説明

太陽電池モジュール

【課題】光起電力セル同士の直列あるいは並列接続の相互接続に関する、接続方法の改良並びに低電気抵抗を目指した太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】相互接続を金属ステッチ、ステープル、グロメッと或いは金属テープ、ワイアなどにて、電気的に接続される太陽電池モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、太陽電池モジュール、ならびに関連する装置、方法、および部品に関する。
[関連出願の相互参照]
本件出願は、2004年6月1日に出願された「導電性相互接続を有する光起電力セル(Photovoltaic Cells with Conductive Interconnects)」という名称の米国特許仮出願第60/575,971号、2004年7月22日に出願された「太陽電池モジュール(Photovoltaic Modules)」という名称の米国特許仮出願第60/590,312号、2004年7月22日に出願された「導電性メッシュ相互接続を有する光起電力セル(Photovoltaic Cells with Conductive Mesh Interconnects )」という名称の米国特許仮出願第60/590,313号、および2005年3月21日に出願された「太陽電池モジュール構成(Photovoltaic Module Architecture)」という名称の米国特許仮出願第60/664,115号に対して米国特許法119条(e)項の(1)の優先権を主張するが、これらの全ては参照により本明細書に援用されている。
【背景技術】
【0002】
光起電力セルは、しばしば太陽電池と呼ばれ、太陽光などの光を電気エネルギーに変換することができる。典型的な光起電力セルは、光活性材料の層とカソード−アノード間に配設された電荷キャリア材料の層とを備える。入射光が光活性材料を励起すると、電子が解放される。これらの解放された電子は、電気エネルギーの形でカソード−アノード間に作られた電子回路内に捕捉される。
【0003】
一般的に色素増感型太陽電池(DSSC)と呼ばれる、一タイプの光起電力セルにおいては、光活性材料は、一般的に、チタニアなどの半導体材料と、たとえば、色素などの光増感剤とを含む。一般的に、色素は動作波長帯域内(たとえば、太陽スペクトルの帯域内)の光子を吸収することができる。
【0004】
ポリマー薄膜セルと一般に呼ばれる別のタイプの光起電力セルにおいては、使用される光活性材料は、一般的に、2つの構成要素、すなわち電子受容体と電子供与体を有する。電子受容体は、たとえば、ポリ(フェニレンビニレン)やポリ(3−ヘキシルチオフェン)などのp型ポリマー導体材料でよい。電子供与体は、たとえば、フレレンの誘導体(たとえば、PCBMとして知られる1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−1−フェニル(6,6)C61)などのナノ粒子材料でよい。
【0005】
光起電力セルを電気的に直列および/または並列に接続して太陽電池モジュールを作製することができる。2つの光起電力セルは、一般的に、一方のセルのカソードと他方のセルのカソードとを電気的に接続し、一方のセルのアノードと他方のセルのアノードとを電気的に接続することによって並列に接続することができる。2つの光起電力セルは、一般的に、一方のセルのアノードと他方のセルのカソードとを電気的に接続することによって直列に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−142171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、一般的に、1つまたは複数の相互接続を用いて1つまたは複数の光起電力セル(たとえば、1つ又は複数の隣接する光起電力セル)を電気的に接続および/または機械的に接続することによって形成される太陽電池モジュールに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、モジュールは、電極を有する第1光起電力セルと電極を有する第2光起電力セルとを備える。このモジュールは、さらに、第1光起電力セルの電極と第2光起電力セルの電極とを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)するように第1光起電力セルの電極および第2光起電力セルの電極中に配設された相互接続(たとえば、導電性相互接続)を備える。
【0009】
別の態様では、モジュールは、電極を有する第1光起電力セルと電極を有する第2光起電力セルを備える。このモジュールは、さらに、第1光起電力セルの電極と第2光起電力セルの電極とを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)する相互接続(たとえば、導電性相互接続)を備える。この光起電力セルは、第1光起電力セルの電極の一部分と第2光起電力セルの電極の一部分が重なるように構成される。
【0010】
さらに別の態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを含む。第1光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。このモジュールは、さらに、第1光起電力セルのカソードと第2光起電力セルのアノードとを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)するように第1光起電力セルのカソードおよび第2光起電力セルのアノード中に配設される相互接続(たとえば、導電性相互接続)を備える。
【0011】
さらなる態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを含む。第1光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。このモジュールは、さらに、第1光起電力セルのカソードと第2光起電力セルのカソードとを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)するように第1光起電力セルのカソードおよび第2光起電力セルのカソード中に配設される相互接続(たとえば、導電性相互接続)を備える。
【0012】
別の態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを含む。第1光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。このモジュールは、さらに、第1光起電力セルのアノードと第2光起電力セルのアノードとを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)するように第1光起電力セルのアノードおよび第2光起電力セルのアノード中に配設される相互接続(たとえば、導電性相互接続)を備える。
【0013】
他の態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを含む。第1光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルのアノードの一部分は、第1光起電力セルのカソードの一部分と重なる。このモジュールは、第1光起電力セルのカソードと第2光起電力セルのアノードとを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)する相互接続(たとえば、導電性相互接続)も備える。
【0014】
さらなる態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを含む。第1光起電
力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルのアノードの一部分は、第1光起電力セルのカソードの一部分と重なる。このモジュールは、第1光起電力セルのカソードと第2光起電力セルのカソードとを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)する相互接続(たとえば、導電性相互接続)も備える。
【0015】
別の態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを含む。第1光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。第2光起電力セルのアノードの一部分は、第1光起電力セルのカソードの一部分と重なる。このモジュールは、第1光起電力セルのアノードと第2光起電力セルのアノードとを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)する相互接続(たとえば、導電性相互接続)も備える。
【0016】
他の態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを含み、第1および第2の光起電力セルが階段状構成に構成される。
さらなる態様では、光起電力セルを電気的に接続する方法は、第1光起電力セルの電極と第2光起電力セルの電極とを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)するように第1光起電力セルの電極中および第2光起電力セルの電極中に相互接続(たとえば、導電性相互接続)を配設することを含む。
【0017】
一態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを備える。このモジュールは、第1光起電力セルの電極と第2光起電力セルの電極とを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)する相互接続(たとえば、導電性相互接続)も備える。この相互接続は、接着材料とこの接着材料中に部分的に配設されたメッシュとを備える。
【0018】
別の態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを備える。第1および第2の光起電力セルのそれぞれは、カソードと、アノードと、カソード−アノード間の光活性材料とを備える。このモジュールは、第1光起電力セルの電極と第2光起電力セルの電極とを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)する相互接続(たとえば、導電性相互接続)も備える。これらの電気的に接続される電極は、カソード/アノード、カソード/カソード、またはアノード/アノードとすることができる。この相互接続は、接着材料とこの接着材料中に部分的に配設されたメッシュとを備える。
【0019】
一態様では、モジュールは、電極を備える第1光起電力セルと、第1光起電力セルの電極に接続(たとえば、電気的に接続)する湾曲端部を有する電極を備える第2光起電力セルとを備える。
【0020】
別の態様では、モジュールは、電極を備える第1光起電力セルと、電極を備える第2光起電力セルとを備える。第2光起電力セルの電極は、第1光起電力セルの電極に接続(たとえば、電気的に接続)する成形(たとえば、ディンプル加工)または湾曲部分を有する。
【0021】
一態様では、モジュールは、電極を備える第1光起電力セルと、電極を備える第2光起電力セルと、導電性相互接続とを備える。第1光起電力セルの電極は第2光起電力セルの電極と重なる。この相互接続は、第1光起電力セルの電極と第2光起電力セルの電極とを電気的に接続する。この相互接続は、第1および第2の光起電力セルを機械的に結合する。
【0022】
別の態様では、モジュールは、電極を備える第1光起電力セルと、電極を備え、第1光起電力セルに重なって重なり領域を画定する第2光起電力セルと、第1および第2の光起電力セルを電気的かつ機械的に接続するための、重なり領域に隣接する相互接続とを備える。
【0023】
他の態様では、太陽電池モジュールは、第1表面を有する電極を備える第1光起電力セルと、第2表面を有する電極を備える第2光起電力セルと、第1および第2の光起電力セルを接続(たとえば、電気的に接続および/または機械的に接続)する相互接続(たとえば、導電性相互接続)とを備える。この相互接続は第1および第2の表面によって支えられる。
【0024】
さらなる態様では、モジュールは、第1および第2の光起電力セルを備える。このモジュールの変換効率(efficiency)は、これらの光起電力セルの1つの変換効率の少なくとも約80%である。
【0025】
さらなる態様では、方法は、1つまたは複数の先のモジュールを連続的なプロセスによって作製することを含む。
別の態様では、方法は、1つまたは複数の先のモジュールをロール・ツー・ロール法によって作製することを含む。
【0026】
諸実施形態は以下の利点のうちの1つまたは複数を提供することができる。
いくつかの実施形態では、相互接続は、2つ以上の光起電力セルをオーム損をほとんど伴わずに接続(たとえば、直列に接続)することができる。これは、光起電力セルおよびモジュールからの電圧、アンペア数、および/またはパワー出力を最大にしようとするときに特に望ましくなり得る。
【0027】
或る実施形態では、相互接続は、単一の光起電力セルに比べて曲線因子の増加をほとんど伴わず、または全く伴わずに、かつ、変換効率の低下をほとんど伴わず、または全く伴わずに、2つ以上の光起電力セルを一緒に接続(たとえば、直列に接続)することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、相互接続は、隣接する光起電力セルを機械的に一緒に接続し、それによって、太陽電池モジュール内のシール(たとえば、接着剤を含むシール)の使用を低減(たとえば、省略)することができる。このため、たとえば、光起電力セル内に含まれる1つまたは複数の成分と反応する恐れがある1つまたは複数の材料の量および/または存在を減少させること、かつ/あるいは、たとえば、モジュール中に存在するリーク経路を減少(たとえば、省略)させることによってモジュールの実用寿命を延ばすことができる。
【0029】
或る実施形態では、相互接続は、第1光起電力セルの電力セルのカソードと第2光起電力セルのアノードとの間に頑丈な機械的接続および/または導電性の高い接続をもたらすことができる。
【0030】
メッシュ形状の相互接続を含む実施形態では、この相互接続中のメッシュは各電極と複数の電気接点を形成することができる。電極間に複数の接点を有すると、相互接続によって電流が電極間を通過するためのより広い面積および体積がもたらされることによって電極間の電気伝導率を増大させることができる。代わりに、または追加的に、電極間に複数の接点を有すると、相互接続によって電極間の電子の流れの安定性を向上させることができる。たとえば、或る環境下では、モジュールが撓みまたは湾曲することがあるが、これは、一時的または永久に相互接続と電極の1つとの間の接点を破壊する恐れがある。この
結果生じる電極間の電気伝導率の低下は、複数の電気接点が存在すると軽減される。
【0031】
メッシュ形状の相互接続を含む実施形態では、このメッシュは大きな困難を伴わずに比較的微細な繊維で形成することができる。
メッシュ形状の相互接続を含む実施形態では、金属メッシュの絶対高さを電極間の間隔/空間に設定することができ、この間隔/空間を比較的小さくすることが可能である。
【0032】
接着剤を含む相互接続を含む実施形態では、この接着剤は、たとえば、モジュールの隣接する光起電力セル中の電極間に複数の接着剤ボンディング点をもたらすことによって、相互接続の機械的な一体性を高めることができる。代わりに、または追加的に、この接着剤は、電気接触することが望ましくない、モジュールの或る構成部品間に電気絶縁をもたらすこともできる。
【0033】
いくつかの実施形態では、モジュールは、電気的な連絡をもたらすための別個の相互接続無しで、隣接する光起電力セル中の電極間に良好な電気接点をもたらすことができる。このため、モジュールの製造に付随するコストおよび/または煩雑さを低減させることができる。たとえば、モジュールの製造プロセス中、カソード(および/またはアノード)の成形された(たとえば、ディンプル加工された)部分を形成することによって、モジュールの様々な部分を整列させる煩雑さを低下させることができる。
【0034】
或る実施形態では、処理(たとえば、チタニアの焼結)中に、カソードの表面上に酸化膜を形成することができる。このような実施形態では、カソードの一部分を成形するプロセスは、この酸化膜を破ることができ、このため、カソード−アノード間の電気伝導率を高めることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、接着剤/基板ボンドの潜在的に可能な表面積は比較的高くなることができ、このため、光起電力セルのボンド強度および信頼性を高めることができる。
【0036】
或る実施形態では、モジュールはより少ない構成部品を備えることができ、このため、信頼性を高め、かつ/またはコストを低下させることができる。
いくつかの実施形態では、相互接続を形成する1つまたは複数の材料は、モジュールの他の成分(たとえば、電解質)と実質的に化学作用を起こさない組成で市販されている。
【0037】
或る実施形態では、モジュールは、電気的および機械的に結合して幅広い範囲での実施によく適した可撓性モジュールを形成する光起電力セルの可撓性基板を備えることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、相互接続は、1つまたは複数の光起電力セル(たとえば、1つまたは複数の隣接した光起電力セル)を電気的に相互接続および/または機械的に相互接続して、高安定性、高信頼性、光起電力セル(たとえば、隣接した光起電力セル)間の減少した不活性区域、および/または、光起電力セル(たとえば、隣接した光起電力セル)間の減少した不活性部体積を有する太陽電池モジュールを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】2つの光起電力セルを備える太陽電池モジュールの一実施形態の断面図。
【図2】太陽電池モジュールの別の実施形態の断面図。
【図3】図2の太陽電池モジュールの底面図。
【図4】3つの光起電力セルを備える太陽電池モジュールの一実施形態の断面図。
【図5】3つの光起電力セルを備える太陽電池モジュールの別の実施形態の断面図。
【図6】太陽電池モジュールの一実施形態の断面図。
【図7】図6の太陽電池モジュールの一部分の断面図。
【図8】太陽電池モジュール中の相互接続の一部分の、図6および図7に示した断面に垂直な方向における断面図。
【図9】直列構成の3つのセルを備える太陽電池モジュールの側面図。
【図10】図9の隣接するセル間の相互接続の詳細図。
【図11】1つのセルのアノードと隣接するセルのカソードとの間に位置する相互接続ペーストを含む直列構成の7つのセルを備える太陽電池モジュールの側面図。
【図12】ペーストが適所に押し込まれた図11の側面図。
【図13】太陽電池モジュールの一実施形態の断面図。
【図14】太陽電池モジュール中のカソードの、図13の断面に垂直な方向における斜視図。
【図15】太陽電池モジュールの一実施形態の断面図。
【図16】図15に示した光起電力セルの一部分の断面図。
【図17】太陽電池モジュールの別の実施形態の断面図。
【図18】太陽電池モジュール中のカソードの、図17の断面に垂直な方向における斜視図。
【図19】DSSCの一実施形態の断面図。
【図20】DSSCの製造方法の一実施形態の概略図。
【図21】ポリマー光起電力セルの断面図。
【図22】太陽電池モジュールを備える構造を示す図。
【図23】太陽電池モジュールを備える構造を示す図。
【図24】太陽電池モジュールを備える構造を示す図。
【図25】2つの個々のセル、およびこれら2つのセルの合成物によって形成されたモジュールの変換効率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0040】
特徴および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲に記載する。
様々な図面中同様の参照記号は同様の要素を示す。
本明細書は、一般的に、1つまたは複数の相互接続を用いて1つまたは複数の光起電力セル(たとえば、1つ又は複数の隣接する光起電力セル)を電気的に接続および/または機械的に接続することによって形成される太陽電池モジュールに関する。このようなモジュールの諸実施形態を以下に説明する。
【0041】
いくつかの実施形態では、太陽電池モジュールの変換効率は、太陽電池モジュールに含まれる1つまたは複数の光起電力セルの変換効率の少なくとも約80%(たとえば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、および少なくとも約98%)である。
【0042】
本明細書では、光起電力セルの変換効率を以下のように測定する。光起電力セルをA.M.1.5(単位平方センチメートル当たり100mW)光源(Oriel Solar Simulator )で30秒間露光する。光起電力セル内で発生した電流を測定し、電圧に対してプロットして光起電力セルの変換効率を決定する。
【0043】
図1は、第1光起電力セル110を第2光起電力セル115に接続する導電性相互接続105を備える太陽電池モジュール100の断面図を示す。この導電性相互接続105は、一例としてステッチ(st itch)を含むことができる。光起電力セル110は、カソー
ド120と、光活性層122と、電荷キャリア層124と、アノード126と、基板128とを備える。同様に光起電力セル115は、カソード140と、光活性層142と、電荷キャリア層144と、アノード146と、基板148とを備える。光起電力セル110
および115は、互いに対して階段状構成に位置して、光起電力セル110の一部分155が光起電力セル115の一部分160に重なり、それによって重なり領域165が形成されるようにする。導電性相互接続105は重なり領域165内に配設されて、カソード120からアノード146までの導電性経路をもたらす。
【0044】
導電性相互接続105は、一般的に、カソード120からアノード146までの導電性のかつ連続的な経路を形成するような大きさにする。たとえば、いくつかの実施形態では、導電性相互接続105を、重なり領域165内でカソード120、基板148、およびアノード146を貫通して延びるような大きさにする。或る実施形態では、導電性相互接続105の長さは、少なくとも約30ミクロンおよび/または最大で約500ミクロン(たとえば、約100ミクロン〜約200ミクロン)である。
【0045】
導電性相互接続105の幅は、一般的に、所望のように選択することができる。或る実施形態では、導電性相互接続105の幅を、重なり領域165の幅が相対的に小さくなるように選択する。たとえば、或る実施形態では、導電性相互接続105の幅は、約1500ミクロン未満(たとえば、約1000ミクロン未満、約500ミクロン未満)である。一般的には、導電性相互接続105の幅は、少なくとも約100ミクロンである。重なり領域165の幅の低減は、光起電力セル110および115内の利用可能な光活性区域の増加を図るとき特に望ましい。たとえば、重なり領域165の幅が減少するにつれて、モジュール100の活性領域の面積が増大する。
【0046】
導電性相互接続105は、一般的に、任意の導電性材料で作ることができる。本明細書では、導電性材料は、少なくとも25℃で約10(Ω−cm)−1の伝導率を有する。一般的に、導電性相互接続105を形成するために使用する材料(複数可)は、光起電力セル110を光起電力セル115に固定するように比較的強い。導電性相互接続105を形成するための例示的な材料は、たとえば、銅やチタンなどの金属、およびスチール、スズ−鉛合金、スズ−ビスマス合金、鉛−ビスマス合金、スズ−ビスマス−鉛合金などの合金を含む。或る実施形態では、導電性相互接続105を、金属または合金で被覆された材料(たとえば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ケブラー繊維、オルロン(Orlon )繊維などのポリマー繊維)で形成することができる。いくつかの実施形態では、導電性相互接続105を、たとえば、スズ−鉛合金、スズ−ビスマス合金、鉛―ビスマス合金、またはスズ−ビスマス−鉛合金などの低温はんだで被覆された金属または合金で形成する。或る実施形態では、導電性相互接続を、たとえば、銀系エポキシなどのエポキシで被覆された金属または合金で形成する。
【0047】
図2および図3を参照すると、導電性または電気絶縁性であり得る相互接続200(たとえば、導電性および/または電気絶縁性のステッチ)を用いて、端子接点205(たとえば、金属テープ、金属箔、および金属ブレード)を太陽電池モジュール100の端部(たとえば、アノード126およびカソード140)で電極に固定することができる。一般的に、端子接点205を太陽電池モジュールと電気デバイスの間の接続サイトとして用い、太陽電池モジュール内で発生した電気を用いて、接続された電気デバイスを駆動させることができるようにする。
【0048】
一般的に、相互接続200は、あらゆる所望の材料から作ることができる。一般的に、相互接続200を、端子接点を所望の電極に固定するのに十分強固の材料で作る。相互接続200を形成するために使用される例示的な材料は、導電性相互接続105に関して上記で述べたものおよびポリマーを含む。
【0049】
太陽電池モジュール100を2つの光起電力セルを備えるものとして説明してきたが、太陽電池モジュールは、2つ以上(たとえば、3、4、5、6、7)の光起電力セルを備
えることができる。たとえば、図4で示すように、太陽電池モジュール200は、第1光起電力セル180と、第2光起電力セル185と、第3光起電力セル190とを備える。導電性相互接続192を用いて、光起電力セル180のカソードを光起電力セル185のアノードと接合し、第2導電性相互接続194を用いて、光起電力セル185のカソードを光起電力セル190のアノードと接合する。
【0050】
光起電力セルを、階段状様式で互いに対して位置させて隣接するセルと重なり領域を形成してきたが、いくつかの実施形態では、太陽電池モジュール中の光起電力セルが異なる構成を有する。図5は、共通の基板290を共有する光起電力セル210、212、および214を備える太陽電池モジュール220を示す。光起電力セル210、212、および214は、それぞれカソード270とアノード275の間に配設される光活性層280と電荷キャリア層285を備える。(たとえば、接着剤で形成された)電気絶縁材料の領域295は、セル210と212の間、およびセル212と214の間に位置する。セル210のカソード270の一部分は、セル212のアノード275の一部分と重なって、導電性相互接続105が内部(基板290中、セル212のアノード275中、セル210と212の間の領域295中、セル210のカソード270中、および基板300中)に位置する重なり領域265を形成する。同様に、セル212のカソード270の一部分は、セル214のアノード275の一部分と重なって、導電性相互接続105が内部(基板290中、セル214のアノード275中、セル212と214の間の領域295中、セル212のカソード270中、および基板300中)に位置する重なり領域267を形成する。
【0051】
図6は、共通の基板340および345を共有する光起電力セル310、320、および330を備えるモジュール300を示す。各光起電力セルはカソード350と、光活性層360と、電荷キャリア層370と、アノード380とを備える。
【0052】
図7および図8に示すように、相互接続301をメッシュ305および電気絶縁性材料390で形成する。メッシュ305は導電性領域385と開口領域387を有し、電気絶縁性材料390がメッシュ305の開口領域387中に配設される。メッシュ305の上面393はアノード380に接触し、メッシュ305の下面395はカソード350に接触する。この構成で、隣接するセル中の電極350および380を、メッシュ305の領域385によって電極350と380の間の方向に電気的に接続し、隣接する光起電力セルを垂直面内で接着材料397によって互いから電気的に絶縁する。
【0053】
メッシュ305は様々な方法で準備することができる。いくつかの実施形態では、メッシュ305は拡張メッシュである。たとえば、材料(たとえば、金属や合金などの導電性材料)のシートから領域387(たとえば、レーザ除去、化学エッチング、打ち抜きによって)を除去し、その後でシートを伸ばす(たとえば、2次元的にシートを伸ばす)ことによって拡張金属メッシュを準備することができる。或る実施形態では、メッシュ305は、その後シートを引き伸ばさずに領域387を(たとえば、レーザ除去、化学エッチング、打ち抜きによって)除去することによって形成される金属シートである。いくつかの実施形態では、メッシュ305は、中実領域385を形成する材料のワイアを編むことによって形成される編みメッシュである。たとえば、平織、畳織、綾織、綾畳織、またはそれらの組合せによって、ワイワを編むことができる。或る実施形態では、メッシュ305は溶接金網で形成される。
【0054】
一般的に、中実領域385は全体を導電性材料で形成される(たとえば、領域385を導電性のほぼ均一な材料で形成する)。領域385に使用することができる導電性材料の例には、導電性金属、導電性合金、および導電性ポリマーを含む。例示的な導電性材料には、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、およびチタンを含む。例示的な導電性合
金には、ステンレス鋼(たとえば、332−ステンレス鋼、316−ステンレス鋼)、金合金、銀合金、銅合金、ニッケル合金、パラジウム合金、白金合金、およびチタン合金が含まれる。例示的な導電性ポリマーには、ポリチオフェン(たとえば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT))、ポリアニリン(たとえば、ドープポリアニリン)、ポリピロール(たとえば、ドープポリピロール)を含む。いくつかの実施形態では、導電性材料の組合せを使用する。
【0055】
いくつかの実施形態では、中実領域385を異なる材料を被覆した材料で(たとえば、メタライゼーション、気相成長を用いて)形成する。一般的に、内側の材料は任意の所望の材料(たとえば、電気絶縁性材料、導電性材料、または半導電性材料)で形成することができ、外側の材料は導電性材料である。内側材料を形成することができる電気絶縁性材料の例には、織物、光ファイバ材料、ポリマー材料(たとえば、ナイロン)、および天然材料(たとえば、亜麻、綿、羊毛、絹)を含む。外側材料を形成することができる導電性材料の例には、上記で開示した導電性材料を含む。材料を形成することができる半導電性材料の例には、インジウムスズ酸化物、フッ素化酸化スズ、酸化スズ、および酸化亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、内側材料はファイバの形態であり、外側材料は内側材料に被覆される導電性材料である。或る実施形態では、内側材料はメッシュの形態であり(上記の説明を参照のこと)、それはメッシュに形成された後、外側材料で被覆される。例としては、内側材料は拡張金属メッシュであってもよく、外側材料はこの拡張金属メッシュに被覆されるPEDOTであってもよい。
【0056】
一般的に、基板340および345の表面にほぼ垂直な方向のメッシュ305の最大厚は、最小で約10ミクロン(たとえば、最小で約15ミクロン、最小で約25ミクロン、最小で約50ミクロン)であり、かつ/または最大で約250ミクロン(たとえば、最大で約200ミクロン、最大で約150ミクロン、最大で約100ミクロン、最大で約75ミクロン)である。
【0057】
図8に断面形状を示したが、開口領域387は、一般的に、あらゆる所望の形状(たとえば、正方形、円形、半円形、三角形、楕円形、台形、異形)を有することができる。いくつかの実施形態では、メッシュ305中の様々な開口領域387は様々な形状を有することができる。
【0058】
図8にダイアモンド模様を形成する場合を示したが、中実領域385によって、一般的に、あらゆる所望の模様(たとえば、長方形、円形、半円形、三角形、楕円形、台形、異形)を形成することができる。
【0059】
図9および図10は、互いに階段状構成に位置する光起電力セル505、510、および515を備える太陽電池モジュール500を示す。光起電力セル515の一部分525は光起電力セル510の一部分520と重なる。同様に、光起電力セル510の一部分533は光起電力セル505の一部分535と重なる。アノード545の端部に導電性テープ547を巻き付けることによって、セル505のカソード540を隣接するセル505のアノード545に電気的に接続する。いくつかの実施形態では、テープ547をカソード540の裏面全体に接触するような大きさにすることができ、それによって、隣接するセル間を機械的に取り付け、またはカソード540の一部分のみを機械的に取り付ける。テープ547がカソード540の裏面を全ては覆わない実施形態では、隣接するセル505のアノード545への取り付けを補うように、随意に、カソード540の裏面の露出部分を非導電性接着剤で被覆することもできる。
【0060】
要素547を導電性テープとして説明してきたが、より一般的には、要素547は説明した一般的な構造を有するあらゆる種類の導電性要素であってもよい。いくつかの実施形
態では、要素547は被覆の形態である。
【0061】
図11に、階段状構成に配置された7つの重なるセル555a〜555gを備える太陽電池モジュール550を示す。隣接するセル555bのカソード570に電気的かつ機械的に接続するために、アノード565aに沿ってセル555aの端部に平行に、相互接続560aを付ける。同様に相互接続560b〜560fは、重なり合うセル555bと555c、555cと555d、555dと555e、555eと555f、および555fと555gを接続する。図12は、隣接するセルを接続するように適所に押し込まれた相互接続560を示す。一般的に、任意の適切な導電性材料で、相互接続560を形成することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の相互接続560を導電性ペーストのビードで形成することができる。随意に、1つまたは複数の相互接続560を熱可塑性導電リボン、はんだ、および/またはファイバで形成することもできる。このような実施形態では、一般的に、相互接続560を形成する材料を1つのセルの端部に平行に位置させて、適切な量の熱および圧力を加えた後で、相互接続が1つのセルのカソードおよび隣接するセルのアノードの上に分布するようにする。
【0062】
熱または圧力の使用を伴わない方法(たとえば、インクジェット印刷、塗装/乾燥)によって、1つまたは複数の相互接続560a〜560fを形成することができる。随意に、熱転写法を用いて1つまたは複数の相互接続560a〜560fを形成することもできる。
【0063】
或る実施形態では、本明細書に記載したようなメッシュ(たとえば、接着剤のメッシュ)で1つまたは複数の相互接続560a〜560fを形成することもできる。
図13は、共通基板3140および3145を共有する光起電力セル3110、3120、および3130を備える太陽電池モジュール3100を示す。各光起電力セルは接着剤3147と、カソード3150と、光活性層3160と、電荷キャリア層3170と、アノード3180と、接着剤3190とを備える。カソード3150は、接着剤3190を貫通して延び、アノード3180と電気接触するように構成された(たとえば、ディンプル加工された、エンボス加工された)成形部3152を備える。図14に示すように、カソード3150は、複数の成形部3152を有し、それらの間に非成形部がある。この構成では、カソード3150の成形部3152によって、別個の相互接続部品を使用せずにカソード3150とアノード3180間に電気接続が形成される。
【0064】
図14に円形として示してあるが、成形部3152は、より一般的には、あらゆる所望の形状(たとえば、正方形、円形、半円形、三角形、楕円形、台形、正弦波などの波形、異形)を有することができる。
【0065】
カソード3150は、一般的に、比較的薄い導電層で形成される。いくつかの実施形態では、金属箔または(たとえば、チタンまたはインジウムの)合金箔でカソード3150を形成する。或る実施形態では、導電性材料(たとえば、金属、またはチタンやインジウムなどの合金)で被覆された表面を有するプラスチックの比較的薄い層でカソードを形成する(以下の、基板3140および3145に関する説明を参照のこと)。成形部3152は、標準的な箔のエンボス加工技法を含む様々な技法を用いて形成することができる。たとえば、或る実施形態では、先が丸いミシン針を有するミシンの下に箔3150を延在させることによって、成形部3152を形成することができる。別の例として、いくつかの実施形態では、突起(たとえば、くぼみ)を有する回転ホイールの上に箔3150を通過させることによって、成形部3152を形成することができる。成形部3152を、モジュール3100中に組み込む前に箔3150中に形成することができ、またはモジュール3100が製造されるときに箔3150中に成形部3152を形成することもできる(以下の説明を参照のこと)。電極3150は、一般的に、エンボス加工部3152を除い
てほぼ平坦である。エンボス加工部3152は、一般的に、あらゆる所望の形状を有することができるが、一般的に(たとえば、エンボス加工部3152の形成が電極3150中への穴の形成によりもたらさないような)微小な半径を有する。
【0066】
図15および図16は、光起電力セル8100、8200、8300、および8400を含む太陽電池モジュール8000の部分分解図を示す。各セルはカソード側8010とアノード側8020を備える。各カソード側8010は、基板8012と、接着剤層8014(たとえば、0.0254ミリメートル(1ミル)厚の箔接着剤などの箔接着剤)と、導電層8016(たとえば、0.0508ミリメートル(2ミル)厚のチタン箔などの金属層)と、光活性層8018(たとえば、色素増感型チタニア層)とを備える。各アノード側は、基板8020と触媒層8022(たとえば、白金含有触媒層)を備える。層8016の各部分の領域8017はセル8100、8200、および8300中に成形(たとえば、エンボス加工、ディンプル加工)され、隣接する光起電力セル中の層8016間にはギャップ8019が存在する。
【0067】
モジュール8000は、モジュール8000のアセンブリングの後で対応する層8016の対応する部分8017と直接接触し、それによって電気接続をもたらす導電性架橋8026をさらに備える。架橋8026は、一般的に弾性的かつ導電性である。たとえば、導電性粒子を含有する弾性的なポリマーマトリックスで架橋8026を形成することができる(たとえば、充分な導電性を架橋8026に供与するのに充分な充填で)。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の架橋8026にチタンを(たとえば、チタン複合材の形態で)含有させることができる。図15および図16の分解図に別個の構成部品として示したが、いくつかの実施形態では、対応する層8016の対応する部分8017上に架橋8026を直接配設することができる。たとえば、対応する層8016の対応する部分8017上に架橋8026を印刷することができる。
【0068】
モジュール8000は、シール8028および8029も備える。シール8028および8029は、構成部品(たとえば、隣接するセル間)の漏れを低下させ、かつ/または(たとえば、水分が1つまたは複数のセル内に入る場合)構成部品の腐食を減少させる。モジュール8000をアセンブリングするとき、シール8029の上端および下端はそれぞれ層8014および8022に接触し、シール8028の上端および下端はそれぞれ層8026および8022に接触する。シール8028および8029は、一般的に、本明細書に記載したような接着材料で形成され、随意に1つまたは複数の構造部品(たとえば、1つまたは複数のビード)を含むこともできる。シール8028および/または8029が1つまたは複数の構造部品を含有する実施形態では、構造部品は、一般的に、非導電性であり、かつ/または、シール8028および/または8029が非導電性になるように充分低い充填状態にある。
【0069】
モジュール8000は、さらに端部シール8030および8032(たとえば、接着性端部シール)を備える。
理論によって縛られることは望まないが、図15および図16に示す一般的な設計を有するモジュールは、依然として良好な電力および変換効率をもたらす比較的薄い太陽電池モジュールを可能にすることができると考えられている。複数の接着性層(たとえば、シール8028および8029)を使用することにより、接着剤を貫通して層の一部分を押し込まないでモジュールの構築が実現できるという点で、利点をもたらすことができると考えられている。これによって、電極の1つを引っかく可能性を低下させることもできるが、この引っかきにより、導電性の低下した局所的な区域が生じる恐れがある。
【0070】
図17は、カソード3350は、接着剤3190を貫通して延び、アノード3180と電気接触するように構成された湾曲端部3352を有する太陽電池モジュール4000を
示す。図18に示すように、湾曲端部3352は線を形成するカソードを形成する。この構成で、カソード3350の湾曲端部3352は、別個の相互接続部品を使用せずに、カソード3350とアノード3180の間の電気接続を形成する。
【0071】
図18に連続的なものとして示したが、いくつかの実施形態では、湾曲端部3352は非連続的であってもよい(たとえば、図18に示すように見たとき、湾曲端部を有するカソード3350の交互に入れ替わる部分があり得る)。
【0072】
さらに、カソードが或る材料で形成された箔で形成されると説明してきたが、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の主要な箔を異なる材料で形成することもできる。いくつかの実施形態では、これらのカソードを透明な導電性材料の箔で形成することができる。このような材料の例としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、および酸化亜鉛などの或る金属酸化物が含まれる。
【0073】
他の実施形態では、カソードは、導電メッシュなどの導電性材料の不連続層であってもよい。適切なメッシュ材料には、パラジウム、チタン、白金、ステンレス鋼およびそれらの合金などの金属を含む。このメッシュ材料は金属ワイアを含むことができる。この導電性メッシュ材料は、金属などの導電性材料で被覆された電気絶縁性材料を含むこともできる。この電気絶縁性材料は、編みファイバや光ファイバなどのファイバを含むことができる。編みファイバの例には、合成ポリマーファイバ(たとえば、ナイロン)と天然ファイバ(たとえば、亜麻、綿、羊毛、および絹)を含む。このメッシュ電極は、たとえば、連続的な製造プロセスによる光起電力セルの形成を促進するように可撓性であってもよい。
【0074】
メッシュカソードは、たとえば、ワイア(またはファイバ)径、およびメッシュ密度(すなわち、メッシュの単位面積当たりのワイア(またはファイバ)数)に関して多種多様の形態をとり得る。メッシュは、たとえば、任意の数の開口形状(たとえば、正方形、円形、半円形、三角形、ダイアモンド形状、楕円形、台形、および/または、異形)を有した、規則的なもの、あるいは不規則なものであってもよい。たとえば、メッシュのワイア(またはファイバ)の電気伝導率、所望の光透過率、可撓性、および/または機械的強度に基づいて、メッシュ形状因子(たとえば、ワイア径、メッシュ密度など)を選択することができる。メッシュ電極は、一般的に、約1ミクロンから約400ミクロンの範囲の平均ワイア(またはファイバ)径、および約60%から約95%の範囲のワイア(またはファイバ)間の平均開口面積を有するワイア(またはファイバ)メッシュを備える。たとえば、インクジェット印刷、リソグラフィ、および/またはアブレーション(たとえば、レーザアブレーション)などの様々な技法を用いてメッシュ電極を形成することができる。いくつかの実施形態では、メッシュ電極を拡張金属メッシュで形成することができる。メッシュ電極は、2003年3月23日に出願された米国特許出願第10/395,823号、および2003年11月26日に出願された米国特許出願第10/723,554号に論じられている。
【0075】
接着剤3147および3190は、一般的に、任意の電気絶縁性接着剤で形成することができる。このような接着剤の例には、オレフィン、アクリレート、およびウレタンのコポリマー、ならびに他のホットメルト接着剤を含む。市販されている接着剤の例には、バイネル(登録商標)接着剤(デュポンから入手可)、熱ボンド接着剤(thermobond adhesive )845(3Mから入手可)、およびダイニオン(商標)(3Mから入手可)を含む。
DSSC
いくつかの実施形態では、光起電力セルはDSSCである。図19は、基板4310および4370と、導電性層(電極)4320および4360と、触媒層4330と、電荷キャリア層4340と、光活性層4350とを備えるDSSC4300の断面図である。
【0076】
光活性層4350は、一般的に、1つまたは複数の色素とこの色素に関連する半導体材料とを含む。
色素の例には、黒色色素(たとえば、トリ(イソチオシアナート)ルテニウム(II)2,2’:6’,2”テルピリジン−4,4’,4”トリカルボン酸、トリテトラブチルアンモニウム塩)と、橙色素(たとえば、トリ(2,2’ビピリジル4,4’ジカルボキシレート)ルテニウム(II)ジクロライド)と、紫色色素(たとえば、シスビス(イソチオシアナート)ビス(2,2’ビピリジル−4,4’ジカルボキシレート)ルテニウム(II))と、赤色色素(たとえば、エオシン)と、緑色色素(たとえば、メロシアニン)と、青色色素(たとえば、シアニン)とを含む。さらなる色素の例には、アントシアニン、ポルフィリン、フタロシアニン、スクアラート(squarates )、および或る金属含有色素を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、光活性層4350は、パターンを形成する複数の異なる色素を含むことができる。パターンの例には、迷彩パターン、瓦パターン、および屋根板パターンを含む。いくつかの実施形態では、このパターンは、携帯式電子デバイス(たとえば、ラップトップコンピュータ、携帯電話)の筺体のパターンを画定することができる。或る実施形態では、光起電力セルによってもたらされるパターンが自動車の車体上のパターンを画定することができる。パターン付き光起電力セルは、たとえば、参照により本明細書に援用されている、本願権利者が所有する同時係属中の、2004年12月21日に出願された米国特許出願第60/638,070号に開示されている。
【0078】
半導体材料の例には、構造式MxOyを有する材料を含み、式中Mは、たとえば、チタン、ジルコニウム、タングステン、ニオブ、ランタン、タンタル、テルビウム、またはスズであってもよく、xおよびyは0より大きい整数である。他の適切な材料には、硫化物と、セレン化物と、テルル化物と、チタン、ジルコニウム、タングステン、ニオブ、ランタン、タンタル、テルビウム、スズ、またはそれらの組合せの酸化物とを含む。たとえば、TiO、SrTiO、CaTiO、ZrO、WO、La、Nb、SnO、チタン酸ナトリウム、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム、およびニオブ酸カリウムは適切な材料であり得る。
【0079】
層4350内に含まれる半導体材料は、一般的に、ナノ粒子の形態である。いくつかの実施形態では、このナノ粒子の平均サイズは約2nm〜約100nm(たとえば、約10nm〜約40nm、約20nmなど)である。ナノ粒子半導体材料の例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の、米国特許出願第10/351,249号に開示されている。
【0080】
このナノ粒子を、たとえば、高温焼結、または反応性架橋剤によって相互接続することができる。
或る実施形態では、この架橋剤は、非ポリマー化合物であってもよい。この架橋剤は、半導体粒子と同様な電気伝導率を示すことができる。たとえば、TiO粒子の場合、この架橋剤は、チタンアルコキシド中に存在するもののようなTi−O結合を含むことができる。理論によって縛られることは望まないが、チタンテトラアルコキシド粒子は、TiO粒子および基板上の導電性被覆と互いに反応して、この粒子を互いに接続させかつ導電性被覆(図示せず)と接続させるチタン酸化物架橋を形成することができると考えられる。その結果、この架橋剤は半導体層の安定性および完全性を高める。この架橋剤は、たとえば、金属アルコキシド、金属アセテート、または金属ハライドなどの有機金属類を含むことができる。いくつかの実施形態では、この架橋剤は、半導体中の金属と異なる金属を含むことができる。例示的な架橋ステップでは、ゾル−ゲル前駆体剤、たとえば、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドを、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、あるいは、高次の1次、2次、または3次アルコールなどの溶媒と混合することによって、0〜100%の重量比、たとえば、約5〜約25%、または約20%の重量比で、架橋剤溶液を調製することができる。溶媒は、一般的に、前駆体剤に対して安定な、たとえば、この前駆体剤と反応して金属酸化物(たとえば、TiO)を形成しないあらゆる材料であってもよい。この溶媒は、好ましくは、ほとんど水分を含まず、このため、TiOの沈殿を生じることができる。このような架橋剤は、たとえば、参照により本明細書に援用されている米国公開特許公報2003−0056821号に開示されている。
【0081】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、ポリ(nブチルチタネート)などのポリマー架橋剤であってもよい。ポリマー架橋剤の例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/350,913号に開示されている。
【0082】
架橋剤は、相互接続されたナノ粒子層の作製を、比較的低温(たとえば、約300℃未満)、およびいくつかの実施形態では室温で可能にすることができる。この比較的低温での相互接続法は、ポリマー基板を用いる連続的な(たとえば、ロール・ツー・ロール)製造プロセスに適用することができる。
【0083】
この相互接続されたナノ粒子は、一般的に、色素(複数可)によって光増感される。この色素は、入射光の電気への変換を促進して所望の光起電力効果を発生させる。色素は入射光を吸収して、色素中での電子の励起をもたらすと考えられている。次いで、励起電子のエネルギーは、色素の励起準位から相互接続されたナノ粒子の伝導帯内へ移動される。この電子エネルギー移動は、電荷の効果的な分離および所望の光起電力効果をもたらす。したがって、相互接続されたナノ粒子の伝導帯中の電子が、外部負荷を駆動させることができるようにされる。
【0084】
色素(複数可)は、ナノ粒子上に吸着(たとえば、化学吸着および/または物理吸着)することができる。色素は、たとえば、動作波長帯域中(たとえば、可視スペクトル内)に光子を吸収する能力、ナノ粒子の伝導帯中に自由電子(または、正孔)を発生させる能力、ナノ粒子と複合材料を形成し、またはナノ粒子に吸着される能力、および/またはその色に基づいて選択することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、光活性層4350は、相互接続された半導体酸化物ナノ粒子材料の表面に増感色素で吸着される1つまたは複数の補助増感剤をさらに含むことができ、これにより、(たとえば、電荷移動効率を向上させ、かつ/または相互接続された半導体酸化物ナノ粒子材料から増感色素までの電子の逆移動を減少させることによって)DSSCの変換効率を増大させることができる。光増感された相互接続ナノ粒子材料を形成するとき、これらの増感色素および補助増感剤を同時にまたは別個に加えることができる。この補助増感剤は、電子を受容体に供与して安定したカチオンラジカルを形成することができ、これにより、増感色素から半導体酸化物ナノ粒子材料までの電荷移動の変換効率を促進させ、かつ/または増感色素または補助増感剤までの電子の逆移動を減少させることができる。この補助増感剤は、(1)窒素原子が結合している芳香環の混成軌道を有する、窒素原子上の自由電子対の共役状態、および電子移動の後にこれらの混成軌道によってもたらされるカチオンラジカルの共鳴安定性、ならびに/または(2)補助増感剤を半導体酸化物にしっかり固定する働きをする、カルボキシやリン酸塩などの配位基を含むことができる。適切な補助増感剤の例には、芳香族アミン(たとえば、トリフェニルアミンおよびその誘導体などの色)、カルバゾール、ならびに他の縮合環類似体を含む。補助増感剤を含む光活性層の例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/350,919号に開示されている。
【0086】
いくつかの実施形態では、光活性層4350は、半導体材料のマクロ粒子をさらに含むことができ、この半導体材料では、少なくともいくつかの半導体マクロ粒子が互いに化学的に結合し、少なくともいくつかの半導体ナノ粒子が半導体マクロ粒子に付着されている。色素(複数可)は、この半導体材料上に吸着(たとえば、化学吸着および/または物理吸着)される。マクロ粒子は、平均粒子サイズが少なくとも約100nm(たとえば、少なくとも約150nm、少なくとも約200nm、少なくとも約250nm)の粒子の凝集体を指す。光活性層中にマクロ粒子を含む光起電力セルの例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第60/589,423号に開示されている。
【0087】
或る実施形態では、DSSCは、(たとえば、約300℃未満などの比較的低い処理温度を用いて)光起電力材料の基材への接着を促進することができる被覆を含むことができる。このような光起電力セルおよび方法は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/351,260号に開示されている。
【0088】
導電性層4320の組成および厚さは、一般的に、所望の電気伝導率、光学特性、および/または層の機械的特性に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、層4320は透明である。このような層を形成するのに適した透明材料の例には、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズなどの或る金属酸化物を含む。いくつかの実施形態では、導電性層4320を箔(たとえば、チタン箔)で形成することができる。導電性層4320の厚さは、たとえば、約100nm〜500nm(たとえば、約150nm〜300nm)であってもよい。
【0089】
或る実施形態では、導電性層4320は、不透明(すなわち、そこに入射する可視スペクトルエネルギーの約10%未満だけ透過できる)であってもよい。たとえば、層4320は、銅、アルミニウム、インジウム、または金などの不透明金属の連続層から形成することができる。いくつかの実施形態では、導電性層は、その上に形成された相互接続ナノ粒子材料を有することができる。そのような層は、たとえば、ストリップ(たとえば、第1および第2の可撓性基板間に制御された大きさおよび相対的な間隔を有する)の形態であってもよい。このようなDSSCの例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/351,251号に開示されている。
【0090】
いくつかの実施形態では、導電性層4320は、導電性材料の不連続層を含むことができる。たとえば、導電性層4320は、導電性メッシュを含むことができる。適切なメッシュ材料には、パラジウム、チタン、白金、ステンレス鋼、およびそれらの合金などの金属を含む。いくつかの実施形態では、このメッシュ材料は金属ワイアを含む。この導電性メッシュ材料は、金属などの導電性材料で被覆された電気絶縁性材料を含むこともできる。この電気絶縁性材料は、織物ファイバやモノフィラメントなどのファイバを含むことができる。ファイバの例には、合成ポリマーファイバ(たとえば、ナイロン)、および天然ファイバ(たとえば、亜麻、綿、羊毛、絹)を含む。このメッシュ導電性層は、たとえば、連続的な製造プロセスによるDSSCの形成を促進させるために可撓性であってもよい。メッシュ導電性層を有する光起電力セルは、たとえば、それぞれ参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/395,823号、10/723,554号、および10/494,560号に開示されている。
【0091】
このメッシュ導電性層は、たとえば、線(またはファイバ)径およびメッシュ密度(すなわち、メッシュの単位面積当たりの線(またはファイバ)数)に関して、多種多様の形
態をとることができる。このメッシュは、任意の数の開口形状について、たとえば、規則的であってもよく、または不規則であってもよい。たとえば、メッシュの線(またはファイバ)の電気伝導率、所望の光透過率、可撓性、および/または機械的強度に基づいて、メッシュ形状因子(たとえば、ワイア径、メッシュ密度など)を選択することができる。メッシュ導電性層は、一般的に、約1ミクロン〜約400ミクロンの範囲の平均ワイア(またはファイバ)径、および約60%〜約95%の範囲のワイア(またはファイバ)間の平均開口面積を有するワイア(またはファイバ)メッシュを備える。
【0092】
触媒層4330は、一般的に、下に位置する電荷キャリア層中での酸化還元反応を触媒することができる材料で形成される。触媒層を形成することができる材料の例には、白金、ならびにポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、およびそれらの誘導体などのポリマーを含む。ポリチオフェン誘導体の例には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ[3_(4−オクチルフェニル)チオフェン]、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)(「PT34bT」)、およびポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン−コ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PT34bT−PEDOT」)を含む。1つまたは複数のポリマーを含む触媒層の例は、たとえば、両方とも参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/897,268号、および60/637,844号に開示されている。
【0093】
基板4310は、可撓性ポリマーなどの機械的に可撓性材料、またはガラスなどの剛性材料から形成することができる。可撓性基板の形成に使用することができるポリマーの例には、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、および/またはポリウレタンを含む。可撓性基板は、織物ベースの被覆および積層などの連続的な製造プロセスを促進させることができる。しかし、たとえば、参照により本明細書に援用されている、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/351,265号に開示されているような剛性基板材料を用いることもできる。
【0094】
基板4310の厚さは、所望のように変えることができる。一般的に、基板厚およびその種類は、DSSCが製造、配設、および使用の困難性に耐えるのに十分な機械的支持をもたらすように選択される。基板4310は、約6ミクロン〜約5000ミクロン(たとえば、約6ミクロン〜約50ミクロン、約50ミクロン〜約5000ミクロン、約100ミクロン〜約1000ミクロン)の厚さを有することができる。
【0095】
導電性層4320が透明な実施形態では、基板4310が透明材料で形成される。基板4310を、たとえば、シリカ系ガラスなどの透明ガラス、または上記で挙げたポリマーなどのポリマーから形成することができる。このような実施形態では、導電性層4320も透明であってもよい。
【0096】
基板4370および導電性層4360はそれぞれ、基板4310および導電性層4320に関して上記で説明したとおりであってもよい。たとえば、基板4370を、基板4310と同じ材料から形成し、基板4310と同じ厚さを有することができる。しかし、いくつかの実施形態では、基板4370が1つまたは複数の点で4310と異なることが望ましいことがある。たとえば、DSSCを異なる応力を加えるプロセスを使用して異なる基板上に製造する場合、基板4370が基板4310よりいくらか機械的に頑丈であることが望ましい場合がある。したがって、基板4370は異なる材料から形成され、または基板4310と異なる厚さを有することがある。さらに、使用の際、1つの基板のみが照明源に曝されている実施形態では、基板および/または導電性層の両方が透明である必要はない。したがって、基板および/または対応する導電性層の一方は不透明であってもよ
い。
【0097】
電荷キャリア層4340は、一般的に、接地電位または電流源から光活性層4350までの電荷移動を促進させる材料を含む。適切な電荷キャリア材料の一般的な種類には、溶媒系の液体電解質と、多価電解質と、ポリマー電解質と、固体電解質と、n型およびp型の運搬物質(たとえば、導電ポリマー)と、ゲル電解質とを含む。ゲル電解質の例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/350,912号に開示されている。電荷キャリア媒質の他の選択も可能である。たとえば、電荷キャリア層は、構造式LiXを有するリチウム塩を含むことができ、式中、Xは、ヨウ化物、臭化物、塩化物、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、トリフルオロメチルスルフォン酸塩、またはヘキサフルオロリン酸塩である。
【0098】
電荷キャリア媒質は、一般的に、酸化還元システムを備える。適切な酸化還元システムは、有機および/または無機酸化還元システムを備え得る。これらのシステムの例には、セリウム(III)サルフェート/セリウム(IV)、臭化ナトリウム/臭素、ヨウ化リチウム/ヨウ素、Fe2+/Fe3+、Co2+/Co3+、およびビオロゲンを含む。さらに、電解質溶液は、構造式MiXjを有し、式中、iおよびjは1以上であり、Xは陰イオン、Mはリチウム、銅、バリウム、亜鉛、ニッケル、ランタニド元素、コバルト、カルシウム、アルミニウム、またはマグネシウムである。適切な陰イオンには、塩化物、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、トリフルオロメチルスルフォン酸塩、およびヘキサフルオロリン酸塩を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、電荷キャリア媒質はポリマー電解質を含む。たとえば、このポリマー電解質は、ポリ(ビニルハロゲン化イミダゾリウム)、ならびにヨウ化リチウムおよび/またはポリビニルピリジニウム塩を含むことができる。実施形態では、この電荷キャリア媒質は、ヨウ化リチウム、ヨウ化ピリジニウム、および/または置換ヨウ化イミダゾリウムを含むことができる。
【0100】
この電荷キャリア媒質は、様々なタイプのポリマー多価電解質を含むことができる。たとえば、適切な多価電解質は、重量が約5%〜約95%(たとえば、5〜60%、5〜40%、または5〜20%)のポリマー(たとえば、イオン導電ポリマー)、および重量が約5%〜約95%(たとえば、35〜95%、60〜95%、または80〜95%)の可塑剤と、約0.05M〜約10M(たとえば、約0.05〜2M、0.05〜1M、または0.05〜0.5M)の、有機または無機ヨウ化物の酸化還元電解質と、約0.01M〜約1M(たとえば、約0.05〜0.5M、0.05〜0.2M、または0.05〜0.1M)のヨウ化物とを含むことができる。このイオン導電ポリマーは、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエーテル、およびポリフェノールを含むことができる。適切な可塑剤の例には、炭酸エチル、プロピレンカーボネート、炭酸塩の混合物、有機リン酸塩、ブチロラクトン、およびジアルキルフタレートを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、電荷キャリア層4340は、1つまたは複数の両性化合物を含むことができる。1つまたは複数の両性化合物を含む電荷キャリア層は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第11/000,276号に開示されている。
【0102】
図20は、基板5100をローラ5150間に進めることによってDSSCを製造するためのプロセス(ロール・ツー・ロール法)5000を示す。基板5100は、製造稼働中、連続的、周期的、または不規則にローラ5150間に進めることができる。
【0103】
導電性層5200(たとえば、チタン箔)を、基板5100に隣接する位置5120に取り付ける。
次いで、相互接続ナノ粒子材料を導電性層に隣接する位置5130上に形成する。この相互接続ナノ粒子材料は、架橋剤(たとえば、ポリ(n−ブチルチタネート)などのポリマー架橋剤)と、金属酸化物ナノ粒子(たとえば、チタニア)とを含有する溶液を塗布することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、これらのポリマー架橋剤および金属酸化物ナノ粒子を別個に塗布して相互接続ナノ粒子材料を形成する。これらのポリマー架橋剤および金属酸化物ナノ粒子を(たとえば、ロール・ツー・ロール法に使用される装置に存在するオーブン中で)加熱して、相互接続ナノ粒子材料を形成することができる。
【0104】
次いで、1つまたは複数の色素を相互接続ナノ粒子材料に隣接する位置5350に(たとえば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、またはグラビア印刷を用いて)塗布して光活性層を形成する。
【0105】
電荷キャリア層をパターン付光活性層に隣接する位置5160に堆積させる。この電荷キャリア層を上記で挙げたもののような既知の技法を用いて堆積させることができる。
導電性層5600(たとえば、ITO)を基板5700に隣接する位置5190に取り付ける。
【0106】
触媒層前駆体を導電性層5600に隣接する位置5180に堆積させる。この触媒層前駆体は、たとえば、電気化学セル中のヘキサクロロ白金酸を用いる電気化学析出、または白金化合物(たとえば、ヘキサクロロ白金酸)を含有する被覆の熱分解を用いて、導電性層5600上に堆積させることができる。一般的に、触媒層前駆体を、スピンコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、バーコーティング、吹き付けコーティング、ローラコーティング、スロットコーティング、グラビアコーティング、スクリーンコーティング、および/またはインクジェット印刷などの既知のコーティング技法を用いて堆積させることができる。次いで、この触媒層前駆体を(たとえば、ロール・ツー・ロール法に使用される装置に存在するオーブン中で)加熱して触媒層を形成する。いくつかの実施形態では、導電性材料5600を、先に進む基板5700に取り付ける前に少なくとも部分的にこの触媒層で被覆することができる。或る実施形態では、触媒層を、導電性層5600に(たとえば、前駆体の存在無しで)直接塗布する。
【0107】
いくつかの実施形態では、この方法は、被覆を切断し第1被覆基材の少なくとも一部分を溶かすのに十分な高温で第1被覆基材の被覆に引っかき傷をつけ、かつ/または被覆を切断し第2被覆基材の少なくとも一部分を溶かすのに十分な高温で第2被覆基材の被覆に引っかき傷をつけること、および随意にこれらの第1および第2の基材を接合して太陽電池モジュールを形成することを含むことができる。金属箔付のDSSCおよびその製造方法は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/351,264号に開示されている。
【0108】
或る実施形態では、この方法は、光起電力セルおよび/またはモジュールの端部を切り取りかつ/またはシールする(たとえば、光活性部品を実質的に鈍感な環境で雰囲気に封止する)ために切断(たとえば、超音波切断)することを含むことができる。このような方法の例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/351,250号に開示されている。
ポリマー光起電力セル
或る実施形態では、光起電力セルはポリマー光起電力セルである。図21は、基板6610および6670と、導電性層6620および6660と、正孔遮断層6630と、光活性層6640と、正孔キャリア層6650とを備えるポリマー光起電力セル6600を
示す。
【0109】
一般的に、基板6610および/または基板6670は、DSSC中の基板に関して上記に記載したとおりであってもよい。例示的な材料には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、またはポリイミドを含む。ポリイミドの例は、カプトン(KAPTON)(登録商標)ポリイミド被膜(E.I.デュポン・ ド・ ヌムール社から入手可能)である。
【0110】
一般的に、導電性層6620および/または導電性層6660は、DSSC中の導電性層に関して上記に記載したとおりであってもよい。
一般的に、正孔遮断層6630は、光起電力セル6600中で使用される厚さで、電子を導電性層6620へ輸送し正孔の導電性層6620への輸送をほぼ遮断する材料で形成される。層6630を形成することができる材料の例には、LiF金属酸化物(たとえば、酸化亜鉛、酸化チタン)およびそれらの組み合わせを含む。層6630の厚さは、一般的に、所望のように変えることができるが、この厚さは一般的に最小で0.02ミクロン(たとえば、最小で約0.03ミクロン、最小で約0.04ミクロン、最小で約0.05ミクロン)の厚さ、および/または最大で約0.5ミクロン(たとえば、最大で約0.4ミクロン、最大で約0.3ミクロン、最大で約0.2ミクロン、最大で約0.1ミクロン)の厚さである。いくつかの実施形態では、この間隔は0.01ミクロン〜約0.5ミクロンである。いくつかの実施形態では、層6630は薄いLiF層である。このような層は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/258,708号に開示されている。
【0111】
一般的に、正孔キャリア層6650は、光起電力セル6600中で使用される厚さで、正孔を導電性層6660へ輸送し電子の導電性層6660への輸送をほぼ遮断する材料で形成される。層6650を形成することができる材料の例には、ポリチオフェン(たとえば、PEDOT)、ポリアニレン、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフェニルビニレン、ポリシラン、ポリチエニレンビニレン、ポリイソチアナフタレンおよびそれらの組み合わせを含む。層6650の厚さは、一般的に、所望のように変えることができるが、この厚さは一般的に最小で0.01ミクロン(たとえば、最小で約0.05ミクロン、最小で約0.1ミクロン、最小で約0.2ミクロン、最小で約0.3ミクロン、最小で約0.5ミクロン)、および/または最大で約5ミクロン(たとえば、最大で約3ミクロン、最大で約2ミクロン、最大で約1ミクロン)である。いくつかの実施形態では、この間隔は0.01ミクロン〜約0.5ミクロンである。
【0112】
光活性層6640は、一般的に、電子受容体材料と電子供与体材料を含む。
電子受容体材料の例には、フラーレン、オキサジアゾール、カーボンナノロッド、ディスコティック液晶、無機ナノ粒子(たとえば、酸化亜鉛、酸化タングステン、リン化インジウム、セレン化カドミウム、および/または硫化鉛で形成された無機ナノ粒子)、無機ナノロッド(たとえば、酸化亜鉛、酸化タングステン、リン化インジウム、セレン化カドミウム、および/または硫化鉛で形成された無機ナノロッド)、あるいは電子の受容または安定した陰イオンの形成が可能な残基を含むポリマー(たとえば、CN基を含むポリマー、CF基を含むポリマー)を含む。いくつかの実施形態では、電子受容体材料は置換フラーレン(たとえば、PCBM)である。いくつかの実施形態では、フラーレンを誘導体化できる。たとえば、フラーレン誘導体は、フラーレン(たとえば、PCBG)と、ペンダント基(たとえば、エポキシ、オキセタン、またはフランなどの環状エーテル)と、ペンダント基をフラーレンから離して配置する架橋基とを含むことができる。ペンダント基は、一般的に、充分に反応性が高いので、フラーレン誘導体が別の化合物(たとえば、別のフラーレン誘導体)と反応して反応生成物を調製することができる。誘導体化フラーレンを含む光活性層は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有
する同時係属中の米国特許出願第60/576,033号に開示されている。電子受容体材料の組合せを用いることもできる。
【0113】
電子供与体材料の例には、ディスコティック液晶、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニルビニレン、ポリシラン、ポリチエニルビニレン、およびポリイソチアナフタレンを含む。いくつかの実施形態では、この電子供与体材料は、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)である。或る実施形態では、光活性層6640は電子供与体材料の組合せを含むことができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、光活性層6640は、配向した電子供与体材料(たとえば、液晶(LC)材料)と、電子活性ポリマーバインダキャリア(たとえば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン(P3HT)材料)と、複数のナノ結晶体(たとえば、ZnO、WO、またはTiOのうちの少なくとも1つを含む配向したナノロッド)とを含む。液晶(LC)材料は、たとえば、複数のディスコティックメソゲンユニットを含むディスコティックネマチックLC材料であってもよい。各ユニットは、中心基と複数の電気活性なアームを備えることができる。この中心基は、少なくとも1つの芳香環(たとえば、アントラセン基)を含むことができる。電気活性な各アームは、複数のチオフェン残基と複数のアルキル残基を含むことができる。光活性層内部で、これらのユニットは層をなし列をなして整列することができる。隣接する列のユニットの電気活性アームは互いにかみ合ってユニット間の電子移動を促進させることができる。また、この電気活性なポリマーキャリアをLC材料間に分配して、電子移動をさらに促進させることもできる。ナノ結晶体のそれぞれの表面は、複数の電気活性な界面活性剤基を含んで、LC材料およびポリマーキャリアからナノ結晶体までの電子移動を促進させることができる。各界面活性剤基は複数のチオフェン基を含むことができる。各界面活性剤を、たとえば、ホスホン端末基によってナノ結晶体に結合することができる。また、各界面活性剤基は複数のアルキル残基を含んで、ナノ結晶体の光活性層中への溶解度を高めることができる。光起電力セルの例は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第60/664,336号に開示されている。
【0115】
或る実施形態では、層6640中のこれらの電子供与体材料および電子受容体材料を、電子供与体材料、電子受容体材料およびそれらの混合相が層6640中の少なくともいくつかの部分で500nm未満の平均最大粒径を有するように選択することができる。このような実施形態では、層6640の調製は、分散剤(たとえば、クロロベンゼン)を電子供与体および電子受容体の両方にとっての溶媒として用いることを含むことができる。このような光活性層は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/258,713号に開示されている。
【0116】
一般的に、光活性層6640は、その上に衝突する光子を対応する電子および正孔を形成するように吸収することが比較的効率的なように十分厚く、かつ、これらの正孔および電子をデバイスの導電性層に移動させることが比較的効率的なように充分薄い。或る実施形態では、層6640の厚さは、最小で0.05ミクロン(たとえば、最小で約0.1ミクロン、最小で約0.2ミクロン、最小で約0.3ミクロン)、および/または最大で約1ミクロン(たとえば、最大で約0.5ミクロン、最大で約0.4ミクロン)である。いくつかの実施形態では、層6640の厚さは、0.1ミクロン〜約0.2ミクロンである。
【0117】
いくつかの実施形態では、光活性層6640の透過率は、層6640が曝される電場が変化するにつれて変化することができる。このような光起電力セルは、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/486,116号に開示されている。
【0118】
いくつかの実施形態では、セル6600は、光活性層6640と導電性層6620の間の(たとえば、ドープポリ(3−アルキルチオフェン)などの共役ポリマーで形成された)さらなる層、および/または光活性層6640と導電性層6660の間の(たとえば、共役ポリマーで形成された)さらなる層をさらに含むことができる。これらのさらなる層(複数可)は、(たとえば、適切なドーピングによって実現される)1.8eVのバンドギャップを有することができる。このような光起電力セルは、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許第6,812,399号に開示されている。
【0119】
セル6600は、随意に、光活性層6640と導電性層6660の間に薄いLiF層をさらに含むことができる。このような層は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/258,708号に開示されている。
【0120】
いくつかの実施形態では、セル6600を以下のように調製することができる。導電性層6620を、従来の技法を用いて基板6610上に形成することができる。導電性層6620を、外部負荷と電気接続可能になるように構成する。層6630を、たとえば、スロットコーティング、スピンコーティング、またはグラビアコーティングなどの溶液コーティング法を用いて、導電性層6620上に形成する。光活性層6640を、たとえば、溶液コーティング法を用いて層6630上に形成する。層6650を、たとえば、スロットコーティング、スピンコーティング、またはグラビアコーティングなどの溶液コーティング法を用いて光活性層6640上に形成する。導電性層6620を、たとえば、蒸着やスパッタリングなどの真空コーティング法を用いて層6650上に形成する。
【0121】
或る実施形態では、セル6600の調製には、電子供与体材料の、所定の処理時間の間のガラス転移温度以上での熱処理を含むことができる。変換効率を向上させるために、処理時間の少なくとも一部分で、光起電力セルの導電性層に印加されその無負荷電圧より大きい界磁誘起電圧(field voltage )によって誘導される電場の影響下で、光起電力セルの熱処理を実施することができる。このような方法は、たとえば、参照により本明細書に援用された、本願権利者が所有する同時係属中の米国特許出願第10/509,935号に開示されている。
【0122】
他の実施形態
或る実施形態を開示してきたが、他の実施形態も可能である。
例として、導電性相互接続がステッチである実施形態を説明してきたが、或る実施形態では、導電性相互接続はステープルまたはグロメットの形態であってもよい。ステープルおよび/またはグロメットを形成するために使用される適切な材料の例には、導電性ステッチ相互接続に関して上記で述べたものを含む。
【0123】
別の例として、隣接する光起電力セル間の重なり領域が1つの導電性相互接続で固定された実施形態を説明してきたが、いくつかの実施形態では、1を超える(たとえば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上の)導電性相互接続を用いて重なり領域を固定することができる。
【0124】
他の例として、カソードがアノードとの電気接続を形成する成形部または湾曲部を有する実施形態を説明してきたが、いくつかの実施形態では、アノードがカソードとの電気接続を形成する湾曲部または成形部を有する。或る実施形態では、カソードとアノードが共にこのような湾曲部または成形部を有する。
【0125】
さらなる例として、いくつかの実施形態では、カソードの成形部または湾曲部とアノードの成形部または湾曲部との間に、電気伝導性接着剤などの導電性材料を配設することができる。
【0126】
他の例として、太陽電池モジュールは3つの光起電力セルを備えるとして説明してきたが、太陽電池モジュールは3を超える(たとえば、4、5、6,7)光起電力セルを含むことができる。
【0127】
別の例として、接着剤を、一般的に、任意の電気絶縁性接着剤で形成することができる。このような接着剤の例には、オレフィン、アクリレート、およびウレタンのコポリマー、ならびに他のホットメルト接着剤を含む。市販された接着剤の例には、バイネル(登録商標)接着剤(デュポンから入手可)、熱ボンド接着剤845(3Mから入手可)、およびダイニオン(商標)THV220フッ素ポリマー接着剤(3Mから入手可)を含む。
【0128】
さらなる例として、電荷キャリア層中の材料は光活性層を形成する材料とは異なるとして上記で説明してきたが、いくつかの実施形態では、電荷キャリア層内の1つまたは複数の材料を光活性層内に少なくとも部分的に配設する(たとえば、混ぜる)ことができる。或る実施形態では、電荷キャリア層内の材料および光活性層内の材料を結合して、複合層を形成することができる。
【0129】
他の例として、保護層を上部基板および/または下部基板に塗布することができる。保護層を、たとえば、汚染物質(たとえば、ごみ、水分、酸素、化学物質)を光起電力セルから締め出し、かつ/またはセルを機械的に強化するために使用することができる。保護層をポリマー(たとえば、フッ素化ポリマー)で形成することができる。
【0130】
さらなる例として、電荷キャリア層中の材料は光活性層を形成する材料とは異なるとして上記で説明してきたが、いくつかの実施形態では、電荷キャリア層内の1つまたは複数の材料を少なくとも部分的に光活性層内に配設する(たとえば、混ぜる)ことができる。或る実施形態では、電荷キャリア層内の材料および光活性層内の材料を結合して、複合層を形成することができる。
【0131】
他の例として、保護層を上部基板および/または下部基板に塗布することができる。保護層を、たとえば、汚染物質(たとえば、ごみ、水分、酸素、化学物質)を光起電力セルから締め出し、かつ/またはセルを機械的に強化するために使用することができる。保護層をポリマー(たとえば、フッ素化ポリマー)で形成することができる。
【0132】
別の例では、1つまたは複数の導電性相互接続が使用される実施形態を説明してきたが、いくつかの実施形態では、導電性ではない1つまたは複数の相互接続を使用することができる。或る実施形態では、導電性ではない相互接続(たとえば、1つ以上の相互接続、2つ以上の相互接続、3つ以上の相互接続、4つ以上の相互接続、5つ以上の相互接続、6つ以上の相互接続)のみが使用される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の導電性相互接続および1つまたは複数の導電性ではない相互接続を使用する。
【0133】
さらに、あるタイプの、相互接続を有する太陽電池モジュールを説明してきたが、相互接続を他のタイプのモジュールに用いることもできる。例には、アモルファスシリコン、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化銅インジウム、および/またはヒ化銅インジウムガリウムで形成された活性材料を有する光起電力セルを備える太陽電池モジュールを含む。
【0134】
太陽電池モジュールは、一般的に、あらゆる所望の用途の構成部品として使用すること
ができる。図22は、外壁パネルまたは波型構造に適合した外装内に援用された太陽電池モジュールを示す。図23は、天幕内に援用された太陽電池モジュールを示す。図24は、携帯型電子デバイスの充電器に援用された太陽電池モジュールを示す。他の用途には、たとえば、パッケージ標識、センサ、窓の日よけ、窓のブラインド、および/または窓(たとえば、不透明な窓、半透明な窓)を含む。
【0135】
以下の例は例示的なものであり、限定する意図はない。
実施例1
光起電力セルを以下のように調製した。
【0136】
厚50ミクロンのチタン箔を切断して、光起電力セルのカソードを形成するために0.7cm×7cmの大きさを有するようにした。光活性層の一部分を形成するためにスロットコーティングを用いて、厚15ミクロンのTiOの多孔質層をカソードの表面の1つに堆積させた。このTiO層を30〜50mg/mの光増感剤で被覆して光活性層を完成させた。
【0137】
次いで、この光活性層に、酸化還元対I/Iを含む0.3〜1.0g/mの電解質を吸収させて、光起電力セル層内に電荷キャリア層を形成した。
光起電力セルのアノードは、厚300nmのITO層を長さ8cm、幅2cm、厚さ200ミクロンのPEN基板の表面にスパッタリングすることによって調製した。次いで、厚1nm未満の白金層をITO層の上面にスパッタリングして触媒層を形成した。THV接着剤(ダイニオンから入手可)を用いて、電解質を吸収した光活性層にこの触媒層を接合することによって光起電力セルを完成させた。
【0138】
同じプロセスを用いて別の光起電力セルを調製した。
2つの光起電力セルのそれぞれをA.M.1.5(単位平方センチメートル当たり100mW)光源(Oriel Solar Simulator )で30秒間露光した。2つの光起電力セルそれぞれの内部に発生した電流を測定し、電圧に対してプロットした。得られた結果を図25に示す。第1セルの変換効率は4.57%であり、第2セルの変換効率は4.62%であった。 第1セルの曲線因子は60.4%であり、第2セルの曲線因子は58.9%であった。
【0139】
次いで、これら2つの光起電力セルを結合して図5に示す設計(2mm幅の重なり領域)の太陽電池モジュールを作製した。スチールステープル(互いから約5mm離れた)をこの重なり領域を貫通して打ち込んで2つの光起電力セルを一緒に電気的に接続し、固定してモジュールを形成した。 このモジュールを上記で述べたのと同じ光源に同じ条件で30秒間露光させた。モジュール内に発生した電流を測定し、電圧に対してプロットした。得られた電流と電圧の関係を図25に示す。 モジュールの変換効率4.67%は、上記で述べたようにして決定した。モジュール曲線因子は58.7%であった。
【0140】
すなわち、モジュールの曲線因子は、それぞれのセルの曲線因子よりほんの少しだけ高く、モジュールの変換効率は、それぞれのセルの個々の変換効率よりほんの少しだけ低かった。
【0141】
他の実施形態は特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を備える第1光起電力セルと、
電極を備える第2光起電力セルと、
前記第1光起電力セルの前記電極と前記第2光起電力セルの前記電極とを接続するように、前記第1光起電力セルの前記電極中に配設され、かつ前記第2光起電力セルの前記電極中に配設された相互接続とを備える、モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−102179(P2013−102179A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−286205(P2012−286205)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2005−158275(P2005−158275)の分割
【原出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(308014846)メルク パテント ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】