説明

太陽追尾システム

【課題】 少ない消費電力でもってパネル組立体を太陽の動きに追尾させることができる太陽追尾システムを提供すること。
【解決手段】 基台本体2と、基台本体2に第1軸線16を中心として旋回自在に支持された支持脚体4と、支持脚体4に第2軸線を中心として旋回自在に支持されたパネル組立体6と、支持脚体4を旋回させる第1駆動機構14と、パネル組立体6を旋回させる第2駆動機構46と、太陽の位置を検知するための太陽位置検知手段と、太陽位置検知手段からの検知信号に基づいて第1及び第2駆動機構を作動制御するための制御手段を備えた太陽追尾システム。制御手段は、太陽位置検知手段の検知信号に基づいて位置検知を行うための位置検知制御部と、第1及び第2駆動機構14,46を駆動制御するための駆動制御部112とから構成され、位置検知制御部と駆動制御部とが分離して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネル、温水発生パネルなどのパネル組立体を太陽の動きに追尾させて移動させる太陽追尾システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽熱温水発生システムでは、温水を発生させる温水パネルは屋根に固定的に設置され、太陽からの光を温水パネルの集熱部に集光させるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、温水パネルに関連して、貯湯タンクが設けられ、温水パネルにて発生した温水が貯湯タンクに貯えられるように構成されている。また、この集熱部には反射板が設けられ、太陽からの光が反射板により集光部に反射されるように構成されている。従って、反射板により太陽光が集光され、寒冷な気象条件などにおける集熱効率が高められ、温水の生成効率が高められる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−205062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような太陽熱温水発生システムでは、温水パネルが固定的に設置される故に、太陽と温水パネルとが正対向して太陽熱の集熱効率が高められる時間帯は、一日のうち3時間程度であり、この時間帯以外は太陽が温水パネルと正対向せず、集熱効率が低下してしまい、太陽熱を充分に効率的に集熱することができないという問題がある。また、従来の太陽熱温水器では、温水を循環する循環ポンプ、制御手段などは外部電源、具体的には商用電源を用いており、それ故に、設置場所にが制限される、運転コストかかるなどの問題がある。
【0005】
このような問題は、太陽光発電パネルを用いた太陽光発電システムにも同様な問題が存在し、この太陽光発電システムでは、上述した問題を解消するために、太陽光発電パネルを太陽の移動に追尾させて太陽に正対向するように構成されたものも提案されている。しかし、従来の太陽光発電システムでは、各種受光センサからの受光信号に基づいて太陽の方位及び仰角を常時演算して決定している故に、そのための電力が必要委となって消費電力が多くなり、太陽光発電パネルにより発電電力を発生するが、システム全体の有効発電効率が低いという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、少ない消費電力でもってパネル組立体を太陽の動きに追尾させることができる太陽追尾システムを提供することである。
本発明の他の目的は、外部からの電力を必要とすることなく太陽を追尾することができる太陽追尾システムを提供することである。
【0007】
本発明の更に他の目的は、パネル組立体を効率的に太陽の動きに追尾させることができる太陽追尾システムを提供することである。
本発明の更に他の目的は、移動が容易で、また強風時におけるパネル組立体の破損を防止することができる太陽追尾システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の太陽追尾システムは、基台本体と、前記基台本体に上下方向に延びる第1軸線を中心として旋回自在に支持された支持脚体と、前記支持脚体に水平方向に延びる第2軸線を中心として旋回自在に支持されたパネル組立体と、前記支持脚体を前記第1軸線を中心として水平方向に旋回させるための第1駆動機構と、前記パネル組立体を前記第2軸線を中心として上下方向に旋回させるための第2駆動機構と、太陽の位置を検知するための太陽位置検知手段と、前記太陽位置検知手段からの検知信号に基づいて前記第1及び第2駆動機構を作動制御するための制御手段とを備えた太陽追尾システムにおいて、
前記制御手段は、前記太陽位置検知手段の検知信号に基づいて位置検知を行うための位置検知制御部と、前記第1及び第2駆動機構を駆動制御するための駆動制御部とから構成され、前記位置検知制御部と前記駆動制御部とが分離して構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の太陽追尾システムでは、前記太陽位置検知手段は、太陽の方位を検知するための複数の方位検知センサと、太陽の仰角を検知するための複数の仰角検知センサを備え、前記複数の方位検知センサ及び前記複数の仰角検知センサが太陽光発電センサから構成され、前記複数の方位検知センサ及び前記複数の仰角検知センサの発電電力を利用して前記位置検知制御部が制御されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3にに記載の太陽追尾システムでは、前記パネル組立体は初期位置に位置するように構成されており、前記複数の方位検知センサ及び前記複数の仰角検知センサのいずれもが設定発電出力以下のときには、前記駆動制御部は前記第1及び第2駆動機構を制御して前記パネル組立体を前記初期位置に位置付けることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載の太陽追尾システムでは、前記複数の方位検知センサは、周方向に第1所定角度の間隔をおいて配設された第1〜第5方位検知センサを備え、前記第1〜第5方位検知センサ間に第1〜第4方位遮蔽板が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載の太陽追尾システムでは、前記複数の仰角検知センサは、周方向に第2所定角度の角度をおいて配設された第1〜第3仰角検知センサと、第2仰角検知センサに対応して配設された第4仰角検知センサとを備え、前記第1〜第3仰角検知センサと前記第4仰角検知センサとの間にそれぞれ第1〜第3仰角遮蔽板が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載の太陽追尾システムでは、前記パネル組立体は、前記支持脚部に前記第2軸線を中心として上下方向に旋回自在に支持される本体パネル部と、前記本体パネル部に対し展開された状態となる展開位置と前記本体パネル部に対して収納された状態となる収納位置との間を移動自在に支持された旋回パネル部と、前記旋回パネル部を移動させるためのパネル駆動機構とを備え、パネル組立体を用いるときには、前記旋回パネル部は前記展開位置に位置付けられ、前記パネル組立体を用いないときには、前記旋回パネル部は前記収納位置に位置付けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載の太陽追尾システムでは、前記パネル組立体に関連して、風速を計測するための風速検知手段が設けられ、前記風速検知手段による検知風速が設定風速を超えると、前記パネル駆動機構により前記旋回パネル体が前記収納位置に位置付けられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項8に記載の太陽追尾システムでは、前記パネル組立体は複数の太陽光発電パネルから構成され、前記複数の太陽光発電パネルが太陽に追尾して移動され、前記複数の太陽光発電パネルによる発電電力を利用して前記駆動制御部並びに前記第1及び第2駆動機構が制御されることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明の請求項9に記載の太陽追尾システムでは、前記パネル組立体は複数の温水発生パネルと太陽光発電パネルとから構成され、前記複数の温水発生パネル及び前記太陽光発電パネル体が太陽に追尾して移動され、前記太陽光発電パネルによる発電電力を利用して前記駆動制御部並びに前記第1及び第2駆動機構が制御されることを特徴とする。
【0017】
更にまた、本発明の請求項10に記載の太陽追尾システムでは、前記温水発生パネルに関連して、発生した温水の熱を温水として蓄熱するための貯湯タンクと、前記温水発生パネルを通して水を循環するための循環ラインと、前記循環ラインを通して水を送給するための循環ポンプと、前記循環ポンプを制御するための貯湯制御部とが更に設けられ、前記太陽光発電パネルによる発電電力を利用して前記貯湯制御部が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の太陽追従システムによれば、太陽の位置を検知するための太陽位置検知手段が設けられ、この太陽位置検知手段からの検知信号に基づいて制御手段が第1駆動機構及び第2駆動機構を作動制御し、第2駆動機構がパネル組立体を第1の軸線を中心として旋回し、第2駆動機構がパネル組立体を第2軸線を中心として旋回する。そして、この制御手段が、太陽の位置検知を行うための位置検知制御部と、第1及び第2駆動機構を駆動制御するための駆動制御部とから構成され、位置検知制御部と駆動制御部とが分離して構成されているので、第1及び第2駆動機構を作動させない作動待機時には、駆動制御部及びこれに関連する構成要素による消費電力をゼロにすることができる。また、太陽位置検知手段を例えば太陽光発電センサから構成し、かかる太陽光発電センサからの発電電力を利用して位置検知制御部を作動さることによって、位置検知制御部における消費電力も実質上ゼロにすることができ(換言すると、外部電力を必要としなくなり)、これによって、作動待機時におけるシステム全体の消費電力を実質上ゼロにすることが可能となる。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載の太陽追尾システムによれば、太陽位置検知手段の方位検知センサ及び仰角検知センサが太陽光発電センサから構成され、これら方位検知センサ及び仰角検知センサの発電電力を利用して位置検知制御部が制御されるので、外部電力(例えば、商用電力)を必要とすることなく太陽の位置検知を行うことができる。例えば、位置検知制御部に太陽光発電センサの発電電力により作動制御される制御リレーを用いることによって、外部電力不要の位置検知制御部を簡単な構成で達成することができる。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載の太陽追尾システムによれば、複数の方位検知センサ及び複数の仰角検知センサのいずれもが設定発電出力以下のとき(例えば、太陽がかくれた雨、雪、曇りなどのとき、太陽がでていない夜のときなど)には、パネル組立体が初期位置に位置付けるので、効率的な太陽追尾を行うことができるとともに、効率的な太陽光の利用を行うことができる。初期位置とは、方位が「南」で、仰角が「30度」の角度位置であり、この初期位置は太陽追尾システムの設置場所により適宜設定される。
【0021】
また、本発明の請求項4に記載の太陽追尾システムによれば、複数の方位検知センサは、周方向に第1所定角度の間隔をおいて配設された第1〜第5方位検知センサを備えているので、これらの方位検知センサにより太陽の方位を所要の通りに検知することができる。第1所定角度とは例えば45度であり、これらの5つの方位センサは、太陽が例えば「東」、「南東」、「南」、「南西」及び「西」の方位に位置するときに正対向するように配置され、このような方位に配置することによって、日本国などにおいて太陽の方位を検知することができる。また、5つの方位センサの間に第1〜第4方位遮断板を設けているので、太陽の方位が隣接する方位検知センサ間に位置するときには、かかる方位遮断板が有効に作用して太陽光を所要の通りに遮断して方位検知センサに到達する太陽光を制御し、これによって、太陽の方位が隣接する方位検知センサ間に位置するときにも太陽の方位を正確に検知することができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の太陽追尾システムによれば、仰角検知センサが周方向に第2所定角度をおいて配設された第1〜第3仰角検知センサと、中央の第2仰角検知センサに対応して配設された第4仰角検知センサを備えているので、これら4つの仰角検知センサによって、太陽の仰角を所要の通りに検知するすることができる。第2所定角度とは例えば90度であり、これら3つの仰角検知センサは、太陽が例えば「東」、「南」及び「西」の方位に位置するときに正対向するように配置され、残りの一つの仰角方位センサは、第2仰角検知センサに対応して、太陽が例えば「南」の方位に位置するときに正対向するように配置される。また、これら3つの仰角検知センサは、太陽の仰角が例えば20度のときに正対向するように配置され、残りの一つの仰角検知センサは太陽の仰角が例えば70度のときに正対向するように配置され、このように配置することによって、日本国などにおいて太陽の仰角を所要の通りに検知することができる。また、第1〜第3仰角検知センサと第4仰角検知センサとの間に第1〜第3仰角遮断板を設けているので、太陽の仰角が隣接する仰角検知センサ間に位置するときには、かかる仰角遮断板が有効に作用して太陽光を所要の通りに遮断して仰角検知センサに到達する太陽光を制御し、これによって、太陽の仰角を正確に、例えば3段階(例えば、仰角30度、45度、70度)に検知することができる。
【0023】
また、本発明の請求項6に記載の太陽追尾システムによれば、パネル組立体は、本体パネル部とこの本体パネル部に展開位置及び収納位置の間を移動自在に支持された旋回パネル部とを備えているので、旋回パネル部を収納位置に位置付けることによって、パネル組立体をコンパクトに収納することができ、かくして、設置場所に容易に移動させることができ、また車両搭載型に容易に適用可能となる。
【0024】
また、本発明の請求項7に記載の太陽追尾システムによれば、風速検知手段による検知風速が設定風速を超えると、パネル組立体の旋回パネル体が収納位置に位置付けられるので、収納状態にすることによって、風から受ける圧を少なくすることができ、これによって、強風によるパネル組立体の破損を防止することができる。
【0025】
また、本発明の請求項8に記載の太陽追尾システムによれば、パネル組立体は複数の太陽光発電パネルから構成され、複数の太陽光発電パネルが太陽に追尾して移動されるので、太陽光発電を高効率で行うことができる。また、複数の太陽光発電パネルによる発電電力を利用して駆動制御部並びに第1及び第2駆動機構を制御するので、外部電力(例えば、商用電力)を必要とすることなく追尾システムを駆動させることができる。
【0026】
更に、本発明の請求項9に記載の太陽追尾システムによれば、パネル組立体は複数の温水発生パネルと太陽光発電パネルとから構成され、複数の温水発生パネル及び太陽光発電パネル体が太陽に追尾して移動されるので、太陽光を利用した温水発生及び太陽光発電を高効率で行うことができる。また、太陽光発電パネルによる発電電力を利用して駆動制御部並びに第1及び第2駆動機構を制御するので、温水発生の場合においても、外部電力を必要とすることなく追尾システムを駆動させることができる。
【0027】
更にまた、本発明の請求項10に記載の太陽追尾システムによれば、温水発生パネルに関連して、貯湯タンクなどが設けられているので、発生した温水の熱を温水の状態で貯湯することができる。発生した温水の熱の貯湯は、発生した温水を貯湯タンクに直接的に貯湯するようにしてもよいが、発生した温水との間で熱交換を行う熱交換器を設け、この熱交換器を介して温水を貯湯するようにしてもよい。また、太陽光発電パネルによる発電電力を利用して貯湯制御部を制御するので、外部電力を必要とすることなくシステムを駆動制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う太陽追尾システムの実施形態について説明する。まず、図1〜図6を参照して、本発明に従う太陽追尾システムの第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態の太陽追尾システムを示すシステム図であり、図2は、図1の太陽追尾システムの側面図であり、図3は、図1の太陽追尾システムの基体本体に内蔵された第1駆動機構を示す図であり、図4は、図1の太陽追尾システムにおける太陽位置検知手段を示す図であり、図5は、図4の太陽位置検知手段の方位検知センサ及びそれに関連する構成を示す図であり、図6は、図5の方位検知センサと方位遮断板との関係を示す図であり、図7は、図5の仰角検知センサ及びそれに関連する構成を示す図であり、図8は、図7の仰角検知センサと仰角遮断板との関係を示す図であり、図9は、図1の太陽追尾システムにおける位置付けスイッチ機構を示す図であり、図10は、図1の太陽追尾システムにおける位置検知制御部を示す回路図であり、また図11は、図10の位置検知制御部において第1方位検知センサが太陽を検知したときの状態を示す図である。
【0029】
図1及び図2において、図示の太陽追尾システムは、地面などに設置される基台本体2と、この基台本体2に回転自在に支持された支持脚体4と、支持脚体4に支持されたパネル組立体6とを備えている。基台本体2は、地面などに設置される本体部8と、この本体部8から実質上垂直上方に延びる支持部10とを備えている。支持脚体4は支持軸12を備え、この支持軸12の一端側(下端側)が支持部10に軸受手段(図示せず)を介して回転自在に支持され、その一端部が本体部8内に突出している。この支持軸12の一端部は後述するように第1駆動機構14に駆動連結されている。従って、支持脚体4は上下方向に延びる第1軸線16(支持軸12の中心軸線が第1軸線を構成する)を中心として水平方向に旋回自在に支持され、第1駆動機構14によって所定方向(矢印15で示す方向)及び所定方向に対して反対方向(矢印17で示す方向)に、即ち図1及び図2において左右方向に旋回される。
【0030】
支持軸12の他端側(上端側)は、基台本体2の支持部10から上方に突出し、この他端部(上端部)にパネル組立体6が装着されている。パネル組立体6はパネル支持体18を備え、このパネル支持体18の下部に太陽光発電パネル20が取り付けられ、この下部を除く他の部分に温水発生パネル22が取り付けられている。パネル支持体18の背面中央部には連結ブラケット24が設けけられ、かかる連結ブラケット24が連結軸26を介して支持軸12の他端部に旋回自在に連結されている。従って、パネル組立体6は水平方向に延びる第2軸線(連結軸26の中心軸線が第2軸線を構成する)を介して上下方向に旋回自在に支持されている。
【0031】
図3を参照して、第1駆動機構14は、駆動源としての電動モータ28と、この電動モータ28の駆動力を駆動伝達するための駆動連結手段30とを備え、電動モータ28が駆動連結手段30を介して支持脚体4に駆動連結されている。支持脚体4の支持軸12の一端部にはフランジ部材32が取り付けられ、このフランジ部材32に連結ギア(図示せず)が取り付けられたフランジ部材34が連結されている。また、駆動連結手段30は、電動モータ28の出力軸に取り付けられた出力ギア36と、ギアボックス38に回転自在に支持された支持軸40に装着された伝達ギア42と、この支持軸40に取り付けられたウォームギア(図示せず)を有し、出力ギア36と伝達ギア42とがチェーン44を介して駆動連結され、また支持軸40のウォームギアがフランジ部材34の連結ギアに駆動連結されている。このように構成されているので、電動モータ28が所定方向(又は所定方向と反対方向)に駆動回転されると、この回転駆動力が出力ギア36、チェーン44、伝達ギア、支持軸40、ウォームギア(図示せず)、連結ギア(図示せず)及びフランジ部材32,34を介して支持軸12に伝達され、パネル組立体6は第1軸線を中心として例えば矢印15(又は矢印17)で示す方向に旋回される(図1も参照)。
【0032】
また、基台本体2の支持部10とパネル組立体6のパネル支持体18との間に第2駆動機構46が介在されている。この実施形態では、第2駆動機構46はそれ自体周知のボールスクリューアーム機構47から構成され、例えば、その本体部48が支持部10に支持スリーブ50が取り付けられ、この支持スリーブ50に取り付けられた連結ブラケット51に連結ピン52を介して旋回自在に連結され、そのアーム部54がパネル支持体10の背面に取り付けられた連結ブラケット56に連結ピン58を介して旋回自在に連結されている。このボールスクリュー機構47は、更に、本体部48に内蔵された駆動ギアモータ(図示せず)を備え、駆動ギアモータからの駆動力がボールねじを介してアーム部54に伝達される。従って、駆動ギアモータが所定方向(又は所定方向と反対方向)に回転駆動されると、ボールねじを介してアーム部54が矢印60で示す方向に伸長(又は矢印62で示す方向に収縮)され、パネル組立体6が第2軸線を中心として例えば矢印64で示す方向(又は矢印66で示す方向)に旋回される。この実施形態では、支持脚体4とパネル組立体6との間に一つのボールスクリューアーム機構47を介在させているが、充分な強度及び駆動力を得るために、これらの間に一対のボールスクリューアーム機構47を介在させるようにしてもよい。
【0033】
この実施形態では、パネル組立体6の温水発生パネル22に関連して、次の通りに構成されている。温水発生パネル22には太陽からの熱を集めるための集熱部72を備え、この集熱部72は細長い集熱管74から構成され、かかる集熱管74が温水発生パネル22のほぼ全域に設けられている。また、熱を温水として貯湯するための貯湯タンク76が設けられ、温水発生パネル22にて発生した温水の熱が熱交換により貯えられるように構成されている。
【0034】
貯湯タンク76内には熱交換器78が設けられ、この熱交換器78の流入側と温水発生パネル22の集熱管74の排出側とが温水供給ライン80を介して接続され、その流出側と温水発生パネル22の流入側とが温水戻りライン82を介して接続されている。この形態では、温水戻りライン82が二つに分岐され、分岐された一方が集熱管74の一端部に接続され、残りの他方が集熱管74の他端部に接続され、また温水供給ライン80は集熱管74の長さ方向略中央部に接続され、熱交換器78からの温水は集熱管74の両端部から流入し、かく流入した温水(又は水)はその中央部に向けて流れ、その後この中央部から温水供給ライン80を通して熱交換器78に供給される。
【0035】
温水供給ライン80及び温水戻しライン82は温水発生パネル72(具体的には、集熱管74)を通して温水(又は水)を循環するための循環ラインを構成し、この循環ラインに循環ポンプ84及び貯留タンク86が設けられている。循環ポンプ84は温水供給ライン80に配設され、温水発生パネル72の集熱管74からの温水を熱交換器78に供給する。また、貯留タンク86は集熱管74を通して循環される温水(又は水)を溜めるためのもので、温水(又は水)の量が少なくなったときに補充する。この貯留タンク86は集熱管74の中央部に設けられ、この貯留タンク86に温水供給ライン80が接続され、集熱管74の温水が貯留タンク86を介して熱交換器78に供給される。
【0036】
このように構成されているので、太陽光を利用して温水発生パネル22の集熱管74にて集熱されて温められた温水は、循環ポンプ84の作用によって、温水供給ライン80を通して熱交換器78に供給され、この熱交換器78において貯湯タンク86内の水との間で熱交換が行われ、このようにして集熱管74からの温水の熱が貯湯タンク86内の水に温水として貯えられる。熱交換後の温水は、温水戻りライン82を通して集熱管74に戻され、集熱管74にて再び温められる。
【0037】
貯湯タンク76には水供給ライン88が接続され、この水供給ライン88を通して水道水の如き水が貯湯タンク76に供給される。また、貯湯タンク76には出湯ライン90が接続され、出湯ライン90には例えばカラン92が取り付けられ、カラン92を開栓することによって、貯湯タンク76内の温水が出湯ライン90を通して出湯される。
【0038】
上述した構成では、温水戻りライン82を温水発生パネル22の集熱管74の両端部に、温水供給ライン84をこの集熱管74の中央部に接続しているが、温水供給ライン80を集熱管74の一端部に接続し、温水戻しライン82を集熱管74の他端部に接続し、熱交換器78からの温水を集熱管74の他端部に戻し、集熱管74を流れた温水をその一端部から温水供給ライン80を通して熱交換器78に供給するようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、温水発生パネル22の集熱管74を通して温水を循環する循環ライン系と貯湯タンク76の貯湯系とを別系統にし、熱交換器78により熱交換して熱を伝達するようにしているが、循環ライン系と貯湯系とを同一の系統とし、温水発生パネル22の集熱管74にて発生した温水を貯湯タンク76に直接的に貯湯するようにしてもよい。
【0040】
尚、この実施形態では、温水発生パネル22の集熱部72を通して温水(又は水)を循環させているが、この温水(又は水)の表現は、本明細書全体を通して、水、水道水、不凍液などを含む熱搬送媒体として用いているものである。
【0041】
また、太陽光発電パネル22に関連して、更に次のように構成されている。太陽光発電パネル22は太陽電池モジュールを備え、この太陽電池モジュールが発電電力ライン94を介して太陽電池コントローラ96に接続され、この太陽電池コントローラ96が電力送給ライン98を介して蓄電池100に接続されている。また、蓄電池100は、インバータ102を含む電力供給ライン104を介して貯湯制御部106に接続されている。
【0042】
このように構成されているので、太陽光を利用して太陽発電パネル22(具体的には、太陽電池モジュール)にて発電が行われると、太陽電池コントローラ96は発電電力を発電電力ライン94及び電力送給ライン98を通して蓄電池100に流し、この発電電力が蓄電池100に蓄電される。蓄電池100に蓄電された電力は、インバータ102及び電力供給ライン104を介して貯湯制御部106に供給される。このように電力が供給されるので、貯湯制御部106は太陽光発電パネル22の発電電力を用いて作動制御され、従って、外部電源(例えば、商用電源)を用いることなく制御することができ、環境に優しく、設置場所に制限を受けることも少ない。
【0043】
貯湯制御部106は温水貯湯系(循環ライン系及び貯湯系)のコントローラとして機能し、例えば、貯留タンク86に配設される温度センサ108からの検知信号が貯湯制御部106に送られ、この検知信号に基づいて循環ポンプ84を作動制御する。即ち、温度センサ108の温度が所定温度を超えると、貯湯制御部106は温度センサ108の検知信号に基づいて循環ポンプ84を作動し、温水発生パネル22にて温められた温水が温水供給ライン80、熱交換器82及び温水戻しライン82を通して循環され、かくして、太陽からの熱が温水として貯湯タンク76に貯えられる。
【0044】
この太陽追尾システムでは、パネル組立体6に関連して、太陽の位置を検知するための太陽位置検知手段110が設けられ、この太陽位置検知手段110により検知された位置にパネル組立体6が対向するように構成されている。更に説明すると、図1とともに図4及び図5を参照して、この太陽追尾システムは、追尾システムを制御するための制御手段を備え、この制御手段は、太陽位置検知手段110に基づいて位置検知を行うための位置検知制御部111と、パネル組立体6を追従移動させるための第1及び第2駆動機構14,46を作動制御するための駆動制御部112とを備え、太陽位置検知手段110からの検知信号が位置検知制御部111に送給され、この位置検知制御部111からの検知信号がコード113を介して駆動制御部112に送給されるように構成されている。
【0045】
太陽位置検知手段110は、基台114と、この基台114から上方に延びる支柱116と、この支柱116の上端部に取り付けられた検知部118を備え、この検知部118は方位検知部120及び仰角検知部122を備え、位置検知制御部110はこの検知部118に設けられている。尚、この位置検知制御部110は、基台本体4に内蔵するようにすることもできる。
【0046】
図5及び図6を参照して、太陽の方位を検知するための方位検知部120について説明すると、図示の方位検知部120は、周方向に間隔をおいて配設された複数、実施形態では5つの方位検知センサ124,126,128,130,132から構成され、これらセンサ124〜132が周方向に第1所定角度、この実施形態では45度の間隔をおいて配置されている。この形態では、検知部118には円筒状の取付支柱134が偏心して(図5において右側であって、設置した状態において北側に偏心して)設けられ、この取付支柱134の周面に取付片136(図7参照)を介して方位検知センサ124〜132が設けられ、取付片135(図7参照)により実質上垂直な状態となるように取り付けられている。この形態では、図5に示すように、第1方位検知センサ124は「東」に正対向するように、第2方位センサ126は「南東」に正対向するように、第3方位検知センサ128は「南」に正対向するように、第4方位検知センサ130は「南西」に正対向するように、また第5方位検知センサ132は「西」に低対向するように配置されている。尚、これらの方位検知センサ124〜132に加えて、更に、「北西」に正対向するように第6方位検知センサを設けるようにしてもよい。
【0047】
これら方位検知センサ124〜132の間には、それぞれ、方位遮蔽板136,138,140,142が配設され、また第1方位検知センサ124の外側に方位遮蔽板144が配設され、更に第5方位検知センサ132の外側に方位遮蔽板146が配設されている。即ち、第1方位検知センサ124の両側に第1方位遮蔽板136及び第5方位遮蔽板144が配設され、第1方位遮蔽板136は南東側から第1方位検知センサ124に入る太陽光を遮蔽し、第5方位遮蔽板144は北東側から第1方位検知センサ124に入る太陽光を遮蔽する。同様に、第2(第3、第4、第5)方位検知センサ126(128,130,132)の両側に第2(第3、第4、第6)方位遮蔽板138(140,142,146)及び第1(第2、第3、第4)方位遮蔽板136(138,140,142)が配設され、第2(第3、第4、第6)方位遮蔽板138(140,142,146)は南側(南西側、西側、北西側)から第2(第3、第4、第5)方位検知センサ126(128,130,132)に入る太陽光を遮断し、第1(第2、第3、第4)方位遮蔽板136(138,140,142)は東側(南東側、南側、南西側)から第2(第3、第4、第5)方位検知センサ126(128,130,132)に入る太陽光を遮断する。
【0048】
また、図示の仰角検知部122は、周方向に間隔をおいて配設された複数、この実施形態では3つの仰角検知センサ148,150,152と、中央の仰角検知センサ150に対応して配設された仰角検知センサ154とを備えている。3つの仰角検知センサ148,150,152は第2所定角度、この実施形態では90度の間隔をおいて配設され、第1仰角検知センサ148は「東」に正対向するように第2仰角検知センサ150は「南」に正対向するように、また第3仰角検知センサ152は「西」に正対向するように配置され、更に第4仰角検知センサ154は「南」に正対向するように配設されている。
【0049】
第1〜第3仰角検知センサ148〜152は、図7に示すように、垂直な方向に対して角度α1(例えば、α1=20度)傾斜するように取付片156を介して取付支柱134の周面に取り付けられ、第4仰角検知センサ154は水平な方向に対して角度α2(例えば、α2=20度)傾斜するように取付片158を介して取付支柱134の上面に取り付けられている。
【0050】
第1〜第3仰角検知センサ148〜152と第4仰角検知センサ154との間には、第1〜第3仰角検知センサ148〜152の各々に対応して3つの仰角遮蔽板160(図7においてその一つを示す)が設けられている。第2(第1、第3)仰角遮蔽板160
は、一対の遮蔽板162,164から構成され、下側の遮蔽板162は水平方向に対して角度β1(例えば、β1=30度)傾斜して延び、上側の遮蔽板164は水平方向に対して角度β2(例えば、β2=60度)傾斜して延びている。
【0051】
このように構成されているので、太陽の仰角が30度を超えると、下側の遮蔽板162は、太陽からの光が第2(第1、第3)仰角検知センサ150(148,152)に入るのを遮蔽し、また太陽の仰角が60度未満のときには、上側の遮蔽板164は、太陽からの光が第4仰角検知センサ154に入るのを遮蔽する。
【0052】
この実施形態では、第1〜第5方位検知センサ124〜132及び第1〜第4仰角検知センサ148〜154は太陽光発電センサ(換言すると、太陽光発電モジュール)から構成され、第1〜第5方位検知センサ124〜132は、次のようにして太陽の方位を検知する。
【0053】
主として図6を参照して、例えば、太陽Sが東から南を通って西に沈む場合について説明すると、太陽Sが「東」に位置するときには、その光は第1方位検知センサ124に入光し、「南東」に正対向する第2方位検知センサ126への太陽Sからの入光は、例えば一点鎖線166で示すように第1方位遮蔽板136によって遮蔽される。従って、第1〜第5方位検知センサ124〜132のうち第1方位検知センサ124の入光量が最も大きく、またその入光量も所定量以上となるので、第1方位検知センサ124の発電電力が最も大きく、その発電レベルも所定レベル以上となり、方位検知部120は太陽Sが「東」(「東北東」から「東南東」の間の範囲)に位置することを検知する。
【0054】
また、太陽Sが南に向けて移動して「南東」に位置すると、その光は第2方位検知センサ126に入光し、「東」に正対向する第2方位検知センサ126への太陽Sからの入光は一点鎖線168で示すように第1方位遮蔽板136によって遮蔽され、また「南」に正対向する第3方位検知センサ128への太陽Sからの光は第2遮蔽板138によって遮蔽される。従って、第1〜第5方位検知センサ124〜132のうち第2方位検知センサ126の入光量が最も大きく、またその入光量も所定量以上となるので、第2方位検知センサ124の発電電力が最も大きく、その発電レベルも所定レベル以上となり、方位検知部120は太陽Sが「南東」(「東南東」から「南南東」の間の範囲)に位置することを検知する。
【0055】
このようにして、太陽Sが「南」に位置するときには、方位検知部120は第3方位検知センサ128の発電レベルに基づいて太陽Sが「南」(「南南東」から「南南西」の間の範囲)の位置することを検知し、また太陽S「南西」に位置するときには、方位検知部120は第4方位検知センサ130の発電レベルに基づいて太陽Sが「南西」(「南南西」から「西南西」の間の範囲)に位置することを検知し、更に太陽Sが「西」に位置するときには、方位検知部120は第5方位検知センサ132の発電レベルに基づいて太陽Sが「西」(「西南西」から「西北西」の範囲)に位置することを検知する。
【0056】
また、太陽Sの仰角、換言すると高さは季節によって異なり、冬季は低く、夏季は高くなるために、仰角検知部12は、次のようにして太陽Sの仰角を検知する。主として図8を参照して、太陽Sが「南」に位置するときについて説明すると、太陽Sの仰角が30度以下であるときには、第2遮蔽板160の下側の遮蔽板162は第2仰角検知センサ150に入光される光を遮蔽せず、その上側の遮蔽板166は第4仰角検知センサ154に入光される光を遮蔽する。従って、このときには、第2仰角検知センサ150の発電電力が第4仰角検知センサ154の発電電力よりも大きく、その発電レベルも所定レベル以上となり、仰角検知部122は太陽Sが仰角30度と検知する。また、太陽の仰角が30〜60度の角度範囲であるときには、第2遮蔽板160の下側の遮蔽板162は第2仰角検知センサ150に入光される光を遮蔽し、またその上側の遮蔽板166は第4仰角検知センサ154に入光される光を遮蔽する。従って、このときには、第2及び第4仰角検知センサ150,154の発電電力が小さく、それらの発電レベルも所定レベル以下となり、仰角検知部122は太陽Sが仰角45度と検知する。また、太陽の仰角が60度以上であるときには、第2遮蔽板160の下側の遮蔽板162は第2仰角検知センサ150に入光される光を遮蔽し、その上側の遮蔽板166は第4仰角検知センサ154に入光される光を遮蔽しない。従って、このときには、第4仰角検知センサ154の発電電力が第2仰角検知センサ150の発電電力よりも大きく、その発電レベルも所定レベル以上となり、仰角検知部122は太陽Sが仰角70度と検知する。
【0057】
この太陽追尾システムでは、太陽位置検知手段110の方位検知部120の検知信号に基づいて、太陽Sの移動に追尾してパネル組立体6は次のようにして水平方向に移動する。図5及び図9を参照して、この実施形態では、システムを制御するための制御手段の位置検知制御部111は、第1〜第5方位検知センサ124〜132に対応して第1〜第5制御リレー172、174,176,178,180が設けられており、これら第1〜第5制御リレー172〜180は、対応する第1〜第5方位検知センサ124〜132の発電電力により作動されるように構成され、これら第1〜第5制御リレー172〜180の作動によって後述するように太陽の方位を検知するように構成されている。同様に、図示していないが、第1〜第4仰角検知センサ148〜154に対応して第6〜第9制御リレーが設けられ、これら第6〜第9制御リレーも対応する第1〜第4仰角検知センサ148〜154の発電電力により作動されるように構成されている。このように構成されているので、位置検知部11の駆動電力として第1〜第5方位検知センサ124〜132及び第1〜第4仰角検知センサ148〜154の発電電力が利用され、外部電源(例えば、商用電源)などの専用の電源を必要とすることなく太陽の位置検知を行うことができる。
【0058】
第1〜第5方位検知センサ124〜132の配置に対応して、パネル組立体6側には、第1位置付けスイッチ機構182が設けられている。図示の第1位置付けセンサ機構182は、第1方位検知センサ124〜132により検知する太陽の方位に対応して、第1〜第5位置付けスイッチ184,186,188,190,192が設けられ、これら位置付けスイッチ184〜192は、例えば支持脚体4の支持軸12の外周側に配設される環状部材194に周方向に間隔をおいて取り付けられる。この環状部材194には、更に、第1位置付けスイッチ184の外側に、左方向(図9において反時計方向)の旋回を停止するための左旋回停止スイッチ196が設けられるとともに、第5位置付けスイッチ192の外側に、右方向(図9において時計方向)の旋回を停止するための右旋回停止スイッチ198が設けられ、左旋回停止スイッチ196及び右旋回停止スイッチ1198は安全スイッチとして機能する。
【0059】
また、支持軸12には、第1〜第5位置付けスイッチ184〜192、左旋回停止スイッチ196及び右旋回停止スイッチ198に作用する作用部材200が取り付けられ、この作用部材200は支持軸12(即ち、これに支持されたパネル組立体6と一体的に水平方向に回動する。即ち、第1方位検知センサ124の検知方位に対応して第1位置付けスイッチ184が配置され、作用部材200が第1位置付けスイッチ184を検知する(例えば、押圧する)と、パネル組立体6(太陽光発電パネル20及び温水発生パネル22)は「東」に正対向する位置に位置する。また、第2(第3、第4、第5)方位検知センサ126(128,130,132)の検知方位に対応して第2(第3、第4、第5)位置付けスイッチ186(188,190,192)が配置され、作用部材200が第2(第3、第4、第5)位置付けスイッチ186(188,190,192)を検知すると、パネル組立体6は「東北」(「南」、「南西」、「西」)に正対向する位置に位置する。
【0060】
このパネル組立体6を例えば「東」に正対向する位置に位置付けるための制御回路は、例えば、図10に示すように構成される。尚、パネル組立体6を例えば、「南東」、「南」「南西」及び「西」に正対向する位置に位置付けるための制御回路は、図示して説明しないが、上述した同様に構成される。
【0061】
図10において、位置検知制御部111においては、第1〜第5方位検知センサ124〜132に対応する第1〜第5制御リレー172〜180が電気的に直列に接続されるともに、これら制御リレー172〜180の第1回路部分202に電気的に並列に第1制御リレー172を含む第2回路部分204が設けられる。第1回路部分202では、第1〜第5制御リレー172〜180は非作動のときに導通し、作動のときに非導通となるように電気的に接続され、第2回路部分204では、第1制御リレー172は非作動のときに非導通となり、作動すると導通するように電気的に接続されている。
【0062】
また、駆動制御部112は、相互に電気的に並列に配設された第1駆動回路部206及び第2駆動回路部分208備え、これら第1回路駆動部206及び第2駆動回路部208が接続回路部210を介して接続されている。パネル組立体6を左旋回させるための第1駆動回路部206に、第1位置付けスイッチ184が設けられているとともに、手動開放リレー212及び左旋回停止スイッチ196が設けられている。また、パネル組立体6を右旋回させるための第2駆動回路部208に、第3位置付けスイッチ188が設けられているとともに、手動開放リレー214及び右旋回停止スイッチ198が設けられている。これら第1及び第2駆動回路部分206,208は、第1駆動機構14の電動モータ28に電気的に接続される。
【0063】
この実施形態では、駆動制御部112(例えば、手動開放リレー212,214など)はパネル組立体6の太陽光発電パネル20による発電電力、即ち蓄電池100(図1参照)に蓄電された電力を利用して作動されるように構成されており、従って、外部電力(例えば、商用電力)を必要とすることなく、駆動制御部112を作動させることができる。加えて、この実施形態では、パネル組立体6を水平方向に移動させるための第1駆動機構114及びパネル組立体6を上下方向に移動させるための第2駆動機構46が、蓄電池100の蓄電電力を利用して作動制御されるように構成されているので、外部電力を必要とすることなく、この追尾システム全体を作動制御することができ、商用電力の供給が行われていない孤島、僻地などにおいて、また商用電力の供給が遮断された災害地などにおいても使用することが可能となる。
【0064】
この太陽追尾システムでは、第1〜第5方位検知センサ124〜132の発電電力が所定レベル以下である(例えば、雨、雪、曇りなどの天候、日没後など)ときには、パネル組立体6は初期方位位置に保持されるように構成されている。即ち、このときには、第1回路部分202の第1〜第5制御リレー172〜180が導通状態に保持され(このとき、第2回路部分204は非導通状態に保持される)、第1駆動機構14の電動モータ28が作動され、支持脚体4が右旋回又は左旋回される。そして、支持脚体4の作動部材200が第3位置付けスイッチ188を押圧検知すると、電動モータ28の作動が停止され、駆動制御部112はこの状態に保持される。かかる状態においては、作動部材200は、図9から理解される如く、「南」に位置し、パネル組立体6は「南」に正対向する位置に位置付けられる。
【0065】
パネル組立体6が「南」に向いている状態において、例えば、太陽が東から昇ると、第1方位検知センサ124の発電力が大きくなり、その発電電力により第1制御リレー172が作動し、第2回路部分202において導通状態となり(このとき、第1回路部分202では非導通状態となる)。かくすると、第1駆動機構14の電動モータ28が作動され、支持脚体4が右旋回又は左旋回され、パネル組立体6の追尾移動が開始される。そして、支持脚体4の作動部材200が第1位置付けスイッチ184を押圧検知すると、電動モータ28の作動が停止され、駆動制御部112はこの状態に保持される。かかる状態においては、作動部材200は、図9から理解される如く、「東」に位置し、パネル組立体6は「東」に正対向する位置、即ち太陽に正対向する位置に位置付けられ、太陽光発電パネル22の発電効率が高くなるとともに、温水発生パネル22の温水発生効率(換言すると、集熱効率)が高くなり、高効率な発電、集熱を行うことができる。
【0066】
太陽が南に向けて移動すると、第2方位検知センサ126の発電電力が他の方位検知センサ124,128,130,132よりも大きくなると、その発電電力により第2制御リレー174が作動する。かくすると、第1駆動機構14の電動モータ28が作動され、支持脚体4の右旋回動又は左旋回動が開始され、支持脚体4の作動部材200が第2位置付けスイッチ186を押圧検知した時点で電動モータ28の作動が停止し、パネル組立体6は「南東」に正対向する位置に位置付けられる。このようにしてパネル組立体6は太陽の動きに追尾して移動され、太陽光発電パネル22の高効率発電及び温水発生パネル22の高効率な温水発生を達成することができる。
【0067】
この太陽追尾システムにおける水平方向の追尾について説明したが、第1〜第4仰角検知センサ148〜154の検知信号に基づく上下方向の追尾についても、上述したと同様にして行われる。第1〜第4仰角検知センサ148〜154に関連して、パネル組立体6側には第2位置付けスイッチ機構222(図2参照)が設けられる。第2位置付けセンサ機構22は、太陽と正対向する仰角、換言するとパネル組立体6の傾斜する角度に対応して第1〜第3位置付けスイッチが設けられ、これらの位置付けスイッチは、例えば第2駆動機構46のボールスクリューアーム機構47に関連して設けられ、例えば、第1位置付けスイッチはパネル組立体6の仰角30度(水平方向に対して60度傾斜した角度)に対応するボールスクリューアーム機構47の長さ位置に、第2位置付けスイッチはパネル組立体6の仰角45度(水平方向に対して45度傾斜した角度)に対応するボールスクリューアーム機構47の長さ位置に、また第3位置付けスイッチはパネル組立体6の仰角70度(水平方向に対して20度傾斜した角度)に対応するボールスクリューアーム機構47の長さ位置に設けられる。
【0068】
この太陽追尾システムでは、第1〜第4仰角検知センサ148〜154の発電電力が所定レベル以下である(例えば、雨、雪、曇りなどの天候、日没後など)ときには、パネル組立体6は初期仰角位置に保持されるように構成されている。即ち、このときには、第1〜第4仰角検知センサ148〜154の発電力が所定レベル以下であり、第1〜第4仰角検知センサ148〜154に対応する第6〜第9制御リレーを備えた回路部分が導通状態となって第2駆動機構46のボールスクリューアーム機構47が伸長又は収縮され、第2位置付けスイッチが押圧検知される位置に保持される。かかる状態においては、パネル組立体6(太陽光発電パネル20及び温水発生パネル22)は仰角45度の角度位置(水平方向に対して45度の角度に正対向する位置)に位置付けられる。
【0069】
例えば、太陽が「南」に向いている状態において、太陽の仰角が30度以下(又は60以上)であるときには、第2仰角検知センサ150(又は第4仰角センサ154)の発電力が大きくなり、その発電電力により第7制御リレー(又は第9制御リレー)が作動し、第7制御リレー(又は第9制御リレー)を備えた回路部分が導通状態となって第2駆動機構46のボールスクリューアーム機構47が伸長(又は収縮)する。かくすると、パネル組立体6が連結軸26を中心として下方(又は上方)に旋回され、第1位置付けスイッチ(又は第3位置付けスイッチ)が押圧検知されてボールスクリューアーム機構47の伸長(又は収縮)が終了し、パネル組立体6は仰角30度(又は仰角70度)に正対向する角度位置、即ち太陽に正対向する角度位置に位置付けられ、このようにして上下方向についてもパネル組立体6は太陽の動きに追尾して移動し、太陽光発電パネル20の高効率発電及び温水発生パネル22の高効率温水発生を行うことが可能となる。
【0070】
図12は太陽追尾システムの第2の実施形態の一部を示す図であり、この第2の実施形態では、支持脚体の回動を防止するためのブレーキシステムが組み込まれている。尚、以下の実施形態において、上述した実施形態と実質上同一のものには同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0071】
図12において、この第2の実施形態では、支持脚体4Aの支持軸12に関連してブレーキシステム230が設けられ、このブレーキシステム230はブレーキ用スリーブ部材232及びブレーキ部材234を備えている。スリーブ部材232は支持軸12に固定され、かかるスリーブ部材232にブレーキ部材234が巻き掛けられ、その両端部が駆動源としてのボールスクリューアーム機構236の出力アーム部238に取り付けられている。
【0072】
かく構成されているので、出力アーム部238が収縮するとブレーキシステム230は制動状態となる。この制動状態においては、ブレーキ部材234がスリーブ部材232の周面に作用し、スリーブ部材232の回動が制動される。このように制動状態に保つことによって、支持軸12の強度を増大することができ、自然災害などからの破損を防止することができる。
【0073】
尚、支持軸12が回動する(即ち、パネル組立体6が水平方向に移動する)ときには、ボールスクリューアーム機構236の出力アーム部238が伸長され、ブレーキシステム230が制動解除状態となり、かく制動解除状態にすることによって、支持軸12の回動がスムースとなる。
【0074】
次に、図13を参照して、第3の実施形態の太陽追尾システムについて説明する。図13は、第3の実施形態の太陽追尾システムを背面側から見た背面図である。この第3の実施形態では、パネル組立体が収納可能に構成されている。
【0075】
図13において、この太陽追尾システム2Bは、第1の実施形態と同様に、基台本体2と、この基台本体2に上下方向に延びる第1軸線を中心として旋回自在に支持された支持脚体4と、この支持脚体4に水平方向に延びる第2軸線を中心として旋回自在に支持されたパネル組立体6Bとから構成され、支持脚体4及びパネル組立体6Bが太陽位置検知手段110の検知信号に基づいて所要の通りに旋回され、パネル組立体6Bが太陽の動きに追尾して上述したように移動するように構成されている。
【0076】
この第3の実施形態では、パネル組立体6Bは中央に位置する本体パネル部252と、この本体パネル部252の右側(図13において右側)に配設された右旋回パネル部254と、本体パネル部252の左側に(図13において左側)に配設された左旋回パネル部256とから構成され、本体パネル部252と右旋回パネル部254とが第1旋回軸線258を中心として旋回自在に連結され、また本体パネル部252と左旋回パネル部256とが第2旋回軸線260を中心として旋回自在に連結され、第1及び第2旋回軸線258,260は相互に平行にしてパネル組立体6Bの上下方向に延びている。尚、この形態では、全パネル部252〜256が太陽光発電パネルから構成され、太陽発電に利用される。
【0077】
この形態では、パネル組立体6Bの本体パネル部252と右旋回パネル部254との間に、パネル駆動機構の第1駆動源としての第1電動シリンダ262が設けられ、例えば、その本体部264が本体パネル部254に旋回自在に連結され、その出力アーム部266が右旋回パネル部254に旋回自在に連結されている。また、本体パネル部252と左旋回パネル部256との間に、パネル駆動機構の第2駆動源としての第2電動シリンダ268が設けられ、例えば、その本体部270が本体パネル部254に旋回自在に連結され、その出力アーム部272が左旋回パネル部256に旋回自在に連結されている。
【0078】
このように構成されているので、第1及び第2電動シリンダ機構262,268を作動させてそれらの出力アーム部266,272を伸長させると、図13に示すように、右旋回パネル部254及び左旋回パネル部256が本体パネル部252と同一平面を規定する展開位置に保持される。パネル組立体6Bを用いて太陽光発電を行うときには、右及び左旋回パネル部254,256は上記展開位置に保持され、太陽光を所要の通りに受光して太陽光発電を行うことができる。
【0079】
また、第1及び第2電動シリンダ262,268を作動させてそれらのアーム部266,272を収縮させると、右旋回パネル部254が第1旋回軸線258を中心として略垂直下方に延びるように本体パネル部252の右側に収納され、また左旋回パネル部256が第2旋回軸線260を中心として略垂直下方に延びるように本体パネル部252の左側に収納され、かくして両旋回パネル部254,256を収納してパネル組立体6Bをコンパクトな状態にすることができる。また、このような状態に収納することによって、パネル組立体6Bの風を受ける部分を小さくすることができ、強風などのときのパネル組立体6Bの破損を少なくすることができる。
【0080】
この実施形態では、第1及び第2駆動源を第1及び第2電動シリンダ機構262,268から構成されており、このように構成することによって、電力を利用して両旋回パネル部254,256を移動させることができ、この駆動電力としてパネル組立体6Bの太陽光発電パネルによる発電電力を利用することによって、外部電力(例えば、商用電力)を必要とすることなく、この太陽追尾システム全体を発電電力で作動制御することが可能となり、設置場所の制限を受けることなく用いることが
できる。
【0081】
上述した実施形態では、本体パネル部252の両側に左右旋回パネル部254,256を設け、これら左右旋回パネル部254,256を収納可能に構成しているが、左右旋回パネル部254,256のいずれか一方のみを収納可能に構成してもよい。また、本体パネル部252に右旋回パネル部254又は左旋回パネル部256を設け、この右旋回パネル部254又は左旋回パネル部256を収納可能に構成するようにしてもよい。
【0082】
次に、図14及び図15を参照して、第4の実施形態の太陽追尾システムについて説明する。図14は、第4の実施形態の太陽追尾システムを旋回パネル部を展開した状態で示す簡略斜視図であり、図15は、図14の太陽追尾システムを旋回パネル部を収納した状態で示す簡略斜視図である。
【0083】
図14及び図15において、この第4の実施形態では、太陽追尾システムは車載型に構成され、その基台本体2が車輌282の荷台284に設置され、車輌282の移動によって所望の場所に移動設置することができる。
【0084】
この実施形態では、パネル組立体6Cは中央に位置する本体パネル部286と、この本体パネル部286の上側に配設された上旋回パネル部288と、本体パネル部288の下側に配設された下旋回パネル部290とから構成され、本体パネル部286と上旋回パネル部254とが第1旋回軸線292を中心として旋回自在に連結され、また本体パネル部286と下旋回パネル部290とが第2旋回軸線294を中心として旋回自在に連結され、第1及び第2旋回軸線292,294は相互に平行にしてパネル組立体6Cの横方向に延びている。尚、この形態でも、全パネル部286〜290が太陽光発電パネルから構成されている。
【0085】
この形態では、上述した実施形態と略同様に、パネル組立体6Cの本体パネル部286と上旋回パネル部288との間に、パネル駆動機構の第1電動シリンダが設けられ、また本体パネル部288と下旋回パネル部2290との間に、パネル駆動機構の第2電動シリンダが設けられる。
【0086】
このように構成されているので、パネル駆動機構の第1及び第2電動シリンダ機構が伸長した状態では、図14に示すように、上旋回パネル部288及び下旋回パネル部290が本体パネル部286と同一平面を規定する展開位置に保持され、太陽光を所要の通りに受光して太陽光発電を行うことができる。第1及び第2電動シリンダ262,268が収縮した状態では、図15に示すように、上旋回パネル部288が第1旋回軸線292を中心として略垂直下方に延びるように本体パネル部288の上側に収納され、また下旋回パネル部290が第2旋回軸線294を中心として略垂直下方に延びるように本体パネル部286の側に収納され、かくして両旋回パネル部288,290を収納してパネル組立体6Bをコンパクトな状態にすることができ、第3の実施形態と同様の効果を達成することができる。
【0087】
第3(及び第4)の実施形態のようにパネル組立体6B(及び6C)の一部を収納可能に構成する場合、次のように構成するのが望ましい。即ち、パネル組立体6B(及び6C)に関連して、風速を計測するための風速検知手段を設け、この風速検知手段の検知風速が設定風速、例えば20m/sを超えると、パネル駆動機構の第1及び第2電動シリンダ262,268を作動させて左右旋回パネル部254,256(及び上下旋回パネル部288,290)を収納位置に位置付けて収納状態に保持するのが望ましい。このように構成することによって、強風によるパネル組立体6B(及び6C)の破損を防止することができ、孤島、僻地などでも安心して設置することができる。
【0088】
このパネル組立体は、例えば、図16に示すように構成することができる。図16は、パネル組立体の変形形態を簡略的に示す斜視図である。図16において、このパネル組立体6Dにおいては、上旋回パネル部288部の外側、即ちその上側に上補助パネル部302が設けられているとともに、下旋回パネル部290の外側、即ちその下側に下補助パネル部304が設けられている。上補助パネル部302は上旋回パネル部288と一体的に展開位置と収納位置との間を移動され、また下補助パネル部304は下旋回パネル部290と一体的に展開位置と収納位置との間を移動される。
【0089】
このような構成のパネル組立体6Dを用いる場合、両補助パネル部302,304によって発電される発電電力を太陽追尾システムを作動制御するための電力に用い(例えば、発電電力を蓄電池に蓄電し、この蓄電電力を利用する)、本体パネル部288及び両旋回パネル部288,290によって発電された発電電力をシステム外への供給電力として、また買電力として用いることができ、システム全体の構成を簡単にすることができる。尚、太陽追尾システムにおける消費電力が少ないときには、上補助パネル部302及び下補助パネル部304のいずれか一方を省略することができる。
【0090】
以上、本発明に従う太陽追尾システムの各種実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0091】
例えば、上述した実施形態では、パネル組立体が比較的小さい形態のものに適用して説明したが、パネル組立体が比較的大きい形態のものに適用する場合、パネル組立体を水平方向に旋回させるための第1駆動機構に関連して、次のように構成するのが望ましい。
【0092】
次に、図17〜図19を参照して、第1駆動機構及びそれに関連する構成の第1の変形態様について説明する。図17は、第1の変形態様の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す平面図であり、図18は、図17の第1駆動機構におけるH形鋼の一部を断面で示す斜視図であり、図19は、図17の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す断面図である。
【0093】
図17〜図19において、この第1の変形形態では、第1駆動機構310は、環状の支持レール312と、この支持レール312に沿って回動される回転テーブル314(図17においては省略して示している)を備えている。支持レール312は例えばH形鋼から形成され、その内側面に案内凹部316が設けられている。この支持レール312は、基台本体2(図1及び図2参照)側に取り付けられる。また、回転テーブル314には、周方向に等間隔をおいて3組の支持案内手段318が設けられている。各支持案内手段318は3つの支持案内コロ320から構成され、各支持案内コロ320が支持軸322を介して回転テーブル314に取り付けられた垂下部材324に回転自在に取り付けられ、これら支持案内コロ320が支持レール312の案内凹部316に移動自在に受け入れられている。この回転テーブル314には、パネル組立体6が上述したように取り付けられた支持脚体4(図1及び図2参照)が取り付けられる。尚、この実施形態では、各支持案内手段318を3つの支持案内コロ320から構成しているが、充分な強度が得られる場合には、1つ又は2つの支持案内コロ320から構成するようにしてもよい。
【0094】
また、回転テーブル314の所定部位には駆動源を構成する電動モータ326が取り付けられ、この電動モータ326の出力軸に減速機構328が駆動連結され、この減速機構328の出力軸330に駆動用硬質タイヤ332が取り付けられ、この硬質タイヤ332が支持レール312の案内凹部316の底面に作用するように受け入れられている。更に、回転テーブル314の外周部の下面には、周方向に間隔をおいて多数の球状の支持ローラ334が回転自在に装着され、これら支持ローラ334が支持レール312の上面に支持されている。
【0095】
このような構成であるので、電動モータ326が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、減速機構328及び出力330を介して硬質タイヤ332が矢印334(又は336)で示す方向に回動され、これによって回転テーブル314(これと一体的に支持脚体4及びパネル組立体6)が支持レール312に対して相対的に矢印338(又は340)で示す方向に旋回される。このような第1駆動機構310では、回転テーブル314が複数の支持ローラ334及び3組の支持案内手段318を介して支持レール312に支持されるので、充分な強度でもってパネル組立体6、支持脚体4及び回転テーブル314を支持することができ、パネル組立体6が大きい場合であっても安定的に且つ確実に支持することができる。
【0096】
次いで、図20を参照して、第2の変形形態の第1駆動機構及びこれに関連する構成について説明する。図20は、第2の変形態様の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す断面図である。
【0097】
図20において、この変形態様では、歯車を利用して駆動力を伝達するように構成されている。図示の第1駆動機構310Aは、例えばH形鋼から形成される環状の支持レール312が基台本体2(図1及び図2参照)側に取り付けられ、この支持レール312の外周凹部352に大歯車354が取り付けられている。また、駆動源としての電動モータ356の出力軸に減速機構358が駆動連結され、この減速機構358の出力軸360に駆動用歯車362が取り付けられ、この駆動歯車362が支持レール352の大歯車354に噛合されている。この電動モータ356は、支持脚体4及びパネル組立体6(図1及び図2参照)が取り付けられる回転テーブル314側に取り付けられる。この第2の変形形態のその他の構成、例えば回転テーブル314の支持構造などは、上述した第1の変形形態と実質上同一である。
【0098】
この第2の変形形態においても、電動モータ356からの回動力が減速機構358、出力軸360、駆動歯車362及び大歯車354を介して支持レール312に伝達され、従って、回転テーブル314が支持レール312に対して相対的に旋回され、これによって、支持脚体4及びパネル組立体6を所要の通りに旋回させることができる。
【0099】
次に、図21を参照して、第3の変形形態の第1駆動機構及びこれに関連する構成について説明する。図21は、第3の変形態様の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す断面図である。
【0100】
図21において、この変形態様では、チェーンを利用してするように構成されている。図示の第1駆動機構310Bは、上述したと同様の環状の支持レール312が基台本体2(図1及び図2参照)側に取り付けられている。また、支持脚体4及びパネル組立体6(図1及び図2参照)が取り付けられる回転テーブル314(図17及び図19参照)側には、駆動源としての電動モータ372が取り付けられ、この電動モータ372の出力軸に減速機構374が駆動連結され、この減速機構374の出力軸376に駆動スプロケット380が取り付けられている。また、支持レール312及び駆動スプロケット380の間にはチェーン382が巻き掛けられ、かかるチェーン382の一部がロックピン384によって支持レール312に固定されている。この第3の変形形態のその他の構成は、上述した第1の変形形態と実質上同一である。
【0101】
この第3の変形形態においても、電動モータ372からの回動力が減速機構374、出力軸376、駆動スプロケット380及びチェーン382を介して支持レール312に伝達され、従って、固定側の支持レール312に対して回転テーブル314(図17及び図19参照)が相対的に旋回され、これによって、支持脚体4及びパネル組立体6(図1及び図2参照)を所要の通りに旋回させることができる。
【0102】
パネル組立体が比較的大きい形態のものに適用する場合における第1駆動機構及びこれに関連する構成について説明したが、このような場合には、パネル組立体を上下方向に旋回させるための第2駆動機構も、次のように構成するのが望ましい。
【0103】
次に、図22及び図23を参照して、第2駆動機構及びそれに関連する構成の第1の変形態様について説明する。図22は、第1の変形態様の第2駆動機構及びそれに関連する構成を示す側面図であり、図23は、図22の第2駆動機構を示す背面図である。
【0104】
図22及び図23において、図示の第2駆動機構392は、パネル組立体6のパネル支持体18に取り付けられた半円状の駆動レール394を備え、この駆動レール394の一端部がパネル支持体18の上部に固定され、その下端部がパネル支持体18の下部に固定されている。駆動レール394は例えばH形鋼から形成され、その内側面396が作用面として機能する。上述したように、支持脚体4の支持軸12の先端部は、パネル支持体18に取り付けられた連結ブラケット24に連結軸26(第2軸線を構成する)を介して上下方向に旋回自在に装着される。
【0105】
この第2駆動機構392は、駆動源としての電動モータ397を備え、この電動モータ397の出力軸398に硬質タイヤ400が装着され、この硬質タイヤ400が駆動レール394の内側面396に作用している。この電動モータ397は支持脚体4側に取り付けられる。尚、第1駆動機構310(310A,310B)と同様に、電動モータ397の出力軸398と硬質タイヤ400との間に減速機構を介在させるようにしてもよい。
【0106】
このような構成であるので、電動モータ397が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、出力398を介して硬質タイヤ400が矢印402(又は404)で示す方向に回動され、これによってパネル組立体6は矢印406(又は408)で示す上方(又は下方)に傾斜角度が大きく(又は小さく)なるように旋回される。このような第2駆動機構392では、駆動レール394及び硬質タイヤ400を用いて駆動するので、充分な強度と駆動力を得ることができ、パネル組立体6が大きい場合であっても安定的に且つ確実に支持して駆動することができる。
【0107】
次いで、図24を参照して、第3の変形形態の第2駆動機構及びこれに関連する構成について説明する。図24は、第2の変形態様の第2駆動機構及びそれに関連する構成を示す背面図である。
【0108】
図24において、この変形態様では、歯車を利用して駆動力を伝達するように構成されている。図示の第2駆動機構392Aは、例えばH形鋼から形成される半円状の駆動レール394の内側凹部に半円状の歯車部材412が取り付けられている。また、駆動源としての電動モータ414の出力軸416に駆動用歯車418が取り付けられ、この駆動歯車418が駆動レール394の歯車部材412に噛合されている。尚、電動モータ414は、上述したと同様に、支持脚体4(図22参照)側に取り付けられる。この第2の変形形態のその他の構成は、上述した第1の変形形態と実質上同一である。
【0109】
この第2の変形形態においても、電動モータ414からの回動力が出力軸416、駆動歯車418及び歯車部材412を介して駆動レール394に伝達され、従って、パネル組立体6(パネル支持体18)が支持脚体4に対して上下方向に旋回される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1の実施形態の太陽追尾システムを示すシステム図。
【図2】図1の太陽追尾システムの側面図。
【図3】図1の太陽追尾システムの基体本体に内蔵された第1駆動機構を示す図。
【図4】図1の太陽追尾システムにおける太陽位置検知手段を示す図。
【図5】図4の太陽位置検知手段の方位検知センサ及びそれに関連する構成を示す図。
【図6】図5の方位検知センサと方位遮断板との関係を示す図。
【図7】図5の仰角検知センサ及びそれに関連する構成を示す図。
【図8】図7の仰角検知センサと仰角遮断板との関係を示す図。
【図9】図1の太陽追尾システムにおける位置付けスイッチ機構を示す図。
【図10】図1の太陽追尾システムにおける位置検知制御部を示す回路図。
【図11】図10の位置検知制御部において第1方位検知センサが太陽を検知したときの状態を示す図。
【図12】第2の実施形態の太陽追尾システムの一部を示す部分図。
【図13】第3の実施形態の太陽追尾システムを背面側から見た背面図。
【図14】第4の実施形態の太陽追尾システムを旋回パネル部を展開した状態で示す簡略斜視図。
【図15】図14の太陽追尾システムを旋回パネル部を収納した状態で示す簡略斜視図。
【図16】パネル組立体の変形形態を示す簡略斜視図。
【図17】第1の変形態様の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す平面図。
【図18】図17の第1駆動機構におけるH形鋼の一部を断面で示す斜視図。
【図19】図17の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す断面図。
【図20】第2の変形態様の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す断面図。
【図21】第3の変形態様の第1駆動機構及びそれに関連する構成を示す断面図。
【図22】第1の変形態様の第2駆動機構及びそれに関連する構成を示す側面図。
【図23】図22の第2駆動機構を示す背面図。
【図24】第2の変形態様の第2駆動機構及びそれに関連する構成を示す背面図。
【符号の説明】
【0111】
2 基台本体
4 支持脚体
6,6B,6C,6D パネル組立体
14 第1駆動機構
20 太陽光発電パネル
22 温水発生パネル
46 第2駆動機構
72 集熱部
76 貯湯タンク
106 貯湯制御部
110 太陽位置検知手段
111 位置検知制御部
112 駆動制御部
120 方位検知部
122 仰角検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台本体と、前記基台本体に上下方向に延びる第1軸線を中心として旋回自在に支持された支持脚体と、前記支持脚体に水平方向に延びる第2軸線を中心として旋回自在に支持されたパネル組立体と、前記支持脚体を前記第1軸線を中心として水平方向に旋回させるための第1駆動機構と、前記パネル組立体を前記第2軸線を中心として上下方向に旋回させるための第2駆動機構と、太陽の位置を検知するための太陽位置検知手段と、前記太陽位置検知手段からの検知信号に基づいて前記第1及び第2駆動機構を作動制御するための制御手段とを備えた太陽追尾システムにおいて、
前記制御手段は、前記太陽位置検知手段の検知信号に基づいて位置検知を行うための位置検知制御部と、前記第1及び第2駆動機構を駆動制御するための駆動制御部とから構成され、前記位置検知制御部と前記駆動制御部とが分離して構成されていることを特徴とする太陽追尾システム。
【請求項2】
前記太陽位置検知手段は、太陽の方位を検知するための複数の方位検知センサと、太陽の仰角を検知するための複数の仰角検知センサを備え、前記複数の方位検知センサ及び前記複数の仰角検知センサが太陽光発電センサから構成され、前記複数の方位検知センサ及び前記複数の仰角検知センサの発電電力を利用して前記位置検知制御部が制御されることを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾システム。
【請求項3】
前記パネル組立体は初期位置に位置するように構成されており、前記複数の方位検知センサ及び前記複数の仰角検知センサのいずれもが設定発電出力以下のときには、前記駆動制御部は前記第1及び第2駆動機構を制御して前記パネル組立体を前記初期位置に位置付けることを特徴とする請求項2に記載の太陽追尾システム。
【請求項4】
前記複数の方位検知センサは、周方向に第1所定角度の間隔をおいて配設された第1〜第5方位検知センサを備え、前記第1〜第5方位検知センサ間に第1〜第4方位遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の太陽追尾システム。
【請求項5】
前記複数の仰角検知センサは、周方向に第2所定角度の角度をおいて配設された第1〜第3仰角検知センサと、第2仰角検知センサに対応して配設された第4仰角検知センサとを備え、前記第1〜第3仰角検知センサと前記第4仰角検知センサとの間にそれぞれ第1〜第3仰角遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の太陽追尾システム。
【請求項6】
前記パネル組立体は、前記支持脚部に前記第2軸線を中心として上下方向に旋回自在に支持される本体パネル部と、前記本体パネル部に対し展開された状態となる展開位置と前記本体パネル部に対して収納された状態となる収納位置との間を移動自在に支持された旋回パネル部と、前記旋回パネル部を移動させるためのパネル駆動機構とを備え、パネル組立体を用いるときには、前記旋回パネル部は前記展開位置に位置付けられ、前記パネル組立体を用いないときには、前記旋回パネル部は前記収納位置に位置付けられることを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾システム。
【請求項7】
前記パネル組立体に関連して、風速を計測するための風速検知手段が設けられ、前記風速検知手段による検知風速が設定風速を超えると、前記パネル駆動機構により前記旋回パネル体が前記収納位置に位置付けられることを特徴とする請求項6に記載の太陽追尾システム。
【請求項8】
前記パネル組立体は複数の太陽光発電パネルから構成され、前記複数の太陽光発電パネルが太陽に追尾して移動され、前記複数の太陽光発電パネルによる発電電力を利用して前記駆動制御部並びに前記第1及び第2駆動機構が制御されることを特徴とする請求項1、6又は7に記載の太陽追尾システム。
【請求項9】
前記パネル組立体は複数の温水発生パネルと太陽光発電パネルとから構成され、前記複数の温水発生パネル及び前記太陽光発電パネル体が太陽に追尾して移動され、前記太陽光発電パネルによる発電電力を利用して前記駆動制御部並びに前記第1及び第2駆動機構が制御されることを特徴とする請求項1、6又は7に記載の太陽追尾システム。
【請求項10】
前記温水発生パネルに関連して、発生した温水の熱を温水として蓄熱するための貯湯タンクと、前記温水発生パネルを通して水を循環するための循環ラインと、前記循環ラインを通して水を送給するための循環ポンプと、前記循環ポンプを制御するための貯湯制御部とが更に設けられ、前記太陽光発電パネルによる発電電力を利用して前記貯湯制御部が制御されることを特徴とする請求項9に記載の太陽追尾システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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