説明

太陽電池モジュール

【課題】 充填材にポリビニルアセタール、裏面保護部材にポリエステルなどの樹脂シートを使用した場合でも、充填材と裏面側保護部材の層間接着性に優れている太陽電池モジュールを提供すること。
【解決手段】 ポリビニルアセタール層(A層)と、樹脂層(B層)との間に、アルコキシシリル基とアミノ基あるいはエポキシ基を有し分子量が500以下の化合物を含む接着層(C層)を有する積層体を含む太陽電池モジュールによって、上記課題が達成される。
またポリビニルアセタール層(A層)と、樹脂層(B層)の積層体であって、A層とB層の少なくとも一層にアルコキシシリル基とアミノ基あるいはエポキシ基を有し分子量が500以下の化合物が添加されてなる積層体を含む太陽電池モジュールによって、上記課題が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアセタールと樹脂との積層体を含む太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を電気エネルギーに直接変換する太陽電池が広く使用されており、またさらなる高機能化を目指して開発が進められている。
【0003】
太陽電池は、一般に表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に、充填材を用いてシリコンなどの発電素子を封止した構成になっている。これら表面側透明保護部材、裏面側保護部材には高い耐候性や耐透湿性が求められている。また充填材には、発電素子を外部衝撃や水分、その他腐食性化合物から発電素子を保護することが求められる。これらの特性を有する材料として、表面側透明保護部材としてはガラスが広く用いられており、また裏面側保護部材としてはガラス、あるいはフッ素系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、さらにそれらを積層したシートなどが用いられている。
【0004】
また充填材としては上記の特性を有し、また入手が容易であるという観点からエチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋したものが一般的である。ところがエチレン−酢酸ビニル共重合体は、吸湿による加水分解、あるいは熱分解などによって酢酸を発生し、太陽電池を構成する部材の腐食を引き起こすことがあり、またガラスとの接着性が十分でないことから長期使用時にガラスから剥離して発電効率の低下を引き起こす、また太陽電池モジュールの外観を損なう、といった問題が指摘されている。
【0005】
これらの長期使用時の信頼性に関する問題を解決する方法として、充填材にポリビニルアセタールを使用する検討がなされている。ポリビニルアセタールは吸水による加水分解や、熱分解などによる酢酸の発生が起こらず、またガラスとの接着性にも優れるため好適である。
【0006】
ところが充填材としてポリビニルアセタール、裏面側保護部材としてポリエステルなどの樹脂シートを使用(特許文献1)した場合、充填材と樹脂シートの間の接着性が弱いことが問題になる。充填材と樹脂シートの間の接着性が弱いと、外部からの衝撃、充填材と樹脂シートの熱膨張率の違いによるひずみ、あるいは充填材の吸湿などによって充填材と樹脂シートの間の剥離が起こりやすい、といった問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−53298
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、充填材にポリビニルアセタール、裏面保護部材にポリエステルなどの樹脂シートを使用することで、長期使用時においても物性の経時変化が起こらず、しかも充填材と裏面側保護部材の層間接着性に優れた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、ポリビニルアセタール層(A層)と樹脂層(B層)が、アルコキシシリル基とアミノ基を有し分子量が500以下の化合物を含有する接着層(C層)を介してなる積層体を含む太陽電池モジュールによって好適に達成される。
さらに、ポリビニルアセタール層(A層)と樹脂層(B層)が、アルコキシシリル基とエポキシ基を有し分子量が500以下の化合物を含有する接着層(C層)を介してなる積層体を含む太陽電池モジュールによって好適に達成される。
【0010】
また上記目的は、ポリビニルアセタール層(A層)と、樹脂層(B層)の積層体であって、A層とB層の少なくとも一層にアルコキシシリル基とアミノ基を有し分子量が500以下の化合物が添加されてなる積層体を含む太陽電池モジュールによっても達成される。
さらに、ポリビニルアセタール層(A層)と、樹脂層(B層)の積層体であって、A層とB層の少なくとも一層にアルコキシシリル基とエポキシ基を有し分子量が500以下の化合物が添加されてなる積層体を含む太陽電池モジュールによっても達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の太陽電池モジュールは、充填材にポリビニルアセタール、裏面保護部材にポリエステルなどの樹脂シートを使用した場合でも、充填材と裏面側保護部材の層間接着性に優れているため好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず本発明で使用されるアルコキシシリル基を有する化合物について説明する。
アルコキシシリル基は、ケイ素とアルコキシ基が直接結合してなる官能基で、空気中の水分で加水分解して、シラノール基(Si−OH)を形成し、ポリビニルアセタールのヒドロキシル基、また樹脂層(B層)に含まれる極性官能基と強い相互作用(水素結合)を形成することができる。
アルコキシシリル基を有する化合物のアルコキシ基は特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。またこれらアルコキシ基を含むアルコキシシリル基としては、トリアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基のひとつのアルコキシ基を炭素数1〜10の炭化水素基で置き換えたジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基のふたつのアルコキシ基を炭素数1〜10の炭化水素基で置き換えたモノアルコキシシリル基などが挙げられる。炭素数1〜10の炭化水素基は特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基などがあげられる。
【0013】
本発明では、アルコキシシリル基を有する化合物はアミノ基またはエポキシ基を有することが必要である。
アルコキシシリル基とエポキシ基を有する化合物を具体的に例示すると、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
さらにアルコキシシリル基とアミノ基を有する化合物を具体的に例示すると、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)プロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
本発明の太陽電池モジュールにアルコキシシリル基とエポキシ基を有する化合物、アルコキシシリル基とアミノ基を有する化合物(以降、これらをまとめてアルコキシシリル基を有する化合物とする)を使用することで、A層とB層が特に高い接着性を発現するため好適である。
【0014】
本発明の太陽電池モジュールに含まれる積層体において、アルコキシシリル基を有する化合物をポリビニルアセタール層(A層)および樹脂層(B層)の少なくとも一層に添加する場合、その添加量は特に限定されないが、好ましくは添加する対象のA層および/またはB層の重量に対するアルコキシシリル基を有する化合物の合計量が0.001〜5重量%、より好ましくは0.005〜3重量%、最適には0.01〜2重量%である。
またアルコキシシリル基を有する化合物を含む接着層(C層)を有する場合には、A層および/またはB層の表面にアルコキシシリル基を有する化合物を含む組成物を用いて接着層(C層)を形成した後にA層とB層を積層する方法、あるいは個別に作製したA層、B層、C層をラミネートする方法などが挙げられる。C層中のアルコキシシリル基を有する化合物の含有量は特に限定されないが、80重量%以上が好適であり、さらに好適には90重量%以上、最適には95重量%以上である。
【0015】
本発明で使用されるアルコキシシリル基を有する化合物は、その分子量が500以下、さらに好適には450以下、最適には400以下であることが好ましい。アルコキシシリル基を有する化合物の分子量が上記範囲を満たす場合には、上記C層を形成する際に使用するアルコキシシリル基を有する化合物を含む組成物の取り扱い性が良好であり、アルコキシシリル基を有する化合物をA層、またはB層に添加する場合には、A層、B層との相溶性が良いので好適である。
【0016】
次にポリビニルアセタール層(A層)について説明する。
ポリビニルアセタールは、通常、ビニルアルコール系重合体を原料として製造される。上記ビニルアルコール系重合体は、従来公知の手法、すなわちビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などが適用でき、この中でもメタノールを溶剤とし苛性ソーダ(NaOH)触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
【0017】
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
【0018】
また、前記ビニルエステル系単量体を重合する場合、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体と共重合させることもできる。他の単量体の例としては、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。これらの単量体は通常、ビニルエステル系単量体に対して10モル%未満の割合で用いられる。
【0019】
本発明に用いられるポリビニルアセタールは、たとえば、次のような方法によって得ることができる。
まず、3〜30重量%濃度のビニルアルコール系重合体の水溶液を、80〜100℃の温度範囲に調整し、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後、反応液を30〜200分かけて、40〜80℃の温度まで昇温し、その温度を1〜6時間保持する。次に反応液を、好適には室温まで冷却し、水洗した後、アルカリなどの中和剤を添加して水洗、乾燥することにより、本発明で用いるポリビニルアセタールが得られる。
【0020】
アセタール化反応に用いる酸触媒としては特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でも塩酸、硫酸、硝酸が好ましく用いられ、とりわけ塩酸が好ましく用いられる。
【0021】
本発明においては、炭素数1〜8のアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタールを用いることが好ましい。炭素数1〜8のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、二種以上が併用されてもよい。これらの中でも炭素数4〜6のアルデヒド、特にn−ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。すなわち、本発明に用いられるポリビニルアセタールとしては、炭素数1〜8のアルデヒド、特に炭素数4〜6のアルデヒドを用いたポリビニルアセタール、中でもn−ブチルアルデヒドを用いたポリビニルブチラールが好ましい。
【0022】
ポリビニルアセタールのアセタール化度は、40〜85モル%であることが好適であり、さらに好適には50〜85モル%である。アセタール化度がこの範囲にあるとき、層間接着性、強度、透明性が優れる。また、本発明の目的をより好適に達成するためには、ポリビニルアセタール樹脂のビニルエステル単位含有量は0.1〜30モル%、より好適には0.1〜20モル%、ビニルアルコール単位含有量は10〜50モル%、より好適には10〜40モル%であることがよい。
なお、上記アセタール化度、ビニルエステル単位含有量、ビニルアルコール単位含有量の値は、アセタール化度(ビニルアセタール単位含有量)、ビニルエステル単位含有量、ビニルアルコール単位含有量の合計量に対する値である。
【0023】
本発明に用いられるポリビニルアセタールの原料となるビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度は用途に応じて適宜選択されるが、150〜3000のものが好ましく、200〜2000のものがより好ましい。
【0024】
ポリビニルアセタール層(A層)には、可塑剤が含まれていることが好ましい。可塑剤としては特に限定されないが、一価カルボン酸エステル系、多価カルボン酸エステル系などのカルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、有機亜リン酸エステル系可塑剤などが挙げられる。
【0025】
一価カルボン酸エステル系可塑剤としては、ブタン酸、イソブタン酸、へキサン酸、2−エチルへキサン酸、へプタン酸、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリル酸などの一価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとの縮合反応により得られる化合物であり、具体的な化合物を例示すると、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジイソブタノエート、トリエチレングリコールジ2−ヘキサノエート、トリエチレングリコールジ2−エチルブタノエート、トリエチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、ジエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、PEG#400ジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、グリセリントリ2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。ここでPEG#400とは、平均分子量が350〜450であるポリエチレングリコールを表す。多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメット酸などの多価カルボン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸モノ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルブチル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジドデシルなどが挙げられる。
リン酸系可塑剤、また亜リン酸系可塑剤としては、リン酸または亜リン酸とメタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリ(ブトキシエチル)、亜リン酸トリ(2−エチルヘキシル)などが挙げられる。
【0026】
これらの中でも特にトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)などが好適である。
【0027】
本発明において上記可塑剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その使用量は特に限定されないが、A層に含まれるポリビニルアセタール100重量部に対して0.1〜80重量部、好適には10〜70重量部、最適には20〜65重量部使用することが好ましい。
【0028】
またA層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他従来公知の添加剤を添加しても良い。以下にそれを説明する。
【0029】
本発明のA層に使用される酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0030】
フェノール系酸化防止剤の例としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどのアクリレート系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−)ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物などがある。
【0031】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4'−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4'−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンホスファイトなどのジホスファイト系化合物などがある。
【0032】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどがある。
【0033】
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲であると良い。
【0034】
また、本発明のA層に使用される紫外線防止剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、A層の重量に対して10〜50000ppmであることが好ましく、100〜10000ppmの範囲であることがより好ましい。また、これら紫外線吸収剤は2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0035】
樹脂層(B層)に用いられる樹脂は特に限定されないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基、エステル結合、イミド結合、炭酸結合のいずれかを有する樹脂であることが好ましく、特にポリエステル、ポリ不飽和カルボン酸エステル、芳香族ポリイミド、芳香族ポリカーボネートであることが好ましい。これら樹脂は、樹脂層(B層)に1種類含まれていても良いし、2種類以上含まれていてもよいが、1種類含まれていることが好ましい。また樹脂層(B層)含まれるこれら樹脂の合計量は、樹脂層(B層)の重量に対して90重量%以上であることが好ましく、より好適には95重量%以上、さらに好適には98重量%以上である。
【0036】
上記ポリエステルとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。
【0037】
上記カルボキシル基を有するポリ不飽和カルボン酸エステルは特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、例えばポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
上記芳香族ポリイミドは特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えばピロメリット酸二無水物と4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルを交互縮重合したものなどが挙げられる。
【0039】
上記芳香族ポリカーボネートは特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えばビスフェノールAあるいはビスフェノールFと、ホスゲンまたは炭酸ジフェニルなどの交互共重合で得られるものなどが挙げられる。
【0040】
上記ポリエステル、ポリ不飽和カルボン酸エステル、芳香族ポリイミド、芳香族ポリカーボネートを積層体に使用することで、強力な相関接着性を有する積層体が得られる理由は十分には明らかではないが、ポリエステル、ポリ不飽和カルボン酸エステル、芳香族ポリイミド、芳香族ポリカーボネートに含まれるカルボキシル基またはフェノール性水酸基(ポリエステル、芳香族ポリカーボネートは末端基、ポリ不飽和カルボン酸、芳香族ポリイミドは、一部結合の加水分解による)が、アルコキシシリル基を有する化合物の極性基、あるいはアミノ基、エポキシ基と相互作用することに由来すると考えられる。
【0041】
さらに樹脂層(B層)としては、上記のポリエステル、ポリ不飽和カルボン酸エステル、ポリ不飽和カルボン酸、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリカーボネートなどに加えて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミドイミドなどの樹脂層の表面を放電処理(コロナ処理、プラズマ処理など)したものも用いることができる。放電処理を施した樹脂層の表面には、カルボキシル基などの極性官能基が生成するため、A層と高い接着性を有する積層体が得られる。
【0042】
また、本発明のB層には既述の酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他従来公知の添加剤を添加しても良い。添加量は特に限定されないが、B層の重量に対して10重量%以下であることが好適である。
【0043】
本発明において用いられるA層は、従来公知の方法で作製されたものを使用することができるが、例えばポリビニルアセタールを、アルコキシシリル基とエポキシ基を有する化合物、またアルコキシシリル基とアミノ基を有する化合物(A層にアルコキシシリル基とエポキシ基を有する化合物、またアルコキシシリル基とアミノ基を有する化合物を含む場合)、必要に応じて可塑剤およびその他添加剤をミキシングロールで混練して、得られた混練物を熱プレス成形機、カレンダーロール、押し出し機等の公知の方法でシート状に成形することにより製造することができる。
【0044】
また本発明において用いられるB層は、従来公知の方法で作製されたものを使用することができるが、例えば上記B層に含まれる樹脂、必要に応じて種々の添加剤をミキシングロールで混練して、得られた混練物を熱プレス成形機、カレンダーロール、押し出し機等の公知の方法でシート状に成形することにより製造することができる。
【0045】
本発明の太陽電池モジュールにおける各層の厚みは目的によって決められる。各層1層あたりの好適な厚さは、A層は20〜5000μm、好適には20〜2000μm、さらに好適には20〜1600μmであり、B層は5〜1000μm、好適には5〜700μm、さらに好適には5〜500μmであり、C層を含む場合にはC層は0.001〜100μm、好適には0.005〜70μm、さらに好適には0.01〜50μmである。
【0046】
本発明記載の太陽電池モジュールは、既述の積層体が含まれていること以外は、従来公知の構成で良く、例えば発電素子としては結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのケイ素化合物、あるいはCIS、CIGS、CdS/CdTe、GaAsなどからなる発電素子(セル)を使用することができる。また発電素子をつなぐ電極、透明電極などを含んでいても良い。図1には、表面保護部材にガラス、充填材にポリビニルアセタール層(A層)、裏面保護部材に樹脂層(B層、充填材側に接着層:C層を有する)を用い、結晶シリコンを封止した太陽電池モジュールの模式図を示す。
【0047】
本発明記載の太陽電池モジュールの製造方法は特に制限されないが、例えばガラス(封止剤側の面にアモルファスシリコン、CIGSなどの発電素子層が形成されていても良い)/封止剤層(アルコキシシリル基を有する化合物を含んでいても良く、さらに内部に結晶シリコンなどの発電素子を含んでいても良い)/接着層/樹脂層を重ね、従来公知の方法、例えば真空ラミネーターで温度100〜180℃、好適には115〜175℃、最適には120〜170℃で、脱気時間0.1〜10分、プレス圧力0.1〜20kg/cmで、プレス時間1〜120分で加熱圧着する方法によって発電素子を封止する方法が挙げられる。
【実施例】
【0048】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」および「部」は特に断りのない限り、「重量%」および「重量部」を意味する。
【0049】
合成例1
(ポリビニルブチラールの調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水4050g、ポリビニルアルコール(PVA−1)(重合度1700、けん化度99モル%)330gを仕込み(PVA濃度7.5%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド192gと20%の塩酸270mLを添加し、ブチラール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、再洗浄し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1のブチラール化度は69モル%、酢酸ビニル基の含有量は1モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は30モル%であった。
ポリビニルブチラール多孔質粉体のブチラール化度、残存する酢酸ビニル基の含有量はJIS K6728にしたがって測定した。
【0050】
実施例1
(ポリビニルアセタールフィルムの作製)
40gのPVB−1と、可塑剤(トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート)18gを、ラボプラストミルで混錬した(160℃、10分)。得られた混錬物4.2gを、10cm×10cm×0.8mmの型枠内で熱プレスし、PVBフィルム−1を得た。
(表面処理PETフィルムの作製)
脱イオン水100g、3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gを混合、溶解した。得られた溶液を、アプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジンテトロンフィルムO3:厚さ50μm)の片面に、厚さ30μmで塗布した(乾燥後厚さ0.3μm)。脱イオン水を乾燥して、表面処理PETフィルム−1を得た。
(積層体の作製)
1枚のPVBフィルム−1と1枚の表面処理PETフィルム−1を、表面処理PETフィルム−1の表面処理側がPVBフィルム側になるように重ね、135℃、12kg/cm、30分熱プレスにより接着して積層体−1を得た(合計厚さ850μm)。
【0051】
(積層体接着性の評価)
積層体−1を1cm×8cmの短冊状に切り、23℃、50%RHで一晩調湿した。短冊の長辺方向を端から2cm程度剥離し(このときの剥離距離を0cmとする)、オートグラフ((株)島津製オートグラフAG−IS)を使用して、100mm/分で180°剥離試験を5回行い、剥離応力の平均値を求めた。評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例2
(表面処理PETフィルムの作製)
脱イオン水100g、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gを混合、溶解した。得られた溶液を、アプリケーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジンテトロンフィルムO3:厚さ50μm)の片面に、厚さ30μmで塗布した(乾燥後厚さ0.3μm)。脱イオン水を乾燥して、表面処理PETフィルム−2を得た。
(積層体の作製)
1枚のPVBフィルム−1と1枚の表面処理PETフィルム−2を、表面処理PETフィルム−2の表面処理側がPVBフィルム側になるように重ね、135℃、12kg/cm、30分熱プレスにより接着して積層体を得た(合計厚さ450μm)。
上記積層体を実施例1と同様の方法により、評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例3
(表面処理PETフィルムの作製)
脱イオン水100g、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン0.5gを混合、溶解した。得られた溶液を、アプリケーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジンテトロンフィルムO3:厚さ50μm)の片面に、厚さ30μmで塗布した(乾燥後厚さ0.3μm)。脱イオン水を乾燥した後、180℃で30分熱処理して表面処理PETフィルム−3を得た。
(積層体の作製)
1枚のPVBフィルム−1と1枚の表面処理PETフィルム−3を、表面処理PETフィルム−3の表面処理側がPVBフィルム側になるように重ね、135℃、12kg/cm、30分熱プレスにより接着して積層体を得た(合計厚さ450μm)。
上記積層体を実施例1と同様の方法により評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例4
実施例1において、ポリエステルフィルムの代わりにポリメチルメタクリレートフィルム(厚さ200μm)を使用して表面処理ポリメチルメタクリレートフィルムを作製し、その後は実施例1と同様に積層体を作製し、評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0055】
実施例5
実施例1において、ポリエステルフィルムの代わりに芳香族ポリイミドフィルム(宇部興産、ユーピレックス−S25、厚さ25μm)を使用して表面処理芳香族ポリイミドフィルムを作製し、その後は実施例1と同様に積層体を作製し、評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例6
実施例1において、ポリエステルフィルムの代わりに芳香族ポリカーボネートフィルム(厚さ200μm)を使用して表面処理芳香族ポリカーボネートフィルムを作製し、その後は実施例1と同様に積層体を作製し、評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0057】
実施例7
ポリプロピレン(日本ポリプロ、ノバテックPPMA3)を200℃、12kg/cmで、5分間熱プレスしてポリプロピレンフィルムを作製した(厚さ300μm)。
上記ポリプロピレンフィルムをコロナ処理機(春日電機(株)製 AGF−B10S)で処理(300W、1秒)し、コロナ処理ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例1において、ポリエステルフィルムの代わりにコロナ処理ポリプロピレンフィルムを使用して、同様に積層体を作成して、評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0058】
実施例8
(アルコキシシリル基を有する化合物を含むポリビニルアセタールフィルムの作製)
40gのPVB−1、可塑剤(トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート)18g、および0.4gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを、ラボプラストミルで混錬した(160℃、5分)。得られた混錬物4.2gを、10cm×10cm×0.4mmの型枠内で熱プレスし、PVBフィルムを得た。
(積層体の作製)
1枚の上記PVBフィルムと1枚のPETフィルム(テイジンテトロンフィルO3:厚さ50μm)を重ね、135℃、12kg/cm、30分熱プレスにより接着して積層体を得た(合計厚さ450μm)。
上記積層体を用いて実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例9
厚さ3mmのガラス基板/PVBフィルム−1/シリコン発電素子/PVBフィルム−1/表面処理PET−1を重ね、真空ラミネーターを用い、熱板温度150℃、脱気時間1.5分、プレス圧力1kg/cm、プレス時間5分間で加熱してシリコン素子を封止し、太陽電池モジュールを作製した。
【0060】
比較例1
PETフィルムに表面処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、同様の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0061】
比較例2
ポリメチルメタクリレートフィルムに表面処理を施さなかったこと以外は実施例4と同様にして積層体を作製し、同様の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0062】
比較例3
芳香族ポリイミドフィルムに表面処理を施さなかったこと以外は実施例5と同様にして積層体を作製し、同様の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0063】
比較例4
芳香族ポリカーボネートシートに表面処理を施さなかったこと以外は実施例6と同様にして積層体を作製し、同様の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0064】
比較例5
ポリプロピレンフィルムにコロナ処理を施さなかったこと以外は実施例7と同様にして積層体を作製し、同様の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の太陽電池モジュールは、充填材にポリビニルアセタール、裏面保護部材にポリエステルなどの樹脂シートを使用した場合でも、充填材と裏面側保護部材の層間接着性に優れているため好適である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】結晶シリコンを封止した太陽電池モジュールの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアセタール層(A層)と樹脂層(B層)が、アルコキシシリル基とアミノ基を有し分子量が500以下の化合物を含有する接着層(C層)を介してなる積層体を含む太陽電池モジュール。
【請求項2】
ポリビニルアセタール層(A層)と樹脂層(B層)が、アルコキシシリル基とエポキシ基を有し分子量が500以下の化合物を含有する接着層(C層)を介してなる積層体を含む太陽電池モジュール。
【請求項3】
ポリビニルアセタール層(A層)と樹脂層(B層)との積層体であって、A層とB層の少なくとも一層にアルコキシシリル基とアミノ基を有し分子量が500以下の化合物が添加された積層体を含む太陽電池モジュール。
【請求項4】
ポリビニルアセタール層(A層)と樹脂層(B層)との積層体であって、A層とB層の少なくとも一層にアルコキシシリル基とエポキシ基を有し分子量が500以下の化合物が添加された積層体を含む太陽電池モジュール。
【請求項5】
樹脂層(B層)が、カルボキシル基、フェノール性水酸基、エステル結合、イミド結合、炭酸結合のいずれかを有する樹脂を含む層である請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
樹脂層(B層)が、ポリエステル、ポリ不飽和カルボン酸エステル、芳香族ポリイミド、および芳香族ポリカーボネートの群から選ばれる少なくとも一層を含む層である請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
樹脂層(B層)が、放電処理を施した樹脂層である請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
ポリビニルアセタール層(A層)がポリビニルブチラール層(A層)である請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
ポリビニルアセタール層(A層)が可塑剤を含んでいる請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【公開番号】特開2010−92953(P2010−92953A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259216(P2008−259216)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】