説明

太陽光発電システムの地絡検出装置

【課題】地絡発生箇所を容易かつ短時間で特定可能な太陽光発電システムの地絡検出装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電システム1の地絡検出装置2は、それぞれが複数の太陽電池ストリング6を電気的に並列接続する複数の第一接続箱7と、複数の第一接続箱7を電気的に並列接続する第二接続箱8と、第二接続箱8に電気的に接続して太陽電池ストリング6を電力系統に連系するパワーコンディショナ11と、それぞれの第一接続箱7または第二接続箱8にあり太陽電池ストリング6と第一接続箱7との間または両接続箱7、8間の回路を遮断可能な複数の開閉器12、16、17と、パワーコンディショナ11に設けられて太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路の地絡の有無を検出する地絡検出回路19と、地絡検出回路19に接続して太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路の地絡の有無を複数の開閉器12、16、17へ報知する地絡報知装置21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、太陽光発電システムの地絡検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、受光面に光を受けて発電する太陽電池モジュールを複数有する発電システムであり、複数の太陽電池モジュールを直列、並列に接続して所望の直流電圧と発電電力を得る。具体的には、太陽光発電システムは、複数の太陽電池モジュールを直列に接続して太陽電池ストリングを構成し、複数の太陽電池ストリングを並列に接続して所望の直流電圧と発電電力を得る。
【0003】
ところで、近年、所謂メガソーラーシステムと呼ばれ、1MWを越える発電能力を有する太陽光発電システムの開発が進んでいる。メガソーラーシステムは、数十Wの発電能力を有する太陽電池モジュールを極めて多量(例えば、数千枚以上)に備える。そこで、メガソーラーシステムのような太陽光発電システムは、複数の太陽電池ストリングを並列に接続する第一接続箱や、複数の第一接続箱を並列に接続する第二接続箱を用いて、複数の太陽電池ストリングを並列かつ多段階に接続する。
【0004】
一方、回路に地絡が発生した場合の感電防止や回路保護の観点から、地絡検出装置を備える太陽光発電システムが知られている。従来の地絡検出装置は、太陽電池モジュールを備える回路の正極側と負極側との電圧差を監視して回路の地絡を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−237421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の地絡検出装置は、太陽光発電システムの地絡の有無を検出することはできる。しかしながら、従来の地絡検出装置は、太陽光発電システムの回路上、何処で地絡が発生しているかを知ることができない。このことは、例えば住宅用太陽光発電システムのように小出力(20kw未満)の太陽光発電システムの場合、従来の地絡検出装置が地絡を検出した後に人力で地絡箇所を探索するとしても時間や労力がそれほど大きく必要になることはなく、問題とまでは言えない。
【0007】
一方、メガソーラーシステムのような大規模な太陽光発電システムの場合、地絡箇所の探索は極めて広大な調査範囲を対象にする必要があり、従来の地絡検出装置を用いても地絡箇所の特定が困難であり、時間が掛かるばかりか太陽光発電システムの稼働率を著しく損なうことにもなる。
【0008】
そこで、本発明は、地絡発生箇所を容易かつ短時間で特定可能な太陽光発電システムの地絡検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置は、それぞれが電気的に直列接続する複数の太陽電池モジュールを有する複数の太陽電池ストリングと、それぞれが前記複数の太陽電池ストリングを電気的に並列接続する複数の第一接続箱と、前記複数の第一接続箱を電気的に並列接続する第二接続箱と、前記第二接続箱に電気的に接続して前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングを電力系統に連系するパワーコンディショナと、それぞれの前記第一接続箱または前記第二接続箱にあり前記太陽電池ストリングと前記第一接続箱との間または前記両接続箱間の回路を遮断可能な複数の遮断器または開閉可能な複数の開閉器と、前記パワーコンディショナに設けられて前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングから前記パワーコンディショナまでの回路の地絡の有無を検出する地絡検出回路と、前記地絡検出回路に接続して前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングから前記パワーコンディショナまでの回路の地絡の有無を前記複数の遮断器または前記複数の開閉器へ報知する地絡報知装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出システムを示すブロック図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図。
【図5】本発明の第5実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る太陽光発電システムの地絡検出装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
本発明に係る太陽光発電システムの地絡検出装置の第1実施形態について、図1を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、先ず、本実施形態に係る太陽光発電システム1は、地絡検出装置2を適用する発電システムである。太陽光発電システム1は、太陽電池モジュール5を直列、並列に接続して所望の直流電圧と発電能力を得ることが可能であり、小規模な太陽光発電システムからメガソーラーシステムのような大規模な太陽光発電システムまで、発電能力に応じて必要数の太陽電池モジュール5を備える。
【0015】
太陽光発電システム1は、それぞれが電気的に直列に接続する複数の太陽電池モジュール5を有する複数の太陽電池ストリング6と、それぞれが複数の太陽電池ストリング6を電気的に並列に接続する第一接続箱7と、複数の第一接続箱7を電気的に並列接続する第二接続箱8と、第二接続箱8に電気的に接続して太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6を電力系統101に連系するパワーコンディショナ11と、を備える。
【0016】
太陽電池モジュール5は、数十Wの発電能力を有し、長方形状の受光面で光を受けて発電する。太陽電池ストリング6は、所望の直流電圧に応じて所要数の太陽電池モジュール5を直列に接続した回路である。なお、太陽光発電システム1は、太陽電池ストリング6に代えて単体の太陽電池モジュール5を電気的に並列に接続するものでも良く、太陽電池モジュール5および太陽電池ストリング6の数量は合計2つ以上であればいくつでも良い。太陽電池モジュール5および太陽電池ストリング6を総称して、単に「太陽電池5、6」と呼ぶ。
【0017】
第一接続箱7は、それぞれの太陽電池ストリング6を個別に切り離し可能な複数の太陽電池側開閉器12と、太陽電池ストリング6に対する逆電流の回り込みを阻止する逆流防止素子13と、第一接続箱7と第二接続箱8とを中継するケーブル15を切り離し可能な複数の第一中継側開閉器16と、を収容する。
【0018】
太陽電池側開閉器12は、太陽電池ストリング6の正極側および負極側のそれぞれにある。
【0019】
逆流防止素子13は、例えばダイオードであり、太陽電池ストリング6の正極側に接続して太陽電池ストリング6に逆向きの電流が流れることを防止する。例えば、太陽電池ストリング6の一部が日影になった場合、並列接続する太陽電池ストリング6間の出力電圧が不均衡になり日影になった太陽電池ストリング6に逆向きの電流が流れてしまうため、逆流防止素子13は、この逆電流を防止する。
【0020】
第一中継側開閉器16は、ケーブル15の正極側および負極側のそれぞれにある。
【0021】
第二接続箱8は、それぞれのケーブル15を個別に切り離し可能な複数の第二中継側開閉器17を収容する。
【0022】
第二中継側開閉器17は、ケーブル15の正極側および負極側のそれぞれにある。
【0023】
太陽電池側開閉器12、第一中継側開閉器16および第二中継側開閉器17は、第一接続箱7または第二接続箱8にあり太陽電池ストリング6と第一接続箱7との間または両接続箱7、8間の回路を開閉可能な開閉器である。これら開閉器12、16、17は、太陽光発電システム1の保守、点検時あるいは故障が発生したとき、太陽電池ストリング6、第一接続箱7およびケーブル15の少なくとも1つを回路から切り離す。これら開閉器12、16、17は、開閉器に代えて第一接続箱7または第二接続箱8にあり太陽電池ストリング6と第一接続箱7との間または両接続箱7、8間の回路を遮断可能な遮断器であっても良い。
【0024】
なお、「開閉器」(switch)とは、電気回路を開閉する器具であり、特定の動作負荷条件を含め通常回路条件で電流を投入、通電および遮断し、短絡など特定の異常回路条件で指定時間の間電流を通電できる器具である。「遮断器」(circuit−breaker)とは、正常状態において電流投入、保持および遮断を行い、短絡など指定された異常回路状態において電流投入、指定された時間保持および遮断を行う器具である。また、開閉器12、16、17は、定格電圧のもとで負荷電流の開閉をたてまえとしない断路器(disconnector)を用いることは好ましくない。
【0025】
パワーコンディショナ11は、太陽電池5、6が出力する直流電力を所定周波数(例えば、商用電源周波数)の交流電力に変換し、交流系統に接続する負荷設備(図示省略)に電力供給したり、電力系統101に並列接続して電力供給したりする。また、パワーコンディショナ11は、太陽電池5、6の出力が日射強度や太陽電池5、6の表面温度によって変動するために、最大出力点を追従するように太陽電池5、6の動作点を変化して太陽電池5、6から最大電力(最大出力)を取り出す最大電力追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を行う。最大電力追従制御は、パワーコンディショナ11の直流動作電圧もしくは直流電流またはこれらの両方を一定時間間隔でわずかに変動し、そのときの太陽電池5、6の出力電力と前回の出力電力記憶値とを比較して常に太陽電池5、6の出力電力が大きくなるようにパワーコンディショナ11の直流動作電圧を変化する。
【0026】
そして、本実施形態に係る地絡検出装置2は、太陽電池ストリング6、第一接続箱7、第二接続箱8およびパワーコンディショナ11の他に、パワーコンディショナ11に設けられて太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路の地絡の有無を検出する地絡検出回路19と、地絡検出回路19に接続して太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路の地絡の有無を複数の開閉器12、16、17へ報知する地絡報知装置21と、を備える。
【0027】
地絡検出回路19は、第二接続箱8とパワーコンディショナ11とを中継するケーブル22の正極側と負極側との電圧差を監視して太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路の地絡の有無を検出する。地絡検出回路19は、ケーブル22の正極側と負極側との間に相互に直列接続する複数の分圧抵抗(図示省略)を備える。また、地絡検出回路19は、複数の分圧抵抗の中性点を接地し、非地絡時に互いに等しい電圧を発生する2つの電圧検出点(すなわち中性点よりも正極側の電圧検出点と中性点よりも負極側の電圧検出点と)を設定し、これら2つの電圧検出点の電圧差が所定の設定値よりも大きくなると回路の地絡を検出して地絡検出信号を出力する。
【0028】
地絡報知装置21は、地絡検出回路19から地絡検出信号を受け取ると、太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路に地絡が発生していることを知らせるために作動する。地絡報知装置21は、例えば音を発するスピーカや、光を発する回転灯や表示灯によって聴覚や視覚を通じて回路の地絡を知らせる。地絡報知装置21は、太陽光発電システム1を設置する敷地において、第一接続箱7の設置箇所および第二接続箱8の設置箇所の全てに対して報知の有無を伝達できることが好ましい。
【0029】
そこで、地絡報知装置21は、第一接続箱7の設置箇所および第二接続箱8の設置箇所の全てに対して報知の有無を伝達可能なスピーカ、回転灯や表示灯などの報知部23と、地絡検出回路19に接続して地絡検出信号を受け取ると報知部23の作動を行う報知用開閉器25と、を備える。
【0030】
次に、本実施形態に係る太陽光発電システム1の地絡検出装置2を使用して地絡箇所を特定する方法を説明する。
【0031】
仮に、ある太陽電池ストリング6の負極側に地絡箇所Aが生じると、地絡検出回路19は、当該地絡を検出して地絡検出信号を出力する。次いで、地絡報知装置21は、地絡検出信号を受け取ると報知用開閉器25を閉じて報知部23を作動させる。報知部23は、スピーカの場合は適宜の音を、回転灯や表示灯の場合は適宜の光を発して地絡の発生を例えば太陽光発電システム1の監視員に知らせる。この時点で太陽光発電システム1の監視員は、太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路に地絡が発生していることを知るが、地絡箇所Aが何処であるのかは分からない。
【0032】
そこで、太陽光発電システム1の監視員は、第二接続箱8へ出向し、複数の第二中継側開閉器17を順次に開閉する。
【0033】
このとき、太陽光発電システム1の地絡検出装置2は、地絡箇所Aの生じた太陽電池ストリング6aに接続する第二中継側開閉器17aが開くと地絡検出回路19による地絡検出がなくなり地絡検出信号の出力を停止する。そうすると、地絡報知装置21は、報知用開閉器25を開いて報知部23を停止する。これによって、第二中継側開閉器17aよりも太陽電池ストリング6側に地絡箇所Aがあることが分かる。
【0034】
他方、太陽光発電システム1の地絡検出装置2は、正常な系統に接続する第二中継側開閉器17bが開いても地絡検出回路19によって地絡を検出し地絡検出信号の出力を継続する。そうすると、地絡報知装置21は、報知用開閉器25を閉じまたは維持して報知部23を作動させる。
【0035】
なお、第二中継側開閉器17の全てを開閉しても報知部23が停止せず、スピーカが発する音や、回転灯や表示灯の光が継続する場合、第二中継側開閉器17から地絡検出回路19の間のケーブル22に地絡箇所があることが分かる。
【0036】
次いで、太陽光発電システム1の監視員は、地絡箇所Aに繋がる第一接続箱7aへ出向し、複数の太陽電池側開閉器12を順次に開閉する。
【0037】
このとき、太陽光発電システム1の地絡検出装置2は、地絡箇所Aの生じた太陽電池ストリング6aに接続する太陽電池側開閉器12aが開くと地絡検出回路19による地絡検出がなくなり地絡検出信号の出力を停止する。そうすると、地絡報知装置21は、報知用開閉器25を開いて報知部23を停止する。これによって、太陽電池側開閉器12aに接続する太陽電池ストリング6aに地絡箇所Aがあることが分かる。
【0038】
他方、太陽光発電システム1の地絡検出装置2は、正常な系統に接続する太陽電池側開閉器12bが開いても地絡検出回路19によって地絡を検出し地絡検出信号の出力を継続する。そうすると、地絡報知装置21は、報知用開閉器25を閉じまたは維持して報知部23を作動させる。
【0039】
なお、太陽電池側開閉器12の全てを開閉しても報知部23が停止せず、スピーカが発する音や、回転灯や表示灯の光が継続する場合、第一中継側開閉器16aを開閉することによって報知部23(スピーカが発する音や、回転灯や表示灯の光)が停止する場合、第一中継側開閉器16aと第二中継側開閉器17aとの間のケーブル15aに地絡箇所があることが分かる。
【0040】
したがって、太陽光発電システム1の地絡検出装置2は、太陽電池側開閉器12、第一中継側開閉器16および第二中継側開閉器17を順次に開閉して地絡報知装置21による報知が停止するか否かを調べることによって、太陽電池側開閉器12よりも太陽電池ストリング6側、第一中継側開閉器16から第二中継側開閉器17の間(すなわちケーブル15)および第二中継側開閉器17から地絡検出回路19の間(すなわちケーブル22)のいずれに地絡箇所があるのかを絞り込み、地絡箇所を特定するために調査を必要とする範囲を小さくできる。
【0041】
すなわち、太陽光発電システム1の地絡検出装置2によれば、地絡発生箇所の特定を短時間かつ少人数で実施することを可能にし、運用費を低減するとともに短絡箇所の修理時間を短縮化して太陽光発電システム1の稼働率を向上する。
【0042】
[第2の実施形態]
本発明に係る太陽光発電システムの地絡検出装置の第2実施形態について、図2を参照して説明する。
【0043】
図2は、本発明の第2実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出システムを示すブロック図である。
【0044】
本実施形態に係る地絡検出装置2Aにおいて第1実施形態の地絡検出装置2と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図2に示すように、本実施形態に係る太陽光発電システム1の地絡検出装置2Aは、地絡報知装置21の活殺を切り換える第二開閉器27を備える。
【0046】
大規模な太陽光発電システムは、無人運転の運転方法を採用することが望まれる。そこで、地絡検出装置2Aは、第二開閉器27によって無人運転中に地絡報知装置21が作動することを防止する。
【0047】
[第3の実施形態]
本発明に係る太陽光発電システムの地絡検出装置の第3実施形態について、図3を参照して説明する。
【0048】
図3は、本発明の第3実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図である。
【0049】
本実施形態に係る地絡検出装置2Bにおいて第1実施形態の地絡検出装置2と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
図3に示すように、本実施形態に係る太陽光発電システム1Bは、第1実施形態に係る太陽光発電システム1に相当する回路を複数備える極めて大規模な太陽光発電システムである。
【0051】
そこで、本実施形態に係る地絡検出装置2Bは、それぞれが地絡検出回路19を有する複数のパワーコンディショナ11と、複数のパワーコンディショナ11を択一的に選択していずれかの地絡検出回路19を地絡報知装置21に接続する選択装置28と、を備える。
【0052】
太陽光発電システム1Bのような極めて大規模な太陽光発電システムは、出力容量上限の都合から複数のパワーコンディショナ11を備える。
【0053】
一方、各パワーコンディショナ11の回路(第1実施形態に係る太陽光発電システム1に相当する回路)が複数同時に地絡して故障する可能性は低い。そこで、本実施形態に係る地絡検出装置2Bは、選択装置28によって報知部23を共有し、設置費用を低減するとともに設置に必要な場所を最小化する。
【0054】
[第4の実施形態]
本発明に係る太陽光発電システムの地絡検出装置の第4実施形態について、図4を参照して説明する。
【0055】
図4は、本発明の第4実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図である。
【0056】
本実施形態に係る地絡検出装置2Cにおいて第1実施形態の地絡検出装置2と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0057】
図4に示すように、本実施形態に係る地絡検出装置2Cの地絡報知装置21Cは、それぞれの第一接続箱7および第二接続箱8へ個別に太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路の地絡の有無を報知する。
【0058】
地絡報知装置21Cは、それぞれの第一接続箱7および第二接続箱8へ個々に報知の有無を伝達可能な小型のスピーカ、回転灯や表示灯、LEDなどの複数の報知部23Cを備える。
【0059】
それぞれの報知部23Cは、報知用開閉器25が閉じると一斉に報知を行う。なお、報知部23Cは、互いに隣接する第一接続箱7がある場合、これら第一接続箱7で共有しても良い。
【0060】
本実施形態に係る地絡検出装置2Cは、太陽光発電システム1の監視員が太陽電池側開閉器12、第一中継側開閉器16および第二中継側開閉器17の開閉操作を行うそれぞれの第一接続箱7や第二接続箱8に報知部23Cを配置することによって、回路の地絡の有無の把握を容易にする。太陽光発電システム1が大規模な太陽光発電システムであればあるほど、太陽電池5、6、第一接続箱7および第二接続箱8の設置範囲は大きく広がり、全体で共通の報知部23では報知が不十分になる場合が考えられる。そこで、地絡検出装置2Cは、第一接続箱7や第二接続箱8の機側で確実な報知を行う。
【0061】
[第5の実施形態]
本発明に係る太陽光発電システムの地絡検出装置の第5実施形態について、図5を参照して説明する。
【0062】
図5は、本発明の第5実施形態に係る太陽光発電システムの地絡検出装置を示すブロック図である。
【0063】
本実施形態に係る地絡検出装置2Dにおいて第1実施形態の地絡検出装置2と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
図5に示すように、本実施形態に係る地絡検出装置2Dの地絡報知装置21Dは、太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路の地絡の有無をそれぞれの第一接続箱7および第二接続箱8へ光学的に伝送する。
【0065】
地絡報知装置21Dは、報知用開閉器25の他に、報知用開閉器25に接続して太陽電池モジュール5または太陽電池ストリング6からパワーコンディショナ11までの回路に地絡が発生していることを知らせるために点灯可能な光源31と、光源31から第一接続箱7や第二接続箱8へ報知の有無を光学的に伝達可能な光ファイバなどの報知部23Dを備える。なお、報知部23Dは、互いに隣接する第一接続箱7がある場合、これら第一接続箱7で共有しても良い。
【0066】
本実施形態に係る地絡検出装置2Dは、太陽光発電システム1の監視員が太陽電池側開閉器12、第一中継側開閉器16および第二中継側開閉器17の開閉操作を行うそれぞれの第一接続箱7や第二接続箱8に報知部23Dを配置することによって、回路の地絡の有無の把握を容易にする。太陽光発電システム1が大規模な太陽光発電システムであればあるほど、太陽電池5、6、第一接続箱7および第二接続箱8の設置範囲は大きく広がり、全体で共通の報知部23では報知が不十分になる場合が考えられる。そこで、地絡検出装置2Dは、第一接続箱7や第二接続箱8の機側で確実な報知を行う。
【0067】
したがって、本実施形態に係る太陽光発電システム1、1Bの地絡検出装置2、2A、2B、2C、2Dによれば、地絡発生箇所を容易かつ短時間で特定できる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1、1B 太陽光発電システム
2、2A、2B、2C、2D 地絡検出装置
5 太陽電池モジュール
6、6a 太陽電池ストリング
7、7a 第一接続箱
8 第二接続箱
11 パワーコンディショナ
12、12a、12b 太陽電池側開閉器
13 逆流防止素子
15、15a ケーブル
16、16a 第一中継側開閉器
17、17a、17b 第二中継側開閉器
19 地絡検出回路
21、21C、21D 地絡報知装置
22 ケーブル
23、23C、23D 報知部
25 報知用開閉器
27 第二開閉器
28 選択装置
31 光源
101 電力系統

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが電気的に直列接続する複数の太陽電池モジュールを有する複数の太陽電池ストリングと、
それぞれが前記複数の太陽電池ストリングを電気的に並列接続する複数の第一接続箱と、
前記複数の第一接続箱を電気的に並列接続する第二接続箱と、
前記第二接続箱に電気的に接続して前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングを電力系統に連系するパワーコンディショナと、
それぞれの前記第一接続箱または前記第二接続箱にあり前記太陽電池ストリングと前記第一接続箱との間または前記両接続箱間の回路を遮断可能な複数の遮断器または開閉可能な複数の開閉器と、
前記パワーコンディショナに設けられて前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングから前記パワーコンディショナまでの回路の地絡の有無を検出する地絡検出回路と、
前記地絡検出回路に接続して前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングから前記パワーコンディショナまでの回路の地絡の有無を前記複数の遮断器または前記複数の開閉器へ報知する地絡報知装置と、を備えることを特徴とする太陽光発電システムの地絡検出装置。
【請求項2】
前記地絡報知装置の活殺を切り換える第二開閉器を備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システムの地絡検出装置。
【請求項3】
それぞれが前記地絡検出回路を有する複数の前記パワーコンディショナと、
前記複数のパワーコンディショナを択一的に選択していずれかの前記地絡検出回路を前記地絡報知装置に接続する選択装置と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システムの地絡検出装置。
【請求項4】
前記地絡報知装置は、それぞれの前記第一接続箱および前記第二接続箱へ個別に前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングから前記パワーコンディショナまでの回路の地絡の有無を報知することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽光発電システムの地絡検出装置。
【請求項5】
前記地絡報知装置は、前記太陽電池モジュールまたは前記太陽電池ストリングから前記パワーコンディショナまでの回路の地絡の有無をそれぞれの前記第一接続箱および前記第二接続箱へ光学的に伝送することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽光発電システムの地絡検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−244852(P2012−244852A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115069(P2011−115069)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】