説明

太陽光制御積層物

太陽光制御フィルムと高分子シートとを含む太陽光制御積層物が提供される。太陽光制御フィルムは赤外線吸収性無機ナノ粒子を含む塗料で被覆された高分子フィルムを含む。好ましくは、赤外線吸収性無機ナノ粒子は、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB6)またはそれらの混合物のナノ粒子を含む。任意に、太陽光制御積層物はガラスシートなどの硬質シートも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線の透過率を減らすデバイス、特に、赤外線の透過率を減らすデバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス積層製品、すなわち「安全ガラス」は、殆ど一世紀にわたって社会に貢献してきた。安全ガラスは、高い耐衝撃性および耐貫通性によって、および破砕時のガラスの破片とガラス屑の最少の散乱によって特徴付けられる。積層物は、典型的には、高分子フィルムまたはシートであるとともに、2枚のガラスシートまたはパネルの間に置かれる中間層のサンドイッチからなる。ガラスシートの一方または両方は、例えばポリカーボネート材料またはポリエステルフィルムのシートなどの光学的にクリアな硬質高分子シートまたは非硬質高分子シートで置き換えることが可能である。安全ガラスは、2層以上の中間層と合わせて接着されたガラスおよび/または高分子シートの3層以上の層を含むようにさらに進化されてきた。
【0003】
中間層は、典型的には、靱性を示すとともに割れまたは破壊の場合にガラスに接着する比較的厚いポリマーフィルムまたはシートにより製造される。長年にわたって、多様な高分子中間層がガラス積層製品のために開発されてきた。一般に、これらの高分子中間層が、特に、光学的透明度、耐衝撃性、耐貫通性、耐紫外線性、長期熱安定性、ガラスおよび/または他の硬質高分子シートへの粘着力、紫外線透過性、水分吸収性、耐水性、長期耐候性および4%未満の曇り度の許容できるレベルを有することが望ましい。
【0004】
広く用いられた中間層材料には、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタロセン触媒線状低密度ポリエチレン(mPE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酸コポリマーイオノマー、高分子脂肪酸ポリアミド;、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などのポリエステル樹脂、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂およびゴム弾性ポリカーボネートなどのポリマーを含む複合多成分組成物が挙げられる。透明積層物を製作する際の酸コポリマーの使用はより広く行き渡るようになった。
【0005】
自動車ウィンドシールドにおいて一般に用いられる周知された安全ガラスを超えて、ガラス積層物は列車、航空機、船舶および輸送のほぼあらゆる他の形式に窓として導入されている。安全ガラスの建築用途も、設計者がより多くのガラス表面を建物に導入するにつれて近年急速に広がってきた。ガラス積層製品は、ガラス積層製品の望ましい美的特徴に加えて、例えば、より新しい多くの建物において特色をなすガラス階段およびガラス手摺りなどの重量支持構造のために必要とされる強度を今達成した。
【0006】
より新しい安全ガラス製品も自然災害および人災に抵抗するために設計されている。例には、ハリケーンを被りやすい多くの地域で今指令されているハリケーン抵抗ガラスの最近の開発、窃盗に強いグレージングおよび耐突風ガラス積層製品が挙げられる。これらの製品は、例えば、強い力の風によって、または空中に浮動する屑の衝撃によって、または建物または車両に破壊しようとする犯罪的試みによって積層物の脆弱な部分が破壊された後でさえも貫入に耐える十分な強度を有する。
【0007】
社会は、上述した光学的能力および装飾能力ならびに安全特性以上に積層ガラス製品からより多くの機能を要求し続けている。1つの望ましい目標は、例えば、太陽光制御グレージングの開発を通した自動車または建物などの構造内のエネルギー消費の減少である。近赤外スペクトルが人の目によって感知されないので、典型的なアプローチは、近赤外スペクトルからの太陽光エネルギーの一部が構造に入ることを防ぐガラス積層物を開発することであった。例えば、空調で消費されたエネルギーは、近赤外スペクトルの一部を遮断する太陽光制御窓を備えた構造において透過可視光スペクトルの減少もひずみもなしに減少され得る。
【0008】
ガラス積層物における太陽光制御は、ガラスまたは高分子中間層の改良を通して、更なる太陽光制御層の添加によって、またはこれらのアプローチの組み合わせによって達成してもよい。太陽光制御積層ガラスの1つの形態は、アルミニウム金属または銀金属などの導電性金属層を有するポリエステルフィルムなどの金属化基材フィルムを含む。金属化フィルムは、一般に、適切な太陽光制御特性を提供するために適切な波長の光を反射する。しかし、金属化フィルムは、高真空装置および精密気圧制御システムを必要とする真空蒸着またはスパッタリングプロセスによって一般に製造される。
【0009】
赤外線に加えて、金属化フィルムは特定の放射性波長も反射し、よってラジオ、テレビ、全地球測位システム(GPS)、自動料金徴収、無鍵入場、通信システム、自動車庫開放装置、自動投票計算機、高周波識別(RFID)、自動車において一般に用いられる類似システムまたは太陽光制御積層ガラスによって保護され得る他の構造の機能を損なう。
【0010】
最後に、ガラス積層プロセス中およびガラス積層プロセス後にスパッタリングされた金属被覆フィルムへの水分侵入は、中間層からの縁欠失を見込んでおくために追加の複雑なプロセスを必要とする。これらの問題および他の問題を克服するために、金属化フィルムは積層ガラス構造の内層として用いられてきた。このタイプの構造は製造プロセスを複雑にする。
【0011】
より最近の傾向は赤外線を反射するのでなく吸収する金属酸化物ナノ粒子の使用であった。基材のクラリティおよび透明性を保存するために、これらの材料は、理想的には、約200ナノメートル(nm)未満の公称粒子サイズを有する。これらの材料が導電性フィルムを形成しないので、このタイプの太陽光制御グレージングによって保護された構造内部に位置する放射線送受信装置の運転は妨害されない。
【0012】
商業的意義を達成した2種の赤外線吸収金属酸化物はインジウム錫酸化物およびアンチモン錫酸化物である。アンチモン錫酸化物および/またはインジウム錫酸化物で被覆された幾つかのフィルム基材は太陽光制御窓カバーとして記載されてきた。例えば、米国特許第5,518,810号明細書を参照すること。金属酸化物粒子は触圧接着剤の薄層により窓カバーとして窓に接着させてもよい。例えば、米国特許第6,191,884号明細書、米国特許第6,261,684号明細書および米国特許第6,528,156号明細書を参照すること。
【0013】
六ホウ化ランタンは、商業的意義を達成した赤外線吸収性無機化合物のもう1つの例である。六ホウ化ランタンは、例えば、アンチモン錫酸化物およびインジウム錫酸化物などの他の赤外線吸収性無機ナノ粒子より効率的であることが報告されている。従って、同等の太陽光制御性能を比較的低いナノ粒子レベルで得ることが可能である。
【0014】
六ホウ化ランタンで被覆された幾つかのフィルム基材は、太陽光制御窓カバーとして記載されてきた。例えば、米国特許第6,060,154号明細書、米国特許第6,221,945号明細書、米国特許第6,277,187号明細書、米国特許第6,319,613号明細書および欧州特許第1008564号明細書を参照すること。さらに、六ホウ化ランタンは、窓カバーのハードコート層の中でアンチモン錫酸化物およびインジウム錫酸化物と組み合わせて用いられてきた。例えば米国特許第6,663,950号明細書参照。
【0015】
しかし、窓カバーには、老化と、例えばクリーニングなどの環境応力に対して不安定であるという欠点がある。窓カバーは、経時的にフィルム上で引掻または応力割れを発現する場合がある。窓カバーは泡も形成する場合があるか、あるいは別段に例えば湿気、熱またはその両方から窓への粘着力の部分欠如または全面欠如を発現する場合がある。
【0016】
従って、ナノ粒子はガラス積層物の高分子中間層に導入されてきた。一般に、ナノ粒子は、可塑剤、溶媒またはもう1種の液体などのビヒクル中の分散液として高分子材料に導入される。あるいは、超微細金属酸化物粒子は、赤外線吸収中間層のために望まれる最終濃度で高分子溶融物に直接導入されてきた。例えば、米国特許第5,830,568号明細書、米国特許第6,315,848号明細書、米国特許第6,329,061号明細書、米国特許第6,579,608号明細書、米国特許第6,506,487号明細書、米国特許第6,620,477号明細書、米国特許第6,686,032号明細書、米国特許第6,632,274号明細書、米国特許第6,673,456号明細書および米国特許第6,733,872号明細書、米国特許出願公開第2004/0071957号明細書および米国特許出願公開第2004/0028920号明細書ならびに国際公開第02/060988号パンフレットを参照すること。高分子中間層へのナノ粒子の添加は、これらの積層物を製造するプロセスを必然的に複雑にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、高周波送信を妨害せずに赤外線エネルギーの透過率を減らす新規デバイスを提供することが必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は太陽光制御フィルムと高分子シートとを含む太陽光制御積層物を提供する。太陽光制御フィルムは、赤外線吸収性無機ナノ粒子と、高分子フィルムにナノ粒子を結合するように機能するマトリック材料とを含む塗料で少なくとも部分的に被覆された高分子フィルムを含む。好ましくは、高分子フィルムは二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムである。好ましくは、無機ナノ粒子は、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB6)またはそれらの混合物のナノ粒子を含む。
【0019】
一実施形態において、高分子シートは、ASTM方法D−638によって測定した時に約20,000psi(138MPa)以下の弾性率を有する材料を含む。好ましくは、この実施形態において、高分子シートは、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)またはポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)とポリ(ビニルブチラール)との組み合わせを含む。
【0020】
第2の実施形態において、高分子シートは、ASTM方法D−638によって測定した時に約20,000psi(138MPa)〜約100,000psi(690MPa)の弾性率を有する材料を含む。好ましくは、この実施形態において、高分子シートは、エチレン酸コポリマー組成物またはエチレン酸コポリマー組成物から誘導されたイオノマーを含む。
【0021】
高分子フィルムは、約0.1ミル(0.003mm)〜約10ミル(0.25mm)の厚さを有する。高分子シートは約10ミル(0.25mm)以上の厚さを有する。
【0022】
任意に、太陽光制御積層物は、例えばガラスシートなどの硬質シートも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書の中の定義は、特定の場合に特に限定されない限り本明細書全体を通して用いられる用語に適用する。
【0024】
以後用いられる「ナノ粒子」という用語は赤外線吸収性無機ナノ粒子を意味する。
【0025】
本明細書で用いられる「太陽光制御」という用語は、太陽によって放出される放射線のあらゆる波長の強度の減少に関連する。好ましくは、本発明において、赤外線波長または近赤外線波長の強度は減少する。同様に好ましくは、可視光波長の強度は実質的に不変である。有利には、これらの2つの好ましい条件下で、熱の伝達は減少する一方で、視覚透明性は維持され、着色物体の外観は実質的にひずまない。
【0026】
本明細書で用いられる「(メタ)アクリル酸」という用語は、アクリル酸またはメタクリル酸、あるいはアクリル酸とメタクリル酸との混合物を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸またはアクリル酸とメタクリル酸との混合物の塩またはエステルを意味する。
【0027】
本明細書で用いられる「有限量」および「有限値」は、零に等しくない量または値を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータおよび他の量および特性が厳密でなく、且つ厳密である必要がなく、公差、換算係数、丸めおよび測定誤差ならびに当業者に対して明らかである他のファクターを反映して、必要に応じて近似および/またはより大きいかまたはより小さくてもよいことを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータまたは他の量あるいは特性は、そのように明示的に規定されているか否かを問わず「約」または「近似」である。
【0029】
本明細書で単独で用いられる時、「または」という用語は包含的である。より詳しくは、「AまたはB」という言葉は、「A、BまたはAとBの両方」を意味する。排他的「または」は、例えば「AまたはBのいずれか」および「AまたはBの一方」などの用語によって本明細書で呼ばれる。
【0030】
本明細書で記載されたすべての百分率、部および比率などは、特定の場合に別段に限定されない限り重量による。
【0031】
さらに、本明細書で記載された範囲は、特に明示的な指定がない限り範囲の終点を含む。さらに、量、濃度または他の値あるいはパラメータが、範囲、1つ以上の好ましい範囲または好ましい上方値と下方値のリストとして与えられる時、これは、あらゆる上方範囲限界または好ましい上方値とあらゆる下方範囲限界または好ましい下方値のあらゆる対から形成されたすべての範囲を詳しく開示しているとして、こうした対が別個に開示されたか否かに無関係に理解されるべきである。
【0032】
本発明の太陽光制御積層物は太陽光制御フィルムと高分子シートとを含む。太陽光制御フィルムおよび高分子シートは、それらが隣接するようにまたは好ましくは接触するように互いに直接積層される。特定の好ましい実施形態において、太陽光制御積層物は太陽光制御フィルムおよび高分子シートから本質的になる。
【0033】
太陽光制御フィルムは高分子フィルムとナノ粒子含有塗料とを含む。高分子フィルムは、その側面の一面または両面の上にナノ粒子含有塗料によって少なくとも部分的に被覆される。
【0034】
本質的にいかなるポリマーも高分子フィルムの中で有用性を見つける場合がある。好ましくは、高分子フィルムは透明である。高分子フィルムのために好ましい材料には、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、環式ポリオレフィン、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、スチレンアクリレートコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ナイロン、ポリ(ウレタン)、アクリリック、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、塩化ビニルポリマー、ポリフッ化ビニルおよびポリフッ化ビニリデンが制限なく挙げられる。より好ましくは、高分子フィルムは二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムである。
【0035】
高分子フィルムの厚さは、好ましくは約1ミル(0.003mm)〜約10ミル(0.25mm)、より好ましくは約0.5ミル(0.013mm)〜約8.0ミル(0.20mm)の範囲である。一般に、高分子フィルムの厚さは重要ではなく、用途の特定の要件に応じて変えてもよい。しかし、自動車ウィンドシールドに関しては、高分子フィルムの厚さは、好ましくは約1ミル(0.025mm)〜約4ミル(0.1mm)の範囲内である。
【0036】
高分子フィルムは、好ましくは溶液キャスティング、押出キャスティングまたはブローフィルム押出によって形成される。多層フィルムも本発明において用いるために適する。任意に、層の少なくとも1層はナノ粒子を含む。多層フィルム構造は多層シートのために以下で記載する手段によって形成してもよい。しかし、多層フィルム構造は押出キャスティングプロセスまたはブローフィルム押出プロセスを通して一般に製造される。
【0037】
フィルム特性は、特定の添加剤および充填剤を高分子組成物に添加することによってさらに調節してもよい。適する添加剤、充填剤およびレベルは、高分子シートのために以下で記載される通りである。さらに、高分子フィルムは高分子シートと同じポスト押出操作で処理してもよい。
【0038】
好ましくは、高分子フィルムの一面または両面は粘着力を強化するために処理される。この処理は、接着剤、シランを含むプライマ、火炎処理、プラズマ処理、電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、高温空気処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理、溶媒処理およびそれらの組み合わせを制限なく含むのに適するいかなる形態も取ってよい。接着剤およびプライマはフィルムのために好ましい処理である。
【0039】
本質的にいかなる接着剤も本発明において用いるために適する。好ましい接着剤の特定の例には、ガンマ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピル−トリメトキシシランおよびそれらの混合物が制限なく挙げられる。市販されている好ましい接着剤には、例えば、コネチカット州WiltonのGE Silicones−OSi Specialtiesから入手でき、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランであると考えられるSilquest(商標)A−1100シラン、およびミシガン州MidlandのDow Corning Corporationから入手できるZ−6020(商標)シランが挙げられる。接着剤は、溶融プロセスを通して、または溶液被覆、エマルジョン被覆および分散被覆などの被覆プロセスを通して被着させてもよい。
【0040】
同様に、本質的にいかなるプライマも本発明において用いるために適する。好ましいプライマには、ポリアリルアミン系プライマが挙げられる。1種のポリアリルアミン系プライマおよびポリ(エチレンテレフタレート)高分子フィルムへのその塗布は、米国特許第5,411,845号明細書、米国特許第5,770,312号明細書、米国特許第5,690,994号明細書および米国特許第5,698,329号明細書に記載されている。より好ましくは、高分子フィルムの両面はプライマで被覆される。
【0041】
接着剤またはプライマを用いる時、当業者は、ポリマーフィルム、接着剤またはプライマの組成に基づいて、そして被覆プロセスに基づいて適切な被膜厚さおよびプロセスパラメータを特定することができる。
【0042】
塗料は赤外線吸収性無機ナノ粒子およびマトリックス材料または結合剤を含む。ナノ粒子は、好ましくは、金属、金属含有化合物、金属含有複合材または金属、金属含有化合物および金属含有複合材から選択された2種以上の物質の混合物を含む。適する金属には、錫、亜鉛、ジルコニウム、鉄、クロム、コバルト、セリウム、インジウム、ニッケル、銀、銅、白金、マンガン、タンタル、タングステン、バナジウム、アンチモンおよびモリブデン、ランタンおよびアクチニドが制限なく挙げられる。適する金属含有化合物には、酸化物、ホウ化物、窒化物、オキシ窒化物、燐酸塩および硫化物が制限なく挙げられる。適する金属含有複合材には、少なくとも1種のドーピング物質でドープされた金属および少なくとも1種のドーピング物質でドープされた金属含有化合物が挙げられる。適するドーピング物質には、アンチモン、アンチモン化合物、フッ素、フッ素化合物、錫、錫化合物、チタン、チタン化合物、珪素、珪素化合物、アルミニウムおよびアルミニウム化合物が制限なく挙げられる。
【0043】
金属ホウ化物には、ランタニドシリーズ六ホウ化物、六ホウ化ストロンチウムおよび六ホウ化カルシウム、ならびにチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンのホウ化物およびそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
好ましくは、ナノ粒子は、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB6)またはそれらの混合物、すなわち、これらの好ましいナノ粒子のいずれか2種または3種全部の混合物を含む。
【0045】
アンチモン錫酸化物は、アンチモンドープ錫酸化物または比較的少量のアンチモン酸化物を含む錫酸化物として表現することが可能である。アンチモンの量は、アンチモン錫酸化物の全重量を基準にして好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約5重量%〜約15重量%の範囲内である。約8重量%〜約10重量%の範囲内でアンチモン酸化物によりドープされた錫酸化物はさらにより好ましい。
【0046】
それに反して、インジウム錫酸化物は、錫ドープインジウム酸化物または比較的少量の錫酸化物を含むインジウム酸化物として表現することが可能である。錫の量は、錫原子およびインジウム原子の合計を基準にして好ましくは約1〜約15原子%、より好ましくは約2〜約12原子%の範囲内である。別案として規定すると、ITO粉末中の錫含有率のモル分率(モルSn)/[(モルSn)+(モルIn)]は、好ましくは約0.01〜約0.15である。より好ましくは、錫含有率のモル分率は約0.02〜約0.12である。
【0047】
適するナノ粒子は、約200ナノメートル(nm)未満の公称粒子サイズまたは平均粒子サイズを有する。好ましくは、ナノ粒子は約100nm未満の公称粒子サイズを有する。より好ましくは、ナノ粒子は約50nm未満の公称粒子サイズを有する。さらにより好ましくは、ナノ粒子は約30nm未満の公称粒子サイズを有する。より好ましくは、ナノ粒子は約1nm〜約20nmの範囲内の公称粒子サイズを有する。
【0048】
ナノ粒子は、耐水性、熱酸化安定性および分散性などの特性を改善するために、シラン化合物、チタン化合物またはジルコニウム化合物で表面処理してもよい。
【0049】
塗料のナノ粒子の量は、塗料の全重量を基準にして約0.01〜約80重量%、好ましくは約0.01〜約60重量%、より好ましくは約0.01〜約40重量%、なおより好ましくは約0.1〜約20重量%である。当業者は、ナノ粒子の最適量が塗料を形成するために用いられる特定の材料および用いられるプロセスに応じて異なることを認めるであろう。
【0050】
塗料のマトリックス樹脂の量は、100%と塗料のナノ粒子の量との間の差に一般に近い。当業者は特定の添加剤が塗料の固形物含有率の一因となることを知っている。しかし、これを条件として、塗料のマトリックス樹脂のレベルは、塗料の全重量を基準にして約20〜約99.99重量%、好ましくは約40〜約99.99重量%、より好ましくは約60〜約99.99重量%、なおより好ましくは約80〜約99.9重量%の範囲であってもよい。
【0051】
ナノ粒子は、気相分解法、プラズマ気化法、アルコキシド分解法、共沈法および熱水法を含むのに適するいかなる方法を通しても製造してよい。
【0052】
ナノ粒子を導入するマトリックス材料または結合剤は有機または無機であってもよい。マトリックス材料は、ポリマー、反応性オリゴマー、反応性プレポリマー、反応性モノマーおよびそれらの混合物を含んでもよい。好ましくは、マトリックス材料は透明である。
【0053】
本質的にいかなるポリマーもマトリックス材料として有用性を見つける場合がある。好ましくは、マトリックス材料は高分子であり、より好ましくは、マトリックス材料はフィルム形成用ポリマーを含む。好ましい高分子マトリックス材料には、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂、フッ素含有樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリ(ビニルブチラール)樹脂、ポリ−4−メチルペンテン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、オレフィンポリマーおよびコポリマー、ポリ(エチレン−co−n−ブチルアクリレート−co−グリシジルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−メチルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−エチルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−ブチルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−(メタ)アクリル酸)、ポリ(エチレン−co−(メタ)アクリル酸)の金属塩、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)、ポリ(環式オレフィン)、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピルテレフタレート)、ポリ(エチレン−co−1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリ(塩化ビニル)組成物、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ(ビスフェノールAカーボネート)、ポリスルフィド、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエーテル、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリスルホン樹脂、澱粉、澱粉誘導体、変性澱粉、熱可塑性澱粉、セルロース、セルロース誘導体、変性セルロース、セルロースエステル、セルロース混合エステル、セルロースエーテル、それらのコポリマーおよびそれらの混合物が制限なく挙げられる。
【0054】
好ましくは、ナノ粒子は、塗料を形成させるために溶融マトリックス材料をナノ粒子および任意の他の成分に高剪断混合することにより高分子マトリックス材料に分散される。高剪断混合は、スタチックミキサ、ゴムミル、ブラベンダーミキサ、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機および加熱二本ロール機または非加熱二本ロール機によって提供してもよい。マトリックス材料は、あらゆる混合工程の前に乾燥させてもよい。その後、マトリックス材料は、典型的には「ペレットブレンド」と呼ばれるドライブレンドとして、ナノ粒子および任意の他の成分に混合してもよい。あるいは、マトリックス材料およびナノ粒子は、2つの異なるフィーダを通して共フィードしてもよい。押出プロセスにおいて、マトリックス材料およびナノ粒子は、典型的には、押出機の背部フィード区画にフィードされる。しかし、これを限定と考えるべきではない。マトリックス材料およびナノ粒子は、押出機の2つの異なる位置にフィードしてもよい。例えば、ナノ粒子をダイプレート付近で押出機の前面にフィードしつつマトリックス材料を押出機の背部フィード区画に添加してもよい。あるいは、ナノ粒子は、コンセントレートを形成させるために、例えばボールミル粉砕によって溶媒または可塑剤に分散または懸濁させてもよい。その後、コンセントレートは、強い溶融混合プロセスを通してマトリックス材料に添加される。一般に、マトリックス材料の溶融加工温度は約50℃〜約300℃の範囲内である。厳密な加工条件はマトリックス材料の化学的種類に応じて異なる。
【0055】
他の塗料配合物も本発明において用いるために適する。被膜は例えば塗料溶液の塗布から生じてもよい。「塗料溶液」という用語は、1種以上のポリマー溶液、1種以上のエマルジョンポリマー、または1種以上のポリマー溶液と1種以上のエマルジョンポリマーの混合物に分散または懸濁させたナノ粒子を包含する。
【0056】
塗料溶液は、結合剤を溶解させるか、部分的に溶解させるか、分散させるか、または懸濁させる1種以上の溶媒を含んでもよい。溶媒または溶媒ブレンドは、マトリックス樹脂の溶解度のような特性、得られた塗料溶液の表面張力および塗料溶液の蒸発速度、用いられるべきナノ粒子の極性および表面特性、あらゆる分散剤および他の添加剤の化学的性質、塗料の粘度、および塗料の表面張力とフィルム材料の表面エネルギーとの適合性を考慮することにより選択される。溶媒または溶媒ブレンドは結合剤材料に対して化学的に不活性でもあるべきである。
【0057】
有用な溶媒の特定の例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブチルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、パラ−t−ブチルベンジルアルコール、アミルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ホロン、イソホロン、エチレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジグリム、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシプロピルアセテート、グリコール酸−n−ブチルエステル、炭酸プロピレン、石油ナフサ、n−ブタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、溶媒ナフサ、N−メチル−2−ピロリドン、水、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、オクタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエタノールアミン、高沸点石油炭化水素およびそれらの混合物が制限なく挙げられる。
【0058】
塗料溶液内の好ましいマトリックス樹脂使用量は、塗料溶液の全重量を基準にして約0.1〜約40重量%の範囲内である。当業者は特定の添加剤が塗料溶液中に存在してもよいことを知っている。しかし、これを条件として、塗料溶液中の溶媒の量は、塗料溶液の全重量を基準にして好ましくは約60〜約99.9重量%の範囲内である。
【0059】
当業者は被膜の厚さが塗料溶液中の溶媒の量に応じてある程度異なることを知っている。当業者は、塗料溶液中のナノ粒子の量が塗料溶液中の結合剤および溶媒の量によって、そして被膜中で望まれるナノ粒子の量によって主として決定されることも知っている。
【0060】
塗料溶液を調製するために、ポリマー溶液全体を通してナノ粒子を均質に分配するためにナノ粒子、マトリックス樹脂、任意の添加剤および溶媒は混合される。あるいは、マトリックス樹脂およびナノ粒子はコンセントレートを形成させるために一緒に混練してもよく、コンセントレートは次に国際公開第01/00404号パンフレットおよび米国特許第5,487,939号明細書に記載されたように溶媒に添加してもよい。塗料溶液がどのように形成されるかに無関係に、塗料溶液は、ボールミル粉砕、ロール粉砕、サンドグラインダ粉砕を通してなど、あるいはペイントシェーカー、ニーダー、溶解機または超音波分散機を用いることにより粉砕して、ナノ粒子を解凝集させてもよい。
【0061】
あるいは、ナノ粒子含有塗料は、1種以上のラジカル重合性モノマーおよび/またはオリゴマーを含む化学線硬化性塗料であってもよい。適する放射線硬化性マトリックス材料は例えば米国特許第5,504,133号明細書に記載されている。
【0062】
放射線硬化性マトリックス組成物は、好ましくは少なくとも1種の光開始剤も含有する。有用な光開始剤の例には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルスルフィド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノ−フェニル)ブタノン−1,2−メチル−1,4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モノホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、o−ベンゾイルエチルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタンアンモニウム(methanaminuim)ブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−ジクロロチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルベンゾイルオキシドおよびそれらの混合物が挙げられる。さらに、アミン化合物、例えば、N,N−ジメチルパラトルイジンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンまたはベンゾペリレン、1,8−ジフェニル−1,3,5,7−オクタテトラエンおよび1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエンなどの少なくとも1種の促進剤または増感剤も用いてよい。
【0063】
あるいは、ナノ粒子含有塗料は、米国特許第6,191,884号明細書に記載されたように光カチオン硬化性マトリックス材料を含んでもよい。一般に、光カチオン硬化性マトリックス材料はエポキシド材料および/またはビニルエーテル材料である。エポキシ樹脂およびビニルエーテル樹脂のために適するカチオン光開始剤には、欧州特許第153904号明細書および国際公開第98/28663号パンフレットで開示されているような弱い求核性のアニオンを有するオニウム塩、ハロニウム塩、ヨードシル塩またはスルホニウム塩、欧州特許第35969号明細書、欧州特許第44274号明細書、欧州特許第54509号明細書および欧州特許第164314号明細書に記載されたようなスルホキソニウム塩、あるいは米国特許第3,708,296号明細書および米国特許第5,002,856号明細書に記載されたようなジアゾニウム塩が挙げられる。他のカチオン光開始剤は、欧州特許第94914号明細書および欧州特許第94915号明細書に記載されたようなメタロセン塩である。光カチオン開始剤の特定の例には、混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(例えば、ミシガン州MidlandのDow Chemical Co.の完全所有子会社であるUnion Carbide Companyから入手できるCyracure(商標)UVI−6974およびCyracure(商標)UVI−6990)、テトラフルオロボレートなどのジアリールヨードニウム塩、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネートおよびヘキサフルオロアンチモネート塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロボレートなどのトリアリールスルホニウム塩、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、およびトリフェニルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモネート塩、4−t−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、および4−チオフェニルトリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
1種以上の光開始剤および/または光カチオン開始剤は、塗料組成物の全重量を基準にして約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15.0重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10.0重量%の合計レベルで組成物に添加してもよい。
【0065】
あるいは、ナノ粒子含有塗料組成物は加熱プロセスを通して硬化させてもよい。加熱プロセス系硬化を望む時、光開始剤の代わりに塗料組成物中にアゾビスイソブチロニトリルなどの適切なラジカル重合開始剤を導入することが好ましい。好ましい熱硬化性結合剤には、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂およびそれらの混合物などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0066】
放射線硬化性塗料組成物および熱硬化性塗料組成物は適するいかなるプロセスによっても製造してよい。典型的なプロセスは、従来の塗料溶液のために上述したプロセスに似ている。
【0067】
好ましくは、マトリックス材料は、太陽光制御フィルムの柔軟性を落とさないように有機である。マトリックス材料は無機であってもよい。例えば、マトリックスは、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンおよびそれらの混合物のアルコキシドの加水分解を通して製造してもよい。アルコキシド基は、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、s−ブトキシド、t−ブトキシドおよびそれらの混合物であってもよい。好ましい金属メトキシドの特定の例には、シリコンテトラエトキシド(エチルシリケートまたはTEOS)、アルミニウムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドおよびチタンテトライソプロポキシドが挙げられる。これらの金属アルコキシドは、ほぼ化学量論量の水を含有するアルコールに溶解させた時に、高分子フィルム上にキャスティングしてもよく、そして乾燥プロセス中に、対応する金属酸化物を含む透明無機被膜を形成させる。酸触媒または塩基触媒および/または熱の利用は加水分解を引き起こすために必要である場合がある。しかし、TEOSは純水中で適切な速度で加水分解する場合がある。無機塗料組成物は、無機アルコキシドの添加の前または後でアルコール混合物にナノ粒子を分散させることにより調製することが可能である。任意に、塗料組成物は1種以上の他の適切な溶媒で希釈してもよい。
【0068】
被膜は、好ましくは0.25mm(10ミル)以下の厚さ、より好ましくは約0.025mmと約0.15mm(1ミルと6ミル)の間の厚さである。しかし、より厚い被膜を約0.50mm(20ミル)以上の厚さに至るまで形成させることが可能である。
【0069】
高分子フィルムは適するいかなる被覆プロセスによっても被覆してよい。押出は高分子フィルムを被覆する特に好ましい方法である。基材上への塗料の溶融押出は、例えば、米国特許第5,294,483号明細書、米国特許第5,475,080号明細書、米国特許第5,611,859号明細書、米国特許第5,795,320号明細書、米国特許第6,183,814号明細書および米国特許第6,197,380号明細書に記載されている。典型的なプロセスにおいて、薄い未完成の溶融塗料は押出機のダイから出、高分子フィルム基材上に引き落とされ、ダイ下に直接位置するゴム表面を有するチルロールと圧力ロールとの間のニップに入れる。高分子フィルム基材の非被覆側は、一般に、圧力ロールに接触し、基材のポリマー被覆側はチルロールに接触する。これらの2つのロール間の圧力は、塗料を高分子フィルム基材上に押し付け、塗料を所望の厚さに引落とす。その後、被覆された高分子フィルム基材をスリッターに通して縁をトリムしてもよい。その後、被覆されたフィルムは、後の一切の変形を最少にするような方式で巻取られる。
【0070】
あるいは、塗料溶液は高分子フィルム上にキャスティングしてもよく、そして乾燥させて太陽光制御フィルムを形成させてもよい。溶液キャスティングは、一般に、溶融押出より一定した被膜厚さをもたらす。典型的なプロセスにおいて、塗料溶液を濾過して塵または大粒子を除去し、移動するプリフォーム高分子フィルム基材上にスロットダイからキャスティングし、乾燥させ、必要ならば冷却する。キャスティング直後の塗料溶液厚さは、塗料溶液中の溶媒の量に応じて最終被膜の厚さの典型的には5倍〜10倍である。その後、被膜は押出被覆に似た方式で仕上げてもよい。
【0071】
ナノ粒子含有塗料を形成させるのに適する他の方法には、ローリング、スプレッデエィング、ブラシ掛け、流し込み、スピナーの使用、バー被覆、浸漬被覆、Meirバー、ドクターブレード、Dahlgren、スプレー被覆およびエアーナイフ技術が制限なく挙げられる。塗料は、適するいずれかのプロセス、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、セリグラフィ、リトグラフィまたはロール被覆プロセスによって高分子フィルム上に印刷してもよい。プロセスは、例えば、溶液キャスティングとそれに続くドクターブレードによる厚さ調節のような組み合わせで用いてもよい。これらの被覆方法のどれも任意に乾燥工程が後に続いてもよい。
【0072】
本発明の太陽光制御フィルムまたは太陽光制御積層物は、外側高分子層を引掻き、磨耗および類似の損傷から保護するために一面または両面の上に紫外線(UV)硬化性樹脂から形成されたハードコート層も有してよい。適するいかなるハードコート配合物も用いてよい。好ましい1つのハードコートは米国特許第4,027,073号明細書に記載されている。ハードコートは更なる添加剤を導入してもよいか、または望ましい他の特性を提供するために変性してもよい。高い耐引掻性は、可視光線の透過率に実質的に影響を及ぼさないSiO2、TiO2、ZrO2、Al23またはMgOの微細粒子の添加によって提供される。防曇特性は、湿潤剤として機能することが可能である親水性モノマー、オリゴマーまたは界面活性剤の使用によって提供される。高い光沢は、Asahi DenkaKogyo K.K.Companyから入手できるADEKA OPTMER(商標)KR−567の使用によって提供される。水蒸気バリア特性または耐極性溶媒性は、珪素またはフッ素を含有するモノマー、オリゴマーまたは樹脂によって提供される。
【0073】
本発明において用いるために適する特定の太陽光制御フィルムは市販されている。1つの例は、マトリックス材料に分散させ、二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム上に被覆された約10nmの公称粒子サイズを有するアンチモン錫酸化物ナノ粒子を含むと考えられるRaybarrier(商標)(Sumitomo Osaka Cement Company,Chiba,Japan)太陽光制御フィルムである。幾つかのRaybarrier(商標)太陽光制御フィルムは、耐磨耗性を改善するためにハードコートでも被覆されている。Raybarrier(商標)太陽光制御フィルムの報告された典型的な光学特性は、例えば、78.9%の可視光線透過率、66.0%の太陽光線透過率、8.4%の太陽光線反射率、0.4%のUV透過率および0.8の遮蔽係数である。本発明において用いるために適する市販太陽光制御フィルムのもう1つの例は、マトリックス材料に分散させ、二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム上に被覆されたインジウム錫酸化物ナノ粒子を含むと考えられるSoftLook(商標)太陽光制御フィルム(Tomoegawa Paper Company,Ltd.,Tokyo,Japan)である。幾つかのSoftLook(商標)太陽光制御フィルムは、耐磨耗性を改善するためにハードコートでも被覆されており、幾つかは接着剤の外層を有する。SoftLook(商標)太陽光制御フィルムの報告された典型的な光学特性は、例えば、85.80%の可視光線透過率、68.5%の太陽光線透過率、7.9%の太陽光線反射率および0.86の遮蔽係数を含む。SoftLook(登録商標)太陽光制御フィルムの特定のグレードは、SoftLook(商標)UV/IR25太陽光制御フィルムおよびSoftLook(商標)UV/IR50太陽光制御フィルムを含む。本発明において用いるために適する市販太陽光制御フィルムのなおもう1つの例は、六ホウ化ランタンナノ粒子を導入している「KH」(Sumitomo Metal Mining Company,Tokyo,Japan)太陽光制御フィルムである。
【0074】
高分子シートは、好ましくは、耐破壊性または貫通強度、ガラスへの粘着力および透明性などの、安全ガラス中間層の1つ以上の一般に認められた特性に寄与する。適する高分子シートは、約10ミル(0.25mm)以上、好ましくは約15ミル(0.38mm)以上の厚さを有する。一般に、貫通強度はシートの厚さが増加するにつれて増加する。従って、強化された貫通強度を必要とする用途において太陽光制御積層物を用いようと意図する時、高分子シートは、約30ミル(75mm)以上、より好ましくは約50ミル(1.25mm)以上の厚さを有する。その厚さが60ミル(1.50mm)、90ミル(2.25mm)または120ミル(3.00mm)より高い高分子シートも本発明において用いるために適し、優れた貫通強度を必要とする用途において好ましい。
【0075】
一実施形態において、高分子シートは、ASTM方法D−638によって測定した時に約20,000psi(138MPa)以下、好ましくは約15,000psi(104MPa)以下の弾性率を有する材料を含む。
【0076】
この実施形態の高分子シートのための材料には、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、エチルアクリルアセテート(EM)、エチルメタクリレート(EMAC)、メタロセン触媒ポリエチレン、可塑化ポリ(塩化ビニル)、ISD樹脂、ポリウレタン、防音変性ポリ(塩化ビニル)、可塑化ポリ(ビニルブチラール)、防音変性ポリ(ビニルブチラール)およびそれらの組み合わせが挙げられる。これらの材料の各々の弾性率は米国特許第6,432,522号明細書に記載されている。リサイクル高分子材料をバージン高分子材料のために完全代替または部分代替において用いてもよい。ポリ(ビニルブチラール)およびポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)は好ましい材料である。
【0077】
周知された方法によって合成してもよいポリ(ビニルブチラール)は、低角度レーザ光散乱を用いるサイズ排除クロマトグラフィによって測定した時、約30,000〜約600,000ダルトン(D)、好ましくは約45,000〜約300,000D、より好ましくは約200,000〜300,000Dの重量平均分子量を有する。好ましいポリ(ビニルブチラール)材料は、約5〜約30%、好ましくは約11〜約25%、より好ましくは約15〜約22%の、ポリビニルアルコール(PVOH)として計算されたヒドロキシル基を重量基準で含む。さらに、好ましいポリ(ビニルブチラール)材料は、約10モル%以下の有限量、好ましくは約3モル%以下の有限量、ポリビニルエステル、典型的にはアセテート基として計算されたエステル残基を導入しており、残りはブチルアルデヒドアセタールである。ポリ(ビニルブチラール)は、米国特許第5,137,954号明細書に記載されたようにブチラール以外のアセタール基、例えば2−エチルヘキサナールを僅少量だけ導入してもよい。
【0078】
好ましくは、ポリ(ビニルブチラール)は少なくとも1種の可塑剤を含有する。可塑剤およびレベルの選択は、特定のポリ(ビニルブチラール)樹脂および望まれる特性に応じて異なる。適する可塑剤は、例えば、米国特許第3,841,890号明細書、米国特許第4,144,217号明細書、米国特許第4,276,351号明細書、米国特許第4,335,036号明細書、米国特許第4,902,464号明細書および米国特許第5,013,779号明細書ならびに国際公開第96/28504号パンフレットに記載されている。好ましい可塑剤は、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、オリゴエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘプチルアジペートとノニルアジペートとの混合物、ジブチルセバケート、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフィット、油変性セバシドアルキッドなどの高分子可塑剤およびホスフェートとアジペートとの混合物、ならびにアジペートとアルキルベンジルフタレートとの混合物である。樹脂100部当たり一般に可塑剤約15〜約80部の間、樹脂100部当たり好ましくは可塑剤約25〜約45部が用いられる。この後者の濃度範囲は、17〜25重量%のビニルアルコールを含有するポリ(ビニルブチラール)樹脂のために一般に適切である。
【0079】
ポリ(ビニルブチラール)はガラス硬質層と高分子シートとの間の結合の強度を調節するために1種以上の粘着力制御添加剤も含んでもよい。粘着力制御添加剤は、一般に、有機酸と無機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。好ましくは、粘着力制御添加剤は、2〜16個の炭素原子を有する有機カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。より好ましくは、粘着力制御添加剤は、2〜16個の炭素原子を有する有機カルボン酸のマグネシウム塩またはカリウム塩である。粘着力制御添加剤の特定の例には、例えば、酢酸カリウム、蟻酸カリウム、プロパン酸カリウム、ブタン酸カリウム、ペンタン酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、2−エチル酪酸カリウム、ヘプタン酸カリウム、オクタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、酢酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、プロパン酸マグネシウム、ブタン酸マグネシウム、ペンタン酸マグネシウム、ヘキサン酸マグネシウム、2−エチル酪酸マグネシウム、ヘプタン酸マグネシウム、オクタン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウムおよびそれらの混合物が挙げられる。粘着力制御添加剤は、高分子シート組成物の全重量を基準にして約0.01〜約0.5重量%の範囲内で典型的に用いられる。
【0080】
ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂も、この実施形態の高分子シートの中で用いるために好ましい。適するポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂は、樹脂の全重量を基準にして約10〜約50重量%の間、好ましくは約20〜約40重量%の間、より好ましくは約25〜約35重量%の間の酢酸ビニルレベルを有する。適する幾つかの樹脂は、Japan,TokyoのBridgestone Corporation,テキサス州HoustonのExxon Mobil Chemical Corp.およびデラウェア州WilmingtonのE.I.du Pont de Nemours & Co.から得てもよい。
【0081】
ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂は、1種以上の他の不飽和コモノマーを導入してもよい。好ましくは、他の不飽和コモノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明のエチレンコポリマーは、存在する時、樹脂の全重量を基準にして約50重量%以下の有限量、好ましくは約25重量%以下の有限量の他の不飽和コモノマーを導入してもよい。しかし、より好ましくは、他の不飽和コモノマーは有意なレベルで存在しない。
【0082】
上述した可塑剤のいずれかをポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂と合わせて用いてもよい。一般に、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂組成物内の可塑剤レベルは、可塑化組成物の全重量を基準にして約5重量%を超えない。
【0083】
ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂組成物は、好ましくは、ポリマーのメルトフローを減らす1種以上の添加剤も導入する。有利には、これらの添加剤を含む高分子材料は、難燃性中間層として機能する場合がある。積層物から溶融し流れ出る低い傾向が火により接近できない燃料を提供するからである。付随して、これらの添加剤は、本発明の組成物が有用である温度の上限を典型的には約20〜70℃だけ上げる。メルトフロー減少添加剤の特定の例には、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、アルファ,アルファ’−ビス(t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシドおよびそれらの混合物組み合わせが制限なく挙げられる。好ましくは、有機過酸化物は、約100℃以上の温度で分解してラジカルを発生させる。より好ましくは、有機過酸化物は、ブレンディング操作のための改善された安定性を提供するために、約70℃以上で10時間の半減期を与える分解温度を有する。有機過酸化物は、シート組成物の全重量を基準にして約10重量%以下の有限量で存在してもよい。
【0084】
ジブチル錫ジラウレートなどの1種以上の開始剤を有機過酸化物と合わせて用いてもよい。開始剤が存在する時、開始剤は、エチレンコポリマー組成物の全重量を基準にして約0.05重量%以下の有限量で添加される。ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノンおよびメチルヒドロキノンなどの1種以上の開始剤は、反応の制御および安定性を強化するために有機過酸化物と合わせて添加してもよい。開始剤はエチレンコポリマー組成物の全重量を基準にして約5重量%未満のレベルで添加してもよい。
【0085】
あるいは、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂は光によって硬化させてもよい。この場合、有機過酸化物は光開始剤または光増感剤で置き換えてもよい。
【0086】
ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂組成物は、例えば、機械的強度、粘着力特性、透明性などの光学特性、耐熱性、耐光性および架橋の速度などの種々の特性の改善または調節のためにアクリロイル(オキシ)基、メタクリロイル(オキシ)基および/またはエポキシ基を含む材料も導入してよい。
【0087】
ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂組成物は、シートと太陽光制御フィルムとの間の結合またはシートと存在してもよい追加のあらゆる層との間の結合の接着強度を強化するためにシランカップリング剤も導入してよい。好ましいシランカップリング剤の特定の例には、例えば、ガンマ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、ガンマ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ガンマ−メルカプトプロピルメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびそれらの混合物が挙げられる。これらのシランカップリング剤材料は、好ましくは、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)樹脂組成物の全重量を基準にして約5重量%以下の有限量で用いられる。
【0088】
第2の実施形態において、高分子シートは、ASTM方法D−638によって測定した時に約20,000psi(138MPa)〜約100,000psi(690MPa)の弾性率を有する材料を含む。好ましくは、この実施形態において、高分子シートは、エチレン酸コポリマー組成物またはエチレン酸コポリマー組成物から誘導されたイオノマーを含む。
【0089】
適するエチレン酸コポリマーは、約20,000psi(138MPa)〜約100,000psi(690MPa)の弾性率を有する。弾性率は、ASTM方法D−638によって測定した時に好ましくは約25,000psi(173MPa)〜約100,000psi(690MPa)、より好ましくは、弾性率は、ASTM方法D−638によって測定した時に好ましくは約30,000psi(207MPa)〜約80,000psi(552MPa)である。適するエチレン酸コポリマーは、ポリマーの全重量を基準にして約0.1重量%〜約30重量%の1種以上のアルファ,ベータエチレン系不飽和酸コモノマー、好ましくは約10重量%〜約25重量%のアルファ,ベータエチレン系不飽和酸コモノマー、より好ましくは約15重量%〜約25重量%のアルファ,ベータエチレン系不飽和酸コモノマーも含む。当業者は、エチレンコポリマー中のアルファ,ベータエチレン系不飽和酸コモノマーのレベルがコポリマーのガラスへの粘着力に影響を及ぼすことを知っている。
【0090】
好ましいアルファ,ベータエチレン系不飽和酸コモノマーには、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびモノメチルマレイン酸が制限なく挙げられる。より好ましくは、アルファ,ベータエチレン系不飽和酸コモノマーは(メタ)アクリル酸である。
【0091】
エチレン酸コポリマーの酸基は、好ましくは、1種以上の金属カチオンで少なくとも部分的に中和されている。金属カチオンは、一価、二価または遙かにより高い原子価の金属カチオンであってもよい。好ましい一価イオンには、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀および銅のイオンが挙げられる。好ましい二価イオンには、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、錫、鉛、鉄、コバルト、ニッケルおよび亜鉛のイオンが挙げられる。好ましい三価イオンには、アルミニウム、スカンジウム、鉄およびイットリウムのイオンが挙げられる。遙かにより高い原子価の好ましいイオンには、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、クロム、セリウムおよび鉄のイオンが挙げられる。好ましくは、金属カチオンが三価またはより高い原子価である時、ステアレート基、オレート基、サリチレート基およびフェノレート基などの錯化剤は米国特許第3,404,134号明細書に記載されたように含まれる。ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムおよびナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛およびアルミニウムの2種以上の組み合わせのイオンは、より好ましい。ナトリウムイオン、亜鉛イオンおよびナトリウムイオンと亜鉛イオンとの混合物は、なおより好ましい。一般に、ナトリウムイオンは高い光学的クラリティに関連し、亜鉛イオンは高い耐水性に関連する。エチレンコポリマー中の好ましくは約0〜約100%、より好ましくは約10〜約100%、なおより好ましくは約20〜約80%の酸基が中和される。
【0092】
エチレン酸コポリマーは、任意に他のコモノマーを含有してもよい。好ましいコモノマーには、アルキル基が約20個以下の炭素を含む分岐部分または非分岐部分であるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル基は置換されてなくてもよく、または1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。好ましいアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチルアクリレート、t−ブチル、オクチル、ウンデシル、オクタデシル、ドデシル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、ラウリル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルが挙げられる。他の好ましいコモノマーには、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ジアルキルマレート(C1〜C4アルキル)、ジアルキルフマレート(C1〜C4アルキル)、ジメチルフマレート、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルなど、ならびにそれらの混合物が制限なく挙げられる。より好ましいコモノマーには、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルおよびメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸ビニルの2種以上の混合物が制限なく挙げられる。
【0093】
エチレン酸コポリマーが20,000psiを上回る弾性率を維持する限り、他のコモノマーは、エチレン酸コポリマーの全重量を基準にして約50重量%以下の有限量、より好ましくは約25重量%以下の有限量、なおより好ましくは約10重量%以下の有限量で存在してもよい。
【0094】
本発明において用いるために適するエチレン酸コポリマーは、例えば、米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、米国特許第6,500,888号明細書および米国特許第6,518,365号明細書に記載されているように重合され中和されてもよい。リサイクルエチレン酸コポリマーもバージン材料と一緒に、またはバージン材料の代わりに用いてよい。
【0095】
高分子シートは、本発明のフィルムおよびシートの加工性または最終機械的特性を改善するため、またはフィルムおよびシートのガラガラ音またはサラサラ音を減らすために添加してもよい1種以上の可塑剤も含むことが可能である。本質的にいかなる可塑剤も本発明において用途を見つける場合があり、上で論じた可塑剤のどれも用いてよい。
【0096】
高分子シートは上述したシランカップリング剤および少なくとも1種の分散剤も含むことが可能である。分散剤およびその濃度の選択は、ナノ粒子の表面特性、エチレンコポリマーの化学的性質およびナノ粒子を粉砕、懸濁または分散させるために用いられる技術を含む多くの要素に応じて異なる。本質的にいかなる分散剤も本発明の組成物内で有用性を見つける場合がある。分散剤を用いる時、分散剤は、ナノ粒子太陽光制御組成物の全重量を基準にして好ましくは約10重量%以下の有限量で存在する。
【0097】
上の実施形態のいずれかの高分子シートは、任意に、例えば、加工助剤、流動強化添加剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃性改良剤、結晶性を高める核剤、シリカなどの粘着防止剤、UV安定剤、熱安定剤、接着剤、プライマ、青味剤などの着色剤、架橋剤、硬化剤、pH調節剤、消泡剤、湿潤剤、酸化防止剤、スリップ剤および液体エラストマーなどの他の原料を含んでもよい。これらの添加剤の適するレベルおよびポリマー組成物に添加剤を導入する方法は当業者に対して入手可能である。例えば、「Modern Plastics Encyclopedia」、McGraw−Hill,New York,NY,1995を参照すること。
【0098】
上の実施形態のいずれかの高分子シートは有効量の熱安定剤を導入してもよい。本質的にいかなる熱安定剤も本発明において用いるために適する。熱安定剤の好ましい類には、フェノール酸化防止剤、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化ヒドロキノン、トコフェノール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミン酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アシルアミノフェノール、オキサミド、金属不活性剤、ホスフィット、ホスホナイト、ベンジルホスホネート、アスコルビン酸(ビタミンC)、過酸化物を分解する化合物、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオ相乗剤、ベンゾフラノン、インドリノンおよびそれらの混合物が制限なく挙げられる。1種以上の熱安定剤を用いる時、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約10.0重量%以下の有限量、より好ましくは約5.0重量%以下の有限量、なおより好ましくは約1.0重量%以下の有限量の熱安定剤を導入する。
【0099】
上の実施形態のいずれかの高分子シートは、有効量の1種以上のUV吸収剤を導入してもよい。本質的にいかなるUV吸収剤も本発明において用いるために適する。UV吸収剤の好ましい類には、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、置換安息香酸および非置換安息香酸のエステルならびにそれらの混合物が制限なく挙げられる。1種以上のUV吸収剤を用いる時、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約10.0重量%以下の有限量、より好ましくは約5.0重量%以下の有限量、なおより好ましくは約1.0重量%以下の有限量のUV吸収剤を導入する。
【0100】
上の実施形態のいずれかの高分子シートは、有効量の1種以上のヒンダードアミン光安定剤(HALS)を導入してもよい。本質的にいかなるヒンダードアミン光安定剤も本発明において用いるために適する。一般に、ヒンダードアミン光安定剤は、第二環式アミンまたは第三環式アミン、アセチル化環式アミン、N−ヒドロカルビルオキシ置換環式アミン、ヒドロキシ置換N−ヒドロカルビルオキシ置換環式アミンあるいはアミン官能基に隣接した炭素原子上の脂肪族置換から典型的に誘導された立体障害をさらに導入する他の置換環式アミンである。1種以上のヒンダードアミン光安定剤を用いる時、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは約10.0重量%の有限量、より好ましくは約5.0重量%以下の有限量、なおより好ましくは約1.0重量%以下の有限量のヒンダードアミン光安定剤を導入する。
【0101】
上の実施形態の両方の高分子シートは、押出、カレンダー加工、溶液キャスティングまたは射出成形などの技術上知られているいずれかのプロセスによって形成してもよい。押出方法は好ましい。これらのプロセスの各々に対するパラメータは、高分子材料の粘度特性およびシートの所望の厚さに応じて当業者が容易に決定することが可能である。
【0102】
高分子シート組成物の溶融加工温度は、好ましくは約50℃〜約300℃、より好ましくは約100℃〜約250℃である。好ましい材料は優れた熱安定性を有し、それは有効溶融粘度を下げるのに十分高い温度での加工を見越している。
【0103】
高分子シートは平滑な表面を有してもよい。好ましくは、高分子シートは、積層プロセス中に積層物の表面間から空気の殆どを効果的に除去することを可能にするために少なくとも1つの粗面を有する。押出シートの一方側または両方側の上の粗面は、ダイ開口の設計およびメルトフラクチャープロセスを通してのように押出物が通過するダイ出口表面の温度によって提供してもよい。粗化は、押出後にシートを機械的にエンボスするなどのポスト押出操作によって、またはシートの押出中のメルトフラクチャーによって実行してもよい。
【0104】
多くのシート形成方法および特に押出方法は、広い融通性のために様々なポスト押出操作と組み合わせることも可能である。こうしたポスト形成操作には、丸形状を卵形状に変える、異なる方向にフィルムをブローする、機械加工、打抜、延伸または配向、ローリング、カレンダー加工、被覆、エンボス、印刷およびビカット軟化点を高めるためのE−ビーム処理などの放射線照射が挙げられる。高分子組成、ポリマーを形成する方法およびシートを形成する方法と合わせたポスト押出操作は、クラリティ、収縮、引張強度、破断点伸び、衝撃強度、絶縁耐力および誘電率、引張弾性率、耐薬品性、融点、熱変形温度および粘着力などの多くの特性に影響を及ぼす。
【0105】
例えば、いずれかの方法によって形成されたシートは、適するいずれかの方法により、形成後に機械方向および横方向の一方または両方に延伸することにより一軸または二軸に配向させてもよい。引っ張りまたは延伸は、好ましくはシート材料のガラス転移温度より少なくとも10℃上の温度で、より好ましくはシート材料のビカット軟化温度より下でも、なおより好ましくはビカット軟化点より少なくとも10℃下で行われる。
【0106】
好ましくは、配向されたシートの収縮は、熱安定化によって、すなわち、シートを延伸された位置に保持し、冷却前に数秒にわたり加熱することにより制御される。これは、配向されたシートを安定化し、シートは、その後、熱安定化温度より高い温度でのみ収縮する場合がある。好ましくは、配向されたシートは150℃で30分後に両方向に2%より少なく収縮する。
【0107】
高分子シートは2層以上の層を有する多層積層物を含んでもよい。任意に、層の少なくとも1層はナノ粒子を含む。多層シート構造は、例えば、共押出、ブローフィルム、浸漬被覆、溶液キャスティング、ブレード、パドル、エアーナイフ、印刷、Dahlgren、グラビア、粉末被覆、噴霧または他のアートプロセスなどの適するいかなる手段によっても形成してよい。個々の層は、例えば、熱、接着剤および/または繋ぎ層によって互いに接合してもよい。
【0108】
高分子シートと、太陽光制御フィルムと少なくとも1つの追加層とを含む太陽光制御積層物も本発明によって提供される。好ましい特定の実施形態において、本発明の太陽光制御積層物は、高分子シート、太陽光制御フィルムおよび少なくとも1つの追加層から本質的になる。追加層はフィルムまたはシートであってもよい。
【0109】
追加フィルム層として用いるために好ましいフィルムには、配向ポリエステルフィルムおよび非配向ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルムおよびポリ塩化ビニルフィルムが制限なく挙げられる。好ましくは、追加層は、二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)である。追加シート層として用いるために好ましいシートには、ポリビニルブチラール組成物、防音ポリビニルアセタール組成物、防音ポリビニルブチラール組成物、エチレン酢酸ビニル組成物、熱可塑性ポリウレタン組成物、ポリ塩化ビニルコポリマー組成物およびエチレン酸コポリマー組成物ならびにそれから誘導されたイオノマーを含むシートが制限なく挙げられる。
【0110】
追加層として用いるために好ましい硬質シートはガラスを含む。本明細書で用いられる「ガラス」という用語は、窓ガラス、板ガラス、珪酸塩ガラス、シートガラス、フロートガラス、着色ガラス、例えばソーラーヒーティングを制御するための原料を含んでもよい特殊ガラス、銀などのスパッター金属で被覆されたガラス、ATOおよび/またはITOで被覆されたガラス、E−ガラス、Solex(商標)ガラス(ペンシルバニア州PittsburgのPPG Industriesから入手できる)およびToroglass(商標)を含む。あるいは、硬質シートは、ポリカーボネート、アクリリック、ポリアクリレート、エチレンノルボルネンなどの環式ポリオレフィンおよびメタロセン触媒ポリスチレンなど、およびそれらの混合物または組み合わせの高分子シートであってもよい。好ましくは、硬質シートは透明である。しかし、透明性またはクラリティが太陽光制御積層物において要求されない場合、金属板またはセラミック板を硬質シートとして用いてもよい。
【0111】
追加層は防音バリア特性などの追加特性を提供してもよい。追加層は、有機赤外線吸収剤、および導電性が不利益でない場合がある用途におけるスパッター金属層などの、追加層に被着させた機能性被膜も有してよい。さらに、本発明において用いるために適する太陽光制御フィルムも追加フィルム層として用いてよい。当業者は、太陽光制御積層物の所望の構成およびプロセス効率によって決定される通り、上述した処理剤、ハードコート、接着剤およびプライマを追加層に被着させてもよいことを知っている。
【0112】
本発明の好ましい太陽光制御積層物には、次の通り隣接層を含む構造
高分子シート/太陽光制御フィルム、
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム、
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム/高分子シート/硬質シート、
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム/高分子シート/フィルム、
硬質シート/高分子シート/フィルム/シート/太陽光制御フィルム、および
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム/高分子シート/硬質シート/高分子シート/フィルム/高分子シート/硬質シート、
が挙げられる。
【0113】
ここで、構造のフィルムおよびシートは独立して選択され、構造の他のフィルムまたはシートと同じかまたは異なってもよい。上の実施形態の各々においておよびこの説明の全体を通して、「/」という記号は隣接層を表し、それは、代替実施形態において、隣接または接触であってもよい。
【0114】
適するいかなるプロセスも本発明の太陽光制御積層物を製造するために用いてよい。当業者は、太陽光制御積層物の中の層の組成および硬質または軟質の積層物を望むか否かに応じて異なるプロセスおよび条件が望ましい場合があることを知っている。
【0115】
例えば、高分子シートおよび太陽光制御フィルムをニップロールプロセスにおいて互いに接着させてもよいか、および/または1層以上の追加層に接着させてもよい。こうしたプロセスにおいて、追加層は、2層が中程度の圧力にさらされ、結果として、弱く接着した積層物を形成する1つ以上のカレンダーロールニップを通して本発明のフィルムまたはシートに沿ってフィードされる。一般に、接着圧力は、約10psi(0.7kg/cm2)〜約75psi(5.3kg/cm2)の範囲内、好ましくは約25psi(1.8kg/cm2)〜約30psi(2.1kg/cm2)の範囲内である。典型的なライン速度は約5フィート(1.5m)/分〜約30フィート(9.2m)/分の範囲内である。ニップロールプロセスは、例えば炉または加熱ロールによって供給してもよい中程度の加熱を伴って、または加熱なしで行ってもよい。加熱する時、ポリマー表面は、一時的融着を促進するために、すなわち、高分子シートまたはフィルムの表面を粘着性になるようにさせるために十分な温度を達成するべきである。本発明の好ましい高分子フィルムおよびシートのために適する表面温度は、約50℃〜約120℃の範囲内であり、好ましくは、表面温度は約65℃である。融着後に、積層物を1つ以上の冷却ロール上に通して、貯蔵のために巻取る時に積層物が十分に強く、粘着性でないことを確実にしてもよい。プロセス水冷却は、この目的のために一般に十分である。
【0116】
太陽光制御積層物を製造するためのもう1つの典型的な手順において、高分子シート/太陽光制御フィルム/高分子シート構造を有する中間層などの本発明の太陽光制御積層物を含む中間層は2つのガラスプレートの間に置いて、ガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを形成させる。好ましくは、ガラスプレートは洗浄し乾燥させたものである。空気は、真空袋(例えば米国特許第3,311,517号明細書参照)、真空環、または約27〜28インチ(689〜711mmHg)の真空を維持できるもう1つの装置を用いてプレプレスアセンブリの層間から抜き取られる。プレプレスアセンブリは真空下で密封され、その後、圧力下で加熱のためにオートクレーブに入れられる。好みの高い順序を与えると、オートクレーブ中の温度は、約130℃〜約180℃、約120℃〜約160℃、約135℃〜約160℃、または約145℃〜約155℃である。オートクレーブ中の圧力は、好ましくは約200psi(15バール)である。好みの高い順序を与えると、プレプレスアセンブリは、約10〜約50分、約20〜約45分、約20〜約40分、または約25〜約35分にわたりオートクレーブ中で加熱される。加熱および圧力のサイクル後、オートクレーブ中の空気は、オートクレーブ中の圧力を維持する追加ガスを添加せずに冷却される。冷却から約20分後、過剰の空気圧力はベントし、積層物はオートクレーブから取り出される。
【0117】
あるいは、太陽光制御積層物を製造するためにニップロールプロセスを用いてもよい。1つのこうしたプロセスにおいて、ガラス/中間層/ガラスアセンブリは、約30分にわたり約80℃〜約120℃の間でまたは約80℃〜約120℃の間に、好ましくは約90℃〜約100℃の間でまたは約90℃〜約100℃の間に炉内で加熱される。その後、加熱されたガラス/中間層/ガラスアセンブリをガラスと中間層との間の空隙空間中の空気が追い出されるように1組のニップロールに通す。太陽光制御積層物を製造するために、上述したようにオートクレーブの中で真空下で加工してもよいプレプレスアセンブリを製造するために、構造の端をこの時点で密封する。
【0118】
太陽光制御積層物は非オートクレーブプロセスによっても製造してよい。適する幾つかの非オートクレーブプロセスは、米国特許第3,234,062号明細書、米国特許第3,852,136号明細書、米国特許第4,341,576号明細書、米国特許第4,385,951号明細書、米国特許第4,398,979号明細書、米国特許第5,536,347号明細書、米国特許第5,853,516号明細書、米国特許第6,342,116号明細書、米国特許第5,415,909号明細書、米国特許出願公開第2004/0182493号明細書、欧州特許第1235683B1号明細書、国際公開第91/01880号パンフレットおよび国際公開第03/057478A1号パンフレットに記載されている。一般に、非オートクレーブプロセスは、プレプレスアセンブリを加熱し、真空、圧力または両方を加えることを含む。例えば、プレプレスアセンブリを加熱炉およびニップロールに通してもよい。
【0119】
建築用途および輸送車両の用途に関しては、好ましいガラス積層物は、2層のガラスと、両方のガラス層に直接積層され、本発明の太陽光制御積層物を含む単一中間層とを有する。好ましくは、中間層は第2の高分子シートも含み、各高分子シートはガラス層の1層に接触している。これらの用途において、ガラス積層物は、好ましくは約3mm〜約30mmの全体的な厚さを有する。中間層は、典型的には約0.38mm〜約4.6mmの厚さを有し、各ガラス層は少なくとも1mm以上の厚さである。ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラスの5層積層物およびガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラスの7層積層物などの多層太陽光制御積層物も好ましい。
【実施例】
【0120】
実施例および比較例
実施例をあくまでも例示目的で提示する。実施例は決して本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0121】
分析方法
圧縮剪断強度は米国特許第6,599,630号明細書に記載された方法により測定した。簡単に言うと、6つの1インチ×1インチ(25mm×25mm)チップを試験するべき積層物から鋸でひいて作る。試験する前にチップを23±2℃および相対湿度50±1%で1時間にわたり状態調節する。米国特許第6,599,630号明細書の図1に示された治具の下半分の上のカットアウト上にチップを置き、治具の上半分をチップの上に置いた。クロスヘッドがデバイスの上片に接触するまでクロスヘッドを0.1インチ/分(2.5mm/分)の速度で下げた。クロスヘッドが下方に移動し続けるにつれて、チップの1層の硬質層は他方の硬質層を基準として滑り始める。チップの圧縮剪断強度は、積層物の層間の接着破壊を引き起こすのに要した剪断応力であった。この試験の精度は、1標準偏差が6つのチップの平均結果の典型的には6%であるような精度である。
【0122】
積層物の一部、典型的には約15cm×30cmを−18℃で8時間にわたり冷却することにより殴打粘着力評点を決定した。ガラスが微粉砕されるまで所定の速度で450gのフラットヘッドハンマーからの殴打によって冷却サンプルの10×15cm面上に力を均等に加える。表1に記載した任意の尺度に従って、基材に接着されて残る微粉砕ガラスの量に基づいて殴打粘着力評点を割り振った。
【0123】
表1 殴打粘着力評点の尺度

【0124】
殴打試験を積層物の両面上で行う。一般に、ガラスの少なくとも60%が殴打後に中間層に接着している時、良好な衝撃性能が生じる。これは、表面ごとに5以上の殴打粘着力評点に相当し、「5/5」として表される結果である。
【0125】
曇り度は、積層物を通して移動する非散乱光の経路によって定義される軸から2.5度を上回る角度で散乱される光束の百分率である。ASTM規格D1003−61の方法Aと一致しているASTM規格NF−54−111に準拠して、メリーランド州ColumbiaのBYK−Gardner USAから入手できるHazegard曇り度計を用いて曇り度を測定した。
【0126】
ASTM試験方法E424およびE308ならびにISO試験方法9050:2003および13837に準拠して太陽光制御特性を測定した。試験条件の特定の出典を以下の表2に記載している。Perkin Elmer Lambda19分光光度計(PerkinElmer,Inc.マサチューセッツ州Wellesley)を用いて測定を行った。
【0127】
表2 試験条件

【0128】
標準積層手順
積層物のすべての層が同じサイズに切断され、所望の順序で積み上げられたプレプレスアセンブリを真空袋に入れ、90〜100℃で30分にわたり加熱して、プレプレスアセンブリの層間に封じ込められた一切の空気を除去する。プレプレスアセンブリを空気オートクレーブ内で200psig(14.3バール)の圧力で135℃で30分にわたり加熱する。その後、オートクレーブ内の圧力を低下させるように、追加ガスを添加せずに空気を冷却する。冷却から20分後に、空気温度が約50℃未満である時、過剰の圧力をベントし、積層物をオートクレーブから取り出す。
【0129】
比較例CE1
2枚のButacite(登録商標)ポリ(ビニルブチラール)ポリマーシート(E.I.du Pont de Nemours and Company,1007Market Street,デラウェア州Wilmington,USA19898)を相対湿度23%および72.1°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みButacite(登録商標)シート層、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の圧縮剪断強度、殴打粘着力、曇り度、太陽光透過率および可視光線透過率を測定し、表3に示している。
【0130】
実施例1〜4
実施例1〜4の各々ごとに、2枚のButacite(登録商標)中間層シートおよび太陽光制御フィルムを相対湿度23%および72.1°Fの温度で一晩状態調節した。太陽光制御フィルムは、Chiba,JapanのSumitomo Osaka Cement Company,Ltd.から入手できるRaybarrier(商標)フィルムであった。各実施例において用いられたRaybarrier(商標)フィルムの特定のグレードを表3で明示している。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みButacite(登録商標)シート層、太陽光制御フィルム、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/フィルム/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。実施例3は実施例1の繰り返しである。圧縮剪断強度、殴打粘着力、曇り度、太陽光透過率および可視光線透過率をCE1および実施例1〜4に関して測定した。標準A光源からの光の透過率を実施例3および4に関して測定した。これらのすべての測定の結果を表3に示している。
【0131】
表3

【0132】
実施例5
2枚のButacite(登録商標)BE−1030シートおよびRaybarrier(商標)TFI−3880Nフィルムを相対湿度23%および72°Fの温度で一晩状態調節した。順に焼鈍フロートガラスシート層、薄いTeflon(登録商標)フィルム層、Butacite(登録商標)シート層、被覆側がButacite(登録商標)シートに接触しているRaybarrier(商標)TFI−3880Nフィルム層、薄いTeflon(登録商標)フィルム層および焼鈍フロートガラス層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ15ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。ガラスシート/Teflon(登録商標)フィルム/Butacite(登録商標)中間層/Raybarrier(商標)フィルム/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスシート積層物をオートクレーブから取り出し、室温に冷却し、Teflon(登録商標)層に沿って分離して、ButaciteシートおよびRaybarrier(商標)フィルムの太陽光制御フィルムをもたらした。その後、手順を繰り返した。
【0133】
オハイオ州StrongsvilleのInstrumentors,Inc.から入手できるImass SP−102B−3M90スリップ/剥離試験機を用いて2つのButacite(登録商標)シート/Raybarrier(商標)フィルム積層物の剥離強度粘着力を測定した。90度の角度で1インチ/分および2インチ/分の速度で積層物を剥離した。積層物の層間の接着強度は非常に高いことが判明した。
【0134】
実施例6
Raybarrier(商標)TFI−3880Nフィルムの非被覆側がButacite(登録商標)シートに接触していたことを除き、実施例5の製作および測定を繰り返した。得られた積層物は劣った粘着力を有することが判明した。
【0135】
実施例7
2枚のButacite(登録商標)BE−1030シートおよびRaybarrier(商標)TFI−5063Nフィルムを相対湿度23%および72°Fの温度で一晩状態調節した。順に焼鈍フロートガラスシート層、薄いTeflon(登録商標)フィルム層、Butacite(登録商標)シート層、被覆側がButacite(登録商標)シートに接触しているRaybarrier(登録)TFI−5063Nフィルム層、薄いTeflon(登録商標)フィルム層および第2の焼鈍フロートガラス層からなるプレプレスアセンブリを標準方法に従って積層した。ガラスシート/Teflon(登録商標)フィルム/Butacite(登録商標)中間層/Raybarrier(商標)フィルム/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスシート積層物をオートクレーブから取り出し、室温に冷却し、Teflon(登録商標)層に沿って分離して、Butacite(登録商標)シートおよびRaybarrier(商標)フィルムを含む太陽光制御積層物をもたらした。その後、手順を繰り返した。
【0136】
Imass SP−102B−3M90スリップ/剥離試験機を用いて2つのButacite(登録商標)シート/Raybarrier(商標)フィルム積層物の剥離強度粘着力を測定した。90度の角度で1インチ/分および2インチ/分の速度で積層物を剥離した。積層物は、1インチ/分の速度で8.1lb/インチの粘着力および2インチ/分の速度で8.7lb/インチの粘着力を有することが判明した。
【0137】
実施例8
Raybarrier(商標)TFI−5063Nフィルムの非被覆側がButacite(登録商標)シートに接触していたことを除き、実施例7の製作および測定を繰り返した。積層物は、1インチ/分の速度で1.8lb/インチの粘着力および2インチ/分の速度で1.4lb/インチの粘着力を有することが判明した。
【0138】
比較例CE2
2枚のButacite(登録商標)シートを相対湿度23%および72.1°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みButacite(登録商標)シート層、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は4インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準方法に従って積層した。積層物の圧縮剪断強度、殴打粘着力、曇り度、太陽光透過率および可視光線透過率を測定し、表4に示している。
【0139】
実施例9
2枚のButacite(登録商標)シートおよびTokyo,JapanのTomoegawa Paper Company,Ltd.から入手できるSoftLook(商標)UV/IR25太陽光制御フィルムを相対湿度23%および72.1°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みButacite(登録商標)シート層、太陽光制御フィルム、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は4インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/フィルム/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の圧縮剪断強度、殴打粘着力、曇り度、太陽光透過率および可視光線透過率を同様に表4に示している。
【0140】
表4

【0141】
比較例CE3
2枚のButacite(登録商標)BE−1030シートおよび非被覆二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを相対湿度23%および72°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、状態調節済みButacite(登録商標)シート層、非被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、Teflon(登録商標)フィルム、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ30ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層の除去は、ガラスシート/中間層/ポリエステルフィルム積層物を提供する。太陽光透過率、可視光線透過率およびA光源からの光透過率をこの積層物に関して測定し、表5に示している。
【0142】
実施例10および11
非被覆二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムの代わりにSoftLook(商標)UV/IR25太陽光制御フィルムを用いたことを除き、比較例CE2の製作および測定を繰り返した。実施例10において、SoftLook(商標)フィルムの被覆側をButacite(登録商標)シートに接触させ、実施例11において、SoftLook(商標)フィルムの非被覆側をButacite(登録商標)シートに接触させた。太陽光透過率、可視光線透過率およびA光源からの光透過率をこれらの積層物に関して測定し、表5に示している。
【0143】
比較例CE4
イソプロパノール中の0.05重量%SilaneA−1110(商標)(Dow Chemical Company,Midland,MI)の溶液に浸漬被覆することにより、非被覆二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを下塗し、その後、乾燥させた。2枚のButacite(登録商標)BE−1030シートおよび下塗した非被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを相対湿度23%および72°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、状態調節済みButacite(登録商標)ポリマーシート層、下塗した非被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、Teflon(登録商標)フィルム、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ30ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層の除去は、ガラスシート/ポリマーシート/ポリエステルフィルム積層物を提供する。太陽光透過率、可視光線透過率およびA光源からの光透過率をこの積層物に関して測定し、表5に示している。
【0144】
実施例12および13
下塗した非被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムの代わりにイソプロパノール中のSilaneA−1110(商標)の0.05重量%溶液に浸漬被覆することにより被覆側に下塗されたSoftLook(商標)UV/IR25太陽光制御フィルムを用いたことを除き、比較例CE4の製作および測定を繰り返した。実施例12において、SoftLook(商標)フィルムの被覆側をButacite(登録商標)シートに接触させ、実施例13において、SoftLook(商標)フィルムの非被覆側をButacite(登録商標)シートに接触させた。太陽光透過率、可視光線透過率およびA光源からの光透過率をこれらの積層物に関して測定し、表5に示している。
【0145】
表5

【0146】
比較例CE5
2枚のButacite(登録商標)シートを相対湿度23%および72°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みButacite(登録商標)シート層、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の太陽光制御特性を表6に示している。
【0147】
実施例14
2枚のButacite(登録商標)シートおよび入手できる太陽光制御フィルムを相対湿度23%および72.1°Fの温度で一晩状態調節した。太陽光制御フィルムは、Tokyo,JapanのSumitomo Metal Mining Companyから入手できる「KH」フィルムであった。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みButacite(登録商標)シート層、太陽光制御フィルム、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/フィルム/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の太陽光制御特性を表6に示している。
【0148】
比較例CE6
2枚のButacite(登録商標)BE−1030シートおよび非被覆二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを相対湿度23%および72°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、状態調節済みButacite(登録商標)シート層、非被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、Teflon(登録商標)フィルム、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ30ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層の除去は、ガラスシート/中間層/ポリエステルフィルム積層物を提供する。積層物の太陽光制御特性を表6に示している。
【0149】
実施例15
2枚のButacite(登録商標)BE−1030シートおよび「KH」太陽光制御フィルムを相対湿度23%および72°Fの温度で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、状態調節済みButacite(登録商標)シート層、「KH」フィルム、Teflon(登録商標)フィルム、第2の状態調節済みButacite(登録商標)シート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、Butacite(登録商標)シートは厚さ30ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層の除去は、ガラスシート/中間層/「KH」フィルム積層物を提供する。この積層物の太陽光制御特性を表6に示している。
【0150】
表6

【0151】
比較例CE7
クリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1のSentryglas(登録商標)Plusエチレン/メタクリル酸コポリマーシート層(E.I.du Pont de Nemours and Company,1007 Market Street,デラウェア州Wilmington,USA,19898)、第2のSentryglas(登録商標)Plusエチレン/メタクリル酸コポリマーシート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ15ミルである)を順に含むガラス/中間層/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の曇り度値および太陽光制御特性を測定し、以下の表で報告している。
【0152】
実施例16
2枚のSentryGlas(登録商標)PlusシートおよびRaybarrier(登録商標)TFI−5063N太陽光制御フィルムを相対湿度(%RH)23%および72.1°Fで一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みSentryGlas(登録商標)Plusシート層、状態調節済み太陽光制御フィルム、第2の状態調節済みSentryGlas(登録商標)Plusシート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/太陽光制御フィルム/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の曇り度値および太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0153】
実施例17
太陽光制御フィルムがRaybarrier(登録商標)TFI−3880Nフィルムであったことを除き、実施例16の手順を繰り返した。得られた積層物の曇り度値および太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0154】
比較例CE8
積層物の各層の寸法が4インチ×12インチであったことを除き、比較例CE7の手順を繰り返した。得られた積層物の曇り度値および太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0155】
実施例18
SoftLook(登録商標)UV/IR25太陽光制御フィルムをRH23%および72°Fで一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1のSentryglas(登録商標)Plusシート層、太陽光制御フィルム、第2のSentryglas(登録商標)Plusシート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は4インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/フィルム/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の曇り度値および太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0156】
比較例CE9
SentryGlas(登録商標)Plus高分子シートおよび非被覆二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムをRH23%および72°Fで一晩状態調節した。順に焼鈍フロートガラスシート層、SentryGlas(登録商標)Plusシート層、非被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム層、薄いTeflon(登録商標)フィルム層および第2の焼鈍フロートガラス層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ90ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準方法に従って積層した。ガラスシート/SentryGlas(登録商標)Plus中間層/ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスシート積層物をオートクレーブから取り出し、室温に冷却し、Teflon(登録商標)層に沿って分離して、ガラスシート、SentryGlas(登録商標)Plusシートおよびポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを含む太陽光制御積層物をもたらした。この積層物の太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0157】
実施例19
SentryGlas(登録商標)Plus高分子シートおよびSoftLook(登録商標)UV/IR25太陽光制御フィルムをRH23%および72°Fで一晩状態調節した。順に焼鈍フロートガラスシート層、SentryGlas(登録商標)Plusシート層、被覆側がSentryGlas(登録商標)Plusシートに接触しているSoftLook(登録商標)UV/IR25フィルム、薄いTeflon(登録商標)フィルム層および第2の焼鈍フロートガラス層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ90ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準方法に従って積層した。ガラスシート/SentryGlas(登録商標)Plus中間層/太陽光制御フィルム/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスシート積層物をオートクレーブから取り出し、室温に冷却し、Teflon(登録商標)層に沿って分離して、ガラスシート、SentryGlas(登録商標)Plusシートおよび太陽光制御フィルムを含む太陽光制御積層物をもたらした。この積層物の太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0158】
実施例20
SoftLook(登録商標)UV/IR25太陽光制御フィルムの非被覆側がSentryGlas(登録商標)Plusシート層に接触していたことを除き、実施例4の手順に従った。得られた積層物の太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0159】
比較例CE10
イソプロパノール中のSilaneA−1110(商標)の0.05重量%溶液に浸漬被覆することにより、非被覆二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを下塗し、その後、乾燥させた。SentryGlas(登録商標)Plus高分子シートおよび下塗したポリ(エチレンテレフタレート)フィルムをRH23%および72°Fで一晩状態調節した。順に焼鈍フロートガラスシート層、SentryGlas(登録商標)Plusシート層、下塗したポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、薄いTeflon(登録商標)フィルム層および第2の焼鈍フロートガラス層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ90ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準方法に従って積層した。ガラスシート/SentryGlas(登録商標)Plus中間層/下塗したポリ(エチレンテレフタレート)フィルム/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスシート積層物をオートクレーブから取り出し、室温に冷却し、Teflon(登録商標)層に沿って分離して、ガラスシート、SentryGlas(登録商標)Plusシートおよびポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを含む積層物をもたらした。この積層物の太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0160】
実施例21
イソプロパノール中のSilaneA−1110(商標)の0.05重量%溶液にフィルムの被覆側を浸漬被覆することにより、SoftLook(商標)UV/IR25フィルムを下塗し、その後、乾燥させた。SentryGlas(登録商標)Plus高分子シートおよび下塗したSoftLook(商標)フィルムをRH23%および72°Fで一晩状態調節した。順に焼鈍フロートガラスシート層、SentryGlas(登録商標)Plusシート層、被覆側がSentryGlas(登録商標)Plusシートに接触している下塗したSoftLook(商標)フィルム、薄いTeflon(登録商標)フィルム層および第2の焼鈍フロートガラス層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ90ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準方法に従って積層した。ガラスシート/SentryGlas(登録商標)Plus中間層/下塗したSoftLook(商標)フィルム/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスシート積層物をオートクレーブから取り出し、室温に冷却し、Teflon(登録商標)層に沿って分離して、ガラスシート、SentryGlas(登録商標)PlusシートおよびSoftLook(商標)太陽光制御フィルムを含む積層物をもたらした。この積層物の太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0161】
実施例22
SoftLook(商標)フィルムをその非被覆側に下塗したことを除き、実施例21の手順を繰り返した。得られた積層物の太陽光制御特性を測定し、表7に示している。
【0162】
表7

【0163】
比較例CE11
2枚のSentryGlas(登録商標)Plusシートを72°Fの温度および相対湿度(%RH)23%で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1のSentryglas(登録商標)Plusシート層、第2のSentryglas(登録商標)Plusシート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusイオノプラストシートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の太陽光制御特性を表8に示している。
【0164】
実施例23
2枚のSentryGlas(登録商標)Plusシートおよび「KH」太陽光制御フィルムを72°FおよびRH23%で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、第1の状態調節済みSentryGlas(登録商標)Plusシート層、太陽光制御フィルム、第2の状態調節済みSentryGlas(登録商標)Plusシート層および第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ15ミルである)からなるガラス/中間層/フィルム/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。積層物の太陽光制御特性を表8に示している。
【0165】
実施例CE12
SentryGlas(登録商標)Plusシートおよび非被覆二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを72°FおよびRH23%で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、状態調節済みSentryGlas(登録商標)Plusシート層、状態調節済み非被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ30ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層の除去は、ガラスシート/SentryGlas(登録商標)Plus中間層/ポリエステルフィルム積層物を提供した。この積層物の太陽光制御特性を表8に示している。
【0166】
実施例24
SentryGlas(登録商標)Plusシートおよび「KH」太陽光制御フィルムを72°FおよびRH23%で一晩状態調節した。順にクリアな焼鈍フロートガラスプレート層、状態調節済みSentryGlas(登録商標)Plusシート層、状態調節済み「KH」フィルム、Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のクリアな焼鈍フロートガラスプレート層(各層は6インチ×12インチの寸法であり、ガラス層は厚さ2.5mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートは厚さ30ミルである)からなるプレプレスアセンブリを標準手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層の除去は、ガラスシート/SentryGlas(登録商標)Plus中間層/「KH」フィルム積層物を提供する。この積層物の太陽光制御特性を表8に示している。
【0167】
表8

【0168】
本発明の好ましい実施形態の幾つかを説明し、上で詳しく例示してきた一方で、本発明をこうした実施形態に限定することは意図されていない。以下の特許請求の範囲に記載されたような本発明の範囲および精神を逸脱せずに種々の修正を行ってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)高分子フィルムを含む太陽光制御フィルムであって、前記高分子フィルムが赤外線吸収性無機ナノ粒子と、前記高分子フィルムに前記ナノ粒子を結合させるように機能するマトリック材料とを含む塗料で少なくとも部分的に被覆されている太陽光制御フィルムと、
(b)約10ミル(0.25mm)以上の厚さを有する高分子シートと、
を含む太陽光制御積層物であって、
前記高分子シートと前記太陽光制御フィルムが隣接していることを特徴とする太陽光制御積層物。
【請求項2】
前記太陽光制御フィルムと前記高分子シートが接触していることを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項3】
前記高分子フィルムが約0.1ミル(0.003mm)〜約10ミル(0.25mm)の厚さを有し、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、環式ポリオレフィン、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、スチレンアクリレートコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ナイロン、ポリ(ウレタン)、アクリリック、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、塩化ビニルポリマー、ポリフッ化ビニル、およびポリフッ化ビニリデンからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項4】
前記高分子フィルムが二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の太陽光制御積層物。
【請求項5】
前記赤外線吸収性無機ナノ粒子がアンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB6)またはそれらの混合物のナノ粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項6】
前記塗料の前記赤外線吸収性無機ナノ粒子の量が前記塗料の全重量%を基準にして約0.1〜約20重量%であり、前記塗料の前記マトリックス材料の量が前記塗料の全重量%を基準にして約20〜約99.99重量%であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項7】
前記マトリックス材料がアクリル樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂、フッ素含有樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリ(ビニルブチラール)樹脂、ポリ−4−メチルペンテン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、オレフィンポリマーおよびコポリマー、ポリ(エチレン−co−n−ブチルアクリレート−co−グリシジルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−メチルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−エチルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−ブチルアクリレート)、ポリ(エチレン−co−(メタ)アクリル酸)、ポリ(エチレン−co−(メタ)アクリル酸)の金属塩、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)、ポリ(環式オレフィン)、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピルテレフタレート)、ポリ(エチレン−co−1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリ(塩化ビニル)組成物、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ(ビスフェノールAカーボネート)、ポリスルフィド、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエーテル、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリスルホン樹脂、澱粉、澱粉誘導体、変性澱粉、熱可塑性澱粉、セルロース、セルロース誘導体、変性セルロース、セルロースエステル、セルロース混合エステル、セルロースエーテルおよび前記材料の2種以上のコポリマーからなる群から選択された1種以上のフィルム形成用材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項8】
前記高分子シートがASTM方法D−638によって測定した時に約20,000psi(138MPa)以下の弾性率を有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項9】
前記高分子シートがポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)またはポリ(ビニルブチラール)を含むことを特徴とする請求項8に記載の太陽光制御積層物。
【請求項10】
前記高分子シートがASTM方法D−638によって測定した時に約20,000psi(138MPa)〜約100,000psi(690MPa)の弾性率を有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項11】
前記高分子シートがエチレン酸コポリマー組成物またはエチレン酸コポリマー組成物から誘導されたイオノマーを含むことを特徴とする請求項10に記載の太陽光制御積層物。
【請求項12】
前記高分子シートがエチレン酸コポリマーを含み、前記エチレン酸コポリマーがアクリル酸、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびモノメチルマレイン酸からなる群から選択された1種以上のアルファ,ベータ−エチレン系不飽和酸コモノマー約0.1重量%〜約30重量%を含むことを特徴とする請求項10に記載の太陽光制御積層物。
【請求項13】
前記エチレン酸コポリマーがアクリル酸、(メタ)アクリル酸またはアクリル酸と(メタ)アクリル酸との組み合わせを含むことを特徴とする請求項12に記載の太陽光制御積層物。
【請求項14】
前記エチレン酸コポリマーがナトリウムカチオン、亜鉛カチオンまたはナトリウムカチオンと亜鉛カチオンとの混合物で少なくとも部分的に中和されている請求項12に記載の太陽光制御積層物。
【請求項15】
前記エチレン酸コポリマーがメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、ならびにメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートおよび酢酸ビニルの2種以上の混合物からなる群から選択された1種以上のコモノマーを含むことを特徴とする請求項12に記載の太陽光制御積層物。
【請求項16】
少なくとも1層の追加層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽光制御積層物。
【請求項17】
高分子シート/太陽光制御フィルム、
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム、
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム/高分子シート/硬質シート、
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム/高分子シート/フィルム、
硬質シート/高分子シート/フィルム/シート/太陽光制御フィルム、および
硬質シート/高分子シート/太陽光制御フィルム/高分子シート/硬質シート/高分子シート/フィルム/高分子シート/硬質シート
からなる群から選択された構造を有し、「/」が隣接層を示し、構造のフィルムおよびシートが独立して選択され、構造の他のフィルムまたはシートと同じかまたは異なってもよく、追加フィルム層が配向ポリエステルフィルムおよび非配向ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムおよび太陽光制御フィルムからなる群から選択され、追加シート層がポリビニルブチラール組成物、防音ポリビニルアセタール組成物、防音ポリビニルブチラール組成物、エチレン酢酸ビニル組成物、熱可塑性ポリウレタン組成物、ポリ塩化ビニルコポリマー組成物およびエチレン酸コポリマー組成物ならびにそれから誘導されたイオノマーを含むシートからなる群から選択され、追加硬質シート層がガラス、窓ガラス、板ガラス、珪酸塩ガラス、シートガラス、フロートガラス、着色ガラス、例えば太陽加熱を制御する原料を含んでもよい特殊ガラス、銀などのスパッター金属で被覆されたガラス、ATOおよび/またはITOで被覆されたガラス、E−ガラス、Solex(商標)ガラスおよびToroglass(商標)からなる群から選択されることを特徴とする請求項16に記載の太陽光制御積層物。
【請求項18】
前記太陽光制御積層物の2層以上の層が接触するように前記太陽光制御積層物の2層以上の層が互いに対して直接積層されることを特徴とする請求項17に記載の太陽光制御積層物。

【公表番号】特表2009−505871(P2009−505871A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529264(P2008−529264)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/033984
【国際公開番号】WO2007/027861
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】