説明

太陽電池封止材用樹脂組成物

【課題】本発明は、光散乱の抑制により太陽電池の初期変換効率が向上し、長期間太陽光にさらされても波長変換効果の低下および封止材用樹脂の黄変を最小限に抑制することができるため、長期間にわたり高い変換効率の維持を可能にする太陽電池封止材用樹脂組成物、及び太陽電池封止材を提供することを目的とする。
【解決手段】一般式(1)に示すアゾール系化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含むことを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に使用する太陽電池封止材用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムは、地球温暖化対策や、枯渇懸念のある化石燃料代替の観点から、クリーンで持続的なエネルギーシステムとして、世界中で関心が高まっている。そのため、太陽電池市場は、年率3割近い成長率で急拡大している。また、昨今の原子力発電の安全性への懸念や、緊急時の自家発電等の面からも太陽電池が注目されている。現在主流の太陽光発電は、結晶シリコンやアモルファスシリコン等のシリコン系やCdTe、CIGS等の化合物半導体系の太陽電池モジュールと周辺装置から構成されているが、太陽光発電システムのさらなる拡大には、発電コストの低減が最大の課題である。ここ数年、発電コストは従来に比べて大幅に低減しているものの、現時点の発電コストは他のエネルギーと比較し依然割高であり、太陽電池の高効率化、長寿命化などの技術開発が求められている。
【0003】
太陽電池モジュールの高効率化には、受光性、透明性、電気特性等の各種性能の向上が必要とされ、発電素子を環境から守る封止材にもこれらの性能が求められている。
ここで、例えば結晶系シリコンの発電素子は、特性上、太陽光の紫外線領域は分光感度が低く、太陽光を有効に活用できていない。そこで、封止材に波長変換材を配合することで紫外線を発電に寄与できる波長に変換することで太陽電池モジュールの高効率化を行う検討がされている。特許文献1および2では、封止材に波長変換材として有機金属錯体を配合して、変換効率が向上するとした太陽電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/047427号
【特許文献2】特開2010−258293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の有機金属錯体は、配位子に耐光性が無いため、長期間太陽光にさらされると急速に変換効率の低下が起こるため、太陽電池の変換効率が時間の経過ともに低下した。また、有機金属錯体が光照射によって劣化することで封止材に配合した樹脂が黄変することで変換効率が大幅に低下する問題があった。さらに、有機金属錯体と、封止材用樹脂との屈折率差によって、波長変換に寄与しない波長の光が散乱することで、太陽電池セルの受光性が低下する問題があった。
【0006】
本発明は、光散乱の抑制により太陽電池の初期変換効率が向上し、長期間太陽光にさらされても波長変換効果の低下および樹脂の黄変を最小限に抑制することができるため、長期間にわたり高い変換効率の維持を可能にする太陽電池封止材用樹脂組成物、および太陽電池封止材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含む太陽電池封止材用樹脂組成物である。
【0008】
一般式(1)
【化1】

【0009】
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。ここで、R1〜R4、および、R5〜R8はそれぞれ、隣接した基が互いに結合して環を形成しても良い。Xは、−S−、−O−、または、−NR9−を表し、R9は水素原子、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、または、置換もしくは未置換のアシル基を表す)
【発明の効果】
【0010】
本発明の太陽電池封止材用樹脂組成物は、特定構造のアゾール系化合物が紫外線を吸収し可視領域の光を発する。この発光により太陽電池セルの受光量が増し、太陽電池の初期変換効率が向上できる。また、当該特定構造のアゾール系化合物は、2−ヒドロキシフェニル基が結合したベンゾアゾール系の基本骨格が、耐光性に富んでいるため、劣化を最小限に抑制できることで波長変換効果が長期間持続する。さらに当該特定構造のアゾール系化合物は、封止材用樹脂との屈折率差が少ないため光が散乱しにくいため太陽電池の初期変換効率を向上できる。
【0011】
本発明により、光散乱の抑制により太陽電池の初期変換効率が向上し、長期間太陽光にさらされても波長変換効率の低下および封止材用樹脂の黄変を最小限に抑制することができるため、長期間にわたり高い変換効率の維持を可能にする太陽電池封止材用樹脂組成物、および太陽電池封止材を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】太陽電池モジュールサンプルの一例を説明した断面図である。
【図2】耐久試験用サンプルを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「任意の数A以上、任意の数B以下」及び「任意の数A〜任意の数B」の記載は、数A及び数Aより大きい範囲であって、数B及び数Bより小さい範囲を意味する。
【0014】
本発明は、アゾール系化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含む太陽電池封止材用樹脂組成物である。そしてアゾール系化合物(A)は、紫外線を可視光に変換する波長変換効果を有する有機蛍光体として機能する。この波長変換効果とは、ある波長を他の波長へ変換することをいい、本発明では分光感度の低い紫外光を、感度の高い可視領域の光に変換することをいう。また、波長変換による変換効率の向上は、蛍光体の吸収波長、発光波長、発光強度や、太陽電池素子への受光量により決まるが、太陽光のうち、発電寄与率の小さい紫外線を吸収し、可視光長波長領域に発光するようなストークスシフトの大きいものが好ましい。なお、分光感度とは太陽電池での発電の効率は波長によって異なる。波長ごとの感度特性を「分光感度特性」と呼ぶ。
【0015】
波長変換機能を有する化合物として、無機蛍光体、有機蛍光体、有機金属錯体等が知られている。しかし、無機蛍光体は屈折率が高いものが多い。また、有機金属錯体は凝集性が高く、比較的融点の高いものが多い。そのため、これらを熱可塑性樹脂に添加した場合、樹脂との屈折率差によって、光散乱を起こすため、発電素子表面での反射を増大させ、変換効率が低下する。また、一般的な有機蛍光体は、紫外線の連続照射により、有機蛍光体自身が劣化する。この劣化は、有機金属錯体の配位子でも同様に起こり、波長変換機能が長期間維持できない。また、有機金属錯体の場合、金属イオン種によっては、樹脂の自動酸化反応を促進させる触媒作用を持ち、樹脂、その他の添加剤を劣化させる。そして金属による劣化作用は、温度や湿度に比例して大きくなる傾向にある。さらに熱による劣化も作用するため太陽電池用途へ使用することは極めて困難であった。
【0016】
そこで、本発明は、太陽電池封止材用途のように長期間紫外線に曝露される状態であっても、アゾール系化合物(A)を用いることで、紫外光による劣化が少なく波長変換効果を長期間維持し、樹脂黄変を低減することができる太陽電池封止材用樹脂組成物を可能とした。
【0017】
本発明における有機蛍光体は下記に示す一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)であり、2−ヒドロキシフェニル基が結合したベンゾアゾール系の基本骨格を有することを特長としている。この基本骨格を有することで高い耐光性と波長変換能を併せて実現することができる。そして、適宜置換基を導入することで樹脂への溶解性や融点、光学特性をより向上させることができる。
【0018】
一般式(1)
【化2】

【0019】
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。ここで、R1〜R4、および、R5〜R8はそれぞれ、隣接した基が互いに結合して環を形成しても良い。Xは、−S−、−O−、または、−NR9−を表し、R9は水素原子、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、または、置換もしくは未置換のアシル基を表す)
【0020】
一般式(1)におけるR1〜R9について説明する。
【0021】
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。ここで、R1〜R4、および、R5〜R8はそれぞれ、隣接した基が互いに結合して環を形成しても良い。
【0022】
ここで、R1〜R8におけるハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0023】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられる。それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2から18であり1個以上のエーテル結合(−O−)を含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられる。炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8の整数である)、−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5の整数である)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3、−CH2−CH(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
炭素数2から18であり1個以上のエーテル結合を含む単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
【化3】

【0027】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアルキルオキシ基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基、または炭素数2から18であり1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基が挙げられる。炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキルオキシ基の具体例としては、−O−CH2−O−CH3、−O−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−O−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−O−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8の整数である)、−O−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5の整数である)、−O−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3、−O−CH2−CH(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
炭素数2から18であり1個以上のエーテル結合を含む単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
【化4】

【0030】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアリール基としては、炭素数6から24の単環または縮合多環アリール基が挙げられる。具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、9−アンスリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、2−フルオレニル基、9−フルオレニル基、3−ペリレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、p−クメニル基、p−ドデシルフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、4−ビフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−カルボキシフェニル基、o−メルカプトフェニル基、p−シアノフェニル基、m−ニトロフェニル基、m−アジドフェニル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、炭素数4から18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられる。具体例としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換の複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素原子数4から24の芳香族あるいは脂肪族の複素環基が挙げられる。具体例としては、2−チエニル基、2−ベンゾチエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、3−チアントレニル基、2−チアンスレニル基、2−フリル基、2−ベンゾフリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、2−アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、3−フェニキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−クマリニル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾトリアゾリル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換の複素環オキシ基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4から18の単環状または縮合多環状複素環オキシ基が挙げられる。具体例としては、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、炭素数2から20のアルキルオキシ基が置換したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状アリール基が結合したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状のアリールオキシ基が置換したカルボニル基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4から18の単環または縮合多環状の複素環基が結合したカルボニル基が挙げられる。具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、シンナモイル基ベンゾイル基、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、9−アンスリルカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、1−ナフトイルオキシカルボニル基、2−ナフトイルオキシカルボニル基、9−アンスルリルオキシカルボニル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアシルオキシ基としては、炭素数2から20のアシルオキシ基が挙げられる。具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
また、R1〜R8における置換もしくは未置換のアミノ基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0037】
ここで、アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、sec−ペンチルアミノ基、tert−ペンチルアミノ基、tert−オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1−アダマンタミノ基、2−アダマンタミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
アリールアミノ基としては、アニリノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、2−ビフェニルアミノ基、3−ビフェニルアミノ基、4−ビフェニルアミノ基、1−フルオレンアミノ基、2−フルオレンアミノ基、2−チアゾールアミノ基、p−ターフェニルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
ジアリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−フェニル−1−ナフチルアミノ基、N−フェニル−2−ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
アルキルアリールアミノ基としては、N−メチルアニリノ基、N−メチル−2−ピリジノ基、N−エチルアニリノ基、N−プロピルアニリノ基、N−ブチルアニリノ基、N−イソプロピル、N−ペンチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、N−メチル−1−ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
また、R1〜R8における置換基上の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。このような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルケニル基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基などを挙げることができる。
【0043】
さらに、R1〜R4、および、R5〜R8は隣接した基が互いに結合して環を形成しても良く、形成する環は芳香環であってもよい。
【0044】
一般式(1)におけるR9は、水素原子、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、または、置換もしくは未置換のアシル基を表す。
【0045】
ここで、R9における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、および、置換もしくは未置換のアシル基とは、前述したR1〜R8における置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、および、置換もしくは未置換のアシル基と同義である。
【0046】
上記アゾール系化合物(A)の中で、一般式(1)中のXが−NR9−で表されるベンゾイミダゾール系材料を用いると、より高い耐光性が得られるためより好ましい。
【0047】
また、本発明においてアゾール系化合物(A)は、R1〜R4の少なくとも1つが3級アルキル基であれば、長期間太陽光にさらされても波長変換効率の低下および熱可塑性樹脂(B)の黄変をさらに抑制することができるためより好ましく、R1〜R4の2つ以上が3級アルキル基であればさらに好ましい。これは、3級アルキル基による立体保護効果によって、アゾール系化合物(A)の主な劣化機構である酸化重合を抑制することが可能となるためである。このようなアゾール系化合物(A)のうちで、R1およびR3が3級アルキル基であるものが安価かつ容易に製造可能であるため特に好ましい。
【0048】
1〜R4で使用できる3級アルキル基は、例えばt−ブチル基、t−ペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、3−メチル−2−ブチル基、2−フェニル−2−プロピル基、2,2−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、1−エチルシクロプロピル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、1−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基等などを挙げられる。
【0049】
また、本発明においてアゾール系化合物(A)は、R5〜R8の少なくとも1つがハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基であることが好ましい。ハロゲン原子のうちフッ素原子および塩素原子は、長期間太陽光にさらされても熱可塑性樹脂(B)の黄変をさらに抑制できるためより好ましく、R5〜R8の2つ以上がフッ素原子または塩素原子であることがさらに好ましい。現時点では、この機構は完全には明らかではないが、電子吸引効果によって、熱可塑性樹脂(B)中に溶存、あるいは新たに溶解してくる酸素分子との反応性が低下しているためと思われる。
【0050】
本発明で用いられる一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)の代表例を、以下に示すが、本発明はこれらの代表例に限定されるものではない。
【0051】
【化5】

【0052】
【化6】

【0053】
【化7】

【0054】
【化8】

【0055】
【化9】

【0056】
【化10】

【0057】
【化11】

【0058】
【化12】

【0059】
【化13】

【0060】
【化14】

【0061】
【化15】

【0062】
【化16】

【0063】
【化17】

【0064】
【化18】

【0065】
【化19】

【0066】
【化20】

【0067】
【化21】

【0068】
【化22】

【0069】
【化23】

【0070】
【化24】

【0071】
【化25】

【0072】
【化26】

【0073】
【化27】

【0074】
本発明において一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)を合成する方法は特に限定されず、公知のいかなる方法も用いることができる。例えば、一般式(1)におけるXが―NR9−であるベンゾイミダゾール系であれば、Spectochimica Acta PartA,63巻,343〜348頁(2006年)に記載のサリチルアルデヒド誘導体とo−フェニレンジアミン誘導体を亜硫酸水素ナトリウム存在下で縮合する方法、Dalton Transactions,3647〜3653頁(2004年)に記載の2−ヒドロキシ−安息香酸フェニル誘導体とo−フェニレンジアミン誘導体を縮合させる方法等を挙げることができる。
【0075】
また、一般式(1)におけるXが―O―であるベンゾオキサゾール系の場合は、Journal of Heterocyclic Chemistry,30巻,1613〜1622頁に記載の、ポリリン酸中でサリチル酸誘導体とアミノフェノール誘導体を縮環させる方法、同報文中に記載の、N−メチルピロリジノン中で塩化チオニル、サリチル酸誘導体およびアミノフェノール誘導体を反応させる方法(Seha‘s Method)等を挙げることができる。
【0076】
一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)の融点は、50〜260℃であることが好ましい。さらに好ましくは、80℃〜230℃である。50℃以上になることで、太陽電池の一般的使用条件下でも化合物が溶解しにくく、溶解した化合物が他部材との密着性を低下させる可能性を低減できる。一方、融点が260℃以下になることで、化合物が凝集しにくくなり、光の散乱が生じにくくなる。
【0077】
本発明において一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)の励起波長、発光波長は、特に限定されないが、結晶系シリコンの太陽電池セルの分光感度特性と太陽光における光子数分布の関係より、極大励起波長は、365nmより短波長が好ましく、より好ましくは、350nm以下である。また、極大発光波長については、460nmより長波長が好ましい。
【0078】
本発明において熱可塑性樹脂(B)は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂等ならびにそれらの変性樹脂、共重合樹脂等が好ましい。これらの中でもエチレン系共重合体樹脂が好ましい。エチレン系共重合体樹脂は、二種類以上の単量体の共重合体であり、単量体の少なくとも一種類がエチレン単量体であれば特に限定されることはない。具体的には、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレンメタクリル酸メチル共重合体、エチレンメタクリル酸エチル共重合体、エチレン系アイオノマー、エチレン酢酸ビニル系多元共重合体、エチレンアクリル酸メチル系多元共重合体、エチレンアクリル酸エチル系多元共重合体、エチレンメタクリル酸メチル系多元共重合体、エチレンメタクリル酸エチル系多元共重合体などが挙げられるが、ラミネート工程におけるセルの損傷低減や、透明性、生産性向上の観点から、酢酸ビニルを15〜40重量%使用したエチレン酢酸ビニル共重合体が好ましく、25〜35重量%がより好ましい。
また、本発明において、熱可塑性樹脂(B)は、成形性、機械的強度などを考慮すると、メルトフローレート(以下、単にMFRという)が0.1〜60g/10minであることが好ましく、0.5〜45g/10minがより好ましい。なおメルトフローレートは、JIS K7210に準拠して測定した数値である。
【0079】
一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜1.5重量部で使用することが好ましく、0.01〜1.0重量部がより好ましい。0.01〜1.5重量部使用することで、透明性、初期変換効率および波長変換効果のバランスがとりやすくなる。
太陽電池封止材用樹脂組成物はマスターバッチとして製造することも好ましい。マスターバッチとすることで一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)を太陽電池封止材中に分散しやすくなる。かかる場合、一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、1〜20重量部用いることが好ましく、1〜10重量部がより好ましい。
【0080】
本発明の太陽電池封止材用樹脂組成物は、必要に応じて架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、難燃剤、分散剤等の添加剤を配合することも可能である。さらに、各種添加剤をアゾール系化合物(A)、熱可塑性樹脂(B)と一緒に配合して製造することも、太陽電池封止材を製造する際に、別に添加することも可能である。
【0081】
架橋剤は、エチレン共重合体の高温使用下における熱変形を防止するために用いられる。エチレン共重合体の場合、有機過酸化物が一般的に使用される。添加量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と、アゾール系化合物との合計100重量部に対して、0.05〜3重量部用いるのが好ましい。具体例としては、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、エチル−3,3−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0082】
架橋助剤は、上記架橋反応を効率良く行うために用いられ、ポリアリル化合物やポリアクリロキシ化合物のような多不飽和化合物が挙げられる。添加量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と、アゾール系化合物との合計エ100重量部に対して、0.05〜3重量部用いるのが好ましい。具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。
【0083】
シランカップリング剤は、保護材や太陽電池素子等に対する接着性を向上させるために用いられ、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の不飽和基や、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物が挙げられる。添加量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と、アゾール系化合物との合計100重量部に対して、0.05〜3重量部用いるのが好ましい。具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0084】
光安定剤は、紫外線吸収剤と併用し、耐候性を付与するために用いられ、ヒンダードアミン光安定剤が挙げられる。光安定剤の添加量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と、アゾール系化合物との合計100重量部に対して、0.01〜3重量部用いるのが好ましい。具体例としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
【0085】
本発明の太陽電池封止材用樹脂組成物は、アゾール系化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)を含む原料を混合、溶融混練し、ペレット状に成形することで製造できる。この時、アゾール系化合物(A)を最終成形物である封止材中の濃度より予め高く配合したマスターバッチとして製造することも好ましい。
ここで、混合は、一般的な高速せん断型混合機や回転混合機であるヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等を用いるのが好ましい。
また、溶融混練は、二本ロール、三本ロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸混練押出し機、二軸混練押出し機等を用いるのが好ましい。
【0086】
太陽電池封止材は、太陽電池封止材用樹脂組成物を溶融混練し、成形することで製造できる。成形方法は、T−ダイ押出機やカレンダー成形機などを使用できる。太陽電池封止材の厚みは、0.1〜1mm程度が好ましい。
【0087】
また、太陽電池封止材は、マスターバッチとして得られた太陽電池封止材用樹脂組成物と、希釈用のエチレン酢酸ビニル共重合体とを溶融混錬し、押し出し成形することで製造することが好ましい。マスターバッチの配合量は、分配性の観点からエチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、1〜30重量部用いることが好ましく、1〜15重量部がより好ましい。また、太陽電池封止材中のアゾール化合物の量は、樹脂合計量100重量部に対して、0.01〜1.5重量部用いることが好ましい。
【0088】
図1にて、本発明の太陽電池モジュールの構成の一例を示す。図1中の符号11は透明基板、12Aが表面太陽電池封止材、12Bが裏面太陽電池封止材、13が発電素子、14が保護部材である。発電素子13は、表面太陽電池封止材12A及び裏面太陽電池封止材12Bに挟持されている。そして、この積層体は、透明基板11及び保護部材14に挟持されている。太陽電池モジュールは、太陽電池素子の上下に太陽電池封止材を固定することにより作製することができる。一般的には、真空ラミネーターを用いて加熱圧着により製造される。このような太陽電池モジュールとしては、例えば、図1の例のように、透明基板/太陽電池封止材/太陽電池素子/太陽電池封止材/保護部材のように太陽電池素子の両側から太陽電池封止材で挟むスーパーストレート構造のものや、透明基板/太陽電池素子/太陽電池封止材/保護部材のように、基板の表面に形成させた太陽電池素子を太陽電池封止材と保護部材で積層されたものが挙げられる。透明基板には、熱強化白板ガラスや透明フィルムなどが利用され、封止材には耐湿性に優れたエチレン酢酸ビニル共重合体などが用いられる。また、耐候性、封止材との接着性が要求される保護部材には耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムをポリフッ化ビニル樹脂フィルムで挟んだ構造のシートや、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムを積層した(封止材接着面をポリオレフィン樹脂フィルムとする)ものなどが用いられている。
【実施例】
【0089】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。部は重量部、%は重量%を意味する。
【0090】
(A)アゾール系化合物
(A−1)2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾイミダゾール
(A−2)2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル)ベンゾイミダゾール
(A−3)5,6−ジメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル)ベンゾイミダゾール
(A−4)1−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾイミダゾール
(A−5)5,6−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル)ベンゾイミダゾール
(A−6)5−シアノ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル)ベンゾイミダゾール
(A−7)2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾール
(A−8)2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾオキサゾール
(A−9)2,5−ビス−(5−t−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェノール
(A−10)2,6−ビス−(5−t−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)−4−メチルフェノール
(A−11)2−[(5−t−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)−6−フェニル]フェノール
以下に上記アゾール系化合物の合成例を説明する。
【0091】
合成例(A−1)
亜硫酸水素ナトリウム28.87gと2−ヒドロキシベンズアルデヒド33.88gをエタノール1000ml中、室温で4時間反応させ、得られたスラリーにo−フェニレンジアミン30.00gをDMF550mlに溶解した溶液を添加して2時間、加熱還流をした。得られた混合物を水にあけ、析出物をろ過し、エタノールから再結晶して化合物(1)を35.00g得た(収率60%)。化合物(1)の構造は元素分析にて確認した(分子式:C13102O;理論値 C:74.27%、H:4.79%、N:13.33%;実測値 C:74.20%、H:4.79%、N:13.32%)。
【0092】
合成例(A−3)
亜硫酸水素ナトリウム4.81gと3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド10.83gをエタノール200ml中、室温で17時間反応させ、得られたスラリーにo−フェニレンジアミン5.00gをDMF150mlに溶解した溶液を添加して5時間、加熱還流をした。得られた混合物を水にあけて酢酸エチルで抽出し、得られた有機層の溶媒を溜去した後、カラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(2)を11.21g得た(収率75%)。化合物(2)の構造は元素分析にて確認した(分子式:C21262O;理論値 C:78.22%、H:8.13%、N:8.69%;実測値 C:78.26%、H:8.09、N:8.76%)。
【0093】
合成例(A−2、A−4〜A−6)
合成例(A−1)あるいは合成例(A−3)と同様の合成方法にて、ベンゾイミダゾール系化合物(A−2)、(A−4)〜(A−6)も得ることができた。
【0094】
合成例(A−7、A−8)
ベンゾオキサゾール系の(A−7)、(A−8)はBeilstein,27(2),91に記載の公知の合成方法を参考にして合成した。
【0095】
合成例(A−9)
モレキュラーシーブス(4A)にて乾燥したN−メチルピロジノン100mlに、2−ヒドロキシテレフタル酸8.50gを溶解して0℃ まで冷却し、塩化チオニル13.86gを10分かけて滴下した。この溶液を室温まで昇温し、2−アミノ−4−t−ブチルフェノール1 6.19gを数回に分けて添加して10分間撹拌した後、130℃で4時間撹拌した。この溶液を室温まで放冷して氷水350gにあけ、水酸化カリウム水溶液で中和した。得られたスラリーから析出物をろ別、乾燥して個体を得た。この個体をカラムクロマトクラフィーで精製し、酢酸エチルから再結晶することにより、化合物2,5−ビス−(5−t−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェノールを7.70g得た(収率37%)。
【0096】
合成例(A−10)
2−ヒドロキシ−5−メチルイソフタルアルデヒド5.30gと2−アミノ4−t−ブチルフェノール10.67gをトルエン500ml に溶解して2時間加熱還流した。この溶液を室温まで放冷し、得られた個体をろ別してトルエンで洗浄し、中間体として2,6−ビス(( 5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニルイミノ)メチル)−4−メチルフェノールを13.00g得た。この中間体11.75gとDD Q(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン)12.21gを乾燥したジクロロメタン400mlに溶解し、窒素雰囲気 下で7時間加熱還流した。この溶液から溶媒を除去して得られた個体をカラムクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチルから再結晶することにより、化合物2,6−ビス−(5−t−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)−4−メチルフェノールを5.39g得た(収率46%)。
【0097】
合成例(A−11)
モレキュラーシーブス(4A)にて乾燥したN−メチルピロジノン100mlに、3−フェニルサリチル酸8.50gを溶解して0℃まで 冷却し、塩化チオニル4.96gを10分かけて滴下した。この溶液を室温まで昇温し、2−アミノフェノール4.55gを数回に分けて 添加して10分間撹拌した後、130℃で6.5時間撹拌した。この溶液を室温まで放冷して氷水350gにあけ、水酸化カリウム水溶液 で中和した後、トルエンで抽出した。得られた有機層を乾燥して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーで精製した後、ヘキサンから再 結晶することにより、化合物2−(5−t−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)−6−フェニルフェノールを3.90g得た(収率34%)。
【0098】
(B)熱可塑性樹脂
(B−1)東ソー社製(ウルトラセン751、エチレン酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量:28%、MFR:5.7)
(B−2)三井・デュポンポリケミカル社製(エバフレックスV523、エチレン酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量:33%、MFR:14)
【0099】
[実施例1]
熱可塑性樹脂90重量部とアゾール系化合物10重量部をタンブラーミキサー(カワタ社製)に投入し温度25℃、時間3分の条件で撹拌した後、二軸押出し機(日本プラコン社製)により太陽電池封止材用マスターバッチを得た。また、熱可塑性樹脂に架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤を配合した架橋剤マスターバッチと、熱可塑性樹脂に光安定剤を配合した安定化剤マスターバッチを得た。
得られた太陽電池封止材用マスターバッチと、架橋剤マスターバッチと、安定化剤マスターバッチと、さらに表1の配合量となるように熱可塑性樹脂とを用いて、これらを共にT−ダイ押出機で100℃にて押出し成形し、太陽電池封止材12A、12B、16、18、21、22(それぞれ厚さ0.5mm)を作製した。なお、太陽電池封止材中の架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、光安定剤の種類と添加量は、熱可塑性樹脂とアゾール系化合物の合計100重量部に対して下記の通りに用いている。
架橋剤:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.6重量部
架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート0.6重量部
シランカップリング剤:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3重量部
光安定剤:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート0.1重量部
【0100】
【表1】

【0101】
[実施例2〜24]
それぞれ表1に示す配合となるように、アゾール系化合物(A)の配合量を変えた他は実施例1と同様にして太陽電池封止材用マスターバッチを作製し、実施例1と同様にして太陽電池封止材用樹脂組成物を調整して太陽電池封止材12A、12B、16を作成した。
【0102】
[比較例1〜10]
熱可塑性樹脂90重量部と、表2に示す有機金属錯体10重量部をタンブラーミキサー(カワタ社製)に投入し温度25℃、時間3分の条件で撹拌した後、二軸押出し機(日本プラコン社製)により太陽電池封止材用マスターバッチを得た。また、実施例1同様に架橋剤マスターバッチと、安定化剤マスターバッチを得た。得られた太陽電池封止材用マスターバッチと、架橋剤マスターバッチと、安定化剤マスターバッチと、さらに表3の配合とした以外は実施例1と同様にして、太陽電池封止材12A、12B、16を作成した。
【0103】
【表2】

【0104】
【表3】

【0105】
実施例1〜24及び比較例1〜10で得られた太陽電池封止材を以下の基準で評価した。評価結果を表4に示す。
【0106】
[波長変換効果]
図2に示すように、実施例1〜24及び比較例1〜10で得られた太陽電池封止材16を透明基板(ガラス 厚さ3mm)15および17で挟んで積層した。その後、真空ラミネーターによる真空下で、150℃、5分間加熱、15分間加熱圧着して、封止材を架橋させ、試験用サンプル1を作製した。この試験用サンプル1の蛍光強度を日立ハイテク製分光蛍光光度計により測定した。
【0107】
[黄色性]
図2に示すように、実施例1〜24及び比較例1〜10で得られた太陽電池封止材16を透明基板(ガラス 厚さ3mm)15、17とで挟んで積層した。その後、真空ラミネーターによる真空下で、150℃、5分間加熱、15分間加熱圧着して、封止材を架橋させ、耐久試験用サンプル1を作製した。この耐久試験用サンプル1を加速試験により、光劣化による樹脂黄変を促進させた後、KURABO製コンピューターカラーマッチングシステムにより耐久試験前と試験後の黄色度の差を測定した。黄色度の差が小さい程、樹脂黄変が小さい。
【0108】
加速試験は、アイスーパーUVテスター(岩崎電気製)により、耐久試験用サンプル1を温度63℃、湿度50%RH、放射照度100mW/cm2の環境下、10日間静置の条件により行った。
【0109】
[耐光性]
図2に示すように、実施例1〜24及び比較例1〜10で得られた太陽電池封止材16を、透明基板(ガラス 厚さ3mm)15、17とで挟んで積層した。その後、真空ラミネーターによる真空下で、150℃、5分間加熱、15分間加熱圧着して、封止材を架橋させ、耐久試験用サンプル2を作製した。この耐久試験用サンプル2を加速試験により光劣化を促進させた後、蛍光強度を蛍光光度計により測定し、初期の蛍光強度からの保持率を得た。
【0110】
加速試験は、アイスーパーUVテスターにより、耐久試験用サンプルを温度63℃、湿度50%RH、放射照度100mW/cm2の環境下、1、5、10日間静置の条件により行った。
【0111】
[変換効率]
実施例1〜24及び比較例1〜10で得られた太陽電池封止材12A、12Bを用いて発電素子を挟み込み、図1に示すように透明基板(ガラス 厚さ3mm)11と耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムをポリフッ化ビニル樹脂フィルムで挟んだ3層(厚さ0.5mm)の保護部材14とで挟んで積層体にした。次いで、真空ラミネーターによる真空下で、150℃で5分間加熱、15分間加熱圧着して、封止材を架橋させ、耐久試験用サンプル3を作製した。試験は、アイスーパーUVテスターにより、温度63℃、湿度50%RH、放射照度100mW/cm2の環境下、10日間静置の条件と、恒温恒湿試験により、温度85℃、湿度85%RHの環境下、1000時間の条件により行った。変換効率は、入光エネルギーと最適動作点での出力と、発電素子の面積から算出した。評価は、発電素子単体の変換効率を100として、サンプル試験前の変換効率(初期変換効率)と、試験後の変換効率(経時変換効率)を求めた。
【0112】
【表4】

【0113】
表4の結果より、実施例1〜24は、全ての評価項目において比較例を上回る優れた耐久性が得られた。特に特定の有機蛍光体を用いることで、一般的な有機金属錯体を用いた場合よりも、波長変換効果が持続し、樹脂の黄変を低減することで経時でも変換効率が保持できるという驚くべき結果が得られた。
【符号の説明】
【0114】
11 透明基板
12A 表面太陽電池封止材
12B 裏面太陽電池封止材
13 発電素子
14 保護部材
15 透明基板
16 太陽電池封止材
17 透明基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含むことを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物。
一般式(1)
【化1】

(式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。ここで、R1〜R4、および、R5〜R8はそれぞれ、隣接した基が互いに結合して環を形成しても良い。
Xは、−S−、−O−、または、−NR9−を表し、R9は水素原子、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、または、置換もしくは未置換のアシル基を表す)
【請求項2】
一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)のXが、−NR9−であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
(ただし、R9は水素原子、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、または、置換もしくは未置換のアシル基を表す)。
【請求項3】
一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)の融点が50〜260℃であることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
【請求項4】
一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)のR1〜R4の少なくとも1つが3級アルキル基であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
【請求項5】
熱可塑性樹脂(B)が、エチレン系共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
【請求項6】
熱可塑性樹脂(B)が、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレンメタクリル酸メチル共重合体、エチレンメタクリル酸エチル共重合体、及びエチレン系アイオノマーからなる群より選択される1種以上の共重合体であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
【請求項7】
少なくとも、請求項1〜6いずれか記載の太陽電池封止材用樹脂組成物を用いて成形してなる太陽電池封止材。
【請求項8】
熱可塑性樹脂(B)100重量部に対して、一般式(1)で示すアゾール系化合物(A)を1〜20量部含むことを特徴とする太陽電池封止材用マスターバッチ。
一般式(1)
【化2】

(式中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアシルオキシ基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。ここで、R1〜R4、および、R5〜R8はそれぞれ、隣接した基が互いに結合して環を形成しても良い。
Xは、−S−、−O−、または、−NR9−を表し、R9は水素原子、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、または、置換もしくは未置換のアシル基を表す)
【請求項9】
エチレン酢酸ビニル共重合体と、請求項8記載の太陽電池封止材用マスターバッチとを用いて形成してなる太陽電池封止材。
【請求項10】
少なくとも、請求項7または9記載の太陽電池封止材を備えた太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−84945(P2013−84945A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213741(P2012−213741)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】