説明

太陽電池シート

【課題】発生するエネルギーロスを低減しながらも複数の太陽電池シートを確実に接続する。
【解決手段】他の太陽電池シート1が重ね合わされる重ね合わせ部30a,30bに、2枚の太陽電池シート1が重ね合わされた場合に互いに嵌合する凸部12と凹部13とを設けるとともに、凸部12と凹部13とが嵌合した場合に互いに当接して電気的に接続される接点22,24を設け、この接点22,24が磁力によって吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を内蔵した太陽電池シートに関し、特に、複数の太陽電池シートを接続可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を受光することにより発電する太陽電池においては、石油等の化石燃料と比較して、無限なエネルギーであるとともに二酸化炭素を排出しないため、近年、有効なエネルギー発生手段として注目されており、今後もさらにその重要性が増すことが予想される。このような太陽電池は、太陽光を受光すると発電する材料が2枚の電極間に挟み込まれたパネル状あるいはシート状に形成されており、発電により生じた電位をエネルギーとして外部に取り出すことにより利用される。
【0003】
太陽電池は、その面積によって外部に取り出すことができるエネルギー量が決まるため、大きなエネルギー量を取り出すためには広い面積を有するものが好ましいが、設置する場所や用途によっては、その面積が狭いものとならざるを得ず、そのため、取り出すエネルギー量、設置する場所、用途等を鑑みてその面積が設定されている。
【0004】
ここで、上述したような太陽電池を、太陽電池を構成するセル毎に磁石によって取り外し容易にパネルに装着し、さらに、セルどうしを配線によって接続する技術が特許文献1に記載されている。この技術を用いれば、太陽電池全体の面積を容易に変更することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−105482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、太陽電池を磁石によってパネルに装着するものであるため、パネルに対するZ方向については太陽電池を磁石に固定することができるものの、パネルに対するX−Y方向については、太陽電池がパネルに固定された後にずれてしまう虞れがある。
【0007】
また、太陽電池は一般的に光―電気変換効率が低いため、発生するエネルギーロスをできるだけ抑制することが好ましいが、上述したように電気的接続を配線によって行った場合、大きなエネルギーロスが発生し、それにより、取り出すことができるエネルギー量が少なくなってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、発生するエネルギーロスを低減しながらも複数個が確実に接続される太陽電池シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
光を受光することにより発電する太陽電池部が2枚のシート間に挟み込まれてなる太陽電池シートにおいて、
他の太陽電池シートが重ね合わされる重ね合わせ部を有し、
前記重ね合わせ部には、
前記2枚のシートのうち一方のシートから表出し、前記太陽電池部にて発電したエネルギーを取り出すための第1の接点と、
前記2枚のシートのうち前記一方のシートに設けられた第1のずれ防止手段と、
前記2枚のシートのうち他方のシートに設けられ、当該太陽電池シートが前記他の太陽電池シートに重ね合わされた場合に、前記他の太陽電池シートの前記第1のずれ防止手段に嵌合する第2のずれ防止手段と、
前記1のずれ防止手段と前記他の太陽電池シートの前記第2のずれ防止手段とが嵌合した場合に前記他の太陽電池シートの前記第1の接点と当接し、前記太陽電池部にて発電したエネルギーを取り出すための第2の接点とが設けられ、
前記第1のずれ防止手段と前記他の太陽電池シートの前記第2のずれ防止手段とが嵌合することによって当該太陽電池シートの前記他の太陽電池シートに対するX−Y方向のずれが防止され、
前記第1の接点と前記第2の接点とは、互いに当接した場合に磁力によって吸着されることを特徴とする。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、大きなエネルギーを必要とするために複数個を接続する場合、2枚の太陽電池シートを重ね合わせ部にて互いに重ね合わせる。すると、太陽電池シートに設けられた第1のずれ防止手段と、その太陽電池シートに重ね合わされた他の太陽電池シートに設けられた第2のずれ防止手段とが嵌合し、それにより、太陽電池シートの他の太陽電池シートに対するX−Y方向のずれが防止される。そして、太陽電池シートには、太陽電池部にて発電したエネルギーを取り出すための第1の接点及び第2の接点が設けられているが、上述したように太陽電池シートの第1のずれ防止手段とこの太陽電池シートに重ね合わされた他の太陽電池シートの第2のずれ防止手段とが嵌合した状態においては、太陽電池シートの第1の接点とこの太陽電池シートに重ね合わされた他の太陽電池シートの第2の接点とが当接し、これらが磁力によって吸着された状態で2枚の太陽電池シートの太陽電池部が電気的に接続される。
【0011】
このように、複数個の太陽電池シートを重ね合わせ部にて重ね合わせた場合、太陽電池シートに設けられた第1のずれ防止手段と、この太陽電池シートに重ね合わされた他の太陽電池シートに設けられた第2のずれ防止手段とが嵌合することにより、重ね合わされた複数個の太陽電池シートのX−Y方向のずれが防止され、また、その状態においては、太陽電池シートに設けられた第1の接点と、この太陽電池シートに重ね合わされた他の太陽電池シートに設けられた第2の接点とが磁力によって吸着されるので、複数個の太陽電池シートのZ方向におけるずれも防止され、かつ、太陽電池シートの第1の接点と他の太陽電池シートの第2の接点とが当接することによって、太陽電池シートの太陽電池部とこれに重ね合わされた他の太陽電池シートの太陽電池部とが電気的に接続されることにより、配線を用いて接続した場合と比べて発生するエネルギーロスが少なくなる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明においては、複数個の太陽電池シートを重ね合わせ部にて重ね合わせた場合、太陽電池シートに設けられた第1のずれ防止手段と、この太陽電池シートに重ね合わされた他の太陽電池シートに設けられた第2のずれ防止手段とが嵌合することにより、重ね合わされた複数個の太陽電池シートのX−Y方向のずれが防止され、また、その状態においては、太陽電池シートに設けられた第1の接点と、この太陽電池シートに重ね合わされた他の太陽電池シートに設けられた第2の接点とが磁力によって吸着されるので、複数個の太陽電池シートのZ方向におけるずれも防止されるとともに、太陽電池シートの第1の接点と他の太陽電池シートの第2の接点とが当接することによって、太陽電池シートの太陽電池部とこれに重ね合わされた他の太陽電池シートの太陽電池部とが電気的に接続されることにより、配線を用いて接続した場合と比べて発生するエネルギーロスが少なくなり、それにより、発生するエネルギーロスを低減しながらも複数個を確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の太陽電池シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は(a)に示したB―B’断面図、(e)は内部の配線図である。
【図2】図1に示した太陽電池シートの使用方法を説明するための図であり、(a)は2枚の太陽電池シートを重ね合わせた状態を示す外観図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図、(d)は2枚の太陽電池シートを重ね合わせた状態における回路構成図である。
【図3】本発明の太陽電池シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は(a)に示したB―B’断面図、(e)は(a)に示したC―C’断面図、(f)は内部の配線図である。
【図4】図3に示した太陽電池シートの使用方法を説明するための図であり、(a)は4枚の太陽電池シートを重ね合わせた状態を示す外観図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図、(d)は(a)に示したC−C’断面図、(e)は(a)に示したD−D’断面図、(f)は(a)に示したE−E’断面図である。
【図5】図3に示した太陽電池シートを図4に示すように4枚重ね合わせた状態における回路構成図である。
【図6】本発明の太陽電池シートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の太陽電池シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は(a)に示したB―B’断面図、(e)は内部の配線図である。
【0016】
本形態は図1に示すように、2枚の表面シート10a,10b間に太陽電池部20が挟み込まれて構成されており、太陽電池部20に対向しない領域のうち、図中上下端部に、他の太陽電池シートが重ね合わされる重ね合わせ部30a,30bを有している。
【0017】
表面シート10aは、透明な樹脂フィルム等から構成されており、太陽電池部20に対向する領域に窓部11を有している。この窓部11は、太陽電池部20が、表面シート10a,10bの中央部分にて挟み込まれていることにより、表面シート10aの中央部分に形成されている。すなわち、窓部11は、表面シート10aの重ね合わせ部30a,30bとはならない領域に形成されており、表面シート10aの窓部11以外の領域が着色されることにより形成されている。また、重ね合わせ部30aにおいては、太陽電池部20にて発電したエネルギーを取り出すための第1の接点22及び接点23が表出しているとともに、重ね合わせ部30aとなる側の辺部に沿って、第1のずれ防止手段となるライン状のジッパーからなる凸部12が形成されている。
【0018】
表面シート10bは、樹脂フィルム等から構成されており、重ね合わせ部30bにおいて、太陽電池部20にて発電したエネルギーを取り出すための第2の接点24が表出しているとともに、重ね合わせ部30bとなる側の辺部に沿って、第2のずれ防止手段となるライン状のジッパーからなる凹部13が形成されている。
【0019】
表面シート10aから表出した接点22と、表面シート10bから表出した接点24とは、このように構成された2枚の太陽電池シート1が、一方の太陽電池シート1の表面シート10aの重ね合わせ部30aと、他方の太陽電池シート1の表面シート10bの重ね合わせ部30bとのみが重なるように重ね合わされた場合に互いに対向する領域に配置されている。
【0020】
太陽電池部20は、例えば、白金からなる2枚の電極間に、色素がついた酸化チタンを含有するヨウ素溶液が配され、光を受光することにより発電する複数のセル21が直列に接続されて構成され、その一方の端子に接点22が接続され、他方の端子に接点23,24が接続されている。この接点22〜24は、例えば、磁石の表面が金属でコーティングされていることにより、導電性を有しながらも磁力によって互いに吸着可能な構成となっている。
【0021】
以下に、上記のように構成された太陽電池シート1の使用方法について説明する。
【0022】
図2は、図1に示した太陽電池シート1の使用方法を説明するための図であり、(a)は2枚の太陽電池シート1を重ね合わせた状態を示す外観図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図、(d)は2枚の太陽電池シート1を重ね合わせた状態における回路構成図である。なお、図2に示す2枚の太陽電池シート1a,1bは、図1に示した太陽電池シート1と同様の構成を有するものである。
【0023】
図1に示した太陽電池シート1を2枚重ね合わせる場合は、図2(a)に示すように、一方の太陽電池シート1aの表面シート10aに他方の太陽電池シート1bの表面シート10bが対向するように、かつ、太陽電池シート1aの重ね合わせ部30aと太陽電池シート1bの重ね合わせ部30bとのみが重なるように2枚の太陽電池シート1a,1bを重ね合わせる。
【0024】
すると、図2(b)に示すように、太陽電池シート1aの重ね合わせ部30aにて表面シート10aに形成された凸部12と、太陽電池シート1bの重ね合わせ部30bにて表面シート10bに形成された凹部13とが嵌合する。これら嵌合した凸部12と凹部13とは、それぞれ、ライン状に形成されたものであるため、互いに嵌合すると、太陽電池シート1aと太陽電池シート1bとのX−Y方向のずれが防止される。
【0025】
また、このように、太陽電池シート1aの重ね合わせ部30aにて表面シート10aに形成された凸部12と、太陽電池シート1bの重ね合わせ部30bにて表面シート10bに形成された凹部13とが嵌合すると、図2(c)に示すように、太陽電池シート1aの重ね合わせ部30aにて表面シート10aから表出した接点22と、太陽電池シート1bの重ね合わせ部30bにて表面シート10bから表出した接点24とが当接する。
【0026】
これら互いに当接した接点22,24は、上述したように磁力によって互いに吸着可能となっているため、互いに当接すると、太陽電池シート1aと太陽電池シート1bとのZ方向のずれについても防止される。なお、このように接点22と接点24とが互いに吸着可能とするために、例えば、接点22をN極、接点24をS極とすることが考えられる。
【0027】
このように、重ね合わされた2枚の太陽電池シート1a,1bのX,Y,Z方向のずれが防止されるので、重ね合わされた2枚の太陽電池シート1a,1bが確実に接続されることになる。
【0028】
また、太陽電池シート1aの接点22と太陽電池シート1bの接点24とが当接すると、互いに当接した接点22,24が導電性を有するため、図2(d)に示すように、複数のセル21が直接に接続されてなる太陽電池シート1aの太陽電池部20と、複数のセル21が直接に接続されてなる太陽電池シート1bの太陽電池部20とが直接に接続された状態となり、2枚の太陽電池シート1a,1bの太陽電池部20にて発電したエネルギーを太陽電池シート1aの接点23または接点24と太陽電池シート1bの接点22とから取り出せば、1枚の太陽電池シート1からエネルギーを取り出す場合と比べて2倍の電流量を取り出すことができるようになる。そして、そのために2枚の太陽電池シート1a,1bを接続するための接点22,24が磁力によって吸着されているので、2枚の太陽電池シート1a,1bを配線を用いて接続した場合と比べて接続におけるエネルギーロスが低減する。
【0029】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の太陽電池シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図、(d)は(a)に示したB―B’断面図、(e)は(a)に示したC―C’断面図、(f)は内部の配線図である。
【0030】
本形態は図3に示すように、第1の実施の形態にて示したものに対して、太陽電池部120に対向しない領域の全てが、他の太陽電池シートが重ね合わされる重ね合わせ部130a〜130dとなっている点が異なるものである。そして、第1の実施の形態に示したものと同様に、太陽電池部120に対向する窓部111が表面シート110aの中央部分に形成されていることから、重ね合わせ部130a〜130dは、その端部にて互いに交差する部分を有している。
【0031】
表面シート110aは、重ね合わせ部130aと重ね合わせ部130cとが交差する領域に、太陽電池部120にて発電したエネルギーを取り出すための第1の接点122及び接点123が表出しており、また、重ね合わせ部130aと重ね合わせ部130dとが交差する領域に、太陽電池部120にて発電したエネルギーを取り出すための第1の接点125が表出しており、また、重ね合わせ部130bと重ね合わせ部130dとが交差する領域に、太陽電池部120にて発電したエネルギーを取り出すための第1の接点126が表出している。また、重ね合わせ部130a,130dとなる側のそれぞれの辺部に沿って、第1のずれ防止手段となるライン状のジッパーからなる凸部112a,112bが形成されている。
【0032】
表面シート110bは、重ね合わせ部130bと重ね合わせ部130cとが交差する領域に、太陽電池部120にて発電したエネルギーを取り出すための第2の接点124が表出しており、また、重ね合わせ部130aと重ね合わせ部130cとが交差する領域に、太陽電池部120にて発電したエネルギーを取り出すための第2の接点127が表出している。また、重ね合わせ部130b,130cとなる側のそれぞれの辺部に沿って、第2のずれ防止手段となるライン状のジッパーからなる凹部113a,113bが形成されている。
【0033】
表面シート110aから表出した接点122と、表面シート110bから表出した接点124とは、このように構成された2枚の太陽電池シート101が、一方の太陽電池シート101の表面シート110aの重ね合わせ部130aと、他方の太陽電池シート101の表面シート110bの重ね合わせ部130bとのみが重なるように重ね合わされた場合に互いに対向する領域に配置されている。
【0034】
また、表面シート110aから表出した接点125と、表面シート110bから表出した接点127とは、このように構成された2枚の太陽電池シート101が、一方の太陽電池シート101の表面シート110aの重ね合わせ部130dと、他方の太陽電池シート101の表面シート110bの重ね合わせ部130cとのみが重なるように重ね合わされた場合に互いに対向する領域に配置されており、また、表面シート110aから表出した接点126と、表面シート110bから表出した接点124とは、このように構成された2枚の太陽電池シート101が、同様に一方の太陽電池シート101の表面シート110aの重ね合わせ部130dと、他方の太陽電池シート101の表面シート110bの重ね合わせ部130cとのみが重なるように重ね合わされた場合に互いに対向する領域に配置されている。
【0035】
太陽電池部120は、光を受光することにより発電する複数のセル121が直列に接続されて構成され、その一方の端子に接点122,125,127が接続され、他方の端子に接点123,124,126が接続されている。この接点122〜127は、例えば、磁石の表面が金属でコーティングされていることにより、導電性を有しながらも磁力によって互いに吸着可能な構成となっている。
【0036】
以下に、上記のように構成された太陽電池シート101の使用方法について説明する。
【0037】
図4は、図3に示した太陽電池シート101の使用方法を説明するための図であり、(a)は4枚の太陽電池シート101を重ね合わせた状態を示す外観図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図、(d)は(a)に示したC−C’断面図、(e)は(a)に示したD−D’断面図、(f)は(a)に示したE−E’断面図である。また、図5は、図3に示した太陽電池シート101を図4に示すように4枚重ね合わせた状態における回路構成図である。なお、図4及び図5に示す4枚の太陽電池シート101a〜101dは、図3に示した太陽電池シート101と同様の構成を有するものである。
【0038】
図3に示した太陽電池シート101を4枚重ね合わせる場合は、図4(a)に示すように、まず、2枚の太陽電池シート101a,101bについて、太陽電池シート101aの表面シート110aに太陽電池シート101bの表面シート110bが対向するように、かつ、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130aと太陽電池シート101bの重ね合わせ部130bとのみが重なるように重ね合わせる。同様に、2枚の太陽電池シート101c,101dについて、太陽電池シート101cの表面シート110aに太陽電池シート101dの表面シート110bが対向するように、かつ、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130aと太陽電池シート101dの重ね合わせ部130bとのみが重なるように重ね合わせる。
【0039】
すると、図4(b)に示すように、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130aにて表面シート110aに形成された凸部112aと、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130bにて表面シート110bに形成された凹部113aとが嵌合する。これら嵌合した凸部112aと凹部113aとは、それぞれ、ライン状に形成されたものであるため、互いに嵌合すると、太陽電池シート101aと太陽電池シート101bとのX−Y方向のずれが防止される。また、太陽電池シート101c,101dについても同様に、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130aにて表面シート110aに形成された凸部112aと、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130bにて表面シート110bに形成された凹部113aとが嵌合する。これら嵌合した凸部112aと凹部113aとは、それぞれ、ライン状に形成されたものであるため、互いに嵌合すると、太陽電池シート101cと太陽電池シート101dとのX−Y方向のずれが防止される。
【0040】
また、このように、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130aにて表面シート110aに形成された凸部112aと、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130bにて表面シート110bに形成された凹部113aとが嵌合すると、図4(c)に示すように、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130aにて表面シート110aから表出した接点122と、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130bにて表面シート110bから表出した接点124とが当接する。また、太陽電池シート101c,101dについても同様に、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130aにて表面シート110aに形成された凸部112aと、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130bにて表面シート110bに形成された凹部113aとが嵌合すると、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130aにて表面シート110aから表出した接点122と、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130bにて表面シート110bから表出した接点124とが当接する。
【0041】
これら互いに当接した接点122,124は、上述したように磁力によって互いに吸着可能となっているため、互いに当接すると、太陽電池シート101aと太陽電池シート101bとのZ方向のずれ、並びに、太陽電池シート101cと太陽電池シート101dとのZ方向のずれについても防止される。なお、このように接点122と接点124とが互いに吸着可能とするために、例えば、接点122をN極、接点124をS極とすることが考えられる。
【0042】
次に、このようにX−Y方向についてずれが防止された状態で固定された太陽電池シート101a,101bと、太陽電池シート101c,101dとを図4(a)に示すように、太陽電池シート101a,101bの表面シート110aに太陽電池シート101c,101dの表面シート110bが対向するように、かつ、太陽電池シート101a,101bの重ね合わせ部130dと太陽電池シート101c,101dの重ね合わせ部130cとが重なるように重ね合わせる。
【0043】
すると、図4(d)に示すように、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130dにて表面シート110aに形成された凸部112bと、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130cにて表面シート110bに形成された凹部113bとが嵌合する。これら嵌合した凸部112bと凹部113bとは、それぞれ、ライン状に形成されたものであるため、互いに嵌合すると、太陽電池シート101aと太陽電池シート101cとのX−Y方向のずれが防止される。また、太陽電池シート101b,101dについても同様に、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130dにて表面シート110aに形成された凸部112bと、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130cにて表面シート110bに形成された凹部113bとが嵌合する。これら嵌合した凸部112bと凹部113bとは、それぞれ、ライン状に形成されたものであるため、互いに嵌合すると、太陽電池シート101bと太陽電池シート101dとのX−Y方向のずれが防止される。
【0044】
また、このように、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130dにて表面シート110aに形成された凸部112bと、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130cにて表面シート110bに形成された凹部113bとが嵌合すると、図4(e)に示すように、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130dにて表面シート110aから表出した接点126と、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130cにて表面シート110bから表出した接点124とが当接する。また、太陽電池シート101b,101dについては、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130dにて表面シート110aに形成された凸部112bと、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130cにて表面シート110bに形成された凹部113bとが嵌合すると、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130dにて表面シート110aから表出した接点126と、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130cにて表面シート110bから表出した接点124とが対向するが、この領域においては、太陽電池シート101bと太陽電池シート101dとの間に太陽電池シート101cが介在するため、これらは当接しない。
【0045】
また、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130dにて表面シート110aに形成された凸部112bと、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130cにて表面シート110bに形成された凹部113bとが嵌合すると、図4(f)に示すように、太陽電池シート101bの重ね合わせ部130dにて表面シート110aから表出した接点125と、太陽電池シート101dの重ね合わせ部130cにて表面シート110bから表出した接点127とが当接する。また、太陽電池シート101a,101cについては、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130dにて表面シート110aに形成された凸部112bと、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130cにて表面シート110bに形成された凹部113bとが嵌合すると、太陽電池シート101aの重ね合わせ部130dにて表面シート110aから表出した接点125と、太陽電池シート101cの重ね合わせ部130cにて表面シート110bから表出した接点127とが対向するが、この領域においては、太陽電池シート101aと太陽電池シート101cとの間に太陽電池シート101bが介在しているため、これらは当接しない。
【0046】
これら互いに当接した接点122,124、接点124,126、接点125,127は、上述したように磁力によって互いに吸着可能となっているため、互いに当接すると、太陽電池シート101aと太陽電池シート101bとのZ方向のずれ、並びに、太陽電池シート101cと太陽電池シート101dとのZ方向のずれについても防止される。なお、このように接点122と接点124、接点124と接点126、接点125と接点127とが互いに吸着可能とするために、例えば、接点122,125,126をN極、接点124,127をS極とすることが考えられる。
【0047】
このように、重ね合わされた4枚の太陽電池シート101a〜101dのX,Y,Z方向のずれが防止されるので、重ね合わされた4枚の太陽電池シート101a〜101dが確実に接続されることになる。
【0048】
また、図5に示すように、太陽電池シート101aの接点122と太陽電池シート101bの接点124とが当接すると、互いに当接した接点122,124が導電性を有するため、複数のセル121が直接に接続されてなる太陽電池シート101aの太陽電池部120と、複数のセル121が直接に接続されてなる太陽電池シート101bの太陽電池部120とが直接に接続された状態となり、また、太陽電池シート101cの接点122と太陽電池シート101dの接点124とが当接することにより、複数のセル121が直接に接続されてなる太陽電池シート101cの太陽電池部120と、複数のセル121が直接に接続されてなる太陽電池シート101dの太陽電池部120とが直接に接続された状態となる。そして、太陽電池シート101aの接点126と太陽電池シート101cの接点124とが当接するとともに、太陽電池シート101cの接点125と太陽電池シート101dの接点127とが当接すると、これら互いに当接した接点124〜127が導電性を有するため、直列に接続された太陽電池シート101a,101bと、太陽電池シート101c,101dとが、太陽電池シート101a,101cの接点123,124,126と太陽電池シート101b,101dの接点122,125,127との間で並列に接続された状態となり、これら4枚の太陽電池シート101a〜101dの太陽電池部120にて発電したエネルギーを太陽電池シート101a,101cの接点123,124,126と太陽電池シート101b,101dの接点122,125,127とから取り出せば、1枚の太陽電池シート101からエネルギーを取り出す場合と比べて2倍の電流量でかつ2倍の電圧のエネルギーを取り出すことができるようになる。そして、そのために4枚の太陽電池シート101a〜101dを接続するための接点122,124〜127が磁力によって吸着されているので、4枚の太陽電池シート101a〜101dを配線を用いて接続した場合と比べて接続におけるエネルギーロスが低減する。
【0049】
なお、本形態においては、図3に示した太陽電池シート101を4枚重ね合わせた場合を例に挙げて説明したが、図3に示した太陽電池シート101をマトリックス状にさらに多く重ね合わせても同様の作用が生じる。その場合、太陽電池シート101の重ね合わせ状態によっては、表面シート110a,110bに貫通穴を形成し、その貫通穴に接点を埋め込み、表面シート110a,110bの両方から接点が表出するような構成とすることも考えられる。
【0050】
また、上述した2つの実施の形態に示したもののように、複数の太陽電池シート1,101のX−Y方向のずれを防止するための凸部12,112a,112bや凹部13,113a,113bとして、ジッパーからなるものを用いることにより、表面シート10a,10b,110a,110bが樹脂フィルムから構成されるものである場合、表面シート10a,10b,110a,110bと一体成型することができる。
【0051】
(他の実施の形態)
図6は、本発明の太陽電池シートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は裏面から見た図、(c)は(a)に示したA―A’断面図である。
【0052】
本形態は図6に示すように、第1の実施の形態にて示したものに対して、表面シート210aにライン状の凸部12の代わりに2つの凸状ボタン212が形成され、また、表面シート210bにライン状の凹部13の代わりに2つの凹状ボタン213が形成されている点が異なるものである。
【0053】
上記のように構成された太陽電池シート201は、2枚の太陽電池シート201が第1の実施の形態にて示したものと同様に重ね合わされると、太陽電池シート201の凸状ボタン212とそれに重ね合わされる太陽電池シート201の凹状ボタン213とが嵌合し、それにより、重ね合わされた2枚の太陽電池シート201のX−Y方向のずれが防止されることになる。また、その際、第1の実施の形態にて示したものと同様に、太陽電池シート201の接点222とそれに重ね合わされる太陽電池シート201の接点224とが当接し、これらが磁力で吸着されるとともに電気的に接続されることになる。
【符号の説明】
【0054】
1,1a,1b,101,101a,101b,101c,101d,201 太陽電池シート
10a,10b,110a,110b,210a,210b 表面シート
11,111,211 窓部
12,112a,112b 凸部
13,113a,113b 凹部
20,120,220 太陽電池部
21,121 セル
22〜24,122〜127,222〜224 接点
30a,30b,130a〜130d,230a,230b 重ね合わせ部
212 凸状ボタン
213 凹状ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光することにより発電する太陽電池部が2枚のシート間に挟み込まれてなる太陽電池シートにおいて、
他の太陽電池シートが重ね合わされる重ね合わせ部を有し、
前記重ね合わせ部には、
前記2枚のシートのうち一方のシートから表出し、前記太陽電池部にて発電したエネルギーを取り出すための第1の接点と、
前記2枚のシートのうち前記一方のシートに設けられた第1のずれ防止手段と、
前記2枚のシートのうち他方のシートに設けられ、当該太陽電池シートが前記他の太陽電池シートに重ね合わされた場合に、前記他の太陽電池シートの前記第1のずれ防止手段に嵌合する第2のずれ防止手段と、
前記1のずれ防止手段と前記他の太陽電池シートの前記第2のずれ防止手段とが嵌合した場合に前記他の太陽電池シートの前記第1の接点と当接し、前記太陽電池部にて発電したエネルギーを取り出すための第2の接点とが設けられ、
前記第1のずれ防止手段と前記他の太陽電池シートの前記第2のずれ防止手段とが嵌合することによって当該太陽電池シートの前記他の太陽電池シートに対するX−Y方向のずれが防止され、
前記第1の接点と前記第2の接点とは、互いに当接した場合に磁力によって吸着されることを特徴とする太陽電池シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−34783(P2011−34783A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179335(P2009−179335)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】