説明

太陽光遮断具

【課題】簡単に設置でき、設備費用が低く、風通しがよく、照射太陽光を遮断でき、居住空間の温度がさほど高くはならない省電力な太陽光遮断具を提供する。
【解決手段】所定の部位に設置された竿支持具11に支持される所定長さの竿1と、竿1に固定されたプレート保持用紐4、及び所定幅長さを有し所定間隔をもって保持された日よけ用プレート3複数個を少なくとも備え、竿1は、末端に設けられた引掛け部で取り外し自由に引掛けられ、支持されており、竿1の両末端近傍にプレート保持用紐4が複数本固定され、日よけ用プレートにあけられた少なくとも四つの穴にプレート保持用紐4を通し、ほぼ地面と平行に保持させ、日よけ用プレート3の幅(W)と日よけ用プレート3同士の間隔(L)とが4/3〜5/2にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を遮断するが、風を通す太陽光遮断具に関し、さらには、窓先の軒下等に吊り下げ、太陽光を遮断するが、風を通す取り外し可能な太陽光遮断具に関する。また、水を噴出させることにより周囲の気温を下げることが可能な前記太陽光遮断具に関する。
【背景技術】
【0002】
元来、日本の住宅は縁側等があり、とくに夏季において太陽光が室内空間に入り込むことを防ぎ、室内に存在するものの変色や劣化、室内の温度上昇、居住者の体温上昇等の照射太陽光の影響を少なくする知恵がほどこされていた。しかし、現在では、縁側等がなくなり、太陽光が窓や外壁に当たった場合、室内空間に悪影響を与えることとなる。
【0003】
そこで、窓にブラインドやカーテンを設置して太陽光を遮断したり、室内にクーラーを設置して室内温度が上昇しないようにする等の対応がとられてきた。
ところが、窓にブラインドやカーテンを設置すると、室内は暗くなること、窓を閉めることによる風通しが悪くなること等の不都合さが残るし、室内の温度が高まることを抑えることも十分とはいえない。その点、室内にクーラーを設置すれば室内の温度が高まることを抑えることができるが、昨今での電力状況の悪化から節電が叫ばれており、省電力対策が望まれている。
【0004】
例えば、屋外に日よけのルーバーを設置する対応が知られている。この対応はルーバーの設置費用が高いという欠点があり、しかも固定式であるので、日よけが不要のときに取り外すことができないという不都合さがある。また、マンション等のバルコニーないしベランダ等に配置される、部屋への日射しを遮るための可動式の日除け植栽パネルが報告され(特許文献1)、アルミニウム粉末を練り込み均一に分散させた合成樹脂材料から形成したアルミニウム粉末含有リボン糸と、炭素粉末を練り込み均一に分散させた合成樹脂材料から形成した炭素粉末含有リボン糸とを重ね合わせた複合リボン糸から得た遮熱シートで覆う技術が報告されている(特許文献2)。それらの技術では温度を高めることを和らげることは可能であるが、満足できるほどの効果を発揮できるとはいえない。また、柔軟性ある耐候性素材によって所定の上下幅員を備えた横長帯状のカーテン本体を形成し、このカーテン本体の上縁に、カーテン本体を支持部材に架け渡した状態でカーテン本体自体を吊り下げ状に支持させる支持縁を設けた屋外用カーテンが報告されているが(特許文献3)、このカーテンを取り外しするには困難さが伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−60277号公報
【特許文献2】特開2006−118057号公報
【特許文献2】実登3171473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かっては葦簀を立て掛け、夏季の暑さに対処してきたが、葦簀を作る葦の生産が次第に減少しつつあるうえ、葦簀を立て掛ける場所が少なくなってきた。
そこで、簡単に設置できるとともに取り外しも簡単であり、設備費用が低く、しかも、風通しがよく、照射太陽光を遮断でき、居住空間の温度がさほど高くはならない省電力な太陽光遮断具を開発することが本発明の課題である。さらに、設置や取り外しが楽なものを開発することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するため、本発明者はいろいろ工夫してきたところ、窓先に複数個の所定幅を有する細長い板をほぼ等間隔に、しかも地面にほぼ平行となるように吊下げると、上記課題が解決できることが分かった。そこで、さらに工夫を重ね、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の請求項1は、所定の部位に設置された竿支持具に支持される所定長さの竿、
該竿に固定されたプレート保持用紐、
及び所定幅と長さを有し所定間隔をもって前記プレート保持用紐で保持された日よけ用プレート複数個を少なくとも備える太陽光遮断具であって、
前記竿は、末端に設けられた支持部で取り外し自由に支持され、前記竿の両末端近傍に前記プレート保持用紐が少なくとも四本固定され、前記日よけ用プレートにあけられた少なくとも四つの穴に前記プレート保持用紐を通し、ほぼ地面と平行に保持されることを特徴とする前記日よけ用プレートの幅(W)と前記日よけ用プレート同士の間隔(L)とが4/3〜5/2である太陽光遮断具である。
本発明の請求項2は、上記請求項1の発明において、さらに、先端部に竿を保持できる竿の受部を有し、側面に噴水用の多数の穴をあけ、内部に水が通過できない部分を設けた中空体を備える太陽光遮断具であって、日よけ用プレートの所定の部位にあけられた穴を通り、前記竿の先端部の近傍に設けた竿引掛け部にて取り外し自由に竿に引掛けられることを特徴とする。ここで、前記噴水用の穴は前記水が通過できない部分よりも地面側にあけ、前記水が通過できない部分は前記竿引掛け部よりも地面側に設ける。
本発明の請求項3は、上記請求項2の発明において、中空体の、竿の受部を有する端部と異なる端部に、少なくともタイマーで作動制御される電磁弁を取付けた水道ホースが繋ぎ込まれていることを特徴とする。
本発明の請求項4は、上記請求項1〜3のいずれかの発明での太陽光遮断具の竿支持具であって、所定の部位に設置された竿支持具が、所定の部位に取付けたリング状の吊受け具固定部材で回動可能に固定されていることを特徴とする。また、所定の部位に設置された竿支持具が、所定の部位に取付けたリング状の吊受け具であって、前記リング状の吊受け具は所定の部位に取付けたリング状の吊受け具固定部材で回動可能に固定されていることを特徴とするともいえる。さらに、所定の部位に設置された竿支持具が、所定の部位に取付けたリング状の吊受け具であって、前記リング状の吊受け具は所定の部位に取付けたリング状の吊受け具固定部材で回動可能に固定され、前記リング状の吊受け具の他の部分は前記リング状の吊受け具を回動させるリング上げ・下げ紐で固定されていることを特徴とするともいえる。
本発明の請求項5は、上記請求項1の発明での太陽光遮断具の引上げ止め具であって、棒状体の先端部に竿の引掛け部を設け、他端部に日よけ用プレートの押さえ部を設け、前記押さえ部は中空体に嵌合できる凹部が設けられていることを特徴とする。また、この請求項5の発明は、日よけ用プレートにあけられた穴を通る前記棒状体の端部に設けられた日よけ用プレートの押さえ部で押され、支持され、かつ、前記棒状体の他の先端部に設けられた竿の引掛け部で引掛けられたことを特徴とする引上げ止められた請求項1記載の太陽光遮断具の発明でもある。
本発明の請求項6は、上記請求項1〜3のいずれかの発明において、日よけ用プレートの表面に太陽光発電モジュールが配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の特徴の一つが、所定の幅と長さを有する日よけ用プレート(以下、プレートと記載することがある)をほぼ地面と平行にして、ほぼ等間隔に複数個吊下げることにある。ここで、ほぼ地面と平行にしてとは、該プレートが地面と完全に平行といえる程度の他、所期の目的を達成できる程度であれば多少の角度をとってもよいということを意味する。ほぼ等間隔にとは、該プレート同士の間隔が完全に等しいといえる程度の他、所期の目的を達成できる程度であれば数%間隔が相違してもよいという意味である。
前記プレートの長さは、本発明が規定する太陽光遮断具を設置する場所によって異なる。すなわち、プレートの長さは、太陽光を遮断し太陽光の照射を防ぐ対象物の長さよりも多少長くする。例えば、太陽光遮断具を窓先の軒下に吊下げ、前記窓へ太陽光を遮断しようとするときには、プレートの長さは前記窓の長さよりも多少長くする。なお、長いプレートを用いて作成した太陽光遮断具の代わりに、短いプレートを用いて作成した太陽光遮断具を複数個用意し、太陽光遮断具のプレートの端の一部が互いに重なるように配置してもよいし、複数個の太陽光遮断具を単に直列的に並べてもよい。プレートの長さは60〜180cm程度が好ましいが、それらの長さに限定されないのはいうまでもない。
プレートの幅は、太陽光を遮断できる限り特に制限されない。プレートの幅が大きければ、プレートとプレートとの間隔を広げることができるので有利であるが、広い吊下げ場所を確保することが必要であるし、吊下げる操作、引き上げる操作などが難しくなるので、プレートの幅が広ければよいというものでもない。すなわち、プレートとプレートとの間隔を狭めれば、プレートの幅を短くできるし、プレートとプレートとの間隔を広げれば、プレートの幅を長くする必要があり、太陽光遮断具の吊下げる場所の状況に応じて最適なプレートの幅と、プレート同士の間の間隔を決めればよい。ここでプレートの幅をWとし、プレートとプレートとの間隔をLとすると、W/Lは季節や設置する場所の緯度等により変動するので一概に規定することができないが、例えば10/8〜10/3としてもよいし、10/7〜10/4としてもよい。プレートの幅は15〜60cm程度が好ましいが、それらの幅に限定されないのはいうまでもない。プレート同士の間の間隔は、太陽光遮断具の吊下げる場所の状況に応じて最適な間隔とすればよい。
プレートの厚みは2mm〜2cm程度でよいが、その厚みに限定されない。プレートの素材は、プラスチック製、金属製、セラミックス製、木製、布性等を例示できるがそれらに限定されない。プレートの表面を黒色としておくことが好ましいが、黒色に限定されないのであって、好みの色を用い、好みの模様にしてもよい。また、プレートは袋状物でもよいし、任意の素材からなる枠に任意の素材からなるシートを張り付けたものでもよい。
【0009】
プレートを吊下げるためにプレートの四隅の近傍に日よけ用プレート保持用紐を通す穴をあけておくことが好ましいが、日よけ用プレート保持用紐を通す穴を四つよりも多くしてもよい。また、プレートを吊下げ、地面にほぼ平行な状況を保持できるのであれば四隅の近傍でなくともよい。プレートには、日よけ用プレート保持用紐以外の別な物を通す穴をあけておいてもよい。あける穴の位置はすべてのプレートでほぼ同じ位置とすることが前記紐や棒状物や中空体を通過させるために好ましい。穴の大きさや形状は穴を通る紐や棒状物や中空体が円滑に通過できる程度大きさであれば特に制限されない。穴をあける手段はすでに知られており、プレートの素材や厚みなどに応じて適宜最適な手段を採用すればよい。以下、日よけ用プレート保持用紐をプレート保持用紐ということがある。この表記法を、他の日よけ用プレートを含む用語にも適用し、日よけ用を省略することがある。
【0010】
本発明の特徴の一つが、プレート保持用紐を採用したことにある。プレート保持用紐をプレートにあけられた穴を通し、紐にプレート止め金具を固定させ、プレートを保持することができる。プレート止め金具はプレート保持用紐やプレートに応じて最適なものを選び、使用すればよい。
本発明でいう紐は紐状物ともいえるのであって、線状あるいは糸上の物を意味する。紐の太さ、形状はとくに制限されない。例えば、直径が2mm〜5mmの撚り紐が好ましいが、該撚り紐に限定されない。材質もとくに制限されないのであって、プラスチック製、金属製、天然繊維製などを例示できるが、これら例示されたものに制限されない。
【0011】
前記竿は、前記紐を固定することができ、該紐を吊下げることができる竿であればどのような竿でもよい。竿の太さは直径が5mm〜2cm程度の物を例示できるがこの太さに限定されない。竿は中空体が好ましいが中実体でもよい。竿の素材は、プラスチック製、金属製、セラミックス製、木製、竹性等を例示できるがそれらに限定されない。
記竿に紐を固定する手段はとくに制限されないのであり、竿の素材、太さ、紐の素材、太さ等に応じて最適な手段、方法を適宜選択すればよい。
前記竿は、竿支持具に取り外し自由に支持される。竿が竿支持具に取り外し自由に支持される手段はとくに制限されないが、竿の末端に設けられた引掛け部で取り外し自由に引掛けられ、支持されることが好ましい。前記引掛け部としては竿の端部を竿支持具に引掛けられるように、竿の端部を折り曲げる構造が好ましいが、それに限定されない。
竿を竿支持具に支持する手段や竿支持具に支持されている竿を取り外す手段はとくに制限されない、例えば、所定の高さの踏み台を用意し、その踏み台に乗って、人の手で竿を竿支持具に支持させ、必要に応じて竿支持具に支持されている竿を取り外してもよい。また、竿上げ・下げ用紐と竿支持具上げ・下げ用紐を利用して竿を竿支持具に支持させ、必要に応じて竿支持具に支持されている竿を取り外してもよい。
【0012】
本発明が規定する太陽光遮断具の製法の一例を以下説明するが、本発明はこの製法に何ら限定されない。
任意の太さと長さのプラスチック製の竿を用意し、プラスチック製のプレート保持用紐を前記竿の端部近傍に取付けた金具に固定し、別なプレート保持用紐を前記竿の別な端部の近傍に取付けた金具に固定する。任意の幅、厚みを有し、前記竿よりも多少長めで、プラスチック製のプレートを数個用意し、プレートの四隅近傍にプレート保持用紐を通す穴をあける。すべてのプレートの同じ位置にプレート保持用紐を通す穴を設ける。
一個のプレートにあけられたすべてのプレート保持用紐を通す穴に、前記竿に固定されたプレート保持用紐を通した後、竿から所定の長さの紐にプレート止め金具を固定する。次いで、新たなプレートのプレート保持用紐を通す穴に前記紐を通し、所定間隔の位置にプレート止め金具を固定する。次いで、新たなプレートの前記穴に前記紐を通し、前記所定間隔とほぼ等間隔となるようプレート止め金具を取付ける。以下、同様に操作して等間隔となるようプレートを保持させ、本発明が規定する太陽光遮断具が製造される。なお、必要に応じて、プレートの竿側の紐にもプレート止め金具を固定しておくことも可能である。
【0013】
本発明の太陽光遮断具は、さらに先端部近傍に竿への引掛け部を設けた中空体を備えることが好ましい。中空体の長さは太陽光遮断具の竿から太陽光遮断具の最も下に配置されたプレートよりも長くすることが必要である。前記中空体は太陽光遮断具の形状維持用として有用である。すなわち、風等の影響を受けて太陽光遮断具のプレートが揺れ動いたり、遮断具全体が大きく動くことを防止でき、太陽光を遮断する機能を維持することができる。また、前記中空体の先端部に竿を保持できるような凹部を設けておくと、該中空体は前記竿の上げ下ろしに使用できる。さらに、前記中空体の一部、例えば竿への引掛け部近傍に水が通過できない部分を設け、当該部分よりも地面方向の側面に噴水用の多数の穴をあけておき、中空体の他端に水道ホースを繋ぎ、通水すると、中空体から噴水させることができる。中空体の素材は、プラスチック製、金属製、セラミックス製、木製、竹性等を例示できるがそれらに限定されない。ここでいう水が通過できない部分を形成する方法はとくに制限されないが、例えば、中空体の内径とほぼ同じかやや大きめのボルトキャップやビスキャップを中空体内部に打ち込み、接着剤で固める方法、中空体をソケットで繋げ、接着剤で固める方法が好ましいが、それらに制限されない。
中空体を備える太陽光遮断具の製造は、例えば以下の通りである。プレートの所定位置に中空体用穴があけてあるプレートを用いて太陽光遮断具をまず製造し、次に中空体用穴に中空体を通し、中空体の先端部近傍に設けた引掛け部で竿に引掛け、中空体を保持する。
本発明では、前記中空体を複数個備えてもよい。また、竿の上げ下ろし用中空体と、側面に多数の噴水用穴を設けた中空体を備えてもよい。この場合は、竿の上げ下ろし用中空体は中実体でもよい。
本発明では、長時間、断続的に水を噴出させることができるように、中空体の端部であって竿の受部を有する端部に、少なくともタイマーで作動制御された電磁弁を取付けた水道ホースを繋ぎ込んでもよい。電磁弁は電磁石の磁力を用いて弁を開閉するものであり、すでに広く使用されている。この電磁弁を水道ホースに給水継手等の接続用部品を用いて接続する。該電磁弁の開閉はタイマーで制御できる。例えばデジタルプログラムタイマーを使用すると、電磁弁の開閉を秒単位で制御でき、太陽光遮断具の使用時期の環境に応じて噴水する時間を変動させ、太陽光遮断具の近辺の温度を低下させることが可能となる。
【0014】
前記竿支持具は、例えば、窓先の軒下、庇、ベランダ等の所定の部位に設置できる。また、L型アングル等を取付け、そのアングルに竿支持具を設置してもよい。
竿支持具は、竿を支持できるものであればよいのであって特に制限されない。例えば、鋼材線状物を折り曲げ加工して得たU次状物を竿支持具としてもよいし、リング状物を竿支持具としてもよい。前記竿支持具が、所定の部位に固定されたリング状の吊受け具であって、前記リング状の吊受け具の一部は所定の部位に固定されたリング状の吊受け具固定部材で回動可能に固定され、前記リング状の吊受け具の他の一部は前記リング状の吊受け具を回動させるリング上げ・下げ紐で固定されていてもよい。
前記中空体を用いて竿を上げ下げして、竿を竿支持具に支持させることができる。また、竿に紐を取付けておき、当該紐を操作して、竿を竿支持具に支持させることもできる。
本発明の特徴の一つとして、太陽光遮断具を簡単に設置でき、簡単に取り外しできるということでもある。すなわち、竿を持ち上げ、竿の端部に設けられた引掛け部で竿支持具に引掛け、次いで竿の他の端部に設けられた引掛け部で竿支持具に引掛けるという簡単な操作で太陽光遮断具を設置できる。取り外すときには、上記操作と逆の手順で操作すると簡単に太陽光遮断具を取り外すことができる。
【0015】
本発明の特徴の一つが、太陽光遮断具を簡単に一時的に引上げ止めておくことができ、引き上げ止めた状態から簡単に元の太陽光遮断具に戻すことができるということでもある。すなわち、棒状体の先端部に竿引掛け部を設け、棒状体の他端部にプレート押さえ部を設けた引上げ止め具を用い、該引上げ止め具を竿に引掛ければ太陽光遮断具を簡単に一時的に引上げ止めておくことができる。前記引上げ止め具を太陽光遮断具から外せば簡単に元の太陽光遮断具に戻すことができる。前記棒状体はパイプ等の中空体でもよく、棒状の中実体でもよい。
前記引上げ止め具は前記プレートを重ね、前記竿に引掛けることができる止め具であれば特に制限されない。また、前記引上げ止め具に設けられた凹部に中空体を差し込み、前記引上げ止め具を簡単に上げ下げすることができる。また、前記引上げ止め具の先端に引掛け部を備える紐を取付けておき、該引掛け部を引上げ止め具昇降用紐に取付けた金具に引掛けた後、引上げ止め具昇降用紐を操作して引上げ止め具を簡単に上げ下げすることができる。
【0016】
本発明ではプレート表面に太陽光発電モジュールを配置してもよい。太陽光発電モジュールにより発電された電気を有効利用できるので有利である。太陽光発電モジュールはプレートに配置でき、太陽光遮断具の機能を保てるものであれとくに制限されない。例えば、太陽光パネルを応用してもよいし、フィルム型太陽電池をラミネートして、太陽光発電モジュールを利用することもできる。また、太陽光パネルを応用し太陽光パネルプレートを本発明でいうプレートとして利用してもよい。
太陽光発電モジュールを設置する方法は、太陽光遮断具の置かれた状況、プレートの大きさや素材等に応じて最適な設置方法で行えばよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、太陽光を遮断するが、風を通す太陽光遮断具を提供でき、材料費や工事費も安価であり、容易に設置でき、取り外しも簡単な太陽光遮断具を提供できる。太陽光を遮断する必要がないときには、簡単に太陽光遮断具を一時的に引上げることができるし、簡単に引き上げてある太陽光遮断具をもとの状態にもどすことができる。また、長時間、断続的に水を噴出させることができるので周囲の気温を下げることが可能となり、住環境が改善され、とくに夏季の住環境が改善される。夏季の暑さが終われば簡単に取り外すことができる。
本発明の太陽光遮断具に太陽光発電モジュールを配置すると、太陽光のエネルギーを積極的に利用することができるので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明が規定する太陽光遮断具を1階の窓先の軒下に吊下げた時の太陽光遮断具の断面概略図である。
【図2】図2は本発明が規定する太陽光遮断具を2階の窓先の軒下に吊下げた時の太陽光遮断具の断面概略図である。
【図3】図3は本発明が規定する太陽光遮断具の外観斜視概略図である。
【図4】図4は引上げ止めたときの本発明の太陽光遮断具を示す概略図である。
【図5】図5の左の図は本発明が規定する太陽光遮断具を引上げ止めたときに使用する引上げ止め具の正面図であり、図5の右の図は本発明が規定する太陽光遮断具を引上げ止めたときに使用する引上げ止め具の側面図である。
【図6】図6は本発明が規定する太陽光遮断具の竿を取付る手順の一例を説明するための概略正面図である。
【図7】図7は本発明が規定する太陽光遮断具の中空体の縦断面概略図である。
【図8】図8は本発明が規定する太陽光遮断具の中空体から噴水したときの様子を説明するための概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を用いて本発明を説明するが、本発明はこの説明に何ら限定されない。
図1は本発明が規定する太陽光遮断具を1階の窓先のベランダ軒下に吊下げたときの太陽光遮断具の断面概略図である。
軒下の所定の部位に固定されたほぼV字状の竿支持具11で支持されている竿1にプレート保持用紐4、41が固定されている。
プレート3,31、32 ・・ に設けられたプレート保持用穴(図示されていない)をプレート保持用紐が通り、プレート止め金具5、51でプレートを地面とほぼ平行に係止・保持する。プレート3とプレート31、プレート31とプレート32との間隔はほぼ同じである。
太陽光高度30°のときの太陽光の仮想ラインから見ても、サッシガラスに入る太陽光は遮断されていることがわかる。太陽光高度が30°以下のときには、幅が大きいプレートを使用するか、プレートとプレートとの間隔を狭めればよい。この点はあらかじめ太陽高度が何度までの太陽光を遮断するかあらかじめ決定しておき、その結果に基づいて、プレートの幅やプレートとプレートとの間隔を決めればよい。
【0020】
図2は本発明が規定する太陽光遮断具を2階の窓先の軒下に吊下げた時の太陽光遮断具の断面概略図である。
図1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0021】
図3は本発明が規定する太陽光遮断具の外観斜視概略図である。ほぼU字状の竿支持具11に、先端部の引掛け部2で引掛け、支持されている竿1の紐吊下げ部15に取付けられた金具(図示されていない)にプレート保持用紐4、41が固定されている。
プレート3,31、32等にあけられたプレート保持用紐用穴37、38にプレート保持用紐が通り、プレート止め金具(図示されていない)でプレートを地面とほぼ平行に係止・保持する。プレート3とプレート31、プレート31とプレート32との間隔はほぼ同じである。プレート3,31、32等には、中空体を通す穴があけられている。
【0022】
図4は引上げ止めたときの本発明の太陽光遮断具を示す概略図であり、竿、プレート、引上げ止め具、中空体は概略正面図である。図5の左の図は本発明が規定する太陽光遮断具を引上げ止めたときに使用する引上げ止め具の正面図であり、図5の右の図は本発明が規定する太陽光遮断具を引上げ止めたときに使用する引上げ止め具の側面図である。
例えば夏季に太陽が隠れ太陽光を遮断する必要がないときに、太陽光遮断具を引上げ止めておくことができれば何かと有利である。引上げ止めたときの太陽光遮断具を示す概略図である図4において、複数個のプレート3、31等はプレート保持用紐(図示されていない)と共に引上げ止め具45のプレート押さえ部46にて重なった状態で保持され、引上げ止め具45の竿に引掛ける引掛け部49で竿に引掛けられ、引き上げ止められる。
図5に示した引上げ止め具45のプレート押さえ部46の凸部48には前記中空体71と嵌合する穴(図示されていない)があけられている。
以下、引上げ止め具45を用いて太陽光遮断具を引上げ止める手順の一例を説明する。プレート押さえ部46の凸部48に中空体71を嵌合した後、プレート3、31等にあけられた引上げ止め具45の棒状体47および竿に引掛ける引掛け部49を通す穴(図示されていない)に、前記引上げ止め具45を中空体71と共に通し、前記引上げ止め具45を中空体71と共に徐々に持ち上げると、やがて、前記引上げ止め具45のプレート押さえ部46がプレートに接触する。さらに、前記引上げ止め具45を上昇させ続けると、プレート押さえ部46に接触したプレートも上昇し続け、プレーは重なっていく。すべてのプレートが重なった後に、前記引上げ止め具45の竿に引掛ける引掛け部49にて引上げ止め具45を竿1に引掛け、太陽光遮断具は引上げ止められた。中躯体71は引上げ止め具45から適宜外すことができる。
必要に応じて、引上げ止め具45を竿1から取り外せば、太陽光遮断具は元の吊り下がった状態に戻すこともできる。例えば、中空体71を利用して引上げ止め具45を竿1から取り外すこともできる。具体的な操作は次の通りである。中躯体71を、プレート3、31等にあけられた前記穴を通し、引上げ止め具45に嵌合させた後、前記引上げ止め具45を中空体71と共に持ち上げ、前記引上げ止め具45の竿に引掛ける引掛け部49を竿1から取り外す。次いで、前記引上げ止め具45を中空体71と共に徐々に下げると、やがて、前記引上げ止め具45のプレート押さえ部46に接触し、重なっているプレートも徐々に下がる。すべての重なったプレートが前記引上げ止め具45のプレート押さえ部46から離れると、太陽光遮断具は元の吊り下がった状態に戻ることになる。
【0023】
図6は本発明が規定する太陽光遮断具の竿を取付る手順の一例を説明するための図である。なお、竿1には複数個のプレートがプレート保持用紐で吊り下げられているが、図6では竿1だけを示し、プレート等は図示していない。
図6(1)は、竿1の吊受け具に引掛ける引掛け部2が吊受け輪61に引掛けられ、竿1が吊受け輪61に支持されていることを示す図である。竿1の端部に取付・固定された竿の昇降用紐取付金具62に竿の昇降用紐64が取付・固定されている。
以下、竿1を吊受け輪61に引掛ける手順を、図6(2)、図6(3)に基づいて説明する。
図6(2)において、竿1の端部に取付・固定された竿の昇降用紐64は、吊受け輪61の内部を通り、軒下に固定された竿の昇降用紐64を通す輪63を通り、操作者(図示されていない)が上げ・下げられるように所定の位置(図示されていない)に一時的に固定されている。吊受け輪61の一部は軒下に固定された固定部材68で回動可能に固定されている。前記吊受け輪61の他の一部に取付けられた吊受け輪の上げ・下げ用紐の取付金具65で取付・固定されている吊受け輪の上げ・下げ紐67は、軒下に固定された吊受け輪の上げ・下げ紐67を通す輪66を通り、操作者(図示されていない)が上げ・下げられるように所定の位置(図示されていない)に一時的に固定されている。なお、吊受け輪61の固定部材68の固定位置、紐64を通す輪63の固定位置、紐67を通す輪66の固定位置は、竿1が円滑に動けるように、ほぼ直線状となるように配置されている。また、紐64や紐67が竿1の引掛け部にひっかけられないように、輪63や輪66の固定位置は固定部材68の固定位置からはなしてある。
操作者(図示されていない)は竿の昇降用紐64を矢印Aの矢印方向(以下、A方向という。矢印B、矢印C、矢印Dも同様)に徐々に引き下げると、竿の昇降用紐64に固定された竿1は徐々に上昇し、竿1の端部は吊受け輪61に近づく(図6の(2))。さらに、竿の昇降用紐64をA方向に徐々に引き下げると、竿1の端部は吊受け輪61をくぐり抜け、吊受け輪61から突き出る(図6の(3))。次いで、吊受け輪の上げ・下げ用紐67をD方向に上げれば、竿1は下がり、吊受け輪61と接触するし、竿1の引掛け部2で引掛けられる。同様な操作を図6(2)での右側でも行い、竿1は吊受け輪61と接触する。竿1の引掛け部2で吊受け輪61に引掛けられ(図示されていない)、竿1は吊受け輪61に引掛けられ、支持される(図示されていない)。なお、図6(3)の右側で、竿1の端部を吊受け輪61に近づけたときに、吊受け輪の上げ・下げ用紐をA方向に徐々に下げ、吊り輪61を少し上方に回動させると円滑に操作が進む。
以下、吊受け輪61に支持された竿1を吊受け輪61から外す操作を、図6(4)に基づいて説明する。操作者(図示されていない)は竿の昇降用紐64をC方向に徐々に引き下げて、竿1の端部を上昇させ、吊受け具に引掛けられた引掛け部2を吊受け輪61から離す。次いで、吊受け輪の上げ・下げ紐67をA方向に引き下げ、吊受け輪61を上方に回動させる(図6の(4))。次いで、竿の昇降用紐64をD方向に徐々に上げて、竿1を下げると、竿1は吊受け輪61から外れることになる。同様な操作を図6(4)での右側でも行い、竿1を吊受け輪61から外すことができる。なお、紐64や紐67は竿1の端部近傍に結び付け、輪となるようしておくと、例えば輪63や輪66から紐が外れる心配がないので好ましい。
【0024】
図7は本発明が規定する太陽光遮断具の中空体の縦断面概略図である。
前記中空体71は、その先端部に竿を保持できるような凹部である竿の受部72を有し、竿の先端部の近傍に設けた竿引掛け部73にて取り外し自由に竿に引掛けることができる。
中空体71の竿引掛け部73よりもやや地面側に、ボルトキャップ(図示されていない)が撃ち込まれ、さらに接着剤(図示されていない)で固められた水が通過できない部分74が設けられている。当該部分よりも地面方向に直径1mmの噴水口75を1cmごとに多数あけておく。中空体の他の端部の水道ホース繋ぎ込部76に水道ホースを繋ぎ込み、水を中空体の噴水口75から噴水させると、とくに夏季では、水の蒸散により周囲の温度が低くすることができる。噴水口75は図7で示すように1列に多数設けてもよいし、その他、数列に噴水口を多数設けてもよいし(図示されていない)、ランダムに噴水口を多数設けてもよい(図示されていない)。
【0025】
図8は本発明が規定する太陽光遮断具の中空体から噴水したときの様子を説明するための概略正面図である。
水が通過できない部分(図示されていない)、及び該部分の地面側の側面に多数の噴水口(図示されていない)があけられている中空体71の端部の水道ホース繋ぎ込部76にて水道ホースを繋ぎ込む。該中空体の端部76から通水すると、中空体71の側面に設けられている噴水口(図示されていない)から噴水される。噴水の状況の一例を図8に示す。
噴水口が設けられている位置により、噴水方向を変えることができる。噴水方向はプレート方向だけでも良いが、例えば、庭方向、壁方向など適宜選定することができる。また、噴水口の数を変化させることにより、あるいは通水時間を調整することにより噴水量を調整できる。さらに、タイマー(図示されていない)で作動制御された電磁弁(図示されていない)を取付けた水道ホースを繋ぎ込むと通水時間を調整することにより噴水量を調整できる。
【符号の説明】
【0026】
1 竿
11 竿支持具
15 紐吊下げ部
2 引掛け部
21 竿の端部
3 日よけ用プレート
31 日よけ用プレート
32 日よけ用プレート
37 日よけ用プレート保持用紐用穴
38 日よけ用プレート保持用紐用穴
4 日よけ用プレート保持用紐
41 日よけ用プレート保持用紐
45 引上げ止め具
46 日よけ用プレート押さえ部
47 棒状物
48 凸部
49 竿に引掛ける引掛け部
5 日よけ用プレート止め金具
51 日よけ用プレート止め金具
6 中空体を通す穴
61 吊受け輪
62 竿の昇降用紐取付金具
63 竿の昇降用紐を通す輪
64 竿の昇降用紐
65 吊受け輪の上げ・下げ用紐の取付金具
66 吊受け輪の上げ・下げ用紐を通す輪
67 吊受け輪の上げ・下げ用紐
68 吊受け輪の固定部材
71 中空体
72 竿の受部
73 竿に引掛ける引掛け部
74 水が通過できない部分
75 噴水口
76 水道ホース繋ぎ込部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部位に設置された竿支持具に支持される所定長さの竿、
該竿に固定されたプレート保持用紐、
及び所定幅と長さを有し所定間隔をもって前記プレート保持用紐で保持された日よけ用プレート複数個を少なくとも備える太陽光遮断具であって、
前記竿は、末端に設けられた支持部で取り外し自由に支持され、前記竿の両末端近傍に前記プレート保持用紐が少なくとも四本固定され、前記日よけ用プレートにあけられた少なくとも四つの穴に前記プレート保持用紐が通され、ほぼ地面と平行に保持されることを特徴とする前記日よけ用プレートの幅(W)と前記日よけ用プレート同士の間隔(L)とが4/3〜5/2である太陽光遮断具。
【請求項2】
さらに、先端部に竿を保持できる竿の受部を有し、側面に噴水用の多数の穴をあけ、内部に水が通過できない部分を設けた中空体を備える太陽光遮断具であって、前記中空体は日よけ用プレートの所定の部位にあけられた穴を通り、前記竿の先端部の近傍に設けた竿引掛け部にて取り外し自由に竿に引掛けられることを特徴とする請求項1記載の太陽光遮断具。
【請求項3】
中空体の、竿の受部を有する端部と異なる端部に、少なくともタイマーで作動制御される電磁弁を取付けた水道ホースが繋ぎ込まれていることを特徴とする請求項2記載の太陽光遮断具。
【請求項4】
所定の部位に設置された竿支持具が、所定の部位に取付けたリング状の吊受け具固定部材で回動可能に固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽光遮断具の竿支持具。
【請求項5】
棒状体の先端部に竿の引掛け部を設け、他端部に日よけ用プレートの押さえ部を設け、前記押さえ部は中空体に嵌合できる凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の太陽光遮断具の引上げ止め具。
【請求項6】
日よけ用プレートの表面に太陽光発電モジュールが配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽光遮断具。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11168(P2013−11168A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124223(P2012−124223)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【特許番号】特許第5105498号(P5105498)
【特許公報発行日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【出願人】(509182722)
【Fターム(参考)】