説明

太陽光発電パネル、及び太陽光発電パネルを備える遮音壁、建造物用窓パネル設備、乗物用窓パネル設備、並びに太陽光発電パネルの診断装置、太陽光発電パネルの保守管理システム

【課題】透視性に優れ、十分な発電量を確保することができる太陽光発電パネルを提供する。
【解決手段】略平面状の一対の太陽電池素子20・20が対向配置され接着層30を介して接着される太陽電池ユニット50と、太陽電池ユニット50の両外側に配置される透光板40・40とを備え、太陽電池ユニット50の各々の透光板40に対する面積比が20%未満とされ、透光板40に対する占有面積比率が60%未満、好ましくは30%未満となるように設定して太陽電池ユニット50の各々が所定間隔で配置される太陽光発電パネル10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光型の太陽光発電パネル、及びその太陽光発電パネルを備える遮音壁、建造物用窓パネル設備、乗物用窓パネル設備、並びに太陽光発電パネルの診断装置、太陽光発電パネルの保守管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路、自動車専用道路、線路等の走行路には、付帯設備として遮音壁が設置されることがある。遮音壁は、走行路の側部に沿って設置され、車両の走行によって発生する騒音が近隣に及ぶことを抑制する。遮音壁は、例えば走行路の側部に沿って所定間隔で設置された支柱の間に複数個の遮音パネルを積み重ねて保持することで構築される。
【0003】
そして、省エネルギー化による地球環境保護等の観点から、特許文献1で遮音壁に太陽光発電パネルを設ける技術が提案されている。特許文献1には、遮音壁をなす遮音パネルの一部を矩形にくり抜き、このくり抜き部分に矩形透明板の遮音パネルを取り付けると共に、この遮音パネル内に、両面受光型で矩形板状の太陽光発電パネルを、透視性を損なわないように一枚或いは透視性を損なわない程度の間隔を開けて複数枚設けることが開示されている。
【0004】
他方において、太陽光発電パネル自体を透光型とする構造として、特許文献2の太陽光発電パネルがある。この太陽光発電パネルは、一対の透明板の間に結線された球状の太陽電池セルを封止するものであり、球状の太陽電池セルがあらゆる方向からの入射光に対してほぼ同じ受光感度で光電変換するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−239226号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/080631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の遮音壁は、太陽光発電パネルを透視性を損なわない程度に設けるとされているが、単に矩形板状の太陽光発電パネルの設置箇所の周囲の隙間から途切れ途切れに景色が散見できる程度に過ぎないものであり、車両の乗車者等が周囲の景観を楽しめるものとは言い難い。
【0007】
そして、優れた透視性を確保し、車両の乗車者等が周囲の景観を楽しめるようにする解決策として、特許文献1の太陽光発電パネルに代え、特許文献2の球状の太陽電池セルが封止されている透光型の太陽光発電パネルを遮音パネルに設置することが考えられる。
【0008】
しかしながら、特許文献2の太陽光発電パネルは、立体形状である球状の太陽電池セルが影をつくり、球状の太陽電池セル相互が受光の障害となる等により、実際には受光面を大きく確保することができず、一日を通しての発電量が小さくなる。この傾向は、特に遮音壁のように太陽光発電パネルを略垂直方向に設ける場合により顕著となり、十分な発電量の確保が困難となる。そのため、透視性に優れると共に、十分な発電量を確保することができる太陽光発電パネルが求められている。
【0009】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであり、透視性に優れ、十分な発電量を確保することができる太陽光発電パネル、及び太陽光発電パネルを備える遮音壁、建造物用窓パネル設備、乗物用窓パネル設備、並びに太陽光発電パネルの診断装置、太陽光発電パネルの保守管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の太陽光発電パネルは、略平面状の一対の太陽電池素子が対向配置され接着層を介して接着される太陽電池ユニットと、前記太陽電池ユニットの両外側に配置される透光層とを備え、前記太陽電池ユニットの各々の前記透光層に対する面積比が20%未満とされ、前記透光層に対する占有面積比率が60%未満となるように設定して前記太陽電池ユニットの各々が所定間隔で配置されることを特徴とする。
この構成によれば、太陽電池ユニットの各々を視覚的に目立たないようにし、所要の透過率を確保することができ、透視性に優れる太陽光発電パネルを得ることができる。また、各太陽電池ユニットを略平面状の一対の太陽電池素子を対向配置して構成することにより、太陽光発電パネルの表裏に加えて斜め側方から太陽光が入射する場合にも大きな受光量を得ることができ、一日を通しての受光量を非常に大きくし、十分な発電量を確保することができる。
【0011】
本発明の太陽光発電パネルは、前記透光層に対する占有面積比率が30%未満となるように設定して前記太陽電池ユニットの各々が所定間隔で配置されることを特徴とする。
この構成によれば、太陽光発電パネルの透視性のより一層の向上を図ることができる。
【0012】
本発明の太陽光発電パネルは、略点状の前記太陽電池ユニットが縦横に配置されることを特徴とする。
この構成によれば、例えば略点状の太陽電池ユニットを縦横に同じ略一定間隔で均等配置する、或いは縦横に異なる長さで略一定間隔で均等配置する等により、太陽電池ユニットをより目立たせずに配置することが可能となり、太陽光発電パネル及びこれを透して見る景観等の美観を高めることができる。
【0013】
本発明の太陽光発電パネルは、横方向の相互間隔を略縦縞を形成するように漸次変化させて、前記略点状の前記太陽電池ユニットが配置されることを特徴とする。
この構成によれば、横方向の所定間隔毎に太陽光発電パネルの透過率を高め、太陽光発電パネルを透して見る景観等の鮮明度を局所的に向上することができると共に、走行路を走る自動車や電車など横方向に高速移動する対象者からの太陽電池ユニットの印象を略縦縞を構成して弱めることができる。
【0014】
本発明の太陽光発電パネルは、略線状の前記太陽電池ユニットが所定間隔で配置されることを特徴とする。
この構成によれば、例えば略線状の太陽電池ユニットを横方向に延びるように配置する、斜めに延びるように配置する、或いは格子状に配置する等により、所定間隔毎に太陽光発電パネルの透過率を高め、太陽光発電パネルを透して見る景観等の鮮明度を局所的に向上することができる。
【0015】
本発明の太陽光発電パネルは、前記略線状の前記太陽電池ユニットが略縦縞を形成するように配置されることを特徴とする。
この構成によれば、走行路を走る自動車や電車など横方向に高速移動する対象者からの略線状の太陽電池ユニットの印象を弱めることができる。
【0016】
本発明の太陽光発電パネルは、表面側の太陽電池素子と裏面側の太陽電池素子とが並列接続され、前記表面側の太陽電池素子の出力側の接続線と前記裏面側の太陽電池素子の出力側の接続線とにそれぞれダイオードが接続されていることを特徴とし、例えば表面側の複数の太陽電池素子を直列接続する第1の太陽電池アレイと、裏面側の複数の太陽電池素子を直列接続する第2の太陽電池アレイとが並列接続され、前記第1の太陽電池アレイの出力側の接続線と前記第2の太陽電池アレイの出力側の接続線とにそれぞれダイオードが接続されている構成等とする。
この構成によれば、表面側の太陽電池素子と裏面側の太陽電池素子相互間の逆流を防止し、各太陽電池素子の起電力を確実に出力することができる。
【0017】
本発明の遮音壁は、本発明の太陽光発電パネルが遮音パネルの壁面として設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、遮音壁に、騒音の広がり抑制と発電の双方の機能を担わせることができ、膨大な長さに亘る遮音壁で大量の太陽光エネルギーを有効利用することができる。また、例えば自動車の運転者等が透光する遮音壁を介して周囲の景色を十分に楽しむことができると共に、走行路の側部を明るくして車両の運転者等の人間が受ける心理的な緊張や圧迫感を軽減することができる。
【0018】
本発明の建造物用窓パネル設備は、本発明の太陽光発電パネルが建造物の開口部の窓パネルとして設けられることを特徴とする。
この構成によれば、建造物の窓パネルに、建造物内への採光、外気や雨の遮断、遮音等に加えて発電という多様な機能を担わせることができると共に、建造物の多数の窓パネルで大量の太陽光エネルギーを有効利用することができる。また、太陽光発電パネルを介して建造物内の人が周囲の景観等を楽しむことができる。
【0019】
本発明の乗物用窓パネル設備は、本発明の太陽光発電パネルが乗物の開口部の窓パネルとして設けられることを特徴とする。
この構成によれば、乗物の窓パネルに、乗物内への採光、外気や雨の遮断、遮音等に加えて発電という多様な機能を担わせることができる。また、電車など多数の窓パネルを有する乗物の場合には、多数の窓パネルで大量の太陽光エネルギーを有効利用することができる。また、太陽光発電パネルを介して乗物内の人が周囲の景観等を楽しむことができる。
【0020】
本発明の太陽光発電パネルの診断装置は、本発明の太陽光発電パネルに用いる診断装置であって、一の前記太陽光発電パネルの起電力と他の前記太陽光発電パネルの起電力との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定するための判定式と、前記判定式で用いられる設定係数若しくは設定値とを記憶する記憶部と、前記判定式と前記設定係数若しくは前記設定値に基づき、前記一の太陽光発電パネルの起電力と前記他の太陽光発電パネルの起電力との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定し、前記比較値が許容範囲外である場合に、前記判定で起電力の小さい方の太陽光発電パネルの異常を検出する判定検出部と、前記異常の検出に応じて前記異常が検出された太陽光発電パネルの異常を告知する告知手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、2つの太陽光発電パネルの起電力の対比により、太陽光発電パネルの発電状態を自動的に診断することが可能であり、その発電状態を告知手段で外部の人間に容易に認識させることができる。
【0021】
本発明の太陽光発電パネルの保守管理システムは、本発明の太陽光発電パネルの診断装置と、所定位置の太陽光発電パネルの異常信号の受信に基づき、保守点検員による前記所定位置の太陽光発電パネルの点検を促す出力を行う親局制御装置等の制御装置とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、遠隔地など太陽光発電パネルと離れた位置で太陽光発電パネルの発電量の低下を認識することが可能となり、保守点検員が点検するように促し、保守点検員が太陽光発電パネルの交換、修理等の必要な保守管理を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、透視性に優れ、十分な発電量を確保することができる太陽光発電パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による第1実施形態の太陽光発電パネルの正面図。
【図2】第1実施形態の太陽光発電パネルの背面図。
【図3】(a)は第1実施形態の太陽光発電パネルの側面図、(b)はその一部を示す部分縦断面図。
【図4】第1実施形態の太陽光発電パネルにおける太陽電池素子の接続を説明する回路説明図。
【図5】第1実施形態の太陽光発電パネルを用いて構成される遮音壁の正面図。
【図6】図5の遮音壁に設けられる太陽光発電パネルの診断装置の接続状態の例を示す図。
【図7】太陽光発電パネルの診断装置の構成例を示すブロック図。
【図8】太陽光発電パネルの診断装置の処理例を示すフローチャート。
【図9】太陽光発電パネルの診断装置を有する太陽光発電パネルの保守管理システムの例を示す説明図。
【図10】図9の太陽光発電パネルの保守管理システムの処理例を示すフローチャート。
【図11】本発明による第2実施形態の太陽光発電パネルの正面図。
【図12】本発明による第3実施形態の太陽光発電パネルの正面図。
【図13】第3実施形態の太陽光発電パネルの一部を示す部分縦断面図。
【図14】第3実施形態の太陽光発電パネルにおける太陽電池素子の接続を説明する回路説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による実施形態の太陽光発電パネル、及びこれを有する遮音壁、太陽光発電パネルの診断装置、太陽光発電パネルの保守管理システムについて説明する。
【0025】
〔第1実施形態の太陽光発電パネル〕
第1実施形態の太陽光発電パネル10は、図1〜図3に示すように、対向配置される略平面状の一対の太陽電池素子20・20と、対向配置の太陽電池素子20・20の間に設けられている接着層30と、各対の太陽電池素子20・20の両外側に、太陽電池素子20・20と平面方向を合わせて配置される透光層に相当する透光板40・40とを備え、対向配置され接着層30を介して接着される一対の太陽電池素子20・20で太陽電池ユニット50を構成している。
【0026】
一対の太陽電池素子20・20は、同形で同サイズの太陽電池素子20・20を正面視で形状を合わせて同一位置で重なるように配置して構成され、その間で太陽電池素子20・20を接着する接着層30の厚さだけ所定距離離間して配置されている。図示例の略平面状の太陽電池素子20は、正面視で略正方形の平板状であるが、その形状は適宜であり、例えば正面視で長方形、六角形等の多角形の平板状、円形の平板状等とすることが可能である。
【0027】
一対の太陽電池素子20・20で構成される太陽電池ユニット50は、略点状で縦横に行列配置されている。図示例では、縦方向に並ぶ太陽電池ユニット50・50の相互間隔が略均一であり、横方向に並ぶ太陽電池ユニット50・50の相互間隔が略均一であり、更に、縦横の太陽電池ユニット50・50の相互間隔も略均一になっている。尚、行列配置の太陽電池ユニット50相互の配置間隔は、例えば縦方向の相互間隔を漸次変化するように異ならせ、横方向の相互間隔を略均一とする、或いは縦方向の相互間隔を略均一とし、横方向の相互間隔を漸次変化するように異ならせる、或いは縦方向と横方向の双方の相互間隔を漸次変化するように異ならせる等とすることが可能である。
【0028】
太陽電池素子20は、図4に示すように、接続線61で複数直列に接続されて太陽電池アレイ70を構成しており、各太陽電池アレイ70の出力側の接続線61にはダイオード62が接続されていると共に、各太陽電池アレイ70は相互に並列接続されている。
【0029】
図4の太陽電池アレイ70aは、太陽光発電パネル10の表面側(正面側)に設けられる太陽電池素子20aの複数を直列に接続したものであり、太陽電池アレイ70bは、太陽光発電パネル10の裏面側(背面側)に設けられる太陽電池素子20bの複数を直列に接続したものであり、図4で上下に対応配置されている太陽電池素子20aと太陽電池素子20bは表裏で一対の太陽電池素子20・20である。換言すれば、表面側の太陽電池素子20aと裏面側の太陽電池素子20bとが並列接続され、表面側の太陽電池素子20aの出力側の接続線61と裏面側の太陽電池素子20bの出力側の接続線61とにそれぞれダイオード62が接続されている構成である。
【0030】
尚、表面側(正面側)の複数の太陽電池素子20aを直列に接続し、裏面側(背面側)の複数の太陽電池素子20bを直列に接続する場合に、これらの複数は、表面側(正面側)の太陽電池素子20aの全部と、裏面側(背面側)の太陽電池素子20bの全部とする構成、或いはそれぞれの一部とする構成とすることが可能である。それぞれの一部とする場合には、表面側(正面側)の直列接続されている複数の太陽電池素子20aと、別に表面側(正面側)の直列接続されている複数の太陽電池素子20aとを並列接続し、それぞれの直列接続における太陽電池アレイ70aの出力側にダイオード62を接続し、裏面側(背面側)についても同様とするとよい。
【0031】
各太陽電池素子アレイ70を接続した接続線61の両端部は、図示省略する接続箱、パワーコンディショナーに接続され、接続線61を介して供給される複数の太陽光発電パネル10の起電力は、接続箱、パワーコンディショナー、分電盤(図示省略)を介して、商用電力系統等に提供される。
【0032】
接着層30は、シリコン系接着剤など太陽電池素子20・20を接着可能な適宜の接着剤で構成される。また、各太陽電池ユニット50の周囲には、全体を封止するようにしてシリコン樹脂等の透明合成樹脂からなる被覆層31が設けられている。尚、接着層30と被覆層31を同じ素材で一体として形成することも可能であり、この場合には透明な接着剤等で形成する。尚、太陽光発電パネル10の良好な透視性を確保するため、被覆層31は、透過率60%以上、好適には80%以上の素材で形成することが好ましいが、透過率8%以上等のものとすることも可能である。
【0033】
透光板40は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明合成樹脂であり、被覆層31による接着或いは被覆層31とのボルト締めによる固定等により、所定位置で対向配置されている。本例の透光板40は長方形板状であるが、その形状は用途等に応じて適宜である。尚、太陽光発電パネル10の良好な透視性を確保するため、透光板40は、透過率60%以上、好適には80%以上の素材で形成することが好ましいが、透過率8%以上等のものとすることも可能である。
【0034】
そして、各太陽電池ユニット50の正面視面積、即ち各太陽電池素子20の正面視面積は、透光板40の正面視面積に対して、各々20%未満の面積比、好ましくは10%未満の面積比、より好ましくは5%未満の面積比、点状の太陽電池ユニット50の場合にはより好ましくは1%未満の面積比に設定され、例えば正面視面積が1〜9cm程度の大きさの正面視略正方形の太陽電池素子20が、正面視面積が10000〜50000cm程度の大きさの正面視略長方形の透光板40に設けられる場合、その正面視或いは背面視の面積比は0.002%〜0.09%となる。
【0035】
更に、各太陽電池ユニット50の各々、即ち太陽電池素子20の各々は、透光板40に対する正面視或いは背面視の占有面積比率が60%未満となるように設定し、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満となるように設定して、所定間隔で配置されている。例えば図示例の正面視で10個×20個=400個の太陽電池ユニット50が配置されている構成において、各太陽電池ユニット50或いは各太陽電池素子20の正面視面積を1〜9cmとした場合の占有面積は400〜3600cmとなり、正面視面積が10000〜50000cmの透光板40に対する占有面積比率は、0.8%〜36%となる。
【0036】
第1実施形態の太陽光発電パネル10は、太陽電池ユニット50の各々を目立たないようにし、所要の透過率を確保することができ、優れた透視性を発揮することができる。また、各太陽電池ユニット50を略平面状の一対の太陽電池素子20・20を対向配置して構成することにより、太陽光発電パネル10の表裏に加えて斜め側方から太陽光が入射する場合にも大きな受光量を得ることができ、一日を通しての受光量を非常に大きくし、十分な発電量を確保することができる。
【0037】
また、太陽電池ユニット50を略点状にして縦横に配置することにより、その存在感を一層薄め、太陽光発電パネル10及びこれを透して見る景観等の美観を高めることができる。また、ダイオード62により、表面側の太陽電池素子20aと裏面側の太陽電池素子20b相互間の逆流を防止し、各太陽電池素子20の起電力を確実に出力することができる。また、接着層30や被覆層31で振動吸収力を高めることができ、振動による歪曲等を防止することができる。
【0038】
〔遮音壁の例〕
次に、第1実施形態の太陽光発電パネル10を用いて構成される遮音壁80について説明する。
【0039】
遮音壁80は、図5に示すように、車両が走行する走行路に沿って所定間隔で設置される複数本の支柱81の間に、複数個の遮音パネル82を積み重ねて保持することで構築されている。遮音パネル82は、透光性を有する太陽光発電パネル10をその枠体内等に一体的に備え、1つの遮音パネル82に対して1つの太陽光発電パネル10が遮音パネル82の壁面として設けられている。遮音パネル82には、後述する太陽光発電パネルの診断装置における異常表示部に相当するLED灯83が設置されており、遮音パネル82に設置されている太陽光発電パネル10の異常を表示可能になっている。
【0040】
遮音壁80には、所々に二本の支柱81・81の間に保持される機器設置壁84が設けられ、機器設置壁84にパワーコンディショナー85や接続箱等が内蔵される。1つのパワーコンディショナー85は、複数個の太陽光発電パネル10に対応し、これらの複数の太陽光発電パネル10から直接電力を取り込むようになっている。
【0041】
この遮音壁80は、騒音の広がり抑制と発電の双方の機能を担うことができ、膨大な長さに亘る遮音壁80で大量の太陽光エネルギーを有効利用することができる。また、遮音パネル82に設けられる太陽光発電パネル10を透光性とすることにより、例えば自動車の運転者等が周囲の景色を楽しむことができると共に、走行路の側部を明るくする等で、走行路を走る車両の運転者等の人間が受ける心理的な緊張や圧迫感を軽減することができる。
【0042】
〔太陽光発電パネルの診断装置の例〕
次に、上記遮音壁80に設けられる太陽光発電パネル10の診断装置について説明する。
【0043】
本例の太陽光発電パネル10の診断装置は、図6及び図7に示すように、各遮音パネル82にそれぞれ設置される複数の太陽光発電パネル10と、各太陽光発電パネル10を電気的に接続し、各太陽光発電パネル10の起電力を送出する主回路線に相当する接続線61と、太陽光発電パネル10の異常を検出する検出回路11(図1〜図3では図示省略)と、接続線61から分岐して検出回路11に電圧を取り込むための分岐線12と、各太陽光発電パネル10に対応する各検出回路11間を接続する通信線13と、検出回路11で太陽光発電パネル10の異常を検出した場合に異常を告知する告知手段を構成する異常表示部であるLED灯83とから構成される。
【0044】
複数の太陽光発電パネル10は、接続線61を介して直列に接続され、その起電力を接続線61を介して送出する。主回路線である接続線61の両端部は、上述の接続箱、パワーコンディショナー85に接続されており、複数の太陽光発電パネル10の起電力は、接続箱、パワーコンディショナー85、分電盤(図示省略)を介して、商用電力系統等に提供される。
【0045】
検出回路11は、図7に示すように、メモリ等で構成される記憶部111と、一の太陽光発電パネル10の起電力と一の太陽光発電パネル10の隣に接続される他の太陽光発電パネル10の起電力との相対的な比較をして異常を検出する回路部分である判定検出部112と、異常の検出に応じて異常が検出された太陽光発電パネル10の異常を告知する告知手段を構成する信号送受信部113及び出力制御部114とを備える。
【0046】
記憶部111は、一の太陽光発電パネル10の起電力と他の太陽光発電パネル10の起電力との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定するための判定式と、その判定式で用いられる設定係数若しくは設定値を記憶する。この判定式は、例えば一の太陽光発電パネル10の起電力をV1、他の太陽光発電パネル10の起電力をV2、設定係数をkとする場合に、k・V2−V1>0とすることが可能である。これは2つの太陽光発電パネル10・10の起電力の一方が他方の起電力のkで示される一定割合(例えば50%の場合には0.5)未満となった場合に、起電力の低い方の太陽光発電パネル10を、即ち検出回路11が対応する太陽光発電パネル10を発電量低下による異常として検出するための判定式及び設定係数である。
【0047】
また、別の判定式として、例えば一の太陽光発電パネル10の起電力をV1、他の太陽光発電パネル10の起電力をV2、設定値をmとする場合に、V2−V1>mとすることが可能である。これは2つの太陽光発電パネル10・10の起電力の差がmで示される閾値を超える場合に、起電力の低い方の太陽光発電パネル10を、即ち検出回路11が対応する太陽光発電パネル10を発電量低下による異常として検出するための判定式及び設定値である。
【0048】
判定検出部112は、記憶部31に記憶されている判定式と設定係数若しくは設定値を用いて、入力される一の太陽光発電パネル10の起電力と他の太陽光発電パネル10の起電力との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定し、比較値が許容範囲外である場合に、判定で起電力の小さい方の太陽光発電パネル10、即ちその検出回路11自身が対応する太陽光発電パネル10の異常を検出する。この許容範囲は、例えば上記例の設定係数kの判定式の場合には比較値k・V2−V1≦0であり、設定値mの判定式の場合には比較値V2−V1≦mであり、これらの比較値が許容範囲外の場合に太陽光発電パネル10の異常を検出する。
【0049】
告知手段を構成する信号送受信部113は、太陽光発電パネル10の異常の検出に応じて、その太陽光発電パネル10の異常信号を通信線13を介して後述する子局制御装置など外部に送信すると共に、通信線13を介して他の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11から他の太陽光発電パネル10の起電力の値を受信して判定検出部112に出力し、更に、通信線13を介して他の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11に、対応する一の太陽光発電パネル10の起電力の値を判定検出部112から取得して送信する。また、告知手段を構成する出力制御部114は、太陽光発電パネル10の異常の検出に応じて、その太陽光発電パネル10の異常を表示する異常表示部であるLED灯83の出力を制御する。
【0050】
分岐線12は、太陽光発電パネル10のプラス側とマイナス側に接続される接続線61の双方にそれぞれ接続されており、この分岐線12・12を介して太陽光発電パネル10の起電力が対応する検出回路11に分岐して入力される。また、検出回路11・11間を接続する通信線13は、一の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11に、他の太陽光発電パネル10の起電力を他の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11からデータ通信により取り込むものであり、一の太陽光発電パネル10と他の太陽光発電パネル10にそれぞれ対応する検出回路11・11は、相互に対応しない太陽光発電パネル10の起電力の値を通信線13を介して取得可能になっている。更に、通信線13は太陽光発電パネル10の異常信号を送信する機能を担う。
【0051】
LED灯63は、太陽光発電パネル10の異常が検出された場合には、出力制御部114の制御により所定パターンで点滅或いは点灯等して異常を表示するようになっている。尚、告知手段として、太陽光発電パネル10の各々若しくはその近傍にスピーカーを設け、検出回路11に設けられる出力制御部により、太陽光発電パネル10の異常の検出に応じて、所定パターンの音を出力して異常を示すようにしてもよい。また、告知手段は、前述の信号送受信部113で構成される信号送信部、異常表示部であるLED灯83の出力を制御する出力制御部114、或いはスピーカーの出力を制御する出力制御部の各々、又はこれらの適宜の組み合わせで構成することが可能である。
【0052】
上記太陽光発電パネル10の診断装置の処理では、図8に示すように、一の太陽光発電パネル10から対応する検出回路11に起電力が入力される(S101)。そして、検出回路11の判定検出部112は、入力された起電力の値を信号送受信部113に出力し、信号送受信部113はこの起電力の値をデータとして通信線13を介して、他の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11に送信する(S102)。
【0053】
また、一の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11の信号送受信部113では、他の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11から送信される他の太陽光発電パネル10の起電力の値を通信線13を介して受信し、その起電力の値を判定検出部112が取り込む(S103)。
【0054】
次いで、一の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11の判定検出部112は、記憶部111に記憶されている判定式と設定係数若しくは設定値を用いて、一の太陽光発電パネル10の起電力の値と他の太陽光発電パネル10の起電力の値との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定し(S104)、比較値が許容範囲外である場合に、判定で起電力の小さい方の太陽光発電パネル10、即ちその検出回路11自身が対応する太陽光発電パネル10の異常を検出する(S105)。
【0055】
尚、他の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11への一の太陽光発電パネル10の起電力の値の送信、他の太陽光発電パネル10の起電力の値の取り込み、その値と一の太陽光発電パネル10の起電力の値との比較判定は、接続線61による接続線路の両端に位置して配置される場合など、他の太陽光発電パネル10が1つだけである場合には、その1つの太陽光発電パネル10に対して行い、又、一の太陽光発電パネル10の両側にそれぞれ太陽光発電パネル10が接続され、他の太陽光発電パネル10が2つである場合には、その2つの太陽光発電パネル10に対して行い、何れか一方の他の太陽光発電パネル10に対して一の太陽光発電パネル10の比較値が許容範囲外である場合には異常として検出する。
【0056】
そして、異常検出に応じて、一の太陽光発電パネル10に対応する検出回路11の出力制御部114は、LED灯83の出力を制御して点灯或いは点滅等し、現場で異常の太陽光発電パネル10を認識し易くすると共に、その信号送受信部113が、発電量低下の異常が検出された太陽光発電パネル10の識別番号等の位置情報を有する異常信号を生成して外部に送信する(S106)。
【0057】
本例の太陽光発電パネル10の診断装置によれば、2つの太陽光発電パネル10・10の起電力の対比により、太陽光発電パネル10の発電状態を自動的に診断することが可能であり、その発電状態を告知手段で外部の人間に容易に認識させることができる。また、信号送受信部113で異常信号を外部に送信することにより、遠隔地など太陽光発電パネル10と離れた位置で太陽光発電パネル10の発電量の低下を認識することができ、必要に応じて太陽光発電パネル10の交換、修理等の作業を行うことができる。また、記憶部111と判定検出部112等から構成される検出回路11を太陽光発電パネル10の各々に対応して設けることにより、検出回路11が故障して太陽光発電パネル10の発電量低下を検出できない検出回路11の故障リスクを個々の太陽光発電パネル10に限定し、故障リスクがより低い装置や設備構成とすることができる。
【0058】
〔太陽光発電パネルの保守管理システムの例〕
次に、上記太陽光発電パネル10の診断装置が用いられる太陽光発電パネル10の保守管理システムについて説明する。
【0059】
本例の太陽光発電パネル10の保守管理システムは、図9に示すように、上記太陽光発電パネル10の診断装置を有する複数の太陽光発電パネル10が遮音壁80に設置され、各太陽光発電パネル10及びその検出回路11が接続線61と通信線13を介して接続される。複数の太陽光発電パネル10の起電力は、各太陽光発電パネル10を直列に接続する接続線61を介してパワーコンディショナー85等に導かれる。
【0060】
検出回路11は通信線13を介して接続されると共に、その通信路の一端部に位置する検出回路11は専用回線L1を介して、太陽光発電パネル10と離れた外部の子局200の子局制御装置210に接続されている。本例の子局200は、太陽光発電パネル10の作動状況の管理、換気、非常設備の制御等が行われる電気室である。また、子局制御装置210は、CPU等の制御処理部と、記憶部と、ディスプレイ等の表示部と、ボタン等の入力部とを備える構成である。
【0061】
更に、子局制御装置210は、専用回線L2を介して遠隔地に位置する外部の親局300の親局制御装置310に接続されている。本例における親局400は、複数の子局200(電気室)から送られるデータを集中的に監視して制御すると共に、監視員が常駐する施設中央局である。また、親局制御装置310は、CPU等の制御処理部と、記憶部と、ディスプレイ等の表示部と、ボタン等の入力部とを備える構成である。400は保守点検員の常駐する管理事務所である。
【0062】
上記保守管理システムにおいて所定位置の太陽光発電パネル10iで異常を検出した場合、図10に示すように、太陽光発電パネル10の診断装置において、この太陽光発電パネル10iに対応する検出回路11iの出力制御部114は、LED灯83iの出力を制御して点灯或いは点滅等し、現場で異常の太陽光発電パネル10iを認識し易くすると共に、その信号送受信部113が、発電量低下の異常が検出された太陽光発電パネル10iの識別番号等の位置情報を有する異常信号ES1を生成して後述する子局制御装置210に送信する(S201)。
【0063】
子局制御装置210は、異常信号ES1の受信に応じて、異常の太陽光発電パネル10iの位置情報を有する異常信号ES2を生成して親局制御装置310に送信する(S202)。親局制御装置310は、子局制御装置210からの異常信号ES2の受信に応じて、異常の太陽光発電パネル10iの位置情報で特定される太陽光発電パネル10の点検を促す出力を表示部等で行う(S203)。その出力を認識した親局300の監視員は、図示一点鎖線矢印の如く管理事務所400の保守点検員に連絡を取り(S204)、図示太線矢印の如く保守点検員が子局200、太陽光発電パネル10iに向かって点検、保守を行う(S205)。
【0064】
本例の太陽光発電パネルの保守管理システムでは、遠隔地など太陽光発電パネル10iと離れた位置で太陽光発電パネル10iの発電量の低下を認識することが可能となり、保守点検員が点検するように促し、保守点検員が太陽光発電パネル10iの交換、修理等の必要な保守管理を確実に行うことができる。また、太陽光発電パネル10iの故障復旧時間を短縮することができる。
【0065】
また、図9の太陽光発電パネル10の保守管理システムの別例として、太陽光発電パネル10の診断装置を、検出回路11の記憶部111に判定式で用いられる段階的な複数の設定係数若しくは複数の設定値を記憶し、その判定検出部112が、判定式と複数の設定係数若しくは複数の設定値を用いて、一の太陽光発電パネル10の起電力と他の太陽光発電パネル10の起電力との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定し、その比較値が所定の設定係数若しくは所定の設定値に対応する許容範囲外である場合に、その判定で起電力の小さい方の太陽光発電パネル10iの異常を検出し、信号送受信部113が、その所定の設定係数若しくは所定の設定値に対応する程度情報を含む異常信号ES1を子局制御装置210に送信する構成としてもよい。
【0066】
更には、出力制御部114が、最低の起電力に対応する設定係数若しくは設定値による許容範囲外の場合にだけ、太陽光発電パネル10iに対応するLED灯83の表示制御を行うと共に、子局制御装置210が、所定位置の太陽光発電パネル10iの異常信号ES1の受信に応じて、異常信号の異常の程度を異常信号ES1に含まれる程度情報と設定記憶されている設定程度情報とを対比して判定し、異常の程度が設定程度情報を超える場合に、受信した異常信号ES1に基づき、異常の太陽光発電パネル10iの位置情報を有する異常信号ES2を生成して親局制御装置310に送信する構成とし、又、異常の程度が設定程度情報以下である場合に、その記憶部に、異常の太陽光発電パネル10iの位置情報と、その異常の程度情報とを表示可能に記憶する構成としてもよい。
【0067】
本例では、太陽光発電パネル10iの交換が必要な場合など重要性の高い異常のみを子局200から親局300に伝え、必要な保守点検を行うことができ、効率的に太陽光発電パネル10の保守管理を行うことができる。
【0068】
〔第2実施形態の太陽光発電パネル〕
次に、第2実施形態の太陽光発電パネル10mについて説明する。
【0069】
第2実施形態の太陽光発電パネル10mでは、図11に示すように、略平面状の一対の太陽電池素子20・20を対向配置して構成される略点状の太陽電池ユニット50が、横方向の相互間隔を略縦縞を形成するように漸次変化させて配置されている。図示例では、3列の太陽電池ユニット50が近接して配置され、この3列と他の3列との相互間隔を広めに開けて配置されている。縦方向の太陽電池ユニット50・50相互の配置間隔は略一定である。その他の構成は第1実施形態と同一であり、又、遮音壁80、太陽光発電パネル10mの診断装置、太陽光発電パネル10mの保守管理システムも同様に構成することができる。
【0070】
第2実施形態によれば、横方向の所定間隔毎に太陽光発電パネル10mの透過率を高め、太陽光発電パネル10mを透して見る景観等の鮮明度を局所的に向上することができると共に、走行路を走る自動車や電車など横方向に高速移動する対象者からの太陽電池ユニット50の印象を略縦縞を構成して弱めることができる。
【0071】
〔第3実施形態の太陽光発電パネル〕
次に、第3実施形態の太陽光発電パネル10nについて説明する。
【0072】
第3実施形態の太陽光発電パネル10nでは、図12及び図13に示すように、略平面状で且つ略線状の一対の太陽電池素子20n・20nを対向配置し、正面視細長長方形の同形状で同サイズの表面側(正面側)の太陽電池素子20naと裏面側(背面側)の太陽電池素子20nbと正面側から見て全体的に重なるように配置し、接着層30を介して接着することにより略線状の太陽電池ユニット50nが構成される。
【0073】
この略線状の太陽電池ユニット50nは所定間隔で配置されており、図示例では略線状の太陽電池ユニット50nが略縦縞を形成するように配置されている。尚、略線状の太陽電池ユニット50nは、所定間隔の適宜の配置で設けることが可能であり、例えば略横縞を形成する配置、略格子を形成する配置、斜めに傾斜する配置等とすることが可能であり、又、相互の配置間隔を漸次変化させることも可能である。
【0074】
太陽電池ユニット50nを構成する表面側の太陽電池素子20naと裏面側の太陽電池素子20nbは、接続線61を介して電気的に並列接続され、表面側の太陽電池素子20naの出力側の接続線61と裏面側の太陽電池素子20nbの出力側の接続線61とにそれぞれダイオード62が接続されている構成である。その他の構成は第1実施形態と同一であり、又、遮音壁80、太陽光発電パネル10nの診断装置、太陽光発電パネル10nの保守管理システムも同様に構成することができる。
【0075】
第3実施形態によれば、所定間隔毎に太陽光発電パネル10nの透過率を高め、太陽光発電パネル10nを透して見る景観等の鮮明度を局所的に向上することができると共に、走行路を走る自動車や電車など横方向に高速移動する対象者からの略線状の太陽電池ユニット50nの印象を弱めることができる。
【0076】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、各実施形態、各例の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものである。そして、下記変形例等も包含する。
【0077】
例えば本発明の太陽光発電パネルが設けられる対象物は、遮音壁に限定されず、適用可能な範囲で適宜であり、例えば建造物用窓パネル設備や乗物用窓パネル設備等とすることが可能である。
【0078】
建造物用窓パネル設備は、例えば本発明の太陽光発電パネルを建造物の開口部を塞ぐ窓パネルとして設けるものであり、透光性の太陽光発電パネルを例えば窓枠に嵌め込む等で設ける。この建造物用の窓パネルは、開閉窓用、引戸用、嵌め殺し用、トップライト用など、種類を問わず各種の窓パネルとすることができる。また、その建造物は、オフィスビル、商業ビル、複合ビル、住居用ビルなど、種類を問わず各種の建造物とすることができる。
【0079】
この建造物用窓パネル設備により、建造物の窓パネルに、建造物内への採光、外気や雨の遮断、遮音等に加えて発電という多様な機能を担わせることができると共に、建造物の多数の窓パネルで大量の太陽光エネルギーを有効利用することができる。
【0080】
また、乗物用窓パネル設備は、例えば本発明の太陽光発電パネルを乗物の開口部を塞ぐ窓パネルとして設けるものであり、透光性の太陽光発電パネルを例えば窓枠に嵌め込む等で設ける。この乗物は、陸上用、水上用、航空用等の各種の乗物とすることが可能である。その陸上用の乗物は、例えば各種の自動車、ショベルカー等の建設用機械、トラクター等の農業用機械、鉄道車両、モノレール、ロープウェイ、ゴンドラ、スノーモービル等とすることが可能である。また、その水上用の乗物は、例えば各種の船舶、ヨット等とすることが可能である。また、その航空用の乗物は、例えば航空機、グライダー、ヘリコプター等とすることが可能である。その他、観覧車等の遊具の乗物とすることも可能である。
【0081】
この乗物用窓パネル設備により、乗物の窓パネルに、乗物内への採光、外気や雨の遮断、遮音等に加えて発電という多様な機能を担わせることができる。また、電車など多数の窓パネルを有する乗物の場合には、多数の窓パネルで大量の太陽光エネルギーを有効利用することができる。
【0082】
また、太陽電池ユニット50の両外側に配置される透光板40を湾曲した形状の透光板40とし、その内側に略平面状の一対の太陽電池素子20・20を対向配置し、接着層30を介して接着する構成等により、湾曲した形状の太陽光発電パネル10とすることも可能である。この湾曲形状の太陽光発電パネル10は、例えば上部が湾曲する遮音壁等に用いると好適である。
【0083】
また、本発明における透光層は、上記実施形態の透光板40に代えて、可撓性等の透光樹脂フィルムとすることも可能であり、例えば透光層を可撓性の透光樹脂フィルムとし、必要に応じて所定の曲率で湾曲して用いる太陽光発電パネルとしてもよい。この必要に応じて湾曲可能な太陽光発電パネルは、例えば上部が湾曲する遮音壁において、遮音壁の平面部と上部の湾曲部の双方、或いは何れか一方に用いることができる。
【0084】
更に、平面形状の太陽光発電パネル10等と湾曲形状の太陽光発電パネル10等を適宜組み合わせることにより、より三次元的に太陽光を受光できる太陽光発電パネル設備を構築することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、例えば遮音壁に設置する太陽光発電パネルとして利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
10、10i、10m、10n…太陽光発電パネル 11、11i…検出回路 111…記憶部 112…判定検出部 113…信号送受信部 114…出力制御部 12…分岐線 13…通信線 20、20a、20b、20n、20na、20nb…太陽電池素子 30…接着層 31…被覆層 40…透光板 50、50n…太陽電池ユニット 61…接続線 62…ダイオード 70、70a、70b…太陽電池アレイ 80…遮音壁 81…支柱 82…遮音パネル 83、83i…LED灯 84…機器設置壁 85…パワーコンディショナー 200…子局 210…子局制御装置 300…親局 310…親局制御装置 400…管理事務所



【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平面状の一対の太陽電池素子が対向配置され接着層を介して接着される太陽電池ユニットと、
前記太陽電池ユニットの両外側に配置される透光層とを備え、
前記太陽電池ユニットの各々の前記透光層に対する面積比が20%未満とされ、
前記透光層に対する占有面積比率が60%未満となるように設定して前記太陽電池ユニットの各々が所定間隔で配置されることを特徴とする太陽光発電パネル。
【請求項2】
前記透光層に対する占有面積比率が30%未満となるように設定して前記太陽電池ユニットの各々が所定間隔で配置されることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電パネル。
【請求項3】
略点状の前記太陽電池ユニットが縦横に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽光発電パネル。
【請求項4】
横方向の相互間隔を略縦縞を形成するように漸次変化させて、前記略点状の前記太陽電池ユニットが配置されることを特徴とする請求項3記載の太陽光発電パネル。
【請求項5】
略線状の前記太陽電池ユニットが所定間隔で配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽光発電パネル。
【請求項6】
前記略線状の前記太陽電池ユニットが略縦縞を形成するように配置されることを特徴とする請求項5記載の太陽光発電パネル。
【請求項7】
表面側の太陽電池素子と裏面側の太陽電池素子とが並列接続され、
前記表面側の太陽電池素子の出力側の接続線と前記裏面側の太陽電池素子の出力側の接続線とにそれぞれダイオードが接続されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の太陽光発電パネル。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の太陽光発電パネルが遮音パネルの壁面として設けられていることを特徴とする遮音壁。
【請求項9】
請求項1〜7の何れかに記載の太陽光発電パネルが建造物の開口部の窓パネルとして設けられることを特徴とする建造物用窓パネル設備。
【請求項10】
請求項1〜7の何れかに記載の太陽光発電パネルが乗物の開口部の窓パネルとして設けられることを特徴とする乗物用窓パネル設備。
【請求項11】
請求項1〜7の何れかに記載の太陽光発電パネルの診断装置であって、
一の前記太陽光発電パネルの起電力と他の前記太陽光発電パネルの起電力との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定するための判定式と、前記判定式で用いられる設定係数若しくは設定値とを記憶する記憶部と、
前記判定式と前記設定係数若しくは前記設定値に基づき、前記一の太陽光発電パネルの起電力と前記他の太陽光発電パネルの起電力との相対的な比較値が許容範囲であるか否かを判定し、前記比較値が許容範囲外である場合に、前記判定で起電力の小さい方の太陽光発電パネルの異常を検出する判定検出部と、
前記異常の検出に応じて前記異常が検出された太陽光発電パネルの異常を告知する告知手段と、
を備えることを特徴とする太陽光発電パネルの診断装置。
【請求項12】
請求項11記載の太陽光発電パネルの診断装置と、
所定位置の太陽光発電パネルの異常信号の受信に基づき、保守点検員による前記所定位置の太陽光発電パネルの点検を促す出力を行う制御装置と、
を備えることを特徴とする太陽光発電パネルの保守管理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−124237(P2012−124237A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272114(P2010−272114)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(395014596)株式会社アイアールエフ (11)
【Fターム(参考)】