太陽熱発電設備における集光装置のクリーニング装置
【課題】 水源等を確保する必要が無く、太陽熱発電設備の設置場所選択の自由度が向上する、太陽熱発電設備のコレクタをクリーニングする装置を提供する。
【解決手段】 自走式の走行台車2に、給気装置4とこの給気装置4から供給される空気を噴出するエアノズル19とが搭載されており、前記エアノズル19からの噴出空気をコレクタ52の太陽光反射面52aに吹き付けて清掃することができるように構成されており、前記エアノズル19が昇降可能に構成され、エアノズル19によるエアブローの前後それぞれの太陽光反射面52aの汚れ度を測定する汚れ度測定装置29をさらに備えている。
【解決手段】 自走式の走行台車2に、給気装置4とこの給気装置4から供給される空気を噴出するエアノズル19とが搭載されており、前記エアノズル19からの噴出空気をコレクタ52の太陽光反射面52aに吹き付けて清掃することができるように構成されており、前記エアノズル19が昇降可能に構成され、エアノズル19によるエアブローの前後それぞれの太陽光反射面52aの汚れ度を測定する汚れ度測定装置29をさらに備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽熱発電設備に整列配置されている集光装置の太陽光反射面を清掃するためのクリーニング装置に関する。さらに詳しくは、集光装置の太陽光反射面に堆積しやすい砂塵や塵埃を除去するためのクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽熱エネルギを利用する太陽熱発電は化石燃料を使用する発電とは異なり、地球環境に影響を与えることなくエネルギ需要を満たすことのできる技術である。すなわち、太陽エネルギは化石燃料に代わる安定的なゼロコストのエネルギ源である。さらに、太陽熱発電の採用によって大量の二酸化炭素の排出を防ぐことができるので、地球温暖化の防止にも貢献する。
【0003】
図10には太陽熱発電設備の概念図が示されている。この発電設備では、太陽エネルギは集光区域(ソーラーフィールド)51に設置された集光装置(コレクタともいう)52によって熱媒体に熱エネルギとして吸収されて回収される。熱媒体としては特殊な作動油が使用される。この作動油は太陽熱を吸収して高温状態(たとえば約400°C程度)となり、循環ポンプ53によって循環管路54、55を循環し、熱交換器56において放熱して蒸気を発生させた後、低温状態(たとえば約300°C程度)となってコレクタ52に還流する。一方、熱交換器56では、給水ポンプ68によって供給された水が蒸発して飽和蒸気となり、蒸気供給配管57を通って過熱器(スーパーヒータ)58に送られる。この蒸気はスーパーヒータ58で過熱蒸気とされ、蒸気タービン59を駆動して発電機Gを回転して発電する。図中の符号69は復水器である。この発電設備には熱貯蔵装置70が設置されている。日中に集熱した一部の太陽熱エネルギはこの熱貯蔵設備70に熱エネルギのまま貯蔵し、日没が近づくとこの熱を放出して蒸気を発生し、発電継続の一助とするように計画されることが多い。
【0004】
前記集光装置としては、大別してタワー型、パラボラトラフ(放物線状樋)型、フレネル型等がある。このうち、大規模発電にはパラボラトラフ型が多用されている。
【0005】
図11に示すように、パラボラトラフコレクタ52は、X−Y平面上に示される放物線状の横断面形状を有する樋状の曲面反射鏡60によって太陽光を反射してその焦点に集める。この焦点位置にはZ軸方向に熱吸収パイプ61が配設されている。この熱吸収パイプ61内を熱媒体が循環しながら流れ、太陽熱を吸収することによって集熱、回収する。各熱吸収パイプ61の端部には、隣接する他のコレクタ52列の熱吸収パイプとの接続管(図示せず)に対して、回転且つ揺動可能に接続するためのスイベルジョイント(図示せず)が取り付けられている。
【0006】
太陽熱発電設備は太陽が出ている間だけ発電する。太陽熱エネルギの強度は日の出から南中に書けて増大し、南中から日没にかけて減少する。したがって、太陽熱による蒸気タービン式発電は夜間には発電が停止され、日の出とともに再起動される。しかし、この太陽熱発電と高効率なガスタービン発電装置とが組み合わされた太陽熱複合発電では、ガスタービンをも駆動して昼夜連続で発電する(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0007】
以上説明した太陽熱発電では、日中はコレクタ52はその反射面(太陽光反射面)52aが常に太陽に向くように回動軸65回りに回動操作されている。多くの場合、太陽熱発電設備の設置場所としては砂漠地帯が選定される。このような地域では雨の日や曇りの日が少なく、乾燥状態にある。したがって、風が吹くと砂塵が巻き上がってコレクタ52の反射面に堆積する可能性がある。反射面に砂塵や塵埃が堆積すると汚れ部分が形成され、反射面52aでの太陽光の反射効率が低下して集熱量が減少する。
【0008】
従来、コレクタに堆積した砂塵等は、太陽熱を集熱できなくなった夜間か、または、昼間であってもクリーニング作業を行うために発電設備の運転を停止した時間に、水洗によって除去するのが一般的である。すなわち、水タンクを搭載した散水車をコレクタ52列の間に走らせ、コレクタ52の反射面に向けてスプレーノズルから洗浄水を吹き付けて砂塵等を除去している。しかし、コレクタ52の反射面52aに散水する洗浄装置に関する文献は知らない。
【0009】
しかしながら、十分な水量の水源を確保しにくい地域や、給水場からの給水が困難な場所では、水洗によるクリーニングが実行できない。水源等を確保したとしても、給水条件がよくない場所では、給水所からタンク車等によって洗浄水を頻繁に運ばざるを得ず、操業コストの上昇が避けられない。また、洗浄水に不純物が含まれていると、乾燥後の反射面にこの不純物が付着して反射効率を低下させるという問題もある。このように、水源や給水設備の確保の困難が、太陽熱発電設備の設置場所を選定する際の制限条件となる傾向がある。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0750730号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0526816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述した課題を解決するためになされたものであり、良質の水源等を確保する必要が無く、太陽熱発電設備の設置場所選択の自由度が向上する、太陽熱発電設備の集光装置を清掃するためのクリーニング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的のために本発明のクリーニング装置は、
太陽熱発電設備における集光装置の太陽光反射面(以下、単に反射面と呼ぶ)を清掃するためのクリーニング装置であって、給気装置と、この給気装置から供給される空気を噴出するエアノズルとを備えており、このエアノズルから噴出する空気を前記太陽光反射面に吹き付けて清掃するように構成されている。
【0012】
このように、洗浄に水を使うことなく、いかなる地域においても無尽蔵にある空気を噴射して反射面から砂塵等を吹き払うので、洗浄設備を理由とした太陽熱発電設備の設置場所選定の制限が無くなる。そして、砂漠等における貴重な水を大量に消費する必要もない。また、空気を噴射する装置であるため、構成が簡素なものとなる。
【0013】
移動可能な台車をさらに備え、この台車に前記給気装置とエアノズルとが搭載されているのが好ましい。自走または他の牽引手段によって給気装置およびエアノズルを移動させながら広く配置された反射面を順次クリーニングしていくことができるからである。
【0014】
前記台車に走行駆動装置が装備されており、この走行駆動装置によって前記台車が自力走行可能に構成されているのがさらに好ましい。
【0015】
前記エアノズルの先端を反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備え、エアノズルの進退距離を調節可能に構成することができる。このように、エアノズルの先端を反射面に接近させることにより、噴射空気を汚れ部分に集中させることができる。
【0016】
前記エアノズルの空気噴出開口を太陽光反射面に沿って移動させるために、エアノズルをその空気噴出開口が形成する面の方向に移動させる駆動装置を備え、エアノズルの移動距離が調節可能に構成することができる。
【0017】
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁を、前記反射面の表面の曲率および傾斜角度のうちいずれかに近似した曲率または傾斜角度を有する形状とすることができる。こうすることにより、エアノズルの先端を限りなく反射面に接近させることができ、クリーニング用空気を効果的に使用することができる。
【0018】
前記反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されている場合、前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁を、前記反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状に形成し、このエアノズルの先端縁と反射面との間隙が、反射面の幅方向端部から幅方向中央部に向けて漸次拡大するように形成することができる。こうすることにより、噴射空気が上記間隙の広い方に向けて拡散しながら流れるので、砂塵等を一定方向に向けて吹き払うことが容易となる。
【0019】
前記反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されている場合、前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁を、前記反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状に形成し、このエアノズルを角筒形に形成し、矩形状の空気噴出開口における、反射面の幅方向中央部側の側面を切り欠いた形状にすることができる。こうすることにより、噴射空気を上記切り欠き部を通過させてできるだけ反射面に沿って反射面の幅方向中央側に吹き出させることができる。
【0020】
前記エアノズルの内部の空気通路に、空気の流れ方向を変更するための少なくとも一枚の風向変更板を取り付け、この風向変更板をその傾斜角度が変更可能となるように構成することができる。こうすることにより、反射面の砂塵を吹き払うのに効率的な方向を選択して空気を噴射させることができる。
【0021】
前記エアノズルの先端縁に、反射面を清掃するためのブラシを着脱可能に取り付けることができる。このブラシが、エアノズル先端と反射面との間の緩衝部材として機能するし、反射面のブラッシングも可能となる。
【0022】
前記エアノズルの先端と前記反射面との離間距離を測定するための距離センサをさらに備えることができる。この距離センサの計測結果により、クリーニング効果を向上させる目的でエアノズルの高さ位置を特定することも可能となる。
【0023】
前記太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置をさらに備え、この汚れ度測定装置に、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置とを備え、投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成することができる。
【0024】
そして、前記エアノズルによる空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって当該太陽光反射面に対する清掃の効果を検知するように構成するのが好ましい。
【0025】
前記給気装置を、給気量および給気圧力のうちの少なくとも一方を調節可能に構成し、さらに、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、噴射空気量および噴射空気圧力のうちの少なくとも一方を調節するように構成することができる。
【0026】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備え、エアノズルの進退距離が調節可能に構成し、さらに、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、エアノズルの先端と太陽光反射面との離間距離を調節しうるように構成することができる。
【0027】
太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置を、台車の走行方向におけるエアノズルの前方側および後方側それぞれに装備し、各汚れ度測定装置に、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置を備え、
投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成し、前記両汚れ度測定装置により、空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって清掃効果を検知するように構成することができる。
【0028】
前記検知された清掃効果に基づいて台車の走行速度を変更しうるように構成することができる。
【0029】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備え、エアノズルの進退距離を調節可能に構成し、前記エアノズルの先端縁に、太陽光反射面を清掃するためのブラシを着脱可能に取り付け、前記エアノズル前後の汚れ度測定装置によって計測された、台車走行時のエアノズルによる清掃前の太陽光反射面の汚れ度と清掃後の太陽光反射面の汚れ度との差が所定の閾値より小さいときに、エアノズルを進出させてブラシを太陽光反射面に接触させ、ブラッシングしうるように構成することができる。
【0030】
前記ブラシによるブラッシング後の太陽光反射面に対して、エアノズルの後方側の汚れ度測定装置によって測定した結果が所定の汚れ度を超えているときに、台車を走行路の所定範囲を少なくとも一回往復走行してブラッシングを繰り返すように構成することができる。
【0031】
前記台車の走行距離を測定するための走行距離測定装置を備え、この走行距離測定装置によって測定された台車の走行距離に基づいて、台車の走行路に沿った太陽光反射面の位置を特定しうるように構成し、ブラッシングを繰り返した後の太陽光反射面が前記所定の汚れ度を超えているときに、太陽光反射面のその位置を記録するように構成することができる。こうすることにより、このクリーニング装置によるクリーニングとは別の方法により当該位置の反射面を洗浄することも容易となる。
【0032】
クリーニング装置の一構成部分として、前記集光装置を振動させるために集光装置に設置された加振装置を含めてもよい。
【0033】
前記台車にカメラを備え、このカメラによって清掃後の太陽光反射面を撮影するように構成することができる。撮影された太陽光反射面の像を精視することにより、太陽光反射面の状態を容易且つ精度良くチェックすることができる。
【0034】
整列された前記集光装置に沿って前記台車が走行しうるように、台車の走行を案内するための走行案内装置を備えることができる。かかる構成により、台車に搭載したエアノズルと洗浄対象の反射面との離間距離を一定に保つことができる。
【0035】
前記走行案内装置として、台車に設置された被案内具と、この被案内具と係合してこれを案内する案内レールとを備え、
前記集光装置の太陽光反射面が互いに平行な複数列に配列されている場合、
前記案内レールを各太陽光反射面の列に沿って互いに平行に複数本敷設し、全案内レールの両端部における太陽光反射面の列の外方に、全案内レールの延長レール部が取り付けられたスライド板を設置し、このスライド板を、地面に沿って案内レールの長手方向に対して垂直な方向に移動しうるように構成することができる。このように構成すれば、台車は順次隣の案内レールに移行することができるので、未清掃の太陽光反射面の列を円滑にクリーニングすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、いかなる地域においても無尽蔵にある空気を使用してコレクタの反射面をクリーニングすることができるので、洗浄設備に起因した太陽熱発電設備の設置場所選定の制限が無くなる。また、砂漠等における貴重な水を大量に使用する必要もない。空気を噴射する装置であるため、構成が簡素なものとなる。
【0037】
本発明の、前述した、またはさらなる内容は、図面を用いて詳述する下記の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
添付の図面を参照しながら、本発明にかかる太陽熱発電設備のクリーニング装置の実施形態を説明する。
【0039】
図11には一基のパラボラトラフコレクタ52が示されている。図11は、コレクタ52がその反射面52aを太陽に向け、ほぼ水平方向に向けた状態を示している。反射面52aの向きとは、ここでは反射面52aの法線の向きをいう。ここで例示している一基のコレクタ(集光装置)52は、開口幅が約5.8mで長さが約12mのモジュール62が12台連結されて、全長が約150mに組み立てられたユニットである。もちろん、このサイズは例示であり、これに限定されることはない。コレクタユニットの一般的なサイズを理解してもらうために例示した。図5〜図8は図1のクリーニング装置1を前後反対側から見た図、すなわち、図1のV−V線矢視図である。
【0040】
各モジュール62はその両端部を支持柱63によって回動可能に支持されている。支持柱63は基礎ボルト等によってコンクリート基礎に固定されている。ちなみに、30MW級の太陽熱発電設備では前記150m長のユニットが200基以上配列され、熱吸収パイプ61の総延長は3kmを超える。ここで説明するクリーニング装置1は、何列にも配列されたこの長いコレクタ52に沿って移動しながらその反射面52aを空気噴射(エアブロー)によって清掃するための装置である。
【0041】
図1(a)は本発明に係るクリーニング装置の一実施形態を示している。このクリーニング装置1は、自走式の台車2の上に、空気噴射のためのエアブロー装置3、このエアブロー装置3に給気するための給気装置4等が搭載されたものである。台車2は自走式であり、車輪5およびこの車輪5をチェーン6およびスプロケット7を介して回転駆動する走行駆動装置8を有している。もちろん、自走式には限定されず、他の牽引装置によって牽引されるようにしてもよい。本実施形態では走行駆動装置8として電動モータを使用しているが、内燃機関、油圧装置等を採用することも可能である。
【0042】
前記給気装置4として、回転駆動機11によって回転駆動されるブロワ12が採用されている。ブロワの形式は特に限定しない。また、回転駆動機11として電動モータを採用しているが、電動モータに限らず内燃機関を用いてもよい。このブロワ12はフィルタ13が装着された吸気口14から外気を吸い込み、エアチャンバ15、排気通路16を通してエアブロー装置3に圧送する。
【0043】
エアブロー装置3は、エアチャンバ17、このエアチャンバ17上に立設された給気筒18、および、給気筒18の上部に上下に摺動可能に嵌合したエアノズル19を備えている。給気筒18とエアノズル19との摺動面には好適なシール(図示せず)が施されている。本実施形態では、給気筒18およびエアノズル19ともに角筒状のものを採用しているが、かかる形状には限定されない。エアチャンバ17上には、このエアノズル19を上下に昇降させるための昇降駆動装置20が立設されている。本実施形態ではエアノズル19の前方にのみ昇降駆動装置20を配置したが、後方のみまたは前後両方に設けてもよい。ここでいう「前方」「後方」については、台車2の進行方向を前方と呼び、その180°反対向きを後方と呼んでいる。この昇降駆動装置20として、本実施形態では電動シリンダを採用しているが、油圧シリンダ等を採用することもできる。
【0044】
図1(b)に示されるようにシリンダロッド20aの先端近傍は、エアノズル19の側面に突設された取付ブラケット21に位置調節可能に接続されている。具体的には、取付ブラケット21の貫通孔にシリンダロッド20aの外ネジが形成された先端近傍が貫通しており、この先端近傍に螺着された一対のナット22によって取付ブラケット21を挟圧固定するように構成されている。ナット22を緩めてシリンダロッド20aに対する取付ブラケット21の相対位置を変更することによりエアノズル19の高さ位置を調節することができる。
【0045】
本実施形態では、前述したように、台車2の走行駆動装置8、ブロワ12の回転駆動機11、および、エアノズル19の昇降駆動機20として、すべて電動装置を採用しているので、台車2にはこの電動装置8、11、20のための自家発電装置9が搭載されている。電源は直流でも交流でもよい。本実施形態では直流電源を採用するのでバッテリ10も装備されている。
【0046】
図1(a)に示されるように、エアブロー装置3および給気装置4は同一の共通台板23上に取り付けられている。この共通台板23は、台車2の上面に、台車2の進行方向(Z方向)に対して垂直な方向(X方向)に水平移動可能に取り付けられている。なお、ここでY方向は上下方向を意味する。これにより、エアブロー装置3および給気装置4の台車2に対する相対位置を調節することができる。共通台板23を移動させるための図示しない駆動機構としては送りネジ方式等、公知の機構が採用されうる。このように、台車2の前進後退、エアノズル19の昇降、および、共通台板23の水平移動により、エアノズル19の先端はXYZの3軸方向に移動可能に構成されていることになる。なお、共通台板23の水平移動の方向は上記X方向に限定されず、台車2の進行方向(Z方向)にも移動可能に構成してもよい。また、この共通台板23と台車2上面との間に図示しない防振装置を装備することも可能である。
【0047】
図1(a)および図5に示すように、エアノズル19の空気噴出開口を画する上端縁19bは、コレクタ52の反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状に形成されている。図5に示すように、エアノズル19の上端は台車の外方を向く部分が、台車の内側を向く部分より高くされている。こうすることにより、予め定められた方向(ほぼ下方)を向いた前記反射面52aにエアノズル19の上端を限りなく接近させることができる。さらに、上端縁19bの形状は、上記ほぼ下方を向いた反射面52aに接近したときに、反射面52aとの間隙が、反射面52aの幅方向端部から幅方向中央部に向けて漸次拡大するようにされている。この目的は、エアノズル19からの噴射空気をできるだけコレクタ52の反射面52aに沿って反射面52aの中央側に吹き出させるためである。なお、上端縁19bの形状は鉛直線に対して傾斜した直線状にしてもよいが、反射面52aへの接近や反射面との間隙の調整の観点からは上記円弧状にするのがより好ましい。
【0048】
また、図示のごとく上端縁19bに沿ってブラシ24が着脱可能に取り付けられている。このブラシ24はコレクタ52の反射面52aをブラッシングするためのものであり、材質、硬さ、密度、長さ、先端形状等は反射面52aの材質や堆積物の堆積状態等により、最適のものを選択する。ブラシ24は反射面52aとの緩衝部材としての機能も奏する。ブラシ24は上端縁19bのうちの高くなった台車の外方を向く部分については取り付けられていない。このようにしたのは、エアノズル19からの噴射空気をブラシ24の無い開放部を通過させてできるだけ反射面52aに沿って反射面52aの幅方向中央側に吹き出させるためである。
【0049】
図2には他のエアノズル25が示されている。このエアノズル25の空気噴出開口25aを画する上端縁25bの形状は、コレクタ反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状にしたうえで、上端縁25bと反射面52aとの間隙が反射面52aの幅方向中央部に向けて一定となるように定められている。そして、エアノズル25の上端における、反射面52aの幅方向中央側の側面が一部切り欠かれている。このように形成したのは、エアノズル25からの噴射空気を切り欠き部26を通過させてできるだけコレクタ52の反射面52aに沿って反射面52aの幅方向中央側に吹き出させるためである。図示のごとく、エアノズル25の内部の空気流路に、空気の噴射方向を反射面52aの幅方向中央側に向けるために、その方向に傾斜した風向変更板(ルーバ)27を少なくとも一枚設置してもよい。また、図示しないが、ルーバ27をエアノズル25の内壁に回転可能に枢支し、モータ等により回動軸を介してこのルーバ27を回転させ、その傾斜角度を変更調節可能にしてもよい。
【0050】
図3にはさらに他のエアノズル36が示されている。このエアノズル36は、図2のエアノズル25の切り欠き部26に、外方へ突出する延長部37を形成したものである。その他の形状構造は図2のエアノズル25と同じであるため、同一部材および同一部分には同一符号を付することにより、詳細な説明を省略する。前記延長部37は、切り欠き部26の下端縁から外方へ伸びる底板部38と底板部38の両側辺から上方へ向けて立設された側板部39とから構成されている。この側板部39の上端縁を含めた全体の上端縁36bは、コレクタ反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状にしたうえで、上端縁36bと反射面52aとの間隙が反射面52aの幅方向中央部に向けて一定となる形状にされている。また、延長部37の先端には、エアノズル36からの噴射空気を通過させる開口部40が形成されている。このエアノズル36は、その上端縁36bが図2のエアノズル25のそれより長いので、ブラシ24が反射面52aのより広い幅の範囲をブラッシングすることができる。さらに、空気噴出開口36aが反射面52aの幅方向に長くなるとともに、反射面52aに沿った噴射空気の流路長も同方向に長くなるので、噴射空気による砂塵等を吹き払う効果の向上が期待できる。
【0051】
図4にはさらに他のエアノズル41が示されている。このエアノズル41は、図2のエアノズル25の空気噴出開口25aの中央部にブラシ板42を架け渡したものである。その他の形状構造は図2のエアノズル25と同じであるため、同一部材および同一部分には同一符号を付することにより、詳細な説明を省略する。前記ブラシ板42の上端縁42aは、このエアノズル41の上端縁41bと同一高さで、同様にコレクタ反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状にしたうえで、上端縁41bと反射面52aとの間隙が反射面52aの幅方向中央部に向けて一定となる形状にされている。ブラシ板42の上端縁42aにはブラシ24が着脱可能に取り付けられている。このブラシ板42は一枚に限定されず、二枚以上取り付けてもよい。エアノズル41の空気噴出開口41aはブラシ板42によって等分されるのが好ましい。また、図3のエアノズル36にもその上端縁36bと同じ長さのブラシ板を設けてもよい。
【0052】
図示していないが、前述したエアノズル19、25、36、41(以下、符号19によって代表させる)によって反射面52aの幅方向中央側に吹き払った砂塵等を、さらに外方(たとえばコレクタ52エリア外)へ吹き出すための第二のエアノズルやブロワを設けてもよい。
【0053】
図1〜図5に示すように、エアノズル19には距離センサ28が設置されている。距離センサの形式は限定されず、反射音波を検知するまでの時間によって距離を計測する超音波式等の公知のセンサを採用することができる。この距離センサ28は、エアノズルの上端縁19bとコレクタ反射面52aとの離間距離を計測するためのものである。
【0054】
また、エアノズル19の前部および後部それぞれの外面には、清掃対象であるコレクタ反射面52aの汚れ度を測定するための汚れ度測定装置29が設置されている。この汚れ度測定装置29として、本実施形態では投光装置29aと受光装置29bとを有する照度計を採用している。投光装置29aが測定光を反射面52aに向けて投光し、受光装置29bが反射面52aで反射された測定光を受光する。投光した測定光と受光した反射光との照度差、すなわち受光装置29bが検知する反射光強度の減少程度から反射面の汚れ度を測定する。エアノズル19の前部の汚れ度測定装置29により、空気が吹き付けられる前の反射面52aの汚れ度を測定し、エアノズル19の後部の汚れ度測定装置29により、空気が吹き付けられた後の反射面52aの汚れ度を測定する。そして、エアノズル19の前後の各汚れ度測定装置29によって測定された、清掃前と清掃後の汚れ度を対比することにより、空気噴射による清掃効果を検知する。
【0055】
台車2には走行距離測定装置(図示せず)が装備されている。この走行距離測定装置としては、たとえば、走行駆動装置であるモータ8の軸や車輪5の車軸等にパルスジェネータを設置してもよい。かかる装置により、走行路における基準位置からの台車2の走行距離が逐一記録され、ソーラーフィールド51(図9、図10)におけるコレクタ52に沿った走行路上の台車2の位置が特定される。
【0056】
図5に示すように、台車2がコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行しうるように、コレクタ52列に沿って走行案内装置の一部を構成するレール31が敷設されている。台車2に装備された車輪5は鋼鉄製のレール走行用鍔付き車輪を採用している。
【0057】
または、鉄道用車輪に代えてゴム製のタイヤを装着した車輪を用いてもよい。その場合には、台車2の走行路を平坦にするのが好ましい。さらに、コンクリートやアスファルトによって舗装しておくのがより好ましい。さらに、図6に示すように、コレクタ52列に沿って案内用のレール32を路面から上方に突設しておく。このレール32には山形鋼等を採用することができる。一方、台車2には前後に離間して複数対の案内ローラ33を設置する。レール32と案内ローラ33とが台車2の走行案内装置を構成する。各対の案内ローラ33はレール32を左右から挟みうるように配置する。このようにすれば台車2はコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行することができる。
【0058】
図7には他の案内方式が示されている。台車2は舗装道路上を走行しうるようにタイヤを装着した車輪を備えている。そして、コレクタ52の各支持柱63における路面から一定の高さの位置に図6におけると同様の案内用のレール32が取り付けられている。このレール32にも山形鋼等を採用することができる。台車2にはコレクタ52側に突出した支持ブラケット34を設け、この支持ブラケット34に前後に離間して図6におけると同様の複数対の案内ローラ33を設置する。各対の案内ローラ33はレール32を左右から挟みうるように配置する。このようにすれば台車2はコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行することができる。
【0059】
図8(a)にはさらに他の案内方式が示されている。台車2は舗装道路上を走行しうるようにタイヤを装着した車輪を備えている。そして、舗装道路にはコレクタ52列に沿って図6におけると同様の案内用のレール32を路面から上方に突設しておく。このレール32にも山形鋼等を採用することができる。台車2の前端部および後端部の少なくとも一方(両方が望ましい)には、両端面に鍔が形成された案内輪35(図8(b)参照)を設置する。各案内輪35はレール32に転動可能に係合する。このようにすれば台車2はコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行することができる。
【0060】
図示しないが、台車2上に、クリーニング装置1によるクリーニング作業を制御する制御装置が備えられており、プログラム化された一連の動作を自動で行うことができる。または、この制御装置を発電所のコントロールセンタに備えておき、台車には受信装置を備え、コントロールセンタから遠隔制御をするようにしてもよい。
【0061】
図5〜図8は、前述したクリーニング装置1がコレクタ反射面52aをクリーニングしている状態を示している。コレクタ52は駆動装置64によってその回動軸65回りに回動可能に構成されている。回動範囲(回動角)は熱吸収パイプ61がコレクタ支持柱63と接触しない範囲であり、通常は300°以上となる(図5における二点鎖線で示すコレクタ52を参照)。日中の操業時には太陽追尾制御装置(図示せず)から送られる信号等によって反射面52aの位置が調整される。クリーニング時には、コレクタ52はその反射面52aが最も下方を向くように回動されて停止させられる。最も下方とは、熱吸収パイプ61がコレクタ支持柱63と接触しない範囲の最も下方となる位置であり、これが予め定められたメンテナンス位置である。このように設定したのは、エアノズル19による清掃を含めたメンテナンス作業がし易く、清掃中に砂塵等が反射面52aに堆積しにくいからである。このメンテナンス位置では、台車2と熱吸収パイプ61とは支持柱63を挟んで対向している。
【0062】
コレクタ52の反射面52aの裏側に加振装置(図示せず)を設置しておいてもよい。そして、エアノズル19による空気噴射(エアブロー)の最中はコレクタ52を振動させておくことにより、クリーニング効果を向上させることができる。さらに、一旦吹き払った砂塵等が再び反射面52aに付着することが防止されることが期待できる。
【0063】
クリーニング開始時には、前後方向に見てエアノズル19の左端がコレクタ反射面52aの左端と一致するかまたは僅かに右寄り(コレクタの幅方向中央側)となるように、共通台板23をX方向に移動させて(図5)エアノズル19の位置を調節する。また、エアノズル19の上端と反射面52aとの間隙が適正値となるように(ブラシ24が装着されている場合にはブラシ24の左端が反射面52aに僅かに接触するように)、昇降駆動装置20によってエアノズル19を上昇させて反射面52aに接近させる。この位置を昇降駆動装置20の最大ストロークとして設定する。または、昇降駆動装置20の最大ストロークを調節しない場合、前記一対のナット22(図1(b)参照)を緩めて、昇降駆動装置20の最大ストロークにおけるエアノズル19の反射面52aに対する位置を調整する。台車2の走行開始位置(図9における基準位置S)の確定を含めた全ての初期設定が完了すると、台車2をたとえば一定速度で走行させながらエアノズル19から空気を噴射(エアブロー)してクリーニング作業を行う。
【0064】
台車2が走行しながらエアブローしているときには、エアノズル19の前後の汚れ度測定装置29によって連続してクリーニング効果(エアブローによる反射面52aの反射効率の上昇度)が検知される。ある程度の期間にわたる操業を経てクリーニング効果を定量化できるようになれば、測定データを蓄積してクリーニング結果を定量評価することができる。以下に説明するのはクリーニング効果の評価および対処の一例である。
【0065】
前記制御装置には汚れ度の基準値が記憶されている(汚れ度自体については前述した)。基準値としては、汚れ度自体の許容値(第一基準値)およびエアブロー前後の汚れ度の変化である許容減少割合または許容減少値(第二基準値)のうちの少なくとも一方を採用してもよい。そして、エアノズル19後方の汚れ度測定装置29による測定値、すなわちエアブロー後の反射面52aの汚れ度の測定値、が第一基準値を超えている場合には、制御装置から台車2上の各機器に後述の動作指令信号が送られる。エアノズル19前方の汚れ度測定装置29による測定値、すなわちエアブロー前の反射面52aの汚れ度の測定値、が第一基準値を下回っている場合にはクリーニング不要と判断してエアブローを停止してもよい。また、エアノズル19の前後の汚れ度測定装置29による測定値の差、すなわちエアブローによる汚れ度の低下度、が第二基準値を下回っている場合には、制御装置から台車2上の各機器に後述の動作指令信号が送られる。
【0066】
第一基準値を超えた場合、および/または、第二基準値を下回った場合、制御装置は、たとえば給気装置4に対して噴射空気量の増大および/または噴射空気圧の上昇を指令する。具体的にはモータ11の回転数を上昇させる。これにより、反射面52a上の砂塵等を吹き払う効果が向上する。または、走行駆動装置8に対して台車2の走行速度を低下させるように指令してもよい。こうすることにより、反射面52aの同一部分へのエアブローの時間が長くなって砂塵等を吹き払う効果が向上する。または、昇降駆動装置20に対してエアノズル19の高さ位置を変更して反射面52aとの離間距離を変更調節するように指令する。すなわち、エアノズル19後方の汚れ度測定装置29による測定値によって最適な離間距離となるようにフィードバック制御する。または、前述したルーバ27の傾斜角度を変更して空気噴射方向を変更するように指令する。そして、エアノズル19後方の汚れ度測定装置29による測定値によって最適な傾斜角度となるようにフィードバック制御する。以上の四つの制御(噴射空気の制御、走行速度の制御、離間距離の制御、ルーバ27の角度制御)を単独で行うほか、二つ以上を効果的に組み合わせて同時に行ってもよい。
【0067】
または、たとえば、上記四つの制御によっても第一基準値および第二基準値ともに満足しない場合、または、第一基準値を満足せず、エアノズル19の前後の汚れ度測定装置29による測定値の差がほとんど無いような場合(新たに第三基準値を設ける)には、ブラッシングを行うようにする。具体例としては、昇降駆動装置20に対してエアノズル19を所定距離上昇させてブラシ24を反射面52aに押し当てるように指令する。ついで、共通台板23上のエアノズル19を前後方向(Z方向)に往復動させる。これと同時に共通台板23を反射面52a幅方向(X方向)にも往復動させるのが望ましい。X方向に往復動させるさせる場合には同期してエアノズル19を上下動させてエアノズル19の上端が反射面52aと一定の相対距離を保つようにする。上記共通台板23の前後方向(Z方向)の往復動に代えて、またはそれに加えて、台車2を往復動させてブラッシングを繰り返してもよい。このブラッシング中は台車2の走行速度を大幅に低下させてもよい。また、汚れ度測定装置29によってブラッシングの効果を確認するためにも台車2を後退(往復動)させてもよい。
【0068】
以上の清掃動作によっても基準を満足し得ない部位が存在する場合には、反射面52aの当該部位、すなわち台車2の走行路に沿った反射面52aの当該位置を記憶しておく。この位置の記憶は、前述したとおり、台車2に設置された走行距離測定装置の測定記録から任意の位置が特定できるので容易である。そして、全クリーニング作業が終了した後で、コントロールセンタ等に、異常に汚れた部位があるという警報信号と当該部位の表示を行うのが好ましい。そして、当該部位と砂塵等の堆積を確認して別途の清掃作業を実施することができる。
【0069】
または、台車2にカメラ(図示せず)を搭載して当該位置における異常に汚れた部位を撮影し、そのデータを画像処理等した映像を精視することにより、夜間の休止期間に、コレクタ52全長にわたる汚れの状態を容易且つ精度良くチェックすることができる。
【0070】
図9は、ソーラーフィールド51において、コレクタ52に沿って連続して形成された台車2の走行路66を示しており、同一の台車2がこの走行路66によってソーラーフィールド51の所定範囲を一巡することができる。すなわち、前述したレール31、32は、台車2が基準位置(通常はここから走行を開始する)Sを出発し、所定範囲にあるコレクタ52の幅方向両側をクリーニングしながら一巡して再び基準位置Sに戻ってくるようにループを描いて敷設されている。台車2の走行および停止、エアブロー装置3等の起動および停止は台車2側で行ってもよく、コントロールセンタから遠隔で行ってもよい。なお、コレクタ52の幅方向一方側のクリーニングが終了した後、台車2が幅方向他方側をクリーニングするときには、コレクタ52は300°以上回動させられて下方を向く(図5の二点鎖線参照)。
【0071】
制御装置は、台車2が日々ソーラーフィールド51を一巡する間のクリーニング動作を逐一記録し、そのうちで最短一巡時間を達成したケースのクリーニング作業のパラメータ(たとえば、台車2の走行速度、噴射空気量または噴射空気圧、エアノズル19と反射面52aとの間隙寸法、エアノズル19の台車2上の水平位置(XZ座標位置)、ルーバ27の傾斜角等)を最適設定値としてもよい。こうすることにより、作業効率の高いクリーニング作業の実現に寄与する。
【0072】
太陽熱による発電が不可能な夜間の限られた時間(T1)は年間を通じて変化する。そこで、T1以内にコレクタ52のクリーニングを完了させるために、走行すべき距離全長(D1)から台車2の走行速度(V1)を定め、これより速い速度で台車2を走行させるのが好ましい。ソーラーフィールドが広いためにV1を相当速くせざるを得ない場合には、ソーラーフィールドを分割して分割区域ごとに台車2の走行ループを設け、複数台の台車2を使用するようにしてもよい。夜間、人に頼らなければならない煩雑なクリーニング作業を効率よく自動化することができる。
【0073】
また、給気装置4の運転を停止した状態でクリーニング動作を行わずにソーラーフィールド51を走行してコレクタ反射面52aの汚れ度を短時間のうちに測定してクリーニングの必要度を判定する目的で使用することができる。さらに異常に汚れた部分には破損している反射面も含まれるので、このような反射面の異常をチェックすることも可能である。
【0074】
通常の太陽熱発電設備では、図9に示すように、ソーラーフィールド51を左右に二分し(51A、51B)、中央部に発電装置(図示せず)を設ける配置が一般的である。ソーラーフィールド51の中央部には作動油の大径循環配管67が地上に敷設されている。したがって、台車2がこれを横切るように走行するのは困難であるため、基本的には左右のソーラーフィールド51A、51Bそれぞれに台車2を配備するのが好ましい。
【0075】
本願発明は太陽熱発電設備におけるコレクタのクリーニング装置にかかるものであるから、その太陽熱発電設備がガスタービンおよび蒸気タービン用いた複合発電設備であってもよく、また、複合発電設備に限定されることはなく、ガスタービンを併用しない蒸気タービン発電であってもよい。
【0076】
また、コレクタとしては、前述したパラボラトラフ型の反射鏡に限らず、パラボラトラフ型以外の形状の反射鏡を用いた集熱装置、たとえばフレネル型集熱装置やいわゆるタワー型の集熱装置等に適用することも可能である。
【0077】
図12はフレネル型コレクタ81を用いた太陽熱発電設備の概略を示している。このフレネル型コレクタ(以下、単にコレクタともいう)81は、台枠82上に並行に且つ連なって配列された多数枚の帯状平板反射鏡82を有している。各平板反射鏡82はその長手方向に沿う軸回りに揺動しうるように、台枠83に枢支されている。この多数枚の平板反射鏡82を装備した多数台の台枠82が平板反射鏡82の長手方向に沿って整列されている。また、全反射鏡82の揺動軸に平行に且つ高い位置に、半円筒に近似した形状の反射鏡84がその反射面84aを下に向けた状態で延設されている。この反射鏡84の半円形に近似した横断面における中心部を反射鏡の長手方向に沿って熱吸収パイプ85が延設されている。反射鏡84および熱吸収パイプ85はともに支柱86によって支持されている。下方に配列された多数枚の平板反射鏡82で反射された太陽光が上方の反射鏡84に至り、この反射鏡84でさらに反射された太陽光が熱吸収パイプ85に集束する。この熱吸収パイプ85内には熱媒体が循環しながら流れ、太陽熱を吸収することによって集熱、回収する。各熱吸収パイプ85の端部は、接続管(図示せず)を介して、隣接する他のコレクタの熱吸収パイプの端部に接続されている。全平板反射鏡82は、図示しない駆動機により、その反射面82aが常に太陽光を前記反射鏡84に向けて反射しうるように、太陽の移動に追随して回動させられる。
【0078】
図13には、フレネル型コレクタ81のクリーニングに適したクリーニング装置43が示されている。このクリーニング装置43は、前記台枠83の下方に進入可能な高さ寸法を有し、その基本構造は図1の装置1と共通している。前述したクリーニング装置1におけると同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。このクリーニング装置43は、コレクタ81の反射面82aの形状や姿勢に対応した形状のエアノズル44を備えている。このコレクタ81は夜間にはメンテナンスのために平板反射鏡82を回転させてその反射面82aを予め定められた下方に向けている(図13中の実線で示す)ことが多い。すなわち、反射面82aの法線が下を向くようにしている。そこで、前記エアノズル44の上端縁44aの形状は、上記所定の下方を向いた状態(図12)の反射面82aと同一か近似した傾斜角の直線状にされている。そして、前述した共通台板23の水平方向移動およびエアノズル44の昇降により、反射面82aに対するエアノズル44の空気噴出開口の位置合わせを行うことができる。もちろん、反射面82aの向きは図示のようなやや下方には限定されず、鉛直下方でもよく、水平方向等であってもよい。エアノズル44の上端縁44aの形状はその反射面82aに合わせるか、または、逆に、反射面82aの静止位置をエアノズル44の上端縁44aの形状にあわせればよい。図13中には、日中に反射面82aを上に向けた平板反射鏡82が二点鎖線で示している。
【0079】
エアノズル44の上端縁44aにはブラシ24が着脱可能に取り付けられている。さらに、この上端縁44aの形状を、反射面82aに接近したときに反射面82aとの間隙が反射面82aの幅方向一方側から他方側に向けて漸次拡大するようにしてもよい。この場合、図1に示すエアノズル19と同様に、上端縁44aには噴射空気を通過させるためにブラシ4を取り付けない部分を設けてもよい。または、図2に示すエアノズル25と同様に、上端縁44aの形状を反射面82aと同一の傾斜の直線状にした上で、反射面82aの幅方向一方側のエアノズル側面を一部切り欠いてもよい。かかる形状にすることにより、エアノズル44からの噴射空気を切り欠き部を通過させてコレクタ81の反射面82aに沿って吹き出させることが容易となる。また、エアノズル44内に図2〜図4に示すようなルーバ27を取り付けてもよい。また、空気を噴射する方向が平板反射鏡82の長手方向となるように、ブラシ4を取り付けない部分、切り欠き部分、ルーバの取付方向等を定めてもよい。
【0080】
なお、図12および図13に示すフレネル型コレクタ81は、平板反射鏡82の両端部が台枠に枢支されている。しかし、平板反射鏡82の両端部それぞれに縦置きのリングが取り付けられ、このリングが回転させられることによって平板反射鏡82が回動する形式のものも使用されている。この形式のコレクタに対しても、図13に示すクリーニング装置43は、そのエアノズル44の位置を適時低くすることにより上記リングを避けて干渉することなく走行することができる。
【0081】
フレネル型コレクタの平板反射鏡82の幅は通常約40〜60mm程度であるため、並行に配列された平板反射鏡82の配列ピッチ(図12中の符号P)は、図11のパラボラトラフ状の反射鏡60の配列ピッチより小さい。したがって、台車2の走行路については、図9に示すような走行路66配置を採用することは困難である。
【0082】
そこで、図14に示すように、フレネル型コレクタ81を備えたソーラーフィールドでは、各平板反射鏡82列に沿って平行に台車2の走行案内用レール32を敷設している。さらに、全レール32の両端側における平板反射鏡82列の外方において、全レール32の延長レール部32aが取り付けられたスライド板45を設置している。全レール32とその全延長レール部32aとは分離されてはいるが、当然に互いの長手方向は一致させられている。スライド板45上の適切な位置、または、スライド板45の端部外方に、スライド板45上に進入したクリーニング装置43を検出するための超音波センサ、赤外線センサ、近接スイッチ等の検出装置46を設置しておくのが好ましい。そして、クリーニング装置43が一本の平板反射鏡82列のクリーニングを終えてその延長レール部32aに至ったとき、検出装置46がこれを検出することにより、スライド板45を地面に沿ってレール32の長手方向に垂直な方向に1ピッチPだけスライドさせる。そうすれば、クリーニング装置43は順次隣のレール32に移行して未清掃の平板反射鏡82列を円滑にクリーニングすることができる。上記走行路配置には限定されず、他の走行路配置を採用してもよい。また、このスライド板45を使用した方式を、前述したパラボラトラフコレクタ52を設置したソーラーフィールド51(図7参照)に採用してもよい。
【0083】
図15(a)は、単独自立型の平面反射鏡(以下、ヘリオスタットという)93を用いたタワー形太陽熱集熱設備(以下、タワー型コレクタともいう)91を含む太陽熱発電設備の概略を示している。コレクタ91は集熱塔92を中心にして、多数個のヘリオスタット93が同心円上、同心半円上、同心多角形上等に配列されることが多い。ヘリオスタット93とは、移動する太陽に追随して向きを変える反射鏡のことである。本例では、ヘリオスタット93が多数の同心円上に配列されている。その中央部の円形スペースには前記集熱塔92や発電設備97が設置されている。中央円形スペースを除いた円環状のソーラーフィールドは90°ごとに放射状通路Wによって扇形ゾーンFに分割されている。図15においては、一部のヘリオスタット93のみを示し、他は省略している。集熱塔92は、塔92aの上端に集熱装置92bが設置されたものである。集熱装置92bには図示しない給熱部とこの給熱部からの熱によって加熱される熱媒体(空気、溶融塩等)が循環する熱媒体循環部とが設置されている。
【0084】
図15(b)および図16に示すように、ヘリオスタット93は、支柱94と、支柱94の上端に設置された平面反射鏡95と、この平面反射鏡95を鉛直軸回りに旋回させ且つ上下方向に揺動させる旋回揺動駆動装置96とを備えている。各ヘリオスタット93の平面反射鏡95は、旋回揺動駆動装置96により、その反射面95aが常に太陽光を前記集熱装置92bに向けて反射できるように、太陽の移動に追随して回動させられる。
【0085】
図16には、ヘリオスタット93のクリーニングに適したクリーニング装置47も示されている。このクリーニング装置47の基本構造は前述した図1の装置1と共通しているので、相違点のみを説明し、図1のクリーニング装置1におけると同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。このクリーニング装置47は、ヘリオスタット93の反射面95aの形状や姿勢に対応した形状のエアノズル48を備えている。全てのヘリオスタット93はメンテナンスや清掃のためにその反射面95aを揺動且つ旋回させて予め定められた同一の方向に向けている。メンテナンスを容易にするために、図16中の実線で示すように、反射面95aを(反射面95aの法線が)ほぼ水平方向に向けていることが多い。すなわち、反射面95a自体は鉛直面から僅かな角度α°傾斜している。
【0086】
ほぼ水平方向に向いている全ての平面反射鏡95の反射面95aをさらに集熱塔92に向ける。前記エアノズル48の空気噴出開口は、この状態の反射面95aに対向するようにほぼ水平方向を向くように形成されている。すなわち、空気噴出開口が形成する面の法線がほぼ水平を向いている。そして、開口端縁48aの形状は、上記所定の方向を向いたこの状態の反射面95aと同一かまたは近似した傾斜角α°の直線状にされている。また、エアノズル48、および、エアノズル48が昇降可能に嵌合する給気筒47は、鉛直方向ではなく、反射面95aに沿う方向、すなわち、鉛直面に対してα°だけ傾斜した方向に延びている。エアノズル48も同方向に昇降するように構成されている。このように、エアノズル48はその空気噴出開口が形成する面の方向に往復移動(昇降)することができる。もちろん、反射面95aの向きは図示のようなやや水平に限定されず他の方向であってもよい。エアノズル48の開口端縁48aの形状はその反射面95aに合わせればよい。図16中には、日中に反射面95aを斜め上方に向けた平面反射鏡95が二点鎖線で示されている。
【0087】
エアノズル48の開口端縁48aに沿ってブラシ24が着脱可能に取り付けられている。したがって、エアノズル48の昇降によって反射面95aをブラッシングすることができる。さらに、この開口端縁48aの形状を、反射面95aに接近したときに反射面95aとの間隙が反射面95aの下端側から上端側に向けて漸次拡大するようにしてもよい。この場合、図1に示すエアノズル19と同様に、開口端縁48aには噴射空気を通過させるためにブラシ4を取り付けない部分を設けてもよい。または、図2に示すエアノズル25と同様に、開口端縁48aの形状を反射面95aと同一の傾斜の直線状にした上で、反射面95a上端側のエアノズル側面を一部切り欠いてもよい。かかる形状にすることにより、エアノズル48からの噴射空気を切り欠き部を通過させて反射面95aに沿って吹き出させることが容易となる。また、図2〜図4に示すようなルーバ27を取り付けてもよい。また、空気を噴射する方向を、前述した下から上に向けるのではなく、横方向または斜め上もしくは下方向となるように、ブラシ4を取り付けない部分、切り欠き部分、ルーバの取付方向等を定めてもよい。
【0088】
このヘリオスタット93を用いたタワー形コレクタ91においては、クリーニング装置47の一巡走行路を配置するのは容易である。図15に例示するような、ヘリオスタット93が同心円状に配列されたソーラーフィールドにあっては、図17に示すように、最内側および最外側に台車の走行開始と清掃完了との共通の基準位置Sを定める。そして、各ヘリオスタット93の直前を通るように、全円周にわたってレール32を敷設する。しかし、ソーラーフィールドにおける一本の放射状通路Wには隣接円周に移行するための移行部レール32Tを敷設する。このようにして、全ヘリオスタット93の前を通って最内の基準位置Sと最外の基準位置Sとを一本のレール32でつなぐことができる。
【0089】
または、図18に示すように、ソーラーフィールドを分割した開き角度90°の各扇形ゾーンFに対し、レール32を内側(外側)の基準位置Sからジグザグに外側(内側)に向かって敷設する。そして、最外周または最内周において、放射状通路Wを横切って隣の扇形ゾーンFに連続して移行するようにレール32Tを敷設する。このようにすれば、最内(最外でもよい)の基準位置Sから全ヘリオスタット93の前を通って一本のレール32を全扇形ゾーンFに循環させることができる。図17および図18のレール32ともに、放射状通路Wを横切る部分については、放射状通路Wの通行の便宜のために地中と地上とに昇降可能にすることは容易である。
【0090】
前述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
【0091】
前述した内容に基いて、当業者にとっては、種々の変形や実施例が明白となるであろう。したがって、上記説明は図面に沿って述べているものと理解すべきであり、上記説明は、当業者にとって本発明が実施可能となるように説明することを目的としているものである。以上に説明した構成や機能の内容に関しては、本発明の精神に反しない限りにおいて、実質上種々変形して実施することが可能であり、これらは本発明の範囲に属するものであると理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、いかなる地域であっても無尽蔵にある空気を使用してコレクタの反射面をクリーニングする装置であるため、水源が存在しなかったり水が非常に貴重なものである砂漠等に設置される太陽熱発電設備のコレクタのクリーニング装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1(a)は本発明に係るクリーニング装置の一実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるシリンダロッド頂部の詳細を示す正面図である。
【図2】図1のクリーニング装置に用いられるエアノズルの他の例を示す斜視図である。
【図3】図1のクリーニング装置に用いられるエアノズルのさらに他の例を示す斜視図である。
【図4】図1のクリーニング装置に用いられるエアノズルのさらに他の例を示す斜視図である。
【図5】図1のクリーニング装置がコレクタをクリーニングしている状態の一例を示す正面図であり、図1におけるV−V線矢視図である。
【図6】図1のクリーニング装置がコレクタをクリーニングしている状態の他の例を示す正面図であり、図1におけるV−V線矢視図である。
【図7】図1のクリーニング装置がコレクタをクリーニングしている状態のさらに他の例を示す正面図であり、図1におけるV−V線矢視図である。
【図8】図8(a)は図1のクリーニング装置がコレクターをクリーニングしている状態のさらに他の例を示す正面図(図1におけるV−V線矢視図)であり、図8(b)は図8(a)のクリーニング装置の案内輪の部分を示す斜視図である。
【図9】パラボラトラフ型コレクタが設置されたソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の一例を示す平面図である。
【図10】本発明を適用しうる太陽熱発電設備の一例であるパラボラトラフ型コレクタを採用した設備を示す概念図である。
【図11】図10の太陽熱発電設備における一基のパラボラトラフ型コレクタのユニットを示す斜視図である。
【図12】本発明を適用しうるコレクタの他の例であるフレネル型コレクタを示す斜視図である。
【図13】図12のフレネル型コレクタに好適なクリーニング装置の一実施形態を示す正面図である。
【図14】フレネル型コレクタを設置したソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の一例を示す平面図である。
【図15】図15(a)は本発明を適用しうるコレクタの他の例であるタワー型コレクタを示す斜視図であり、図15(b)は図15(a)のタワー型コレクタに設置されているヘリオスタットを拡大して示す斜視図である。
【図16】図15のタワー型コレクタのヘリオスタットに好適なクリーニング装置の一実施形態を示す正面図である。
【図17】タワー型コレクタを設置したソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の一例を示す平面図である。
【図18】タワー型コレクタを設置したソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 … クリーニング装置
2 … 台車
3 … エアブロー装置
4 … 給気装置
5 … 車輪
6 … チェーン
7 … スプロケット
8 … 電動モータ
9 … 自家発電装置
10 … バッテリ
11 … 電動モータ
12 … ブロワ
13 … フィルタ
14 … 吸気口
15 … エアチャンバ
16 … 排気通路
17 … エアチャンバ
18 … 給気筒
19 … エアノズル
20 … 昇降駆動装置
21 … 取付ブラケット
22 … ナット
23 … 共通台板
24 … ブラシ
25 … エアノズル
26 … 切り欠き部
27 … ルーバ
28 … 距離センサ
29 … 汚れ度測定装置
31 … レール
32 … レール
33 … 案内ローラ
34 … 支持ブラケット
35 … 案内輪
36 … エアノズル
37 … 延長部
38 … 底板部
39 … 側板部
40 … 開口部
41 … エアノズル
42 … ブラシ板
43 … クリーニング装置
44 … エアノズル
45 … スライド板
46 … 検出装置
47 … クリーニング装置
48 … エアノズル
51 … ソーラーフィールド
52 … コレクタ
52a … (コレクタの)反射面
60 … 曲面反射鏡
61 … 熱吸収パイプ
62 … モジュール
63 … 支持柱
64 … 駆動装置
65 … 回動軸
66 … 走行路
67 … 大径循環配管
81 … コレクタ
82 … 平板反射鏡
83 … 台枠
84 … 反射鏡
85 … 熱吸収パイプ
86 … 支柱
91 … コレクタ
92 … 集熱塔
93 … ヘリオスタット
94 … 支柱
95 … 平面反射鏡
96 … 旋回揺動駆動装置
F … (ソーラーフィールドの一部分である)扇形ゾーン
P … (平板反射鏡の)配列ピッチ
S … 基準位置
W … 放射状通路
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽熱発電設備に整列配置されている集光装置の太陽光反射面を清掃するためのクリーニング装置に関する。さらに詳しくは、集光装置の太陽光反射面に堆積しやすい砂塵や塵埃を除去するためのクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽熱エネルギを利用する太陽熱発電は化石燃料を使用する発電とは異なり、地球環境に影響を与えることなくエネルギ需要を満たすことのできる技術である。すなわち、太陽エネルギは化石燃料に代わる安定的なゼロコストのエネルギ源である。さらに、太陽熱発電の採用によって大量の二酸化炭素の排出を防ぐことができるので、地球温暖化の防止にも貢献する。
【0003】
図10には太陽熱発電設備の概念図が示されている。この発電設備では、太陽エネルギは集光区域(ソーラーフィールド)51に設置された集光装置(コレクタともいう)52によって熱媒体に熱エネルギとして吸収されて回収される。熱媒体としては特殊な作動油が使用される。この作動油は太陽熱を吸収して高温状態(たとえば約400°C程度)となり、循環ポンプ53によって循環管路54、55を循環し、熱交換器56において放熱して蒸気を発生させた後、低温状態(たとえば約300°C程度)となってコレクタ52に還流する。一方、熱交換器56では、給水ポンプ68によって供給された水が蒸発して飽和蒸気となり、蒸気供給配管57を通って過熱器(スーパーヒータ)58に送られる。この蒸気はスーパーヒータ58で過熱蒸気とされ、蒸気タービン59を駆動して発電機Gを回転して発電する。図中の符号69は復水器である。この発電設備には熱貯蔵装置70が設置されている。日中に集熱した一部の太陽熱エネルギはこの熱貯蔵設備70に熱エネルギのまま貯蔵し、日没が近づくとこの熱を放出して蒸気を発生し、発電継続の一助とするように計画されることが多い。
【0004】
前記集光装置としては、大別してタワー型、パラボラトラフ(放物線状樋)型、フレネル型等がある。このうち、大規模発電にはパラボラトラフ型が多用されている。
【0005】
図11に示すように、パラボラトラフコレクタ52は、X−Y平面上に示される放物線状の横断面形状を有する樋状の曲面反射鏡60によって太陽光を反射してその焦点に集める。この焦点位置にはZ軸方向に熱吸収パイプ61が配設されている。この熱吸収パイプ61内を熱媒体が循環しながら流れ、太陽熱を吸収することによって集熱、回収する。各熱吸収パイプ61の端部には、隣接する他のコレクタ52列の熱吸収パイプとの接続管(図示せず)に対して、回転且つ揺動可能に接続するためのスイベルジョイント(図示せず)が取り付けられている。
【0006】
太陽熱発電設備は太陽が出ている間だけ発電する。太陽熱エネルギの強度は日の出から南中に書けて増大し、南中から日没にかけて減少する。したがって、太陽熱による蒸気タービン式発電は夜間には発電が停止され、日の出とともに再起動される。しかし、この太陽熱発電と高効率なガスタービン発電装置とが組み合わされた太陽熱複合発電では、ガスタービンをも駆動して昼夜連続で発電する(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0007】
以上説明した太陽熱発電では、日中はコレクタ52はその反射面(太陽光反射面)52aが常に太陽に向くように回動軸65回りに回動操作されている。多くの場合、太陽熱発電設備の設置場所としては砂漠地帯が選定される。このような地域では雨の日や曇りの日が少なく、乾燥状態にある。したがって、風が吹くと砂塵が巻き上がってコレクタ52の反射面に堆積する可能性がある。反射面に砂塵や塵埃が堆積すると汚れ部分が形成され、反射面52aでの太陽光の反射効率が低下して集熱量が減少する。
【0008】
従来、コレクタに堆積した砂塵等は、太陽熱を集熱できなくなった夜間か、または、昼間であってもクリーニング作業を行うために発電設備の運転を停止した時間に、水洗によって除去するのが一般的である。すなわち、水タンクを搭載した散水車をコレクタ52列の間に走らせ、コレクタ52の反射面に向けてスプレーノズルから洗浄水を吹き付けて砂塵等を除去している。しかし、コレクタ52の反射面52aに散水する洗浄装置に関する文献は知らない。
【0009】
しかしながら、十分な水量の水源を確保しにくい地域や、給水場からの給水が困難な場所では、水洗によるクリーニングが実行できない。水源等を確保したとしても、給水条件がよくない場所では、給水所からタンク車等によって洗浄水を頻繁に運ばざるを得ず、操業コストの上昇が避けられない。また、洗浄水に不純物が含まれていると、乾燥後の反射面にこの不純物が付着して反射効率を低下させるという問題もある。このように、水源や給水設備の確保の困難が、太陽熱発電設備の設置場所を選定する際の制限条件となる傾向がある。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0750730号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0526816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述した課題を解決するためになされたものであり、良質の水源等を確保する必要が無く、太陽熱発電設備の設置場所選択の自由度が向上する、太陽熱発電設備の集光装置を清掃するためのクリーニング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的のために本発明のクリーニング装置は、
太陽熱発電設備における集光装置の太陽光反射面(以下、単に反射面と呼ぶ)を清掃するためのクリーニング装置であって、給気装置と、この給気装置から供給される空気を噴出するエアノズルとを備えており、このエアノズルから噴出する空気を前記太陽光反射面に吹き付けて清掃するように構成されている。
【0012】
このように、洗浄に水を使うことなく、いかなる地域においても無尽蔵にある空気を噴射して反射面から砂塵等を吹き払うので、洗浄設備を理由とした太陽熱発電設備の設置場所選定の制限が無くなる。そして、砂漠等における貴重な水を大量に消費する必要もない。また、空気を噴射する装置であるため、構成が簡素なものとなる。
【0013】
移動可能な台車をさらに備え、この台車に前記給気装置とエアノズルとが搭載されているのが好ましい。自走または他の牽引手段によって給気装置およびエアノズルを移動させながら広く配置された反射面を順次クリーニングしていくことができるからである。
【0014】
前記台車に走行駆動装置が装備されており、この走行駆動装置によって前記台車が自力走行可能に構成されているのがさらに好ましい。
【0015】
前記エアノズルの先端を反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備え、エアノズルの進退距離を調節可能に構成することができる。このように、エアノズルの先端を反射面に接近させることにより、噴射空気を汚れ部分に集中させることができる。
【0016】
前記エアノズルの空気噴出開口を太陽光反射面に沿って移動させるために、エアノズルをその空気噴出開口が形成する面の方向に移動させる駆動装置を備え、エアノズルの移動距離が調節可能に構成することができる。
【0017】
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁を、前記反射面の表面の曲率および傾斜角度のうちいずれかに近似した曲率または傾斜角度を有する形状とすることができる。こうすることにより、エアノズルの先端を限りなく反射面に接近させることができ、クリーニング用空気を効果的に使用することができる。
【0018】
前記反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されている場合、前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁を、前記反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状に形成し、このエアノズルの先端縁と反射面との間隙が、反射面の幅方向端部から幅方向中央部に向けて漸次拡大するように形成することができる。こうすることにより、噴射空気が上記間隙の広い方に向けて拡散しながら流れるので、砂塵等を一定方向に向けて吹き払うことが容易となる。
【0019】
前記反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されている場合、前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁を、前記反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状に形成し、このエアノズルを角筒形に形成し、矩形状の空気噴出開口における、反射面の幅方向中央部側の側面を切り欠いた形状にすることができる。こうすることにより、噴射空気を上記切り欠き部を通過させてできるだけ反射面に沿って反射面の幅方向中央側に吹き出させることができる。
【0020】
前記エアノズルの内部の空気通路に、空気の流れ方向を変更するための少なくとも一枚の風向変更板を取り付け、この風向変更板をその傾斜角度が変更可能となるように構成することができる。こうすることにより、反射面の砂塵を吹き払うのに効率的な方向を選択して空気を噴射させることができる。
【0021】
前記エアノズルの先端縁に、反射面を清掃するためのブラシを着脱可能に取り付けることができる。このブラシが、エアノズル先端と反射面との間の緩衝部材として機能するし、反射面のブラッシングも可能となる。
【0022】
前記エアノズルの先端と前記反射面との離間距離を測定するための距離センサをさらに備えることができる。この距離センサの計測結果により、クリーニング効果を向上させる目的でエアノズルの高さ位置を特定することも可能となる。
【0023】
前記太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置をさらに備え、この汚れ度測定装置に、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置とを備え、投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成することができる。
【0024】
そして、前記エアノズルによる空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって当該太陽光反射面に対する清掃の効果を検知するように構成するのが好ましい。
【0025】
前記給気装置を、給気量および給気圧力のうちの少なくとも一方を調節可能に構成し、さらに、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、噴射空気量および噴射空気圧力のうちの少なくとも一方を調節するように構成することができる。
【0026】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備え、エアノズルの進退距離が調節可能に構成し、さらに、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、エアノズルの先端と太陽光反射面との離間距離を調節しうるように構成することができる。
【0027】
太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置を、台車の走行方向におけるエアノズルの前方側および後方側それぞれに装備し、各汚れ度測定装置に、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置を備え、
投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成し、前記両汚れ度測定装置により、空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって清掃効果を検知するように構成することができる。
【0028】
前記検知された清掃効果に基づいて台車の走行速度を変更しうるように構成することができる。
【0029】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備え、エアノズルの進退距離を調節可能に構成し、前記エアノズルの先端縁に、太陽光反射面を清掃するためのブラシを着脱可能に取り付け、前記エアノズル前後の汚れ度測定装置によって計測された、台車走行時のエアノズルによる清掃前の太陽光反射面の汚れ度と清掃後の太陽光反射面の汚れ度との差が所定の閾値より小さいときに、エアノズルを進出させてブラシを太陽光反射面に接触させ、ブラッシングしうるように構成することができる。
【0030】
前記ブラシによるブラッシング後の太陽光反射面に対して、エアノズルの後方側の汚れ度測定装置によって測定した結果が所定の汚れ度を超えているときに、台車を走行路の所定範囲を少なくとも一回往復走行してブラッシングを繰り返すように構成することができる。
【0031】
前記台車の走行距離を測定するための走行距離測定装置を備え、この走行距離測定装置によって測定された台車の走行距離に基づいて、台車の走行路に沿った太陽光反射面の位置を特定しうるように構成し、ブラッシングを繰り返した後の太陽光反射面が前記所定の汚れ度を超えているときに、太陽光反射面のその位置を記録するように構成することができる。こうすることにより、このクリーニング装置によるクリーニングとは別の方法により当該位置の反射面を洗浄することも容易となる。
【0032】
クリーニング装置の一構成部分として、前記集光装置を振動させるために集光装置に設置された加振装置を含めてもよい。
【0033】
前記台車にカメラを備え、このカメラによって清掃後の太陽光反射面を撮影するように構成することができる。撮影された太陽光反射面の像を精視することにより、太陽光反射面の状態を容易且つ精度良くチェックすることができる。
【0034】
整列された前記集光装置に沿って前記台車が走行しうるように、台車の走行を案内するための走行案内装置を備えることができる。かかる構成により、台車に搭載したエアノズルと洗浄対象の反射面との離間距離を一定に保つことができる。
【0035】
前記走行案内装置として、台車に設置された被案内具と、この被案内具と係合してこれを案内する案内レールとを備え、
前記集光装置の太陽光反射面が互いに平行な複数列に配列されている場合、
前記案内レールを各太陽光反射面の列に沿って互いに平行に複数本敷設し、全案内レールの両端部における太陽光反射面の列の外方に、全案内レールの延長レール部が取り付けられたスライド板を設置し、このスライド板を、地面に沿って案内レールの長手方向に対して垂直な方向に移動しうるように構成することができる。このように構成すれば、台車は順次隣の案内レールに移行することができるので、未清掃の太陽光反射面の列を円滑にクリーニングすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、いかなる地域においても無尽蔵にある空気を使用してコレクタの反射面をクリーニングすることができるので、洗浄設備に起因した太陽熱発電設備の設置場所選定の制限が無くなる。また、砂漠等における貴重な水を大量に使用する必要もない。空気を噴射する装置であるため、構成が簡素なものとなる。
【0037】
本発明の、前述した、またはさらなる内容は、図面を用いて詳述する下記の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
添付の図面を参照しながら、本発明にかかる太陽熱発電設備のクリーニング装置の実施形態を説明する。
【0039】
図11には一基のパラボラトラフコレクタ52が示されている。図11は、コレクタ52がその反射面52aを太陽に向け、ほぼ水平方向に向けた状態を示している。反射面52aの向きとは、ここでは反射面52aの法線の向きをいう。ここで例示している一基のコレクタ(集光装置)52は、開口幅が約5.8mで長さが約12mのモジュール62が12台連結されて、全長が約150mに組み立てられたユニットである。もちろん、このサイズは例示であり、これに限定されることはない。コレクタユニットの一般的なサイズを理解してもらうために例示した。図5〜図8は図1のクリーニング装置1を前後反対側から見た図、すなわち、図1のV−V線矢視図である。
【0040】
各モジュール62はその両端部を支持柱63によって回動可能に支持されている。支持柱63は基礎ボルト等によってコンクリート基礎に固定されている。ちなみに、30MW級の太陽熱発電設備では前記150m長のユニットが200基以上配列され、熱吸収パイプ61の総延長は3kmを超える。ここで説明するクリーニング装置1は、何列にも配列されたこの長いコレクタ52に沿って移動しながらその反射面52aを空気噴射(エアブロー)によって清掃するための装置である。
【0041】
図1(a)は本発明に係るクリーニング装置の一実施形態を示している。このクリーニング装置1は、自走式の台車2の上に、空気噴射のためのエアブロー装置3、このエアブロー装置3に給気するための給気装置4等が搭載されたものである。台車2は自走式であり、車輪5およびこの車輪5をチェーン6およびスプロケット7を介して回転駆動する走行駆動装置8を有している。もちろん、自走式には限定されず、他の牽引装置によって牽引されるようにしてもよい。本実施形態では走行駆動装置8として電動モータを使用しているが、内燃機関、油圧装置等を採用することも可能である。
【0042】
前記給気装置4として、回転駆動機11によって回転駆動されるブロワ12が採用されている。ブロワの形式は特に限定しない。また、回転駆動機11として電動モータを採用しているが、電動モータに限らず内燃機関を用いてもよい。このブロワ12はフィルタ13が装着された吸気口14から外気を吸い込み、エアチャンバ15、排気通路16を通してエアブロー装置3に圧送する。
【0043】
エアブロー装置3は、エアチャンバ17、このエアチャンバ17上に立設された給気筒18、および、給気筒18の上部に上下に摺動可能に嵌合したエアノズル19を備えている。給気筒18とエアノズル19との摺動面には好適なシール(図示せず)が施されている。本実施形態では、給気筒18およびエアノズル19ともに角筒状のものを採用しているが、かかる形状には限定されない。エアチャンバ17上には、このエアノズル19を上下に昇降させるための昇降駆動装置20が立設されている。本実施形態ではエアノズル19の前方にのみ昇降駆動装置20を配置したが、後方のみまたは前後両方に設けてもよい。ここでいう「前方」「後方」については、台車2の進行方向を前方と呼び、その180°反対向きを後方と呼んでいる。この昇降駆動装置20として、本実施形態では電動シリンダを採用しているが、油圧シリンダ等を採用することもできる。
【0044】
図1(b)に示されるようにシリンダロッド20aの先端近傍は、エアノズル19の側面に突設された取付ブラケット21に位置調節可能に接続されている。具体的には、取付ブラケット21の貫通孔にシリンダロッド20aの外ネジが形成された先端近傍が貫通しており、この先端近傍に螺着された一対のナット22によって取付ブラケット21を挟圧固定するように構成されている。ナット22を緩めてシリンダロッド20aに対する取付ブラケット21の相対位置を変更することによりエアノズル19の高さ位置を調節することができる。
【0045】
本実施形態では、前述したように、台車2の走行駆動装置8、ブロワ12の回転駆動機11、および、エアノズル19の昇降駆動機20として、すべて電動装置を採用しているので、台車2にはこの電動装置8、11、20のための自家発電装置9が搭載されている。電源は直流でも交流でもよい。本実施形態では直流電源を採用するのでバッテリ10も装備されている。
【0046】
図1(a)に示されるように、エアブロー装置3および給気装置4は同一の共通台板23上に取り付けられている。この共通台板23は、台車2の上面に、台車2の進行方向(Z方向)に対して垂直な方向(X方向)に水平移動可能に取り付けられている。なお、ここでY方向は上下方向を意味する。これにより、エアブロー装置3および給気装置4の台車2に対する相対位置を調節することができる。共通台板23を移動させるための図示しない駆動機構としては送りネジ方式等、公知の機構が採用されうる。このように、台車2の前進後退、エアノズル19の昇降、および、共通台板23の水平移動により、エアノズル19の先端はXYZの3軸方向に移動可能に構成されていることになる。なお、共通台板23の水平移動の方向は上記X方向に限定されず、台車2の進行方向(Z方向)にも移動可能に構成してもよい。また、この共通台板23と台車2上面との間に図示しない防振装置を装備することも可能である。
【0047】
図1(a)および図5に示すように、エアノズル19の空気噴出開口を画する上端縁19bは、コレクタ52の反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状に形成されている。図5に示すように、エアノズル19の上端は台車の外方を向く部分が、台車の内側を向く部分より高くされている。こうすることにより、予め定められた方向(ほぼ下方)を向いた前記反射面52aにエアノズル19の上端を限りなく接近させることができる。さらに、上端縁19bの形状は、上記ほぼ下方を向いた反射面52aに接近したときに、反射面52aとの間隙が、反射面52aの幅方向端部から幅方向中央部に向けて漸次拡大するようにされている。この目的は、エアノズル19からの噴射空気をできるだけコレクタ52の反射面52aに沿って反射面52aの中央側に吹き出させるためである。なお、上端縁19bの形状は鉛直線に対して傾斜した直線状にしてもよいが、反射面52aへの接近や反射面との間隙の調整の観点からは上記円弧状にするのがより好ましい。
【0048】
また、図示のごとく上端縁19bに沿ってブラシ24が着脱可能に取り付けられている。このブラシ24はコレクタ52の反射面52aをブラッシングするためのものであり、材質、硬さ、密度、長さ、先端形状等は反射面52aの材質や堆積物の堆積状態等により、最適のものを選択する。ブラシ24は反射面52aとの緩衝部材としての機能も奏する。ブラシ24は上端縁19bのうちの高くなった台車の外方を向く部分については取り付けられていない。このようにしたのは、エアノズル19からの噴射空気をブラシ24の無い開放部を通過させてできるだけ反射面52aに沿って反射面52aの幅方向中央側に吹き出させるためである。
【0049】
図2には他のエアノズル25が示されている。このエアノズル25の空気噴出開口25aを画する上端縁25bの形状は、コレクタ反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状にしたうえで、上端縁25bと反射面52aとの間隙が反射面52aの幅方向中央部に向けて一定となるように定められている。そして、エアノズル25の上端における、反射面52aの幅方向中央側の側面が一部切り欠かれている。このように形成したのは、エアノズル25からの噴射空気を切り欠き部26を通過させてできるだけコレクタ52の反射面52aに沿って反射面52aの幅方向中央側に吹き出させるためである。図示のごとく、エアノズル25の内部の空気流路に、空気の噴射方向を反射面52aの幅方向中央側に向けるために、その方向に傾斜した風向変更板(ルーバ)27を少なくとも一枚設置してもよい。また、図示しないが、ルーバ27をエアノズル25の内壁に回転可能に枢支し、モータ等により回動軸を介してこのルーバ27を回転させ、その傾斜角度を変更調節可能にしてもよい。
【0050】
図3にはさらに他のエアノズル36が示されている。このエアノズル36は、図2のエアノズル25の切り欠き部26に、外方へ突出する延長部37を形成したものである。その他の形状構造は図2のエアノズル25と同じであるため、同一部材および同一部分には同一符号を付することにより、詳細な説明を省略する。前記延長部37は、切り欠き部26の下端縁から外方へ伸びる底板部38と底板部38の両側辺から上方へ向けて立設された側板部39とから構成されている。この側板部39の上端縁を含めた全体の上端縁36bは、コレクタ反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状にしたうえで、上端縁36bと反射面52aとの間隙が反射面52aの幅方向中央部に向けて一定となる形状にされている。また、延長部37の先端には、エアノズル36からの噴射空気を通過させる開口部40が形成されている。このエアノズル36は、その上端縁36bが図2のエアノズル25のそれより長いので、ブラシ24が反射面52aのより広い幅の範囲をブラッシングすることができる。さらに、空気噴出開口36aが反射面52aの幅方向に長くなるとともに、反射面52aに沿った噴射空気の流路長も同方向に長くなるので、噴射空気による砂塵等を吹き払う効果の向上が期待できる。
【0051】
図4にはさらに他のエアノズル41が示されている。このエアノズル41は、図2のエアノズル25の空気噴出開口25aの中央部にブラシ板42を架け渡したものである。その他の形状構造は図2のエアノズル25と同じであるため、同一部材および同一部分には同一符号を付することにより、詳細な説明を省略する。前記ブラシ板42の上端縁42aは、このエアノズル41の上端縁41bと同一高さで、同様にコレクタ反射面52aの曲率と同一かまたは近似した曲率の円弧状にしたうえで、上端縁41bと反射面52aとの間隙が反射面52aの幅方向中央部に向けて一定となる形状にされている。ブラシ板42の上端縁42aにはブラシ24が着脱可能に取り付けられている。このブラシ板42は一枚に限定されず、二枚以上取り付けてもよい。エアノズル41の空気噴出開口41aはブラシ板42によって等分されるのが好ましい。また、図3のエアノズル36にもその上端縁36bと同じ長さのブラシ板を設けてもよい。
【0052】
図示していないが、前述したエアノズル19、25、36、41(以下、符号19によって代表させる)によって反射面52aの幅方向中央側に吹き払った砂塵等を、さらに外方(たとえばコレクタ52エリア外)へ吹き出すための第二のエアノズルやブロワを設けてもよい。
【0053】
図1〜図5に示すように、エアノズル19には距離センサ28が設置されている。距離センサの形式は限定されず、反射音波を検知するまでの時間によって距離を計測する超音波式等の公知のセンサを採用することができる。この距離センサ28は、エアノズルの上端縁19bとコレクタ反射面52aとの離間距離を計測するためのものである。
【0054】
また、エアノズル19の前部および後部それぞれの外面には、清掃対象であるコレクタ反射面52aの汚れ度を測定するための汚れ度測定装置29が設置されている。この汚れ度測定装置29として、本実施形態では投光装置29aと受光装置29bとを有する照度計を採用している。投光装置29aが測定光を反射面52aに向けて投光し、受光装置29bが反射面52aで反射された測定光を受光する。投光した測定光と受光した反射光との照度差、すなわち受光装置29bが検知する反射光強度の減少程度から反射面の汚れ度を測定する。エアノズル19の前部の汚れ度測定装置29により、空気が吹き付けられる前の反射面52aの汚れ度を測定し、エアノズル19の後部の汚れ度測定装置29により、空気が吹き付けられた後の反射面52aの汚れ度を測定する。そして、エアノズル19の前後の各汚れ度測定装置29によって測定された、清掃前と清掃後の汚れ度を対比することにより、空気噴射による清掃効果を検知する。
【0055】
台車2には走行距離測定装置(図示せず)が装備されている。この走行距離測定装置としては、たとえば、走行駆動装置であるモータ8の軸や車輪5の車軸等にパルスジェネータを設置してもよい。かかる装置により、走行路における基準位置からの台車2の走行距離が逐一記録され、ソーラーフィールド51(図9、図10)におけるコレクタ52に沿った走行路上の台車2の位置が特定される。
【0056】
図5に示すように、台車2がコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行しうるように、コレクタ52列に沿って走行案内装置の一部を構成するレール31が敷設されている。台車2に装備された車輪5は鋼鉄製のレール走行用鍔付き車輪を採用している。
【0057】
または、鉄道用車輪に代えてゴム製のタイヤを装着した車輪を用いてもよい。その場合には、台車2の走行路を平坦にするのが好ましい。さらに、コンクリートやアスファルトによって舗装しておくのがより好ましい。さらに、図6に示すように、コレクタ52列に沿って案内用のレール32を路面から上方に突設しておく。このレール32には山形鋼等を採用することができる。一方、台車2には前後に離間して複数対の案内ローラ33を設置する。レール32と案内ローラ33とが台車2の走行案内装置を構成する。各対の案内ローラ33はレール32を左右から挟みうるように配置する。このようにすれば台車2はコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行することができる。
【0058】
図7には他の案内方式が示されている。台車2は舗装道路上を走行しうるようにタイヤを装着した車輪を備えている。そして、コレクタ52の各支持柱63における路面から一定の高さの位置に図6におけると同様の案内用のレール32が取り付けられている。このレール32にも山形鋼等を採用することができる。台車2にはコレクタ52側に突出した支持ブラケット34を設け、この支持ブラケット34に前後に離間して図6におけると同様の複数対の案内ローラ33を設置する。各対の案内ローラ33はレール32を左右から挟みうるように配置する。このようにすれば台車2はコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行することができる。
【0059】
図8(a)にはさらに他の案内方式が示されている。台車2は舗装道路上を走行しうるようにタイヤを装着した車輪を備えている。そして、舗装道路にはコレクタ52列に沿って図6におけると同様の案内用のレール32を路面から上方に突設しておく。このレール32にも山形鋼等を採用することができる。台車2の前端部および後端部の少なくとも一方(両方が望ましい)には、両端面に鍔が形成された案内輪35(図8(b)参照)を設置する。各案内輪35はレール32に転動可能に係合する。このようにすれば台車2はコレクタ52との離間距離を一定に保った状態でコレクタ52に沿って走行することができる。
【0060】
図示しないが、台車2上に、クリーニング装置1によるクリーニング作業を制御する制御装置が備えられており、プログラム化された一連の動作を自動で行うことができる。または、この制御装置を発電所のコントロールセンタに備えておき、台車には受信装置を備え、コントロールセンタから遠隔制御をするようにしてもよい。
【0061】
図5〜図8は、前述したクリーニング装置1がコレクタ反射面52aをクリーニングしている状態を示している。コレクタ52は駆動装置64によってその回動軸65回りに回動可能に構成されている。回動範囲(回動角)は熱吸収パイプ61がコレクタ支持柱63と接触しない範囲であり、通常は300°以上となる(図5における二点鎖線で示すコレクタ52を参照)。日中の操業時には太陽追尾制御装置(図示せず)から送られる信号等によって反射面52aの位置が調整される。クリーニング時には、コレクタ52はその反射面52aが最も下方を向くように回動されて停止させられる。最も下方とは、熱吸収パイプ61がコレクタ支持柱63と接触しない範囲の最も下方となる位置であり、これが予め定められたメンテナンス位置である。このように設定したのは、エアノズル19による清掃を含めたメンテナンス作業がし易く、清掃中に砂塵等が反射面52aに堆積しにくいからである。このメンテナンス位置では、台車2と熱吸収パイプ61とは支持柱63を挟んで対向している。
【0062】
コレクタ52の反射面52aの裏側に加振装置(図示せず)を設置しておいてもよい。そして、エアノズル19による空気噴射(エアブロー)の最中はコレクタ52を振動させておくことにより、クリーニング効果を向上させることができる。さらに、一旦吹き払った砂塵等が再び反射面52aに付着することが防止されることが期待できる。
【0063】
クリーニング開始時には、前後方向に見てエアノズル19の左端がコレクタ反射面52aの左端と一致するかまたは僅かに右寄り(コレクタの幅方向中央側)となるように、共通台板23をX方向に移動させて(図5)エアノズル19の位置を調節する。また、エアノズル19の上端と反射面52aとの間隙が適正値となるように(ブラシ24が装着されている場合にはブラシ24の左端が反射面52aに僅かに接触するように)、昇降駆動装置20によってエアノズル19を上昇させて反射面52aに接近させる。この位置を昇降駆動装置20の最大ストロークとして設定する。または、昇降駆動装置20の最大ストロークを調節しない場合、前記一対のナット22(図1(b)参照)を緩めて、昇降駆動装置20の最大ストロークにおけるエアノズル19の反射面52aに対する位置を調整する。台車2の走行開始位置(図9における基準位置S)の確定を含めた全ての初期設定が完了すると、台車2をたとえば一定速度で走行させながらエアノズル19から空気を噴射(エアブロー)してクリーニング作業を行う。
【0064】
台車2が走行しながらエアブローしているときには、エアノズル19の前後の汚れ度測定装置29によって連続してクリーニング効果(エアブローによる反射面52aの反射効率の上昇度)が検知される。ある程度の期間にわたる操業を経てクリーニング効果を定量化できるようになれば、測定データを蓄積してクリーニング結果を定量評価することができる。以下に説明するのはクリーニング効果の評価および対処の一例である。
【0065】
前記制御装置には汚れ度の基準値が記憶されている(汚れ度自体については前述した)。基準値としては、汚れ度自体の許容値(第一基準値)およびエアブロー前後の汚れ度の変化である許容減少割合または許容減少値(第二基準値)のうちの少なくとも一方を採用してもよい。そして、エアノズル19後方の汚れ度測定装置29による測定値、すなわちエアブロー後の反射面52aの汚れ度の測定値、が第一基準値を超えている場合には、制御装置から台車2上の各機器に後述の動作指令信号が送られる。エアノズル19前方の汚れ度測定装置29による測定値、すなわちエアブロー前の反射面52aの汚れ度の測定値、が第一基準値を下回っている場合にはクリーニング不要と判断してエアブローを停止してもよい。また、エアノズル19の前後の汚れ度測定装置29による測定値の差、すなわちエアブローによる汚れ度の低下度、が第二基準値を下回っている場合には、制御装置から台車2上の各機器に後述の動作指令信号が送られる。
【0066】
第一基準値を超えた場合、および/または、第二基準値を下回った場合、制御装置は、たとえば給気装置4に対して噴射空気量の増大および/または噴射空気圧の上昇を指令する。具体的にはモータ11の回転数を上昇させる。これにより、反射面52a上の砂塵等を吹き払う効果が向上する。または、走行駆動装置8に対して台車2の走行速度を低下させるように指令してもよい。こうすることにより、反射面52aの同一部分へのエアブローの時間が長くなって砂塵等を吹き払う効果が向上する。または、昇降駆動装置20に対してエアノズル19の高さ位置を変更して反射面52aとの離間距離を変更調節するように指令する。すなわち、エアノズル19後方の汚れ度測定装置29による測定値によって最適な離間距離となるようにフィードバック制御する。または、前述したルーバ27の傾斜角度を変更して空気噴射方向を変更するように指令する。そして、エアノズル19後方の汚れ度測定装置29による測定値によって最適な傾斜角度となるようにフィードバック制御する。以上の四つの制御(噴射空気の制御、走行速度の制御、離間距離の制御、ルーバ27の角度制御)を単独で行うほか、二つ以上を効果的に組み合わせて同時に行ってもよい。
【0067】
または、たとえば、上記四つの制御によっても第一基準値および第二基準値ともに満足しない場合、または、第一基準値を満足せず、エアノズル19の前後の汚れ度測定装置29による測定値の差がほとんど無いような場合(新たに第三基準値を設ける)には、ブラッシングを行うようにする。具体例としては、昇降駆動装置20に対してエアノズル19を所定距離上昇させてブラシ24を反射面52aに押し当てるように指令する。ついで、共通台板23上のエアノズル19を前後方向(Z方向)に往復動させる。これと同時に共通台板23を反射面52a幅方向(X方向)にも往復動させるのが望ましい。X方向に往復動させるさせる場合には同期してエアノズル19を上下動させてエアノズル19の上端が反射面52aと一定の相対距離を保つようにする。上記共通台板23の前後方向(Z方向)の往復動に代えて、またはそれに加えて、台車2を往復動させてブラッシングを繰り返してもよい。このブラッシング中は台車2の走行速度を大幅に低下させてもよい。また、汚れ度測定装置29によってブラッシングの効果を確認するためにも台車2を後退(往復動)させてもよい。
【0068】
以上の清掃動作によっても基準を満足し得ない部位が存在する場合には、反射面52aの当該部位、すなわち台車2の走行路に沿った反射面52aの当該位置を記憶しておく。この位置の記憶は、前述したとおり、台車2に設置された走行距離測定装置の測定記録から任意の位置が特定できるので容易である。そして、全クリーニング作業が終了した後で、コントロールセンタ等に、異常に汚れた部位があるという警報信号と当該部位の表示を行うのが好ましい。そして、当該部位と砂塵等の堆積を確認して別途の清掃作業を実施することができる。
【0069】
または、台車2にカメラ(図示せず)を搭載して当該位置における異常に汚れた部位を撮影し、そのデータを画像処理等した映像を精視することにより、夜間の休止期間に、コレクタ52全長にわたる汚れの状態を容易且つ精度良くチェックすることができる。
【0070】
図9は、ソーラーフィールド51において、コレクタ52に沿って連続して形成された台車2の走行路66を示しており、同一の台車2がこの走行路66によってソーラーフィールド51の所定範囲を一巡することができる。すなわち、前述したレール31、32は、台車2が基準位置(通常はここから走行を開始する)Sを出発し、所定範囲にあるコレクタ52の幅方向両側をクリーニングしながら一巡して再び基準位置Sに戻ってくるようにループを描いて敷設されている。台車2の走行および停止、エアブロー装置3等の起動および停止は台車2側で行ってもよく、コントロールセンタから遠隔で行ってもよい。なお、コレクタ52の幅方向一方側のクリーニングが終了した後、台車2が幅方向他方側をクリーニングするときには、コレクタ52は300°以上回動させられて下方を向く(図5の二点鎖線参照)。
【0071】
制御装置は、台車2が日々ソーラーフィールド51を一巡する間のクリーニング動作を逐一記録し、そのうちで最短一巡時間を達成したケースのクリーニング作業のパラメータ(たとえば、台車2の走行速度、噴射空気量または噴射空気圧、エアノズル19と反射面52aとの間隙寸法、エアノズル19の台車2上の水平位置(XZ座標位置)、ルーバ27の傾斜角等)を最適設定値としてもよい。こうすることにより、作業効率の高いクリーニング作業の実現に寄与する。
【0072】
太陽熱による発電が不可能な夜間の限られた時間(T1)は年間を通じて変化する。そこで、T1以内にコレクタ52のクリーニングを完了させるために、走行すべき距離全長(D1)から台車2の走行速度(V1)を定め、これより速い速度で台車2を走行させるのが好ましい。ソーラーフィールドが広いためにV1を相当速くせざるを得ない場合には、ソーラーフィールドを分割して分割区域ごとに台車2の走行ループを設け、複数台の台車2を使用するようにしてもよい。夜間、人に頼らなければならない煩雑なクリーニング作業を効率よく自動化することができる。
【0073】
また、給気装置4の運転を停止した状態でクリーニング動作を行わずにソーラーフィールド51を走行してコレクタ反射面52aの汚れ度を短時間のうちに測定してクリーニングの必要度を判定する目的で使用することができる。さらに異常に汚れた部分には破損している反射面も含まれるので、このような反射面の異常をチェックすることも可能である。
【0074】
通常の太陽熱発電設備では、図9に示すように、ソーラーフィールド51を左右に二分し(51A、51B)、中央部に発電装置(図示せず)を設ける配置が一般的である。ソーラーフィールド51の中央部には作動油の大径循環配管67が地上に敷設されている。したがって、台車2がこれを横切るように走行するのは困難であるため、基本的には左右のソーラーフィールド51A、51Bそれぞれに台車2を配備するのが好ましい。
【0075】
本願発明は太陽熱発電設備におけるコレクタのクリーニング装置にかかるものであるから、その太陽熱発電設備がガスタービンおよび蒸気タービン用いた複合発電設備であってもよく、また、複合発電設備に限定されることはなく、ガスタービンを併用しない蒸気タービン発電であってもよい。
【0076】
また、コレクタとしては、前述したパラボラトラフ型の反射鏡に限らず、パラボラトラフ型以外の形状の反射鏡を用いた集熱装置、たとえばフレネル型集熱装置やいわゆるタワー型の集熱装置等に適用することも可能である。
【0077】
図12はフレネル型コレクタ81を用いた太陽熱発電設備の概略を示している。このフレネル型コレクタ(以下、単にコレクタともいう)81は、台枠82上に並行に且つ連なって配列された多数枚の帯状平板反射鏡82を有している。各平板反射鏡82はその長手方向に沿う軸回りに揺動しうるように、台枠83に枢支されている。この多数枚の平板反射鏡82を装備した多数台の台枠82が平板反射鏡82の長手方向に沿って整列されている。また、全反射鏡82の揺動軸に平行に且つ高い位置に、半円筒に近似した形状の反射鏡84がその反射面84aを下に向けた状態で延設されている。この反射鏡84の半円形に近似した横断面における中心部を反射鏡の長手方向に沿って熱吸収パイプ85が延設されている。反射鏡84および熱吸収パイプ85はともに支柱86によって支持されている。下方に配列された多数枚の平板反射鏡82で反射された太陽光が上方の反射鏡84に至り、この反射鏡84でさらに反射された太陽光が熱吸収パイプ85に集束する。この熱吸収パイプ85内には熱媒体が循環しながら流れ、太陽熱を吸収することによって集熱、回収する。各熱吸収パイプ85の端部は、接続管(図示せず)を介して、隣接する他のコレクタの熱吸収パイプの端部に接続されている。全平板反射鏡82は、図示しない駆動機により、その反射面82aが常に太陽光を前記反射鏡84に向けて反射しうるように、太陽の移動に追随して回動させられる。
【0078】
図13には、フレネル型コレクタ81のクリーニングに適したクリーニング装置43が示されている。このクリーニング装置43は、前記台枠83の下方に進入可能な高さ寸法を有し、その基本構造は図1の装置1と共通している。前述したクリーニング装置1におけると同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。このクリーニング装置43は、コレクタ81の反射面82aの形状や姿勢に対応した形状のエアノズル44を備えている。このコレクタ81は夜間にはメンテナンスのために平板反射鏡82を回転させてその反射面82aを予め定められた下方に向けている(図13中の実線で示す)ことが多い。すなわち、反射面82aの法線が下を向くようにしている。そこで、前記エアノズル44の上端縁44aの形状は、上記所定の下方を向いた状態(図12)の反射面82aと同一か近似した傾斜角の直線状にされている。そして、前述した共通台板23の水平方向移動およびエアノズル44の昇降により、反射面82aに対するエアノズル44の空気噴出開口の位置合わせを行うことができる。もちろん、反射面82aの向きは図示のようなやや下方には限定されず、鉛直下方でもよく、水平方向等であってもよい。エアノズル44の上端縁44aの形状はその反射面82aに合わせるか、または、逆に、反射面82aの静止位置をエアノズル44の上端縁44aの形状にあわせればよい。図13中には、日中に反射面82aを上に向けた平板反射鏡82が二点鎖線で示している。
【0079】
エアノズル44の上端縁44aにはブラシ24が着脱可能に取り付けられている。さらに、この上端縁44aの形状を、反射面82aに接近したときに反射面82aとの間隙が反射面82aの幅方向一方側から他方側に向けて漸次拡大するようにしてもよい。この場合、図1に示すエアノズル19と同様に、上端縁44aには噴射空気を通過させるためにブラシ4を取り付けない部分を設けてもよい。または、図2に示すエアノズル25と同様に、上端縁44aの形状を反射面82aと同一の傾斜の直線状にした上で、反射面82aの幅方向一方側のエアノズル側面を一部切り欠いてもよい。かかる形状にすることにより、エアノズル44からの噴射空気を切り欠き部を通過させてコレクタ81の反射面82aに沿って吹き出させることが容易となる。また、エアノズル44内に図2〜図4に示すようなルーバ27を取り付けてもよい。また、空気を噴射する方向が平板反射鏡82の長手方向となるように、ブラシ4を取り付けない部分、切り欠き部分、ルーバの取付方向等を定めてもよい。
【0080】
なお、図12および図13に示すフレネル型コレクタ81は、平板反射鏡82の両端部が台枠に枢支されている。しかし、平板反射鏡82の両端部それぞれに縦置きのリングが取り付けられ、このリングが回転させられることによって平板反射鏡82が回動する形式のものも使用されている。この形式のコレクタに対しても、図13に示すクリーニング装置43は、そのエアノズル44の位置を適時低くすることにより上記リングを避けて干渉することなく走行することができる。
【0081】
フレネル型コレクタの平板反射鏡82の幅は通常約40〜60mm程度であるため、並行に配列された平板反射鏡82の配列ピッチ(図12中の符号P)は、図11のパラボラトラフ状の反射鏡60の配列ピッチより小さい。したがって、台車2の走行路については、図9に示すような走行路66配置を採用することは困難である。
【0082】
そこで、図14に示すように、フレネル型コレクタ81を備えたソーラーフィールドでは、各平板反射鏡82列に沿って平行に台車2の走行案内用レール32を敷設している。さらに、全レール32の両端側における平板反射鏡82列の外方において、全レール32の延長レール部32aが取り付けられたスライド板45を設置している。全レール32とその全延長レール部32aとは分離されてはいるが、当然に互いの長手方向は一致させられている。スライド板45上の適切な位置、または、スライド板45の端部外方に、スライド板45上に進入したクリーニング装置43を検出するための超音波センサ、赤外線センサ、近接スイッチ等の検出装置46を設置しておくのが好ましい。そして、クリーニング装置43が一本の平板反射鏡82列のクリーニングを終えてその延長レール部32aに至ったとき、検出装置46がこれを検出することにより、スライド板45を地面に沿ってレール32の長手方向に垂直な方向に1ピッチPだけスライドさせる。そうすれば、クリーニング装置43は順次隣のレール32に移行して未清掃の平板反射鏡82列を円滑にクリーニングすることができる。上記走行路配置には限定されず、他の走行路配置を採用してもよい。また、このスライド板45を使用した方式を、前述したパラボラトラフコレクタ52を設置したソーラーフィールド51(図7参照)に採用してもよい。
【0083】
図15(a)は、単独自立型の平面反射鏡(以下、ヘリオスタットという)93を用いたタワー形太陽熱集熱設備(以下、タワー型コレクタともいう)91を含む太陽熱発電設備の概略を示している。コレクタ91は集熱塔92を中心にして、多数個のヘリオスタット93が同心円上、同心半円上、同心多角形上等に配列されることが多い。ヘリオスタット93とは、移動する太陽に追随して向きを変える反射鏡のことである。本例では、ヘリオスタット93が多数の同心円上に配列されている。その中央部の円形スペースには前記集熱塔92や発電設備97が設置されている。中央円形スペースを除いた円環状のソーラーフィールドは90°ごとに放射状通路Wによって扇形ゾーンFに分割されている。図15においては、一部のヘリオスタット93のみを示し、他は省略している。集熱塔92は、塔92aの上端に集熱装置92bが設置されたものである。集熱装置92bには図示しない給熱部とこの給熱部からの熱によって加熱される熱媒体(空気、溶融塩等)が循環する熱媒体循環部とが設置されている。
【0084】
図15(b)および図16に示すように、ヘリオスタット93は、支柱94と、支柱94の上端に設置された平面反射鏡95と、この平面反射鏡95を鉛直軸回りに旋回させ且つ上下方向に揺動させる旋回揺動駆動装置96とを備えている。各ヘリオスタット93の平面反射鏡95は、旋回揺動駆動装置96により、その反射面95aが常に太陽光を前記集熱装置92bに向けて反射できるように、太陽の移動に追随して回動させられる。
【0085】
図16には、ヘリオスタット93のクリーニングに適したクリーニング装置47も示されている。このクリーニング装置47の基本構造は前述した図1の装置1と共通しているので、相違点のみを説明し、図1のクリーニング装置1におけると同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。このクリーニング装置47は、ヘリオスタット93の反射面95aの形状や姿勢に対応した形状のエアノズル48を備えている。全てのヘリオスタット93はメンテナンスや清掃のためにその反射面95aを揺動且つ旋回させて予め定められた同一の方向に向けている。メンテナンスを容易にするために、図16中の実線で示すように、反射面95aを(反射面95aの法線が)ほぼ水平方向に向けていることが多い。すなわち、反射面95a自体は鉛直面から僅かな角度α°傾斜している。
【0086】
ほぼ水平方向に向いている全ての平面反射鏡95の反射面95aをさらに集熱塔92に向ける。前記エアノズル48の空気噴出開口は、この状態の反射面95aに対向するようにほぼ水平方向を向くように形成されている。すなわち、空気噴出開口が形成する面の法線がほぼ水平を向いている。そして、開口端縁48aの形状は、上記所定の方向を向いたこの状態の反射面95aと同一かまたは近似した傾斜角α°の直線状にされている。また、エアノズル48、および、エアノズル48が昇降可能に嵌合する給気筒47は、鉛直方向ではなく、反射面95aに沿う方向、すなわち、鉛直面に対してα°だけ傾斜した方向に延びている。エアノズル48も同方向に昇降するように構成されている。このように、エアノズル48はその空気噴出開口が形成する面の方向に往復移動(昇降)することができる。もちろん、反射面95aの向きは図示のようなやや水平に限定されず他の方向であってもよい。エアノズル48の開口端縁48aの形状はその反射面95aに合わせればよい。図16中には、日中に反射面95aを斜め上方に向けた平面反射鏡95が二点鎖線で示されている。
【0087】
エアノズル48の開口端縁48aに沿ってブラシ24が着脱可能に取り付けられている。したがって、エアノズル48の昇降によって反射面95aをブラッシングすることができる。さらに、この開口端縁48aの形状を、反射面95aに接近したときに反射面95aとの間隙が反射面95aの下端側から上端側に向けて漸次拡大するようにしてもよい。この場合、図1に示すエアノズル19と同様に、開口端縁48aには噴射空気を通過させるためにブラシ4を取り付けない部分を設けてもよい。または、図2に示すエアノズル25と同様に、開口端縁48aの形状を反射面95aと同一の傾斜の直線状にした上で、反射面95a上端側のエアノズル側面を一部切り欠いてもよい。かかる形状にすることにより、エアノズル48からの噴射空気を切り欠き部を通過させて反射面95aに沿って吹き出させることが容易となる。また、図2〜図4に示すようなルーバ27を取り付けてもよい。また、空気を噴射する方向を、前述した下から上に向けるのではなく、横方向または斜め上もしくは下方向となるように、ブラシ4を取り付けない部分、切り欠き部分、ルーバの取付方向等を定めてもよい。
【0088】
このヘリオスタット93を用いたタワー形コレクタ91においては、クリーニング装置47の一巡走行路を配置するのは容易である。図15に例示するような、ヘリオスタット93が同心円状に配列されたソーラーフィールドにあっては、図17に示すように、最内側および最外側に台車の走行開始と清掃完了との共通の基準位置Sを定める。そして、各ヘリオスタット93の直前を通るように、全円周にわたってレール32を敷設する。しかし、ソーラーフィールドにおける一本の放射状通路Wには隣接円周に移行するための移行部レール32Tを敷設する。このようにして、全ヘリオスタット93の前を通って最内の基準位置Sと最外の基準位置Sとを一本のレール32でつなぐことができる。
【0089】
または、図18に示すように、ソーラーフィールドを分割した開き角度90°の各扇形ゾーンFに対し、レール32を内側(外側)の基準位置Sからジグザグに外側(内側)に向かって敷設する。そして、最外周または最内周において、放射状通路Wを横切って隣の扇形ゾーンFに連続して移行するようにレール32Tを敷設する。このようにすれば、最内(最外でもよい)の基準位置Sから全ヘリオスタット93の前を通って一本のレール32を全扇形ゾーンFに循環させることができる。図17および図18のレール32ともに、放射状通路Wを横切る部分については、放射状通路Wの通行の便宜のために地中と地上とに昇降可能にすることは容易である。
【0090】
前述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
【0091】
前述した内容に基いて、当業者にとっては、種々の変形や実施例が明白となるであろう。したがって、上記説明は図面に沿って述べているものと理解すべきであり、上記説明は、当業者にとって本発明が実施可能となるように説明することを目的としているものである。以上に説明した構成や機能の内容に関しては、本発明の精神に反しない限りにおいて、実質上種々変形して実施することが可能であり、これらは本発明の範囲に属するものであると理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、いかなる地域であっても無尽蔵にある空気を使用してコレクタの反射面をクリーニングする装置であるため、水源が存在しなかったり水が非常に貴重なものである砂漠等に設置される太陽熱発電設備のコレクタのクリーニング装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1(a)は本発明に係るクリーニング装置の一実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるシリンダロッド頂部の詳細を示す正面図である。
【図2】図1のクリーニング装置に用いられるエアノズルの他の例を示す斜視図である。
【図3】図1のクリーニング装置に用いられるエアノズルのさらに他の例を示す斜視図である。
【図4】図1のクリーニング装置に用いられるエアノズルのさらに他の例を示す斜視図である。
【図5】図1のクリーニング装置がコレクタをクリーニングしている状態の一例を示す正面図であり、図1におけるV−V線矢視図である。
【図6】図1のクリーニング装置がコレクタをクリーニングしている状態の他の例を示す正面図であり、図1におけるV−V線矢視図である。
【図7】図1のクリーニング装置がコレクタをクリーニングしている状態のさらに他の例を示す正面図であり、図1におけるV−V線矢視図である。
【図8】図8(a)は図1のクリーニング装置がコレクターをクリーニングしている状態のさらに他の例を示す正面図(図1におけるV−V線矢視図)であり、図8(b)は図8(a)のクリーニング装置の案内輪の部分を示す斜視図である。
【図9】パラボラトラフ型コレクタが設置されたソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の一例を示す平面図である。
【図10】本発明を適用しうる太陽熱発電設備の一例であるパラボラトラフ型コレクタを採用した設備を示す概念図である。
【図11】図10の太陽熱発電設備における一基のパラボラトラフ型コレクタのユニットを示す斜視図である。
【図12】本発明を適用しうるコレクタの他の例であるフレネル型コレクタを示す斜視図である。
【図13】図12のフレネル型コレクタに好適なクリーニング装置の一実施形態を示す正面図である。
【図14】フレネル型コレクタを設置したソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の一例を示す平面図である。
【図15】図15(a)は本発明を適用しうるコレクタの他の例であるタワー型コレクタを示す斜視図であり、図15(b)は図15(a)のタワー型コレクタに設置されているヘリオスタットを拡大して示す斜視図である。
【図16】図15のタワー型コレクタのヘリオスタットに好適なクリーニング装置の一実施形態を示す正面図である。
【図17】タワー型コレクタを設置したソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の一例を示す平面図である。
【図18】タワー型コレクタを設置したソーラーフィールドにおけるクリーニング装置の走行路の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 … クリーニング装置
2 … 台車
3 … エアブロー装置
4 … 給気装置
5 … 車輪
6 … チェーン
7 … スプロケット
8 … 電動モータ
9 … 自家発電装置
10 … バッテリ
11 … 電動モータ
12 … ブロワ
13 … フィルタ
14 … 吸気口
15 … エアチャンバ
16 … 排気通路
17 … エアチャンバ
18 … 給気筒
19 … エアノズル
20 … 昇降駆動装置
21 … 取付ブラケット
22 … ナット
23 … 共通台板
24 … ブラシ
25 … エアノズル
26 … 切り欠き部
27 … ルーバ
28 … 距離センサ
29 … 汚れ度測定装置
31 … レール
32 … レール
33 … 案内ローラ
34 … 支持ブラケット
35 … 案内輪
36 … エアノズル
37 … 延長部
38 … 底板部
39 … 側板部
40 … 開口部
41 … エアノズル
42 … ブラシ板
43 … クリーニング装置
44 … エアノズル
45 … スライド板
46 … 検出装置
47 … クリーニング装置
48 … エアノズル
51 … ソーラーフィールド
52 … コレクタ
52a … (コレクタの)反射面
60 … 曲面反射鏡
61 … 熱吸収パイプ
62 … モジュール
63 … 支持柱
64 … 駆動装置
65 … 回動軸
66 … 走行路
67 … 大径循環配管
81 … コレクタ
82 … 平板反射鏡
83 … 台枠
84 … 反射鏡
85 … 熱吸収パイプ
86 … 支柱
91 … コレクタ
92 … 集熱塔
93 … ヘリオスタット
94 … 支柱
95 … 平面反射鏡
96 … 旋回揺動駆動装置
F … (ソーラーフィールドの一部分である)扇形ゾーン
P … (平板反射鏡の)配列ピッチ
S … 基準位置
W … 放射状通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱発電設備における集光装置の太陽光反射面を清掃するためのクリーニング装置であって、
給気装置と、
この給気装置から供給される空気を噴出するエアノズルとを備えており、
このエアノズルから噴出する空気を前記太陽光反射面に吹き付けて清掃するように構成されているクリーニング装置。
【請求項2】
移動可能な台車をさらに備えており、前記給気装置とエアノズルとが前記台車に搭載されている請求項1記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記台車に走行駆動装置が装備されており、この走行駆動装置によって前記台車が自力走行可能に構成されている請求項2記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備えており、エアノズルの進退距離が調節可能に構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記エアノズルの空気噴出開口を太陽光反射面に沿って移動させるために、エアノズルをその空気噴出開口が形成する面の方向に移動させる駆動装置を備えており、エアノズルの移動距離が調節可能に構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁が、前記太陽光反射面の表面の曲率および傾斜角度のうちいずれかに近似した曲率または傾斜角度を有している請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記太陽光反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されており、
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁が、前記太陽光反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状を呈しており、このエアノズルの先端縁と太陽光反射面との間隙が、太陽光反射面の幅方向端部から幅方向中央部に向けて漸次拡大するように形成されている請求項6記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記太陽光反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されており、
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁が、前記太陽光反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状を呈しており、前記エアノズルが角筒形を呈しており、矩形状の空気噴出開口における、太陽光反射面の幅方向中央部側の側面が切り欠かれている請求項6記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記エアノズルの内部の空気通路に、空気の流れ方向を変更するための少なくとも一枚の風向変更板が取り付けられており、この風向変更板がその傾斜角度を変更しうるように構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記エアノズルの先端縁に、太陽光反射面を清掃するためのブラシが着脱可能に取り付けられている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記エアノズルの先端と前記太陽光反射面との離間距離を測定するための距離センサを備えている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置をさらに備えており、
この汚れ度測定装置が、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置とを有しており、
投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記エアノズルによる空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって当該太陽光反射面に対する清掃の効果を検知するように構成されている請求項12記載のクリーニング装置。
【請求項14】
前記給気装置が、給気量および給気圧力のうちの少なくとも一方を調節可能に構成されており、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、噴射空気量および噴射空気圧力のうちの少なくとも一方を調節するように構成されている請求項13記載のクリーニング装置。
【請求項15】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備えており、エアノズルの進退距離が調節可能に構成されており、
さらに、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、エアノズルの先端と太陽光反射面との離間距離を調節しうるように構成されている請求項13記載のクリーニング装置。
【請求項16】
太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置を、台車の走行方向におけるエアノズルの前方側および後方側それぞれに備えており、
各汚れ度測定装置が、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置とを有しており、
投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成されており、
前記両汚れ度測定装置により、空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって清掃効果を検知するように構成されている請求項2または3記載のクリーニング装置。
【請求項17】
前記検知された清掃効果に基づいて台車の走行速度を変更しうるように構成されている請求項16記載のクリーニング装置。
【請求項18】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備えており、エアノズルの進退距離が調節可能に構成されており、
前記エアノズルの先端縁に、太陽光反射面を清掃するためのブラシが着脱可能に取り付けられており、
前記エアノズル前後の汚れ度測定装置によって計測された、台車走行時のエアノズルによる清掃前の太陽光反射面の汚れ度と清掃後の太陽光反射面の汚れ度との差が所定の閾値より小さいときに、エアノズルを進出させてブラシを太陽光反射面に接触させ、ブラッシングしうるように構成されている請求項16記載のクリーニング装置。
【請求項19】
前記ブラシによるブラッシング後の太陽光反射面に対して、エアノズルの後方側の汚れ度測定装置によって測定した結果が所定の汚れ度を超えているときに、台車を走行路の所定範囲を少なくとも一回往復走行してブラッシングを繰り返すように構成されている請求項18記載のクリーニング装置。
【請求項20】
前記台車の走行距離を測定するための走行距離測定装置を備えており、
この走行距離測定装置によって測定された台車の走行距離に基づいて、台車の走行路に沿った太陽光反射面の位置を特定しうるように構成されており、
ブラッシングを繰り返した後の太陽光反射面が前記所定の汚れ度を超えているときに、太陽光反射面のその位置を記録するように構成されている請求項19記載のクリーニング装置。
【請求項21】
前記集光装置を振動させるために集光装置に設置された加振装置を含む請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項22】
前記台車にカメラを備えており、このカメラによって清掃後の太陽光反射面を撮影するように構成されている請求項2または3記載のクリーニング装置。
【請求項23】
整列された前記集光装置に沿って前記台車が走行しうるように、台車の走行を案内するための走行案内装置を備えている請求項2または3記載のクリーニング装置。
【請求項24】
前記走行案内装置が、台車に設置された被案内具と、この被案内具と係合してこれを案内する案内レールとを備えており、
前記集光装置の太陽光反射面が互いに平行な複数列に配列されており、
前記案内レールが各太陽光反射面の列に沿って互いに平行に複数本敷設されており、全案内レールの両端部における太陽光反射面の列の外方に、全案内レールの延長レール部が取り付けられたスライド板が設置されており、このスライド板が、地面に沿って案内レールの長手方向に対して垂直な方向に移動しうるように構成されている請求項23記載のクリーニング装置。
【請求項1】
太陽熱発電設備における集光装置の太陽光反射面を清掃するためのクリーニング装置であって、
給気装置と、
この給気装置から供給される空気を噴出するエアノズルとを備えており、
このエアノズルから噴出する空気を前記太陽光反射面に吹き付けて清掃するように構成されているクリーニング装置。
【請求項2】
移動可能な台車をさらに備えており、前記給気装置とエアノズルとが前記台車に搭載されている請求項1記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記台車に走行駆動装置が装備されており、この走行駆動装置によって前記台車が自力走行可能に構成されている請求項2記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備えており、エアノズルの進退距離が調節可能に構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記エアノズルの空気噴出開口を太陽光反射面に沿って移動させるために、エアノズルをその空気噴出開口が形成する面の方向に移動させる駆動装置を備えており、エアノズルの移動距離が調節可能に構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁が、前記太陽光反射面の表面の曲率および傾斜角度のうちいずれかに近似した曲率または傾斜角度を有している請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記太陽光反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されており、
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁が、前記太陽光反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状を呈しており、このエアノズルの先端縁と太陽光反射面との間隙が、太陽光反射面の幅方向端部から幅方向中央部に向けて漸次拡大するように形成されている請求項6記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記太陽光反射面が放物線状の横断面を有するパラボラトラフから構成されており、
前記エアノズルの先端の空気噴出開口を区画する先端縁が、前記太陽光反射面の表面の曲率に近似した曲率の円弧状を呈しており、前記エアノズルが角筒形を呈しており、矩形状の空気噴出開口における、太陽光反射面の幅方向中央部側の側面が切り欠かれている請求項6記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記エアノズルの内部の空気通路に、空気の流れ方向を変更するための少なくとも一枚の風向変更板が取り付けられており、この風向変更板がその傾斜角度を変更しうるように構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記エアノズルの先端縁に、太陽光反射面を清掃するためのブラシが着脱可能に取り付けられている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記エアノズルの先端と前記太陽光反射面との離間距離を測定するための距離センサを備えている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置をさらに備えており、
この汚れ度測定装置が、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置とを有しており、
投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成されている請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記エアノズルによる空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって当該太陽光反射面に対する清掃の効果を検知するように構成されている請求項12記載のクリーニング装置。
【請求項14】
前記給気装置が、給気量および給気圧力のうちの少なくとも一方を調節可能に構成されており、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、噴射空気量および噴射空気圧力のうちの少なくとも一方を調節するように構成されている請求項13記載のクリーニング装置。
【請求項15】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備えており、エアノズルの進退距離が調節可能に構成されており、
さらに、前記汚れ度測定装置によって測定された汚れ度および前記検知された清掃効果のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、エアノズルの先端と太陽光反射面との離間距離を調節しうるように構成されている請求項13記載のクリーニング装置。
【請求項16】
太陽光反射面の汚れ程度を測定するための汚れ度測定装置を、台車の走行方向におけるエアノズルの前方側および後方側それぞれに備えており、
各汚れ度測定装置が、測定光を投光する投光装置と太陽光反射面で反射された前記測定光を受光する受光装置とを有しており、
投光測定光と比較した太陽光反射面での反射光の強度の減少程度に基づいて、太陽光反射面の汚れ度を測定するように構成されており、
前記両汚れ度測定装置により、空気吹き付け前の太陽光反射面の汚れ度と、空気吹き付け後の太陽光反射面の汚れ度とを測定し、両汚れ度を対比することによって清掃効果を検知するように構成されている請求項2または3記載のクリーニング装置。
【請求項17】
前記検知された清掃効果に基づいて台車の走行速度を変更しうるように構成されている請求項16記載のクリーニング装置。
【請求項18】
前記エアノズルの先端を太陽光反射面に離間接近させるために、エアノズルをその空気噴出方向に進退駆動する駆動装置を備えており、エアノズルの進退距離が調節可能に構成されており、
前記エアノズルの先端縁に、太陽光反射面を清掃するためのブラシが着脱可能に取り付けられており、
前記エアノズル前後の汚れ度測定装置によって計測された、台車走行時のエアノズルによる清掃前の太陽光反射面の汚れ度と清掃後の太陽光反射面の汚れ度との差が所定の閾値より小さいときに、エアノズルを進出させてブラシを太陽光反射面に接触させ、ブラッシングしうるように構成されている請求項16記載のクリーニング装置。
【請求項19】
前記ブラシによるブラッシング後の太陽光反射面に対して、エアノズルの後方側の汚れ度測定装置によって測定した結果が所定の汚れ度を超えているときに、台車を走行路の所定範囲を少なくとも一回往復走行してブラッシングを繰り返すように構成されている請求項18記載のクリーニング装置。
【請求項20】
前記台車の走行距離を測定するための走行距離測定装置を備えており、
この走行距離測定装置によって測定された台車の走行距離に基づいて、台車の走行路に沿った太陽光反射面の位置を特定しうるように構成されており、
ブラッシングを繰り返した後の太陽光反射面が前記所定の汚れ度を超えているときに、太陽光反射面のその位置を記録するように構成されている請求項19記載のクリーニング装置。
【請求項21】
前記集光装置を振動させるために集光装置に設置された加振装置を含む請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載のクリーニング装置。
【請求項22】
前記台車にカメラを備えており、このカメラによって清掃後の太陽光反射面を撮影するように構成されている請求項2または3記載のクリーニング装置。
【請求項23】
整列された前記集光装置に沿って前記台車が走行しうるように、台車の走行を案内するための走行案内装置を備えている請求項2または3記載のクリーニング装置。
【請求項24】
前記走行案内装置が、台車に設置された被案内具と、この被案内具と係合してこれを案内する案内レールとを備えており、
前記集光装置の太陽光反射面が互いに平行な複数列に配列されており、
前記案内レールが各太陽光反射面の列に沿って互いに平行に複数本敷設されており、全案内レールの両端部における太陽光反射面の列の外方に、全案内レールの延長レール部が取り付けられたスライド板が設置されており、このスライド板が、地面に沿って案内レールの長手方向に対して垂直な方向に移動しうるように構成されている請求項23記載のクリーニング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−58058(P2010−58058A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226812(P2008−226812)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(308007505)カワサキプラントシステムズ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(308007505)カワサキプラントシステムズ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
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