説明

太陽電池の最大電力追従制御方法および太陽電池の最大電力追従制御回路

【課題】太陽電池から電力を取り出す場合、負荷を最適化することで、変換効率を向上させることができる。この最適化には、3点で電力を測定し、最大効率負荷を探索する、所謂山登り法が用いられているが、3つの動作点に対して、最適負荷を求めるプログラムを作成する必要がある。そのため、プログラム規模が大きくなり、プログラム開発に要する期間が延びるという課題がある。
【解決手段】2つの動作点を用いて、最適負荷を求める方式を用いた。3点の電力測定を行い、太陽電池が供給する電力を比較する場合と比べ、プログラム規模を2/3程度に抑えることが可能となるので、短期間でプログラムを作成することが可能となる。さらに、レジスターとしての記憶装置も2/3程度の規模にできるため、ハードウェアのコスト削減も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の最大電力追従制御方法および太陽電池の最大電力追従制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光を電力に変換する素子である。太陽電池を電子機器に用いた場合、コードレスで電力を供給できることから、特にモバイル用途の電子機器に好適である。太陽電池の出力は、取り出す出力を最大化すべく、端子間電圧を制御する制御方法として、最大電力点追従、所謂MPPT(Maximum Power Point Tracker)という制御方法が公知である。MPPT法としては、開放電圧の60%〜85%程度(太陽電池PVの構造により異なる)程度の電圧となる動作点に設定する方法や、3点で電力を測定し、最大効率負荷を探索する、所謂山登り法が公知である。この山登り法としては、特許文献1に記載されるように、3つの動作点で電力を測定し、より高い発電効率を持つ動作点を探索するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−251612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術を用いた場合、開放電圧の60%〜85%程度に動作点を設定する方法では、発電効率を高く保つことは困難である。太陽電池の最大電力点は、光強度や温度にも依存する。そのため、このように発電した電力を直接測定しない方法では、電力を測定して最大電力点を求める方法と比べ、発電効率が低くなるという課題がある。
【0005】
また、特許文献1に記載された技術を用いる場合、3つの動作点で電力を測定し、最大効率負荷を探索するため、3つの動作点に対して、電力を求めるプログラムを作成する必要がある。そのため、プログラム規模が大きくなり、プログラム開発に要する時間、バグの修正等、プログラム開発に要する期間が長くなるという課題がある。
【0006】
また、各動作点毎に演算レジスターを備えることが必要となるが、この場合、3動作点分の規模を持つレジスターを必要とする課題がある。また、隣り合う動作点の電力計算と逐次比較するため、電力計算と比較計算に要する演算処理時間が長く掛かるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法は、太陽電池から電力を取り出す第1の電流制御値を設定し、前記第1の電流制御値を調整する、正の値を取る第1の制御値を設定し、前記第1の電流制御値に前記第1の制御値を加えた第2の電流制御値を設定し、前記第2の電流制御値を調整する、正の値を取る第2の制御値を設定し、前記第1の電流制御値において動作する前記太陽電池の第1の出力電圧を測定し、前記第1の電流制御値における前記第1の出力電圧に基づいて第1の電力値を計算し、前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、前記第2の電流制御値における前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第1の処理を実行し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第1の処理を実行し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第2の処理を実行し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第2の処理を実行し、前記第1の処理または前記第2の処理の後に第3の処理を行い、前記第1の処理は、前記第2の電流制御値に前記第1の制御値を加えて第3の電流制御値を設定し、前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、前記第2の処理は、前記第2の電流制御値に前記第2の制御値を減じて第3の電流制御値を設定し、前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、前記第3の処理は、前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、前記第2の電流制御値および前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算する処理を含み、前記第1の処理、第2の処理および前記第3の処理を繰り返すことを特徴とする。
【0009】
これによれば、2点の電力測定で負荷に供給できる電力を、電流、電圧を元に設定することが可能となる。そのため、太陽電池からの電力を効率良く負荷に供給することが可能となる。また、3点の電力測定を行い、太陽電池が供給する電力を比較する場合と比べ、プログラム規模を2/3程度に抑えることが可能となるため、短期間でプログラムを作成することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法であって、前記第1の電流制御値、前記第2の電流制御値、前記第3の電流制御値の少なくとも一つの電流制御値に対して、前記電流制御値を変換した値を用いて電流値を求め、電力を計算することを特徴とする。
【0011】
上記した適用例によれば、電流値を短い時間で求めることが可能となる。特に、スイッチング動作を行うことで電流値を制御する場合、電流値は、時間軸に対して変動するが、電流制御値に対して例えばテーブル変換を用いて電流を求めることで、このような場合でも安定して電流値を求めることが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法であって、前記第1の電流制御値、前記第2の電流制御値、前記第3の電流制御値の少なくとも一つに対して、実測値を用いて電力を計算することを特徴とする。
【0013】
上記した適用例によれば、電流値を正確に求めることが可能となる。実測値を元に電流値を求めることで、最大電力を精密に取り出せる電流値を求めることが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法であって、前記第1の制御値は、前記第1の処理を行うたびに小さくなる、あるいは同じ値を保持し、前記第2の制御値は、前記第2の処理を行うたびに小さくなる、あるいは同じ値を保持することを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、最大電力点に近づくにつれ、第1の制御値や第2の制御値が順次小さくなる。そのため、始めは大きな制御値で最大電力点に近づき、最大電力点に近づいた場合、制御値は小さくなる。そのため、収束回数を抑え、かつ高い精度で、最大電力点に追従することが可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法であって、終了回数を設定し、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合に繰り返し回数を更新し、前記繰り返し回数が前記終了回数に達した場合、処理を打ち切ることを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、収束に必要な処理時間を一定に保つことができる。そのため、ハンチング等の影響による暴走が防止され、安定して収束させることが可能となる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法であって、電圧幅、電流幅、電力幅の少なくとも一つを設定し、前記第2の電力値と前記第1の電力値との差が前記電力幅より小さくなる場合、前記第2の出力電圧と前記第1の出力電圧との差が前記電圧幅より小さくなる場合、前記第2の電流制御値と前記第1の電流制御値との差が前記電流幅より小さくなる場合、の少なくとも一つが満たされた場合、処理を打ち切ることを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、誤差範囲が保証されるため、発電効率の保証が可能となる。そのため、高い精度で最大電力点に追従することが可能となる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法であって、時間間隔と、電圧、電流または電力の許容誤差を定め、前回の測定時刻から前記時間間隔だけ経過した後、開放電圧、短絡電流または電力の少なくとも一つを新たに測定し、前回の測定値との変動が前記許容誤差を超えた場合に、最大電力追従制御を再度行うことを特徴とする。
【0021】
上記した適用例によれば、最大電力追従制御を、必要な場合にのみ行わせることが可能となる。最大電力追従制御を行う場合には電力効率は低下する。上記した方法で最大電力追従制御を行うことで制御に伴う無駄な電力の消費を抑えることが可能となる。
【0022】
[適用例8]上記適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御方法であって、最大電力追従制御は動作点として前記太陽電池の電流を零にした、開放電圧を起点として最大電力追従制御を行うことを特徴とする。
【0023】
上記した適用例によれば、確実に最大電力追従制御を行うことが可能となる。例えば、最初の2点が共に開放電圧よりも高い電圧に設定された場合、最大電力追従制御は不可能になるが、開放電圧から始めることで、確実に最大電力追従制御を行うことが可能となる。
【0024】
[適用例9]本適用例にかかる太陽電池の最大電力追従制御回路は、太陽電池と、第1回路と、第2回路と、第3回路と、を含み、前記第1回路は、前記太陽電池から電力を取り出す第1の電流制御値を設定し、前記第1の電流制御値を調整する、正の値を取る第1の制御値を設定し、前記第1の電流制御値に前記第1の制御値を加えた第2の電流制御値を設定し、前記第2の電流制御値を調整する、正の値を取る第2の制御値を設定し、前記第2回路は、前記太陽電池から電力を取り出す前記第1の電流制御値に応じた電流を取り出し、前記第3回路は、前記第1の電流制御値に応じた電流を取り出した場合の前記太陽電池の第1の出力電圧を測定し、前記第1回路は、前記第1の電流制御値における前記第1の出力電圧に基づいて第1の電力値を計算し、前記第2回路は、前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、前記第3回路は、前記第2の電流制御値における前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第1の処理を実行し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第1の処理を実行し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第2の処理を実行し、前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第2の処理を実行し、前記第1の処理または前記第2の処理の後に第3の処理を行い、前記第1の処理は、前記第2の電流制御値に前記第1の制御値を加えて第3の電流制御値を設定し、前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、前記第2の処理は、前記第2の電流制御値に前記第2の制御値を減じて第3の電流制御値を設定し、前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、前記第3の処理は、前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、前記第2の電流制御値および前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算する処理を含み、前記第1の処理、第2の処理および前記第3の処理を繰り返すことを特徴とする。
【0025】
これによれば、太陽電池から負荷に供給できる電力を、電流、電圧、出力電力を元に最適化することが可能となる。そのため、太陽電池からの電力を効率良く負荷に供給する最大電力追従制御回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態にかかるアルゴリズムを実行する回路の一例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態にかかる動作を説明するためのフローチャート。
【図3】第1の実施形態にかかる動作点の移動を示すグラフ。
【図4】再開手順を説明するためのフローチャート。
【図5】第2の実施形態にかかる動作を説明するためのフローチャート。
【図6】第2の実施形態にかかる動作点の移動を示すグラフ。
【図7】第3の実施形態にかかる動作点の移動を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0028】
(第1の実施形態:制御装置のブロック図)
図1は、本実施形態にかかるアルゴリズムを実行する回路の一例を示すブロック図である。本実施形態では、第1回路としてPWM変調(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)を用いた場合について説明する。ここで、PWM変調回路は一例を示すものであり、PWM変調に代えて、例えばPFM変調(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)、PAM変調(Pulse Amplitude Modulation:パルス振幅変調)を用いても良い。制御装置100は、電流測定回路101、AD変換回路102、第2回路としての電圧測定回路103、AD変換回路104、第3回路の一部としての演算処理回路105、パルス信号発生回路106、入力端子107、出力端子108、第3回路の一部としてのメモリー領域200、第1回路としてのPWM回路250と、を備える。
【0029】
メモリー領域200は、プログラム格納用メモリー領域201、演算処理用メモリー領域202と、を備える。
PWM回路250は、コイル251、トランジスター252、フリーホイールダイオード253、出力コンデンサー254と、を備える。
そして、制御装置100は、太陽電池PVが発生した電力を入力端子107を介して受け、MPPT処理して出力端子108を介して負荷装置LOADに伝達する。
プログラム格納用メモリー領域201は、演算処理回路105にプログラムを提供し、演算処理回路105の動作を規定する。そして、演算処理用メモリー領域202は、例えばMPPT処理に用いるパラメーターを演算処理回路105に出力する。
そして演算処理用メモリー領域202は、演算処理回路105から、例えば、各動作点における出力電力や電圧、電流の情報を受けて記憶する。
電流測定回路101は、太陽電池PVから制御装置100に流入する電流値を測定し、AD変換回路102によりAD変換を行い、演算処理回路105に電流情報を伝達する。
電流測定回路101は、例えばPWM回路250を駆動するパルス信号発生回路106に情報を送る演算処理回路105とデータの交換を行うメモリー領域200の演算処理用メモリー領域202に、PWM回路250の駆動状況と電流値との関係を示すテーブルを備えている(電流制御値を変換した値を用いて電流値を求める)場合には省略可能である。
電圧測定回路103は、太陽電池PVの端子間電圧を測定し、AD変換回路104によりAD変換を行い、演算処理回路105に電圧情報を伝達する。
演算処理回路105は、例えば電流情報と、電圧情報と、電流情報と電圧情報の積となる電力を算出し、演算処理用メモリー領域202に伝達する。そして、演算処理用メモリー領域202から例えば前の電流情報、電圧情報、電力情報を受けて信号処理し、パルス信号発生回路106に、例えばパルス幅(ON時間)制御情報を伝達する。
【0030】
PWM回路250は、パルス信号発生回路106が発生したパルスを受けて、トランジスター252を導通状態として、コイル251に電流を流す。そして、パルスの供給が止まると、コイル251に流れていた電流が、フリーホイールダイオード253を介して転流し、出力コンデンサー254に電荷が蓄積される。
この場合、ON期間が長くなると、入力端子107から流入する電流が増える。即ち、入力端子107に電力を供給する装置となる太陽電池PVから見た負荷が重くなる(電流制御値が増える)。逆に、ON期間が狭くなると、太陽電池PVから取り出される電流が減る。即ち、太陽電池PVから見た負荷が軽くなる(電流制御値が減る)。このように、パルス幅を調整することで、入力端子107に電力を供給する装置の負荷を変えることが可能となる。
【0031】
(第1の実施形態:制御装置100を用いた場合の最大電力追従制御方法)
以下、上記した図1に記載されるブロック図を参照して、最大電力追従制御方法の一例について説明する。ここでは、制御装置100の入力端子107に太陽電池PVを接続し、太陽電池PVから取り出す出力電力を向上(最大化)する場合の方法について説明する。
【0032】
図2は、本実施形態にかかる動作を説明するためのフローチャートである。ここで負荷とは、制御装置100、負荷装置LOADを合わせたもので、太陽電池PVからの電力を消費する機能を備えたものとする。また、負荷装置LOADとして二次電池を用いることも好適である。
ここで、以下に示すステップを進める前に、太陽電池PVの開放電圧や短絡電流を測定しておいて、その値よりも小さな端子間電圧や、電流値を起点に、以下に示すフローを行うことも好適で、この場合、収束を早めることが可能となる。本実施形態では、太陽電池PVの開放電圧を起点として制御を行っている。
【0033】
まず、ステップ1として、終了回数としての制御継続変数を設定する。これは、後述する打ち切り手段として、電圧幅や電流幅、電力幅の今回の値と前回の値との差分が設定値より小さくなった場合に打ち切る方法を用いる場合には、制御継続変数に代えて電圧幅や電流幅、電力幅の値を設定しても良い。また、両方設定し、電圧幅や電流幅、電力幅の差分が収束しにくい場合には、制御継続変数で打ち切る構成を用いても良い。本実施形態では、制御継続変数を設定した場合について説明を続ける。
また、このステップで太陽電池PVが接続された入力端子107が受ける電流(第1の電流制御値)Iaと、正の値を持つ電流の変動分(第1の制御値)Iδaと、第2の電流制御値としての電流Ib(=Ia+Iδa)と、正の値を持つ電流の変動分(第2の制御値)Iδbの設定を行う。
次に、ステップ2として、PWM回路250のパルス幅を制御して、太陽電池PVが接続された入力端子107が受ける電流Iaを太陽電池PVから受ける。ここで、電流Iaは、電流測定回路101を用いて測定しても良いし、上記したPWM回路250の駆動状況と電流値との関係を示すテーブルを用いて算出しても良い。本実施形態では、電流測定回路101を用いた場合について説明を続ける。ここで、最初のステップとしてIa=0、即ち開放電圧を起点として用いることも好適で、開放電圧から始めることで、確実に最大電力追従制御を行うことが可能となる。
次に、ステップ3として、太陽電池PVから電流Iaを取り出すと共に、太陽電池PVの端子間電圧Va(第1の出力電圧)を測定する。
次に、ステップ4として、電力Pa(第1の電力値)=Ia×Vaを算出し、演算処理用メモリー領域202に伝達する。
次に、ステップ5として、電流Ibを流した状態で太陽電池PVの端子間電圧Vb(第2の出力電圧)を測定する。
次に、ステップ6として、電力Pb(第2の電力値)=Ib×Vbを算出し、演算処理用メモリー領域202に伝達する。
【0034】
次に、ステップ7として、電圧Vaと電圧Vbの比較と、電力Paと電力Pbとの比較と、を行う。
電圧Vaが電圧Vb以上の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb未満の値をもつ場合と、電圧Vaが電圧Vb未満の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb以上の値をもつ場合と、はステップ8に進む。
そして、電圧Vaが電圧Vb以上の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb以上の値をもつ場合と、電圧Vaが電圧Vb未満の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb未満の値をもつ場合と、はステップ9に進む。
ステップ8(第1の処理)としては、電力Pbを電力Paとして設定し、電流Ibを電流Iaとして設定する。そして、電流Ibに電流の変動分Iδaを加えたもの(第3の電流制御値)を電流Ibとして設定した後、ステップ10に進む。
ここで、電流の変動分Iδaを、ステップ9を行うたびに小さくしていくことも好適である。このようにすると、最大電力点に近づくにつれ、電流の変動分Iδaが小さくなるので、始めは大きな制御値で最大電力点に近づき、最大電力点に近づいた場合、制御値は小さくなる。そのため、収束回数を抑え、かつ高い精度で、最大電力点に追従することが可能となる。
ステップ9(第2の処理)としては、電力Pbを電力Paとして設定し、電流Ibを電流Iaとして設定する。そして、電流Ibから電流の変動分Iδbを減じたもの(第3の電流制御値)を電流Ibとして設定した後、ステップ10に進む。
ステップ10(第3の処理)としては、電力Paが電力Pb以上の値をもつ場合には、繰り返し回数を更新する。
そして、電流Ibにおいて動作する太陽電池PVの端子間電圧を測定し、電流Ibと、太陽電池PVの端子間電圧の積を計算することで第2の電力Pbを求める。
次に、ステップ11として制御継続変数と繰り返し回数とを比較する。
そして、繰り返し回数が制御継続変数よりも小さな場合には、ステップ7に戻る。そして、それ以外の場合には、ステップ12に進む。
ここで、打ち切り手段として、電圧幅や電流幅、電力幅の今回の値と前回の値との差分が設定値より小さくなった場合に打ち切る方法を用いる場合には、制御継続変数の参照に代えて電圧幅や電流幅、電力幅の値を調べ、設定値よりも小さくなった場合にステップ12に進むようにしても良い。
ステップ12は、電流Ia、端子間電圧Va、電力Paの少なくともいずれか一つを含む情報を出力(例えば、演算処理用メモリー領域202内のレジスター)する。この値を用いて太陽電池PVの負荷を調整することで、高い(最大)効率をもって太陽電池PVから電力を取り出すことが可能となる。
【0035】
次に、上記したステップに対応する動作点の移動について、グラフを用いて説明する。図3は、図2におけるステップ7、8、9に対応する動作点の移動を示すグラフであり、X軸に太陽電池PVの端子間電圧、Y軸に太陽電池PVが発生する電力を取ったものである。ここでは、端子間電圧と、電力との関係を示すグラフを用いて説明しているが、これは電流と電力との関係を用いて制御を行っても良い。
【0036】
まず、図3(a)に示すように、例えば電圧Vaが電圧Vb以上の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb未満の値をもつ場合には、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaと電流の変動分Iδaを加えたものを新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Vaとする。なお、図3では、電圧と電力との関係を用いており、電流関係の記号は隠れている。
次に、図3(b)に示すように、電圧Vaが電圧Vb以上の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb以上の値をもつ場合には、電流の変動分Iδbを減らす制御を行う。そして、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaから電流の変動分Iδbを減じたものを新たな電流Ia、そして電圧Vbを新たな電圧Vaとする。
次に、図3(c)に示すように、電圧Vaが電圧Vb未満の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb未満の値をもつ場合には、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaと電流の変動分Iδbを減じたものを新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Vaとする。
次に、図3(d)に示すように、再び電圧Vaが電圧Vb未満の値を持ち、かつ電力Paが電力Pb未満の値をもつ場合には、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaと電流の変動分Iδbを減じたものを新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Vaとする。図3(d)は新たな数値と入れ替える手前の状態を示している。
このように制御することで、2点の情報を用いたMPPT制御が可能となる。
【0037】
(第1の実施形態:MPPT制御の再開)
以下、MPPT制御の再開手順について説明する。図4は、再開手順を説明するためのフローチャートである。再開手順は、以下のフローを用いて実現できる。
まず、第1のステップとして、時間間隔と、開放電圧、短絡電流または電力の許容誤差を定める。
次に、第2のステップとして、開放電圧、短絡電流または電力を測定し、記憶する。
次に、第3のステップとして、設定した時間間隔の経過を待つ。
次に、第4のステップとして、再び開放電圧、短絡電流または電力を測定する。
次に、第5のステップとして、第2のステップで記憶された開放電圧、短絡電流または電力と、第4のステップで測定された開放電圧、短絡電流または電力とを比較し、許容誤差以上の誤差が発生した場合には、前述したMPPT制御を行う。そして、許容誤差未満の誤差に収まる場合には、第3のステップに戻る制御を行う。
このように制御することで、誤差範囲が保証されるため、発電効率の保証が可能となる。そのため、高い精度で最大電力点に追従することが可能となる。
【0038】
本実施形態を用いることで、以下に示す効果が得られる。
【0039】
2点の電力測定で負荷に供給できる電力を、電流、電圧、出力電力を元に設定することが可能となる。そのため、太陽電池からの電力を効率良く負荷に供給することが可能となる。また、3点の電力測定を行い、太陽電池が供給する電力を比較する場合と比べ、プログラム規模を2/3程度に抑えることが可能となるため、短期間でプログラムを作成することが可能となる。また、プログラム開発負荷を小さくでき、バグの発生や開発期間の短縮が実現できる。
【0040】
2つの動作点(負荷の重さ)を比較して太陽電池PVの発電効率を向上させているため、データを蓄積するレジスター(例えば演算処理用メモリー領域202内にある)の大きさを、従来の、3つの動作点で比較を行う場合と比べ、2/3にできるため、レジスターの容量を削減することが可能となる。
【0041】
電流制御値をテーブル変換して電流値を求めることで、電流値を短い時間で求めることが可能となる。特に、スイッチング動作を行うことで電流値を制御する場合、電流値は、時間軸に対して変動するが、電流制御値に対してテーブル変換を用いて電流を求めることで、このような場合でも安定して電流値を求めることが可能となる。
【0042】
電流の実測値を用いることで、電流値を正確に求めることが可能となる。実測値を元に電流値を求めることで、最大電力を精密に取り出せる電流値を求めることが可能となる。
【0043】
電力Paが電力Pb以上の値をもつ場合に、繰り返し回数を更新することで、最大電力点の探索にかかる時間を正確に見積もることが可能となる。
【0044】
電圧幅や電流幅、電力幅の今回の値と前回の値との差分が設定値より小さくなった場合に打ち切る方法を用いることで、誤差範囲が保証される。そのため、2つの動作点の間にある最大発電効率を示す動作点との乖離量が把握できることから発電効率の保証が可能となる。
【0045】
定められた時間間隔で、開放電圧、短絡電流または電力の少なくとも一つを新たに測定し、前回の測定値との変動が前記許容誤差を超えた場合に最大電力追従制御を再度行うことで、必要な場合にのみMPPT制御に用いる条件の更新を行うことができる。
開放電圧を起点として最大電力追従制御を行うことで、確実に最大電力追従制御を行うことが可能となる。例えば、最初の2点が共に開放電圧よりも高い電圧に設定された場合、最大電力追従制御は不可能になるが、開放電圧から始めることで、確実に最大電力追従制御を行うことが可能となる。
【0046】
電流の変動分Iδaを徐々に小さくすると、最大電力点に近づくにつれ、電流の変動分Iδaが小さくなるので、始めは大きな制御値で最大電力点に近づき、最大電力点に近づいた場合、制御値は小さくなる。そのため、収束回数を抑え、かつ高い精度で、最大電力点に追従することが可能となる。
【0047】
電流の変動分Iδbを徐々に小さくすると、最大電力点に近づくにつれ、電流の変動分Iδbが小さくなるので、始めは大きな制御値で最大電力点に近づき、最大電力点に近づいた場合、制御値は小さくなる。そのため、収束回数を抑え、かつ高い精度で、最大電力点に追従することが可能となる。
【0048】
PWM変調を用いる場合、負荷装置LOADの値と太陽電池PVとの最適動作点が異なっている場合でも、パルス幅を調整することで太陽電池PVの出力を変換損失を抑えて出力することが可能となる。
【0049】
(第2の実施形態:制御装置100を用いた場合の別の最大電力追従制御方法)
以下、上記した図1に記載されるブロック図を参照して、最大電力追従制御方法の別の例について説明する。ここでは、制御装置100の入力端子107に太陽電池PVを接続し、太陽電池PVから取り出す出力電力を向上(最大化)する場合の方法について説明する。
【0050】
図5は、本実施形態にかかる動作を説明するためのフローチャートである。ここで負荷とは、制御装置100、負荷装置LOADを合わせたもので、太陽電池PVからの電力を消費する機能を備えたものとする。また、負荷装置LOADとして二次電池を用いることも好適である。また、本実施形態では、太陽電池PVの開放電圧を起点として制御を行っている。
【0051】
まず、ステップ1として、回数としての制御継続変数を設定する。ここで、後述する打ち切り手段として、電圧幅や電流幅、電力幅の今回の値と前回の値との差分が設定値より小さくなった場合に打ち切る方法を用いる場合には、制御継続変数に代えて電圧幅や電流幅、電力幅の値を設定しても良い。また、両方設定し、電圧幅や電流幅、電力幅の差分が収束しにくい場合には、制御継続変数で打ち切る構成を用いても良い。本実施形態では、制御継続変数を設定した場合について説明を続ける。
次に、ステップ2として、PWM回路250のパルス幅を制御して、入力端子107に繋がる負荷を第1の値に設定する。
ここで、負荷の設定としては、入力端子107から制御装置100に流れ込む電流を制御して行うものとする。即ち、電流の変動分Iδが負荷の第2の値を表している。これは、端子間電圧を変えて制御しても良い。
次に、ステップ3として、太陽電池PVから電流Iaを取り出すと共に、太陽電池PVの端子間電圧Vaを測定し、電力Pa(第1の電力値)=Ia×Vaを算出し、演算処理用メモリー領域202に伝達する。
次に、ステップ4として、前記太陽電池からの電流の変動分Iδを設定する。
次に、ステップ5として、電流(Ia+Iδ)→Ibを流した状態で前記太陽電池の端子間電圧Vbを測定し、電力Pb=(Ia+Iδ)×Vbを算出し、演算処理用メモリー領域202に伝達する。
次に、ステップ6として、電力Paと電力Pbとの比較を行う。
電力Paの方が電力Pbよりも小さい場合には、ステップ7に進む。
そして、ステップ7として、電流(Ia+Iδ)を新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Va、電力Pbを新たな電力Paとして、ステップ4に戻る。なお、ここでは、この場合のことを成功と呼ぶ。
その他の場合(ここでは、失敗と呼ぶ)には、ステップ8aに進む。
ステップ8aでは、電流の変動分Iδの絶対値を今の値よりも小さく再設定する。例えばIδを半分の大きさに設定する。または、電力Paと電力Pbとの値を比較して、より早く収束が望める値を取るようにしても良い。
そして、電流(Ia+Iδ)を新たな電流Iaとする。
そして、端子間電圧Vbを新たな端子間電圧Vaとする。
そして、電力Pbを新たな電力Paとする。
そして、電流の変動分Iδの符号を反転する。
そして、繰り返し回数を示すカウンターをインクリメントする。
次に、ステップ9として制御継続変数とカウンターの値とを比較する。
そして、カウンターの値が制御継続変数よりも小さな場合には、ステップ4に戻る。ここで、電圧幅や電流幅、電力幅の今回の値と前回の値との差分が設定値より小さくなった場合に打ち切る方法を用いる場合には、電圧幅や電流幅、電力幅を切った場合に打ち切るよう設定しても良い。
そして、それ以外の場合には、ステップ10に進む。
ステップ10は、電流Ia、端子間電圧Va、電力Paの少なくともいずれか一つを含む情報を出力(例えば、演算処理用メモリー領域202内のレジスター)し、この値を用いて太陽電池PVの負荷を調整することで、高い(最大)効率をもって太陽電池PVから電力を取り出すことが可能となる。
まず、ステップ8aでは、電流の変動分Iδの絶対値を今の値よりも小さく再設定する。例えばIδを半分の大きさに設定する。または、電力Paと電力Pbとの値を比較して、より早く収束が望める値を取るようにしても良い。
そして、電流の変動分Iδの符号を反転する。
そして、繰り返し回数を示すカウンターをインクリメントする。
【0052】
次に、上記したステップに対応する動作点の移動について、グラフを用いて説明する。図6は、図5において、ステップ8aとステップ8bと差し替えた場合のステップ5の成功、失敗に対応する動作点の移動を示すグラフであり、X軸に太陽電池PVの端子間電圧、Y軸に太陽電池PVが発生する電力を取ったものである。ここでは、端子間電圧と、電力との関係を示すグラフを用いて説明しているが、これは電流と電力との関係を用いて制御を行っても良い。
【0053】
まず、図6(a)に示すように、電圧を下げること(電流を増やす:Iδが正)で制御が成功した場合(電力増加)には、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaと電流の変動分Iδを加えたものを新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Vaとする。なお、図6では、電圧と電力との関係を用いており、電流関係の記号は隠れている。
次に、図6(b)に示すように、さらに電圧を下げる(電流を増やした)ことで制御が失敗した場合(電力低下または現状維持)には、電流の変動分Iδの絶対値を減らし、符号を変える。ここで、カウンターの値をインクリメントする。
次に、図6(c)に示すように、電流を新しいIδ分減らし(電圧を上げる)ことで制御に成功した場合には、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaと電流の変動分Iδを加えたものを新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Vaとする。
次に、図6(d)に示すように、続けて電流を新しいIδ分減らし(電圧を上げる)ことで制御に成功した場合には、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaと電流の変動分Iδを加えたものを新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Vaとする。図6(d)は新たな数値と入れ替える手前の状態を示している。
そして、図6(b)の通過回数が規定の値に達した時点で打ち切り、制御を終了する。この方法を用いることでも、2点の情報を用いたMPPT制御が可能となる。
【0054】
(第3の実施形態:制御装置100を用いた場合のさらに別の最大電力追従制御方法)
以下、上記したブロック図を参照して、最大電力追従制御方法のさらに別の例について説明する。ここでは、制御装置100の入力端子107に太陽電池PVを接続し、太陽電池PVから取り出す出力電力を向上(最大化)する場合の方法について説明する。ここで、第3の実施形態は第2の実施形態と共通点が多く、相違点はステップ8aを主たるものとしているため、この部分について詳細に説明する。ここでは、ステップ8aに代えて、以下に示すステップ8bを用いた場合について説明し、フローチャートの重複を避ける。なお、本実施形態では、太陽電池PVの開放電圧を起点として制御を行っている。
【0055】
まず、ステップ8bでは、電流の変動分Iδの絶対値を今の値よりも小さく再設定する。例えばIδを半分の大きさに設定する。または、電力Paと電力Pbとの値を比較して、より早く収束が望める値を取るようにしても良い。
そして、電流の変動分Iδを加算する。
そして、繰り返し回数を示すカウンターをインクリメントする。
その他のフローについては、第2の実施形態と同様のフローを用いている。
【0056】
次に、上記したステップに対応する動作点の移動について、グラフを用いて説明する。図7は、図5において、ステップ8aとステップ8bと差し替えた場合のステップ5の成功、失敗に対応する動作点の移動を示すグラフであり、X軸に太陽電池PVの端子間電圧、Y軸に太陽電池PVが発生する電力を取ったものである。ここでは、端子間電圧と、電力との関係を示すグラフを用いて説明しているが、これは電流と電力との関係を用いて制御を行っても良い。
【0057】
まず、図7(a)に示すように、電圧を下げること(電流を増やす:Iδが正)で制御が成功した場合(電力増加)には、電力Pbを新たな電力Pa、電流Iaと電流の変動分Iδを加えたものを新たな電流Ia、電圧Vbを新たな電圧Vaとする。なお、図7では、電圧と電力との関係を用いており、電流関係の記号は隠れている。
次に、図7(b)に示すように、制御が成功した場合には、再び同様に書き換えを行う。そして、図7(c)に示すように、さらに電圧Vbを下げる(電流を増やす)ことで、制御が失敗した場合には、電流の変動分Iδの符号を保持した状態で小さくする。この際、繰り返し回数を示すカウンターをインクリメントする。そして、この図7(d)に示すように、より発電効率の高い動作点として、電力Pbを発生可能とする動作点に移る。図7(d)は、新たな数値と入れ替える手前の状態を示している。そして、図7(c)の通過回数が規定の値に達した時点で打ち切り、制御を終了する。この方法を用いることでも、2点の情報を用いたMPPT制御が可能となる。
【0058】
以上の説明に加え、更に以下の項を開示する。
【0059】
規定値を設定することと、太陽電池の出力電流Iaを設定することと、前記出力電流Iaを流した状態で前記太陽電池の出力電圧Vaを測定することと、前記太陽電池の出力電力Pa=Ia×Vaを算出することと、前記太陽電池の前記出力電流の変動分Iδを設定することと、出力電流(Ia+Iδ)を流した状態で前記太陽電池の出力電圧Vbを測定することと、前記太陽電池の出力電力Pb=(Ia+Iδ)×Vbを算出することと、前記出力電力Paよりも前記出力電力Pbの方が大きい場合には、前記出力電流(Ia+Iδ)を前記出力電流Iaに置き換え、前記出力電圧Vbを前記出力電圧Vaに置き換え、前記出力電力Pbを前記出力電力Paに置き換えることと、前記出力電力Paよりも前記出力電力Pbの方が小さい、または前記出力電力Paと前記出力電力Pbが等しい場合には、(1)前記変動分Iδとして前記変動分Iδと異なる符号を持ち、かつ絶対値が前記変動分Iδよりも小さい変動分を改めてIδとして設定することと、(2)前記変動分Iδとして前記変動分Iδと同じ符号を持ち、かつ絶対値が前記変動分Iδよりも小さい変動分を改めてIδとして設定することと、前記(1)、前記(2)のいずれかを実行することと、カウンターの値を変え、新しいカウンターの値に設定することと、前記新しいカウンターの値が前記規定値に達していない場合、前記出力電圧Vbを測定することに戻ることと、前記新しいカウンターの値が前記規定値に達した場合、前記出力電流Ia、前記出力電圧Va、前記出力電力Pa、の少なくともいずれか一つを含む情報を出力し、処理を終了することと、を含むことを特徴とする最大電力点追従方法。
【0060】
これによれば、2点の電力測定で負荷に供給できる電力を、電流、電圧を元に設定することが可能となる。そのため、太陽電池からの電力を効率良く負荷に供給することが可能となる。また、3点の電力測定を行い、太陽電池が供給する電力を比較する場合と比べ、プログラム規模を2/3程度に抑えることが可能となるため、短期間でプログラムを作成することが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
100…制御装置、101…電流測定回路、102…AD変換回路、103…電圧測定回路、104…AD変換回路、105…演算処理回路、106…パルス信号発生回路、107…入力端子、108…出力端子、200…メモリー領域、201…プログラム格納用メモリー領域、202…演算処理用メモリー領域、250…PWM回路、251…コイル、252…トランジスター、253…フリーホイールダイオード、254…出力コンデンサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池から電力を取り出す第1の電流制御値を設定し、
前記第1の電流制御値を調整する、正の値を取る第1の制御値を設定し、
前記第1の電流制御値に前記第1の制御値を加えた第2の電流制御値を設定し、
前記第2の電流制御値を調整する、正の値を取る第2の制御値を設定し、
前記第1の電流制御値において動作する前記太陽電池の第1の出力電圧を測定し、
前記第1の電流制御値における前記第1の出力電圧に基づいて第1の電力値を計算し、
前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、
前記第2の電流制御値における前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第1の処理を実行し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第1の処理を実行し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第2の処理を実行し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第2の処理を実行し、
前記第1の処理または前記第2の処理の後に第3の処理を行い、
前記第1の処理は、
前記第2の電流制御値に前記第1の制御値を加えて第3の電流制御値を設定し、
前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、
前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、
前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、
前記第2の処理は、
前記第2の電流制御値に前記第2の制御値を減じて第3の電流制御値を設定し、
前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、
前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、
前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、
前記第3の処理は、
前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、
前記第2の電流制御値および前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算する処理を含み、
前記第1の処理、第2の処理および前記第3の処理を繰り返すことを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池の最大電力追従制御方法であって、
前記第1の電流制御値、
前記第2の電流制御値、
前記第3の電流制御値の少なくとも一つの電流制御値に対して、
前記電流制御値を変換した値を用いて電流値を求め、電力を計算することを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の太陽電池の最大電力追従制御方法であって、
前記第1の電流制御値、
前記第2の電流制御値、
前記第3の電流制御値の少なくとも一つに対して、
実測値を用いて電力を計算することを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽電池の最大電力追従制御方法であって、
前記第1の制御値は、前記第1の処理を行うたびに小さくなる、あるいは同じ値を保持し、
前記第2の制御値は、前記第2の処理を行うたびに小さくなる、あるいは同じ値を保持することを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の最大電力追従制御方法であって、
終了回数を設定し、
前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合に繰り返し回数を更新し、
前記繰り返し回数が前記終了回数に達した場合、
処理を打ち切ることを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の最大電力追従制御方法であって、
電圧幅、電流幅、電力幅の少なくとも一つを設定し、
前記第2の電力値と前記第1の電力値との差が前記電力幅より小さくなる場合、
前記第2の出力電圧と前記第1の出力電圧との差が前記電圧幅より小さくなる場合、
前記第2の電流制御値と前記第1の電流制御値との差が前記電流幅より小さくなる場合、
の少なくとも一つが満たされた場合、
処理を打ち切ることを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽電池の最大電力追従制御方法であって、
時間間隔と、電圧、電流または電力の許容誤差を定め、
前回の測定時刻から前記時間間隔だけ経過した後、開放電圧、短絡電流または電力の少なくとも一つを新たに測定し、
前回の測定値との変動が前記許容誤差を超えた場合に、
最大電力追従制御を再度行うことを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の太陽電池の最大電力追従制御方法であって、
最大電力追従制御は動作点として前記太陽電池の電流を零にした、
開放電圧を起点として最大電力追従制御を行うことを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御方法。
【請求項9】
太陽電池と、
第1回路と、
第2回路と、
第3回路と、
を含み、
前記第1回路は、
前記太陽電池から電力を取り出す第1の電流制御値を設定し、
前記第1の電流制御値を調整する、正の値を取る第1の制御値を設定し、
前記第1の電流制御値に前記第1の制御値を加えた第2の電流制御値を設定し、
前記第2の電流制御値を調整する、正の値を取る第2の制御値を設定し、
前記第2回路は、
前記太陽電池から電力を取り出す前記第1の電流制御値に応じた電流を取り出し、
前記第3回路は、
前記第1の電流制御値に応じた電流を取り出した場合の前記太陽電池の第1の出力電圧を測定し、
前記第1回路は、
前記第1の電流制御値における前記第1の出力電圧に基づいて第1の電力値を計算し、
前記第2回路は、
前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、
前記第3回路は、
前記第2の電流制御値における前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第1の処理を実行し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第1の処理を実行し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧以上であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値以上の場合は第2の処理を実行し、
前記第1の出力電圧が前記第2の出力電圧未満であり、かつ、前記第1の電力値が前記第2の電力値未満の場合は第2の処理を実行し、
前記第1の処理または前記第2の処理の後に第3の処理を行い、
前記第1の処理は、
前記第2の電流制御値に前記第1の制御値を加えて第3の電流制御値を設定し、
前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、
前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、
前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、
前記第2の処理は、
前記第2の電流制御値に前記第2の制御値を減じて第3の電流制御値を設定し、
前記第2の電力値を前記第1の電力値として設定し、
前記第2の電流制御値を前記第1の電流制御値として設定し、
前記第3の電流制御値を前記第2の電流制御値として設定する処理を含み、
前記第3の処理は、
前記第2の電流制御値において動作する前記太陽電池の第2の出力電圧を測定し、
前記第2の電流制御値および前記第2の出力電圧に基づいて第2の電力値を計算する処理を含み、
前記第1の処理、第2の処理および前記第3の処理を繰り返すことを特徴とする
太陽電池の最大電力追従制御回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−198011(P2011−198011A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63905(P2010−63905)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】