg、及びステアリン酸マグネシウム2mgを混合して、通常の錠剤製造方法によって製造した。
[製剤例2]カプセル剤の製造
実施例2において製造された細胞株抽出物500mgを軟質ゼラチンカプセルに充填して、カプセル剤を製造した。
[製剤例3]シロップ剤の製造
実施例1において製造された細胞株1g、異性化糖10g、マンニトール5g、適量の精製水を含有して通常的な液製剤の製造方法により100mLのシロップ剤を製造した。
[製剤例4]注射剤の製造
実施例2において製造された細胞株抽出物200mgをポリオキシエチレン水素化カストロオイルを含有する生理食塩水200mgに加熱溶解させて、混合抽出物を0.1%の濃度で含有する注射剤を製造した。
【0127】
[製造例2]機能性食品の製造−機能性飲料の製造
[製造例1]
実施例1において製造した細胞株200mgを96mLの水に溶解させた後、補助剤としてビタミンC500mg、矯味剤としてクエン酸、オリゴ糖を各々1g加え、保存剤としてナトリウムベンゾエイト0.05gを加えた後、精製水を加えて、全量100mLとし機能性飲料を製造した。
[製造例2]
実施例2において製造した細胞株抽出物200mgを96mLの水に溶解させた後、補助剤としてビタミンC500mg、矯味剤としてクエン酸、オリゴ糖を各々1g加え、保存剤としてナトリウムベンゾエイト0.05gを加えた後、精製水を加えて、全量100mLとして機能性飲料を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、本発明に係る高麗人参類の形成層由来の同質的な細胞株、その破砕物、その抽出物、及びその培養物は、天然物由来組成物であり、既存肝疾患治療剤の副作用を最小限にして人体に安全でありかつ肝炎ウイルスに対するs抗体(HBsAb)及びe抗体(HBeAb)を増加させ、肝炎ウイルスの増殖を抑制することができるため、肝疾患の予防及び治療に有用である。それと共に、肝損傷数値を減少させる効果があって、肝機能改善用機能性食品として有用である。
【0129】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記術は単に望ましい実施様態であるだけであり、これによって本発明の範囲が制限されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は添付された請求範囲及びその等価物によって定義される。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高麗人参類の形成層から誘導され、以下の特性を有する細胞株、その破砕物、その抽出物及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝疾患の予防または治療用組成物:
(a)先天的未分化状態であり;
(b)同質細胞株であり;及び
(c)多数の液包を有する形態学的特徴を示す。
【請求項2】
前記細胞株は以下の特性を追加的に有することを特徴とする請求項1に記載の肝疾患の予防または治療用組成物:
(a)懸濁培養時に単細胞状態で存在し;
(b)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株と比べて、バイオリアクターにおいて剪断ストレスに対して低い感受性を有し;及び
(c)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株に比べて、生長速度が速く、安定して培養される。
【請求項3】
前記細胞株は以下の工程を含む分離方法によって取得されたことを特徴とする請求項1に記載の肝疾患の予防または治療用組成物:
(a)高麗人参類の形成層含有貯蔵根組織を取得する工程;
(b)前記取得された形成層含有貯蔵根組織をIAAまたはIBAを含む培地で培養して、形成層由来細胞株を誘導する工程であって、
ここで、前記培養前、培養中、又は培養後に前記形成層含有貯蔵根組織に浸透ストレスを加える工程;及び
(c)前記誘導された形成層由来細胞株を回収する工程。
【請求項4】
前記高麗人参類は天然高麗人参または高麗人参であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の肝疾患の予防または治療用組成物。
【請求項5】
前記肝疾患は肝炎、肝癌、肝硬変、脂肪肝及び中毒性肝疾患のいずれか一つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の肝疾患の予防または治療用組成物。
【請求項6】
前記抽出物は蒸溜水、アルコール、アセトン、DMSO、リン酸緩衝生理食塩水及びこれらの混合溶媒からなる群から選択される溶媒を利用して抽出されたことを特徴とする請求項1に記載の肝疾患の予防または治療用組成物。
【請求項7】
高麗人参類の形成層から誘導され、以下の特性を有する細胞株、その破砕物、その抽出物及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝機能改善用機能性食品:
(a)先天的未分化状態であり;
(b)同質細胞株であり;及び
(c)多数の液包を有する形態学的特徴を示す。
【請求項8】
前記細胞株は以下の特性を追加的に有することを特徴とする請求項7に記載の肝機能改善用機能性食品:
(a)懸濁培養時に単細胞状態で存在し;
(b)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株と比べて、バイオリアクターにおいて剪断ストレスに対して低い感受性を有し;及び
(c)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株に比べて、生長速度が速く、安定して培養される。
【請求項9】
前記細胞株は以下の工程を含む分離方法によって取得されたことを特徴とする請求項7に記載の肝機能改善用機能性食品:
(a)高麗人参類の形成層含有貯蔵根組織を取得する工程;
(b)前記取得された形成層含有貯蔵根組織をIAAまたはIBAを含む培地で培養して、形成層由来細胞株を誘導する工程、
ここで、前記培養前、培養中、又は培養後に前記形成層含有貯蔵根組織に浸透ストレスを加える工程;及び
(c)前記誘導された形成層由来細胞株を回収する工程。
【請求項10】
高麗人参類の形成層から誘導され、以下の特性を有する細胞株、その破砕物、その抽出物及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝炎ウイルス増殖抑制用組成物:
(a)先天的未分化状態であり;
(b)同質細胞株であり;及び
(c)多数の液包を有する形態学的特徴を示す。
【請求項11】
前記細胞株は以下の特性を追加的に有することを特徴とする請求項10に記載の肝炎ウイルス増殖抑制用組成物:
(a)懸濁培養時に単細胞状態で存在し;
(b)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株と比べて、バイオリアクターにおいて剪断ストレスに対して低い感受性を有し;及び
(c)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株に比べて、生長速度が速く、安定して培養される。
【請求項12】
前記細胞株は以下の工程を含む分離方法によって取得されたことを特徴とする請求項10に記載の肝炎ウイルス増殖抑制用組成物:
(a)高麗人参類の形成層含有貯蔵根組織を取得する工程;
(b)前記取得された形成層含有貯蔵根組織をIAAまたはIBAを含む培地で培養して、形成層由来細胞株を誘導する工程であって、
ここで、前記培養前、培養中、又は培養後に前記形成層含有貯蔵根組織に浸透ストレスを加える工程;及び
(c)前記誘導された形成層由来細胞株を回収する工程。
【請求項13】
高麗人参類の形成層から誘導され、以下の特性を有する細胞株、その破砕物、その抽出物及びその培養物のいずれか一つ以上を含有する肝炎ウイルスに対する抗体を増加させる免疫増進剤:
(a)先天的未分化状態であり;
(b)同質細胞株であり;及び
(c)多数の液包を有する形態学的特徴を示す。
【請求項14】
前記細胞株は以下の特性を追加的に有することを特徴とする請求項13に記載の肝炎ウイルスに対する抗体を増加させる免疫増進剤:
(a)懸濁培養時に単細胞状態で存在し;
(b)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株と比べて、バイオリアクターにおいて剪断ストレスに対して低い感受性を有し;及び
(c)高麗人参類の形成層以外の組織由来細胞株に比べて、生長速度が速く、安定して培養される。
【請求項15】
前記細胞株は以下の工程を含む分離方法によって取得されたことを特徴とする請求項13に記載の肝炎ウイルスに対する抗体を増加させる免疫増進剤:
(a)高麗人参類の形成層含有貯蔵根組織を取得する工程;
(b)前記取得された形成層含有貯蔵根組織をIAAまたはIBAを含む培地で培養して、形成層由来細胞株を誘導する工程であって、
ここで、前記培養前、培養中、又は培養後に前記形成層含有貯蔵根組織に浸透ストレスを加える工程;及び
(c)前記誘導された形成層由来細胞株を回収する工程。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−530583(P2011−530583A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522914(P2011−522914)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004563
【国際公開番号】WO2010/019016
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(510077978)株式会社ウンファ (11)
【Fターム(参考)】