説明

太陽光吸収剤が不均一に分布する中間膜

本発明は、中間膜を含む、中間膜及び複数膜ガラス板を含むものであって、前記の中間膜が、前記の中間膜の中に不均一に分散された赤外線吸収剤を含むものである。前記の赤外線吸収剤を不均一分散させた前記の中間膜は、赤外線放射の最小限レベルの伝送がガラス板を通してセンサー・コミュニケーションを許容するために望ましい用途に成功裏に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線吸収剤を含むパネルに塗られ高分子中間膜(polymer interlayer)及び複数膜の分野に関するものである。さらに詳細には本発明は、電磁気スペクトルの赤外線領域における通信信号の伝送を必要とする用途における使用を想定している赤外線吸収剤を含むパネルに塗られ高分子中間膜及び複数膜の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)は、通常、例えば安全ガラス又は高分子薄膜のような光伝送薄板の中間膜として使用することができる高分子膜の製造に使用されている。安全ガラスは、しばしば2枚のガラス板の間に配置されたポリ(ビニルブチラール)膜を含む透明な薄板を意味する。安全ガラスは、しばしば建築用及び自動車用の開口部の透明な防壁として使用される。その主要な機能は、例えば前記の開口部を通り抜けないようにするか又はガラスの破片の散乱を防ぐようにして物体による打撃により発生するエネルギーを吸収して、囲われているエリア内の物体又は人に対する損傷又は負傷を最小限にすることである。安全ガラスは、また音響上の雑音を低下させたり、UV及びIR光の透過を減らしたり、及び/または窓の開口部の美観及び外観をよくするといったその他の有益な効果を提供するために使用することができる。
【0003】
多くの用途において、前記の選定された用途について適切な物理的な性能特性を具備するだけでなく、前記の生産物の最終用途に特に適切な光透過特性をも具備する安全ガラスを使用することが望ましい。例えば、熱的な特性を改善するために薄板状の安全ガラスを透過させることにより赤外線放射を制限することがしばしば望ましいであろう。
【0004】
赤外線放射、さらに具体的には近赤外線放射の伝送を減らす特性は、複数膜ガラス板の特に好ましい特性であり、かつ自動車及び建築物に使用される安全ガラスにとって特に望ましい特性である。赤外線放射の伝送を減らすことは、囲われているスペース内部の前記の放射により発生する熱を減少させることができる。
【0005】
不運にも、赤外線放射を遮断してしまうと、ガラス板を通して送られることが必要とされる望ましいシグナルを遮断してしまうことにもなる。例えば、多くの現代の自動車には、前記の前面ガラスを透過する赤外線放射を必要とする雨センサーが装備されている。ガラス基板又は堅い基板に適用された内部膜又は赤外線反射膜の中に含まれる赤外線吸収剤により、これらの伝送を減少又は遮断させることができる。
【0006】
熱遮断特性を損なうこともなく、望ましいシグナルの伝達を改善する赤外線吸収剤を含む複数膜を含むガラス板の特性を改善するために、さらに改善された組成物及び方法が必要である。
【0007】
本発明の概要
本発明は、中間膜(interlayer)を含む、中間膜及び複数膜含むガラス板を含むものであって、前記の中間膜が、前記の中間膜の中に不均一に分散された赤外線吸収剤を含むものである。前記の赤外線吸収剤を不均一分散させた前記の中間膜を、赤外線放射の最小限レベルの伝送が、前記のガラス板を通してセンサー・コミュニケーションを許容するために望ましい用途に成功裏に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一態様の模式図である。
【図2】図2は、本発明の一態様の模式図である。
【図3】図3は、本発明の一態様の模式図である。
【図4】図4は、本発明の一態様の伝送スペクトルを示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の一態様の伝送スペクトルを示すグラフである。
【0009】
詳細な説明
本発明は、赤外線吸収剤を利用する中間膜、及びこれらの中間膜を含む複数膜ガラス板を含むものである。
【0010】
本明細書で使用されているように、「複数膜を含むガラス板中間膜(multiple layer glazing
interlayer)」という用語は、例えば二枚のガラス板の間に中間膜を挟んだガラス板のような、一つ以上の膜を備えたガラス板に使用することができる中間膜を意味する。中間膜は、一つの高分子膜又はそれらを結合させた複数膜から構成することができる。ガラス板は、例えば自動車の風防ガラス及び建築物に使用することができる。
【0011】
本明細書で開示されているように、本発明の中間膜には、前記の中間膜に不均一に分散されている赤外線放射吸収剤が混合されている。本明細書で使用されているように、高分子膜の押し出し成形をする前に溶解物に加え、そして均一にした赤外線吸収剤を利用する従来の中間膜の場合のように、前記の赤外線吸収剤の濃度が、下記で測定されているように中間膜の高さ及び広さに亘り±10重量%以内で一定ではないならば、中間膜の中の赤外線吸収剤は、「不均一」に分布していると言われている。
【0012】
中間膜における赤外線吸収剤の「不均一性」又は「均一性」は、前記の中間膜を100等分した長辺及び短辺について10等分して得られるそれぞれの行及び列の断片について確かめられる。ついで各断片の赤外線吸収剤の重量%が算定される。ついで、各断片は、順に各他の断片とペアにし、そして各断片ペアの間の赤外線吸収剤の重量%の差が算定される。その各断片ペアの間の赤外線吸収剤の重量%の差は、ペア差と称される。
【0013】
ついで、各ペア差を、前記のペアの各々のメンバーの赤外線吸収剤の重量%と比較し、そして前記のペアのペア差が、赤外線吸収剤の少ない重量%であるペアメンバーの赤外線吸収剤の重量%よりも5%超多いならば、そのペアは不均一であるとされる。全ての可能なペアの10%超が不均一であるならば、前記の中間膜は、本明細書で定義されているように、赤外線吸収剤が不均一に分布していると評価される。
【0014】
中間膜の赤外線吸収剤の分布の不均一の度合いは、上記のように不均一である全ての可能なペアのトータルパーセントを算定することにより決定することができる。本発明の様々な態様では、中間膜は、上記で測定されたように少なくとも10%、20%又は30%の不均一さである赤外線吸収剤の分布を具備する。
【0015】
赤外線吸収剤の不均一分布は、あらゆる適切なパターンで起こり、そして例えば且つ制限なく、赤外線吸収剤のなだらかに変化する(changing gradient)濃度勾配を含む中間膜、赤外線吸収剤を全く含まない部分を有する中間膜、及び赤外線吸収剤を含まないか又は実質的に取り囲んでいる中間膜よりも少ない赤外線吸収剤を有する、不規則か又は繰り返す部分を有する中間膜を含む。
一つの態様では、例えば、色の帯の規格どおりの従来の位置に相当する中間膜の最も上の部分は、減少した量の赤外線吸収剤を含む。もう一つの態様では、自動車の計器盤(dash area)に近接する中間膜の部位は、実質的にその外の中間膜よりも少ない赤外線吸収剤を含む。更なる態様では、中間膜は、中間膜の残りの部分よりも実質的に少ない赤外線吸収剤を含む、多層で不連続な部分を有する。
【0016】
電磁気スペクトルの赤外線領域は、750ナノメーターから1ミリメーターの間の波長領域である。その領域は、三つの領域、すなわち、750ナノメーターから2,500ナノメーターの近赤外線(NIR)、2,500ナノメーターから10ミクロンの中赤外線及び10ミクロンから1ミリメーターの遠赤外線に分かれる。太陽からの放射の約半分は、NIRである。
【0017】
本発明の赤外線吸収剤は、著しい量のNIRのエネルギーを吸収し、それによって、熱負荷を減らすが、可視光線を伝送することができる。赤外線吸収剤の不均一に分布している本発明の中間膜は、赤外線放射の測定できる量を伝送することができるであろう。
【0018】
望ましい赤外線の透過性及び熱遮断性の両方を備える先行技術としては、Nagaiを発明者とする米国特許第6,620,477号が挙げられる。Nagaiは、不適切にも、たとえあったとしても、シグナルが形成される臨界的に好ましい領域である850から900ナノメーターの領域における赤外線放射の伝送における相違が全く示されていない、図6の実施例を開示している。したがって、前記の例の中間膜は、全赤外線放射の内の望ましくない量の赤外線放射を伝送するか、又は乗り物の周辺機器により伝送される赤外線シグナルを過度に遮断するかのいずれかである。
【0019】
赤外線吸収剤の分布が不均一である本発明の中間膜により、880ナノメーターの波長の赤外線の伝送において実質的に相違する二つ以上の部位を提供することによりその問題が解決される。
【0020】
本発明の一つの態様では、中間膜は、二つの部位、すなわち880ナノメーターの波長の赤外線の少なくとも15%を伝送する第一の部位、かつ880ナノメーターの波長の赤外線の10%未満を伝送する第二の部位を有するものである。他の態様では、前記の第一の部位は、少なくとも72%の880ナノメーターの波長の赤外線を伝送し、そして前記の第二の部位は、23%未満の880ナノメーターの波長の赤外線を伝送する。
【0021】
第一の部位及び第二の部位を有する中間膜の例は、図1、図2及び図3に示されている。一般的に図1の部材10で示されるように、第一の部位12が少ないか又は0レベルの赤外線吸収剤を有し、そして第二の部位14が、本明細書において記載したように赤外線放射を遮断するのに十分な赤外線吸収剤のレベルを含むというような二つの部位が形成されることができる。
【0022】
図1に示す態様では、赤外線吸収剤を含まないか又は実質的に含まない第一の部位は、風防ガラスの中間膜の色彩バンド部位(color band region)(濃度勾配部位(gradient region))に配置される。例えば、色彩バンド部位は、中間膜の高さの10%以下、8%以下又は5%以下の高さでありうる。
【0023】
低い又はゼロ濃度の赤外線吸収剤を含む部位を、主融解流及び第二融解流が存在する共有押し出し形成プロセスを使用して調製することができる。前記の第二融解流は、赤外線吸収剤の濃度が低いか又は赤外線吸収剤を含まないのに対し、前記の主融解流は、高濃度の赤外線吸収剤を含む。赤外線吸収剤の濃度が低いか又はゼロの部位を、シートへの押し出し成形の直前に第二融解流を押し出し成形し、そして主融解流に合流させることにより前記の主融解流にプローブを挿入することにより作り出すことができる。低濃度部位の大きさは、主融解流へのプローブ30の挿入の深さ及び例えば、前記のプローブのサイズにより調節され、そして前記のプローブが挿入された前記の融解物は、前記の中間膜の全厚さの一部から、前記の中間膜の全厚さまでの厚さに亘る部位を形成することができる。
【0024】
図2により、濃度が低いか又はゼロレベルの赤外線吸収剤を含む第一の部位20は、本明細書に記載されているように赤外線放射を遮断するのに十分な濃度レベルの赤外線吸収剤を含む、第二の部位16及び第三の部位18の間のバンドとして形成される、もう一つの態様が示されている。典型的には、前記の第二及び第三の部位は、同じ融解物から形成され、そしてそれゆえ赤外線吸収剤の同じ濃度を含むであろうが、本発明は、第二の部位16及び第三の部位18が、異なる濃度の赤外線吸収剤を含む他の態様を含む。この態様において、前記の第一の部位20は、図1における第一の部位12で示されたあらゆる形状及び大きさを具備することができ、図2の第二の部位16は、例えば中間膜の高さの10%以下、中間膜の高さの8%以下、又は中間膜の高さの5%以下のように、中間膜の全高のあらゆる適切な比率である高さである。
【0025】
図3は、本発明の更なる態様の模式的な例、すなわち、赤外線吸収剤の濃度が低いか又はゼロレベルである第一の部位22が、本願明細書に記載されているように赤外線放射を遮断するのに十分な赤外線吸収剤のレベルを含む取り囲む第二の部位24の中に形成されている例を示す。この態様に係る中間膜は、例えば赤外線吸収剤を含む第一の高分子の融解物を通常のように押し出し成形し、そして赤外線吸収剤の濃度が低いか又はゼロレベルである第二の高分子の融解物を前記の第一の高分子の融解物の中の押し出し、成形の流れに断続的に放出するように押し出し成形する押し出し成形システムを利用して形成されることができる。あるいは、中間膜の中に切り取り部分が形成され、赤外線吸収剤の量が元のままか又は減少させた適切な大きさの中間膜を前記の切り取られた部位に挿入することができる。
【0026】
この態様により、風防ガラスの大部分における赤外線放射の最大なる遮断を可能にし、そしてセンサーが伝送する限られた部位における最大の伝送を可能にする、完成した風防ガラスにおける赤外線を転送する部位の目的とする部位への設置が可能になる。
【0027】
本発明の中間膜は、単一膜の高分子膜、又は相互に接触して結合し、かつ一緒になって複数膜の中間膜を形成する多膜高分子膜を含むことができる。いずれかの場合において、前記の中間膜の一つ以上の膜は、赤外線吸収剤を含むことができる。
【0028】
複数膜中間膜の構築物の例としては、以下のものが挙げられる。
(高分子膜)n
(高分子膜/高分子フィルム/高分子膜)p
[式中、nが1〜10であり、そして様々な態様では5未満であり、そしてpが1〜5であり、そして様々な態様では3未満である。]
【0029】
本発明の中間膜は、多数膜ガラスパネルに取り込まれ、そして様々な態様では二枚のガラスの膜の間に取り込まれる。前記の構築物のための用途としては、とりわけ自動車の風防ガラス及び建築物のガラスが挙げられる。
【0030】
本発明の他の態様では、赤外線吸収剤を含む中間膜が、二層膜に使用されている。本明細書で使用されているように、二層膜は、例えばガラス又はアクリル板のような硬性の基板を備え、その基板に中間膜を置いた複数膜構築物である。典型的な二層膜構築物は、(ガラス)//(高分子膜)//(高分子フィルム)である。
【0031】
二層膜構築物としては、たとえば
(ガラス)//(高分子膜)h//(高分子フィルム)g
(ガラス)//(高分子膜)h//(高分子フィルム)
[式中、hが1〜10であり、様々な態様では3未満であり、gが1〜5であり、様々な態様では3未満である]が制限なく挙げられる。
【0032】
更なる態様では、直前に記載したように、中間膜を複数膜ガラスパネルの一方の面に配置され、粉々に割れた遮蔽板のように機能する。例えば
(中間膜複数膜ガラスパネル)//((高分子膜)h//(高分子フィルム))g
(中間膜複数膜ガラスパネル)//(高分子膜)h//(高分子フィルム)
[式中、hが1〜10であり、様々な態様では3未満であり、gが1〜5であり、様々な態様では3未満である]が制限なく挙げられる。
【0033】
様々な態様では、太陽光調節ガラス(ソーラーガラス)は、本発明の一つ以上の複数膜ガラスパネルに使用される。ソーラーガラスは、前記のガラスの光学的な特性を改善するために一つ以上の添加物が混入された従来のあらゆるガラスであり、そしてより詳細にはソーラーガラスは、典型的には例えば近赤外線及び紫外線のような望ましくない波長の放射の伝送を削減又は除去するように考案されるであろう。ソーラーガラスは、また幾らかの適用について目的にかなうように可視光線の伝送を削減するように着色されることもできる。本発明において有用なソーラーガラスの例としては、本技術分野では知られているブロンズガラス、灰色ガラス、LowE(低放射性)ガラス、及びソーラーガラスパネル、そして米国特許第6,737,159号明細書及び米国特許第6,620,872号明細書に開示されたガラスが挙げられる。以下で説明するように、ガラス以外の剛性の基板を使用することができる。
【0034】
本発明の様々な態様において、本発明の赤外線吸収剤が高分子膜及び/又は高分子フィルムの表面又は内部に分散される。一般的に、赤外線吸収剤のレベルは、用途により異なる前記の膜上に望ましい赤外線吸収を付与するのに十分であろう。
【0035】
本発明の赤外線吸収剤としては、公知のものが挙げられる。例としては、制限なくアンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むタングステンブロンズ、六ホウ化ランタン、Sn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、Ce、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、T、W、V、又はMoの酸化物、窒化物、酸窒化物及び硫化物、例えばフタロシアニン、クロコニウム(croconium)、シアニン、Ni‐ジチオレン、Sb-アミニウム(Sb aminium)、Pb-アミニウム(Pd aminium)、スクアリリウム(squarylium)及びクアテリレン(quaterrylene)のような赤外線吸収剤が挙げられる。好ましい赤外線吸収剤としては、セシウムによりドープされたタングステン酸化物及び六ホウ化ランタンが挙げられる。
【0036】
本発明の様々な態様では、前記の好ましい赤外線吸収剤は六ホウ化ランタンである。六ホウ化ランタンの調製法及び高分子基板の中又は表面へのその取り込みは、公知である(例えば米国特許第6,620,872号明細書及び米国特許第6,911,254号明細書を参照されたい)。六ホウ化ランタンは、例えば、ジルコニウム及び適切な場合に含める分散剤とともに液体中に固体粒子を分散したものとして利用できる。
【0037】
六ホウ化ランタンは、あらゆる適切な量で本発明の高分子膜の取り込まれることができ、そして光学的パフォーマンスに過度に影響することもなく、望ましい近赤外線の吸収を示すのに十分な量で一般的に取り込まれるであろう。様々な態様において、六ホウ化ランタンは、0.005重量%から0.1重量%、0.01重量%から0.05重量%、又は0.01重量%から0.04重量%で高分子膜に取り込まれる。他の赤外線吸収剤が使用される態様では、六ホウ化ランタンの量は、適宜減らすことができる。他の有用な赤外線吸収剤の例としては、とりわけインジウム酸化スズ及びドープされた酸化スズが挙げられる。
【0038】
本発明において有用な六ホウ化ランタンは、ナノサイズの粉砕された粒子、例えば250ナノメーター未満、200ナノメーター未満、150ナノメーター未満又は100ナノメーター未満のサイズであってもよい。
【0039】
本発明において有用なセシウム酸化タングステンは、ナノサイズの粉砕された粒子、例えば250ナノメーター未満、200ナノメーター未満、150ナノメーター未満又は100ナノメーター未満のサイズであってもよい。
【0040】
高分子フィルム
本願明細書で使用されているように、「高分子フィルム」は、パフォーマンス促進膜として機能する、相対的に薄くかつ剛性のある高分子膜を意味する。本願明細書で使用されているように、高分子フィルム自体は、複数膜ガラス構造に対して必要な浸透耐性及びガラス保持特性を付与しないが、むしろ例えば赤外線吸収特性のようなパフォーマンスを改善するという点で、高分子膜とは異なる。ポリ(エチレンテレフタレート)が最も一般的に高分子フィルムとして使用されている。
【0041】
様々な態様では、前記の高分子フィルム膜は、0.013mmから0.20mm、好ましくは0.025mmから0.1mm、又は0.04mmから0.06mmの厚さを備えている。前記の高分子フィルム膜は、表面を処理するか又はコーティングして、例えば接着性、赤外線放射吸収性及び/又は反射のような一つ以上の特性を任意に改善することができる。これらの機能的なパフォーマンス膜としては、例えば太陽光に曝されたときに太陽赤外線放射を反射し、そして可視光線を伝送するために複数膜積層体が挙げられる。この複数膜積層体は公知であり(例えば国際公開第88/01230号パンフレット及び米国特許第4,799,745号明細書を参照されたい)、そして一つ以上のオングストロームレベルの厚さの金属膜及び一つ以上(例えば二つ)の連続して堆積させた、光学的に協同する誘電性膜を含むことができる。知られてもいるように(例えば米国特許第4,017,661号明細書及び米国特許第4,786,783号明細書を参照されたい)、前記の金属膜は、任意にあらゆる合体しているガラス膜の霜を除去したり、又は曇りを除去したりするために加熱される電気的抵抗であってもよい。
【0042】
本発明で使用することができる高分子フィルムの更なるタイプは、米国特許第6,797,396号明細書に開示されおり、金属膜により引き起こされる妨害を発生させることなく赤外線放射を反射するように機能する多層の非金属膜を含む。
【0043】
いくらかの態様では、高分子フィルム膜は、光学的に透明であり(すなわち、特定の観察者の目が、前記の膜に一方の面の隣の物体を、他の面から前記の膜を通して快適に視ることができる)、そしていくらかの態様では、通常隣接する高分子膜のいずれかのそれよりも、組成に関係なく大きい、いくらかの態様では著しく大きい、張力の係数を有する。様々な態様では、前記の高分子フィルム膜は、熱可塑性の材料を含む。適切な特性を備える熱可塑性材料のうちで、ナイロン、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネート、例えばポリプロピレンのようなポリオレフィン、酢酸セルロース及びトリ酢酸セルロース、塩化ビニルポリマー及び塩化ビニルコポリマー等が挙げられる。様々な態様では、前記の高分子フィルム膜としては、例えばポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(エチレンテレフタレート)グリコール(PETG)を含む、顕著な特性を備えた再伸張された熱可塑性フィルムのような材料が挙げられる。様々な態様では、ポリ(エチレンテレフタレート)が使用され、そして様々な態様では、前記のポリ(エチレンテレフタレート)が二軸方向に伸張されて、強度が改善され、そして熱に対して安定性が増すことにより高温に曝されたときに縮むことが少なくなった(例えば、150℃で30分間加熱したとき二軸方向の縮む割合は2%未満である。)
【0044】
本発明で使用することができるポリ(エチレンテレフタレート)フィルムの様々なコーティング法及び表面処理法は、欧州特許出願第0157030号明細書に開示されている。本発明の高分子フィルムもまた、公知のハードコート膜及び/又は、及び曇り止め膜を含むことができる。
【0045】
本発明のいくらかの態様では、高分子フィルム膜は、前記の高分子フィルム膜に加えて一つ以上の高分子膜を有する複数膜中間膜の中に含まれている。これらの態様では、前記の高分子フィルムは、一つ以上の高分子膜に加えるか又は代わりに不均一に分布した赤外線吸収剤を備えることができる。これらの態様では、前記の高分子フィルムの中又は表面における前記の赤外線吸収剤の分布は、高分子膜について指定の部位のいずれかに可能である。
【0046】
高分子膜
次のセクションでは、例えば本発明の高分子膜を調製するために使用することができるポリ(ビニルブチラール)のような様々な材料について記載する。本明細書で使用されているように、「高分子膜」という用語は、十分な耐浸透性特性及びガラス保持特性を薄板状のガラスパネルに付与する中間膜として使用するために、単独で適切であるか又は一つ以上の膜を重ねた形態で適切である薄膜に変換する、適切な方法のいずれかにより調製されたあらゆる熱可塑性高分子組成物を意味する。可塑化されたポリ(ビニルブチラール)は、高分子膜を調製するためにもっとも一般的に使用される。
【0047】
本明細書で使用されているように、「樹脂」という用語は、前記の高分子前駆体の酸触媒反応、それに続く中和反応から得られる混合物から除去される高分子成分(例えば、ポリ(ビニルブチラール))を意味する。樹脂は、前記の高分子に加えて他の成分、例えばアセテート、塩及びアルコールを一般的に含むであろう。本明細書で使用されているように、「融解物」という用語は、樹脂と、可塑剤及び任意で加えられる他の添加物との融解された混合物を意味する。
【0048】
本発明の高分子膜は、適切な高分子のいずれかを含むことができ、好ましい態様では、上記の例示のように前記の高分子膜はポリ(ビニルブチラール)を含む。前記の高分子膜の高分子成分としてポリ(ビニルブチラール)を含む、本発明の態様のいずれにおいても、前記の高分子成分がポリ(ビニルブチラール)からなる、又は本質的にからなるもう一つの態様が含まれる。これらの態様では、本明細書で開示した可塑剤を含む添加物における変更のいずれかは、ポリ(ビニルブチラール)からなる、又は本質的にからなる高分子を有する高分子膜とともに使用することができる。
【0049】
一つの態様では、前記の高分子膜は、部分的にアセタール化されたポリ(ビニルアルコール)をベースとする高分子を含む。もう一つの態様では、前記の高分子膜は、ポリ(ビニルブチラール)、ポリウレタン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸エチレンビニル)、及びそれらの組み合わせ等からなる群から選ばれる高分子を含む。さらなる態様では、前記の高分子膜は、ポリ(ビニルブチラール)及び一つ以上の他の高分子を含む。適切なガラス転移温度有する他の高分子もまた使用することができる。好ましい範囲、値及び/又は方法が、ポリ(ビニルブチラール)(例えば、制限無く、可塑剤、成分パーセント、厚さ、及び特性を向上させる添加物について)について具体的に開示されている本明細書のあらゆるセクションにおいて、これらの範囲は、適用可能な場合には、高分子膜の有用な成分として本明細書に開示されている他の高分子及び高分子混合物にも適用される。
【0050】
ポリ(ビニルブチラール)を含む態様では、前記のポリ(ビニルブチラール)は、当業者に知られたアセタール化プロセスにより調製される(例えば、米国特許第2,282,057号明細書及び米国特許第2,282,026号明細書を参照されたい)。一つの態様では、Vinyl Acetal Polymers,
in Encyclopedia of Polymer Science & Technology, 3rd edition,
Volume 8, pages 381-399, by B.E. Wade (2003)に開示されている溶媒法を使用することができる。もう一つの態様では、上記の文献に開示されている水性溶媒法も使用することができる。ポリ(ビニルブチラール)は、商業的に様々な形態、例えばSolutia Inc., St. Louis,
MissouriからButvarTM
resinとして入手することができる。
【0051】
様々な態様では、ポリ(ビニルブチラール)を含む前記の高分子膜樹脂は、ポリ(ビニルアルコール)として算定された、10〜35重量%の水酸基、ポリ(ビニルアルコール)として算定された、13〜30重量%の水酸基、又はポリ(ビニルアルコール)として算定された、15〜22重量%の水酸基を含む。前記の高分子膜樹脂は、また、アセタール、好ましくはブチルアルデヒドアセタールとの平衡状態にある、酢酸ポリビニルとして算定すると15重量%未満のエステル残基、すなわち13重量%、11重量%、9重量%、7重量%、5重量%又は3重量%未満のエステル残基を含むことができるが、任意に例えば2-エチルヘキサナール基のような他のアセタール基を少量含む(例えば、米国特許第5,137,954号明細書を参照されたい)。
【0052】
様々な態様では、前記の高分子膜は、少なくとも30,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、120,000、250,000又は少なくとも350,000グラム パー モル(g/mole又はダルトン)の分子量を有するポリ(ビニルブチラール)を含む。少量のジアルデヒド又はトリアルデヒドも、少なくとも350,000 g/moleまで分子量を増やすためにアセタール化のステップにおいて添加してもよい(例えば、米国特許第4,902,464号明細書、米国特許第4,874,814号明細書、米国特許第4,814,529号明細書、及び米国特許第4,654,179号明細書を参照されたい)。本明細書で使用されているように、「分子量」という用語は、「重量平均分子重量」を意味する。
【0053】
本発明の高分子膜には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム及びマグネシウム塩を含む、様々な接合調節剤を使用することができる。
【0054】
これらの本発明の態様に使用することができるマグネシウム塩としては、サリチル酸マグネシウム、ニコチン酸マグネシウム、ジ−(2−アミノ安息香酸)マグネシウム、ジ−(3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)30マグネシウム、ビス(2−エチルブタン酸)マグネシウム(ケミカルアブストラクト番号79992-76-0)のような、米国特許第5,728,472号明細書に開示されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の様々な態様では、前記のマグネシウム塩はビス(2−アミノ安息香酸)マグネシウムである。エポキシ化剤は高分子膜の粘着性を増す傾向があるので、相対的により多量の粘着調節剤が、本発明の中間膜において一般的に使用されるであろう。
【0055】
他の添加物を、最終製品におけるそのパフォーマンスを向上させるために高分子膜に添加してもよい。前記の添加物は、公知の、染料、安定化剤(例えば紫外線安定化剤)、抗酸化剤、粘着防止剤、追加の赤外線吸収剤、難燃剤及び前記の添加物の組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本発明の高分子膜の様々な態様では、前記の高分子膜には、20〜60、25〜60、20〜 80、10〜70又は10〜100重量部phrの可塑剤を含めることができる。勿論、特定の用途について適切である場合には、これ以外の量を使用することができる。幾らかの態様では、前記の可塑剤は、炭素数が20個未満、15個未満、12個未満又は10個未満の炭化水素セグメントを有する。可塑剤の量は、前記のポリ(ビニルブチラール)膜のガラス転移温度(Tg)に影響するように調節されることができる。一般に、可塑剤の量をより多く添加すると、前記のTgが低下する。本発明のポリ(ビニルブチラール)高分子膜のTgは、40°C以下、35°C以下30°C以下、25°C以下、20°C以下、及び15°C以下である。
【0057】
適切な可塑剤のいずれかを、本発明の高分子樹脂に添加して、前記の高分子膜を調製することができる。本発明の高分子膜に使用される可塑剤としては、とりわけ多塩基酸又は多価アルコールのエステルを挙げることができる。
適切な可塑剤としては、例えばトリエチレングリコールジ(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸シクロヘキシルヘキシル、アジピン酸ヘプチル及びノニルの混合物、アジピン酸ジイソノニルアジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、例えばオイルにより修飾されたセバシン酸アルキド(oil-modified sebacic
alkyds)のようなポリマー可塑剤、米国特許第3,841,890号明細書に開示されたアジピン酸及びリン酸の混合物及び米国特許第4,144,217号明細書に開示されたアジピン酸の混合物、並びに前記の可塑剤の混合物及び組み合わせが挙げることができる。使用することができる他の可塑剤は、米国特許第5,013,779号明細書に開示されたC4〜C9アルキルアルコール及びC4〜C10シクロアルコールから調製される混合アジピン酸エステル、並びに例えばアジピン酸ヘキシルのようなC6〜C8アジピン酸エステルである。様々な態様では、使用される前記の可塑剤は、アジピン酸ジヘキシル及び/又はトリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)である。
【0058】
当業者に知られた方法により、前記のポリ(ビニルブチラール)ポリマー、可塑剤及びあらゆる添加物を加熱処理し、そしてシートに成形することができる。ポリ(ビニルブチラール)シートを調製する方法の一例を挙げるとすれば、樹脂、可塑剤及び添加剤を含む溶融したポリ(ビニルブチラール)を、金型(例えば、垂直方向よりも一方向に大きい開口部を有する金型)を通して、押し出すステップを含む方法が挙げられる。ポリ(ビニルブチラール)シートを調製する方法のもう一つの例を挙げるとすれば、ローラー上に金型から融解物を放出するステップ、前記の樹脂を固体化するステップ、及びそれに続くシートして固体化された樹脂を取り外すステップを含む方法が挙げられる。様々な態様では、前記の高分子膜は、例えば0.1〜2.5ミリメートル、0.2〜2.0ミリメートル、0.25〜1.75ミリメートル及び0.3〜1.5 ミリメートルの厚さである。
【0059】
ガラス膜を含む前記の態様の各々の代わりに、もう一つの態様として、適切な場合に非ガラス板タイプの材料が、前記のガラスの代わりに使用されている態様がある。前記の非ガラス膜の例としては、例えばポリカーボネート及びメタアクリル酸ポリアルキル、及び具体的には前記のアルキル基に1個〜3個の炭素原子を有するもののような、約60°C又は70°Cといった高いガラス転移温度を有する剛性プラスチックが挙げられる。
【0060】
あらゆる組み合わせで本明細書に開示された、あらゆる本発明の前記の高分子膜及び中間膜の積層物又は巻いたものも本発明の範囲に含まれる。
【0061】
本発明の中間膜のいずれかを含む、風防、窓及び他のガラス板最終製品も本発明の範囲に含まれる。
【0062】
本明細書に開示された本発明の高分子膜のいずれかを使用した中間膜又はガラス板を調製するステップを含む、中間膜及びガラス板パネルを製造する方法は、本発明の範囲に含まれる。
【0063】
たとえば風防又はガラス板パネル(glazing panel)の内部で本発明の高分子膜構築物のいずれかを開口部に設置するステップを含む、前記の開口部を通しての赤外線及び/又は近赤外線の放射の伝送を減少させる方法も本発明の範囲に含まれる。
【0064】
本発明の様々な態様では、二つ以上の高分子融解物が同時に押し出し成形され、後の積層ステップが必要でない、お互いに接触して二つ以上の隣接する高分子膜を備えた複数膜中間膜が形成されるプロセスである、相互押し出し成形により二つ以上の高分子膜が中間膜に形成される。二つ以上の分離された高分子膜が相互に接触して配置され、ついで一つの中間膜として積層される、本発明の中間膜の態様の各々について、本明細書で使用されているように、相互押し出し成形された中間膜が、個々の高分子膜から構成されると考えられ、且つ複数膜と考えられている、同一膜配置を有するように形成される態様も存在する。
【実施例1】
【0065】
Cs0.33WO3
(CWO)のジ-(2-エチルヘキサン酸)トリエチレングリコールの分散液を、そしてジ-(2-エチルヘキサン酸)トリエチレングリコールと希釈し、ついいで混合し、そしてブタン酸ポリビニル樹脂と混ぜ合わせ、そして押し出し成型して、0.76ミリメートルの厚さのシートであって前記のシートの一端に沿っておよそ29.21センチメートル(11.5”)幅のグラジエントバンド(gradient band)のシートを製作する。前記のCWO分散液を添加すると、前記のシートの非グラジエントバンド部位に0.06% CWOナノ粒子が生ずる。前記のグラジエントバンドは、0% CWOを含み、そして第二の融解物の流れ及び前記の主融解物の流れの中へ延びた相互押し出し成形のプローブを使用して形成される。
【0066】
この中間膜を、透明なガラスの膜と薄く着色されたガラスの間に積層する。調製された薄膜では、非グラジエント部位における可視光の伝送率が74.0%であり、前記のグラジエントバンドにおける可視光の伝送率が77.8%である。非グラジエント部位における880ナノメーターの波長の光線の伝送率は19.6%であり、そしてグラジエントバンドにおける880ナノメーターの波長の光線の伝送率は38.6%である。前記の伝送スペクトルを図4に示す。
【実施例2】
【0067】
実施例1と同様にして、前記の非グラジエント30部位では0.14% CWOであり、かつ前記のグラジエント部位では0.06% CWOである中間膜を調製する。前記の薄膜(laminate)の視野部分における可視光線の伝送率は、前記のグラジエント部位において73.4%及び80.1%である。視野部分における880ナノメーターの波長の光線の伝送率は13.1%であり、前記のグラジエント部位にける880ナノメーターの波長の光線の伝送率は28.6%である。前記の伝送スペクトルを図5に示す。
【0068】
本発明に基づいて、例えばポリ(ビニルブチラール)のような、望ましい赤外線シグナルの伝送を可能にする、赤外線吸収剤を不均一に分布させた中間膜を提供することが、ここにおいて可能になる。本発明について、実施例を引用して記載したが、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の構成要素について様々に変更でき、そして均等物に置き換えることができることを、当業者ならば理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、本発明の開示について特定の状況及び材料を適合させるために多くの変更は可能である。
【0069】
それゆえ、本発明が、本発明を実施するために意図されたベストモードとして開示された特定の態様に限定されないこと、及び本発明が、添付の請求項の範囲内に属するすべての態様を含むことを意図されている。
【0070】
さらに、本発明の単一の構成要素のいずれかについて付与された、範囲、値及び特性のいずれかを、本発明の他の構成要素のいずれかの範囲、値又は特性のいずれかと、矛盾がしない場合に交換して、本明細書に示されているように前記の構成要素の各々について定義された値を有する態様を作成することができることが、理解されるであろう。例えば、高分子膜が、適切な場合には一定のパターンのいずれかで不均一な分布を有することに加えて、一定の範囲のいずれかで酸化セシウムタングステンを含んで形成されると、本発明の範囲内であるが、リストアップがしづらい、多くの変形を形成することができる。
【0071】
前記の要約又はあらゆる請求項に記載されたあらゆる図の引用番号は、例示のみの目的のためで、あらゆる図において示されたいずれの特定の態様に対して請求項に係る発明を限定するように解釈されるべきでない。
【0072】
図は、特別に示されないならば縮尺されていない。
【0073】
本明細書で引用されている定期刊行物の記事、特許、特許出願及び書籍を含む、各引用文献のすべての内容は、引用により本明細書に援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数膜ガラス板中間膜(multiple layer glazing interlayer)であって、
赤外線吸収剤を含み、
前記の中間膜中の前記の赤外線吸収剤の分布が、10%超の不均一性の度合いを有する、中間膜。
【請求項2】
前記不均一性の度合いが20%超である、請求項1に記載の中間膜。
【請求項3】
前記中間膜が第一の部位及び第二の部位を含み、前記第一の部位が、880ナノメーターの波長における赤外線放射の少なくとも15%を伝送することができ、かつ前記第二の部位が、880ナノメーターの波長における赤外線放射の10%未満を伝送することができる、請求項1に記載の中間膜。
【請求項4】
前記第一の部位が、880ナノメーターの波長における赤外線放射の少なくとも72%を伝送することができ、かつ前記第二の部位が、880ナノメーターの波長における赤外線放射の23%未満を伝送することができる、請求項3に記載の中間膜。
【請求項5】
前記第一の部位がグラジエント部位(gradient region)である、請求項4に記載の中間膜。
【請求項6】
前記第一の部位が、前記第二の部位の内部に存在している、請求項4に記載の中間膜。
【請求項7】
前記赤外線吸収剤がLaB6又は酸化セシウムタングステンである、請求項1に記載の中間膜。
【請求項8】
前記不均一性の度合いが30%超である、請求項1に記載の中間膜。
【請求項9】
前記赤外線吸収剤が酸化セシウムタングステンである、請求項1に記載の中間膜。
【請求項10】
複数膜ガラス板であって、
複数膜ガラス板中間膜を含み、
赤外線吸収剤を含み、
前記中間膜における前記赤外線吸収剤の分布が10%超の不均一性の度合いを有する、複数膜ガラス板。
【請求項11】
前記不均一性の度合いが20%超である、請求項10に記載の中間膜。
【請求項12】
前記中間膜が第一の部位及び第二の部位を含み、前記第一の部位が880ナノメーターの波長における赤外線放射の少なくとも15%を伝送することができ、かつ前記第二の部位が880ナノメーターの波長における赤外線放射の10%未満を伝送することができる、請求項10に記載の中間膜。
【請求項13】
前記第一の部位が880ナノメーターの波長における赤外線放射の少なくとも72%を伝送することができ、かつ前記第二の部位が880ナノメーターの波長における赤外線放射の23%未満を伝送することができる、請求項12に記載の中間膜。
【請求項14】
前記第一の部位がグラジエント部位(gradient region)である、請求項13に記載の中間膜。
【請求項15】
前記第一の部位が、前記第二の部位の内部に存在している、請求項13に記載の中間膜。
【請求項16】
前記赤外線吸収剤がLaB6又は酸化セシウムタングステンである、請求項10に記載の中間膜。
【請求項17】
前記不均一性の度合いが30%超である、請求項10に記載の中間膜。
【請求項18】
前記赤外線吸収剤が酸化セシウムタングステンである、請求項10に記載の中間膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−502870(P2012−502870A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526885(P2011−526885)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/052210
【国際公開番号】WO2010/030444
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(503316891)ソルティア・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】